JP3890662B2 - 平版印刷版材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体レーザー等による赤外線による露光で画像形成が可能な、平版印刷版材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、活性光により可溶化する、ポジ型の感光層を有する感光性平版印刷版用の組成物は知られている。
【0003】
活性光の照射によって可溶化するポジ型の組成物を使用した感光材料としては、酸発生剤と酸分解性化合物とを含有する感光層を有する画像形成材料が知られている。例えば、米国特許3,779,779号には、オルトカルボン酸又はカルボン酸アミドアセタール基を有する化合物を含有する感光性組成物が、特開昭53−133429号には、主鎖にアセタールを有する化合物を含有する感光性組成物が、又、特開昭60−37549号には、シリルエーテル基を有する化合物を含有する組成物が開示されている。これらはいずれも紫外線に感度を有し、紫外線による露光によってアルカリ可溶化して非画像部を形成し、又未露光部は画像部を形成するというものである。
【0004】
一方、近年、作業効率向上が要求されている。製版業界でもその流れを受け従来の人手と時間のかかる編集作業をコンピューターでソフト的に簡易に行うべく、安価でコンパクトな赤外半導体レーザーによりデジタル記録可能な版すなわちCTP(コンピューター・ツー・プレート)が脚光を浴びている。印刷版に求められる感度向上による書き込み(露光)時間の短縮および高解像度化については、ポジ型の印刷版の溶解抑制剤の場合、低分子量化することに効果が見いだせる。ただし、耐刷性が必ずしも十分ではなく改善が望まれていた。本発明によれば、酸により分解し得る基を有す樹脂の添加で耐刷性が向上する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、赤外半導体レーザーの露光でも十分な耐刷性を有する平版印刷版材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記構成により達成された。
【0007】
(1) 少なくとも酸発生剤、酸により分解し得る化合物(以後酸分解性化合物という)として、下記一般式(2)で表される化合物又は下記酸分解性化合物Aで表される化合物と、赤外線吸収剤を含有し、かつ、酸により分解し得る基を有する樹脂を含有する感光層を支持体上に有することを特徴とする平版印刷版材料。
【0011】
【化5】
【0012】
〔式中、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表し、R5、R6が結合して環を形成しても良く、又エーテル結合を有していても良く、又R5、R6は互いに同一でも異なっていても良い。更に各々置換基が導入されていても良い。nは1〜6の整数を表し、mは1〜80の整数を表す。〕
【0013】
【化6】
【0014】
(2) 酸により分解し得る基を有する樹脂の、酸により分解し得る基が、t−ブトキシカルボニル基であることを特徴とする前記1記載の平版印刷版材料。
【0015】
本発明を更に詳しく説明する。本発明の画像形成材料の感光層に用いられる酸により分解し得る基を有する樹脂の、酸により分解し得る基としては、特に公知のものは制約なく使用可能である。好ましい置換基としては、
−O−COO−C4H9(t)、−O−CH2−COO−C4H9(t)
【0016】
【化7】
【0017】
これら置換基のなかでもt-ブトキシカルボニル(t-Boc)基が特に好適に使用できる。以下に酸により分解し得る基を有する樹脂の具体例を挙げる。尚、下記ポリマー構成のモノマー比はそれぞれ任意の数字を取り得る。
【0018】
【化8】
【0019】
【化9】
【0020】
【化10】
【0021】
上記樹脂は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した重量平均分子量で、1500〜10万、好ましくは4000〜5万である。本発明の酸により分解し得る基を有す樹脂の含有量は、感光層を形成する組成物の全固形分に対し、1〜50重量%が好ましく、特に好ましくは4〜30重量%である。本発明の酸により分解し得る基を有す樹脂は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0022】
次に本発明の酸分解性化合物について述べる。本発明の酸分解性化合物は、酸で分解し得る結合を少なくとも1つ有する化合物を言う。酸分解性化合物としては、具体的には、特開昭48−89003号、同51−120714号、同53−133429号、同55−12995号、同55−126236号、同56−17345号に記載されているC−O−C結合を有する化合物、特開昭60−37549号、同60−121446号に記載されているSi−O−C結合を有する化合物、特開昭60−3625号、同60−10247号に記載されているその他の酸分解化合物を挙げることができ、更に特開昭62−222246号に記載されているSi−N結合を有する化合物、特開昭62−251743号に記載されている炭酸エステル、特開昭62−280841号に記載されているオルトチタン酸エステル、特開昭62−280842号に記載されているオルトケイ酸エステル、特開昭63−10153号に記載されているアセタール及びケタール、特開昭62−244038号に記載されているC−S結合を有する化合物などを用いることができる。
【0023】
上記のうち、前記特開昭53−133429号、同56−17345号、同60−121446号、同60−37549号及び同61−155481号に記載されているC−O−C結合を有する化合物、Si−O−C結合を有する化合物、オルト炭酸エステル、アセタール類及びシリルエーテル類が好ましい。
【0024】
それらの中でも、特開昭53−133429号に記載された主鎖中に繰り返しアセタール部分を有し、現像液中でのその溶解度が酸の作用によって上昇する有機重合化合物、及び特開昭63−10153号に記載の化合物が特に好ましい。
【0031】
一般式(2)において、R5、R6は、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基を表す。R 5 、R 6 で表される、アルキル基としては、炭素数1〜8の低級アルキル基が挙げられ、アリール基としては、置換又は無置換のフェニル基が挙げられる。R 5 、R 6 が結合して環を形成してシクロアルキル基となる場合、シクロアルキル基としては、4〜8員のシクロアルキル環が挙げられシクロヘキシル基が好ましい。尚、R 5 、R 6 は、互いに同一でも異なっていても良い。また、nは1〜6の整数を表し、好ましくは、1〜3であり、mは1〜30の整数を表すが、好ましくは10〜20である。
【0033】
酸分解性化合物A及びBの合成方法を下記に示す。
【0034】
酸分解性化合物Aの合成
シクロヘキサノン0.5モル、フェニルセロソルブ1.0モル及びp−トルエンスルホン酸80mgを撹拌しながら100℃で1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成するメタノールはこの間に留去した。冷却後、テトラヒドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを加えて撹拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、粘調な油状の酸分解性化合物Aを得た。
【0035】
酸分解性化合物Bの合成
シクロヘキサノン1.0モル、エチレングリコール1.0モル及びp−トルエンスルホン酸80mgを撹拌しながら100℃で1時間反応させ、その後150℃まで徐々に温度を上げ、更に150℃で4時間反応させた。反応により生成するメタノールはこの間に留去した。冷却後、テトラヒドロフラン500ml及び無水炭酸カリウム2.5gを加えて撹拌し濾過した。濾液から溶媒を減圧留去し、更に150℃、高真空下で低沸点成分を留去し、粘調な油状の酸分解性化合物Bを得た。
【0036】
別のタイプの酸分解性化合物Cの合成法を述べる。
【0037】
ハイドロキノン11g(0.100mole)、ピリジン17.4g(0.220mole)、脱水蒸留したトルエン80mlの混合物に、ジクロロジメチルシラン12.9g(0.100mole)のトルエン20ml溶液を、撹拌及び氷冷下、滴下ロートより30分間かけて添加した。添加後50℃にて、3時間撹拌を続けた。生成した白色の塩(ピリジンの塩酸塩)を濾別し、トルエン溶液を減圧下濃縮した。その後、真空下(約1mm/Hg)、約80℃に加熱しながら10時間乾燥させ無色透明粘調液体の酸分解性化合物Cを得た。
【0038】
【化12】
【0039】
本発明の酸分解性化合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定された重量平均分子量は200〜8000、好ましくは400〜4000である。
【0040】
本発明の酸分解性化合物の含有量は、感光層を形成する組成物の全固形分に対し、5〜70重量%が好ましく、特に好ましくは10〜50重量%である。本発明の酸分解性化合物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0041】
本発明の平版印刷版材料に用いられる酸発生剤、即ち活性光線の照射により酸を発生し得る化合物(以下、本発明の酸発生剤という)としては、各種の公知化合物及び混合物が挙げられる。例えばホスホニウム、スルホニウム、及びヨードニウムのBF4 -,PF6 -,SbF6 -,SiF6 2-,ClO4 -などの塩、有機ハロゲン化合物、オルトキノンジアジドスルホニルクロリド、及び有機金属及び有機ハロゲン化合物も活性光線の照射の際に酸を形成又は分離する活性光線感光性成分であり、本発明の酸発生剤として使用することができる。原理的には遊離基形成性の光開始剤として知られるすべての有機ハロゲン化合物は、ハロゲン化水素酸を形成する化合物で、本発明の酸発生剤として使用することができる。
【0042】
前記のハロゲン化水素酸を形成する化合物の例はUSP3,515,552号、同3,536,489号及び同3,779,778号及び西ドイツ国特許公開公報第2,243,621号に記載されているものが挙げられ、又、例えば西ドイツ国特許公開公報第2,610,842号に記載の光分解により酸を発生させる化合物も使用することができる。
【0043】
又更に特開昭54−74728号、同55−24113号、同55−77742号、同60−3626号、同60−138539号に記載の2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系化合物など具体的には、2−トリクロロメチル−5−〔β(2−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾールを使用することができる。
【0044】
本発明の酸発生剤の具体例としては、特開昭56−17345号に記載のものを挙げることができる。又、特開昭50−36209号に記載されているo−ナフトキノンジアジト−4−スルホン酸ハロゲニドを用いることができる。
【0045】
本発明において、特に好ましい酸発生剤は、感度の面から、オキサジアゾール系有機ハロゲン化合物である。本発明の酸発生剤は、その化学的性質或いは物性によって広範囲に変えることができるが、印刷版用組成物の塗布固形分の全重量に対して約0.1〜20重量%の範囲が適当であり、好ましくは0.2〜10重量%の範囲である。
【0046】
本発明の平版印刷版材料には、赤外吸収色素が含有される。該赤外吸収色素としては、波長700nm以上に吸収を持つ赤外吸収色素、カーボンブラック、磁性粉等を使用することができる。特に好ましい赤外吸収色素は700〜850nmに吸収ピークを有し、ピークでのモル吸光係数εが105以上の赤外吸収色素である。
【0047】
上記赤外吸収色素としては、シアニン系色素、スクワリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノン系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。
【0048】
又、赤外吸収色素として、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−103476号等に記載の化合物も挙げられる。
【0049】
これらの色素は勿論、公知の方法によって合成することができるが、下記のような市販品を用いることもできる。
【0050】
日本化薬:IR750(アントラキノン系);IR002,IR003(アルミニウム系);IR820(ポリメチン系);IRG022,IRG033(ジインモニウム系);CY−2,CY−4,CY−9,CY−10,CY−20三井東圧:KIR103,SIR103(フタロシアニン系);KIR101,SIR114(アントラキノン系);PA1001,PA1005,PA1006,SIR128(金属錯体系)
大日本インキ化学:Fastogen blue8120 みどり化学:MIR−101,1011,1021
その他、日本感光色素、住友化学、富士写真フイルム等の各社からも市販されている。
【0051】
本発明の平版印刷版材料は、顔料を有することにより、平版印刷版として用いた際の耐刷性を顕著に改善し得る。顔料としては、公知の有機及び無機の顔料が挙げられるが、これらは朝倉書店の「色材工学ハンドブック」や誠文堂新光社の「顔料便覧」に記載の顔料が特に制限なく使用できる。又、現像後の可視画性を得るには該顔料が有色であることが好ましく、高濃度が得られることが更に好ましい。その点では、該顔料がフタロシアニン又はカーボンブラックから選ばれるのが耐刷性の向上のみならず、現像後の可視画性を得るのに好適である。
【0052】
本発明の平版印刷版材料には、アルカリ可溶性樹脂が含有される。該アルカリ可溶性樹脂としては、例えばノボラック樹脂やヒドロキシスチレン単位を有する重合体、アクリル酸アミド構造単位を有する重合体、その他公知のアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0053】
ノボラック樹脂としては、例えばフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、特開昭55−57841号に記載されているようなフェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共重縮合体樹脂、特開昭55−127553号に記載されているような、p−置換フェノールとフェノールもしくは、クレゾールとホルムアルデヒドとの共重縮合体樹脂等が挙げられる。
【0054】
また、ヒドロキシスチレン単位を有する重合体としては、例えば特公昭52−41050号に記載されているポリヒドロキシスチレンやヒドロキシスチレン共重合体などを挙げることができる。
【0055】
アクリル酸アミド構造単位を有する重合体とは、該構造単位のみの繰り返し構造を有する単独重合体、或いは該構造単位と他のビニル系単量体の不飽和二重結合を開裂せしめた構造で示される構造単位1種以上とを組み合わせた共重合体である。
【0056】
又、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン単位を有する重合体、及びアクリル酸アミド構造単位を有する重合体は併用することもできる。
【0057】
更に、本発明の平版印刷版材料には、該組成物の感脂性を向上するために親油性の樹脂を添加することができる。
【0058】
前記親油性の樹脂としては、例えば、特開昭50−125806号に記載されているような、炭素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール類とアルデヒドの縮合物、例えばtブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などが使用可能である。
【0059】
本発明の平版印刷版材料は、前記各成分を溶解する下記の溶媒に溶解させて、これらを適当な支持体の表面に塗布、乾燥させることにより感光層を設けて画像形成材料とすることができる。
【0060】
上記溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独で或いは2種以上混合して使用することができる。
【0061】
本発明の平版印刷版材料を支持体の表面に塗布する方法としては、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等が可能である。塗布量は用途により異なるが、例えば、感光性平版印刷版についていえば固形分として0.5〜5.0g/m2が好ましい。
【0062】
本発明の平版印刷版材料を用いて感光層を設ける支持体としては、アルミニウム、亜鉛、鋼、銅等の金属板、並びにクロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属板、紙、プラスチックフィルム及びガラス板、樹脂が塗布された紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親水化処理したプラスチックフィルム等が挙げられる。このうち好ましいのはアルミニウム板である。本発明を感光性平版印刷版に適用するとき、支持体として、砂目立て処理、陽極酸化処理及び必要に応じて封孔処理等の表面処理等が施されているアルミニウム板を用いることが好ましい。これらの処理には公知の方法を適用することができる。
【0063】
砂目立て処理の方法としては、例えば機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。機械的方法としては、例えばボール研磨法、ブラシ研磨法、液体ホーニングによる研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。アルミニウム材の組成等に応じて上述の各種方法を単独或いは組合わせて用いることができる。
【0064】
電解によりエッチングするには、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機の酸を単独乃至2種以上混合した浴を用いて行われる。砂目立て処理の後、必要に応じてアルカリ或いは酸の水溶液によってデスマット処理を行い中和して水洗する。
【0065】
陽極酸化処理は、電解液として、硫酸、クロム酸、シュウ酸、リン酸、マロン酸等を1種又は2種以上含む溶液を用い、アルミニウム板を陽極として電解して行われる。形成された陽極酸化被膜量は1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2であり、特に好ましくは25〜40mg/dm2である。陽極酸化被膜量は、例えばアルミニウム板をリン酸クロム酸浴液(リン酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1リットルの水に溶解して作製)に浸漬し、酸化被膜を溶解し、板の被膜溶解前後の重量変化測定から求められる。
【0066】
封孔処理は、沸騰水処理、水蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等が具体例として挙げられる。この他にアルミニウム板支持体に対して、水溶性高分子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属塩の水溶液による下引き処理を施すこともできる。
【0067】
本発明の平版印刷版材料は、波長700nm以上の光源を用い画像露光を行うことが好ましい。光源としては、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。出力は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
【0068】
本発明の平版印刷版材料の現像に用いられる現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液は例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる。前記アルカリ金属塩の濃度は0.05〜20重量%の範囲で用いるのが好適であり、より好ましくは、0.1〜10重量%である。
【0069】
現像液には、必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。該有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジルアルコール、n−プロピルアルコール等が有用である。
【0070】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。尚、「部」は「重量部」を示す。
【0071】
(支持体の作製)
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を5%苛性ソーダ水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行った後、0.5モル1リットルの塩酸水溶液中で温度;25℃、電流密度;60A/dm2、処理時間;30秒の条件で電解エッチング処理を行った。次いで、5%苛性ソーダ水溶液中で60℃、10秒間のデスマット処理を施した後、20%硫酸溶液中で温度;20℃、電流密度;3A/dm2、処理時間;1分間の条件で陽極酸化処理を行った。更に30℃の熱水で20秒間、熱水封孔処理を行い、平版印刷版用支持体のアルミニウム板を作製した。
【0072】
実施例1
前記支持体上に下記組成の印刷版用組成物からなる感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように塗布し95℃で90秒間乾燥して平版印刷版材料1を得た。尚、下記の部は重量部を表す。
【0073】
(感光層塗布液の組成)
バインダーA 50部
酸分解性化合物A 20部
酸発生剤A(TAZ−110)(みどり化学社製) 3部
赤外吸収色素 (IR−1) 2部
酸により分解し得る基を有する樹脂(例示1) 10部
プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部
【0074】
【化13】
【0075】
平版印刷版材料1の感光層塗布液組成中の酸分解性化合物A及び酸により分解し得る基を有する樹脂を表1に示すように変えたほかは平版印刷版材料1と同様にして、平版印刷版材料2〜4を得た。
【0076】
得られた平版印刷版材料1〜4を、半導体レーザー(波長830nm、出力500mW)で感光層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。また、解像度は走査方向、副走査方向とも2000DPIとした。露光後、ポジPS版用現像液SDR−1(コニカ(株)製)を水で容積比2倍に希釈した27℃の現像液に25秒間浸漬し、非画像部(未露光部)を除去した後、水洗し平版印刷版を製造した。
【0077】
(線幅)
光学顕微鏡観察によりレーザー走査線1本で生成される非画像部ラインの平均線幅を評価した。
【0078】
(耐刷性)
得られた印刷版に前記半導体レーザー露光を行わず、前記の条件で現像し、印刷機(ハイデルGTO)で、コート紙に印刷インキ(東洋インキ製造社製:ハイプラスM紅)及び湿し水(コニカ社製:SEU−32.5%水溶液)を用いて印刷を行い、印刷物のベタ部にインキ着肉不良が発生する迄印刷を続け、印刷枚数を数えた。
【0079】
得られた結果を以下の表1に示す。
【0080】
【表1】
【0081】
表1から明らかなように、本発明の平版印刷版材料は赤外半導体レーザーの露光でも画像形成が可能な画像形成材料を得ることができ、しかも耐刷性に優れている平版印刷版材料であることがわかる。
【0082】
【発明の効果】
本発明により赤外半導体レーザーの露光でも画像形成が可能で、しかも耐刷性に優れている平版印刷版材料を提供することできた。
Claims (2)
- 酸により分解し得る基を有する樹脂の、酸により分解し得る基が、t−ブトキシカルボニル基であることを特徴とする請求項1記載の平版印刷版材料。
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