JP3660239B2 - 自動車のチャイルドシート固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車用シートにチャイルドシートを固定するものに関している。
【0002】
【従来の技術】
6歳未満の児童を自動車に乗せる際にはチャイルドシートの適用が法律上義務づけられている。チャイルドシートの取付方法として、ISOFIX方式の採用が増えてきている。ISOFIX方式とは、自動車用シート側(シートクッションフレーム等)にチャイルドシート専用の固定部材を設け、チャイルドシート側に連結部材を設け、連結部材を固定部材に係合させることにより、チャイルドシートを自動車用シートに固定する方法である。
【0003】
自動車用シート側への固定部材の取付方については、種々検討されているが、シートクッションフレームに取り付ける従来技術の第1形態を図6から8に基づき説明する。
【0004】
図3に示すとおり、自動車用シート1はシートクッション2およびシートバック3、ヘッドレスト4から構成され、シートクッション2はシートクッションフレーム5にシートクッションパッド6を載せ、表皮(図示せず)で被覆されている。シートクッションフレーム5はシートレール7に取り付けられ、自動車用シート1は前後方向に可動とされている。シートレール7はブラケット8・9等によりフロア10に固定されている。
【0005】
シートクッションフレーム5は、図5(a)からわかるように、車両幅方向に延びる前フレーム11と後フレーム12、車両前後方向に延びる横フレーム13とから構成され、横フレーム13には、補強部材のサイドブラケット14が溶接されている。1本の棒材の両端を左右のサイドブラケット14に架設したものが固定部材15となる。
【0006】
一方、図3に示すとおり、チャイルドシート16の下部には、車両後方に向かって延びる連結部材17が設けられており、連結部材17の後端部分の詳細を図4に示している。連結部材17の後端部分は自動車用シート1に連結するための連結部18となっており、連結部18には後方に開口されたU字状の切り欠き部19と、上下方向に揺動する断面L字状のロックバー20が設けられている。ロックバー20の作動機構の図示は省略してある。切り欠き部19に固定部材15が入り込み、ロックバー20が下方へ揺動すると、ロックバー20の先端部21が固定部材15の後方に当接することによってロック状態となる。こうして、連結部材17と固定部材15とが係合され、チャイルドシート16を自動車用シート1に固定する。
【0007】
また、従来技術の第2形態として、図6(a)に示すとおり、棒材をコの字型に屈曲させ、その両端22を後フレーム12に溶接して固定部材15としてもよい。固定部材15の車両幅方向部分には連結部18が連結され、この部分が固定部23となり、固定部23の両側から脚部24が延び、前述の溶接がなされる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前述した従来のチャイルドシート固定構造においては、車両横方向の支持に関して、部品重量や構造簡素化の面で改良すべき余地がある。
【0009】
図5(b)に基づき、従来技術の第1形態における課題について説明する。車両側方からの衝突等の急激な力25が車両横方向に働いてその力25が自動車用シートに作用した場合には、チャイルドシート16には相対的に外力25とは反対方向の力26が働き、チャイルドシート16は力26により車両幅方向に位置ずれをする。このとき、一方の連結部18が一方のサイドブラケット14に当接することにより、チャイルドシート16の移動が止められるが、負荷が当接したサイドブラケット14と連結部18に集中する。このように片側へ集中的に力26が作用するため、サイドブラケット14あるいは連結部18の板厚・材質強度のアップ、構造の複雑・大型化が必要となり、コスト・重量・スペース上好ましくない。
【0010】
同様に、図6(b)に基づき、従来技術の第2形態における課題について説明する。チャイルドシート16と固定部材15とは、連結部18と固定部23の係合部分のみで固定されているため、力26は係合部分に集中し、固定部23が力26方向に引張られる。このとき、固定部材15がコの字が歪むように変形しないよう、固定部材15の強度を高く設定する必要があり、コスト・重量・部品サイズの面で好ましくなく、改良が望まれる。
【0011】
従って、本発明では、構造の大型化・部材強度のアップを抑制しながら、車両前後方向の移動規制だけでなく、車両幅方向の力がチャイルドシートに加わった場合の車両幅方向の支持をも確実にすることを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明では、上記課題を解決するために、固定部材自体の構造を合理的な構造で高めると共に、連結部にかかる車両幅方向の力を支持するためのストッパー部を設けて積極的に前記車両幅方向の力に対応することを特徴としている。
【0013】
請求項1の発明によると、固定部材を、連結部を連結させるための固定部と、連結部の車両幅方向の移動を規制するためのストッパー部から構成するとともに、固定部側の端部を横フレームの付属部品に固定させ、ストッパー部側の端部を後フレームに固定させたことを特徴としている。
【0014】
固定部材の両端は車両横側と後側に各々固定され、力がかかっても固定部材が変形しにくいため、ストッパー部は連結部の車幅方向の移動をしっかりと支えることができる。したがって、チャイルドシートが位置ずれしても、サイドブラケットおよび連結部への偏った応力集中が緩和されるため、連結部と固定部材との係合構造を複雑化したり、サイドブラケットあるいは連結部の板厚・強度アップさせたり等の対策を行う必要もない。
【0017】
上述のとおり、本発明構造は、従来技術と比較して複雑な加工を必要とせず、屈曲加工および溶接のみで製造が可能であるうえ、従来技術と比較して必要なスペースもほとんど変わらずに、大きな効果を得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の車両のチャイルドシート固定構造の第1実施形態について図1および図2に従って説明する。
【0019】
図1(a)に示すとおり、シートクッションフレーム5は、車両幅方向に延びる前フレーム11と後フレーム12、車両前後方向に延びる横フレーム13から構成され、横フレーム13には補強部材のサイドブラケット14が溶接され一体で備えられている。固定部材15は、1本の棒材を屈曲させて固定部23とストッパー部27を形成したもので、固定部23は車両幅方向に延び、ストッパー部27は車両前後方向に延びている。固定部23側の端部28はサイドブラケット14に溶接され、ストッパー部27側の後部は下方に折り曲げられて脚部29とされ、その下端が後フレーム12に溶接されている。
【0020】
図2からわかるように、ストッパー部27と連結部18の横側部30の間にはスペースAが設けられている。また、他方の連結部18とサイドブラケット14との間にスペースBが設けられている。図1(b)に示すとおり、スペースAとスペースBとは同じ寸法になされている。つまり、力26によりチャイルドシート16が移動したときには、一方の連結部18がサイドブラケット14に当接するのと同時に、もう一方の連結部18がストッパー部27に当接する。従って、チャイルドシート16の移動により作用する力は、サイドブラケット14およびストッパー部27の2ヶ所に分散される。
【0025】
以上において、本発明を特定の実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内において他の種々の実施形態が可能であることは当業者にとって明らかである。例えば、固定部側の端部の固定は、横フレームの付属部材であれば、サイドブラケットに限らずともよい。すなわち、横フレームと一体をなす部材に固定すればよい。
【0026】
また、本発明は、シートクッションフレームを有していれば、どのようなシートにも適用でき、助手席・後部座席などの位置にも関係なく適用できる。
【0027】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のチャイルドシート固定構造は、チャイルドシート連結部を係合するための固定部と、連結部の車両幅方向への移動を規制するストッパー部を少なくとも有し、その両端は、静止部材であるシートクッションフレームあるいはそれと一体をなす部材に強固に固定され、さらに固定位置を選定することにより非常に高い剛性を持つ。従って、車両幅方向の大きな力がチャイルドシート連結部に作用した場合にも、固定部材が変形することなくしっかりとその力を支持することができる。また、チャイルドシートの移動に伴う連結部とサイドブラケット、および連結部とストッパー部との当接が同時に起こるように前述のスペースが設けられ、負荷が2ヶ所に分散され、偏ることがない。そのため、係合部の構造の複雑化・大型化や、部材強度アップ等の対策が必要なく、コスト・重量・スペース的に非常に有利である。また、固定部材の製造に関しては、棒材を折り曲げる工程と溶接する工程のふたつの簡易な工程で可能である。従って、従来技術と比較しても、コストアップはほとんどなく、生産効率が落ちることもない。また、大型部材を用いていないため、必要とするスペースおよび重量もほとんど変わらない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は本発明の第1実施形態を表す斜視図である。(b)は外力が加わったときの荷重状態を表す平面図である。
【図2】 図1の場合における固定部と連結部とストッパー部の位置関係を表す部分拡大図である。
【図3】 自動車用シートにチャイルドシートを固定した状態を表す全体図である。
【図4】 シートクッション内における、固定部と連結部の係合関係を表す部分拡大図である。
【図5】 (a)は従来技術の第1実施形態を表す斜視図である。(b)は外力が加わったときの荷重状態を表す平面図である。
【図6】 (a)は従来技術の第2実施形態を表す斜視図である。(b)は外力が加わったときの荷重状態を表す平面図である。
【符号の説明】
12 後フレーム
13 横フレーム
14 サイドブラケット
15 固定部材
18 連結部
23 固定部
27 ストッパー部
30 連結部の横側部
Claims (1)
- チャイルドシートに車両後方に延びる連結部材が設けられ、自動車用シートのシートクッション側に固定部材が設けられ、連結部材を固定部材に連結させることによりチャイルドシートを自動車用シートに乗せた状態で固定する形式のものにおいて、
固定部材は、少なくとも、連結部材が連結される固定部と、連結部材の横側部に当接することによって連結部材の車両幅方向の移動を規制するストッパー部とから構成され、
固定部は車両幅方向に延び、ストッパー部は車両前後方向に延びるとともに、
固定部材の反ストッパー側の端部は、シートクッションフレームの車両前後方向部分と一体をなす部材に溶接固定され、
固定部材のストッパー側の後部は、下方に折り曲げられ、その端部は、シートクッションフレームの車両幅方向部分に溶接固定されることを特徴とする自動車のチャイルドシート固定構造。
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