JP3735935B2 - ヘッドレスト装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドレスト装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のヘッドレスト装置としては、特開昭５９−１４５３０号公報に示されるものが知られている。これは、シートバックの上部に設けられたホルダーと、少なくとも互いに平行な対の支持部分を有し前記ホルダーに前記対の支持部分でシート上下方向に摺動自在に支持されると共にヘッドレスト本体が取り付けられたステーとを有するヘッドレスト装置である。
【０００３】
この従来のヘッドレスト装置では、ステーの両支持部分が上下に二分割され、分割された各々がピンによりシート前後方向に回動自在に連結されている。この構造では、ステーがホルダーに対してシート上方向に摺動して連結部分がホルダーから突出することで支持部分の下部に対して支持部分の上部がシート前方向に回動し、これにより、ヘッドレスト本体がシート前方向にシートバックに対して可倒して格納位置となる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来装置であると、ヘッドレスト本体は、シートバックに対してシート前方向に可倒することで格納位置となるので、ヘッドレスト本体の格納状態において、ヘッドレスト本体がシートバックの背もたれ面より前方に大きく突出することとなる。よって、シートバックとヘッドレストとの一体感が損なわれ、シートとして見栄えを大幅に損なうこととなる。
【０００５】
故に、本発明は、ヘッドレスト本体のシートバックに対する下動により格納位置を取り得るヘッドレスト装置を提供することを、その技術的課題とするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により前記対の支持部分の下部に規定されるヘッドレスト位置調整範囲部と、前記対の支持部分の他方に形成された前記位置調整用切欠溝のうちの最上端溝と対向する境界切欠溝により前記対の支持部分の上部に規定されるヘッドレスト格納移動範囲部とを有した、ことである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により前記対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により前記対の支持部分の下部に規定されるヘッドレスト位置調整範囲部と、前記対の支持部分の他方に形成された前記位置調整用切欠溝のうちの最上端溝と対向する境界切欠溝により前記対の支持部分の上部に規定されるヘッドレスト格納移動範囲部と、前記ホルダーにスライド自在に支持され前記位置調整用切欠溝と係脱可能な第１のプレートと、前記ホルダーにスライド自在に支持され前記境界切欠溝と係脱可能な第２のプレートと、前記第１のプレートと前記第２プレートとを連動可能に連結する連動プレートとを有し、該連動プレートは前記第１プレートと前記第２プレートとを相対的にスライド動作でき、前記位置調整用切欠溝と前記第１のプレートとが係合し且つ前記境界切欠溝と前記第２のプレートとが係合しているときは、前記第１のプレートをスライドさせて前記第１のプレートと前記位置調整用切欠溝との係合を解除しても前記第２のプレートと前記境界切欠溝との係合は維持されるが、前記第２のプレートをスライドさせて前記第２のプレートと前記境界切欠溝との係合を解除することで前記第２プレートと共に第１プレートがスライドして前記第１プレートと前記位置調整用切欠溝との係合を解除するとした、ことである。
【０００８】
より好ましくは、ヘッドレスト本体を、前記シートバックの上端面上に位置し前記ステーに取り付けられる取付部分と、該取付部分から連続して前記シートバックの背もたれ面より前側に突出し着座者の頭部を支える支え部分とを有する逆Ｌ字状を呈するものとし、前記ステーが前記ホルダーに対して前記ヘッドレスト格納移動範囲部でシート下方向に摺動することにより、前記ヘッドレスト本体の前記支え部分が前記シートバックの背もたれ面上に位置し且つ前記取付部分が前記シートバックの上端面と接触する格納位置まで前記シートバックに対して下動するようにする、と良い。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図１に示されるように、車両の後部座席であるシート１のシートバック１１の上端には、シート１に着座する着座者の頭部を支えるヘッドレスト装置２が支持されている。尚、シートバック１１は、着座者の背を支えるものであって、シート１の座部となるシートクッション１２の後部に立設されている。
【００１０】
ヘッドレスト装置２は、ステー３及びヘッドレスト本体４より構成されている。ステー３は、図１及び図２に示されるように、円形のパイプ状のものであって、シート上下方向（図１示上下方向）に長い互いに平行な対の支持部分３１，３２と両支持部分３１，３２の上端から連続し且つ両支持部分３１，３２を連結する連結部分３３とから構成された逆Ｕ字状を呈するものである。ステー３の一方の支持部分３１には、内方に向く複数の切欠溝３４がシート上下方向に渡り羅列して形成されている。この切欠溝３４のうちの最下端の切欠溝３４ａから最上端の切欠溝３４ｂまでで支持部分３１，３２の下部にヘッドレスト位置調整範囲部Ａを設定している。又、ステー３の他方の支持部分３２には、外方に向く切欠溝３５が切欠溝３４のうちの最上端の切欠溝３４ｂのシート上下方向における位置と同じ高さの位置でつまり最上端の切欠溝３４ｂと対向して形成されている。この切欠溝３５で支持部分３１，３２の上部にヘッドレスト格納移動範囲部Ｂを設定している。尚、図５に示されるように、ステー２の支持部分３１，３２のヘッドレスト位置調整範囲部Ａは、後述するホルダー５の挿通穴５３，５４に対してシート前方（図１及び図５示左方）に除々に傾斜しており、又、ステー２の支持部分３１，３２のヘッドレスト格納移動範囲部Ｂは、ホルダー５の挿入穴５３，５４に対してストレートとなっている。これにより、支持部分３１，３２のヘッドレスト位置調整範囲部Ａが挿入穴５３，５４に挿通されている際においては、その上下端でホルダー５と接触してシート前後方向（図１及び図５示左右方向）のガタを抑えるようにし、支持部分３１，３２のヘッドレスト位置調整範囲部Ｂが挿入穴５３，５４に挿通されている際においては、ホルダー５との接触を回避し、ステー２のホルダー５に対するシート上下方向の摺動動作時の抵抗を軽減するようになっている。
【００１１】
ヘッドレスト本体４は、図１に示されるように、ステー３の連結部分３３に取り付けられており、シートバック１１の上端面１１ａ上に位置する取付部分４１及び取付部分４１から連続してシートバック１１の背もたれ面１１ｂよりシート前側（図１示左側）に突出する支え部分４２とから構成された逆Ｌ字状を呈するものである。このヘッドレスト本体４は、取付部分４１でステー３の連結部分３３に取り付けられ、支え部分４２でシート１に着座する着座者の頭部を支える。
【００１２】
シートバック１１の上部には、ホルダー５が設けられている。図３及び図４に示されるように、ホルダー５は、シートバック１１の内部のフレーム（図示せず）にブラケット１３を介して固定されるものであって、シートバック１１の上端面１１ｂ上に露出するベース部５１を備えている。このベース部５１には、シートバック１１の内部に延在する対の脚部５２が形成されており、この両脚部５２がブラケット１３に形成された対の貫通穴１３ａに夫々挿通され且つ先端外周の爪部５２ａでブラケット１３に係合することでブラケット１３に抜け止め支持されている。又、ホルダー５には、ベース部５１から両脚部５２を貫通するステー３の支持部分３１．３２の径より大きい径の対の挿入穴５３，５４が夫々形成されており、ステー３の両支持部分３１，３２が夫々両挿入穴５３，５４に挿通される。これにより、ステー３は、ホルダー５にシート上下方向に摺動自在に支持される。
【００１３】
ホルダー５のベース部５１には、対の挿入穴５３を貫通してシート幅方向に延在する溝５１ａが形成されており、この溝５１ａ内には、プレート５５がベース部５１に対してシート幅方向（図１示紙面方向及び図４示左右方向）にスライド自在に支持されている。このプレート５５には、挿入穴５３と合致し且つ挿入穴５３と略同じ大きさの挿入穴５５ａ及び挿入穴５４と合致し且つ挿入穴５４より大きい矩形形状の開口５５ｂが形成されている。又、このプレート５５の開口５５ｂには、開口５５ｂよりシート幅方向において小さいプレート５６がベース部５１及びプレート５５に対してシート幅方向にスライド自在に支持されている。このプレート５６には、挿入穴５４と合致し且つ挿入穴５４と略同じ大きさの挿入穴５６ａが形成されている。プレート５５は、そのシート幅方向の摺動動作により挿入穴５５ａの縁で支持部分３１の切欠溝３４と係脱可能であって、プレート５６は、そのシート幅方向のスライド動作により挿入穴５６ａの縁で支持部分３２の切欠溝３５と係脱可能となっている。プレート５５とベース５１との間及びプレート５６とベース５１との間には、夫々スプリング５７，５８が配設されており、プレート５５は、スプリング５７の付勢力を受けて切欠溝３４と係合するシート幅方向右方（図４示右方向）に常時付勢されており、プレート５６は、スプリング５７の付勢力を受けて切欠溝３５と係合するシート幅方向右方に常時付勢されている。尚、プレート５５及びプレート５６の切欠溝３４及び切欠溝３５と係合する方向は、同じ方向（シート幅方向右方）である。
【００１４】
プレート５５とプレート５６とは、連動プレート５９によりスプリング５７，５８の付勢力に抗してシート幅方向左方（図４示左方）へスライド動作すべく連動可能に連結されている。プレート５５及びプレート５６には、シート幅方向に延びる長穴５５ｃ及び長穴５６ｂが夫々形成されている。連動プレート５９には、長穴５５ｃに挿通されるピン５９ａ及び長穴５６ｂに挿通されるピン５９ｂが形成されており、このピン５９ａ，５９ｂの長穴５５ｃ，５６ｂへの挿通によりプレート５５とプレート５６との連動プレート５９による連動がなされる。又、長穴５５ｃ，５６ｂにより、プレート５５とプレート５６とは長穴５５ｃ，５６ｂの範囲内で相対的にスライド動作する。ブラケット１３には、フランジ部１３ａが形成されており、連動プレート５９は、フランジ部１３ａに固定されたガイド部材１４を介してシート幅方向にスライド自在に支持されている。尚、この連動プレート５９は、ワイヤケーブル６を介して車両の適宜箇所に設けられた操作ハンドル（図示せず）に連係されている。又、プレート５５には、ホルダー５のベース部５１と面一となるように設けられて操作ボタン８が固定されている。
【００１５】
ホルダー５の挿入穴５３，５４に挿通されたステー３の支持部分３１，３２の下端には、図３及び図５に示されるように、両支持部分３１，３２を連結する連結部材９が固定されており、この連結部材９とシートバック１１の内部の構成部材１５との間には、スプリング１６が配設されている。これにより、ヘッドレスト本体１は、ステー２を介してスプリング１６の付勢力によりシートバック１１に対して下動するように常時付勢されている。
【００１６】
次に、作動について説明する。
【００１７】
ステー３が支持部分３１，３２のヘッドレスト位置調整範囲部分Ａでホルダー５に支持されている場合、支持部分３１の切欠溝３４とプレート５５の挿入穴５５ａの縁との係合によりステー３のホルダー５に対する上下方向の摺動が規制され、ヘッドレスト本体４が上下動不能でシートバック１１に対して所定位置に保持される。この状態で操作ボタン８を押圧してプレート５５をシートバック幅方向左方（図４示左方）にスプリング５７の付勢力に抗してベース部５１に対してスライドさせると、切欠溝３４とプレート５５の挿入穴５５ａの縁との係合が解除される。これにより、ステー３のホルダー５に対する上下方向の摺動動作が可能となり、ヘッドレスト本体４のシートバック１１に対する上下動が可能となる。結果、ヘドレスト本体４のシート上下方向の高さ調整を成すことができるようになる。この際、プレート５６は、長穴５５ｃ，５６ｂにより連動プレート５９を介してプレート５５と共にスライドすることはなく、プレート５５のみがスライドしている。この状態でヘッドレスト本体４を着座者の操作により所望位置とし、この後、プレート５５の挿入穴５５ａの縁と切欠溝３４と再び係合させることでヘッドレスト本体４の上下動が規制され、ヘッドレスト本体４はシートバック１１に対して調整した所望位置で保持される。プレート５５の挿入穴５５ａの縁と切欠溝３４のうちの最上端の切欠溝３４ｂとが係合する状態がヘッドレスト本体４を最下位置Ｃで保持する状態であり（図１示二点鎖線）、プレート５５の挿入穴５５ａの縁と切欠溝３４のうちの最下端の切欠溝３４ａとが係合する状態がヘッドレスト本体４を最上位置Ｄで保持する状態である（図１示一点鎖線）。このヘッドレスト本体４の最下位置Ｃでは、ヘッドレスト本体４とシートバック１１の上端面１１ａとの間にステー３の支持部分３１，３２のヘッドレスト格納移動範囲部Ｂ分だけの隙間がある。尚、切欠溝３４のうちの最下端の切欠溝３４ａ以外の切欠溝３４は、上面がプレート５５の挿入穴５５ａの縁に対して直角となる面であって、下面がプレート５５の挿入穴５５ａの縁に対して傾斜した面である形状を呈しているので、ヘッドレスト本体４を上動させる場合には、着座者がヘッドレスト本体４を上動させることで、プレート５５の挿入穴５５ａの縁が自動的に切欠溝３４を乗り越えて随時係脱していくので、操作ボタン８の操作は不必要である。切欠溝３４のうちの最下端の切欠溝３４ａは、上面及び下面ともプレート５５の挿入穴５５ａの縁に対して直角となる面なっているので、ヘッドレスト本体５を最上部に保持された状態から上下動させる場合には、かならず操作ボタン８の操作が必要である。
【００１８】
ステー３の支持部分３１の切欠溝３４の内の最上端の切欠溝３４ｂとプレート５５の挿入穴５５ａの縁との係合によりヘッドレスト本体４が最下位置Ｃで保持されている状態では、ステー３の支持部分３２の切欠溝３５とプレート５６の挿入穴５６ａの縁とも係合している。この状態では、操作ボタン８を操作しても前述したようにプレート５６はプレート５５と共にスライドせず、ステー３のホルダー５に対するシート上下方向の摺動は、ステー３の支持部分３２の切欠溝３５とプレート５６の挿入穴５６ａの縁との係合により規制されている。よって、この状態では、操作ボタン８の操作では、ヘッドレスト本体４をシートバック１１に対して上下動させることはできない。
【００１９】
この状態で、操作ハンドルを操作してワイヤケーブル６を介して連動プレート５９をシート幅方向左方（図４示左方）にスライドさせると、プレート５５及びプレート５６の両方がスプリング５７，５８の付勢力に抗してベース部５１に対してシート幅方向左方（図４示左方）にスライドする。これにより、切欠溝３４とプレート５５の挿入穴５５ａの縁との係合及び支持部分３２の切欠溝３５とプレート５６の挿入穴５６ａの縁との係合が解除され、ステー３のホルダー５に対する上下方向の摺動動作が可能となる。これにより、ステー３は、ホルダー５に対してスプリング１６の付勢力を受けてシート上下方向下方（図４示下方）に支持部分３１，３２のヘッドレスト格納移動範囲部分Ｂで摺動し、ヘッドレスト本体４は、シートバック１１に対して最下位置Ｃよりさらに下動して格納位置Ｅの状態となる（図１示実線）。この状態では、ヘッドレスト本体４は、支え部分４２がシートバック１１の背もたれ面１１ｂ上に位置し且つ取付部分４１がシートバック１１の上端面１１ａと接触する状態となっている。ヘッドレスト本体４を格納位置Ｅから最下位置Ｃへ復帰させる場合は、着座者がヘッドレスト本体４を上動させればよい。これにより、切欠溝３４とプレート５５の挿入穴５５ａの縁及び支持部分３２の切欠溝３５とプレート５６の挿入穴５６ａとが夫々自動的に係合し、ヘッドレスト本体４は、最下位置Ｃで保持される。尚、切欠溝３５の形状は、切欠溝３４と同様であるが、プレート５６の挿入穴５６ａの縁に対して直角となる上面は、エッジが取られ若干丸みを帯びたものとなっている。
【００２０】
【発明の効果】
本発明よれば、対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により対の支持部分の下部に規定されるヘッドレスト位置調整範囲部より上部に境界切欠溝により対ヘッドレスト格納移動範囲部を規定したので、ステーがヘッドレスト格納移動範囲部でホルダーに対してシート下方向に摺動することにより、ヘッドレスト本体が格納位置を取ることができる。これにより、ヘッドレスト本体の格納状態において、ヘッドレスト本体がシートバックの背もたれ面より前方に大きく突出することがなく、シートバックとヘッドレストとの一体感を確保して見栄えのよいシートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るヘッドレスト装置を採用したシートの側面図である。
【図２】本発明に係るヘッドレスト装置のステーの平面図である。
【図３】本発明に係るヘッドレスト装置の分解斜視図である。
【図４】図３のＦ−Ｆ線断面図である。
【図５】図３のＧ−Ｇ線断面図である。
【符号の説明】
３ ステー
４ ヘッドレスト本体
５ ホルダー
Ａ ヘッドレスト位置調整範囲部
Ｂ ヘッドレスト格納移動範囲部
Ｅ 格納位置
１１ シートバック
３１．３２ 支持部分
３４ 切欠溝（位置調整用切欠溝）
３５ 切欠溝（境界切欠溝）
４１ 取付部分
４２ 支え部分
５５ プレート（第１のプレート）
５６ プレート（第２のプレート）
１１ａ 上端面
１１ｂ 背もたれ面
３４ｂ 最上端の切欠溝（最上端溝）
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヘッドレスト装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来、この種のヘッドレスト装置としては、特開昭５９−１４５３０号公報に示されるものが知られている。これは、シートバックの上部に設けられたホルダーと、少なくとも互いに平行な対の支持部分を有し前記ホルダーに前記対の支持部分でシート上下方向に摺動自在に支持されると共にヘッドレスト本体が取り付けられたステーとを有するヘッドレスト装置である。
【０００３】
この従来のヘッドレスト装置では、ステーの両支持部分が上下に二分割され、分割された各々がピンによりシート前後方向に回動自在に連結されている。この構造では、ステーがホルダーに対してシート上方向に摺動して連結部分がホルダーから突出することで支持部分の下部に対して支持部分の上部がシート前方向に回動し、これにより、ヘッドレスト本体がシート前方向にシートバックに対して可倒して格納位置となる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記した従来装置であると、ヘッドレスト本体は、シートバックに対してシート前方向に可倒することで格納位置となるので、ヘッドレスト本体の格納状態において、ヘッドレスト本体がシートバックの背もたれ面より前方に大きく突出することとなる。よって、シートバックとヘッドレストとの一体感が損なわれ、シートとして見栄えを大幅に損なうこととなる。
【０００５】
故に、本発明は、ヘッドレスト本体のシートバックに対する下動により格納位置を取り得るヘッドレスト装置を提供することを、その技術的課題とするものである。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により前記対の支持部分の下部に規定されるヘッドレスト位置調整範囲部と、前記対の支持部分の他方に形成された前記位置調整用切欠溝のうちの最上端溝と対向する境界切欠溝により前記対の支持部分の上部に規定されるヘッドレスト格納移動範囲部とを有した、ことである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するために本発明において講じた技術的手段は、対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により前記対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により前記対の支持部分の下部に規定されるヘッドレスト位置調整範囲部と、前記対の支持部分の他方に形成された前記位置調整用切欠溝のうちの最上端溝と対向する境界切欠溝により前記対の支持部分の上部に規定されるヘッドレスト格納移動範囲部と、前記ホルダーにスライド自在に支持され前記位置調整用切欠溝と係脱可能な第１のプレートと、前記ホルダーにスライド自在に支持され前記境界切欠溝と係脱可能な第２のプレートと、前記第１のプレートと前記第２プレートとを連動可能に連結する連動プレートとを有し、該連動プレートは前記第１プレートと前記第２プレートとを相対的にスライド動作でき、前記位置調整用切欠溝と前記第１のプレートとが係合し且つ前記境界切欠溝と前記第２のプレートとが係合しているときは、前記第１のプレートをスライドさせて前記第１のプレートと前記位置調整用切欠溝との係合を解除しても前記第２のプレートと前記境界切欠溝との係合は維持されるが、前記第２のプレートをスライドさせて前記第２のプレートと前記境界切欠溝との係合を解除することで前記第２プレートと共に第１プレートがスライドして前記第１プレートと前記位置調整用切欠溝との係合を解除するとした、ことである。
【０００８】
より好ましくは、ヘッドレスト本体を、前記シートバックの上端面上に位置し前記ステーに取り付けられる取付部分と、該取付部分から連続して前記シートバックの背もたれ面より前側に突出し着座者の頭部を支える支え部分とを有する逆Ｌ字状を呈するものとし、前記ステーが前記ホルダーに対して前記ヘッドレスト格納移動範囲部でシート下方向に摺動することにより、前記ヘッドレスト本体の前記支え部分が前記シートバックの背もたれ面上に位置し且つ前記取付部分が前記シートバックの上端面と接触する格納位置まで前記シートバックに対して下動するようにする、と良い。
【０００９】
【発明の実施の形態】
図１に示されるように、車両の後部座席であるシート１のシートバック１１の上端には、シート１に着座する着座者の頭部を支えるヘッドレスト装置２が支持されている。尚、シートバック１１は、着座者の背を支えるものであって、シート１の座部となるシートクッション１２の後部に立設されている。
【００１０】
ヘッドレスト装置２は、ステー３及びヘッドレスト本体４より構成されている。ステー３は、図１及び図２に示されるように、円形のパイプ状のものであって、シート上下方向（図１示上下方向）に長い互いに平行な対の支持部分３１，３２と両支持部分３１，３２の上端から連続し且つ両支持部分３１，３２を連結する連結部分３３とから構成された逆Ｕ字状を呈するものである。ステー３の一方の支持部分３１には、内方に向く複数の切欠溝３４がシート上下方向に渡り羅列して形成されている。この切欠溝３４のうちの最下端の切欠溝３４ａから最上端の切欠溝３４ｂまでで支持部分３１，３２の下部にヘッドレスト位置調整範囲部Ａを設定している。又、ステー３の他方の支持部分３２には、外方に向く切欠溝３５が切欠溝３４のうちの最上端の切欠溝３４ｂのシート上下方向における位置と同じ高さの位置でつまり最上端の切欠溝３４ｂと対向して形成されている。この切欠溝３５で支持部分３１，３２の上部にヘッドレスト格納移動範囲部Ｂを設定している。尚、図５に示されるように、ステー２の支持部分３１，３２のヘッドレスト位置調整範囲部Ａは、後述するホルダー５の挿通穴５３，５４に対してシート前方（図１及び図５示左方）に除々に傾斜しており、又、ステー２の支持部分３１，３２のヘッドレスト格納移動範囲部Ｂは、ホルダー５の挿入穴５３，５４に対してストレートとなっている。これにより、支持部分３１，３２のヘッドレスト位置調整範囲部Ａが挿入穴５３，５４に挿通されている際においては、その上下端でホルダー５と接触してシート前後方向（図１及び図５示左右方向）のガタを抑えるようにし、支持部分３１，３２のヘッドレスト位置調整範囲部Ｂが挿入穴５３，５４に挿通されている際においては、ホルダー５との接触を回避し、ステー２のホルダー５に対するシート上下方向の摺動動作時の抵抗を軽減するようになっている。
【００１１】
ヘッドレスト本体４は、図１に示されるように、ステー３の連結部分３３に取り付けられており、シートバック１１の上端面１１ａ上に位置する取付部分４１及び取付部分４１から連続してシートバック１１の背もたれ面１１ｂよりシート前側（図１示左側）に突出する支え部分４２とから構成された逆Ｌ字状を呈するものである。このヘッドレスト本体４は、取付部分４１でステー３の連結部分３３に取り付けられ、支え部分４２でシート１に着座する着座者の頭部を支える。
【００１２】
シートバック１１の上部には、ホルダー５が設けられている。図３及び図４に示されるように、ホルダー５は、シートバック１１の内部のフレーム（図示せず）にブラケット１３を介して固定されるものであって、シートバック１１の上端面１１ｂ上に露出するベース部５１を備えている。このベース部５１には、シートバック１１の内部に延在する対の脚部５２が形成されており、この両脚部５２がブラケット１３に形成された対の貫通穴１３ａに夫々挿通され且つ先端外周の爪部５２ａでブラケット１３に係合することでブラケット１３に抜け止め支持されている。又、ホルダー５には、ベース部５１から両脚部５２を貫通するステー３の支持部分３１．３２の径より大きい径の対の挿入穴５３，５４が夫々形成されており、ステー３の両支持部分３１，３２が夫々両挿入穴５３，５４に挿通される。これにより、ステー３は、ホルダー５にシート上下方向に摺動自在に支持される。
【００１３】
ホルダー５のベース部５１には、対の挿入穴５３を貫通してシート幅方向に延在する溝５１ａが形成されており、この溝５１ａ内には、プレート５５がベース部５１に対してシート幅方向（図１示紙面方向及び図４示左右方向）にスライド自在に支持されている。このプレート５５には、挿入穴５３と合致し且つ挿入穴５３と略同じ大きさの挿入穴５５ａ及び挿入穴５４と合致し且つ挿入穴５４より大きい矩形形状の開口５５ｂが形成されている。又、このプレート５５の開口５５ｂには、開口５５ｂよりシート幅方向において小さいプレート５６がベース部５１及びプレート５５に対してシート幅方向にスライド自在に支持されている。このプレート５６には、挿入穴５４と合致し且つ挿入穴５４と略同じ大きさの挿入穴５６ａが形成されている。プレート５５は、そのシート幅方向の摺動動作により挿入穴５５ａの縁で支持部分３１の切欠溝３４と係脱可能であって、プレート５６は、そのシート幅方向のスライド動作により挿入穴５６ａの縁で支持部分３２の切欠溝３５と係脱可能となっている。プレート５５とベース５１との間及びプレート５６とベース５１との間には、夫々スプリング５７，５８が配設されており、プレート５５は、スプリング５７の付勢力を受けて切欠溝３４と係合するシート幅方向右方（図４示右方向）に常時付勢されており、プレート５６は、スプリング５７の付勢力を受けて切欠溝３５と係合するシート幅方向右方に常時付勢されている。尚、プレート５５及びプレート５６の切欠溝３４及び切欠溝３５と係合する方向は、同じ方向（シート幅方向右方）である。
【００１４】
プレート５５とプレート５６とは、連動プレート５９によりスプリング５７，５８の付勢力に抗してシート幅方向左方（図４示左方）へスライド動作すべく連動可能に連結されている。プレート５５及びプレート５６には、シート幅方向に延びる長穴５５ｃ及び長穴５６ｂが夫々形成されている。連動プレート５９には、長穴５５ｃに挿通されるピン５９ａ及び長穴５６ｂに挿通されるピン５９ｂが形成されており、このピン５９ａ，５９ｂの長穴５５ｃ，５６ｂへの挿通によりプレート５５とプレート５６との連動プレート５９による連動がなされる。又、長穴５５ｃ，５６ｂにより、プレート５５とプレート５６とは長穴５５ｃ，５６ｂの範囲内で相対的にスライド動作する。ブラケット１３には、フランジ部１３ａが形成されており、連動プレート５９は、フランジ部１３ａに固定されたガイド部材１４を介してシート幅方向にスライド自在に支持されている。尚、この連動プレート５９は、ワイヤケーブル６を介して車両の適宜箇所に設けられた操作ハンドル（図示せず）に連係されている。又、プレート５５には、ホルダー５のベース部５１と面一となるように設けられて操作ボタン８が固定されている。
【００１５】
ホルダー５の挿入穴５３，５４に挿通されたステー３の支持部分３１，３２の下端には、図３及び図５に示されるように、両支持部分３１，３２を連結する連結部材９が固定されており、この連結部材９とシートバック１１の内部の構成部材１５との間には、スプリング１６が配設されている。これにより、ヘッドレスト本体１は、ステー２を介してスプリング１６の付勢力によりシートバック１１に対して下動するように常時付勢されている。
【００１６】
次に、作動について説明する。
【００１７】
ステー３が支持部分３１，３２のヘッドレスト位置調整範囲部分Ａでホルダー５に支持されている場合、支持部分３１の切欠溝３４とプレート５５の挿入穴５５ａの縁との係合によりステー３のホルダー５に対する上下方向の摺動が規制され、ヘッドレスト本体４が上下動不能でシートバック１１に対して所定位置に保持される。この状態で操作ボタン８を押圧してプレート５５をシートバック幅方向左方（図４示左方）にスプリング５７の付勢力に抗してベース部５１に対してスライドさせると、切欠溝３４とプレート５５の挿入穴５５ａの縁との係合が解除される。これにより、ステー３のホルダー５に対する上下方向の摺動動作が可能となり、ヘッドレスト本体４のシートバック１１に対する上下動が可能となる。結果、ヘドレスト本体４のシート上下方向の高さ調整を成すことができるようになる。この際、プレート５６は、長穴５５ｃ，５６ｂにより連動プレート５９を介してプレート５５と共にスライドすることはなく、プレート５５のみがスライドしている。この状態でヘッドレスト本体４を着座者の操作により所望位置とし、この後、プレート５５の挿入穴５５ａの縁と切欠溝３４と再び係合させることでヘッドレスト本体４の上下動が規制され、ヘッドレスト本体４はシートバック１１に対して調整した所望位置で保持される。プレート５５の挿入穴５５ａの縁と切欠溝３４のうちの最上端の切欠溝３４ｂとが係合する状態がヘッドレスト本体４を最下位置Ｃで保持する状態であり（図１示二点鎖線）、プレート５５の挿入穴５５ａの縁と切欠溝３４のうちの最下端の切欠溝３４ａとが係合する状態がヘッドレスト本体４を最上位置Ｄで保持する状態である（図１示一点鎖線）。このヘッドレスト本体４の最下位置Ｃでは、ヘッドレスト本体４とシートバック１１の上端面１１ａとの間にステー３の支持部分３１，３２のヘッドレスト格納移動範囲部Ｂ分だけの隙間がある。尚、切欠溝３４のうちの最下端の切欠溝３４ａ以外の切欠溝３４は、上面がプレート５５の挿入穴５５ａの縁に対して直角となる面であって、下面がプレート５５の挿入穴５５ａの縁に対して傾斜した面である形状を呈しているので、ヘッドレスト本体４を上動させる場合には、着座者がヘッドレスト本体４を上動させることで、プレート５５の挿入穴５５ａの縁が自動的に切欠溝３４を乗り越えて随時係脱していくので、操作ボタン８の操作は不必要である。切欠溝３４のうちの最下端の切欠溝３４ａは、上面及び下面ともプレート５５の挿入穴５５ａの縁に対して直角となる面なっているので、ヘッドレスト本体５を最上部に保持された状態から上下動させる場合には、かならず操作ボタン８の操作が必要である。
【００１８】
ステー３の支持部分３１の切欠溝３４の内の最上端の切欠溝３４ｂとプレート５５の挿入穴５５ａの縁との係合によりヘッドレスト本体４が最下位置Ｃで保持されている状態では、ステー３の支持部分３２の切欠溝３５とプレート５６の挿入穴５６ａの縁とも係合している。この状態では、操作ボタン８を操作しても前述したようにプレート５６はプレート５５と共にスライドせず、ステー３のホルダー５に対するシート上下方向の摺動は、ステー３の支持部分３２の切欠溝３５とプレート５６の挿入穴５６ａの縁との係合により規制されている。よって、この状態では、操作ボタン８の操作では、ヘッドレスト本体４をシートバック１１に対して上下動させることはできない。
【００１９】
この状態で、操作ハンドルを操作してワイヤケーブル６を介して連動プレート５９をシート幅方向左方（図４示左方）にスライドさせると、プレート５５及びプレート５６の両方がスプリング５７，５８の付勢力に抗してベース部５１に対してシート幅方向左方（図４示左方）にスライドする。これにより、切欠溝３４とプレート５５の挿入穴５５ａの縁との係合及び支持部分３２の切欠溝３５とプレート５６の挿入穴５６ａの縁との係合が解除され、ステー３のホルダー５に対する上下方向の摺動動作が可能となる。これにより、ステー３は、ホルダー５に対してスプリング１６の付勢力を受けてシート上下方向下方（図４示下方）に支持部分３１，３２のヘッドレスト格納移動範囲部分Ｂで摺動し、ヘッドレスト本体４は、シートバック１１に対して最下位置Ｃよりさらに下動して格納位置Ｅの状態となる（図１示実線）。この状態では、ヘッドレスト本体４は、支え部分４２がシートバック１１の背もたれ面１１ｂ上に位置し且つ取付部分４１がシートバック１１の上端面１１ａと接触する状態となっている。ヘッドレスト本体４を格納位置Ｅから最下位置Ｃへ復帰させる場合は、着座者がヘッドレスト本体４を上動させればよい。これにより、切欠溝３４とプレート５５の挿入穴５５ａの縁及び支持部分３２の切欠溝３５とプレート５６の挿入穴５６ａとが夫々自動的に係合し、ヘッドレスト本体４は、最下位置Ｃで保持される。尚、切欠溝３５の形状は、切欠溝３４と同様であるが、プレート５６の挿入穴５６ａの縁に対して直角となる上面は、エッジが取られ若干丸みを帯びたものとなっている。
【００２０】
【発明の効果】
本発明よれば、対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により対の支持部分の下部に規定されるヘッドレスト位置調整範囲部より上部に境界切欠溝により対ヘッドレスト格納移動範囲部を規定したので、ステーがヘッドレスト格納移動範囲部でホルダーに対してシート下方向に摺動することにより、ヘッドレスト本体が格納位置を取ることができる。これにより、ヘッドレスト本体の格納状態において、ヘッドレスト本体がシートバックの背もたれ面より前方に大きく突出することがなく、シートバックとヘッドレストとの一体感を確保して見栄えのよいシートとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明に係るヘッドレスト装置を採用したシートの側面図である。
【図２】本発明に係るヘッドレスト装置のステーの平面図である。
【図３】本発明に係るヘッドレスト装置の分解斜視図である。
【図４】図３のＦ−Ｆ線断面図である。
【図５】図３のＧ−Ｇ線断面図である。
【符号の説明】
３ ステー
４ ヘッドレスト本体
５ ホルダー
Ａ ヘッドレスト位置調整範囲部
Ｂ ヘッドレスト格納移動範囲部
Ｅ 格納位置
１１ シートバック
３１．３２ 支持部分
３４ 切欠溝（位置調整用切欠溝）
３５ 切欠溝（境界切欠溝）
４１ 取付部分
４２ 支え部分
５５ プレート（第１のプレート）
５６ プレート（第２のプレート）
１１ａ 上端面
１１ｂ 背もたれ面
３４ｂ 最上端の切欠溝（最上端溝）
Claims (2)
- シートバックの上部に設けられたホルダーと、少なくとも互いに平行な対の支持部分を有し前記ホルダーに前記対の支持部分でシート上下方向に摺動自在に支持されると共にヘッドレスト本体が取り付けられたステーとを有するヘッドレスト装置において、前記対の支持部分の一方に形成された複数の位置調整用切欠溝により前記対の支持部分の下部に規定されるヘッドレスト位置調整範囲部と、前記対の支持部分の他方に形成された前記位置調整用切欠溝のうちの最上端溝と対向する境界切欠溝により前記対の支持部分の上部に規定されるヘッドレスト格納移動範囲部と、前記ホルダーにスライド自在に支持され前記位置調整用切欠溝と係脱可能な第１のプレートと、前記ホルダーにスライド自在に支持され前記境界切欠溝と係脱可能な第２のプレートと、前記第１のプレートと前記第２プレートとを連動可能に連結する連動プレートとを有し、該連動プレートは前記第１プレートと前記第２プレートとを相対的にスライド動作でき、
前記位置調整用切欠溝と前記第１のプレートとが係合し且つ前記境界切欠溝と前記第２のプレートとが係合しているときは、前記第１のプレートをスライドさせて前記第１のプレートと前記位置調整用切欠溝との係合を解除しても前記第２のプレートと前記境界切欠溝との係合は維持されるが、前記第２のプレートをスライドさせて前記第２のプレートと前記境界切欠溝との係合を解除することで前記第２プレートと共に第１プレートがスライドして前記第１プレートと前記位置調整用切欠溝との係合を解除することを特徴とするヘッドレスト装置。 - 前記ヘッドレスト本体は、前記シートバックの上端面上に位置し前記ステーに取り付けられる取付部分と、該取付部分から連続して前記シートバックの背もたれ面よりシート前側に突出し着座者の頭部を支える支え部分とを有する逆Ｌ字状を呈するものであって、前記ステーが前記ホルダーに対して前記ヘッドレスト格納移動範囲部でシート下方向に摺動することにより、前記ヘッドレスト本体が前記支え部分が前記シートバックの背もたれ面上に位置し且つ前記取付部分が前記シートバックの上端面と接触する格納位置まで前記シートバックに対して下動する、請求項１記載のヘッドレスト装置。
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