JP3720404B2 - 振れ補正手段係止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えばカメラ等の光学機器に生じる低い周波数の振動に起因する像振れ補正を行う振れ補正手段を係止する係止手段を備えた振れ補正手段係止装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在のカメラは露出決定やピント合せ等の撮影にとって重要な作業は全て自動化されているため、カメラ操作に未熟な人でも撮影失敗を起す可能性は非常に少なくなっている。
【0003】
また、最近では、カメラに加わる手振れを防ぐシステムも研究されており、撮影者の撮影ミスを誘発する要因は殆ど無くなってきている。
【0004】
ここで、手振れを防ぐシステムについて簡単に説明する。
【0005】
撮影時のカメラの手振れは、周波数として通常1Hz乃至12Hzの振動であるが、シャッタのレリーズ時点においてこのような手振れを起していても像振れのない写真を撮影可能とするための基本的な考えとして、上記手振れによるカメラの振動を検出し、その検出値に応じて補正レンズを変位させてやらなければならない。従って、カメラの振れが生じても像振れを生じない写真を撮影できることを達成するためには、第1にカメラの振動を正確に検出し、第2に手振れによる光軸変化を補正することが必要となる。
【0006】
この振動(カメラ振れ)の検出は、原理的にいえば、角加速度、角速度、角変位等を検出する振動センサと該センサの出力信号を電気的或は機械的に積分して角変位を出力するカメラ振れ検出手段をカメラに搭載することによって行うことができる。そして、この検出情報に基づき撮影光軸を偏心させる補正光学機構を駆動させて像振れ抑制が行われる。
【0007】
ここで、振動検出手段を用いた防振システムについて、図15を用いてその概要を説明する。
【0008】
図15の例は、図示矢印81方向のカメラ縦振れ81p及びカメラ横振れ81yに由来する像振れを抑制するシステムの図である。
【0009】
同図中、82はレンズ鏡筒、83p,83yは各々カメラ縦振れ角変位、カメラ横振れ振動を検出する振動検出手段で、それぞれの振動検出方向を84p,84yで示してある。85は補正手段(86p,86yは各々補正手段85に推力を与えるコイル、87p,87yは補正手段85の位置を検出する位置検出素子)であり、該補正手段85は後述する位置制御ループを設けており、振動検出手段83p,83yの出力を目標値として駆動され、像面88での安定を確保する。
【0010】
次に、図16はかかる目的に好適に用いられる補正手段の構造を示す分解斜視図である。
【0011】
レンズ71がカシメられた支持枠72に軸受73yが圧入されている。そして、軸受73yには支持軸74yが軸方向に摺動可能に支持されている。そして、支持軸74yの凹部74yaは支持アーム75の爪75aに嵌込められる。又、支持アーム75にも軸受73pが圧入され、支持軸74pが軸方向に摺動可能に支持されている。
【0012】
なお、図16に支持アーム75の裏面図も併記すると共に、爪75aを明示する為の一部正面図も併記している。
【0013】
支持枠72の投光器取付穴72pa,72yaにはIRED等の投光素子76p,76yを接着し、接続基板を兼ねた蓋77p,77y(支持枠72に接着される)にその端子が半田付けされる。また、支持枠72にはスリット72pb,72ybが設けられており、投光素子(IRED:赤外発光ダイオード)76p,76yの投光はスリット72pb,72ybを通し、後述するPSD78p,78yに入射する。又、支持枠72にはコイル79p,79yも接着され、端子は蓋77p,77yに半田付けされる。
【0014】
鏡筒710には支持球711が嵌入(3か所)され、また支持軸74pの凹部74paが嵌込められる爪部710aを有している。
【0015】
ヨーク712p1 ,712p2 ,712p3 、マグネット713pは重ねて接着され、同様にヨーク712y1 ,712y2 ,712y3 、マグネット713yも重ねて接着される。尚、マグネットの極性は矢印713pa,713yaの配置となる。
【0016】
ヨーク712p2 ,712y2 は鏡筒710の凹部710pb,710ybにネジ止めされる。
【0017】
センサ座714p,714y(714yは不図示)にPSD等の位置検出素子78p,78yを接着し、センサマスク715p,715yを被せてフレキシブル基板716に位置検出素子(PSD:半導***置検出器)78p,78yの端子が半田付けされる。センサ座714p,714yの凸部714pa,714ya(714yaは不図示)を鏡筒710の取付穴710pc,710ycに嵌入し、フレキシブル基板ステイ717にてフレキシブル基板716は鏡筒710にネジ止めされる。フレキシブル基板716の耳部716pa,716yaは各々鏡筒710の穴710pd,710ydを通り、ヨーク712p1 ,712y1 上にネジ止めされ、蓋77p,77y上のコイル端子、投光素子端子は各々フレキシブル基板716の耳部716pa,716yaのランド部716pb,716ybとポリウレタン銅線(3本縒り線)に接続される。
【0018】
メカロックシャーシ718にはプランジャ719がネジ止めされ、バネ720をチャージしたメカロックアーム721にプランジャ719が嵌込まれ、軸ビス722によりメカロックシャーシ718に回転可能にネジ止めされる。
【0019】
メカロックシャーシ718は鏡筒710にネジ止めされ、プランジシャ719の端子はフレキシブル基板716のランド部716bに半田付けされる。
【0020】
先端球状の調整ネジ723(3か所)はヨーク712p1 、メカロックシャーシ718にネジ込み貫通され、調整ネジ723と支持球711で支持枠72の摺動面(斜線部72c)を挟んでいる。調整ネジ723は摺動面に僅かなクリアランスで対向する様にネジ込み調整されている。
【0021】
カバー724は鏡筒710に接着され、上記した補正手段をカバーしている。
【0022】
図17は上記図16の補正手段の駆動制御系について説明するための図である。
【0023】
位置検出素子78p,78yの出力を増幅回路727p,727yで増幅してコイル79p,79yに入力すると、支持枠72が駆動されて位置検出素子78p,78yの出力が変化する。ここでコイル79p,79yの駆動方向(極性)を位置検出素子78p,78yの出力が小さくなる方向に設定すると(負帰還)、コイル79p,79yの駆動力により位置検出素子78p,78yの出力がほぼ零になる位置で支持枠72は安定する。尚、加算回路731p,731yは位置検出素子78p,78yからの出力と外部からの指令信号730p,730yを加算する回路であり、補償回路728p,728yは制御系をより安定させる回路であり、駆動回路729p,729yはコイル79p,79yへの印加電流を補う回路である。
【0024】
そして、図17の系に外部から指令信号730p,730yを加算回路731p,731yを介して与えると、支持枠72は指令信号730p,730yに極めて忠実に駆動される。
【0025】
図17の制御系のように位置検出出力を負帰還してコイルを制御する手法を位置制御手法と云い、指令信号730p,730yとして手振れの量を与えると支持枠72は手振れ量に比例して駆動される。
【0026】
図18は上記図17に示した補正手段の駆動制御系の詳細を示した回路図であり、ここではピッチ方向725pについてのみ説明する(ヨー方向726yも同様であるため)。
【0027】
電流−電圧変換アンプ732pa,732pbは、投光素子76pにより位置検出素子78p(抵抗R1,R2より成る)に生じる光電流78i1 ,78i2 を電圧に変換し、差動アンプ733pは各電流−電圧変換アンプ732pa,732pbの差(支持枠72のピッチ方向725pの位置に比例した出力)を求めるものである。以上、電流−電圧変換アンプ732pa,732pb、差動アンプ733pc及び抵抗R3〜R10にて図32の増幅器727pを構成している。
【0028】
指令アンプ734paは外部より入力される指令信号730pを差動アンプ733pの差信号に加算するもので、抵抗R11〜R14とで図17の加算回路731pを構成している。
【0029】
抵抗738p,739p及びコンデンサ740pは公知の位相進み回路であり、これが図17の補償回路728pに相当する。
【0030】
前記加算回路731pの出力は補償回路728pを介して駆動アンプ735pへ入力し、ここでピッチコイル79pの駆動信号が生成され、補正手段が変位する。該駆動アンプ735p、抵抗737p及びトランジスタ736pa,736pbにて図17の駆動回路729pを構成している。
【0031】
加算アンプ741pは電流−電圧変換アンプ732pa,732pbの出力の和(位置検出素子78pの受光量総和)を求め、この信号を受ける駆動アンプ742pはこれにしたがって投光素子76pを駆動する。以上、加算アンプ741p,駆動アンプ742p、抵抗R18〜R24及びコンデンサC1により投光素子76pの駆動回路を構成している(図17では不図示)。
【0032】
上記の投光素子76pは温度等に極めて不安定にその投光量が変化し、それに伴い差動アンプ733pの位置感度が変化するが、上記の様に受光量総和一定となる様に前述の駆動回路によって投光素子76pを制御すれば、位置感度変化は少なくなる。
【0033】
ここで、図16及び図17に示す支持枠72を係止する係止装置について説明する。
【0034】
図16で説明した、メカロックシャーシ718,バネ720,メカロックアーム721,軸ビス722(以上で係止手段を構成する),プランジャ719(係止駆動手段を成す)で係止装置を構成しており、該係止装置を図16の矢印718a方向より見た図を、図19(a)に示し、又、プランジャ719の断面図を図19(b)に示す。
【0035】
図19(b)において、プランジャ719は、スライダ719aとステータ719b及び該ステータ719bに設けられたコイル719c,永久磁石719dより構成されている。そして、図19(a)に示す様に、スライダ719aは軸722により回転可能に軸支されたメカロックアーム721の孔721bに掛けられており、メカロックアーム721はバネ720により矢印720a方向に回転付勢されている。その為、スライダ719aはステータ719bより引き抜かれる力Fout を常に受けている。しかし、スライダ719aは永久磁石719dと当接している為、その吸引力は大きく、バネ720の力で動かされる事はない(Fmg>Fout :Fmgは永久磁石の吸引力)。尚、この状態の時にはメカロックアーム721の先端の突起721aは支持枠72の孔72dに嵌入しており、支持枠72は係止される。
【0036】
次に、コイル719cに所望の方向に電流を流すと、永久磁石719dとスライダ719a,ステータ719bで構成される磁気回路の磁束の流れが変化して、スライダ719aと永久磁石719dの吸引力が弱まる。すると、バネ720の力でメカロックアーム721は矢印720a方向に回転し、突起721aは支持枠72の孔72dより離れて係止が解除される(Fout >Fmg−Fi Fi は電流反発力)。この時、スライダ719aも同時にステータ719bより引き抜かれ、スライダ719aと永久磁石719d間にギャップδを生ずる。
【0037】
公知の通り、吸引力は永久磁石719dと対向物の距離の平方に反比例する為、ギャップδが生じた事で吸引力は極めて小さくなる。その為、コイル719cの通電を断ってもバネ720の付勢力で支持枠72の係止解除状態を保持できる。
【0038】
次に、コイル719cに逆方向に電流を流すと、この電流によるスライダ719aの吸収力と永久磁石719dの吸引力の合力がバネ720の力より大きくなり、スライダ719aはステータ719b内に引き込まれる(Fmg+Fi>Fout )
一旦、スライダ719aがステータ719b内に引き込まれ始めると、ギャップδが小さくなる事により永久磁石719dの吸収力が加速度的に大きくなり、スライダ719aは永久磁石719dに当接すると共に、突起721aは支持枠72の孔72dに入り、再び支持枠72を係止するようになる。
【0039】
以上の様に係止,係止解除時のみプランジャ719に電流を流す事で、各々の状態を保持する双安定構成になっており、小型で且つ省電力の係止装置を実現している。
【0040】
図20は防振システムの概要を示すブロック図である。
【0041】
図20において、91は図15の振動検出手段83p,83yであり、振動ジャイロ等の角速度を検出する振れ検出センサと該振れ検出センサ出力のDC成分をカットした後に積分して角変位を得るセンサ出力演算手段より構成される。
【0042】
振動検出手段91からの角変位信号は、目標値設定手段92に入力される。この目標値設定手段92は、可変差動増幅器92aとサンプルホールド回路92bより構成されており、サンプルホールド回路92bは常にサンプル中の為に可変差動増幅器92aに入力される両信号は常に等しく、その出力はゼロである。しかし、後述する遅延手段93からの出力で前記サンプルホールド回路92bがホールド状態になると、可変差動増幅器92aは、その時点をゼロとして連続的に出力を始める。
【0043】
可変差動増幅器92aの増幅率は、防振敏感度設定手段94の出力により可変になっている。何故ならば、目標値設定手段92の目標値信号は補正手段を追従させる目標値(指令信号)であるが、補正手段の駆動量に対する像面の補正量(防振敏感度)は、ズーム,フォーカス等の焦点変化に基づく光学特性により変化する為、その防振敏感度変化を補う為である。故に防振敏感度設定手段94は、ズーム情報出力手段95からのズーム焦点距離情報と露光準備手段96の測距情報に基づくフォーカス焦点距離情報が入力され、その情報を基に防振敏感度を演算あるいはその情報を基にあらかじめ設定した防振敏感度情報を引き出して、目標値設定手段92の可変差動増幅器92aの増幅率を変更させる。
【0044】
補正駆動手段97は、図18に示した駆動制御回路であり、目標値設定手段92からの目標値が指令信号730p,730yとして入力される。
【0045】
補正起動手段98は、図17の駆動回路729p,729yとコイル79p,79yの接続を制御するスイッチであり、通常時はスイッチ98aを端子98cに接続させておく事でコイル79p,79yの各々の両端を短絡しておき、論理積手段99の信号が入力されるとスイッチ98aを端子98bに接続し、補正手段910を制御状態(未だ振れ補正は行わないが、コイル79p,79yに電力を供給し、位置検出素子78p,78yの信号がほぼゼロになる位置に補正手段910を安定させておく)にする。又、この時同時に論理積手段99の出力信号は係止手段914にも入力し、これにより係止手段は補正手段910を係止解除する。
【0046】
尚、補正手段910はその位置検出素子78p,78yの位置信号を補正駆動手段97に入力し、前述した様に位置制御を行っている。
【0047】
論理積手段99は、レリーズ手段911のレリーズ半押しSW1信号と防振切換手段912の出力信号の両信号が入力された時に、その構成要素であるアンドゲート99aが信号を出力する。
【0048】
つまり、防振切換手段912の防振スイッチを撮影者が操作し、且つレリーズ手段911でレリーズ半押しを行った時に補正手段910は係止解除され制御状態になる。
【0049】
レリーズ手段911のSW1信号は露光準備手段96に入力され、測光,測距,レンズ合焦駆動を行うと共に、前述した様に防振敏感度設定手段94にフォーカス焦点距離情報を出力する。
【0050】
遅延手段93は論理積手段99の出力信号を受けて、例えば1秒後に出力して前述した様に目標値設定手段92より目標値信号を出力させる。
【0051】
図示していないが、レリーズ手段911のSW1信号に同期して振動検出手段91も起動を始める。そして、前述した様に積分器等、大時定回路を含むセンサ出力演算は起動から出力が安定する迄に、ある程度の時間を要する。
【0052】
遅延手段93は、振動検出手段91の出力が安定する迄待機した後に、補正手段910へ目標値信号を出力する役割を演じ、振動検出手段91の出力が安定してから防振を始める構成にしている。
【0053】
露光手段913はレリーズ手段911のレリーズ押切りSW2信号入力によりミラーアップを行い、露光準備手段96の測光値を元に求められたシャッタスピードでシャッタを開閉して露光を行い、ミラーダウンして撮影を終了する。
【0054】
撮影終了後、撮影者がレリーズ手段911から手を離し、SW1信号をオフにすると、論理積手段99は出力を止め、目標値設定手段92のサンプルホールド回路92bはサンプリング状態になり、可変差動増幅器92aの出力はゼロになる。従って、補正手段910は、補正駆動を止めた制御状態に戻る。
【0055】
論理積手段99の出力がオフになった事により、係止装置914は補正手段910を係止し、その後に補正起動手段98のスイッチ98aは端子98cに接続され、補正手段910は制御されなくなる。
【0056】
振動検出手段91は、不図示のタイマにより、レリーズ手段911の操作が停止された後も一定時間(例えば5秒)は動作を継続し、その後に停止する。これは、撮影者がレリーズ操作を停止した後に引き続きレリーズ操作を行う事は繁雑にあるわけで、その様な時に毎回振動検出手段91を起動するのを防ぎ、その出力安定迄の待機時間を短くする為であり、振動検出手段91が既に起動している時には該振動検出手段91は起動既信号を遅延手段93に送り、その遅延時間を短くしている。
【0057】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明した防振システムにおいて、補正手段(以下、振れ補正手段と記す)を係止する為の係止装置(図16のメカロックシャーシ718,プランジャ719,バネ720,メカロックアーム721,軸ビス722より成る)には、以下の問題点があった。
【0058】
第1に、防振中の電力遮断時、即ち上記防振システムを有するカメラ等の光学機器のバッテリーが防振中に取外された時、或は、消耗した時に、振れ補正手段の係止が出来なくなる事である。何故ならば、従来の係止装置は現在の状態を保持しておく特性(自己保持力)が有る為に、係止解除状態から係止状態に移行させる為にも電力が必要であり、係止解除状態(防振中)に電力が遮断されると係止状態に出来無い為である。
【0059】
それを解決する為に、例えば特公平3−24116号の様に電源バックアップ用のコンデンサを有し、電源遮断時にこのコンデンサにより係止駆動を行う事も提案されているが、この場合、コンデンサが未充電の時には対策とならず、又、電源バックアップ用のコンデンサはかなり大型になる為に民生用機器としては不向きである。
【0060】
また、例えば特開昭62−18874号に示される様に、係止装置の駆動用にプランジャでは無くモータを用いる例も提案されているが、モータを用いる場合は必ず伝達歯車を必要とし、この歯車間の摩擦やモータ自身のコギングにより係止手段駆動部全体として自己保持力を有している為、係止の為にはモータに通電する必要があり、やはり電力遮断時には係止が行えなくなる。
【0061】
よって、この様に電力遮断が生じた後には振れ補正手段は係止解除状態になる為、この光学機器を携帯する時に振れ補正手段が揺動し、異音が生ずるばかりでなく、各部へのダメージも引き起す可能性がある。
【0062】
第2に、従来の係止装置を駆動させる時、特に係止駆動を行う時にプランジャ719のスライダ719aの底が永久磁石719d(図19参照)と衝突して大きな音を発生して不快である。
【0063】
この様に自己保持力を有する駆動部は、その安定点に至る時に急激な減速を行う場合が多く、その事により音が発生し、又、その自己保持力故に係止速度を制御する事が難しく、電気的な制御で音の発生を抑える事を妨げている。
【0064】
第3に、振れ補正手段が係止された状態において何らかの外乱,振動で係止が外れた場合(図16の突起721aが振れ補正手段の孔72dより外れた時)を考える。
【0065】
この際、この防振システムを有する光学機器が未使用状態であると当然、電力の供給は受けていない為、振れ補正手段を係止状態に出来ないと言う問題もあった。
【0066】
(発明の目的) 本発明の目的は、振れ補正手段を係止解除状態に保持する際の省電力化を達成すると共に、電力遮断時等の如何なる状態においても安定して振れ補正手段を係止手段によって係止させることのできる振れ補正手段係止装置を提供することである。
【0072】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、像振れを補正する為の振れ補正手段を係止する係止手段と、該係止手段を係止方向に付勢する弾性部材と、コイル及び該コイルに対向して配置される磁界発生手段により構成され、前記コイルに電力が与えられることにより前記係止手段を駆動して、前記振れ補正手段を係止状態から係止解除状態にする、非駆動状態時には自己保持力を有さない係止駆動手段と、固定部に設けられた電磁石及び前記係止手段に設けられた鉄片により構成され、前記係止駆動手段による前記振れ補正手段の係止解除の状態で前記電磁石と前記鉄片が当接し、電力の供給によって前記当接状態が維持されて前記係止解除状態を保持する保持手段とを備え、前記保持手段による前記係止解除状態の保持時に、前記係止駆動手段のコイルへは、電力供給を停止する、あるいは、前記係止解除状態への駆動時よりも小さい電力を供給するようにした振れ補正手段係止装置とするものである。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する前に、本発明の前提となる第1の技術例について述べる
【0079】
図1は本発明の第1の前提技術例に係る振れ補正手段係止装置を示す分解斜視図であり、図16と同じ機能を持つ部分は同一符号を付してある。
【0080】
支持枠72は支持球(ボール)711と2つの鏡筒710,710´に挟持されており、レンズ71を保持した保持枠72a〔図1(b)参照〕がビス止めされている。軸74はL字形状をしており、コイル79(79p,79y)はフラットコイルになっている。又、位置検出素子(PSD:半導***置検出器)78(78p,78y)の取付部はハード基板716´になり、フレキシブル基板716と熱圧着される。しかし、基本的な構成は前述の図16の従来例と変わるものではない。
【0081】
図1において、メカロックリング11が係止手段を構成し、メカロックコイル12と該メカロックコイル12に対向する永久磁石13、ヨーク14が係止駆動手段を構成し、メカロックバネ15が弾性手段を構成する。また、レンズ71,保持枠72a,突起16が振れ補正手段を成す。
【0082】
前記メカロックリング11は鏡筒710の裏面に光軸回りに回転可能に支持されており、回転する事で係止手段の係止部を成すカム部11a(4ケ所)が支持枠72の裏面の突起16(保持枠72aに4ケ所設けられている)を係止する。この事を図2を用いて説明する。
【0083】
図2(a)は振れ補正手段の係止解除状態を示している。この状態時においては、突起16はカム部11aを離れており、振れ補正手段はこの範囲を自由に動ける。しかし、図2(b)の様にメカロックリング11が矢印17の方向に回転すると、突起16は該メカロックリング11の内径部に当接し、振れ補正手段は係止される。
【0084】
ここで、矢印17の方向への回転はメカロックバネ15の弾性力により行われる。このメカロックバネ15は不図示の固定部(例えば鏡筒710上)のピン15aに軸支され、その一端は同様に不図示の固定部のストッパ15bに当接し、又他の一端はメカロックリング11上のピン11bに当接している。そして、図1(a)及び図2(b)の様な係止状態の時には、前記メカロックリング11上のピン11bが不図示の固定部のチャージ部材15eに当接して回転止めされている。この時のバネ力15d´に対し、メカロックリング11を回転させる接線力は15dとなる〔図2(b)参照〕。
【0085】
次に、メカロックリング11がメカロックコイル12により矢印17と反対方向に、メカロックバネ15のバネ力に逆らって回転され、振れ補正手段の係止解除状態になると、メカロックバネ15のバネ力15c´に対してメカロックリング11の接線力は15cとなる〔図2(a)参照〕。即ち、メカロックバネ15のバネ力は係止状態より係止解除状態の方が小さくなっている。通常バネはバネ力に逆らった運動を行うとそのバネ力は大きくなるが、本実施例では逆に小さくしている。
【0086】
その理由は、防振システム使用時にはメカロックリング11を図2(a)の状態にして振れ補正手段を係止解除状態にしておくのであるが、その間メカロックコイル12に通電を継続しておく必要がある。これは、図1(a)の様にコイルと永久磁石(ヨークを含む)のみで係止駆動手段を構成すると自己保持機能を有さない為に、通電を止めるとメカロックバネ15のバネ力で係止状態になってしまう為であるが、その時メカロックバネ15のバネ力が大きいと係止解除保持の為のメカロックコイル12ヘの電力を大きくする必要がある。本実施例の振れ補正手段係止装置を具備した防振システムをカメラに搭載した場合、図20で説明した様にレリーズボタンの半押し(SW1)から防振を開始することになるが、カメラにおいてこの半押し状態の時間は実際の露光時間に比べれば極めて長く、この間係止解除を保持しておく為にメカロックコイル12に大電力を必要とするのは好ましくない。その為に係止解除時にメカロックバネ15のバネ力が小さくなる構成にしている。
【0087】
また、振れ補正手段の係止時には、図2(b)の様にメカロックバネ15のバネ力15d´が大きくなり、一旦係止状態になると極めて安定的に係止状態を保持する。
【0088】
尚、カム部11aはメカロックリング11の回転方向(矢印17の方向)に沿ってカム面となっている(テーパー面)為、支持枠72が光軸中心に安定していなくても、メカロックリング11が矢印17の方向に回転するとカム面が突起16を押し上げて振れ補正手段を所望位置に移動させ、係止することができる。
【0089】
前述した様に、メカロックコイル12自体には自己保持能力が無い為に電力が遮断されるとメカロックリング11が矢印17の方向に回転する事、そして支持枠72の突起16の当接面がカム面(メカロックリング11に形成されたカム部11aの形状)になっている事により、“如何なる状態からも振れ補正手段を係止することができる”といったことや、“コンパクトで且つ電源バックアップ用の手段を具備する必要性の無い係止駆動手段を得る”といったことが可能になっている。
【0090】
前記メカロックバネ15のバネ力は、係止状態では図2(b)の15dにて示す様に大きくなっている。そこで、メカロックコイル12の駆動力はメカロックリング11を矢印17と反対方向に回転させる時には大きな力を必要とする。
【0091】
図3は、上記メカロックコイル12への電力供給状態を示すタイミングチャートであり、縦軸には電力を、横軸には時間を、それぞれとっている。
【0092】
図3(a)において、振れ補正手段の係止解除を行う時(即ち、防振開始時)には、メカロックコイル12に大電力を与え、大きな力でメカロックリング11を矢印17と反対方向に駆動する。この時間は例えば20msec程度であり、総電力としては大きなものでは無い。
【0093】
そして、係止が解除されるとメカロックバネ15のバネ力は小さくなっているため、該バネ力に抗するメカロックコイル12の駆動力は小さくて済み、この間(例えば、10秒程度撮影者が被写体を狙っている時)は電力を小さくしている。
【0094】
尚、電力を小さくする方法としては不図示の制御手段により、図4に示す様に、PWM(パルス幅変調)でメカロックコイル12に通電する事で、メカロックコイル12の駆動回路自体の省電力を図っている。図4において、(a)も(b)もメカロックコイル12に与える電圧は同じであるが、与える時間を例えば20KHz位のパルスにし、このパルスの幅を変化させ、(a)の様にパルス幅が広いと大きな電力となり、(b)の様にパルス幅が狭いと小電力となる。
【0095】
以上の様に係止解除駆動時のみ電力を大きくし、係止解除状態を保持する時は電力を小さくする事で、“省電力の係止駆動手段”を実現できる。
【0096】
次に、該装置が搭載される光学機器の使用時(銀塩カメラの場合は露光時、ビデオカメラの場合、露画時)には、図3(a)に示す様に、再びメカロックコイル12への電力を大きくしている。これは、この様に係止解除の安定性を最も求められる時には外乱時が生じていても係止解除を保持する為であり、これにより“確実に係止解除状態を保持する”ことが可能となる。
【0097】
次に、防振を止める時には、メカロックリング11を矢印17の方向に回し、振れ補正手段を係止する訳であるが、メカロックリング11の矢印17方向への回転は、メカロックバネ15のバネ力ばかりでなく、図3(a)の様に該メカロックコイル12に反対方向の電力(負の電力)を与えて強制的にメカロックリング11を駆動することでも行っている。これにより、確実な係止駆動が可能になっている。勿論、電源遮断時にはこの係止方向への駆動は出来ず、メカロックバネ15のバネ力のみで係止する事になるが、この場合に比べて通常時には、早期に(係止駆動力大の為)係止が行われるメリットが生れる。
【0098】
図3(b)は図3(a)と較べて、この防振を止める時のメカロックコイル12への電力の大きさ,方向が異なった例を示している。
【0099】
つまり、図3(b)においては、メカロックコイル12にはメカロックバネ15のバネ力に抗する方向に弱い駆動力を与えている。故に、メカロックリング11がメカロックバネ15のバネ力により回転させられる時の角速度を抑える事が出来、係止完了時にピン11bがストッパ部材15eと当接する時の音を小さく出来る。これにより、“係止時における駆動音の低く(消音化)”を実現している。
【0100】
この構成でも電力遮断時にはこの機能は働かなくなる為、駆動音の低くは出来ないが、電力遮断と云う状態は稀であり、通常時に駆動音の低くが達成されるので何ら問題はない。
【0101】
尚、メカロックリング11の角速度を低くさせる為には図3(b)の方法ばかりでなく、図3(c)の様に、係止駆動時にはメカロックコイル12を短絡して速度ダンピングを与える事で、メカロックリング11の角速度を小さくしても良く、この場合、メカロックコイル12を短絡する事は電力遮断時にも瞬時に可能であり、電力遮断時にも駆動音の低くが図れるメリットが有る。
【0102】
一般に部材を駆動する駆動初期においては、部材間の静止摩擦に打勝ち部材を動かし始める迄の駆動力を必要とし、一旦部材が動き始めれば部材間には動摩擦が発生し、これは静止摩擦より小さい為、駆動力が小さくて済む。
【0103】
この事に着目すると、メカロックリング11にも駆動初期にのみ静止摩擦に打勝つ駆動力(図3で係止解除時に必要とする電力)を与え、該メカロックリング11が動き出してからは駆動力を小さく出来る(即ち、駆動の為の電力を小さく出来る)為、省電力となる。
【0104】
図5において、(a)には、係止解除初期には図3と同様の電力をメカロックコイル12に与えてメカロックリング11の動作を開始させ、その後の係止解除後期では電力を低くして省電力を図った例を示している。
【0105】
尚、上記電力大小の切換えは、係止解除初めからの時間(例えば、係止解除始めから10msecは駆動電力大)で行っているが、メカロックリング11の動作そのものをスイッチや位置センサで検出し、メカロックリング11が動き出したら電力を小さくしても良い。
【0106】
また、図5(a)においては、係止解除保持が終了し、メカロックリング11を係止方向(矢印17の方向)に駆動する時も、駆動初期時にはメカロックコイル12に図3(a)と同様の量だけ逆方向に電力を与えるが、その後電力を小さくしている。
【0107】
図5(b)においては、係止駆動初期には、図3(b)の係止方向のブレーキ(メカロックコイル12に通電)を弱めて(メカロックコイル12の電力を弱め)、メカロックバネ15のバネ力を大きくしてメカロックリング11に作用させ、該メカロックリング11を係止方向に静止摩擦に打勝って駆動させ、その後、メカロックコイル12に通電してメカロックバネ15のバネ力を弱くするブレーキ力を与え、静音化を図っている。
【0108】
この様な構成にする事で、図3(a),(b)の方法に比べて、より省電力化を図ることが出来、上述した“係止駆動手段の省電力化”をより一層進めたものとなっている。
【0109】
尚、メカロックリング11の係止方向の駆動に関しては、図5(c)の様に、初めにメカロックコイル12に逆方向に通電して静止摩擦に打勝つ係止方向駆動力(この時、メカロックバネ15のバネ力とメカロックコイル12の駆動力の合力)を与え、メカロックリング11が係止方向に動き出したらば、図5(b)の様にメカロックコイル12に順方向への通電を行い、係止方向のブレーキ力を与えて静音化を図っても良く、又、この間メカロックコイル12を短絡するようにしても良い。
【0110】
また、メカロックコイル12はメカロックリング11(係止手段)に直接取付けられているが、この点もポイントである。もしも、メカロックコイル12の駆動力を歯車,カム,リンク等の駆動伝達手段で係止部に伝える構成にすると、その間の摩擦で係止手段として自己保持力を持ってしまう。その為、電源遮断時においてもメカロックコイル12には通電されなくなるものの、駆動伝達手段の摩擦がメカロックバネ15のバネ力より大きいと係止動作が出来なくなってしまう。
【0111】
従って、メカロックコイル12をメカロックリング11に直接取付けたダイレクト駆動の構造にしている。勿論、駆動伝達手段の摩擦がメカロックバネ15のバネ力に対して無視できるものならば、ダイレクト駆動の構造にする必要はなく、例えば駆動伝達手段として、歯車,駆動の為にメカロックコイルではなく、コアレスモータを用いても良い(コアレスモータは自己保持力を持たない)。ここで大事なのは、上記の“如何なる状態からも振れ補正手段を係止することができる”事を達成する為には、係止手段駆動用には、コイル,コアレスモータ等の自己保持力をもたない駆動手段を用いる事であり、DCコアドモータ、ステップモータ,ソレノイド(プランジャ)等の自己保持力を持つ駆動手段を用いない事である。
【0112】
(第2の前提技術例) 図6は本発明の前提となる第2の技術例に係る振れ補正手段係止装置の分解斜視図であり、図1と同じ部分は同一符号を付してある。
【0113】
図1と異なるのは、メカロックリング11に突出部11cを設け、該突出部11cに駆動伝達円盤18から延出したピン18aが当接するようにしている。そして、このピン18aと不図示の固定部(例えば、鏡筒710上)から延出したピン19a間にバネ19(弾性手段)がチャージされて掛けられている。又、駆動伝達円盤18もその軸18bが不図示の固定部(例えば、鏡筒710上)に嵌入され、滑らかに回転出来る構成になっている。
【0114】
図7(a)は係止解除時のメカロックリング11の状態を示す図であり、この時、ピン19aとピン18aの間のバネ力は19b´であるが、この駆動伝達円盤18を矢印110の方向に回転させるトルク(駆動伝達円盤18に加わる接線力19b)は小さい為、このピン19によりメカロックリング11を矢印17の方向に回す力は小さい。従って、係止解除を保持しておく為にメカロックコイル12´に与える電力は小さくて済む。また、係止時には上記接線力は19c〔図7(a)参照〕の様に増加する為、係止状態を安定的に維持できる。その為、“係止解除保持を省電力で行う”といったことを実現できる。
【0115】
また、図7(a)に示す様にメカロックコイル12´が配置される事で次のメリットも有している。
【0116】
振れ補正手段にもその駆動用に永久磁石713p,713yを有しているが、メカロックコイル12の駆動用の永久磁石13の配置を永久磁石713p,713yに対し光軸方向に平行に配置する〔図6(a),図7(b)〕事で、永久磁石713,13´の磁束は互いに同一の磁路13a´を有し、コイル79及びメカロックコイル12´の配置されるギャップ間の磁束密度を大きくする事が出来る。その為、小さな電力でも大きなメカロックリング駆動力が得られ、上述と同様の“省電力の係止駆動手段”を得る事が出来た。
【0117】
又、配置される永久磁石13を、永久磁石713p,713yと同一形状、或は、この寸法を切断した形状にする事と、振れ補正手段駆動用と同一部品の永久磁石を用い、部品の種類を減らす事で、コストダウン及び組立て上の管理を簡単にできる。
【0118】
尚、図7(c)に示す様に、振れ補正手段の駆動用の磁路にメカロックコイル12を配置する構成にすると、“低コストの係止駆動手段”を得ることが出来る。
【0119】
(第3の前提技術例) 図8は本発明の前提となる第3の技術例に係る振れ補正手段係止装置の分解斜視図であり、図1と同じ部分は同一符号を付してある。
【0120】
上記第1の前提技術例(図1)と異なるのは、係止駆動手段がムービングマグネット構成になっている事である。
【0121】
図8において、不図示の固定部(例えば、鏡筒710上)に固定されたメカロックコイル12とメカロックリング11に固定された永久磁石13の関係により、メカロックリング11が駆動される訳であるが、この様に固定側にメカロックコイル12を配置すると、その引出し線の処理が簡単になる(駆動側に該コイルを配置すると引出し線はその駆動を妨げない様に処理する必要がある)為、組立性が向上し、又駆動により引出し線が断線する問題も無くなる為、耐久性も向上する。
【0122】
実施例) 図9は本発明の実施例に係る振れ補正手段係止装置の分解斜視図であり、図1と同じ部分は同一符号を付してある。
【0123】
上記第1の前提技術例(図1)と異なるのは、固定部(例えば、鏡筒710上)にヨーク21aと吸着コイル21bで構成された電磁石21が設けられており、又メカロックリング11上には鉄片22が設けられ、係止解除時には互いに当接し、その吸着力で係止解除を保持する構成になっている点にあり、その他の構成や効果は上記第1の前提技術例と同様であるのでその説明は省略する。
【0124】
電磁石21は鉄片22を一旦吸着してしまえば少ない電力でも強い吸着力を発生する為、鉄片22を電磁石21に当接させ吸着させる迄メカロックコイル12でメカロックリング11を駆動し、係止解除保持は電磁石21で少ない電力で行わせる事が、本実施例の狙いである。
【0125】
図10(a)はその動作時のタイミングチャートを示しており、係止解除駆動時には、メカロックコイル12に電力31を与え、メカロックリング11を駆動させる。この時、電磁石21の吸着コイル21bにも保持電力32を流し始める。そして、鉄片22が電磁石21に吸着された時、係止駆動電力31の供給を止める。
【0126】
この実施例では、係止解除開始から一定時間で電力を止めているが、鉄片22が電磁石21にて吸着された事をスイッチ(例えば、鉄片22と電磁石21が当接し、互いに導通した事を検出する)や位置センサで検出し、係止解除電力の供給を止めても良い。
【0127】
上述した様に、電磁石21は少ない電力でも強い吸着力を示す為に、この様な構成にする事で、本発明の一つの目的である“係止解除保持を省電力で行う”ことが可能となる。
【0128】
尚、図10(a)において、露光時には保持電力32を大きくしているが、この為、より強い吸着力で鉄片22を保持する。この事により、“確実に係止解除保持を行う”ことを実現している。
【0129】
そして、係止時には、吸着コイル21bへの通電を切ってメカロックバネ15のバネ力でメカロックリング11を係止方向に駆動する。その為、電力遮断時にも吸着コイル21bへの通電が断たれる為、振れ補正手段は係止され、“如何なる状態からも振れ補正手段を係止することができる”といった目的を達成することが可能となる。
【0130】
また、係止解除の保持方法としては、図10(b)の様に、係止保持時にも、メカロックコイル12に小電力31aを与え続け、より係止解除保持を安定させておく事も出来る。何故ならば、一般的に電磁石21は鉄片22が離れると加速度的にその吸着力は弱まる(電磁石21と鉄片22の距離の平方に吸着力は反比例する)為、一旦外乱で鉄片22が電磁石21から離れると係止解除保持できなくなってしまうが、メカロックコイル12の駆動力はメカロックリング11の回転位置によらずほぼ一定の為に、この様に外乱で電磁石21から鉄片22が外れる事を防止することが出来る。又、露光時にもメカロックコイル12への供給電力を31bの様に増加させることで、“確実に振れ補正手段の係止解除状態を保持する”といったことを達成する事ができる。
【0131】
第1の参考技術例) 図11は本発明に係る第1の参考技術例に係る振れ補正手段係止装置の分解斜視図であり、図9と同じ部分は同一符号を付してある。
【0132】
記実施例(図9)と異なるのは、電磁石21,鉄片22の代わりに、固定部(例えば、鏡筒710上)に永久磁石42,ヨーク43を設け、その磁界中にメカロックリング11に固定された保持コイル41を設けている点にある。係止解除保持中には、保持コイル41に通電して係止解除を保持しても良い。
【0133】
一般的に磁界中をコイルが駆動され移動する場合、そのコイルの駆動ストローク幅を十分カバーするだけの磁界を必要とし、永久磁石が大型化してしまう。
【0134】
しかし、永久磁石42に関して云えば、保持コイル41は保持を行う時のみ使用し、その駆動力が変動する訳では無い為、永久磁石42を大型化する必要が無く、コンパクトに出来る。
【0135】
メカロックコイル12は駆動され移動するので、対向する永久磁石13をそのストロークをカバーするだけの大きさを必要とする事になるが、この永久磁石13を小型化する為に、次に述べる方式を行っても良い。
【0136】
図12(a)で示される様に、メカロックリング11のカム面11aは不可逆部と可逆部で構成する。そして、振れ補正手段の係止状態においては、図13(a)の(イ)の様に、突起16がメカロックリング11の不可逆部に位置する為、この状態で振れ補正手段が外乱で揺動しても、その力でメカロックリングが回転させられる事は無い。
【0137】
この状態から係止解除を行う為にメカロックコイル12に通電51a〔図13(b)参照〕を行うと、メカロックリング11は回転を始め、図13(a)の(ロ)の状態になる。すると、突起16はカム面11aの可逆部に入る(係止手段回転:52a)。
【0138】
次に、振れ補正手段を、図13(a)の(ハ)の様に、矢印55の方向に駆動すると、突起16がカム面11aを押してメカロックリング11は回転をさせられる。そして、保持手段(電磁石、或は、保持コイル)が働く領域迄メカロックリング11が回転終了すると、振れ補正手段を元の位置に戻す〔図13(a)の(ニ)参照〕。
【0139】
メカロックコイル12と対向する永久磁石13の関係は、図12(b)の様に〔図13(a)の(イ)は係止状態の位置)、初めはメカロックコイル12の2つの有効部12a,12bは共に磁石13a,13b(互いに逆極)に入っている為、メカロックコイル12に通電すると、その推力を有効に使える(この時、メカロックリング11は係止解除開始時)。その後、メカロックコイル12が矢印56の方向に移動し、有効部12aが磁石13aから外れていく毎にこの推力は弱まってゆく。これを防ぐ為には、永久磁石13及びメカロックコイル12をその移動方向に大型化しなくてはならない。しかし、推力が弱まってもこの時突起16がカム面11aの可逆部にあれば、メカロックリング11は振れ補正手段の駆動力でも回転する為、推力を補うことが出来る。
【0140】
従って、“コンパクト且つ省電力な係止手段にて確実な係止解除を可能にする”といったことを達成することができる。
【0141】
振れ補正手段の動作を係止手段に活用する別の方法として、上記の係止解除時とは逆に係止時に用いることもできる。
【0142】
メカロックリング11は係止時にはメカロックバネ15により係止方向に弾性付勢させられている為、係止駆動時、該メカロックバネ15でメカロックリング11が係止方向に回転させられ、係止終了時ストッパ11bと当接して衝撃音を発生する。この音を小さくする為に、今迄の例ではメカロックコイル12を利用(短絡、逆通電)していた。しかし、メカロックリング11の回転角速度は回転開始時はゆっくりで、回転終了時点では速くなって大きな衝撃音が発生している事に着目し、回転開始時点でストッパ11bに当接させて大きな衝撃音が発生させない方法として、図14に示す様に、振れ補正手段を利用する。
【0143】
図14(a)の(イ)の様に、係止開始時に、振れ補正手段の支持枠72を矢印61の方向に移動させる(振れ補正手段を駆動させる)。この状態でメカロックリング11がメカロックバネ15の力で係止方向に回転すると、回転開始直後の突起16がカム面11aに当接する(この為衝撃音は小さい)。
【0144】
次に、振れ補正手段を、図14(a)の(ロ)の様に、矢印62の方向に駆動していく(例えば、1秒位の間で中心に戻す)と、それにつれて突起16はカム面11aから離れていく為、メカロックリング11は矢印17の方向に回転していき、図14(a)の(ハ)の様に無音で係止が完了する。
【0145】
図14(b)は上記動作時のタイミングチャートを示しており、防振は矢印67の時点迄行っている(振れ補正手段の位置63aが防振動作をしている)。
【0146】
ここで、矢印67の位置で防振オフ(波形66)を行うと、この時点で振れ補正手段は矢印61の方向に駆動される(波形636)。この時、メカロックリング11は係止動作を始める(係止解除保持を止める)(波形65は係止開始信号)。この後、振れ補正手段を波形63cの様にゆっくり中心に戻すと、それにつれてメカロックリング11も波形64の様にゆっくり回転し、64aの時点でメカロックリング11はストッパ11bに当接して係止完了する。
【0147】
以上の方法により、メカロックコイル12に通電を行わずに“係止,係止解除時の係止手段の駆動音を低くさせる”といったことを達成することができる。
【0148】
(変形例)
本発明は、振れ補正手段として、光軸に垂直な面内で光学部材を動かすシフト光学系を想定しているが、可変頂角プリズム等の光束変更手段や、光軸に垂直な面内で撮影面を動かすものであっても良い。
【0149】
また、本発明は、一眼レフカメラ,レンズシャッタカメラ,ビデオカメラ等のカメラに適用した場合を述べているが、その他の光学機器や他の装置、更には構成ユニットとしても適用することができるものである。
【0151】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、振れ補正手段を係止解除状態に保持する際の省電力化を達成すると共に、電力遮断時等の如何なる状態においても安定して振れ補正手段を係止手段によって係止させることのできる振れ補正手段係止装置をできるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の前提技術例に係る振れ補正手段係止装置を示す分解斜視図である。
【図2】 図1の係止装置による振れ補正手段の係止状態及び係止解除状態を示す機構図である。
【図3】 図1のメカロックコイル12への電力供給時の動作を示すタイミングチャートである。
【図4】 図1のメカロックコイル12への電力供給の具体的な例を示す図である。
【図5】 図1のメカロックコイル12への電力供給時の動作の他の例を示すタイミングチャートである。
【図6】 本発明の第2の前提技術例に係る振れ補正手段係止装置の分解斜視図である。
【図7】 図6の係止手段及び係止駆動手段について説明する為の機構図である。
【図8】 本発明の第3の前提技術例に係る振れ補正手段係止装置の分解斜視図である。
【図9】 本発明の実施例に係る振れ補正手段係止装置の分解斜視図である。
【図10】 図9の係止手段の係止解除駆動,係止解除保持及び係止時の動作を示すタイミングチャートである。
【図11】 本発明の第1の参考技術例に係る振れ補正手段係止装置の分解斜視図である。
【図12】 図11の係止手段及び係止駆動手段の構造について説明する為の機構図である。
【図13】 図11の振れ補正手段自身を動かして係止手段による係止を行う際の一連の動作を説明する為の図である。
【図14】 図11の振れ補正手段自身を動かして係止手段による係止を行う際の他の例における一連の動作を説明する為の図である。
【図15】 従来の防振装置の概略構成を示す機構図である。
【図16】 図15の補正手段の具体的な構成例を示す分解斜視図である。
【図17】 図16の補正手段の駆動制御系を示す図である。
【図18】 図17の各回路の具体的な構成例を示す回路図である。
【図19】 図17に示す係止装置の構成を示す図である。
【図20】 従来の防振装置を具備したカメラの概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
11 メカロックリング
12 メカロックコイル
13 永久磁石
14 ヨーク
15,19 メカロックバネ
16 突起
18 駆動伝達円盤
21 電磁石
21a ヨーク
21b 吸着コイル
22 鉄片
41 保持コイル
42 永久磁石
43 ヨーク
71 レンズ
72 支持枠
72a 保持枠
79p,79y 永久磁石

Claims (1)

  1. 像振れを補正する為の振れ補正手段を係止する係止手段と、該係止手段を係止方向に付勢する弾性部材と、コイル及び該コイルに対向して配置される磁界発生手段により構成され、前記コイルに電力が与えられることにより前記係止手段を駆動して、前記振れ補正手段を係止状態から係止解除状態にする、非駆動状態時には自己保持力を有さない係止駆動手段と、固定部に設けられた電磁石及び前記係止手段に設けられた鉄片により構成され、前記係止駆動手段による前記振れ補正手段の係止解除の状態で前記電磁石と前記鉄片が当接し、電力の供給によって前記当接状態が維持されて前記係止解除状態を保持する保持手段とを備え、前記保持手段による前記係止解除状態の保持時に、前記係止駆動手段のコイルへは、電力供給を停止する、あるいは、前記係止解除状態への駆動時よりも小さい電力を供給するようにしたことを特徴とする振れ補正手段係止装置。
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