JP3575645B2 - 画像形成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀感光材料を用いる画像形成方法に関し、特に高濃度かつ低カブリで画質の良好な黒白画像が短時間で得られる熱現像感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハロゲン化銀を用いた写真法は、他の写真法、たとえば電子写真やジアゾ写真と比べて感度や階調調節や解像力等の写真特性に優れているため、従来から最も広範に使用されてきた。
【0003】
現在、画像情報としては情報量の多さや表現のしやすさから黒白画像よりカラー画像へと大きく推移しているが、特定の分野、例えば、医療関係などでは黒白画像が好まれて使用されている。また印刷関係においては、カラー画像用の製版材料も各印刷インキ毎に黒白画像として使用されており、産業用途を中心に依然として大きな需要がある。
【0004】
近年になって、ハロゲン化銀を用いた感光材料の画像形成処理法を従来の湿式処理から、現像液を内蔵するインスタントシステム、さらに、加熱等による乾式熱現像処理などにより、簡易迅速に画像を得ることのできるシステムが環境保護の観点も含めて開発されてきた。このような熱現像感光材料については、「写真工学の基礎(非銀塩写真編)コロナ社刊」242頁〜255頁、特公昭43−4921号、特公昭43−4924号等に記載されている。
【0005】
例えば、製品としては、黒白の系では、3M社のドライシルバー感材が発売されている。
【0006】
ドライシルバーのように、ハロゲン化銀、有機塩基および還元剤からなっているモノシート感材は、熱現像処理された画像中に、未使用のハロゲン化銀や有機銀塩が残存している。そのため、強い光に曝されたり、長期間保存すると残存ハロゲン化銀や有機銀塩がプリントアウトして白地が着色し、コントラストが消失してしまう欠点を有している。
【0007】
また、黒色のカラー画像を乾式処理で得る方法が、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下RDと略記する)1978年9月号49〜51頁(RD17326号)に、記載されているが、この方式も色像中に銀塩を含む未定着型であるので、上記と同様な欠点を有している。
【0008】
これらの欠点を改善するために、加熱により画像状に可動性(拡散性)の色素を形成または放出させた後、この可動性の色素を各種の転写溶剤を用いて色素受容性物質例えば媒染剤、耐熱性有機高分子物質などを含む色素固定材料に転写することにより保存性の改良された白黒画像の形成方法が、特公平3−78617号、同3−45820号に記載されている。しかしながら、これらの方法は、熱現像後転写する方法であるため、工程数も多く処理時間も長い。
【0009】
さらに、特開平3−260645号には、カップリング反応を利用した熱現像転写型白黒画像形成方法について、現像後転写する方法および現像と転写を同時にする方法が開示されている。しかしながら、この方法も有効な現像転写促進剤を有しないため処理に高温長時間を要している。
【0010】
また、特開昭62−1219848号には、少量の水を用いて熱現像をして、転写色素像で白黒画像を形成できることが開示されている。しかしながら、多くの白黒画像に要求される透過濃度2以上の画像を色素転写法で短時間で得るためには、感光材料の膜厚、特にバインダー量をできるだけ低減したり、色素供与性化合物の使用量を多くする必要がある。このため、膜質が低下したり、製造コストが上昇する問題が生じる。また、転写による鮮鋭度低下のため用途が限定される問題がある。さらに、黒色の色素供与性化合物の合成が困難であり、また、イエロー、マゼンタ、シアンの色素供与性化合物を混合して、中性の灰色の色像を得るのも困難である。
【0011】
また、ハロゲン化銀感光材料を用いて熱現像銀塩拡散転写により銀画像を形成する方法については、特開昭62−283332号、同63−198050号、同60−194448号等に開示されているが、これらの方法も転写した銀像を利用する方法であり、透過濃度2以上でしかも低カブリで鮮鋭度の高い画像を短時間で得ることが困難で、改良が必要とされていた。さらに、製版用の感光材料では階調ができるだけ硬いのが望ましいが、上述の画像形成方法では不十分で、この点でも改良が必要であった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的はカブリが低く、高濃度の銀画像が短時間で得られる画像形成方法を提供することにある。本発明の別の目的は、硬調で良好な網点画像を得る画像形成方法を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記本発明の目的は、下記構成(1)〜()によって達成することができる。
(1) 支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、親水性バインダー、および水に難溶な塩基性金属化合物を有する熱現像感光材料を、像様露光後または像様露光と同時に、支持体上に少なくとも該塩基性金属化合物を構成する金属イオンに対する錯形成化合物、ハロゲン化銀溶剤および物理現像核を含有するシートと重ね合わせて、還元剤および水の存在下で熱現像することにより該感光材料上および/または該シート上に画像を形成する方法において、該還元剤として1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体および無機性値≧215かつ120≦有機性値≦400であるジヒドロキシベンゼン誘導体を、使用モル比率が95:5ないし50:50で併用することを特徴とする画像形成方法。
) ジヒドロキシベンゼン誘導体がカテコール誘導体であることを特徴とする前記(1)記載の画像形成方法。
) 前記(1)に記載のシートがさらに媒染剤を含有し、画像として感光材料側を用いることを特徴とする前記(1)または(2)記載の画像形成方法。
【0014】
このように特定の還元剤を特定の使用比率で用いることにより、現像時間の短縮、感光したハロゲン化銀の適切な現像および未露光部のハロゲン化銀のシートへの迅速な転写が起こり、高濃度の銀画像が短時間で得られ、更に、硬調で良好な網点画像が得られる。
【0015】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、還元剤として使用する1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体は、式(I)で示される化合物群が挙げられる。
【0016】
一般式(I)
【0017】
【化1】
Figure 0003575645
【0018】
式(I)において、R〜Rは水素原子または置換基を表し、R〜Rの置換基の例としては、具体的にはアルキル基(炭素数1〜60。例えば、メチル、エチル、プロピル、iso−ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、ノニル、ウンデシル、ペンタデシル、n−ヘキサデシル)、アリール基(炭素数1〜30。例えばフェニル、ナフチル、p−メトキシフェニルなど)、アシルアミノ基(炭素数2〜60。例えば、アセチルアミノ、n−ブタノイルアミノ、オクタノイルアミノ、2−ヘキサデカノイルアミノ、2−(2′,4′−ジ−t−アミルフェノキシ)ブタノイルアミノ、ベンゾイルアミノ、ニコチノイルアミノ)、アルコキシ基(炭素数1〜60。例えば、メトキシ、エトキシ、ブトキシ、n−オクチルオキシ、ヘキサデシルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(炭素数6〜60。例えば、フェノキシ、2,4−t−アミルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、ナフトキシ)、アルキルチオ基(炭素数1〜60。例えば、メチルチオ、エチルチオ、ブチルチオ、ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(炭素数6〜60。例えば、フェニルチオ、4−ドデシルオキシフェニルチオ)、アシル基(炭素数1〜60。例えば、アセチル、ベンゾイル、ブタノイル、ドデカノイル)、スルホニル基(炭素数1〜60。例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル、トルエンスルホニル)、スルホニルアミノ基(炭素数1〜60。メタンスルホニルアミノ、フェニルスルホニルアミノ)、シアノ基、カルバモイル基(炭素数1〜60。例えば、N,N−ジシクロヘキシカルバモイル)またはスルファモイル基(炭素数0〜60。例えば、N,N−ジメチルスルファモイル)、スルホ基(その塩も含む)、カルボキシル基(その塩も含む)ハロゲン原子(例えば塩素、臭素、フッ素)及びヒドロキシル基が挙げられる。
【0019】
これらの置換基は更にこれらの置換基で置換されていてもよく、また可能な場合は、これらの置換基が互いに連結して環を形成していても良い。
【0020】
の置換基の例としては、R〜Rで示した置換基が挙げられ、nは0から5の整数を表し、nが2以上の場合には、2つ以上のRは同じであっても異なっても良い。
【0021】
〜Rとしては、水素原子、アルキル基、またはアリール基が好ましく、アルキル基としては、メチル基あるいはヒドロキシメチル基が更に好ましく、アリール基としてはフェニル基が更に好ましい。
【0022】
としては、水素原子、ハロゲン原子(例えば塩素および臭素)、アルキル基(炭素数1〜10のアルキル基、例えばメチル、エチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル)、あるいはアルコキシ基(炭素数1〜10のアルコキシ基、例えばメトキシ、iso−プロポキシ、2−エチルヘキシルオキシ)が好ましい。
【0023】
nは0または1が好ましい。
【0024】
該還元剤として使用する無機性値≧215かつ120≦有機性値≦400であるジヒドロキシベンゼン誘導体の好ましい構造は、式(II)あるいは(III)で表される。なお、無機性値および有機性値については、藤田穆・赤塚政美;「系統的有機定性分析(混合物編)」(1974年)や甲田善生;「有機概念図−基礎と応用−」(1984年)等に定義されている。
【0025】
一般式(II)
【0026】
【化2】
Figure 0003575645
【0027】
一般式(III)
【0028】
【化3】
Figure 0003575645
【0029】
式(II)および式(III)のRの置換基の例としては、式(I)のRで示したものが挙げられ、mは0から4の整数を表し、mが2以上の場合、2つ以上のRは同じであっても、異なっても良い。ただし、該還元剤が120≦有機性値≦400を満たすため、Rの炭素数の合計は、18以下が好ましい。有機性値が400を超えると最高濃度が低下し、軟調化し、網点の切れも悪化するので好ましくない。従って、Rの炭素数の合計は、12以下がさらに好ましい。
【0030】
無機性値の上限は、あまり意味を持たないが、3,000程度が一般的である。
【0031】
としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、あるいはアシル基が好ましい。
【0032】
の炭素数の合計は、1以上10以下が好ましく、4以上8以下が更に好ましい。
【0033】
mは1または2が好ましい。
【0034】
式(II)および式(III)の化合物は、2つ以上が連結し、2量体以上の多量体を形成しても良い。
【0035】
以下に、式(I)、式(II)および式(III)で示される化合物の具体例を示すが、これらに限定されるわけではない。
【0036】
【化4】
Figure 0003575645
【0037】
【化5】
Figure 0003575645
【0038】
【化6】
Figure 0003575645
【0039】
【化7】
Figure 0003575645
【0040】
【化8】
Figure 0003575645
【0041】
【化9】
Figure 0003575645
【0042】
本発明においては、前記一般式(III)で表されるカテコール誘導体を用いるのが性能上からさらに刺激や感作性が低いなどの安全上から好ましい。
【0043】
本発明においては、還元剤として1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体と組み合わせて、前記のように比較的親水性の高いジヒドロキシベンゼン誘導体を使用することにより、カブリが低くかつ高濃度の画像を得ることができる。さらに1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体とジヒドロキシベンゼン誘導体の使用モル比率が95:5ないし50:50と、通常のPQ現像液の組成に比べて1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体の割合を著しく多くすることにより、造核剤を用いなくても硬調な画像、良好な網点画像が得られた。このことは通常の湿式現像処理からは予想しがたいことであった。本発明において、1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体とジヒドロキシベンゼン誘導体の使用モル比率の好ましくは90:10〜60:40である。
【0044】
1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体とジヒドロキシベンゼン誘導体の使用モル比率が95:5ないし50:50を逸脱すると最低濃度が増加したり、網点の切れが悪化する。
【0045】
上記効果は、鎖形成化合物、ハロゲン化銀溶剤および物理現像核を含有するシート(以下錯化剤シートという)にさらに媒染剤を含有させた場合に大きく現れる。すなわち、媒染剤含有の錯化剤シートを用いて処理すると、未反応のジヒドロキシベンゼン誘導体やその酸化体が媒染により錯化剤シート側により多く分配することによるものと推測している。
【0046】
媒染剤は写真分野で公知のものを用いることができる。その具体例としては米国特許第4,500,626号第58〜59欄、特開昭61−88256号第(32)〜(41)頁や特開平1−161236号第(4)〜(7)頁に記載の媒染剤、米国特許第4,774,162号、同4,619,883号、同4,594,308号等に記載のものを挙げることができる。また、米国特許第4,463,079号に記載されているような色素受容性の高分子化合物を用いてもよい。
【0047】
本発明において、前記還元剤は感光材料中、錯化剤シート中または処理時に使用する水の中に添加することができる。感光材料中もしくは錯化剤シート中に内蔵するのが好ましく、特に感光材料中に含有させるのが好ましい。感光材料中もしくは錯化剤シート中に内蔵する場合、添加する層は感光層、中間層、保護層、ハレーション防止層、物理現像核含有層等任意に選択できるが、好ましくは感光層もしくは支持体側のその隣接層である。また複数の層に分割して添加してもよい。1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体とジヒドロキシベンゼン誘導体は同一でも別層でもよい。
【0048】
前記還元剤の総使用量は、銀1モルに対して0.1〜10モル、好ましくは0.5〜2モルである。この範囲であると還元剤が銀現像に有効に消費され、処理後の画像にステイン等の発生が抑制される。
【0049】
本発明において、感光材料に用いられる水に難溶性の塩基性金属化合物と錯化剤シートに用いられる上記難溶性金属化合物を構成する金属イオンと錯形成反応しうる化合物(錯形成化合物)は塩基プレカーサーとして用いられる。すなわち、この両者は水の存在下に錯形成反応を行なう結果として塩基を放出する。この難溶性の塩基性金属化合物と錯形成化合物の組合せについては、特開昭62−129848号、欧州特許公開210,660A2号、米国特許第4,740,445号等に開示されている。
【0050】
好ましい難溶性の塩基性金属化合物としては、亜鉛またはアルミニウムの酸化物、水酸化物、塩基性炭酸塩で、特に好ましくは酸化亜鉛、水酸化亜鉛、塩基性炭酸亜鉛である。
難溶性の塩基性金属化合物は、特開昭59−174830号等に記載のように親水性バインダー中に微粒子分散させて利用する。微粒子の平均粒径は、0.01〜5μmであり、好ましくは0.01〜2μmである。感光材料中の含有量は0.01g/m〜5g/mであり、好ましくは、0.05〜2g/mである。
【0051】
錯化剤シートに用いる錯形成化合物は、分析化学におけるキレート剤、写真化学における硬水軟化剤として公知のものである。その詳細は、前述の特許明細書の他、A.リングボム著、田中信行、杉春子訳「錯形成反応」(産業図書)にも記載されている。本発明に好ましい錯形成化合物は、水溶性の化合物であり、例えば、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノポリカルボン酸(塩も含む)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸等のアミノホスホン酸(塩)、2−ピコリン酸、ピリジン−2,6−ジカルボン酸、5−エチル−2−ピコリン酸等のピリジンカルボン酸(塩)が挙げられる。これらの中でも、特にピリジンカルボン酸(塩)が好ましい。
【0052】
本発明において、錯形成化合物は、塩基で中和した塩として用いるのが好ましい。特に、グアニジン類、アミジン類、水酸化テトラアルキルアンモニウム等の有機塩基との塩およびナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属との塩が好ましい。好ましい錯形成化合物の具体例は、前記特開昭62−129848号、欧州特許公開210,660A2号等に記載されている。錯形成化合物の錯化剤シート中の含有量は、0.01〜10g/mであり、好ましくは、0.05〜5g/mである。
【0053】
本発明では、錯化剤シートには、物理現像核を含有させるが、物理現像核は、感材より拡散してきた可溶性銀塩を還元して物理現像銀に変換し、錯化剤シートに固定させるものである。物理現像核としては、亜鉛、水銀、鉛、カドミウム、鉄、クロム、ニッケル、錫、コバルト、銅などの重金属、あるいは、パラジウム、白金、銀、金等の貴金属、あるいはこれらの硫黄、セレン、テルル等のカルコゲン化合物のコロイド粒子などの物理現像核として公知のものはすべて使用できる。これらの物理現像核物質は、対応する金属イオンをアスコルビン酸、水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤で還元して、金属コロイド分散物をつくるか、あるいは、可溶性硫化物、セレン化物またはテルル化物溶液を混合して、水不溶性の金属硫化物、金属セレン化物または金属テルル化物のコロイド分散物をつくることによって得られる。これらの分散物は、ゼラチンのような親水性バインダー中で形成させるのが好ましい。コロイド銀粒子の調製法は、米国特許第2688601号等に記載されている。必要に応じて、ハロゲン化銀乳剤調製法で知られている過剰の塩を除去する、脱塩法をおこなってもよい。
【0054】
これらの物理現像核は、錯化剤シートに、通常、10−3〜100mg/m、好ましくは、10−2〜40mg/m含有させる。
物理現像核は、別途調製して塗布液中に添加することもできるが、親水性バインダーを含有する塗布液中で、例えば、硝酸銀と硫化ナトリウム、または、塩化金と還元剤等を反応させて作成してもよい。
【0055】
物理現像核としては、銀、硫化銀、硫化パラジウム等が好ましく用いられる。錯化剤シートに転写した、物理現像銀を画像として用いる場合は、硫化パラジウム、硫化銀等がDmin が切れるという点で、好ましく用いられる。
物理現像核は錯化剤シートの最外層(感光材料の乳剤面と接触する層)に含有させるのが好ましい。
【0056】
本発明の錯化剤シートに使用するハロゲン化銀溶剤としては公知のものが使用できる。例えば、チオ硫酸ナトリウム、チオ硫酸アンモニウムの如きチオ硫酸塩、亜硫酸ナトリウムの如き亜硫酸塩、特公昭47−11386号記載の1,8−ジヒドロキシ−3,6−ジチアオクタン、2,2−チオジエタノール、6,9−ジオキサ−3,12−ジチアテトラデカン−1,14−ジオールの如き有機チオエーテル化合物、特願平6−325350号記載のウラシル、ヒダントインの如き5ないし6員のイミド環を有する化合物、アナリティカ・ケミカ・アクタ(Analytica Chemica Acta)248巻604〜614頁記載のトリメチルチオレートのようなメソイオンチオレート化合物、特開昭53−144319号記載の下記一般式の化合物を用いることができる。
【0057】
N(R)(R)−C(=S)−X−R
式中、Xは硫黄原子または酸素原子を表わす。RおよびRは同じでも異なっていてもよく、各々、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基またはアミノ基を表わす。Rは脂肪族基またはアリール基を表わす。RとRまたはRとRは互いに結合して5ないし6員のヘテロ環を形成してもよい。
【0058】
本発明においては、上記化合物の中でもウラシル、ヒダントインの如き5ないし6員のイミド環を有する化合物が特に好ましい。
【0059】
錯化剤シート中のハロゲン化銀溶剤の含有量は0.01〜5g/mであり、好ましくは0.05〜2.5g/mである。また感光材料の塗布銀量に対してモル比で1/20〜20倍であり、好ましくは1/10〜10倍である。ハロゲン化銀溶剤は、水、メタノール、エタノール、アセトン、DMF等の溶媒あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ水溶液に溶解して塗布液中に添加してもよいし、固体微粒子分散させて塗布液中に添加してもよい。
【0060】
本発明においては、特願平6−325350号記載のビニルイミダゾール及び/又はビニルピロリドンの繰り返し単位を構成成分として有するポリマーを錯化剤シートに含有させることにより、感光材料上の銀画像の濃度を高めることができる。
【0061】
本発明に用いる感光材料は、基本的には支持体上に感光性ハロゲン化銀、親水性バインダーおよび水に難溶性の塩基性金属化合物を有するものであり、さらに必要に応じて還元剤、有機金属塩酸化剤、色素供与性化合物などを含有させることができる。
これらの成分は同一の層に添加することが多いが、別層に分割して添加することもできる。還元剤は感光材料に内蔵するのが好ましいが、例えば錯化剤シートから拡散させるなどの方法で、外部からも供給してもよい。また、ハロゲン化銀乳剤感光層は、必要に応じて2層以上に分割してもよい。
【0062】
感光材料には、上記のハロゲン化銀乳剤層の間および最上層、最下層には、保護層、下塗り層、中間層、フィルター層、アンチハレーション層などの各種の非感光性層を設けても良く、支持体の反対側にはバック層などの種々の補助層を設けることができる。具体的には、米国特許第5,051,335号記載のような下塗り層、特開平1−120,553号、同5−34,884号、同2−64,634号記載のような還元剤やDIR化合物を有する中間層、米国特許第5,017,454号、同5,139,919号、特開平2−235,044号記載のような電子伝達剤を有する中間層、特開平4−249,245号記載のような還元剤を有する保護層またはこれらを組み合わせた層などを設けることができる。
【0063】
支持体が、酸化チタン等の白色顔料を含有したポリエチレンラミネート紙である場合には、バック層は、帯電防止機能をもち表面抵抗率が1012Ω・cm以下になる様設計することが好ましい。
【0064】
本発明において、感光性ハロゲン化銀は、塩化銀、臭化銀、沃塩化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、沃塩臭化銀等種々のものが使用できるが、好ましくは塩化銀含有率は80モル%以上の塩化銀、沃塩化銀、塩臭化銀、沃塩臭化銀である。より好ましくは、塩化銀含有率90モル%以上である。沃化銀含有率は、2モル%以下が好ましいが、より好ましくは1モル%以下、更には、0.5モル%以下である。
【0065】
本発明で使用されるハロゲン化銀は、表面潜像型であっても、内部潜像型であってもよい。内部潜像型乳剤は、造核剤や光カブラセとを組み合わせて直接反転乳剤として使用される。また、粒子内部と粒子表面で異なるハロゲン組成を持っている多重構造粒子であってもよい。また、エピタキシャル接合によって組成の異なるハロゲン化銀乳剤が接合されていてもよい。
【0066】
特に、本発明で使用される高塩化銀乳剤においては、臭化銀局在相を、先に述べたように、層状もしくは非層状にハロゲン化銀内部および/または表面に有する構造のものも使用できる。上記局在相のハロゲン組成は、臭化銀含有率が少なくとも20モル%のものが好ましく、30モル%を越えるものが好ましい。臭化銀局在相の臭化銀含有率は、X線回析法等で分析される。例えば、シー アールベリイ、エス ジェイ マリノ(C.R.Berry, S.J.Marino)著 フォトグラフィック サイエンス アンド テクノロジー(Photographic Science and Technology)2巻149頁(1955)および同4巻22頁(1957)にX線回折法のハロゲン化銀への適用法が記載されている。臭化銀局在相は、粒子内部、粒子表面のエッジ、コーナー、あるいは面上にあることができるが、好ましい例として、粒子のコーナー部にエピタキシャル接合したものがあげられる。
【0067】
ハロゲン化銀粒子の形状は、双晶面を含まない正常晶、双晶面を1つ含む一重双晶、平行な双晶面を2つ以上含む平行多重双晶、非平行な双晶面を2つ以上含む非平行多重双晶、球状、じゃがいも状、高アスペクト比の平板状およびそれらの複合系から目的に応じて使用できる。双晶粒子の形状については、日本写真学会編、写真工業の基礎−銀塩写真編(コロナ社)、第163頁に記載されている。
【0068】
正常晶の場合には(100)面からなる立方体、(111)面からなる8面体、あるいは(110)面からなる12面体粒子を用いることができる。12面体粒子については、特公昭55−42737号および特開昭60−222842号各公報に記載がある。さらに、Journal of Imaging Science 30 巻247 頁(1986 )に報告されている。(hl1)面、(hh1)面、(hk0)面、(hk1)面粒子も目的に応じて用いることができる。(111)面と(100)面を有する14面体や(111)と(110)面を有する粒子も利用可能である。必要に応じて、38面体、偏菱形24面体、46面体、68面体等の多面体粒子を使用することもできる。
【0069】
高アスペクト比の平板も、好ましく使用できる。(111)面から成る高塩化銀乳剤粒子の平板粒子は米国特許4399215号、同4400463号、同5217858号、特開平2−32号等に記載されており、(100)面からなる高塩化銀乳剤粒子の平板粒子は、米国特許4946772号、同5275930号、同5264337号、特願平4−214109号、特願平5−96250号、欧州特許0534395A1号等に記載されている。このような、高アスペクト比の平板粒子は、同一体積の正常晶と比べて、表面積が大きいので増感色素の吸着量を増やせるので、色増感感度の点で有利である。また、カバリングパワーの点で有利であるので、低銀量で高Dmax が達成できる。比表面積が大きいので、現像活性も高いという特長を有する。
【0070】
ハロゲン化銀粒子の平均粒径は0.05μm以下の微粒子から、投影面積直径が10μmを越える大サイズ粒子までどのようなサイズでもよい。好ましくは、0.1〜2μmで、特に0.1〜0.9μmが好ましい。
粒子サイズ分布としては、例えば、ハロゲン化銀乳剤の粒子数あるいは重量で平均粒子サイズの±30%以内に全粒子の80%以上が入るような粒子サイズ分布を有する単分散乳剤を用いてもよいし、広い粒子サイズ分布を有する多分散乳剤を用いてもよい。好ましくは、単分散乳剤が用いられる。
【0071】
また、特開平1−167743号、同4−223463号のように、階調の調整を目的として、実質的に同一の感色性を有し粒子サイズの異なる2種以上の単分散ハロゲン化銀乳剤を併用してもよい。2種以上の乳剤は、同一層に混合してもよいし、別々の層を構成してもよい。2種類以上の多分散ハロゲン化銀乳剤あるいは単分散乳剤と多分散乳剤との組み合わせを使用することもできる。また、後述の重金属の含有量の異なる2種以上の単分散ハロゲン化銀乳剤を併用してもよいし、化学熟成の異なる2種以上の単分散ハロゲン化銀乳剤を併用してもよい。
【0072】
本発明におけるハロゲン化銀乳剤を調製する過程で、過剰の塩を除去する脱塩工程を行うのが好ましい。ゼラチンをゲル化させて行うヌーデル水洗法を用いても良く、また、多価アニオンよりなる無機塩類(例えば、硫酸ナトリウム)、アニオン性界面活性剤、アニオン性ポリマー(例えば、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム)、ゼラチン誘導体(脂肪族アシル化ゼラチン、芳香族アシル化ゼラチン、芳香族カルバモイル化ゼラチン等)を利用した沈降法(フロキュレーション)を用いてもよい。あるいは、米国特許第4758505号、特開昭62−113137号、特公昭59−43727号、米国特許第4334012号に示される限外濾過装置を用いてもよいし、自然沈降法、遠心分離法を用いてもよい。通常は、沈降法が好ましく用いられる。
【0073】
ハロゲン化銀乳剤の調製方法は、グラフキデ著「写真の物理と化学」、ポールモンテル社刊(P.Glafkides, Chemie et Physique Photographique, Paul Montel,1967)、ダフィン著「写真乳剤化学」、フォーカルプレス社刊(G.F.Duffin, Photographic Emulsion Chemistry (Focal Press, 1966)、ゼリクマンら著「写真乳剤の製造と塗布」、フォーカルプレス社刊(V.L.Zelikman et al., Making and Coating Photographic Emulsion, Focal Press, 1964)に記載がある。
【0074】
調製方法は、酸性法、中性法およびアンモニア法のいずれでもよい。可溶性銀塩と可溶性ハロゲン塩を反応させる形式としては、片側混合法、同時混合法、それらの組合せを用いることができる。粒子を銀イオン過剰の状態において形成させる方法(いわゆる逆混合法)を用いることもできる。同時混合法の一つの形式としてハロゲン化銀の生成する液層中のpAgを一定に保つ方法、即ち、いわゆるコントロールド・ダブルジェット法を用いることもできる。この方法によると、結晶系が規則的で粒子サイズが均一に近いハロゲン化銀乳剤が得られる。
【0075】
ハロゲン化銀乳剤の調製において、粒子形成中のpAgとpHを調整することが好ましい。pAgとpHの調整については、フォトグラフィック・サイエンス・アンド・エンジニアリング(Photographic Science and Engineering)第6巻、159〜165頁(1962);ジャーナル・オブ・フォトグラフィック・サイエンス(Jouranl of Photgraphic Science)、12巻、242〜251頁(1964)、米国特許3655394号および英国特許1413748号各明細書に記載がある。
【0076】
ハロゲン化銀粒子形成中にハロゲン化銀溶剤を用いることにより、より単分散度の高いハロゲン化銀乳剤を製造することができる。ハロゲン化銀溶剤の例としては、チオシアン酸塩(米国特許2222264号、同第2448534号、同3320069号各明細書記載)、チオエーテル化合物(米国特許3271157号、同3574628号、同第3704130号、同4297439号、同4276347号各明細書記載)、チオン化合物(特開昭53−144319号、同53−82408号、同55−77737号各公報記載)およびイミダゾール系化合物(特開昭54−100717号記載)、ベンツイミダゾール(特公昭60−54662号)、およびアミン化合物(特開昭54−100717号公報記載)を挙げることができる。なお、アンモニアを悪作用を伴わない範囲でハロゲン化銀溶剤と併用することができる。特公昭46−7781号、特開昭60−222842号、特開昭60−122935号等に記載されているような含窒素化合物をハロゲン化銀粒子形成段階に添加することができる。ハロゲン化銀溶剤の具体例の詳細は、特開昭62−215272号の12頁〜18頁に記載されている。
【0077】
ハロゲン化銀の粒子形成または物理熟成の過程において、金属塩(錯塩を含む)も共存させてもよい。金属塩の例としては、イリジウム、ロジウム、ルテニウム、クロム、カドミウム、亜鉛、鉛、タリウム、白金、パラジウム、オスミウム、レニウム等の貴金属または重金属の塩あるいは錯塩を挙げることができる。これらの中でもイリジウム、ロジウム、ルテニウム、クロムの塩あるいは錯塩が好ましい。これらの化合物は、単独で用いてもよいし、2種類以上組み合わせて用いてもよい。添加量はハロゲン化銀1モルあたり、10−9〜10−3モル程度、特に好ましくは10−9〜5×10−6モルである。錯イオンおよび配位化合物としては、臭素イオン、塩素イオン、シアンイオン、ニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、水、アンモニア等およびそれらの組み合わせが好ましく用いられる。例えば、黄血塩、KIrCl、KIrCl、(NHRhCl(HO)、KRuCl(NO)、KCr(CN)等が好ましく用いられる。また、ハロゲン化銀粒子に組み込む位置は、粒子内均一でもよいし、粒子の表面あるいは内部等の局在した位置や臭化銀局在相や高塩化銀粒子基板でもよい。これらの化合物の添加方法は、粒子形成時のハロゲン化物水溶液に該金属塩溶液を混合したり、該金属イオンがドープされたハロゲン化銀乳剤微粒子を添加したり、あるいは、該金属塩溶液を粒子形成中、粒子形成後に直接添加したりすることで行える。高照度露光の感度や濃度を増加させるために、イリジウム及び黄血塩のようなシアンイオンを配位子にしたような金属錯塩、塩化鉛、塩化カドミウム、塩化亜鉛が好ましく使用できる。本発明のように、分光増感する場合、黄血塩のようなシアンイオンを配位子にしたような金属錯塩、塩化鉛、塩化カドミウム、塩化亜鉛を用いるのが好ましい。硬調化の目的でイリジウム塩、ロジウム塩、ルテニウム塩、クロム塩が、好ましく用いられる。
【0078】
ハロゲン化銀粒子の形成時に、添加する銀塩溶液(例えばAgNO水溶液)とハロゲン化合物溶液(例えばKBr水溶液)の添加速度、添加量あるいは添加濃度を上昇させ、粒子形成速度を速めてもよい。このように、急速にハロゲン化銀粒子を形成する方法は、英国特許1335925号、米国特許3672900号、同3650757号、同4242445号各明細書、特開昭55−142329号、同55−158124号、同58−113927号、同58−113928号、同58−111934号、同58−111936号各公報に記載がある。
【0079】
粒子形成中または粒子形成後にハロゲン化銀粒子表面に難溶性のハロゲン化銀粒子を形成するハロゲンで置換してもよい(ハロゲン変換)。このハロゲン変換過程は、「ディー・グルンドラーゲン・ディア・フォトグラフィシェン・プロツェセ・ミット・ジルファーハロゲニデン」(Die Grundlagen der Photographischen Prozesse mit Silverhalogeniden)662〜669頁や「ザ・セオリー・オブ・フォトグラフィック・プロセス」(The Theory of Photographic Process)第4版97〜98頁等に記載されている。この方法は、可溶性ハロゲン化物の溶液で添加しても良いし、微粒子ハロゲン化銀の状態で添加してもよい。
【0080】
本発明のハロゲン化銀乳剤は、未化学増感のままで使用できるが、通常、化学増感して使用される。本発明に用いられる化学増感法には、硫黄増感法、セレン増感法、テルル増感法等のカルコゲン増感法、金、白金、パラジウム等を用いる貴金属増感および還元増感法等を単独または組み合わせて用いることができる(例えば、特開平3−110555号、特願平4−75798号など)。これらの化学増感を含窒素複素環化合物の存在下で行うことができる(特開昭62−253159号)。また、後述するカブリ防止剤を化学増感終了後に添加することができる。具体的には、特開平5−45833号、特開昭62−40446号記載の方法を用いることができる。
【0081】
硫黄増感剤としては、不安定なイオウ化合物を用い、具体的には、チオ硫酸塩(例えば、ハイポ)、チオ尿素類(例えば、ジフェニルチオ尿素、トリエチルチオ尿素、アリルチオ尿素等)、アリルイソチオシアネート、シスチン、p−トルエンチオスルホン酸塩、ローダニン類、メルカプト類等の公知の硫黄化合物を用いればよい。硫黄増感剤の添加量は、乳剤の感度を効果的に増大させるのに充分な量でよく、適量はpH、温度、他の増感剤とのかねあい、ハロゲン化銀粒子の大きさ等、種々の条件により変化するが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り10−9〜10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0082】
セレン増感においては、公知の不安定セレン化合物を用い、具体的には、コロイド状金属セレニウム、セレノ尿素類(例えば、N,N−ジメチルセレノ尿素、N,N−ジエチルセレノ尿素等)、セレノケトン類、セレノアミド類、脂肪族イソセレノシアネート類(例えば、アリルイソセレノシアネート等)、セレノカルボン酸及びエステル類、セレノホスフェート類、ジエチルセレナイド類、ジエチルジセレナイド類等のセレナイド類を用いることができる。添加量は硫黄増感剤と同様に種々の条件により変化するが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り10−10 〜10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。
【0083】
本発明においては上記のカルコゲン増感の他に貴金属による増感も行うことができる。まず、金増感においては、金の価数が+1価でも+3価でもよく、多種の金化合物が用いられる。代表的な例としては塩化金酸類、カリウムクロロオーレート、オーリクトリクロライド、カリウムオーリチオシアネート、カリウムヨードオーレート、テトラオーリックアシド、アンモニウムオーロチアシアネート、ピリジルトリクロロゴールド、硫化金、金セレナイド、テルル化金等が挙げられる。
【0084】
金増感剤の添加量は種々の条件により異なるが、目安としてはハロゲン化銀1モル当り10−10〜10−1モルの範囲で使用するのが好ましい。
金増感剤の添加時期は硫黄増感あるいはセレン増感、テルル増感と同時でも、硫黄あるいはセレン、テルル増感工程の途中や前、あるいは終了後でもよいし、金増感剤を単独に用いることも可能である。
【0085】
本発明における硫黄増感、セレン増感またはテルル増感や金増感を施す乳剤のpAg、pHに特に制限はないがpAgは5〜11、pHは3〜10の範囲で使用するのが好ましい。さらに、好ましくは、pAgは6.8〜9.0、pHは5.5〜8.5の範囲である。
本発明において金以外の貴金属も化学増感剤として使用可能である。金以外の貴金属としては例えば、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムのような金属塩あるいはそれらの錯塩による増感剤も使用できる。
【0086】
本発明においては更に還元増感を行うことができる。本発明で用いられる還元増感剤としては、アスコルビン酸、第一錫塩、アミンおよびポリアミン類、ヒドラジン誘導体、ホルムアミジンスルフィン酸、シラン化合物、ボラン化合物等が公知である。本発明には、これら公知の化合物の1種を選んで用いることができ、また2種以上の化合物を併用することもできる。還元増感剤として、塩化第一銀、二酸化チオ尿素、ジメチルアミンボラン、L−アスコルビン酸、アミノイミノメタンスルフィン酸が好ましい化合物である。還元増感剤の添加量は乳剤条件に依存するので、添加量を選ぶ必要があるが、ハロゲン化銀1モル当たり10−9〜10−2モルの範囲が適当である。
【0087】
また上記の還元増感剤を添加する方法の他に銀熟成と呼ばれるpAg1〜7の低pAgの雰囲気で成長、あるいは熟成させる方法、高pH熟成と呼ばれるpH8〜11の高pHの雰囲気で成長、あるいは熟成させる方法、水素ガスを通したり、電気分解による発生期の水素によって、還元増感する方法をも選ぶことができる。さらには2つ以上の方法を併用することもできる。
【0088】
この還元増感は単独でも用いることができるが、上記カルコゲン増感や貴金属増感と組合せて用いることもできる。
【0089】
本発明において、感光材料に用いられるハロゲン化銀乳剤の量は、銀の量として0.5ないし2.5g/mが好ましく、特に0.8〜2.0g/mが好ましく用いられる。
【0090】
乳剤調製時に用いられる保護コロイドとしては、ゼラチンが好ましく使用されるが、それ以外の親水性バインダーも用いることができる。親水性バインダーは、単独あるいはゼラチンとの併用で使用できる。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン誘導体、ゼラチンと他の高分子のグラフトポリマー、アルブミンやカゼイン等の蛋白質、ヒドロキシエチルセルロースやセルロース硫酸エステル類等のようなセルロース誘導体、アルギン酸ナトリウム、澱粉誘導体、多糖類、カラギナン、ポリビニルアルコールや変成アルキルポリビニルアルコールやポリビニル−N−ピロリドン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミドやポリビニルイミダゾールやポリビニルピラゾール等の単一あるいは共重合体のような合成親水性高分子、米国特許第3615624号記載のチオエーテルポリマーも好ましく使用できる。
【0091】
ゼラチンは、石灰処理ゼラチンのほか、酸処理ゼラチンや脱灰ゼラチンやフタル化ゼラチンのようなゼラチン誘導体や低分子のゼラチンも使用できる。過酸化水素のような酸化剤で酸化処理されたゼラチンや酵素で処理されたゼラチンも使用できる。ゼラチンの加水分解物や酵素分解物も用いることができる。
【0092】
本発明に用いられる感光性ハロゲン化銀乳剤は、メチン色素類その他によって分光増感されてもよい。
用いられる色素には、シアニン色素、メロシアニン色素、複合シアニン色素、複合メロシアニン色素、ホロポーラーシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素及びヘミオキソノール色素が包含される。特に有用な色素は、シアニン色素、メロシアニン色素、及び複合メロシアニン色素に属する色素である。
【0093】
増感色素とともに、それ自身分光増感作用を持たない色素あるいは可視光を実質的に吸収しない化合物であっても、強色増感を示す化合物を乳剤中に含んでいてもよい。
【0094】
色素を乳剤中に添加する時期は、乳剤調製のいかなる段階であってもよい。もっとも普通には、化学増感の完了後塗布前までの時期に行なわれるが、米国特許3628969号および同4225666号各明細書に記載されているように化学増感剤と同時期に添加し、分光増感を化学増感と同時に行うことも、特開昭58−113928号及び特開平4−63337号に記載されているように化学増感に先立って行うこともできる。また、ハロゲン化銀粒子沈澱生成の完了前に添加し、分光増感を開始することもできる。さらにまた米国特許4225666号明細書に教示されているように、これらの前記化合物を分けて添加すること、すなわち、これらの化合物の一部を化学増感に先立って添加し、残部を化学増感の後で添加することも可能であり、米国特許4183756号明細書に教示されている方法を始めとしてハロゲン化銀粒子形成中のどの時期であってもよい。
【0095】
増感色素の吸着強化のため、増感色素添加前後および添加中に、可溶性のCa化合物、可溶性のBr化合物、可溶性のI化合物、可溶性のCl化合物、可溶性のSCN化合物を添加してもよい。これらの化合物を併用してもよい。好ましくは、CaCl、KI、KCl、KBr、KSCNである。また、微粒子の臭化銀、塩臭化銀、沃臭化銀、沃化銀、ロダン銀乳剤粒子の状態であってもよい。
【0096】
本発明の乳剤を適用する写真感光材料のその他の添加剤に関しては特に制限はなく、例えば、リサーチディスクロージャー誌(Research Disclosure )176巻、アイテム17643(RD−17643)、同187巻、アイテム18716(RD−18716)および同307巻、アイテム307105等の記載を参考にすることができる。
【0097】
このような工程で使用される添加剤および本発明の感光材料や錯化剤シートに使用できる公知の写真用添加剤をRD−17643、RD−18716およびRD−307105における各種添加剤の記載箇所を以下にリスト化して示す。
Figure 0003575645
【0098】
更に次に示す化合物等も使用できる。
Figure 0003575645
Figure 0003575645
Figure 0003575645
【0099】
前記添加剤のうちカブリ防止剤、安定化剤としてはアゾール類(例えば、ベンゾチアゾリウム塩、ニトロイミダゾール類、ニトロベンズイミダゾール類、クロロベンズイミダゾール類、ブロモベンズイミダゾール類、ニトロインダゾール類、ベンゾトリアゾール類、アミノトリアゾール類など);メルカプト化合物類{例えば、メルカプトチアゾール類、メルカプトベンゾチアゾール類、メルカプトベンズイミダゾール類、メルカプトチアジアゾール類、メルカプトテトラゾール類(特に、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールおよびその誘導体)、メルカプトピリミジン類、メルカプトトリアジン類など};例えばオキサドリンチオンのようなチオケト化合物;アザインデン類{例えば、トリアザインデン類、テトラアザインデン類{特に、4−ヒドロキシ−6−メチル(1,3,3a,7)テトラアザインデン)、ペンタアザインデン類など};ベンゼンチオスルホン類;ベンゼンスルフィン酸;ベンゼンスルホン酸アミド等を好ましく用いることができる。
【0100】
感光材料や錯化剤シートの構成層のバインダーには親水性のものが好ましく用いられる。その例としては前記のリサーチ・ディスクロージャーおよび特開昭64−13,546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。具体的には、透明か半透明の親水性バインダーが好ましく、例えばゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質またはセルロース誘導体、寒天、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、ファーセレラン、欧州公開特許443529号記載のカラギナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム、ペクチン等の多糖類、特開平1−221736号記載の多糖類のような天然化合物やポリビニルアルコール、特願平5−339155号記載の変成アルキルポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体等の合成高分子化合物が挙げられる。また、米国特許第4,960,681号、特開昭62−245,260号等に記載の高吸水性ポリマー、すなわち−COOMまたは−SOM(Mは水素原子またはアルカリ金属)を有するビニルモノマーの単独重合体またはこのビニルモノマーどうし、もしくは他のビニルモノマーとの共重合体(例えばメタクリル酸ナトリウム、メタクリル酸アンモニウム、住友化学(株)製のスミカゲルL−5H)も使用される。これらのバインダーは2種以上組み合わせて用いることもできる。ゼラチンと上記バインダーの組み合わせが好ましい。またゼラチンは、種々の目的に応じて石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウムなどの含有量を減らしたいわゆる脱灰ゼラチンから選択すれば良く、組み合わせて用いることも好ましい。
【0101】
微量の水を供給して熱現像を行うシステムを採用する場合、上記の高吸水性ポリマーを用いることにより、水の吸収を迅速に行うことが可能となる。
【0102】
ゼラチン含有率の少ない場合、ゼラチン以外の親水性ポリマーは、塗布時のセット性の点で、欧州公開特許443529号記載のカラギナンや特願平5−339155号記載の変成アルキルポリビニルアルコールや特開平6−67330号記載の多糖類が好ましく用いられる。
【0103】
感光材料や錯化剤シートの全バインダーの塗布量は、12g/m〜0.5g/mが好ましく、特に5g/m以下、更には3g/m以下にするのがより好ましい。
【0104】
本発明においては前述の還元剤とともに、感光材料の分野で知られている下記のものを併用することができる。また、それ自身は還元性を持たないが現像過程で求核試薬や熱の作用により還元性を発現する還元剤プレカーサーも用いることができる。
本発明に用いられる還元剤の例としては、米国特許第4,500,626号の第49〜50欄、同4,839,272号、同4,330,617号、同4,590,152号、同5,017,454号、同5,139,919号、特開昭60−140,335号の第(17)〜(18)頁、同57−40,245号、同56−138,736号、同59−178,458号、同59−53,831号、同59−182,449号、同59−182,450号、同60−119,555号、同60−128,436号、同60−128,439号、同60−198,540号、同60−181,742号、同61−259,253号、同62−201,434号、同62−244,044号、同62−131,253号、同62−131,256号、同63−10,151号、同64−13,546号の第(40)〜(57)頁、特開平1−120,553号、同2−32,338号、同2−35,451号、同2−234,158号、同3−160,443号、欧州特許第220,746号の第78〜96頁等に記載の還元剤や還元剤プレーカーサーがある。
【0105】
米国特許第3,039,869号に開示されているもののような種々の還元剤の組合せも用いることができる。
【0106】
また特開平3−160,443号記載のような電子供与体プレカーサーも好ましく用いられる。
さらに中間層や保護層にも上記還元剤を用いることができる。具体的には、欧州特許公開第524,649号、同357,040号、特開平4−249,245号、同2−64,633号、同2−46,450号、特開昭63−186,240号記載の還元剤が好ましく用いられる。また特公平3−63,733号、特開平1−150,135号、同2−110,557号、同2−64,634号、同3−43,735号、欧州特許公開第451,833号記載のような現像抑制剤放出還元性化合物も用いられる。
【0107】
本発明においては、感光性ハロゲン化銀乳剤と共に、有機金属塩を酸化剤として併用することもできる。このような有機金属塩の中で、有機銀塩は、特に好ましく用いられる。
上記の有機銀塩酸化剤を形成するのに使用し得る有機化合物としては、米国特許第4,500,626号第52〜53欄等に記載のベンゾトリアゾール類、脂肪酸その他の化合物がある。また米国特許第4,775,613号記載のアセチレン銀も有用である。有機銀塩は、2種以上を併用してもよい。
【0108】
以上の有機銀塩は、感光性ハロゲン化銀1モルあたり、0.01〜10モル、好ましくは0.01〜1モルを併用することができる。感光性ハロゲン化銀乳剤と有機銀塩の塗布量合計は銀換算で0.05〜10g/m、好ましくは0.4〜5g/mが適当である。
【0109】
本発明の感光材料の構成層にはハレーション防止やイラジエーション防止などの目的で、種々の染料を用いることができる。染料は、特開平3−7931号や同2−308242号に開示されているように、固体状態の微粒子として分散し、感光材料に組み込むのが、好ましい。具体的には前記リサーチ・ディスクロージャー記載の化合物や、特願平6−259805号等に記載の化合物を用いることができる。
【0110】
本発明の感光材料には、現像の活性化と同時に画像の安定化を図る化合物を用いることができる。好ましく用いられる具体的化合物については米国特許第4,500,626号の第51〜52欄に記載されている。
【0111】
本発明においては、画像形成物質は、主として感光材料中の現像銀である。必要に応じて、色素(色素供与性化合物)を感光材料及び錯化剤シート中に利用できる。一例として、PS版は紫外線カットの明室で取り扱えるように300nm〜500nmの間の波長域に分光感度を有しており、PS版への焼き付け原稿となる印刷製版用感光材料はその画像がこの波長域でディスクリミネーションを有していればよく、銀画像とともにこの波長域に吸収を持つ色素(色素供与性化合物)を画像にすることができる。また、互いに実質的に異なる色調を有する色素を形成または放出する少なくとも2種類の色素供与性化合物を用いて、または、互いに実質的に異なる色調を有する少なくとも2種類の色素を形成または放出する色素供与性化合物を用いて銀と共に色素による白黒画像を得ることもできる。
【0112】
本発明で使用しうる色素供与性化合物の例としてはまず、酸化カップリング反応によって色素を形成する化合物(カプラー)を挙げることができる。このカプラーは4当量カプラーでも、2当量カプラーでもよい。また、耐拡散性基がポリマー鎖をなすポリマーカプラーも好ましい。カラー現像薬およびカプラーの具体例は、米国特許第3531286号にパラフェニレンジアミン系還元剤とフェノール性または活性メチレンカプラーが、同3761270号にパラアミノフェノール系還元剤が、ベルギー特許802519号およびリサーチディスクロージャー誌1975年9月31日、32頁にスルホンアミドフェノール系還元剤が、米国特許第4021240号に、スルホンアミドフェノール系還元剤と4当量カプラーとの組み合わせが提案されている。その他のカラー現像薬およびカプラーの具体例は、T. H. James 著“The Theory of the Photographic Process”第4版291〜334頁および354〜361頁にも記載されている。
【0113】
別の色素供与性化合物の例としては、特開昭59−180548号等に記載のように銀イオンまたは可溶性銀錯体の存在下で、窒素原子およびイオウ原子またはセレン原子を含む複素環の開裂反応を起こして可動性色素を放出する前記複素環を有する耐拡散性色素供与性化合物(チアゾリジン系化合物)も使用できる。また、別の色素供与性化合物の例として、画像状に拡散性色素を放出乃至拡散する機能を持つ化合物を挙げることができる。この型の化合物は次の一般式〔LI〕で表わすことができる。
【0114】
〔(Dye)m−Y〕n−Z 〔LI〕
Dyeは色素基、一時的に短波化された色素基または色素前駆体基を表わし、Yは単なる結合又は連結基を表わし、Zは画像状に潜像を有する感光性銀塩に逆対応して〔(Dye)m−Y〕n−Zで表わされる化合物の拡散性に差を生じさせるか、または、(Dye)m−Yを放出し、放出された(Dye)m−Yと[(Dye)m−Y]n−Zとの間に拡散性において差を生じさせるような性質を有する基を表わし、mは1〜5の整数を表し、nは1または2を表わし、m、nのいずれかが1でない時、複数のDyeは同一でも異なっていてもよい。
【0115】
一般式〔LI〕で表わされる色素供与性化合物の具体例としては下記の▲1▼〜▲3▼が挙げられる。
【0116】
▲1▼米国特許第3,134,764号、同3,362,819号、同3,597,200号、同3,544,545号、同3,482,972号、特公平3−68,387号等に記載されている、ハイドロキノン系現像薬と色素成分を連結した色素現像薬。この色素現像薬はアルカリ性の環境下で拡散性であるが、ハロゲン化銀と反応すると非拡散性になるものである。
【0117】
▲2▼米国特許第4,503,137号等に記されている通り、アルカリ性の環境下で拡散性色素を放出するがハロゲン化銀と反応するとその能力を失う非拡散性の化合物も使用できる。その例としては、米国特許第3,980,479号等に記載された分子内求核置換反応により拡散性色素を放出する化合物、米国特許第4,199,354号等に記載されたイソオキサゾロン環の分子内巻き換え反応により拡散性色素を放出する化合物が挙げられる。
【0118】
▲3▼米国特許第4,559,290号、欧州特許第220,746A2号、米国特許第4,783,396号、公開技報87−6,199、特開昭64−13,546号等に記されている通り、現像によって酸化されずに残った還元剤と反応して拡散性色素を放出する非拡散性の化合物も使用できる。
その例としては米国特許第4,139,389号、同4,139,379号、特開昭59−185,333号、同57−84,453号等に記載されている還元された後に分子内の求核置換反応により拡散性の色素を放出する化合物、米国特許第4,232,107号、特開昭59−101,649号、同61−88,257号、RD24,025(1984年)等に記載された還元された後に分子内の電子移動反応により拡散性の色素を放出する化合物、***特許第3,008,588A号、特開昭56−142,530号、米国特許第4,343,893号、同4,619,884号等に記載されている還元後に一重結合が開裂して拡散性の色素を放出する化合物、米国特許第4,450,223号等に記載されている電子受容後に拡散性色素を放出するニトロ化合物、米国特許第4,609,610号等に記載されている電子受容後に拡散性色素を放出する化合物等が挙げられる。
【0119】
また、より好ましいものとして、欧州特許第220,746号、公開技報87−6,199、米国特許第4,783,396号、特開昭63−201,653号、同63−201,654号、同64−13,546号等に記載された一分子内にN−X結合(Xは酸素、硫黄または窒素原子を表す)と電子吸引性基を有する化合物、特開平1−26,842号に記載された一分子内にSO−X(Xは上記と同義)と電子吸引性基を有する化合物、特開昭63−271,344号に記載された一分子内にPO−X結合(Xは上記と同義)と電子吸引性基を有する化合物、特開昭63−271,341号に記載された一分子内にC−X′結合(X′はXと同義か又は−SO−を表す)と電子吸引性基を有する化合物が挙げられる。また、特開平1−161,237号、同1−161,342号に記載されている電子受容性基と共役するπ結合により還元後に一重結合が開裂し拡散性色素を放出する化合物も利用できる。
【0120】
この中でも特に一分子内にN−X結合と電子吸引性基を有する化合物が好ましい。
【0121】
着色している色素供与性化合物は、感光性ハロゲン化銀乳剤層の下層に存在させると、感度の低下を防ぐことができる。
【0122】
色素供与性化合物、耐拡散性還元剤などの疎水性添加剤は米国特許第2,322,027号記載の方法などの公知の方法により感光材料の層中に導入することができる。この場合には、米国特許第4,555,470号、同4,536,466号、同4,536,467号、同4,587,206号、同4,555,476号、同4,599,296号、特開昭63−306439号、同62−8145号、同62−30247号、特公平3−62,256号などに記載のような高沸点有機溶媒を、必要に応じて沸点50℃〜160℃の低沸点有機溶媒と併用して、用いることができる。またこれら色素供与性化合物、耐拡散性還元剤、高沸点有機溶媒などは2種以上併用することができる。
【0123】
高沸点有機溶媒の量は用いられる疎水性添加剤1gに対して10g以下、好ましくは5g以下、より好ましくは1g〜0.1gである。また、バインダー1gに対して1cc以下、更には0.5cc以下、特に0.3cc以下が適当である。
また特公昭51−39,853号、特開昭51−59,943号に記載されている重合物による分散法や特開昭62−30,242号等に記載されている微粒子分散物にして添加する方法も使用できる。
【0124】
疎水性化合物を親水性コロイドに分散する際には、種々の界面活性剤を用いることができる。例えば特開昭59−157,636号の第(37)〜(38)頁、前記のリサーチ・ディスクロージャー記載の界面活性剤として挙げたものを使うことができる。
また、特開平7−056267号、特願平6−19247号、***公開特許第1932299A号記載のリン酸エステル型界面活性剤も使用できる。
【0125】
錯化剤シートは、必要に応じて保護層、剥離層、下塗り層、中間層、バック層、カール防止層などの補助層を設けることができる。
【0126】
感光材料および錯化剤シートの構成層には、可塑剤、スベリ剤あるいは感光材料と錯化剤シートとの剥離性改良剤として高沸点有機溶媒を用いることができる。具体的には、前記リサーチ・ディスクロージャーや特開昭62−245,253号などに記載されたものがある。
更に、上記の目的のために、各種のシリコーンオイル(ジメチルシリコーンオイルからジメチルシロキサンに各種の有機基を導入した変性シリコーンオイルまでの総てのシリコーンオイル)を使用できる。その例としては、信越シリコーン(株)発行の「変性シリコーンオイル」技術資料P6−18Bに記載の各種変性シリコーンオイル、特にカルボキシ変性シリコーン(商品名X−22−3710)などが有効である。
【0127】
また特開昭62−215,953号、同63−46,449号に記載のシリコーンオイルも有効である。
【0128】
感光材料や錯化剤シートの構成層に用いる硬膜剤としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第4,678,739号第41欄、同4,791,042号、特開昭59−116,655号、同62−245,261号、同61−18,942号、特開平4−218,044号等に記載の硬膜剤が挙げられる。より具体的には、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒドなど)、アジリジン系硬膜剤、エポキシ系硬膜剤、ビニルスルホン系硬膜剤(N,N′−エチレン−ビス(ビニルスルホニルアセタミド)エタンなど)、N−メチロール系硬膜剤(ジメチロール尿素など)、あるいは高分子硬膜剤(特開昭62−234,157号などに記載の化合物)が挙げられる。
【0129】
これらの硬膜剤は、塗布された親水性バインダー1gあたり0.001〜1g、好ましくは、0.005〜0.5gが用いられる。また添加する層は、感光材料や錯化剤シートの構成層のいずれの層でも良いし、2層以上に分割して添加しても良い。
【0130】
感光材料や錯化剤シートの構成層には、種々のカブリ防止剤または写真安定剤およびそれらのプレカーサーを使用することができる。その具体例としては、前記リサーチ・ディスクロージャー、米国特許第5,089,378号、同4,500,627号、同4,614,702号、特開昭64−13,546号(7)〜(9)頁、(57)〜(71)頁および(81)〜(97)頁、米国特許第4,775,610号、同4,626,500号、同4,983,494号、特開昭62−174,747号、同62−239,148号、同63−264,747号、特開平1−150,135号、同2−110,557号、同2−178,650号、RD17,643(1978年)(24)〜(25)頁、特願平6−190529号等記載の化合物が挙げられる。これらの化合物は、銀1モルたあたり5×10−6〜1×10−1モルが好ましく、さらに1×10−5〜1×10−2モルが好ましく用いられる。
【0131】
感光材料や錯化剤シートの構成層には、塗布助剤、剥離性改良、スベリ性改良、帯電防止、現像促進等の目的で種々の界面活性剤を使用することができる。界面活性剤の具体例は前記リサーチ・ディスクロージャー、特開昭62−173,463号、同62−183,457号等に記載されている。
感光材料や錯化剤シートの構成層には、スベリ性改良、帯電防止、剥離性改良等の目的で有機フルオロ化合物を含ませてもよい。有機フルオロ化合物の代表例としては、特公昭57−9053号第8〜17欄、特開昭61−20944号、同62−135826号等に記載されているフッ素系界面活性剤、またはフッ素油などのオイル状フッ素系化合物もしくは四フッ化エチレン樹脂などの固体状フッ素化合物樹脂などの疎水性フッ素化合物が挙げられる。
【0132】
感光材料や錯化剤シートには、接着防止、スベリ性改良、非光沢面化などの目的でマット剤を用いることができる。マット剤としては二酸化ケイ素、ポリオレフィンまたはポリメタクリレートなどの特開昭61−88256号(29)頁記載の化合物の他に、ベンゾグアナミン樹脂ビーズ、ポリカーボネート樹脂ビーズ、AS樹脂ビーズなどの特開昭63−274944号、同63−274952号記載の化合物がある。その他前記リサーチ・ディスクロージャー記載の化合物が使用できる。これらのマット剤は、最上層(保護層)のみならず必要に応じて下層に添加することもできる。
【0133】
その他、感光材料および錯化剤シートの構成層には、熱溶剤、消泡剤、防菌防バイ剤、コロイダルシリカ等を含ませてもよい。これらの添加剤の具体例は特開昭61−88256号第(26)〜(32)頁、特開平3−11,338号、特公平2−51,496号等に記載されている。
【0134】
本発明において感光材料及び/又は錯化剤シートには画像形成促進剤を用いることができる。画像形成促進剤には、物理化学的な機能からは塩基または前述の塩基プレカーサー、求核性化合物、高沸点有機溶媒(オイル)、熱溶剤、界面活性剤、銀または銀イオンと相互作用を持つ化合物等に分類される。ただし、これらの物質群は一般に複合機能を有しており、上記の促進効果のいくつかを合せ持つのが常である。これらの詳細については米国特許第4,678,739号第38〜40欄に記載されている。錯化剤シートに高沸点有機溶媒を添加することで、処理後の感光材料および錯化剤シートの画像の光沢低下が著しく改良される。
【0135】
本発明において感光材料及び/又は錯化剤シートには、現像時の処理温度および処理時間の変動に対し、常に一定の画像を得る目的で種々の現像停止剤を用いることができる。ここでいう現像停止剤とは、適正現像後、速やかに塩基を中和または塩基と反応して膜中の塩基濃度を下げ現像を停止する化合物または銀および銀塩と相互作用して現像を抑制する化合物である。具体的には、加熱により酸を放出する酸プレカーサー、加熱により共存する塩基と置換反応を起す親電子化合物、または含窒素ヘテロ環化合物、メルカプト化合物及びその前駆体等が挙げられる。更に詳しくは特開昭62−253,159号(31)〜(32)頁に記載されている。
【0136】
本発明において感光材料や錯化剤シートの支持体としては、処理温度に耐えることのできるものが用いられる。一般的には、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、(株)コロナ社刊(昭和54年)(223)〜(240)頁記載の紙、合成高分子(フィルム)等の写真用支持体が挙げられる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリイミド、ポリアリレート、セルロース類(例えばトリアセチルセルロース)またはこれらのフィルム中へ酸化チタンなどの顔料を含有させたもの、更にポリプロピレンなどから作られるフィルム法合成紙、ポリエチレン等の合成樹脂パルプと天然パルプとから作られる混抄紙、ヤンキー紙、バライタ紙、コーティッドペーパー(特にキャストコート紙)、金属、布類、ガラス類等が用いられる。
【0137】
これらは、単独で用いることもできるし、ポリエチレン等の合成高分子で片面または両面をラミネートされた支持体として用いることもできる。このラミネート層には、酸化チタン、群青、カーボンブラックなどの顔料や染料を必要に応じて含有させておくことができる。
この他に、特開昭62−253,159号(29)〜(31)頁、特開平1−161,236号(14)〜(17)頁、特開昭63−316,848号、特開平2−22,651号、同3−56,955号、米国特許第5,001,033号等に記載の支持体を用いることができる。
【0138】
これらの支持体の裏面は、親水性バインダーとアルミナゾルや酸化スズ、酸化アンチモンのような金属酸化物、カーボンブラックその他の帯電防止剤を塗布してもよい。具体的には、特開昭63−220,246号などに記載の支持体を使用できる。
表面抵抗率が1012Ω・cm以下になるように設計することが望ましい。
【0139】
また支持体の表面は親水性バインダーとの密着性を改良する目的で種々の表面処理や下塗りを施すことが好ましく用いられる。
支持体の厚みは20μm〜300μmの範囲で任意に選択できる。
【0140】
本発明の感光材料は、撮影用黒白感光材料、医療用感光材料(直撮レントゲン用またはコンピューテッドラジオグラフィー用)、印刷用感光材料等広範囲に用いることができる。印刷用感光材料の用途としては、スキャナ用フィルムのみならず、網撮り用フィルム、線画用フィルム、密着用(ネガ−ポジ・タイプ)フィルム、密着用(反転ポジ−ポジ・タイプ)フィルム、あるいは、明室用フィルムとして利用できる。
【0141】
本発明の熱現像感光材料に画像を露光し記録する方法としては、例えば製版カメラを用いてリバーサルフィルムのような印刷原稿を、コンタクトスクリーンや色分解フィルターで露光する方法、製版用プリンターを用いる方法、スキャナ、イメージセッタやファクシミリ等を用いて、画像情報を電気信号を経由してキセノンランプ、発色ダイオード、各種レーザー(レーザーダイオード、ガスレーザーなど)などを発光させ走査露光する方法(特開平2−129625号、同5−176144号、5−199302号、同6−127021号等に記載の方法)が利用できる。
【0142】
熱現像感光材料へ画像を記録する光源としては、キセノンランプ、タングステンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、石英ランプ、発光ダイオード、レーザー光源等を用いることができる。
【0143】
本発明における、露光装置の例を次に挙げる。市販のArレーザーの露光装置であるLinotype−Hell 社のDCシリーズ、Crosfield社のMagnascanシリーズ、市販のHe−Neレーザーの露光装置である大日本スクリーン社のSGシリーズ及び市販のレーザーの露光装置である富士写真フイルム社のLux Scan 、大日本スクリーン社のMTRなどのカラースキャナー及び、Agfa−Gevaert社のSelectset(He−Ne)、Avantra(Red−LD)、Linotype−Hell 社のHerkules (Red−LD)、Scitex 社のDolev(He−Ne)、Agfa−Gevaert社のAccuset(Red−LD)、富士写真フイルム社のLuxSetter 5600等のイメージセッター、NEC社の240Rなどのファクシミリ用露光装置を用いることができる。
【0144】
本発明の露光において、利用できる製版用プリンターの例を次に挙げる。富士写真フイルムのFPA740、FPA800、FPA800X、FPA800Hg、FPA800FX、大日本スクリーン社のP607シリーズ、P617シリーズ、P627シリーズ、P647シリーズ、P648シリーズ、P607シリーズ、アイグラフィクス社のIPB−1000SH、ウシオ社のFL2M、FL3M、倉並社のSK−16、Eastman− Kodak社のVersalite Contact Printer 840H 、Contact 2200 Printer、Contact 2200 Printer、Agfa−Gevaert社のCDL2002Ri、キタムラ社のP−6、P−4、P−2、P−8、SACK社のOR30、THIEMER社のVDM5、CONVAC社のRD7087Dを用いることができる。
【0145】
本発明の露光において、利用できる製版用カメラの例を次に挙げる。富士写真フイルムのFCS820、FCS820S、FGC100、FGC200、FGC300、大日本スクリーン社のFINE ZOOM880、ZOOMACE800、コンパニカC−680、コンパニカC−690、P648シリーズ、P607シリーズ、アイテックグラフィクス社のImage maker 540、Eastman− Kodak社のOpti−Copy 32、Opti−Copy 42、Opti−Copy 23、イメージメーカー5060A、イメージメーカーIM200、イメージメーカーIM400、イメージメーカーIM600、イメージメーカーIM800、Agfa−Gevaert社のRPSカメラ、リプロマスターシリーズ、イズミヤ社のリニアス2000、デザインスコープシリーズ、三菱製紙のリプロカメラシリーズを用いることができる。
【0146】
本発明の熱現像感光材料および/または錯化剤シートは、加熱現像および銀塩拡散転写のための加熱手段として導電性の発熱体層を有する形態であっても良い。この場合の発熱要素には、特開昭61−145544号等に記載のものを利用できる。
本発明において、米国特許第4,704,345号、同4,740,445号、特開昭61−238,056号等に記載されている、少量の水の存在下で加熱し現象と転写を同時または連続して行うのが好ましい。この方式においては、加熱温度は、50℃〜100℃が好ましい。
【0147】
本発明に用いられる水としては、一般に用いられる水であれば何を用いても良い。具体的には蒸留水、水道水、井戸水、ミネラルウオーター等を用いることができる。また本発明の感光材料および錯化剤シートを用いる熱現象装置においては水を使い切りで使用しても良いし、循環し繰り返し使用してもよい。後者の場合材料から溶出した成分を含む水を使用することになる。また特開昭63−144,354号、同63−144,355号、同62−38,460号、特開平3−210,555号等に記載の装置や水を用いても良い。さらに、水に溶解する低沸点溶媒、界面活性剤、かぶり防止剤、難溶性金属塩との錯形成化合物、本発明の還元剤、防黴剤、防菌剤を含有させてもよい。
【0148】
これらの溶媒は感光材料、錯化剤シートまたはその両者に付与する方法を用いることができるが、好ましくは、感材に付与する。その使用量は全塗布膜の最大膨潤体積に相当する溶媒の重量以下でよい。具体的には1m当り5〜30cc、好ましくは10〜20ccである。
この水を付与する方法としては、例えば特開昭62−253,159号(5)頁、特開昭63−85,544号等に記載の方法が好ましく用いられる。また、溶媒をマイクロカプセルに閉じ込めたり、水和物の形で予め感光材料もしくは錯化剤シートまたはその両者に内蔵させることもできる。
【0149】
付与する水の温度は前記特開昭63−85,544号等に記載のように30℃〜60℃であれば良い。特に水中での雑菌類の繁殖を防ぐ目的で45℃以上にすることが有用である。
【0150】
常温で固体であり高温では溶解する親水性熱溶剤を感光材料および/または錯化剤シートに内蔵させることができる。内蔵させる層は感光材料の感光性ハロゲン化銀乳剤層、中間層、保護層のいずれか、錯化剤シートのいずれの層でも良い。親水性熱溶剤の例としては、尿素類、ピリジン類、アミド類、スルホンアミド類、イミド類、アルコール類、オキシム類その他の複素環類がある。
【0151】
現象および/または転写工程における加熱方法としては、加熱されたブロックやプレートに接触させたり、熱坂、ホットプレッサー、熱ロ−ラー、熱ドラム、ハロゲンランプヒーター、赤外および遠赤外ランプヒーターなどに接触させたり、高温の雰囲気中を通過させる方法などがある。
感光材料と錯化剤シートを重ね合わせる方法は特開昭62−253,159号、特開昭61−147,244号(27)頁記載の方法が適用できる。
【0152】
本発明の写真要素の処理には種々の熱現象装置のいずれもが使用できる。例えば、特開昭59−75,247号、同59−177,547号、同59−181,353号、同60−18,951号、実開昭62−25,944号、特開平6−130509号、同6−95338号、同6−95267号等に記載されている装置などが好ましく用いられる。また市販の装置としては富士写真フイルム(株)製ピクトロスタット100、同ピクトロスタット200、同ピクトロスタット300、同ピクトログラフィー3000、同ピクトログラフィー2000などが使用できる。
【0153】
これらの熱現像装置がフィルムを搬送する速度(線速度)は、遅くても速くてもよい。装置の大きさを小型化しようとするならば、例えば200mm/分以下の線速度にしてもよいし、多量のフィルムを短時間に処理しようとするならば、例えば1000mm/分以上の線速度にしてもよいし、さらには1500mm/分以上の高速の線速度にしてもよい。もちろん目的に応じて、これらの中間の線速度にしもよい。
【0154】
以下、実施例をもって本発明の説明を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0155】
【実施例】
実施例l
感光性ハロゲン化銀乳剤の調製法について述べる。
良く攪拌している第1表に示す組成のpH3のゼラチン水溶液を、40℃にて調製した後、37℃に降温して、第2表に示す(I)液と(II)液を同時に10分間かけて添加し、その2分後、(III)液と(IV)液を19分かけて同時に添加した。
【0156】
【表1】
Figure 0003575645
【0157】
【化10】
Figure 0003575645
【0158】
【表2】
Figure 0003575645
【0159】
常法により、水洗、脱塩(沈降剤▲1▼を用い、硫酸でpH3に調製して行った)後、石灰処理ゼラチン22gを加えてpH5.7、pAg7.8に調節した後、60℃で化学増感した。化学増感に用いた化合物は、第3表に示す通りに順次添加した。添加時間は、ゼラチン分散後に、防腐剤▲1▼、臭化カリウム、塩化ナトリウム、リボ核酸分解物を同時に添加し、その2分後に、チオスルフォン酸塩とスルフィン酸塩を添加し、その2分後にチオ硫酸ナトリウムを、その3分後に塩化金酸を添加し、64分間熟成し、テトラアザインデンを添加して化学増感を停止させ、2分後に降温し、セットさせた。臭化銀含有率1.7モル%の塩臭化銀乳剤であった。粒子の形状は立方体で、辺長は、平均0.21μmで標準偏差は、0.019μmであった。この乳剤の収量は、630gである。
【0160】
【化11】
Figure 0003575645
【0161】
【表3】
Figure 0003575645
【0162】
次に還元剤1,5−ジフェニル−3−ピラゾリドン(I−1)の分散物の調製法について述べる。1,5−ジフェニル−3−ピラゾリドン10g、花王製デモール0.2gを5.7%石英処理ゼラチン90ccを加えて、平均粒径0.75mmのガラスビーズを用いてミルで30分間分散した。ガラスビーズを分離して還元剤のゼラチン分散物を得た。
【0163】
次にハレーション防止染料▲1▼の固体状態の分散物も上記の方法に準じて調製した。ゼラチン分散物を得た。
【0164】
【化12】
Figure 0003575645
【0165】
次に、水酸化亜鉛の分散物の調製法について、述べる。
平均粒子サイズが0.08μmの水酸化亜鉛ソーダ12.5g、分散剤としてカルボキシルメチルセルロース1g、ポリアクリル酸ソーダ0.1gを4%ゼラチン水溶液100ccに加えて、平均粒径0.75μmのガラスビーズを用いてミルで30分間分散した。ガラスビーズを分離して水酸化亜鉛のゼラチン分散物を得た。
【0166】
以上のものを用いて、第4表に示す感光材料(A)を作成した。ポリマー▲1▼は、メチルメタアクリレート−スチレン−2−エチルヘキシルアクリレート−メタクリル酸の共重合体である。
【0167】
【表4】
Figure 0003575645
【0168】
【化13】
Figure 0003575645
【0169】
【化14】
Figure 0003575645
【0170】
【化15】
Figure 0003575645
【0171】
【化16】
Figure 0003575645
【0172】
【化17】
Figure 0003575645
【0173】
次に第5表に示すような錯化剤シートR1を作成した。高沸点有機溶媒▲1▼(トリクレジルフォスフェート)のゼラチン分散物を使用している。なお、ポリマー▲2▼(媒染剤)は、ポリビニル−N−イミダゾールである。
【0174】
【表5】
Figure 0003575645
【0175】
次に感光材料(A)の第3層(乳剤層)と第2層(中間層)に第6表に示すように、還元剤を添加して感光材料(B)〜(I)を作成した。
【0176】
上記のように得られた感光材料(A)〜(I)を、680nmにピークを持つ半導体レーザーで、1画素(100μm)あたり1000万の1秒で光量を変化させて露光した。露光済の感光材料は40℃で保温した水に2.5秒浸したのち、ローラーで絞り、直ちに錯化剤シートと膜面が接するように重ね合わせた。次いで吸水した膜面の温度が80℃となるように温度調整したヒートドラムを用い、15秒間加熱し錯化剤シートR1を引きはがすと、感光材料に白黒銀画像が得られた。
【0177】
自動濃度測定器を用いて、透過画像の青色濃度と露光量の関係である特性曲線を得た。この特性曲線より最高濃度Dmax と最低濃度Dmin を測定した。
網点の切れは、A=非常に良好、B=良好、C=やや悪いが実用上可のレベル、の3段階で示している。
以上の結果を第6表(第6−1表および第6−2表)に示す。
【0178】
【表6】
Figure 0003575645
【0179】
【表7】
Figure 0003575645
【0180】
上表において(A)、(E)、(H)、(I)は比較例、(B)、(C)、(D)、(F)、(G)は本発明の実施例である。濃度は、ビジュアル濃度である。
【0181】
第6表より1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体のみを還元剤として用いた感光材料(A)および(E)では還元剤の添加量を増加させてもDmax 、Dmin および網点の切れがいずれもほとんど改善されない。これに対し、ジヒドロキシベンゼン誘導体を併用した感光材料(B)、(C)、(D)、(F)、(G)はDmax 、Dmin および網点の切れがいずれも改良されることがわかった。
【0182】
さらにジヒドロキシベンゼン誘導体の塗布量(モル量)を1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体の塗布量(モル量)より多くした〔ピラゾリドン誘導体:ジヒドロキシベンゼン誘導体=17:83(モル比率)〕感光材料(H)はDmin が増加した。処理後の感光材料(H)は黄かっ色のステインが見られ、水銀ランプを用いてPS版に焼きつける際、露光時間の増大をもたらせた。また、有機性値が400より大きい還元剤4−n−ヘキサデシルカテコールを用いた感光材料(I)はDmax が低下し、網点の切れも改善されなかった。感光材料(I)も処理後に黄かっ色のステインが見られた。
【0183】
本発明の還元剤の組み合わせにより、Dmin が低く、かつDmax が高く、良好な網点が得られることがわかった。
【0184】
【発明の効果】
本発明は、カブリが低く、高濃度の銀画像が短時間で得られ、更に、硬調で良好な網点画像を得る画像形成方法を提供することできる。

Claims (3)

  1. 支持体上に少なくとも感光性ハロゲン化銀、親水性バインダー、および水に難溶な塩基性金属化合物を有する熱現像感光材料を、像様露光後または像様露光と同時に、支持体上に少なくとも該塩基性金属化合物を構成する金属イオンに対する錯形成化合物、ハロゲン化銀溶剤および物理現像核を含有するシートと重ね合わせて、還元剤および水の存在下で熱現像することにより該感光材料上および/または該シート上に画像を形成する方法において、該還元剤として1−フェニル−3−ピラゾリドン誘導体および無機性値≧215かつ120≦有機性値≦400であるジヒドロキシベンゼン誘導体を、使用モル比率が95:5ないし50:50で併用することを特徴とする画像形成方法。
  2. ジヒドロキシベンゼン誘導体がカテコール誘導体であることを特徴とする請求項1記載の画像形成方法。
  3. 請求項1に記載のシートがさらに媒染剤を含有し、画像として感光材料側を用いることを特徴とする請求項1または請求項記載の画像形成方法。
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