JP2505229B2 - 崩壊性置中子の保持方法 - Google Patents

崩壊性置中子の保持方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、シリンダブロックを鋳造するに際し、デ
ッキにウォータジャケットのブリッジ部を形成するため
に寄与する崩壊性置中子を、ウォータジャケット形成用
の金型壁部に設けた切欠内の所定位置に極めて安定に、
かつ確実に保持する方法に関するものである。
(従来の技術) デッキに、ウォータジャケットのブリッジ部を形成す
るための従来のこの種の中子保持方法としては、たとえ
ば特開昭59−232654号公報に開示されたものがある。
これは、第3図に示すシリンダブロック1の平面図に
おいて、デッキ2に、シリンダライナ3を囲繞するウォ
ータジャケット4のブリッジ部5を、所定の間隔をおい
て形成するために、第4図に示すように、固定下型6と
可動上型7との間に、開閉自在の左右の型半部8a,8bか
らなる中間型8を配設し、そしてこれらの各型6,7.8
と、シリンダライナ3とで区画されるキャビティ9内
へ、可動上型7に取り付けられてウォータジャケット4
の形成に寄与するジャケット金型10を、下向きに突出さ
せてなり、そのジャケット金型10には、ブリッジ部5の
形成のために、第5図に示すように、それの周方向の所
定位置に設けた切欠11内に、砂中子12を嵌め合わせ、そ
の砂中子12と、切欠11の上縁との中に、ブリッジ部5の
所要の厚さに応じた間隙13を残存させることとしてい
る。
(発明が解決しようとする問題点) ところが、このような従来技術にあっては、ジャケッ
ト金型10の切欠11内の砂中子12の保持を、それら両者の
摩擦掛合のみにて行っており、しかも、その砂中子12に
は、ジャケット金型10の円滑なる抜き取りのための抜き
勾配が設けられていることから、全ての砂中子12を、そ
れぞれの切欠11内の所定位置に、常にかつ確実に維持す
ることが甚だ困難であるという問題があった。
この発明は、従来技術のかかる問題点に着目してなさ
れたものであり、金型壁部の切欠内に、砂その他からな
る崩壊性置中子を、常に適正に保持することができる崩
壊性置中子の保持方法を提供するものである。
(問題点を解決するための手段) この発明の、崩壊性置中子の保持方法は、シリンダブ
ロックのウォータジャケットを形成するための金型壁部
に切欠を設け、該切欠内に、その上側部分にウォータジ
ャケットの上方を閉じるブリッジ部を形成するための所
定空間を残して崩壊性置中子を嵌め込み、嵌め込んだ崩
壊性置中子を、該切欠の両側面と崩壊性置中子との間で
生じる摩擦掛合力と、金型壁部の内部に配設され前記切
欠の側面に開口部をもつガス通路内を減圧雰囲気にし
て、前記開口部にて、ガス通路と崩壊性置中子との間で
生じる吸引力との相乗作用によって、切欠内の所定位置
に安定保持するものである。
(作用) この保持方法によれば、金型壁部に嵌め合わされた崩
壊性置中子は、それと金型との摩擦掛合力によって脱落
を拘束されることはもちろんであるが、とくには、減圧
吸引によって、金型に対する相対変位を有効に阻止され
ることになり、故に、摩擦掛合力と減圧吸引力との相乗
作用により、崩壊性置中子を、金型壁部の切欠内の所定
位置に確実に保持することができる。
なおここにおいて、崩壊性置中子の減圧吸引を注湯の
終了に至るまで継続した場合には、金型壁部の内部に形
成したガス通路は、積極的なガス抜きを伴うガス抜き通
路としてもまた機能することができ、鋳造欠陥の発生を
十分に防止することができる。
さらに、この一方において、ガス通路を、切換弁その
他の作用下にて、圧縮空気供給通路として作用させた場
合には、鋳造の終了後におけるそこからの圧縮空気の噴
出により、鋳造品内に置き去りにした崩壊性置中子の嵌
め込み部分、正確には、金型の、置中子との接触面を十
分清浄ならしめることができる。
(実施例) 以下にこの発明を図示例に基づいて説明する。
第1図は金型を示す底面斜視図であり、図中21はウォ
ータジャケットの形成に寄与する金型を、22は、金型21
に、ボルトその他によって固定したもしくは一体形成し
た金型ホルダをそれぞれ示す。
ここにおける金型21は、三個所の括れ部を介して連続
する、それぞれがほぼ円筒状の四連の金型壁部23からな
り、それらの各金型壁部23の中央部には、図に仮想線で
示すシリンダライナ24を嵌め合わせるためのライナホル
ダ25が、金型壁部23より丈高に突出する。
ここでは、それぞれの金型壁部23に、所定の間隔をお
いて、その上下方向へ貫通するそれぞれの切欠26、いい
かえれば、軸線方向へ延在する切除部分をそれぞれ設
け、これらの各切欠26の幅を、その下端部で前述したブ
リッジ部の所要厚さに応じた長さで狭窄する。
またここでは、金型壁部23の、このような各切欠26に
対し、切欠26の横断面形状と対応する形状、図では円孤
状に彎曲しつつ、両側端部に、“く”字状に突出する金
型掛合部27を有する崩壊性置中子28を、切欠26が狭窄さ
れる位置まで確実に、かつ緊密に嵌め込む。なおここ
で、切欠26および崩壊性置中子28は、鋳造の終了後にお
いて、金型21を、崩壊性置中子28を鋳造品の内部に残存
させたまま円滑に取り除くことを可能ならしめるため、
下方へ向けて漸次狭幅となる抜き勾配を有する。
そしてさらに、金型壁部23には、その内部に形成され
て、切欠26の少なくとも一側面に開口するガス通路29を
設け、これらの各ガス通路29を、直接的にもしくは切換
弁を介して、真空ポンプその他の減圧源に接続する。
第2図は以上のような金型21の、鋳造型への適用例を
示す断面図であり、これは、切欠26に開口するガス通路
29を、切換弁30を介して減圧源31および加圧空気供給源
32のそれぞれに接続したものである。
なお、図中33は固定下型を、34は、金型21を取り付け
た可動上型を、そして、35は中間型をそれぞれ示し、こ
の中間型35は、開閉可能な左右の型半部35a,35bからな
る。
ここで、この発明では、金型壁部23のそれぞれの切欠
26内へ崩壊性置中子28を、第1図に示すように十分適正
に嵌め込んだ状態の下で、切換弁30の作用によって減圧
源31をガス通路29に接続することにより、各崩壊性置中
子28に減圧吸引力を作用させ、かかる吸引力の作用を、
第2図に示すように型閉めが終了し、そして、ランナ36
からキャビティ37への溶湯の充填が完了するまで、より
好ましくは、その溶湯が凝固するまで継続する。
このことにより、崩壊性置中子28は、それと切欠壁面
との摩擦力に加え、切欠26の少なくとも一側面に形成さ
れた開口からの減圧吸引力を受けることになって、所定
の位置に、十分正確に吸引保持されることになり、所期
した通りの形状および寸法を有する鋳造品、ここではシ
リンダブロックが、常にかつ確実に鋳造されることにな
り、そのデッキには、第3図に示したと同様に、シリン
ダブロックの剛性アップに十分有効に寄与し得る適正厚
さのブリッジ部が形成されることになる。
なおここで、上述した減圧吸引を、注湯の完了に至る
まで継続した場合には、崩壊性置中子28に含まれる粘結
材、水分などからの発生ガスが、極めて有効に型外へ排
出されることになるので、その発生ガスに起因する鋳造
欠陥をほぼ完全に取り除くことができる。
そして、このようにして鋳造を完了した後は、可動上
型34を上昇させることにより、金型21は、それぞれの崩
壊性置中子28をシリンダブロック内に置き去りにしたま
ま上方へ抜け出し、それぞれの金型壁部23によって、デ
ッキに、ウォータジャケットの開口部を形成する。
そこで、その後は、切換弁30をシフトさせることによ
って、ガス通路29を加圧空気供給源32に接続することに
より、切欠26の側面開口から加圧空気を噴出させて、そ
の切欠側面に付着した崩壊性置中子28の残渣を十分に取
り除くことができる。
従ってここにおいては、金型壁部23の切欠26内へ嵌め
込んだ崩壊性置中子28を、切欠26に開口するガス通路29
を介してその切欠内に吸引保持することにより、崩壊性
置中子28を切欠内の所定位置に十分正確に位置決めする
ことができ、この結果として、所期した通りのシリンダ
ブロックが常に確実に製造されることになる。
(発明の効果) かくして、この発明によれば、金型壁部に形成され
て、そこに設けた切欠の側面に開口するガス通路を介し
て、切欠内へ嵌め込んだ崩壊性置中子を吸引することに
より、この吸引力と該切欠の両側面と崩壊性置中子との
間で生じる摩擦掛合力との相乗作用によって、その崩壊
性置中子を切欠内の所定位置に正確に保持することがで
き、所期した通りの形状および寸法を有するシリンダブ
ロックを、つねに確実に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明の実施に用いる金型構造を例示する底
面斜視図、 第2図はこの発明方法による鋳造例を示す断面図、 第3図は鋳造品を例示する平面図、 第4図は従来の鋳造型を例示する断面図、 第5図は従来方法を例示する図である。 21……金型、23……金型壁部 25……ライナホルダ、26……切欠 27……金型掛合部、28……崩壊性置中子 29……ガス通路、30……切換弁 31……減圧源

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】シリンダブロックのウォータジャケットを
    形成するための金型壁部に切欠を設け、該切欠内に、そ
    の上側部分にウォータジャケットの上方を閉じるブリッ
    ジ部を形成するための所定空間を残して崩壊性置中子を
    嵌め込み、嵌め込んだ崩壊性置中子を、 該切欠の両側面と崩壊性置中子との間で生じる摩擦掛合
    力と、 金型壁部の内部に配設され前記切欠の側面に開口部をも
    つガス通路内を減圧雰囲気にして、前記開口部にて、ガ
    ス通路と崩壊性置中子との間で生じる吸引力との相乗作
    用によって、切欠内の所定位置で安定保持することを特
    徴とする崩壊性置中子の保持方法。
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