JP2013228729A - 光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物 - Google Patents

光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】 傷の回復性、プラスチック基材との密着性、硬化時の透明性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】 そのホモポリマーのガラス転移温度が80〜200℃である多官能(メタ)アクリレート(A)、そのホモポリマーのガラス転移温度が−40〜40℃である多官能(メタ)アクリレート(B)、変性されていてもよいポリジアルキルシロキサン(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とし、活性エネルギー線照射による硬化物のガラス転移温度が40〜80℃であることを特徴とする光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物に関する。
さらに詳しくは、光学プラスチックレンズ、コーティングフィルム、偏光板、プリズムレンズなどの光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物、およびその硬化物と硬化物から得られる光学部品に関する。
現在、液晶ディスプレイ(LCD)やプラズマディスプレイ(PDP)等に代表されるフラットパネルディスプレイ(FPD)は、パソコンやテレビ、携帯電話まで多くの電子機器に不可欠なものとなっており、FPDを構成する数多くの光学用材料の需要も大きく伸びている。また、近年パネルサイズの大型化やデバイスの高精細化が進み、それに対応する各種光学レンズ用材料の開発も重要となってきている。
しかし従来の光学レンズ用材料は、巻き取り工程において摩擦などによる接触面で表面に傷がつきやすい、また他の部材と接触する際、傷が発生する問題があった。
今後益々パネルサイズの大型化が進んでいくことから、生産性の観点において、これまで以上に耐傷つき性を兼ね備えた光学レンズ用材料が望まれている。
硬化物が硬く、微細な凹凸形状であるため構造が壊れてしまう、また他の部材を傷つけてしまうという問題点を解決する手法として、光学レンズの形状そのものを工夫して、光学レンズの微細な形状を壊れにくくする方法(例えば特許文献1)が提案されている。
また、傷が回復し易いようにするためにレンズ形状の変形量を少なくする方法があり、例えば、シリコーンオイルなどのスリップ剤を添加してレンズ表面の摩擦係数を下げる方法(例えば特許文献2)が提案されている。
特開2006−309248号公報 特開平07−070219号公報
しかしながら、特許文献1の方法では微細な凹凸形状のレンズについた傷の回復のし易さ(傷の回復性)が不十分であるという問題がある。
また、特許文献2の方法では、傷の回復性は向上するものの、スリップ剤がブリードアウトし、密着性および光学レンズの透明性を低下させるという問題がある。
そこで、本発明の課題は、傷の回復性、プラスチック基材との密着性、硬化時の透明性に優れた硬化物を与える活性エネルギー線硬化性組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、そのホモポリマーのガラス転移温度が80〜200℃である多官能(メタ)アクリレート(A)、そのホモポリマーのガラス転移温度が−40〜40℃である多官能(メタ)アクリレート(B)、変性されていてもよいポリジアルキルシロキサン(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とし、活性エネルギー線照射による硬化物のガラス転移温度が40〜80℃であることを特徴とする光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物;上記の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物が活性エネルギー線により硬化されてなる硬化物;並びに上記の硬化物を用いた、プラスチックレンズ、コーティングフィルム、および偏光板から選ばれる光学部品;である。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物は傷の回復性に優れる。さらに、プラスチック基材との密着性、硬化時の透明性に優れた硬化物を与える。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレートまたはメタクリレート」を、「(メタ)アクリロイル基」とは「アクリロイル基またはメタクリロイル基」を意味する。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物は、重合性モノマーとして、そのホモポリマーのガラス転移温度が異なる上記の2種の多官能(メタ)アクリレート(A)および(B)を併用することで、スリップ剤である変性されていてもよいポリジアルキルシロキサン(C)を添加する場合においても、プラスチック基材との密着性や硬化時の透明性に優れた硬化物が得られる。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物における第1の必須成分である多官能(メタ)アクリレート(A)は、そのホモポリマーのガラス転移温度が80〜200℃である。好ましくは90〜180℃、さらに好ましくは80〜170℃である。
ここで、そのホモポリマーのガラス転移温度とは、その(メタ)アクリレートモノマーを単独重合させた硬化物の動的粘弾性を、下記の方法で測定した際の、損失正接(tanδ)が最大値を示す温度のことである。
<テストピースの作成>
開始剤として、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF社製]を、(メタ)アクリレートに対して3重量%添加した後、紫外線照射装置により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させ、縦幅40mm、横幅5mm、厚み1mmのテストピースを作成する。
<動的粘弾性測定方法>
このテストピースを用いて、動的粘弾性測定装置(例えば、Rheogel−E4000、UBM社製)により、周波数:10Hz、昇温速度:4℃/分の条件で測定する。
この多官能(メタ)アクリレート(A)は、そのホモポリマーのガラス転移温度が上記の範囲であればとくにその化学構造は限定されないが、分子内の(メタ)アクリロイル基の数が3〜6個(すなわち3〜6官能)であり、分子内のオキシアルキレン基の数が1〜5個である多官能(メタ)アクリレート(A1)が好ましい。
上記オキシアルキレン基としては、炭素数が2〜4のものが好ましく、炭素数2〜3のものがさらに好ましい。
具体的には、オキシエチレン基、オキシプロピレン基等が挙げられる。
以下に記載のオキシアルキレン基についても同様である。
(A1)として具体的には、以下のトリ(メタ)アクリレート(A11)、テトラ(メタ)アクリレート(A12)、ペンタ(メタ)アクリレート(A13)およびヘキサ(メタ)アクリレート(A14)が挙げられる。
トリ(メタ)アクリレート(A11)としては、3個の(メタ)アクリロイル基と1〜5個のオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、具体的にはトリメチロールプロパンのエチレンオキサイド(以下EOと記載)1モル付加物、トリメチロールプロパンのEO3モル付加物、トリメチロールプロパンのプロピレンオキサイド(以下POと記載)1モル付加物、グリセリンのEO1モルおよびPO1モル付加物、ペンタエリスリトールのEO4モル付加物、トリメチロールプロパンのEO4モル付加物、およびジペンタエリスリトールのEO4モル付加物の各トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
テトラ(メタ)アクリレート(A12)としては、4個の(メタ)アクリロイル基と1〜5個のオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、具体的にはペンタエリスリトールのEO2モル付加物、ペンタエリスリトールのEO4モル付加物、ジトリメチロールプロパンのEO4モル付加物、およびジペンタエリスリトールのEO4モル付加物の各テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ペンタ(メタ)アクリレート(A13)としては、5個の(メタ)アクリロイル基と1〜5個のオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、具体的にはジペンタエリスリトールのEO2モル付加物、およびジペンタエリスリトールのEO4モル付加物の各ペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヘキサ(メタ)アクリレート(A14)としては、6個の(メタ)アクリロイル基と1〜5個のオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、具体的にはジペンタエリスリトールのEO2モル付加物、およびジペンタエリスリトールのEO4モル付加物の各ヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート(A)は、上記(A1)を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
多官能(メタ)アクリレート(A)として、硬化物の透明性保持性の観点から好ましいのは(A11)および(A12)であり、さらに好ましいのは(A11)である。
傷回復性および透明性確保の観点から、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における多官能(メタ)アクリレート樹脂(A)の含有量は、組成物の合計重量に基づいて、好ましくは20〜90重量%、さらに好ましくは30〜85重量%、特に好ましくは35〜80重量%である。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物における第2の必須成分である多官能(メタ)アクリレート(B)は、そのホモポリマーのガラス転移温度が−40〜40℃である。好ましくは−35〜35℃、さらに好ましくは−30〜30℃である。
この多官能(メタ)アクリレート(B)は、そのホモポリマーのガラス転移温度が上記の範囲であればとくにその化学構造は限定されないが、分子内の(メタ)アクリロイル基の数が2〜6個であり、分子内に6〜30個のオキシアルキレン基を有する多官能(メタ)アクリレート(B1);および分子内の(メタ)アクリロイル基の数が2〜6個であり、下記一般式(1)で表される有機基(b)を分子内に1〜15個有する多官能(メタ)アクリレート(B2)が好ましい。
Figure 2013228729
[式(1)中のmは4または5を表す。]
分子内の(メタ)アクリロイル基の数が2〜6個であり、分子内に6〜30個のオキシアルキレン基を有する多官能(メタ)アクリレート(B1)としては以下のジ(メタ)アクリレート(B11)、トリ(メタ)アクリレート(B12)、テトラ(メタ)アクリレート(B13)、ペンタ(メタ)アクリレート(B14)およびヘキサ(メタ)アクリレート(B15)が挙げられる。
ジ(メタ)アクリレート(B11)としては、2個の(メタ)アクリロイル基と6〜30個のオキシアルキレンを有する化合物が挙げられ、具体的には以下の(B111)および(B112)が挙げられる。
ポリアルキレングリコールのジ(メタ)アクリレート(B111)
ポリエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレートおよびポリテトラメチレングリコールのジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
2価フェノール化合物のアルキレンオキサイド(6〜30モル)付加物のジ(メタ)アクリレート(B112)
2価フェノール化合物[単環フェノール(カテコール、レゾルシノール、ハイドロキノン等)、縮合多環フェノール(ジヒドロキシナフタレン等)、ビスフェノール化合物(ビスフェノールA、−Fおよび−S等)]のアルキレンオキサイド付加物のジ(メタ)アクリレート、例えば、カテコールのEO8モル付加物のジ(メタ)アクリレート、ジヒドロキシナフタレンのPO10モル付加物のモノ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO10モル付加物のジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
トリ(メタ)アクリレート(B12)としては、3個の(メタ)アクリロイル基と6〜30個のオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、具体的にはトリメチロールプロパンのEO6モル付加物、トリメチロールプロパンのEO9モル付加物、トリメチロールプロパンのEO15モル付加物、トリメチロールプロパンのEO20モル付加物、トリメチロールプロパンのPO9モル付加物、グリセリンのEO6モルおよびPO3モル付加物、ペンタエリスリトールのEO6モル付加物の各トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
テトラ(メタ)アクリレート(B13)としては、4個の(メタ)アクリロイル基と6〜30個のオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、具体的にはペンタエリスリトールのEO10モル付加物、ペンタエリスリトールのEO15モル付加物、ジトリメチロールプロパンのEO10モル付加物、ジペンタエリスリトールのEO10モル付加物の各テトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ペンタ(メタ)アクリレート(B14)としては、5個の(メタ)アクリロイル基と6〜30個のオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、具体的にはジペンタエリスリトールのEO10モル付加物、ジペンタエリスリトールのEO15モル付加物の各ペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヘキサ(メタ)アクリレート(B15)としては、6個の(メタ)アクリロイル基と6〜30個のオキシアルキレン基を有する化合物が挙げられ、具体的にはジペンタエリスリトールのEO10モル付加物、ジペンタエリスリトールのEO15モル付加物の各ヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、分子内の(メタ)アクリロイル基の数が2〜6個であり、一般式(1)で表される有機基(b)を分子内に1〜15個有する多官能(メタ)アクリレート(B2)としては、以下のジ(メタ)アクリレート(B21)、トリ(メタ)アクリレート(B22)、テトラ(メタ)アクリレート(B23)、ペンタ(メタ)アクリレート(B24)およびヘキサ(メタ)アクリレート(B25)が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート(B2)は、一般式(1)で表される有機基(b)のうち、mが5の場合は、2〜6価の多価アルコールにε−カプロラクトンを、mが4の場合は2〜6価の多価アルコールにδ−バレロラクトンを付加反応させ、さらにアクリル酸またはメタクリル酸により(メタ)アクリロイル化(エステル化)させることにより生成する。
ジ(メタ)アクリレート(B21)としては、2価のアルコールにε−カプロラクトンまたはδ−バレロラクトンが1〜15モル開環付加し、さらに(メタ)アクリル酸によりエステル化された化合物が挙げられ、具体的にはビスフェノールAのε−カプロラクトン6モル付加物のジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
トリ(メタ)アクリレート(B22)としては、3価のアルコールにε−カプロラクトンまたはδ−バレロラクトンが1〜15モル開環付加し、さらに(メタ)アクリル酸によりエステル化された化合物が挙げられ、具体的にはトリメチロールプロパンのδ−バレロラクトン3モル付加物のトリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
テトラ(メタ)アクリレート(B23)としては、4価のアルコールにε−カプロラクトンまたはδ−バレロラクトンが1〜15モル開環付加し、さらに(メタ)アクリル酸によりエステル化された化合物が挙げられ、具体的にはペンタエリスリトールのδ−バレロラクトン4モル付加物のテトラ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ペンタ(メタ)アクリレート(B24)としては、6価のアルコールにε−カプロラクトンまたはδ−バレロラクトンが1〜15モル開環付加し、さらに(メタ)アクリル酸によりエステル化された化合物が挙げられ、具体的にはジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン6モル付加物のペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
ヘキサ(メタ)アクリレート(B25)としては、6価のアルコールにε−カプロラクトンまたはδ−バレロラクトンが1〜15モル開環付加し、さらに(メタ)アクリル酸によりエステル化された化合物が挙げられ、具体的にはジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン6モル付加物のペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン12モル付加物のペンタ(メタ)アクリレートが挙げられる。
多官能(メタ)アクリレート(B)は、上記(B1)および(B2)を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これら(B1)および(B2)のうち、硬化物の傷回復性の観点からさらに好ましいのは(B1)である。
多官能(メタ)アクリレート(B)としては、そのホモポリマーのガラス転移温度が−40〜40℃の範囲であれば、(B1)および(B2)以外の多官能(メタ)アクリレート(B3)を併用してもよい。
(B3)としては、ジイソシアネート、2価のアルコール、および水酸基含有(メタ)アクリレートから得られる2官能ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
傷回復性および透明性確保の観点から、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における多官能(メタ)アクリレート(B)の含有量は、組成物の合計重量に基づいて、好ましくは5〜70重量%、さらに好ましくは8〜65重量%、特に好ましくは10〜60重量%である。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物における第3の必須成分である変性されていてもよいポリジアルキルシロキサン(C)は、分子内にシロキサン結合を含有する化合物であれば特に限定されない。
変性されていてもよいポリジアルキルシロキサン(C)としては、本発明で用いる多官能(メタ)アクリレート(A)および多官能(メタ)アクリレート(B)と相溶することが好ましい。この相溶性の指標として、溶解度パラメーター(SP)で表すことができ、変性されていてもよいポリジアルキルシロキサン(C)の溶解度パラメーターは、好ましくは8.0〜9.0であり、さらに好ましくは8.1〜8.8である。
なお、ここで溶解度パラメータ(SP)の値は次式で求められるものである。
SP=(ΔH/V)1/2
但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal/モル)、Vはモル体積(cm3/モル)を表す。また、ΔHおよびVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,February,1974,Vol.14,No.2,Robert F.Fedors.(147〜154頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱(△ei)の合計(ΔH)と、モル体積(△vi)の合計(V)を用いることができる。
ポリジアルキルシロキサン(C)は、さらに分子内に2〜100個のオキシアルキレン基を有するものが好ましい。
オキシアルキレン基を2個以上含有するポリジアルキルシロキサンは、活性エネルギー線硬化性組成物を構成する他の原料との相溶性が良好であり、オキシアルキレン基が100個以下のポリジアルキルシロキサンは、硬化物の動摩擦係数が小さくなり好ましい。
変性されていてもよいポリジアルキルシロキサン(C)としては、例えば、アルキレンオキサイド変性ポリジアルキルシロキサンが挙げられ、末端がアルキレンオキサイドで変性されたポリジアルキルシロキサン(C1)、側鎖がアルキレンオキサイドで変性されたポリジアルキルシロキサン(C2)、およびこれらの2種以上の混合物が挙げられる。なお、(C1)および(C2)は、さらに(メタ)アクリロイル変性されたものであってもよい。
(C1)としては、末端がEOで変性されたポリジメチルシロキサン、末端がEOおよびPOで変性されたポリジメチルシロキサン、末端がEOで変性されたポリジエチルシロキサン、およびこれらの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C2)としては、側鎖がPOで変性されたポリジメチルシロキサン、側鎖がEOおよびブチレンオキサイドで変性されたポリジメチルシロキサン、側鎖がEOおよびPOで変性されたポリジメチルシロキサン、およびこれらの(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらのアルキレンオキサイド変性ポリジアルキルシロキサンのうち、傷回復性の観点から好ましいのは(C2)であり、さらに好ましくは、側鎖がEOおよびPOで変性されたポリジメチルシロキサンである。
ポリジアルキルシロキサン(C)の数平均分子量(Mn)の好ましい範囲は300〜50,000である。
ポリジアルキルシロキサン(C)のMnが300以上であると、プラスチック基材との密着性が良好である。また、50,000以下であると樹脂との相溶性が良好であるため好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物におけるポリジアルキルシロキサン(C)の含有量は、組成物の合計重量に基づいて、好ましくは0.5〜10重量%、さらに好ましくは0.8〜5重量%である。(C)の含有量が0.5重量%以上であると、硬化物の傷回復性がより良好であり、硬化物本来の性能を発揮することができる。また10重量%以下であると、プラスチックフィルムへの密着性がより良好である。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物における第4の必須成分である光重合開始剤(D)としては、フォスフィンオキサイド系化合物(D1)、ベンゾイルホルメート系化合物(D2)、チオキサントン系化合物(D3)、オキシムエステル系化合物(D4)、ヒドロキシベンゾイル系化合物(D5)、ベンゾフェノン系化合物(D6)、ケタール系化合物(D7)、1,3αアミノアルキルフェノン系化合物(D8)などが挙げられる。
フォスフィンオキサイド系化合物(D1)としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
ベンゾイルホルメート系化合物(D2)としては、メチルベンゾイルホルメート等が挙げられる。
チオキサントン系化合物(D3)としては、イソプロピルチオキサントン等が挙げられる。
オキシムエステル系化合物(D4)としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1(O−アセチルオキシム))等が挙げられる。
ヒドロキシベンゾイル系化合物(D5)としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ベンゾインアルキルエーテル等が挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物(D6)としては、ベンゾフェノン等が挙げられる。
ケタール系化合物(D7)としては、ベンジルジメチルケタール等が挙げられる。
1,3αアミノアルキルフェノン系化合物(D8)としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロ−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン等が挙げられる。
光重合開始剤(D)のうち、重合性の点から、400nm以上に吸収波長を有するものが好ましく、400〜450nmに吸収波長を有するものがさらに好ましい。
これらの光重合開始剤(D)のうち、400nm以上の可視光線領域での硬化性および硬化物の着色の観点から好ましいのは、フォスフィンオキサイド系化合物(D1)であり、さらに好ましくは、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物における光重合開始剤(D)の含有量は、組成物の合計重量に基づいて、好ましくは0.5〜10重量%であり、さらに好ましくは0.8〜9重量%、特に好ましくは1〜8重量%である。
0.5重量%以上であると、光硬化反応性が良好であり、10重量%以下であると、活性エネルギー線照射により硬化させた硬化物のガラス転移温度が低下せず、好ましい。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物は、さらにモノ(メタ)アクリレート(E)を含有してもよい。
モノ(メタ)アクリレート(E)としては、以下の(E1)〜(E4)が挙げられる。
1価アルコール(脂肪族、脂環式および芳香脂肪族)の(メタ)アクリレート(E1)
ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニルエチル(メタ)アクリレート、o−、m−、またはp−フェニルフェノールのモノ(メタ)アクリレート、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのモノ(メタ)アクリレート、2.5モルのスチレンがフェノールに付加したスチレン化フェノールのモノ(メタ)アクリレートなど;
1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート](E2)
上記(E11)における1価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、例えばラウリルアルコールのEO2モル付加物の(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールのPO3モル付加物の(メタ)アクリレートなど
アルキルフェノールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート(E3)
フェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート、フェノールのEO2モル付加物の(メタ)アクリレート、トリブロモフェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート、ノニルフェノールのEO1モル付加物の(メタ)アクリレート、o−、m−、またはp−フェニルフェノールのアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート、3,3’−ジフェニル−4,4’−ジヒドロキシビフェニルのアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート、2.5モルのスチレンがフェノールに付加したスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート、3モルのスチレンがフェノールに付加したスチレン化フェノールのアルキレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレートなど
アクリルアミドおよびアクリロイルモルホリン(E4)
ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミドおよびアクリロイルモルホリンなど
モノ(メタ)アクリレート(E)の含有量は、活性エネルギー線硬化性組成物の合計重量に基づいて、好ましくは0〜20重量%、さらに好ましくは1〜15重量%である。
また、本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物は、帯電防止剤(F)を含有してもよい。
帯電防止剤(F)としては、以下の(F1)〜(F3)が挙げられる。
環状構造を有さない3級アミン塩化合物(F1)
トリエチルアミンとドデシルベンゼンスルホン酸の塩、ジメチルステアリルアミンとパラトルエンスルホン酸の塩、ジメチルアミノエチルアクリレートとドデシルベンゼンスルホン酸の塩など
環状アミジン塩化合物(F2)
ドデシルベンゼンスルホン酸と1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7の塩、ドデシルベンゼンスルホン酸と1−メチル−3−エチルイミダゾールの塩、安息香酸と1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5の塩など
有機リチウム塩化合物(F3)
パラトルエンスルホン酸のリチウム塩、トリフルオロメタンスルホン酸のリチウム塩、トリフルオロメタンスルホニルイミドのリチウム塩など
また、本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物は、さらに(A)と(B)には該当しない多価(メタ)アクリレート、すなわちそのホモポリマーのガラス転移温度が40℃を超え80℃未満の多官能(メタ)アクリレートを含有してもよい。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、必要により種々の添加剤を含有させてもよい。
添加剤としては、可塑剤、有機溶剤、分散剤、消泡剤、チクソトロピー性付与剤(増粘剤)、スリップ剤、酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤および紫外線吸収剤が挙げられる。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物は、活性エネルギー線照射により硬化し、その硬化物のガラス転移温度は40〜80℃であり、好ましくは42〜75℃であり、さらに好ましくは50〜70℃である。40℃未満であると透明性が確保できなくなり、80℃を超えると傷回復性が低下する。
上記の硬化物のガラス転移温度は、後述する方法により、動的粘弾性の測定結果から得られるものである。
本発明における光学部品とはプラスチックレンズ、コーティングフィルム、偏光板、プリズム、光ファイバー、感光性光導波路等が挙げられる。
特に、プラスチックレンズとしては、プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、視野角制御レンズ、コントラスト向上レンズ等が挙げられる。
本発明における活性エネルギー線とは、通常10〜3000nmの波長を有する活性エネルギー線であり、例えば、紫外線(波長:10〜400nm)、可視光線(400〜750nm)、近赤外線(750〜2600nm)、エックス線、ガンマ線、電子線等が挙げられる。
これらのうち、活性エネルギー線硬化樹脂を硬化させる手段として好ましいのは、紫外線および可視光線である。但し、活性エネルギー線硬化樹脂または透明プラスチックフィルムに紫外線吸収剤を含む場合は可視光線が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物を活性エネルギー線により硬化させる場合、使用するランプとしては、例えば高圧水銀灯(Hバルブ)、メタルハライドランプ(Dバルブ)、可視光線領域ランプ(Vバルブ)等が挙げられる。
活性エネルギー線の照射量は、組成物の硬化性および硬化物の可撓性の観点から、好ましくは10〜10,000mJ/cm2、さらに好ましくは100〜5,000mJ/cm2である。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させた硬化物の動摩擦係数は、傷回復性の観点から、好ましくは0.1〜0.5であり、さらに好ましくは0.2〜0.45である。
上記動摩擦係数は、後述する方法により測定されるものである。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に定めない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
製造例1
撹拌装置および温度計を取り付けたガラス製の反応容器に、ビスフェノールAのEO10モル付加物[商品名:ニューポールBPE−100、三洋化成工業(株)製]71.2部、ヘキサメチレンジイソシアネート[商品名:デュラネート50M、旭化成ケミカルズ(株)製]22.5部、触媒としてビスマストリ(2−エチルヘキサノエート)の2−エチルヘキサン酸50%溶液を0.5部仕込み、攪拌して均一溶液とした後、80℃に昇温した。容器内の温度を80℃に温度調整しながら、1段目のウレタン化反応を6時間行った。
イソシアネート含量が2.40%以下になったのを確認した後、ヒドロキシエチルアクリレートを6.2部加え、75℃で2段目のウレタン化反応を2時間行った。イソシアネート含量が0.01%以下になったのを確認した後、60℃に冷却し、2官能ウレタンアクリレート(B−5)を得た。
製造例2
ビスフェノールAのEO10モル付加物をポリテトラメチレングリコール[商品名:PTMG−1000、三菱化学(株)製]63.8部に、ヘキサメチレンジイソシアネートの部数を21.4部に、2−ヒドロキシエチルアクリレートの部数を14.8部に変更した以外は、製造例1と同様の操作を行い、2官能ウレタンアクリレート(B−6)を得た。
実施例1〜8および比較例1〜4
表1に記載の各成分と配合量に従って、一括で配合し、ディスパーサーで均一になるまで混合攪拌し、実施例1〜8および比較例1〜4の活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
Figure 2013228729
なお、表1中に記載した化合物の記号は、以下の化合物を表す。
(A−1):ペンタエリスリトールのEO4モル付加物のテトラアクリレート[商品名「SR−494」、アルケマ(株)製]
(A−2):トリメチロールプロパンのEO3モル付加物のトリアクリレート[商品名「ネオマーTA−401」、三洋化成工業(株)製]
(A−3):ジシクロペンタジエンジアクリレート[商品名「ライトアクリレートDCP−A」、共栄社化学(株)製]
(A’−1):ペンタエリスリトールテトラアクリレート[商品名「ネオマーEA−300」、三洋化成工業(株)製]
(B−1):ポリエチレングリコールジアクリレート[商品名「ライトアクリレート9EG−A」、共栄社化学(株)製]
(B−2):トリメチロールプロパンのEO15モル付加物のトリアクリレート[商品名「SR−9035」、アルケマ(株)製]
(B−3):ビスフェノールAのEO10モル付加物のジアクリレート[商品名「ニューフロンティアBPE−10」、第一工業製薬(株)製]
(B−4):ジペンタエリスリトールのε−カプロラクトン12モル付加物のヘキサアクリレート[商品名「カヤラッドDPCA−120」、日本化薬(株)製]
なお、それぞれの ホモポリマーのガラス転移温度(Tg)は表1に記載した。
(C−1):ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン[商品名「BYK−333」、ビ
ックケミー・ジャパン(株)製、SP値8.7]
(C−2):ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン[商品名「BYK−349」、ビ
ックケミー・ジャパン(株)製、SP値8.4]
(C−3):ポリエーテルおよびアクリロイル変性ポリジメチルシロキサン[商品名「B
YK−UV3500」、ビックケミー・ジャパン(株)製、SP値8.5]
(D−1):2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド[商品名「ルシリンTPO」、BASF社製]
(D−2):ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド[商品名「イルガキュア819」、BASF社製]
(D−3):1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン[商品名「イルガキュア184」、BASF社製]
(E−1):フェノキシエチルアクリレート[商品名「ライトアクリレートPO−A」、共栄社化学(株)製]
(E−2):ポリエチレングリコールモノアクリレート[商品名「ブレンマーAE−400」、日油(株)製]
(F−1):トリフルオロメタンスルホニルイミドのリチウム塩[商品名「サンコノールA 600−50R」、三光化学(株)製]
本発明および比較のための光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物に活性エネルギーを照射して得られた硬化物の、ガラス転移温度、動摩擦係数、傷回復性、樹脂硬化物とプラスチックフィルムとの密着性、および硬化物の全光線透過率を下記の方法で測定した。
その結果を表1に示す。
<活性エネルギー線照射による硬化物のガラス転移温度>
ガラス板の片面に、厚さ500μmのシリコンスペーサーを、縦4cm、横0.5cmの格子状になるように配置し、その空隙内に組成物を乗せた。その上から厚さ75μmの両面未処理のPETフィルム[商品名「ルミラーT-60」東レ(株)性]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。
PETフィルム側から活性エネルギー線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、400nmの活性エネルギー線を1000mJ/cm2照射して、硬化させた。硬化物をガラス板およびPETフィルムから剥離し、縦4cm、横0.5cm、厚さ500μmのテストピース作成した。
このテストピースを、JIS−K7244−4に準拠し、動的粘弾性測定装置[商品名「Rheogel−E4000」、ユービーエム(株)製]を用い、10Hzの振動をかけて、引張貯蔵弾性率および引張損失弾性率を測定した。
上記、引張貯蔵弾性率と引張損失弾性率から算出される引張損失係数が最大となる温度をガラス転移温度とし、その温度を読み取った。
<動摩擦係数、密着性、透明性測定用のテストピースの作成>
活性エネルギー線硬化性組成物をガラス板の片面に厚さが100μmになるようにアプリケーターで塗工した後、厚さ100μmのポリエステルフィルムを樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。ポリエステルフィルム側から紫外線照射装置により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させた。PETフィルムに密着した硬化物をガラス板から剥離し、テストピースを作成した。
<動摩擦係数>
ASTM D1894の方法に従って、表面性測定機[商品名「トライボギア TYPE:14FW」新東科学(株)製]を用いて測定した。測定は下記手順で行った。
(1)硬化膜面が上になるように、上記のテストピース用の硬化膜をセロハンテープで表面性測定機の台座に固定した。
(2)付属のステンレス板を表面性測定機のさおの下部に取り付け、それを硬化膜の表面に置き、さおの上部には200gの分銅を載せた。
(3)200mm/分の速度でテストピースを貼り付けた台座を移動させ、ステンレス板に対する硬化膜の表面の動摩擦係数を測定した。
<傷回復性の評価>
(1)溝の深さが50μmでピッチ幅を20μmで平行線を刻んで微細に凹凸処理を施したステンレス製の金型を用意する。
(2)活性エネルギー線硬化性組成物をこの金型の片面に厚さが100μmになるようにアプリケーターで塗工した後、厚さ100μmのポリエステルフィルム[商品名「コスモシャインA4300」東洋紡績(株)製]を樹脂側に貼り合わせ、ローラーを上から転がして空気を押し出した。ポリエステルフィルム側から紫外線照射装置[型番「VPS/I600」、フュージョンUVシステムズ(株)製]により、紫外線を1000mJ/cm2照射して、硬化させ、硬化膜を作成した。
(3)硬化膜の表面を、クロムキャップを装着した鉛筆でJIS K 5600−5−4に準拠して引っかき試験を行った。
(4)10分間放置後に目視で観察し、引っかき傷が完全に消失しているものを○、引っかき傷の一部が残っているものを△、引っかき傷が全て残っているものを×と判定した。
<密着性の評価>
前記テストピースを、23℃、相対湿度50%の環境下で24時間静置した後、JIS K5600−5−6に準拠し、1mm幅にカッターナイフで切込みを入れて碁盤目(10×10個)を作成し、該碁盤目上にセロハン粘着テープを貼り付け90度剥離を行い、PETフィルムからの硬化物の剥離状態を目視で観察し、評価した。
下記の基準で判定した。
○:100個の碁盤目のうち90個以上が剥離せずに基材に残っている
△:100個の碁盤目のうち10〜89個が剥離せずに基材に残っている
×:100個の碁盤目のうち9個以下が剥離せずに基材に残っている
<硬化物の透明性の評価>
前記テストピースを、JIS−K7105に準拠し、全光線透過率測定装置[商品名「haze−garddual」、BYK gardner(株)製]を用いて全光線透過率(%)を測定した。
表1の結果から、実施例1〜8の本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得られたフィルムは、傷回復性、樹脂硬化物とプラスチックフィルムとの密着性、および透明性のすべてに優れていることが分かる。
一方、多官能アクリレート(A)のガラス転移温度が高過ぎる比較例1、多官能アクリレート(B)を含有しない比較例2は、いずれも硬化物のガラス転移温度が高く、傷回復性が良くない。比較例2は、樹脂硬化物とプラスチックフィルムとの密着性も劣っている。多官能アクリレート(B)を含有しない比較例3は傷回復性が良くない。また、ポリジアルキルシロキサン(C)を含有しない比較例4は、動摩擦係数が高く、傷回復性が良くない。
本発明の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる本発明の硬化物は、傷回復性、プラスチック基材密着性および透明性が優れているため、光学部材、電気・電子部材としても有用である。
また、本発明の硬化物を用いた光学部品は、フィルム状、シート状で、例えばコーティングフィルムや偏光板として使われるほか、プラスチックレンズ(プリズムレンズ、レンチキュラーレンズ、マイクロレンズ、フレネルレンズ、視野角制御レンズ、コントラスト向上レンズ等)として有用である。

Claims (12)

  1. そのホモポリマーのガラス転移温度が80〜200℃である多官能(メタ)アクリレート(A)、そのホモポリマーのガラス転移温度が−40〜40℃である多官能(メタ)アクリレート(B)、変性されていてもよいポリジアルキルシロキサン(C)および光重合開始剤(D)を必須成分とし、活性エネルギー線照射による硬化物のガラス転移温度が40〜80℃であることを特徴とする光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  2. 該組成物を硬化させた硬化物の動摩擦係数が0.1〜0.5である請求項1記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 該多官能(メタ)アクリレート(A)が、分子内の(メタ)アクリロイル基の数が3〜6個であり、かつ分子内のオキシアルキレン基の数が1〜5個である多官能(メタ)アクリレート(A1)である請求項1または2記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 該多官能(メタ)アクリレート(B)が、分子内の(メタ)アクリロイル基の数が2〜6個であり、かつ分子内のオキシアルキレン基が6〜30個である多官能(メタ)アクリレート(B1)である請求項1〜3いずれか記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 該多官能(メタ)アクリレート(B)が、分子内の(メタ)アクリロイル基の数が2〜6個であり、下記一般式(1)で表される有機基(b)を分子内に1〜15個有する多官能(メタ)アクリレート(B2)である請求項1〜3いずれか記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
    Figure 2013228729
    [式(1)中のmは4または5を表す。]
  6. 該ポリジアルキルシロキサン(C)の溶解度パラメーターSPが8.0〜9.0である請求項1〜5いずれか記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  7. 該ポリジアルキルシロキサン(C)が、分子内に2〜100個のオキシアルキレン基を有する請求項1〜6いずれか記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  8. 該光重合開始剤(D)が400〜450nmに吸収波長を有する光重合開始剤である請求項1〜7いずれか記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  9. 該光重合開始剤(D)が、フォスフィンオキサイド系化合物(D1)である請求項1〜8いずれか記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  10. 該多官能(メタ)アクリレート(A)を20〜90重量%、該多官能(メタ)アクリレート(B)を5〜70重量%、該ポリジアルキルシロキサン(C)を0.5〜10重量%、および該光重合開始剤(D)を0.5〜10重量%含有する請求項1〜9いずれか記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物。
  11. 請求項1〜10いずれか記載の光学部品用活性エネルギー線硬化性組成物が活性エネルギー線により硬化されてなる硬化物。
  12. 請求項11記載の硬化物を用いた、プラスチックレンズ、コーティングフィルム、および偏光板から選ばれる光学部品。
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