JP2539189Y2 - プロピレン系繊維積層発泡シート - Google Patents

プロピレン系繊維積層発泡シート

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JP2539189Y2
JP2539189Y2 JP5529292U JP5529292U JP2539189Y2 JP 2539189 Y2 JP2539189 Y2 JP 2539189Y2 JP 5529292 U JP5529292 U JP 5529292U JP 5529292 U JP5529292 U JP 5529292U JP 2539189 Y2 JP2539189 Y2 JP 2539189Y2
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Description

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本考案は、耐熱性や成形性等が良
好で、軽量且つ成形後の保形性等に優れ、例えば自動車
内装用天井材や食品包装用トレー等の成形用として好適
な、プロピレン系繊維積層発泡シートに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車内装用天井材等を成形するための
成形材料として、発泡シートと不織布とを積層した積層
発泡シートが広く使用されている。
【0003】自動車の室内温度は夏期には異常に高くな
るため、この種の積層発泡シートには、高い耐熱性が要
求されるとともに、垂れ下がりが生じる等の虞がないよ
うに成形後の保形性に優れたものが要求されている。
【0004】従来、このような要求に応えるべく、発泡
シートとしては、スチレン−無水マレイン酸共重合体、
スチレン−メタクリル酸共重合体等のスチレン系共重合
体や、架橋プロピレン系樹脂等を基材樹脂とするものが
用いられていた。またこれら発泡シートに積層される不
織布としては、ポリエステル繊維からなるものが一般に
用いられていた。又、食品包装分野では、天プラ、ハン
バーガー、ホットドッグ等を電子レンジで加熱した際に
余分な水蒸気や油分を吸収し、しかも高温に耐える優れ
た包装トレー等が求められている。従来、このような要
求に応えるべく、発泡シートとしては前述の耐熱性樹脂
を基材樹脂とするものに不織布を積層したものや、吸水
性ポリマーシートを積層したものが考えられている。
【0005】
【考案が解決しようとする課題】スチレン系樹脂共重合
体を基材樹脂とする発泡シートの場合、スチレン成分に
対するコモノマー成分量の増加とともに耐熱性も向上す
るが、所望の耐熱性を付与しようとすると成形性の低下
をきたし、成形時に所謂ナキ等が発生し易く不良品の発
生率が高くなるという問題があった。
【0006】また架橋プロピレン系樹脂を基材樹脂とす
る発泡シートの場合、発泡シートの製造工程において樹
脂を架橋させた後に発泡を行うため、殆ど延伸がかかっ
ておらず、また架橋しているために発泡後に延伸処理を
施すことも困難である。このため架橋プロピレン系樹脂
発泡シートを用いた自動車内装天井材や食品包装用トレ
ーは保形性が低く天井材の場合垂れ下がり易い欠点があ
り、トレー等の場合には型崩れの欠点がある。このよう
な欠点を解消するには保形性の高いシート状物(このよ
うなシート状物は一般に肉厚で重量が大である。)と積
層して用いなければならず、この結果積層シート全体の
重量が大となって軽量性が損なわれるという問題があっ
た。
【0007】更に従来のこの種の発泡積層シートは、発
泡シートと不織布の材質が異なるため、成形時の発泡シ
ートと不織布との伸び率が大きく異なり、この結果、成
形後に両者の間に剥離が生じ易いという問題もあった。
【0008】本考案は上記の点に鑑みなされたもので、
上記従来の欠点を解消したプロピレン系繊維積層発泡シ
ートを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち本考案のプロピレン
系繊維積層発泡シートは、長鎖分岐を有すると共にドロ
ーダウン性が60m/分以下である無架橋プロピレン系
樹脂を基材とする、密度0.3〜0.045g/cm3 、厚み
1〜10mmの押出発泡シートの少なくとも片面に、プロ
ピレン系繊維よりなる不織布を積層したことを特徴とす
る。
【0010】
【実施例】以下、本考案の一実施例を図面に基づき説明
する。
【0011】図1に示すように、本考案のプロピレン系
繊維積層発泡シート1は、プロピレン系樹脂発泡シート
2と、該発泡シート2の少なくとも片面に積層されたプ
ロピレン系繊維よりなる不織布3とからなる。
【0012】本考案において上記発泡シート2の基材樹
脂であるプロピレン系樹脂としては、長鎖分岐を有し且
つドローダウン性が60m/分以下の無架橋プロピレン
系樹脂が用いられる。ドローダウン性は、好ましくは3
0m/分以下、特に好ましくは15m/分以下である。
【0013】このドローダウン性とは、230℃に加熱
した溶融プロピレン系樹脂をメルトインデクサーのノズ
ル(口径2.095mm、長さ8mm)より10mm/分の一定
速度で紐状に押出し、次いで該紐状物を上記ノズルの下
方に位置する張力検出プーリーの上方に位置する送りロ
ールを通過させた後、巻取りロールで巻取る一方で巻取
りロールの巻取り速度を除々に増加させていって紐状物
を切断させ、この切断時における紐状物の巻取り速度を
いう。
【0014】発泡シート2を構成する上記プロピレン系
樹脂は、通常のプロピレン系樹脂と異なり、主鎖に長鎖
分岐を有するものでなければならない。このプロピレン
系樹脂は、単独重合体、ブロック共重合体、ランダム共
重合体のいずれでも良いが、成形性の面から共重合体が
好ましく、長鎖分岐の形成の容易さの面からブロック共
重合体が好ましい。共重合体では特にプロピレン−エチ
レンブロック共重合体が好ましい。
【0015】共重合体の場合、プロピレンとプロピレン
以外の少量のオレフィンとの共重合体が好ましく、この
オレフィンとしては、エチレン或いは炭素数4〜10の
α−オレフィンが挙げられ、これらは1種又は2種以上
組み合わせて使用することができる。炭素数4〜10の
α−オレフィンとしては例えば1−ブテン、イソブチレ
ン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、3,4-ジメチル−1−
ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等が
挙げられる。
【0016】上記オレフィンは、通常共重合体中に0.5
〜30重量%、特に1〜10重量%の割合で含有される
ことが好ましい。
【0017】本考案で用いる上記プロピレン系樹脂は、
通常の結晶性線状プロピレン系樹脂(通常、重量平均分
子量100000以上)であって、しかもその中にアタ
クチック分又は/及びアイソタクチックではあるが結晶
していない成分を含む樹脂(以下、本考案で用いるプロ
ピレン系樹脂と区別するために、この樹脂を“通常のプ
ロピレン系樹脂”と称する。尚、単にプロピレン系樹脂
と称した場合には本考案で用いる樹脂を意味する。)に
対し、低温分解型(分解温度:室温〜120℃程度)の
過酸化物を混合して120℃以下に加熱し、通常のプロ
ピレン系樹脂の主鎖にアタクチック又は/及び結晶して
いないアイソタクチック成分を分岐鎖として結合せしめ
る等の方法により得ることができ、通常、主として端部
に長鎖分岐を有する枝別れ状構造を有すると考えられ
る。
【0018】上記低温分解型の過酸化物としては、ジ
(s−ブチル)ペルオキシジカーボネート、ビス(2−
エトキシ)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシ
ルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオ
キシジカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカー
ボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、
t−ブチルペルオキシネオデカノアート、t−アミルペ
ルオキシネオデカノアートおよびt−ブチルペルオキシ
ピバラート等が例示される。
【0019】長鎖分岐を有し、且つドローダウン性が6
0m/分以下であるプロピレン系樹脂は、通常のプロピ
レン系樹脂を、攪拌機を備えた反応器中で攪拌しながら
アルゴン等の不活性ガスで反応容器内を置換し、次いで
上記過酸化物を樹脂1kg当たり通常5〜50ミリモル
添加し、攪拌を続けながら120℃程度まで、好ましく
は70〜105℃程度に加熱して反応させ(通常30〜
120分間)、しかる後、反応を停止させて得られる。
反応停止に当たっては、メチルメルカプタンのような反
応停止剤を反応容器に導入したり、あるいは反応生成物
を130〜150℃程度に20〜40分間加熱する方法
等が採用される。プロピレン系樹脂分子鎖中に長鎖分岐
が存在するか否かは、次の方法で確認することができ
る。即ち、伸長流動測定装置(例えば、レオメトリック
ス社の伸長流動測定装置:商品名RER−9000)を
用い、プロピレン系樹脂から測定サンプルを作製し、こ
のサンプルのひずみ速度(秒 −1 )における伸長粘度
(poise)と時間(秒)との関係をグラフ化する。
このグラフ上において、長鎖分岐を有するプロピレン系
樹脂と長鎖分岐を有しないプロピレン系樹脂とは、長鎖
分岐を有するプロピレン系樹脂は伸長粘度曲線の傾きが
時間とともに大きくなるのに対し、長鎖分岐を有しない
プロピレン系樹脂では伸長粘度曲線の傾きは時間ととも
に小さくなることから区別することができる。 上記レオ
メトリックス社の伸長流動測定装置(RER−900
0)による測定結果から、長鎖分岐を有するプロピレン
系樹脂及び長鎖分岐を有しないプロピレン系樹脂のひず
み速度における伸長粘度と時間との関係を示したのが図
3のグラフである。グラフ中の曲線Aは長鎖分岐を有す
るプロピレン系樹脂を示し、曲線Bは長鎖分岐を有しな
いプロピレン系樹脂を示す。このグラフより、長鎖分岐
を有するプロピレン系樹脂では、伸長粘度曲線の傾きは
時間とともに大きくなるのに対し、長鎖分岐を有しない
プロピレン系樹脂では、伸長粘度曲線の傾きは時間とと
もに小さくなることがわかる。 尚、測定サンプル及び測
定条件は下記の通りである。 ・測定サンプルの大きさ、形状:長さ30mm、直径5
mmの円柱状 ・ひずみ速度:1.0秒 −1 ・測定温度:基材樹脂の融点+20℃(但し、融点は基
材樹脂1〜5mgを示差走査熱量計によって10℃/分
で昇温した時に得られるDSC曲線の吸熱ピークの頂点
の温度とする。)
【0020】ドローダウン性は上記長鎖分岐の数や長さ
により調整することができる。一般的に言って、長鎖分
岐の数が多いほど、また分岐の長さが長いほど、この値
は低下する傾向にある。従って所望のドローダウン性の
プロピレン系樹脂を得るには、これらのことを加味して
反応条件を設定する必要がある。
【0021】長鎖分岐を持たないか、分岐を持っていて
も短か過ぎたり僅かであるものや、あるいは通常のプロ
ピレン系樹脂の場合には、ドローダウン性が60m/分
を上回ってしまう。このような通常のプロピレン系樹脂
を使用して押出発泡を行って、本考案発泡シートと同様
の密度0.3〜0.045g/cm3 の発泡シートを得ようと
しても、得られる発泡シートはコルゲートや表面凹凸が
多く、商品価値のないものとなってしまう。
【0022】本考案で用いるプロピレン系樹脂は、その
結晶化温度+15℃における半結晶化時間が800秒以
上であることが好ましく、特に1000秒以上であるこ
とが好ましい。この半結晶化時間の測定には結晶化速度
測定器を用いることができる。
【0023】半結晶化速度を測定するには、まずフィル
ム状の試料を保持した支持体を、結晶化速度測定器のエ
アバス内に入れて試料を完全に溶融させ、次いで溶融試
料を支持体ごと試料の結晶化温度+15℃の温度に保持
されたオイルバス中に、光源と光センサーとの間の光路
を遮るように浸漬し、溶けた試料が再度固化するまでの
間、光センサーにおいて常に一定の光量が検出されるよ
うに光源の電圧を調整し、図2に示す如き電圧〜時間曲
線を得る。この曲線における電圧が一定値となった時の
電圧をV0 とした時、電圧が1/2V0 となるまでの時
間を半結晶化時間とした。
【0024】本考案においては上記のプロピレン系樹脂
を単独で用いるのみならず、他の樹脂を混合して用いる
こともできる。混合して用いる樹脂としては、例えば上
記以外のプロピレン系樹脂、或いは高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、
直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合
体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系
樹脂、ブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹
脂等が挙げられる。
【0025】上記他の樹脂を混合する場合、混合する樹
脂の量は、混合後のポリマーの総重量の40重量%を限
度とし、しかも混合物のドローダウン性が60m/分を
超えないようにする必要がある。
【0026】一方、上記発泡シート2に積層される不織
布3を構成するプロピレン系繊維の素材としては、発泡
シート2を構成するプロピレン系樹脂と同様の樹脂の他
に、従来から用いられている一般の無架橋のプロピレン
系樹脂を用いることができる。このプロピレン系樹脂
は、プロピレン単独重合体でも、プロピレンと共重合可
能な不飽和結合を有するモノマーとの共重合体の何れで
も良く、共重合体の場合にはブロック共重合体、ランダ
ム共重合体の何れでもよい。プロピレンと共重合可能な
不飽和結合を有するモノマーとしては、エチレン、或い
は炭素数4〜10のα−オレフィンが挙げられ、これら
は一種又は二種以上組み合せて使用することができる。
炭素数4〜10のα−オレフィンとしては例えば1−ブ
テン、イソブチレン、1−ペンテン、3−メチル−1−
ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ぺンテン、3,
4-ジメチル−1−ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−
1−ヘキセン等が挙げられる。
【0027】本考案積層発泡シート1は、発泡シート2
と不織布3とが共にプロピレン系樹脂により構成され、
しかも無架橋であるために再生が可能であるが(リサイ
クル性が高い)、プロピレン系樹脂のうちでも同種の樹
脂を用いると更にリサイクル性が増すため好ましい。
【0028】即ち、発泡シート2を構成するプロピレン
系樹脂がプロピレン単独重合体の場合には、不織布3を
構成するプロピレン系繊維もプロピレン単独重合体であ
ることが好ましく、発泡シート2を構成するプロピレン
系樹脂が共重合体の場合、例えばプロピレン−エチレン
ブロック共重合体や、プロピレン−エチレンランダム共
重合体の場合には、不織布3を構成するプロピレン系繊
維も、それぞれプロピレン−エチレンブロック共重合
体、プロピレン−エチレンランダム共重合体であること
が好ましい。
【0029】発泡シート2を構成する樹脂と、不織布3
を構成する繊維の材質の最も好ましい組み合わせは、プ
ロピレン−エチレンブロック共重合体同士の組み合せ
か、プロピレン−エチレンランダム共重合体同士の組み
合わせである。また特にリサイクル性を重視しなければ
不織布3はポリプロピレン系樹脂の不織布に、ポリエス
テル系不織布を積層したものであってもかまわない。
【0030】本考案の積層発泡シート1において、発泡
シート2は、密度0.3〜0.045g/cm3 、厚さ1〜1
0mmであることを必須とする。発泡シート2の密度が0.
3g/cm3 を超えると緩衝性、吸音性に劣り、密度が0.
045g/cm3 未満の場合には保形性に劣る。また発泡
シート2の厚みが1mm未満であると、緩衝性、吸音性に
劣り、10mmを超えると崇高となり自動車内装用天井材
には適さず、またこの種の天井材用はもとより、その他
の用途、例えば包装用容器形成用基材としても中心部ま
での加熱が難しく、熱成形性が良くない。
【0031】本考案の積層発泡シートにおいて、押出発
泡シートには延伸倍率1.5以上の延伸処理が施されて
いることが好ましい。このことにより、保形性が更に向
上し、自動車内装用天井材の成形用シートとして利用し
た場合の自重によるたわみ等が全く見られない優れた天
井材が得られる。一方、食品包装用トレー等の成形用シ
ートとして利用した場合は、メロン、スイカ等の大型の
果物をも十分保持できる程の十分な保形性を発揮するこ
とができる。本考案において、不織布3の厚みは特に限
定されないが、20〜2500μmが好ましく、更に5
0〜1500μmが好ましい。
【0032】発泡シート2と不織布3との積層法として
は、ホットメルト接着剤等によるラミネート、接着剤を
使用しないサーマルラミネート(熱ラミネート)等、一
般的な方法を採用することができる。本考案は特にプロ
ピレン系繊維を採用したことにより、接着剤を使用しな
いで発泡シートに不織布を接着することができる。
【0033】本考案において用いる発泡シート2を得る
方法として、押出機内で長鎖分岐を有すると共にドロー
ダウン性が60m/分以下である無架橋プロピレン系樹
脂と発泡剤とを溶融混練した後、この溶融混練物を押出
機先端に取り付けた、環状のリップを有するサーキュラ
ーダイスのリップより押出発泡してチューブ状の発泡体
を得、次いでこのチューブを切り開いてシート状とする
方法が通常採用される。
【0034】この方法において、サーキュラーダイスの
開口部付近における樹脂流路幅を絞ったり(狭めた
り)、サーキュラーダイスから押し出された筒状発泡体
を冷却するためのマンドレル(筒状発泡体の内面側から
冷却するように、筒状発泡体の内側に位置して設けられ
る。)上において、筒状発泡体の外表面に冷却空気を吹
き付ける等の方法を採用すると、厚みむらの少ない発泡
シートを得ることができ好ましい。
【0035】発泡シート2の製造に際して発泡剤として
は、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤等を用い
ることができる。無機発泡剤としては、二酸化炭素、空
気、窒素等が挙げられる。
【0036】揮発性発泡剤としてはプロパン、n−ブタ
ン、i−ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水
素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化
水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタ
ン、ジクロロテトラフロロエタン、メチルクロライド、
エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化
炭化水素等が挙げられる。
【0037】また分解型発泡剤としては、アゾジカルボ
ンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾ
ビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げら
れる。これらの発泡剤は適宜混合して用いることができ
る。
【0038】発泡剤の使用量は、発泡剤の種類、所望す
る発泡倍率(密度)等によっても異なるが、密度0.3〜
0.045g/cm3 の発泡シート2を得るための発泡剤の
使用量の目安は、樹脂100重量部当たり揮発性発泡剤
で0.5〜8重量部(ブタン換算)程度、無機発泡剤で0.
2〜3.0重量部(二酸化炭素換算)程度、分解型発泡剤
で0.1〜15重量部程度である。
【0039】発泡シート2を製造する際の樹脂と発泡剤
との溶融混練物中に、必要に応じて気泡調整剤を添加す
ることができる。気泡調整剤としてはタルク、シリカ等
の無機粉末や多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸
と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合
物等が挙げられる。気泡調整剤は樹脂100重量部当た
り13重量部程度以下添加することが好ましい(ただ
し、無機充填剤を樹脂に多量に含有させる場合は除
く。)。必要に応じて、更に熱安定剤、紫外線吸収剤、
酸化防止剤、着色剤等の添加剤を添加することもでき
る。
【0040】また予め樹脂中に、総重量の40重量%を
限度として無機充填剤を含有させても良い。無機充填剤
としては、例えばタルク、シリカ、炭酸カルシウム、ク
レー、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム等が挙げら
れる。これらの平均粒径は1〜70μmであることが好
ましい。このような無機物を多量に含有させた場合、得
られる発泡シートは耐熱性が向上するとともに焼却処理
の際の燃焼カロリーを低下させることが可能となる。
【0041】本考案の積層発泡シート1は、特に自動車
内装用天井材等の成形用として好適である。本考案の積
層発泡シート1を成形する方法としては、真空成形、圧
空成形やこれらの応用として、フリードローイング成
形、プラグ・アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチ
ド・モールド成形、ストレート成形、ドレープ成形、リ
バースドロー成形、エアスリップ成形、プラグアシスト
成形、プラグアシストリバースドロー成形等やこれらを
組み合わせた方法等が挙げられる。
【0042】以下、具体的実施例を挙げて本考案を更に
詳細に説明する。尚、使用した樹脂のドローダウン性及
びメルトテンションの測定にはメルトインデクサーと、
(株)東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII
型を組み合わせて用い、半結晶化時間の測定にはコタキ
商事(株)製の結晶化速度測定器MK−801型を使用
した。
【0043】実施例、比較例において用いた発泡シート
の基材樹脂は以下の通りである。
【0044】樹脂A:長鎖分岐を持つプロピレン/エ
チレンブロック共重合体(米国ハイモント社製「SD−
632」:融点159.9℃、結晶化温度130.1℃、半
結晶化時間1353秒、MI=2.0g/10分、ドロー
ダウン性3.1m/分、メルトテンション13.0gf)
【0045】樹脂B:長鎖分岐を持つプロピレン単独
重合体(米国ハイモント社製「PF−814」:融点1
59.0℃、結晶化温度127.4℃、半結晶化時間322
0秒、MI=2.2g/10分、ドローダウン性3.5m/
分、メルトテンション17.4gf)
【0046】また不織布としては以下のものを用いた。
【0047】不織布1:ポリプロピレン繊維不織布
(ユニチカ社製「パーミイK0153WTO」:坪量1
5g/m2 、厚み0.17mm)
【0048】不織布2:ポリプロピレン繊維不織布
(ユニチカ社製「パーミイK0503WTO」:坪量5
0g/m2 、厚み0.43mm)
【0049】不織布3:ポリエステル繊維不織布(東
洋紡績社製「ボランス4050P」:坪量62g/
2 、厚み0.47mm)
【0050】実施例1〜9、比較例1〜6 表1に示す発泡シートと不織布とを、熱ラミネートによ
って積層して積層発泡シートを得た。このシートを加熱
成形用型を用いて成形し自動車内装用天井材と食品包装
用トレーを得た。
【0051】得られた積層発泡シート、該発泡シートを
成形して得た自動車内装用天井材及び食品包装用トレー
の特性を表1にまとめて示す。
【0052】比較例7 汎用ポリスチレン樹脂を発泡体の基材樹脂とし、実施例
と同様の試験を行った。
【0053】比較例8 無水マレイン酸変性ポリスチレン樹脂を発泡体の基材樹
脂として実施例と同様の試験を行なった。尚、実施例5
〜7、9、比較例2、4の発泡シートは2乃至3枚の発
泡シートの積層発泡シートを使用した。
【0054】
【表1】
【0055】※1:発泡シートの「キメ」とは、発泡シ
ート表面、3mm×3mm=9mm2 当りの気泡数(個/9mm
2 )であり、顕微鏡を用いて個数を測定した。
【0056】※2:縦1800mm×横1400mm、凹湾
曲形状の深さ80mmの自動車内装用成形天井材を圧空成
形法にて成形し、シートの成形性を以下の基準により判
定した。 ○・・・亀裂や穴の存在が認められない。 △・・・最大直径10mm未満の穴又は亀裂が1〜2箇所
に存在する。 ×・・・最大直径10mm以上の穴又は亀裂が存在した
り、最大直径10mm未満の穴や亀裂が3箇所以上に存在
する。
【0057】※3:自動車内装用成形天井材、四つ角の
うち対角線上の二つの角の一方をクランして、他の角を
左右交互に各5回35°回転させてねじりを加え、不織
布の接着状態を観測した。接着性の評価は以下の基準に
より判定した。 ○・・・不織布の剥離が認められない。 ×・・・不織布の剥離が認められる。
【0058】※4:自動車内装用成形天井材中央部付近
から、縦方向(押出方向)に450mm、横方向に150
mm切り込んで、150mm×450mmの試験片を切取り、
この試験片の150mmの両側縁より内側75mmの線上を
300mm間隔で設けられた2つの支持部上に支持せしめ
て載置し、更に試験片の上面に150mm×450mmの厚
さ20mmのポリエチレンシートを重ね合わせた後、11
5℃±2℃に調節された循環乾燥器中で6時間加熱後の
試験片の垂れ下がりを観察した。熱的強度の評価は以下
の基準により判定した。 ○・・・5mm未満の垂れ下がり。 △・・・5mm以上、35mm未満の垂れ下がり。 ×・・・35mm以上の垂れ下がり。
【0059】※5:開口部直径(外径)100mm、深さ
(外径)50mmの外形形状が半球状の凹部を6箇所(3
×2箇所)有する食品包装用トレーを成形した。得られ
たトレーに桃を6個配置して段ボール箱に収納し、トラ
ックによる運送テストを行ない、テスト後の桃の状態を
観測した。緩衝性の評価は以下の基準で判定した。 ○・・・衝撃によるいたみが認められない。 ×・・・衝撃によるいたみが認められるものがある。
【0060】※6:食品包装用トレーにメロンを収納
し、中仕切なしで二段積みにして、上段のトレーのたわ
みによる、メロンの収納性を観測した。保形性の評価は
以下の基準で判定した。 ○・・・上段のトレーの6箇所の凹部全てにメロンがき
ちんと収納される。 △・・・上段のトレーの6箇所の凹部の内、1箇所の凹
部においてメロンがきち収納されず、ぐらつく。 ×・・・上段のトレーの6箇所の凹部の内2箇所以上の
凹部においてメロンがきちんと収納されず、ぐらつく。
【0061】
【考案の効果】本考案のプロピレン系繊維積層発泡シー
トは、直鎖分岐を有するとともにドローダウン性が60
m/分以下である無架橋プロピレン系樹脂を基材とする
特定の厚み及び密度の発泡シートの少なくとも片面に、
プロピレン系繊維よりなる不織布を積層した構成を採用
したことにより成形性が良好で、その結果、発泡シート
に亀裂や穴が無い良好な成形品が得られる。
【0062】また本考案の発泡積層シートは軽量で耐熱
性、耐水性、耐油性、耐薬品性、断熱性、成形後の保形
性等の物性に優れるものである。よって例えば高い耐熱
性、保形性及び軽量性等を要求される自動車内装天井材
等の成形用として特に好適である。本考案の積層シート
から成形した自動車内装天井材は、自動車室内の高温
(特に夏期)に充分に耐え得るものであるとともに、天
井材の垂れ下がりが生じる等の虞もない。この場合、不
織布の積層された側が自動車の天井材内面側に位置する
ように成形すると、内装用天井材と天井材との擦れによ
る不快音の発生を防止できる。
【0063】更に本考案の積層発泡シートは、食品包装
用トレー等の食品分野や断熱防湿材等の建築分野、その
他の分野に巾広く使用できるものである。しかも本考案
の積層発泡シートは、発泡シートと不織布とがともにプ
ロピレン系樹脂よりなるため、両者の熱による接着性が
良好であり、成形時や成形後に不織布が発泡シートから
剥離する虞がない。しかも、発泡シートを構成するプロ
ピレン系樹脂も不織布を構成するプロピレン系繊維もと
もに無架橋であるから、積層シートの再生が可能である
等の種々の効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案の積層発泡シートの縦断面図である。
【図2】結晶化速度測定によって得られた電圧〜時間曲
線である。
【図3】長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂と長鎖分岐
を有しないプロピレン系樹脂のひずみ速度における伸長
粘度と時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 プロピレン系繊維積層発泡シート 2 発泡シート 3 不織布

Claims (1)

    (57)【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長鎖分岐を有すると共にドローダウン性
    が60m/分以下である無架橋プロピレン系樹脂を基材
    とする、密度0.3〜0.045g/cm3 、厚み1〜10mm
    の押出発泡シートの少なくとも片面に、プロピレン系繊
    維よりなる不織布を積層したことを特徴とするプロピレ
    ン系繊維積層発泡シート。
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