JP3023735B2 - 写真材料の製造方法 - Google Patents

写真材料の製造方法

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JP3023735B2
JP3023735B2 JP4220279A JP22027992A JP3023735B2 JP 3023735 B2 JP3023735 B2 JP 3023735B2 JP 4220279 A JP4220279 A JP 4220279A JP 22027992 A JP22027992 A JP 22027992A JP 3023735 B2 JP3023735 B2 JP 3023735B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は写真材料の製造方法に関
し、特に低いゼラチン濃度の塗布液を用いて製造されて
も塗布ムラの少ない写真材料の製造方法に関する。
【0002】
【発明の背景】ハロゲン化銀写真感光材料は一般に支持
体上に親水性バインダーと感光性ハロゲン化銀粒子、お
よび種々の添加剤が含有される。一般に、多層式カラー
感光材料においては、複数の層が支持体上に塗設されて
いる。従って、層構成が複雑になればなるほど、親水性
バインダーからなる層の膜厚は増加する傾向にあるが、
この場合、鮮鋭性の低下、現像性や脱銀性の低下、ある
いは皮膜物性の低下などが起こり易くなる。
【0003】また、拡散性色素を放出する拡散転写型の
感光材料においては、膜厚の増加は拡散距離の増加にと
もなう現像時間の増加や鮮鋭性の低下などの好ましくな
い問題を発生する。
【0004】そのため、多層式カラー感光材料において
は、特に1層当たりの親水性バインダー、通常好ましく
用いられるゼラチンの使用量を減少することが感光材料
の設計上での大きな課題である。
【0005】しかしながら、ゼラチンの減量は塗布を安
定に行うために塗布液に要求される粘度やセット温度と
の関係においてしばしば問題が生じる。例えば、ゼラチ
ンを減量したときに塗布液中のゼラチン濃度の低下にと
もない、安定な塗布に必要とされる塗布液粘度に比べて
極端に少ない量の粘度しか得られないという問題や、支
持体上に塗布後、乾燥前にセットする温度が極端に低下
してセット性が悪化し、その後の乾燥工程での乾燥ムラ
を生じ易くなる。
【0006】従来から、かかる課題に対して、種々の改
良手段が用いられている。
【0007】具体的には、塗布液中にデンプン、デキス
トランやデキストラン硫酸塩、カルボキシルメチルセル
ロースや硫酸セルロース、さらにはアクリルアミド、ア
ルギン酸、アクリル酸ナトリウム、ポリビニルピロリド
ン、スチレン−マレイン酸コポリマーなどの広範な増粘
剤が用いられている。
【0008】しかしながら従来のこうした増粘剤は確か
にある程度の増粘効果を出すことができてはいるが、多
量の多価金属イオンの共存下で増粘効果が低下したり、
十分な増粘効果をもたせるためには相当量の増粘剤の添
加を必要とし、そのために塗布・乾燥後の皮膜物性が大
きく低下し易いなどの問題が生じ易かった。
【0009】また、従来使用されている増粘剤の多くは
塗布液のセット温度そのものは上昇させることがあまり
出来なく、従って比較的低いゼラチン濃度の塗布液に対
しては塗布性の改良に対してあまり有効ではなかった。
【0010】こうした問題を軽減する目的で、特開平1-
221736号には、グルコース、マルトース、スクロースま
たはキシロースの微生物発酵で細胞外に形成された多糖
類を使用することが開示されている。そして、1価、2
価、3価のカチオンにより増粘効果とセット温度の上昇
効果が得られることが記載されている。そして特に好ま
しい多糖類としてゲランガムが記載されている。そのよ
うなゲランガムは実際に上市されており、例えば、米国
ケルコ社から「ケルコゲル」の商品名として市販されて
いる。
【0011】しかしながら、この多糖類は、溶解温度に
約90℃以上の高温を必要とし、しかも、他のゼラチンを
主体とする親水性バインダーとの接着性が劣化し易いと
いう欠点がある。
【0012】また、この多糖類が、前記明細書に記載さ
れているように、2価以上の多価金属イオンだけでなく
Li+,Na+,K+といったきわめて一般的である1価
のカチオンによってもセット温度が支配されるという性
質を有しているが、これは通常写真材料の塗布液を調製
する際に使用するアニオン系の界面活性剤、水溶性染
料、その他のアニオン性添加剤が有するカチオンによっ
てもセット温度が著しく影響をうける結果になり、写真
材料の設計上大きな制約になり好ましくない欠点であ
る。
【0013】特開平3-242646号には、紅藻類に由来する
天然高分子多糖類を拡散転写写真材料の感光要素または
色素受像要素に添加し、色写りの防止、カールの改良、
保存安定性の改良、そして製造時の乾燥負荷を改良する
ことが記載されている。しかしその明細書にはゼラチン
水溶液を紅藻類に由来する天然高分子多糖類によって塗
布液を増粘させたりセット温度を上昇させたりする効果
は記載されていない。
【0014】特開平3-296736号には紅藻類に由来する天
然高分子多糖類を含有する塗布液の塗布方法が開示され
ている。特定の親水性有機溶媒を水と併用することによ
り水への溶解性を改良し、塗布性を改良する技術が記載
されている。しかしながら、上記明細書中にも紅藻類に
由来する天然高分子多糖類による塗布液の増粘効果やセ
ット温度の上昇効果については記載されていない。
【0015】特開平4-3055号には被還元性色素供与性化
合物を含有する熱現像感光材料に紅藻類に由来する天然
高分子多糖類を添加し、高い最高濃度を得ることが記載
されている。しかしこの明細書中にも紅藻類に由来する
天然高分子多糖類による塗布液の増粘効果やセット温度
の改良効果については記載されていない。
【0016】特開平4-116544号にはゼラチンなどのゾル
−ゲル変化する水溶性ポリマーを含有する塗布液の製造
方法において、5℃以上35℃以下の水で予め膨潤してお
き、これを加熱溶解させるという塗布液の製造方法が記
載されている。そして、水溶性ポリマーとして紅藻類に
由来する天然高分子多糖類が含まれている。
【0017】かかる製造方法により、塗布液製造の際に
ままこの発生を減じ不均一なゲルの発生を防止して塗布
性を改良することが出来る記載がある。
【0018】しかしながら、この明細書中にも紅藻類に
由来する天然高分子多糖類によるゼラチン塗布液の増粘
効果やセット温度の上昇効果についての記載はない。
【0019】特開平4-139447号には紅藻類に由来する天
然高分子多糖類を含有し特定の層構成を有する色素固定
要素が記載されている。この明細書中にも紅藻類に由来
する天然高分子多糖類によるゼラチン含有塗布液の増粘
効果やセット温度についての記載は全くない。
【0020】特開昭60-170846号には、ゼラチン、多糖
類と特定の構造を有するアニオン系界面活性剤を含む塗
布液を銀塩拡散転写用受像材料に用いる記載がある。そ
して、界面活性剤のアニオン基に対応するカチオン成分
としてはアルカリ金属、アルカリ土類金属などが記載さ
れている。多糖類としては多数記載されており、その中
には紅藻類に由来する天然高分子多糖類であるカラギー
ナンが記載されている。
【0021】しかしながら、実施例では紅藻類に由来す
る天然高分子多糖類の使用がなく、しかも特定の多糖類
と特定のカチオンとの組み合わせによる塗布液の増粘効
果やセット温度上昇効果については何等記載されていな
い。
【0022】
【発明の目的】上記のような問題に対し、本発明の第1
の目的は、ゼラチンを含有する塗布液のセット温度を上
昇させ、しかも極端な塗布液の粘度の上昇を伴うことな
く良好な塗布液物性を有する塗布液を用いて、少量のゼ
ラチンからなる薄膜層を形成したハロゲン化銀写真感光
材料を提供することにある。
【0023】さらに第2の目的としては、異なる親水性
バインダー層間での良好な接着性を与えるハロゲン化銀
写真感光材料を提供することにある。
【0024】
【発明の構成】本発明の上記目的は、紅藻類に由来する
天然高分子多糖類を含有する塗布液を、支持体上に塗布
する写真材料の製造方法において、該紅藻類に由来する
天然高分子多糖類を含有する塗布液が、K+,Ca2+
Mg2+,Zn2+,Co3+,Ni2+から選ばれるカチオン
の合計を、塗布液1リットル当たり10ミリモル以上含有
することを特徴とする写真材料の製造方法によって達成
される。
【0025】また、本発明の好ましい態様としては、 紅藻類に由来する天然高分子多糖類がカッパカラギ
ーナン、イオタカラギーナン、ラムダカラギーナン、フ
ァーセレランから選ばれる天然高分子多糖類であること 前記塗布液1リットル当たり10ミリモル以上含有さ
れるカチオンが、K+,Ca2+,Mg2+,Zn2+から選
ばれたカチオンであること 前記塗布液が含有するK+,Ca2+,Mg2+,Zn
2+から選ばれたカチオンの総量が塗布液1リットル当た
り20〜200ミリモルであること 前記紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含有する
塗布液が更にゼラチンを含有し、該ゼラチン濃度が1〜
6重量%であること 前記紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含有する
塗布液の紅藻類に由来する天然高分子多糖類のゼラチン
に対する重量比が0.02〜0.4の範囲であること等が挙げ
られる。
【0026】以下、本発明について具体的に説明する。
【0027】本発明で使用される紅藻類に由来する天然
高分子多糖類はいずれも紅藻類から抽出・精製された多
糖類であって、詳細には「食品工業」第31巻(1988)21頁
に記載されている。紅藻類に由来する天然高分子多糖類
としては具体的には、寒天、κ−カラギーナン、λ−カ
ラギーナン、ι−カラギーナン、ファーセレラン等が知
られているが、本発明においては、特に、κ−カラギー
ナン、λ−カラギーナン、及びι−カラギーナンが好ま
しい。中でもイオタ−カラギーナンとκ−カラギーナン
が特に好ましく、最も好ましくはイオタ−カラギーナン
である。
【0028】上記紅藻類に由来する天然高分子多糖類は
単独で単一の塗布液に用いても良く、2種類以上を併用
しても良い。特にκ−カラギーナンを使用する際には、
λ−カラギーナンを使用するのが写真材料の膜物性の点
から好ましい。
【0029】この場合、κ−カラギーナンとλ−カラギ
ーナンの比率は重量比で2:8〜9:1の範囲であり、
好ましくは4:6〜8:2、特に好ましくは5:5〜
7:3の範囲である。
【0030】紅藻類に由来する天然高分子多糖類の塗布
液中の濃度は、一般には0.02〜5%であり、好ましくは
0.05〜2%、特に好ましくは0.1〜1%である。
【0031】この好ましい範囲は、使用する塗布液中の
ゼラチンやそのほかの水溶性ポリマーの種類や濃度によ
っても変わり、一義的なものではないが、塗布液が実質
的にゼラチンと紅藻類に由来する天然高分子多糖類のみ
をバインダーとする場合、通常ゼラチン濃度が1〜6%の
場合に好ましく用いられる範囲である。
【0032】ゼラチン濃度がこれ以上高くなる場合には
より低濃度の紅藻類に由来する天然高分子多糖類が用い
られる。
【0033】また、紅藻類に由来する天然高分子多糖類
を含有する塗布液がゼラチンを含有する場合、紅藻類に
由来する天然高分子多糖類のゼラチンに対する重量比は
0.02〜0.4の範囲であることが好ましい。
【0034】本発明の紅藻類に由来する天然高分子多糖
類を含有する塗布液は、好ましくは、更に、ゼラチンを
含有する。ゼラチンの濃度は紅藻類に由来する天然高分
子多糖類を用いなければ、一般に2〜10%が塗布液の粘
度や塗布液のセット性から用いられるが、本発明では、
セット温度が上昇することからより低いゼラチン濃度で
も安定に使用できる。具体的には約1%の塗布液でも使
用可能である。ゼラチン濃度の上限は特に制限されない
が、一般には塗布液の粘度により決定されることが多
く、通常は8%以下、好ましくは6%以下である。
【0035】上記ゼラチンは、通常写真用に用いられる
ものであれば基本的にはいかなる種類であっても良く、
アルカリ処理ゼラチンや酸処理ゼラチンを用いることが
出来る。また、ゼラチンのアミノ基を全てまたは部分的
に封鎖したいわゆる誘導体ゼラチンも使用することが出
来る。この場合、紅藻類に由来する天然高分子多糖類を
含有する塗布液が含有するゼラチンの全てが誘導体ゼラ
チンであっても良くその一部が誘導体ゼラチンであって
も良い。
【0036】またゼラチンは、重量平均分子量が約10,0
00〜200,000のものが好ましく用いられる。特に数平均
分子量が50万以上のものがゼラチン全体の10重量%以下
のものが特に好ましい。
【0037】誘導体ゼラチンとしては、ゼラチンのアミ
ノ基を封鎖した誘導体ゼラチンが好ましく、イソシアネ
ート付加、アシル化、あるいは脱アミノ化したもの等が
含まれる。好ましい誘導体ゼラチンとしては、ゼラチン
とフェニルイソシアネート、アルキルイソシアネート等
を付加させたゼラチン、あるいは、無水フタル酸等の酸
無水物やフタル酸クロライド等の酸塩化物を反応させた
物である。ゼラチンのアミノ基の封鎖する割合はアミノ
基の70%以上、好ましくは80%以上、特に好ましくは90
%以上である。
【0038】上記、紅藻類に由来する天然高分子多糖類
を含有する塗布液は、ゼラチン以外に他の水溶性ポリマ
ーを含有することが出来る。具体的にはセルロース、カ
ルボキシルメチルセルロースや硫酸セルロース等のセル
ロース誘導体、デンプン、デキストリン、アルギン酸、
アラビアゴムおよびプルラン等天然ポリマー、ポリビニ
ルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレング
リコール、水溶性ポリビニルブチラール、水溶性ポリエ
ステル、ポリアクリル酸、特開昭62-245260号に記載の
カルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマー
単独重合体またはこれらのビニルモノマーを繰り返し単
位として有する共重合体などの合成ポリマーを挙げるこ
とができ、これらは1種であっても、2種以上併用して
も良い。
【0039】特に好ましい水溶性ポリマーは、ゼラチ
ン、ゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニ
ルアルコール、ポリエチレングリコール、水溶性ポリビ
ニルブチラールおよびカルボキシル基またはスルホン酸
基を有する上記ビニルモノマー単独または共重合体であ
る。
【0040】また、水溶性ポリマーとしてポリビニルピ
ロリドン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコ
ール、水溶性ポリビニルブチラールおよびカルボキシル
基またはスルホン酸基を有する上記ビニルモノマー単独
または共重合体は室温において水に対して5%以上の溶
解度を有するものが好ましく、また数平均分子量は好ま
しくは約6,000〜500,000のものが用いられる。
【0041】本発明において、紅藻類に由来する天然高
分子多糖類を含有する塗布液は、K+,Ca2+,M
2+,Zn2+,Co3+,Ni2+から選ばれるカチオンの
合計を、塗布液1リットル当たり10ミリモル以上含有す
ることを必要とする。
【0042】こうしたカチオンが塗布液中に本発明の量
未満しか存在しない場合、十分なセット温度の上昇を達
成するために、多量の紅藻類に由来する天然高分子多糖
類の濃度にする必要が生じ、そのために著しい塗布液粘
度の上昇を引き起こす。その結果良好な塗布性が得られ
難くなる。
【0043】こうしたカチオンの存在は、紅藻類に由来
する天然高分子多糖類のセット温度を上げる一方、塗布
液粘度を減少させる場合があり、カチオン濃度と紅藻類
に由来する天然高分子多糖類の濃度はこうした観点から
適宜最適化される。
【0044】また、上記カチオンの濃度が本発明の範囲
以下の場合、ゼラチンに対して不必要に多量の紅藻類に
由来する天然高分子多糖類を添加する必要が生じること
から、塗布乾燥後に得られるゼラチン皮膜の硬膜が不十
分になりやすい。特に塗布液が含有するK+,Ca2+
Mg2+,Zn2+から選ばれたカチオンの合計が塗布液1
リットル当たり20〜200ミリモルである場合には、写真
性能に悪影響を及ぼさず、しかも、必要最小限度の紅藻
類に由来する天然高分子多糖類の使用により余分な塗布
液の増粘を伴うことなく大きくセット温度を上げること
が出来る。
【0045】次に本発明の写真材料について説明する。
本発明は親水性バインダーを有する写真材料であれば任
意の写真材料に適用できる。
【0046】具体的には、ハロゲン化銀を有する白黒写
真感光材料やカラー写真感光材料、あるいは、ハロゲン
化銀拡散転写材料の感光要素や色素受像要素、更には熱
現像ハロゲン化銀写真感光材料や熱現像写真感光材料用
色素受像材料、さらには銀塩拡散転写用写真材料の感光
要素や受像材料等の各種のハロゲン化銀を用いた写真材
料などが好ましく用いられる。特に湿式処理されない熱
現像ハロゲン化銀写真感光材料やその色素受像材料は、
色素の拡散性を上げるために親水性バインダーを減量す
る必要性が高いために特に好ましい。
【0047】また、本発明は、上記ハロゲン化銀写真材
料以外にもハロゲン化銀を含有しない感光性写真材料、
さらには、昇華型感熱転写材料の記録材料や受像要素等
においても、親水性バインダーを含有していれば適用で
きる。
【0048】本発明の写真材料は、通常、紅藻類に由来
する天然高分子多糖類を含有する塗布液を支持体上に塗
布したものであるが、紅藻類に由来する天然高分子多糖
類を含有する複数の塗布液を塗設したものであっても良
い。また、紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含有し
ない塗布液と共に支持体上に塗布しても良い。ここで、
支持体上に塗布するとは、紅藻類に由来する天然高分子
多糖類を含有する塗布液を支持体上に、間に他の層を介
することなく塗布するだけを意味するものではなく、他
の層(例えば紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含有
しない親水性/及びまたは疎水性の下引き層、紅藻類に
由来する天然高分子多糖類を含有しない感光性層など)
を介して、塗設しても良い。
【0049】上記紅藻類に由来する天然高分子多糖類を
含有する層は感光性層、非感光性層(例えば下引き層、
中間層、保護層等)であることが出来るが、写真層とは
反対側のいわゆるバック層にも使用できる。
【0050】次に、本発明の紅藻類に由来する天然高分
子多糖類を含有する塗布液およびその他の各層を支持体
上に塗布する際に使用する塗布液の調製方法並びに塗布
方法について説明する。
【0051】上記塗布液を作成する手順は、ゼラチン、
水溶性ポリマー、紅藻類に由来する天然高分子多糖類等
の水溶性ポリマー成分を全て混合し、これを通常良く行
われるように室温の水で膨潤し、これを加熱溶解(例え
ば60〜70℃が好ましい)し、塗布液温度に冷却前、冷却
中または冷却後に必要な添加剤を添加して塗布する方
法、或いは、上記ゼラチン、紅藻類に由来する天然高分
子多糖類、および必要に応じて用いられる水溶性ポリマ
ーの各々の水溶液を予め加熱溶解しておき、これらを混
合する方法等がある。塗布液の粘度は好ましくは通常40
℃で4〜80センチポワズ(cp)で、さらに好ましくは6
〜50cpである。
【0052】ハロゲン化銀写真感光材料の支持体上に上
記塗布液を含む複数の塗布液を塗布する際、塗布方式
は、従来公知の方法を適用でき、カーテン塗布、エアー
ナイフ塗布、ディップ塗布、リバースロール塗布、ビー
ド塗布、押し出し塗布等を適用できる。
【0053】塗布は1度に全ての構成層を同時に多層同
時塗布しても良く、また2回以上に分割して塗布しても
良い。支持体上に塗布後は、塗布液をゲル化させ、次い
で必要に応じて加熱して乾燥される。
【0054】本発明の写真感光材料の支持体としては、
紙支持体、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、酢酸セルロース等の透明または反射型のプラスチッ
ク支持体等を用いることが出来る。
【0055】特に紙支持体から構成されるハロゲン化銀
写真感光材料の場合、紙支持体と親水性バインダーとの
間にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リフェニレンエーテル等の疎水性ポリマー層を2μm以
上の厚さで設けた場合には、カッター等で裁断する際の
切り屑防止に効果があり好ましい。
【0056】またこの際、支持体表面およびまたは上記
疎水性ポリマー層表面はコロナ放電等の活性化処理をす
ることが好ましい。
【0057】以下本発明が好ましく用いられるハロゲン
化銀写真材料である場合を例に本発明の写真材料のその
他の構成について説明する。
【0058】本発明がハロゲン化銀写真感光材料に適用
される場合、感光性ハロゲン化銀としては従来公知のも
のを使用することができ、例えば、塩化銀、臭化銀、沃
臭化銀、塩臭化銀、塩沃臭化銀を用いることができる。
【0059】ハロゲン化銀は粒子内部から表面まで均一
な組成のもの、内部と表面で組成が連続的にまたはステ
ップ状に変化しているハロゲン化銀であってもよい。
【0060】ハロゲン化銀の形状は平板状、立方体、球
形、8面体、12面体、14面体等の明確な晶癖を有するも
のまたはそうでないもの等を用いることができる。
【0061】また、例えば、米国特許2,592,250号、同
3,220,613号、同3,271,257号、同3,317,322号、同3,51
1,622号、同3,531,291号、同3,447,927号、同3,761,266
号、同3,703,584号、同3,736,140号、同3,761,276号、
特開昭52-15661号、同55-127549号等に記載の内部潜像
型ハロゲン化銀乳剤も用いることができる。
【0062】感光性ハロゲン化銀はその粒子形成段階に
於て、イリジウム、金、ロジウム、鉄、鉛等の金属イオ
ン種を適当な塩の形で添加することができる。
【0063】上記感光性ハロゲン化銀乳剤の粒径は約0.
02〜2μmであり、好ましくは約0.05〜0.5μmである。
【0064】本発明において、感光性ハロゲン化銀の調
製方法として、水溶性ハロゲン化物などの感光性銀塩形
成成分を後述の有機銀塩と共存させ、有機銀塩の一部を
感光性ハロゲン化銀の一部に変換させて形成させること
もできる。
【0065】感光性ハロゲン化銀乳剤は公知の増感剤
(例えば、活性ゼラチン、無機硫黄、チオ硫酸ナトリウ
ム、二酸化チオ尿素、塩化金酸ナトリウム等)でハロゲ
ン化銀粒子表面を化学増感することができ、含窒素ヘテ
ロ環化合物あるいはメルカプト基含有ヘテロ環化合物の
存在下に化学増感をすることも出来る。
【0066】さらに感光性ハロゲン化銀は公知のシアニ
ン、メロシアニン等の通常写真で用いられる分光増感色
素により、青、緑、赤、近赤外光への分光増感を施すこ
とができる。
【0067】これらの増感色素はハロゲン化銀1モル当
り、1μmol〜1mol、好ましくは10μmol〜0.1molを、
ハロゲン化銀粒子形成時、可溶性塩類の除去時、化学増
感開始前、化学増感時、あるいは化学増感終了以降のい
ずれにおいても添加することが出来る。
【0068】上記ハロゲン化銀写真感光材料の親水性バ
インダー層は公知の無機または有機の写真用硬化剤で硬
膜することが好ましい。好ましい硬膜剤は、ビニルスル
ホン系の硬膜剤及び、活性ハロゲン放出硬膜剤である。
【0069】本発明のハロゲン化銀写真感光材料は白黒
またはカラー写真感光材料に適用可能である。また、湿
式処理(カラーネガフィルム、カラーリバーサルフィル
ム、カラー印画紙、直接反転カラー印画紙、白黒印画
紙、白黒フィルム等)用に適用することも、銀塩拡散転
写方式、カラー拡散転写方式、更には熱現像(白黒、カ
ラー)のいずれにも適用できる。
【0070】本発明のハロゲン化銀写真感光材料をカラ
ー写真感光材料に適用する場合には公知の2等量または
4等量の写真用カラーカプラーが用いられる。具体的に
は、アシルアミド型活性メチレン系化合物、ピラゾロン
系化合物、ピラゾロアゾール系化合物、ナフトール系化
合物、フェノール系化合物が用いられる。これらのカプ
ラーは通常は、高沸点有機溶媒や必要に応じて使用され
るステイン防止剤としてのハイドロキノン誘導体および
画像保存性改良剤等と共にゼラチンなどの親水性バイン
ダー中に乳化分散して添加される。
【0071】本発明のハロゲン化銀写真感光材料に添加
される種々の写真用添加剤については、例えばリサーチ
ディスクロージャー、No.17643の23〜8頁に記載されて
いる。
【0072】次に、本発明の効果が特に大きい熱現像感
光材料について説明する。
【0073】本発明の感光材料が熱現像感光材料である
場合、用いられる色素供与物質としては、例えば特開昭
61-61157号、同61-61158号、同62-44738号、同62-12985
0号、同62-129851号、同62-129852号、同62-169158号、
同特願平1-200859号に記載されている拡散性の色素を形
成するカプラー、例えば特開昭61-88254号記載のロイコ
色素、米国特許4,235,957号に記載のアゾ色素、或は米
国特許4,463,079号、同4,439,513号、特開昭59-60434
号、同59-65839号、同59-71046 号、同59-87450号、同5
9-123837号、同59-124329号、同59-165054号、同59-180
548号、同59-165055号等が挙げられる。特にカップリン
グ反応により拡散性色素を形成する化合物が好ましく、
例えば、特開平2-863号9頁左下欄2行目の一般式
(イ)で表されるものである。
【0074】中でも同公報9頁右下欄8行目に記載され
た、一般式(ロ)で表される単量体から誘導される繰り
返し単位を有するポリマー鎖を有するポリマーカプラー
が好ましい。
【0075】ポジ型の色素供与物質としては、例えば、
特開昭59-55430号、同59-165054号、同59-154445号、同
59-116655号、同59-124327号、同59-152440号、同59-18
0548号、同64-13546号等の各公報に記載された化合物が
ある。
【0076】上記色素供与物質は、単独でまたは、2種
以上併用して用いてもよい。
【0077】また、本発明の熱現像感光材料は、例え
ば、特開平2-293753号、同2-308162号に記載された重合
性化合物と共に、色素供与物質をマイクロカプセル中に
含有せしめ、これを熱現像することで、重合性化合物の
重合反応を像状もしくは逆像状に起こして、マイクロカ
プセルを硬化させ、色素供与物質の受像層への拡散性を
変化させて画像を形成させる方式の熱現像感光材料にも
適用できる。
【0078】本発明の熱現像感光材料には、感度の上昇
や、現像性の向上を目的として、公知の有機銀塩を用い
ることができる。本発明で用いることのできる有機銀塩
は、例えば、特公昭43-4921号、特開昭49-52626号、同5
2-141222号、同53-36224号、同53-37626号、同53-36224
号、同53-37610号等の各公報並びに米国特許3,330,633
号、同3,794,496号、同4,105,451号等の各公報に記載さ
れている長鎖脂肪族カルボン酸の銀塩やヘテロ環を有す
るカルボン酸の銀塩(例えばベヘン酸銀、α-(1-フェニ
ルテトラゾールチオ)酢酸銀等)、特公昭44-26582号、
同45-12700号、同45-18416号、同45-22815号、特開昭52
-137321号、同58-118638号、同58-118639号、米国特許
4,123,274号等の公報に記載されているイミノ基を有す
る化合物の銀塩、特開昭61-249044号記載のアセチレン
銀等を挙げることが出来る。
【0079】特にイミノ基を有する化合物の銀塩が好ま
しく、例えばベンゾトリアゾール及びその誘導体の銀塩
(例えばベンゾトリアゾール銀、5-メチルベンゾトリア
ゾール銀等)が特に好ましい。
【0080】上記有機銀塩は、単独または2種以上併用
して用いることができ、これらの調製はゼラチンのごと
き親水性コロイド水溶液中で調製し、可溶性塩類を除去
してそのままの形で使用することも、また有機銀塩を単
離して機械的に固体微粒子に粉砕・分散して使用するこ
ともできる。
【0081】本発明の熱現像感光材料に用いられる還元
剤は、現像機構や色素形成乃至放出機構により熱現像感
光材料用として従来知られているものの中から選択して
使用される。ここで言う還元剤には、熱現像時に還元剤
を放出する還元剤プレカーサーも含まれる。
【0082】本発明に用いることのできる、還元剤とし
ては、例えば、米国特許3,351,286号、同3,761,270号、
同3,764,328号、同3,342,599号、同3,719,492号明細
書、リサーチ・ディスクロージャー 12,146号、同15,10
8号、同15,127号、及び特開昭56-27132号、同53-135628
号、同57-79035号に記載のp-フェニレンジアミン系及
び、p-アミノフェノール系現像主薬、リン酸アミドフェ
ノール系現像主薬、スルフォンアミドアニリン系現像主
薬、及びヒドラゾン系現像主薬、フェノール類、スルフ
ォンアミドフェノール類、ポリヒドロキシベンゼン類、
ナフトール類、ヒドロキシビスナフチル類、メチレンビ
スフェノール類、アスコルビン酸類、1-アリール-3-ピ
ラゾリドン類、ヒドラゾン類、及び上記種々の還元剤の
プレカーサー類がある。また、色素供与物質が還元剤を
兼ねることもできる。
【0083】特に好ましい還元剤は、特開昭56-146133
号及び同62-227141号記載のN-(p-N´,N´-ジアルキルア
ミノ)フェニルスルファミン酸塩及びその誘導体であ
り、具体的には、特開平2-863号公報7頁左下欄6行目
から8頁右下欄に記載された化合物を挙げることが出来
る。
【0084】本発明の熱現像感光材料には色素の転写促
進その他の目的で、熱溶剤を用いることが出来る。熱溶
剤は熱現像時に液状化し熱現像や色素の熱転写を促進す
る作用を有する化合物であり、常温では固体状態である
ことが好ましい。
【0085】本発明で用いることの出来る熱溶剤として
は、例えば米国特許3,347,675号、同3,667,959号、同3,
438,776号、同3,666,477号、リサーチ・ディスクロジャ
ーNo. 17,643号、特開昭51-19525号、同53-24829号、同
53-60223号、同58-118640号、同58-198038号、同59-229
556号、同59-68730号、同59-84236号、同60-191251号、
同60-232547号、同60-14241号、同61-52643号、同62-78
554号、同62-42153号、同62-44737号、同63-53548号、
同63-161446号、特開平1-224751号、同2-863号、同2-12
0739号、同2-123354号等の各公報に記載された化合物が
挙げられる。
【0086】具体的には、尿素誘導体(尿素、ジメチル
尿素、フェニル尿素等)、アミド誘導体(例えばアセト
アミド、ステアリルアミド、p-トルアミド、p-プロパノ
イルオキシエトキシベンズアミド等)、スルホンアミド
誘導体(例えば、p-トルエンスルホンアミド等)、多価
アルコール類(例えば1,6ヘキサンジオール、ペンタエ
リスリトール、ポリエチレングリコール等)が好ましく
用いられる。特に本発明の効果は、熱溶剤を固体微粒子
状態で含有している場合に大きい。
【0087】上記熱溶剤は、感光性ハロゲン化銀乳剤
層、中間層、保護層、或は受像材料の受像層等任意の層
中に添加することができ、添加量は通常バインダーに対
して、10重量%〜500重量%、より好ましくは20重量%
〜200重量%である。
【0088】本発明の熱現像感光材料には、上記以外
に、必要に応じて、各種添加剤を添加することが出来
る。
【0089】現像促進剤としては、例えば特開昭59-177
550号、同59-111636号、同59-124333号、同61-72233
号、同61-236548号、特開平1-152454号、特開昭61-1596
42号、特開平1-104645号、特願平1-110767号記載の現像
促進剤放出化合物、あるいは、特開平1-104645号記載の
電気陰性度が4以上の金属イオンも用いることが出来
る。
【0090】カブリ防止剤としては、例えば米国特許第
3,645,739号に記載されている、高級脂肪酸、特公昭47-
11113号記載の第2水銀塩、特開昭51-47419号記載のN
−ハロゲン化物、米国特許第3,700,457号、特開昭51-50
725号、特願平1-69994号、同1-104271号記載のメルカプ
ト化合物放出性の化合物、特開昭49-125016号記載のア
リールスルフォン酸、同51-47419号記載のカルボン酸リ
チウム塩、英国特許第1,455,271号および特開昭50-1010
19号記載の酸化剤、同53-19825号記載のスルフィン酸類
及びチオスホン酸類、同51-3,223号記載のチオウラシル
類、同51-26019号記載の硫黄、同51-42529、同51-81124
号、及び同55-93149号記載のジスルフィド類及びポリス
ルフィド類,同51-57435号記載のロジンあるいはジテル
ペン類、同51-104338号記載のカルボキシル基またはス
ルホン酸基を有するポリマー酸、米国特許4,138,265 記
載のチアゾリチオン、特開昭54-51821号、同55-142,331
号、米国特許第4,137,079号記載のトリアゾール類、特
開昭55-140883号記載のチオスルフィン酸エステル類、
特開昭59-46641号、同59-57233号、同59-57234号記載の
ジ−またはトリ−ハロゲン化物、特開昭59-111636号記
載のチオール化合物、同60-198540号及び同60-227255号
記載のハイドロキノン誘導体、特開昭62-78554号に記載
の親水性基を有するカブリ防止剤、特開昭62-121452号
記載のポリマーカブリ防止剤、特開昭62-123456号記載
のバラスト基を有するカブリ防止剤、特開平1-161239号
記載の無呈色カプラー等が挙げられる。
【0091】塩基プレカーサーとしては、例えば、特開
昭56-130745号、59-157637号、同59-166943号、同59-18
0537号、同59-174830号、同59-195237号、同62-108249
号、同62-174745号、同62-187847号、同63-97942号、同
63-96159号、特開平1-68746号等の各公報に記載されて
いる化合物乃至塩基放出技術が挙げられる。
【0092】本発明の熱現像感光材料には上記した以外
の各種の公知の写真用添加剤を用いることができ、例え
ば、ハレーション防止染料、イラジエイション防止染
料、コロイド銀、蛍光増白剤、硬膜剤、帯電防止剤、界
面活性剤、無機及び有機のマット剤、退色防止剤、紫外
線吸収剤、カビ防止剤、白地色調調整剤等を含有するこ
とが出来る。これらについては例えば、RD(リサーチ
・ディスクロジャー)誌No.17029号、同No.29,963号、
特開昭62-135825号、及び同64-13546号の各公報に記載
されている。
【0093】特に特開昭63-144350号に記載されたハロ
ゲン置換されたヘテロ環化合物、特開平3-223852号に記
載されたアニシジンとの反応速度が特定の値を有する化
合物、中でもハロゲン化アルキル類、さらには、特開平
2-44356号に記載された汚染物質を吸着する物質を感光
性層に含有せしめることは特に好ましい。
【0094】これらの各種添加剤は感光性層のみなら
ず、中間層、下引き層、保護層あるいはバッキング層等
任意の構成層中に適宜添加することが出来る。
【0095】本発明の熱現像感光材料に用いられる支持
体は、例えば特開平2-863号12頁、左上欄15行目から右
上欄1行目に記載された支持体を用いることが出来る。
好ましくはポリエチレンテレフタレート支持体またはキ
ャストコート紙やバライタ紙等の紙支持体が用いられ
る。
【0096】本発明の熱現感光材料は、(a)感光性ハロ
ゲン化銀乳剤、(b)還元剤、(c)バインダーを含有し、さ
らに(d)有機銀を含有することが好ましい。カラー感光
材料である場合、さらに(e)色素供与物質を含有する。
これらは単一の写真構成層中に含まれていてもよく、ま
た2層以上からなる層に分割して添加されることもでき
る。
【0097】具体的には、(a)、(b)、(c)、(d)の成分を
一つの層に添加し、(e)をこれに隣接する層に添加した
り、あるいは、(a)、(c)、(d)、(e)を単一の層に添加
し、(b)を他層に添加することもできる。
【0098】また、実質的に同一の感色性を有する感光
性層は2つ以上の感光性層から構成されることもでき、
それぞれ低感度層及び高感度層とすることもできる。
【0099】本発明の熱現像感光材料をフルカラー記録
材料として用いる場合には、通常感色性の異なる3つの
感光性層を有し、各感光性層では熱現像によりそれぞれ
色相の異なる色素が形成または放出される。この場合、
一般的には、青感光性層(B)にイエロー色素(Y)
が、緑感光性層(G)にはマゼンタ色素(M)が、また
赤感光性層(R)にはシアン色素(C)が組み合わされ
るが、本発明はこれに限定されず、いかなる組合せも可
能である。具体的には、(B−C)−(G−M)−(R
−Y)、(赤外感光性−C)−(G−Y)−(R−M)
等の組合せも可能である。
【0100】各層の層構成は任意であり、支持体側から
順に、R−G−B、G−R−B、R−G−赤外、G−R
−赤外、等の層配置が可能である。
【0101】本発明の熱現像感光材料には、感光性層の
他に下引き層、中間層、保護層、フィルター層、バッキ
ング層、剥離層等の非感光性層を任意に設けることが出
来る。
【0102】本発明の熱現像感光材料が転写方式である
場合、好ましくは受像材料が用いられる。受像材料は、
支持体上とこの上に設けられた色素受容能を有する受像
層とから構成されるが、支持体自身が色素受容能のある
受像層を兼ねることもできる。
【0103】受像層はそれを構成するバインダー自身が
色素受容能を有する場合と、色素を受容し得る媒染剤が
バインダー中に含有されている場合とに大きく分けられ
る。
【0104】バインダーが色素受容能有する場合、好ま
しく用いられる物質は、ガラス転移温度が約40℃以上、
約250 ℃以下のポリマーで形成されているものが好まし
く、具体的には、「ポリマーハンドブック セカンド エ
ディッション」 (ジョイ・ブランドラップ、イー・エ
イチ・インマーガット編)ジョン ウィリー アンドサン
ズ出版{Polymer Handbook 2nd. ed. (J. Brandrup、E.
H. Immergut 編) John Wiley & Sons}に記載されてい
るガラス転移温度が約40℃以上の合成ポリマーが有用で
あり、一般的には、ポリマーの分子量として、2,000〜2
00,000程度のものが有用である。これらのポリマーは単
独でも2種以上を併用してもよく、また2種以上の繰り
返し単位を有する共重合性のポリマーであってもよい。
【0105】具体的には特開平2-863号公報14頁左上欄1
4行目から右上欄14行目に記載されたポリマーを好まし
いポリマーを含めて用いることが出来る。
【0106】また、受像層がバインダー中に媒染剤を含
有する受像材料に於て、媒染剤としては、3級アミンま
たは4級アンモニウム塩を含むポリマーが好ましく用い
られ、例えば米国特許3,709,690号明細書及び、特開昭6
4-13546号公報報に記載の化合物が挙げられる。また、
これらの媒染剤を保持するのに用いられるバインダーと
しては、例えばゼラチンやポリビニルアルコール等の親
水性バインダーが好ましく用いられる。
【0107】上記媒染剤をバインダー中に有する受像層
と似た形で、色素受容能を有する疎水性ポリマーラテッ
クスを親水性バインダー中に分散してなる色素受容層も
本発明で用いることが出来る。
【0108】本発明の受像材料は支持体上に単一の受像
層が設けられた場合であってもよく、また複数の構成層
が塗設されていてもよく、この場合、その全てが色素受
像層であることも、また構成層の一部のみが受像層であ
ることもできる。
【0109】受像材料が受像層とは別に支持体を有する
時、受像材料の支持体としては、透明支持体、反射支持
体のいずれであってもよく、特開平2-863号14頁左下欄1
5行目から右下欄8行目に記載された支持体及び、第2
種拡散反射性を有する反射支持体などから選択して用い
ることが出来る。
【0110】本発明の熱現像感光材料は、RD(リサー
チ・ディスクロージャー)15,108号、特開昭57-198458
号、同57-207250号、同61-80148号等に記載されている
ような感光層と受像層が予め、同一支持体上に積層され
たいわゆるモノシート型熱現像感光材料であることもで
きる。
【0111】本発明の受像部材に公知の各種添加剤を添
加することが出来る。そのような添加剤としては、例え
ば、汚染防止剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、画像安定
剤、現像促進剤、カブリ防止剤、pH調節剤(酸及び酸
プレカーサー、塩基プレカーサー等)、熱溶剤、有機フ
ッ素系化合物、油滴、界面活性剤、硬膜剤、マット剤及
び各種金属イオン等が挙げられる。
【0112】本発明の紅藻類に由来する天然高分子多糖
類は上記熱現像感光材料および色素受像材料の親水性バ
インダー含有層のいかなる層にも使用可能である。
【0113】
【実施例】以下、本発明の効果について実施例により具
体的に例証する。
【0114】実施例−1 以下本発明を実施例により説明するが、本発明の実施態
様がこれらに限定されるものではない。
【0115】表1に示す構成の多層ハロゲン化銀カラー
写真感光材料−1を作製するため塗布液を下記のごとく
調製した。
【0116】第1層塗布液 イエローカプラー(Y−1)26.7g、色素画像安定化剤
(ST−1)10.0g、色素画像安定化剤(ST−2)6.
67g、添加剤(HQ−1)0.67gおよび高沸点有機溶媒
(DNP)6.67gに酢酸エチル60mlを加え溶解し、この
溶液を20%界面活性剤(SU−1)7mlを含有する6%
ゼラチン水溶液220mlに超音波ホモジナイザーを用いて
乳化分散させてイエローカプラー分散液を作製した。こ
の分散液を下記条件にて作製した青感性ハロゲン化銀乳
剤(銀8.68g含有)と混合し第1層塗布液を調製した。
【0117】第2層〜第7層塗布液も上記第1層塗布液
と同様に調製した。
【0118】また、塗布助剤としては、界面活性剤(S
U−2)、(ST−3)を添加し、表面張力を調整し
た。
【0119】上記第1層〜第7層の塗布液のゼラチン濃
度及び塗布する際の湿潤膜厚(μm)を表1,2に合せ
て示す。
【0120】
【表1】
【0121】
【表2】
【0122】
【化1】
【0123】
【化2】
【0124】
【化3】
【0125】
【化4】
【0126】
【化5】
【0127】(青感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)40
℃に保温した2%ゼラチン水溶液1000ml中に下記(A
液)及び(B液)をpAg=6.5、pH=3.0に制御しつ
つ30分かけて同時添加し、さらに下記(C液)、及び
(D液)をpAg=7.3、pH=5.5制御しつつ180分か
けて同時添加した。この時pAgの制御は特開昭59-454
37号記載の方法により行い、pHの制御は硫酸または水
酸化ナトリウムの水溶液を用いて行った。
【0128】 (A液) 塩化ナトリウム 3.42g 臭化カリウム 0.03g 水を加えて 200ml (B液) 硝酸銀 10g 水を加えて 200ml (C液) 塩化ナトリウム 102.7g 臭化カリウム 1.0g 水を加えて 600ml (D液) 硝酸銀 300g 水を加えて 600ml 添加終了後、花王アトラス社製デモールNの5%水溶液
と硫酸マグネシウムの20%水溶液を用いて脱塩を行った
後、ゼラチン水溶液と混合して平均粒径0.85μm、変動
係数(σ/r)=0.07、塩化銀含有率99.5モル%の単分
散立方体乳剤EMP−1を得た。
【0129】上記乳剤EMP−1に対し、下記化合物を
用い50℃にて90分化学熟成を行い、青感性ハロゲン化銀
乳剤(Em−B)を得た。
【0130】 チオ硫酸ナトリウム 0.8mg/モル AgX 塩化金酸 0.5mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 6×10-4モル/モル AgX 増感色素 BS−1 4×10-4モル/モル AgX 増感色素 BS−2 1×10-4モル/モル AgX (緑感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)(A液)と(B
液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変
更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.53μ
m、変動係数(σ/r)=0.08、塩化銀含有率99.5モル
%の単分散立方体乳剤EMP−2を得た。
【0131】EMP−2に対し、下記化合物を用いて55
℃で120分化学熟成を行い、緑感性ハロゲン化銀乳剤
(Em−G)を得た。
【0132】 チオ硫酸ナトリウム 1.5mg/モル AgX 塩化金酸 1.0mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 6×10-4モル/モル AgX 増感色素 BS−1 4×10-4モル/モル AgX (赤感性ハロゲン化銀乳剤の調製方法)(A液)と(B
液)の添加時間及び(C液)と(D液)の添加時間を変
更する以外はEMP−1と同様にして、平均粒径0.50μ
m、変動係数(σ/r)=0.08、塩化銀含有率99.5モル
%の単分散立方体乳剤EMP−3を得た。
【0133】EMP−3に対し、下記化合物を用いて60
℃で90分化学熟成を行い、赤感性ハロゲン化銀乳剤(E
m−R)を得た。
【0134】 チオ硫酸ナトリウム 1.8mg/モル AgX 塩化金酸 2.0mg/モル AgX 安定剤 STAB−1 6×10-4モル/モル AgX 増感色素 BS−1 1×10-4モル/モル AgX
【0135】
【化6】
【0136】一方、上記カラー写真感光材料−1の塗布
液において、以下のように変更したカラー写真感光材料
−2〜8の塗布液を、上記と同様にして作成した。
【0137】(カラー写真感光材料−2)カラー写真感
光材料−1において、第1層のゼラチン含有量がカラー
写真感光材料−1の第1層のゼラチンの70重量%になる
ような塗布液を作成した。即ち湿潤膜厚がカラー写真感
光材料−1と同じようにして調製した場合のゼラチンの
添加量が70%になるように調製した。
【0138】(カラー写真感光材料−3)カラ−写真材
料−2において、第1層の塗布液にκ−カラギーナンを
ゼラチンに対して、5重量%に成るようにそれぞれ添加
した。なお、κ−カラギーナンの添加方法はゼラチン粉
体と同時に室温の純水にて膨潤させた後、60〜65℃に加
熱して溶解した。
【0139】(カラー写真感光材料−4)カラー写真材
料−3において、第1層の塗布液にNaSO4を、Na+が塗布
液1リットルあたり50ミリモルになるように添加した。
【0140】(カラー写真感光材料−5)カラー写真材
料−3において、第1層の塗布液にK2SO4を、K+が塗布
液1リットル当たり20ミリモルになるように添加した。
【0141】(カラー写真感光材料−6)カラー写真材
料−3において、第1層の塗布液にMg2SO4を、Mg2+が塗
布液1リットル当たり20ミリモルになるように添加し
た。
【0142】(カラー写真感光材料−7)カラー写真材
料−3において、第1層の塗布液にZnSO4を、Zn2+が塗
布液1リットル当たり20ミリモルになるように添加し
た。
【0143】(カラー写真感光材料−8)カラー写真材
料−3において、第1層の塗布液にK2SO4とMgSO4を、
+が塗布液1リットル当たり5ミリモル、Mg2+が塗布
液1リットル当たり5ミリモルになるように添加した。
【0144】上記、各写真感光材料の第1層の塗布液が
含有するK+,Ca2+,Mg2+,Zn2+、Co2+,およびNi2+
各イオンの含有量を分析した結果、表3に示す結果を得
た。
【0145】次に各塗布液を40℃に保ち、この塗布液の
粘度を測定し、さらにこの塗布液を用いて、パギー法に
準拠して、塗布液の凝固点を調べた。得られた結果を表
3に示す。
【0146】
【表3】
【0147】表3の結果から、ゼラチン濃度を低下させ
たカラー写真材料−2用第1層の塗布液は粘度が低下
し、特に塗布液の凝固温度が著しく低下している事がわ
かる。これに対してκ−カラギーナンを添加した塗布液
−3は塗布液の粘度上昇は著しいものの、凝固点の上昇
は僅かであることがわかる。またNa+イオンを塗布液1
リットル当たり50ミリモル添加した塗布液は、粘度も、
凝固点も殆ど影響を受けていない。
【0148】これに対して、本発明のカチオンを本発明
の範囲の量を含有する塗布液5〜8は塗布液粘度は塗布
液−3に対してむしろ若干減少傾向に有るにも拘らず、
凝固点が著しく上がっていることがわかる。
【0149】実施例−2 実施例−1で作成したハロゲン化銀写真感光材料−1〜
8を170g/m2の紙支持体の片面にポリエチレンをラミネ
ート(厚み25μm)し、もう一方の側に酸化チタンを含
有するポリエチレン層を塗設したポリエチレンラミネー
ト紙支持体の酸化チタン含有層側に、実施例−1で作成
した塗布液を用いて同時塗布して、多層式カラー写真感
光材料−1〜8を作成した。
【0150】なお、塗布は表1に示す湿潤膜厚で行い、
塗布直前に硬膜剤として第2層と第4層に(H−1)
を、また、第7層に(H−2)を添加した。
【0151】得られた、ハロゲン化銀写真感光材料を、
40℃、相対湿度50〜60%で7日間保存した。
【0152】ついで、各試料に均一露光を施した(露光
は、現像処理後に反射濃度が約1.0のほぼ中性灰色を与
える条件で行った)。
【0153】ついで、下記の処理工程で処理した。
【0154】処理工程 温 度 時 間 発色現像 35.0±0.3℃ 45秒 漂白定着 35.0±0.5℃ 45秒 安定化 30〜34℃ 90秒 乾燥 60〜80℃ 60秒発色現像液 純粋 800ml トリエタノールアミン 10g N,N-ジエチルヒドロキシルアミン 5g 臭化カリウム 0.02g 塩化カリウム 2g 亜硫酸カリウム 0.3g 1-ヒドロキシルエチリデン-1,1-ジホスホン酸 1.0g エチレンジアミン四酢酸 1.0g カテコール-3,5-ジホスホン酸二ナトリウム 1.0g N-エチル-N-βメタンスルホンアミド エチル-3-メチル-4-アミノアニリン硫酸塩 4.5g 蛍光増白剤(4,4′-ジアミノスチルベンスルホン酸誘導体) 1.0g 炭酸カリウム 27g 水を加えて全量を1lとし、pH=10.10に調整する。
【0155】漂白定着液 エチレンジアミン四酢酸第二鉄アンモニウム2水塩 60g エチレンジアミン四酢酸 3g チオ硫酸アミモニウム(70%水溶液) 100ml 亜硫酸アンモニウム(40%水溶液) 27.5ml 水を加えて全量を1lとし、炭酸カリウムまたは氷酢酸
でpH=5.7に調整する。
【0156】安定化液 5-クロロ-2-メチル-4-イソチアゾリン-3-オン 1.0g エチレングリコール 1.0g 1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸 2.0g エチレンジアミン四酢酸 1.0g 水酸化アンモニウム(20%水溶液) 3.0g 蛍光増白剤(4,4′-ジアミノスチルベンスルホン酸誘導体) 1.5g 水を加えて全量を1lとし、硫酸または水酸化カリウム
でpH=7.0に調整する。
【0157】得られた試料を目視判定し、塗布性を評価
した。結果を表4に示す。表中、○は段ムラ等が全くな
い状態、△はやや段ムラが認められるが実技上は許容し
得るレベル、×は段ムラが激しいレベルを示す。
【0158】更に上記写真材料を、20℃、相対湿度20%
で1日間調湿した後、テープを乳剤面に貼って勢いよく
引き剥し、層間接着性を調べた。その結果を表4に示
す。
【0159】表中、○は乳剤層が全く剥がれない、△は
乳剤層が一部剥離、×はほぼ全面に乳剤層が剥離したこ
とを示す。
【0160】
【表4】
【0161】表4の結果から、本発明の写真感光材料
は、塗布液粘度と凝固温度を適切な範囲に維持している
ために塗布性が良好であると共に、乳剤層に接着性も良
好であることがわかる。
【0162】実施例−3 〔感光性ハロゲン化銀乳剤の調製〕50℃に保った5%オ
セインゼラチン水溶液中に、KIとKBrの混合溶液とアン
モニア性硝酸銀水溶液をpHおよびpAgを一定に保ち、
添加速度を制御しながらダブルジェット法で添加し、添
加を80%終了した時点で、K3IrCl6をNaCl水溶液に溶解
した液をハロゲン化銀1モル当たり10-6モル添加し、上
記硝酸銀水溶液とハロゲン化物水溶液の添加終了後常法
に従って脱塩処理して、青感光性用ハロゲン化銀乳剤を
調製した。同様にして、温度を変えて、緑及び赤感光性
用ハロゲン化銀乳剤を作成した。
【0163】この様にして得られたハロゲン化銀乳剤を
化学増感並びに分光増感して、青、緑、及び赤感光性の
ハロゲン化銀乳剤を得た。
【0164】使用した感光性ハロゲン化銀乳剤(AgBr
I)を以下に示す。
【0165】 項 目 青感光性 緑感光性 赤感光性 ハロゲン組成(Brモル%) 98 98 98 粒子形状 立方晶 立方晶 立方晶 平均粒径*1 0.30μm 0.19μm 0.19μm 粒径分布*2 0.15 0.13 0.13 表面化学増感*3 S+Au S S 安定剤*4 ST-1 ST-1 ST-1 増感色素 BSD-1 GSD-1 RSD-1 *1 球換算次の直径 *2 粒径分布=(粒径分布標準偏差)/(平均粒径) *3 S+Au;チオ硫酸ナトリウムと塩化金酸カリウム
による金−硫黄増感S ;チオ硫酸ナトリウムによ
る硫黄増感 *4 ST-1;4-ヒドロキシ-6-メチル-1,3,3a,7-テトラ
ザインデン 各々の化学増感はそれぞれの増感色素の存在下に行い、
化学増感終了後に上記安定剤ST-1(ハロゲン化銀1モ
ルあたり1g)と下記の防バイ剤1ミリモルを添加し
た。
【0166】尚、上記3種の感光性ハロゲン化銀乳剤は
それぞれハロゲン化銀1モル当たり45gのオセインゼラ
チンを含有し、また、ハロゲン化銀1モル中り1200ccに
仕上げた。
【0167】〔ベンゾトリアゾール銀乳剤の調製〕58℃
に保ったフェニルカルバモイルゼラチンの7%水溶液中
に、各々1規定のアンモニア性硝酸銀水溶液とベンゾト
リアゾール水溶液(ベンゾトリアゾール1モルに対して
0.2モルのアンモニア含有)を同時混合法で添加した。添
加時間は72分である。この時pAgを9.2に一定に保っ
た。添加終了後、液のpHを低下させて凝集・脱塩して
針状結晶状のベンゾトリアゾール銀分散物を得た(ベン
ゾトリアゾール銀微結晶は幅が約0.1〜0.4μm、長さが
0.5〜3μm)。
【0168】上記ベンゾトリアゾール銀は銀1モル当た
り41gのフェニルカルバモイルゼラチンを含有してい
る。また銀1モル当たりの分散液量は760ccである。
【0169】〔色素供与物質分散液の作成〕色素供与物
質(1)、(2)および(3)を用いて以下の分散手順
により3種の色素供与物質分散液を作成した。
【0170】〔分散手順〕色素供与物質100g,酢酸エ
チル300gを加熱溶解(A液)し、これに3%オセイン
ゼラチン水溶液(B液)900cc(但し下記の界面活性剤-
1を6g含有)を添加し、高速ホモジナイザーで乳化分
散した。酢酸エチルを減圧除去して、総量を1000ccに調
整した。
【0171】 〔熱現像感光材料−101用塗布液の調製〕 赤感光性層用塗布液(第1層);ゼラチン濃度=4.0% 赤感光性ハロゲン化銀乳剤 78.5cc ベンゾトリアゾール銀乳剤 92.3cc カブリ防止剤-1水溶液(1%) 6.5cc 5%界面活性剤(SU-2)水溶液(メタノール40%含有) 12cc 色素供与物質(3)分散液 343.3cc ポリエチレングリコール(平均分子量=2000) 16g 20%ゼラチン水溶液 114cc 10%ポリビニルピロリドン(K-15)水溶液 21.7cc 純水 250.7cc 硬膜剤-1(3%水溶液、40%エタノール含有) 65cc 第1中間層用塗布液(第2層);ゼラチン濃度=4.0% 20%ゼラチン水溶液 200cc 発色現像主薬プレカーサー水溶液(20%) 200cc 5%界面活性剤(SU-2) 8cc ポリエチレングリコール(平均分子量=2000) 8g 10%ポリビニルピロリドン(K-15)水溶液 40cc 純水 464cc 硬膜剤-1(3%水溶液、上記) 80cc 緑感光性層用塗布液(第3層);ゼラチン濃度=4.0% 緑感光性ハロゲン化銀乳剤 112.2cc ベンゾトリアゾール銀乳剤 67.5cc カブリ防止剤-1水溶液(1%) 9.6cc 5%界面活性剤(SU-2)水溶液(上記) 17cc 色素供与物質(2)分散液 255cc ポリエチレングリコール(平均分子量=2000) 16g 20%ゼラチン水溶液 126.3cc 10%ポリビニルピロリドン(K-15)水溶液 20cc 純水 326.5cc 硬膜剤-1(3%水溶液、上記) 50cc 第2中間層用塗布液(第4層);ゼラチン濃度=4.0% イエローフィルター染料−1分散液 200cc 20%ゼラチン水溶液 200cc 発色現像主薬プレカーサー水溶液(20%) 200cc 5%界面活性剤(SU-2) 16cc ポリエチレングリコール(平均分子量=2000) 8g 10%ポリビニルピロリドン(K-15)水溶液 40cc 純水 256cc 硬膜剤-1(3%水溶液、40%エタノール含有) 80cc 青感光性層用塗布液(第5層);ゼラチン濃度=4.0% 青感光性ハロゲン化銀乳剤 134.6cc ベンゾトリアゾール銀乳剤 71cc カブリ防止剤-1水溶液(1%) 8.6cc 5%界面活性剤SU-2水溶液(上記) 20cc 色素供与物質(1)分散液 490cc ポリエチレングリコール(平均分子量=2000) 14g 20%ゼラチン水溶液 64.5cc 10%ポリビニルピロリドン(K-15)水溶液 20cc 純水 127.3cc 硬膜剤-1(3%水溶液、上記) 50cc 保護層用塗布液(第6層);ゼラチン濃度=4.0% 20%ゼラチン水溶液 200cc 発色現像主薬プレカーサー水溶液(20%) 200cc ポリエチレングリコール(平均分子量=2000) 8g 10%ポリビニルピロリドン(K-15)水溶液 40cc 5%界面活性剤SU−2水溶液(上記) 28cc 純水 444cc 硬膜剤-1(3%水溶液、40%エタノール含有) 80cc 以下に添加剤の構造式を記す
【0172】
【化7】
【0173】
【化8】
【0174】
【化9】
【0175】なお、各層の硬膜剤は塗布直前に塗布液に
添加した。
【0176】第1層〜第6層の各層の塗布液は40℃でp
H=5.8±0.1に調整(硫酸またはNaOHの各々の10%液使
用)した。
【0177】一方、上記熱現像感光材料−101用塗布液
において、第1層と第3層のゼラチンを各々熱現像感光
材料−101のゼラチン量の60%に、また、第5層のゼラ
チン量を70%に減量した熱現像感光材料−102用の塗布
液を上記と同様にして作成した。但し、ゼラチンは、各
々の塗布液を作成する際に使用した20%ゼラチン水溶液
の量をそれぞれ、32.2cc(第1層)、46.4cc(第3層)
および12.0cc(第5層)に変更し、この減量による液量
の減少は純水を増して総液量は同一とした。
【0178】尚、上記熱現像感光材料−101の第1層〜
第6層の塗布液のCo3+、Ni2+、Zn2+の含有量は塗布液1
リットル当たり、いずれも0.1ミリモル以下であった。
【0179】更に、熱現像感光材料−101の第1層〜第
6層の塗布液のK+、Ca2+、及びMg2+の濃度は表5の通
りであった。
【0180】
【表5】
【0181】次に、上記熱現像感光材料−102におい
て、第1層、第3層、及び第5層に表6に示す水溶性ポ
リマーとカチオンを添加した。
【0182】
【表6】
【0183】カチオンはK2SO4,MgSO4,Ca(NO3)2の水
溶液として添加した。
【0184】水溶性ポリマー添加量は、ゼラチンに対す
る重量比率。カチオン添加量は塗布液1l当たりのミリ
モル。第1層、第3層および第5層の水溶性ポリマーと
カチオンの添加量は全て同じ条件である。
【0185】また、熱現像感光材料-102の第1層、第3
層および第5層の塗布液を調製する場合に於いて、ゼラ
チンを減量する際に、ゼラチン濃度を低下させずに、そ
れぞれ4.0%になるように塗布液を調製した熱現像感光
材料-117用の塗布液を調製した。
【0186】熱現像感光材料-101〜117の第1層、第2
層、及び第3層の各々の塗布液を実施例−1記載の方法
で、塗布液粘度、および凝固点を求め、表7の結果を得
た。
【0187】
【表7】
【0188】表7の結果から、ゼラチンの減量して、し
かも凝固点を維持するためにゼラチン濃度を低下させな
い熱現像感光材料-117は高い塗布液粘度を示し、多層同
時塗布を困難ならしめる。
【0189】一方、紅藻類に由来する天然高分子多糖類
を含有し、かつ、本発明のカチオンを含有する塗布液
は、実施例1と同様に、低いゼラチン濃度であっても、
良好な塗布液粘度を有し、しかも、適度に高い凝固温度
を有する事が判る。特にκ−カラギーナンとι−カラギ
ーナンが好ましいことがわかる。
【0190】これに対して、微生物発酵法によるケルコ
ゲルを使用した場合には、凝固温度の充分な改良効果が
認められるものの、著しい増粘をもたらして、ゼラチン
含有塗布液系では塗布が困難になり易い。特に、多層同
時塗布系ではこうした著しい増粘は多層同時塗布に対し
て大きな問題である。
【0191】実施例−4 〔熱現像感光材料の作成〕実施例−3で調製した塗布液
を用いて、バライタ紙支持体上に下記の下引き層を塗設
しその上に、実施例−3に記載した塗布液を第1層〜第
6層を同時塗布して、熱現像感光材料−101〜117を作成
した。ただし、熱現像感光材料−115と116は塗布不可能
であった。
【0192】 下引き層 ポリフェニレンエーテル 2.0g ポリスチレン 2.0g CDトラップ剤 1.0g 得られた熱現像感光材料を40℃、相対湿度50〜60%で2
日間保存して硬膜した。
【0193】〔受像材料の作製〕熱現像写真感光材料を
作製したのに用いたのと同じバライタ紙支持体上に、以
下の組成からなる受像層を塗設して受像材料−1を作製
した。
【0194】 (添加量は受像材料1m2あたりの量で示す) ポリカーボネート(平均分子量20、000) 12g 画像安定剤−1 1.1g 画像安定剤−2 0.3g 画像安定剤−3 0.5g CDトラップ剤 0.8g 熱溶剤−B 2.0g
【0195】
【化10】
【0196】〔熱現像感光材料評価〕得られた熱現像感
光材料を、23℃、相対湿度20%および55%の条件で保存
し、均一露光(受像材料への色素転写後に反射濃度が約
1の中性灰色を与える露光条件で行った)後、150℃で6
0秒間加熱現像し、ついで上記受像材料と重ね合わせて1
30℃で30秒間加圧・加熱して色素画像を転写した。冷却
後、受像材料を熱現像感光材料から引き剥して受像層表
面の転写画像を目視で観察し、実施例−1と同様にして
塗布性を調べた。更に、熱現像感光材料と色素受像材料
のを剥離を60℃の恒温槽で行った(恒温状態では剥離性
が低下する。即ち、感光層の皮膜の乳剤層間または下引
き層間の接着性が悪いと、感光材料と受像材料の剥離の
際に受像層表面に感光層側の一部の層が付着する現象が
表れる。)。
【0197】剥離性テストの結果と塗布性の結果を表8
に示す。剥離性の結果は、 ○;受像層表面に感光層の付着無し △;受像層表面の端部に感光層の付着有り ×;受像層表面のほぼ全面に付着有るか、または感光層
の剥離不能。
【0198】
【表8】
【0199】表8の結果より、本発明の熱現像感光材料
-104、107、108、110、112、114はゼラチンを減量して
も良好な塗布性と剥離性が得られることがわかる。特に
κ−カラギーナンとι−カラギーナンが好ましい。
【0200】実施例−5 実施例3で作成した熱現像感光材料-107において、カチ
オンをK+からZn2+またはCa2+に変更した熱現像感光材
料を熱現像感光材料-107と同様にして作成し、実施例−
3と実施例−4のテストを繰り返したところ、本発明の
効果、即ち塗布液粘度を著しく高めることなく、塗布液
の凝固点を適切な範囲内に高めることができることを確
認した。
【0201】
【発明の効果】本発明により、ゼラチンを含有する塗布
液のセット温度を上昇させ、しかも極端な塗布液の粘度
の上昇を伴うことなく良好な塗布液物性を有する塗布液
を用いて、少量のゼラチンからなる薄膜層を形成し、さ
らに異なる親水性バインダー層間での良好な接着性を与
えるハロゲン化銀写真感光材料を提供することができ
た。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03C 1/04 G03C 1/498 502 G03C 8/40 505

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含
    有する塗布液を、支持体上に塗布する写真材料の製造方
    法において、該紅藻類に由来する天然高分子多糖類を含
    有する塗布液が、K+,Ca2+,Mg2+,Zn2+,Co
    3+,Ni2+から選ばれるカチオンの合計を、塗布液1リ
    ットル当たり10ミリモル以上含有することを特徴とする
    写真材料の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記、紅藻類に由来する天然高分子多糖
    類がカッパカラギーナン、イオタカラギーナン、ラムダ
    カラギーナン、ファーセレランから選ばれる天然高分子
    多糖類であることを特徴とする請求項1記載の写真材料
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記塗布液1リットル当たり10ミリモル
    以上含有されるカチオンが、K+,Ca2+,Mg2+,Z
    2+から選ばれたカチオンであることを特徴とする請求
    項2記載の写真材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塗布液が含有するK+,Ca2+,M
    2+,Zn2+から選ばれたカチオンの総量が塗布液1リ
    ットル当たり20〜200ミリモルであることを特徴とする
    請求項3記載の写真材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記紅藻類に由来する天然高分子多糖類
    を含有する塗布液が更にゼラチンを含有し、該ゼラチン
    濃度が1〜6重量%であることを特徴とする請求項3ま
    たは4記載の写真材料の作成方法。
  6. 【請求項6】 前記紅藻類に由来する天然高分子多糖類
    を含有する塗布液の紅藻類に由来する天然高分子多糖類
    のゼラチンに対する重量比が0.02〜0.4の範囲であるこ
    とを特徴とする請求項5記載の写真材料の製造方法。
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