JP2020520671A - 抗体−サイトカイングラフト化タンパク質及び使用方法 - Google Patents

抗体−サイトカイングラフト化タンパク質及び使用方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、細胞内シグナル伝達を刺激する、且つ癌、免疫療法及び代謝障害の治療において有用であるものを含めた、抗体サイトカイングラフト化(ACE)タンパク質を提供する。詳細には、提供されるACEタンパク質組成物は野生型サイトカインタンパク質と比べて好ましい生物学的効果を提供する。例えば、提供されるACEタンパク質は、対応する組換えサイトカイン製剤と比べて向上した半減期、安定性及び産生性を付与し得る。

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2017年5月24日に出願された米国仮特許出願第62/510573号の利益を主張するものであり、この仮特許出願の内容は、全体が参照により本明細書に援用される。
本発明は、抗体−サイトカイングラフト化(ACE)タンパク質、化合物、及び治療方法に関する。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子的に提出された配列表を含み、その全体が参照により本明細書に援用される。2018年5月14日に作成された前記ASCIIコピーは、PAT057624−WO−PCT_SL.txtと称され、4,389,055バイトのサイズである。
ヘリカルサイトカインは、総ヘリックス含有量が70〜90%の、4〜7個のαヘリックスで構成されるコンパクトな分子である。いずれのヘリカルサイトカインもシグネチャエレメントは4ヘリックス束であり、その両親媒性ヘリックスはほぼ逆平行の形で配置され、疎水性アミノ酸の大部分がヘリックス束の内側にある内部疎水性コアの形成に関与する。
4αヘリックス束は、ある共通の特徴を呈する。初めて4ヘリックス束タンパク質を調べたのはWeber及びSalemmeであった(Weber and Salemme,Nature 1980;287:82−84)。その研究の中では、考察された4−ヘリックス束は、アップ−ダウン−アップ−ダウントポロジーで配置された逆平行ヘリックスであった。Presnellによる研究において、ヘリックスがアップ−アップ−ダウン−ダウンコンホメーションで配置されたヘリカルサイトカインのトポロジーを含め、この種のタンパク質トポロジーが、より大規模なデータセットを使用して更に定義付けられた(Presnell and Cohen,PNAS USA 1989;86:6592−6596)。
幾つかの4ヘリックス束タンパク質は、IL−6、白血病抑制因子(LIF)、オンコスタチンM(OSM)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、カルジオトロフィン−1(CT−1)、カルジオトロフィン様サイトカイン(CLC)、IL−11及びIL−31を含め、シグナル伝達が受容体サブユニットGP130によって媒介されるサイトカインファミリーに属する(Barton et al.,J.Biol.Chem 1999;274:5755−5761)。従って、これらのサイトカインは、一部には、何らかのユニークな生物学的活性にも関わらず機能上の重複を示す(Negahdaripour et al.,Cytokine and Growth Factor Rev.2016;32:41−61)。GP130に加えて、幾つかの他の受容体サブユニットがこのファミリーのシグナル伝達に関与し得る。
説明
本開示は、抗体のCDR配列にグラフト化されたサイトカインを提供し、今後、これらの抗体サイトカイングラフト化タンパク質(Antibody Cytokine Engrafted protein)は、ACEタンパク質として知られることになる。詳細には、提供されるACEタンパク質組成物は、野生型サイトカインタンパク質と比べて好ましい生物学的効果を提供する。例えば、提供されるACEタンパク質は、対応する組換えサイトカイン製剤と比べて向上した半減期、安定性及び産生性を付与し得る。本開示は、
(a)相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む、重鎖可変領域(VH);及び(b)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む、軽鎖可変領域(VL);及び(c)VH又はVLのCDRにグラフト化されたサイトカイン分子を含むACEタンパク質を提供する。一部の実施形態において、サイトカイン分子はCDRに直接グラフト化される。一部の実施形態において、サイトカイン分子はインターロイキン−10(IL−10)でない。
一部の実施形態において、サイトカイン分子は重鎖CDRにグラフト化される。
一部の実施形態において、重鎖CDRは、相補性決定領域1(HCDR1)、相補性決定領域2(HCDR2)又は相補性決定領域3(HCDR3)から選択される。
一部の実施形態において、サイトカイン分子はHCDR1にグラフト化される。
一部の実施形態において、サイトカイン分子はHCDR2にグラフト化される。
一部の実施形態において、サイトカイン分子はHCDR3にグラフト化される。
一部の実施形態において、サイトカイン分子は軽鎖CDRにグラフト化される。
一部の実施形態において、軽鎖CDRは、相補性決定領域1(LCDR1)、相補性決定領域2(LCDR2)又は相補性決定領域3(LCDR3)から選択される。
一部の実施形態において、サイトカイン分子はLCDR1にグラフト化される。
一部の実施形態において、サイトカイン分子はLCDR2にグラフト化される。
一部の実施形態において、サイトカイン分子はLCDR3にグラフト化される。
一部の実施形態において、サイトカイン分子はペプチドリンカーなしにCDRに直接グラフト化される。
一部の実施形態において、サイトカイン(cytoline)分子は、表1から選択される分子である。
一部の実施形態において、ACEタンパク質はIgGクラス抗体重鎖を更に含む。
一部の実施形態において、IgGクラス重鎖は、IgG1、IgG2、又はIgG4から選択される。
一部の実施形態において、標的タンパク質に対するCDRの結合特異性はグラフト化サイトカイン分子によって低下する。
一部の実施形態において、標的タンパク質に対するCDRの結合特異性がグラフト化サイトカイン分子によって10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%低下する結合。
一部の実施形態において、標的タンパク質に対するCDRの結合特異性はグラフト化サイトカイン分子の存在下で保持される。
一部の実施形態において、標的タンパク質に対するCDRの結合特異性はグラフト化サイトカイン分子の存在下で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%保持される。
一部の実施形態において、CDRの結合特異性はサイトカイン分子の結合特異性と異なる。
一部の実施形態において、CDRの結合特異性は非ヒト抗原に対するものである。
一部の実施形態において、非ヒト抗原はウイルスである。
一部の実施形態において、ウイルスは呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である。
一部の実施形態において、RSVは、RSVサブグループA又はRSVサブグループBから選択される。
一部の実施形態において、ACEタンパク質の抗体足場部分はヒト化又はヒトである。
一部の実施形態において、ACEタンパク質の抗体足場はパリビズマブである。
一部の実施形態において、受容体に対するグラフト化サイトカイン分子の結合親和性は遊離サイトカイン分子と比較して増加する。
一部の実施形態において、受容体に対するグラフト化サイトカイン分子の結合親和性は遊離サイトカイン分子と比較して低下する。
一部の実施形態において、受容体に対するグラフト化サイトカイン分子の結合アビディティは遊離サイトカイン分子と比較して増加する。
一部の実施形態において、受容体に対するグラフト化サイトカイン分子の結合アビディティは遊離サイトカイン分子と比較して低下する。
一部の実施形態において、2つ以上の受容体に対するグラフト化サイトカイン分子の差次的結合親和性又はアビディティは遊離サイトカイン分子と比較して変化する。
一部の実施形態において、グラフト化サイトカイン分子の活性は遊離サイトカイン分子と比較して増加する。
一部の実施形態において、グラフト化サイトカイン分子の活性は遊離サイトカイン分子と比較して低下する。
本明細書に開示される一部の実施形態は、(a)HCDR1、(b)HCDR2、及び(c)HCDR3を含む重鎖可変領域であって、HCDR配列の各々が表2に示される重鎖可変領域と、(d)LCDR1、(e)LCDR2、及び(f)LCDR3を含む軽鎖可変領域であって、LCDR配列の各々が表2に示される軽鎖可変領域とを含むACEタンパク質を提供し、ここでCDRにサイトカイン分子がグラフト化される。
本明細書に開示される一部の実施形態はACEタンパク質を提供し、但し、IL10サイトカインを含むACEタンパク質は除外するものとする。
本明細書に開示される一部の実施形態はACEタンパク質を提供し、但し、表3に示されるACEタンパク質は除外するものとする。
本明細書に開示される一部の実施形態は、表2に示されるVHを含む重鎖可変領域(VH)と、表2に示されるVLを含む軽鎖可変領域(VL)とを含むACEタンパク質を提供し、ここでVH又はVLにサイトカイン分子がグラフト化される。
一部の実施形態において、ACEタンパク質は、低下したエフェクター機能に対応する修飾Fc領域を更に含む、抗体サイトカイングラフト化タンパク質。
一部の実施形態において、修飾Fc領域は、D265A、P329A、P329G、N297A、L234A、及びL235Aの1つ以上から選択される突然変異を含む、抗体サイトカイングラフト化タンパク質。
一部の実施形態において、修飾Fc領域は、D265A/P329A、D265A/N297A、L234/L235A、P329A/L234A/L235A、及びP329G/L234A/L235Aの1つ以上から選択される突然変異の組み合わせを含む、抗体サイトカイングラフト化タンパク質。
一部の実施形態において、Fc領域突然変異はD265A/P329Aである。
本明細書に開示される一部の実施形態は、表2に示されるとおりの重鎖可変領域及び/又は表2に示されるとおりの軽鎖可変領域を含むACEタンパク質をコードする単離核酸を提供し、ここで重鎖可変領域又は軽鎖可変領域にサイトカイン分子がグラフト化される。
本明細書に開示される一部の実施形態は、本明細書に開示される核酸を含む、ACEタンパク質の産生に好適な組換え宿主細胞を提供する。
一部の実施形態において、組換え宿主細胞は哺乳類細胞株である。
一部の実施形態において、哺乳類細胞株はCHO細胞株である。
本明細書に開示される一部の実施形態は、ACEタンパク質と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物を提供する。
本明細書に開示される一部の実施形態は、それを必要としている個体の疾患を治療する方法を提供し、この方法は、本明細書に開示される医薬組成物の治療有効量を個体に投与することを含む。
一部の実施形態において、疾患は癌である。
一部の実施形態において、癌は、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌及びリンパ腫からなる群から選択される。
一部の実施形態において、医薬組成物は別の治療剤と併用して投与される。
一部の実施形態において、治療剤は免疫チェックポイント阻害薬である。
一部の実施形態において、免疫チェックポイントに対するアンタゴニストは、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM3、CTLA−4、LAG−3、CEACAM−1、CEACAM−5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFRからなる群から選択される。
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は抗PD−L1抗体である。
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は抗TIM3抗体である。
一部の実施形態において、疾患は免疫関連障害である。
一部の実施形態において、免疫関連障害は、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、乾癬、I型糖尿病、急性膵炎、ぶどう膜炎、シェーグレン病、ベーチェット病、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、全身性エリテマトーデス、白斑、慢性予防的急性移植片対宿主病(chronic prophylactic acute graft versus host disease)(pGvHD)、HIV誘発性脈管炎、円形脱毛症、全身性硬化症モルフェア(Systemic sclerosis morphoea)、及び原発性抗リン脂質症候群からなる群から選択される。
一部の実施形態において、医薬組成物は別の治療剤と併用して投与される。
一部の実施形態において、治療剤は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ、ナタリズマブ、及びベドリズマブからなる群から選択される抗TNF剤である。
一部の実施形態において、治療剤は、スルファサラジン、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン及び他の5−アミノサリチル酸誘導体からなる群から選択されるアミノサリチル酸剤である。
一部の実施形態において、治療剤は、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、ブデソニド(budenisonide)、メサラミン、及びデキサメタゾンからなる群から選択されるコルチコステロイドである。
一部の実施形態において、治療剤は抗細菌剤である。
本明細書に開示される一部の実施形態は、疾患の治療における、(a)HCDR1(b)HCDR2(c)HCDR3を含む重鎖可変領域であって、HCDR配列の各々が表2に示される重鎖可変領域と、(d)LCDR1、(e)LCDR2、及び(f)LCDR3を含む軽鎖可変領域であって、LCDR配列の各々が表2に示される軽鎖可変領域とを含むACEタンパク質の使用を提供し、ここでCDRにサイトカイン分子がグラフト化される。
一部の実施形態において、疾患は癌である。
一部の実施形態において、癌は、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌及びリンパ腫からなる群から選択される。
一部の実施形態において、医薬組成物は別の治療剤と併用して投与される。
一部の実施形態において、治療剤は免疫チェックポイント阻害薬である。
一部の実施形態において、免疫チェックポイントに対するアンタゴニストは、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM3、CTLA−4、LAG−3、CEACAM−1、CEACAM−5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFRからなる群から選択される。
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は抗PD−L1抗体である。
一部の実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は抗TIM3抗体である。
一部の実施形態において、疾患は免疫関連障害である。
一部の実施形態において、免疫関連障害は、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、乾癬、I型糖尿病、急性膵炎、ぶどう膜炎、シェーグレン病、ベーチェット病、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、全身性エリテマトーデス、白斑、慢性予防的急性移植片対宿主病(chronic prophylactic acute graft versus host disease)(pGvHD)、HIV誘発性脈管炎、円形脱毛症、全身性硬化症モルフェア(Systemic sclerosis morphoea)、及び原発性抗リン脂質症候群からなる群から選択される。
一部の実施形態において、医薬組成物は別の治療剤と併用して投与される。
一部の実施形態において、治療剤は、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ、ナタリズマブ、及びベドリズマブからなる群から選択される抗TNF剤である。
一部の実施形態において、治療剤は、スルファサラジン、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン及び他の5−アミノサリチル酸誘導体からなる群から選択されるアミノサリチル酸剤である。
一部の実施形態において、治療剤は、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、ブデソニド(budenisonide)、メサラミン、及びデキサメタゾンからなる群から選択されるコルチコステロイドである。
一部の実施形態において、治療剤は抗細菌剤である。
特定の実施形態において、ACEタンパク質はIgGクラス抗体Fc領域を含む。詳細な実施形態において、抗体Fc領域は、IgG1、IgG2、又はIgG4サブクラスFc領域から選択される。一部の実施形態において、抗体は、任意選択で、Fc受容体への抗体の結合を調節する(即ち増加又は低下させる)少なくとも1つの修飾を含む。抗体Fc領域は、任意選択で、修飾されたエフェクター機能を付与する修飾を含み得る。詳細な実施形態において、抗体Fc領域は、D265A、P329A、P329G、N297A、D265A/P329A、D265A/N297A、L234/L235A、P329A/L234A/L235A、及びP329G/L234A/L235Aのいずれかから選択されるエフェクター機能の低下を付与する突然変異を含み得る。一部の実施形態において、Fc突然変異はD265A/P329Aである。
一部の実施形態において、ACEタンパク質はまた、野生型サイトカイン又はその変異体も含む。この変異は、単一のアミノ酸変化、単一のアミノ酸欠失、複数のアミノ酸変化及び複数のアミノ酸欠失であってもよい。例えば、分子のサイトカイン部分の差異(varation)により、サイトカイン受容体に対するACEタンパク質の親和性が減少又は増加し得る。
一部の実施形態において、IL10野生型又は変異体サイトカインは除外される。他の実施形態において、表3に開示されるとおりのIL10 ACEタンパク質は除外される。一部の実施形態において、実施例39、実施例40、実施例41、実施例42、実施例43、実施例44、実施例45、実施例46、実施例47、実施例48、実施例49、実施例50、又は実施例41からのIL10 ACEタンパク質は除外される。
更には、本開示は、本明細書に記載されるとおりのACEタンパク質の少なくとも重鎖及び/又は軽鎖タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。別の関連する態様において、本開示は、本明細書に記載されるとおりのACEタンパク質の産生に好適な宿主細胞を更に提供する。詳細な実施形態において、宿主細胞は、本明細書に記載のACEタンパク質をコードする核酸を含む。更に別の態様において、ACEタンパク質の作製方法が提供され、この方法は、ACEタンパク質の発現、形成、及び分泌に好適な条件下で本明細書に記載されるとおりの提供される宿主細胞を培養すること、及び培養物からACEタンパク質を回収することを含む。更なる態様において、本開示は、本明細書に記載されるとおりのACEタンパク質を含むキットを更に提供する。
別の関連する態様において、本開示は、本明細書に記載されるとおりのACEタンパク質と、薬学的に許容可能な担体とを含む組成物を更に提供する。一部の実施形態において、本開示は、個体に投与するためのACEタンパク質を含む医薬組成物を提供する。
定義
「抗体」は、四量体構造単位を含む免疫グロブリンファミリーの分子を指す。各四量体が2つの同一のポリペプチド鎖対を含み、各対が、ジスルフィド結合で結び付けられた1つの「軽」鎖(約25kD)と1つの「重」鎖(約50〜70kD)とを有する。認められている免疫グロブリン遺伝子には、κ、λ、α、γ、δ、ε、及びμ定常領域遺伝子、並びに無数の免疫グロブリン可変領域遺伝子が含まれる。軽鎖はκ又はλのいずれかに分類される。重鎖はγ、μ、α、δ、又はεに分類され、ひいてはこれが免疫グロブリンクラス、それぞれIgG、IgM、IgA、IgD、及びIgEを定義する。抗体は、任意のアイソタイプ/クラス(例えば、IgG、IgM、IgA、IgD、及びIgE)、又は任意のサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2)であり得る。
軽鎖及び重鎖は両方とも、構造的及び機能的相同性領域に分けられる。構造的及び機能的に、用語「定常」及び「可変」が用いられる。各鎖のN末端は、抗原認識に一義的に関与する約100〜110アミノ酸又はそれ以上の可変(V)領域又はドメインを画成する。用語の可変軽鎖(V)及び可変重鎖(V)は、それぞれ軽鎖及び重鎖のこれらの領域を指す。VとVとが共に対になって単一の抗原結合部位を形成する。V領域に加え、重鎖及び軽鎖は両方とも定常(C)領域又はドメインを含む。分泌型の免疫グロブリンC領域は、3つのCドメインCH1、CH2、CH3、任意選択でCH4(Cμ)、及びヒンジ領域で構成される。膜結合型の免疫グロブリンC領域はまた、膜ドメイン及び細胞内ドメインを有する。各軽鎖はN末端にVを有し、続いてその他端に定常ドメイン(C)を有する。軽鎖(CL)及び重鎖(CH1、CH2又はCH3)の定常ドメインは、分泌、経胎盤移動、Fc受容体結合、補体結合など、重要な生物学的特性を付与する。慣習上、定常領域ドメインの番号は、抗原結合部位又は抗体のアミノ末端から遠位になるに従い大きくなる。N末端が可変領域であり、C末端が定常領域である;実際にはCH3及びCLドメインが、それぞれ重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端ドメインを含む。VLはVHと整列し、及びCLは重鎖の第1の定常ドメインと整列する。本明細書で使用されるとき、「抗体」は、従来の抗体構造及び変種の抗体を包含する。従って、この概念の範囲内には、ACEタンパク質、完全長抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、及びその抗体断片がある。
抗体は、インタクトな免疫グロブリン鎖として存在するか、又は様々なペプチダーゼによる消化によって産生される幾つもの十分に特徴付けられた抗体断片として存在する。用語「抗体断片」は、本明細書で使用されるとき、6つのCDRを保持している抗体の1つ以上の一部分を指す。従って、例えば、ペプシンがヒンジ領域のジスルフィド結合の下で抗体を消化すると、それ自体軽鎖がジスルフィド結合によってV−C1に連結したものであるFab’の二量体、F(ab)’が産生される。F(ab)’を穏和条件下で還元するとヒンジ領域のジスルフィド結合が壊れ、それによりF(ab)’二量体がFab’単量体に変換され得る。Fab’単量体は本質的に、ヒンジ領域の一部分を有するFabである(Paul,Fundamental Immunology 3d ed.(1993))。様々な抗体断片がインタクトな抗体の消化という観点で定義されているが、当業者は、かかる断片が化学的に、或いは組換えDNA方法を用いることによりデノボ合成されてもよいことを理解するであろう。本明細書で使用されるとき、「抗体断片」は、全抗体の修飾によって作製されるか、又は組換えDNA方法を用いてデノボ合成されるかのいずれかの、結合特異性及び機能活性を保持している抗体の1つ以上の一部分を指す。抗体断片の例としては、同じ結合特異性を備えたFv断片、単鎖抗体(ScFv)、Fab、Fab’、Fd(Vh及びCH1ドメイン)、dAb(Vh及び単離CDR);及びこれらの断片の多量体型(例えば、F(ab’))が挙げられる。ACEタンパク質はまた、所望の結合特異性及び活性を実現するのに必要な抗体断片も含み得る。
「Fab」ドメインは、この文脈で使用されるとき、重鎖可変ドメイン、定常領域CH1ドメイン、軽鎖可変ドメイン、及び軽鎖定常領域CLドメインを含む。これらのドメインの相互作用はCH1ドメインとCLドメインとの間のジスルフィド結合によって安定している。一部の実施形態において、Fabの重鎖ドメインはN末端からC末端にVH−CHの順序であり、Fabの軽鎖ドメインはN末端からC末端にVL−CLの順序である。一部の実施形態において、Fabの重鎖ドメインはN末端からC末端にCH−VHの順序であり、Fabの軽鎖ドメインはCL−VLの順序である。Fab断片は歴史的にはインタクトな免疫グロブリンのパパイン消化によって同定されたが、この開示の文脈において、「Fab」は、典型的には任意の方法により組換えで作製される。各Fab断片は抗原結合に関して一価であり、即ちそれは単一の抗原結合部位を有する。
「相補性決定ドメイン」又は「相補性決定領域」(「CDR」)は、同義的に、V及びVの超可変領域を指す。CDRは、抗体鎖の中でかかる標的タンパク質に対する特異性を備えた標的タンパク質結合部位である。各ヒトVL又はVH中に3つのCDR(CDR1〜3、N末端から連続的に番号付けされる)があり、可変ドメインの約15〜20%を占める。CDRは、標的タンパク質のエピトープに対して構造的に相補的であり、したがって、結合特異性に直接関与している。VL又はVHの残りの区間、いわゆるフレームワーク領域(FR)は、アミノ酸配列の変化をあまり示さない(Kuby,Immunology,4th ed.,Chapter 4.W.H.Freeman & Co.,New York,2000)。
CDR及びフレームワーク領域の位置は、当該技術分野における様々な周知の定義、例えば、Kabat、Chothia、及びAbM(例えば、Kabat et al.1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest, Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242,Johnson et al.,Johnson et al.,Nucleic Acids Res.,29:205−206(2001);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.,196:901−917(1987);Chothia et al.,Nature,342:877−883(1989);Chothia et al.,J.Mol.Biol.,227:799−817(1992);Al−Lazikani et al.,J.Mol.Biol.,273:927−748(1997)を参照)を用いて決定され得る。抗原結合部位の定義は、以下にも記載されている:Ruiz et al.,Nucleic Acids Res.,28:219−221(2000);及びLefranc,M.P.,Nucleic Acids Res.,29:207−209(2001);(ImMunoGenTics(IMGT)numbering)Lefranc,M.−P.,The Immunologist,7,132−136(1999);Lefranc,M.−P.et al.,Dev.Comp.Immunol., 27,55−77(2003);MacCallum et al.,J.Mol.Biol.,262:732−745(1996);及びMartin et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:9268−9272(1989);Martin et al.,Methods Enzymol.,203:121−153(1991);及びRees et al.,In Sternberg M.J.E.(ed.),Protein Structure Prediction,Oxford University Press,Oxford,141−172(1996)。
Kabatに基づけば、VのCDRアミノ酸残基は31〜35(HCDR1)、50〜65(HCDR2)、及び95〜102(HCDR3)と付番され;及びVのCDRアミノ酸残基は24〜34(LCDR1)、50〜56(LCDR2)、及び89〜97(LCDR3)と付番される。Chothiaに基づけば、VのCDRアミノ酸は26〜32(HCDR1)、52〜56(HCDR2)、及び95〜102(HCDR3)と付番され;及びVのアミノ酸残基は26〜32(LCDR1)、50〜52(LCDR2)、及び91〜96(LCDR3)と付番される。Kabat及びChothiaの両方のCDR定義を組み合わせることにより、CDRはヒトVHにおいてアミノ酸残基26〜35(HCDR1)、50〜65(HCDR2)、及び95〜102(HCDR3)、及びヒトVLにおいてアミノ酸残基24〜34(LCDR1)、50〜56(LCDR2)、及び89〜97(LCDR3)からなる。
「抗体可変軽鎖」又は「抗体可変重鎖」は、本明細書で使用されるとき、それぞれV又はVを含むポリペプチドを指す。内因性Vは遺伝子セグメントV(可変)及びJ(連結)によってコードされ、及び内因性VはV、D(多様性)、及びJによってコードされる。V又はVの各々はCDR並びにフレームワーク領域(FR)を含む。用語「可変領域」又は「V領域」は、同義的に、FR1−CDR1−FR2−CDR2−FR3−CDR3−FR4を含む重鎖又は軽鎖を指す。V領域は天然に存在するもの、組換え又は合成であってもよい。本願において、時折、抗体軽鎖及び/又は抗体重鎖はまとめて「抗体鎖」と称することができる。本明細書に提供され及び更に記載されるとおり、「抗体可変軽鎖」又は「抗体可変重鎖」及び/又は「可変領域」及び/又は「抗体鎖」は任意選択で、CDRに組み込まれたサイトカインポリペプチド配列を含む。
本明細書における免疫グロブリン重鎖の、例えばCH2及びCH3ドメインを含むC末端部分は、「Fc」ドメインである。「Fc領域」は、本明細書で使用されるとき、第1の定常領域(CH1)免疫グロブリンドメインを除外した抗体の定常領域を指す。Fcは、IgA、IgD、及びIgGの最後の2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、IgE及びIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、並びにこれらのドメインの可動性ヒンジN末端を指す。IgA及びIgMについては、FcはJ鎖を含み得る。IgGについては、Fcは免疫グロブリンドメインCγ2及びCγ3並びにCγ1とCγとの間のヒンジを含む。当該技術分野においては、Fc領域の境界は様々であり得るが、しかしながらヒトIgG重鎖Fc領域は通常は残基C226又はP230〜そのカルボキシル末端まで(使用する付番はKabat et al.(1991,NIH Publication 91−3242,National Technical Information Service,Springfield,Va.)にあるEUインデックスに従う)を含むと定義されることが理解される。「Fc領域」は、この領域を単独で指すこともあり、又は抗体若しくは抗体断片のコンテクストでこの領域を指すこともある。「Fc領域」は、例えばエフェクター機能を調節する修飾を含め、Fc領域の天然に存在する対立遺伝子変異体を例えばCH2及びCH3領域に含む。Fc領域はまた、生物学的機能に変化をもたらさない変異体も含む。例えば、免疫グロブリンのFc領域のN末端又はC末端から、生物学的機能を実質的に失うことなく1つ以上のアミノ酸が欠失される。例えば、特定の実施形態においてC末端リジンが修飾され、置き換えられ、又は除去される。詳細な実施形態においてFc領域の1つ以上のC末端残基が変更又は除去される。特定の実施形態においてFcの1つ以上のC末端残基(例えば、末端リジン)が欠失される。特定の他の実施形態においてFcの1つ以上のC末端残基が別のアミノ酸で置換される(例えば、末端リジンが置き換えられる)。かかる変異体は、活性に及ぶ効果が最小限となるように当該技術分野において公知の一般的規則に従い選択される(例えば、Bowie,et al.,Science 247:306−1310,1990を参照のこと)。Fcドメインは、FcRなどの細胞受容体によって認識される免疫グロブリン(Ig)の一部分であり、そこに補体活性化タンパク質C1qが結合する。CH2エクソンの5’部分にコードされる下方のヒンジ領域は、FcR受容体への結合のための抗体内の可動性を提供する。
「キメラ抗体」は、(a)異なる又は変更されたクラス、エフェクター機能及び/又は種の定常領域、又はそのキメラ抗体に新規特性を付与する完全に異なる分子、例えば、酵素、毒素、ホルモン、成長因子、及び薬物に抗原結合部位(可変領域)が連結するように定常領域、又はその一部分が変更され、置き換えられ、又は交換されている;又は(b)異なる又は変更された抗原特異性を有する可変領域によって可変領域、又はその一部分が変更され、置き換えられ、又は交換されている抗体分子である。
「ヒト化」抗体は、ヒトにおいて免疫原性が低いながらも非ヒト抗体の反応性(例えば、結合特異性、活性)を保持している抗体である。これは、例えば、非ヒトCDR領域を保持し、且つ抗体の残りの部分をヒト対応物に置き換えることによって実現し得る。例えば、Morrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851−6855(1984);Morrison and Oi,Adv.Immunol.,44:65−92(1988);Verhoeyen et al.,Science,239:1534−1536(1988);Padlan,Molec.Immun.,28:489−498(1991);Padlan,Molec.Immun.,31(3):169−217(1994)を参照のこと。
「ヒト抗体」という用語は、フレームワーク及びCDR領域の両方が、ヒト起源の配列に由来する可変領域を有する抗体を含む。更に、抗体が定常領域を含む場合、定常領域はまた、このようなヒト配列、例えば、ヒト生殖系列配列、又はヒト生殖系列配列の突然変異型、又は例えば、Knappik et al.,J.Mol.Biol.296:57−86,2000)に記載されるような、ヒトフレームワーク配列分析から得られるコンセンサスフレームワーク配列を含む抗体に由来する。ヒト抗体は、ヒト配列によってコードされないアミノ酸残基を含み得る(例えば、インビトロでのランダム若しくは部位特異的突然変異によって、又はインビボでの体細胞突然変異によって、又は安定性若しくは製造を促進するための保存的置換によって導入される突然変異)。
「対応するヒト生殖系列配列」という用語は、ヒト生殖系列免疫グロブリン可変領域配列によってコードされる全ての他の公知の可変領域アミノ酸配列と比較して、参照可変領域アミノ酸配列又はサブ配列との最も高い決定されたアミノ酸配列同一性を有するヒト可変領域アミノ酸配列又はサブ配列をコードする核酸配列を指す。対応するヒト生殖系列配列はまた、全ての他の評価された可変領域アミノ酸配列と比較して、参照可変領域アミノ酸配列又はサブ配列との最も高いアミノ酸配列同一性を有するヒト可変領域アミノ酸配列又はサブ配列を指し得る。対応するヒト生殖系列配列は、フレームワーク領域のみ、相補性決定領域のみ、フレームワーク及び相補性決定領域、可変セグメント(上で定義されるような)、又は可変領域を含む配列若しくはサブ配列の他の組み合わせであり得る。配列同一性は、例えば、BLAST、ALIGN、又は当該技術分野において公知の別のアラインメントアルゴリズムを用いて、2つの配列を整列する、本明細書に記載される方法を用いて決定され得る。対応するヒト生殖系列核酸又はアミノ酸配列は、参照可変領域核酸又はアミノ酸配列との少なくとも約90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の配列同一性を有し得る。
用語「価数」は、本明細書で使用されるとき、ポリペプチド中の潜在的な標的結合部位の数を指す。各標的結合部位は、1つの標的分子又は標的分子の特異的部位に特異的に結合する。ポリペプチドが2つ以上の標的結合部位を含むとき、各標的結合部位は同じ又は異なる分子に特異的に結合し得る(例えば、異なる分子、例えば異なる抗原、又は同じ分子上の異なるエピトープに結合し得る)。従来の抗体は、例えば2つの結合部位を有し、二価であり;「三価」及び「四価」は、抗体分子にそれぞれ3つの結合部位及び4つの結合部位が存在することを指す。ACEタンパク質は、一価(即ち、1つの標的分子に結合する)、二価、又は多価(即ち、2つ以上の標的分子に結合する)であり得る。
語句「特異的に結合する」は、標的(例えば、タンパク質)とACEタンパク質との間の相互作用について記載する文脈で使用されるとき、タンパク質及び他の生物学的物質の異種集団中、例えば、生体試料、例えば、血液、血清、血漿又は組織試料中の標的の存在を決定付ける結合反応を指す。従って、特定の指定される条件下では、特定の結合特異性を有するACEタンパク質は特定の標的にバックグラウンドの少なくとも2倍結合し、その試料中に存在する他の標的に有意な量で結合することは実質的にない。一実施形態において、指定される条件下では、特定の結合特異性を有するACEタンパク質は特定の抗原にバックグラウンドの少なくとも10倍結合し、その試料中に存在する他の標的に有意な量で結合することは実質的にない。かかる条件下でのACEタンパク質との特異的結合には、ACEタンパク質が特定の標的タンパク質に対するその特異性に関して選択されている必要があり得る。本明細書で使用されるとき、特異的結合は、ヒトサイトカイン受容体に選択的に結合するACEタンパク質を含み、例えば他のサイトカイン受容体スーパーファミリーメンバーと交差反応するACEタンパク質を含まない。一部の実施形態において、ヒトサイトカイン受容体に選択的に結合し、且つ非ヒト霊長類サイトカイン受容体(例えばカニクイザル)と交差反応するACEタンパク質が選択される。一部の実施形態において、ヒトサイトカイン受容体に選択的に結合し、且つ更なる標的と反応する抗体グラフト化タンパク質が選択される。特定の標的タンパク質と特異的反応性を示すACEタンパク質の選択には、種々のフォーマットが用いられ得る。例えば、固相ELISAイムノアッセイが、タンパク質と特異的に免疫反応性の抗体を選択するのに日常的に使用される(例えば、特異的免疫反応性を決定するのに使用され得るイムノアッセイ形式及び条件の説明については、Harlow & Lane,Using Antibodies,A Laboratory Manual(1998)を参照されたい)。典型的に、特異的又は選択的結合反応は、バックグラウンドシグナルの少なくとも2倍、より典型的に、バックグラウンドより少なくとも10〜100倍、シグナルを生成するであろう。
「平衡解離定数(KD、M)」という用語は、解離速度定数(kd、時間−1)を結合速度定数(ka、時間−1、M−1)で除算した値を指す。平衡解離定数は、当該技術分野における任意の公知の方法を用いて測定され得る。ACEタンパク質は、一般に、約10−7又は10−8M未満、例えば、約10−9M又は10−10M未満、ある実施形態において、約10−11M、10−12M又は10−13M未満の平衡解離定数を有するであろう。
本明細書で使用されるとき、用語「エピトープ」又は「結合領域」は、抗体CDRと抗原タンパク質との間の特異的結合に関与する抗原タンパク質におけるドメインを指す。
本明細書で使用されるとき、用語「受容体−サイトカイン結合領域」は、グラフト化されたサイトカインとその受容体との間の特異的結合に関与するACEタンパク質のグラフト化されたサイトカイン部分におけるドメインを指す。各ACEタンパク質に少なくとも1つのかかる受容体−サイトカイン結合領域が存在し、結合領域の各々は他と同一であることも、又は異なることもある。
用語「アゴニスト」は、受容体を活性化させて完全な又は部分的な受容体媒介性応答を誘導する能力を有する抗体を指す。例えば、サイトカイン受容体のアゴニストは受容体に結合し、サイトカイン媒介性細胞内シグナル伝達、細胞活性化及び/又はT細胞増殖を誘導する。ACEタンパク質アゴニストは、幾つかの点で天然サイトカインと同様にIL2高親和性受容体を通じたシグナル伝達を刺激する。例えば、サイトカインがその受容体に結合すると下流シグナル、例えばJak1及びJak3活性化が誘導され、それによりSTAT5リン酸化がもたらされる。一部の実施形態において、ACEタンパク質アゴニストは、その受容体に結合し、且つ細胞増殖などの生物学的効果又はSTAT5リン酸化を誘導するその能力によって同定することができる。
用語「ACEタンパク質」又は「抗体サイトカイングラフト化分子」又は「グラフト化された」は、少なくとも1つのサイトカインが抗体のCDR内に直接取り込まれ、CDRの配列に割り込んでいることを意味する。サイトカインは、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2又はLCDR3内に取り込むことができる。サイトカインは、HCDR1、HCDR2、HCDR3、LCDR1、LCDR2又はLCDR3内に取り込み、CDRのN末端配列の方に、又はCDRのC末端配列の方に取り込むことができる。CDR内に取り込まれたサイトカインは、元の標的タンパク質に対する抗体部分の特異的結合を中断させてもよく、又はACEタンパク質は、その標的タンパク質に対するその特異的結合を保持していてもよい。
用語「単離された」は、核酸又はタンパク質に適用されるとき、核酸又はタンパク質に自然状態でそれが関連している他の細胞成分が本質的に含まれないことを意味する。これは好ましくは均一状態にある。これは乾燥又は水溶液のいずれかである。純度及び均一性は、典型的にはポリアクリルアミドゲル電気泳動又は高速液体クロマトグラフィーなどの分析化学技法を用いて決定される。調製物中に存在する優勢種であるタンパク質が、実質的に精製される。詳細には、単離された遺伝子は、その遺伝子に隣接し、且つ目的の遺伝子以外のタンパク質をコードするオープンリーディングフレームと分離されている。用語「精製される」は、核酸又はタンパク質が電気泳動ゲルに本質的に1つのバンドを生じさせることを意味する。特に、これは核酸又はタンパク質が少なくとも85%純度、より好ましくは少なくとも95%純度、及び最も好ましくは少なくとも99%純度であることを意味する。
用語「核酸」又は「ポリヌクレオチド」は、一本鎖形態又は二本鎖形態のいずれかのデオキシリボ核酸(DNA)又はリボ核酸(RNA)及びこれらのポリマーを指す。具体的に限定しない限り、この用語には、参照核酸と同様の結合特性を有し、且つ天然に存在するヌクレオチドと同じように代謝される天然ヌクレオチドの公知の類似体を含む核酸が包含される。特に指示されない限り、特定の核酸配列はまた、明示的に指示される配列のみならず、その保存的に修飾された変異体(例えば、縮重コドン置換)、対立遺伝子、オルソログ、SNP、及び相補配列も黙示的に包含する。具体的には、縮重コドン置換は、1つ以上の選ばれた(又は全ての)コドンの3番目の位置が混合塩基及び/又はデオキシイノシン残基に置換されている配列を作成することにより実現し得る(Batzer et al.,Nucleic Acid Res.19:5081(1991);Ohtsuka et al.,J.Biol.Chem.260:2605−2608(1985);及びRossolini et al.,Mol.Cell.Probes 8:91−98(1994))。
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書では、アミノ酸残基のポリマーを指して同義的に使用される。これらの用語は、1つ以上のアミノ酸残基が、対応する天然に存在するアミノ酸の人工の化学的模倣体であるアミノ酸ポリマー、並びに天然に存在するアミノ酸ポリマー及び天然に存在しないアミノ酸ポリマーに適用される。
「アミノ酸」という用語は、天然、及び合成アミノ酸、並びに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体及びアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸は、遺伝子コードによってコードされるもの、並びに後に修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸、及びO−ホスホセリンである。アミノ酸類似体は、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を有する化合物、即ち、水素、カルボキシル基、アミノ基、及びR基、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムに結合されたα−炭素を指す。このような類似体は、修飾されたR基(例えば、ノルロイシン)又は修飾されたペプチド骨格を有するが、天然アミノ酸と同じ基本化学構造を保持する。アミノ酸模倣体は、アミノ酸の一般的な化学構造と異なる構造を有するが、天然アミノ酸と同様に機能する化合物を指す。
「保存的に修飾された変異体」は、アミノ酸及び核酸配列の両方に適用される。特定の核酸配列に関して、保存的に修飾された変異体は、同一の若しくは本質的に同一のアミノ酸配列をコードする核酸、又は核酸がアミノ酸配列をコードしない場合、本質的に同一の配列を指す。遺伝子コードの縮重のため、多数の機能的に同一の核酸が、任意の所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCA、GCC、GCG及びGCUは全て、アミノ酸アラニンをコードする。従って、アラニンがコドンによって特定される全ての位置で、コドンは、コードされるポリペプチドを変化させずに、記載される対応するコドンのいずれかに変化され得る。このような核酸変化は、「サイレント変異」であり、これは、保存的に修飾された変異の1種である。ポリペプチドをコードする、本明細書における全ての核酸配列はまた、核酸の全ての可能なサイレント変異を説明する。当業者は、核酸中の各コドン(通常はメチオニンのための唯一のコドンであるAUG、及び通常はトリプトファンのための唯一のコドンであるTGGを除く)が、機能的に同一の分子を生じるように修飾され得ることを認識するであろう。従って、ポリペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、それぞれの記載される配列において黙示的なものである。
アミノ酸配列に関して、コード配列における単一のアミノ酸又はごく一部のアミノ酸を変化させ、付加し又は欠失させる核酸、ペプチド、ポリペプチド、又はタンパク質配列に対する個々の置換、欠失又は付加は、その変化が化学的に同様のアミノ酸によるアミノ酸置換をもたらす場合に「保存的に修飾された変異体」であることは、当業者であれば認識するであろう。機能的に類似するアミノ酸を提供する保存的置換表は、当該技術分野において周知である。このような保存的に修飾された変異体は、多型変異体、種間相同体、及び対立遺伝子に対して追加的なものであり、それらを除外しない。以下の8つの群の各々は、互いに保存的置換であるアミノ酸を含有する:1)アラニン(A)、グリシン(G);2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);4)アルギニン(R)、リシン(K);5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);7)セリン(S)、トレオニン(T);及び8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えば、Creighton,Proteins(1984)を参照)。
「配列同一性パーセンテージ」は、2つの最適にアラインメントした配列を比較ウィンドウにわたって比較することにより決定され、ここでポリヌクレオチド配列のうち比較ウィンドウ内にある部分は、2つの配列の最適アラインメントのため、付加又は欠失を含まない参照配列(例えばポリペプチド)と比較したとき付加又は欠失(即ちギャップ)を含み得る。パーセンテージは、両方の配列に同一の核酸塩基又はアミノ酸残基が現れる位置の数を決定してマッチする位置の数を求め、そのマッチする位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除し、その結果に100を乗じて配列同一性パーセンテージを求めることにより計算される。
2つ以上の核酸又はポリペプチド配列の文脈における「同一である」又はパーセント「同一性」という用語は、2つ以上の配列又はサブ配列が同じ配列でこと程度を指す。以下の配列比較アルゴリズムのうちの1つを用いて、又は手作業でのアラインメント及び目視検査によって測定したとき、2つの配列が比較ウィンドウ、又は指示領域にわたって最大限対応するように比較及びアラインメントしたときに同じであるアミノ酸残基又はヌクレオチドを指定のパーセンテージだけ有する(即ち、参照配列の指定の領域にわたって、又は指定されない場合には配列全体にわたって少なくとも85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%又は100%の配列同一性を有する)場合に、2つの配列は「実質的に同一である」。本開示は、本明細書に例示されるそれぞれポリペプチド又はポリヌクレオチド(例えば、表2の配列番号のいずれか1つに例示される可変領域と実質的に同一であるポリペプチド又はポリヌクレオチドを提供する。同一性は、参照配列の少なくとも約15、25又は50ヌクレオチド長の領域にわたって、又はより好ましくは100〜500又は1000ヌクレオチド長又はそれ以上の領域にわたって、又は完全長にわたって存在する。アミノ酸配列に関して、同一性又は実質的な同一性は、参照配列の少なくとも5、10、15又は20アミノ酸長、任意選択で少なくとも約25、30、35、40、50、75又は100アミノ酸長、任意選択で少なくとも約150、200又は250アミノ酸長の領域にわたって、又は完全長にわたって存在し得る。より短いアミノ酸配列、例えば、20アミノ酸以下のアミノ酸配列に関しては、1又は2アミノ酸残基が本明細書に定義される保存的置換に従い保存的に置換されているとき、実質的な同一性が存在する。
配列比較のために、典型的に、1つの配列は、試験配列が比較される参照配列として働く。配列比較アルゴリズムを使用する場合、試験及び参照配列が、コンピュータに入力され、サブ配列が、指定され、必要に応じて、配列アルゴリズムプログラムパラメータが指定される。デフォルトプログラムパラメータが使用され得るか、又は代替パラメータが指定され得る。次に、配列比較アルゴリズムは、プログラムパラメータに基づいて、参照配列と比べた試験配列に対する配列同一性パーセントを計算する。
本明細書において使用される際の「比較ウィンドウ」は、2つの配列が最適に整列された後、配列が、同じ数の連続する位置の参照配列と比較され得る、20〜600、通常、約50〜約200、より通常は、約100〜約150からなる群から選択される連続する位置の数のいずれか1つのセグメントに対する参照を含む。比較のための配列のアラインメントの方法は、当該技術分野において周知である。比較のための配列の最適なアラインメントは、例えば、Smith and Waterman,(1970)Adv.Appl.Math.2:482cの部分相同性アルゴリズムによって、Needleman and Wunsch,(1970)J.Mol.Biol.48:443の相同性アラインメントアルゴリズムによって、Pearson and Lipman,(1988)Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA 85:2444の類似検索法によって、これらのアルゴリズムのコンピュータ化された実装(Wisconsin Genetics Software Package,Genetics Computer Group,575 Science Dr.,Madison,WIにおけるGAP、BESTFIT、FASTA、及びTFASTA)によって、又は手動によるアラインメント及び視覚的検査(例えば、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology(1995補遺)を参照)によって行われ得る。
配列同一性及び配列類似性パーセントを決定するのに好適なアルゴリズムの2つの例は、BLAST及びBLAST 2.0アルゴリズムであり、これらはそれぞれ、Altschul et al(1977)Nuc.Acids Res.25:3389−3402,;及びAltschul et al(1990)J.Mol.Biol.215:403−410,に記載されている。BLAST分析を行うためのソフトウェアは、National Center for Biotechnology Informationによって公表されている。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さのワードと整列される場合、いくつかの正の値の閾値スコア(some positive−valued threshold score)Tと一致するか、又はそれを満たす、クエリー配列中の短いワード長Wを同定することによって、高スコア配列ペア(HSP)をまず同定することを含む。Tは、近隣ワードスコア閾値と呼ばれる(Altschul et al.上掲)。これらの初期近隣ワードヒットは、それらを含有するより長いHSPを発見するための検索を開始させるためのシードとして働く。ワードヒットは、累積アラインメントスコアが増加され得る限り、各配列に沿った両方の方向に伸長される。累積スコアは、ヌクレオチド配列について、パラメータM(一致する残基のペアに関する報酬スコア;常に>0)及びN(不一致の残基に関するペナルティースコア;常に<0)を用いて計算される。アミノ酸配列について、スコアリングマトリックスが、累積スコアを計算するのに使用される。各方向におけるワードヒットの伸長は、以下の場合に停止される:累積アラインメントスコアが、その最大達成値から量Xだけ減少する場合;1つ又は複数の負のスコアの残基アラインメントの累積のため、累積スコアが、ゼロ以下になる場合;又はいずれかの配列の末端に到達する場合。BLASTアルゴリズムパラメータW、T、及びXは、アラインメントの感度及び速度を決定する。BLASTNプログラム(ヌクレオチド配列について)は、デフォルトとして、11のワード長(W)、10の期待値(E)、M=5、N=−4及び両鎖の比較を使用する。アミノ酸配列について、BLASTPプログラムは、デフォルトとして、3のワード長、及び10の期待値(E)、及び50のBLOSUM62スコアリングマトリックス(Henikoff and Henikoff,(1989)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:10915を参照)アラインメントs(B)、10の期待値(E)、M=5、N=−4、及び両鎖の比較を使用する。
BLASTアルゴリズムはまた、2つの配列間の類似性の統計分析を行う(例えば、Karlin and Altschul(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:5873−5787,を参照)。BLASTアルゴリズムによって提供される類似性の1つの尺度は、2つのヌクレオチド又はアミノ酸配列間の一致が偶然生じる確率の指標を提供する最小合計確率(P(N))である。例えば、試験核酸と参照核酸との比較における最小合計確率が、約0.2未満、より好ましくは、約0.01未満、最も好ましくは、約0.001未満である場合、核酸は、参照配列と類似すると考えられる。
2つの核酸配列又はポリペプチドが実質的に同一であることの別の指標は、後述されるように、第1の核酸によってコードされるポリペプチドが、第2の核酸によってコードされるポリペプチドに対して生じた抗体と免疫学的に交差反応することである。従って、例えば、2つのペプチドの保存的置換のみが異なる場合、ポリペプチドは、典型的に、第2のポリペプチドと実質的に同一である。2つの核酸配列が実質的に同一であることの別の指標は、後述されるように、2つの分子又はその補体が、ストリンジェントな条件下で互いにハイブリダイズすることである。2つの核酸配列が実質的に同一であることの更に別の指標は、同じプライマーを用いて、配列を増幅することができることである。
用語「連結」又は「連結された」は、本発明のACEタンパク質内で結合領域がどのようにつながっているかについて記載する文脈で使用されるとき、それらの領域を物理的に結び付ける可能なあらゆる手段を包含する。多数の結合領域が高頻度で共有結合(例えば、ペプチド結合又はジスルフィド結合)又は非共有結合などの化学結合によって結び付けられ、これは直接結合(即ち、2つの結合領域間にリンカーなし)又は間接的結合(即ち、2つ以上の結合領域間に少なくとも1つのリンカー分子の助けを借りる)のいずれかであり得る。
用語「対象」、「患者」、及び「個体」は、同義的に、哺乳類、例えばヒト又は非ヒト霊長類哺乳類を指す。哺乳類はまた、実験動物哺乳類、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスターであることもある。一部の実施形態において、哺乳類は、農業動物哺乳類(例えば、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ラクダ)又は家庭内動物哺乳類(例えば、イヌ、ネコ)であることもある。
本明細書において使用される際、任意の疾患又は障害の「治療する」、「治療すること」、又は「治療」という用語は、一実施形態において、疾患又は障害を改善すること(即ち、疾患又はその臨床症状の少なくとも1つの発生を減速するか又は停止させるか又は軽減すること)を指す。別の実施形態において、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、患者によって認識できないものを含む少なくとも1つの物理的パラメータを軽減又は改善することを指す。更に別の実施形態において、「治療する」、「治療すること」、又は「治療」は、疾患又は障害を、身体的に、(例えば、認識できる症状の安定化)、生理学的に、(例えば、物理的パラメータの安定化)、又はその両方で調節することを指す。更に別の実施形態において、「治療する」、「治療している」、又は「治療」は、疾患又は障害の発生又は発症又は進行を妨げる又は遅らせることを指す。
「治療的に許容できる量」又は「治療的に有効な用量」という用語は、所望の結果(即ち、腫瘍容積の低減)をもたらすのに十分な量を同義的に指す。ある実施形態において、治療的に許容できる量は、望ましくない副作用を誘導しないか、又は引き起こさない。治療的に許容できる量は、最初は低用量を投与し、次に、所望の効果が達成されるまでその用量を徐々に増加することによって決定され得るACEタンパク質の「予防的に有効な投与量」、及び「治療的に有効な投与量」は、癌に関連する症状を含む疾患の症状の、開始を防止するか、又はその重症度の低下及び癌治療をもたらし得る。
「同時投与する」という用語は、個体中の2つ(以上)の活性薬剤の同時の存在を指す。同時投与される活性薬剤は、同時に又は連続的に送達され得る。
本明細書で使用されるとき、語句「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、方法又は組成物に含まれる医薬活性薬剤の属又は種、並びにその方法又は組成物の意図される目的のための任意の不活性担体又は賦形剤を指す。一部の実施形態において、語句「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、ACEタンパク質以外の1つ以上の追加的な活性薬剤の包含を明示的に除外する。一部の実施形態において、語句「〜から本質的になる(consisting essentially of)」は、ACEタンパク質以外の更なる追加的な活性薬剤及び第2の共投与される薬剤の包含を明示的に除外する。
用語「a」、「an」、及び「the」は、文脈上特に明確に指示されない限り複数の指示対象を含む。
図1A〜図1Cは、4ヘリックス束サイトカイントポロジーの概略図である。a)上記出典(Presnell and Cohen,1989)に見られるとおりのA〜Dの番号を付したヘリックスの左巻き配置。b)短鎖及び長鎖サイトカインファミリーについてのヘリックスの二次元接続概略図。c)b)と比べてA/B及びC/Dオーバーハンドループに挿入されたヘリックスを示すインターフェロンファミリー、IL10の二次元接続概略図。 図2A〜図2Dは、種々の4ヘリックス束サイトカインファミリーの構造の多様性の例を示し、ヘリックスには、N末端からC末端に、文字による連続番号を付す。a)短鎖サイトカインIL4、b)長鎖サイトカイン、IL6、c)別のIL単量体と互いにかみ合わせて機能性二量体を生じさせるために利用されるEFヘリックスモチーフの単量体IL10配置を示すIL10ファミリー、c)この場合は単量体6ヘリックス束を形成するIL10ファミリーの別のメンバー、IL22。 図3:図3A〜図3Bは、CD8及びCD4細胞上のIL7 ACEタンパク質の活性を示す。 (上記の通り。) 図4:図4AはCD4 T細胞、CD8 T細胞、B細胞及びNK細胞に対するIL7 ACEタンパク質のpSTAT5活性を比較する。図4BはpSTAT5によって測定したときのCD8 T細胞に対するIL7 ACEタンパク質の濃度増加の効果を示す。図4CはpSTAT5によって測定したときのCD4 T細胞に対するIL7 ACEタンパク質の濃度増加の効果を示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) 図5:図5A〜図5Dは、CD8 T細胞増殖の増加を実証するIL7 ACEタンパク質の薬力学を示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) 図6:図6A〜図6BはIL7 ACEタンパク質が単剤として腫瘍成長を低下させることを実証する。図6Cは血中のCD8 T細胞の増加を示す。図6DはIL7 ACEタンパク質の投与時のCD8腫瘍浸潤リンパ球の増加を示す。図6EはIL7 ACEタンパク質の投与時のCD4腫瘍浸潤リンパ球の増加を示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) IL7 ACEタンパク質と抗PD−L1抗体との相乗的併用のグラフ表示である。 それぞれHCDR2又はHCDR3に挿入されたIL7の構造図である。 様々なIL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質によるRSVへの結合のグラフである。 IL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質が組換えIL7よりも長い半減期を有することを示すGyrosアッセイである。 IL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質を単剤として投与したとき、及びIL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質を抗PD−L1抗体と併用して投与したときの血中でのCD8+細胞の拡大を示すFACSプロット及びグラフである。 IL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質が、単独でも、又は抗PD−L1との併用でも、Tim−3の低下を誘導することを示す。 IL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質の投与時の血中のナイーブ、セントラルメモリー及びエフェクターメモリーCD8+ T細胞の総数の増加を示す。 IL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質の投与がCD8+ PD−1+細胞の増加もまた誘導することを実証する。 IL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質の投与が、単剤として、又は抗PD−L1抗体との併用で、ウイルス負荷を低減可能であったことを示す。 IL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質の投与が、抗PD−L1との併用で、IFN−γの増加を生じさせたことを実証する。 IgG.IL2D49A.H1がTregを優先的に拡大することを示す、抗体サイトカイングラフト化構築物の表である。この図はまた、作り出された幾つものACEタンパク質も示す。6つ全てのCDR及びHCDR1のN末端(nH1)、HCDR1のC末端(cH1)、HCDR2のN末端(nH2)、及びHCDR2のC末端(cH2)に野生型IL2をクローニングした。野生型をLCDR2にグラフト化すると、ACEタンパク質は発現しなかった。 抗体サイトカイングラフト化タンパク質を組換えIL2(Proleukin(登録商標))と比較する表である。STAT5リン酸化によって測定したとき、IgG.IL2D49A.H1分子はTreg細胞上のIL2受容体を刺激するが、Tエフェクター細胞(Teff)又はNK細胞上のIL2受容体は刺激しないことに留意されたい。この分子はまた、Proleukin(登録商標)より長い半減期も有し、インビボで一層のTreg細胞拡大を引き起こす。 種々の免疫調節細胞型のパネルにおける等モル用量の抗体サイトカイングラフト化タンパク質、例えば、IgG.IL2D49A.H1をProleukin(登録商標)と比較したときの変化倍数の表である。 Proleukin(登録商標)と比較したときの、及びSTAT5リン酸化によって測定したときの、抗体サイトカイングラフト化タンパク質によるIL2低親和性又は高親和性受容体の差次的活性化に関する実験データを示す。IgG.IL2D49A.H1が、Treg細胞に発現するがCD4+又はCD8+ Tcon細胞には発現しない高親和性IL2受容体を刺激することに留意されたい。 抗体サイトカイングラフト化タンパク質(例えばIgG.IL2D49A.H1)で拡大したTregがTエフェクター細胞(Teff)よりも良好な抑制因子であるというグラフを示す(上のパネルを参照)。下のパネルは、抗体サイトカイングラフト化タンパク質によって拡大したTreg細胞が、Foxp3タンパク質発現により、及びFoxp3メチル化により安定することを示す。 抗体サイトカイングラフト化タンパク質が、IL2低親和性受容体を発現するNK細胞に効果をほとんど乃至全く及ぼさないことを示す。対照的に、pSTAT5活性化によって測定したときProleukin(登録商標)はNK細胞を刺激する。 カニクイザル(cynomolgous monkey)におけるProleukin(登録商標)と比較した抗体サイトカイングラフト化タンパク質の薬物動態(PK)、薬力学(PD)及び毒性プロファイルを示す。例えば、IgG.IL2D49A.H1はProleukin(登録商標)と比べてはるかに低い好酸球増加毒性プロファイルを有する。 IgG.IL2D49.H1の半減期延長を示すグラフである。 マウスGvHDモデルにおける抗体サイトカイングラフト化タンパク質分子に関するグラフの例示を示す。これは、このモデルにおける抗体サイトカイングラフト化タンパク質による治療がProleukin(登録商標)よりも良好にTregを拡大する一方、CD4+/CD8+ Teff細胞又はNK細胞にはほとんど乃至全く効果を及ぼさないことを示す。 IgG.IL2D49.H1の投与に伴う体重減少がほとんどない一方での、GvHDマウスモデルにおけるProleukin(登録商標)治療に伴う体重減少に関するグラフを示す。 前糖尿病(NOD)マウスモデルにおける抗体サイトカイングラフト化タンパク質とProleukin(登録商標)との比較を示し、このモデルでIgG.IL2D49A.H1が1型糖尿病を予防することを実証する。 前糖尿病NODマウスモデルにおけるTreg対CD8 Tエフェクター細胞比の比較を示す。 1.3mg/kg用量でのNODマウスモデルにおけるIgG.IL2D49A.H1の薬物動態を示す。 0.43mg/kg用量でのNODマウスモデルにおけるIgG.IL2D49A.H1の薬物動態を示す。 前糖尿病NODマウスモデルにおいて使用した用量範囲の表であり、等モル量のProleukin(登録商標)を比較する。 IgG.IL2D49.H1で処理したヒト細胞上のpSTAT5活性化の量を図示する一連のグラフである。細胞は、健常ドナー及び白斑を有するドナーから採取した。 IgG.IL2D49.H1で処理したヒト細胞上のpSTAT5活性化の量を図示する一連のグラフである。細胞は、健常ドナー及び1型糖尿病(T1D)から採取した。 様々なIL2抗体サイトカイングラフト化タンパク質によるRSVへの結合のグラフである。 IgG.IL2D49A.H1の単回投与後のカニクイザルにおけるTreg拡大を示す。 例示的IL2抗体サイトカイングラフト化タンパク質及びCD8 Tエフェクター細胞に対するその活性を要約した表である。 IgG.IL2R67A.H1がProleukin(登録商標)よりも長い半減期を有することを示す。IgG.IL2R67A.H1はグラフに示されるとおり12〜14時間の半減期を有する一方、Proleukin(登録商標)は4時間未満のT1/2を有し、グラフ上に図示することができない。 図38:図38A〜図38Cは、4日目、8日目及び11日目の時点で、C57BL/6マウスにおいて100μg等価用量のIgG.IL2R67A.H1がProleukin(登録商標)又はIL2−Fc融合分子よりも有効に且つ低い毒性でCD8+ Tエフェクター細胞を拡大することを実証する。図38D〜図38Fは、4日目、8日目及び11日目の時点で、C57BL/6マウスにおいて500μg等価用量のIgG.IL2R67A.H1がProleukin(登録商標)又はIL2−Fc融合分子よりも有効に且つ低い毒性でCD8+ Tエフェクター細胞を拡大することを実証する。 (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) 図39:図39AはIgG.IL2R67A.H1がNODマウスにおいてCD8 Tエフェクターを選択的に拡大し、且つProleukin(登録商標)よりも良好に忍容されることを示す。図39BはNODマウスにおけるCD8 Tエフェクターに対するIgG.IL2R67A.H1及びIgG.IL2F71A.H1の活性の増加を示す表である。 (上記の通り。) CT26腫瘍モデルにおけるIgG.IL2R67A.H1の単剤有効性のグラフである。 B16メラノーママウスモデルにおける単剤としての、又は抗体との併用でのいずれかでのIgG.IL2R67A.H1のデータを提示する。このグラフは、抗TRP1抗体であるTA99と併用したIgG.IL2R67A.H1が、TA99単独、IL2−Fc融合分子単独又はTA99+IL2−Fc融合物よりも有効であることを示す。100及び500μg用量のTA99及びIgG.IL2R67A.H1で相乗作用が見られた。 HCDR1及びHCDR2にグラフトしたIgG.IL2R67A.H1をProleukin(登録商標)及び天然IL−2(ムテインなし)と比較するヒト細胞のパネルにおけるpSTAT5をモニタする値のグラフである。 様々なIL2抗体サイトカイングラフト化タンパク質によるRSVへの結合のグラフである。 等モル量の天然ヒトIL−6又はIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質で刺激したヒト全血中におけるIL−6依存性pSTAT1、pSTAT3、pSTAT4、及びpSTAT5シグナル伝達のCyTOF分析の結果を示す。 CD4 T細胞、CD8 T細胞、B細胞、NK細胞、単球、樹状細胞等に対する様々なIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のpSTAT1、pSTAT3、及びpSTAT5活性のCyTOFデータの結果を示す。 図46:図46A〜図46Bは、C57Bl/6 DIOマウスでのIL−6Fc GyrosアッセイにおけるIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質IgG.IL−6.H2及びIgG.IL−6.H3の半減期を示す折れ線グラフを示す。 (上記の通り。) 皮下投与後にホスホ−Stat3(pSTAT3)によって測定したC57Bl/6 DIOマウスの脂肪及び筋組織におけるIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性を示すドットプロットを示す。 図48:図48A〜図48Cは、皮下投与後の体重(A)、脂肪組織(B)及び除脂肪組織(C)の変化によって測定したC57Bl/6 DIOマウスにおけるIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性を示す折れ線グラフを示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) 図49:図49A〜図49Cは、投与前(A)、皮下投与後3〜5日目(B)及び7〜9日目(C)の呼吸交換比(RER)によって測定したC57Bl/6 DIOマウスにおけるIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性を示す折れ線グラフを示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) 図50:図50A〜図50Eは、皮下投与後の体重(A)、摂餌量(B)、全体脂肪量(C)、除脂肪量(D)及び前脛骨筋重量(7E)の変化によって測定したペアフィードC57Bl/6 DIOマウスにおける摂餌量に対するIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性を示すグラフを示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) 図51:図51A〜図51Bは、組換えヒトIL10(rhIL10、灰色の四角)及びIgGIL10M13抗体サイトカイングラフト化タンパク質(黒色の三角)のインビトロ生物学的アッセイの結果を示す。図51Aは、CD8 T細胞アッセイにおけるIFNγ誘導によって測定したとき、IgGIL10M13がrhIL10と比較して炎症誘発活性の低下を実証したことを示す。同様の差次的活性がヒト初代NK細胞、B細胞、及びマスト細胞において、並びにグランザイム−Bをリードアウト測定値として使用して見られた。図51Bは、全血アッセイにおけるTNFαの阻害によって測定したときrhIL10及びIgGIL10M13が同様の抗炎症活性を実証することを示す。 (上記の通り。) 等モル量の組換えヒトIL10 rhIL10(左側のパネル)又はIgGIL10M13(右側のパネル)で刺激したヒト全血におけるIL10依存性pSTAT3シグナル伝達のCyTOF分析の結果を示す。IL10は単球において抗炎症活性を誘導する;及びT、B又はNK細胞の活性化は炎症誘発性サイトカインを誘導する。非刺激と比べた細胞活性の変化倍数の結果をヒートマップ(陰影の変化)によって示す。左側のパネルは、rhIL10が全てのIL10感受性細胞型にわたって刺激を付与すること(囲み線)を示す;しかしながら、右側のパネルに見られるとおり、IgGIL10M13はT、B、及びNK細胞に対して非刺激細胞と同程度か、又はそれをやや上回るレベルの効力の低い刺激を付与する;一方で単球(囲み線を付す)及びmDC細胞の刺激の効力が同程度であることがIgG−IL10及びrhIL10で実証された。これらの関連性のある細胞型(単球、mDC)は、炎症性腸疾患における腸の恒常性(homeostatis)維持の鍵となる細胞である。 図53:図53A〜図53Dは、インビボアッセイにおける抗体サイトカイングラフト化タンパク質IgGIL10M13の向上した特性を示す。図53A〜図53Bは、rhIL10及びIgGIL10M13の薬物動態試験の結果を示す。静脈内投与後、抗体サイトカイングラフト化タンパク質が4.4日後にもなお検出可能である(図53B)のに対し、rhIL10は約1時間の半減期を有した(図53A)とおり、IgGIL10M13は長い薬物動態(半減期)を実証した。図53C及び図53Dは、抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性の薬力学アッセイの結果を示す。図53Cは、投与後72時間のpSTAT3シグナル伝達によって測定したときの結腸組織におけるインビボ活性を示す。図53Dは、IgGIL10M13投与後のLPSチャレンジに応答したTNFαの阻害によって測定したときのrhIL10と比較したIgGIL10M13のインビボ応答の持続期間の向上を示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) (上記の通り。) LPSチャレンジモデルの結果であり、IgGIL10M13がLPSチャレンジ後48時間においてTNFα誘導を低下させることを実証する。 IL10抗体サイトカイングラフト化タンパク質の%CMAXの向上を表すグラフである。 rhIL10又はIgGIL10M13で刺激したときの健常対象及び患者からの様々な免疫細胞におけるpSTAT3活性のCyTOFデータを示す。 IgGIL10M13がrhIL10と比較してPHA刺激ヒト全血において低下した炎症誘発活性を有することを実証するグラフ表現である。 IgGIL10M13がrhIL10と比較してPHA刺激ヒト全血において低下した炎症誘発活性を有することを実証するグラフ表現である。 IgGIL10M13がrhIL10と比較してPHA刺激ヒト全血において低下した炎症誘発活性を有することを実証するグラフ表現である。 IgGIL10M13がrhIL10と比較してPHA刺激ヒト全血において低下した炎症誘発活性を有することを実証するグラフ表現である。 IgGIL10M13がrhIL10と比較してPHA刺激ヒト全血において低下した炎症誘発活性を有することを実証するグラフ表現である。 rhIL10及びIgGIL10M13によるタイトレーション実験のグラフを示す。 抗体サイトカイングラフト化タンパク質の凝集特性と比較した、Fcにリンカーを介してコンジュゲートしたときのIL10野生型又は単量体の凝集特性を示す。 抗体サイトカイングラフト化タンパク質の凝集特性と比較した、Fcにリンカーを介してコンジュゲートしたときのIL10野生型又は単量体の凝集特性を示す。 IL10抗体サイトカイングラフト化タンパク質がなおもRSVに結合することを示すELISAデータである。 IL10抗体サイトカイングラフト化タンパク質の作用機構の表現である。左側のパネルは、正常なrhIL10二量体がどのようにIL−10R1に結合し、強力なpSTAT3シグナル伝達を惹起するかを示す。右側のパネルは、抗体のCDRにグラフト化されたIL10単量体がどのようにIL−10R1に対して低効率の結合となるように制約され、ひいては弱いpSTAT3シグナルを生じるかを示す。 図67A〜図67Cは、パリビズマブのLCDR1にグラフト化されたIL10単量体の結晶構造分解である。 異なる抗体足場にグラフト化されたIL10 ACEタンパク質のIC50値を示すグラフ及び表である。 異なる抗体足場にグラフト化されたIL10 ACEタンパク質のIC50値を示すグラフ及び表であり、ここでIL10サイトカインは異なるCDRにグラフト化される。 図70:図70Aは異なる抗体足場にグラフト化したIL2 ACEタンパク質による治療後のマウスモデルにおけるCD8+ Tエフェクター細胞の拡大を示す。図70Bは異なる抗体足場にグラフト化したIL2 ACEタンパク質による治療後のマウスモデルにおけるCD4+ Treg細胞の拡大を示す。図70Cは異なる抗体足場にグラフト化したIL2 ACEタンパク質による治療後のマウスモデルにおけるNK細胞の拡大を示す。 (上記の通り。) (上記の通り。) そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 そのそれぞれのACEタンパク質についてのpSTAT活性を示すCyTOFデータである。 H1、H3及びL3 Flt3Lグラフトが組換えヒトFlt3Lで観察されるものと同等のB220+ CD11c+形質細胞DC分化(上のパネル)及びCD370+ DC1分化(下のパネル)の誘導能を有することを示す。上のプロットは生存シングレット細胞でゲーティングしている。下のプロットは、CD11c+である生存シングレット細胞でゲーティングしている。 GM−CSFサイトカイングラフトが、細胞上のDC−SIGNの上方制御及びCD14の下方制御からも明らかなとおり、単球DC分化の誘導能を有することを示す。イベントは、パリビズマブグラフト対照がこれらの細胞変化を誘導しなかったとおり、GM−CSF又はGM−CSF含有グラフトと培養した細胞に特異的であった。 GM−CSFグラフトで生成された単球DCがTLR7/8活性化に対する応答能を有することを示す。十分に特徴付けられたTLR7/8アゴニストであるR848と細胞を一晩インキュベートし、細胞活性化のマーカーとして細胞表面CD86上方制御を測定した。野生型ヒトGM−CSF又はGM−CSFグラフトで生成された単球DCも等しくR848シミュレーション後にCD86の上方制御能を有したことから、GM−CSFグラフトで生成された単球DCが機能性であることが指摘される。
ACEタンパク質
本明細書に開示される実施形態は、(a)相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む重鎖可変領域(VH);及び(b)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);及び(c)VH又はVLのCDRにグラフト化されたサイトカイン分子を含むACEタンパク質を提供する。
一部の実施形態において、サイトカイン分子はCDRに直接グラフト化される。一部の実施形態において、サイトカイン分子はペプチドリンカーなしにCDRに直接グラフト化され、CDR配列とサイトカイン配列との間に追加的なアミノ酸はない。
一部の実施形態において、CDRにグラフト化されるサイトカイン分子は4ヘリックス束サイトカインファミリーに属する。例えば、サイトカイン分子は、表1に挙げられるものから選択されてもよい。一部の実施形態において、サイトカイン分子はインターロイキン−10(IL−10)ではない。一部の実施形態において、完全長サイトカイン分子がCDRにグラフト化される。一部の実施形態において、シグナルペプチドのないサイトカイン分子がCDRにグラフト化される。
理論によって拘束されるものではないが、サイトカイン分子を抗体足場のCDR配列に直接グラフト化することにより、サイトカインの天然コンホメーションがCDR配列又は抗体足場の他の部分によって修飾されることも、又は修飾されないこともあり、その結果、グラフト化サイトカイン分子の特性に変化が起こり得ることが企図される。例えば、サイトカイン分子がグラフト化されるCDR配列の長さに応じて、1つ又は複数の受容体へのその結合、並びに1つ又は複数の受容体を介したそのシグナル伝達が負又は正の影響を受け得る。
従って、一部の実施形態において、受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の結合親和性は遊離サイトカイン分子と比較して増加する。例えば、受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の結合親和性は遊離サイトカイン分子と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、100倍、1,000倍、又はそれ以上増加する。
一部の実施形態において、受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の結合親和性は遊離サイトカイン分子と比較して低下する。例えば、受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の結合親和性は遊離サイトカイン分子と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%低下する。
一部の実施形態において、受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の結合アビディティは遊離サイトカイン分子と比較して増加する。例えば、受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の結合アビディティは遊離サイトカイン分子と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、100倍、1,000倍、又はそれ以上増加する。
一部の実施形態において、受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の結合アビディティは遊離サイトカイン分子と比較して低下する。例えば、受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の結合アビディティは遊離サイトカイン分子と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%低下する。
一部の実施形態において、2つ以上の受容体に対するACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の差次的結合親和性又はアビディティは遊離サイトカイン分子と比較して変化する。
一部の実施形態において、ACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の活性は遊離サイトカイン分子と比較して増加する。例えば、ACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の活性、例えば、細胞増殖活性、抗細胞増殖活性、アポトーシス活性、炎症誘発活性、抗炎症活性等は、遊離サイトカイン分子と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍、5倍、10倍、100倍、1,000倍、又はそれ以上増加する。
一部の実施形態において、ACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の活性は遊離サイトカイン分子と比較して低下する。例えば、ACEタンパク質のグラフト化サイトカイン分子の活性、例えば、細胞増殖活性、抗細胞増殖活性、アポトーシス活性、炎症誘発活性、抗炎症活性等は、遊離サイトカイン分子と比較して10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、100%低下する。
一部の実施形態において、グラフト化される抗体サイトカインは、遊離サイトカイン分子よりも優れた抗炎症特性を付与する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、遊離サイトカイン分子と比較したときTreg細胞に対する活性の増加を付与する一方で、比例した炎症誘発活性の低下を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、Teff細胞、Tcon細胞、及び/又はNK細胞と比べたTreg細胞の優先的活性化を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、Teff細胞、Tcon細胞、及び/又はNK細胞と比べたTreg細胞の優先的拡大を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、CD8 Tエフェクター細胞又はNK細胞の拡大なしにTreg細胞の拡大増加を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10である、およそそれである、それより大きいTreg細胞:NK細胞拡大比を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10である、およそそれである、それより大きいTreg細胞:CD8 Tエフェクター細胞拡大比を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10である、およそそれである、それより大きいTreg細胞:CD4 Tcon細胞拡大比を提供する。
一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、遊離サイトカイン分子と比較してCD4 Tcon細胞において低下するIL−2Rシグナル伝達効力を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、遊離サイトカイン分子と比較してCD8 Teff細胞において低下した受容体シグナル伝達効力を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、遊離サイトカイン分子と比較してNK細胞において低下した受容体シグナル伝達効力を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、遊離サイトカイン分子の約1,000倍、約2,000倍、約3,000倍、約4,000倍、約5,000倍、約6,000倍、約7,000倍、約8,000倍、約9,000倍、約10,000倍、又はそれ以上高いCD4 Tエフェクター細胞と比べたTreg細胞の特異的活性化を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、遊離サイトカイン分子の約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1,000倍、又はそれ以上高いCD8 Tエフェクター細胞と比べたTreg細胞の特異的活性化を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、遊離サイトカイン分子の約100倍、約200倍、約300倍、約400倍、約500倍、約600倍、約700倍、約800倍、約900倍、約1,000倍、又はそれ以上高いCD8 Tエフェクター/記憶細胞と比べたTreg細胞の特異的活性化を提供する。
一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、遊離サイトカイン分子と比較して、毒性の低下を提供する。一部の実施形態において、本明細書に開示される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、4時間超、6時間超、8時間超、12時間超、24時間超、48時間超、3日超、4日超、7日超、14日超、又はそれ以上など、半減期の増加を提供する。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、サイトカイン分子の結合特異性と異なる標的に対する免疫グロブリン可変ドメインの結合特異性を有する重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。一部の実施形態において、免疫グロブリン可変ドメインのその標的に対する結合特異性は、グラフト化サイトカインの存在下で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%保持される。特定の実施形態において、保持される結合特異性は非ヒト標的に対するものである。特定の実施形態において、保持される結合特異性はウイルス、例えばRSVに対するものである。他の実施形態において、結合特異性は、サイトカイン分子と併せて治療的有用性を有するヒト標的に対するものである。特定の実施形態において、免疫グロブリンの結合特異性のターゲティングにより、サイトカインに追加的な治療利益が付与される。特定の実施形態において、免疫グロブリンのその標的に対する結合特異性により、サイトカインとの相乗活性が付与される。
なおも他の実施形態において、免疫グロブリンのその標的に対する結合特異性は、サイトカイン分子のグラフト化によって10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%低下する。
IL7Raを標的とするACEタンパク質
本明細書には、抗体の相補性決定領域(CDR)にグラフト化されたIL7分子を含むACEタンパク質が提供される。本開示のACEタンパク質はヒト患者における使用に好適な特性を示し、例えば、天然又は組換えヒトIL7と同様の免疫刺激活性を保持している。他の活性及び特徴もまた、本明細書全体を通じて実証される。従って、これまでに公知のIL7及び修飾IL7治療剤と比べて向上した治療プロファイルを有するACEタンパク質、及び提供されるACEタンパク質の癌治療における使用方法が提供される。
従って、本開示は、選択的活性プロファイルを備えた、IL7RaのアゴニストであるACEタンパク質を提供する。提供されるACEタンパク質は免疫グロブリン重鎖配列と免疫グロブリン軽鎖配列とを含む。各免疫グロブリン重鎖配列は重鎖可変領域(VH)と重鎖定常領域(CH)とを含み、ここで重鎖定常領域は、CH1、CH2、及びCH3定常領域からなる。各免疫グロブリン軽鎖配列は軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域(CL)とを含む。各ACEタンパク質において、IL7分子はVH又はVLの相補性決定領域(CDR)に取り込まれる。
一部の実施形態において、ACEタンパク質は、重鎖CDRに取り込まれたIL7分子を含む。特定の実施形態において、IL7は重鎖相補性決定領域1(HCDR1)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL7は重鎖相補性決定領域2(HCDR2)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL7は重鎖相補性決定領域3(HCDR3)に取り込まれる。
一部の実施形態において、ACEタンパク質は、軽鎖CDRに取り込まれたIL7を含む。特定の実施形態において、IL7は軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL7は軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL7は軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)に取り込まれる。
一部の実施形態において、ACEは、CDRに取り込まれたIL7配列を含み、これによりIL7配列はCDR配列に挿入される。挿入は、CDRのN末端領域若しくはその近傍、CDRの中央領域又はCDRのC末端領域若しくはその近傍であってもよい。他の実施形態において、ACEは、CDRに取り込まれたIL7を含み、これによりIL7配列がCDR配列をフレームシフトさせることはない。
一部の実施形態において、IL7はペプチドリンカーなしにCDRに直接グラフト化され、CDR配列とIL7配列との間に追加的なアミノ酸はない。
一部の実施形態においてACEタンパク質はIgGクラス抗体重鎖の免疫グロブリン重鎖を含む。特定の実施形態において、IgG重鎖は、IgG1、IgG2又はIgG4サブクラスのいずれか1つである。
IL2高親和性受容体を標的とするACEタンパク質
本明細書には、抗体の相補性決定領域(CDR)にグラフト化されたIL2を含むタンパク質構築物が提供される。抗体サイトカイングラフト化タンパク質はヒト患者における使用に好適な特性を示し、例えば、天然又は組換えヒトIL2と同様のTreg細胞に対する免疫刺激活性を保持している。しかしながら、負の効果、例えばNK細胞の刺激は減少している。他の活性及び特徴もまた、本明細書全体を通じて実証される。従って、これまでに公知のIL2及び修飾IL2治療剤と比べて向上した治療プロファイルを有する抗体サイトカイングラフト化タンパク質、及び提供される抗体サイトカイングラフト化タンパク質の療法における使用方法が提供される。
従って、本開示は、選択的活性プロファイルを備えた、IL2高親和性受容体のアゴニストである抗体サイトカイングラフト化タンパク質を提供する。免疫グロブリン重鎖配列と免疫グロブリン軽鎖配列とを含む提供される抗体サイトカイングラフト化タンパク質。各免疫グロブリン重鎖配列は重鎖可変領域(VH)と重鎖定常領域(CH)とを含み、ここで重鎖定常領域は、CH1、CH2、及びCH3定常領域からなる。各免疫グロブリン軽鎖配列は軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域(CL)とを含む。各抗体サイトカイングラフト化タンパク質においてIL2分子は抗体のVH又はVLの相補性決定領域(CDR)に取り込まれる。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、重鎖CDRに取り込まれたIL2を含む。特定の実施形態において、IL2は重鎖相補性決定領域1(HCDR1)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL2は重鎖相補性決定領域2(HCDR2)に取り込まれる。特定の実施形態において単量体IL2は重鎖相補性決定領域3(HCDR3)に取り込まれる。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、軽鎖CDRに取り込まれたIL2を含む。特定の実施形態において、IL2は軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL2は軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL2は軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)に取り込まれる。
一部の実施形態において、グラフト化される抗体サイトカインは、CDRに取り込まれたIL2配列を含み、これによりIL2配列はCDR配列に挿入される。挿入は、CDRの始端若しくはその近傍、CDRの中央領域又はCDRの終端若しくはその近傍であってもよい。他の実施形態において、グラフト化された抗体サイトカインは、CDRに取り込まれたIL2を含み、これによりIL2配列がCDR配列の全て又は一部を置き換える。置き換えは、CDRの始端又はその近傍、CDRの中央領域又はCDRの終端又はその近傍であってもよい。置き換えはCDR配列のうち僅か1又は2アミノ酸ほどであってもよく、又はCDR配列全体もの多さであってもよい。
一部の実施形態において、IL2はペプチドリンカーなしにCDRに直接取り込まれ、CDR配列とIL2配列との間に追加的なアミノ酸はない。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質はIgGクラス抗体重鎖の免疫グロブリン重鎖を含む。特定の実施形態において、IgG重鎖は、IgG1、IgG2又はIgG4サブクラスのいずれか1つである。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、公知の臨床的に利用されている免疫グロブリン配列から選択される重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。特定の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、ヒト化配列である重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。他の特定の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、ヒト配列である重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、生殖細胞系列免疫グロブリン配列から選択される重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、IL2分子の結合特異性と異なる標的に対する免疫グロブリン可変ドメインの結合特異性を有する重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。一部の実施形態において、免疫グロブリン可変ドメインのその標的に対する結合特異性は、グラフト化の存在下で保持される。特定の実施形態において、保持される結合特異性は非ヒト標的に対するものである。他の実施形態において、結合特異性は、IL2療法と併せて治療的有用性を有するヒト標的に対するものである。特定の実施形態において、免疫グロブリンの結合特異性のターゲティングにより、IL2成分に追加的な治療利益が付与される。特定の実施形態において、免疫グロブリンのその標的に対する結合特異性により、IL2との相乗活性が付与される。
なおも他の実施形態において、免疫グロブリンのその標的に対する結合特異性はIL2分子のグラフト化によって低下する。
IL2低親和性受容体を標的とするACEタンパク質
本明細書には、抗体の相補性決定領域(CDR)にグラフト化されたIL2分子を含む抗体サイトカイングラフト化タンパク質が提供される。本開示の抗体サイトカイングラフト化タンパク質はヒト患者における使用に好適な特性を示し、例えば、天然又は組換えヒトIL2と同様の免疫刺激活性を保持している。しかしながら、負の効果は減少している。例えば、Treg細胞の刺激が低く、及びCD8 Tエフェクター細胞の応答が向上する。他の活性及び特徴もまた、本明細書全体を通じて実証される。従って、これまでに公知のIL2及び修飾IL2治療剤と比べて向上した治療プロファイルを有する抗体サイトカイングラフト化タンパク質、及び提供される抗体サイトカイングラフト化タンパク質の癌治療における使用方法が提供される。
従って、本開示は、選択的活性プロファイルを備えた、IL2低親和性受容体のアゴニストである抗体サイトカイングラフト化タンパク質を提供する。提供される抗体サイトカイングラフト化タンパク質は免疫グロブリン重鎖配列と免疫グロブリン軽鎖配列とを含む。各免疫グロブリン重鎖配列は重鎖可変領域(VH)と重鎖定常領域(CH)とを含み、ここで重鎖定常領域は、CH1、CH2、及びCH3定常領域からなる。各免疫グロブリン軽鎖配列は軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域(CL)とを含む。各抗体サイトカイングラフト化タンパク質においてIL2分子はVH又はVLの相補性決定領域(CDR)に取り込まれる。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、重鎖CDRに取り込まれたIL2分子を含む。特定の実施形態において、IL2は重鎖相補性決定領域1(HCDR1)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL2は重鎖相補性決定領域2(HCDR2)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL2は重鎖相補性決定領域3(HCDR3)に取り込まれる。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、軽鎖CDRに取り込まれたIL2を含む。特定の実施形態において、IL2は軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL2は軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL2は軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)に取り込まれる。
一部の実施形態において、グラフト化される抗体サイトカインは、CDRに取り込まれたIL2配列を含み、これによりIL2配列がCDR配列に挿入される。挿入は、CDRのN末端領域若しくはその近傍、CDRの中央領域又はCDRのC末端領域若しくはその近傍であってもよい。他の実施形態において、グラフト化された抗体サイトカインは、CDRに取り込まれたIL2を含み、これによりIL2配列がCDR配列をフレームシフトさせることはない。
一部の実施形態において、IL2はペプチドリンカーなしにCDRに直接グラフト化され、CDR配列とIL2配列との間に追加的なアミノ酸はない。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質はIgGクラス抗体重鎖の免疫グロブリン重鎖を含む。特定の実施形態において、IgG重鎖は、IgG1、IgG2又はIgG4サブクラスのいずれか1つである。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、公知の臨床的に利用されている免疫グロブリン配列から選択される重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。特定の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、ヒト化配列である重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。他の特定の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、ヒト配列である重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、生殖細胞系列免疫グロブリン配列から選択される重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、IL2分子の結合特異性と異なる標的に対する免疫グロブリン可変ドメインの結合特異性を有する重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。一部の実施形態において、免疫グロブリン可変ドメインのその標的に対する結合特異性は、グラフト化の存在下で保持される。特定の実施形態において、保持される結合特異性は非ヒト標的に対するものである。他の実施形態において、結合特異性は、IL2療法と併せて治療的有用性を有するヒト標的に対するものである。特定の実施形態において、免疫グロブリンの結合特異性のターゲティングにより、IL2成分に追加的な治療利益が付与される。特定の実施形態において、免疫グロブリンのその標的に対する結合特異性により、IL2との相乗活性が付与される。
なおも他の実施形態において、免疫グロブリンの結合特異性はIL2分子のグラフト化によって低下する。
IL6受容体を標的とするACEタンパク質
本明細書には、抗体の相補性決定領域(CDR)にグラフト化されたIL6分子を含むACEタンパク質が提供される。本開示のACEタンパク質はヒト患者における使用に好適な特性を示し、例えば、天然又は組換えヒトIL6と同様の活性を保持している。他の活性及び特徴もまた、本明細書全体を通じて実証される。従って、これまでに公知のIL6及び修飾IL6治療剤と比べて向上した治療プロファイルを有するACEタンパク質、及び提供されるACEタンパク質の癌治療における使用方法が提供される。
従って、本開示は、選択的活性プロファイルを備えた、IL6受容体のアゴニストであるACEタンパク質を提供する。提供されるACEタンパク質は免疫グロブリン重鎖配列と免疫グロブリン軽鎖配列とを含む。各免疫グロブリン重鎖配列は重鎖可変領域(VH)と重鎖定常領域(CH)とを含み、ここで重鎖定常領域は、CH1、CH2、及びCH3定常領域からなる。各免疫グロブリン軽鎖配列は軽鎖可変領域(VL)と軽鎖定常領域(CL)とを含む。各ACEタンパク質においてIL6分子はVH又はVLの相補性決定領域(CDR)に取り込まれる。
一部の実施形態において、ACEタンパク質は、重鎖CDRに取り込まれたIL6分子を含む。特定の実施形態において、IL6は重鎖相補性決定領域1(HCDR1)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL6は重鎖相補性決定領域2(HCDR2)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL6は重鎖相補性決定領域3(HCDR3)に取り込まれる。
一部の実施形態において、ACEタンパク質は、軽鎖CDRに取り込まれたIL6を含む。特定の実施形態において、IL6は軽鎖相補性決定領域1(LCDR1)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL6は軽鎖相補性決定領域2(LCDR2)に取り込まれる。特定の実施形態において、IL6は軽鎖相補性決定領域3(LCDR3)に取り込まれる。
一部の実施形態において、ACEは、CDRに取り込まれたIL6配列を含み、これによりIL6配列がCDR配列に挿入される。挿入は、CDRのN末端領域若しくはその近傍、CDRの中央領域又はCDRのC末端領域若しくはその近傍であってもよい。他の実施形態において、ACEは、CDRに取り込まれたIL6を含み、これによりIL6配列がCDR配列をフレームシフトさせることはない。
一部の実施形態において、IL6はペプチドリンカーなしにCDRに直接グラフト化され、CDR配列とIL6配列との間に追加的なアミノ酸はない。
一部の実施形態においてACEタンパク質はIgGクラス抗体重鎖の免疫グロブリン重鎖を含む。特定の実施形態において、IgG重鎖は、IgG1、IgG2又はIgG4サブクラスのいずれか1つである。
一部の実施形態においてACEタンパク質は、公知の臨床的に利用されている免疫グロブリン配列から選択される重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。特定の実施形態においてACEタンパク質は、ヒト化配列である重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。他の特定の実施形態においてACEタンパク質は、ヒト配列である重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。
一部の実施形態においてACEタンパク質は、生殖細胞系列免疫グロブリン配列から選択される重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。
一部の実施形態においてACEタンパク質は、サイトカイン分子の結合特異性と異なる標的に対する免疫グロブリン可変ドメインの結合特異性を有する重鎖及び軽鎖免疫グロブリン配列を含む。一部の実施形態において、免疫グロブリン可変ドメインのその標的に対する結合特異性は、グラフト化サイトカインの存在下で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%保持される。特定の実施形態において、保持される結合特異性は非ヒト標的に対するものである。他の実施形態において、結合特異性は、療法と併せて治療的有用性を有するヒト標的に対するものである。特定の実施形態において、免疫グロブリンの結合特異性のターゲティングにより、サイトカイン成分に追加的な治療利益が付与される。特定の実施形態において、免疫グロブリンのその標的に対する結合特異性により、サイトカインとの相乗活性が付与される。
なおも他の実施形態において、免疫グロブリンの結合特異性はサイトカイン分子のグラフト化によって10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%低下する。
一部の実施形態において、ACEタンパク質は、修飾されたエフェクター機能を付与する修飾Fcを有する修飾免疫グロブリンIgGを含む。特定の実施形態において修飾Fc領域は、D265A、P329A、P329G、N297A、L234A、及びL235Aの1つ以上から選択される突然変異を含む。詳細な実施形態において免疫グロブリン重鎖は、D265A、P329A、P329G、N297A、D265A/P329A、D265A/N297A、L234/L235A、P329A/L234A/L235A、及びP329G/L234A/L235Aのいずれかから選択されるエフェクター機能の低下を付与する突然変異又は突然変異の組み合わせを含み得る。一部の実施形態において、Fc突然変異はD265A/P329Aである。
一部の実施形態において、ACEタンパク質は、(i)表2に記載の重鎖可変領域と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する重鎖可変領域及び(ii)表2に記載の軽鎖可変領域と少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%のアミノ酸配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む。免疫グロブリン鎖は、IgG1、IgG2、又はIgG4から選択されるIgGクラスである。特定の実施形態において免疫グロブリンは、任意選択で、D265A、P329A、P329G、N297A、D265A/P329A、D265A/N297A、L234/L235A、P329A/L234A/L235A、及びP329G/L234A/L235Aのいずれかから選択されるエフェクター機能の低下を付与する突然変異又は突然変異の組み合わせを含む。一部の実施形態において、Fc突然変異はD265A/P329Aである。
操作及び/又は修飾されたACEタンパク質
特定の態様において、ACEタンパク質は、サイトカイン配列を免疫グロブリン足場のCDR領域に操作することにより作成される。重鎖及び軽鎖の両方の免疫グロブリン鎖が作製されて、最終的な抗体グラフト化タンパク質が生じる。ACEタンパク質は、天然又は組換えヒトサイトカイン又はFc融合サイトカインと比較して、T細胞、及びACEタンパク質に好ましい治療活性を付与する。
ACEタンパク質を操作するため、サイトカイン配列が免疫グロブリン鎖足場タンパク質のCDRループに挿入される。グラフト化ACEタンパク質は、臨床セッティングで利用されている種々の公知の免疫グロブリン配列、現在創薬及び/又は臨床開発中の公知の免疫グロブリン配列、ヒト生殖細胞系列抗体配列、並びに新規抗体免疫グロブリン鎖の配列のいずれを使用して調製してもよい。構築物は、関連性のある配列をコードする組換えDNAを利用した標準的な分子生物学的方法を用いて作製される。GFTX3b、及びGFTXと称される例示的足場におけるサイトカインの配列を表2に示す。挿入点は、利用可能な構造又は相同性モデルデータに基づきループの中間点となるように選択されたが、しかしながら挿入点はCDRループのいずれかの末端の方に調整することができる。一部の実施形態において、グラフト化構築物は、いかなる抗原に対しても結合特異性を有しない免疫グロブリン足場を使用して調製することができる。一部の実施形態において、グラフト化構築物は、ヒト抗原に対して結合特異性を有しない免疫グロブリン足場を使用して調製することができる。一部の実施形態において、グラフト化構築物は、腫瘍抗原など、ヒト抗原に対して結合特異性を有する免疫グロブリン足場(scoffold)を使用して調製することができる。
従って本開示は、グラフト化タンパク質が作成されるように異種抗体タンパク質又はポリペプチドに組み換えで挿入されたサイトカインタンパク質を含むサイトカイン受容体に特異的に結合する抗体又はその断片を提供する。詳細には、本開示は、本明細書に記載される抗体又は抗体の抗原結合断片又は任意の他の関連性のある足場抗体ポリペプチド(例えば、完全抗体免疫グロブリンタンパク質、Fab断片、Fc断片、Fv断片、F(ab)2断片、VHドメイン、VH CDR、VLドメイン、VL CDR等)と、異種サイトカインタンパク質、ポリペプチド、又はペプチドとを含む抗体サイトカイングラフト化タンパク質を提供する。タンパク質、ポリペプチド、又はペプチドを抗体又は抗体断片と融合又はコンジュゲートする方法は当該技術分野において公知である。例えば、米国特許第5,336,603号明細書、同第5,622,929号明細書、同第5,359,046号明細書、同第5,349,053号明細書、同第5,447,851号明細書、及び同第5,112,946号明細書;欧州特許第307,434号明細書及び同第367,166号明細書;国際公開第96/04388号パンフレット及び同第91/06570号パンフレット;Ashkenazi et al.,1991,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88:10535−10539;Zheng et al.,1995,J.Immunol.154:5590−5600;及びVil et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89:11337−11341を参照のこと。加えて、ACEタンパク質は、遺伝子シャッフリング、モチーフシャッフリング、エクソンシャッフリング、及び/又はコドンシャッフリング(まとめて「DNAシャフリング」と称される)の技法によって作成することができる。DNAシャフリングは、グラフト化タンパク質構築物を調製するため、及び/又は抗体又はその断片の活性を変化させる(例えば、より高い親和性及びより低い解離速度を有する抗体又はその断片)ために用いることができる。概して、米国特許第5,605,793号明細書、同第5,811,238号明細書、同第5,830,721号明細書、同第5,834,252号明細書、及び同第5,837,458号明細書;Patten et al.,1997,Curr.Opinion Biotechnol.8:724−33;Harayama,1998,Trends Biotechnol.16(2):76−82;Hansson,et al.,1999,J.Mol.Biol.287:265−76;及びLorenzo and Blasco,1998,Biotechniques 24(2):308−313を参照のこと。抗体若しくはその断片、又はコードされる抗体若しくはその断片は、組換え前にエラープローンPCR、ランダムヌクレオチド挿入又は他の方法によるランダム突然変異誘発に供することにより変化させることができる。目的の抗原タンパク質に特異的に結合する抗体又はその断片をコードするポリヌクレオチドが、本明細書に提供されるとおりのACEタンパク質の調製のため、1つ以上の異種サイトカイン分子、1つ以上の成分、モチーフ、セクション、パート、ドメイン、断片等で組み換えられてもよい。
抗体Fabは、サイトカインタンパク質の潜在的な挿入部位として働き得る6つのCDRループ、軽鎖に3つ(CDRL1、CDRL2、CDRL3)及び重鎖に3つ(CDRH1、CDRH2、CDRH3)を含む。どの1つ又は複数のCDRループにサイトカインを挿入すべきかの決定には、構造的及び機能的考慮点が勘案される。CDRループのサイズ及びコンホメーションは異なる抗体間で大きく変わるため、挿入に最適なCDRは、各詳細な抗体/タンパク質の組み合わせについて実験的に決定されてもよい。加えて、サイトカインタンパク質はCDRループに挿入されることになるため、これがサイトカインタンパク質の構造に更なる制約を課し得る。
免疫グロブリン鎖のCDRは、本明細書に記載されるものを含め、当該技術分野において公知の周知の付番方式によって決定される。例えば、CDRは、(1)Kabat et al.(1991),“Sequences of Proteins of Immunological Interest,”5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(「Kabat」付番スキーム),NIH publication No.91−3242;及び(2)Chothiaに記載される付番方式を用いることにより識別及び定義されており、Al−Lazikani et al.,(1997)“Standard conformations for the canonical structures of immunoglobulins,”J.Mol.Biol.273:927−948を参照のこと。20アミノ酸長未満の識別されるCDRアミノ酸配列については、所望の特異的結合及び/又はアゴニスト活性をなお保持しながら、1又は2つの保存的アミノ酸残基置換が許容され得る。
ACEタンパク質は更に、出発抗体グラフト化タンパク質から特性が変化していてもよい修飾ACEタンパク質を操作するための出発材料として、本明細書(例えば表2)に示されるCDR及び/又はVH及び/又はVL配列のうちの1つ以上を有する抗体を使用して調製することができる。或いは、修飾ACEタンパク質を操作するための足場として任意の公知の抗体配列を利用してもよい。例えば、任意の公知の臨床で利用されている抗体を抗体グラフト化タンパク質の調製用の出発材料足場として利用してもよい。公知の抗体及び対応する免疫グロブリン配列としては、例えば、パリビズマブ、アリロクマブ、メポリズマブ、ネシツムマブ、ニボルマブ、ジヌツキシマブ、セクキヌマブ、エボロクマブ、ブリナツモマブ、ペンブロリズマブ、ラムシルマブ、ベドリズマブ、シルツキシマブ、オビヌツズマブ、トラスツズマブ、ラキシバクマブ、ペルツズマブ、ベリムマブ、イピリムマブ、デノスマブ、トシリズマブ、オファツムマブ、カナキヌマブ、ゴリムマブ、ウステキヌマブ、セルトリズマブ、カツマキソマブ、エクリズマブ、ラニビズマブ、パニツムマブ、ナタリズマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、エファリズマブ、オマリズマブ、トシツモマブ、イブリツモマブチウキセタン、アダリムマブ、アレムツズマブ、ゲムツズマブ、インフリキシマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、リツキシマブ、アブシキシマブ、ムロモナブ、又はこれらの修飾体が挙げられる。公知の抗体及び免疫グロブリン配列としてはまた、生殖細胞系列抗体配列も挙げられる。フレームワーク配列は、生殖細胞系列抗体遺伝子配列を含む公的なDNAデータベース又は既発表の参考文献から入手することができる。例えば、ヒト重鎖及び軽鎖可変領域遺伝子の生殖細胞系列DNA配列については、「VBase」ヒト生殖系列配列データベース並びにKabat,E.A.,et al.,1991 Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,U.S.Department of Health and Human Services,NIH Publication No.91−3242;Tomlinson,I.M.,et al.,1992 J.fol.Biol.227:776−798;及びCox,J.P.L.et al.,1994 Eur.J Immunol.24:827−836を参照することができる。なおも他の例では、初期創薬及び/又は薬剤開発中であり得る他の公知の実体からの抗体及び対応する免疫グロブリン配列が、同様に修飾ACEタンパク質を操作するための出発材料として適合し得る。
結果として生じるポリペプチドがサイトカインの取り込みに適応した少なくとも1つの結合領域を含む限り、多種多様な抗体/免疫グロブリンフレームワーク又は足場を用いることができる。かかるフレームワーク又は足場は、ヒト免疫グロブリン、又はその断片の5つの主要なイディオタイプを含み、他の動物種の、好ましくはヒト化及び/又はヒトの側面を有する免疫グロブリンを含む。新規抗体、フレームワーク、足場及び断片が当業者により継続的に発見及び開発される。
抗体は、当該技術分野において公知の方法を用いて作成することができる。モノクローナル抗体の調製には、当該技術分野において公知の任意の技法を用いることができる(例えば、Kohler & Milstein,Nature 256:495−497(1975);Kozbor et al.,Immunology Today 4:72(1983);Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,pp.77−96.Alan R.Liss,Inc.1985を参照のこと)。単鎖抗体の作製技法(米国特許第4,946,778号明細書)は、ACEタンパク質に使用するための抗体の作製に適合させることができる。また、トランスジェニックマウス、又は他の哺乳類などの他の生物を使用して霊長類化若しくはヒト化抗体又はヒト抗体を発現させ、同定してもよい。或いは、ファージディスプレイ技術を用いて、ACEタンパク質に使用するための選択の抗原に特異的に結合する抗体及びヘテロマーFab断片を同定することができる(例えば、McCafferty et al.、前掲;Marks et al.,Biotechnology,10:779−783,(1992)を参照のこと)。
霊長類化又はヒト化非ヒト抗体のための方法は当該技術分野において周知である。概して、霊長類化又はヒト化抗体は、そこに非霊長類又は非ヒトの供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。かかる非霊長類又は非ヒトアミノ酸残基は多くの場合に移入残基(import residue)と称され、これは典型的には移入可変ドメイン(import variable domain)から取られる。ヒト化は、本質的にWinter及び共同研究者の方法に従い(例えば、Jones et al.,Nature 321:522−525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323−327(1988);Verhoeyen et al.,Science 239:1534−1536(1988)及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593−596(1992)を参照のこと)、ヒト抗体の対応する配列をげっ歯類CDR又はCDR配列に置換することにより実施し得る。従って、かかるヒト化抗体はキメラ抗体であり(米国特許第4,816,567号明細書)、ここでは実質的にインタクトに満たないヒト可変ドメインが、非ヒト種からの対応する配列によって置換されている。実際には、霊長類化又はヒト化抗体は典型的には、霊長類又はヒト抗体であって、一部の相補性決定領域(「CDR」)残基及び場合により一部のフレームワーク(「FR」)残基が結合特異性を付与するため由来種(例えばげっ歯類抗体)の類似部位からの残基によって置換されているものである。
それに代えて又は加えて、非ヒト抗体と比べて同じ結合特性を維持しつつ又はより良好な結合特性を提供しつつ抗体においてヒト可変領域で非ヒト抗体可変領域を置き換えるインビボ方法を利用して非ヒト抗体を操作されたヒト抗体に変換してもよい。例えば、米国特許出願公開第20050008625号明細書、米国特許出願公開第2005/0255552号明細書を参照のこと。或いは、逐次的なカセット置換によりヒトVセグメントライブラリを作成することができ、ここでは初めに参照抗体Vセグメントの一部のみがヒト配列のライブラリに置き換えられ;次に残りの参照抗体アミノ酸配列のコンテクストで結合を支持する同定されたヒト「カセット」が第2のライブラリスクリーニングで組み換えられて完全ヒトVセグメントが作成される(米国特許出願公開第2006/0134098号明細書を参照のこと)。
ACEタンパク質の調製に使用するための様々な抗体又は抗原結合断片は、インタクトな抗体の酵素的又は化学的修飾によって作製することができ、又は組換えDNA方法を用いてデノボ合成することができ(例えば単鎖Fv)、又はファージディスプレイライブラリを用いて同定することができる(例えば、McCafferty et al.,Nature 348:552−554,1990を参照のこと)。例えばミニボディは、当該技術分野において、例えばVaughan and Sollazzo,Comb Chem High Throughput Screen.4:417−30 2001に記載される方法を用いて作成することができる。二重特異性抗体は、ハイブリドーマのグラフト化又はFab’断片の連結を含め、種々の方法によって作製することができる。例えば、Songsivilai & Lachmann,Clin.Exp.Immunol.79:315−321(1990);Kostelny et al.,J.Immunol.148,1547−1553(1992)を参照のこと。単鎖抗体は、ファージディスプレイライブラリ又はリボソームディスプレイライブラリ、遺伝子シャフリングライブラリを用いて同定することができる。かかるライブラリは、合成、半合成又は天然及び免疫適格供給源から構築することができる。従って、本明細書に提供されるとおりのACEタンパク質構築物の調製においては、選択の免疫グロブリン配列を利用し得る。
本開示の抗体、抗原結合分子又はACE分子は、二重特異性抗体を更に含む。二重特異性又は二機能性抗体は、2つの異なる重鎖/軽鎖対及び2つの異なる結合部位を有する人工ハイブリッド抗体である。他の抗原結合断片又は抗体部分としては、二価scFv(ダイアボディ)、抗体分子が2つの異なるエピトープを認識する二重特異性scFv抗体、シングル結合ドメイン(dAb)、及びミニボディが挙げられる。従って、本明細書に提供されるとおりのACEタンパク質構築物の調製においては、選択の免疫グロブリン配列を利用することができる。
抗体の抗原結合断片、例えばFab断片、scFvを構成要素として使用してACEタンパク質を構築することができ、任意選択で多価形態が含まれてもよい。一部の実施形態において、かかる多価分子は抗体の定常領域(例えばFc)を含む。
ACEタンパク質は、抗体の一方又は両方の可変領域(即ち、VH及び/又はVL)内、例えば1つ以上のCDR領域内の1つ以上の残基を修飾することにより操作することができ、及びかかる適合されたVH及び/又はVL領域配列は、サイトカインのグラフト化に、又はサイトカイングラフト化の調製に利用することができる。抗体は、主に6つの重鎖及び軽鎖相補性決定領域(CDR)に位置するアミノ酸残基を通じて標的抗原と相互作用する。このため、CDR内のアミノ酸配列は、個々の抗体間の多様性がCDR外の配列よりも高い。CDR配列はほとんどの抗体−抗原相互作用に関与し、異なる特性を有する異なる抗体由来のフレームワーク配列にグラフトされた特異的抗体からのCDR配列を含む発現ベクターを構築することにより特異的抗体の特性を模倣する組換え抗体を発現することが可能である(例えば、Riechmann,L.et al.,1998 Nature 332:323−327;Jones,P.et al.,1986 Nature 321:522−525;Queen,C.et al.,1989 Proc.Natl.Acad.,U.S.A.86:10029−10033;Winterに対する米国特許第5,225,539号明細書、並びにQueenらに対する米国特許第5,530,101号明細書;同第5,585,089号明細書;同第5,693,762号明細書及び同第6,180,370号明細書を参照のこと)。特定の例では、フレームワーク領域内の残基を突然変異させることにより抗体の抗原結合能力を維持又は増強することが有益である(例えば、Queen et alに対する米国特許第5,530,101号明細書;同第5,585,089号明細書;同第5,693,762号明細書及び同第6,180,370号明細書を参照のこと)。
一部の態様において、目的の抗体の1つ以上の結合特性(例えば、親和性)を改善するための、「親和性成熟」として知られるVH及び/又はVL CDR1、CDR2、及び/又はCDR3領域内のアミノ酸残基の突然変異が、例えばサイトカイングラフト化タンパク質のコンテクストと併せた抗体の抗原結合の最適化に有益であり得る。部位特異的突然変異誘発又はPCR媒介突然変異誘発を実施して1つ又は複数の突然変異を導入することができ、及び抗体結合への効果、又はその他の目的の機能特性について、本明細書に記載されるとおりのインビトロ若しくはインビボアッセイ及び/又は当該技術分野において公知の代替的若しくは追加的アッセイで評価することができる。保存的修飾を導入することができる。突然変異はアミノ酸置換、付加又は欠失であってもよい。更に、典型的にはCDR領域内の1、2、3、4又は5つ以下の残基を変化させる。
操作された抗体又は抗体断片は、VH及び/又はVL内のフレームワーク残基に例えば抗体の特性を改善するため修飾が行われたものを含む。一部の実施形態においてかかるフレームワーク修飾は、抗体の免疫原性を低下させるために行われる。例えば、一つの手法は、1つ以上のフレームワーク残基を対応する生殖系列配列に変更することである。より具体的には、体細胞突然変異を受けた抗体は、その抗体の由来である生殖系列配列と異なるフレームワーク残基を含み得る。かかる残基は、抗体フレームワーク配列をその抗体の由来である生殖系列配列と比較することにより同定し得る。フレームワーク領域配列をその生殖細胞系列構成に戻すため、体細胞突然変異を例えば部位特異的突然変異誘発によって生殖系列配列に「復帰突然変異」させることができる。追加的なフレームワーク修飾は、フレームワーク領域内、又は更には1つ以上のCDR領域内の1つ以上の残基を突然変異させてT細胞エピトープを除去し、それにより抗体の潜在的な免疫原性を低下させることを含む。この手法は「脱免疫化」とも称され、Carrらによる米国特許出願公開第20030153043号明細書に更に詳細に記載されている。
ACEタンパク質の調製に利用される抗体又は抗体断片の定常領域は、適宜、任意のタイプ又はサブタイプであってよく、本方法によって治療される対象の種(例えば、ヒト、非ヒト霊長類又は他の哺乳類、例えば、農業動物哺乳類(例えば、ウマ、ヒツジ、ウシ、ブタ、ラクダ)、家庭用動物哺乳類(例えば、イヌ、ネコ)又はげっ歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター、ウサギ)から選択することができる。一部の実施形態において、ACEタンパク質に利用される抗体は、ヒト化抗体又はHumaneered(登録商標)抗体が作成されるように操作される。一部の実施形態において、ACEタンパク質に利用される抗体はヒト抗体である。一部の実施形態において、抗体定常領域アイソタイプはIgG、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4である。特定の実施形態において、定常領域アイソタイプはIgGである。一部の実施形態において、ACEタンパク質はIgGを含む。一部の実施形態において、ACEタンパク質はIgG1 Fcを含む。一部の実施形態において、ACEタンパク質はIgG2 Fcを含む。
フレームワーク又はCDR領域内に行われる修飾に加えて、又はそれに代えて、ACEタンパク質の調製に利用される抗体又は抗体断片は、典型的には抗体の1つ以上の機能特性、例えば血清半減期、補体結合、Fc受容体結合、及び/又は抗原依存性細胞傷害などを変化させるため、Fc領域内に修飾を含むように操作されてもよい。更に、抗体、その抗体断片、又はACEタンパク質は、この場合もやはりACEタンパク質の1つ以上の機能特性を変化させるため、化学的に修飾することができ(例えば、1つ以上の化学的部分を抗体に付加することができる)又はそのグリコシル化が変化するように修飾することができる。
一実施形態では、ヒンジ領域のシステイン残基の数が変化する、例えば増加又は減少するようにCH1のヒンジ領域が修飾される。例えば、この手法は更にBodmerらによる米国特許第5,677,425号明細書に記載され、ここでは例えば軽鎖及び重鎖のアセンブリが促進されるように、又はACEタンパク質の安定性が増加若しくは減少するように、CH1のヒンジ領域にあるシステイン残基の数を変化させる。別の実施形態では、ACEタンパク質の生物学的半減期が変化するように抗体のFcヒンジ領域を突然変異させる。より具体的には、ACEタンパク質のブドウ球菌プロテインA(Staphylococcyl protein A)(SpA)結合が天然Fc−ヒンジドメインSpA結合と比べて損なわれるように、Fc−ヒンジ断片のCH2−CH3ドメイン接合部領域に1つ以上のアミノ酸突然変異が導入される。この手法については、Wardらによる米国特許第6,165,745号明細書に更に詳細に記載されている。
本開示は、長いインビボ半減期を有するサイトカイン受容体に特異的に結合するACEタンパク質を提供する。別の実施形態において、ACEタンパク質は、その生物学的半減期が増加するように修飾される。様々な手法が可能である。インビボ半減期が増加したACEタンパク質はまた、1つ以上のアミノ酸修飾(即ち、置換、挿入又は欠失)をIgG定常ドメイン、又はそのFcRn結合断片(好ましくはFc又はヒンジFcドメイン断片)に導入して作成することもできる。例えば、Wardに対する米国特許第6,277,375号明細書に記載されるとおり、以下の突然変異のうちの1つ以上を導入することができる:T252L、T254S、T256F。例えば、国際公開第98/23289号パンフレット;国際公開第97/34631号パンフレット;及び米国特許第6,277,375号明細書を参照のこと。或いは、生物学的半減期を増加させるため、ACEタンパク質は、Prestaらによる米国特許第5,869,046号明細書及び同第6,121,022号明細書に記載されるとおり、IgGのFc領域のCH2ドメインの2つのループから取られたサルベージ受容体結合エピトープを含むようにCH1又はCL領域内で変化させる。更に他の実施形態では、少なくとも1つのアミノ酸残基を異なるアミノ酸残基に置き換えることによりFc領域を変化させて、ACEタンパク質のエフェクター機能を変化させる。例えば、エフェクターリガンドに対する親和性は変化しているが、親抗体の抗原結合能力は保持しているACEタンパク質となるように、1つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸残基に置き換えることができる。親和性を変化させる対象のエフェクターリガンドは、例えば、Fc受容体(FcR)又は補体のC1成分であってもよい。この手法については、いずれもWinterらによる米国特許第5,624,821号明細書及び同第5,648,260号明細書に更に詳細に記載されている。
別の実施形態では、ACEタンパク質のC1q結合が変化し及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)が低下又は消失するように、アミノ酸残基から選択される1つ以上のアミノ酸を異なるアミノ酸残基に置き換えることができる。この手法については、Idusogieらによる米国特許第6,194,551号明細書に更に詳細に記載されている。
かかる突然変異を含むACEタンパク質によって媒介される抗体依存細胞傷害(ADCC)又は補体依存性細胞傷害(CDC)は低下し、又は全くなくなる。一部の実施形態では、IgG1定常領域のアミノ酸残基L234及びL235がAla234及びAla235に置換される。一部の実施形態では、IgG1定常領域のアミノ酸残基N267がAla267に置換される。
別の実施形態では、1つ以上のアミノ酸残基を変化させて、それによりACEタンパク質の補体結合能力を変化させる。この手法については、Bodmerらによる国際公開第94/29351号パンフレットに更に記載されている。
更に別の実施形態では、抗体が抗体依存性細胞傷害(ADCC)を媒介する能力が増加するように及び/又はFcγ受容体に対するACEタンパク質の親和性が増加するように、Fc領域が1つ以上のアミノ酸の修飾によって修飾される。この手法については、Prestaによる国際公開第00/42072号パンフレットに更に記載されている。更に、FcγRl、FcγRII、FcγRIII及びFcRnに対するヒトIgG1上の結合部位がマッピングされており、結合が改善した変異体が記載されている(Shields,R.L.et al.,2001 J.Biol.Chen.276:6591−6604を参照のこと)。
なおも別の実施形態において、ACEタンパク質のグリコシル化が修飾される。例えば、非グリコシル化ACEタンパク質を作ることができる(即ち、このACEタンパク質はグリコシル化を欠いている)。グリコシル化は、例えば、「抗原」に対する抗体の親和性を増加させるため変化させることができる。かかる糖質修飾は、例えば抗体配列内の1つ以上のグリコシル化部位を変化させることにより達成し得る。例えば、1つ以上の可変領域フレームワークグリコシル化部位の除去をもたらし、それにより当該部位でのグリコシル化を除去する1つ以上のアミノ酸置換を作ることができる。かかる非グリコシル化は抗原に対する抗体の親和性を増加させ得る。かかる手法については、Coらによる米国特許第5,714,350号明細書及び同第6,350,861号明細書に更に詳細に記載されている。
それに加えて又は代えて、フコシル残基の量が低下した低フコシル化ACEタンパク質又は二分GlcNac構造が増加した抗体など、変化したタイプのグリコシル化を有するACEタンパク質を作ることができる。かかる変化したグリコシル化パターンは、抗体の抗体依存性細胞傷害(ADCC)能力を増加させることが実証されている。かかる糖質修飾は、例えば、グリコシル化機構が変化した宿主細胞においてACEタンパク質を発現させることにより達成し得る。グリコシル化機構が変化した細胞については当該技術分野において記載されており、組換えACEタンパク質を発現して、それによりグリコシル化が変化したACEタンパク質を産生する宿主細胞として使用することができる。例えば、Hangらによる欧州特許第1,176,195号明細書は、機能が破壊されたFUT8遺伝子を有する細胞株について記載しており、この遺伝子はフコシルトランスフェラーゼをコードするため、かかる細胞株において発現するACEタンパク質は低フコシル化を呈することになる。Prestaによる国際公開第03/035835号パンフレットは、フコースをAsn(297)結合糖質に付加する能力が低下した変異CHO細胞株、Lecl3細胞について記載し、これもまた当該宿主細胞において発現するACEタンパク質の低フコシル化をもたらす(Shields,R.L.et al.,2002 J.Biol.Chem.277:26733−26740もまた参照のこと)。Umanaらによる国際公開第99/54342号パンフレットは、糖タンパク質修飾グリコシルトランスフェラーゼ(例えば、β(1,4)−NアセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII))を発現するように操作された細胞株について記載しており、この操作された細胞株で発現するACEタンパク質は二分GlcNac構造の増加を呈し、それにより抗体のADCC活性の増加がもたらされる(Umana et al.,1999 Nat.Biotech.17:176−180もまた参照のこと)。
一部の実施形態において、ACEタンパク質の1つ以上のドメイン、又は領域は、当該技術分野において周知のものなど、リンカー、例えばペプチドリンカーを介して接続される(例えば、Holliger,P.,et al.(1993)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444−6448;Poljak,RJ.,et al.(1994)Structure 2:1121−1123を参照のこと)。ペプチドリンカーは長さが様々であってよく、例えばリンカーは1〜100アミノ酸長であることができ、典型的にはリンカーは5〜50アミノ酸長、例えば、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50アミノ酸長である。
一部の実施形態において、サイトカインは、任意選択で1つ以上のペプチドリンカー配列を用いてCDR配列にグラフト化される。特定の実施形態において、1つ以上のペプチドリンカーは、(Gly−Ser)配列(配列番号3974)、(Gly−Ala)配列(配列番号3975)、又は(Gly−Ser)/(Gly−Ala)配列の任意の組み合わせ(配列番号3974−3975)[式中、各nは独立に1〜5の整数であり、各mは独立に0〜10の整数である]から独立して選択される。リンカーの例としては、限定はされないが、グリシンベースのリンカー又はgly/serリンカーG/S、例えば(GS)[式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に等しい正の整数であり、mは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に等しい整数である](配列番号3976)が挙げられる。特定の実施形態において、1つ以上のリンカーはGS(配列番号3972)リピート、例えばGly−Serリンカー(GS)[式中、nは1以上の正の整数である(配列番号3972)。例えば、n=1、n=2、n=3、n=4、n=5及びn=6、n=7、n=8、n=9及びn=10]を含む。一部の実施形態において、SerはAlaに置き換えることができ、例えば、(GA)[式中、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に等しい正の整数であり、mは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、又は10に等しい整数である](配列番号3977)などのリンカーG/Aである。特定の実施形態において、1つ以上のリンカーはGA(配列番号3973)リピート、(GA)[式中、nは1以上の正の整数である(配列番号3973)。例えば、n=1、n=2、n=3。n=4、n=5及びn=6、n=7、n=8、n=9及びn=10]を含む。一部の実施形態において、リンカーはリンカーの複数のリピートを含む。他の実施形態において、リンカーは組み合わせ及び複数のGS(配列番号3972)及びGA(配列番号3973)を含む。
リンカーの他の例としては、リンカー及び接合部によって生じる免疫原性を最小限に抑えるため、抗体において天然に存在する可動性リンカー配列をベースとするものが挙げられる。例えば、抗体分子構造の可変ドメインとCH1定常ドメインとの間には天然の可動性連結がある。この天然の連結は、VドメインのC末端から4〜6残基が寄与し且つCH1ドメインのN末端から4〜6残基が寄与する約10〜12アミノ酸残基を含む。ACEタンパク質は、例えば、CH1の末端5〜6アミノ酸残基、又は11〜12アミノ酸残基をリンカーとして取り込むリンカーを用いることができる。CH1ドメインのN末端残基、特に最初の5〜6アミノ酸残基は、強力な二次構造のないループコンホメーションをとり、従って可動性リンカーとして働くことができる。CH1ドメインのN末端残基は、それがIg配列の一部であるとおり、可変ドメインの天然の伸長部であり、従ってリンカー及び接合部によって潜在的に生じる可能性のある任意の免疫原性を大幅に最小限に抑える。一部の実施形態においてリンカー配列は、ヒンジ配列をベースとする修飾ペプチド配列を含む。
更に、ACEタンパク質は、ACEタンパク質の精製を促進するためペプチドなどのマーカー配列を含むことができる。好ましい実施形態において、マーカーアミノ酸配列は、とりわけ、pQEベクター(QIAGEN,Inc.,9259 Eton Avenue,Chatsworth、CA,91311)に提供されるタグなど、ヘキサヒスチジン(配列番号3978)ペプチドであり、その多くは市販されている。Gentz et al.,1989,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:821−824に記載されるとおり、例えばヘキサヒスチジン(配列番号3978)は、グラフト化タンパク質の好都合な精製をもたらす。精製に有用な他のペプチドタグとしては、限定はされないが、インフルエンザヘマグルチニンタンパク質に由来するエピトープに対応するヘマグルチニン(「HA」)タグ(Wilson et al.,1984,Cell 37:767)、及び「flag」タグが挙げられる。
抗体はまた固体支持体に付加されてもよく、これは標的抗原のイムノアッセイ又は精製に特に有用である。かかる固体支持体としては、限定はされないが、ガラス、セルロース、ポリアクリルアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル又はポリプロピレンが挙げられる。
ACEタンパク質活性のアッセイ
ACEタンパク質を同定するためのアッセイは当該技術分野において公知であり、本明細書に記載される。アゴニストACEタンパク質はそのコグネイトサイトカイン受容体に結合し、細胞内シグナル伝達を促進し、誘導し、刺激して、細胞内シグナル伝達並びに他の生物学的効果を生じさせる。
ACEタンパク質によるそれらの受容体への結合は、当該技術分野において公知の任意の方法を用いて決定することができる。例えば、受容体への結合は、限定なしに、ELISA、ウエスタンブロット、表面プラズモン共鳴(SPR)(例えば、BIAcore)、及びフローサイトメトリーを含めた公知の技法を用いて決定することができる。
サイトカイン受容体を通じた細胞内シグナル伝達は、当該技術分野において公知の任意の方法を用いて測定することができる。例えば、IL7によるIL7Raの活性化はSTAT5活性化及びシグナル伝達を促進する。STAT5活性化の測定方法は当該技術分野において標準的である(例えば、STAT5タンパク質のリン酸化状態、レポーター遺伝子アッセイ、下流シグナル伝達アッセイ等)。別の例として、IL7Raを通じた活性化はT細胞を拡大し、そのためT細胞の絶対数をアッセイすることができる。加えて、CD8+又はCD4+ T細胞のいずれかを独立してアッセイすることができる。細胞増殖の測定方法は当該技術分野において標準的である(例えば、H−チミジン取込みアッセイ、CFSE標識)。サイトカイン産生の測定方法は当該技術分野において周知である(例えば、ELISAアッセイ、ELISpotアッセイ)。インビトロアッセイの実施においては、ACEタンパク質に接触させた試験細胞又は試験細胞からの培養上清と、ACEタンパク質に接触させていない対照細胞又は対照細胞からの培養上清及び/又は組換えヒトサイトカイン又はサイトカインFc融合分子と接触させたものとを比較することができる。
ACEタンパク質の活性はまた、エキソビボ及び/又はインビボで測定することができる。一部の態様において、未治療の対照動物及び/又は天然サイトカインで同様に治療した動物と比較したときのACEタンパク質で治療した動物からエキソビボで様々な細胞型にわたって受容体活性化を測定する方法を用いて、細胞型間でのアゴニスト抗体グラフト化タンパク質の差次的活性を示すことができる。好ましいアゴニストACEタンパク質は細胞内シグナル伝達の誘導能を有する。1型糖尿病及びSLEにおけるアゴニストACEタンパク質の有効性は、治療有効量のACEタンパク質を対象に投与し、ACEタンパク質の投与前及び投与後の対象を比較することにより決定し得る。1型糖尿病及びSLEに対する療法におけるアゴニストACEタンパク質の有効性はまた、治療有効量のACEタンパク質を試験対象に投与し、試験対象を抗体未投与の対照対象と比較すること及び/又は天然サイトカインで同様に治療した対象との比較によっても決定し得る。
ACEタンパク質をコードするポリヌクレオチド
別の態様において、ACEタンパク質の重鎖及び軽鎖タンパク質をコードする単離核酸が提供される。ACEタンパク質は、限定はされないが、組換え発現、化学合成、及び抗体四量体の酵素消化を含め、当該技術分野において公知の任意の手段により作製することができる。組換え発現は、当該技術分野において公知の任意の適切な宿主細胞、例えば、哺乳類宿主細胞、細菌宿主細胞、酵母宿主細胞、昆虫宿主細胞等からであってよい。
本明細書では、表2に例示される可変領域をコードするポリヌクレオチドが提供される。一部の実施形態において、重鎖可変領域をコードするポリヌクレオチドは、表2に示されるとおりの可変重鎖又は可変軽鎖をコードするポリヌクレオチドと少なくとも85%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、又は100%の核酸配列同一性を有する配列を含む。
ポリヌクレオチドは、ACEタンパク質の可変領域配列のみをコードすることができる。ポリヌクレオチドはまた、ACEタンパク質の可変領域及び定常領域の両方をコードすることもできる。一部のポリヌクレオチド配列は、ACEタンパク質のうちの1つの重鎖及び軽鎖の両方の可変領域を含むポリペプチドをコードする。他の一部のポリヌクレオチドは、ACEタンパク質のうちの1つの重鎖及び軽鎖の可変領域とそれぞれ実質的に同一の2つのポリペプチドセグメントをコードする。
特定の実施形態において、ポリヌクレオチド又は核酸はDNAを含む。他の実施形態において、ポリヌクレオチド又は核酸はRNAを含み、これは一本鎖であっても又は二本鎖であってもよい。
一部の実施形態において、ACEタンパク質の1つ以上の免疫グロブリンタンパク質鎖、及び任意選択で分泌シグナルをコードする核酸を含む組換え宿主細胞が提供される。特定の実施形態において組換え宿主細胞は、1つの免疫グロブリンタンパク質鎖と分泌シグナルとをコードするベクターを含む。他の特定の実施形態において組換え宿主細胞は、ACEタンパク質の2つの免疫グロブリンタンパク質鎖と分泌シグナルとをコードする1つ以上のベクターを含む。一部の実施形態において組換え宿主細胞は、ACEタンパク質の2つの免疫グロブリンタンパク質鎖と分泌シグナルとをコードするシングルベクターを含む。一部の実施形態において組換え宿主細胞は、1つがACEタンパク質の重鎖免疫グロブリンタンパク質鎖をコードし、もう1つが軽鎖免疫グロブリンタンパク質鎖をコードする2つのベクターを含み、各々が分泌シグナルを含む。組換え宿主細胞は原核細胞又は真核細胞であってもよい。一部の実施形態において宿主細胞は真核細胞株である。一部の実施形態において宿主細胞は哺乳類細胞株である。
加えて、ACEタンパク質の作製方法が提供される。一部の実施形態において、この方法は、(i)ACEタンパク質の免疫グロブリンタンパク質鎖をコードする1つ以上のベクターを含む宿主細胞をACEタンパク質の発現、形成、及び分泌に好適な条件下で培養する工程、及び(ii)ACEタンパク質を回収する工程を含む。
ポリヌクレオチド配列は、ACEタンパク質のポリペプチド鎖をコードする既存の配列(例えば、本明細書に記載される配列)のデノボ固相DNA合成又はPCR突然変異誘発によって生成され得る。核酸の直接化学合成が、Narang et al.,Meth.Enzymol.68:90,1979のホスホトリエステル法;Brown et al.,Meth.Enzymol.68:109,1979のホスホジエステル法;Beaucage et al.,Tetra.Lett.,22:1859、1981のジエチルホスホロアミダイト法;及び米国特許第4,458,066号明細書の固体担体法などの、当該技術分野において公知の方法によって行われ得る。PCRによるポリヌクレオチド配列への突然変異の導入が、例えば、PCR Technology:Principles and Applications for DNA Amplification,H.A.Erlich(Ed.),Freeman Press,NY,NY,1992;PCR Protocols:A Guide to Methods and Applications,Innis et al.(Ed.),Academic Press,San Diego,CA,1990;Mattila et al.,Nucleic Acids Res.19:967,1991;及びEckert et al.,PCR Methods and Applications 1:17,1991に記載されるように行われ得る。
本開示ではまた、上記に記載されるACEタンパク質を作製するための発現ベクター及び宿主細胞も提供される。ACEタンパク質の免疫グロブリンポリペプチド鎖、又は断片をコードするポリヌクレオチドを発現させるため、様々な発現ベクターを用いることができる。哺乳類宿主細胞における免疫グロブリンタンパク質の作製には、ウイルスベースの発現ベクター及び非ウイルス発現ベクターの両方を使用することができる。非ウイルスベクター及び系としては、典型的に、タンパク質又はRNAを発現するための発現カセットを含む、プラスミド、エピソームベクター、及びヒト人工染色体(例えば、Harrington et al.,Nat Genet 15:345,1997を参照)が挙げられる。例えば、哺乳動物(例えば、ヒト)細胞内でのACEタンパク質ポリヌクレオチド及びポリペプチドの発現に有用な非ウイルスベクターとしては、pThioHis A、B & C、pcDNA3.1/His、pEBVHis A、B & C(Invitrogen,San Diego,CA)、MPSVベクター、及び他のタンパク質を発現するための当該技術分野において公知の多くの他のベクターが挙げられる。有用なウイルスベクターとしては、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルスに基づくベクター、SV40に基づくベクター、パピローマウイルス、HBPエプスタインバーウイルス、ワクシニアウイルスベクター及びセムリキ森林ウイルス(SFV)が挙げられる。Brent et al.、上掲;Smith,Annu.Rev.Microbiol.49:807,1995;及びRosenfeld et al.,Cell 68:143,1992を参照されたい。
発現ベクターの選択は、ベクターが発現される意図される宿主細胞に応じて決まる。典型的に、発現ベクターは、ACEタンパク質の免疫グロブリンタンパク質をコードするポリヌクレオチドに作動可能に連結されるプロモーター及び他の調節配列(例えば、エンハンサー)を含有する。ある実施形態において、誘導性プロモーターが、誘導条件下を除いて挿入された配列の発現を防止するのに用いられる。誘導性プロモーターとしては、例えば、アラビノース、lacZ、メタロチオネインプロモーター又は熱ショックプロモーターが挙げられる。形質転換された生物の培養物が、発現生成物が宿主細胞によってより良好に許容されるコード配列について集団を偏らせずに非誘導条件下で拡張され得る。プロモーターに加えて、他の調節エレメントもACEタンパク質の免疫グロブリン鎖又はフラグメントの効率的発現のために必要とされるか又は所望され得る。これらのエレメントは、典型的に、ATG開始コドン及び隣接するリボソーム結合部位又は他の配列を含む。更に、発現の効率が、使用の際に細胞系への適切なエンハンサーの包含によって高められ得る(例えば、Scharf et al.,Results Probl.Cell Differ.20:125,1994;及びBittner et al.,Meth.Enzymol.,153:516,1987を参照)。例えば、SV40エンハンサー又はCMVエンハンサーは、哺乳動物宿主細胞内での発現を増加させるのに使用され得る。
発現ベクターはまた、細胞から運び出されて培養培地中に入るACEタンパク質を形成するように分泌シグナル配列位置も提供することができる。特定の態様において、挿入されるACEタンパク質の免疫グロブリン配列は、ベクターに含める前にシグナル配列に連結される。免疫グロブリン軽鎖及び重鎖可変ドメインをコードする配列を受け取るために使用されるベクターは、時にまた定常領域又はその一部もコードする。かかるベクターは、定常領域を含むグラフト化タンパク質としての可変領域の発現を可能にし、それによりインタクトなACEタンパク質又はその断片の作製につながる。典型的には、かかる定常領域はヒトである。
ACEタンパク質鎖を担持及び発現するための宿主細胞は、原核又は真核のいずれかであり得る。大腸菌(E.coli)は、本開示のポリヌクレオチドをクローニングし、発現するのに有用な1つの原核宿主である。使用するのに好適な他の微生物宿主としては、枯草菌(Bacillus subtilis)などの桿菌、並びにサルモネラ(Salmonella)、セラチア(Serratia)、及び様々なシュードモナス(Pseudomonas)種などの他の腸内細菌科が挙げられる。これらの原核宿主においては、典型的に、宿主細胞と適合する発現制御配列(例えば、複製起点)を含む発現ベクターを作製することもできる。更に、ラクトースプロモーター系、トリプトファン(trp)プロモーター系、β−ラクタマーゼプロモーター系、又はラムダファージに由来するプロモーター系などの、任意の数の様々な周知のプロモーターば存在することになる。プロモーターは、典型的に、任意選択的に、オペレーター配列と共に発現を制御し、転写及び翻訳を開始及び完了させるためのリボソーム結合部位配列などを有する。酵母などの他の微生物も、ACEタンパク質ポリペプチドを発現するのに用いられ得る。バキュロウイルスベクターと組み合わせた昆虫細胞も使用され得る。
一部の好ましい実施形態では、ACEタンパク質ポリペプチドの発現及び作製に哺乳類宿主細胞が使用される。例えば、それは外因性発現ベクターを有するいずれかの哺乳類細胞株であってもよい。これらは、任意の正常な死滅する又は正常若しくは異常な不死の動物又はヒト細胞を含む。例えば、CHO細胞株、様々なCos細胞株、HeLa細胞、骨髄腫細胞株、形質転換されたB細胞及びハイブリドーマを含む、無傷の免疫グロブリンを分泌することが可能ないくつかの好適な宿主細胞株が開発されている。ポリペプチドを発現するための哺乳動物組織細胞培養物の使用は、例えば、Winnacker,From Genes to Clones,VCH Publishers,N.Y.,N.Y.,1987に一般に記載されている。哺乳動物宿主細胞のための発現ベクターは、複製起点、プロモーター、及びエンハンサーなどの発現制御配列(例えば、Queen et al.,Immunol.Rev.89:49−68,1986を参照)、並びにリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位、及び転写ターミネーター配列などの必要なプロセッシング情報部位を含み得る。これらの発現ベクターは、通常、哺乳動物遺伝子又は哺乳動物ウイルスに由来するプロモーターを含有する。好適なプロモーターは、構成的、細胞型特異的、段階特異的、及び/又は調節可能又は制御可能であり得る。有用なプロモーターとしては、限定はされないが、メタロチオネインプロモーター、構成的アデノウイルス主要後期プロモーター、デキサメタゾン誘導性MMTVプロモーター、SV40プロモーター、MRPpolIIIプロモーター、構成的MPSVプロモーター、テトラサイクリン誘導性CMVプロモーター(ヒト最初期CMVプロモーターなど)、構成的CMVプロモーター、及び当該技術分野において公知のプロモーター−エンハンサーの組み合わせが挙げられる。
対象とするポリヌクレオチド配列を含有する発現ベクターを導入するための方法は、細胞宿主の型に応じて変化する。例えば、塩化カルシウムトランスフェクションが、原核細胞のために一般的に用いられるが、リン酸カルシウム処理又はエレクトロポレーションが、他の細胞宿主のために使用され得る(一般に、Sambrook et al.,上掲を参照)。他の方法としては、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム処理、リポソーム媒介性形質転換、インジェクション及びマイクロインジェクション、弾道法、ビロソーム、免疫リポソーム、ポリカチオン:核酸コンジュゲート、裸のDNA、人工ビリオン、ヘルペスウイルス構造タンパク質VP22へのグラフト化(Elliot and O’Hare,Cell 88:223,1997)、DNAの薬剤促進性取り込み、及びエクスビボ形質導入が挙げられる。組換えタンパク質の長期の高収率の生成のために、安定した発現が望ましいことが多い。例えば、ACEタンパク質鎖を安定に発現する細胞株は、ウイルスの複製起点又は内因性発現エレメントと、選択マーカー遺伝子とを含有する発現ベクターを用いて調製され得る。ベクターの導入後、細胞が、富化培地中で1〜2日間成長されてから、選択培地に切り替えられる。選択マーカーの目的は、選択に対する耐性を付与することであり、その存在が、選択培地中で導入された配列を首尾よく発現する細胞の成長を可能にする。耐性の安定にトランスフェクトされた細胞が、細胞型にとって適切な組織培養技術を用いて増殖され得る。
ACEタンパク質を含む医薬組成物
薬学的に許容可能な担体と共に製剤化されたACEタンパク質を含む医薬組成物が提供される。任意選択で、医薬組成物は、所与の障害の治療又は予防に好適な他の治療剤を更に含む。薬学的に許容可能な担体は組成物を増強し、若しくは安定化させるか、又は組成物の調製を促進する。薬学的に許容可能な担体としては、生理的に適合性のある溶媒、分散媒、コーティング、抗細菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤などが挙げられる。
本開示の医薬組成物は、当該技術分野において公知の種々の方法によって投与することができる。投与経路及び/又は投与様式は所望の結果に応じて変わる。投与が非経口投与(例えば、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、動脈内、又は皮下のいずれかから選択される)によるか、又は標的部位の近位に投与されることが好ましい。薬学的に許容可能な担体は、静脈内、筋肉内、腹腔内、髄腔内、動脈内、皮下、鼻腔内、吸入、脊髄又は表皮投与(例えば、注射により)のうちの任意の1つ以上による投与に好適である。投与経路に応じて、活性化合物、例えばACEタンパク質は、酸の作用及びその他、化合物を不活性化し得る天然条件から化合物を保護する材料でコーティングすることができる。一部の実施形態において、医薬組成物は静脈内投与用に製剤化される。一部の実施形態において、医薬組成物は皮下投与用に製剤化される。
ACEタンパク質は、単独で、又は他の好適な成分と組み合わせて、吸入によって投与するためのエアロゾル製剤にされてもよい(即ち、それは「噴霧化」されてもよい)。エアロゾル製剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素など、加圧された許容可能な噴射剤の中に置かれ得る。
一部の実施形態において、医薬組成物は無菌且つ流動体である。適切な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用、分散剤の場合には必要な粒径の維持、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。多くの場合、組成物中に等張剤、例えば糖類、マンニトール又はソルビトールなどの多価アルコール類、及び塩化ナトリウムを含むことが好ましい。吸収を遅延させる薬剤、例えばモノステアリン酸アルミニウム又はゼラチンを組成物中に含めることにより、注射用組成物の長期吸収をもたらすことができる。特定の実施形態では、組成物は、適切な賦形剤(例えばスクロース)を使用して凍結乾燥形態での貯蔵用に調製することができる。
医薬組成物は、当該技術分野において周知の常法に従い調製することができる。薬学的に許容可能な担体は、一部には、投与される詳細な組成物、並びに組成物の投与に用いられる詳細な方法によって決まる。従って、医薬組成物の好適な製剤の種類は幅広くある。ACEタンパク質の製剤化並びに適切な投与及びスケジュールの決定に適用可能な方法については、例えば、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Ed.,University of the Sciences in Philadelphia,Eds.,Lippincott Williams & Wilkins(2005);及びMartindale:The Complete Drug Reference,Sweetman,2005,London:Pharmaceutical Press.、及びMartindale,Martindale:The Extra Pharmacopoeia,31st Edition.,1996,Amer Pharmaceutical Assn、及びSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems,J.R.Robinson,ed.,Marcel Dekker,Inc.,New York,1978を参照することができる。医薬組成物は、好ましくはGMP条件下で製造される。典型的には、医薬組成物中には治療有効用量又は効果的用量のACEタンパク質が利用される。ACEタンパク質は、当業者に公知の従来方法によって薬学的に許容可能な剤形に製剤化される。投薬量レジメンは、所望の応答(例えば治療応答)を提供するように調整される。治療上又は予防上有効な用量の決定においては、低用量を投与し、次に望ましくない副作用は最小限として又は全くなく所望の応答が達成されるまで漸増させることができる。例えば、単回ボーラスが投与されてもよく、数回に分割された用量が時間をかけて投与されてもよく、又は治療状況の危急性が示すところに従い用量を比例的に増減させてもよい。特に、容易な投与及び投薬量の均一性のため、非経口組成物を投薬量単位形態で製剤化することが有利である。投薬量単位形態は、本明細書で使用されるとき、治療対象への単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指し;各単位が、必要な医薬担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定の分量の活性化合物を含有する。
医薬組成物中にある活性成分の実際の投薬量レベルは、患者にとって毒性でなく、詳細な患者、組成物、及び投与様式に対して所望の治療応答を実現するのに有効な活性成分の量に達するように変えられてもよい。選択される投薬量レベルは、用いられる詳細な組成物、又はそのエステル、塩若しくはアミドの活性、投与経路、投与時間、用いられる詳細な化合物の***速度、治療継続期間、他の薬物、用いられる詳細な組成物と併用して使用される化合物及び/又は材料、治療下の患者の年齢、性別、体重、状態、全般的な健康及び前病歴などの要因を含め、種々の薬物動態学的要因に依存する。
製品/キット
一部の態様において、ACEタンパク質は製品(即ちキット)で提供される。提供されるACEタンパク質は、概してバイアル又は容器内にある。従って、製品は、容器及び容器上にある又はそれと関連付けられたラベル又は添付文書を含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、溶液バッグ等が挙げられる。適宜、ACEタンパク質は液体又は乾燥形態(例えば、凍結乾燥形態)であってもよい。容器は、それ自体で、又は別の組成物との組み合わせで、癌の治療、予防及び/又は改善用の組成物の調製に有効な組成物を保持する。ラベル又は添付文書は、組成物が免疫関連障害の治療、予防及び/又は改善に使用されることを指示する。本明細書に記載されるとおりのACEタンパク質を含む製品(キット)は、任意選択で1つ以上の追加的薬剤を含む。一部の実施形態において、製品(キット)はACEタンパク質と薬学的に許容可能な希釈剤とを含む。一部の実施形態において、ACEタンパク質は、製品(キット)において1つ以上の追加的な活性薬剤と共に同じ製剤に(例えば、混合物として)提供される。一部の実施形態において、ACEタンパク質は製品(キット)において第2又は第3の薬剤と共に別個の製剤に(例えば、別個の容器に)提供される。特定の実施形態において、製品(キット)はACEタンパク質のアリコートを含み、ここでアリコートは1用量以上を提供する。一部の実施形態において複数回投与用のアリコートが提供され、ここで用量は均一であるか、又は変化する。詳細な実施形態において、変化する投与レジメンは、適宜、漸増又は漸減するものである。一部の実施形態において、ACEタンパク質及び第2の薬剤の投薬量は、独立に均一であるか、又は独立に変化する。特定の実施形態において、製品(キット)は、抗癌剤又は免疫チェックポイント分子などの追加的薬剤を含む。1つ以上の追加的薬剤の選択は、投薬量、送達、及び治療しようとする疾患状態に依存することになる。
治療方法及び治療のための医薬組成物の使用
癌の治療
ACEタンパク質は、癌の治療、改善又は予防に用途が見出される。一態様において、本開示は、それを必要としている個体の癌の治療方法を提供し、この方法は、本明細書に記載されるとおりのACEタンパク質の治療有効量を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、個体の癌の治療又は予防における治療剤としての使用のためのACEタンパク質が提供される。更なる態様において、本開示は、それを必要としている個体の癌の治療又は改善における使用のためのかかるACEタンパク質を含む組成物を提供する。
治療の対象となる病態には、様々な癌疾患が含まれる。治療目的では、個体は癌と診断された。防御又は予防目的では、個体は癌からの寛解期にあってもよく、又は将来の発症が見込まれてもよい。一部の実施形態において、患者は癌を有するか、癌を有する疑いがあるか、又は癌からの寛解期にある。ACEタンパク質による治療の対象となる癌は、通常、本明細書に記載されるとおり、サイトカインシグナル伝達の活性化から利益を得る。治療の対象となる癌疾患としては、限定なしに:黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌及びリンパ腫が挙げられる。
免疫関連障害の治療
ACEタンパク質は、免疫関連障害の治療、改善又は予防に使用が見出される。一態様において、本開示は、それを必要としている個体の免疫関連障害の治療方法を提供し、この方法は、本明細書に記載されるとおりのACEタンパク質の治療有効量を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、個体の免疫関連障害の治療又は予防における治療剤としての使用のための抗体サイトカイングラフト化タンパク質が提供される。更なる態様において、本開示は、それを必要としている個体の免疫関連障害の治療又は改善における使用のためのかかるACEタンパク質を含む組成物を提供する。
治療の対象となる病態としては、様々な免疫関連障害が挙げられる。治療目的については、個体は免疫関連障害と診断された。防御又は予防目的については、個体は、免疫関連障害から寛解していてもよく、又は将来的な発生が予測されてもよい。一部の実施形態において、患者は免疫関連障害を有するか、免疫関連障害を有する疑いがあるか、又は免疫関連障害から寛解している。ACEタンパク質による治療の対象となる免疫関連障害は、通常、本明細書に記載されるとおりのサイトカインシグナル伝達の活性化から利益を得る。治療の対象となる免疫関連障害としては、限定なしに:炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、乾癬、I型糖尿病、急性膵炎、ぶどう膜炎、シェーグレン病、ベーチェット病、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、全身性エリテマトーデス、白斑、慢性予防的急性移植片対宿主病(chronic prophylactic acute graft versus host disease)(pGvHD)、HIV誘発性脈管炎、円形脱毛症、全身性硬化症モルフェア(Systemic sclerosis morphoea)、及び原発性抗リン脂質症候群が挙げられる。
肥満の治療
ACEタンパク質は、肥満の治療、改善又は予防に用途が見出される。一態様において、本開示は、それを必要としている個体の肥満の治療方法を提供し、この方法は、本明細書に記載されるとおりのACEタンパク質の治療有効量を個体に投与することを含む。一部の実施形態において、個体の肥満の治療又は予防における治療剤としての使用のためのACEタンパク質が提供される。更なる態様において、本開示は、それを必要としている個体の肥満の治療又は改善における使用のためのかかるACEタンパク質を含む組成物を提供する。
治療の対象となる病態には様々な肥満疾患が含まれる。治療目的では、個体は肥満と診断された。防御又は予防目的では、個体は将来の肥満発症が見込まれてもよい。一部の実施形態において、患者は肥満を有するか、肥満を有する疑いがあるか、又は肥満から回復中である。抗体サイトカイングラフト化タンパク質による治療の対象となる肥満は、本明細書に記載されるとおりのサイトカインシグナル伝達の活性化から利益を得てもよい。
ACEタンパク質の投与
医師又は獣医師は、医薬組成物中に用いるACEタンパク質の用量を所望の治療効果の実現に必要な用量よりも低いレベルで開始し、所望の効果が実現するまで投薬量を徐々に増加させることができる。一般に、組成物の有効用量は、治療されることになる具体的な疾患又は病態、投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトか、それとも動物か、投与されている他の薬物療法、及び治療が予防的か、それとも療法的かを含め、多くの異なる要因に応じて変わる。治療投薬量は、安全性及び有効性を最適化するため典型的には滴定が必要である。ACEタンパク質を伴う投与について、投薬量は宿主体重の約0.0001〜100mg/kg、及びより通常は0.01〜5mg/kgの範囲である。例えば投薬量は1mg/kg体重又は10mg/kg体重又は1〜10mg/kgの範囲内であってもよい。投与は必要又は所望に応じて毎日、毎週、隔週、毎月、又はそれより多い若しくは少ない頻度であってもよい。例示的治療レジームは必然的に、週1回、2週間毎に1回又は月1回又は3〜6ヵ月毎に1回の投与を伴う。
ACEタンパク質は単回用量又は分割用量で投与することができる。ACEタンパク質は通常、複数の機会に投与される。単回投薬量間の間隔は、必要又は所望に応じて毎週、隔週、毎月又は毎年であってもよい。間隙はまた、患者におけるACEタンパク質の血中レベルの測定によって指示されるとおり不規則であってもよい。一部の方法では、投薬量は、1〜1000μg/ml、及び一部の方法では25〜300μg/mlの血漿ACEタンパク質濃度が実現するように調整される。或いは、ACEタンパク質は徐放製剤として投与することができ、この場合より低い頻度での投与が必要である。投薬量及び頻度は患者におけるACEタンパク質の半減期に応じて変わる。一般に、ヒト化抗体を含む抗体グラフト化タンパク質は天然サイトカインよりも長い半減期を示す。投薬量及び投与頻度は、治療が予防的か、それとも療法的かに応じて変わり得る。一部の患者は、その生涯にわたって治療を受け続ける。一般に予防適用については、比較的低い投薬量が比較的低い頻度間隔で長期にわたって投与される。一般に療法適用については、疾患の進行が減少又は終了するまで、及び好ましくは患者が疾患の症状の部分的又は完全な改善を示すまで、比較的短い間隔での比較的高い投薬量が時に必要となる。その後、患者は予防レジームを投与されてもよい。
第2の薬剤との共投与
用語「併用療法」は、本開示に記載される治療上の病態又は障害を治療するための2つ以上の治療剤の投与を指す。このような投与は、固定比の活性成分を有する単一のカプセルなどの、実質的に同時の様式でのこれらの治療剤の同時投与を包含する。或いは、このような投与は、各活性成分について、複数の、又は別々の容器(例えば、カプセル、粉末、及び液体)中での同時投与を包含する。粉末及び/又は液体は、投与前に所望の用量に再構成又は希釈され得る。更に、このような投与は、ほぼ同時に又は異なる時間に、連続的様式での、それぞれのタイプの治療剤の使用も包含する。いずれの場合も、治療計画は、本明細書に記載される病態又は障害を治療する際に薬物の組み合わせの有益な効果を提供する。
併用療法は「相乗作用」を提供することができ、「相乗的」である、即ち、活性成分を併せて使用したときに達成される効果が、それらの化合物を個別に使用して得られる効果の総和より高いことが判明し得る。相乗効果は、活性成分が(1)共製剤化されて投与されるか、又は組み合わせた単位投薬量製剤で同時に送達されるとき;(2)別個の製剤として交互に又は並行して送達されるとき;又は(3)他の何らかのレジメンによるとき、達成され得る。交互投与療法で送達される場合、相乗効果は、化合物が例えば別個のシリンジでの異なる注射によって逐次的に投与又は送達されるときに達成され得る。一般に、交互投与療法に際して、各活性成分の有効投薬量は逐次的に、即ち連続的に投与され、一方併用療法では、2つ以上の活性成分の有効投薬量は一緒に投与される。
一態様において、本開示は、限定はされないが、EGFR阻害薬、Her2阻害薬、Her3阻害薬、IGFR阻害薬、及びMet阻害薬を含めた1つ以上のチロシンキナーゼ阻害薬と併用してACEタンパク質をそれを必要としている対象に投与することによる癌の治療方法を提供する。
例えば、チロシンキナーゼ阻害薬としては、限定はされないが、エルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標));リニファニブ(N−[4−(3−アミノ−1H−インダゾール−4−イル)フェニル]−N’−(2−フルオロ−5−メチルフェニル)尿素、別名ABT 869、Genentechから入手可能);リンゴ酸スニチニブ(Sutent(登録商標));ボスチニブ(4−[(2,4−ジクロロ−5−メトキシフェニル)アミノ]−6−メトキシ−7−[3−(4−メチルピペラジン−1−イル)プロポキシ]キノリン−3−カルボニトリル、別名SKI−606、及び米国特許第6,780,996号明細書に記載される);ダサチニブ(Sprycel(登録商標));パゾパニブ(Votrient(登録商標));ソラフェニブ(Nexavar(登録商標));Zactima(ZD6474);ニロチニブ(Tasigna(登録商標));レゴラフェニブ(Stivarga(登録商標))及びイマチニブ又はメシル酸イマチニブ(Gilvec(登録商標)及びGleevec(登録商標))が挙げられる。
上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬としては、限定はされないが、エルロチニブ塩酸塩(Tarceva(登録商標))、ゲフィチニブ(Gefitnib)(Iressa(登録商標));N−[4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−7−[[(3”S”)−テトラヒドロ−3−フラニル]オキシ]−6−キナゾリニル]−4(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド、Tovok(登録商標));バンデタニブ(Caprelsa(登録商標));ラパチニブ(Tykerb(登録商標));(3R,4R)−4−アミノ−1−((4−((3−メトキシフェニル)アミノ)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル)メチル)ピペリジン−3−オール(BMS690514);カネルチニブ二塩酸塩(CI−1033);6−[4−[(4−エチル−1−ピペラジニル)メチル]フェニル]−N−[(1R)−1−フェニルエチル]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−4−アミン(AEE788、CAS 497839−62−0);ムブリチニブ(TAK165);ペリチニブ(EKB569);アファチニブ(BIBW2992);ネラチニブ(HKI−272);N−[4−[[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−1H−インダゾール−5−イル]アミノ]−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イル]−カルバミン酸、(3S)−3−モルホリニルメチルエステル(BMS599626);N−(3,4−ジクロロ−2−フルオロフェニル)−6−メトキシ−7−[[(3aα,5β,6aα)−オクタヒドロ−2−メチルシクロペンタ[c]ピロール−5−イル]メトキシ]−4−キナゾリンアミン(XL647、CAS 781613−23−8);及び4−[4−[[(1R)−1−フェニルエチル]アミノ]−7H−ピロロ[2,3−d]ピリミジン−6−イル]−フェノール(PKI166、CAS 187724−61−4)が挙げられる。
EGFR抗体としては、限定はされないが、セツキシマブ(Erbitux(登録商標));パニツムマブ(Vectibix(登録商標));マツズマブ(EMD−72000);ニモツズマブ(hR3);ザルツムマブ;TheraCIM h−R3;MDX0447(CAS 339151−96−1);及びch806(mAb−806、CAS 946414−09−1)が挙げられる。
ヒト上皮成長因子受容体2(HER2受容体)(別名Neu、ErbB−2、CD340、又はp185)阻害薬としては、限定はされないが、トラスツズマブ(Herceptin(登録商標));ペルツズマブ(Omnitarg(登録商標));ネラチニブ(HKI−272、(2E)−N−[4−[[3−クロロ−4−[(ピリジン−2−イル)メトキシ]フェニル]アミノ]−3−シアノ−7−エトキシキノリン−6−イル]−4−(ジメチルアミノ)ブタ−2−エナミド、及び国際公開第05/028443号パンフレットに記載される);ラパチニブ又は二トシル酸ラパチニブ(Tykerb(登録商標));(3R,4R)−4−アミノ−1−((4−((3−メトキシフェニル)アミノ)ピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−5−イル)メチル)ピペリジン−3−オール(BMS690514);(2E)−N−[4−[(3−クロロ−4−フルオロフェニル)アミノ]−7−[[(3S)−テトラヒドロ−3−フラニル]オキシ]−6−キナゾリニル]−4−(ジメチルアミノ)−2−ブテンアミド(BIBW−2992、CAS 850140−72−6);N−[4−[[1−[(3−フルオロフェニル)メチル]−1H−インダゾール−5−イル]アミノ]−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イル]−カルバミン酸、(3S)−3−モルホリニルメチルエステル(BMS 599626、CAS 714971−09−2);カネルチニブ二塩酸塩(PD183805又はCI−1033);及びN−(3,4−ジクロロ−2−フルオロフェニル)−6−メトキシ−7−[[(3aα,5β,6aα)−オクタヒドロ−2−メチルシクロペンタ[c]ピロール−5−イル]メトキシ]−4−キナゾリンアミン(XL647、CAS 781613−23−8)が挙げられる。
HER3阻害薬としては、限定はされないが、LJM716、MM−121、AMG−888、RG7116、REGN−1400、AV−203、MP−RM−1、MM−111、及びMEHD−7945Aが挙げられる。
MET阻害薬としては、限定はされないが、カボザンチニブ(XL184、CAS 849217−68−1);フォレチニブ(GSK1363089、旧XL880、CAS 849217−64−7);チバンチニブ(ARQ197、CAS 1000873−98−2);1−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピル)−N−(5−(7−メトキシキノリン−4−イルオキシ)ピリジン−2−イル)−5−メチル−3−オキソ−2−フェニル−2,3−ジヒドロ−1H−ピラゾール−4−カルボキサミド(AMG 458);クリゾチニブ(Cryzotinib)(Xalkori(登録商標)、PF−02341066);(3Z)−5−(2,3−ジヒドロ−1H−インドール−1−イルスルホニル)−3−({3,5−ジメチル−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1H−ピロール−2−イル}メチレン)−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(SU11271);(3Z)−N−(3−クロロフェニル)−3−({3,5−ジメチル−4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)カルボニル]−1H−ピロール−2−イル}メチレン)−N−メチル−2−オキソインドリン−5−スルホンアミド(SU11274);(3Z)−N−(3−クロロフェニル)−3−{[3,5−ジメチル−4−(3−モルホリン−4−イルプロピル)−1H−ピロール−2−イル]メチレン}−N−メチル−2−オキソインドリン−5−スルホンアミド(SU11606);6−[ジフルオロ[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]メチル]−キノリン(JNJ38877605、CAS 943540−75−8);2−[4−[1−(キノリン−6−イルメチル)−1H−[1,2,3]トリアゾロ[4,5−b]ピラジン−6−イル]−1H−ピラゾール−1−イル]エタノール(PF04217903、CAS 956905−27−4);N−((2R)−1,4−ジオキサン−2−イルメチル)−N−メチル−N’−[3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−オキソ−5H−ベンゾ[4,5]シクロヘプタ[1,2−b]ピリジン−7−イル]スルファミド(MK2461、CAS 917879−39−1);6−[[6−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−1,2,4−トリアゾロ[4,3−b]ピリダジン−3−イル]チオ]−キノリン(SGX523、CAS 1022150−57−7);及び(3Z)−5−[[(2,6−ジクロロフェニル)メチル]スルホニル]−3−[[3,5−ジメチル−4−[[(2R)−2−(1−ピロリジニルメチル)−1−ピロリジニル]カルボニル]−1H−ピロール−2−イル]メチレン]−1,3−ジヒドロ−2H−インドール−2−オン(PHA665752、CAS 477575−56−7)が挙げられる。
IGF1R阻害薬としては、限定はされないが、BMS−754807、XL−228、OSI−906、GSK0904529A、A−928605、AXL1717、KW−2450、MK0646、AMG479、IMCA12、MEDI−573、及びBI836845が挙げられる。レビューについては、例えば、Yee,JNCI,104;975(2012)を参照のこと。
別の態様において、本開示は、限定はされないが、MEK阻害薬、Braf阻害薬、PI3K/Akt阻害薬、SHP2阻害薬、及びまたmTor阻害薬を含めた1つ以上のFGF下流シグナル伝達経路阻害薬と併用してACEタンパク質をそれを必要としている対象に投与することによる癌の治療方法を提供する。
例えば、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MEK)阻害薬としては、限定はされないが、XL−518(別名GDC−0973、CAS番号1029872−29−4、ACC Corp.から入手可能);2−[(2−クロロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−N−(シクロプロピルメトキシ)−3,4−ジフルオロ−ベンズアミド(別名CI−1040又はPD184352及び国際公開第2000035436号パンフレットに記載される);N−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロポキシ]−3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−ベンズアミド(別名PD0325901及び国際公開第2002006213号パンフレットに記載される);2,3−ビス[アミノ[(2−アミノフェニル)チオ]メチレン]−ブタンジニトリル(別名U0126及び米国特許第2,779,780号明細書に記載される);N−[3,4−ジフルオロ−2−[(2−フルオロ−4−ヨードフェニル)アミノ]−6−メトキシフェニル]−1−[(2R)−2,3−ジヒドロキシプロピル]−シクロプロパンスルホンアミド(別名RDEA119又はBAY869766及び国際公開第2007014011号パンフレットに記載される);(3S,4R,5Z,8S,9S,11E)−14−(エチルアミノ)−8,9,16−トリヒドロキシ−3,4−ジメチル−3,4,9,19−テトラヒドロ−1H−2−ベンゾオキサシクロテトラデシン−1,7(8H)−ジオン](別名E6201及び国際公開第2003076424号パンフレットに記載される);2’−アミノ−3’−メトキシフラボン(別名PD98059 Biaffin GmbH & Co.,KG、Germanyから入手可能);ベムラフェニブ(PLX−4032、CAS 918504−65−1);(R)−3−(2,3−ジヒドロキシプロピル)−6−フルオロ−5−(2−フルオロ−4−ヨードフェニルアミノ)−8−メチルピリド[2,3−d]ピリミジン−4,7(3H,8H)−ジオン(TAK−733、CAS 1035555−63−5);ピマセルチブ(AS−703026、CAS 1204531−26−9);及びトラメチニブジメチルスルホキシド(GSK−1120212、CAS 1204531−25−80)が挙げられる。
ホスホイノシチド3−キナーゼ(PI3K)阻害薬としては、限定はされないが、4−[2−(1H−インダゾール−4−イル)−6−[[4−(メチルスルホニル)ピペラジン−1−イル]メチル]チエノ[3,2−d]ピリミジン−4−イル]モルホリン(別名GDC 0941並びに国際公開第09/036082号パンフレット及び国際公開第09/055730号パンフレットに記載される);2−メチル−2−[4−[3−メチル−2−オキソ−8−(キノリン−3−イル)−2,3−ジヒドロイミダゾ[4,5−c]キノリン−1−イル]フェニル]プロピオニトリル(別名BEZ 235又はNVP−BEZ 235、及び国際公開第06/122806号パンフレットに記載される);4−(トリフルオロメチル)−5−(2,6−ジモルホリノピリミジン−4−イル)ピリジン−2−アミン(別名BKM120又はNVP−BKM120、及び国際公開第2007/084786号パンフレットに記載される);トザセルチブ(VX680又はMK−0457、CAS 639089−54−6);(5Z)−5−[[4−(4−ピリジニル)−6−キノリニル]メチレン]−2,4−チアゾリジンジオン(GSK1059615、CAS 958852−01−2);(1E,4S,4aR,5R,6aS,9aR)−5−(アセチルオキシ)−1−[(ジ−2−プロペニルアミノ)メチレン]−4,4a,5,6,6a,8,9,9a−オクタヒドロ−11−ヒドロキシ−4−(メトキシメチル)−4a,6a−ジメチル−シクロペンタ[5,6]ナフト[1,2−c]ピラン−2,7,10(1H)−トリオン(PX866、CAS 502632−66−8);及び8−フェニル−2−(モルホリン−4−イル)−クロメン−4−オン(LY294002、CAS 154447−36−6)が挙げられる。
mTor阻害薬としては、限定はされないが、テムシロリムス(Torisel(登録商標));リダフォロリムス(正式には別名デフォロリムス(deferolimus)、(1R,2R,4S)−4−[(2R)−2[(1R,9S,12S,15R,16E,18R,19R,21R,23S,24E,26E,28Z,30S,32S,35R)−1,18−ジヒドロキシ−19,30−ジメトキシ−15,17,21,23,29,35−ヘキサメチル−2,3,10,14,20−ペンタオキソ−11,36−ジオキサ−4−アザトリシクロ[30.3.1.04,9]ヘキサトリアコンタ−16,24,26,28−テトラエン−12−イル]プロピル]−2−メトキシシクロヘキシルジメチルホスフィネート、別名AP23573及びMK8669、及び国際公開第03/064383号パンフレットに記載される);エベロリムス(Afinitor(登録商標)又はRAD001);ラパマイシン(AY22989、シロリムス(登録商標));セマピモド(simapimod)(CAS 164301−51−3);(5−{2,4−ビス[(3S)−3−メチルモルホリン−4−イル]ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イル}−2−メトキシフェニル)メタノール(AZD8055);2−アミノ−8−[トランス−4−(2−ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル]−6−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−4−メチル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7(8H)−オン(PF04691502、CAS 1013101−36−4);及びN−[1,4−ジオキソ−4−[[4−(4−オキソ−8−フェニル−4H−1−ベンゾピラン−2−イル)モルホリニウム−4−イル]メトキシ]ブチル]−L−アルギニルグリシル−L−α−アスパルチルL−セリン−(配列番号3979として開示される「L−アルギニルグリシル−L−α−アスパルチルL−セリン」)、内塩(SF1126、CAS 936487−67−1)が挙げられる。
更に別の態様において、本開示は、限定はされないが、IAP阻害薬、Bcl2阻害薬、MCL1阻害薬、Trail薬剤、Chk阻害薬を含めた1つ以上のアポトーシス促進物質と併用してACEタンパク質をそれを必要としている対象に投与することによる癌の治療方法を提供する。
例えば、IAP阻害薬としては、限定はされないが、NVP−LCL161、GDC−0917、AEG−35156、AT406、及びTL32711が挙げられる。IAP阻害薬の他の例としては、限定はされないが、国際公開第04/005284号パンフレット、国際公開第04/007529号パンフレット、国際公開第05/097791号パンフレット、国際公開第05/069894号パンフレット、国際公開第05/069888号パンフレット、国際公開第05/094818号パンフレット、米国特許出願公開第2006/0014700号明細書、米国特許出願公開第2006/0025347号明細書、国際公開第06/069063号パンフレット、国際公開第06/010118号パンフレット、国際公開第06/017295号パンフレット、及び国際公開第08/134679号パンフレットに記載されるものが挙げられる。
BCL−2阻害薬としては、限定はされないが、4−[4−[[2−(4−クロロフェニル)−5,5−ジメチル−1−シクロヘキセン−1−イル]メチル]−1−ピペラジニル]−N−[[4−[[(1R)−3−(4−モルホリニル)−1−[(フェニルチオ)メチル]プロピル]アミノ]−3−[(トリフルオロメチル)スルホニル]フェニル]スルホニル]ベンズアミド(別名ABT−263及び国際公開第09/155386号パンフレットに記載される);テトロカルシンA;アンチマイシン;ゴシポール((−)BL−193);オバトクラックス;エチル−2−アミノ−6−シクロペンチル−4−(1−シアノ−2−エトキシ−2−オキソエチル)−4Hクロモン−3−カルボキシレート(HA14−1);オブリメルセン(G3139、Genasense(登録商標));Bak BH3ペプチド;(−)−ゴシポール酢酸(AT−101);4−[4−[(4’−クロロ[1,1’−ビフェニル]−2−イル)メチル]−1−ピペラジニル]−N−[[4−[[(1R)−3−(ジメチルアミノ)−1−[(フェニルチオ)メチル]プロピル]アミノ]−3−ニトロフェニル]スルホニル]−ベンズアミド(ABT−737、CAS 852808−04−9);及びナビトクラクス(ABT−263、CAS 923564−51−6)が挙げられる。
限定はされないが、デュラネルミン(AMG−951、RhApo2L/TRAIL);マパツムマブ(HRS−ETR1、CAS 658052−09−6);レクサツムマブ(HGS−ETR2、CAS 845816−02−6);Apomab(Apomab(登録商標));コナツムマブ(AMG655、CAS 896731−82−1);及びチガツズマブ(CS1008、CAS 946415−34−5、第一三共(Daiichi Sankyo)から入手可能)を含め、DR4(TRAILR1)及びDR5(TRAILR2)を含めたアポトーシス促進性受容体作動薬(PARA)。
チェックポイントキナーゼ(CHK)阻害薬としては、限定はされないが、7−ヒドロキシスタウロスポリン(UCN−01);6−ブロモ−3−(1−メチル−1H−ピラゾール−4−イル)−5−(3R)−3−ピペリジニル−ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−7−アミン(SCH900776、CAS 891494−63−6);5−(3−フルオロフェニル)−3−ウレイドチオフェン−2−カルボン酸N−[(S)−ピペリジン−3−イル]アミド(AZD7762、CAS 860352−01−8);4−[((3S)−1−アザビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル)アミノ]−3−(1H−ベンズイミダゾール−2−イル)−6−クロロキノリン−2(1H)−オン(CHIR 124、CAS 405168−58−3);7−アミノダクチノマイシン(7−Aminodactinomycin)(7−AAD)、イソグラヌラチミド、デブロモヒメニアルジシン;N−[5−ブロモ−4−メチル−2−[(2S)−2−モルホリニルメトキシ]−フェニル]−N’−(5−メチル−2−ピラジニル)尿素(LY2603618、CAS 911222−45−2);スルホラファン(CAS 4478−93−7、4−メチルスルフィニルブチルイソチオシアネート);9,10,11,12−テトラヒドロ−9,12−エポキシ−1H−ジインドロ[1,2,3−fg:3’,2’,1’−kl]ピロロ[3,4−i][1,6]ベンゾジアゾシン−1,3(2H)−ジオン(SB−218078、CAS 135897−06−2);及びTAT−S216A(Sha et al.,Mol.Cancer.Ther 2007;6(1):147−153)、及びCBP501が挙げられる。
一態様において、本開示は、1つ以上のFGFR阻害薬と併用してACEタンパク質をそれを必要としている対象に投与することによる癌の治療方法を提供する。例えば、FGFR阻害薬としては、限定はされないが、ブリバニブアラニネート(BMS−582664、(S)−((R)−1−(4−(4−フルオロ−2−メチル−1H−インドール−5−イルオキシ)−5−メチルピロロ[2,1−f][1,2,4]トリアジン−6−イルオキシ)プロパン−2−イル)2−アミノプロパノエート);バーガテフ(BIBF1120、CAS 928326−83−4);ドビチニブ二乳酸(TKI258、CAS 852433−84−2);3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシ−フェニル)−1−{6−[4−(4−エチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリミジン−4−イル}−1−メチル−尿素(BGJ398、CAS 872511−34−7);ダヌセルチブ(PHA−739358);及び(PD173074、CAS 219580−11−7)が挙げられる。ある具体的な態様において、本開示は、3−(2,6−ジクロロ−3,5−ジメトキシフェニル)−1−(6((4−(4−エチルピペラジン−1−イル)フェニル)アミノ)ピリミジン−4−イル)−1−メチル尿素(別名BGJ−398);又は4−アミノ−5−フルオロ−3−(5−(4−メチルピペラジン1−イル)−1H−ベンゾ[d]イミダゾール−2−イル)キノリン−2(1H)−オン(別名ドビチニブ又はTKI−258)、AZD4547(Gavine et al.,2012,Cancer Research 72,2045−56、N−[5−[2−(3,5−ジメトキシフェニル)エチル]−2H−ピラゾール−3−イル]−4−(3R,5S)−ジメチルピペラジン(diemthylpiperazin)−1−イル)ベンズアミド)、ポナチニブ(AP24534;Gozgit et al.,2012,Mol Cancer Ther.,11;690−99;3−[2−(イミダゾ[1,2−b]ピリダジン−3−イル)エチニル]−4−メチル−N−{4−[(4−メチルピペラジン−1−イル)メチル]−3−(トリフルオロメチル)フェニル}ベンズアミド、CAS 943319−70−8)などのFGFR2阻害薬と併用して抗体薬物コンジュゲートをそれを必要としている対象に投与することによる癌の治療方法を提供する。
ACEタンパク質はまた、別のサイトカイン、又はACEタンパク質と併用して投与することもできる。一部の実施形態において、サイトカインは、IL15、IL15−Fc、IL15受容体又はIL15/可溶性IL15Raのsushiドメインに連結したIL15である。一部の実施形態において、サイトカインは、インターロイキン−10(IL−10)、インターロイキン−11(IL−11)、毛様体神経栄養因子(CNTF)、オンコスタチンM(OSM)又は白血病抑制因子(LIF)である。
ACEタンパク質はまた、免疫チェックポイント阻害薬と併用して投与することもできる。一実施形態において、ACEタンパク質は、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM3、CTLA−4、LAG−3、CEACAM−1、CEACAM−5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4又はTGFRのうちの1つ以上から選択される免疫チェックポイント分子の阻害薬と併用して投与することができる。一実施形態において、免疫チェックポイント阻害薬は抗PD−1抗体であり、ここで抗PD−1抗体は、ニボルマブ、ペンブロリズマブ又はピジリズマブから選択される。一部の実施形態において、抗PD−1抗体分子はニボルマブである。ニボルマブの別名には、MDX−1106、MDX−1106−04、ONO−4538、又はBMS−936558が含まれる。一部の実施形態において、抗PD−1抗体はニボルマブ(CAS登録番号:946414−94−4)である。ニボルマブは、PD1を特異的に遮断する完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。ニボルマブ(クローン5C4)及びその他の、PD1に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体が、米国特許第8,008,449号明細書及び国際公開第2006/121168号パンフレットに開示されている。
一部の実施形態において、抗PD−1抗体はペンブロリズマブである。ペンブロリズマブ(別名ランブロリズマブ、MK−3475、MK03475、SCH−900475又はKEYTRUDA(登録商標);Merck)は、PD−1に結合するヒト化IgG4モノクローナル抗体である。ペンブロリズマブ及び他のヒト化抗PD−1抗体について、Hamid,O.et al.(2013)New England Journal of Medicine 369(2):134−44、米国特許第8,354,509号明細書及び国際公開第2009/114335号パンフレットに開示されている。
一部の実施形態において、抗PD−1抗体はピジリズマブである。ピジリズマブ(CT−011;Cure Tech)は、PD1に結合するヒト化IgG1kモノクローナル抗体である。ピジリズマブ及び他のヒト化抗PD−1モノクローナル抗体について、国際公開第2009/101611号パンフレットに開示されている。
他の抗PD1抗体としては、AMP 514(Amplimmune)及び、例えば、米国特許第8,609,089号明細書、米国特許出願公開第2010/028330号明細書、及び/又は米国特許出願公開第2012/0114649号明細書及び米国特許出願公開第2016/0108123号明細書に開示される抗PD1抗体が挙げられる。
一部の実施形態において、ACEタンパク質は、米国特許出願公開第2015/0218274号明細書に開示される抗Tim3抗体と共に投与することができる。他の実施形態において、ACEタンパク質は、米国特許出願公開第2016/0108123号明細書に開示される抗PD−L1抗体、Durvalumab(登録商標)(MEDI4736)、Atezolizumab(登録商標)(MPDL3280A)又はAvelumab(登録商標)、又は国際公開第2016/061142号パンフレットに開示される抗PD−L1抗体と共に投与することができる。
一部の実施形態において、薬理組成物は、抗体サイトカイングラフト化タンパク質と1つ以上の追加的な薬理学的薬剤との混合物を含む。本抗体サイトカイングラフト化タンパク質と共に混合物に含められる例示的な第2の薬剤としては、限定なしに、抗炎症剤、免疫調節剤、アミノサリチル酸、及び抗生物質が挙げられる。適切な選択は、好ましい製剤、投薬量及び/又は送達方法に依存し得る。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は抗炎症剤と共製剤化される(即ち、混合物として提供されるか、又は混合物に調製される)。詳細な実施形態において、コルチコステロイド抗炎症剤を抗体サイトカイングラフト化タンパク質と併せて使用することができる。使用のためのコルチコステロイドは、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、ブデソニド(budenisonide)、メサラミン、及びデキサメタゾンのいずれかから選択することができる。適切な選択は、製剤及び送達優先性に依存することになる。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は免疫調節剤と共製剤化される。詳細な実施形態において、免疫調節剤は、6−メルカプトプリン、アザチオプリン、シクロスポリンA、タクロリムス、及びメトトレキサートのいずれかから選択される。詳細な実施形態において、免疫調節剤は、抗TNF剤(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ)、ナタリズマブ、及びベドリズマブから選択される。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質はアミノサリチル酸剤と共調製される。詳細な実施形態においてアミノサリチル酸は、スルファサラジン、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン又は他の5−アミノサリチル酸誘導体から選択される。
一部の実施形態において、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は抗細菌剤と共調製される。例示的抗細菌剤としては、限定なしに、スルホンアミド類(例えば、スルファニルアミド、スルファジアジン、スルファメトキサゾール、スルフイソオキサゾール、スルファセタミド)、トリメトプリム、キノロン類(例えば、ナリジクス酸、シノキサシン、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン、オフロキサシン、スパルフロキサシン、フレロキサシン、ペフロキサシン(perloxacin)、レボフロキサシン、ガレノキサシン及びゲミフロキサシン)、メテナミン、ニトロフラントイン、ペニシリン類(例えば、ペニシリンG、ペニシリンV、メチシリンオキサシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、ナフシリン(nafcilin)、アンピシリン、アモキシシリン、カルベニシリン、チカルシリン、メズロシリン、及びピペラシリン)、セファロスポリン類(例えば、セファゾリン、セファレキシン、セファドロキシル、セフォキシチン、セファクロル、セフプロジル、セフロキシム、セフロキシムアキセチル(cefuroxime acetil)、ロラカルベフ、セフォテタン、セフォラニド、セフォタキシム、セフポドキシムプロキセチル、セフチブテン(cefibuten)、セフジニル、セフジトレンピボキシル(cefditoren pivorxil)、セフチゾキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフタジジム、及びセフェピム(cefepine))、カルバペネム類(例えば、イミペネム、アズトレオナム)、及びアミノグリコシド類(例えば、ネオマイシン、カナマイシン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、トブラマイシン(toramycin)、ネチルマイシン、及びアミカシン)が挙げられる。
実施例1:ACEタンパク質構築物の創製
サイトカイン配列を様々な免疫グロブリン足場のCDR領域内に操作することによりACEタンパク質を作成し、次に重鎖及び軽鎖の両方の免疫グロブリン鎖を使用して最終的なACEタンパク質を作成した。ACEタンパク質はサイトカインの好ましい治療特性を付与し;及び半減期の増加、及び製造し易さなど、更なる有益な効果を有する。
ACEタンパク質を創製するため、成熟型のサイトカイン配列を免疫グロブリン鎖足場のCDRループに挿入した。ACEタンパク質に選択したサイトカインは、IL2 ACE分子の追加を伴い、表1に挙げる。臨床的セッティングで利用されている種々の公知の免疫グロブリン配列並びに生殖細胞系列抗体配列を使用してACEタンパク質を調製した。GFTX3b及びGFTXと称される例示的足場におけるサイトカインの配列を表2に示す。挿入点は、利用可能な構造的又は相同性モデルデータに基づいて、CDRループの中間点であると選択された。抗体サイトカイン移植タンパク質を、関連する配列をコードする組換えDNAを用いる標準的な分子生物学方法を用いて生成した。
サイトカイングラフト化にどのCDRを選ぶかの選択は、以下のパラメータに関する:要求される生物学、生物物理学的特性及び好ましい開発プロファイル。どのCDR及びCDR内のどの位置が所望のパラメータを提供することになるかを予測する際にモデル化ソフトウェアが部分的にのみ有用であったため、従って6つ全ての可能な抗体サイトカイングラフトを作り、次に生物学的アッセイで評価する。要求される生物学的活性が実現する場合、次にACE分子とそれぞれのサイトカイン受容体との相互作用の性質を解く。
ACEタンパク質について、初めにサイトカイングラフト化に考えられる抗体候補の構造を解いた。グラフト化技術に起因して、各ACEタンパク質は、異なる長さ、配列及び構造環境のCDRループによって制約を受ける。そのため、HCDR1、HCDR2、HCDR3及びLCDR1、LCDR2、LCDR3に対応する6つ全てのCDRに各サイトカインをグラフト化した。
挿入点の選択については、CDRループの構造中心が、いずれの側にも最も大きい(直線サイズ3.8Å×隣接する側にある残基数の)間隔をもたらし得ることに伴い選ばれ、及びいかなる一つの理論によっても拘束されるものではないが、これはサイトカインのより容易な折り畳みを独立に可能にすることにより安定分子を提供した。グラフト足場GFTX3b及びGFTXの構造は既に分かっていたため、各CDRの構造中心もまた分かっていた。これは、通常Chothia付番方式を用いて定義したときのCDRループ配列の中心と一致した。
要約すれば、構造基盤に基づき各CDRにおける挿入点を選択し、そのサイトカインにどのCDRグラフトが最良かは所望の生物学及び生物物理学的特性に基づいた。サイトカイン受容体の性質、サイトカイン/受容体相互作用及びシグナル伝達機構もまた役割を果たしたと共に、これは各個別の抗体サイトカイン分子をそのそれぞれの特性に関して比較することにより調査した。
実施例2:マウス脾細胞におけるACEタンパク質のインビトロ活性
マウス脾臓から細胞を単離し、各ウェルに単一細胞懸濁液を加えた。ウェルに各IL7 ACEタンパク質、組換えヒトIL7、又はIL7−Fc分子を加え、37℃で30分間インキュベートした。20分後、細胞をCytofix緩衝液(BD#554655)で固定し、洗浄して表面マーカーで染色した。室温で30分後、試料を洗浄し、再懸濁した細胞ペレットを−20℃ Perm緩衝液III(BD#558050)で透過処理し、洗浄してpSTAT5 Ab(BD#612567)で染色した。細胞をLSR Fortessaで捕捉し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。データはPrism(登録商標)ソフトウェアでグラフ化した。
マウス脾細胞上のIL7Raに対する刺激に関してIL7 ACEタンパク質を評価した。IL7 ACEタンパク質は全て、等モル量の組換えヒトIL7(rec hIL7)、並びにFc部分と組み合わせたヒトIL−7と比較したとき、CD8(図3A)及びCD4(図3B)T細胞の両方でIL7Ra経路の活性化の増加を示した。従って、IL7をグラフト化するとサイトカインの効力が増加する。
実施例3:ヒトPBMCにおけるIL7ACEタンパク質のインビトロ活性
PBMC細胞を無血清試験培地に置き、細胞にIL7 ACEタンパク質又は組換えヒトIL7を加えて37℃で20分間インキュベートした。20分後、細胞を1.6%ホルムアルデヒドで固定し、洗浄して表面マーカーで染色した。室温で30分後、試料を洗浄し、再懸濁した細胞ペレットを−20℃メタノールで透過処理し、洗浄して、pSTAT5 Ab(BD#612567)及びDNAインターカレーターで染色した。細胞をCytofにかけ、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。
試験した分子は全て、そのフォーマットとは無関係に、野生型足場又は非刺激細胞と比較したときCD8及びCD4 T細胞の両方でIL7Ra経路の活性化を誘導したが、B細胞又はNK細胞については誘導しなかった(図4A)。加えて、CD8(図4B)及びCD4(図4C)T細胞は両方とも、組換えhIL7、又はIL7 ACEタンパク質IgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2のいずれによっても、及び使用した濃度とは無関係に、強力に活性化された。従って、hIL7 ACEタンパク質は、B細胞又はNK細胞は刺激することなく、CD8及びCD4ヒトT細胞の両方を強力に刺激する。
実施例4:C57Bl6マウスにおけるhIL7 ACEタンパク質のインビボ活性
B6雌マウスにhIL7、hIL7−Fc及びIL7 ACEタンパク質を1日1回、4日間にわたり種々の濃度で投与した。最終回治療の翌日(5日目)、脾臓を処理して単一細胞懸濁液を入手し、RPMI(10%FBS)で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液(Sigma #R7757)で溶解させ、細胞数及び生存能に関して細胞をカウントした。FACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を使用した標準プロトコルに基づきFACS染色を実施した。細胞を表面抗体:ラット抗マウスCD8−BUV737(BD Biosciences #564297)、ラット抗マウスCD19−PeCF594/TR(BD Biosciences #562291)、ラット抗マウスCD3−PerCP(Biolegend #100218)、ラット抗マウスCD127−e450(ebioscience #48−1273−82)、ラット抗マウスCD4−BV510(BD Biosciences #563106)、ラット抗マウスCD44−BV711(BD Biosciences #563971)、ラット抗マウスCD62L−APC−Cy7(BD Biosciences #560514)で染色し、続いて固定/透過処理し、ラット抗マウスKi−67−e660(ebioscience #50−5698−82)及びFoxP3の両方に関して抗マウス/ラットFoxP3 FITC染色セット(ebioscience #71−5775−40)に従い染色した。細胞をBD LSR Fortessa又はBD FACS LSR IIで分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。データはPrismソフトウェアでグラフ化した。
試験した6つの異なるIL7 ACEタンパク質から、4日連続の1日1回IP投与後にIgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2がCD8 Ki67+ T細胞(図5A〜図5B)、並びにエフェクターメモリー(CD44high CD62Llow)T細胞の頻度(図5C〜図5D)を一貫して増加させた。IgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2はCD4+ T細胞も同様に一貫して増加させた(データは示さず)。注目すべきことに、IL7 ACEタンパク質のモル量が、Fc融合物IL7についてCD8+及びCD4+ T細胞の同じ相対的拡大を実現するのに使用した量の5分の1であった。IL7 ACEタンパク質は全て、マウスによって良好に忍容され、有害な効果は認められなかった。
実施例5:CT26同系マウス腫瘍モデルにおけるIL7ACEタンパク質のインビボ活性
CT26(ATCC)細胞は、高悪性度の未分化ヒト結腸直腸癌株であり、同系マウスモデルにおける分子の抗癌活性の試験によく使用される。CT26細胞を5%COの37℃インキュベーターにおいて無菌条件で成長させた。細胞は、10%FBSを補足したRPMI 1640培地で培養した。細胞は3〜4日毎に継代した。注射当日、細胞を継代11代目で回収し、HBSS中に2.5×10/mlの濃度で再懸濁した。細胞をマイコプラズマ及びマウスウイルスに関してRadil試験した。各マウスにつき0.25×10細胞を28g針(100μl注射容積)を使用して右側腹部に皮下注射で移植した。移植後、腫瘍が触知可能になったら、動物を週3回ノギスで測り、秤量した。ノギス測定値は(L×W×W)/2を用いて計算した。マウスには通常食を与え、実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)及び動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)の規定に従いSPF動物施設で飼育した。
腫瘍が約100mmに達したとき、マウスに20〜100μgのIL7−flag、IL7−Fc融合物、又はIL7 ACEタンパク質IgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2を週2回、合計4用量にわたり腹腔内投与した。腫瘍を週2回測定した。Prism 5(GraphPad)ソフトウェアを使用して平均腫瘍容積をプロットした。腫瘍サイズが1000mmの容積に達したとき、有効性試験のエンドポイントが実現した。注射後、マウスはまた、臨床的増悪の徴候についても注意深くモニタした。呼吸窮迫、背弯姿勢、活動性低下、後肢完全麻痺、胸水の徴候としての頻呼吸、20%又は15%に近い体重減少+他の徴候を含めた何らかの病的状態の徴候、又は通常の活動(摂餌、移動)を行う能力がどうかに関してマウスをモニタした。
最終回治療の翌日(13日目)、脾臓及び腫瘍を採取した。脾臓を処理して単一細胞懸濁液を入手し、RPMI(10%FBS)で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液(Sigma #R7757)で溶解させ、細胞数及び生存能に関して細胞をカウントした。FACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を使用した標準プロトコルに基づきFACS染色を実施した。細胞を以下の表面抗体:ラット抗マウスCD8−BUV737(BD Biosciences #564297)、ラット抗マウスCD19−PeCF594/TR(BD Biosciences #562291)、ラット抗マウスCD3−PerCP(Biolegend #100218)、ラット抗マウスCD127−e450(ebioscience #48−1273−82)、ラット抗マウスCD4−BV510(BD Biosciences #563106)、ラット抗マウスCD44−BV711(BD Biosciences #563971)、ラット抗マウスCD62L−APC−Cy7(BD Biosciences #560514)で染色し、続いて固定/透過処理し、ラット抗マウスKi−67−e660(ebioscience #50−5698−82)及びFoxP3の両方に関して抗マウス/ラットFoxP3 FITC染色セット(ebioscience #71−5775−40)に従い染色した。細胞をBD LSR Fortessa(登録商標)又はBD FACS LSR IIで分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。腫瘍をホルマリンで固定し、パラフィン包埋して、マウスCD8(eBioscience #14−0808−82)及びマウスCD4(Abcam #ab183685)に対する免疫組織化学染色を行った。Matlabソフトウェア(MathWorks)を使用して陽性細胞数を定量化し、データをPrismソフトウェアでグラフ化した。
ACEタンパク質IgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2について、CT26腫瘍に対するその有効性をインビボで試験した。IgG.IL7.H2又はIgG.IL7.H2の投与により、等モル用量のIL7 flagタンパク質又はIL7−Fc融合物と比較したとき腫瘍成長が有意に減少した(図6A)。低用量でも同じ傾向が観察された(図6B)。また、エフェクターメモリー(CD44high/CD62Llow)CD8+ T細胞の頻度もまた、4用量のうちの最終回の翌日、IgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2で治療したマウスで対照群と比較して有意に増加した(図6C)。加えて、高用量のIgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2では、対照群と比較してCD8及びCD4+腫瘍浸潤リンパ球(TIL)の両方の頻度が増加した(それぞれ図6D、及び図6E)。従って、ACEタンパク質IgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2は、組換えIL7と比較したときIL7活性の亢進、単剤としての腫瘍容積の低下、TIL数の増加を示した。
実施例6:エキソビボ消耗モデルにおけるIL7 ACEタンパク質の活性
B6雌マウスを2×10PFUのリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)クローン13に静脈内(iv)感染させた。感染3週間後、脾臓を採取して処理することにより単一細胞懸濁液を得た。EasySep(商標)StemCell B細胞枯渇キット(Stemcell、Cambridge MA)を使用してB細胞を枯渇させた後、細胞をウェルに加え、抗PD−L1抗体有り(培地+抗PD−L1)又は無し(培地)の、3つのMHC−Iと1つのMHC−II LCMV特異的ペプチドとのカクテルを含有するRPMI(10%FBS)に入れた。24時間後にELISAによってINFγを測定し、Prismソフトウェアでデータをグラフ化した。
ACEタンパク質IgG.IL7.H3は抗PD−L1抗体との相乗作用でIFN−γ産生を増加させた。組換えヒトIL7を加えても、抗PD−L1治療(DMSO)と比べてそれ以上のIFN−γ産生の増加は生じなかったが、IgG.IL7.H3を加えるとIFN−γの有意な増加が生じた(図7)。従って、IL7 ACEタンパク質はエキソビボモデルにおいて消耗表現型のCD8+ T細胞を復帰させることが可能であった。
実施例7:IgG.IL7.H3及びIgG.IL7.H2の構造分解
図8は、Fab断片に挿入されたときのそれぞれIgG.IL7.H2及びIgG.IL7.H3の構造図である。IgG.IL7.H3については、図8は、IL7をHCDR2又はHCDR3のいずれかにグラフト化することにより、IL7分子が露出し、IL7Raとの結合に利用可能になること、及びIgG配列が妨げにならないことを実証している。
実施例8:抗体サイトカイングラフト化タンパク質の結合
IL7配列を免疫グロブリン鎖足場のCDRループに挿入した。臨床的セッティングで利用されている種々の公知の免疫グロブリン配列並びに生殖細胞系列抗体配列を使用して抗体サイトカイングラフト化タンパク質を調製した。使用した抗体のうちの1つは、その標的抗原としてRSVを有する。IL7をこの抗体のCDRにグラフト化するとRSVへの結合が低下したかどうかを決定するため、RSVタンパク質をPBS又は炭酸塩緩衝液のいずれかでELISAアッセイにかけた。図9に示すとおり、これは、IL7グラフト化にどのCDRを選択したかによって影響を受けるように見える。例えば、重鎖CDR1(CDR−H1)にグラフト化したIL7は、元の非グラフト化(非修飾)抗体と同様のRSV結合を有する。対照的に、IL7を重鎖CDR2(CDR−H2)及びCDR−H3にグラフト化すると、RSVへの結合が低下する。軽鎖CDR3(CDR−L3)にグラフト化したIL7はRSV結合をほとんど有しない。予想どおり、IgEを標的とするGFTX抗体足場にグラフト化したIL2は結合を生じない。これは、抗体サイトカイングラフト化タンパク質が抗体足場の元の標的に対する結合を保持し得ること、又はこの結合を低減し得ることを実証している。
実施例9:CD1マウスにおけるIL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ薬物動態
CD1雌マウスに等モル量のIL7、IL7−Fc及びIL7サイトカイングラフト化タンパク質の単回用量を投与し、種々の時点で血清試料中のIL7タンパク質をGyrosアッセイによって測定した(図10)。データを分析し、Prismソフトウェアでグラフ化した。
試験した6つの異なるIL7タンパク質から、他のフォーマットと比較したときIgG.IL7.H2が最良の曝露を示した(図10)。注目すべきことに、組換えヒトIL7の量が僅か6時間後に定量限界(LOQ)を下回った一方、同じことがFc融合物IL7についても24時間後に認められた。IL7抗体サイトカイングラフト化タンパク質は全て、最長72時間まで測定可能であった。
実施例10:インビボT細胞消耗モデルにおけるIgG.IL7.H2サイトカイングラフト化タンパク質の活性
B6雌マウスを2×10PFUのリンパ球性脈絡髄膜炎ウイルス(LCMV)クローン13に静脈内(iv)感染させた。感染3週間後、マウスに200μgのアイソタイプ対照抗体単独、100μgのIgG.IL7.H2単独、200μgの抗PD−L1単独、又は100μgのIgG.IL7.H2+200μgの抗PD−L1との併用用量を週2回、2週間にわたって投与した。最終回用量の3日後(35日目)、血液、脾臓細胞及び肝臓を分析した。
脾臓及び血液を処理して単一細胞懸濁液を得て、RPMI(10%FBS)で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液(Sigma #R7757)で溶解させ、細胞数及び生存能に関して細胞をカウントした。FACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を使用した標準プロトコルに基づきFACS染色を実施した。細胞を以下の表面抗体及び四量体分子:ラット抗マウスCD8−PerCP(BD Biosciences #553036)、ラット抗マウスCD19−APC−Cy7(BD Biosciences #560143)、ラット抗マウスKLRG1−BV421(BD Biosciences #560733)、ラット抗マウスCD127−PE−Cy7(BD Biosciences #560733)、ラット抗マウスCD4−BUV395(BD Biosciences #563790)、ラット抗マウスCD44−BUV737(BD Biosciences #564392)、ラット抗マウスCD62L−FITC(Tonbo #35−0621−U100)、ラット抗マウスCD366−APC(Biolegend #119706)、ラット抗マウスCD279−BV605(Biolegend #135219)、T−Select H−2Db LCMV gp33(C9M)四量体−PE(MBL #TS−M512−1)及びT−Select H−2Db LCMV gp276−286 四量体−BV421(MBL #TB−5009−4)で染色した。細胞をBD LSR Fortessa(登録商標)又はBD FACS LSR IIで分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。データはPrism(登録商標)ソフトウェアでグラフ化した。
抗PD−L1抗体の存在とは無関係に、血中においてIgG.IL7.H2抗体サイトカイングラフト化タンパク質の投与を受けたウイルス特異的CD8+ T細胞の増加が観察された(図11)。血中においてIgG.IL7.H2サイトカイングラフト化タンパク質の投与を受けたナイーブ、セントラルメモリー及びエフェクターメモリーCD8+ T細胞の総数の増加もまた観察されたが、抗PD−L1単独では観察されなかった(図13)。脾臓細胞の分析もまた、IgG.IL7.H2抗体サイトカイングラフト化タンパク質が、単独でも、又は抗PD−L1との併用でも、別のチェックポイント分子Tim−3の減少を誘導することを示した(図12)。加えて、IgG.IL7.H2サイトカイングラフト化タンパク質の投与はまた、PD−1遮断療法に対する最良のレスポンダーであることが公知のCD8+ PD−1+細胞の増加も誘導する(図14)。
IgG.IL7.H2サイトカイングラフト化タンパク質を抗PD−L1との併用で加えると、IFN−γの有意な増加が生じた(図16)。まとめると、これらのデータから、IgG.IL7.H2抗体サイトカイングラフト化タンパク質がインビボモデルでCD8+ T細胞の消耗表現型を復帰させたことが示された。肝臓におけるウイルスRNAの分析からは、IgG.IL7.H2の投与が単剤としてウイルス負荷を低減可能であったことが示される(図15)。抗PD−L1抗体及びIgG.IL7.H2と抗PD−L1抗体との併用は、ウイルス負荷を更に低減した(図15)。
実施例11:抗体サイトカイングラフト化タンパク質はTreg細胞に対するより高い活性及び増加した半減期を示す
Proleukin(登録商標)を上回る所望の生物学的効果を実現したことに伴いIgG.IL2D49A.H1及びIgG.IL2.L3を選択した(図17に相対的変化をまとめている)。これらの効果には以下が含まれる;Tcon及びNK細胞よりも優先的なTreg上のIL−2R選択性、マウスにおけるTcon及びNK細胞と比べたTregのより大きい半減期拡大。
高親和性IL−2受容体刺激の評価においては、Proleukin(登録商標)及びIgG.IL2D49A.H1グラフトの両方がTreg細胞上で同等のシグナル効力を示したが、IgG.IL2D49A.H1は、Proleukin(登録商標)と異なり、CD8 Tエフェクター細胞及びNK細胞の両方で低下した活性乃至無活性を示した。CDRL3にグラフト化されたIL2(IgG.IL2.L3)は、Proleukin(登録商標)よりも低いTreg上でのシグナル効力を示したが、NK細胞上では活性を示さなかった。HemaCare Corp.からヒト末梢血単核球(hPBMC)を購入し、Proleukin(登録商標)、IgG.IL2D49A.H1又はIgG.IL2.L3のいずれかによってインビトロで試験してIL−2高親和性受容体に対する選択的活性を評価した。細胞を無血清試験培地中に静置し、各ウェルに加えた。ウェルに抗体サイトカイングラフト化タンパク質又は天然ヒトIL−2のいずれかを加え、37℃で20分間インキュベートした。20分後、細胞を固定し、表面マーカーで染色し、透過処理し、STAT5抗体(BD Biosciences)で製造者の指示に従い染色した。
血漿中でのIgG.IL2D49A.H1又はIgG.IL2.L3の薬物動態は、僅か1用量後にProleukin(登録商標)と比べて半減期の延長を示した。Proleukin(登録商標)又はグラフトのいずれかによる1回の治療後8日における前糖尿病NODマウスの脾臓で細胞拡大を評価した。IgG.IL2D49A.H1はTエフェクター細胞及びNK細胞と比べて優れたTreg拡大を実現し、前糖尿病マウスにおいてProleukin(登録商標)よりも良好に忍容された。STAT5刺激、IgG.IL2D49A.H1及びIgG.IL2.L3のPK/PDの要約を図18に示す。これは、抗体サイトカイングラフト化タンパク質がProleukin(登録商標)よりも長い半減期を有するのみならず、Tエフェクター細胞及びNK細胞の望ましくない刺激なしに標的Treg細胞を刺激できることを示している。
実施例12:抗体サイトカイングラフト化タンパク質はTreg細胞に対してより高い活性を示す
前糖尿病NODマウスに等モルのProleukin(登録商標)(週3回)及び種々の抗体サイトカイングラフト化タンパク質(1回/週)を投与した。初回治療から8日後、脾臓を処理して単一細胞懸濁液を入手し、RPMI(10%FBS)で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液(Sigma #R7757)で溶解させて、細胞を細胞数及び生存率に関してカウントした。標準プロトコルに基づきFACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を使用してFACS染色を実施した。細胞を表面抗体:ラット抗マウスCD3−BV605(BD Pharmingen #563004)、ラット抗マウスCD4−パシフィックブルー(BD Pharmingen #558107)、ラット抗マウスCD8−PerCp(BD Pharmingen #553036)、CD44 FITC(Pharmingen #553133)ラット抗マウスCD25−APC(Ebioscience #17−0251)で染色し、続いて固定/透過処理し、抗マウス/ラットFoxP3染色セットPE(Ebioscience #72−5775)に従いFoxP3に関して染色した。細胞はBD LSR Fortessa(登録商標)又はBD FACS LSR II(登録商標)で分析し、及びデータはFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。図19は、IgG.IL2D49A.H1及びIgG.IL2D113A.H1をProleukin(登録商標)と比較した、各脾臓から絶対数として計算した倍数値及び比を示す。IgG.IL2D49A.H1によるCD8 Tエフェクター細胞又はNK細胞の拡大のないTreg細胞の拡大の増加が一番上の列に示される。これは、全ての細胞型の拡大につながる低用量及び高用量Proleukin(登録商標)と対照的である。
実施例13:インビトロでIL−2Rシグナル伝達効力はCD4 Tcon及びCD8 Teffにおいて低下するがTregにおいては低下しない
Proleukin(登録商標)及びIgG.IL2D49A.H1を両方ともにIL−2Rに対するシグナル効力に関してヒトPBMC及びカニクイザル(cynomologus monkey)PBMCの両方でインビトロで試験した。等モルIL2濃度のIgG.IL2D49A.H1及びProleukin(登録商標)は両方ともに、高親和性IL−2Rを発現するTreg細胞に対しては同様のシグナル効力を示したが、低親和性IL−2受容体を発現する従来のCD4及びCD8 Tエフェクター細胞に対してはIgG.IL2D49A.H1のみが効力の低下を示した。これらの結果はヒト及びカニクイザルの両方のPBMCで観察された。このアッセイについて、PBMC細胞は無血清試験培地中に静置し、各ウェルに加えた。ウェルにIgG.IL2D49A.H1又はProleukin(登録商標)のいずれかを加え、37℃で20分間インキュベートした。20分後、細胞を固定し、表面マーカーで染色し、透過処理し、STAT5抗体(BD Biosciences)で製造者の指示に従い染色した。細胞はBD LSR Fortessa(登録商標)で分析し、及びデータはFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。
これは、図20に示されるとおりの結果が特に明らかであった。ヒト及びカニクイザル(cynomologus)の両方のPBMCにおいて、TregでIgG.IL2D49A.H1によるpSTAT5活性化が見られ、これはCD8 Tエフェクターではほとんど見られなかった。
実施例14:IgG.IL2D49A.H1はインビトロで機能性安定Tregを拡大する
Treg選択性の改善には機能的効果が伴う。IgG.IL2D49A.H1で拡大したTregは、Proleukin(登録商標)で拡大したTregと比べて同等か又はより良好なTエフェクターの抑制因子である。このアッセイのため、Ficoll−Hypaque勾配(GE HealthCare カタログ番号17−1440−03)で遠心することにより全血からヒトPBMCを精製した。PBMCをRBC溶解させた(Amimed カタログ番号3−13F00−H)。EasySep CD4+ T細胞エンリッチメントキット(StemCell Technologies カタログ番号19052)を使用してCD4+ T細胞をエンリッチした。エンリッチしたCD4+をV500抗CD4(クローンRPAT4)、PerCP−Cy5.5抗CD127(及びAPC抗CD25で染色し、CD4+CD127−CD25+天然調節性T細胞(nTreg)及びCD4+CD127+CD25− Tレスポンダー(Tresp)を単離するため選別した。選別したTregを培地を満たした96ウェル丸底マイクロプレートにレプリケートでプレーティングし(1×10/100μl/ウェル)、等モルIL2濃度の1又は0.3nM Proleukin(登録商標)又はIgG.IL2D49A.H1の存在下において3:1のビーズ対細胞比でマイクロビーズによって刺激した。37℃で24時間インキュベートした後、ウェルに同じIL2濃度を含む100μl培地を補充した。3日目、培養物を懸濁し、半分に分割し、同じIL2濃度を含む100μl培地を補充した。6日目、培養物を3日目と同じく処理した。8日目、細胞を回収し、チューブにプールし、チューブをマルチスタンド磁石上に1〜2分間置くことによりビーズを除去した。細胞を含有する上清を収集し、室温下200gで5分間遠心した。次に細胞をカウントし、元のIL2濃度の5分の1を含む培地を補充した48ウェル平底マイクロプレートに約5×10/mlで再びプレーティングした。2日間静置した後、細胞を回収し、カウントし、分析するか、又は抑制アッセイに使用した。拡大したTreg及び新鮮に解凍したCD4+CD127+CD25− Tレスポンダー(Tresp)細胞をそれぞれ0.8μM CTViolet(Life Technologies カタログ番号C34557)及び1μM CFSE(Life Technologies カタログ番号C34554)で製造者の指示に記載されるとおり標識した。拡大したTregの抑制特性を評価するため、3×10 CFSE標識Trespを単独で、又はCTViolet標識Tregと共に(異なるTresp:Treg比)トリプリケートでプレーティングし、Dynabeadsによって1:8のビーズ対細胞比で刺激した(最終容積200μl/ウェル)。4〜5日後、細胞を収集し、レスポンダー細胞の増殖をフローサイトメトリーによって判定した。
新鮮な拡大したTregにおいて、Tresp細胞と比較してメチル化状態を判定した。QiagenからのAllprep(登録商標)DNA/RNA Mini(カタログ番号80204)を使用して>5.00E+05細胞からゲノムDNA(gDNA)を単離した。次に、SigmaからのImprint(登録商標)DNA修飾キット(カタログ番号MOD50)を使用して200ngのgDNAを処理し、非メチル化シトシンをウラシルに変換した(一方でメチル化シトシンは変化しないままとした)。次に、EpiTect MethyLight(登録商標)PCR+ROX(Qiagen カタログ番号59496)、Epitect対照DNA(Qiagen カタログ番号59695)、標準メチル化(Life Technologies、カタログ番号12AAZ7FP)及び非メチル化(Life Technologies、カタログ番号12AAZ7FP)プラスミド、Treg特異的脱メチル化領域(TSDR)、メチル化及び非メチル化フォワード及びリバースプライマー、及びプローブ(MicroSynth)を利用した配列特異的プローブベースのリアルタイムPCRを用いて8ngの亜硫酸水素変換gDNAに関して定量的メチル化を判定した。メチル化%はEpiTect MethyLight(登録商標)PCRハンドブックに記載されるとおり計算した。
図21は、Proleukin(登録商標)及びIgG.IL2D49A.H1で拡大したTregによるFoxp3遺伝子座の安定脱メチル化をグラフで示す。インビトロでIgG.IL2D49A.H1によって拡大したヒトTregはFoxp3発現及び脱メチル化によって安定し、これが安定Treg細胞につながる。
実施例15:インビトロでIgG.IL2D49.H1によるIL−2Rシグナル伝達に対する効力はヒトNKにおいて低下した
IgG.IL2D49A.H1は等モル濃度のProleukin(登録商標)と比較してNK細胞におけるシグナル伝達効力の低下を示した。PBMC細胞を無血清試験培地中に静置し、各ウェルに加えた。ウェルにIgG.IL2D49A.H1又はProleukin(登録商標)のいずれかを加え、37℃で20分間インキュベートした。20分後、細胞を1.6%ホルムアルデヒドで固定し、洗浄し、表面マーカーで染色した。室温で30分後、試料を洗浄し、再懸濁した細胞ペレットを−20℃メタノールで透過処理し、洗浄して、STAT5及びDNAインターカレーターで染色した。細胞をCytofにかけ、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。結果は図22に示し、ここでIgG.IL2D49A.H1はNK細胞にほとんど乃至全く効果を及ぼさなかった。対照的に、Proleukin(登録商標)治療は、Proleukin(登録商標)治療の望ましくない副作用として、NK細胞上のpSTAT5活性を増加させた。
実施例16:IgG.IL2D49A.H1の薬物動態(PK)、薬力学(PD)、及び毒性効果の判定
カニクイザルにおけるIgG.IL2D49A.H1は、薬物動態の延長、Tエフェクター細胞よりも優先的な優れたTreg拡大及び低用量Proleukin(登録商標)よりも低い毒性を示した。この非臨床的実験室試験は、Novartis実験動物委員会(Animal Care and Use Committee)が承認済みの一般的プロトコル第TX 4039号、本プロトコル及び施設内標準実施要領(Standard Operating Procedures:SOP)に従い行われた。
試験初日に動物にIgG.IL2D49A.H1又はProleukin(登録商標)のいずれかを皮下投与した。試験における各用量レベルで全ての動物から血液を採取した。投与1日前、投与後1時間、6時間及び12時間、その後2、3、4、5、6、7、8、10、12日目。薬物動態学及び薬力学用の血液試料は全て遠心し、血漿試料を入手した。得られた血漿試料を単一ポリプロピレンチューブに移し、−70℃以下で凍結した。全ての試料を分析し、血漿中のIgG.IL2D49A.H1及びProleukin(登録商標)の濃度を免疫アッセイを用いて測定した。半減期などの薬物動態パラメータを計算し、薬力学用にFACSによって細胞の免疫表現型を決定した。IL−2/IL−2 Gyrosアッセイプロトコルは以下のとおりである。各試料はデュプリケートで実行し、デュプリケートの分析の各々に5μLの1:20希釈した試料が必要であった。捕捉抗体はヤギ抗ヒトIL−2ビオチン化抗体(R&D Systems BAF202)であり、Alexa 647抗ヒトIL−2、クローンMQ1−17H12(Biolegend 500315)LOQ:0.08ng/mlで検出し、イムノアッセイは全て、Gyrolab Bioaffy200(登録商標)をGyros CD−200(登録商標)と共に使用して行った。
図23は、IgG.IL2D49A.H1とProleukin(登録商標)との対比を示す。IgG.IL2D49A.H1は12時間の半減期を有し、一方、Proleukin(登録商標)は3時間の半減期を有する。IgG.IL2D49A.H1の半減期の延長に伴いTreg活性が増加し、好酸球増加毒性がはるかに低くなる。
実施例17:IgG.IL2D49A.H1はProleukin(登録商標)を上回る半減期の延長を示す
IgG.IL2D49A.H1は、単回投与後にProleukin(登録商標)の4時間の半減期と比較して約12時間の半減期を示した。ナイーブCD−1動物に静脈内又は皮下投与し、投与前、投与後1時間、3、7、24、31、48、55及び72時間に全ての動物から血液を採取した。血液試料を遠心し、血漿試料を入手した。得られた血漿試料を単一ポリプロピレンチューブに移し、−80℃で凍結した。全ての試料を分析し、IgG.IL2D49A.H1の血漿中濃度をイムノアッセイを用いて測定した。IL−2/IL−2 Gyrosアッセイプロトコルは以下のとおりである。各試料はデュプリケートで実行し、デュプリケートの分析の各々に5μLの1:20希釈した試料が必要であった。捕捉抗体はヤギ抗ヒトIL−2ビオチン化抗体(R&D Systems BAF202)であり、Alexa 647抗ヒトIL−2、クローンMQ1−17H12(Biolegend 500315)LOQ:0.08ng/mlで検出し、イムノアッセイは全て、Gyrolab Bioaffy200(登録商標)をGyros CD−200(登録商標)と共に使用して行った。このアッセイは、実施例16の半減期の決定を更に展開したものである。このアッセイの結果は図24に示し、ここでIgG.IL2D49A.H1の半減期は12〜14時間であると決定され、これは4時間の半減期を有するProleukin(登録商標)と対照的である。
実施例18:異種GvHDマウスにおいてヒトTregは拡大するが、Tエフェクター又はNK細胞は拡大しない
IgG.IL2D49A.H1は異種GvHDモデルにおいてTエフェクター又はNK細胞と比べてTregを選択的に拡大するが、Proleukin(登録商標)ではこれはない。NOD−scid IL2Rγヌルマウス(NSG)に健常ドナーからのhPBMCを腹腔内注射によって注射した(HemaCare Corp)。注射24時間後、動物にIgG.IL2D49A.H1 1回/週又はProleukin(登録商標)5回/週を試験期間中にわたって毎週投与した。試験期間中にわたって体重を週2回モニタした。初回投与の28日後に各群4匹のマウスを回収し、脾臓を処理して単一細胞懸濁液を入手し、RPMI(10%FBS)で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液で溶解させて、細胞を細胞数及び生存率に関してカウントした。標準プロトコルに基づきFACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を用いてFACS染色を実施した。細胞を表面抗体で染色し、続いて固定/透過処理し、抗マウス/ラットFoxP3染色セットPE(Ebioscience #72−5775)に従いFoxP3に関して染色した。細胞をBD LSR Fortessa(登録商標)で分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。倍数値及び比は各脾臓絶対数から計算した相対数に基づく。図25は、IgG.IL2D49A.H1がこのマウスモデルにおいてProleukin(登録商標)よりもはるかに良好にTreg細胞を拡大し、またTcon及びNK細胞の望ましくない拡大も低減することを示している。
異種GvHDマウスをIgG.IL2D49.H1で治療し、それにヒトPBMC(外来細胞)を注射したとき、マウスは治療経過中、正常体重を維持した。対照的に、Proleukin(登録商標)で治療したマウスには重篤な体重減少があった。体重は試験期間中にわたって週2回モニタし、パーセント体重は、登録時点における動物の初期体重を考慮に入れて計算した。この改善は、このモデルにおいてIgG.IL2D49A.H1がTreg増強に及ぼす効果と関連付けられ、データは図26にグラフで示す。このデータは、IgG.IL2D49A.H1及び他の抗体サイトカイングラフト化タンパク質がより高い治療指数及び安全性の幅を有することを示している。
実施例19:IgG.IL2D49A.H1はNODマウス糖尿病モデルにおいて1型糖尿病の発症を予防する
非肥満糖尿病(NOD)マウスは1型糖尿病を自然発症し、ヒト1型糖尿病の動物モデルとして用いられることが多い。前糖尿病NOD雌に等モルのProleukin(登録商標)(週3回)及びIgG.IL2D49A.H1(1回/週)を腹腔内注射によって投与した。試験の継続期間中(初回投与後4ヵ月)、血糖及び体重に関してマウスを週2回モニタした。図27は、IgG.IL2D49A.H1治療マウスが低血糖値を維持することを示す。このように、IgG.IL2D49A.H1で治療したマウスでは顕性1型糖尿病(T1D)に進行しなかった。対照的に、Proleukin(登録商標)治療マウスは初めは低血糖値であったが、しかしこれは時間が経つと上昇し、1型糖尿病の症状をもたらした。
実施例20:前糖尿病NODマウスにおける低用量Proleukin(登録商標)と比べたIgG.IL2D49A.H1
IgG.IL2D49A.H1はNODマウスモデルにおいて3用量のProleukin(登録商標)と比較して1用量で優れたTreg拡大、より良好な忍容性及び有害事象なしを示した。前糖尿病NOD雌に低用量等モルProleukin(登録商標)(週3回)及びIgG.IL2D49A.H1(1回/週)を腹腔内注射によって投与した。初回投与後4日で各群4匹のマウスを取り、脾臓を処理して単一細胞懸濁液を入手し、RPMI(10%FBS)で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液で溶解させて、細胞を細胞数及び生存率に関してカウントした。標準プロトコルに基づきFACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を用いてFACS染色を実施した。細胞を表面抗体:ラット抗マウスCD3−BV605(BD Pharmingen #563004)、ラット抗マウスCD4−パシフィックブルー(BD Pharmingen #558107)、ラット抗マウスCD8−PerCp(BD Pharmingen #553036)、CD44 FITC(Pharmingen #553133)ラット抗マウスCD25−APC(Ebioscience #17−0251)で染色し、続いて固定/透過処理し、抗マウス/ラットFoxP3染色セットPE(Ebioscience #72−5775)に従いFoxP3に関して染色した。細胞をBD LSR Fortessa(登録商標)又はBD FACS LSR II(登録商標)で分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。倍数値及び比は各脾臓絶対数から計算した相対数に基づく。IgG.IL2D49A.H1の単回用量の投与は、図28に示されるとおり、NODマウスモデルにおいてProleukin(登録商標)の反復投与よりも大きいTreg拡大を示した。
実施例21:NODマウスモデルにおける効果的用量のIgG.IL2D49A.H1の薬物動態
1.3mg/kg及び0.43mg/kgのIgG.IL2D49A.H1の薬物動態を1用量後に48時間まで血漿中でアッセイした。前糖尿病10週齢NODマウスに2つの異なる濃度のIgG.IL2D49A.H1を腹腔内投与し、投与後1時間、3、7、24及び48時間に全ての動物から血液を採取した。血液試料を遠心し、血漿試料を入手した。得られた血漿試料を単一ポリプロピレンチューブに移し、−80℃で凍結した。Gyrosプラットフォームに適合させた3つの異なる方法:1)IL2ベースの捕捉及び検出、2)IL2ベースの捕捉及びhFcベースの検出、及び3)hFcベースの捕捉及び検出を用いて各試料を分析することによりIgG.IL2D49A.H1血漿濃度を検出した。
各試料はデュプリケートで実行し、デュプリケートの分析の各々に5μLの1:20希釈した試料が必要であった。Gyros IL−2/IL−2アッセイは捕捉ヤギ抗ヒトIL−2ビオチン化抗体(R&D Systems BAF202)を使用し、Alexa 647抗ヒトIL−2、クローンMQ1−17H12(Biolegend 500315)で検出する。IL−2/Fc検出には、捕捉ヤギ抗ヒトIL−2ビオチン化抗体(R&D Systems BAF202)を使用し、検出には、Alexa 647ヤギ抗ヒトIgG、Fc特異的(Jackson ImmunoResearch 109−605−098)抗体を使用する。ヒトFc/Fcアッセイには、捕捉ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG、Fc特異的(Jackson ImmunoResearch #109−065−098)を使用した。検出工程にはAlexa 647ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ特異的(Jackson ImmunoResearch #109−605−098)を使用した。イムノアッセイは全て、Gyrolab Bioaffy200(登録商標)をGyros CD−200と共に用いて行った。このマウスモデルにおける定量限界(LOQ)は、図29に示されるとおり48時間である。図30においてこれをProleukin(登録商標)及びIL2−Fc融合タンパク質と比較する。このグラフは、IgG.IL2D49.H1などの抗体サイトカイン(cyokine)グラフト化タンパク質についてLOQがより高いことを示している。
実施例22:前糖尿病NODマウスにおける用量範囲設定
IgG.IL2D49A.H1は、同じ等モル濃度のProleukin(登録商標)と比較したときCD4 Tcon及びCD8 Tエフェクターのいずれよりも優先的な優れたTreg拡大を示した。最も高いProleukin(登録商標)群では死亡などの有害事象が認められ、いずれの用量のIgG.IL2D49.H1で治療したマウスにも死亡は見られなかった。
前糖尿病NOD雌に低用量等モルIL−2(週3回)及びIgG.IL2D49A.H1(1回/週)を腹腔内注射によって投与した。初回投与後8日で各群3匹のマウスを安楽死させ、脾臓を摘出した。脾臓を処理して単一細胞懸濁液を入手し、RPMI(10%FBS)で洗浄した。血液を採取し、赤血球を赤血球溶解緩衝液で溶解させて、細胞を細胞数及び生存率に関してカウントした。標準プロトコルに基づきFACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を用いてFACS染色を実施した。細胞を表面抗体で染色し、続いて固定/透過処理し、抗マウス/ラットFoxP3染色セットPE(Ebioscience #72−5775)に従いFoxP3に関して染色した。細胞をBD LSR Fortessa(登録商標)で分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。比は、各脾臓から計算した相対細胞数に基づく。このデータは図31に提供される。この表は抗体サイトカイングラフト化タンパク質の用量範囲フォーマットを提供する。これはまた、投与がより広い範囲にわたって良好に忍容されたことに伴いIgG.IL2D49A.H1がProleukin(登録商標)よりも高い治療指数を有したことも実証する。対照的に、高用量のProleukin(登録商標)の投与ではマウスに罹患及び死亡が生じた。
実施例23:ヒトPBMC上でのSTAT5シグナル伝達
IgG.IL2D49A.H1は、健常ドナーヒトPBMC並びに自己免疫性ドナーからのPBMCにおいてTcon及びNKよりも優先的にTreg活性化に選択的であった。STAT5シグナル伝達効力は、IgG.IL2D49.H1によるインビトロ治療後にTconでは低下したが、Tregでは低下しなかった。健常及び自己免疫性患者からのヒトPBMC(Hemacare Corp)細胞を無血清試験培地に静置し、各ウェルに加えた。ウェルにIgG.IL2D49A.H1を加え、37℃で20分間インキュベートした。20分後、細胞を固定し、表面マーカーで染色し、透過処理し、STAT5抗体(BD Biosciences)で製造者の指示に従い染色した。細胞をBD LSR Fortessa(登録商標)で分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。図32のデータは、ヒト白斑患者から採取したPBMCのIgG.IL2D49A.H1治療について、Treg活性が維持された一方で、NK、CD4 Tcon、又はCD8 Tエフェクター細胞の活性化がほとんどなかったことを示している。この結果はまた、SLE及び橋本病患者から採取されたPBMCにおいても観察された(データは示さず)。図33は、1型糖尿病(Type 1 Diabeties)(T1D)のヒト患者から採取してIgG.IL2D49A.H1及びProleukin(登録商標)で治療したPBMCにおいて、NK細胞、CD8 Tエフェクター細胞又はCD4 Tcon細胞上のpSTAT5活性が大きく低下していたことを示している。IgG.IL2D49A.H1治療が正常PBMCで有効であったと共にT1D患者から採取されたPBMCで良好に忍容されたことに伴い、これは、患者がインスリン療法を受けている場合であっても、抗体サイトカインタンパク質がT1Dの治療において有用となるであろうことを示している。これは、IgG.IL2D49A.H1がこれらの免疫関連障害を有する患者で良好に忍容されるであろうこと、及びこれらの免疫関連障害への対処において有効であることを示している。
実施例24:抗体サイトカイングラフト化タンパク質の結合
抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、臨床セッティングで利用されている種々の既知の免疫グロブリン配列並びに生殖細胞系列抗体配列を使用して調製した。使用した抗体のうちの1つはその抗原としてRSVを有する。IL2をこの抗体のCDRにグラフト化するとRSVへの結合が低下又は消失したかどうかを決定するため、PBS又は炭酸塩緩衝液のいずれかにおいてRSVタンパク質に関するELISAアッセイを行った。図34に示すとおり、これはIL2グラフト化にどのCDRを選択したかに影響を受けるように見える。例えば、IgG.IL2D49A.H1は、元の非グラフト化(非修飾)抗体と同様のRSV結合を有する。対照的に、IL2をCDR3の軽鎖(CDR−L3)又はCDR−H3にグラフト化すると、結合が低下する。予想どおり、IgEを標的とするGFTX抗体足場にグラフト化したIL2は結合を生じない。これは、抗体サイトカイングラフト化タンパク質が抗体足場の元の標的に対する結合を保持し得ること、又はこの結合が低下し得ることを実証している。
実施例25:非ヒト霊長類におけるTreg拡大
IgG.IL2D49A.H1を2用量群(3匹の雄/群)間で交互に4週間の無投与間隔を伴い与える2つの単回漸増皮下投与でカニクイザルに投与した。この後、緩衝液又は5mg/kg IgG.IL2D49A.H1の6回の皮下用量(隔日で2週間)を受けた2群(3匹の雄/群)における2週間複数回投与相が続いた。「単回投与相」(29日の間隔を空けて2用量が投与された)からのフローサイトメトリー(免疫表現型タイピング)によって評価したリンパ球集団の変化を図35に示す。125及び375μg/kg用量では、Tcon又はNK細胞に対する明らかな効果は何らなしに、Treg絶対数の3〜4倍及び最大5.5倍の増加が観察された。最大のTreg拡大は4日目に見られたと共に、Treg数は10日目までにほぼベースラインに戻る。IgG.IL2D49A.H1は安全で且つ良好に忍容され、死亡、臨床徴候、又は体重、摂食量、サイトカインレベル若しくは臨床病理の変化はなかった。更に、この試験において最高2.4mg/kgの単回投与後又は2週間にわたる5mg/kgの隔日の複数回投与後に心血管効果(ECG又は血圧)は観察されなかった。血液漏出の徴候又は他のCV関連所見はなかった。
実施例26:IgG.IL2R67A.H1活性及び半減期の延長
R67A又はF71Aムテインのいずれかを含むIL2を、LCDR−1、LCDR−2、LCDR−3及びHCDR−1、HCDR−2及びHCDR−3に対応する6つ全てのCDRにグラフト化した。図36の表から、CDR2の軽鎖にグラフト化されたIL2(GFTX3b−IL2−L2)が発現しなかったことを含め、抗体サイトカイングラフト化タンパク質がその活性の点で異なることが明らかである。また、Fc機能の改変(例えばFcサイレント)を伴いHCDR1にグラフト化したときのIL2がCD8+ Tエフェクターの拡大に関してより良好な生物学的結果を有したことも観察された。
半減期決定のため、ナイーブCD−1マウスにI.P.投与し、投与前、投与後1時間、3、7、24、31、48、55及び72時間で全ての動物から採血した。血液試料を遠心し、血漿試料を入手した。得られた血漿試料を単一のポリプロピレンチューブに移し、−80℃で凍結した。全ての試料を分析し、IgG.IL2R67A.H1の血漿濃度をイムノアッセイを用いて測定した。半減期などの薬物動態パラメータを計算した。各試料はデュプリケートで実行し、デュプリケート分析の各々には、1:20希釈した5μLの試料が必要であった。捕捉:ヤギ抗ヒトIL−2ビオチン化抗体(R&D Systems BAF202)検出:Alexa 647抗ヒトIL−2、クローンMQ1−17H12(Biolegend 500315) イムノアッセイは全て、Gyrolab(登録商標)Bioaffy200をGyros CD−200と共に使用して行った。図37のグラフに示されるとおり、IgG.IL2R67A.H1の半減期は約12時間であり、次にその後48時間かけて減少する。Proleukin(登録商標)半減期は、その半減期が約4時間であるため、このグラフには図示できなかった。
実施例27:IgG.IL2R67A.H1は正常B6マウスにおいてCD8 Tエフェクターを選択的に拡大し、且つIL−2 Fc又はProleukin(登録商標)よりも良好に忍容される
IgG.IL2R67A.H1は、Tregと比べてProleukin(登録商標)投与で見られる有害事象を引き起こすことなくCD8 Tエフェクターを増大させる。1日目のマウスへの投与後、4日目、8日目及び11日目にCD8 Tエフェクターの拡大をモニタした。各時点でCD8 Tエフェクター細胞集団は大幅に拡大し、Tregの拡大はなかった。これは、等モル用量のIL−2で死亡及び罹患が観察されたProleukin(登録商標)及びIL−2Fc融合物と対照的であった。
B6雌マウスにProleukin(登録商標)(週5回)、IL−2 Fc及びIgG.IL2R67A.H1(1回/週)を等モル濃度で投与した。初回治療から8日後、脾臓を処理して単一細胞懸濁液を入手し、RPMI(10%FBS)で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液(Sigma #R7757)で溶解させて、細胞数及び生存能に関して細胞をカウントした。標準プロトコルに基づきFACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を使用してFACS染色を実施した。細胞を表面抗体:ラット抗マウスCD3−efluor450(Ebioscience #48−0032)、ラット抗マウスCD4−パシフィックブルー(BD Pharmingen #558107)、ラット抗マウスCD8−PerCp(BD Pharmingen #553036)、ラット抗マウスCD44 FITC(Pharmingen #553133)、ラット抗マウスCD25−APC(Ebioscience #17−0251)、ラット抗マウスNk1.1(Ebioscience #95−5941)で染色し、続いて固定/透過処理し、抗マウス/ラットFoxP3染色セットPE(Ebioscience #72−5775)に従いFoxP3染色した。細胞をBecton−Dickinson LSR Fortessa(登録商標)又はBecton−Dickinson FACS LSR II(登録商標)で分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。
図38A〜図38Cは、Proleukin(登録商標)(週5回)、IL2−Fc及びIgG.IL2R67A.H1(1回/週)をProleukin(登録商標)等モル濃度(IgG.IL2R67A.H1/IL2−Fc 100μg 約1nmol IL2当量)で投与した後のB6雌マウスにおけるCD8 Tエフェクター細胞の優先的拡大を示す。これらのグラフのデータは、CD8 Tエフェクター細胞がTregの同様の増殖を伴うことなく増殖することを実証している。このデータは、CD8 Tエフェクター及びTregの両方を拡大したProleukin(登録商標)と対照的である。IgG.IL2R67A.H1がCD8 Tエフェクター細胞拡大の絶対数及びCD8 Tエフェクター細胞:Treg比の両方の点でIL2−Fc融合構築物より優れていたことに留意されたく、IgG.IL2R67A.H1構築物に構造的及び機能的基礎があることを実証している。図38D〜図38Fは、IgG.IL2R67A.H1の有益な効果が高用量ほど一層明らかであることを示す。500μg(5nmol IL2当量)のIgG.IL2R67A.H1をB6マウスに投与したとき、低用量と同様に、Treg細胞と比べたCD8 Tエフェクター細胞の優先的拡大が見られた。しかしながら、IL2−Fc治療群では、より高レベルのときマウスは僅か単回の投与後に死亡しているのが見つかった(データは示さず)。このことから、IgG.IL2R67A.H1がIL2−Fc融合構築物よりも高い治療指数を有し、より幅広い投薬量範囲で安全に投与できることが指摘される。
実施例28:IgG.IL2R67A.H1はNODマウスにおいてCD8 Tエフェクター細胞を選択的に拡大し、且つProleukin(登録商標)よりも良好に忍容される
非肥満糖尿病(NOD)マウスは1型糖尿病を自然発症し、ヒト1型糖尿病の動物モデルとして使用されることが多い。実施例27に記載されるB6マウスについての同じプロトコルを用いて、IgG.IL2R67A.H1、IL2−Fc及びProleukin(登録商標)をProleukin(登録商標)等モル当量でNODマウスに投与した。この場合もやはり、図39Aのグラフに示されるとおり、この用量のIgG.IL2R67A.H1の投与はTregと比べてCD8 Tエフェクター細胞を優先的に拡大した。加えて、IgG.IL2R67A.H1の投与はNODマウスにおいて有害事象を示さなかったが、Proleukin(登録商標)治療群では5匹の瀕死マウス及び2匹の死亡があった。図39Bは、NODマウスモデルからの投薬量、細胞変化倍数及び細胞型を報告するグラフである。
実施例29:IgG.IL2R67A.H1はCT26結腸腫瘍マウスモデルにおいて単剤有効性を示す
IgG.IL2R67A.H1の安全性を調べた後、CT26マウスモデルでその単剤有効性を試験した。マウスCT26細胞株は、500を超える既発表の研究で使用されている、急速に成長するグレードIV結腸癌細胞株であり、薬剤開発においてよく使用されるモデルの1つである。
CT26(ATCC CRL−2638)細胞を5%COの37℃インキュベーターにおいて無菌条件で成長させた。細胞は、10%FBSを補足したRPMI 1640培地で培養した。細胞は3〜4日毎に継代した。注射当日、細胞を回収し(継代11代目)、HBSS中に2.5×106/mlの濃度で再懸濁した。細胞をマイコプラズマ及びマウスウイルスに関してRadil試験した。Balbcマウスを使用した。各マウスにつき0.25×106細胞を28g針(100μl注射容積)を使用して右側腹部に皮下注射で移植した。移植後、腫瘍が触知可能になったら、動物を週3回ノギスで測り、秤量した。ノギス測定値は(L×W×W)/2を用いて計算した。マウスには通常食を与え、実験動物の管理と使用に関する指針(Guide for Care and Use of Laboratory Animals)及び動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)の規定に従いSPF動物施設で飼育した。
腫瘍が約100mmに達したとき、マウスに12.5〜100μgのIgG.IL2R67A.H1を腹腔内経路によって投与した。腫瘍を週2回測定した。Prism 5(GraphPad(登録商標))ソフトウェアを使用して平均腫瘍容積をプロットした。腫瘍サイズが1000mmの容積に達したとき、有効性試験のエンドポイントが実現した。注射後、マウスはまた、臨床的増悪の徴候についても注意深くモニタした。マウスが何らかの理由で、呼吸窮迫、背弯姿勢、活動性低下、後肢完全麻痺、胸水の徴候としての頻呼吸、20%又は15%に近い体重減少+他の徴候を含めた何らかの病的状態の徴候を示した場合、又は通常の活動(摂餌、移動)を行う能力が損なわれた場合、マウスは安楽死させた。
20日間試験で17日間にわたるIgG.IL2R67A.H1の4回の投与としたとき、IgG.IL2R67A.H1はCT26マウスモデルにおいて12.5μg〜100μgの範囲の用量で効果的であった。図40に示される腫瘍容積曲線は、腫瘍容積が15日間にわたり200mm未満に保たれ、次に残りの5日間は400mm未満に保たれたことに伴い、本試験におけるIgG.IL2R67A.H1の有効性を示すものである。
実施例30:IgG.IL2R67A.H1及び追加的な癌療法薬はB16マウスモデルにおいて有効性を示す
他の癌療法薬と併用したIgG.IL2R67A.H1の有効性を評価するため、B16F10メラノーママウスモデルを使用した。B16F10細胞(ATCC CRL−6475)を5%COの37℃インキュベーターにおいて無菌条件で2週間成長させた。B16F10細胞はDMEM+10%FBS中で培養した。細胞を回収し、FBS不含培地DMEMに1×106/100μlの濃度で再懸濁した。B16F10細胞をマイコプラズマ及びマウスウイルスに関してRadil試験した。28ゲージ針(100μl注射容積)を使用して細胞をB6マウスの右側腹部に移植した。移植後、腫瘍が触知可能になったらマウスを週2回ノギスで測り、秤量した。ノギス測定値は(L×W×W)/2を用いて計算した。
この試験では、IgG.IL2R67A.H1を単剤として、又は抗TRP1抗体(Trp1はB16F10細胞に高度に発現する)であるTA99抗体との併用で使用した。IL2−Fc融合物を単剤として、又はTA99抗体との併用で投与した。対照として、TA99抗体を単剤として投与した。
意外にも、このモデルでは、500μg用量の単剤として投与したときのIgG.IL2R67A.H1が最も効果的な治療であった(図41)。次に良い治療は、IgG.IL2R67A.H1(100μg)とTA99との併用であった。この併用は、100μgの単剤としてのIgG.IL2F71A.H1、500μgのIgG.IL2F71A.H1と併用したTA99、及び単剤としての、又はIL2−Fc/TA99併用としてのIL2−Fcよりも効果的であった。TA99を単剤として投与したとき効果はなく、平均腫瘍容積は未治療の対照と同程度であった。このデータは、IgG.IL2R67A.H1がメラノーママウス腫瘍モデルにおいて単剤として効果的であるが、それがまた、別の抗癌剤と組み合わせたときも効果的であることを実証している。
実施例31:ヒト細胞におけるIgG.IL2R67A.H1及びIgG.IL2F71A.H1の活性
ヒトCD8 Tエフェクターに対するIgG.IL2R67A.H1の活性を試験するため、ヒト末梢血単核球(PBMC)をpSTAT5活性に関してアッセイした。PBMC細胞を無血清試験培地中に静置し、プレーティングした。PBMCにIgG.IL2R67A.H1、IgG.IL2F71A.H1又はProleukin(登録商標)を加え、37℃で20分間インキュベートした。20分後、細胞を1.6%ホルムアルデヒドで固定し、洗浄し、表面マーカーで染色した。室温で30分後、試料を洗浄し、再懸濁した細胞ペレットを−20℃メタノールで透過処理し、洗浄し、pSTAT5及びDNAインターカレーターに関して染色した。細胞をCytof(登録商標)にかけ、データをFlowJo(商標)ソフトウェアで分析することによりpSTAT5活性レベルを定量化した。図42の表は、IgG.IL2R67A.H1がヒトCD8 Tエフェクター細胞に対して有する、且つTreg細胞の活性化を最小限に抑える優先的活性化を実証する。
実施例32:抗体サイトカイングラフト化タンパク質の結合
臨床的セッティングで利用されている種々の公知の免疫グロブリン配列並びに生殖細胞系列抗体配列を使用して抗体サイトカイングラフト化タンパク質を調製した。使用した抗体のうちの1つはその抗原としてRSVを有する。IL2をこの抗体のCDRにグラフト化するとRSVへの結合が低下又は消失したかどうかを決定するため、RSVタンパク質をPBS又は炭酸塩緩衝液のいずれかでELISAアッセイにかけた。図43に示されるとおり、これはIL2グラフト化にどのCDRを選択したかによって影響を受けるように見える。例えば、IgG.IL2R67A.H1は、元の非グラフト化(非修飾)抗体と同様のRSV結合を有する。対照的に、IL2をCDR3の軽鎖(CDR−L3)又はCDR−H3にグラフト化すると、結合は低下する。予想どおり、IgEを標的とするGFTX抗体足場にグラフト化したIL2は結合を生じない。これは、抗体サイトカイングラフト化タンパク質が抗体足場の元の標的に対する結合を保持し得ること、又はこの結合を低減し得ることを実証している。
実施例33:ヒトPBMCにおけるIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビトロ活性
CyTOFは、マスサイトメトリーを組み合わせるFACSベースの方法であり、フローサイトメトリー技術を飛行時間型誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)と共に取り込む。これは、単一細胞からの40を超えるパラメータの検出及び定量化を同時に行うことが可能である。これは、特異的細胞表面又は細胞内分子に対する希土類金属コンジュゲートモノクローナル抗体を利用する。CyTOFを用いて、IL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質に関してpSTAT1、pSTAT3、pSTAT4、及びpSTAT5検出により評価したヒトPBMCにおけるインビトロシグナル伝達試験を実施した。
IL−6のモル当量のアイソタイプ対照、IL−6グラフト(IgG.IL−6.L2、IgG.IL−6.L3、IgG.IL−6.H2及びIgG.IL−6.H3)、又は天然IL−6でヒトPBMCを30分間処理した。細胞を1.6%PFAで固定して、シグナル伝達分子のリン酸化状態を保存した。次に、特異的系統に対する細胞表面受容体とJAK/Stat経路の細胞内シグナル伝達分子との組み合わせで細胞を染色した。次に試料を入手し、CyTOFで分析した。結果は、IL−6グラフトが天然IL−6と同程度の生物活性を有することを示している(図44)。IL−6グラフトはまた、同様の細胞集団(CD8及びCD4 T細胞)に対し、及び同じJAK/Stat経路を通じてシグナルを送る。
実施例34:C57Bl6 DIOマウスにおけるIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性
マウスの免疫細胞をCyTOF分析にかけた。マウスインビボ研究については、C57/Bl6 DIOマウスに5mg/kgのIgG.IL−6.L3、IgG.IL−6.H2及びIgG.IL−6.H3を1回皮下投与し、ナイーブマウスと比較した。2用量後に全血を採取し、1.6%PFAで固定してシグナル伝達分子のリン酸化状態を保存した。次に、特異的系統に対する細胞表面受容体とJAK/Stat経路の細胞内シグナル伝達分子との組み合わせで細胞を染色した。次に試料を入手し、CyTOFで分析した。
図45のグラフに示されるとおり、IL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、pSTAT1、及びpSTAT3レベルによって測定したとき、CD8及びCD4 T細胞の両方を刺激した。pSTAT3レベルによって測定したとき、単球の刺激もまた観察された。
実施例35:IL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質の薬物動態学及び薬力学判定
C57Bl/6 DIOマウスにおいて抗体サイトカイングラフト化タンパク質の半減期を評価した。抗体サイトカイングラフト化タンパク質を0.9%生理食塩水中0.5、2、5及び10mg/kg(10ml/kg用量容積)で皮下注射し、注射後2時間から始まって注射後240時間まで血液を試料採取した。各時点で全血をヘパリン処理済みチューブに採取し、4℃において12,500rpmで10分間遠心した。血漿上清を回収し、全時点を収集し終えるまで−80℃で保存した。3つの異なるイムノアッセイ方法を用いて血漿中の抗体サイトカイングラフト化タンパク質レベルを測定し、抗体サイトカイングラフト化タンパク質のIL−6及び抗体ドメインの両方の検出を可能にした。第1のアッセイは、インハウスビオチン標識ヤギ抗ヒトIL−6捕捉(R&D Systems AF−206−NA)及びalexafluor 647ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ特異的検出(Jackson ImmunoResearch #109−605−098)からなった。第2のアッセイは、ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ特異的検出(Jackson ImmunoResearch #109−065−098)及びalexafluor 647ヤギ抗ヒトIgG、Fcγ特異的検出(Jackson ImmunoResearch #109−605−098)からなった。及び第3のアッセイは、インハウスビオチン標識ヤギ抗ヒトIL−6捕捉(R&D Systems AF−206−NA)及びインハウスalexafluor 647標識抗ヒトIL−6検出(R&D Duoset DY206−05 Part# 840113)からなった。3つのアッセイは全て、GyroLab(登録商標)xPワークステーション(Gyros AB Uppsala、スウェーデン)で実行した。アッセイは200nL CD(Gyros #P0004180)でGyros承認ウィザード方法を用いて実行した。使用した緩衝液は標準及び試料希釈についてRexxip A(登録商標)(Gyros #P0004820)及び検出調製についてRexxip F(登録商標)(Gyros #P0004825)であった。結果の分析はGyrolab(登録商標)データ分析ソフトウェアを使用して行った。図46A〜図46Bに示すとおり、IgG.IL−6.H2及びIgG.IL−6.H3は12〜14時間の半減期を示し、両方とも天然IL−6より長い。
半減期の延長と一致して、抗体サイトカイングラフト化タンパク質はまた、薬力学の向上も実証した。皮下投与後に標的組織(筋肉及び脂肪)においてIL−6活性化のマーカーであるホスホ−stat3(pSTAT3)をモニタした。抗体サイトカイングラフト化タンパク質IgG.IL−6.H2を0.9%生理食塩水中0.1(10ml/kg用量容積)で皮下注射した。注射4時間後に末端四頭筋及び生殖腺脂肪(各1cm)を回収した。筋肉及び脂肪組織は、500μl MSD溶解緩衝液(Meso Scale Discovery、#K150SVD−2、ロット番号Z0055522)及びスチールビーズ(Qiagen、#69989)が入ったチューブに収集した。組織を組織溶解装置によって室温において30rpsで5分間ホモジナイズした。溶解した組織を4℃において14,000×gで10分間遠心した。上清を収集し、ホスホ−STAT3アッセイまで氷上で保存した。
組織収集及び処理と同じ日にホスホ−Stat3アッセイプレート(Meso Scale Discovery(登録商標)pSTAT3(Tyr705)アッセイ)を実行した。Bradfordアッセイ(Pierce)を用いて組織上清タンパク質検出を実施した。次にホスホ−STAT3アッセイプレートに50μl/ウェルでタンパク質をプレーティングした。プレートを室温で2時間インキュベートし、洗浄し、ホスホ−STAT3又は全STAT3抗体(Meso Scale Discovery)で処理した。MSD Sector Imager 2400(Meso Scale Discovery)で相対蛍光単位(RFU)に関してプレートを分析した。タンパク質ホスホ−STAT3 RFUは、負荷したタンパク質濃度に対して正規化した。投与後4時間の時点で脂肪組織においてはpSTAT3シグナルの増強が検出されるが、筋肉では検出されない(図47)。
実施例36:C57Bl6 DIOマウスにおけるIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性
グラフトのうちの2つについての有効性の用量反応を実施した。この実験では、C57/Bl6 DIOマウスに、媒体、5、10、又は20mg/kgのH2及びH3の両方のバージョンの抗体IL−6グラフト化タンパク質を1日1回皮下投与した。1日目及び13日目に投与後2、6及び24時間の時点で全血を収集した。各時点で全血はヘパリン処理済みチューブに収集し、4℃において12,500rpmで10分間遠心した。血漿上清を回収し、全時点を収集し終えるまで−80℃で保存した。試料を上記のとおりPK分析にかけた。隔日で体重を測り、体重減少をモニタした。週1回、NMR分析を行い、ナイーブ通常食対照マウスと比較したときのボディマス組成を評価した。20日目、マウスに投与し、次に一晩絶食させた。翌朝、グルコースチャレンジ(20%グルコース1g/kgボーラス)を受けた。グルコース投与後20、40、60及び120分の時点でマウスを採血し、グルコメータで血糖値を測定した。
両方のグラフト及び全ての用量レベルで体重及び体脂肪量の急激な減少が認められる(図48A及び図48B)。恐らくは用量反応で、除脂肪画分への効果はそれほど顕著でない(図48C)。除脂肪量に対する効果は時間が経つと低下するように見え、一方、脂肪減少に対する効果は持続する。
実施例37:C57Bl6 DIOマウスにおける呼吸交換比(RER)に対するIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性
呼吸交換比に対する抗体サイトカイングラフト化タンパク質IgG.IL−6.H3の効果を試験する研究を設計した。C57/Bl6 DIOマウスに媒体又は5mg/kgのH3バージョンの抗体IL−6グラフト化タンパク質を1日1回皮下投与した。投与は実験の1〜3及び5〜7日目に実施し、一方でO消費量、及びCO産生量を−1〜1、3〜5及び7〜9日目にOxymax間接熱量測定ケージで48時間増分ずつ評価し、その時間の間、マウスは平穏に保たれた。隔日で体重を測り、体重減少をモニタした。測定されたO消費量及びCO産生量から呼吸交換比(RER)を計算した。
投与前RERは実験コホート間で等しかった(図49A)。対照的に、3〜5日目、媒体対照と比べてH3グラフト投与動物においてRERの明らかな低下が認められ、これは脂肪利用の方へのシフトを示すものであった(図49B)。この差異は7〜9までに正常化した(図49C)。
実施例38:ペアフィードC57Bl6 DIOマウスにおける摂餌量に対するIL−6抗体サイトカイングラフト化タンパク質のインビボ活性
ペアフィードモデルにおいて摂餌量に対する抗体サイトカイングラフト化タンパク質IgG.IL−6.H3の効果を試験する研究を設計した。C57/Bl6 DIOマウスに媒体又は5mg/kgのH3バージョンの抗体IL−6グラフト化タンパク質を1日1回皮下投与した。試験開始時及びその後1日2回、飼料を秤量することにより摂餌量を評価した。ペアフィード群は、投与2日目に開始して朝及び午後の各々に投与群が消費したのと同じだけの飼料を与えられた。投与1、3、5、及び7日目にNMR分析を行い、ボディマス組成を評価した。
H3抗体グラフト投与動物は急激な体重減少を実証し、治療6日目までに約15%の体重減少に達した(図50A)。この効果には摂餌量の有意な低下が付随し、摂餌量は投与3日目に最下点に達し、続いてベースラインの摂餌レベルに徐々に増加した(図50B)。ペアフィード動物はH3グラフト投与動物と同様の体重減少の程度を実証したことから、グラフト化抗体治療によって引き起こされた体重減少が大部分は摂餌量の減少を反映することが示される(図50A)。H3抗体グラフト投与動物及びペアフィード動物の両方の体重減少とも、7日目の時点で全体脂肪量の約30〜40%の減少が付随した(図50C);対照的に、除脂肪量はペアフィードでは有意に低下したが、H3抗体グラフト投与動物では低下しなかった(図50D)。H3抗体グラフト投与動物又はペアフィード動物のいずれにおいても、単離した前脛骨筋の重量の有意な低下はなかった(図50E)。
実施例39:IL10抗体サイトカイングラフト化タンパク質の創製
単量体IL10配列を様々な免疫グロブリン足場のCDR領域に操作することによりIL10 ACEタンパク質を作成し、次に重鎖及び軽鎖免疫グロブリン鎖の両方を作製して最終的なタンパク質構築物を作成した。IL10 ACEタンパク質はIL10の好ましい治療的抗炎症特性を付与する;しかしながら、IgGIL10Mグラフト化構築物は、rhIL10と比較したとき比例した炎症誘発活性が低下している。
抗体サイトカイングラフト化タンパク質を創製するため、残基134と135との間に6アミノ酸リンカーを有する完全長IL10の残基19〜178を含む単量体IL10(IL10M)を免疫グロブリン鎖足場の様々なCDRループに挿入した。臨床的セッティングで利用されている種々の公知の免疫グロブリン配列並びに生殖細胞系列抗体配列を使用してグラフト化構築物を調製した。GFTX及びGFTX3bと称される2つの例示的足場におけるIL10Mの配列、GFTX ACEタンパク質は表2に掲載し、GFTX3bタンパク質は表3に掲載する。挿入点は、利用可能な構造又は相同性モデルデータに基づきCDRループの中間点となるように選択された。抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、関連性のある配列をコードする組換えDNAを利用した標準的な分子生物学的方法論を用いて作製した。
例えば、6つのCDRのうちの1つに挿入されたIL10Mを含む各抗体の可変領域を合成した。可変領域をコードするDNAをPCRによって増幅し、得られた断片を、軽鎖定常領域又は重鎖定常のいずれか及びFc領域を含むベクターにサブクローニングした。このようにして、6つのCDR(L1、L2、L3、H1、H2、H3)の各々へのIL10Mの挿入に対応するIL10M抗体サイトカイングラフト化タンパク質を作り出した。得られた構築物は表2又は表3に示す。重鎖及び軽鎖ベクターの適切な組み合わせをトランスフェクトすると、2つのグラフト化IL10M分子を有する組換え抗体の発現が生じた(各Fabアームに1つのIL10単量体)。
サイトカイングラフト化にどのCDRを選ぶかの選択は、以下のパラメータに関して選択される:要求される生物学、生物物理学的特性及び好ましい開発プロファイル。現段階では、どのCDR及びCDR内のどの位置が所望のパラメータを提供することになるかを予測する際にモデル化ソフトウェアが部分的にのみ有用であるため、従って6つ全ての可能な抗体サイトカイングラフトを作り、次に生物学的アッセイで評価する。要求される生物学的活性が実現した場合、次に抗体サイトカイングラフト化分子の構造分解など、生物物理学的特性を解いた。
IL10をCDRにグラフト化したおかげで、抗体サイトカイングラフト化タンパク質の抗体部分は、以下で考察するとおりIL10受容体との結合に影響を与えるユニークな構造を備えたIL10単量体を呈する。抗体部分に起因したオフターゲット効果はない。加えて、抗体サイトカイングラフト化タンパク質のFc部分は、ADCC(抗体依存性細胞媒介性細胞傷害)及びCDC(補体依存性細胞傷害)に関して完全にサイレントであるように修飾されている。
要約すれば、CDR内にグラフトすることによりあるレベルの立体障害がIL10受容体の個々のサブユニットにもたらされ得るという仮説の下、構造に基づき各CDRにおける挿入点を選択した。特定のサイトカインにどのCDRグラフトが最良かについての最終的な選択は、所望の生物学及び生物物理学的特性に基づく。サイトカイン受容体の性質、サイトカイン/受容体相互作用及びシグナル伝達機構もまた役割を果たしたと共に、これは各個別の抗体サイトカイングラフト化分子をそのそれぞれの特性に関して比較することにより解いた。例えば、IL10を軽鎖CDR1(CDRL1)にグラフト化すると、単球を活性化させるがNK細胞などの他の細胞は活性化させないという所望の生物学的活性が生じた。これは例示的抗体サイトカイングラフト化タンパク質IgGIL10M7及びIgGIL10M13において見られた。
実施例39:抗体サイトカイングラフト化タンパク質は抗炎症活性を有する
臨床でのrhIL10の炎症誘発活性の裏付けるものとして開発されたアッセイを用いて(Lauw et al.,J Immunol.2000;165(5):2783−9)、ヒト全血中のIgGIL10M13の炎症誘発活性を評価した。炎症誘発活性を評価するため、抗体サイトカイングラフト化タンパク質が活性化初代ヒトCD8 T細胞においてインターフェロンγ(IFNγ)又はグランザイムBを誘導するその能力についてプロファイリングした。IgGIL10M13などの抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、IFNγ産生によって測定したとき、組換えヒトIL10(rhIL10)よりも有意に低い炎症誘発活性を示したことが分かった。このデータは図51Aに示される。グランザイムBを測定するアッセイにおいても(データは示さず)、並びに他の例示的抗体サイトカイングラフト化タンパク質(IgGIL10M7)で、同様の結果が見出された。rhIL10と比較したときIgGIL10M13によって実証された炎症誘発活性の有意な減少は、IgGIL10M13の方がより幅広い用量範囲にわたって投与できる可能性があるため、それが免疫関連障害の治療に関してrhIL10よりも優れていることを示している。
抗炎症活性を調べるため、抗体サイトカイングラフト化タンパク質及びrhIL10がヒト全血中のLPS誘導性TNFαを阻害するその能力を試験した。このデータは図51Bに示され、ここでは漸増濃度のrhIL10又はIgGIL10M13のいずれもTNFα産生を低下させた。rhIL10及びIgGIL10M13曲線は同様であることに留意されたく、これは両方の分子が強力な抗炎症活性を有したことを示している。
要約すれば、これらの結果は、抗体サイトカイングラフト化タンパク質が、IL10と同様の抗炎症特性を有するが、用量制限的でなく、及び望ましくない炎症誘発特性がないという所望の特性を有することを示している。
実施例40:IL10依存的シグナル伝達
ヒトPBMC及び全血におけるインビトロシグナル伝達試験は、IgGIL10M13などの抗体サイトカイングラフト化タンパク質がrhIL10と比較したときより特異的なシグナル伝達プロファイルを有したことを示している。質量分析法を利用するFACSベースの方法であるCyTOFを用いて、全血中の複数の異なる細胞集団における抗体サイトカイングラフト化タンパク質シグナル伝達をpSTAT3検出によって評価した(図52)。IgGIL10M13などの抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、単球、マクロファージ及び形質細胞様樹状細胞上でのみμM濃度を上回るpSTAT3シグナルを誘導した(最高1.8μM)。これらの細胞型は全て、IL10受容体の発現が増加していることが公知である。rhIL10は単球で、しかしT細胞、B細胞、及びNK細胞などの追加的な細胞型でもpSTAT3シグナルを誘導した。これは低いnM濃度のrhIL10であっても見られた。100nMの濃度のrhIL10で処理した全血では、単球及び骨髄樹状細胞に最も強いpSTAT3シグナルが見られ、更にT、NK、B細胞、及び顆粒球の中程度の活性化があった。pSTAT3シグナル伝達の機能的影響は、CD8 T細胞及びNK細胞からのIFNγ及びグランザイムB産生の増加につながる。rhIL10シグナル伝達に応答したB細胞の増殖もまたある。ヒト全血中におけるrhIL10のこの炎症誘発活性は、抗炎症IC90の5倍未満の曝露で観察される。IgGIL10M13などの抗体サイトカイングラフト化タンパク質のより選択的な細胞プロファイルは炎症誘発活性の低下を生じさせ、より良好な抗炎症有効性につながった。
実施例41:様々な種における抗体サイトカイングラフト化タンパク質シグナル伝達
rhIL10はヒト単球、PBMC、及び全血におけるLPS誘導性炎症誘発性サイトカイン産生を強力に阻害する。抗体サイトカイングラフト化タンパク質IgGIL10M13は標的細胞に対してpM力価を呈するが、力価はrhIL10の10分の1である。表4は、ヒト全血並びに選択された毒性種の全血におけるIL10又はIgGIL10M13活性の力価比較である。
力価計算はマウス、カニクイザル又はヒトのいずれかからのエキソビボ全血アッセイに基づく。試験した各種について、LPS誘導性TNFα産生を阻害する能力に関してIgGIL10M13又はrhIL10を力価決定し、評価した。IC50は、総TNFαシグナルの50%阻害を生じさせる分子レベルとして計算した。IC90及びIC30は、各アッセイについてHillの傾き値を考慮に入れて以下の式:logEC50=logECF−(1/Hillの傾き)*lob(F/100−F))[式中、ECFは、総TNFαシグナルのFパーセントの応答を生じる濃度である]で計算した。
実施例42:抗体サイトカイングラフト化タンパク質薬物動態の判定
rhIL10は半減期が短いため、その標的組織曝露が限られており、患者は複数回投与を受ける必要がある。抗体サイトカイングラフト化タンパク質の半減期をC57BL/6マウスにおいて評価した。抗体サイトカイングラフト化タンパク質(例えばIgGIL10M13)を0.2mg/kgで皮下注射し、注射後5分から始まって注射後144時間まで血液試料を採取した。約1時間の半減期を有したrhIL10と比較して(図53A)、IgGIL10M13では約4.4日の有意な半減期延長があった(図53B)。
実施例43:抗体サイトカイングラフト化タンパク質薬力学の判定
半減期の延長と一致して、抗体サイトカイングラフト化タンパク質はまた、薬力学の向上も実証した。マウス結腸においてIgGIL10M13の皮下投与後にIL10受容体活性化及びシグナル伝達のマーカーであるホスホ−STAT3(pSTAT3)をモニタした。投与後少なくとも72時間まで、結腸においてpSTAT3シグナルの増強が検出され、投与後144時間までに存在しなくなった。図53Cを参照のこと。このプロファイルは、投与後24時間までにそのシグナルが存在しなくなるrhIL10と比べて劇的な向上である。図53Dは、抗体サイトカイングラフト化タンパク質投与後のLPSチャレンジに応答した血中のTNFαの阻害によって測定したときのrhIL10と比較したIgGIL10M13のインビボ応答の持続期間の向上を示す。
実施例44:マウスモデルにおける抗体サイトカイングラフト化タンパク質の有効性
LPSチャレンジ後のTNFα阻害についての有効性の直接的な比較を実施した。C57/BL6マウスに、媒体、又は組換えIL10及びIgGIL10M13の両方について計算した110nmol/マウスの等モルレベルのIL10を皮下投与した。次にマウスにLPSを腹腔内送達してチャレンジし、TNFαレベルのIL10依存的阻害を評価した。IgGIL10M13は、0.5時間の初期評価時間でrhIL10と同等の有効性を実証したが、しかしながら、IgGIL10M13は、投与後少なくとも48時間まで、TNFα産生によって測定したときrhIL10よりも優れた有効性が持続した。このデータは図54に示す。
実施例45:抗体サイトカイングラフト化タンパク質は向上した曝露を有する
C57BL/6マウスにおいて抗体サイトカイングラフト化タンパク質のピーク血清濃度(Cmax)を評価した。抗体サイトカイングラフト化タンパク質を0.9%生理食塩水中0.2mg/kg(10ml/kg用量容積)で皮下注射し、注射後1時間から始めて注射後144時間まで血液を試料採取した。各時点でヘパリン処理済みチューブに全血を収集し、4℃において12,500rpmで10分間遠心した。血漿上清を回収し、全時点を収集し終えるまで−80℃で保存した。2つの異なるイムノアッセイ方法を用いて血漿中の抗体サイトカイングラフト化タンパク質レベルを測定し、抗体サイトカイングラフト化タンパク質のIL10及び抗体ドメインの両方の検出を可能にした。図55に示すとおり、抗体サイトカイングラフト化タンパク質(例えばIgGIL10M13)は過去100時間にわたり60%より高いCmaxを維持した。対照的に、rhIL10レベルは3.5時間以内に20%を下回るCmaxに下がった。
実施例46:抗体サイトカイングラフト化タンパク質はヒト患者において特定の細胞型にのみ作用する
ヒト健常ドナー及びクローン病患者からの免疫細胞を先述のとおりCyTOFにかけた。図56のグラフに示されるとおり、IgGIL10M13は単球のみを刺激したと共に、pSTAT3レベルによって測定したときの刺激はrhIL10と同等である。単球は、クローン病及び潰瘍性大腸炎などの炎症関連障害の標的細胞であり、を極めて高レベルのIL10受容体を発現する。しかしながら、図56はまた、rhIL10の望ましくない炎症誘発作用、例えば、CD4 T細胞、CD8 T細胞及びNK細胞上でのpSTAT3シグナル伝達の増加も示す。IgGIL10M13が正常ヒト細胞又はクローン病患者から採取した細胞のいずれにおいてもこの望ましくない炎症誘発作用を示さないことは注目に値する。抗体サイトカイングラフト化タンパク質の投与が所望の細胞型にのみ作用し、クローン病及び潰瘍性大腸炎などの免疫関連障害を悪化させるのみであり得るCD8 T細胞などの他の細胞型には作用しないであろうとおり、これはIgGIL10M13がより高く、より安全な治療指数を有することを実証している。
実施例47:IgGIL10M13はrhIL10と比較してPHA刺激ヒト全血中で低下した炎症誘発活性を有する
遺伝的IL10枯渇をIBD感受性と関連付ける広範な臨床データにも関わらず、rhIL10はIBD臨床試験において弱い有効性を示すに過ぎなかった(Herfarth et al.,Gut 2002:50(2):146−147)。試験データの後ろ向き分析からは、rhIL10の有効性が、IFNγの産生亢進など、その固有の炎症誘発活性によって制限されたことが示唆される。先に考察したとおり、ヒト機能性細胞ベースアッセイでは、rhIL10シグナル伝達はT細胞及びNK細胞からのIFNγ及びグランザイムBの産生につながる。
クローン病患者から全血を採取し、rhIL10、IgGIL10M13及びPHA単独での刺激後にIFNγレベルを測定した。このデータは図57〜図61に示される。漸増用量のrhIL10はIFNγ産生の急激な増加を引き起こし、これは次にはプラトーに達する。対照的に、IgGIL10M13によるこれらの細胞の処理では、IFNγの産生はほとんど乃至全く見られなかったことから、IgGIL10M13がT細胞又はNK細胞からのIFNγ産生を誘導しなかった、又はごく低いレベルしか誘導しなかったことが指摘される。
これらの患者ドナー試料で追加的なタイトレーション実験を実施した。この実験では、ドナー患者血清からのIL10レベルを測定し、1.5〜5フェムトモル濃度(fM)の範囲であることが見出されたが、科学文献には、患者IL10レベルは20fMもの高さであり得ることが報告されている(Szkaradkiewicz et al.,Arch.Immunol.Ther Exp 2009:57(4):291−294)。ドナー患者細胞にrhIL10を2フェムトモル濃度(fM)、2pM、2nM及び200nMの一定濃度で投与した。これらの一定濃度のrhIL10に対し、漸増濃度の抗体サイトカイングラフト化タンパク質IgGIL10M13を投与し、IFNγ産生をアッセイした。データは図62に示す。2fM及び2pMの一定濃度では、IgGIL10M13はrhIL10と競合し、IFNγの産生をベースラインレベルまで低下させた。2nMの一定濃度では、IFNγ産生はナノモル濃度のIgGIL10M13によって低下した。最後に、200nM rhIL10の一定の過剰濃度では、IgGIL10M13によるIFNγ産生のごく僅かな低下が見られたに過ぎなかった。これは、生理的レベルのIL10では、IgGIL10M13はIL10と競合し尽くし、IFNγの産生、及び望ましくない炎症誘発作用が低下することを示している。
実施例48:抗体サイトカイングラフト化タンパク質の凝集特性
IBDに関する臨床試験では、rhIL10は極めて短い半減期を有することが観察された;しかしながら、半減期を延長させるためのIL10二量体との単純なFc融合物は、かかる分子の凝集特性を所与として探究されなかった。図63は、Fcに連結したIL10野生型及びFcに連結したIL10単量体の両方の凝集を示す。しかしながら、図64に示されるとおり、抗体サイトカイングラフト化タンパク質の抗体構造がIL10凝集を妨げ、ひいては投与し易さが促進される。加えて、凝集の低下には、療法薬に対する免疫応答、及び抗薬物抗体の発生を低減するという利益がある。
実施例49:抗体サイトカイングラフト化タンパク質の結合保持
パリビズマブは抗RSV抗体であり、サイトカイングラフト化用の抗体構造として選択した。この抗体は、構造が分かっており、その標的が非ヒト標的のRSVであるという利点があった。非ヒト標的の選択は、オフターゲットヒト抗原への抗体サイトカイングラフト化タンパク質結合に伴う毒性がないことを確実にするためであった。IL10Mをパリビズマブにグラフト化した後、最終的なIL10抗体サイトカイングラフト化タンパク質がなおもRSV標的タンパク質に結合するかどうかは不明であった。ELISAによるアッセイのとおり、IL10Mの存在にも関わらず、IL10抗体サイトカイングラフト化タンパク質はなおもRSV標的タンパク質に結合した。このデータは図65に示す。
実施例50:抗体サイトカイングラフト化タンパク質の構造コンホメーションは細胞型間で差次的活性を生じさせる
抗体サイトカイングラフト化タンパク質(例えばIgGIL10M13)は抗体の軽鎖CDR 1に単量体IL10を取り込む。IL10のヘリックスDとEとの間に6アミノ酸グリシン−セリンリンカーを挿入すると、通常はヘテロ二量体である分子がドメイン交換二量化能力を有しないものになる。そのため、IL10Mを抗体にグラフト化すると、2つの単量体IL10分子を有する抗体サイトカイングラフト化タンパク質が生じる。しかしながら、抗体Fabアームの可動性に起因して、野生型IL10二量体のようにIL10単量体間の角度及び距離は固定的でなく、ひいてはIL10R1/R2受容体複合体とのその相互作用に影響が及ぶ。これは図66にグラフで示される。具体的には、抗体グラフト化に起因して、グラフト化されたIL10二量体の角度はより大きく可変的であり、CD4及びCD8 T細胞、B細胞及びNK細胞などの炎症促進細胞型で見られるとおりのIL10R1及びR2の発現レベルが低い細胞上でシグナル伝達が低効率になる。対照的に、抗体サイトカイングラフト化タンパク質は、単球などの高いIL−10R1及びR2発現を有する細胞上でより高い効率でシグナルを送る。IgGIL10M13のクラス平均陰性染色EM試験では、更なる可動性及び単量体間のより大きい角度が強調され、rhIL10と比較して幾何学が変化していることが確認された。IgGIL10M13におけるIL10二量体の制約の低い幾何学は、IL10R複合体とのその相互作用を変化させる。結果として、IgGIL10M13抗体サイトカイングラフト化タンパク質の構造は、高度なIL10R1及びR2発現を有する細胞型に対してのみ生産的シグナルを生じるという生物学的効果を生じる。
実施例51:IgGIL10M13の結晶構造
IgGIL10M13 Fabを20mM HEPES pH8.0、150mM NaCl中16.2mg/mlに濃縮し、懸滴蒸気拡散結晶化試験に直接使用した。0.2μlのタンパク質溶液を0.2μlのリザーバ溶液と混合することにより結晶化スクリーニングをセットアップし、50μlの同じリザーバ溶液に対して平衡化させた。20℃で3〜4週間後に、20%PEG3350、200mM酢酸マグネシウム、pH7.9のリザーバ溶液からデータ収集用の結晶が現れた。データ収集前に、20%エチレングリコールを補足したリザーバ溶液に結晶を浸漬し、液体窒素でフラッシュ冷却した。ADSC Quantum 315R検出器を備えたALS beamline 5.0.3で回折データを収集した。HKL2000ソフトウェアパッケージを用いてデータを指数付け及びスケーリングした(Otwinowski and Minor.(1997)Methods in Enzymology,Volume 276:Macromolecular Crystallography,part A,p.307−326)。IgGIL10M13 Fabのデータは、格子サイズa=80.6Å、b=104.7Å、c=82.8Å、α=90°、β=115.3°、γ=90°の空間群P2における2.40Åと処理された。PHASER(McCoy et al.,(2007)J.Appl.Cryst.40:658−674)を用いてパリビズマブFab構造(PDBコード:2HWZ)及び単量体IL10構造(PDBコード:1LK3鎖A)をサーチモデルとした分子置換法により構造を解いた。上位分子置換解には非対称単位にIgGIL10M13 Fabの2つの分子が含まれた。最終的なモデルはCOOTで構築し(Emsley & Cowtan(2004)Acta Cryst.D60:2126−2132)、PHENIXで精密化した(Adams et al.,(2010)Acta Cryst.D66,213−221)。Rwork値及びRfree値はそれぞれ18.8%及び23.9%であり、理想結合長及び結合角からの根平均二乗(r.m.s)偏差値はそれぞれ0.005Å及び0.882°であった。
全体構造
IgGIL10M13 Fabは非対称単位に2つの分子で結晶化し、両方とも同様のコンホメーションを有した。電子密度マップは両方の分子とも同様であった。全体構造(図67A)は、Fab及びグラフト化単量体IL10(IL10M)が共線的配置をとり得ることを示す(Fab軽鎖は白色、Fab重鎖は黒色、IL10Mは濃い灰色)。図67Bは、CDR−L1におけるグラフト化点の拡大図を示す。3つの隣接するCDR残基が濃い灰色のスティックで示される。破線は、構造のうち、恐らくはこれらの範囲の構造上の可動性に起因した、電子密度の欠損によりモデルにフィットさせることができなかった部分を示す。これらの2つの範囲は、グラフト化点のすぐ後のIL10MのN末端にある6残基及び挿入された6残基リンカーを包含するIL10Mのヘリックス4と5との間にある8残基を含む。また、グラフト化IL10M分子とFab重鎖の部分との間に3対の水素結合相互作用もある(図67C)。これらには、R138及びN104(側鎖)、R135及びD56(側鎖)、並びにN38及びK58(骨格/側鎖)が含まれる。
実施例52:代替的な足場を用いたACEタンパク質
ACEタンパク質は、当初、抗RSV抗体であるGFTX3bを足場として使用して構築した。しかしながら、ACEタンパク質はまた、追加的な足場としてGFTX、及び抗IgE抗体も使用して構築した。天然IL10はホモ二量体としてシグナルを送るため、IL10 ACEタンパク質は、同じ抗体「アーム」にIL10を使用して構築した。例えば、IL10をGFTX足場の可変重鎖の第3のCDR(CDRH3)にグラフト化することにより、抗体の両方のCDRH3「アーム」にIL10分子があるACE分子を生じさせた。加えて、可変軽鎖の第1のCDR(CDRL1)にIL10分子があり、且つCDRH3にIL10分子があるACEタンパク質を構築した。これにより、IL10サイトカインがGFTX足場内の2つの離れた異なる位置にグラフト化されたACEタンパク質が作り出された。両方のタイプのGFTX ACEタンパク質を天然IL10サイトカイン及びIL10Fc融合タンパク質と比較した。
The Scripps Research Institute Normal Blood Donor Serviceからヒト全血を入手した。全血ドナーは匿名扱いであったが、抗炎症薬物治療を受けていないものを依頼した。受け取り後、全血は分離前にアッセイの調製のため1時間にわたり37℃に置かれた。Lymphoprep密度勾配(STEMCELL、カタログ番号07851、ロット番号12ISf11)を使用して15mlの全血を10mlのグラジエントに層状に重ねることにより全血をPBMCに処理し、800×Gで20分間、中断なしに室温で遠心した。密度勾配界面からPBMCを収集し、培地で2回洗浄した。1ドナー当たり50mlの血液についてこれを繰り返した。PBMCは2.2e6細胞/ml(45ul容積の384ウェルプレートにおいて100,000細胞/ウェル)で調製した。
GFTX構築物及びrhIL−10(Biolegend)を解凍し、リンパ球培養培地(RPMI 1640、10%FBS、50μM BME、10mM Hepes、0.1mM NEAA、1mMピルビン酸ナトリウム、2mMグルタミン、1×ヒトインスリントランスフェリンセレン、60mg/ml Pen/100mg/ml Strep)中の1000ng/mLのワーキング溶液に希釈した[アッセイにおける最終100ng/mL]。このワーキング溶液を出発濃度として使用し、各後続濃度について培地中1:3希釈を実施して11ポイント用量タイトレーションを調製した。LPS(100μg/mlストック)を調製し、解凍し、アッセイまで氷上に置いた。
タイトレーション曲線を作成した。「LPSなし」対照ウェルについては、384ウェルプレートのそれぞれのウェルに45μl/ウェルのPBMCを分注し、培地で50μlにした。LPS刺激については、ヒトPBMCが入った50mlコニカルにLPSを加えて1.1ng/mlのワーキング濃度とした[アッセイにおける最終1ng/mL]。PBMC及びLPSを十分に混合し、次にプレート上の指定のウェルに45μl/ウェル、続いて5μl/ウェルの指定のIL−10製剤を分注した。アッセイプレートを十分に混合し、37℃、5%COインキュベーターにおいて20時間インキュベートした。
翌日、アッセイプレートを混合し、室温において1400rpmで5分間遠心した。各ウェルから上清(約10μl)を取り出し、384ウェルプロキシプレートに移した。HTRFアッセイのため、TNFaに対する抗体を、HTRFキット(Cisbio、Bedford MA)に提供される再構成緩衝液に1:40で再構成した。次にプロキシウェルにHTRF混合物を加え(10μl/ウェル)、プロキシプレートを暗所下室温で3時間インキュベートした。次に試料を波長665nmのFRETに関して分析した。各ドナーについて、ドナーの最も低いタイトレーション結果をベースラインをとして使用してデータを正規化した。各ドナーについて、「LPSなし」ウェルを使用してLPS誘導を計算した。非線形回帰を用いてデータを分析し、各ドナーについてIC50を計算した。
図68に示すとおり、IL10を同じCDR(例えば、CDRH1)にグラフト化したIL10抗体サイトカインタンパク質は、組換えヒトIL10(rhIL10)及びIL−10 Fc融合物(Fc野生型融合物又はFcサイレンシング突然変異を含む融合物(LALA又はDAPA)のいずれも)と同様のIC50力価を示す。対照的に、図69に示されるとおり、IL10が同じACEタンパク質の異なるCDR(例えば、CDRL1及びCDRH1)にグラフト化される場合、IL−10M Fc融合物(野生型Fc又はDAPA Fc)と比較したときより低いIC50力価が見られる。
IL2についてもまた代替的な足場を構築した。IL10と対照的に、IL2は単量体として働くことができ、そのためIL2は同じCDR(例えばCDRL3)にグラフト化し、IL2が同じ抗体の異なるCDR(例えば、CDRL3及びCDRH1)にグラフト化されたACEタンパク質は作らなかった。
前糖尿病NOD雌に低用量等モルIL2(週5回)又はIL2をCDR3にグラフト化したIL2 ACEタンパク質(1回/週)を腹腔内注射によって投与した。初回投与7日後に各群5匹のマウスを解体し、脾臓を処理して単一細胞懸濁液を入手し、RPMI(10%FBS)で洗浄した。赤血球を赤血球溶解緩衝液で溶解させて、細胞数及び生存能に関して細胞をカウントした。FACS緩衝液(1×PBS+0.5%BSA+0.05%ナトリウムアジド)を使用した標準プロトコルに基づきFACS染色を実施した。細胞を表面抗体:ラット抗マウスCD3−BV605(BD Pharmingen #563004)、ラット抗マウスCD4−パシフィックブルー(BD Pharmingen #558107)、ラット抗マウスCD8−PerCp(BD Pharmingen #553036)、CD44 FITC(Pharmingen #553133)ラット抗マウスCD25−APC(Ebioscience #17−0251)で染色し、続いて固定/透過処理し、抗マウス/ラットFoxP3染色セットPE(Ebioscience #72−5775)に従いFoxP3に関して染色した。細胞をBD LSR Fortessa(登録商標)又はBD FACS LSR IIで分析し、データをFlowJo(登録商標)ソフトウェアで分析した。
図70Aに示すとおり、IL2 ACEタンパク質(GFTXIL3_IL−2)はCD8+ Tエフェクターを組換えヒトIL2(hIL−2)よりも有効に拡大する。Fcサイレント修飾を有するIL2 ACEタンパク質(GFTXL3LALA_IL2)もまたCD8+ Tエフェクターを組換えヒトIL2よりも有効に拡大する。図70Bは、IL2 ACEタンパク質(GFTXIL3_IL−2)がCD4+ Treg細胞を組換えヒトIL2(hIL−2)よりも有効に拡大することを実証する。NK細胞に対する効果が図70Cに示され、ここで組換えヒトIL2はNK細胞をFcサイレンシング突然変異有り又は無しのいずれのIL2 ACEタンパク質よりも有効に拡大する。要約すれば、このデータは、IL2 ACEタンパク質が異なる抗体足場を使用しても有効であり得ることを示している。
実施例53:ACEタンパク質のCyTOFデータ
CyTOFは、マスサイトメトリーを組み合わせるFACSベースの方法であり、フローサイトメトリー技術を飛行時間型誘導結合プラズマ質量分析法(ICP−MS)と共に取り込む。これは、単一細胞からの40を超えるパラメータの検出及び定量化を同時に行うことが可能である。これは、特異的細胞表面又は細胞内分子に対する希土類金属コンジュゲートモノクローナル抗体を利用する。CyTOFを用いて、ACEタンパク質に関してpSTAT1、pSTAT3、pSTAT4、及びpSTAT5検出により評価したヒトPBMCにおけるインビトロシグナル伝達試験を実施した。
ACEタンパク質の足場に使用した野生型抗体又はそれぞれのACEタンパク質でヒトPBMCを処理した。利用可能な場合には、天然サイトカイン(例えばIL3)もまた対照として含めた。細胞を1.6%PFAで固定して、シグナル伝達分子のリン酸化状態を保存した。次に、特異的系統に対する細胞表面受容体とJAK/Stat経路の細胞内シグナル伝達分子との組み合わせで細胞を染色した。次に試料を捕捉し、CyTOFで分析した。各ACEタンパク質の結果を図71〜図100に示す。
実施例54:DC分化を誘導するFlt3Lグラフト
大腿骨及び脛骨を完全RPMI培地(10%FBS、Pen/Step、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、HEPES及びβメルカプトエタノール)でフラッシュすることにより、C57/BL6マウスからマウス骨髄を分離した。骨髄を遠心によってペレット化し、ACK溶解緩衝液(ThermoFisher #A1049201)を加えることにより赤血球を溶解させた。10.53nMの組換えヒトFlt3L(Peprotech #300−19−50UG)又はモル当量用量のH1、H3又はL3ヒトFlt3Lグラフトを含有する完全RPMIに細胞を2×10/mLでプレーティングし、37℃で5日間培養した。フローサイトメトリー分析用にピペッティングによって細胞を回収し、CD103(Biolegend #121422)、CD11b(Biolegend #101257)、CD11c(Biolegend #117306)、MHCII(Biolegend #107628)、CD370(Biolegend #143504)及びB220(BD #552772)に対する抗体で染色した。FACS緩衝液(1×PBS+2%FBS+0.5mM EDTA)を使用した標準プロトコルに基づきFACS染色を実施した。図101は、H1、H3及びL3 Flt3Lグラフトが組換えヒトFlt3Lで観察されるものと同等のB220+ CD11c+形質細胞DC分化(上のパネル)及びCD370+ DC1分化(下のパネル)の誘導能を有することを示す。
実施例55:DC分化を誘導するGM−CSFグラフト
白血球アフェレーシスからポジティブ選択(Stem cell Technologies #17858)を用いてヒトCD14+単球を単離した。単球樹状細胞(DC)分化を誘導するため、完全RPMI(10%FBS、Pen/Step、非必須アミノ酸、ピルビン酸ナトリウム、HEPES及びβメルカプトエタノール)中の20ng/mLの組換えヒトIL−4(Peprotech #200−04−100UG)及び様々な濃度の組換えヒトGM−CSF(Peprotech #300−03−100UG)又はGM−CSFグラフトの存在下に細胞をデュプリケートで培養した。非グラフト化パリビズマブを対照として使用した(グラフト足場対照)。
37℃で培養して6日後、細胞を回収し、フローサイトメトリー分析のため、CD16(Biolegend #302032)、HLA−DR(Biolegend 307644)、CD86(Biolegend #305414)、DC−SIGN(Biolegend #330106)、CD24(Biolegend #311134)、CD80(Biolegend #305218)、CD40(Biolegend 313008)、CD11c(eBioscience #56−0116−42)及びCD14(BD #557831)に関して染色した。FACS緩衝液(1×PBS+2%FBS+0.5mM EDTA)を使用した標準プロトコルに基づきFACS染色を実施した。
R848刺激のため、上記に記載したとおり細胞を6日間培養した(組換えヒトGM−CSF及びGM−CSFグラフトには3.9nM GM−CSFを使用した)。GM−CSF及びIL−4培地を洗い流し、完全RMPI中で細胞を様々な濃度のR848(インハウスで作成)と一晩インキュベートした。翌朝、フローサイトメトリー分析のため細胞を上記に記載したとおり染色した。図102は、GM−CSFサイトカイングラフトが、細胞上のDC−SIGNの上方制御及びCD14の下方制御からも明らかなとおり、単球DC分化の誘導能を有することを示す。図103は、GM−CSFグラフトで生成された単球DCがTLR7/8活性化に応答する能力を有することを示す。
本明細書に記載される例及び実施形態は例示を目的とし、それらを踏まえた様々な修正又は変更が当業者に提案され得ると共に本願の趣旨及び範囲並びに添付の特許請求の範囲に包含されるべきであることが理解される。本明細書に引用される刊行物、配列受託番号、特許、及び特許出願は全て、本明細書によってあらゆる目的から全体として参照により援用される。

Claims (65)

  1. (a)相補性決定領域(CDR)HCDR1、HCDR2、HCDR3を含む重鎖可変領域(VH);及び
    (b)LCDR1、LCDR2、LCDR3を含む軽鎖可変領域(VL);及び
    (c)前記VH又は前記VLのCDRにグラフト化されたサイトカイン分子
    を含むACEタンパク質であって、
    前記サイトカイン分子が前記CDRに直接グラフト化され、及び前記サイトカイン分子がインターロイキン−10(IL−10)でない、ACEタンパク質。
  2. 前記サイトカイン分子が重鎖CDRにグラフト化されている、請求項1に記載のACEタンパク質。
  3. 前記重鎖CDRが、相補性決定領域1(HCDR1)、相補性決定領域2(HCDR2)、及び相補性決定領域3(HCDR3)から選択される、請求項2に記載のACEタンパク質。
  4. 前記サイトカイン分子が軽鎖CDRにグラフト化されている、請求項1に記載のACEタンパク質。
  5. 前記軽鎖CDRが、相補性決定領域1(LCDR1)、相補性決定領域2(LCDR2)、及び相補性決定領域3(LCDR3)から選択される、請求項4に記載のACEタンパク質。
  6. 前記サイトカイン分子がペプチドリンカーなしに前記CDRに直接グラフト化される、請求項1〜5のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  7. 前記サイトカイン分子が、表1から選択される分子である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  8. IgGクラス抗体重鎖を更に含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  9. 前記IgGクラス重鎖が、IgG1、IgG2、及びIgG4から選択される、請求項8に記載のACEタンパク質。
  10. 前記標的タンパク質に対する前記CDRの結合特異性が前記グラフト化サイトカイン分子によって低下する、請求項1〜9のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  11. 前記結合、前記標的タンパク質に対する前記CDRの結合特異性が前記グラフト化サイトカイン分子によって10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%低下する、請求項10に記載のACEタンパク質。
  12. 前記標的タンパク質に対する前記CDRの結合特異性が前記グラフト化サイトカイン分子の存在下で保持される、請求項1〜11のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  13. 前記標的タンパク質に対する前記CDRの結合特異性が前記グラフト化サイトカイン分子の存在下で10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、98%、99%、又は100%保持される、請求項12に記載のACEタンパク質。
  14. 前記CDRの結合特異性が前記サイトカイン分子の結合特異性と異なる、請求項1〜13のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  15. 前記CDRの結合特異性が非ヒト抗原に対するものである、請求項14に記載のACEタンパク質。
  16. 前記非ヒト抗原がウイルスである、請求項15に記載のACEタンパク質。
  17. 前記ウイルスが呼吸器合胞体ウイルス(RSV)である、請求項16に記載のACEタンパク質。
  18. 前記RSVが、RSVサブグループA又はRSVサブグループBから選択される、請求項17に記載のACEタンパク質。
  19. 前記ACEタンパク質の前記抗体足場部分がヒト化又はヒトである、請求項1〜18のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  20. 受容体に対する前記グラフト化サイトカイン分子の結合親和性が遊離サイトカイン分子と比較して増加する、請求項1〜19のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  21. 受容体に対する前記グラフト化サイトカイン分子の結合親和性が遊離サイトカイン分子と比較して低下する、請求項1〜20のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  22. 受容体に対する前記グラフト化サイトカイン分子の結合アビディティが遊離サイトカイン分子と比較して増加する、請求項1〜21のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  23. 受容体に対する前記グラフト化サイトカイン分子の結合アビディティが遊離サイトカイン分子と比較して低下する、請求項1〜22のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  24. 2つ以上の受容体に対する前記グラフト化サイトカイン分子の差次的結合親和性又はアビディティが遊離サイトカイン分子と比較して変化する、請求項1〜23のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  25. 前記グラフト化サイトカイン分子の活性が遊離サイトカイン分子と比較して増加する、請求項1〜24のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  26. 前記グラフト化サイトカイン分子の活性が遊離サイトカイン分子と比較して低下する、請求項1〜25のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  27. 前記グラフト化サイトカイン分子が表1の分子である、請求項1〜26のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  28. (a)HCDR1、(b)HCDR2、及び(c)HCDR3を含む重鎖可変領域であって、HCDR配列の各々が表2に示される重鎖可変領域、及び
    (d)LCDR1、(e)LCDR2、及び(f)LCDR3を含む軽鎖可変領域であって、LCDR配列の各々が表2に示される軽鎖可変領域
    を含むACEタンパク質であって、
    CDRにサイトカイン分子がグラフト化される、ACEタンパク質。
  29. 表2に示されるVHを含む重鎖可変領域(VH)、及び
    表2に示されるVLを含む軽鎖可変領域(VL)
    を含むACEタンパク質であって、
    VH又はVLにサイトカイン分子がグラフト化される、ACEタンパク質。
  30. 低下したエフェクター機能に対応する修飾Fc領域を更に含む、請求項1〜29のいずれか一項に記載のACEタンパク質。
  31. 前記修飾Fc領域が、D265A、P329A、P329G、N297A、L234A、及びL235Aの1つ以上から選択される突然変異を含む、請求項30に記載のACEタンパク質。
  32. 前記修飾Fc領域が、D265A/P329A、D265A/N297A、L234/L235A、P329A/L234A/L235A、及びP329G/L234A/L235Aの1つ以上から選択される突然変異の組み合わせを含む、請求項31に記載のACEタンパク質。
  33. 前記Fc領域突然変異がD265A/P329Aである、請求項32に記載のACEタンパク質。
  34. 表2に示されるとおりの重鎖可変領域、及び
    表2に示されるとおりの軽鎖可変領域
    を含むACEタンパク質をコードする単離核酸であって、
    前記重鎖可変領域又は前記軽鎖可変領域にサイトカイン分子がグラフト化される、単離核酸。
  35. 請求項34に記載の単離核酸と、任意選択で分泌シグナルとを含む、ACEタンパク質の産生に好適な組換え宿主細胞。
  36. 哺乳類細胞株である、請求項35に記載の組換え宿主細胞。
  37. 前記哺乳類細胞株がCHO細胞株である、請求項36に記載の組換え宿主細胞。
  38. 請求項1〜33のいずれか一項に記載のACEタンパク質と薬学的に許容可能な担体とを含む医薬組成物。
  39. それを必要としている個体の疾患を治療する方法であって、請求項38に記載の医薬組成物の治療有効量を前記個体に投与することを含む方法。
  40. 前記疾患が癌である、請求項39に記載の方法。
  41. 前記癌が、黒色腫、肺癌、結腸直腸癌、前立腺癌、乳癌及びリンパ腫からなる群から選択される、請求項40に記載の方法。
  42. 前記医薬組成物が別の治療剤と併用して投与される、請求項39〜41のいずれか一項に記載の方法。
  43. 前記治療剤が免疫チェックポイント阻害薬である、請求項42に記載の方法。
  44. 前記免疫チェックポイントが、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM3、CTLA−4、LAG−3、CEACAM−1、CEACAM−5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4、及びTGFRからなる群から選択される、請求項43に記載の方法。
  45. 前記免疫チェックポイント阻害薬が抗PD−L1抗体である、請求項44に記載の方法。
  46. 前記免疫チェックポイント阻害薬が抗TIM3抗体である、請求項44に記載の方法。
  47. 前記疾患が免疫関連障害である、請求項39に記載の方法。
  48. 前記免疫関連障害が、炎症性腸疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、関節リウマチ、乾癬、I型糖尿病、急性膵炎、ぶどう膜炎、シェーグレン病、ベーチェット病、サルコイドーシス、移植片対宿主病(GVHD)、全身性エリテマトーデス、白斑、慢性予防的急性移植片対宿主病(chronic prophylactic acute graft versus host disease)(pGvHD)、HIV誘発性脈管炎、円形脱毛症、全身性硬化症モルフェア(Systemic sclerosis morphoea)、及び原発性抗リン脂質症候群からなる群から選択される、請求項47に記載の方法。
  49. 前記医薬組成物が別の治療剤と併用して投与される、請求項39、47〜48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 前記治療剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ、ナタリズマブ、及びベドリズマブからなる群から選択される抗TNF剤である、請求項49に記載の方法。
  51. 前記治療剤が、スルファサラジン、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン及び他の5−アミノサリチル酸誘導体からなる群から選択されるアミノサリチル酸剤である、請求項49に記載の方法。
  52. 前記治療剤が、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、ブデソニド(budenisonide)、メサラミン、及びデキサメタゾンからなる群から選択されるコルチコステロイドである、請求項49に記載の方法。
  53. 前記治療剤が抗細菌剤である、請求項49に記載の方法。
  54. 疾患の治療における、
    (a)HCDR1、(b)HCDR2、及び(c)HCDR3を含む重鎖可変領域であって、HCDR配列の各々が表2に示される重鎖可変領域、及び
    (d)LCDR1、(e)LCDR2、及び(f)LCDR3を含む軽鎖可変領域であって、LCDR配列の各々が表2に示される軽鎖可変領域
    を含むACEタンパク質の使用であって、CDRにサイトカイン分子がグラフト化される、使用。
  55. 前記ACEタンパク質が別の治療剤と併用して投与される、請求項54に記載の使用。
  56. 前記疾患が癌である、請求項54又は55に記載の使用。
  57. 前記治療剤が免疫チェックポイント阻害薬である、請求項56に記載の使用。
  58. 前記免疫チェックポイントが、PD−1、PD−L1、PD−L2、TIM3、CTLA−4、LAG−3、CEACAM−1、CEACAM−5、VISTA、BTLA、TIGIT、LAIR1、CD160、2B4及びTGFRからなる群から選択される、請求項57に記載の使用。
  59. 前記免疫チェックポイント阻害薬が抗PD−L1抗体である、請求項58に記載の使用。
  60. 前記免疫チェックポイント阻害薬が抗TIM3抗体である、請求項58に記載の使用。
  61. 前記疾患が免疫関連障害である、請求項54又は55に記載の使用。
  62. 前記治療剤が、インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリズマブ、ゴリムマブ、ナタリズマブ、及びベドリズマブからなる群から選択される抗TNF剤である、請求項61に記載の使用。
  63. 前記治療剤が、スルファサラジン、メサラミン、バルサラジド、オルサラジン及び他の5−アミノサリチル酸誘導体からなる群から選択されるアミノサリチル酸剤である、請求項61に記載の使用。
  64. 前記治療剤が、メチルプレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、ブデソニド(budenisonide)、メサラミン、及びデキサメタゾンからなる群から選択されるコルチコステロイドである、請求項61に記載の使用。
  65. 前記治療剤が抗細菌剤である、請求項61に記載の使用。
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