JP3142085B2 - 自動車内装用成形天井材 - Google Patents

自動車内装用成形天井材

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JP3142085B2
JP3142085B2 JP04184456A JP18445692A JP3142085B2 JP 3142085 B2 JP3142085 B2 JP 3142085B2 JP 04184456 A JP04184456 A JP 04184456A JP 18445692 A JP18445692 A JP 18445692A JP 3142085 B2 JP3142085 B2 JP 3142085B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は耐熱性に優れた自動車内
装用成形天井材に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車内装用天井材として、
熱可塑性樹脂発泡体を主体とする基材を天井材形状に成
形した成形体の室内側表面に、ポリウレタンフォーム等
からなるクッション材を貼合し、更にその表面に合成樹
脂シート、編織布、不織布等からなる表装材を貼合した
もの等が用いられている。
【0003】上記自動車天井材を成形するための基材と
して、種々の熱可塑性樹脂発泡シート単体や、これらの
発泡シートの表面に種々の熱可塑性樹脂フィルムを積層
したもの等が用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の自動車内装用天井材は、成形用の基材が発泡シート
単体からなる場合には、圧縮強さ、曲げ最大荷重等の機
械的強度が必ずしも充分ではないとともに、熱的強度に
も乏しく、温度変化の激しい自動車室内における長期間
の使用によって変形を生じる等の問題がある。この結
果、内装用天井材の垂れ下がり等の変形が生じるという
問題があった。
【0005】また発泡シートにフィルムを積層したもの
は機械的強度、熱的強度をある程度向上できるものの、
いまだ満足のいくものではなかった。
【0006】一方、近年、発泡シートの基材樹脂とし
て、スチレンと無水マレイン酸、メタクリル酸、アクリ
ル酸との共重合体等の、耐熱性の高い変性スチレン系樹
脂を用いることにより、内装用天井材の垂れ下がり等の
問題を解決することが試みられている。しかしながら、
これらの変性スチレン系樹脂は、スチレン成分に対する
コモノマー成分量の増加とともにある程度耐熱性を向上
できる反面、所望の耐熱性を付与しようとすると、シー
トの成形性が低下して、得られる成形品には所謂ナキが
発生し、不良品となるという問題や、自動車室内に取り
付ける為のボルト穴等の抜き加工を行った際に、スチレ
ン系樹脂発泡シート基材に「われ」や、「破断」が多く
発生して歩留まりが悪いという問題があった。
【0007】またポリプロピレン系樹脂発泡シートを自
動車内装用成形天井材として使用して耐熱性の問題を解
決する試みもなされているが、基材とするポリプロピレ
ン系樹脂の発泡技術において0.3〜0.045g/cm3
密度に発泡させることは難しく、架橋によって粘度調整
を行ない、なんとか目的の密度のものが得られるという
状況である。しかしながら、架橋したものは、機械的強
度、特に曲げ強度が不十分で柔軟になりすぎ、天井材と
しては満足のいくものでない。一方、無架橋のポリプロ
ピレン系樹脂を使用する場合は、通常のホモポリマー又
はコポリマータイプのポリプロピレン系樹脂では、密度
が0.2g/cm3 を超え、且つ表皮のスキン厚みが厚すぎ
る強固な発泡体となるか、密度が0.013g/cm3 未満
で自動車内装用成形天井材としては柔軟すぎる発泡体と
なるか、両極端の発泡体しか得られないのが現状で、機
械的強度、熱的強度等の優れた特性を兼備する天井材の
開発が期待されていた。本発明は上記の点に鑑みなされ
たもので、機械的強度、熱的強度に優れ、垂れ下がり等
の変形が生じることのない、軽量で安価な自動車内装用
成形天井材を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明の自動車内装
用成形天井材は、長鎖分岐を有すると共にドローダウン
性が60m/分以下である無架橋プロピレン系樹脂を基
材とする、密度0.3〜0.045g/cm3 の発泡シート
と、該発泡シートの少なくとも片面に積層された厚さ5
〜500μmのプロピレン系樹脂フィルムとからなる積
層シートを成形してなり、厚み2〜9mmを有することを
特徴とする。
【0009】本発明の自動車内装用成形天井材は、発泡
シートの基材樹脂か、該発泡シートに積層されるフィル
ムの基材樹脂の少なくとも一方が、エチレン成分含有量
0.5〜30重量%のプロピレン系樹脂であることが好ま
しい。
【0010】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき説明
する。
【0011】図1に示すように、本発明の自動車内装用
成形天井1は、プロピレン系樹脂発泡シート2と、該発
泡シート2の両面に積層されたプロピレン系樹脂フィル
ム3とからなる積層シートを所定形状に成形してなる。
【0012】上記発泡シート2の基材樹脂であるプロピ
レン系樹脂としては、長鎖分岐を有し且つドローダウン
性が60m/分以下の無架橋プロピレン系樹脂が用いら
れる。ドローダウン性は、好ましくは30m/分以下、
特に好ましくは15m/分以下である。
【0013】このドローダウン性とは、230℃に加熱
した溶融プロピレン系樹脂をメルトインデクサーのノズ
ル(口径2.095mm、長さ8mm)より10mm/分の一定
速度で紐状に押出し、次いで該紐状物を上記ノズルの下
方に位置する張力検出プーリーの上方に位置する送りロ
ールを通過させた後、巻取りロールで巻取る一方で巻取
りロールの巻取り速度を除々に増加させていって紐状物
を切断させ、この切断時における紐状物の巻取り速度を
いう。
【0014】発泡シート2を構成する上記プロピレン系
樹脂は、通常のプロピレン系樹脂と異なり、主鎖に長鎖
分岐を有するものでなければならない。このプロピレン
系樹脂は、単独重合体、ブロック共重合体、ランダム共
重合体のいずれでも良いが、複雑な形状の天井材の場合
には、成形性に優れた共重合体が好ましく、なかでもブ
ロック共重合体、特にプロピレン−エチレンブロック共
重合体が好ましい。
【0015】共重合体の場合、プロピレンとプロピレン
以外の少量のオレフィンとの共重合体が好ましく、この
オレフィンとしては、エチレン或いは炭素数4〜10の
α−オレフィンが挙げられ、これらは1種又は2種以上
組み合わせて使用することができる。炭素数4〜10の
α−オレフィンとしては例えば1−ブテン、イソブチレ
ン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキ
セン、4−メチル−1−ペンテン、3,4-ジメチル−1−
ブテン、1−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等が
挙げられる。
【0016】上記オレフィンは、通常共重合体中に0.5
〜30重量%、特に1〜10重量%の割合で含有される
ことが好ましい。長鎖分岐の形成の容易さの面からは、
ランダム共重合体よりもブロック共重合体の方が好まし
く、特にプロピレン−エチレンブロック共重合体が好適
である。
【0017】本発明で用いる上記プロピレン系樹脂は、
通常の結晶性線状プロピレン系樹脂(通常、重量平均分
子量100000以上)であって、しかもその中にアタ
クチック分又は/及びアイソタクチックではあるが結晶
していない成分を含む樹脂(以下、本発明で用いるプロ
ピレン系樹脂と区別するために、この樹脂を“通常のプ
ロピレン系樹脂”と称する。尚、単にプロピレン系樹脂
と称した場合には本発明で用いる樹脂を意味する。)に
対し、低温分解型(分解温度:室温〜120℃程度)の
過酸化物を混合して120℃以下に加熱し、通常のプロ
ピレン系樹脂の主鎖にアタクチック又は/及び結晶して
いないアイソタクチック成分を分岐鎖として結合せしめ
る等の方法により得ることができ、通常、主として端部
に長鎖分岐を有する枝別れ状構造を有すると考えられ
る。
【0018】上記低温分解型の過酸化物としては、ジ
(s−ブチル)ペルオキシジカーボネート、ビス(2−
エトキシ)ペルオキシジカーボネート、ジシクロヘキシ
ルペルオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルペルオ
キシジカーボネート、ジ−n−ブチルペルオキシジカー
ボネート、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、
t−ブチルペルオキシネオデカノアート、t−アミルペ
ルオキシネオデカノアートおよびt−ブチルペルオキシ
ピバラート等が例示される。
【0019】長鎖分岐を有し、且つドローダウン性が6
0m/分以下であるプロピレン系樹脂は、通常のプロピ
レン系樹脂を、攪拌機を備えた反応器中で攪拌しながら
アルゴン等の不活性ガスで反応容器内を置換し、次いで
上記過酸化物を樹脂1kg当たり通常5〜50ミリモル
添加し、攪拌を続けながら120℃程度まで、好ましく
は70〜105℃程度に加熱して反応させ(通常30〜
120分間)、しかる後、反応を停止させて得られる。
反応停止に当たっては、メチルメルカプタンのような反
応停止剤を反応容器に導入したり、あるいは反応生成物
を130〜150℃程度に20〜40分間加熱する方法
等が採用される。プロピレン系樹脂分子鎖中に長鎖分岐
が存在するか否かは、次の方法で確認することができ
る。即ち、伸長流動測定装置(例えば、レオメトリック
ス社の伸長流動測定装置:商品名RER−9000)を
用い、プロピレン系樹脂から測定サンプルを作製し、こ
のサンプルのひずみ速度(秒 −1 )における伸長粘度
(poise)と時間(秒)との関係をグラフ化する。
このグラフ上において、長鎖分岐を有するプロピレン系
樹脂と長鎖分岐を有しないプロピレン系樹脂とは、長鎖
分岐を有するプロピレン系樹脂は伸長粘度曲線の傾きが
時間とともに大きくなるのに対し、長鎖分岐を有しない
プロピレン系樹脂では伸長粘度曲線の傾きは時間ととも
に小さくなることから区別することができる。 上記レオ
メトリックス社の伸長流動測定装置(RER−900
0)による測定結果から、長鎖分岐を有するプロピレン
系樹脂及び長鎖分岐を有しないプロピレン系樹脂のひず
み速度における伸長粘度と時間との関係を示したのが図
3のグラフである。グラフ中の曲線Aは長鎖分岐を有す
るプロピレン系樹脂を示し、曲線Bは長鎖分岐を有しな
いプロピレン系樹脂を示す。このグラフより、長鎖分岐
を有するプロピレン系樹脂では、伸長粘度曲線の傾きは
時間とともに大きくなるのに対し、長鎖分岐を有しない
プロピレン系樹脂では、伸長粘度曲線の傾きは時間とと
もに小さくなることがわかる。 尚、測定サンプル及び測
定条件は下記の通りである。 ・測定サンプルの大きさ、形状:長さ30m、直径5刑
の円柱状 ・ひずみ速度:1.0秒 −1 ・測定温度:基材樹脂の融点+20℃(但し、融点は基
材樹脂1〜5mgを示差走査熱量計によって10℃/分
で昇温した時に得られるDSC曲線の吸熱ピークの頂点
の温度とする。)
【0020】ドローダウン性は上記長鎖分岐の数や長さ
により調整することができる。一般的に言って、長鎖分
岐の数が多いほど、また分岐の長さが長いほど、この値
は低下する傾向にある。従って所望のドローダウン性の
共重合体を得るには、これらのことを加味して反応条件
を設定する必要がある。
【0021】長鎖分岐を持たないか、分岐を持っていて
も短か過ぎたり僅かであるものや、あるいは通常のプロ
ピレン系樹脂の場合には、ドローダウン性が60m/分
を上回ってしまう。このような通常のプロピレン系樹脂
を使用して押出発泡を行って、本発明発泡シートと同様
の密度0.3〜0.045g/cm3 の発泡シートを得ようと
しても、得られる発泡シートはコルゲートや表面凹凸が
多く、商品価値のないものとなってしまう。
【0022】本発明で用いるプロピレン系樹脂は、その
結晶化温度+15℃における半結晶化時間が800秒以
上であることが好ましく、特に1000秒以上であるこ
とが好ましい。この半結晶化時間の測定には結晶化速度
測定器を用いることができる。
【0023】半結晶化速度を測定するには、まずフィル
ム状の試料を保持した支持体を、結晶化速度測定器のエ
アバス内に入れて試料を完全に溶融させ、次いで溶融試
料を支持体ごと試料の結晶化温度+15℃の温度に保持
されたオイルバス中に、光源と光センサーとの間の光路
を遮るように浸漬し、溶けた試料が再度固化するまでの
間、光センサーにおいて常に一定の光量が検出されるよ
うに光源の電圧を調整し、図2に示す如き電圧〜時間曲
線を得る。この曲線における電圧が一定値となった時の
電圧をV0 とした時、電圧が1/2V0 となるまでの時
間を半結晶化時間とした。
【0024】本発明においては上記のプロピレン系樹脂
を単独で用いるのみならず、他の樹脂を混合して用いる
こともできる。混合して用いる樹脂としては、例えば上
記以外のプロピレン系樹脂、或いは高密度ポリエチレ
ン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、
直鎖状超低密度ポリエチレン、エチレン−ブテン共重合
体、エチレン−無水マレイン酸共重合体等のエチレン系
樹脂、ブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂、スチレン系樹
脂等が挙げられる。
【0025】上記他の樹脂を混合する場合、混合する樹
脂の量は、混合後のポリマーの総重量の40重量%を限
度とし、しかも混合物のドローダウン性が60m/分を
超えないようにする必要がある。
【0026】一方、上記発泡シート2に積層されるフィ
ルム3を構成するプロピレン系樹脂としては、発泡シー
ト2を構成するプロピレン系樹脂と同様の樹脂の他に、
従来から用いられている一般の無架橋のプロピレン系樹
脂を用いることができる。このプロピレン系樹脂は、プ
ロピレン単独重合体でも、プロピレンと共重合可能な不
飽和結合を有するモノマーとの共重合体の何れでも良
く、共重合体の場合にはブロック共重合体、ランダム共
重合体の何れでもよい。
【0027】プロピレンと共重合可能な不飽和結合を有
するモノマーとしては、エチレン或いは炭素数4〜10
のα−オレフィンが挙げられれ、これらは1種又は2種
以上組合わされていても良い。炭素数4〜10のα−オ
レフィンとしては、1−ブテン、イソブチレン、1−ペ
ンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−
メチル−1−ペンテン、3,4-ジメチル−1−ブテン、1
−ヘプテン、3−メチル−1−ヘキセン等が挙げられ
る。
【0028】本発明の自動車内装用成形天井材1におい
て、発泡シート2、フィルム3のうち、少なくとも一方
の基材樹脂が、エチレン成分含有量0.5〜30重量%の
プロピレン系樹脂であることが好ましい。
【0029】エチレン成分含有量0.5〜30重量%のプ
ロピレン系樹脂としては、ポリエチレンをポリプロピレ
ンに単に混合しただけのものでも、エチレン成分がプロ
ピレン成分と共重合した共重合体でも良い。また共重合
体の場合、ブロック共重合体であってもランダム共重合
体であっても良いが、ブロック共重合体が好ましい。
【0030】本発明成形天井材1において、発泡シート
2を構成するプロピレン系樹脂と、フィルム3を構成す
るプロピレン系樹脂とは同種の樹脂であることが好まし
い。即ち、発泡シート2を構成するプロピレン系樹脂が
プロピレン単独重合体の場合には、フィルム3を構成す
るプロピレン系樹脂もプロピレン単独重合体であること
が好ましく、発泡シート2を構成するプロピレン系樹脂
が共重合体の場合、例えばプロピレン−エチレンブロッ
ク共重合体や、プロピレン−エチレンランダム共重合体
の場合には、フィルム3を構成するプロピレン系樹脂
も、それぞれプロピレン−エチレンブロック共重合体、
プロピレン−エチレンランダム共重合体であることが好
ましい。発泡シート2を構成するプロピレン系樹脂と、
フィルム3を構成するプロピレン系樹脂を同種のプロピ
レン系樹脂とする場合でも、フィルム3を構成する樹脂
は、長鎖分岐を有し且つドローダウン性が60m/分以
下のプロピレン系樹脂でなくて良い。
【0033】また発泡シート2を構成する樹脂と、フィ
ルム3を構成する樹脂とが同種の樹脂よりなる場合、積
層シートや該積層シートから得たものは再生利用が可能
となるため好ましい。尚、天井材の機械的強度や成形性
を考慮した場合、発泡シート2を構成する樹脂と、フィ
ルム3を構成する樹脂の好ましい組み合わせは、発泡シ
ート2がプロピレン系樹脂共重合体よりなり、フィルム
3がプロピレン単独重合体よりなる組合わせである。
【0034】本発明の成形天井材1において、天井材1
の厚さは2〜9mm、好ましくは2〜7mmであり、発泡シ
ート2の密度は0.3〜0.045g/cm3 、好ましくは0.
18〜0.06g/cm3 である。また発泡シート2に積層
されるフィルム3の厚みは50〜500μm、好ましく
は100〜400μmである。
【0035】天井材の厚みが2mm未満の場合には剛性、
吸音性、緩衝性に劣り、厚みが9mmを超える場合には嵩
高となって自動車室内が狭くなる。また発泡シート2の
密度が0.3g/cm3 を超えると緩衝性、吸音性に劣り、
密度が0.045g/cm3 未満の場合には保形性に劣る。
更にフィルム3の厚みが50μm未満の場合には保形性
に劣るとともに、成形性に劣るために複雑な形状の天井
材を形成することができず、また500μmを超える場
合にはフィルム3の発泡シート2への積層が難しく積層
効率が低下するため好ましくない。
【0036】本発明の天井材1は、発泡シート2とフィ
ルム3とからなる積層シートを、自動車天井の形状に対
応した凹湾曲形状に成形して形成されているが、この凹
湾曲形状の深さ(図中Dで示す。)は、50〜500m
m、特に50〜200mmが好ましい。また、縦の長さに
ついては800〜2500mm、横の幅については700
〜1800mmが好ましい。
【0037】本発明の天井材1は、発泡シート2とフィ
ルム3とからなる積層シートを真空成形、圧空成形やこ
れらの応用として、フリードローイング成形、プラグ・
アンド・リッジ成形、リッジ成形、マッチド・モールド
成形、ストレート成形、ドレープ成形、リバースドロー
成形、エアスリップ成形、プラグアシスト成形、プラグ
アシストリバースドロー成形等やこれらを組み合わせた
方法等によって成形して得ることができる。
【0038】発泡シート2とフィルム3との積層法とし
ては、エクストルージョンラミネート法(押出ラミネー
ト)、サーマルラミネート法(熱ラミネート)、ホット
メルト接着剤等によるラミネート等、一般的な方法を採
用することができる。
【0039】上記発泡シート2を得る方法として、押出
機内で長鎖分岐を有すると共にドローダウン性が60m
/分以下である無架橋プロピレン系樹脂と発泡剤とを溶
融混練した後、この溶融混練物を押出機先端に取り付け
た、環状のリップを有するサーキュラーダイスを用い、
このダイスのリップより押出発泡してチューブ状の発泡
体を得、次いでこのチューブを切り開いてシート状とす
る方法が通常採用される。
【0040】この方法において、サーキュラーダイスの
開口部付近における樹脂流路幅を絞ったり(狭めた
り)、サーキュラーダイスから押し出された筒状発泡体
を冷却するためのマンドレル(筒状発泡体の内面側から
冷却するように、筒状発泡体の内側に位置して設けられ
る。)、及び筒状発泡体外側のエアリングから、筒状発
泡体の内外表面に冷却空気を吹き付ける等の方法を採用
すると、厚みむらの少ない発泡シートを得ることができ
好ましい。
【0041】発泡シート2の製造に際して発泡剤として
は、無機発泡剤、揮発性発泡剤、分解型発泡剤等を用い
ることができる。無機発泡剤としては、二酸化炭素、空
気、窒素等が挙げられる。
【0042】揮発性発泡剤としてはプロパン、n−ブタ
ン、i−ブタン、ペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水
素、シクロブタン、シクロペンタン等の環式脂肪族炭化
水素、トリクロロフロロメタン、ジクロロジフロロメタ
ン、ジクロロテトラフロロエタン、メチルクロライド、
エチルクロライド、メチレンクロライド等のハロゲン化
炭化水素等が挙げられる。
【0043】また分解型発泡剤としては、アゾジカルボ
ンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾ
ビスイソブチロニトリル、重炭酸ナトリウム等が挙げら
れる。これらの発泡剤は適宜混合して用いることができ
る。
【0044】発泡剤の使用量は、発泡剤の種類、所望す
る発泡倍率等によっても異なるが、密度0.3〜0.045
g/cm3 の発泡シート2を得るための発泡剤の使用量の
目安は、樹脂100重量部当たり揮発性発泡剤で0.5〜
8重量部(ブタン換算)程度、無機発泡剤で0.2〜3.0
重量部(二酸化炭素換算)程度、分解型発泡剤で0.1〜
15重量部程度である。
【0045】発泡シート2を製造する際の樹脂と発泡剤
との溶融混練物中に、必要に応じて気泡調整剤を添加す
ることができる。気泡調整剤としてはタルク、シリカ等
の無機粉末や多価カルボン酸の酸性塩、多価カルボン酸
と炭酸ナトリウム或いは重炭酸ナトリウムとの反応混合
物等が挙げられる。気泡調整剤は樹脂100重量部当た
り13重量部程度以下添加することが好ましい(ただ
し、無機充填剤を樹脂に多量に含有させる場合は除
く。)。また必要に応じて、更に熱安定剤、紫外線吸収
剤、酸化防止剤、着色剤等の添加剤を添加することもで
きる。
【0046】また予め樹脂中に、総重量の40重量%を
限度として無機充填剤を含有させても良い。無機充填剤
としては、例えばタルク、シリカ、炭酸カルシウム、ク
レー、ゼオライト、アルミナ、硫酸バリウム等が挙げら
れる。これらの平均粒径は1〜70μmであることが好
ましい。このような無機物を多量に含有させた場合、得
られる発泡シートは耐熱性が向上するとともに焼却処理
の際の燃焼カロリーを低下させることが可能となる。
【0047】上記実施例では、機械的強度、成形前の天
井材の反り防止に優れる発泡シート2の両面にフィルム
3が積層されているものについて示したが、フィルム3
は発泡シート2の片面のみに積層されていても良い。フ
ィルム3が積層されている面は少なくとも室内側の面で
あることが好ましく、シボ模様、レザー加工等を施した
表皮材層を積層する上で良好な積層接着が可能となる。
また、フィルム3自体を表皮材層とすることもできる。
【0048】以下、具体的実施例を挙げて本発明を更に
詳細に説明する。尚、使用した樹脂のドローダウン性及
びメルトテンションの測定にはメルトインデクサーと、
(株)東洋精機製作所製のメルトテンションテスターII
型を組み合わせて用い、半結晶化時間の測定にはコタキ
商事(株)製の結晶化速度測定器MK−801型を使用
した。
【0049】実施例、比較例において用いた発泡シー
ト、フィルムの基材樹脂は以下の通りである。
【0050】発泡シートの基材樹脂 樹脂A:長鎖分岐を持つプロピレン/エチレンブロック
共重合体(米国ハイモント社製「SD−632」:融点
159.9℃、結晶化温度130.1℃、半結晶化時間13
53秒、MI=2.0g/10分、ドローダウン性3.1m
/分、メルトテンション13.0gf)
【0051】樹脂B:長鎖分岐を持つプロピレン単独重
合体(米国ハイモント社製「PF−814」:融点15
9.0℃、結晶化温度127.4℃、半結晶化時間3220
秒、MI=2.2g/10分、ドローダウン性3.5m/
分、メルトテンション17.4gf)
【0052】フィルムの基材樹脂 樹脂1:プロピレン−エチレンブロック共重合体(米国
ハイモント社製「SD632) 樹脂2:プロピレンホモポリマー(日本石油化学社製
「E120G」) 樹脂3:プロピレンホモポリマー(米国ハイモント社製
「PF814」)
【0053】実施例1〜7 表1に示す発泡シートとフィルムとを、同表に示す方法
で積層して積層発泡シートを得た。フィルム積層後のシ
ートの密度等を表1にあわせて示す。このシートをヘッ
ドライナー成形用型を用いて成形し、自動車内装用成形
天井材を得た。次に得られた天井材について抜き加工
性、熱的強度試験を行った結果を表2に示す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】※1:発泡シートの「キメ」とは発泡シー
ト表面、3mm×3mm=9mm2 当りの気泡数(個/9m
m2 )であり、顕微鏡を用いて個数を測定した。
【0057】※2:縦1800mm×横1400mm、凹湾
曲形状の深さ80mmの自動車内装用成形天井材を圧空成
形法にて成形し、シートの成形性を以下の基準により判
定した。 ○・・・天井材の細部凹凸形状が明確に形成されてい
る。 △・・・天井材の細部凹凸形状が不明確である。 ×・・・ナキ、ワレ等が発生する。
【0058】※3:自動車内装用成形天井材中央部付近
から、縦方向(押出方向)に450mm、横方向に150
mm切り込んで、150mm×450mmの試験片を切取り、
この試験片の150mmの両側縁より内側75mmの線上を
300mm間隔で設けられた2つの支持部上に支持せしめ
て載置し、更に試験片の上面に150mm×450mmの厚
さ20mmのポリエチレンシートを重ね合わせた後、11
5℃±2℃に調節された循環乾燥器中で6時間加熱後の
試験片の垂れ下がりを観測した。熱的強度の評価は以下
の基準により判定した。 ○・・・5mm未満の垂れ下がり。 △・・・5mm以上、35mm未満の垂れ下がり。 ×・・・35mm以上の垂れ下がり。
【0059】※4:一辺の長さ1cmの正三角形の形状に
自動車内装用成形天井材端部10箇所を打ち抜き、抜き
加工性の評価を以下の基準で行なった。 ○・・・10箇所全てにおいて正確に打ち抜かれてい
る。 △・・・欠損や、破損が発生した箇所が1〜2箇所。 ×・・・欠損や、破損が発生した箇所が3個所以上。
【0060】比較例1 汎用ポリスチレン樹脂を発泡体の基材樹脂とし、ハイイ
ンパクトポリスチレン(HIPS)をフィルムの基材樹
脂とし実施例と同様の試験を行なった。
【0061】比較例2 無水マレイン酸変性ポリスチレン樹脂を発泡体及びフィ
ルムの基材樹脂として実施例と同様の試験を行なった。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように本発明の自動車内装
用成形天井材は、特定のプロピレン系樹脂を基材とす
る、特定範囲の密度を有する発泡シートの少なくとも片
面に、特定厚みのプロピレン系樹脂フィルムを積層した
積層シートを成形して特定の厚みを有する天井材とした
ものであるため、軽量でありながら機械的強度、熱的強
度に優れ、夏期等における自動車室内の温度上昇により
垂れ下がり等が生じる虞がなく、しかも安価である等の
利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車内装用成形天井材の縦断面図で
ある。
【図2】結晶化速度測定によって得られた電圧〜時間曲
線である。
【図3】長鎖分岐を有するプロピレン系樹脂と長鎖分岐
を有しないプロピレン系樹脂のひずみ速度における伸長
粘度と時間との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 自動車内装用成形天井材 2 プロピレン系樹脂発泡シート 3 プロピレン系樹脂フィルム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青木 健 栃木県日光市野口690−6 (56)参考文献 特許2898460(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 9/00 - 9/42 B60R 13/00 - 13/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長鎖分岐を有すると共にドローダウン性
    が60m/分以下である無架橋プロピレン系樹脂を基材
    とする、密度0.3〜0.045g/cm3 の発泡シートと、
    該発泡シートの少なくとも片面に積層された厚さ5〜5
    00μmのプロピレン系樹脂フィルムとからなる積層シ
    ートを成形してなり、厚み2〜9mmを有することを特徴
    とする自動車内装用成形天井材。
  2. 【請求項2】 発泡シートの基材樹脂か、該発泡シート
    に積層されるフィルムの基材樹脂の少なくとも一方が、
    エチレン成分含有量0.5〜30重量%のプロピレン系樹
    脂である請求項1記載の自動車内装用成形天井材。
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JP5597361B2 (ja) * 2009-05-21 2014-10-01 日本ポリプロ株式会社 ポリオレフィン系樹脂積層発泡シートからなる熱成型用シート及びそれを使用した熱成型物品

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