JP3607427B2 - 熱可塑性エラストマー樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、柔軟性に富み、流動性、引張特性、衝撃強度、耐熱性、耐油性、光沢に優れ、繰り返し疲労にも耐える熱可塑性エラストマー組成物に関する。さらに詳しくは、エチレン・αーオレフィン共重合体ゴムと特定のエチレン(共)重合体、プロピレン系重合体を含む熱可塑性エラストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーには、エチレンープロピレン共重合体ゴム(EPR)やエチレンープロピレンー非共役ジエン共重合体ゴム(EPDM)などの非晶性共重合体ゴムをソフトセグメントにポリエチレンやポリプロピレンなどの結晶性ポリオレフィンをハードセグメントに、それぞれを用いたブレンド物、またはこれらブレンド物を部分架橋させた組成物が知られている。またこれらを直接多段重合により製造する方法も知られている。そして、これらの各セグメントの割合を変えることで柔軟性に富むものから、剛性のあるものまで、各種のグレードの製品が製造されている。
柔軟性グレードは、ゴム的な材料として、自動車部品、家電、土木建築、日用雑貨類などの用途に幅広く応用できることから非常に注目されている。このような柔軟性グレードを製造する場合には、ゴム的な柔軟性を保持するために、ソフトセグメント(EPRやEPDMなど)の割合を多くし、ハードセグメント(ポリエチレンやポリプロピレンなど)の割合を少なくする必要がある。
しかしながら、EPRやEPDMのようなソフトセグメントは引張強度が弱く、耐熱性、耐油性、流動性などが悪いことから、このようなソフトセグメントを多く含む柔軟性のある熱可塑性エラストマーは、やはり上記のような欠点を持つため、各種用途に利用することができない。これらの問題を改良するためにハードセグメントの割合を増すと、柔軟性が失われ、柔軟性熱可塑性エラストマーとしての特徴が失われる。
ハードセグメントにポリプロピレンを使用すると、耐熱性に優れた熱可塑性エラストマーが得られるが、柔軟性、光沢が悪くなり、ハードセグメントとしてポリエチレンを使用すると光沢は優れるが、耐熱性が悪くなる。
これらの問題点を解決するためハードセグメントにチグラー触媒による超低密度の線状ポリエチレンとポリプロピレンを混合することも行われている(例えば特開昭63−39942号)。しかし超低密度の線状ポリエチレンでは高分岐度低分子量成分が多く内容物への溶出が多くなり、べとついたり、繰り返し変形に対する耐久性などや機械的特性や光沢がなお十分に得られないなどこれらの組成物は必ずしも十分満足のいく改良がなされていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、これらの要求を満たすことにあり、特に柔軟性に富み、流動性、引張特性、衝撃強度、耐熱性、耐油性、光沢に優れ、べたつきが少なく、また繰り返し変形に対し耐久性の良好な、熱可塑性エラストマー組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的に沿って鋭意検討を重ねた結果、エチレン・αーオレフィン共重合体ゴム(C)と、分子量分布は狭いにもかかわらず、比較的広い組成分布を持ち、なおかつ低分子量成分および非晶質部分の含有量の少ない新規なエチレン(共)重合体(A)と、さらにはプロピレン系重合体(B)を用いるにより、上記目的を達成するに至った。
【0005】
すなわち、本発明の第1は
(A)少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に、エチレン単独重合あるいはエチレンとαーオレフィンを共重合することにより得られ、下記(a)〜(f)を満足するエチレン(共)重合体30〜70重量部、
Figure 0003607427
(B)プロピレン系重合体70〜30重量部
からなる樹脂成分100重量部に対して
(C)エチレン・αーオレフィン共重合体ゴム70〜200重量部
からなることを特徴とした熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
本発明の第2は
前記本発明第1に記載の(A)エチレン(共)重合体30〜70重量部、(B)プロピレン系重合体70〜30重量部からなる樹脂成分100重量部に対して(C)エチレン・αーオレフィン共重合体ゴム70〜200重量部からなる組成物を部分架橋させて得られることを特徴とした熱可塑性エラストマー樹脂組成物である。
【0006】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明の(A)エチレン(共)重合体はエチレン単独重合体、あるいはエチレンと炭素数3〜20のα− オレフィンより選ばれた一種以上との共重合体を含むものである。この炭素数3〜20のα− オレフィンとしては、好ましくは3〜12のものであり、具体的にはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、などが挙げられる。また、これらのαーオレフインの含有量は、合計で通常30モル%以下、好ましくは20モル%以下の範囲で選択されることが望ましい。
【0007】
本発明の(A)エチレン(共)重合体の密度(a)はその用途の要求特性によって異なるが、0.86〜0.96g/cmの範囲である。例えば、剛性を特に要求される用途では密度が0.92g/cm以上のものが好ましく用いられる。柔軟性や、耐衝撃性を特に要求される用途では0.92g/cm以下のものが好ましく用いられる。なお一般的には好ましくは0.87〜0.93g/cm、より好ましくは0.87〜0.91g/cmの範囲である。密度が0.86g/cm未満では剛性、耐熱性が劣り、組成物の表面にべたつきが発生し不具合を生じる。0.96g/cmを超えると組成物の柔軟性、耐衝撃性、引張強度などの機械的強度が低下し望ましくない。
【0008】
本発明の(A)エチレン(共)重合体のMFR(b)は0.01〜100g/10min 、好ましくは0.1〜50g/10min の範囲にあることが望ましい。なおMFRが0.01g/10min 未満では組成物のMFRが低下しすぎて流動性が悪くなり、成形加工性が悪くなる。100g/10min を超えると組成物の耐衝撃性、引張強度などの機械的強度が低下する。
【0009】
本発明の(A)エチレン(共)重合体の分子量分布Mw/Mn(c)の算出方法は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を求め、この比Mw/Mnを求めるものである。
本発明のエチレン・αーオレフイン共重合体のMw/Mnは1.5〜4.5であり、好ましくは1.5〜3.5、より好ましくは2.0〜3.0、さらに好ましくは2.2〜2.9の範囲にあることが望ましい。Mw/Mnが1.5未満では組成物の成形加工性が悪くなり、4.5を超えると組成物の耐衝撃性が劣ったり、べたつきが生じたりする。
【0010】
本発明の(A)エチレン(共)重合体の組成分布パラメーターCb(d)は1.08〜2.00の範囲、好ましくは1.10〜1.80、さらに好ましくは1.12〜1.70の範囲である。Cb値が2.00を超えると、組成物の耐衝撃性、引張特性、繰り返し変形に対する耐久性、耐環境応力劣化性の悪化や、成形品のべたつきが大きくなる恐れがある。また共重合体においてはCb値が1.08未満では耐熱性が低下する恐れがある。
【0011】
本発明の、エチレン(共)重合体の組成分布パラメーターCb(d)の測定法は下記の通りである。
【0012】
試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに試料濃度が0.2重量%となるように135℃で加熱溶解する。この加熱溶液を、けい藻土(セライト545)を充填したカラムに移送し充満後0.1℃/min で25℃まで冷却し、試料をセライト表面に析出沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を5℃きざみに120℃まで段階的に昇温しながら、各温度において、試料を溶解した溶液を採取する。この溶液を冷却後メタノールで試料を再沈後、ろ過、乾燥し、各溶出温度における試料を得る。この分別された試料の重量分率および分岐度(炭素数1000個あたりの分岐数)を測定する。分岐度の測定は13CーNMRにより求める。
【0013】
このような方法で30℃から90℃で採取した各フラクションについては次のような、分岐度の補正を行う。すなわち、溶出温度に対して測定した分岐度をプロットし、相関関係を最小自乗法で直線に近似し、検量線を作成する。この近似の相関係数は十分大きい。この検量線により求めた値を各フラクションの分岐度とする。なお、溶出温度95℃以上で採取したフラクションについては溶出温度と分岐度に必ずしも直線関係が成立しないのでこの補正は行わない。
【0014】
次にそれぞれのフラクションの重量分率wを、溶出温度5℃当たりの分岐度bの変化量(bーbi−1 )で割って相対濃度cを求め、分岐度に対して相対濃度をプロットし、組成分布曲線を得る。この組成分布曲線を一定の幅で分割し、次式より組成分布パラメーターCbを算出する。
【数1】
Figure 0003607427
ここで cとbはそれぞれj番目の区分の相対濃度と分岐度である。組成分布パラメーターCbは試料の組成が均一である場合に1.0となり、組成分布が広がるに従って値が大きくなる。
【0015】
なお、エチレン(共)重合体の組成分布を記述する方法は多くの提案がなされている。例えば特開昭60ー88016号では、試料を溶剤分別して得た各分別試料の分岐数に対して、累積重量分率が特定の分布(対数正規分布)をすると仮定して数値処理を行い、重量平均分岐度(Cw)と数平均分岐度(Cn)の比を求めている。この近似計算は、試料の分岐数と累積重量分率が対数正規分布からずれると精度が下がり、市販のLLDPEについて測定を行うと相関係数R2 はかなり低く、値の精度は充分でない。このCw/Cnと本発明のCbとは、定義および測定方法が異なる。
【0016】
本発明の(A)エチレン(共)重合体の、25℃におけるODCB可溶分量X(e)は、エチレン(共)重合体に含まれる高分岐度成分および低分子量成分の割合を示すものであり、耐熱性の低下や成形品表面のベタツキの原因をなるため少ないことが望ましい。ODCB可溶分の量は、共重合体全体のα−オレフィンの含有量および平均分子量、すなわち密度とMFRに影響される。従って、前記ODCB可溶分の量X(重量%)は密度dとMFRの関係が、d−0.008 ×logMFR≧0.93を満たす場合は2重量%未満、好ましくは1重量%未満、さらに好ましくは0.5重量%未満であることが望ましい。
また、dとMFRの関係が、d−0.008 ×logMFR<0.93を満たす場合は X<9.8 ×10×(0.9300 ーd +0.008 ×log MFR)+2.0の関係を満足し、好ましくはX<7.4 ×10×(0.9300 ーd +0.008 ×log MFR)+1.0、さらに好ましくはX<5.6 ×10×(0.9300 ーd +0.008 ×log MFR)+0.5の範囲であることが望ましい。
密度、MFRとODCB可溶分の量が上記の関係を満たすことは、共重合体全体に含まれているα−オレフィンが遍在していないことを示している。
【0017】
なお、前記の25℃におけるODCB可溶分量Xは、下記の方法により測定する。
すなわち試料0.5gを20mlのODCBに加え135℃で2時間加熱し、試料を完全に溶解した後、25℃まで冷却する。この溶液を25℃で一晩放置後、テフロン製フィルターでろ過してろ液を採取する。試料溶液であるろ液を赤外分光器によりメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm−1付近の吸収ピーク強度を測定し、あらかじめ作成した検量線によりろ液中の試料濃度を算出する。この値より、25℃におけるODCB可溶分を求める。
【0018】
本発明のエチレン(共)重合体は連続昇温溶出分別法(TREF)により求めた溶出温度ー溶出量曲線において、ピークが複数個ある(f)必要があり、さらにその高温側のピークが85℃から100℃の間に存在することが特に好ましい。このピークが存在することにより、融点が高くなりまた結晶化度が上昇し成形体の耐熱性および剛性が向上する。図1に本発明の共重合体の溶出温度ー溶出量曲線を示した。図2にはいわゆる市販のメタロセン触媒による共重合体の溶出温度ー溶出量曲線であり両者は顕著に異なる。
【0019】
本発明にかかわるTREFの測定方法は下記の通りである。試料に耐熱安定剤を加え、ODCBに試料濃度0.05重量%となるように135℃で加熱溶解する。この加熱溶液5mlを、ガラスビーズを充填したカラムに注入した後、0.1℃/min の冷却速度で25℃まで冷却し、試料をガラスビーズ表面に沈着する。次に、このカラムにODCBを一定流量で流しながら、カラム温度を50℃/hrの一定速度で昇温し、各温度において溶液に溶解可能な試料を順次溶出させる。この際、溶剤中の試料濃度はメチレンの非対称伸縮振動の波数2925cm−1に対する吸収を赤外検出器で連続的に検出される。この濃度から、溶出温度ー溶出量曲線を得ることができる。
TREF分析は極少量の試料で、温度変化に対する溶出速度の変化を連続的に分析出来るため、分別法では検出出来ない比較的細かいピークの検出が可能である。
【0020】
本発明の(A)エチレン(共)重合体の製造は、少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に、エチレン単独あるいはエチレンと炭素数3〜20のαーオレフィンを(共)重合させることによって行なわれる。上記触媒は以下の(1)周期律表第IV族の遷移金属化合物と(3)共役二重結合を持つ有機環状化合物に以下に示す触媒成分(2)および(4)を相互に接触することによって得られる触媒で(共)重合することが望ましい。
すなわち、(1):一般式Me (OR 4−p−q−rで表される周期律表第IV族の遷移金属化合物(式中Meはジルコニウム、チタン、ハフニウムを示し、RおよびRは個別に炭素数1〜24の炭化水素基またはトリアルキルシリル基、Rは2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体あるいはジベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子などの誘導体を示す、Xはハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲を満たす整数である)、(2):一般式Me (OR z−m−n で表される化合物(式中Meは周期律表第I 〜III 族元素、RおよびRは各々炭素数1〜24の炭化水素基、Xはハロゲン原子または水素原子(ただし、Xが水素原子の場合はMeは周期律表第III 族元素の場合に限る)を示し、zはMeの価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦z、かつ0≦m+n≦zの範囲を満たす整数である)、(3):共役二重結合を持つ有機環状化合物、および(4):Al−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物および/またはホウ素化合物を相互に接触させて得られる触媒である。
【0021】
上記触媒成分(1)の一般式Me (OR)rX 4−p−q−rで表される化合物の式中Meはジルコニウム、チタン、ハフニウムを示す。これらの遷移金属の種類は限定されるものではなく、複数を用いることもできるが、共重合体の耐候性の優れるジルコニウムが含まれることが特に好ましい。RおよびRはそれぞれ炭素数1〜24の炭化水素基で、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。Rは2,4ーペンタンジオナト配位子またはその誘導体(CHCOCHCOCH)、あるいはジベンゾイルメタナト配位子、ベンゾイルアセトナト配位子などの誘導体を示す。Xはフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子を示し、p、qおよびrはそれぞれ0≦p≦4、0≦q≦4、0≦r≦4、0≦p+q+r≦4の範囲である。
【0022】
上記触媒成分(1)一般式で示される化合物の例としては、テトラメチルジルコニウム、テトラエチルジルコニウム、テトラベンジルジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、トリプロポキシモノクロロジルコニウム、ジプロポキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、トリブトキシモノクロロジルコニウム、ジブトキシジクロロジルコニウム、テトラブトキシチタン、テトラブトキシハフニウムなどが挙げられ、また、前記2,4−ペンタンジオナト配位子またはその誘導体等の具体例には、テトラ(2,4−ペンタンジオナト)ジルコニウム、トリ(2,4−ペンタンジオナト)クロライドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジ−n−ブトキサイドジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジベンジルジルコニウム、ジ(2,4−ペンタンジオナト)ジネオフイルジルコニウム、テトラ(ジベンゾイルメタナート)ジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナート)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルメタナート)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム、ジ(ベンゾイルアセトナート)ジエトキサイドジルコニウム、ジ(ジベンゾイルアセトナート)ジ−n−プロポキサイドジルコニウム等があげられ、これらを2種以上混合して用いても差し支えない。
【0023】
上記触媒成分(2)の一般式Me (OR z−m−n で表される化合物の式中Meは周期律表第I 〜III 族元素を示し、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウムなどである。RおよびRは各々炭素数1〜24の炭化水素基、好ましくは炭素数1〜12、さらに好ましくは1〜8の炭化水素基であり、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;ビニル基、アリル基などのアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、インデニル基、ナフチル基などのアリール基;ベンジル基、トリチル基、フェネチル基、スチリル基、ベンズヒドリル基、フェニルブチル基、ネオフイル基などのアラルキル基などが挙げられる。これらは分岐があってもよい。Xはフッ素、ヨウ素、塩素および臭素などのハロゲン原子または水素原子を示すものである。ただし、Xが水素原子の場合はMeはホウ素、アルミニウムなどに例示される周期律表第III 族元素の場合に限るものである。また、zはMeの価数を示し、mおよびnは各々0≦m≦z、0≦n≦zの範囲を満たす整数であり、かつ、0≦m+n≦zである。
【0024】
上記触媒成分(2)の一般式で示される化合物の例としては、メチルリチウム、エチルリチウムなどの有機リチウム化合物;ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、メチルマグネシウムクロライド、エチルマグネシウムクロライドなどの有機マグネシウム化合物;ジメチル亜鉛、ジエチル亜鉛などの有機亜鉛化合物;トリメチルボロン、トリエチルボロンなどの有機ボロン化合物;トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、エチルアルミニウムジクロライド、エチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムエトキサイド、ジエチルアルミニウムハイドライドなどの有機アルミニウム化合物等が挙げられる。
【0025】
上記触媒成分(3)の共役二重結合を持つ有機環状化合物としては、環状で共役である二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素化合物;前記環状炭化水素化合物が部分的に1〜6個の炭化水素残基(典型的には、炭素数1〜12のアルキル基またはアラルキル基)で置換された環状炭化水素化合物;共役である二重結合を2個以上、好ましくは2〜4個、さらに好ましくは2〜3個有する環を1個または2個以上もち、全炭素数が4〜24、好ましくは4〜12である環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物;前記環状炭化水素基が部分的に1〜6個の炭化水素残基またはアルカリ金属塩(ナトリウムまたはリチウム塩)で置換された有機ケイ素化合物が含まれる。特に好ましくは分子中のいずれかにシクロペンタジエン構造をもつものが望ましい。
【0026】
上記の好適な化合物としては、シクロペンタジエン、インデン、アズレンまたはこれらのアルキル、アリール、アラルキル、アルコキシまたはアリールオキシ誘導体などが挙げられる。また、これらの化合物がアルキレン基(その炭素数は通常2〜8、好ましくは2〜3)を介して結合(架橋)した化合物も好適に用いられる。
【0027】
環状炭化水素基を有する有機ケイ素化合物は、下記一般式で表示することができる。
SiR4−L
ここで、Aはシクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基で例示される前記環状水素基を示し、Rはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基などのアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などのアルコキシ基;フェニル基などのアリール基;フェノキシ基などのアリールオキシ基;ベンジル基などのアラルキル基で示され、炭素数1〜24、好ましくは1〜12の炭化水素残基または水素を示し、Lは1≦L≦4、好ましくは1≦L≦3である。
【0028】
上記成分(3)の有機環状炭化水素化合物の具体例としては、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、エチルシクロペンタジエン、1,3ージメチルシクロペンタジエン、インデン、4ーメチルー1ーインデン、4,7ージメチルインデン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、シクロオクタテトラエン、アズレン、フルオレン、メチルフルオレンのような炭素数5〜24のシクロポリエンまたは置換シクロポリエン、モノシクロペンタジエニルシラン、ビスシクロペンタジエニルシラン、トリスシクロペンタジエニルシラン、モノインデニルシラン、ビスインデニルシラン、トリスインデニルシラン等が挙げられる。
【0029】
触媒成分(4)のAl−O−Al結合を含む変性有機アルミニウム化合物は、アルキルアルミニウム化合物と水とを反応させることにより得られる通常アルミノキサンと称される変性有機アルミニウムが好ましく、これは分子中に通常1〜100個、好ましくは1〜50個のAl−OーAl結合を含有する。また、変性有機アルミニウム化合物は線状でも環状でもいずれでもよい。
【0030】
有機アルミニウムと水との反応は通常不活性炭化水素中で行われる。該不活性炭化水素としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の脂肪族、脂環族または芳香族炭化水素が好ましい。
水と有機アルミニウム化合物との反応比(水/Alモル比)は通常0.25/1〜1.2/1、好ましくは0.5/1〜1/1であることが望ましい。
【0031】
ホウ素化合物の具体的な例としては、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸トリエチルアンモニウム(トリエチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ジメチルアニリニウム(ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、ブチルアンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラ(3,5−ジフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
【0032】
また、本発明では上記触媒成分(1)〜(4)を相互に接触させることにより得られる触媒を、無機物担体および/または粒子状ポリマー担体(5)に担持させて重合反応に用いることもできる。成分(5)の無機物担体は、本発明の触媒を調製する段階において、本来の形状を保持している限り、粉末状、粒状、フレーク状、箔状、繊維状などいずれの形状であっても差し支えないが、いずれの形状であっても、最大長は通常5〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲のものが適している。また、無機物担体は多孔性であることが好ましく、通常、その表面積は50〜1000m/g、細孔容積は0.05〜3cm/gの範囲にある。
本発明の無機物担体としては、炭素質物、金属、金属酸化物、金属塩化物、金属炭酸塩またはこれらの混合物が使用可能であり、これらは通常200〜900℃で空気中または窒素、アルゴンなどの不活性ガス中で焼成して用いられる。
【0033】
該無機物担体に用いることができる好適な金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケルなどが挙げられる。また、金属酸化物としては周期律表I〜VIII族の単独酸化物または複合酸化物が挙げられ、具体的にはSiO、Al、MgO、CaO、B、TiO、ZrO、Fe、SiOーAl、AlーMgO、AlーCaO、AlーMgOーCaO、AlーMgOーSiO、AlーCuO、AlーFe、AlーNiO、SiOーMgOなどが挙げられる。なお酸化物で表示した上記の式は分子式ではなく、組成のみを示すものである。つまり、本発明において用いられる複酸化物の構造および成分比率は、特に限定されるものではない。また、本発明において用いる金属酸化物は、少量の水分を吸着していても差し支えなく、少量の不純物を含有していても差し支えない。
【0034】
金属塩化物としては、たとえばアルカリ金属、アルカリ土類金属の塩化物が好ましく、具体的にはMgCl、CaClなどが特に好適である。金属炭酸塩としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の炭酸塩が好ましく、具体的には、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどが挙げられる。炭素質物質としてはたとえばカーボンブラック、活性炭などが挙げられる。
以上の無機担体はいずれも本発明に好適に用いられることができるが、特に金属酸化物のシリカ、アルミナなどの使用が好ましい。
【0035】
一方、粒子状ポリマー担体としては、触媒調製時および重合反応時において、溶融などせずに固体状を保つものである限り、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれもが使用でき、その粒径は通常5〜2000μm、好ましくは10〜100μmの範囲のものが望ましい。これらのポリマー担体の分子量は、当該ポリマーが触媒調製時および重合反応時において固体状物質として存在できる程度であれば、特に限定されることはなく、低分子量のものから超高分子量のものまで任意に使用可能である。
具体的には、粒子状のエチレン重合体、エチレン・αーオレフィン共重合体、プロピレン重合体または共重合体、ポリ1ーブテンなどで代表される各種のポリオレフィン(好ましくは炭素数2〜12)、ポリエステル、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリノルボルネン、各種天然高分子およびこれらの混合物等が挙げられる。
【0036】
上記無機物担体および/または粒子状ポリマー担体は、このまま使用することもできるが、好ましくは予備処理としてこれらの担体を有機アルミニウム化合物やAl−OーAl結合を含む変性有機アルミニウム化合物などに接触処理させた後に成分(5)として用いることもできる。
【0037】
本発明の(A)エチレン(共)重合体は、気相法、スラリー法、溶液法等で製造され、一段重合法、多段重合法など特に限定されるものではない。
上記の方法で重合され、前記(a)〜(f)を満足するエチレン(共)重合体(A)を用いることにより、柔軟性、機械的強度、耐熱性のバランスがよく、また光沢、繰り返し使用に対する耐久性に優れた組成物となる。
【0038】
本発明の(B)プロピレン系重合体とは、プロピレン単独重合体、プロピレンとαーオレフインのブロック共重合体、プロピレンとαーオレフインのランダム共重合体等であり、好ましい共重合体はプロピレンと炭素数2〜8(但し炭素数3を除く)のαーオレフィンの1種または2種以上との共重合体であり、たとえばエチレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが好ましい。コポリマー中のこれらの共重合成分は30モル%以下が好ましい。該プロピレン系重合体は、公知技術によりチグラー・ナッタ型触媒を用いて重合される。特に耐熱性を要求される用途においてはプロピレン単独重合体が好ましく用いられるが、ブロック重合体やランダム重合体は永久伸びが優れ、それらの特性によって使いわけられる。
【0039】
前記(B)プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は0.1〜100g/10min 、さらに好ましくは0.5〜70g/10min のものが用いられる。MFRが0.1g/10min 未満の場合は組成物の流動性が悪く成形が難しくなる。また70g/10min を超える場合は引張強度や衝撃強度が弱くなり好ましくない。これらのMFRは重合された重合体を有機過酸化物とともに加熱分解し調製したものであっても差し支えない。
【0040】
本発明の(C)エチレン・αーオレフィン共重合体ゴムとは、エチレン・αーオレフィン共重合体ゴムまたはエチレンーαーオレフィンー非共役ジエン共重合体ゴムであり、これらの共重合体ゴムは非晶性の共重合体である。エチレン・αーオレフィン共重合体ゴム成分中のαーオレフィンとしてはプロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられる。特に好ましくはプロピレンである。非共役ジエンとしては、1、4ーヘキサジエン、1、6ーオクタジエン、ジシクロペンタジエン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどが挙げられる。好ましくは、1、4ーヘキサジエンやエチリデンノルボルネンである。
【0041】
前記(C)エチレン・αーオレフィン共重合体ゴムのムーニー粘度(ML1+4 、100℃)は10〜95程度のものが好ましい。エチレン・αーオレフィン共重合体ゴムのムーニー粘度が10より小さいと、組成物の引張強度が低下したり、表面がベタついたリして好ましくない。ムーニー粘度が95を超えると組成物の流動性が悪くなり好ましくない。
【0042】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物中に占めるエチレン(共)重合体(A)(以下成分(A)という)、プロピレン系重合体(B)(以下成分(B)という)およびエチレンーαーオレフィン共重合体ゴム(C)(以下成分(C)という)の組成割合は、成分(A)が30〜70重量部、好ましくは40〜60重量部、成分(B)が70〜30重量部、好ましくは60〜40重量部であり、さらに成分(C)は成分(A)+成分(B)100重量部に対して70〜200重量部、好ましくは100〜150重量部である。
成分(A)が70重量部を越えると耐熱性や流動性が低下し、30重量部未満では柔軟性、光沢が不足し望ましくない。成分(B)が70重量部を越えると、耐熱性は良好となるものの柔軟性、光沢が不足し、30重量部未満では耐熱性が悪化する。また、成分(C)が成分(A)+成分(B)100重量部に対して70重量部未満では柔軟性が不足し、200重量部を越えると耐熱性や強度が低下する。
【0043】
本発明の熱可塑性エラストマーは特に耐熱性や耐油性が要求される用途には部分架橋して用いられる。部分架橋とは、組成物の一部分を架橋するものであり、流動性を維持しながら、架橋剤を使用して部分架橋させるものである。
部分架橋を行う際、前記の成分(A)、成分(B)および成分(C)を所定の組成割合となるように配合してから、部分架橋してもよいが、同じ配合比で高い流動性、光沢を得るには成分(B)と成分(C)を配合、部分架橋後、成分(A)を配合する方法が引張強度および耐熱性はやや低下するが好ましい。
部分架橋物を製造する方法としては、任意の公知技術が使用できる。代表的な例は、上記組成物に架橋剤を添加して機械的な溶融混練を行う方法であり、一軸および二軸押出機、バンバリーミキサー、各種ニーダー、ロールなどを用いて部分架橋させることができる。溶融混練の温度は一般に300℃以下であり、好ましくは使用する架橋剤の半減期が1分以下となる温度で、通常100〜300℃である。また、架橋剤を含浸等により混合した後、熱あるいは放射線によって部分架橋させてもよい。
【0044】
架橋剤としては通常、有機過酸化物が用いられる。具体的には、2,5ージメチルー2,5ージ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジーt−ブチルパーオキシド、ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジ(t−ブチルパーオキシ)ジイソブチルベンゼン、ジクミルパーオキシド、t−ブチルクミルパーオキシド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1ービス(t−ブチルパーオキシ)ー3,3,5ートリメチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、p−クロルベンゾイルパーオキシドなどが挙げられる。また、架橋助剤を使用しても良い。具体的には液状ポリブタジエン、ジビニルベンゼン、エチレンジメタクリレート、ジアリルフタレートなどを挙げることができる。
架橋剤の使用量は樹脂組成物に対し0.005〜3重量%、好ましくは0.05〜1重量%である。架橋剤の使用量は架橋組成物に要求される性能によって決定されるので必ずしもこれらの数字に限定されるものではない。また、数種類の架橋剤や架橋助剤を目的によって併用してもよい。
このようにして部分架橋させて得られる本発明の熱可塑性エラストマー組成物を沸騰キシレンで5時間抽出して測定される沸騰キシレン不溶分率(ゲル分率)は、0.5〜60重量%、好ましくは2〜50重量%である。ゲル分率が0.5重量%より少ないと耐油性などが低下し、またゲル分率が60重量%を超えると引張強度や伸びが低下し望ましくない。
【0045】
本発明においては、本発明で意図する特性を本質的に損なわない範囲において、必要に応じてカーボンブラック、炭酸カルシウム、シリカ、金属繊維、炭素繊維などの各種フィラーや酸化防止剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、紫外線吸収剤、分散剤などの公知の添加剤や、フィラーの分散を助け、柔軟性や弾性を増す目的でパラフィン系、ナフテン系あるいは芳香族系の植物油を必要に応じて配合してもよい。また、部分架橋を行う場合には、架橋の前後、ないし架橋時(特に溶融混練時)に上記添加剤を必要に応じて配合してもよい。
さらに本発明で意図する特性を本質的に損なわない範囲において、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどの結晶性ポリオレフィン、天然ゴム、各種合成ゴム、スチレン系熱可塑性組成物などの各種樹脂やゴムを必要に応じて配合してもよい。
【0046】
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は射出成形、押出成形、中空成形、インフレーション成形、Tダイ成形等によって成形され、例えば自動車部品としてはバンパー、マッドガード、内装表皮材、家電製品としてはホース、パッキン等として用いられ、その他建築用ガスケット、遮音材料、文房具、日用雑貨類などに用いられる。
【0047】
【実施例】
次に実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
なお本実施例に用いた試験法は以下の通りである。
Figure 0003607427
Figure 0003607427
【0048】
(エチレン・αーオレフィン共重合体の重合)
固体触媒の調製
窒素下で電磁誘導撹拌機付き触媒調製器(No. 1)に精製トルエンを加え、ついでジプロポキシジクロロジルコニウム(Zr(OPr)Cl)28gおよびメチルシクロペンタジエン48gを加え、0℃に系を保持しながらトリデシルアルミニウムを45gを滴下し、滴下終了後、反応系を50℃に保持して16時間撹拌した。この溶液をA液とする。次に窒素下で別の撹拌器付き触媒調製器(No. 2)に精製トルエンを加え、前記A溶液と、ついでメチルアルミノキサン6.4molのトルエン溶液を添加し反応させた。これをB液とする。
次に窒素下で撹拌器付き調製器(No. 1)に精製トルエンを加え、ついであらかじめ400℃で所定時間焼成処理したシリカ(富士デビソン社製、グレード#952、表面積300m/g)1400gを加えた後、前記B溶液の全量を添加し、室温で撹拌した。ついで窒素ブローにて溶媒を除去して流動性の良い固体触媒粉末を得た。これを触媒Cとする。
【0049】
試料A1、A2の重合
連続式の流動床気相法重合装置を用い、重合温度70℃、全圧20kgf/cmGでエチレンと1−ブテンの共重合を行った。前記触媒Cを連続的に供給して重合を行ない、系内のガス組成を一定に保つため、各ガスを連続的に供給しながら重合を行った。なお、試料量が足りない場合はこれらの操作を繰り返して必要量を得た。
また、生成した共重合体の物性は以下の通りである。
Figure 0003607427
【0050】
試料B1はMFR:7g/10min のプロピレンーエチレンランダム共重合体(エチレン含量5.9mol%)、B2はMFR:8g/10min のプロピレンーエチレンブロック共重合体(エチレン含量5.3mol%)、B3はMFR:1g/10min のプロピレン単独重合体である。
【0051】
試料C1、C2の重合
C1は三塩化バナジルーエチルアルミニウムセスキクロリド系触媒を用いて共重合させたエチレンープロピレン共重合体ゴムである。共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4 、100℃)は73であり、プロピレン含有量は26重量%、密度は0.862g/cmであった。
C2は三塩化バナジルーエチルアルミニウムセスキクロリド系触媒を用いて、エチレン、プロピレンおよびエチリデンノルボルネン(ENB)を共重合させた共重合ゴムである。共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4 、100℃)は90であり、プロピレン含有量は27重量%、密度は0.863g/cm、共重合体ゴム中のENB含有量はヨウ素価に換算して16であった。
【0052】
(実施例1)〜(実施例9)
本発明の効果を調べたもので、表1に示した成分のうち成分(B)プロピレン系重合体、成分(C)エチレン・αーオレフィン共重合体ゴムに架橋剤としてジ(t−ブチルパーオキシ)ジプロピルベンゼンを0.5重量%、酸化防止剤としてイルガノックス1010(商品名、チバガイギー社製)0.1重量%、滑剤としてステアリン酸カルシウム0.15重量%(重量%はいずれも全重合体100重量部に対する)をドライブレンドしたのち、200℃に予熱したバンバリーミキサーに投入し、10分間混練をおこなった。ついで、成分(A)エチレン(共)重合体を投入して、再度200℃で10分間混練して熱可塑性エラストマー組成物を得た。前記の方法で各種試験を行った。その結果を表1に併せて示した。
(実施例10)
実施例1と同様の組成を用い、部分架橋しないものである。その結果を表1に示す。
【0053】
(比較例1)
実施例1のエチレン・1−ブテン共重合体の代わりに、エチレンと1−ブテンを通常のチグラー系触媒で共重合させてMFR:0.9g/10min 、密度:0.900g/cmとした直鎖状低密度ポリエチレンA3を用いた以外は実施例1と同様に行った。結果を表1に示す.強度が弱く、永久のびが大きい。
(比較例2)
実施例2のエチレン・1−ブテン共重合体の代わりに、エチレンと1−ブテンを通常のチグラー系触媒で共重合させてMFR:0.9g/10min 、密度:0.900g/cmとした直鎖状低密度ポリエチレンA3を用いた以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。永久伸びがやや大きく光沢もやや悪い。
(比較例3)
実施例2のエチレン・1−ブテン共重合体の代わりに、エチレンと1−ブテンを通常のチグラー系触媒で共重合させてMFR:1.0g/10min 、密度:0.920g/cmとした直鎖状低密度ポリエチレンA4を用いた以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。永久伸びが大きい。光沢がやや悪い。
(比較例4)
実施例2の成分A− 1を20重量部、成分B− 1を80重量部とした以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。柔軟性がなく、永久伸びも大きい。また光沢が悪い。 (比較例5)
実施例2の成分A− 1を80重量部、成分B− 1を20重量部とした以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。耐熱性が悪く、強度も不十分である。
(比較例6)
実施例2の成分C− 2を300重量部とした以外は実施例2と同様に行った。結果を表1に示す。強度が弱く、光沢が悪い。また、耐熱性が悪い。
(比較例7)
比較例1と同様の組成を用い、部分架橋をしないものである。結果を表1に示す。強度が弱く、永久伸びが大きい。
【0054】
【表1】
Figure 0003607427
【0055】
【発明の効果】
エチレン・αーオレフィン共重合体ゴムに、分子量分布が狭く、組成分布が適度な広さを有する特定のエチレン(共)重合体、プロピレン系重合体を配合することにより柔軟性に富み、流動性、引張特性、衝撃強度、耐熱性、耐油性、光沢に優れ、ベタつきの少ない、繰り返し疲労にも耐える熱可塑性エラストマー組成物を提供することが可能となる。また、さらにこれらの組成物を部分架橋することにより、更に耐熱性と耐油性が向上した熱可塑性エラストマー組成物を提供できる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物は上記のような優れた特性を有していることから、バンパー、マッドガード、内装表皮材などの自動車部品、家電、各種パッキン、建築用ガスケット、遮音材料などの土木建築、文房具などの日用雑貨類などの用途に幅広く応用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いる共重合体のTREF曲線である。
【図2】メタロセン共重合体のTREF曲線である。

Claims (2)

  1. (A)少なくとも共役二重結合を持つ有機環状化合物および周期律表第IV族の遷移金属化合物を含む触媒の存在下に、エチレンを単独重合あるいはエチレンとαーオレフィンを共重合することにより得られ、下記(a)〜(f)を満足するエチレン(共)重合体30〜70重量部、
    Figure 0003607427
    (B)プロピレン系重合体70〜30重量部
    からなる樹脂成分100重量部に対して
    (C)エチレン・αーオレフィン共重合体ゴム70〜200重量部
    からなることを特徴とした熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
  2. 前記請求項1に記載の(A)エチレン(共)重合体30〜70重量部、(B)プロピレン系重合体70〜30重量部からなる樹脂成分100重量部に対して(C)エチレン・αーオレフィン共重合体ゴム70〜200重量部からなる組成物を部分架橋させて得られることを特徴とした熱可塑性エラストマー樹脂組成物。
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