JP3807303B2 - 膝保護用エアバッグ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグが、着座した乗員の膝を保護可能な膝保護用エアバッグ装置に関する。
【0002】
【従来の技術とその課題】
従来、乗員の膝を保護する装置としては、特開平9−123862号公報等に開示されるように、ステアリングホイール下方のコラムカバー下部側に配置されて、作動時に、エアバッグをコラムカバー下面側の下部から上部に向かって展開膨張させ、このエアバッグによって運転者の膝を保護するエアバッグ装置があった。
【0003】
そして、通常、乗員が着座した状態では、コラムカバーやインパネから乗員の膝までの距離は小さく設定されていた。特に、運転者の場合、エアバッグ装置の作動時には、ブレーキペダルを踏み込んでいる場合が多いため、一層、コラムカバーから運転者の膝までの距離は小さくなっていた。そのため、乗員の膝を的確に保護できるように、エアバッグを迅速に展開させる必要が生じていた。
【0004】
本発明は、上述の課題を解決するものであり、エアバッグを迅速に展開させることできて、乗員の膝を的確に保護可能な膝保護用エアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る膝保護用エアバッグ装置は、着座した乗員の膝の前方に配置されて、折り畳まれた膝保護用のエアバッグとエアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとが、車両後方側を開口させたケースに収納されて、ケースの車両後方側をエアバッグカバーに覆われる構成とされ、
ケースが、略四角筒形状とされて車両後方側を開口される周壁部と、周壁部の車両前方側を塞ぐ底壁部と、を備える構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
エアバッグカバーが、
ケースの開口を覆うとともに、膨張時のエアバッグに押されて開く扉部と、
扉部の周囲に配置される一般部と、
を備えた一体成形品から形成され、
扉部が、下端に、扉部が開く際の回転中心となるヒンジ部を配置させ、ヒンジ部を除いた周縁の部位に薄肉の破断予定部を配置させて、エアバッグの展開膨張時に、下開き可能な構成とされるとともに、上端を車両後方側に配置させ、ヒンジ部を車両前方側に配置させて鉛直方向と交差するように傾斜して、配設され、
扉部近傍に、エアバッグの展開膨張を促進させるための、扉部を迅速に開かせる展開促進手段が、配設されていることを特徴とする。
展開促進手段としては、具体的には、ケース開口の下部側を覆うように扉部に沿って配設される案内壁部や、扉部から車両前方側に突出するように左右方向に沿って複数配設されて、それぞれ、上端側を前記扉部の上端近傍となる位置に配置させるとともに、車両前方側の端面を鉛直方向に略沿わせるように形成されるリブ、若しくは、ケース周壁部の左右方向側に配設されて、相互に、上方に向かって拡開するように、傾斜して配置される右側壁部及び左側壁部、が、使用されている。
【0007】
【発明の効果】
本発明の膝保護用エアバッグ装置では、エアバッグカバーの扉部近傍に、扉部を迅速に開かせるための展開促進手段が、配設されている構成であることから、エアバッグの膨張初期に、扉部を迅速に開かせることができて、その結果、迅速に開かせた扉部の開口から、エアバッグを、迅速に突出させて展開膨張させることができる。また、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、扉部が下開き可能とされて、上端側の開き寸法を最も大きくした状態で開くこととから、ケースから突出して展開膨張するエアバッグが、開き寸法を最も大きくした扉部の上端側の開口部分から上方に向かって突出し易い。そのため、扉部の開き動作により、エアバッグを上方側へ向かうように案内させることが可能となって、エアバッグを、上方側に向かって迅速に展開膨張させることができる。
【0008】
従って、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、エアバッグを迅速に展開させることできて、乗員の膝を的確に保護することができる。
【0009】
また、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、エアバッグカバーが、周囲に破断予定部を配置させた扉部と、扉部の周囲の一般部と、を備えた一体成形品として、形成されていることから、扉部が、周囲の一般部との違和感を生じさせず、扉部の意匠性が良好となる。
【0010】
さらに、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、扉部の開き動作における開始側となる上端を、収納されたエアバッグ及びインフレーターから離れた側となる車両後方側となる位置に配置させているものの、扉部近傍に展開促進手段が配設されることから、扉部を迅速に開かせることができて、エアバッグを迅速に展開膨張させることができる。また、本発明の膝保護用エアバッグ装置では、エアバッグカバーにおける扉部の下部側を車両前方側に配置させて、乗員の膝下前方のスペースを広く確保することができることから、エアバッグ装置を、乗員のつま先等と干渉することなく、車両に搭載することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0012】
本発明の一実施形態である膝保護用エアバッグ装置S1は、図1〜4に示すように、乗員Mとしての運転者MDの膝Kを保護できるように、運転者MDの車両前方側であるステアリングコラム6の下方に配設されている。
【0013】
なお、本明細書における上下、左右、及び、前後は、膝保護用エアバッグ装置S1を車両に搭載させた際の車両の上下・左右・前後に対応するものである。
【0014】
ステアリングコラム6は、図1に示すように、ステアリングホイール5に連結されるメインシャフト7と、メインシャフト7の周囲を覆うコラムチューブ8と、を備えて構成され、メインシャフト7とコラムチューブ8との間には、ステアリングホイール5のリング面の角度を調整可能な図示しないチルト機構や、ステアリングホイール5をシャフトの軸方向に移動させて停止可能な図示しないテレスコピック機構等が、配設されている。
【0015】
コラムカバー10は、略四角筒形状等の合成樹脂製として、ステアリングホイール5の下方のステアリングコラム6を覆うように、ステアリングコラム6の軸方向に沿って配設されている。すなわち、コラムカバー10は、車両前方側を下方に配置させて、車両後方側を上方に配置させるように、後上がりに傾斜して配設されている。そして、コラムカバー10におけるインストルメントパネル(以下「インパネ」と省略する)12から突出する部位の下面10aは、略長方形形状とし、車両前後方向で、後上がりの曲面状に形成されている。
【0016】
膝保護用エアバッグ装置S1は、折り畳まれたエアバッグ45、エアバッグ45に膨張用ガスを供給するインフレーター37、折り畳まれたエアバッグ45及びインフレーター37を収納するとともに車両後方側を開口させたケース15、及び、ケース15の車両後方側を覆うエアバッグカバー22を、備えて構成されている。
【0017】
ケース15は、図1〜3に示すように、板金製として、略四角筒形状の周壁部16と、周壁部16の車両前方側を塞ぐ底壁部18と、を備えるとともに、車両後方側を開口させて構成されている。そして、ケース15の周壁部16における上下方向で対向する壁部16a・16bの外周面には、先端側の係止鉤部17aをケース開口15aから離れるように底壁部18側に反転させた複数の断面略コ字形状のフック17が固着されている。実施形態では、フック17は、壁部16aに4個配設され、壁部16bに3個配設されている。また、周壁部16における壁部16cには、インフレーター37の後述する本体38の端部を挿通可能な挿通孔16eが形成されている(図3参照)。底壁部18には、インフレーター37の後述するボルト39fを挿通させるための挿通孔18aが、形成されている。このケース15は、図示しないブラケットを利用して、ステアリングコラム6近傍に配置される図示しないインパネリインフォースメントに、連結固定されるものである。
【0018】
また、ケース15には、壁部16bの後縁から延設されて、開口15aの下部側を覆う展開促進手段としての案内壁部19が、形成されている。この案内壁部19は、図2に示すように、エアバッグカバー22の後述する扉部34に沿うように、上端側を車両後方側に配置させて車両前後方向において鉛直方向と交差するように、傾斜して配設されている。
【0019】
エアバッグカバー22は、ポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成されて、ケース15の車両後方側を覆い可能なように、構成されている。
【0020】
また、エアバッグカバー22は、アッパパネル12aとロアパネル12bとからなるインパネ12におけるコラムカバー10の周縁のロアパネル12b側に配置されて、インパネ12から突出するコラムカバー10の下側周縁を覆うこととなる。そのため、エアバッグカバー22は、車両後方側から見て、上縁中央付近を、コラムカバー10を後方へ突出させるように、下方へ凹み、かつ、その凹部の下方の上縁側を、コラムカバー下面10a側の曲面に対応させて車両後方側へ湾曲させるように***させて、構成されている。そして、エアバッグカバー22は、ケース15の開口15aを覆う扉部34と、扉部34の周囲に配置される一般部24と、を備えて、射出成形などにより一体成形されて、構成されている。
【0021】
扉部34は、開口15aより僅かに大きく覆う略長方形の板状に形成されている。扉部34は、下端に、扉部34が開く際の回転中心となるヒンジ部32を配置させ、ヒンジ部32を除いた外周縁の逆U字形状の部位に薄肉の破断予定部31を配置させている。また、扉部34は、上端34a側を車両後方側に配置させ、ヒンジ部32を車両前方側に配置させつつ、車両前後方向において鉛直方向と交差するように傾斜して、配設されている。ヒンジ部32は、インテグラルヒンジとしており、破断しない範囲内の肉厚で、一般部24や扉部34より薄肉に形成されている。破断予定部31は、扉部34が膨張するエアバッグに押された際に容易に破断するように、車両前方側の面に連続的若しくは断続的な凹溝を設けて、形成されている。
【0022】
一般部24における扉部34の周縁近傍となる部位には、ケース15の周壁部16の外周側において車両前方側に突出するように配設される4つの側壁部27・28・29・30が、配設されている。そして、ケース周壁部16の上部側に配置される上側壁部27と、周壁部16の下部側に配置される下側壁部28と、は、エアバッグカバー22をケース15に連結させるための連結壁部とされるもので、周壁部16に配設されるフック17の係止鉤部17aを係止可能な係止孔27a・28aを、それぞれ、備えている。
【0023】
上側壁部27は、ケース15のフック17とともに、展開促進手段とされるもので、扉部34の上端に配置される上端破断予定部31aの近傍で、上端破断予定部31aに沿うように、車両左右方向に沿って配置されるとともに、フック17を利用して、ケース周壁部16に係止されている。すなわち、実施形態では、扉部上端34a側の上端破断予定部31a近傍の部位が、上側壁部27により、ケース15に強固に連結されることから、エアバッグ45が突出する際に、上端破断予定部31aが、エアバッグ45に押圧されてケース15から相対的に移動せず、エアバッグ45により、上端破断予定部31aを円滑に破断させることができる。
【0024】
また、一般部24における所定位置には、エアバッグカバー22をロアパネル12bに取付固定させるための取付脚部25が、車両前方側に延びるように形成されている。この取付脚部25は、ロアパネル12bの係止穴12eの周縁に係止されることとなる。そして、ロアパネル12bは、ケース15を収納する収納凹部12cを備える構成であり、収納凹部12cの周縁に形成されるフランジ部12dに、係止穴12eが形成されている(図3参照)。取付脚部25の元部には、リブ25aが形成されている。このリブ25aは、取付脚部25の係止穴12eへの係止時に、ロアパネル12bのフランジ部12dに当接して、一般部24を支持するためのものである。なお、実施形態では、取付脚部25は、一般部24の左右両縁付近において、それぞれ3箇所ずつ、形成されている。
【0025】
インフレーター37は、図1〜3に示すように、軸方向を車両の左右方向に沿って配設させるシリンダタイプとして構成され、略円柱状の本体38とブラケット39とを備えて構成されている。本体38は、円柱状の一般部38aと、一般部38aの端面から突出する小径の小径部38bと、を備え、小径部38bの外周面に複数のガス吐出口38cを配設させて、構成されている。そして、一般部38aにおける小径部38bから離れた端面に、作動信号入力用のリード線42を結線させたコネクタ41が、接続されることとなる。ブラケット39は、本体38を覆い可能な略円筒状の板金製の保持筒部39aと、保持筒部39aから突出する複数(実施形態では二本)のボルト39fと、を備えて構成されている。保持筒部39aは、先端面側に、外装した本体38の小径部38bを覆う底部39bを備えるとともに、他方の端面側に、本体38の一般部38aを挿通させる挿通孔39cを備え、さらに、本体38のガス吐出口38cから吐出される膨張用ガスを流出可能な複数のガス流出口39dを、車両搭載状態の保持筒部39aにおける車両後方側の面に、開口させて構成されている。また、保持筒部39aには、本体38を保持するための複数の挟持部39eが、配設されている。各挟持部39eは、保持筒部39aの軸方向に沿った両側を切り欠かれて、保持筒部39a内に湾曲するように、塑性変形されて構成されている。そして、本体38の保持筒部39aへの固定は、挿通孔39cから、小径部38bを先頭にして、本体38を挿入させて、各挟持部39eを一般部38aの外周面側にさらに押圧すれば、本体38を保持筒部39aに固定することができる。
【0026】
なお、このインフレーター37は、車両に搭載されたエアバッグ作動回路が、車両の前面衝突を検知した際、ステアリングホイール5に搭載された図示しないエアバッグ装置とともに、リード線42を介して、作動信号が入力されることとなる。
【0027】
エアバッグ45は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド糸等からなる1枚の織布から形成されて、図5〜7に示すように、展開膨張完了時の形状を略長方形板状として、下端側のインフレーター37を収納する取付部47と、取付部47の上方側に配置されて、取付部47より左右方向の幅寸法を大きくする本体部46と、を備えて構成されている。取付部47は、エアバッグ45の展開膨張完了時に、ケース15内に収納されるとともに、インフレーター37を利用して、ケース15に保持される部位となる。また、エアバッグ45は、1枚の織布からなるエアバッグ素材を、エアバッグ45の下端45dとなる部位で折り返して、後述するテザー52・53・54を縫着させるとともに、折り返して対向する部位の周縁相互を縫合して形成されている。そして、エアバッグ45は、それぞれ略ハート形状とする運転者MD側の乗員側壁部49とコラムカバー10側の車体側壁部50とを備えて、構成されている。
【0028】
車体側壁部50の下部側における取付部47の部位には、2つの挿通孔50a・50aと1つの挿通孔50bとが形成されている。挿通孔50a・50aは、インフレーター37の各ボルト39fを挿通させるものであり、挿通孔50bは、インフレーター37の本体38を挿通させるものである。そして、エアバッグ45は、挿通孔50bからインフレーター37の本体38を突出させて、各挿通孔50aの周縁を、保持筒部39aとケース15の底壁部18とに挟持されて、ケース15に取り付けられている。
【0029】
また、エアバッグ45内には、上下三段に、左右方向に沿う帯状のテザー52・53・54が配設されている。これらのテザー52・53・54は、車体側に沿った展開膨張完了時のエアバッグ45が、乗員側壁部49を略面一にさせるように、設定されている。すなわち、エアバッグ45は、展開膨張を完了させた際に、コラムカバー10の下面10aの上端10b付近まで覆うとともに、コラムカバー10の左右両側も覆う形状としている。しかし、コラムカバー10の下面10aは、その位置の左右両側のインパネ12の部位より、車両後方側に突出している。そのため、車両後方側へ最も突出しているコラムカバー10の下面10a側に位置することとなるエアバッグ45の左右方向の中央部45aの肉厚を薄くさせ、かつ、コラムカバー10から左右に外れることとなる中央部45aの左右両側の部位45b・45cの肉厚を厚くさせるように、テザー52・53・54は、エアバッグ45の中央部45a付近に配設されている。さらに、コラムカバー下面10aの上下方向の中央部10cが、湾曲して最も後下方に突出していることから、その部位に対応するエアバッグ45の部位の肉厚を薄くできるように、その位置に対応する中央部45aの上下方向の中央付近のテザー53・53が、最も、壁部49・50間の距離を短くするように、設定されている。
【0030】
なお、このようなテザー52・53・54の配置と、略ハート形状とする上広がりのエアバッグ45の形状により、実施形態の場合、エアバッグ本体部46の左右の縁46a・46b側の上部側部位が、厚肉となり、この厚肉の本体部46の部位46d・46eで、膝KL・KRを、衝撃を抑えて、効果的に保護することができる。
【0031】
また、各テザー52・53・54は、それぞれ、2枚の布材から構成されて、各布材を、乗員側壁部49と車体側壁部50とに縫合し、対応しあう布材の端部相互を縫合して、形成されている。
【0032】
次に、このエアバッグ装置S1の組み立てについて説明する。まず、エアバッグ素材を折り返し、乗員側壁部49・車体側壁部50の周縁相互やテザー52・53・54を縫合して、エアバッグ45を製造する。このとき、未縫合部位45e(図5参照)を残して、その部位45eからインフレーター37を収納し、各ボルト39fを挿通孔50aから突出させ、インフレーター本体38の元部側を挿通孔50bから突出させて、エアバッグ45の未縫合部位45dを縫合して、エアバッグ45を製造する。
【0033】
次に、エアバッグ45を折り畳む。このエアバッグ45の折り畳み工程は、図7のAに示すように、まず、乗員側壁部49と車体側壁部50とを重ねて平らに展開した状態から、左右の両縁46a・46bを、乗員側壁部49の側に折り畳む。次いで、図7のB・Cに示すように、エアバッグ45の上端46c側を車体側壁部50の側に巻いてロール折りし、ロール折りされたエアバッグ57の左右両縁57a・57bを、図7のDに示すように、開口15aからケース15内に収納可能な幅寸法となるように、乗員側壁部49側に折り返せば、エアバッグ45の折り畳み作業を完了させることができる。
【0034】
そして、エアバッグ45の折り畳み後には、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピングフィルムにより、エアバッグ45をくるむ。なお、挿通孔50a・50bから突出したインフレーター37のボルト39fや本体38の端部は、ラッピングフィルムから突出させておく。
【0035】
次いで、インフレーター37の各ボルト39fを挿通孔18aから突出させるとともに、インフレーター本体38の端部を挿通孔16eから突出させるようにして、インフレーター37を、折り畳まれたエアバッグ45とともに、ケース15内に収納させ、各ボルト39fにナット40を締結すれば、インフレーター37とエアバッグ45とを、ケース15に収納させるとともに、ケース15に取り付けることができる。
【0036】
その後、ケース15の図示しないブラケットを、既にアッパパネル12aやロアパネル12bを取り付けた車両のインパネリインフォースメントに取り付け、リード線42を結線させたコネクタ41をインフレーター37の本体38に接続する。次いで、エアバッグカバー22を車両前方側に押し込んで、各取付脚部25をロアパネル12bの係止穴12eに挿入係止させるとともに、上側壁部27及び下側壁部28の各係止孔27a・28aに、ケース15のフック17を係止させれば、エアバッグ装置S1を車両に搭載することができる。
【0037】
エアバッグ装置S1の車両への搭載後、リード線42を経て、インフレーター37の本体38に作動信号が入力されれば、インフレーター37のガス吐出口38cから膨張用ガスが吐出され、膨張用ガスが、ブラケット39のガス流出口39dを経て、エアバッグ45の本体部46内に流入することとなる。そして、エアバッグ45は、膨張して図示しないラッピングフィルムを破断するとともに、エアバッグカバー22の扉部34を押し、破断予定部31を破断させて、ヒンジ部32を回転中心として扉部34を下開きで開かせることとなり、図1・4の二点鎖線で示すように、コラムカバー下面10aに沿うように、上方へ向かって大きく展開膨張することとなる。
【0038】
そして、実施形態のエアバッグ装置S1では、エアバッグカバー22の扉部34近傍に、扉部34を迅速に開かせるための展開促進手段が、配設されている構成である。具体的には、実施形態のエアバッグ装置S1では、展開促進手段として、ケース開口15aの下部側を覆う案内壁部19が、扉部34に沿うように、配設されている。また、展開促進手段として、扉部34の上端34a側に形成される上端破断予定部31aの近傍に、ケース周壁部16に取付固定される上側壁部27が、配設されている構成である。そのため、インフレーター37からの膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグ45を、案内壁部19により、扉部34の上端34a側に向かうように案内させることができることから、エアバッグ45の膨張初期に、突出するエアバッグ45により、扉部34の上端34a側に配置される上端破断予定部31aを破断させることとなって、下開きの扉部34を上端34a側から円滑に開かせることが可能となる。
【0039】
さらに、上端破断予定部31a近傍の部位が、上側壁部27により、ケース15に強固に連結されることから、エアバッグ45が突出する際に、上端破断予定部31aが、エアバッグ45に押圧されてケース15から相対的に移動せず、エアバッグ45により、扉部34の開き開始側となる上端34a側における上端破断予定部31aを円滑に破断させることができて、残りの破断予定部31も円滑に破断させることができる。
【0040】
その結果、実施形態のエアバッグ装置S1では、扉部34を迅速に開かせることができて、迅速に開かせた扉部34の開口から、エアバッグ45を、迅速に突出させて展開膨張させることができる。
【0041】
また、実施形態のエアバッグ装置S1では、扉部34が下開き可能とされて、上端34a側の開き寸法を最も大きくした状態で開くこととから、ケース15から突出して展開膨張するエアバッグ45が、開き寸法を最も大きくした扉部34の上端34a側の開口部分から上方に向かって突出し易い。そのため、扉部34の開き動作により、エアバッグ45を上方側へ向かうように案内させることが可能となって、エアバッグ45を、上方側に向かって迅速に展開膨張させることができる。
【0042】
従って、実施形態のエアバッグ装置S1では、エアバッグ45を迅速に展開させることできて、乗員としての運転者MDの膝Kを的確に保護することができる。
【0043】
また、実施形態のエアバッグ装置S1では、エアバッグカバー22が、周囲に破断予定部31を配置させた扉部34と、扉部34の周囲の一般部24と、を備えた一体成形品として、形成されていることから、扉部34が、周囲の一般部24との違和感を生じさせず、扉部34の意匠性が良好となる。
【0044】
さらに、実施形態のエアバッグ装置S1では、扉部34の開き動作における開始側となる上端34a側を、収納されたエアバッグ45及びインフレーター37から離れた側となる車両後方側となる位置に配置させているが、扉部34近傍に展開促進手段としての案内壁部19及び上端破断予定部31a付近の上側壁部27が配設されていることから、扉部34を迅速に開かせることができて、エアバッグ45を迅速に展開膨張させることができる。また、実施形態のエアバッグ装置S1では、エアバッグカバー22における扉部34の下部側を車両前方側に配置させて、乗員としての運転者MDの膝下前方のスペースを広く確保することができることから、エアバッグ装置S1を、運転者MDのつま先等と干渉することなく、車両に搭載することができる。勿論、この点を考慮しなければ、扉部34を、上端34a側を車両後方側に配置させ、ヒンジ部32を車両前方側に配置させつつ、車両前後方向において鉛直方向と交差するように傾斜して、配設させなくともよく、例えば、扉部を、鉛直方向に沿うように配設させる構成としてもよい。
【0045】
また、本発明の他の実施形態であるエアバッグ装置S2を、図8・9に示す。エアバッグ装置S2は、ケース61及びエアバッグカバー64以外は、前述のエアバッグ装置S1と同様の構成であり、同一の図符号を付して説明を省略する。
【0046】
エアバッグ装置S2において使用されるケース61は、前述のケース15に形成されている案内壁部19を備えない構成であって、それ以外の構成は、ケース15と同様の構成である。
【0047】
エアバッグカバー64は、扉部66以外の構成を前述のエアバッグカバー22と同様の構成としており、同一の図符号を付して説明を省略する。扉部66は、図8・9に示すように、展開促進手段として、車両前方側に突出する複数(実施形態では5個)の略三角板状のリブ67を備えて構成されている。各リブ67は、車両左右方向に並設されている。そして、各リブ67における車両前方側の端面67aは、鉛直方向に沿うように、配設されている。また、各リブ67の上端は、扉部66の上端66a近傍となる位置に、配置されている。このリブ67は、エアバッグ45と扉部上端66aとの間の距離を実質的に短くするものであり、エアバッグ45の膨張初期に、突出するエアバッグ45により、リブ67の端面67aが車両後方側に向かって押圧されることとなる。その結果、リブ67の端面67aをエアバッグ45により押圧された扉部66が、周囲の破断予定部31を素早く破断させて開くこととなる。
【0048】
また、エアバッグ装置S2においても、扉部66は、上端66a側を車両後方側に配置させ、ヒンジ部32を車両前方側に配置させつつ、車両前後方向において鉛直方向と交差するように傾斜して、配設されている。
【0049】
エアバッグ装置S2をこのような構成とした場合にも、エアバッグ45の展開膨張時に、扉部66に形成されるリブ67が、突出するエアバッグ45により押圧されることとなって、扉部66を迅速に開かせることが可能となる。また、エアバッグ装置S2においても、扉部66の上端側に配置される上端破断予定部31a近傍の部位が、上側壁部27により、ケース15に強固に連結されることから、エアバッグ45が突出する際に、上端破断予定部31aが、エアバッグ45に押圧されてケース15から相対的に移動せず、エアバッグ45により、上端破断予定部31aを円滑に破断させることができる。その結果、実施形態のエアバッグ装置S2においても、扉部66を迅速に開かせることができて、エアバッグ45を、迅速に展開させることができる。
【0050】
また、図10に示すように、ケース70を、車両左右方向における断面形状が上端側を幅広に設定した略台形状となるように、形成するとともに、エアバッグカバー73の扉部74も、ケース開口70aの形状にあわせて上端側を幅広とした略台形状に形成する構成のエアバッグ装置S3を使用してもよい。すなわち、エアバッグ装置S3では、展開促進手段として、ケース70の周壁部における車両左右方向に配置される左側壁部71と右側壁部72とが、相互に、上方に向かって拡開するように傾斜して配置されている。このような構成とすれば、インフレーターから吐出された膨張用ガスが、ケース70における左側壁部71と右側壁部72とによって、上方に向かうように案内されることとなる。そのため、インフレーター37からの膨張用ガスを流入させて展開膨張するエアバッグ45を、扉部71の上端71a側に向かうように案内させることができることから、突出するエアバッグ45により、下開きの扉部71を上端71a側から円滑に開かせることが可能となる。
【0051】
さらに、本発明のさらに他の実施形態として、図11〜14に示すような構成のエアバッグ装置S4を使用してもよい。
【0052】
エアバッグ装置S4は、前述のエアバッグ装置S1と同様に、乗員Mとしての運転者MDの膝Kを保護できるように、運転者MDの車両前方側であるステアリングコラム6の下方に配設されている。
【0053】
そして、実施形態のエアバッグ装置S4は、折り畳まれたエアバッグ146、エアバッグ146に膨張用ガスを供給するインフレーター141、折り畳まれたエアバッグ146を覆うエアバッグカバー130、及び、板状部材としてのニーパネル116、を備えて構成されている。
【0054】
ニーパネル116は、板金製として、図12〜14に示すように、平板状の本体部117と、折り畳んだエアバッグ146とインフレーター141とを収納するケースとしての収納部123と、を備えて構成されている。
【0055】
収納部123は、車両後方側の斜め下向きに開口123aを設けた有底の箱形状としている。実施形態の場合、収納部123は、略長方形形状の底壁部126と略四角筒形状の周壁部124とを備えた略直方体の箱形状として、開口123aを囲む周壁部124には、車両の左右方向で対向する壁部124a・124bに、それぞれ、インフレーター141を取り付けるための大小の円形に開口した取付孔127・128を配設させて構成されている。取付孔127は、インフレーター141の後述する円柱状の本体部141aを嵌挿させて、内周面で、本体部141aの外周面を支持可能に形成され、取付孔128は、インフレーター141の本体部141aを挿通不能として、インフレーター141の後述する雄ねじ部141cを突出可能な内径寸法としている。収納部123へのインフレーター141の取り付けは、収納部123の外方から取付孔127に、インフレーター141の雄ねじ部141c側を挿入させて、雄ねじ部141cを取付孔128から突出させ、雄ねじ部141cにナット142を螺合させることにより、行っている。
【0056】
そして、周壁部124の外周面には、前述のエアバッグ装置S1におけるケース15と同様に、フック17が固着されている。フック17は、エアバッグカバー130における後述するヒンジ部137側となる部位と、エアバッグカバー130の後述する扉部139の先端139a側の部位と、にそれぞれ複数個ずつ配設され、車両の左右方向両側の部位に、それぞれ、1個ずつ配設されている。
【0057】
本体部117は、収納部123の開口123aの周縁から延びて、着座した運転者MDの左右両膝K(KL・KR)の前方側を広く覆えるように、略長方形形状に形成されて、周縁の四隅に、それぞれ、車両のボディ側に連結させるための取付片部121を配設させている。そして、開口123aの周縁から本体部117の外周縁までの間には、本体部117の剛性を高めて、エアバッグカバー130の後述する一般部131を支持する支持部118を構成するリブ118aが形成されている。そして、本体部117の収納部開口123aの周縁には、表裏を貫通するように、略長方形形状に開口する複数の貫通孔119が形成されている。
【0058】
また、本体部117における収納部123から離れた左右両側には、表裏を貫通するように、複数の取付孔120が形成されている。これらの取付孔120は、熱カシメを利用してエアバッグカバー130をニーパネル116に取り付ける部位となる。すなわち、エアバッグカバー130は、エアバッグカバー130の後述する取付脚部132を各取付孔120に挿通させて、各取付脚部132の先端132aを溶融させつつ拡径させ、固化させた先端132aを取付孔20から抜けないようにして、フック17と併用して、ニーパネル116に取り付けられることとなる。また、ニーパネル116は、連結片部121の部位を、ボルト129(図14参照)止めすることにより、車両のボディ側に取付固定されることとなる。
【0059】
エアバッグカバー130は、ポリオレフィン系等の熱可塑性エラストマーから形成されて、ニーパネル116の外形形状より大きな外形形状として、ニーパネル116の車両後方側を覆えるように、構成されている。
【0060】
そして、エアバッグカバー130は、ニーパネル収納部123の開口123aを覆う扉部139と、ニーパネル本体部117の車両後方側を覆う一般部131と、を備えて構成されている。
【0061】
扉部139は、開口123aより僅かに大きく覆う略長方形の板状に形成され、前述のエアバッグ装置S1における扉部34と同様に、周囲に、破断予定部135とヒンジ部137とを配設させて構成されている。
【0062】
そして、一般部131における収納部開口123aの周縁全周の近傍には、ニーパネル116の本体部117における各貫通孔119を貫通する複数の取付片133が、車両前方側に突設されている。各取付片133は、略長方形形状の板状としている。各取付片133には、周縁をフック17の係止鉤部17aに係止させるための長方形形状に開口する係止孔133aが、形成されている。
【0063】
そして、実施形態では、扉部139の上端側に配置されることとなる取付片133が、収納部123のフック17とともに、展開促進手段とされるもので、扉部139の上端に配置される上端破断予定部135aに隣接して配置されるとともに、フック17を利用して、収納部123の周壁部124に係止されている。すなわち、実施形態では、取付片133が上側破断予定部135aに隣接して配置されることから、上端破断予定部135aを、ケースとしての収納部123に対して、一層、移動させることなく強固に連結させることができて、展開膨張するエアバッグ146により、一層、円滑に、上側破断予定部135aを破断させることができる。
【0064】
また、一般部131の所定位置には、ニーパネル116の本体部117における各取付孔120の周縁に、熱カシメして係止させる複数の取付脚部132が形成されている。各取付脚部132は、熱カシメ前の状態では取付孔120を貫通可能な丸棒状とされて、図13に示すように、熱カシメ後には押し潰される頭部132aを、先端に備えるとともに、元部側に、頭部132aの熱カシメ固定時に取付孔120周縁のニーパネル本体部117に当接する基部132bを、備えて構成されている。
【0065】
インフレーター141は、図11〜13に示すように、電気信号を入力させて膨張用ガスGを吐出可能に構成されたシリンダタイプとして構成され、ガス吐出口141bを備えた円柱状の本体部141aを備え、本体部141aの一端から雄ねじ部141cを突出させて構成されている。このインフレーター141は、既述したように、取付孔127からニーパネル収納部123内に挿入されて、取付孔128から突出した雄ねじ部141cにナット142を螺合させることにより、本体部141aにおける雄ねじ部141c側の端面が収納部123の取付孔128周縁側に圧接され、本体部141aにおける雄ねじ部141cから離れた外周面が、取付孔127の内周面に支持されて、ニーパネル116の収納部123内に収納されて保持されている。なお、収納部123内への収納時には、インフレーター141は、エアバッグ146の後述する取付孔147a・147bを貫通することとなる。
【0066】
また、このインフレーター141は、前述のエアバッグ装置S1におけるインフレーター37と同様に、ステアリングホイール106に搭載された図示しないエアバッグ装置を作動させる制御装置からの電気信号を、ステアリングホイール用エアバッグ装置と同時に入力させて、作動されることとなる。本体部141aの収納部123から突出している側の端面には、エアバッグ作動回路に接続されるリード線144を接続させたコネクタ143が、配設されている。
【0067】
エアバッグ146は、可撓性を有したポリエステルやポリアミド等の織布から形成されて、図14〜16に示すように、展開膨張完了時の形状を略長方形板状として、構成されている。実施形態の場合、エアバッグ146は、それぞれ略長方形形状のコラムカバー110側の壁部147と運転者MD側の壁部148との二枚の織布から構成されて、壁部147・148の周縁相互を縫合して形成されている。
【0068】
コラムカバー側壁部147の下部側には、二つの取付孔147a・147bが形成されている。取付孔147aは、インフレーター141の本体部141aを挿通可能に、本体部141aの外径寸法と略等しい内径寸法として構成され、取付孔147bは、本体部141aの外径寸法より内径寸法を小さくして、雄ねじ部141cを挿通可能に構成されている。そして、エアバッグ146は、取付孔147aにインフレーター本体部141aが挿入され、取付孔147bに雄ねじ部141cが挿入されて、取付孔147a・147bの内周面をインフレーター141の本体部141aや雄ねじ部141cに支持させて、収納部123に収納されたインフレーター141を利用して、ニーパネル116に取り付けられている。
【0069】
また、エアバッグ146内には、図15・16に示すように、コラムカバー側・運転者側壁部147・148相互を連結して、運転者MDの膝Kとコラムカバー下面110aとの間にエアバッグ146を円滑に侵入させるための厚さ規制手段としてのテザー152・153が、配設されている。テザー152・153は、エアバッグ146の壁部147・148と同様に、可撓性を有した布材から形成されて、壁部147・148に縫着されており、実施形態の場合、インフレーター141の配置部位における上方側において、車両左右方向と略平行に並設されており、それぞれの左右の両端を、エアバッグ146の左右の両端146a・146bから離して、配設されている。また、テザー153は、厚さ規制手段として配置されると同時に、インフレーター141から吐出された膨張用ガスGを、エアバッグ146における左右両縁146a・146b側に向かわせつつ、膨張用ガスGを上膨張部151へ案内するガス流れ案内材としての役割も果たしている。
【0070】
次に、エアバッグ装置S4の車両への搭載について説明すると、まず、エアバッグ146を折り畳む。エアバッグ146の折り畳みは、実施形態の場合、図17A〜17Eに示すように、縦折り工程と横折り工程との二工程で行う。
【0071】
縦折り工程では、図17Aに示すように、運転者側壁部148をコラムカバー側壁部147に当てて平らに展開した状態から、図17Bに示すように、エアバッグ146の左右両縁146a・146bを運転者側壁部148の中央部位に接近させるように、左右両縁146a・146bを、それぞれ、コラムカバー側壁部147側に向かって折り畳む。さらに、図17Cに示すように、エアバッグ146における折り畳んだ後の左右両縁155・156を運転者側壁部148の中央部位に接近させるように、両縁155・156を、それぞれ、コラムカバー側壁部147側に向かって折り畳んで、折り畳み部位157・157を形成する。次いで、図17Dに示すように、収納部123の左右方向の収納幅寸法に対応させるために、折り畳み部位157・157を、運転者側壁部148の左右の連接部位におけるコラムカバー側壁部147側にそれぞれ配置された状態で、運転者側壁部148の中央部位における外表面上(車両後方側上・運転者側上)に載せるように折り畳んで、縦折り工程を完了する。
【0072】
その後、図17D・図17Eに示すように、縦折り後のエアバッグ146を、上縁146cからコラムカバー側壁部147側に向かってロール巻するように折り畳んで、折り畳み部位158を形成し、収納部123の上下方向の収納厚さ寸法に対応させて、横折り工程を完了し、エアバッグ146の折り畳み作業を完了させる。
【0073】
そして、エアバッグ146の折り畳み後、折り崩れ防止用の破断可能な図示しないラッピングフィルムにより、エアバッグ146をくるんで、取付孔127・147a相互と取付孔128・147b相互とをそれぞれ一致させるように、エアバッグ146を収納部123内に収納させる。なお、取付孔147a・147bの部位のラッピングフィルムは、破断させておく。
【0074】
その後、雄ねじ部141cを、取付孔127・147a側から、収納部123内に収納させたエアバッグ146内に挿入させ、さらに、取付孔147b・128から突出させて、突出した雄ねじ部141cにナット142を締め付け、本体部141aにおける雄ねじ部141c側の端面を、エアバッグ146の取付孔147a周縁を介在させて、収納部123の内周面に圧接させれば、インフレーター141とエアバッグ146とを収納部123に取り付けることができる。
【0075】
そして、ニーパネル116の車両後方側から、各貫通孔119に対して、対応する取付片133を挿入させるとともに、各取付孔120に対して、対応する取付脚部132の頭部132aを挿入させる。その後、各取付孔120から突出した取付脚部132の頭部132aを加熱して拡径させるように熱カシメして、エアバッグカバー130をニーパネル116に取り付け、エアバッグ組付体を形成する。
【0076】
その後、ニーパネル本体117の各連結片部121を、ボディ側の図示しないブラケットにボルト129止めして連結させ、リード線144をエアバッグ作動回路に結線するとともに、インパネ112のアッパパネル112aやロアパネル112b及びアンダーカバー114を取り付ければ、車両にエアバッグ装置S4を搭載することができる。
【0077】
エアバッグ装置S4では、扉部139の上端側に配置されることとなる取付片133aが、扉部139の上端に配置される上側破断予定部135aに隣接して配置されることから、上端破断予定部135aをケースとしての収納部123に対して、一層、移動させることなく強固に連結させることができて、展開膨張するエアバッグ146により、一層、円滑に、上側破断予定部135aを破断させることができる。
【0078】
なお、実施形態では、運転者MDの膝Kを保護するために、運転者MDの車両前方側に配置されるエアバッグ装置S1〜S4を例に採り説明したが、図18に示すように、助手席に着座した助手席搭載者MPの両膝K(KL・KR)を保護するように、助手席に着座した乗員MPの車両前方側となる位置に、エアバッグ装置S1を配置させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略縦断面図である。
【図2】本発明の一実施形態である膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大縦断面図である。
【図3】図2のIII−III部位の断面図である。
【図4】同実施形態の膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両後方側から見た概略正面図である。
【図5】同実施形態で使用するエアバッグの正面図である。
【図6】図5のVI−VI部位の概略断面図である。
【図7】同実施形態のエアバッグの折り畳みを示す概略図である。
【図8】本発明の他の実施形態である膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大縦断面図である。
【図9】図8のIX−IX部位の断面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両後方側から見た概略正面図である。
【図11】本発明のさらに他の実施形態である膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両前後方向の概略縦断面図である。
【図12】図11の膝保護用エアバッグ装置の車両前後方向の概略拡大断面図である。
【図13】図12のXIII−XIII部位の断面図である。
【図14】同実施形態の膝保護用エアバッグ装置の使用状態を示す車両後方側から見た概略正面図である。
【図15】同実施形態で使用するエアバッグの正面図である。
【図16】図15のXVI−XVI部位の概略断面図である。
【図17】同実施形態のエアバッグの折り畳を示す概略図である。
【図18】本発明の一実施形態である膝保護用エアバッグを助手席の車両前方側に配置させた状態を示す車両後方側から見た概略正面図である。
【符号の説明】
15…ケース、
15a…開口、
16…周壁部、
17…フック(展開促進手段)、
19…案内壁部(展開促進手段)、
22…エアバッグカバー、
27…上側壁部(展開促進手段)、
31…破断予定部、
31a…上端破断予定部、
34…扉部、
34a…上端、
37…インフレーター、
45…エアバッグ、
61…ケース、
64…エアバッグカバー、
66…扉部、
67…リブ(展開促進手段)、
70…ケース、
71…左側壁部(展開促進手段)、
72…右側壁部(展開促進手段)、
73…エアバッグカバー、
74…扉部、
123…収納部(ケース)、
130…エアバッグカバー、
133a…取付片(展開促進手段)、
135…破断予定部、
135a…上端破断予定部、
139…扉部、
141…インフレーター、
146…エアバッグ、
MD・MP…乗員、
K(KL・KR)…膝、
S1・S2・S3・S4…膝保護用エアバッグ装置。
Claims (4)
- 着座した乗員の膝の前方に配置されて、折り畳まれた膝保護用のエアバッグと該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとが、車両後方側を開口させたケースに収納されて、該ケースの車両後方側をエアバッグカバーに覆われる構成とされ、
前記ケースが、略四角筒形状とされて車両後方側を開口される周壁部と、該周壁部の車両前方側を塞ぐ底壁部と、を備える構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグカバーが、
前記ケースの開口を覆うとともに、膨張時の前記エアバッグに押されて開く扉部と、
該扉部の周囲に配置される一般部と、
を備えた一体成形品から形成され、
前記扉部が、下端に、前記扉部が開く際の回転中心となるヒンジ部を配置させ、該ヒンジ部を除いた周縁の部位に薄肉の破断予定部を配置させて、前記エアバッグの展開膨張時に、下開き可能な構成とされるとともに、上端を車両後方側に配置させ、前記ヒンジ部を車両前方側に配置させて鉛直方向と交差するように傾斜して、配設され、
前記扉部近傍に、前記エアバッグの展開膨張を促進させるための、前記扉部を迅速に開かせる展開促進手段が、配設され、
該展開促進手段が、前記ケース周壁部から延設されて、前記ケース開口の下部側を覆うように、前記扉部に沿って配設される案内壁部から、構成され、
該案内壁部が、展開膨張する前記エアバッグを、前記扉部の上端側に向かうように案内可能に、構成されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。 - 着座した乗員の膝の前方に配置されて、折り畳まれた膝保護用のエアバッグと該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとが、車両後方側を開口させたケースに収納されて、該ケースの車両後方側をエアバッグカバーに覆われる構成とされ、
前記ケースが、略四角筒形状とされて車両後方側を開口される周壁部と、該周壁部の車両前方側を塞ぐ底壁部と、を備える構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグカバーが、
前記ケースの開口を覆うとともに、膨張時の前記エアバッグに押されて開く扉部と、
該扉部の周囲に配置される一般部と、
を備えた一体成形品から形成され、
前記扉部が、下端に、前記扉部が開く際の回転中心となるヒンジ部を配置させ、該ヒンジ部を除いた周縁の部位に薄肉の破断予定部を配置させて、前記エアバッグの展開膨張時に、下開き可能な構成とされるとともに、上端を車両後方側に配置させ、前記ヒンジ部を車両前方側に配置させて鉛直方向と交差するように傾斜して、配設され、
前記扉部自体に、前記エアバッグの展開膨張を促進させるための、迅速に開かせる展開促進手段が、配設され、
該展開促進手段が、前記扉部から車両前方側に突出するように配設されるリブから、構成され、
該リブが、
周囲を前記破断予定部に囲まれつつ、前記扉部と一体的に、略上下方向に沿って配設されるとともに、左右方向に沿って複数配設され、それぞれ、上端側を前記扉部の上端近傍となる位置に配置させるとともに、車両前方側の端面を鉛直方向に略沿わせるように、形成されて、
前記エアバッグの展開膨張時において、車両前方側の前記端面を、前記エアバッグにより車両後方側に向かって押圧されて、前記扉部と一体的に開き移動する構成であることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。 - 着座した乗員の膝の前方に配置されて、折り畳まれた膝保護用のエアバッグと該エアバッグに膨張用ガスを供給するインフレーターとが、車両後方側を開口させたケースに収納されて、該ケースの車両後方側をエアバッグカバーに覆われる構成とされ、
前記ケースが、略四角筒形状とされて車両後方側を開口される周壁部と、該周壁部の車両前方側を塞ぐ底壁部と、を備える構成の膝保護用エアバッグ装置であって、
前記エアバッグカバーが、
前記ケースの開口を覆うとともに、膨張時の前記エアバッグに押されて開く扉部と、
該扉部の周囲に配置される一般部と、
を備えた一体成形品から形成され、
前記扉部が、下端に、前記扉部が開く際の回転中心となるヒンジ部を配置させ、該ヒンジ部を除いた周縁の部位に薄肉の破断予定部を配置させて、前記エアバッグの展開膨張時に、下開き可能な構成とされるとともに、上端を車両後方側に配置させ、前記ヒンジ部を車両前方側に配置させて鉛直方向と交差するように傾斜して、配設され、
前記扉部近傍に、前記エアバッグの展開膨張を促進させるための、前記扉部を迅速に開かせる展開促進手段が、配設され、
該展開促進手段が、前記ケース周壁部の左右方向側に配設される右側壁部及び左側壁部から、構成され、
前記右側壁部及び左側壁部が、相互に、上方に向かって拡開するように、傾斜して配置されて、前記インフレーターから吐出された膨張用ガスを前記エアバッグ内において、上方に向かって案内させるように、構成されていることを特徴とする膝保護用エアバッグ装置。 - 前記ケースの周壁部における上下方向で対向して配設される壁部が、それぞれ、略水平方向に沿って配設されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の膝保護用エアバッグ装置。
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