JP2005232158A - ジチオレート系金属錯体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記一般式(1)
(R1及びR2;置換されていても良い脂肪族炭化水素基又はアリール基をここで、R1及びR2が、一体となって環を形成していても良い。X;酸素原子又は硫黄原子)で表される化合物と金属化合物とを反応させた後、酸素存在雰囲気において、無機酸化物、複合酸化物及び活性炭からなる群より選ばれる多孔性無機化合物及び/又は酸の存在下で、下記一般式(2)
(R1及びR2;前記と同義であり、R1'及びR2';置換されていても良い脂肪族炭化水素基又はアリール基を示し、ここで、R1'及びR2'が一体となって環を形成していても良い。M;金属原子)で表されるジチオレート系金属錯体を得ることを特徴とするジチオレート系金属錯体の製造方法。
【選択図】 なし
Description
また、最近では、大型薄型の壁掛けテレビとして注目されているプラズマディスプレイパネル(以下、「PDP」という)が、近赤外線を発生して、コードレスホン、近赤外線リモコンを使うビデオデッキ等、周辺にある電子機器に作用し誤動作を起こすことから、PDP用フィルターとしても800nm〜1100nmの近赤外線を吸収する赤外線吸収色素を含有したフィルターの要求がある。
1,金属錯体の製造方法
(一般式(1)で表される化合物)
本発明は、上記一般式(1)で表される1,3−ジチオ−2−オン類又は1,3−ジチオ−2−チオン類と金属化合物とを錯化させる方法に関するものである。
上記一般式(1)において、R1及びR2は、それぞれ独立して、置換されていても良い脂肪族炭化水素基又は置換されていても良いアリール基を示す。
上記脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、ネオペンチル基、2−エチルブチル基、イソプロピル基、2−ブチル基、シクロヘキシル基、3−ペンチル基、tert−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、1,3−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,4−ジメチルペンチル基、等の直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基;2−プロペニル基、2−ブテニル基、3−ブテニル基、2,4−ペンタジエニル基等のアルケニル基;エチニル基等のアルキニル基が挙げられる。このうち好ましくは炭素数10以下、より好ましくは6以下の直鎖状又は分岐鎖状のものである。
上記アリール基としては、フェニル基、ペンタフルオロフェニル基、シアノフェニル基、ジニトロフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ナフチル基、チエニル基、フリル基、ピリジル基、イミダゾリル基などが挙げられる。
該脂肪族炭化水素基及びアリール基の置換基としては、ジチオレート系錯体の安定性に悪影響を与えない基であれば、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、アミノ基、アシル基、アミノアシル基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルファモイルアミノ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環オキシカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、複素環スルホニル基、イミド基及びシリル基などからなる群より選択された基が挙げられる。これらの置換基として具体的にはメチル基、エチル基などの炭素数1〜6程度のアルキル基;エチニル基、プロピレニル基などの炭素数1〜6程度のアルケニル基;アセチレニル基など炭素数1〜6程度のアルキニル基;フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜20程度のアリール基;チエニル基、フリル基、ピリジル基などの炭素数3〜20程度の複素環基;エトキシ基、プロポキシ基などの炭素数1〜6程度のアルコキシ基;フェノキシ基、ナフトキシ基などの炭素数6〜20程度のアリールオキシ基;ピリジルオキシ基、チエニルオキシ基などのなどの炭素数3〜20程度の複素環オキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基などの炭素数1〜6程度のアルキルチオ基;フェニルチオ基、ナフチルチオ基などの炭素数6〜20程度のアリールチオ基;ピリジルチオ基、チエニルチオ基などのなどの炭素数3〜20程度の複素環チオ基;ジメチルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの炭素数1〜20程度の置換基を有していても良いアミノ基;アセチル基、ピバロイル基などの炭素数2〜20程度のアシル基;アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基などの炭素数2〜20程度のアシルアミノ基;3−メチルウレイド基などの炭素数2〜20程度のウレイド基;メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基などの炭素数1〜20程度のスルホンアミド基;ジメチルカルバモイル基、エチルカルバモイル基などの炭素数1〜20程度のカルバモイル基;エチルスルファモイル基などの炭素数1〜20程度のスルファモイル基;ジメチルスルファモイルアミノ基などの炭素数1〜20程度のスルファモイルアミノ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素数2〜6程度のアルコキシカルボニル基;フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基などの炭素数7〜20程度のアリールオキシカルボニル基;ピリジルオキシカルボニル基などの炭素数6〜20程度の複素環オキシカルボニル基;メタンスルホニル基、エタンスルホニル基、取りフルオロメタンスルホニル基などの炭素数1〜6程度のアルキルスルホニル基;ベンゼンスルホニル基、モノフルオロベンゼンスルホニル基などの炭素数6〜20程度のアリールスルホニル基;チエニルスルホニル基などの炭素数3〜20程度の複素環オキシスルホニル基;フタルイミドなどの炭素数4〜20程度のイミド基;又は、アルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基で3置換されているシリル基が挙げられる。
−CH2−CF2−CH2−、−CH2−CH2−CH2−CH2−、−CH(Ph)−CH2
−、−CH(Me)−CH2−等の置換されていても良いアルキレン基;−CH=CH−
、−C(Me)=CH−、−CH=CH−CH2−CH2−CH=CH−等の置換されていても良いアルケニレン基;−CH2−S−CH2−、−CH2−O−CH2−、−CH2−C
(=O)−CH2−、−CH2−CH2−S−CH2−CH2−、−CH2−CH2−O−CH2−CH2−等の連結基を含有するアルキレン基等を形成していても良い。
R1及びR2としてとくに好ましくは、一般式(2)であらわされる錯体の有機溶媒への溶解性を向上させるためには、置換基を有していても良い2級アルキル基である。
また、R1及びR2は同一でも異なっていても良いが、同一の方が好ましい。
Xは酸素原子又は硫黄原子を示し、塩基と作用させた場合の開環し易さ(すなわちジアニオンの発生のさせ易さ)及び該一般式(1)で表される化合物自体の工業的な製造のし易さ等の観点から好ましくは酸素原子である。
本発明の製造方法に用いられる金属化合物としては、上記1,3−ジチオ−2−オン類又は1,3−ジチオ−2−チオン類と塩基との作用により、系中で発生するジアニオン体との錯化が可能なものすなわち4配位以上の配位形態をとりうる金属原子を含有するものであれば特に限定されないが、好ましくはNi、Pd又はPtといった10族金属原子;Co;Fe;Cu;Au;Cr;及びMnからなる群より選ばれる金属原子のハロゲン化物、無機酸塩、有機酸塩又はジケトナート体などが挙げられる。該無機酸塩としては、炭酸塩、重炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩等が挙げられ、有機酸塩としては、酢酸塩が挙げられ、ジケトナート体としては、アセチルアセトナート、ジベンジリデンアセトナート等が挙げられる。
(製造方法)
本発明の製造方法は、上述の一般式(1)で表される1,3−ジチオ−2−オン類又は1,3−ジチオ−2−チオン類と金属化合物とを反応させた後、酸素存在雰囲気において無機酸化物、複合酸化物及び活性炭からなる群より選ばれる多孔性無機化合物及び/又は酸の存在下で、上述の一般式(2)で表されるジチオレート系金属錯体を得ることを特徴とする。
本反応が行われる雰囲気としては、不活性ガス雰囲気下でも空気中でも特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下で行う方が好ましい。塩基の量はより好ましくは、1,3−ジチオ−2−オン類又は1,3−ジチオ−2−チオン類に対して、2.2当量〜3当量程度である。反応溶媒としては、特にメタノール、テトラヒドロフランが好ましい。
上記無機酸化物及び複合酸化物としては、通常の触媒として用いられるものであれば、
特に制限されるものではないが、好ましくは、周期律表の2〜15族元素及びランタノイドからなる群より選ばれる1種類以上の金属元素を金属原子として含む金属酸化物又は複合酸化物が挙げられ、無機化合物としてさらに好ましくは、2族では、Mg酸化物、Ca酸化物、Sr酸化物、Ba酸化物、3族では、Sc酸化物、Y酸化物、La酸化物では、Ti酸化物、Zr酸化物、5族では、V酸化物、Nb酸化物、Ta酸化物、6族では、Cr酸化物、Mo酸化物、W酸化物、7族では、Mn酸化物、Re酸化物、8族では、Fe酸化物、Ru酸化物、Os酸化物、9族では、Co酸化物、Rh酸化物、Ir酸化物、10族では、Ni酸化物、Pd酸化物、Pt酸化物、11族では、Cu酸化物、Ag酸化物、Au酸化物、12族 Zn酸化物、Cd酸化物、13族では、Al酸化物、14族では、Si酸化物、Sn酸化物、15族では、Bi酸化物、Sb酸化物等
が挙げられ、複合酸化物としてさらに好ましくは、TiO2系複合酸化物、Al2O3系複合酸化物、SiO2系複合酸化物、MoO3系複合酸化物、WO3系複合酸化物、V2O5系複合酸化物、MgO系複合酸化物、ThO2系複合酸化物、BeO系複合酸化物、Sb2O5系複合酸化物、Cr系複合酸化物、Sn系複合酸化物、Bi系複合酸化物が挙げられ、具体的には、無機酸化物としては、MgO、CaO、SrO、BaO、Sc2O3、Y2O3、La2O3、TiO2、ZrO2、V2O5、Mn2O5、SiO2、WO3、MoO3、Co3O4、ZnO、Al2O3、Sb2O5、SnO2、Bi2O3が、複合酸化物としては、TiO2-WO3、TiO2-MoO3、TiO2-Sb2O5、TiO2-Fe2O3、TiO2-Cr2O3、TiO2-V2O5、TiO2-Mn2O5TiO2-V2O5、TiO2-Co3O4、TiO2-NiO、TiO2-CuO、ZnO-WO3、ZnO-MoO3、ZnO-Sb2O5、ZnO-Fe2O3、ZnO-Cr2O3、ZnO-V2O5、ZnO-Mn2O5、ZnO-V2O5、ZnO-Co3O4、ZnO-NiO、ZnO-CuO、ZrO2-Al2O3、Al2O3-WO3、Al2O3-MoO3、Al2O3-Sb2O5、Al2O3-Fe2O3、Al2O3-Cr2O3、Al2O3-Mn2O5、Al2O3-V2O5、Al2O3-Co3O4、Al2O3-NiO、Al2O3-CuO、SiO2-WO3、SiO2-MoO3、SiO2-Sb2O5、SiO2-Fe2O3、SiO2-Cr2O3、SiO2-V2O5、SiO2-Mn2O5、SiO2-Co3O4、SiO2-NiO、SiO2-CuO、SiO2-Al2O3、SiO2-ZrO2、TiO2-ZrO2、SnO2-Sb2O5、SnO2-Fe2O3、SnO2-Cr2O3、SnO2-MoO3、SnO2-V2O5、SnO2-Co3O4、SnO2-NiO、SnO2-CuO、Bi2O3-MoO3、Bi2O3-WO3、Bi2O3-PO3、亜鉛クロマイト触媒、銅クロマイト触媒、ニッケルクロミア触媒、鉄クロミア触媒、ヘテロポリ酸が挙げられる。工業生産に際し、低価格で入手可能であるシリカ;酸性アルミナ、塩基性アルミナ、中性アルミナ等のアルミナ類;ケイ酸マグネシウム(商品名:フロリジル)等の複合酸化物類;ゼオライト類などのモレキュラーシーブスが、より好ましく、ゾルゲル法や沈殿法等の通常の方法により上述の金属原子を含有する金属塩を加水分解又は熱分解することにより得られる金属酸化物等の固体性状の物を用いることもできる。さらに好ましくはシリカ又はアルミナ類であり、特に好ましくはシリカである。
上述の無機酸化物、複合酸化物及び活性炭からなる群より選ばれる多孔性無機化合物としては平均粒径が小さい方が好ましく、通常平均粒径5mm以下、好ましくは1mm以下、より好ましくは500μm以下、さらに好ましくは300μm以下のものが用いられる。但し、粒径が小さすぎると使用可能ではあるが、ろ過処理などが煩雑になるため、通常1μm以上、好ましくは10μm以上、より好ましくは20μm以上のものが用いられる。
加えて、例えばシリカとしては、8−500メッシュ程度のものが好ましく使用でき、このうち粒径が小さい方(200−500メッシュ程度)がより効果的である。また、シリカゲルの活性度は、Brockmann(入門クロマトグラフィー;R.J.Gritter著
、東京化学同人)で定義されるいずれであっても遜色無く使用できる。
このうち粒径が小さい方(150−400メッシュ程度)がより効果的である。また、アルミナの活性度はBrockmannで定義されるいずれの活性度でも使用可能であるが、活性度
が高い方が好ましい。
さらに、フロリジルや活性炭としては、10−200メッシュ程度のものが好ましく使用できる。
リフルオロメタンスルホン酸、ナフィオン(Du Pont社製)等の有機酸類;ハロゲン化リチウム、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化ホウ素、アロゲン化アルミニウム、アルキルアルミニウム、塩化チタン(IV)、塩化スズ(II)、塩化スズ(IV)、塩化鉄(III)、塩化タングステン(VI)、フッ化アンチモン(V)、トリフルオロメタンスルホン酸銅(I)、塩化銅(I)、リチウムパークロレート、リチウムテトラフルオロボレート、酢酸水銀(II)テトラフルオロホウ酸、トリフルオロメタンスルホン酸スズ(II)無水トリフルオロメタンスルホン酸、アルコキシチタン、塩化ジルコニウムなどのルイス酸、又はこれらの酸官能基を高分子に付与させたイオン交換樹脂(陽イオン交換樹脂等のこれらの酸点が担体上に担持されている形態の物)が挙げられる。水、湿気に不安定でなく、取り扱いが容易である点から、このうち好ましくはブレンステッド酸点を有するものである。
イオン交換樹脂としては、特に限定されないが、陽イオン交換樹脂としては、具体的には、アンバーライトIIR120B、IIR120BN、IR124、200CT、201B、252、XT1006CP、IR118、IRC-50、IRC76、IRC748、FPC3500(以上ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオンSK1B、SK102、SK104、SK106、SK110、PK208、PK212、PK216、PK220、PK228、WK10、WK40、RC01H、RCP11H(以上三菱化学社製)などが挙げられる。陰イオン交換樹脂としては、アンバーライトIRA400、IRA400T、IRA401B、IRA402、IRA402BL、IRA458RF、XT5007、IRA900、IRA904、IRA410、IRA411、IRA910CT、IRA478RF、IRA67、XT6050RF、XE583(以上ローム・アンド・ハース社製)、ダイヤイオンSA10A、SA11A、SA12A、SA20A、PA306、PA308、PA312、PA316、PA318、PA406、PA412、PA416、WA10、WA20、WA30(以上三菱化学社製)等が挙げられる。これらの中でも酸型陽イオン交換樹脂が好ましい。
強酸性を示す鉱酸や有機酸を使うときは、特に酸強度が強いと脱メタル化の可能性があるので、用いる溶媒で希釈したものを添加するのが好ましい。
本発明の製造方法は、中間錯体の酸化時に系内に酸素が存在する条件下で反応を行う限りにおいては特に限定されないが、好ましくは1ppm以上、より好ましくは10ppm以上、さらに好ましくは100ppm以上、特に好ましくは500ppm以上であるが、用いる反応溶媒の飽和酸素濃度が上限となる。該飽和酸素濃度は、反応温度や圧力、また、混合溶媒を用いる場合にはその混合比率等に依存するので、必要に応じて、これらを調整するのがよい。
本発明の方法により得られる一般式(2)で得られる金属錯体は、一般式(1)で表される化合物から誘導されるジアニオン2分子と金属化合物1分子とから形成されるが、錯化の際には、金属原子の価数が異なる中間錯体を経由し、該中間錯体の金属原子がさらに酸素で酸化されることにより、目的とする金属錯体が形成されると考えられる。すなわち、酸化は中間錯体の酸化状態を変えるために行うものであり、本発明の方法以外にも電極反応やジクロロジシアノキノン(DDQ)やクロラニルなどの酸化剤を使用しても行うことはできると考えられるが、反応収率等の点で本発明の方法が好ましい。
一般に、該中間錯体と目的とする金属錯体の各種溶媒に対する溶解度がことなるため、効率的に酸化反応を行うためには、溶存酸素濃度の高さの他、該中間錯体の溶解度も勘案して、酸化過程で、用いる溶媒を選択するのがよい。
、用いる溶媒の還流温度までの範囲で任意に設定可能である。酸化が遅いとき(つまり収率の悪いとき)は、反応溶液中の酸素濃度をあげる、超音波を併用する、かつ/あるいは、反応温度を上げることが好ましい。
反応時間は、通常30分以上24時間以下であるが用いる溶媒の種類やその他の反応条件にも依存するので、任意に設定すればよい。また、反応の進行度合いは、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて確認することができる。
縣洗方法としては、高極性溶媒、例えば、メタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒;水―アルコール系混合溶媒;アセトン等のケトン系溶媒又はアセトニトリル等のニトリル系溶媒をふりかけ洗浄する方法の他、上記高極性溶媒中に上記固体を懸濁させ、室温〜溶媒の沸点の範囲で攪拌洗浄した後に目的ジチオレート化合物をろ取する方法が挙げられる。
R1'及びR2'は、R1及びR2と同一でも異なっていてもよいが、同一の方が好ましい。
2,生成物
上記方法により得られる上記一般式(2)で表される化合物は、吸収極大波長が800〜1300nm付近のものであり、また、モル吸光係数が、通常5000以上、好ましくは8000以上の化合物である。
このような上記一般式(2)で表される化合物の好ましい具体例を以下に示す。
%以上と高溶解性を有するため、フィルターにした場合のバインダー樹脂中の化合物濃度を上げることができ、その結果フィルターの厚さを薄くしても充分に近赤外線を吸収するため、フィルターのヘイズをおさえた優れた近赤外線吸収フィルターを得ることができる点で好ましい。さらには、フィルターにした場合の耐熱性も高いため電子ディスプレイ用フィルターに用いるのに特に好ましいものである。
3,電子ディスプレイ用フィルター
本願の電子ディスプレイ用フィルターは、上記一般式(2')で表される化合物を用い
ることにより、800−1300nm付近に極大吸収を有し、その範囲の平均透過率が通常、50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下となるものである。
化合物、フタロシアニン化合物、ナフタロシアニン化合物、トリアリルメタン系化合物、インモニウム系化合物、ジインモニウム系化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、アミノ化合物、アミニウム塩系化合物、あるいは、無機物であるカーボンブラックや、酸化インジウムスズ、酸化アンチモンスズ、周期律表14族、15族または16族に属する金属の酸化物、もしくは炭化物、またはホウ化物などといった近赤外線吸収能を有する化合物と組み合わせて用いることにより、700〜1300nmといった広範な波長域をカバーする近赤外線吸収能を有する光学フィルターを効率的に得ることができる。
また、本願の電子ディスプレイ用フィルターが基板と近赤外線吸収色素として上記一般式(2')で表される化合物のみを含有する近赤外線吸収層とからなる場合の430〜6
50nmの平均透過率は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。
加えて、550〜600nmにおける透過率が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上であるため、ディスプレイの画面の明るさ等を確保することもできるものである。
本願フィルターとして好ましくは、上記耐熱試験での色素残存率が60%以上、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは85%以上となるものである。ここで、色素残存率は、750〜1050nmの領域における試験前後の吸収強度の減少度合から求める。
(フィルターの製造方法)
本発明の電子ディスプレイ用フィルターの製造方法としては、透明基板に近赤外線吸収色素を含む塗工液をコーティングする方法、近赤外線吸収色素をバインダー樹脂と溶融混錬してフィルム状に成形する方法などが挙られるが、近赤外線吸収色素に対する負荷を低減するため、塗工液をコーティングする方法の方が好ましい。
(基板)
本発明のディスプレイ用フィルターを構成する透明基板としては、実質的に透明であって、吸収、散乱が大きくない基材であればよく、特に制限はない。その具体的な例としては、ガラス、ポリオレフィン系樹脂、非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂等が挙げられる。これらの中では、特に非晶質ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸エステル系樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂が好ましい。
透明基板は、これらの樹脂を、射出成形、Tダイ成形、カレンダー成形、圧縮成形等の方法や、有機溶剤に溶解させてキャスティングする方法などなどの成形方法を用い、フィルム状に成形したものが用いられる。フィルム状に成形された樹脂は延伸されていても未延伸でもよい。また、異なる材料からなるフィルムが積層されていても良い。
更に、透明基板は、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、グロー放電処理、粗面化処理、薬品処理等の従来公知の方法による表面処理や、アンカーコート剤やプライマー等のコーティングを施してもよい。
(近赤外線吸収色素層)
近赤外線吸収色素を含む塗工液は、上記一般式(2')で表される化合物をバインダー
樹脂とともに溶剤中に溶解又は分散させることにより、調製することができる。また、分散させる場合、近赤外線吸収色素を必要に応じて分散剤を用いて、粒径を通常0.1〜3μmに微粒子化し、バインダーとともに、溶剤に分散させて調製することもできる。
よびバインダー樹脂などの全固形分の濃度は、通常5〜50重量%である。また、全固形分に対する金属錯体の濃度は、近赤外線吸収色素トータルとして通常0.1〜50重量%、好ましくは0.2〜30重量%である。また、一般式(2')で表される化合物の他に
公知の近赤外線吸収能を有する色素を併用する場合においては、同一層に併存させても良いし、別層として積層させても良いが、一般式(2')で表される化合物に対するその他
の近赤外線吸収色素化合物の総量の比としては、1:0.1〜1:10、好ましくは、1:0.2〜1:5である。
分散剤としては、ポリビニルブチラール樹脂、フェノキシ樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、石油樹脂、硬化ロジン、ロジンエステル、マレイン化ロジン、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。その使用量は、金属錯体化合物に対して、通常0〜100重量%、好ましくは0〜70重量%である。
溶媒としては、1,2,3−トリクロロプロパン、テトラクロルエチレン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化脂肪族炭化水素類;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;酢酸エチル、プロピオン酸メチル、エナント酸メチル、リノール酸メチル、ステアリン酸メチル等のエステル類;シクロヘキサン、ヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ニトロベンゼン、スクアラン等の芳香族炭化水素類;ジメチルスルホキシド、スルホラン等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素等のアミド類;テトラヒドロフラン(以下「THF」という)、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;あるいは、これらの混合物を用いることができる。
金属錯体を含む層は、乾燥後の膜厚が、通常0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmとなるように塗布される。
本発明の光学フィルターは、さらに紫外線カット層を設けることにより、金属錯体との相乗効果によって、光学フィルターの耐光性を著しく向上させることができる。紫外線カット層としては、400nm以下の波長の紫外線を効率よくカットできるものであり、350nmの波長の光を70%以上吸収できることが好ましい。紫外線カット層の種類については、特に制限されないが、好ましくは紫外線吸収剤を含有する樹脂フィルム(紫外線カットフィルム)が好ましい。
また、紫外線カットフィルムは、市販のUVカットフィルターを使用することもでき、例えば、富士フィルム(株)のSC−38、SC−39、SC−42、三菱レーヨン(株)のアクリプレン等が挙げられる。上記のUVカットフィルター、SC−39、アクリプレンは、ともに350nmの波長を99%以上吸収する紫外線カットフィルムである。
本発明の電子ディスプレイ用フィルターは、上記一般式(2')で表される化合物含有
層を有している他は、通常、用いられる構成や製造方法等を任意にとることができ、特に限定されるものではないが、以下にプラズマディスプレイパネル用フィルターとして用いる場合を代表例として説明する。
プラズマディスプレイパネル用フィルターに用いられる電磁波カット層としては、金属酸化物等の蒸着あるいはスパッタリング方法等が利用できる。通常は酸化インジウムスズ(ITO)が一般的であるが、誘導体層と金属層を基材上に交互にスパッタリング等で積層させることで1000nm以上の光をカットすることもできる。誘電体層としては酸化インジウム、酸化亜鉛などの透明な金属酸化物等であり、金属層としては銀あるいは銀−パラジウム合金が一般的であり、通常、誘電体層より3層、5層、7層あるいは11層程度積層する。
プラズマディスプレイパネル用フィルターに用いられる反射防止層としては、表面の反射を抑えてフィルターの透過率を向上させるために、金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機物を、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシスト法等で単層あるいは多層に積層させる方法、アクリル樹脂、フッ素樹脂などの屈折率の異なる樹脂を単層あるいは多層に積層させる方法等がある。また、反射防止処理を施したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。
プラズマディスプレイパネル用フィルターに用いられる色調補正層としては、プラズマディスプレイから発せられる590〜600nmの波長域のネオンオレンジ光をカットできれば特に限定されず、公知のスクアリリウム系化合物、テトラアザポルフィリン系化合物、シアニン系化合物、メチン系化合物、ピロメテン系化合物、ジピロメテン系化合物等の化合物を含有させる。また、消光時のディスプレイの色がニュートラルグレーになるようにその他の色素を添加することもある。
また、上述の各層の他にぎらつき防止層(ノングレア層)も設けてもよい。。ノングレア層は、フィルターの視野角を広げる目的で、透過光を散乱させるために、シリカ、メラミン、アクリル等の微粉体をインキ化して、表面にコーティングする方法などを用いることができる。インキの硬化は、熱硬化あるいは光硬化を用いることができる。また、ノングレア処理したフィルムを該フィルター上に貼り付けることもできる。更に必要であれば、ハードコート層を設けることもできる。
4,5−ビス(n−ブチルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン2.6g(8.81mmol)をメタノール25mLに溶かした溶液に3当量のナトリウムメトキシドを加え、25℃で30分撹拌した。これにメタノール1mLに溶かした0.5当量の塩化ニッケル六水和物を加え、さらに25℃で30分撹拌した。この混合溶液を濃縮乾固させた後、残さをトルエン50mL及び酢酸エチル20mL混合液に再溶解してからシリカゲル(関東化学社:シリカゲル60N(商品名))10gを加え、空気をバブリングしながら、4時間撹拌することで反応を行った。得られた緑色反応溶液をろ過し、シリカゲルをろ別した後、ろ液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物をクロロホルムで抽出した後、このクロロホルム溶液を水洗してから濃縮した。これにメタノール25mLを加え、懸洗後、固体をろ取し、例示化合物3を78%収率で得た(λmax(in THF) 1007nm)。
下記表に記載された化合物について製造した結果を以下に示す。各種1,3−ジチオ−2−オン類を用い、1,3−ジチオ−2−オンの使用量、塩基の種類及び使用量、並びに反応時間を下記表に記載のように変更した以外は、実施例1に記載の方法に従い、各化合物の製造を行ったところ、それぞれ表に記載された最大吸収波長を有する化合物が得られた。
4,5−ビス(ネオペンチルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン1.9g(5.78mmol)をメタノール50mLに溶かし、この反応溶液に2.2当量のナトリウムメトキシドを加え、25℃で30分撹拌した。これにメタノール5mLに溶かした0.5当量の塩化ニッケル六水和物を加え、さらに25℃で30分撹拌した。これにトルエン100mL及び酢酸11mLを加え、空気をバブリングしながら、8時間撹拌した。得られた緑色反応溶液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物をクロロホルムで抽出した後、このクロロホルム溶液を水洗してから濃縮した。これにメタノール50mLを加え、懸洗後、固体をろ取し、例示化合物3を74%収率で得た(λmax(in THF) 1004nm)。
4,5−(エチレンジチオ)−1,3−ジチオール−2−オン0.44g(2.11mmol)をメタノール20mLに溶かし、この反応溶液に3当量のナトリウムメトキシドを加え、25℃で30分撹拌した。これにメタノール1mLに溶かした0.5当量の塩化ニッケル六水和物を加え、さらに25℃で30分撹拌した。この溶液をTHF50mLと混合した後、シリカゲル(ワコー社:シリカゲルC200(商品名))10gを加え、空気をバブリングしながら、4時間撹拌した。得られた緑色反応溶液をろ過し、シリカゲルをろ別した後、ろ液を水洗してから濃縮した。これにメタノール25mLを加え、懸洗後、固体をろ取し、例示化合物31を91%収率で得た(λmax(in THF) 1022nm)。
下記表に記載された化合物について製造した結果を以下に示す。各種1,3−ジチオ−2−オン類を用い、1,3−ジチオ−2−オンの使用量、塩基の種類及び使用量、並びに反応時間を下記表に記載のように変更した以外は、実施例12に記載の方法に従い、各化合物の製造を行ったところ、それぞれ表に記載された最大吸収波長を有する化合物が得られた。
EI MS:590
λ max(in THF)1007nm
シリカゲルの代わりに下記表に記載の多孔性無機化合物を用い、反応の規模(スケール)を1/5にした他は同様の操作により反応を行い、反応液の変化により目的化合物の生成を確認した。
実施例17に記載の構造式で示される4,5−ビス(sec−ブチルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン1.0g(3.45mmol)をメタノール25mLに溶かした溶液に2.2当量のナトリウムメトキシドを加え、25℃で30分撹拌した。これにメタノール1mLに溶かした0.5当量の塩化ニッケル六水和物を加え、さらに25℃で30分撹拌した。この混合液にトルエン20mL及び酢酸2.0mLを加え、空気をバブリングしながら、5時間撹拌し反応を行った。得られた緑色反応溶液を濃縮し粗生成物を得た。粗生成物をヘキサンで抽出し、このヘキサン溶液を水洗してから濃縮した。これにメタノール25mLを加え、懸洗後、固体をろ取し、例示化合物11を86%収率で得た。
EI MS:590
λ max(in THF):1007nm
1H NMR (d, CDCl3):1.04-1.13 (t, 12H) 1.45-1.59 (d, 2H) 1.70-1.99 (m, 8H) 3.92-4.09 (m, 4H)
酢酸の代わりに、下記表に記載の酸を使用した以外は実施例25と同様の操作により反応を行い、反応液の変化により目的化合物の生成を確認した。
(方法1:シリカゲル使用)
上記構造式で示される4,5−ビス(sec−プロピルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン1.0g(3.75mmol)に1mol/lナトリウムメトキシドメタノール溶液8.3mL(2.2当量)を加え、25℃で30分撹拌した。これにメタノール1mLに溶かした0.5当量の塩化ニッケル六水和物を加え、さらに25℃で30分撹拌した。この混合液にトルエン50mL及びシリカゲル10g(ワコー社:シリカゲルC300(商品名))を加え、空気をバブリングしながら、7時間撹拌し反応を行った。得られた緑色反応溶液をろ過し、シリカゲルをろ別した後、ろ液を水洗してから濃縮した。これにメタノール25mLを加え、懸洗後、固体をろ取し、例示化合物12を78%の収率で得た。
4,5−ビス(sec−プロピルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン1.0g(3.75mmol)に1mol/lナトリウムメトキシドメタノール溶液9.4mL(2.5当量)を加え、25℃で30分撹拌した。これにメタノール1mLに溶かした0.5当量の塩化ニッケル六水和物を加え、さらに25℃で30分撹拌した。この混合液にトルエン50mL及び酢酸1.0mLを加え、空気をバブリングしながら、1時間撹拌し反応を行った。得られた緑色反応溶液を水洗した後、有機層を濃縮した。これにメタノール25mLを加え、懸洗後、固体をろ取し、例示化合物12を69%の収率で得た。
4,5−ビス(sec−プロピルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン1.0g(3.75mmol)に1mol/lナトリウムメトキシドメタノール溶液9.4mL(2.5当量)を加え、25℃で30分撹拌した。これにメタノール1mLに溶かした0.5当量の塩化ニッケル六水和物を加え、さらに25℃で30分撹拌した。この混合液にトルエン50mL及び酸型イオン交換樹脂(DIAION―PK212;H型)2.0gを加え、空気をバブリングしながら、3時間撹拌し反応を行った。得られた緑色反応溶液をろ過し、イオン交換樹脂をろ別後、ろ液を水洗してから濃縮した。これにメタノール25mLを加え、懸洗後、固体をろ取し、例示化合物12を81%の収率で得た。
EI MS:534
λ max(in THF):1004nm
1H NMR (d, CDCl3):1.51-1.54 (d, 24H) 4.10-4.19 (m, 4H)
実施例31
EI MS:646
λ max(in THF):1004nm
1H NMR (d, CDCl3) :1.02-1.17(t, 24H) 1.74-1.98 (m, 16H) 3.91-4.04 (m, 4H)
実施例32〜46
下記表に記載された化合物について製造した結果を以下に示す。各種1,3−ジチオ−2−オン類を用い、1,3−ジチオ−2−オンの使用量、塩基の種類及び使用量、並びに反応時間を下記表に記載のように変更した以外は、実施例31に記載の方法に従い、各化合物の製造を行ったところ、それぞれ表に記載された最大吸収波長を有する化合物が得られた。
(例示化合物11)0.0275gをメチルエチルケトン(以下、MEKと略記する。)0.75g及びトルエン0.53gの混合溶液に添加し超音波をかけて溶解させ、アクリル系樹脂(オプトレッツOZ1100)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(樹脂濃度35重量%)2.5gを添加し、超音波をかけて溶解させた後、この塗工液をバーコータ(No.12;江藤器械(株)製)でポリエチレンテレフタレート製フィルムに塗工し、乾燥することにより、近赤外線吸収フィルターを得たところ、このフィルターのλmaxは1012nmであった。
(例示化合物11)の代わりに(例示化合物12)を用いた以外は、実施例32と同様にして、近赤外線吸収フィルターを得た。
このフィルターのλmaxは1007nmであった。
また、このフィルターの耐熱性、耐湿熱性及び耐光性試験を実施例32と同様に行ったところ、1007nmにおける照射前後の吸収強度の変化に基づく色素残存率はそれぞれ、87.4%、98.9%及び87.2%であり、フィルター色の変化はなかった。
実施例49(フィルターの製造)
(例示化合物13)0.0275gをメチルエチルケトン(以下、MEKと略記する。)0.75g及びトルエン0.53gの混合溶液に添加し超音波をかけて溶解させ、アクリル系樹脂(オプトレッツOZ1100)のMEK/トルエン(=1/1)溶液(樹脂濃度35重量%)2.5gを添加し、超音波をかけて溶解させた後、この塗工液をバーコータ(No.12;江藤器械(株)製)でポリエチレンテレフタレート製フィルムに塗工し、乾燥することにより、近赤外線吸収フィルターを得たところ、このフィルターのλmaxは1017nmであった。
さらに、このフィルターに、富士写真フィルム(株)製UVカットフィルター(SC−39)を装着し、キセノンロングライフフェードメーター(FAL−25AX−HCB−EC)(スガ試験機社製品)により、280時間照射し、1017nmにおける照射前後の吸収強度を測定したところ、色素残存率(照射後の強度÷照射前の強度×100)は80.4%と非常に良好であり、フィルター色の変化はなかった
(例示化合物11)0.055g、下式(B1)で表される化合物0.028g及び下式(C1)で表される化合物0.033gを、MEK0.25g、トルエン1.50g及びアクリル系樹脂(オプトレッツOZ1100)のMEK溶液(樹脂濃度35重量%)2.5gと混合し、超音波をかけて(例示化合物11)、B1及びC1を溶解させ塗工液を調製した。
この近赤外線吸収フィルターは、825nm、880nm、980nmでの透過率が10%以下であり、PDP本体からの発光を有効に遮蔽していた。
このフィルターの耐熱性、耐湿熱性及び耐光性試験を実施例32と同様に行ったところ、825nm、880nm、980nmにおける照射前後の吸収強度の変化に基づく色素残存率は、それぞれ耐熱性が、88.8% 91.2%及び84.7%であり、耐湿熱性が95.8% 97.2%及び95.0%、耐光性が94.0% 93.1%及び84.1%であり、また、各試験後のフィルター色の変化は、非常に小さかった。
(例示化合物11)の代わりに(例示化合物12)0.055gを用いた他は実施例34と同様にして、近赤外線吸収フィルターを得た。
この近赤外線吸収フィルターは、825nm、880nm、980nmでの透過率が10%以下であり、PDP本体からの発光を有効に遮蔽していた。
Claims (5)
- 下記一般式(1)
で表されるジチオレート系金属錯体を得ることを特徴とするジチオレート系金属錯体の製造方法。
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