JP3757543B2 - 印刷版材料及び画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外線の照射によってアルカリ性現像液に対して不溶化する感光層を有する画像形成材料及びそれを用いた画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
赤外線感光性のネガ型の感光層を有する画像形成材料として、米国特許第5,340,699号明細書には、酸発生剤、レゾール樹脂、ノボラック樹脂及び赤外線吸収剤を含有する感光層を有し、画像露光の後、現像処理前に加熱処理を施すことによりネガ型の画像形成材料として使用され、上記加熱処理を施さないとポジ型の画像形成材料として使用される技術が開示されている。
【0003】
しかし、該画像形材料は、赤外線に対する感度が十分でなく、半導体レーザ等による画像露光(描画)に時間がかかる問題がある。また、現像性についても、支持体上に色素が残存し印刷で地汚れが発生するなどの問題がある。
【0004】
特開昭62−164049号公報には、ブロックイソシアネート及びイソシアネートと反応し得る活性水素を有するポリマーを含有する感性層を設け、かつ光熱変換物質を含有させた平版印刷原版が開示されているが、現像性が十分でなく地汚れを生じ、また耐刷性が十分でない問題がある。
【0005】
特開平9−43845号公報には、熱により架橋反応を起こす高分子化合物と、光を吸収し熱を発生する物質とを有するネガ型画像記録材料が開示されているが、現像性が十分でなく地汚れを生じる問題がある。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、赤外線による露光における感度が高く、現像性が向上し、地汚れが防止された画像形成材料及び画像形成方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的を達成する本発明は下記(1)〜(5)である。
【0008】
(1)支持体上に、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物、下記一般式(3)又は(4)で表される赤外吸収剤、ノボラック樹脂及びカルボン酸基、アミノ基又はヒドロキシル基を側鎖に有するビニル重合体を含有する感光層を有することを特徴とする印刷版材料。
【0009】
【化3】
【0010】
式中、X1、X2及びX3は各々水素原子又は置換基を表し、X1、X2及びX3の少なくとも1つは−NR1−CO−O−R2である。R1は水素原子又はアルキル基を表し、R2はアルキル基、アラルキル基、イミド基、トリアゾリル基、ピリジル基、スルホニル基、ピラゾリル基、ハロゲン原子又は芳香環基を表す。
【0011】
【化4】
【0012】
式中、X1、X2、X3及びX4は各々水素原子又は置換基を表し、X1及びX2の少なくとも1つ、並びにX3及びX4の少なくとも1つは−NR1−CO−O−R2である。R1は水素原子又はアルキル基を表し、R2はアルキル基、アラルキル基、イミド基、トリアゾリル基、ピリジニウム基、スルホニル基、ピラゾリル基、ハロゲン原子又は芳香環基を表す。R3及びR4は各々R1と同義である。
【0013】
【化B】
〔式中、Z 1 及びZ 2 は各々硫黄原子、セレン原子又は酸素原子を表し、X 1 及びX 2 は各々置換基を有していてもよいベンゾ縮合環又はナフト縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R 1 及びR 2 は各々置換基を表し、R 1 及びR 2 のどちらか一方はアニオン性解離性基を有する。R 3 、R 4 、R 5 及びR 6 は各々炭素原子数1〜3のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。Lは炭素原子数5〜13の共役結合の連鎖を表す。〕
【0016】
(2)前記感光層を塗布する際に、塗布溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトンから選ばれる溶剤を用いることを特徴とする上記(1)に記載の印刷版材料。
(3)上記(1)又は(2)記載の印刷版材料の感光層上に赤外線を用いて画像を描画した後、アルカリ性現像液で未露光部を除去することを特徴とする画像形成方法。
【0017】
以下、本発明について詳述する。
【0018】
本発明の画像形成材料の感光層が含有する一般式(1)又は(2)で表される化合物(以下「本発明のブロック化イソシアネート」という)について説明する。
【0019】
一般式(1)又は(2)におけるX1〜X4が表す−NR1−CO−O−R2において、R2が表すアルキル基としては炭素数1〜4のアルキル基(例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)が好ましく、R2が表すイミド基としては例えば
【0020】
【化5】
【0021】
(R5及びR6は、各々水素原子、スルホ基、アルキル基又はヒドロキシル基を表す。)が挙げられる。R2が表すピリジル基は置換されていてもよく、例えば、
【0022】
【化6】
【0023】
(Lは、水素原子、アルキル基、ヒドロキシル基、又は置換もしくは無置換のアミノ基を表す。)が挙げられる。R2が表すスルホニル基としては例えば−SO2−L2(L2は上記Lと同義である。)が挙げられる。R2が表す芳香環基としては例えば
【0024】
【化7】
【0025】
が挙げられる。
【0026】
X1〜X4が表す−NR1−CO−O−R2以外の置換基としては、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換の芳香環基、置換若しくは無置換のアミノ基、アミド基(RCONH−、Rは鎖式又は環式の炭化水素基)又はハロゲン原子が好ましいが、これらに限定されない。
【0027】
一般式(1)で表される化合物は、−NR1−CO−O−R2を2以上有することが好ましく、一般式(2)で表される化合物は、−NR1−CO−O−R2を4以上有することが好ましい。
【0028】
本発明のブロック化イソシアネートは特開平7−2804号公報を参考として合成することができる。
【0029】
本発明に用いられる赤外線吸収剤としては、波長700nm以上の可視光線から赤外領域に吸収を持つ赤外吸収色素、カーボンブラック、磁性粉等を使用することができる。特に好ましい赤外線吸収剤は700〜850nmに吸収ピークを有し、ピークでのモル吸光係数εが105以上である赤外吸収色素である。
【0030】
上記赤外吸収色素としては、シアニン系色素、スクアリウム系色素、クロコニウム系色素、アズレニウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、チオピリリウム系色素、ジチオール金属錯体系色素、アントラキノ系色素、インドアニリン金属錯体系色素、分子間CT色素等が挙げられる。
【0031】
また、上記赤外吸収色素として、特開昭63−139191号、同64−33547号、特開平1−160683号、同1−280750号、同1−293342号、同2−2074号、同3−26593号、同3−30991号、同3−34891号、同3−36093号、同3−36094号、同3−36095号、同3−42281号、同3−103476号等に記載の化合物が挙げられる。
【0032】
本発明において、赤外線吸収剤として、下記一般式(3)又は(4)で表されるシアニン染料が特に好ましい。
【0033】
【化8】
【0034】
一般式(3)及び(4)において、Z1及びZ2は各々硫黄原子、セレン原子又は酸素原子を表し、X1及びX2は各々置換基を有していてもよいベンゾ縮合環又はナフト縮合環を形成するのに必要な非金属原子群を表し、R1及びR2は各々置換基を表し、R1及びR2のどちらか一方はアニオン性解離性基を有する。R3、R4、R5及びR6は各々炭素原子数1〜3のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。Lは炭素原子数5〜13の共役結合の連鎖を表す。〕
本発明において、赤外線吸収剤として、前記一般式(3)又は(4)で表されるシアニン染料が特に好ましい。
【0035】
一般式(3)又は(4)で表されるシアニン色素は、該一般式(3)又は(4)がカチオンを形成し、対アニオンを有するものを包含する。この場合、対アニオンとしては、Cl-、Br-、ClO4 -、BF4 -、t−ブチルトリフェニルホウ素等のアルキルホウ素等が挙げられる。
【0036】
一般式(3)及び(4)において、Lで表される共役結合の連鎖の炭素原子数(n)は、画像露光の光源として赤外線を放射するレーザーが使用される場合、該レーザーの発信波長に合わせて有効な値を選択することが好ましい。例えば、発信波長1060nmのYAGレーザーを使用する場合は、nは9〜13が好ましい。また、この共役結合部分は任意の置換基を有することができ、また、共役結合部分は複数の置換基により環を形成させてもよい。
【0037】
一般式(3)及び(4)において、X1で表される環及びX2で表される環には任意の置換基を有することができる。該置換基としてハロゲン原子、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、−SO3M及び−COOM(Mは水素原子又はアルカリ金属原子)から選ばれる基が好ましい。
【0038】
R1及びR2は各々任意の置換基であるが、好ましくは、炭素原子数1〜5のアルキル基若しくは炭素原子数1〜5のアルコキシ基;−(CH2)n−O−)k−(CH2)mOR(n及びmは各々1〜3の整数、kは0又は1、Rは炭素原子数1〜5のアルキル基を表す。);R1及びR2の一方が−R−SO3Mで他方が−R−SO3 -(Rは炭素原子数1〜5のアルキル基、Mはアルカリ金属原子を表す);又はR1及びR2の一方が−R−COOMで他方が−R−COO-(Rは炭素原子数1〜5のアルキル基、Mはアルカリ金属原子を表す。)である。R1及びR2は、感度及び現像性の点から、R1及びR2の一方が−R−SO3 -又は−R−COO-、他方が−R−SO3M又は−R−COOMであることが好ましい。
【0039】
一般式(3)又は(4)で表されるシアニン色素は、画像露光の光源として半導体レーザーを使用する場合は750〜900nmにおいて、YAGレーザーを使用する場合は900〜1200nmにおいて吸収ピークを示し、ε>1×105のモル吸光係数を有するものが好ましい。
【0040】
本発明に好ましく用いられる赤外線吸収剤の代表的具体例を以下に挙げるが、これらに限定されるものではない。
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】
【化14】
【0047】
【化15】
【0048】
【化16】
【0049】
【化17】
【0050】
【化18】
【0051】
【化19】
【0052】
【化20】
【0053】
【化21】
【0054】
【化22】
【0055】
これらの色素は公知の方法によって合成することができるが、下記のような市販品を用いることもできる。
【0056】
日本化薬:IR750(アントラキノン系);IR002,IR003(アルミニウム系);IR820(ポリメチン系);IRG022,IRG033(ジインモニウム系);CY−2,CY−4,CY−9,CY−20
三井東圧:KIR103,SIR103(フタロシアニン系);KIR101,SIR114(アントラキノン系);PA1001,PA1005,PA1006,SIR128(金属錯体系)
大日本インキ化学:Fastogen blue8120
みどり化学:MIR−101,1011,1021
その他、日本感光色素、住友化学、富士写真フィルム等の各社からも市販されている。
【0057】
本発明において、赤外線吸収剤の添加量は、0.5〜5wt%の範囲が好ましい。該添加量が5wt%を越えると非画像部(未露光部)の現像性が低下し、0.5wt%未満では画像部の耐現像性が低下する。
【0058】
本発明の画像形成材料の感性層にはアルカリ可溶性ポリマーを含有させることが好ましい。アルカリ可溶性ポリマーとしては、ノボラック、及びカルボン酸基、アミノ基又はヒドロキシル基を側鎖に有するビニル重合体が好ましい。
【0059】
ノボラックとしては、例えばフェノール・ホルムアルデヒド樹脂、クレゾール・ホルムアルデヒド樹脂、特開昭55−57841号公報に記載されているようなフェノール・クレゾール・ホルムアルデヒド共重縮合体樹脂、特開昭55−127553号公報に記載されているような、p−置換フェノールとフェノールもしくはクレゾールとホルムアルデヒドとの共重縮合体樹脂等が挙げられる。
【0060】
上記カルボン酸基、アミノ基又はヒドロキシル基を側鎖に有するビニル重合体としては、例えばノボラック樹脂やヒドロキシスチレン単位を有する重合体や後記一般式(5)で表される構造単位を有する重合体、その他公知のアクリル樹脂等を挙げることができる。
【0061】
ヒドロキシスチレン単位を有する重合体としては、例えば特公昭52−41050号公報に記載されているポリヒドロキシスチレンやヒドロキシスチレン共重合体などを挙げることをことができる。
【0062】
上記一般式(5)で表される構造単位を有する重合体とは、該構造単位のみの繰り返し構造を有する単独重合体、あるいは該構造単位と他のビニル系単量体の不飽和二重結合を開裂せしめた構造で示される構造単位1種以上とを組み合わせた共重合体である。
【0063】
【化23】
【0064】
一般式(5)において、R1及びR2は各々、水素原子、メチル基やエチル基等のアルキル基又はカルボン酸基を表し、好ましくは水素原子である。R3は水素原子、塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子又はメチル基、エチル基等のアルキル基を表し、好ましくは水素原子又はメチル基である。R4は水素原子、メチル基やエチル基等のアルキル基、フェニル基又はナフチル基を表す。
【0065】
Yは置換基を有するものも含むフェニレン基又はナフチレン基を表し、該置換基としてはメチル基やエチル基等のアルキル基、塩素原子や臭素原子等のハロゲン原子、カルボン酸基、メトキシ基やエトキシ基等のアルコキシ基、ヒドロキシル基、スルホ基、シアノ基、ニトロ基、アシル基等が挙げられるが、好ましくは置換基を有しないか、あるいはメチル基で置換されているものである。
【0066】
Xは窒素原子と芳香族炭素原子とを連結する2価の有機基で、nは0〜5の整数を表し、好ましくはnが0である。
【0067】
一般式(5)で表される構造単位を有する重合体は、さらに具体的に、例えば(a)〜(h)で表すことができる。
【0068】
【化24】
【0069】
(a)〜(h)において、R1〜R5は各々水素原子、アルキル基又はハロゲン原子を表し、Xはアルキル基又はハロゲン原子を表す。また、m、n、l、k及びsはそれぞれの構造単位のモル%を表す。
【0070】
また、ノボラック樹脂、ヒドロキシスチレン単位を有する重合体、及び前記一般式(5)で表される構造単位を有する重合体は併用することもできる。
【0071】
更に、本発明の感光性組成物には、該感光性組成物の感脂性を向上するために親油性の樹脂を添加することができる。
【0072】
前記親油性の樹脂としては、例えば、特開昭50−125806号公報に記載されているような、炭素数3〜15のアルキル基で置換されたフェノール類とアルデヒドの縮合物、例えばtブチルフェノールホルムアルデヒド樹脂などが使用可能である。
【0073】
本発明の画像形成材料の感光層には必要に応じて、更に上記以外の色素、顔料、増感剤等を含有させることができる。
【0074】
本発明の感性層は、前記各成分を溶解する下記の溶媒に溶解させて、これらを適当な支持体の表面に塗布乾燥させることにより感性層を設けて本発明の画像形成材料とすることができる。
【0075】
上記溶媒としては、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトン等が挙げられる。これら溶媒は、単独であるいは2種以上混合して使用する。
【0076】
塗布方法は、従来公知の方法、例えば、回転塗布、ワイヤーバー塗布、ディップ塗布、エアーナイフ塗布、ロール塗布、ブレード塗布及びカーテン塗布等が可能である。塗布量は用途により異なるが、例えば、感光性平版印刷版についていえば固形分として0.5〜5.0g/m2が好ましい。
【0077】
本発明の感光層を設ける支持体は、アルミニウム、亜鉛、鋼、銅等の金属板、並びにクロム、亜鉛、銅、ニッケル、アルミニウム、鉄等がメッキ又は蒸着された金属板、紙、プラスチックフィルム及びガラス板、樹脂が塗布された紙、アルミニウム等の金属箔が張られた紙、親水化処理したプラスチックフィルム等が挙げられる。このうち好ましいのはアルミニウム板である。本発明を感光性平版印刷版に適用するとき、支持体として、砂目立て処理、陽極酸化処理及び必要に応じて封孔処理等の表面処理等が施されているアルミニウム板を用いることが好ましい。これらの処理には公知の方法を適用することができる。
【0078】
砂目立て処理の方法としては、例えば機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。機械的方法としては、例えばボール研磨法、ブラシ研磨法、液体ホーニングによる研磨法、バフ研磨法等が挙げられる。アルミニウム材の組成等に応じて上述の各種方法を単独あるいは組合わせて用いることができる。
【0079】
電解によりエッチングするには、リン酸、硫酸、塩酸、硝酸等の無機の酸を単独ないし2種以上混合した浴を用いて行われる。砂目立て処理の後、必要に応じてアルカリあるいは酸の水溶液によってデスマット処理を行い中和して水洗する。
【0080】
陽極酸化処理は、電解液として、硫酸、クロム酸、シュウ酸、リン酸、マロン酸等を1種又は2種以上含む溶液を用い、アルミニウム板を陽極として電解して行われる。形成された陽極酸化被膜量は1〜50mg/dm2が適当であり、好ましくは10〜40mg/dm2であり、特に好ましくは25〜40mg/dm2である。陽極酸化被膜量は、例えばアルミニウム板をリン酸クロム酸浴液(リン酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1lの水に溶解して作製)に浸漬し、酸化被膜を溶解し、板の被膜溶解前後の重量変化測定から求められる。
【0081】
封孔処理は、沸騰水処理、水蒸気処理、ケイ酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理等が具体例として挙げられる。この他にアルミニウム板支持体に対して、水溶性高分子化合物や、フッ化ジルコン酸等の金属塩の水溶液による下引き処理を施すこともできる。
【0082】
本発明の画像形成材料は赤外線を放射する光源を用いて画像露光を行うことができる。該光源としては、半導体レーザー、He−Neレーザー、YAGレーザー、炭酸ガスレーザー等が挙げられる。出力は50mW以上が適当であり、好ましくは100mW以上である。
【0083】
本発明の画像形成材料の現像に用いられる現像液としては、水系アルカリ現像液が好適である。水系アルカリ現像液(以下、本発明の現像液という。)は例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタケイ酸カリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸ナトリウム等のアルカリ金属塩の水溶液が挙げられる前記アルカリ金属塩の濃度は0.05〜20重量%の範囲で用いるのが好適であり、より好ましくは、0.1〜10重量%である。
【0084】
本発明の画像形成方法において、現像液には、必要に応じアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤やアルコール等の有機溶剤を加えることができる。
【0085】
有機溶剤としては、プロピレングリコール、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ベンジンアルコール、n−プロピルアルコール等が有用である。
【0086】
【実施例】
次に、本発明を実施例で更に具体的に説明する。なお、以下の実施例及び比較例において「部」は「重量部」を意味する。
【0087】
実施例1
支持体の作成
厚さ0.24mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を5%苛性ソーダ水溶液中で60℃で1分間脱脂処理を行った後、0.5モル1lの塩酸水溶液中で温度;25℃、電流密度;60A/dm2、処理時間;30秒の条件で電解エッチング処理を行った。次いで、5%苛性ソーダ水溶液中で60℃、10秒間のデスマット処理を施した後、20%硫酸溶液中で温度;20℃、電流密度;3A/dm2、処理時間;1分間の条件で陽極酸化処理を行った、更に又、30℃の熱水で20秒間、熱水封孔処理を行い、平版印刷版材料用支持体であるアルミニウム板を作製した。
【0088】
実施例1
前記アルミニウム板の支持体上に下記組成の感光層塗布液を乾燥後の膜厚が2g/m2になるように回転塗布機を用いて塗布し100℃で2分間乾燥して画像形成材料を得た。
【0089】
感光層塗布液の組成
赤外線吸収剤 例示化合物IR49 10部
本発明のブロック化イソシアネートA 20部
【0090】
【化25】
【0091】
ノボラック樹脂A 70部
【0092】
【化26】
【0093】
プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部
この画像形成材料を、半導体レーザー(波長830nm、出力500mW)で感光層表面に画像露光を行った。レーザー光径はピークにおける強度の1/e2で13μmであった。また、解像度は走査方向、副走査方向とも2000DPIとした。露光後、赤外線ヒーターを用い感光層を120℃で30秒間熱処理した。さらに、コニカPS版用現像液SDR−1(コニカ(株)製)を水で容積比6倍に希釈した27℃の現像液に25秒間浸漬し、非画像部(未露光部)を除去した後、水洗し平版印刷版を製造した。
【0094】
上記条件において、感度を露光部が現像されない硬化に必要な露光エネルギー(mJ/cm2)で評価し、印刷による非画像部の汚れ(印刷汚れ)の発生状況、及び印刷版の非画像部で汚れが発生するまでの印刷枚数で耐刷性を評価した。
【0095】
実施例2
感光層塗布液の組成中の赤外線吸収剤を例示化合物IR14に変え、かつ画像露光用の光源を発信波長1064nmのYAGレーザーに変えた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0096】
実施例3
感光層塗布液の組成中の赤外線吸収剤をカーボンブラックに変えた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0097】
実施例4
感光層塗布液の組成中の赤外線吸収剤をカーボンブラックに変え、かつ画像露光用の光源を発信波長1064nmのYAGレーザーに変えた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0098】
実施例5
感光層塗布液の組成を下記に変えた以外は実施例1と同様の実験を行った。
【0099】
感光層塗布液の組成
赤外線吸収剤 例示化合物IR49 10部
本発明のブロック化イソシアネートA(前記) 20部
ノボラック樹脂A(前記) 50部
ビニル重合体A 20部
(4−ヒドロキシフェニルメクリルアミド/アクリロニトリル/メチルメタクリレート/アクリル酸=30/30/10/30(モル比)の共重合体、重量平均分子量3万)
プロピレングルコールモノメチルエーテル 1000部
実施例6
感光層塗布液の組成中のビニル重合体Aを下記ビニル重合体Bに変えた以外は実施例5と同様の実験を行った。
【0100】
ビニル重合体Bは、4−ヒドロキシフェニルメクリルアミド/アクリロニトリル/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=30/30/10/30(モル比)の共重合体、重量平均分子量3万である。
【0101】
実施例7
感光層塗布液の組成中のビニル重合体Aを下記ビニル重合体Cに変えた以外は実施例5と同様の実験を行った。
【0102】
ビニル重合体Cは、4−ヒドロキシフェニルメクリルアミド/アクリルアミド/メチルメタクリレート/2−ヒドロキシエチルメタクリレート=30/30/10/30(モル比)の共重合体、重量平均分子量3万である。
【0103】
実施例8
感光層塗布液の組成中のビニル重合体Aを下記ビニル重合体Dに変えた以外は実施例5と同様の実験を行った。
【0104】
ビニル重合体Dは、スチレン/マレイン酸=50/50(モル比)の共重合体、重量平均分子量3万である。
【0105】
比較例1
実施例1の感光層塗布液の組成中の本発明のブロック化イソシアネートAを特開平9−43845号公報記載の合成例7の高分子化合物(ベンジルオキシカルボニルアミノエチルメタクリレート/4−メチルフェニルスルホニルメタクリルアミド=20/80(モル比)の共重合体、重量平均分子量4.5万)に変えた以外は実施例5と同様の実験を行った。
【0106】
比較例2
実施例1の感光層塗布液の組成中の本発明のブロック化イソシアネートAを特開昭62−164049号公報記載の合成例1に従って合成したブロックイソシアネートに変えた以外は実施例5と同様の実験を行った。
【0107】
以上の結果を下記表1に示す。
【0108】
【表1】
【0109】
【発明の効果】
本発明の目的は、赤外線による露光に対して優れた感度を有し、現像性が向上し、地汚れが防止された画像形成材料及び画像形成方法が提供される。
Claims (3)
- 支持体上に、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物、下記一般式(3)又は(4)で表される赤外吸収剤、ノボラック樹脂及びカルボン酸基、アミノ基又はヒドロキシル基を側鎖に有するビニル重合体を含有する感光層を有することを特徴とする印刷版材料。
- 前記感光層を塗布する際に、塗布溶剤として、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、トリクロロエチレン、メチルエチルケトンから選ばれる溶剤を用いることを特徴とする請求項1に記載の印刷版材料。
- 請求項1又は2記載の印刷版材料の感光層上に赤外線を用いて画像を 描画した後、アルカリ性現像液で未露光部を除去することを特徴とする画像形成方法。
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