JP2012140268A - カーボンナノチューブ生成用基材の判定方法およびカーボンナノチューブの製造方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ生成用基材の判定方法およびカーボンナノチューブの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 簡便な方法でカーボンナノチューブ(CNT)生成用基材の再利用可否を判定することができ、該基材をそのまま再利用してCNTの製造に供するか、再生処理を行うかを効率よく分類できる判定方法、および該判定結果に基づき必要に応じ再生処理を行なった基材をCNTの製造に用いることで、安定して高い収率でCNTを製造することができる製造方法を提供する。
【課題手段】 基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材の、触媒層上にCNTを形成し、次いで該基材からCNTを剥離して得られる基材の、触媒層の水に対する接触角を測定する工程を含む、CNT生成用基材の判定方法;ならびに該判定方法に基づき、該基材の再利用可否を判定する工程、およびその判定結果に基づき必要に応じ再生処理を行なった基材上にCNTを形成する工程、を含むCNTの製造方法。
【選択図】 図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ生成用基材の判定方法およびカーボンナノチューブの製造方法に関する。より詳しくは、カーボンナノチューブの生成に用いた基材の再利用可否を判定する方法、および前記判定結果を元に該基材を必要に応じ再生処理し、これを用いてカーボンナノチューブを製造する方法に関する。
カーボンナノチューブ(以下、「CNT」ともいう)は、炭素原子が平面的に六角形状に配置されて構成された炭素シートが、円筒状に閉じた構造を有する炭素構造体である。このCNTには、多層のもの及び単層のものがあるが、いずれもその力学的強度、光学特性、電気特性、熱特性、分子吸着機能等の面から、電子デバイス材料、光学素子材料、導電性材料等の機能性材料としての展開が期待されている。CNTの中でも単層CNTは、電気的特性(極めて高い電流密度)、熱的特性(ダイヤモンドに匹敵する熱伝導度)、光学特性(光通信帯波長域での発光)、水素貯蔵能、及び金属触媒担持能などの各種特性に優れている上、半導体と金属との両特性を備えているため、ナノ電子デバイス、ナノ光学素子、及びエネルギー貯蔵体などの材料として注目されている。
一方、CNTの製造方法の一つに、化学気相成長法(以下、「CVD法」とも称する)が知られている(特許文献1などを参照されたい)。この方法は、約500℃〜1000℃の高温雰囲気下で炭素化合物を触媒の金属微粒子と接触させることを特徴としており、触媒の種類及び配置、あるいは炭素化合物の種類及び反応条件といった態様を様々に変化させた中でのCNTの製造が可能であり、CNTの大量生産に適したものとして注目されている。またこのCVD法は、単層カーボンナノチューブ(SWCNT)と多層カーボンナノチューブ(MWCNT)とのいずれも製造可能である上、触媒を担持した基板を用いることで、基板面に垂直に配向した多数のCNTを製造することができる、という利点を備えている。
特開2003−171108号公報 特開2006−27948号公報 特開2007−91482号公報
CNT生産の低コスト化のためには触媒を担持した基材を再利用する必要があるが、同じ基材を繰り返し使用すると、CNTの収率が次第に低下するという問題があった。
特許文献2には、触媒を担持した基材上で一度CNT生産を行ない、ここからCNTを回収し、使用済の基材を焼成することで触媒を担持した基材を繰り返し使用することができる旨の記載がある。しかし基材を1回使用する毎に焼成して再生することは、CNTの生産効率の低下や高コスト化の原因となる。
特許文献3には、基材上に生成したCNTをガス圧を用いて剥離回収することで、基材がダメージを受けないため再利用することができる旨の記載がある。しかしこの方法によっても、同じ基材を繰り返し使用すると、CNTの収率が次第に低下することは避けられなかった。
CNTを剥離回収した後の基材の状態は一定ではないため、基材を繰り返し使用することに伴うCNT収率の低下の程度も一定ではない。しかしながら基材の状態から再利用時のCNTの収率を予測する方法はこれまで知られておらず、CNT生成用基材の再利用の妨げとなっていた。
本発明者らは鋭意検討の結果、CNTの形成と剥離を繰り返すことにより基材上へのCNTの形成能が低下すると、基材の触媒層の水に対する接触角が増大すること、および、特に該接触角が100度以上の面積の割合と、該基材を用いた場合のCNTの収率とが相関することを見出した。そして、CNTを剥離回収した後の基材において、基材表面の触媒層の水に対する接触角を測定することで、該基材を用いた場合のCNTの収率を予測できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のカーボンナノチューブ生成用基材の判定方法によれば、簡便な方法でCNT生成用基材の再利用可否を判定することができるので、該基材をそのまま再利用してCNTの製造に供するか、再生処理を行うかを効率よく分類することができる。この方法により再利用可否を判定し、必要に応じ再生処理を行なった基材をCNTの製造に用いる本発明の製造方法によれば、安定して高い収率でCNTを製造することができる。
かくして本発明によれば、下記(1)〜(7)の発明が提供される。
(1)基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材の、触媒層上にカーボンナノチューブを形成し、
次いで該基材からカーボンナノチューブを剥離して得られる基材の、触媒層の水に対する接触角を測定する工程を含む、
カーボンナノチューブ生成用基材の判定方法。
(2)基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材から、該触媒層上に形成されたカーボンナノチューブを剥離する工程、
カーボンナノチューブを剥離後の基材の、触媒層の水に対する接触角を測定し、該基材の再利用可否を判定する工程、および
再利用可能と判定された基材上にカーボンナノチューブを形成する工程、
を含むカーボンナノチューブの製造方法。
(3)前記カーボンナノチューブを形成する工程が、
前記再利用可能と判定された基材の周囲環境をカーボンナノチューブの原料ガスを含む環境として、当該基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりカーボンナノチューブを成長させる成長工程を含む、(2)記載の製造方法。
(4)基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材から、該触媒層上に形成されたカーボンナノチューブを剥離する工程、
カーボンナノチューブを剥離後の基材の、触媒層の水に対する接触角を測定し、該基材の再利用可否を判定する工程、
再利用不可能な基材に再生処理を施す工程、および
再生処理を施された基材上にカーボンナノチューブを形成する工程、
を含むカーボンナノチューブの製造方法。
(5)前記カーボンナノチューブを形成する工程が、
前記再生処理を施された基材の周囲環境をカーボンナノチューブの原料ガスを含む環境として、当該基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりカーボンナノチューブを成長させる成長工程を含む、(4)記載の製造方法。
(6)前記触媒層の水に対する接触角が100度以上である面積の割合で基材の再利用可否を判定するものである、(2)〜(5)のいずれかに記載の製造方法。
(7)表面に触媒層を有する基材上にカーボンナノチューブを形成し、
次いで該基材からカーボンナノチューブを剥離して得られる基材であって、
前期触媒層の水に対する接触角が100度以下である面積が80%以上である、
カーボンナノチューブ生成用基材。
本発明の一実施形態に係るカーボンナノチューブの製造方法に用いる、カーボンナノチューブ製造装置の構成を模式的に示す図である。
(CNTの形成)
本発明のカーボンナノチューブ生成用基材の判定方法では、第1工程として基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材の、触媒層上にカーボンナノチューブを形成する。
第1工程でのCNTの形成方法は特に限定されないが、前記基材の周囲環境をCNTの原料ガスを含む環境として、当該基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりCNTを成長させる成長工程を含むことが好ましい。この方法によれば、前記基材上に高効率でCNTを成長させることができ、触媒から成長した多数の単層CNTが特定の方向に配向した単層CNT配向集合体を容易に形成することができる。
単層CNT配向集合体は、比表面積が高く、一本一本のCNTが規則的な方向に配向していて、かつ嵩密度が低いという従来のCNT集合体にはない優れた特性を有するという有利な効果がある。単層CNT配向集合体の、例えば、比表面積は600m/g〜2600m/gと非常に大きい。このように大きな比表面積は、触媒の担持体やエネルギー・物質貯蔵材として有効であり、スーパーキャパシタやアクチュエータなどの用途に好適である。また、CNT配向集合体を構成する一本一本のCNTが規則的な方向に配向している。そのため、個々のCNTの機能の方向性を揃えることができ、結果として、高機能なCNT集合体を得ることができる。
さらに上記の方法によれば、例えば、重量密度が0.002g/cm〜0.2g/cmという低密度の単層CNT配向集合体を得ることができる。このように基板上で低密度に成長した単層CNT配向集合体は、集合体を構成する個々の単層CNT同士の結びつきが弱く、基板から取り外した単層CNT配向集合体を、溶媒などに均一に分散させることが容易である。これらに加えて、適度に配向していて低密度な単層CNT配向集合体は、生成後の後処理行程による密度調節が容易であり、高密度化処理行程を経ることにより、あたかも藁を束ねて作られた俵のように、互いに隣接するCNT同士を隙間なく高密度に充填させることが可能である。この際、高密度化処理行程を制御することによって様々な形状に成型することができる。
また、CNTは樹脂及びセラミックス等に高導電性、高熱伝導性などを付与するフィラーとしての用途が期待されている。CNTの高導電性、高熱伝導性を効率良く発揮させるためには、一本一本のCNTが長く、均一に分散させることが重要となる。しかし、CNTは、π−π相互作用により強固なバンドル(束)構造をとり非常に分散が困難である。また、直径が細いCNTは表面積が大きく表面エネルギーが大きいため、表面エネルギーを小さくしようと互いに力が働くため凝集しており非常に分散性が悪い。用途によって、より分散性に優れたCNT配向集合体の使用が望ましい場合がある。上記の方法によれば、分散性に優れたCNT配向集合体を製造できる。
(配向性)
配向の評価方法については、例えば、θ−2θ法、ラウエ法で得られたX線回折強度、SEM画像又は原子間力顕微鏡(「AMF」ともいう)画像を高速フーリエ変換して得られた画像から得た強度プロフィールを用いて計算したヘルマンの配向係数が、本発明によって得られる単層CNT配向集合体においては、例えば、−0.5以上、1以下であり、好ましくは0より大きく1以下であり、より好ましくは0.25以上、1以下である。このような配向の範囲にある単層CNT配向集合体は、良好な電気特性、良好な機械的特性、良好な熱特性を示し、比表面積も大きく、一体性に富み、取扱いが容易で形状加工性も良好である。しかも熱力学的、電気的、機械的な異方性も十分に示し、様々な用途に好適である。
これに対してヘルマンの配向係数が0より小さい単層CNT配向集合体は配向性を示さない。またヘルマンの配向係数が0.25より小さいものは、CNTの傾斜が45°となり、配向の効果は減少する。なお、ヘルマン配向係数が1の単層CNT配向集合体は、完全に配向したものとなる。
単層CNT配向集合体が配向性、及び高比表面積を示すためには、単層CNT配向集合体の高さ(長さ)は10μm以上、10cm以下の範囲にあることが好ましい。この範囲の高さの単層CNT配向集合体は、良好な配向性及び大きい比表面積を備えている。高さを10μm以上とすることで、配向性が向上する。また高さが10cm以下であれば、生成を短時間で行なえるため炭素質不純物の付着を抑制し、比表面積を向上させることができる。さらには、この範囲の高さの単層CNT配向集合体は高い一体性を備え、取扱いが容易であり、形状加工性も良好である。
CNT配向集合体の配向は、例えば、以下の1から3の少なくともいずれか1つの方法によって評価することができる。すなわち、
1.CNTの長手方向に平行な第1方向と、第1方向に直交する第2方向とからX線を入射してX線回折強度を測定(θ−2θ法)した場合に、第2方向からの反射強度が、第1方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在し、かつ第1方向からの反射強度が、第2方向からの反射強度より大きくなるθ角と反射方位とが存在すること。
2.CNTの長手方向に直交する方向からX線を入射して得られた2次元回折パターン像でX線回折強度を測定(ラウエ法)した場合に、異方性の存在を示す回折ピークパターンが出現すること。
3.ヘルマンの配向係数が、θ−2θ法又はラウエ法で得られたX線回折強度を用いると0より大きく1より小さいこと。より好ましくは0.25以上、1以下であること。
また、前述のX線回折法において、単層CNT間のパッキングに起因する(CP)回折ピーク、(002)ピークの回折強度及び単層CNTを構成する炭素六員環構造に起因する(100)、(110)ピークの平行と垂直との入射方向の回折ピーク強度の度合いが互いに異なるという特徴も有している。
(基材)
本発明に用いる基材は、基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する。基板は、その表面にCNTの触媒を担持するための基板である。その具体的な構成は、その表面に触媒層を担持することのできる部材であればよく、400℃以上の高温でも形状を維持できるものであることがより好ましい。材質としては、CNTの製造が可能なものあればよく、例えば、鉄、ニッケル、クロム、モリブデン、タングステン、チタン、アルミニウム、マンガン、コバルト、銅、銀、金、白金、ニオブ、タンタル、鉛、亜鉛、ガリウム、インジウム、ガリウム、ゲルマニウム、インジウム、及びアンチモンなどの金属、並びにこれらの金属を含む合金及び酸化物、又はシリコン、石英、ガラス、マイカ、グラファイト、及びダイヤモンドなどの非金属、並びにセラミックなどが挙げられる。金属はシリコン及びセラミックと比較して、低コストであるため好ましく、特に、Fe−Cr(鉄−クロム)合金、Fe−Ni(鉄−ニッケル)合金、Fe−Cr−Ni(鉄−クロム−ニッケル)合金等が好適である。
基板の形状は特に限定されないが、例えば平板状、薄膜状、またはブロック状などが挙げられる。中でも、特に体積の割に表面積を大きくとれる態様が大量に製造する場合において有利である。基材表面の水に対する接触角を容易に測定できるとの観点からは、平板状であることが好ましい。
平板状の基板を使用する場合、基板の厚さに特に制限はなく、数μm程度の薄膜から数cm程度までのものを例示できる。好ましくは、0.05mm以上3mm以下である。基板の厚さが3mm以下であれば、CVD工程で基材を十分に加熱することができカーボンナノチューブの成長不良を抑制することができ、また基板のコストを低減できる。基板の厚さが0.05mm以上であれば、浸炭による基板の変形を抑え、また基板自体のたわみが起こりにくいため基板の搬送や再利用に有利である。なお、本明細書にいう浸炭とは基板に炭素成分が浸透することをいう。
平板状の基板の場合、その形状、大きさに特に制限はないが、形状としては、例えば長方形、正方形が挙げられる。基板の一辺の大きさに特に制限はないが、CNTの量産性の観点から、大きいほど望ましい。
(浸炭防止層)
この基板の表面及び裏面の少なくともいずれか一方には、浸炭防止層が形成されていることが好ましく、表面及び裏面の両面に浸炭防止層が形成されていることがより好ましい。この浸炭防止層は、カーボンナノチューブの生成工程において、基板が浸炭されて変形してしまうのを防止するための保護層である。
浸炭防止層は、金属又はセラミック材料によって構成されることが好ましく、特に浸炭防止効果の高いセラミック材料であることが好ましい。金属としては、銅及びアルミニウムなどが挙げられる。セラミック材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、シリカアルミナ、酸化クロム、酸化ホウ素、酸化カルシウム、酸化亜鉛などの酸化物、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの窒化物が挙げられ、なかでも浸炭防止効果が高いことから、酸化アルミニウム、酸化ケイ素が好ましい。
浸炭防止層の厚さは、0.01μm以上1.0μm以下が望ましい。層厚さが0.01μm以上であると浸炭防止効果を充分に得ることができる。層厚さが1.0μm以下であると、基材の熱伝導性の変化を抑制して、CVD工程で基材を十分に加熱してカーボンナノチューブを良好に成長させることができる。層形成(コーティング)の方法としては、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理的方法、CVD、塗布法等の方法を適用することができる。
(触媒担持層)
浸炭防止層は、後述する触媒層を担持させるための触媒担持層としても作用するが、浸炭防止層上にさらに触媒担持層を設けてもよい。触媒担持層としては触媒層を担持できるものであればさまざまな材料を用いることができる。例えば、アルミニウム、チタン等の金属を使用してもよいが、アルミナ、チタニア、窒化チタン、酸化シリコンなどのセラミック材料の方が、基材を再利用したときにCVD中に劣化することが少なく、CNT成長が良好であるため好ましい。触媒担持層の厚みは、CNTの成長が安定して、歩留まりが向上することから、10nm以上であることが好ましく、生産効率の点から、30nm以下であることが好ましい。
(触媒層)
基板上には、触媒層が設けられている。ここで基板上に触媒層を設けるとは、上記基板上に設けられた浸炭防止層および/または触媒担持層上に触媒層を設ける場合も含むものとする。触媒層を形成する触媒としては、例えば、CNTの製造が可能なものであればよく、具体的には鉄、ニッケル、コバルト、モリブデン、並びに、これらの塩化物及び合金、またこれらが、さらにアルミニウム、アルミナ、チタニア、窒化チタン、酸化シリコンと複合化、また層状になっていてもよい。例えば、鉄−モリブデン薄膜、アルミナ−鉄薄膜、アルミナ−コバルト薄膜、及びアルミナ−鉄−モリブデン薄膜、アルミニウム−鉄薄膜、アルミニウム−鉄−モリブデン薄膜などを例示することができる。触媒の存在量としては、例えば鉄を用いる場合、触媒層の厚さで、0.1nm以上100nm以下が好ましく、0.5nm以上5nm以下がさらに好ましく、0.8nm以上2nm以下が特に好ましい。
基板上への触媒層および触媒担持層の形成は、ウェットプロセス又はドライプロセスのいずれを適用してもよい。具体的には、スパッタリング蒸着法、金属微粒子を適宜な溶媒に分散させた液体の塗布・焼成法などを適用することができる。また周知のフォトリソグラフィー又はナノインプリンティングなどを適用したパターニングを併用して触媒層を任意の形状とすることもできる。
基材上に成膜する触媒のパターニング及びCNTの成長時間により、薄膜状、円柱状、角柱状、及びその他の複雑な形状をしたものなど、CNT配向集合体の形状を任意に制御することができる。特に薄膜状のCNT配向集合体は、その長さ及び幅寸法に比較して厚さ(高さ)寸法が極端に小さいが、長さ及び幅寸法は、触媒のパターニングによって任意に制御可能であり、厚さ寸法は、CNT配向集合体を構成する各CNTの成長時間によって任意に制御可能である。
(フォーメーション工程)
本発明においては、基板上に触媒層を形成した後にフォーメーション工程を行なうことが好ましい。なお、フォーメーション工程を行なう場合は、後述する成長工程の前に行なう。
フォーメーション工程とは、基材の周囲環境を還元ガスを含む環境として、当該基材及び当該還元ガスのうち少なくとも一方を加熱し、触媒層を還元及び微粒子化する工程のことを意味する。この工程により、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態の微粒子化の促進、及び触媒の活性向上のうち少なくとも一つの効果が現れる。フォーメーション工程における触媒及び/又は還元ガスの温度は、好ましくは400℃以上、1100℃以下である。またフォーメーション工程の時間は、3分以上、30分以下が好ましく、3分以上、8分以下がより好ましい。フォーメーション工程の時間がこの範囲であれば、触媒微粒子の粗大化が防止され、多層CNTの生成を抑制することができる。
(還元ガス)
還元ガスは、一般的には、触媒の還元、触媒のCNTの成長に適合した状態である微粒子化の促進、及び触媒の活性向上のうち少なくとも一つの効果を持つ、CNTの成長温度において気体状のガスである。還元ガスとしては、例えば水素ガス、アンモニア、水蒸気及びそれらの混合ガスを適用することができる。また、水素ガスをヘリウムガス、アルゴンガス、窒素ガス等の不活性ガスと混合した混合ガスでもよい。還元ガスは、一般的には、フォーメーション工程で用いるが、適宜成長工程に用いてもよい。
(成長工程)
成長工程では、前記基材の周囲環境をCNTの原料ガスを含む環境として、当該基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりCNTを成長させる。
その具体的な方法としては、例えば、前記基材をCVD炉に設置して、CNTの原料ガスを供給した後に、又はCNTの原料ガスを供給しながら、CVD法により基板上にCNT配向集合体を成長させればよい。
(原料ガス)
原料ガスとしては、CNTの原料となる物質であればよく、例えば、成長温度において原料炭素源を有するガスである。なかでもメタン、エタン、エチレン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、プロピレン、及びアセチレンなどの炭化水素が好適である。この他にも、メタノール、エタノールなどの低級アルコールでもよい。これらの混合物も使用可能である。またこの原料ガスは、不活性ガスで希釈されていてもよい。基材の周囲環境における原料ガスの濃度については特に限定されないが、好ましくは1〜40体積%であり、より好ましくは2〜20体積%である。
(不活性ガス)
不活性ガスは、CNTが成長する温度で不活性であり、触媒の活性を低下させず、且つ成長するCNTと反応しないガスである。例えば、窒素;ヘリウム、アルゴン、ネオン、及びクリプトンなどの希ガス;並びにこれらの混合ガスを例示でき、特に窒素、ヘリウム、アルゴン、及びこれらの混合ガスが好適である。
(触媒賦活物質)
成長工程における基材の周囲環境は、触媒賦活物質をさらに含むことがより好ましい。触媒賦活物質の添加によって、カーボンナノチューブの生産効率や純度をより一層改善することができる。触媒賦活剤としては、例えば酸素を含む物質であり、CNTの成長温度でCNTに多大なダメージを与えない物質であることが好ましい。例えば、水、酸素、オゾン、酸性ガス、酸化窒素、一酸化炭素及び二酸化炭素などの低炭素数の含酸素化合物;エタノール、メタノールなどのアルコール類;テトラヒドロフランなどのエーテル類;アセトンなどのケトン類;アルデヒド類;エステル類;並びにこれらの混合物が有効である。この中でも、水、酸素、二酸化炭素、一酸化炭素、エーテル類が好ましく、特に水及び二酸化炭素が好適である。
触媒賦活物質の添加量は特に限定されないが、ガスの全量中の濃度で、例えば水の場合には、好ましくは10体積ppm以上10000体積ppm以下、より好ましくは50体積ppm以上1000体積ppm以下、さらに好ましくは100体積ppm以上700体積ppm以下の範囲とするとよい。また触媒賦活物質が二酸化炭素の場合には、その添加量は通常0.2体積%以上70体積%以下、好ましくは0.3体積%以上50体積%以下、さらに好ましくは0.7体積%以上20体積%以下の範囲とする。
触媒賦活物質の機能のメカニズムは、現時点では以下のように推測される。CNTの成長過程において、副次的に発生したアモルファスカーボン、グラファイトなどが触媒に付着すると触媒は失活してしまいCNTの成長が阻害される。しかし、触媒賦活物質が存在すると、アモルファスカーボン、グラファイトなどを一酸化炭素、二酸化炭素などに酸化させることでガス化するため、触媒が清浄化され、触媒の活性を高めかつ活性寿命を延長させる作用(触媒賦活作用)が発現すると考えられている。
この触媒賦活物質の添加により、触媒の活性が高められかつ寿命が延長する。添加しない場合は高々2分間程度で終了したCNTの成長が添加することによって数十分間継続する上、成長速度は100倍以上、さらには1000倍にも増大する。この結果、その高さが著しく増大したCNT配向集合体が得られることになる。
なお一酸化炭素やアルコール類など、炭素と酸素の両方を含む物質は、原料ガスと触媒賦活物質との両方の機能を有する場合がある。例えば一酸化炭素であれば、エチレンなどのより反応性の高い原料ガスと組み合わせれば触媒賦活物質として作用し、水などの微量で大きい作用を示す触媒賦活物質と組み合わせれば、原料ガスとして作用する。
基材及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱するにあたって、その両方を加熱することがより好ましい。また、加熱する温度としては、CNTの成長が可能な温度であればよいが、好ましくは400℃以上、1100℃以下である。400℃以上で後述する触媒賦活物質の効果が良好に発現され、1100℃以下では、触媒賦活物質がCNTと反応することを抑制できる。
(CNTの剥離)
本発明のカーボンナノチューブ生成用基材の判定方法では、第2工程として、上記によりCNTを形成させた基材からCNTを剥離する。
CNTを基材から剥離する方法としては、基板上に触媒層を残存させたまま、CNTのみを剥離できる方法であれば限定されない。具体的には物理的、化学的あるいは機械的な剥離方法を例示でき、例えば電場、磁場、遠心力、表面張力を用いて剥離する方法、機械的に直接基材から剥ぎ取る方法、圧力、熱を用いて基材から剥離する方法などが適用可能である。簡単な剥離法としては、CNTをピンセットで直接つまんで基材から剥がす方法があるが、カッターブレードなどの薄い刃物を使用して基材から剥ぎ取ることがより好適である。また、真空ポンプを用いてCNTを吸引し、基材から剥ぎ取ることも可能である。
(接触角の測定)
上記によりCNTを基材から剥離することで、基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材が回収される。本発明のカーボンナノチューブ生成用基材の判定方法では、第3工程として、こうして得られた基材の、触媒層の水に対する接触角を測定する。
接触角は、基材の触媒層上に純水を2マイクロリットル滴下し、5秒後の液滴から、θ/2法を用いて算出される。
CNTの形成と剥離を繰り返すことにより基材上へのCNTの形成能が低下すると、基材の触媒層の水に対する接触角が増大する。特に該接触角が100度以上の面積の割合が増加すると、該基材を用いた場合のCNTの収率が低下する傾向がある。接触角が100度以上の面積の割合を測定する方法としては、上記接触角の測定を触媒層上の任意に選定した多数の点で行ない、接触角が100度以上の測定点の数と全測定点の数との割合で算出する方法が挙げられる。本発明のカーボンナノチューブ生成用基材の判定方法によれば、こうして測定された接触角の値に基づき、カーボンナノチューブ生成用基材の再利用可否を判定することができる。
(再利用基材を用いたカーボンナノチューブの製造方法)
本発明のカーボンナノチューブの製造方法では、上記の接触角測定によりカーボンナノチューブ生成用基材の再利用可否を判定し、再利用可能と判定された基材上にカーボンナノチューブを形成する。また、上記判定により再利用不可能と判定された基材には再生処理を施し、次いで該基材上にカーボンナノチューブを形成する。
再利用可否の判定基準は特に限定されず、所望のCNTの収率と再生処理に要するコスト等を勘案して定めればよいが、触媒層の水に対する接触角が100度以上である面積の割合で基材の再利用可否を判定することが好ましい。触媒層の水に対する接触角が100度以上である面積の割合は、好ましくは20面積%以下、より好ましくは15面積%以下、さらに好ましくは10面積%以下である。本発明のカーボンナノチューブ生成用基材は、表面に触媒層を有する基材上にカーボンナノチューブを形成し、次いで該基材からカーボンナノチューブを剥離して得られる基材であって、前期触媒層の水に対する接触角が100度以下である面積が80%以上である。
再利用可能と判定された基材は、特段の再生処理を行なうことなくCNTの製造に用いることができる。上記接触角の測定に用いた基材をそのままCNTの形成に用いてもよいが、該基材の触媒層を水洗して用いることが好ましい。
該基材上にCNTを形成する方法は特に限定されないが、該基材の周囲環境をCNTの原料ガスを含む環境として、当該基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりCNTを成長させる成長工程を含むことが好ましい。成長工程の具体的な方法は、上記第1の工程と同様でよい。
(再生基材を用いたカーボンナノチューブの製造方法)
再利用不可能と判定された基材は、再生処理を施した後にCNTの製造に用いる。
(再生処理)
基材の再生処理の方法は、公知の方法を用いればよく、特に限定されない。具体的には、硝酸、塩酸、ふっ酸等の酸で洗浄する方法、酸素プラズマリアクターやUVオゾンクリーナー等を用いて触媒層上の不純物等を燃やして灰化する方法、および触媒層上にさらに新たな触媒の層を形成する方法などが挙げられる。
再生処理を施した基材上にCNTを形成する方法は特に限定されないが、該基材の周囲環境をCNTの原料ガスを含む環境として、当該基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりCNTを成長させる成長工程を含むことが好ましい。成長工程の具体的な方法は、上記第1の工程と同様でよい。
(生産装置)
本発明の製造方法に用いる生産装置は、基材を受容する合成炉(反応炉)及び加熱手段を備えることが必須であるが、その他は各部の構造・構成については特に限定されることはなく、例えば、熱CVD炉、熱加熱炉、電気炉、乾燥炉、恒温槽、雰囲気炉、ガス置換炉、マッフル炉、オーブン、真空加熱炉、プラズマ反応炉、マイクロプラズマ反応炉、RFプラズマ反応炉、電磁波加熱反応炉、マイクロ波照射反応炉、赤外線照射加熱炉、紫外線加熱反応炉、MBE反応炉、MOCVD反応炉、レーザ加熱装置などの、公知の生産装置をいずれも使用できる。中でも、熱CVD炉を用いることが好ましい。
以下に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(生産装置)
本実施例におけるCNTの製造は、図1に示したCVD装置を使用した。このCVD装置は、基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材1−1を受容する石英ガラスからなる管状の反応炉1−2、反応炉1−2の周囲に設けられた加熱部1−3と、原料ガス1−4並びに雰囲気ガス1−5を供給するために反応炉1−2の一端に接続された供給管1−6と、反応炉1−2の他端に接続された排気管1−7と、触媒賦活剤1−8を供給するための供給管1−6の中間部に接続された触媒賦活剤供給管1−9とを備えている。また供給管1−6には、原料ガス1−4並びに雰囲気ガス1−5から触媒賦活剤を除去するための純化装置1−10が付設されている。さらに図示していないが、流量制御弁や圧力制御弁などを含む制御装置が適所に付設されている。
(接触角の測定)
接触角の測定は、基材の触媒層上に純水を2マイクロリットル滴下し、5秒後の液滴から、θ/2法を用いて算出することで行なった。測定には、協和界面科学株式会社製 LCD−400Sを用いた。測定箇所は、2cm間隔で長手方向に14点×短手方向に10点の合計140点測定し、[接触角100度以下の点の数]/140×100で面積%を求めた。
(実施例1)
アルミニウムトリ−sec−ブトキシド57gを2−プロパノール3000mlに溶解させた。さらに、安定剤としてトリイソプロパノールアミン27gを加えて溶解させて、触媒担持層コーティング剤を調製した。
これとは別に、酢酸鉄5.22gを2−プロパノール3000mlに溶解させた。さらに、安定剤としてトリイソプロパノールアミン5.7gを加えて溶解させて、触媒層コーティング剤を作製した。
基板として、大きさ190mm×280mm、厚さ0.6mmのFe−Cr合金SUS430(JFEスチール株式会社製、Cr18%)を使用した。レーザ顕微鏡を用いて表面粗さを測定したところ、算術平均粗さRa≒0.59μmであった。
室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基板上にディップコーティングにより、上述の触媒担持層コーティング剤を塗布した。塗布条件としては、基板を浸漬後、20秒間保持して、10mm/secの引き上げ速度で基板を引き上げた。その後、5分間風乾した。次に、300℃の空気環境下で、30分間加熱した。加熱後、室温まで冷却した。これにより、基板上に浸炭防止層を兼ねる触媒担持層を形成した。
続いて、室温25℃、相対湿度50%の環境下で、基板の触媒担持層上にディップコーティングにより、上述の触媒層コーティング剤を塗布した。塗布条件としては、基板を浸漬後、20秒間保持して、3mm/秒の引き上げ速度で基板を引き上げた。その後、5分間風乾した。次に、100℃の空気環境下で、30分加熱した。加熱後、室温まで冷却して、触媒層を形成した。この触媒層の水に対する接触角100度以下の面積の割合は100%であった。接触角測定後の基材の触媒層表面を水洗し、次いで風乾してCNTの製造に用いた。
この基材を、炉内温度:800℃に保持された図1に示すCVD装置の反応炉内に設置し、この炉内に、窒素2,000sccm及び水素18,000sccmの混合ガスを、炉内圧力:1.02×10Paに保持しながら、6分間導入してフォーメーション工程を行なった。
次に、炉内温度:800℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持された状態の反応炉内に、窒素20,000sccmを1分間供給して水素を排出した。
次に、炉内温度:800℃、炉内圧力:1.02×10Paに保持された状態の反応炉内に、窒素17,600sccm、エチレン2,000sccm及び相対湿度23%となるように水を含んだ窒素400sccmの混合ガスを10分間供給して化学気相成長による成長工程を行なった。
成長工程終了後、反応炉内に窒素20,000sccmを供給し、残余の原料ガス及び触媒賦活剤を除去した。これにより、カーボンナノチューブ配向集合体2−11が得られた。得られたCNTを、ブレードを使用して基板から剥離し収量を測定した。このときの収量を100とする。
(実施例2)
実施例1でCNTを剥離した後の基材を用いて、実施例1と同様の手順で基材の触媒層表面の水洗、フォーメーション工程、成長工程、CNTの剥離という一連の工程を、5回繰り返す。この基材の触媒層の接触角を測定すると、100度以下の面積は90%である。
この基材を用いて、実施例1と同様の手順で、CNTの合成、CNTの剥離を行うと、収量は90である。
(実施例3)
実施例2でCNTを剥離した後の基材を用いて、実施例1と同様の手順で基材の触媒層表面の水洗、フォーメーション工程、成長工程、CNTの剥離という一連の工程を、さらに5回繰り返す(累積繰り返し回数:10回)。この基材の触媒層の接触角を測定すると、100度以下の面積は80%である。
この基材を用いて、実施例1と同様の手順で、CNTの合成、CNTの剥離を行うと、収量は78である。
(実施例4)
実施例3でCNTを剥離した後の基材を用いて、実施例1と同様の手順で基材の触媒層表面の水洗、フォーメーション工程、成長工程、CNTの剥離という一連の工程を、さらに5回繰り返す(累積繰り返し回数:15回)。この基材の触媒層の接触角を測定すると、100度以下の面積は75%である。
この基材を用いて、実施例1と同様の手順で、CNTの合成、CNTの剥離を行うと、収量は65である。
(実施例5)
実施例4でCNTを剥離した後の基材を用いて、実施例1と同様の手順で基材の触媒層表面の水洗、フォーメーション工程、成長工程、CNTの剥離という一連の工程を、さらに2回繰り返す(累積繰り返し回数:17回)。この基材の触媒層の接触角を測定すると、100度以下の面積は70%である。
この基材を用いて、実施例1と同様の手順で、CNTの合成、CNTの剥離を行うと、収量は48である。
(実施例6)
実施例1と同様にして基材の作成、CNTの合成、CNTの剥離を行なう。このCNTを剥離した後の基材を用いて、成長工程における混合ガスを窒素17,900sccm、エチレン2,000sccm及び相対湿度23%となるように水を含んだ窒素100sccmの混合ガスとした他は実施例1と同様の手順でCNTの合成、CNTの剥離という一連の工程を、5回繰り返す。この基材の触媒層の接触角を測定すると、100度以下の面積は77%である。
この基材を用いて、実施例1と同様の手順で、CNTの合成、CNTの剥離を行うと、収量は67である。
以上のように本発明の判定方法を用いることで、再利用基材を用いた場合のCNTの収量を予測できることが分かる。また基材の触媒層の接触角が80%以上であれば、特に良好な収率でCNTを得られることが分かる。
1−1 カーボンナノチューブ生成用基材
1−2 反応炉
1−3 加熱部
1−4 原料ガス
1−5 雰囲気ガス
1−6 供給管
1−7 排気管
1−8 触媒賦活剤
1−9 触媒賦活剤供給管
1−10 純化装置
1−11 カーボンナノチューブ

Claims (7)

  1. 基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材の、触媒層上にカーボンナノチューブを形成し、
    次いで該基材からカーボンナノチューブを剥離して得られる基材の、触媒層の水に対する接触角を測定する工程を含む、
    カーボンナノチューブ生成用基材の判定方法。
  2. 基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材から、該触媒層上に形成されたカーボンナノチューブを剥離する工程、
    カーボンナノチューブを剥離後の基材の、触媒層の水に対する接触角を測定し、該基材の再利用可否を判定する工程、および
    再利用可能と判定された基材上にカーボンナノチューブを形成する工程、
    を含むカーボンナノチューブの製造方法。
  3. 前記カーボンナノチューブを形成する工程が、
    前記再利用可能と判定された基材の周囲環境をカーボンナノチューブの原料ガスを含む環境として、当該基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりカーボンナノチューブを成長させる成長工程を含む、請求項2記載の製造方法。
  4. 基板および該基板の表面に設けられた触媒層を有する基材から、該触媒層上に形成されたカーボンナノチューブを剥離する工程、
    カーボンナノチューブを剥離後の基材の、触媒層の水に対する接触角を測定し、該基材の再利用可否を判定する工程、
    再利用不可能な基材に再生処理を施す工程、および
    再生処理を施された基材上にカーボンナノチューブを形成する工程、
    を含むカーボンナノチューブの製造方法。
  5. 前記カーボンナノチューブを形成する工程が、
    前記再生処理を施された基材の周囲環境をカーボンナノチューブの原料ガスを含む環境として、当該基材及び当該原料ガスのうち少なくとも一方を加熱して、化学気相成長によりカーボンナノチューブを成長させる成長工程を含む、請求項4記載の製造方法。
  6. 前記触媒層の水に対する接触角が100度以上である面積の割合で基材の再利用可否を判定するものである、請求項2〜5のいずれかに記載の製造方法。
  7. 表面に触媒層を有する基材上にカーボンナノチューブを形成し、
    次いで該基材からカーボンナノチューブを剥離して得られる基材であって、
    前期触媒層の水に対する接触角が100度以下である面積が80%以上である、
    カーボンナノチューブ生成用基材。
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