関連技術
進行性癌細胞表現型は、細胞内シグナリング経路の調節解除を生じる種々の遺伝的および後成的変化の結果である(Ponder, Nature 411: 336 (2001))。しかし、全ての癌細胞の共有性はアポトーシスプログラムを実行することができないことであり、正常なアポトーシス機序の欠損による適当なアポトーシスの欠如は癌細胞の特徴である(Lowe et al., Carcinogenesis 21: 485 (2000))。化学療法剤、放射線および免疫療法を含む現在の癌治療のほとんどは、癌細胞のアポトーシスを間接的に誘導することによって効を奏する。従って、正常なアポトーシス機序の欠損により癌細胞がアポトーシスプログラムを実行することができないことは、化学療法、放射線または免疫療法誘導性のアポトーシスに対する耐性の増加に関連することが多い。アポトーシス欠損による現在の治療プロトコールに対する異なる起源のヒト癌の初回または獲得耐性は現在の癌治療の大きな問題である(Lowe et al., Carcinogenesis 21:485 (2000); Nicholson, Nature 407: 810 (2000))。従って、癌患者の生存および生活の質を改善するために新規分子標的特異的抗癌治療を設計し、開発する現在および将来の努力は、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を特異的に標的にする方法を含む必要がある。これに関しては、癌細胞のアポトーシスを直接阻害する中心的役割を果たしている決定的な負の調節を標的とすることが新規抗癌薬物設計の非常に有望な治療方法となる。
2つのクラスの中心的な負のレギュレーターが同定されている。第1のクラスのレギュレーターは、2つの強力な抗アポトーシス分子、Bcl-2およびBcl-XLタンパク質によって例示されるBcl-2ファミリーのタンパク質である(Adams et al., Science 281: 1322 (1998); Reed, Adv. Pharmacol. 41: 501 (1997); Reed et al., J. Cell. Biochem. 60: 23(1996))。癌細胞の感受性を回復し、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を克服するために癌のBcl-2およびBcl-XLを標的とする治療方法が広範に考察されている(Adams et al., Science 281: 1322 (1998); Reed, Adv. Pharmacol. 41: 501 (1997); Reed et al., J. Cell. Biochem. 60: 23 (1996))。現在、Bcl-2アンチセンス療法は、固形および非固形腫瘍の治療のいくつかのフェーズIII臨床試験段階にある。いくつかの研究室が、Bcl-2およびBcl-XLの低分子阻害物質を設計することに関心を持っている。
アポトーシスの第2のクラスの中心的な負のレギュレーターはアポトーシス阻害タンパク質(IAP)である(Deveraux et al., Genes Dev. 13: 239 (1999); Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 3: 401 (2002))。IAPタンパク質は、癌細胞において化学療法剤、放射線および免疫療法を含む多種多様のアポトーシス刺激によって誘導されるアポトーシスを強力に抑制する。
X結合IAP(X-linked IAP)(XIAP)は、全てのIAP分子の中でアポトーシスを抑制する際の最も強力な阻害物質である(Holcik et al., Apoptosis 6: 253 (2001); LaCasse et al., Oncogene 17: 3247 (1998); Takahashi et al., J. Biol. Chem. 273: 7787 (1998); Deveraux et al., Nature 388: 300 (1997); Sun et al., Nature 401: 818 (1999); Deveraux et al., EMBO J. 18: 5242 (1999); Asselin et al., Cancer Res. 61: 1862 (2001))。XIAPは、デスレセプター媒介性およびミトコンドリア媒介性経路におけるアポトーシスの負の調節において主要な役割を果たす。XIAPは、カスパーゼファミリーの酵素の3つのメンバー、カスパーゼ-3、-7および-9に直接結合して強力に阻害することによって強力な内因的アポトーシス阻害物質として機能する(Takahashi et al., J. Biol. Chem. 273: 7787 (1998); Deveraux et al., Nature 388: 300 (1997); Sun et al., Nature 401: 818 (1999); Deveraux et al., EMBO J. 18: 5242 (1999); Asselin et al., Cancer Res. 61: 1862 (2001); Riedl et al., Cell 104: 791 (2001); Chai et al., Cell 104: 769 (2001); Huang et al., Cell 104: 781 (2001))。XIAPは3つのバキュロウイルスアポトーシス阻害因子リピート(BIR)ドメインおよびC末端RINGフィンガーを含む。第3のBIRドメイン(BIR3)はミトコンドリア経路のイニシエーターカスパーゼであるカスパーゼ-9を選択的に標的とするが、BIR1とBIR2の間のリンカー領域はカスパーゼ-3およびカスパーゼ-7を阻害する(Salvesen et al., Nat. Rev. Mol. Cell. Biol. 3:401 (2002))。XIAPとの結合は3つ全てのカスパーゼの活性化を防止するが、カスパーゼ-9との相互作用がアポトーシスの阻害に最も重要であると思われる(Ekert et al., J. Cell Biol. 152: 483 (2001); Srnivasula et al., Nature 410: 112 (2001))。XIAPは、多数のシグナリング経路が集中するポイントである下流のエフェクター相においてアポトーシスを遮断するので、XIAPを標的とする方法は、アポトーシスに対する癌細胞の耐性を克服するのに特に有効であることを証明することができる(Fulda et al., Nature Med. 8: 808 (2002); Arnt et al., J. Biol. Chem. 277: 44236 (2002))。
各種類の癌におけるXIAPの正確な役割は完全に理解されているとはいえないが、XIAPは多数の種類の癌において広範に過剰発現されており、種々の現在の治療剤に対する癌細胞の耐性において重要な役割を果たしている可能性があることを示す証拠が収集されている(Holcik et al., Apoptosis 6: 253 (2001); LaCasse et al., Oncogene 17: 3247 (1998))。
XIAPタンパク質は、NCI 60ヒト癌細胞系統のほとんどにおいて発現されることが見出された(Tamm et al., Clin. Cancer Res. 6: 1796 (2000))。以前に未治療の78人の患者の腫瘍試料の分析は、XIAPレベルが低い患者は生存が有意に長いことを示した(Tamm et al., Clin. Cancer Res. 6: 1796 (2000))。XIAPはヒト悪性グリオーマにおいて発現されることが見出された(Wagenknecht et al., Cell Death Differ. 6: 370 (1999); Fulda et al., Nature Med. 8: 808 (2002))。XIAPはヒト前立腺癌細胞において発現されることが見出されており、ミトコンドリア活性化の存在下において前立腺癌細胞のリガンド媒介性アポトーシスを誘導するApo2リガンド/腫瘍壊死因子関連アポトーシスを遮断する(McEleny et al., Prostate 51: 133 (2002); Ng et al., Mol. Cancer Ther. 1: 1051 (2002))。XIAPは患者の非小細胞肺癌(NSCLC)において過剰発現され、NSCLCの病因に関連するとされている(Hofmann et al., J. Cancer Res. Clin. Oncol. 128: 554 (2002))。XIAPの発現およびシスプラチンで治療したときのXIAPのダウンレギュレーションの欠如はヒト卵巣がんのシスプラチン耐性に関連するとされている(Li et al., Endocrinology 142: 370 (2001); Cheng et al., Drug Resist. Update 5: 131 (2002))。これらのデータは、共に考慮すると、XIAPは現在の治療剤に対するいくつかのヒト癌の耐性における重要な役割を果たしていることを示唆している。
最近、Smac/DIABLO(カスパーゼの第2のミトコンドリア由来アクチベーター)が、アポトーシス刺激に応答してミトコンドリアから細胞質ゾルに放出されるタンパク質として同定された(Budihardjo et al., Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 15: 269 (1999); Du et al., Cell 102: 33 (2000))。Smacは、成熟ポリペプチドへの成熟中にタンパク質分解により除去されるN−末端ミトコンドリア標的配列を用いて合成される。Smacは、XIAPおよび他のIAPと直接相互作用して、カスパーゼとの結合を妨害してカスパーゼの活性化を促進することが示された。SmacはXIAPの強力な内因的阻害物質である。
Smacタンパク質およびペプチドと複合体形成したXIAPのBIR3ドメインの高分解能実験による三次元(3D)構造が最近決定された(Sun et al., J. Biol. Chem. 275: 36152 (2000); Wu et al., Nature 408: 1008 (2000))(図1)。SmacのN末端テトラペプチド(Ala-Val-Pro-IleまたはAVPI(配列番号:1))は、いくつかの水素結合相互作用およびファンデルワールス接触を介してXIAPのBIR3ドメインの表面の溝を認識する。BIR3とカスパーゼ-9の相互作用は、カスパーゼ-9の小サブユニットのアミノ末端の4つの残基(Ala-Thr-Pro-Phe、ATPF(配列番号:2))をBIR3ドメインの同じ表面の溝に関連させることも示されている。いくつかの最近の検討は、Smacは、BIR3ドメインの表面の同じ結合溝に対してカスパーゼ-9と競合することによってカスパーゼ-9の触媒作用を促進することが納得できるように実証されている(Ekert et al., J. Cell Biol. 152: 483 (2001); Srinivasula et al., Nature 410: 112 (2001))。
ほとんどのタンパク質-タンパク質相互作用とは異なり、Smac-XIAP相互作用は、Smacタンパク質の4つだけののアミノ酸残基およびXIAPのBIR3ドメインの十分に規定されている表面の溝によって媒介される。XIAPに対するSmacペプチドAVPI(配列番号:1)のKd値(Kd=0.4 μM)は、成熟Smacタンパク質(Kd=0.42μM)と本質的に同じである。この十分に規定されている相互作用部位は、XIAPに対するSmacの結合を模倣する非ペプチド薬物様低分子の設計に理想的である。
細胞内送達を促進するためにキャリヤーペプチドに結合されているSmacのN末端の第1の4つのアミノ酸残基(AVPI(配列番号:1))からなる細胞透過性Smacペプチドは、最近、デスレセプター結合または細胞傷害性薬物によって誘導されるアポトーシスに対してインビトロにおいて種々の腫瘍細胞を感受性にし、インビボにおいて悪性グリオーマ細胞を感受性にすることが示されている(Fulda et al., Nature Med. 8: 808 (2002))。重要なことに、このSmacペプチドは、インビボにおいて脳内悪性グリオーマ異種移植片モデルにおいてApo2L/TRAILの抗腫瘍作用を強力に増強した。樹立された腫瘍の完全な根絶およびマウスの生存は、SmacペプチドとApo2L/TRAILの併用治療時のみ達成された。重要なことに、Smacペプチドは正常な脳組織に検出可能な毒性を生じない。
第2の最近の独立した検討も、異なるキャリヤーペプチドに結合されているSmacのN末端の第1の4〜8アミノ酸残基からなるペプチドは、MCF7および他のヒト乳癌細胞系統においてアポトーシスの誘導ならびにパクリタキセル、エトポシド、SN-38およびドキソルビシンを含む種々の化学療法剤の長期抗増殖作用を増強することを示した(Arnt et al., J. Biol. Chem. 277: 44236 (2002))。XIAPおよびcIAP-1は細胞におけるこれらのペプチドの主要な分子標的であることをこの検討は最終的に示した。
第3の検討は、ポリアルギニンに結合されている第1の7つのN末端残基からなるSmacペプチドはアポトソーム活性を回復させ、非小細胞肺癌H460細胞においてアポトーシス耐性を回復させることを示した(Yang et al., Cancer Res. 63: 831 (2003))。XIAPは、H460細胞においてアポトソーム活性の欠損およびカスパーゼ活性の抑制の原因となることが示された。化学療法と併用使用するとき、細胞透過性Smacペプチドはインビボにおいて腫瘍増殖を退行させ、マウスに対する毒性はほとんどなかった。これらの最近の独立した検討は、共に考慮すると、強力で、安定で、細胞透過性のSmacペプチドミメティックは、ヒト乳癌および他の種類の癌を治療するための大きな治療的可能性を有することを強力に示唆している。
ペプチド系阻害物質は、化学療法剤に対する癌細胞の応答においてIAPの抗アポトーシス作用およびIAPの役割を解明するための有用なツールである。しかし、ペプチド系阻害物質は、一般に、有用である可能性のある治療薬として本質的な限界がある。これらの限界には、細胞透過性の悪さおよびインビボにおける安定性の悪さが挙げられる。実際、Smac系ペプチド阻害物質を使用した報告されているこれら3つの検討では、ペプチドは、比較的細胞透過性にするためにキャリヤーペプチドに融合する必要があった。
本発明は、Smacペプチドに基づいたペプチドミメティックの設計およびXIAP BIR3ドメインと複合体形成したSmacの高分解能実験による三次元構造に関係する。
発明の概要
遺伝子損傷または(抗癌剤および放射線などの)アポトーシスのインデューサーへの暴露に応答したアポトーシスを癌細胞またはそれらの支持細胞が受けることができないことが癌の発症および進行において大きな因子であることは一般に承認されている。癌細胞またはそれらの支持細胞(例えば、腫瘍血管系の血管新生細胞)におけるアポトーシスの誘導は、今日市場に出ているまたは使用中の実質的に全ての有効な癌治療剤または放射線療法の普遍的な作用機序であると考えられている。細胞がアポトーシスを受けることができない理由の1つはIAPの発現および蓄積増加である。
本発明は、IAPの機能を阻害する治療的に有効な量の薬物(例えば、低分子)に、癌に罹患している動物を接触させると、癌細胞または支持細胞を完全に死滅させる(生存の連続がIAPの過活性に依存するような細胞)および/または集団としてのこのような細胞を癌治療薬または放射線療法の細胞死誘導作用に感受性にするを考慮している。本発明は、IAP機能に依存している癌細胞においてアポトーシスを誘導するために単独療法として投与される場合または癌治療薬もしくは放射線療法単独だけで治療した動物の対応する割合の細胞と比較して、大きい割合の癌細胞もしくは支持細胞をアポトーシスプログラムの実行に感受性にするために他の細胞死誘導癌治療薬もしくは放射線療法と時間的な関係を持って投与される場合に、IAPの阻害物質は多数の癌種を治療するための満たされていない必要事項を満足することを考慮している。
本発明のある態様において、治療的に有効な量の本発明の化合物および抗癌剤または放射線コースによる動物の併用治療は、化合物または抗癌剤/放射線単独で治療した動物と比較して、このような動物における腫瘍応答および臨床的利益が大きい。言い換えると、化合物は、IAPを発現する全ての細胞のアポトーシス閾値を低下するので、抗癌剤/放射線のアポトーシス誘導作用に応答してアポトーシスプログラムの実行を成功する細胞の割合は増加する。または、本発明の化合物を使用して、抗癌剤/放射線単独の従来の用量/染料と同じ腫瘍応答/臨床的利益を生ずるために低用量および/または低線量、従って低毒性で耐用性の大きい用量および/または線量の抗癌剤および/または放射線の投与を可能にする。承認されている全ての抗癌剤の用量および放射線治療の線量は公知であるので、本発明は、それらと本発明の化合物の種々の組み合わせを考慮する。また、本発明の化合物は、少なくとも一部にはIAPを阻害することによって作用するので、癌細胞および支持細胞の治療的に有効な量な化合物への接触は、抗癌剤または放射線療法に応答して細胞がアポトーシスプログラムを実行する試みと同時に生じるように時間的に関連させることができる。従って、いくつかの態様において、ある時間的な関係に関連して本発明の組成物を投与することは特に効果的な治療を提供する。
本発明は、IAPタンパク質の活性を阻害する、細胞のアポトーシスを誘導するおよびアポトーシスのインデューサーに対する細胞の感受性を増加するのに有用なSmacペプチドミメティックに関する。特定の態様において、Smacペプチドミメティックは式I:
(式中:
R
1はC
1-2アルキルまたはC
1-2ハロアルキルであり;
R
2は分岐鎖状もしくは非分岐鎖状のアルキルもしくはシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールであり;
R
3は分岐鎖状もしくは非分岐鎖状のアルキルもしくはシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールであり;
Yは(CH
2)
0-3(式中、1つ以上の炭素は、酸素、硫黄および窒素から選択される1つ以上のヘテロ原子で置換されていてもよく、CH
2基の1つ以上の水素は分岐鎖状もしくは非分岐鎖状のアルキルもしくは環状アルキルまたは置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールで置換されていてもよい)であり;および
ZはCONH、CH
2O、NHCO、(CH
2)
1-4、(CH
2)
1-3CONH(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3S(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NH(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NHCO(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NHSO
2(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NHC(O)NH(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NHC(S)NH(CH
2)
0-3または(CH
2)
1-3NR'(CH
2)
0-3(式中、R'は分岐鎖状もしくは非分岐鎖状のアルキルもしくはシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールである)である)
の化合物またはその薬学的に許容される塩またはプロドラッグである。
本発明は、IAPタンパク質の阻害物質である式Iによって示される化合物に関する。本発明は、細胞のアポトーシスを誘導するための本発明の化合物の用途に関する。本発明はまた、アポトーシスのインデューサーに対して細胞を感受性にするための本発明の化合物の用途に関する。本発明の化合物は、アポトーシス細胞死の誘導に応答する障害、例えば、癌などの過剰増殖性疾患を含む、アポトーシスの調節異常によって特徴付けられる疾患の治療、寛解または予防に有用である。ある態様において、本発明の化合物は、癌治療に対する耐性によって特徴付けられる癌(例えば、化学療法耐性、放射線耐性、ホルモン耐性等のもの)を治療、寛解または予防するために使用することができる。他の態様において、本発明の化合物は、IAPの過剰発現によって特徴付けられる過剰増殖性疾患を治療するために使用することができる。
本発明は、細胞のアポトーシスを誘導するためまたはアポトーシスのインデューサーに対して細胞を感受性にするための治療的に有効な量の式Iの化合物を含む薬学的組成物を提供する。
本発明はさらに、式Iの化合物を含むキットおよび動物に化合物を投与するための取扱説明書を提供する。本発明のキットは、他の治療薬、例えば、抗癌剤を任意に含んでもよい。
本発明はまた、式Iの化合物を製造する方法も提供する。
発明の詳細な説明
本発明は、Smacのペプチドミメティックであり、IAPの阻害物質として機能する、式Iによって示される化合物に関する。これらの化合物は、IAPを阻害することによって、細胞をアポトーシスのインデューサーに感受性にし、それら自体アポトーシスをアポトーシスを誘導する場合もある。従って、本発明は、アポトーシスのインデューサーに細胞を感受性にする方法および式Iの化合物単独またはアポトーシスのインデューサーと併用して細胞に接触させる段階を含む細胞のアポトーシスを誘導する方法に関する。本発明は、さらに、式Iの化合物およびアポトーシスのインデューサーを動物に投与する段階を含むアポトーシスの誘導に応答する動物の障害を治療、寛解または予防する方法に関する。このような障害には、アポトーシスの調節異常によって特徴づけられるものおよびIAPの過剰発現によって特徴付けられるものが挙げられる。
本明細書において使用する「IAPタンパク質」という用語は、XIAP、cIAP-1、cIAP-2およびML-IAPを含むが、これらに限定されないアポトーシス阻害タンパク質ファミリーの任意の公知のメンバーをいう。
本明細書において使用する「IAPの過剰発現」という用語は、IAPタンパク質をコードする基底レベルのmRNAを発現するまたは基底レベルのIAPタンパク質を有する同様の対応する非病的細胞と比較して、細胞のIAPタンパク質をコードする高いレベル(例えば、異常なレベルの)mRNAおよび/または高いレベルのIAPタンパク質をいう。細胞のIAPタンパク質をコードするmRNAのレベルまたはIAPタンパク質レベルを検出する方法には、IAPタンパク質抗体を使用するウェスタンブロット法、免疫組織化学的方法および核酸増幅または直接RNA検出方法が挙げられるが、それに限定されるわけではない。細胞内のIAPタンパク質の絶対レベルは、細胞がIAPタンパク質を過剰発現することを判定することに重要であり、このような細胞内の他のアポトーシス促進性のシグナリング分子(例えば、アポトーシス促進性Bcl-2ファミリータンパク質)に対するIAPタンパク質の相対的なレベルも重要である。これら2つのバランスが、IAPタンパク質のレベルがないとしたら、アポトーシス促進性シグナリング分子が、細胞にアポトーシスプログラムを実行させて死滅させるのに十分であるようである場合には、細胞は生存についてIAPタンパク質に依存していると思われる。このような細胞では、阻害的に有効な量のIAPタンパク質阻害物質への接触は、細胞にアポトーシスプログラムを実行させて死滅させるのに十分である。従って、「IAPタンパク質の過剰発現」という用語は、アポトーシス促進シグナルおよび抗アポトーシスシグナルの相対的レベルにより、IAPタンパク質の機能を阻害する阻害的に有効な量の化合物に応答してアポトーシスを行ける細胞もいう。
本明細書において使用する「抗癌剤」および「抗癌薬」という用語は、(例えば、哺乳類の)癌などの過剰増殖性疾患の治療に使用される任意の治療薬(例えば、化学療法化合物および/または分子標的治療(molecular therapeutic )化合物)、放射線療法または外科的介入をいう。
本明細書において使用する「プロドラッグ」という用語は、活性な薬物を放出するためまたはプロドラッグを活性な薬物に(例えば、酵素的、機械的、電磁的に)変換するために、標的生理系において生体内変換(例えば、自然的または酵素的)を必要とする親「薬物」分子の薬理学的に不活性な誘導体をいう。いくつかの好ましいプロドラッグは、代謝条件下において切断可能な基を有する化合物の変形体または誘導体である。例示的なプロドラッグは、生理的条件下において加溶媒分解を受けるまたは酵素的分解もしくは他の生化学的変換(例えば、リン酸化、水素化、脱水素化、グリコシル化)を受けると、インビボまたはインビトロにおいて薬学的に活性になる。プロドラッグは、哺乳類体において溶解度、組織適合性または徐放性という利点を提供することが多い。(例えば、Bundgard, Design of Prodrugs, pp. 7-9, 21-24, Elsevier, Amsterdam (1985);およびSilverman, The Organic Chemistry of Drug Design and Drug Action, pp. 352-401, Academic Press, San Diego, CA (1992)参照)。一般的なプロドラッグには、親の酸と好適なアルコール(例えば、低級アルコール)の反応によって生成されるエステルなどの酸誘導体、アシル化塩基誘導体(例えば、低級アルキルアミド)を形成するように反応を起こされる親の酸化合物とアミンまたは塩基性基との反応によって生成されるアミドが挙げられる。
本明細書において使用する「薬学的に許容される塩」という用語は、標的動物(例えば、哺乳類)において生理的に耐用される本発明の化合物の任意の塩(例えば、酸または塩基との反応によって得られる)をいう。本発明の化合物の塩は無機または有機酸および塩基から誘導することができる。酸の例には、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、スルホン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸等が挙げられるが、それに限定されるわけではない。それら自体は薬学的に許容可能でないが、シュウ酸などの他の酸を、本発明の化合物および薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の生成に使用することができる。
塩基の例には、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)の水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)の水酸化物、アンモニアおよび式NW4 +(式中、WはC1-4アルキルである)の化合物等が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、カンホラート、カンホスルホナート、シクロペンタンプロピオナート、ジグルコナート、ドデシルサルフェート、エタンスルホナート、フマル酸塩、フルコヘプタノアート(flucoheptanoate)、グリセロホスフェート、ヘミサスルフェート、ヘプタノオエート、ヘキサノエート、塩化物、臭化物、ヨウ化物、2-ヒドロキシエタンスルホナート、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホナート、2-ナフタレンスルホナート、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモアート(palmoate)、ペクチナート(pectinate)、過硫酸塩、フェニルプロピオナート、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、アンデカノアート等が挙げられるが、それに限定されるわけではない。塩の他の例には、本発明の化合物の陰イオンに、Na+、NH4 +およびNW4 +(式中、WはC1-4アルキル基である)等などの好適な陽イオンが結合したものが挙げられる。治療的用途のためには、本発明の化合物の塩は薬学的に許容されると考えられる。しかし、薬学的に許容されない酸と塩基の塩も、例えば、薬学的に許容される化合物の製造または精製の際に用途を見出すことがある。
本明細書において使用する「治療的に有効な量」という用語は、障害の1つ以上の症状の寛解、または障害の進行の防止、または障害の原因の退行を生ずるおに十分な治療薬の量をいう。例えば、癌の治療に関しては、治療的に有効な量は、好ましくは、腫瘍増殖速度を低下する、腫瘍塊を縮小する、転移数を減少する、腫瘍進行までの時間を延長するまたは生存期間を少なくとも5%、好ましくは、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%もしくは少なくとも100%延長する治療薬の量をいう。
本明細書において使用する「感受性にする」および「感受性にすること」という用語は、第1の薬剤(例えば、式Iの化合物)を投与することによって、動物または動物内の細胞を第2の薬剤の生物学的作用(例えば、細胞増殖、増殖、浸潤、血管形成またはアポトーシスを含むが、これらに限定されない細胞機能の一局面の促進または遅延)に感受性にするまたは応答性にすることをいう。標的細胞に対する第1の薬剤の感受性の影響は、第1の薬剤を投与する場合および投与しない場合に第2の薬剤を投与したとき観察される目的の生物学的作用(例えば、細胞増殖、増殖、浸潤、血管形成またはアポトーシスを含むが、これらに限定されない細胞機能の一局面の促進または遅延)の差として測定することができる。感受性にされた細胞の応答は、第1の薬剤の非存在下の応答より少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも100%、少なくとも150%、少なくとも200%、少なくとも350%、少なくとも300%、少なくとも350%、少なくとも400%、少なくとも450%または少なくとも500%増加させることができる。
本明細書において使用する「アポトーシスの調節異常」という用語は、細胞がアポトーシスにより細胞死を受ける能力(例えば、素因)の任意の異常をいう。アポトーシスの調節異常は、例えば、自己免疫性障害(例えば、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、移植片-対-宿主病、重症筋無力症またはシェーグレン症候群)、慢性炎症状態(例えば、乾癬、喘息またはクローン病)、過剰増殖性障害(例えば、腫瘍、B細胞リンパ腫またはT細胞リンパ腫)、ウイルス感染症(例えば、ヘルペス、パピローマまたはHIV)ならびに骨関節炎およびアテローム性動脈硬化症などの他の状態を含む種々の状態に関連するまたはそれらによって誘導される。調節異常がウイルス感染症によって誘導されるまたはウイルスに関連する場合には、ウイルス感染症は、調節異常が生じるときまたは観察されるときには検出可能であってもまたは検出可能でなくてもよいことに注目されるべきである。すなわち、ウイルス誘導性の調節異常は、ウイルス感染症の症状が消失した後でも生じることがある。
本明細書において使用する「過剰増殖性疾患」という用語は、動物における局所的な集団の増殖性細胞が正常な増殖の通常の限界によって支配されない任意の状態をいう。過剰増殖性障害の例には、腫瘍、新生物等が挙げられる。新生物は、浸潤または転移を受けない場合には良性であると言われ、これらのどちらかを受ける場合には悪性であると言われる。「転移」細胞は、細胞が浸潤して、隣接生体組織を破壊することがあることを意味する。過形成は、構造または機能に大きな変化を生じないで、組織または器官の細胞数の増加に関係する細胞増殖の形態である。異形成は、1つの種類の十分に分化した細胞が別の種類の分化した細胞と置換する制御された細胞増殖の形態である。
活性化されたリンパ球の病的な増殖は自己免疫障害または慢性炎症状態を生じることが多い。本明細書において使用する「自己免疫障害」という用語は、生物自身の分子、細胞または組織を認識する抗体または免疫細胞を生物が生ずる任意の状態をいう。自己免疫の限定するものではない例には、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、バーガー病またはIgA腎症、セリアック病、慢性疲労症候群、クローン病、皮膚筋炎、線維筋痛症、移植片対宿主病、グレーブス病、橋本甲状腺炎、特発性血小板減少症性紫斑病、扁平苔癬、多発性硬化症、重症筋無力症、乾癬、リウマチ熱、間接リウマチ、強皮症、シェーグレン症候群、全身性エリテマトーデス、1型糖尿病、潰瘍性大腸炎等が挙げられる。
本明細書において使用する「腫瘍性疾患」という用語は、両性(非癌性)または悪性(癌性)である細胞の任意の異常な増殖をいう。
本明細書において使用する「抗腫瘍剤」という用語は、標的とした(例えば、悪性)新生物の増殖(proliferation)、増殖(growth)または伝播を阻止する任意の化合物をいう。
本明細書において使用する「予防する」、「予防すること」および「予防」は、動物における病的な細胞(例えば、過剰増殖性または腫瘍性細胞)の発生を低下することをいう。予防は、被験者において完璧である、例えば、病的細胞が皆無である場合もある。予防は、被験者における病的細胞の発生が、本発明を用いない場合に生じると思われるものより少ないように部分的であってもよい。
本明細書において使用する「天然型アミノ酸」という用語は、20の天然型L-アミノ酸、すなわちグリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン、グルタミン、システイン、メチオニン、プロリン、セリンおよびスレオニンをいう。
本発明のIAP阻害物質は、一般式I:
(式中:
R
1はC
1-2アルキルまたはC
1-2ハロアルキルであり;
R
2は分岐鎖状もしくは非分岐鎖状のアルキルもしくはシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールであり;
R
3は分岐鎖状もしくは非分岐鎖状のアルキルもしくはシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールであり;
Yは(CH
2)
0-3(式中、1つ以上の炭素は、酸素、硫黄および窒素から選択される1つ以上のヘテロ原子で置換されていてもよく、CH
2基の1つ以上の水素は分岐鎖状もしくは非分岐鎖状のアルキルもしくは環状アルキルまたは置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールで置換されていてもよい)であり;および
ZはCONH、CH
2O、NHCO、(CH
2)
1-4、(CH
2)
1-3CONH(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3S(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NH(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NHCO(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NHSO
2(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NHC(O)NH(CH
2)
0-3、(CH
2)
1-3NHC(S)NH(CH
2)
0-3または(CH
2)
1-3NR'(CH
2)
0-3(式中、R'は分岐鎖状もしくは非分岐鎖状のアルキルもしくはシクロアルキルまたは置換もしくは非置換のアリール、アルキルアリール、ヘテロアリールもしくはアルキルヘテロアリールである)である)を有する化合物または薬学的に許容される塩もしくはプロドラッグである。
有用なアルキル基には、直鎖状または分岐鎖状C1-10アルキル基、特にメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、t-ブチル、sec-ブチル、3-ペンチル、アダマンチル、ノルボルニルおよび3-ヘキシル基が挙げられる。
有用なアリール基には、C6-14アリール、特にフェニル、ナフチル、フェナントレニル、アントラセニル、インデニル、アズレニル、ビフェニル、ビフェニレニルおよびフルオレニル基が挙げられる。
有用なヘテロアリール基には、チエニル、ベンゾ[b]チエニル、ナフト[2,3-b]チエニル、チアントレニル、フリル、ピラニル、イソベンゾフラニル、クロメニル、キサンテニル、フェノキサンテニル、2H-ピロリル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、インドリジニル、イソインドリル、3H-インドリル、インドリル、インダゾリル、プリニル、4H-キノリジニル、イソキノリル、キノリル、フタルジニル、ナフチリジニル、キノザリニル、シノリニル、プテリジニル、カルバゾリル、β-カルボリニル、フェナントリジニル、アクリジニル、ペリミジニル、フェナントロリニル、フェナジニル、イソチアゾリル、フェノチアジニル、イソキサゾリル、フラザニル、フェノキサジニル、1,4-ジヒドロキノキサリン-2,3-ジオン、7-アミノイソクマリン、ピリド[1,2-a]ピリミジン-4-オン、1,2-ベンゾイソキサゾール-3-イル、ベンズイミダゾリル、2-オキシンドリルおよび2-オキソベンズイミダゾリルが挙げられる。ヘテロアリール基が環に窒素原子を含む場合には、このような窒素原子は、N-オキシドの形態、例えば、ピリジルN-オキシド、ピラジニルN-オキシド、ピリミジニルN-オキシド等であってもよい。
任意の置換基には、アルキル;ハロ;ハロアルキル;シクロアルキル;低級アルキル、ハロ、ハロアルキルもしくはヘテロアリール基の1つ以上で置換されていてもよいアリール;低級アルキル、ハロアルキルもしくはヘテロアリール基の1つ以上で置換されていてもよいアリールオキシ;アラルキル、低級アルキル、ハロアルキルおよびアリール基の1つ以上で置換されていてもよいヘテロアリール;低級アルキル、ハロアルキルおよびアリール基の1つ以上で置換されていてもよいヘテロアリールオキシ;アルキルチオ;アリールチオ;アミノ;アシルオキシ;低級アルキル、ハロアルキルおよびアリール基の1つ以上で置換されていてもよいアリールアシルオキシ;低級アルキル、ハロもしくはハロアルキル基の1つ以上で置換されていてもよいジフェニルホスフィニルオキシ;低級アルキル、ハロアルキルおよびアリール基の1つ以上で置換されていてもよいヘテロシクロ;低級アルキル、ハロアルキルおよびアリール基の1つ以上で置換されていてもよいヘテロシクロアルコキシ;低級アルキル、ハロアルキルおよびアリール基の1つ以上で置換されていてもよい部分的不飽和ヘテロシクロアルキル;または低級アルキル、ハロアルキルおよびアリール基の1つ以上で置換されていてもよい部分的不飽和ヘテロシクロアルキルオキシの1つ以上が挙げられる。
有用なシクロアルキル基はC3-8シクロアルキルである。典型的なシクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルが挙げられる。
有用な飽和または部分的飽和炭素環基は、上記に規定するシクロアルキル基ならびにシクロペンンテニル、シクロヘプテニルおよびシクロオクテニルなどのシクロアルケニル基である。
有用なハロまたはハロゲン基には、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素が挙げられる。
有用なアリールアルキル基には、上記のC6-14アリール基のいずれかによって置換された上記のC1-10アルキルのいずれかが挙げられる。有用なものにはベンジル、フェネチルおよびナフチルメチルが挙げられる。
有用なハロアルキル基には、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素原子の1つ以上で置換されたC1-10アルキル基、例えば、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、1,1-ジフルオロエチル、クロロメチル、クロロフルオロメチルおよびトリクロロメチル基が挙げられる。
有用なアルコキシ基には、上記のC1-10アルキル基の1つで置換された酸素が挙げられる。
有用なアルキルチオ基には、上記のC1-10アルキル基の1つで置換された硫黄が挙げられる。このようなアルキルチオ基のスルホキシドおよびスルホンも含まれる。
有用なアミド基には、カルボニルアミドおよびアミノ窒素に結合している任意のC1-6アシル(アルカノイル)、例えば、アセトアミド、プロピオンアミド、ブタノイルアミド、ペンタノイルアミド、ヘキサノイルアミドおよびアリール-置換C2-6置換アシル基が挙げられる。
有用なアシルオキシ基は、オキシ(--O--)基に結合している任意のC1-6アシル(アルカノイル)、例えば、ホルミルオキシ、アセトキシ、プロピオノイルオキシ、ブタノイルオキシ、ペンタノイルオキシ、ヘキサノイルオキシ等である。
有用なアリールアシルオキシ基には、上記のアシルオキシ基のいずれかに上記のアリール基のいずれかが置換しているもの、例えば、2,6-ジクロロベンゾイルオキシ、2,6-ジフルオロベンゾイルオキシおよび2,6-ジ-(トリフルオロメチル)-ベンゾイルオキシ基が挙げられる。
有用なアミノ基には、--NH2、--NHR11および--NR11R12(式中、R11およびR12は、上記に規定するC1-10アルキルまたはシクロアルキル基である)が挙げられる。
有用な飽和または部分飽和複素環基には、テトラヒドロフラニル、ピラニル、ピペリジニル、ピペリジニル(piperizinyl)、ピロリジニル、イミダゾリジニル、イミダゾリニル、インドリニル、イソインドリニル、キヌクリジニル、モルホリニル、イソクロマニル、クロマニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、テトロノイルおよびテトラモイルが挙げられる。
本発明の化合物のあるものは、光学異性体を含む立体異性体として存在してもよい。本発明は、全ての立体異性体およびこのような立体異性体のラセミ混合物ならびに当業者に周知である方法により分離することができる個々のエナンチオマーを含む。
ある態様において、式1の化合物は、4つ以上の天然型アミノ酸を含まず、好ましくは、3つ以上の天然型アミノ酸を含まず、よりさらに好ましくは、2つ以上の天然型アミノ酸を含まない。
本発明のある態様において、式Iの化合物は:
を含む。
本発明の化合物は、当業者に公知の方法を使用して製造することができる。
本発明の重要な局面は、式Iの化合物はアポトーシスを誘導し、アポトーシス誘導シグナルに応答するアポトーシスの誘導も賦活することである。従って、これらの化合物は、このようなインデューサーに耐性の細胞を含む細胞をアポトーシスのインデューサーに感受性にすることが考慮される。本発明のIAP阻害物質は、アポトーシスの誘導によって治療、寛解または予防することができる任意の障害においてアポトーシスを誘導するために使用することができる。従って、本発明は、IAPタンパク質を過剰発現すると特徴づけられた動物を標的とするための組成物および方法を提供する。態様のいくつかにおいて、細胞(例えば、癌細胞)は、非病的試料(例えば、非癌細胞)と比較して、IAPタンパク質の発現レベルが高い。他の態様において、阻害的に有効な量の式Iの化合物に応答してアポトーシスプログラムを実行して、死滅することに関して細胞は機能的に高い発現レベルのIAPタンパク質を発現し、応答は少なくとも一部には、このような細胞において生存のためのIAPタンパク質機能への依存によって生じる。
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法は、動物(例えば、ヒトおよび獣医的動物を含むが、これらに限定されない哺乳類被験体)の患部細胞、組織、器官または病的状態および/または疾病状態を治療するために使用される。これに関しては、種々の疾病および病態は、本発明の方法および組成物を使用する治療または予防を受けやすい。これらの疾病および状態の限定するものではない例のリストには、乳癌、前立腺癌、リンパ腫、皮膚癌、膵臓癌、結腸癌、黒色腫、悪性黒色腫、卵巣癌、脳腫瘍、原発性脳腫瘍、頭頸部癌、グリオーマ、神経膠芽腫、肝臓癌、膀胱癌、非小細胞肺癌、頭頸部(head or neck)癌、乳癌、卵巣癌、肺癌、小細胞肺癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、精巣癌、膀胱癌、膵臓癌、胃癌、結腸癌、前立腺癌、尿生殖器癌、甲状腺癌、食道癌、骨髄腫、多発性骨髄腫、副腎癌、腎細胞癌、子宮体癌、副腎皮質癌、悪性インスリノーマ、悪性カルチノイド腫瘍、絨毛癌、菌状息肉腫、悪性高カルシウム血症、子宮頸部過形成、白血病、急性リンパ性白血病、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、慢性骨髄性白血病、慢性顆粒球性白血病、急性顆粒球性白血病、ヘアリー細胞白血病、神経芽細胞腫、横紋筋肉腫、カポジ肉腫、真性赤血球増加症、本態性血小板血症、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、軟部肉腫、骨原性肉腫、原発性マクログロブリン血症および網膜芽細胞腫等、TおよびB細胞媒介性自己免疫疾患;炎症性疾患;感染症;過剰増殖性疾患;AIDS;変性状態、血管疾患等が挙げられるが、それに限定されるわけではない。いくつかの態様において、治療される癌細胞は転移性である。他の態様において、治療される癌細胞は抗癌剤に耐性である。
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法を用いる治療に好適な感染症には、ウイルス、細菌、心筋、マイコプラズマ、プリオン等によって生じる感染症が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
本発明のいくつかの態様は、有効な量の式Iの化合物および少なくとも1つの追加の治療薬(化学療法抗癌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌剤および抗炎症剤を含むが、これらに限定されない) および/または治療法(例えば、外科的介入および/または放射線治療)を投与する方法を提供する。
数多くの好適な抗癌剤が本発明の方法への使用が考慮される。実際、本発明は、アポトーシスを誘導する薬剤;ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンス、リボザイム、siRNA);ポリペプチド(例えば、酵素および抗体);生物学的ミメティクス(例えば、ゴシポールまたはBH3ミメティクス);BaxなどのBcl-2ファミリータンパク質に結合する(例えば、オリゴマー形成するまたは複合体形成する)物質;アルカロイド;アルキル化剤、抗腫瘍抗生物質;代謝拮抗剤;ホルモン;白金化合物;モノクローナルまたはポリクローナル抗体(例えば、抗癌剤、毒素、デフェンシンと結合した抗体);毒素;放射性核種;生物応答調節物質(例えば、インターフェロン(例えば、IFN-α)およびインターロイキン(例えば、IL-2));養子免疫療法剤;造血成長因子;腫瘍細胞分化を誘導する物質(例えば、オールトランスレチノイン酸);遺伝子治療剤(例えば、アンチセンス治療剤およびヌクレオチド);腫瘍ワクチン;血管形成阻害剤;プロテアソーム阻害剤;NK-κB調節物質;抗CDK化合物;HDAC阻害物質等などの数多くの抗癌剤の投与を考慮するが、これに限定されるわけではない。開示されている化合物と同時投与するのに好適な化学療法化合物および抗癌治療の数多くの他の例が当業者に公知である。
好ましい態様において、抗癌剤は、アポトーシスを誘導するまたは刺激する因子である。アポトーシスを誘導する因子には、放射線(例えば、X線、γ線、UV);キナーゼ阻害物質(例えば、上皮増殖因子受容体(EGFR)キナーゼ阻害物質、血管増殖因子受容体(VGFR)キナーゼ阻害物質、線維芽細胞増殖因子受容体(FGFR)キナーゼ阻害物質、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)キナーゼ阻害物質およびBcr-Ab1キナーゼ阻害物質(グリーベック(GLEEVEC)など));アンチセンス分子;抗体(例えば、ハーセプチン(HERCEPTIN)、リツキサン(RITUXAN)、ゼバリン(ZEVALIN)およびアバスチン(AVASTATIN));抗エストロゲン剤(例えば、ラロキシフェンおよびタモキシフェン);抗アンドロゲン剤(例えば、フルタミド、ビカルタミド、フィナステリド、アミノグルテチミド(aminoglutethamide)、ケトコナゾールおよびコルチコステロイド);シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害物質(例えば、セレコキシブ、メロキシカム、NS-398および非ステロイド性抗炎症剤(NSAID));抗炎症剤(例えば、ブタゾリジン、デカドロン(DECADRON)、デルタゾン、デキサメサゾンインテンゾール(intensol)、デキソン(DEXONE)、ヘキサドロール(HEXADROL)、ヒドロキシクロロキン、メチコルテン(METICORTEN)、オラデキソン(ORADEXON)、オラゾン(ORASONE)、オキシフェンブタゾンペディアプレッド(PEDIAPRED)、フェニルブタゾン、プラケニル(PLAQUENIL)、プレドニゾロン、プレドニゾン、プレロン(PRELONE)およびタンデアリル(TANDEARIL);および癌化学療法剤(例えば、イリノテカン(カンプトサール(CAMPTOSAR))、CPT-11、フルダラビン(フルダラ(FLUDARA))、ダカルバジン(DTIC)、デキサメサゾン、ミトキサントロン、ミロターグ(MYLOTARG)、VP-16、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン5-FU、ドキソルビシン、ゲムシタビン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブ、ベバシズマブ、タキソテレ(TAXOTERE)またはタキソール(TAXOL));細胞シグナリング分子;セラミドおよびサイトカイン;スタウロスポリン等が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
さらに他の態様において、本発明の組成物および方法は、式Iの化合物およびアルキル化剤、代謝拮抗剤および天然産物(例えば、ハーブおよび他の植物および/または動物由来の化合物)から選択される少なくとも1つの抗過剰増殖剤または抗腫瘍剤を提供する。
本発明の組成物および方法に使用するのに好適なアルキル化剤には:1)ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、イホスファミド、メルファラン(L-サルコリシン);およびクロラムブシル);2)エチレンイミンおよびメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミンおよびチオテパ);3)アルキルスルホネート(例えば、ブスルファン);4)ニトロソウレア(例えば、カルムスチン(BCNU);ロムスチン(CCNU);セムスチン(メチル-CCNU);およびストレプトゾシン(ストレプトゾトシン));ならびに5) トリアゼン(例えば、ダカルバジン(DTIC;ジメチルトリアゼノイミダゾールカルボキサミド))が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
いくつかの態様において、本発明の組成物および方法に使用するのに好適な代謝拮抗剤には:1)葉酸アナログ(例えば、メトトレキセート(アメトプテリン));2)ピリミジンアナログ(例えば、フルオロウラシル(5-フルオロウラシル;5-FU)、フロクスウリジン(フルオロデオキシウリジン;FudR)およびシタラビン(シトシンアラビノシド));ならびに3)プリンアナログ(例えば、メルカプトプリン(6-メルカプトプリン;6-MP)、チオグアニン(6-チオグアニン;TG)、およびペントスタチン(2'-デオキシコホルマイシン))が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
さらに別の態様において、本発明の組成物および方法に使用するのに好適な化学療法剤には:1)ビンカカルカロイド(例えば、ビンブラスチン(VLB)、ビンクリスチン);2) エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドおよびテニポシド);3)抗生物質(例えば、ダクチノマイシン(アクチノマイシンD)、ダウノルビシン(ダウノマイシン;ルビドマイシン(rubidomycin))、ドキソルビシン、ブレオマイシン、プリカマイシン(ミトラマイシン)およびマイトマイシン(マイトマイシンC));4)酵素(例えば、L-アスパラギナーゼ);5)生物応答調節物質(例えば、インターフェロン-α);6)白金配位錯体(例えば、シスプラチン(cis-DDP)およびカルボプラチン);7) アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン);8)置換尿素(例えば、ヒドロキシウレア);9)メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン(N-メチルヒドラジン;MIH));10)副腎皮質抑制物質(例えば、ミトタン(o,p'-DDD)およびアミノグルテチミド);11)副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン);12)プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メドロキシプロゲステロンおよび酢酸メゲステロール);13)エストロジェン(例えば、ジエチルスチルベストロールおよびエチニルエストラジオール);14)抗エストロジェン(例えば、タモキシフェン);15)アンドロジェン(例えば、プロピオン酸テストステロンおよびフルオキシメステロン);16)抗アンドロジェン(例えば、フルタミド)ならびに17)ゴナドトロピン放出ホルモンアナログ(例えば、ロイプロリド)が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
癌治療状況において通常使用される腫瘍退縮性剤は本発明の組成物および方法に用途を見出している。例えば、米食品医薬品局(U. S. Food and Drug Administration)は、米国において使用が承認されている腫瘍退縮剤の処方を管理している。U. S. F. D. A.の対応する国際当局も同様の処方を管理している。表1は、米国において使用が承認されている例示的な抗腫瘍剤のリストを掲載している。米承認化学療法剤全てに必要とされる「製品ラベル」は、例示的な薬剤の承認されている適応症、用法用量情報、毒性データ等を記載していることを当業者は理解している。
本発明の化合物と共に投与する際に使用するのに好ましい従来の抗癌剤には、アドリアマイシン、5-フルオロウラシル、エトポシド、カンプトテシン、アクチノマイシンD、マイトマイシンC、シスプラチン、ドセタキセル、ゲムシタビン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ボルテゾミブ、ゲフィチニブおよびベバシズマブが挙げられるが、それに限定されるわけではない。これらの薬剤は、単独で、併用治療組成物で、キットで、または免疫治療剤と併用して製造し、使用することができる。
抗癌剤および他の治療薬の詳細な説明については、当業者は、Physician's Desk ReferenceならびにGoodmanおよびGilmanの「Pharmaceutical Basis of Therapeutics」、第9版、Hardmanら編、1996年を含むが、これらに限定されない任意の数の教育的なマニュアルを参照する。
本発明は、式Iの化合物を放射線治療と共に投与するための方法を提供する。本発明は、動物に治療線量の放射線を送達するために使用する種類、量または送達および投与システムによって限定されない。例えば、動物は光子照射療法、粒子ビーム放射線治療、他の種類の放射療法およびそれらの組み合わせを受けることができる。いくつかの態様において、放射線は、線形加速器を使用して動物に送達される。さらに他の態様において、放射線はγナイフを使用して送達される。
放射線源は動物の外部であってもまたは内部であってもよい。外部放射線療法は極めて一般的であり、例えば、線形加速器を使用して皮膚を介して腫瘍部位に高エネルギー放射線ビームを誘導することに関係する。放射線ビームは腫瘍部位に局在化されるが、正常な健康組織の暴露を回避することがほとんど不可能である。しかし、外部放射線は、通常、患者による耐用性が良好である。内部放射線療法は、ビーズ、ワイヤー、ペレット、カプセル、粒子等などの放射線放出源を生体内の腫瘍部位または腫瘍部位付近に植え込むことに関係し、(例えば、癌細胞結合リガンドに結合している粒子を使用して)癌細胞を特異的に標的とする送達システムの使用を含む。このようなインプラントは治療後に除去してもまたは無傷のまま生体内に放置してもよい。内部放射線療法の種類には、近接照射療法、組織内照射、腔内照射、放射免疫療法等が挙げられるが、それに限定されるわけではない。
動物は、任意に、放射線増感剤(例えば、メトロニダゾール、ミソニダゾール、動脈内Budr、静脈内ヨードデオキシウリジン(IudR)、ニトロイミダゾール、5-置換-4-ニトロイミダゾール、2H-イソインドールジオン、[[(2-ブロモエチル)-アミノ]メチル]-ニトロ-1H-イミダゾール-1-エタノール、ニトロアニリン誘導体、DNA親和性低酸素選択的細胞毒素、ハロゲン化DNAリガンド、1,2,4ベンゾトリアジンオキシド、2-ニトロイミダオゾール誘導体、フッ素含有ニトロアゾール誘導体、ベンズアミド、ニコチンアミド、アクリジンインターカレーター、5-チオトレトラゾール誘導体、3-ニトロ-1,2,4-トリアゾール、4,5-ジニトロイミダゾール誘導体、水酸化テキサフリン(texaphrin)、シスプラチン、マイトマイシン、チリパザミン(tiripazamine)、ニトロソウレア、メルカプトプリン、メトトレキセート、フルオロウラシル、ブレオマイシン、ビンクリスチン、カルボプラチン、エピルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミド、ビンデシン、エトポシド、パクリタキセル、熱(温熱療法)等)、放射線防御剤(radioprotector)(例えば、システアミン、アミノアルキル二水素ホスホロチオエート、アミフォスチン(WR 2721)、IL-1、IL-6等)を投与されてもよい。放射線増感剤は腫瘍細胞の死滅を増強する。放射線防御剤(radioprotector)は、健康な組織を放射線の有害な作用から防御する。
放射線の線量が、許容されない負の副作用を生じないで患者による耐用性が得られる限り、任意の種類の放射線を患者に投与することができる。好適な種類の放射線療法には、例えば、電離性(電磁)放射線療法(例えば、X線またはガンマ線)または粒子ビーム放射線療法(例えば、高線エネルギー放射線(high linear energy radiation))が挙げられる。電離放射線は、(例えば、全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第5,770,581号に記載されているように)電離を生ずる、すなわち電子を獲得するまたは損失するのに十分なエネルギーを有する粒子または光子を含む放射線と規定される。放射線の影響は少なくとも一部には臨床医によって制御することができる。放射線の線量は、好ましくは、標的細胞の暴露を最大にし、毒性を低くするために分割される。
動物に投与される放射線の総線量は、好ましくは、約0.1 Gray(Gy)〜約100 Gyである。さらに好ましくは、約10 Gy〜約65 Gy(例えば、約15 Gy、20 Gy、25 Gy、30 Gy、35 Gy、40 Gy、45 Gy、50 Gy、55 Gyまたは60 Gy)が治療コース中に投与される。放射線の全線量が1日の治療コース中に投与されることがある態様もあるが、総線量は理想的には分割されて、数日間で投与される。望ましくは、放射線療法は、少なくとも約3日、例えば、少なくとも5、7、10、14、17、21、25、28、32、35、38、42、46、52または56日(約1〜8週)のコース中に投与される。従って、放射線の1日線量は約1〜5 Gy(例えば、約1 Gy、1.5 Gy、1.8 Gy、2 Gy、2.5 Gy、2.8 Gy、3 Gy、3.2 Gy、3.5 Gy、3.8 Gy、4 Gy、4.2 Gyまたは4.5 Gy)を含み、好ましくは、1〜2 Gy(例えば、1.5〜2 Gy)を含む。放射線の1日線量は、標的細胞の破壊を誘導する程度に十分でなければならない。一定期間継続する場合には、放射線は、好ましくは、毎日投与せず、それによって動物を休息させ、治療の影響を実現することができる。例えば、放射線は、望ましくは、各週の治療について5日連続して投与し、2日は投与せず、それによって1週間あたり2日の休息を可能にする。しかし、動物の応答性および考えられる任意の副作用に応じて、放射線は1日/週、2日/週、3日/週、4日/週、5日/週、6日/週または7日全て/週投与してもよい。好ましくは、放射線は1週目または2週目に開始し、治療期間の残りの期間の間投与する。例えば、放射線は、例えば、固形腫瘍を治療するためには、6週を含む治療期間の1〜6週または2〜6週に投与する。または、放射線は、5週を含む治療期間の1〜5週目または2〜5週目に投与する。しかし、これらの例示的な放射線療法の投与計画は本発明を限定することを意図しているものではない。
抗菌治療剤も本発明の治療剤として使用することができる。微生物を死滅、阻止または微生物の機能を弱毒化することができる任意の薬剤を使用することができ、任意の薬剤がこのような活性を有すると考えられる。抗菌剤には、天然および合成抗生物質、阻害性タンパク質(例えば、デフェンシン)、アンチセンス核酸、膜破壊剤等が挙げられるが、それに限定されるわけではなく、単独使用または併用使用される。実際、抗菌剤、抗ウイルス剤、抗真菌財等を含むが、これらに限定されない任意の種類の抗生物質を使用することができる。
本発明のいくつかの態様において、式Iの化合物および1つ以上の治療薬または抗癌剤を以下の条件の1つ以上において動物に投与する:異なる周期、異なる期間、異なる濃度、異なる投与経路等。いくつかの態様において、化合物は治療薬または抗癌剤の前、例えば、治療薬または抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12または18時間前、1、2、3、4、5または6日前、1、2、3または4週間前に投与される。いくつかの態様において、化合物は、治療薬または抗癌剤の後、例えば、治療薬または抗癌剤の投与の0.5、1、2、3、4、5、10、12または18時間後、1、2、3、4、5または6日後、1、2、3または4週間後に投与される。いくつかの態様において、化合物と治療薬または抗癌剤は同時であるが、異なるスケジュールで投与され、例えば、化合物は毎日投与されるが、治療薬または抗癌剤は週1回、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回投与される。他の態様において、化合物は週1回投与されるが、治療薬または抗癌剤は毎日、週1回、2週間に1回、3週間に1回または4週間に1回投与される。
本発明の化合物は、化合物の細胞の取り込みを増強するためにキャリヤー分子に結合してもよい。このようなキャリヤー分子の例には、Fulda et al., Nature Med. 8: 808 (2002)、Arnt et al., J. Biol. Chem. 277: 44236 (2002)およびYang et al., Cancer Res. 63: 831 (2003)によって記載されているものなどのキャリヤーペプチド、膜融合ペプチド(例えば、米国特許第5,965,404号参照)ならびにウイルスおよび中空粒子およびウイルスヘマグルチニンなどのウイルス部分(例えば、米国特許第5,547,932号参照)が挙げられる。他のキャリヤー分子には、(アシアログリコプロテイン受容体に結合する;米国特許第5,166,320号参照)アシアログリコプロテインなどの細胞表面受容体のリガンドおよびT細胞に特異的な抗体などの細胞表面受容体に対する抗体、例えば、抗CD4抗体(米国特許第5,693,509号参照)が挙げられる。
本発明の範囲内の組成物は、意図された目的を達成するのに有効な量の本発明の化合物が含まれる全ての組成物を含む。個々の要件は変化するが、各成分の有効な量の最適な範囲の決定は当技術の範囲内である。典型的には、化合物は、1日あたり0.0025〜50 mg/アポトーシスの誘導に応答性の障害を治療する哺乳類の体重1kgまたは薬学的に許容される塩の等価な量を哺乳類、例えば、ヒトに経口投与することができる。好ましくは、このような障害を治療、寛解または予防するために約0.01〜約10 mg/kgが経口投与される。筋肉内注射のためには、用量は一般に経口用量の約半分である。例えば、好適な筋肉内用量は約0.0025〜約25 mg/kgであってもよく、最も好ましくは、約0.01〜約5 mg/kgであってもよい。
単位経口用量は、約0.01〜約50 mg、好ましくは、約0.1〜約10 mgの化合物を含んでもよい。単位用量は、各々約0.1〜約10mg、便利なことに約0.25〜50 mgの化合物または溶媒和物を含む1つ以上の錠剤またはカプセルとして1日1回以上投与してもよい。
局所製剤において、化合物は、担体1グラムあたり約0.01〜100 mgの濃度で存在してもよい。好ましい態様において、化合物は、約0.07〜1.0 mg/ml、さらに好ましくは、約0.1〜0.5 mg/ml、最も好ましくは、約0.4 mg/mlの濃度で存在する。
化合物を生の化学物質として投与する以外に、本発明の化合物は、薬学的に使用することができる製剤への化合物の処理を容易にする賦形剤および補助剤を含む好適な薬学的に許容される担体を含む製剤の一部として投与してもよい。好ましくは、製剤、特に経口的または局所的に投与することができ、錠剤、徐放性トローチおよびカプセル、口内洗浄剤およびうがい薬、ゲル、液体懸濁液、ヘアリンス、ヘアゲル、シャンプーなどの好ましい投与種類に使用することができるような製剤、および坐剤などの直腸投与することができる製剤、ならびに注射、局所または経口による投与に好適な溶液は、約0.01〜99パーセント、好ましくは、約0.25〜75パーセントの作用化合物を賦形剤と共に含む。
本発明の薬学的組成物は、本発明の化合物の有用な影響を経験することができる任意の動物に投与することができる。このような動物のうち一番は哺乳類、例えば、ヒトであるが、本発明はそのように限定されることを意図していない。他の動物には、獣医的な動物(ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、イヌ、ネコ等)が挙げられる。
本発明の化合物および薬学的組成物は、意図された目的を達成する任意の手段によって投与することができる。例えば、投与は、非経口、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、経皮、口腔内、くも膜下腔内、頭蓋内、鼻腔内または局所的経路によってであってもよい。別の方法としてまたは同時に、投与は経口経路によってもよい。投与される用量は、レシピエントの年齢、健康状態および体重、あれば、併用治療の種類、治療頻度および望ましい影響の性質に依存する。
本発明の製剤は、例えば、従来の混合、顆粒化、糖衣錠製造、溶解または凍結乾燥過程によって既知の方法で製造される。経口使用用の製剤は、作用化合物と固体の賦形剤を合わせ、望ましい場合または必要な場合には、好適な補助剤を添加後、任意に得られた混合物を細粉化し、顆粒の混合物を処理して、錠剤または糖衣錠のコアを得ることができる。
好適な賦形剤は、特に、サッカライド、例えば、ラクトースまたはスクロース、マンニトールまたはソルビトール、セルロース製剤および/またはリン酸カルシウム、例えば、リン酸トリカルシウムまたはリン酸水素カルシウムなどのフィラー、ならびに例えば、トウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプンを使用するデンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよび/またはポリビニルピロリドンなどの結合剤である。望ましい場合には、上記のデンプンおよびカルボキシメチルデンプン、架橋ポリビニルピロリドン、寒天またはアルギン酸もしくはアルギン酸ナトリウムなどの塩などの崩壊剤を添加してもよい。補助剤は、特に、流動調節剤および潤滑剤、例えば、シリカ、タルク、ステアリン酸またはステアリン酸マグネシウムもしくはステアリン酸カルシウムなどの塩および/またはポリエチレングリコールである。糖衣錠のコアは、望ましい場合には、胃酸に抵抗性の好適なコーティングが提供される。この目的のために、任意に、アラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコールおよび/または二酸化チタン、ラッカー液および好適な有機溶媒または溶媒混合物を含んでもよい濃縮サッカライド溶液を使用してもよい。胃酸に抵抗性のコーティングを製造するために、フタル酸アセチルセルロースまたはフタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの好適なセルロース製剤の溶液を使用する。例えば、作用化合物の用量を識別するためまたは作用化合物の用量の組み合わせを特徴づけるために、染料または顔料を錠剤または糖衣錠コーティングに添加してもよい。
経口使用することができる他の製剤には、ゼラチンから製造される押し込み型(push-fit)カプセルならびにゼラチンおよびグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤から製造される軟密封カプセルが挙げられる。押し込み型(push-fit)カプセルは、ラクトースなどのフィラー、デンプンなどの結合剤および/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤および任意に安定化剤と混合してもよい顆粒形態の作用化合物を含むことができる。軟カップリングでは、作用化合物は、好ましくは、脂肪油または流動パラフィンなどの好適な液体に溶解または懸濁される。また、安定化剤を添加してもよい。
直腸に使用することができると思われる製剤には、例えば、1つ以上の作用化合物と坐薬基剤との組み合わせからなる坐剤が挙げられる。好適な坐薬基剤は、例えば、天然または合成トリグリセリドまたはパラフィン炭化水素である。また、作用化合物と基剤の組み合わせからなるゼラチン直腸カプセルを使用することも可能である。可能な基剤材料には、例えば、液体トリグリセリド、ポリエチレングリコールまたはパラフィン炭化水素が挙げられる。
非経口投与に好適な製剤には、水溶性の形態の作用化合物、例えば、水溶性の塩とアルカリ性溶液の水溶液が挙げられる。また、適当な油状の注射懸濁液としての作用化合物の懸濁液を投与することができる。好適な親油性溶媒または媒体には、脂肪油、例えば、ゴマ油または合成脂肪酸エステル、例えば、オレイン酸エチルもしくはトリグリセリドまたはポリエチレングリコール-400が挙げられる。注射用水溶液は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトールおよび/またはデキストランを含む懸濁液の粘度を増加する物質を含んでもよい。任意に、懸濁液は安定化剤も含んでもよい。
本発明の局所組成物は、好ましくは、適当な担体を選択することによって、オイル、クリーム、ローション、軟膏等として製剤化される。好適な担体には、植物油または鉱物油、白色ワセリン(白色軟パラフィン)、分岐鎖状脂肪またはオイル、動物脂肪および高分子アルコール(C12超)が挙げられる。好ましい担体は、作用成分が可溶性であるものである。望ましい場合には、乳化剤、安定化剤、保湿剤および抗酸化剤ならびに色または香りを与える物質も含んでもよい。さらに、経皮透過性増強剤をこれらの局所製剤に使用してもよい。このような増強剤の例は米国特許第3,989,816号および同第4,444,762号に見出すことができる。
クリームは、好ましくは、アーモンド油などの少量のオイルに溶解した作用成分の混合物が混合されている鉱物油、自己乳化性蜜ろうおよび水の混合物から製剤化される。このようなクリームの典型的な例は、約40部の水、約20部の蜜ろう、約40部の鉱物油および約1部のアーモンド油を含むものである。
軟膏は、作用成分のアーモンド油などの植物油の溶液と暖かい軟パラフィンを混合し、混合物を冷却させることによって製剤化することができる。このような軟膏の典型的な例は、約30重量%のアーモンド油および約70重量%の白色軟パラフィンを含む。
ローションは、作用成分を、プロピレングリコールまたはポリエチレングリコールなどの好適な高分子量アルコールに溶解することによって従来通り調製することができる。
以下の実施例は例示的であり、本発明の方法および組成物を限定するものではない。臨床治療において普通に遭遇され、当業者に明らかな種々の条件およびパラメーターの他の好適な改良および調整は本発明の精神および範囲の範囲内である。
実施例1
蛍光偏光アッセイの開発
蛍光偏光を使用する定量的インビトロ結合アッセイを開発した。XIAPに対するSmacの結合は、SmacのN末端の数アミノ酸残基によって媒介される(図1)。2つの異なる蛍光プローブを合成した:天然型9-mer Smacペプチド(AVPIAQKSEK(配列番号:3))および突然変異型5-mer Smacペプチド(AbuRPFK(ここで、Abu=2-アミノ酪酸(配列番号:4)である))。各プローブに、蛍光タグとして6-カルボキシフルオレセインスクシンイミジルエステル(FAM)を標識した(それぞれ、S9Fと名づけたAVPIAQKSEK-FAMおよびSM5Fと名づけたAbuRPFK-FAM)。未標識の9-merおよび5-mer Smacペプチド(S9およびSM5)は陽性対照として使用した。Hisタグを有するヒトXIAP-BIR3タンパク質(残基241〜356)は安定で、可溶性であり、結合アッセイに使用した。
最初に、一定濃度のペプチド(5 nM)を使用し、予想Kdよりはるかに上回る、濃度を増加させたタンパク質(0〜40μM)で滴定することによって、蛍光標識したS9FおよびSM5FのXIAP-BIR3への解離定数値を求めた。図2は、飽和実験の1部位結合モデルへの非線形最小二乗適合を示す。S9Fは0.24μMのKd値を有し、最大結合範囲は236 mP±1.21 mPであることが求められた。SM5Fプローブは0.018μM(17.92 nM)のKd値を有し、最大結合は276 mP±0.75 mPでダイナミックレンジが大きい。アッセイは24時間の間安定で、Kd値および結合範囲は未変化のままであり、4% DMSOは影響を与えなかった。
SM5Fは、天然型SmacペプチドS9Fと比較して結合親和性が大きく(約10倍大きい)、ダイナミックレンジが大きいので、この標識ペプチドは競合的結合アッセイに選択した。使用したアッセイ条件は、以下の考慮点に基づいて5 nM SM5Fおよび0.030μM XIAP-BIR3タンパク質とした:0.030μM XIAPはSM5FのKdより約2倍大きい;および5 nM SM5Fは、一部の阻害剤あるレベルの蛍光を有するものがある場合には、蛍光バックグラウンドを克服するのに十分な蛍光強度を有する。これらの条件下において、トレーサーを約60%飽和し、アッセイを感受性にする。mP範囲(結合型ペプチドのmp遊離型ペプチドのmP)は88±2.43 mPであり、mP変化を正確に検出するための大きい偏光シグナルウィンドウである。アッセイの品質のための統計パラメーターであるZファクターは0.88であり、SM5Fプローブに基づいた蛍光偏光アッセイは高スループットスクリーニングに十分であることを確認している。
アッセイの特異性は、対応する未標識突然変異型Smac 5-mer(SM5)および天然型Smac 9-mer(S9)ペプチドを用いる競合実験において証明した(図3)。両方の場合において、未標識ペプチドは標識トレーサーの結合を阻害することができることをデータは示した。S9のIC50値は1.49±0.21μM(Ki=0.54±0.15μM)が得られ、SM5のIC50値は0.22±0.01μM(Ki=0.075±0.005μMが得られた。シグナル-対-ノイズ比を最大にするために、競合的FP結合アッセイのタンパク質は求められたKdより高いので、得られたIC50値は、タンパク質/ペプチドペアのKd値より高い。しかし、これら2つの未標識ペプチドのIC50値の比は、対応する標識ペプチドのKd値の比とよく相関している。未標識SM5とS9のIC50値の比は6.7倍であるが、標識SM5FとS9FのKd値の比は7.2倍である。この理由のために、Smacミメティクスの設計のためには、結合親和性を適切に比較するために、IC50値は同一条件下の天然型Smacペプチド(S9)および突然変異型Smacペプチド(SM5)のIC50値ならびに標識SM5FおよびS9FのKd値と共に報告される。さらに、FPに基づいた結合アッセイにおいて阻害剤の結合親和性(Ki)を算出するための新規数学式を展開し、高IC50値の問題を克服した。直接結合実験によって求められた標識ペプチド(S9FおよびSM5F)の得られたKd値は、競合アッセイから得られ、新規式を用いて算出された未標識ペプチドのKi値と同様である。
アッセイ条件をさらに評価するために、XIAP BIR3に対する異なる結合親和性を有する報告されている2つの追加のSmacテトラペプチドを試験した(図3)(Kipp et al., Biochemistry 41: 7344 (2002))。AVPI(配列番号:1)、天然型SmacペプチドはIC50値が1.58±0.22μM(Ki=0.58±0.15μM)であり、天然型Smac 9-mer S9と本質的に同じである。別のペプチド、AVPR(配列番号:5)は、AVPI(配列番号:1)より親和性がはるかに弱いことが報告されているが、これらのアッセイ条件下ではIC50値は79.31±8.8μM(Ki=29.09±1.88μM)であることが求められた。これらの結合実験におけるXIAPタンパク質の得られたペプチド親和性の順番は、報告されている結果とよく相関している(AbuRPFK(配列番号:4)>AVPI(配列番号:1)=AVPIAQKSEK(配列番号:3)>AVPR(配列番号:5))。結果は、FPに基づいた結合アッセイは、大きく異なる結合親和性を有するSmacペプチドの結合親和性の正確な定量的測定に好適であることを示唆している。
実施例2
実験的3D構造に基づいたSmacとXIAP BIR3間の相互作用の分析
Smacタンパク質およびペプチドと複合体形成したXIAP BIR3ドメインの高分解能実験的3D構造(図1)は、強力なSmacミメティクスの設計のための確かな構造的基礎を提供する。位置1のアラニン(A1')のアミン基は、Q319およびE314の側鎖ならびにD309の骨格カルボニル基と4つの水素結合を形成する。アラニンのメチル基は小さいが、十分に規定されている疎水ポケットに結合する。この疎水ポケットは、メチルよりわずかに大きい疎水基を収容することができることを本発明者らの分析は示した。アラニン残基の骨格カルボニルはW323の側鎖と水素結合を形成するが、この水素結合は、幾何学的パラメーターに基づいて最適ではない。
Smacのバリン(V2')のアミノ基およびカルボニル基は、それぞれ、T308の骨格カルボニルおよびアミノ基と最適な2つの水素結合を形成する。その側鎖イソプロピル基はXIAP BIR3の残基と密接に接触しないと思われ、XIAP BIR3のW323から約4〜5Å離れている。
位置3のプロリン残基(P3')は、Smacペプチドの立体配座を制御する際に重要な役割を果たし、XIAP BIR3のW323の疎水性側鎖と密接に接触している。その骨格カルボニル基は溶媒の方向を指し、タンパク質と特定の相互作用をしない。
位置4のイソロイシン残基(I4')の疎水性側鎖は、XIAP BIR3の十分に規定された疎水性ポケットに結合する。I4'のアミノ基はG306の骨格カルボニルと水素結合を形成し、カルボニル基はタンパク質と特定の相互作用をしない。
注目すべきことに、カスパーゼ-9の4つの残基ATPF(配列番号:2)がXIAP BIR3との相互作用を媒介している、カスパーゼ-9およびXIAP BIR3の最近測定された高分解能X線構造において同様の相互作用が観察された。これらの原子的に詳細な高分解能実験的構造は、Smacミメティクスを設計するための明確な構造的基礎を提供する。
実施例3
Smacペプチドミメティックの設計
(1)SmacとXIAP BIR3の相互作用をさらに証明するため;(2)AVPI(配列番号:1)天然型Smacペプチドよりさらに強力なSmacペプチドミメティックを得るため;(3)Smacペプチドより細胞透過性および安定性がはるかに改善されたSmacペプチドミメティックを誘導するために、一連のSmacペプチドミメティックを合成した。
実験的構造(図1)に基づくと、I4'の骨格カルボニル基はタンパク質と特定の相互作用をせず、疎水性側鎖は疎水ポケットに挿入する。I4'残基を模倣するために単純なベンジルアミンを使用した(表2の化合物1)。コンピュータによるモデル化は、この単純なベンジルアミンは、タンパク質との疎水性相互作用および水素結合相互作用の両方のためのI4'を模倣することを示した(図4)。化合物1は、FPに基づいたアッセイにおいてK
i値が0.42 μMであり、天然型AVPI(配列番号:1)Smacペプチド(K
i=0.56μM)と同じくらい強力である。化合物1は、他のSmacペプチドミメティックを設計するための鋳型として続いて使用した。化合物1のフェニル環とXIAPの疎水性相互作用の重要性をさらに調査するために、異なる疎水性基を有する一連のSmacペプチドミメティックを合成し、試験した(化合物2〜13)。
化合物1のフェニル環をイソプロピル基と置換すると(化合物2)、結合親和性を約45倍低下し、イソプロピルはこの部位の最適な疎水性相互作用を達成するほどには大きくないことを示唆している。この結果と一致して、イソペンチル基との置換(化合物3)は化合物2より結合親和性を5倍改善したが、化合物3は化合物1よりさらに8倍低下する。シクロプロピル環との置換(化合物4)は化合物1より15倍低下したが、化合物4は、実際、化合物2より3倍強力であり、疎水性基はサイズだけでなく、形状も疎水性相互作用に重要であることを示唆している。化合物1のフェニル環を飽和シクロヘキシル環と置換すると(化合物5)4倍の中程度の低下を生じ、芳香環は疎水性相互作用に有効であると思われることを示している。従って、5員環の芳香環を有する2つの化合物を合成した(表2の化合物6および7)。化合物6および7は、化合物1の結合親和性と同等の結合親和性を有し、実際両化合物は化合物1よりわずかに強力であると思われる。
効果的な疎水性相互作用のために、プロリン残基と化合物1のフェニル環のリンカーは適当な長さであるべきである。化合物8および9はリンカーの最適長さを検討するために設計した。化合物8は化合物1より16倍低下するが、化合物9は実際Ki値が0.22μMで、化合物1より2倍強力である。
AVPI(配列番号:1)のI4'のアミノ基および化合物1のベンジルアミンのアミノ基はG306の骨格カルボニル基と水素結合を形成する(図1および4)。この水素結合の結合のための重要性を証明するために、化合物1のアミド基が2つの炭素原子で置換されている化合物10を合成した。化合物10はKi値が1.7μMであり、化合物1より4倍弱く、アミド基だけが化合物1とXIAPの結合のための適度な役割を果たしていることを示している。
実験的3D複合体構造(図1)において、I4'の骨格カルボニル基は溶媒方向を指しているが、それは、I4'の疎水性側鎖の立体配座を制限するための役割を果たしており、XIAPとの効果的な疎水性相互作用のための最適な配向に疎水性基を置くと仮定した。この考えを試験するために、追加のフェニル環が導入されている化合物11を設計した。この追加のフェニル基はタンパク質と特定の相互作用をしないが、(a)効果的な疎水性相互作用のための最適な配向に第2のフェニル環を制限する;および(b)化合物1と比較したとき、第2のフェニル環の立体配座的柔軟性を低下することによって、得られた化合物の結合親和性を増強することができると結論づけた。化合物11(SH-96)はKi値が0.050μM(50 nM)であることが求められ、化合物1および天然型Smac AVPI(配列番号:1)ペプチドより約8倍強力であり、非常に強力なSmacペプチドミメティックを示している。
Smac/XIAP BIR3複合体構造の分析は、アラニンのメチル基はXIAP BIR3の小さいが、十分に規定されている疎水ポケットと相互作用することを示唆した。この疎水ポケットは、メチル基よりわずかに大きい疎水性基を収容する程度に大きいと思われることを本発明者らの分析は示した。この部位をさらに探索するために、いくつかのSmacペプチドミメティックを設計し、合成した(表2の化合物12〜16)。
化合物9においてメチル基を水素原子で置換すると化合物12を生じ、Ki値は95μMであり、化合物9と比較したとき結合親和性は>400倍低下する。Smacペプチドに関する以前の検討(Kipp et al., Biochemistry 41: 7344 (2002))および本発明者らのモデル化分析と矛盾することなく、化合物1においてメチル基をエチル基で置換すると結合親和性を3倍改善する(化合物13対化合物1)。この疎水ポケットは極めて小さいという本発明者らのモデル化分析と矛盾することなく、メチル基をイソプロピルまたはn-プロピル基で置換すると、結合親和性はそれぞれ>10倍および>150倍低下し(化合物14および15対化合物1)、この小さい疎水ポケットはイソプロピルまたはn-プロピル基を収容することができないことを示している。メチルおよびわずかに大きいエチル基は、XIAP BIR3のこの小さい疎水ポケットと最も効果的に相互作用する2つの疎水性基であることをこれらのデータは示している。化合物11のこの位置においてメチル基をエチル基と置換すると、化合物16を生じ、Ki値は0.044μM(44 nM)である。従って、化合物16は、化合物1より10倍強力であり、天然型Smac AVPI(配列番号:1)ペプチドより13倍強力である。合わせて考慮すると、化合物12〜16のデータは、メチルまたはエチル基は、この小さい疎水ポケットと相互作用するのに極めて有効であることを示唆している。
上記の化合物の成功に基づいて、いくつかの他のSmacペプチドミメティックを設計し、合成し、FPに基づいた検出アッセイにおいて試験した。結果を表3および4に示す。
実施例4
癌細胞および正常細胞におけるIAPファミリータンパク質の発現
設計したSmacペプチドミメティックの活性および特異性を検討するために、XIAP、cIAP-1/2、サーバイビンおよびSmacタンパク質のウェスタンブロット分析をいくつかのヒト癌細胞系統および正常細胞において実施した(図5)。
ヒト前立腺癌PC-3細胞は高いレベルのXIAPおよびcIAP-1/2ならびに低いレベルのサーバイビンを有し;ヒト乳癌MDA-MB-231細胞は高いレベルのcIAP-1、中程度のレベルのXIAPならびに低いレベルのcIAP-2およびサーバイビンを有し;ヒト前立腺癌DU-145細胞は高いレベルのXIAPおよび中程度のレベルのcIAP-1/2およびサーバイビンを有することを結果は示している。
正常なヒト線維芽細胞WI-38細胞は低いレベルのXIAP、cIAP-1/2およびサーバイビンを有し;正常な前立腺上皮細胞(PrEC)は、検出可能であるが、PC-3およびDU-145細胞よりはるかに低いレベルのXIAP、中程度のレベルのcIAP-1ならびに非常に低いレベルのcIAP-2およびサーバイビンを有し;正常なヒト***上皮細胞系統MCF-10AおよびMCF-12Aは検出可能であるが、DU-145およびPC-3よりはるかに低いレベルのXIAPを有し、検出可能であるが、PC-3およびMDA-231よりはるかに低いレベルのcIAP-1ならびに非常に低いレベルのcIAP-2およびサーバイビンを有する。
ジャーカット細胞は低いレベルのXIAPおよびcIAP-2ならびに中程度のレベルのcIAP-1およびサーバイビンを有する。予想されるように、XIAPタンパク質を形質移入したジャーカット細胞は、親細胞系統と比較するとき、非常に高いレベルのXIAPを有するが、他のIAPタンパク質は未変化である。Smacタンパク質のレベルは、本明細書において調査した癌細胞および正常細胞では同じであると思われる。
実施例5
Smacペプチドミメティックは、前立腺癌PC-3細胞においてシスプラチン-誘導性のアポトーシスを増強する
キャリヤーペプチドに融合した短いSmacペプチドを使用した以前の検討は、細胞透過性Smacペプチドは、グリオーマ、黒色腫、乳癌および非小細胞肺癌細胞において種々の化学療法剤によって誘導される癌細胞のアポトーシスを増加することができることを納得できるように実証している(Fulda et al., Nature Med. 8: 808 (2002); Arnt et al., J. Biol. Chem. 277: 44236 (2002); Yang et al., Cancer Res. 63: 831 (2003))。いくつかの特徴がこれらの検討間で共通であった。これらの細胞透過性Smacペプチド自体は、癌細胞のアポトーシスを誘導する際にほとんど影響がない。アポトーシス誘導において化学療法剤の活性を有意に賦活するためには、かなり高い濃度のペプチドを使用しなければならない(50〜100μM)。
本発明の基本的な前提は、強力なSmacペプチドミメティックは、キャリヤー分子に結合したSmacペプチドより、化学療法剤によって誘導される癌細胞のアポトーシスを増加するのに有効であるということである。前の実施例は、Smac AVPIペプチド(配列番号:1)より少なくとも10倍すぐれた結合親和性を有する極めて強力なSmacペプチドミメティック化合物11および16(SH-97)を開示している。化合物16(SH-97)は基本的な前提を試験するために使用した。対照化合物は、以前に報告されている細胞透過性Smacペプチド(Smac8-C)(Arnt et al., J. Biol. Chem. 277: 44236 (2002))を陽性対照として使用し、キャリヤーペプチドのないSmacペプチド(AVPIAQKS)(配列番号:6)を陰性対照(Smac-8)として使用し、不活性な化合物(SH-93)を別の陰性対照として使用した。実験は、高レベルのXIAPおよびcIAP-1/2タンパク質を発現するPC-3細胞ならびに化学療法剤としてのシスプラチン(CDDP)を使用した。CDDPはDNA損傷剤であり、PC-3細胞においてアポトーシスを効果的に誘導することができ、臨床的に使用される前立腺癌の化学療法剤でもある。
PC-3細胞をCDDP、Smacペプチドおよびペプチドミメティック単独または併用療法で42時間処理し、Annexin V-FITC染色によってアポトーシスを分析した。細胞透過性Smacペプチドを使用した以前の検討と矛盾することなく、最高50 μMのSH-97は、未処理の癌細胞と比較するとき、アポトーシスを有意に多く誘導しなかったが、25μMのCDDPは、対照細胞と比較するとき、癌細胞の12〜15%にアポトーシスを受けるように誘導した(図6A)。25μMのCDDPおよび10μMまたは25μMのSH-97の併用は、それぞれ、対照細胞を29.3±1.9%および35.8%±0.4%上回るアポトーシスを誘導した(図6A)。細胞透過性Smacペプチドは、高レベルのIAPタンパク質を有する種々の癌細胞において化学療法剤のアポトーシスを増加したという報告の結果と矛盾することなく、25μM CDDPおよび100μM Smac8-Cの併用は、対照細胞を34%上回るところまでアポトーシスを増加したが、Smac8-C自体は有意な影響を持たなかった(図6B)。
同様の実験において、PC-3細胞を、SmacペプチドミメティックCJ-445(表3)および上記のCDDPで処理した。25μMのCDDPおよび5μMまたは10μMのCJ-445の組み合わせは、それぞれ、対照細胞を約30%および約35%上回るアポトーシスを誘導した(図7)。10μMのCJ-445は、CDDP-誘導性アポトーシスに対してPC-3を感受性にする際に100μMのSmac8-Cと同じくらい強力であった(図7)。
6ウェルプレートにおいてMDA-231乳癌細胞をSH-97およびCDDP単独または併用療法で42時間処理する別の実験を実施した。細胞を回収し、Annexin V-FITCおよびヨウ化プロピジウムで染色した。個々の細胞の蛍光をフローサイトメトリーによって分析した。25および50μMのCDDPは、対照細胞と比較するとき、それぞれ、約30%および約45%の癌細胞にアポトーシスを受けるように誘導した(図8)。25または50μMのCDDPおよび10μMのSH-97の併用は、それぞれ、対照細胞を約50%および90%上回るアポトーシスを誘導した(図8)。10μMのCJ-445は、CDDP誘導性のアポトーシスに対してPC-3細胞を感受性にする際に100μMのSmac8-Cと同じくらい強力であった。(図8)。
合わせて考慮すると、強力なSmacペプチドミメティックは、前立腺癌および乳癌細胞のアポトーシスを誘導する際にCDDPの作用を賦活するのに有効であることを結果は示している。さらに、本発明のSmacペプチドミメティックは、以前の検討に使用されたキャリヤーペプチドに融合したSmacペプチド(Smac8-C)より強力であると思われるが、キャリヤーペプチドのないSmacペプチドまたは不活性なSmac模倣物(SH-93)は、PC-3細胞のアポトーシスを誘導する際にCDDPの作用を賦活することができない。
実施例6
SH-97はコロニー形成アッセイにおいてX線照射に対してPC-3細胞を感受性にする
癌細胞におけるXIAPおよび他のIAPタンパク質の過剰発現は、化学療法剤だけでなく、放射線によって誘導されるアポトーシスを阻害することが示されている(Holcik et al., Oncogene 19: 4174 (2000)。従って、SH-97などの強力で、細胞透過性のSmac模倣物によるPC-3細胞の処理は、癌細胞に対するIAPタンパク質の防御作用を直接克服することによって、PC-3細胞をX線照射に感受性にすることが予想された。
この予想を試験するために、標準的なコロニー形成アッセイを使用して、SH-97およびX線単独および併用療法でPC-3細胞を6-ウェルプレートにおいて処理した。細胞透過性Smacペプチド(Smac8-C)を陽性対照として再度使用した。10日の培養後、プレートをクリスタルバイオレットで染色し、50細胞を超えるコロニーをColCountコロニーカウンターで計数した。線形二次曲線適合を用いて細胞生存曲線をプロットした(図9)。アポトーシス実験と矛盾することなく、SH-97またはSmac8-C自体は有意な作用を示さなかった。10および25μMのSH-97または100μMのSmac8-CによるPC-3細胞の処理は、放射線の作用を有意に増加した。わかるように、6 Gy線量の放射線では、10および25μMのSH-97は、放射線単独と比較するとき、10倍を超えるコロニー形成の減少を生じた。8 Gyの放射線では、10および25μMのSH-97は、放射線単独と比較するとき、40および50倍のコロニー形成の減少を生じた。上記のSH-97とCDDPの併用実験から得られる結果と矛盾することなく、10μMのSH-97も、6および8 Gyの放射線線量において、100μMの細胞透過性SmacペプチドSmac8-Cより効果的であると思われる。従って、アポトーシスおよびコロニー形成実験におけるSH-97の結果は、強力な細胞透過性ペプチドミメティックは、高レベルのXIAPおよび他のIAPタンパク質を有する癌細胞の化学療法剤および放射線に対するアポトーシス耐性を克服するのに、細胞透過性Smacペプチドより効果的であるという基本的な前提を支持する証拠を提供している。
実施例7
Smacペプチドミメティックは癌細胞においてアポトーシスを誘導する
癌細胞におけるアポトーシスの誘導に対するSmacペプチドミメティック自体の影響を試験するために、いくつかのペプチドミメティックをMDA-231乳癌細胞系統に投与した。SH-96、SH-97、CJ-444、CJ-445、CJ-450およびCJ-451の濃度を増加させて添加した96ウェルプレートに2000細胞を播種した。次いで、細胞を5% CO2雰囲気下で37℃において5日間インキュベーションし、次にMTTアッセイで細胞の生存度を検出した。未処理の細胞を100%増殖として使用した。Smacペプチドミメティックは各々MDA-231細胞の増殖を阻害し、EC50は約120〜130 μMの範囲であった(図10)。同様の実験において、PC-3細胞をCJ-444、CJ-445、CJ-450およびCJ-451で処理した。この場合も、Smacペプチドミメティックは各々PC-3細胞の増殖を阻害し、EC50は約120〜130μMであった(図11)。Smacペプチドミメティックは癌細胞においてアポトーシスを誘導することができ、アポトーシスのインデューサーに細胞を感受性にすることができることをこれらのデータは示している。
ここで本発明を十分に記載したが、本発明は、本発明の範囲または任意の態様に影響をあたえることなく、種々の等価な範囲の条件、製剤および他のパラメーター内で実施することができることが当業者に理解される。本明細書において引用する全ての特許、特許出願および刊行物は全体の内容が参照により本明細書に組み入れられる。