JP2015103908A - クロックデータリカバリ回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】最初の発振周期に初期フェーズロックのための時間を見込む必要があったとしても正常に処理できるようにしたクロックデータリカバリ回路を提供する。【解決手段】レプリカゲート回路5は、2つのゲートオシレータ2、3のゲート回路G11〜G14、G21〜G24と同一個数の遅延ゲートG31〜G34により構成されている。このレプリカゲート回路5がCDR回路1の入力端子7に与えられるデータ入力信号DINを遅延させ、ラッチ回路100のデータ入力端子Dに与える。【選択図】図1
Description
本発明は、クロックデータリカバリ回路に関する。
例えば、CDR (Clock Data Recovery)技術は、クロック線を用いることなくデータ線のみで通信する技術であり、例えば車両内で用いることで車両内配線数を削減できる。CDR技術は、幾つかの回路方式があるが、例えば車両用通信においては、下記の2つの特徴を満たす最適な回路方式を選択すると良い。
第1に高速ロック可能な通信処理を行うことが望ましい。例えば自動車の電子制御システムでは、ある特殊なイベントが生じたときに一定期間内に処理を終えなければ安全性を確保できないなどの場合がある。
例えば衝突安全制御システムが挙げられる。このシステムでは、ECU(Electrical Control Unit)が加速度センサにより異常信号を検出したタイミングにおいて、エアバッグ展開処理及びシートベルトの巻取処理を終えるまでの処理を短期に終えなければいけない。したがって、車両通信処理には、レイテンシが少なく高速ロック可能であることが望まれる。
また第2に安価な内蔵発振器を用いることが望ましい。CDRの回路方式には高価な外部水晶発振器の使用を前提としている方式もあるが、例えば車両用通信において部品点数削減のために既存IC(Integrated Circuit)の中にある内蔵発振器を使うことでCDRが動作することが望ましい。
ここで問題になるのが、CDRの周波数オフセット耐性である。高価な水晶発振器は周波数誤差が例えば±100ppm程度であるが、車両内蔵の発振器は例えば±5%程度になる。このため、受信データとローカルクロックの周波数誤差が10%程度存在する場合においても、CDR回路が正しく動作しなければならない。
このような車両用通信の要件を満たすCDR回路方式として、Gated Oscillator-Based CDRと称される方式がある(例えば特許文献1参照)。この特許文献1記載の方式は、2つの発振器(Oscillator)を備えること、すなわち2VCO方式であることを特徴としている。ゲートオシレータ(Gated Oscillator)はPLLによりレプリカバイアスされ、発振周期は入力データの周期になるように制御される。
Armin Tajalli, and et al, "A Power-Efficient Clock and Data Recovery Circuit in 0.18 μm CMOS Technology for Multi-Channel Short-Haul Optical Data Communication" IEEE J.of Solid-State Circuits , vol. 42, pp.2235-2244,October 2007
ゲートオシレータが低消費電力化のために完全に停止する期間を設けているときには、発振開始直後には初期フェーズロックのための時間を発振持続時よりも時間を必要とする。特に最初の発振周期はこの初期フェーズロックのための時間を見込まなければならない。よって従来の回路方式は内蔵発振器を用いた通信に採用することが困難である。
本発明の目的は、最初の発振周期に初期フェーズロックのための時間を見込む必要があったとしても正常に処理できるようにしたクロックデータリカバリ回路を提供することにある。
請求項1記載の発明によれば、2つのゲートオシレータは、複数個直列接続された第1ゲート回路を備え、第1ゲート回路の出力が第1ゲート回路の入力に正帰還されることにより構成され、基準クロックに基いてフェーズロックされた所定周期の信号を、データ入力端子に入力される信号に応じてクロック出力する。
このため、例えば、データ入力端子に入力される信号が「H」又は「L」であるときに一のゲートオシレータがクロック出力すると共に他のゲートオシレータがクロック出力しない。また、データ入力端子の入力信号がその逆(「L」又は「H」)であるときに、一のゲートオシレータはクロック出力せず、他のゲートオシレータがクロック出力する。
そして、レプリカゲート回路は、2つのゲートオシレータの第1ゲート回路と同一個数の遅延ゲートからなる第2ゲート回路により構成され、データ入力端子の入力データについて第2ゲート回路を通じてデータ出力する。
このため、ゲートオシレータの起動直後の最初の発振周期に初期フェーズロックのための時間を見込む必要がある場合であっても、レプリカゲート回路がデータ入力端子の入力信号を遅延させているため、正常に処理できるようになる。
また、前述の文献に記載された回路方式を採用すると、周波数オフセットが存在する状態において、同じシンボルのビットを連続受信したときに、連続ビットの最後のサンプリングエッジを生成することが困難である。
請求項2記載の発明によれば、セレクタは、レプリカゲート回路の第2ゲート回路の遅延ゲートの途中のゲート信号に応じて2つのゲートオシレータの出力を選択する。このため、周波数オフセットがデータ入力信号に生じており、同一シンボルのビットを連続受信したときであっても、クロック信号(特に最後のクロック信号)を正常に生成できる。
以下、本発明の幾つかの実施形態について図面を参照しながら説明する。各実施形態間で同一又は類似の構成については同一又は類似の符号を付し、要部の説明のみ行い同一部分の説明を必要に応じて省略する。各実施形態のクロックデータリカバリ回路は、例えばマスタおよびスレーブ間の通信処理において、スレーブ側でデータ信号を受信したときに、データ信号のサンプリングタイミングを規定するためのクロック信号を再生するために用いられる。
(第1実施形態)
図1〜図11は第1実施形態を示す。図1に示すように、クロックデータリカバリ回路(Clock Data Recovery:以下、CDR回路と略す)1は、2つのゲートオシレータ2、3と、NOTゲート4と、レプリカゲート回路5と、ANDゲート6と、を備える。このCDR回路1は、ディジタル入力端子(以下、入力端子と略す)7に送信部(マスタ)8からデータ信号を入力する。他方、位相同期回路9は、PLL回路10と、基準クロック生成回路11とを備える。これらのCDR回路1及び位相同期回路9は例えばIC(Integrated Circuit:図示せず)を用いて構成される。
図1〜図11は第1実施形態を示す。図1に示すように、クロックデータリカバリ回路(Clock Data Recovery:以下、CDR回路と略す)1は、2つのゲートオシレータ2、3と、NOTゲート4と、レプリカゲート回路5と、ANDゲート6と、を備える。このCDR回路1は、ディジタル入力端子(以下、入力端子と略す)7に送信部(マスタ)8からデータ信号を入力する。他方、位相同期回路9は、PLL回路10と、基準クロック生成回路11とを備える。これらのCDR回路1及び位相同期回路9は例えばIC(Integrated Circuit:図示せず)を用いて構成される。
基準クロック生成回路11は、例えば部品点数の削減のため、IC内に含まれる安価な発振器(例えばCR発振器:図示せず)を用いて構成される。この基準クロック生成回路11は、構成素子の誤差分に応じた周波数誤差を含むもので、例えば±5%の周波数誤差を含む。PLL回路10は、この基準クロック生成回路11の所定周波数のパルス信号を基準クロックとし、2つのゲートオシレータ2、3の発振出力をそれぞれフェーズロック処理(発振の位相制御処理)する。
2つのゲートオシレータ2、3は互いに同一構成のものが用いられる。ゲートオシレータ2は、初段のNANDゲートG11と、複数個(k個)のバッファG12〜G14とを従属接続して構成され、この出力を入力に正帰還するように構成されている。ゲートオシレータ2は、所定周波数(構成素子の誤差分の周波数誤差含む)のデジタルクロックを出力する。
同様に、ゲートオシレータ3は、初段のNANDゲートG21と、複数個(k個)のバッファG22〜G24とを従属接続して構成され、この出力を入力に正帰還するように構成されている。このゲートオシレータ3もまた、所定周波数のデジタルクロックを出力する。
例えば、ゲートオシレータ2は、NANDゲートG11の一方の入力ノードにCDR回路1の入力端子7を接続して構成されている。このゲートオシレータ2の最終段のバッファG14の出力は、NANDゲートG11の他方の入力ノードに接続されている。これにより、ゲートオシレータ2はディジタル発振器として動作する。
ゲートオシレータ3は、NANDゲートG21の一方の入力ノードに、NOTゲート4を介してCDR回路1の入力端子7を接続して構成されている。このゲートオシレータ3の最終段のバッファG24の出力は、NANDゲートG21の他の入力ノードに接続されている。すなわち、これらの2つのゲートオシレータ2、3には、互いに相補的なデータ入力信号DINが与えられており、このデータ入力信号DINに応じてそれぞれパルス状のクロック信号を発振出力する。
各ゲートオシレータ2、3は、通常発振出力を停止しているときには「H」レベルを固定出力するように構成され、発振出力を開始すると所定周期の「L」レベルをアクティブレベルとして出力する。すなわち、各ゲートオシレータ2、3は負論理によりディジタル発振信号を出力する。PLL回路10は、各ゲートオシレータ2、3が所定周期の「L」レベルを出力するときに、前記の基準クロック生成回路11の基準クロックRefCLにフェーズロックさせた状態で各ゲートオシレータ2、3から発振出力させる。
ANDゲート6は、これらの2つのゲートオシレータ2、3の出力を入力端子に入力し、この論理積演算結果を出力する。すなわち、2つのゲートオシレータ2、3のうち何れかのゲートオシレータが、「L」レベルをアクティブレベルとして所定周期で出力すると、有効化出力回路としてのANDゲート6はこの「L」レベルを有効出力することになる。
レプリカゲート回路5は、ANDゲートG31と、複数個(k個)のバッファG32〜G34とを従属接続して構成されている。このレプリカゲート回路5のバッファG32〜G34の従属接続個数k(但しkは奇数)は、各ゲートオシレータ2、3を構成するバッファG12〜G14、G22〜G24の従属接続個数kと同一個数だけ設けられている。ANDゲートG31は、その一方の入力ノードが電源電位Vccに固定され、他方の入力ノードがCDR回路1の入力端子7に接続されている。
また、レプリカゲート回路5の出力段のバッファG34の出力はそのままラッチ回路100(後述参照)に入力されており、当該レプリカゲート回路5のフィードバックパスは存在しない。このレプリカゲート回路5は、各ゲートオシレータ2、3の初段のNANDゲートG11、G21に代えてANDゲートG31を備えている。
これらのNANDゲートG11、G21及びANDゲートG31は、トランジスタを基本構成とした回路で構成すれば、全て同一の差動回路を用いて構成できる。したがって、これらのゲートG11、G21及びG31の遅延時間を概ね同一時間に設定できる。
すなわち、バッファG12〜G14、G22〜G24、G32〜G34の従属接続個数kが互いに同一個数に設定されると共に、初段のNANDゲートG11、G21及びANDゲートG31はゲート通過遅延時間を概ね同一にできる。このため、データ入力信号DINが各ゲートオシレータ2、3及びレプリカゲート回路5の出力に達するまでの時間を概ね同一にできる。
各ゲートオシレータ2、3及びレプリカゲート回路5内の回路構成の各種パラメータが調整されれば、PLL回路10がゲートオシレータ2、3の出力クロック信号をフェーズロック処理する時間を見込んでデータ信号DIN_dを出力できる。
各ゲートオシレータ2、3は、低消費電力化に応じて完全に停止する期間があり、当該停止期間から発振復帰するときには継続的に発振するときよりもフェーズロック時間T1(後述参照)を必要とする。各ゲートオシレータ2、3及びレプリカゲート回路5内の回路構成の各種パラメータが調整されれば、このフェーズロック時間T1を見込んでデータ信号DIN_dを出力することもできる。
このCDR回路1は、その出力段にラッチ回路100を接続して構成されている。このラッチ回路100は、例えばDフリップフロップにより構成され、クロック入力端子CKおよびデータ入力端子Dを備える。
CDR回路1は、その出力段に接続されたラッチ回路100のクロック入力端子CKに、ANDゲート6の出力クロック信号RCLKを出力する。また、このCDR回路1は、ラッチ回路100のデータ入力端子Dに、レプリカゲート回路5のバッファG34の出力データ信号DIN_dを出力する。
ラッチ回路100は、クロック入力端子CKに入力されるクロック信号RCLKの例えば立上りタイミングにおいて、データ入力端子Dの入力データの論理レベル(「H」又は「L」)を保持し、Q端子から出力端子101を通じてデータ出力信号DOUTを出力する。なお、ラッチ回路100がクロック信号RCLKの立上りタイミングにおいてデータ信号DIN_dを受付ける形態を示すが、立下りタイミングであっても良い。
上記構成の作用を説明する。まず通常動作を説明する。図2に示すように、データ入力信号DINは、外部の送信部(マスタ)8からCDR回路1の入力端子7に入力される。ここでは、周波数オフセットが送信部8側および受信側(CDR回路1側)で生じていないときに、入力端子7に入力されるデータ入力信号DINの周期をTとする。データ入力信号DINが、1Tの「H」レベル、1Tの「L」レベル、3Tの「H」レベルに遷移し、その後、「L」レベルに移行するときの信号処理の流れについて説明する。
データ入力信号DINは、CDR回路1のレプリカゲート回路5、ゲートオシレータ2、及び、NOTゲート4を通じてゲートオシレータ3に入力される。データ入力信号DINは、ゲートオシレータ2のNANDゲートG11、及び、複数段のバッファG12〜G14を伝達し、NANDゲートG11に正帰還するが、この発振信号がPLL回路10によりフェーズロックされる。他方、データ入力信号DINは、ゲートオシレータ3のNANDゲートG21、及び、複数段のバッファG22〜G24を伝達し、NANDゲートG21に正帰還するが、この発振信号がPLL回路10によりフェーズロックされる。
これらの各ゲートオシレータ2、3の発振出力は、PLL回路10による初期フェーズロック処理の影響に応じて起動直後の出力が遅れる。このため、データ入力信号DINの通常状態における周期をTとしたときに、ゲートオシレータ2、3が通常周期T2(≒0.5T程度)の「L」レベルを出力するところ、停止状態から最初の「L」レベル出力までにフェーズロック時間T1(≒0.6T程度)を要する。
例えば、データ入力信号DINが「H」レベルであれば、ゲートオシレータ2が発振出力し、データ入力信号DINが「L」レベルであれば、ゲートオシレータ3が発振出力するように設定されている場合を考慮する。
このとき、データ入力信号DINが「L」から「H」に変化すると、ゲートオシレータ2が発振開始するが、前記の「L」から「H」の変化タイミングからゲートオシレータ2が発振出力を開始するまでフェーズロック時間T1(≒0.6T)かかる(ノードN1の出力タイミングA1参照)。「L」パルスがノードN1の出力タイミングA1時点から時間T2(≒0.5T<時間T1)だけ出力される。
この「L」アクティブレベルが「H」のノンアクティブレベルに戻ると、クロック信号RCLKも「H」レベルに遷移する(図2のタイミングA2参照)。この間、一旦データ入力信号DINが「L」レベルに遷移する場合もあるが、このデータ入力信号DINが再び「H」レベルに遷移すると(図2のタイミングA3参照)、再度、ゲートオシレータ2が発振開始する。この場合も発振開始し初期フェーズロックするまで時間T1(≒0.6T)かかる(ノードN1の出力タイミングA4参照)。
他方、データ入力信号DINが「H」から「L」に遷移すると、ゲートオシレータ2の発振が停止し、他のゲートオシレータ3が発振開始する(図2のタイミングB1参照)。すると、他のゲートオシレータ3は、前記の「H」から「L」の変化タイミングから他のゲートオシレータ3が発振出力を開始するまで時間T1(≒0.6T)かかる(図2のタイミングB2参照)。この理由は、ゲートオシレータ2の発振開始出力の遅延理由と同様の理由である。
すると、ANDゲート6の出力は、これらのゲートオシレータ2及び3の「L」レベル出力に応じたクロック信号RCLKを再生でき、ラッチ回路100のクロック入力端子CKには標準的なクロック信号RCLKを入力させることができる。
他方、遅延データ入力信号DIN_dは、データ入力信号DINがレプリカゲート回路5の遅延分の所定時間(例えば0.6T)だけ遅れた信号となり、この遅延データ入力信号DIN_dはラッチ回路100のデータ入力端子Dに入力される。ラッチ回路100は、クロック入力端子CKの立上りタイミングにてサンプリングできデータを正常に受信できる(遅延データ入力信号DIN_dのサンプリングタイミングS1〜S6参照)。
また、図3を参照し、システム全体で例えば−10%の周波数オフセットを生じた場合の例を説明する。例えば、送信部8側で周波数オフセットが−5%、受信部側(CDR回路1側)で周波数オフセットが+5%生じると、周波数オフセットがシステム全体で−10%生じることになる。
各ゲートオシレータ2、3の発振開始時間T1、その後のゲートオシレータの発振周期T2を基準とすると、前述の図2と同一のデータ入力信号DINを考慮した場合には、データ入力信号DINの「H」「L」レベルの時間が全体的に短くなる。
このため、周波数オフセットが−10%生じた場合、正常なデータを受信できなくなる虞がある。しかし、本実施形態の回路構成を採用すると、データ入力信号DINの「H」レベルが3T続いたタイミングマージンを計算したとしても、
T3 = (3Tの90%)−5×T/2
= 2.7T−2.5T
= 0.2T
と時間T3を算出でき、既存技術(例えば後述する比較対象例Y)に比較してタイミングマージンを多く確保できる(図3のT3参照)。このタイミングマージンは、ゲートオシレータ2、3が発振開始直後に位相制御されていない発振周期の影響を受けることがないため、理論値通りのタイミングマージンを取得できる。なお、図3には、図2に付した各タイミングA1〜A4、B1〜B2に対応したタイミングに添え字「a」を付した符号を付して示している。
T3 = (3Tの90%)−5×T/2
= 2.7T−2.5T
= 0.2T
と時間T3を算出でき、既存技術(例えば後述する比較対象例Y)に比較してタイミングマージンを多く確保できる(図3のT3参照)。このタイミングマージンは、ゲートオシレータ2、3が発振開始直後に位相制御されていない発振周期の影響を受けることがないため、理論値通りのタイミングマージンを取得できる。なお、図3には、図2に付した各タイミングA1〜A4、B1〜B2に対応したタイミングに添え字「a」を付した符号を付して示している。
<比較対象例X(非特許文献1記載の技術)の説明>
例えば、Gated Oscillator-BasedCDR回路51の他の例としては、非特許文献1に記載された図4に示すような回路もある。この図4において、図1に示す構成要素と同一構成要素には同一符号を付している。
例えば、Gated Oscillator-BasedCDR回路51の他の例としては、非特許文献1に記載された図4に示すような回路もある。この図4において、図1に示す構成要素と同一構成要素には同一符号を付している。
この図4に示すように、CDR回路51は、データ入力信号DINを遅延させるディレイライン52と、データ入力信号DINとディレイライン52の出力信号とをXOR処理しゲートオシレータ2に入力させるXORゲート53と、XORゲート53の出力に応じて発振出力するゲートオシレータ2と、を備える。
このCDR回路51は、ディレイライン52の出力をラッチ回路100のデータ入力端子Dに出力すると共に、ゲートオシレータ2の出力をラッチ回路100のクロック入力端子CKbに出力する。
ゲートオシレータ2は、PLL回路10によりレプリカバイアスされる。ディレイライン52は、データ入力信号DINを遅延し遅延ディジタル入力信号DDINを生成する。ここでディレイライン52の遅延量は0.5T以上にする必要があるが、この図4に示す構成では0.5Tとしている。
XORゲート53が、データ入力信号DINと遅延ディジタル入力信号DDINの排他的論理和をノードN10に出力すると、ゲートオシレータ2がこの求められたノードN10の出力をゲート入力信号として使用する。ゲートオシレータ2は、XORゲート53の出力が「L」レベルのときに発振停止し「H」レベルのときに発振出力する。すると、ゲートオシレータ2はノードN10の立上りエッジ(rising edge)を生じたタイミングで位相合わせ(リタイミング:retiming)が行われることになりクロック信号RCLKを生成できる。
例えば図5は、周波数オフセットが0%のときのクロック信号RCLKを示し、図6は、周波数オフセットが−10%生じているときのクロック信号RCLKを示す。このとき、CDR回路51は例えば連続ビットを受信したときに当該連続ビットの最終サンプリングエッジを生成することが困難となる問題を生じる。
すなわち、図6に示すように、NANDゲートG11の出力ノードN11の立下りタイミングとXORゲート53の出力ノードN10の立下りタイミングとの間隔が例えば0.075T程度しか確保できず、ゲートオシレータ2の初段のNANDゲートG11の出力ノードN11では狭いパルスしか生じることがなくなる。このパルスはゲートオシレータ2内を伝播する間に消滅してしまう(図6のC部分参照)。これにより、本回路構成は周波数オフセットの大きいクロック生成回路(内蔵発振器)11を用いた通信に利用することができない。
<比較対象例Y(特許文献1記載の技術)の説明>
例えば、Gated Oscillator-BasedCDR回路61の他の例としては、特許文献1に記載された図7に示すような回路もある。この図7において、図1に示す構成要素と同一構成要素には同一符号を付している。
例えば、Gated Oscillator-BasedCDR回路61の他の例としては、特許文献1に記載された図7に示すような回路もある。この図7において、図1に示す構成要素と同一構成要素には同一符号を付している。
この図7に示すように、このCDR回路61は、2つのゲートオシレータ2、3を備えた所謂2VCO方式を採用して構成されている。CDR回路61は、NOTゲート4を用いて互いに相補的なデータ入力信号DINが入力される2つのゲートオシレータ62及び63と、2つのゲートオシレータ62及び63の出力を否定論理和するNORゲート64と、を図示形態に備える。
ゲートオシレータ62は、4つ直列接続されたNOTゲートG61〜G64と、NORゲートG65とを図示形態に接続して正帰還するように構成されている。ゲートオシレータ63は、4つ直列接続されたNOTゲートG71〜G74と、NORゲートG75とを図示形態に接続して正帰還するように構成されている。
これらのゲートオシレータ62及び63の出力はNORゲート64に与えられており、NORゲート64の出力はラッチ回路100のクロック入力端子CKに与えられる。2つのゲートオシレータ62及び63はPLL回路10によりレプリカバイアスされている。ゲートオシレータ62は、データ入力信号DINの「H」期間に発振し、ゲートオシレータ63はデータ入力信号DINの「L」期間に発振する。
図8は、周波数オフセットが0%の場合のタイミングチャートを示し、図9は周波数オフセットが+10%存在する場合のタイミングチャートを示す。例えば、送信部8側で周波数オフセットが+5%、受信部側(CDR回路1側)で周波数オフセットが−5%生じると、周波数オフセットがシステム全体で+10%生じることになる。
図8に示すように、周波数オフセットが0%となるときには、クロック信号RCLKを正常に出力できるが、図9に示すように、周波数オフセットが+10%も存在すると、連続ビットのうち最後のビットを受信するときには、NORゲート64の入力信号が、クロック信号RCLKの生成タイミングにおいて変化してしまう(図9のタイミングD参照)。このため、NORゲート64はその出力にグリッチを生じてしまい回路誤動作の要因となる。
さらに、図10に示すように、発振停止状態から初期フェーズロック処理が行われるまでのフェーズロック時間T1(≒0.6T)は、発振持続するときの周期T2(≒0.5T)よりも長時間となる。
またCDR回路61が連続ビットをサンプリングするときに、これらの最後尾ビットをサンプリングするときにはタイミングマージンが減少してしまう。例えば、図11に示すように、送信側及び受信側全体で−10%の周波数オフセットを備えるとき、3ビット連続ビットを検出するときにはタイミングマージンが0.1Tと極小さくなってしまう。これにより、周波数オフセット耐性が悪い。したがって、本回路構成もまた周波数オフセットが大きいと利用することができない。
本実施形態によれば、レプリカゲート回路5は、2つのゲートオシレータ2、3のゲート回路G11〜G14、G21〜G24と同一個数の遅延ゲートG31〜G34により構成されている。このレプリカゲート回路5がCDR回路1の入力端子7に与えられるデータ入力信号DINを遅延させ、ラッチ回路100のデータ入力端子Dに与えている。
すると、周波数オフセットがたとえ±10%と大きく変化したとしても、グリッチを生じることなくタイミングマージンを向上でき、前述したように正常にクロックリカバリできる。したがって、周波数オフセットが大きくなったとしても正常にクロックリカバリできる。また、ゲートオシレータ2又は3が起動した直後に起動遅れが生じたとしてもクロック信号RCLKを正常にリカバリ出力できる。
例えば、CDR回路1が車両用に構成される場合には、衝突安全制御において加速度センサにより検出された異常信号をECU(Electronic Control Unit)が検出してからエアバッグの展開とシートベルトの巻き取りを終えるまでの処理を約10ms以内に終えなければならない。本実施形態のCDR回路1を採用することによって、レイテンシが少なく高速ロック可能な通信処理を行うことができる。
(第2実施形態)
図12は第2実施形態を示す。本実施形態では、ANDゲート6の遅延時間を考慮している。第1実施形態では、ゲートオシレータ2及び3とラッチ回路100との間にANDゲート6が有効化出力回路として接続されている。
図12は第2実施形態を示す。本実施形態では、ANDゲート6の遅延時間を考慮している。第1実施形態では、ゲートオシレータ2及び3とラッチ回路100との間にANDゲート6が有効化出力回路として接続されている。
クロック信号RCLKはANDゲート6分の遅延時間を生じる。本実施形態のCDR回路70は、データ入力信号DINについても、この遅延時間を補償するため、ANDゲート71がレプリカゲート回路5とラッチ回路100のデータ入力端子Dとの間に接続されている。
この遅延補償用のANDゲート71は、レプリカゲート回路5に従属接続されている。このANDゲート71は、その一方の入力ノードが電源電位Vccに固定され、他方の入力ノードがレプリカゲート回路5の出力に接続されている。これにより、ANDゲート6の遅延時間を補償できる。
(第3実施形態)
図13〜図19は第3実施形態を示す。この第3実施形態のCDR回路80は、2つのゲートオシレータ2、3の出力信号を選択するセレクタ81を備え、セレクタ81はレプリカゲート回路(第2ゲート回路)5の途中のゲート信号に応じて選択出力するところに特徴を備える。
図13〜図19は第3実施形態を示す。この第3実施形態のCDR回路80は、2つのゲートオシレータ2、3の出力信号を選択するセレクタ81を備え、セレクタ81はレプリカゲート回路(第2ゲート回路)5の途中のゲート信号に応じて選択出力するところに特徴を備える。
図13に示すように、CDR回路80は、ANDゲート6に代えてセレクタ81を選択回路又は/及び有効化出力回路として備える。このセレクタ81は、レプリカゲート回路5の途中のゲート信号に応じて、ゲートオシレータ2の出力、又は、ゲートオシレータ3の出力を選択して出力する。図13に示す例では、セレクタ81はANDゲートG31と初段のバッファG32との間のノードNaの信号に応じてゲートオシレータ2又は3を選択する。
図14に、周波数オフセットを生じていない場合のタイミングチャートを示すように、セレクタ81は、ANDゲートG31の出力ノードNaが「H」レベルのときに、ゲートオシレータ2の出力を選択する(図14のAS1、AS3期間参照)。またセレクタ81は、出力ノードNaの信号が「L」のときに、ゲートオシレータ3の出力を選択する(図14のAS2、AS4期間参照)。
すなわち、セレクタ81は、データ入力信号DINの入力タイミングから所定時間遅れたノードNaの遅延データ信号をマスクとしてゲートオシレータ2又は3の出力を選択することになる。
図15に、送信側及び受信側全体で+10%の周波数オフセットを備える場合のタイミングチャートを示す。CDR回路80が連続ビットを受信したとき、遅延データ信号DIN_dが「H」のときにゲートオシレータ2がノードN1からアクティブレベル「L」を出力したとしても、セレクタ81はノードNaが「L」レベルのため、ノードN1の信号をマスクしノードN2の信号を出力する(図15のE部分、AS4a期間参照)。
他方、ゲートオシレータ3がノードN2からアクティブレベル「L」を出力すると、「L」レベルのクロック信号RCLKを正常出力する(図15のF部分、AS4a期間参照)。これにより、遅延データ信号DIN_dがデータ変化を生じる一定時間前に、一及び他のゲートオシレータ2又は3の出力を切換えることができ、クロック信号RCLKを正常出力できる。
図16に、送信側及び受信側全体で−10%の周波数オフセットを備える場合のタイミングチャートを示す。CDR回路80が連続ビットを受信したときには、比較対象例Yの説明内容に示したようなグリッチ(短パルス)(図9のD参照)を生じることがなくなり、クロック信号RCLKを正しく生成できる。
セレクタ81の選択信号を取得するノードは、図13に示すノードNaの位置に限られず、図17のCDR回路90に示すように、ANDゲートG31の後段の1又は複数のバッファG32(、G33)の出力ノードNb又はNcの位置に設けても良い。
例えば、図18のタイミングチャートに示すように、基準クロックが+10%の周波数オフセットを有することが予め想定される場合には、不要パルス(図18のG参照)をマスクしながらマージンを稼ぐため、セレクタ81の選択信号の取得ノードは入力端子7に近い側のノードNaに設けられることが望ましい(図18中の丸印のノードNa参照)。
例えば、図19のタイミングチャートに示すように、基準クロックが−10%の周波数オフセットを有することが予め想定される場合には、ノードN2のパルス幅(図19のG参照)を極力幅広くしながら短パルスの消滅を防ぐため、セレクタ81の選択信号の取得ノードは、入力端子7から遠い側のノードNb又はNcに設けられることが望ましい(図19中の丸印のノードNb、Nc参照)。したがって、セレクタ81は、レプリカゲート回路5を構成する各ゲートG31〜G34の途中の信号に応じて制御されると、全体のパフォーマンスを良好に保つことができる。
本実施形態によれば、2つのゲートオシレータ2又は3にはNOTゲート4を通じて相補的なデータが入力されるが、入力端子7に入力される2値のデータレベルに応じて相補的にクロック出力する。セレクタ81はレプリカゲート回路5の遅延ゲートG31〜G34の途中のゲート信号に応じて選択出力する。これによりクロック信号RCLKを正常に生成できる。
(第4実施形態)
図20は、第4実施形態を示す。本実施形態ではセレクタ81の遅延時間を考慮した回路構成を説明する。
第3実施形態では、ゲートオシレータ2及び3とラッチ回路100との間にセレクタ81が選択回路又は/及び有効化出力回路として接続されている。このため、クロック信号RCLKはセレクタ81分の遅延時間を生じる。
図20は、第4実施形態を示す。本実施形態ではセレクタ81の遅延時間を考慮した回路構成を説明する。
第3実施形態では、ゲートオシレータ2及び3とラッチ回路100との間にセレクタ81が選択回路又は/及び有効化出力回路として接続されている。このため、クロック信号RCLKはセレクタ81分の遅延時間を生じる。
本実施形態のCDR回路95は、データ入力信号DINについても、セレクタ81の遅延時間を補償するため、セレクタ96がレプリカゲート回路5とラッチ回路100のデータ入力端子Dとの間にダミー素子として接続されている。
この遅延補償用のセレクタ96は、レプリカゲート回路5に従属接続されている。このセレクタ96は、その選択端子が電源電位Vccに固定され、一方の入力ノードがレプリカゲート回路5の出力に接続されている。また他方の入力ノードがグランド電位に固定されている。これによりセレクタ81の遅延時間を補償できる。
(他の実施形態)
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。前述実施形態では、一例として4相のVCOを用いて説明を行ったが、4相VCOに限定することなく、複相のVCOであれば良い。
前述実施形態に限定されるものではなく、例えば、以下に示す変形又は拡張が可能である。前述実施形態では、一例として4相のVCOを用いて説明を行ったが、4相VCOに限定することなく、複相のVCOであれば良い。
第2、第4実施形態では、それぞれ、遅延補償用のANDゲート71、セレクタ96をレプリカゲート回路5に従属接続して設けた実施形態を示したが、これらのダミー素子はこれらの素子に限られるものではなく、他のゲート遅延用の素子を1又は複数設けても良い。ここで、ダミー素子は2つのゲートオシレータ2,3とラッチ回路100のクロック入力端子CKとの間に接続される素子と同一素子を同一個数だけ接続して構成することが望ましい。すると、遅延時間を補償しやすくなる。
なお、特許請求の範囲に付した括弧付き符号は本願明細書の構成要素に対応する符号を付したものであり、構成要素の一例を挙げたものである。したがって、本願に係る発明は当該特許請求の範囲の構成要素の符号の内容に限られるわけではなく、特許請求の範囲内の用語又はその均等の範囲で様々な拡張が可能である。
図面中、2、3はゲートオシレータ、5はレプリカゲート回路、6はANDゲート(有効化出力回路)、7はデータ入力端子、G11〜G14、G21〜G24はゲート回路(第1ゲート回路)、G31〜G34はゲート回路(第2ゲート回路)、71はANDゲート(ダミー素子)、81はセレクタ(選択回路、有効化出力回路)、96はセレクタ(ダミー素子)、を示す。
Claims (3)
- 複数個直列接続された第1ゲート回路(G11〜G14、G21〜G24)を備え前記第1ゲート回路(G11〜G14、G21〜G24)の出力が当該第1ゲート回路(G11〜G14、G21〜G24)の入力に正帰還されることにより構成され、基準クロックに基いてフェーズロックされた所定周期の信号を、データ入力端子(7)に入力される2値のデータレベルに応じて相補的にクロック出力する2つのゲートオシレータ(2、3)と、
前記2つのゲートオシレータの第1ゲート回路と同一個数の遅延ゲートからなる第2ゲート回路(G31〜G34)により構成され、前記データ入力端子(7)の入力データについて当該第2ゲート回路(G31〜G34)を通じてデータ出力するレプリカゲート回路(5)と、
を備えることを特徴とするクロックデータリカバリ回路。 - 請求項1記載のクロックデータリカバリ回路において、
前記2つのゲートオシレータ(2、3)により相補的に出力されるクロック信号を選択する選択回路(81)を備え、
前記選択回路(81)は、前記レプリカゲート回路(5)の第2ゲート回路(G31〜G34)の途中のゲート信号に応じて前記2つのゲートオシレータ(2、3)の出力を選択することを特徴とするクロックデータリカバリ回路。 - 請求項1又は2記載のクロックデータリカバリ回路において、
前記2つのゲートオシレータ(2、3)により相補的に出力されるクロック信号を有効化して出力する有効化出力回路(6、81)と、
前記レプリカゲート回路(5)に従属接続され、前記有効化出力回路(6、81)と同一素子で且つ同一個数の遅延ゲートからなるダミー素子(71、96)と、を備えることを特徴とするクロックデータリカバリ回路。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013241921A JP2015103908A (ja) | 2013-11-22 | 2013-11-22 | クロックデータリカバリ回路 |
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ID=53379303
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- 2013-11-22 JP JP2013241921A patent/JP2015103908A/ja active Pending
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