JP2513870Y2 - トランクリッドのロック装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本考案はトランクリッドのロック装置に関するもので
ある。

（従来の技術） 従来、自動車のトランクリッドのロック装置は、車体
側に設けたストライカに係脱自在に噛合するラッチと、
車外からのキー操作により回動して前記ラッチとストラ
イカとの噛合を解除するクローレバーと、車内からの遠
隔操作により回動してクローレバーを回動させるオープ
ンレバーと、該オープンレバーを一方向に付勢するリタ
ーンスプリングとで構成されている。

そして、この種のロック装置には、第三者に車を貸し
たり、駐車場にキーをつけたまま駐車したりする場合
に、車内から勝手にトランクリッドを開けられないよう
に、キャンセルレバーを設けたものが提案されている。

このキャンセルレバーは、一方に回動してクローレバ
ーとオープンレバーとを連結一体化するとともに、他方
に回動してこの連結を解放するものである。

したがって、キャンセルレバーを解放位置にしておい
て、トランクリッドを解錠することのできないエンジン
始動専用のキーのみを第三者に渡すようにすれば、第三
者が車内側から操作しても、オープンレバーだけが回動
するため解錠できず、また、車外からも解錠することが
できない。

（考案が解決しようとする課題） しかしながら、前記トランクリッドのロック装置で
は、前記キャンセルレバーは、確実に連結あるいは解放
位置に位置決めされるようにしておかなければ、走行時
の振動等によって回動するおそれがある。

このため、従来、キャンセルレバーを前記連結あるい
は解放位置に位置決めするアクションスプリングがリタ
ーンスプリングとは別に設けられていた。このアクショ
ンスプリングは、オープンレバーとキャンセルレバーと
の間に配設され、キャンセルレバーの回動位置によって
その付勢方向を変えるものである。したがって、このよ
うなアクションスプリングを使用するものでは、構造が
複雑で部品点数が多くなるという問題点があった。

そこで、本考案は構造が簡単で部品点数の少ないキャ
ンセルレバーを備えたトランクリッドのロック装置を提
供することを目的とするものである。

（課題を解決するための手段） 本考案は前記目的を達成するために、ストライカに係
脱自在に噛合するラッチと、車外からのキー操作により
回動してラッチとストライカとの噛合を解除するクロー
レバーと、車内からの遠隔操作により回動してクローレ
バーを回動させるオープンレバーと、該オープンレバー
を一方向に付勢するリターンスプリングと、前記オープ
ンレバーに摺動自在に取り付けられ、一方に摺動してオ
ープンレバーとクローレバーとを連結し、他方に摺動し
てオープンレバーとクローレバーとの連結を解放するキ
ャンセルレバーとを備え、前記リターンスプリングの一
端部を前記キャンセルレバーの２箇所に設けた凹部にそ
れぞれ係合することにより、キャンセルレバーを連結位
置あるいは解放位置に位置決めするとともに、キャンセ
ルレバーの動作に節度感をもたせるようにしたものであ
る。

（実施例） つぎに、本考案に係るトランクリッドのロック装置の
一実施例について添付図面にしたがって説明する。

第１図において、ストライカ１は図示しない車体に取
り付けられ、ベース２は図示しないトランクリッドに取
り付けられている。

ストライカ１は、Ｕ字形をしており、トランクリッド
を閉じた際に、ベース２に設けた切欠部11に嵌入するよ
うになっている。

前記ベース２には、ラッチ３、クローレバー４、オー
プンレバー５、キャンセルレバー６、リターンスプリン
グ７等が組み付けられている。

ラッチ３は、ベース２に支軸12を中心として回動自在
に枢着され、前記ストライカ１と噛合するＵ字形の噛合
部13と、外周部より突出する係当部14と、スプリング16
の一端を係止するための係止部15とを有している。

クローレバー４は、ベース２に支軸17を中心として回
動自在に枢着され、その一端部にＵ字状の切欠係合部18
が設けられ、他端部にキーシリンダ（図示せず）に接続
するロッド（図示せず）が連結されるとともに、前記ラ
ッチ３に一端を係止したスプリング16の他端を係止する
係止部19、前記ラッチ３の係当部14に係当する突部20が
それぞれ設けられている。

一方、オープンレバー５は、その一端が前記クローレ
バー４の支軸17と同軸に回動自在に取り付けられ、他端
部に車内側から操作することにより動作するワイヤ（図
示せず）が連結され、また、中間部には長孔21が設けら
れている。

キャンセルレバー６は、第５図に示すように、略長方
形板状で、一端部に形成されたＵ字状の逃がし用切欠部
22が前記支軸17に係合するとともに、他端側の面に垂直
に突設された突起23が、前記オープンレバー５の長孔21
に摺動自在に嵌入し、かつ、クローレバー４の切欠係合
部18に係脱可能に係合するようにオープンレバー５に重
ねて取り付けられ、矢印Ａ方向の連結位置と矢印Ｂ方向
の解放位置とに摺動可能になっている。

また、このキャンセルレバー６の一方の側縁には第１
凹部24および第２凹部25がそれぞれ設けられ、他方の側
縁には操作部26が突設されている。そして、このキャン
セルレバー６は、トランクリッドを開けた時に指で操作
部26をつかんで、第１図に示すように、矢印Ａ方向の連
結位置に摺動させると、突起23がクローレバー４の切欠
係合部18に係合してクローレバー４とオープンレバー５
が一体的に連結され、また、第３図に示すように、矢印
Ｂ方向の解放位置に摺動させると、突起23がクローレバ
ー４の切欠係合部18から離脱してクローレバー４とオー
プンレバー５の連結が解除されるようになっている。

リターンスプリング７は、いわゆるねじりばねであっ
て、前記クローレバー４およびオープンレバー５を取り
付けた支軸17に取り付けられ、その一端がベース２の側
面2cに圧接し、他端がキャンセルレバー６の第１凹部24
または第２凹部25に圧接，係合してオープンレバー５を
支軸17を中心として第１図中反時計回り方向に付勢して
いる。

また、このリターンスプリング７は、キャンセルレバ
ー６を位置決めするとともに、その動作に節度感をもた
せるようにしている。すなわち、リターンスプリング７
の一端部が、第３図に示すように、第１凹部24に係合し
た状態からキャンセルレバー６を矢印Ａ方向に移動させ
ると、このリターンスプリング７の一端部は、第１凹部
24からそのばね力に抗して脱出し、第２凹部25にばね力
により係合してキャンセルレバー６を連結位置に位置決
めし、第１図の状態になる。また逆に、この状態からキ
ャンセルレバー６を矢印Ｂ方向に移動させると、リター
ンスプリング７の一端部は、同様にして第２凹部25から
脱出し、第１凹部24に係合してキャンセルレバー６を解
放位置に位置決めする。このように、リターンスプリン
グ７の一端部が、第1,第２凹部24,25から脱出する時お
よびそれらに係合する時に、キャンセルレバー６の動作
に節度感が得られる。

以上の構成からなるトランクリッドのロック装置で
は、通常、第１図に示すように、キャンセルレバー６を
連結位置に操作しておく。この連結位置では、キャンセ
ルレバー６の突起23はクローレバー４の切欠係合部18に
係合し、リターンスプリング７の一端部は第２凹部25に
係合してこの係合状態を維持している。そして、図に示
すように、トランクリッドを閉じた状態では、ストライ
カ１がベース２の切欠部11に嵌入し、ラッチ３の噛合部
13はストライカ１に噛合するとともに、ラッチ３の係当
部14にクローレバー４の突部20が係当して、ラッチ３の
回動を阻止したロック状態となっている。

このロック状態で、車外からキー操作により直接クロ
ーレバー４を第１図中時計回り方向に回動すると、クロ
ーレバー４の突部20が係当部14から退避する。このた
め、ラッチ３は、第２図に示すように、スプリング16の
付勢力で支軸12を中心としてベース２の下縁および左縁
の突出壁2a,2bに当接するまで時計回り方向に回動し、
その結果、ロック状態は解除される。

また、前記ロック状態で、車内の運転席からの遠隔操
作によりオープンレバー５を第１図中時計回り方向に回
動させると、キャンセルレバー６によってクローレバー
４とオープンレバー５とが一体化されているため、第２
図に示すように、クローレバー４はオープンレバー５と
ともに時計回り方向に一体的に回動し、前記同様ロック
状態は解除される。

次に、第三者に車を貸す場合には、キャンセルレバー
６を、第１図に示す連結位置から第３図に示す解放位置
に、予め摺動移動させ、このキャンセルレバー６の突起
23とクローレバー４の切欠係合部18との係合を解除して
おく。

したがって、第三者が車内から操作しても、第４図に
示すように、オープンレバー５は回動するものの、クロ
ーレバー４はそのままの状態を維持するため、ロック状
態は維持されることになる。

つまり、エンジン始動専用のキーを渡して第三者に車
を貸した場合等においては、そのキーでは当然に解錠で
きないし、車内からの操作でも解錠できないので、トラ
ンクを勝手に開けられることはない。

（考案の効果） 以上の説明から明らかなように、本考案に係るトラン
クリッドのロック装置は、オープンレバーを戻す方向に
付勢するリターンスプリングを利用してキャンセルレバ
ーを連結位置と解放位置とに位置決めするものである。

したがって、キャンセルレバーを位置決めするのに、
特別な機構、特に各位置に付勢しておくためのアクショ
ンスプリング等が不必要になるので、部品点数の削減が
図れるとともに、組立も容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図は、本考案に係るトランクリッドの
ロック装置の正面図を示し、第１図および第２図は、そ
れぞれキャンセルレバーを連結位置にしたときのロック
状態、アンロック状態を示し、第３図および第４図はそ
れぞれキャンセルレバーを解除位置にしたときのロック
状態、アンロック状態を示し、第５図はロック装置の分
解斜視図である。 １……ストライカ、２……ベース、３……ラッチ、４…
…クローレバー、５……オープンレバー、６……キャン
セルレバー、７……リターンスプリング、18……切欠係
合部、21……長孔、23……突起。

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ストライカに係脱自在に噛合するラッチ
   と、 車外からのキー操作により回動してラッチとストライカ
   との噛合を解除するクローレバーと、 車内からの遠隔操作により回動してクローレバーを回動
   させるオープンレバーと、 該オープンレバーを一方向に付勢するリターンスプリン
   グと、 前記オープンレバーに摺動自在に取り付けられ、一方に
   摺動してオープンレバーとクローレバーとを連結し、他
   方に摺動してオープンレバーとクローレバーとの連結を
   解放するキャンセルレバーとを備え、 前記リターンスプリングの一端部を前記キャンセルレバ
   ーの２箇所に設けた凹部にそれぞれ係合することによ
   り、キャンセルレバーを連結位置あるいは解放位置に位
   置決めするとともに、キャンセルレバーの動作に節度感
   をもたせるようにしたことを特徴とするトランクリッド
   のロック装置。