JP2015143169A - カーボンナノチューブ生成用基板、カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法及びカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法 - Google Patents

カーボンナノチューブ生成用基板、カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法及びカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法 Download PDF

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【課題】繰り返し加熱が行われたとしても基板に含まれる金属元素が中間層上に滲み出ることなく、再利用が可能なカーボンナノチューブ生成用基板を提供する。【解決手段】本発明に係るカーボンナノチューブ生成用基板10,10’は、窒化物又は酸化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板1と、基板1表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層2と、中間層2上に形成された触媒金属が含まれる触媒層3とを備えるとともに、基板1の表面側に少なくとも一種の窒化物又は酸化物を含む被処理層4を備えるものである。【選択図】図1

Description

本発明は、カーボンナノチューブ生成用基板、カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法及びカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法に関する。
近年、カーボンナノチューブ生成用基板について、熱化学気相成長法によりカーボンナノチューブをより良好に生成するための構成や製造方法などがさまざまに検討されている。例えば、良好なカーボンナノチューブを生成させるためには、基板に担持された触媒金属の粒子の密度やカーボンナノチューブの直径を精密に制御する必要がある。このため、従来から、基板と触媒層との間に緩衝層を設けたカーボンナノチューブ生成用基板が用いられており、触媒の凝集を防ぎ且つカーボンナノチューブの直径を制御することが可能となっている。
そのような従来のカーボンナノチューブ生成用基板の例として、金属製の基板と、この基板の上に形成された緩衝層としての中間層と、中間層の上に触媒金属を含む触媒層とを備えたものがある(例えば特許文献1)。この中間層には、触媒金属の触媒活性を妨げない材料が用いられるため、緩衝層としての上記作用に加えて、基板に含まれる金属元素と触媒金属とが反応すること及び合金化することを防いで触媒活性の低下を防ぐことができる。
特開2007−070137号公報
しかし、例えば製造コストを低減することを目的として、このような従来のカーボンナノチューブ生成用基板を再利用する場合、繰り返し加熱されることにより、中間層に発生する亀裂から析出した基板に含まれる金属元素が触媒金属と反応して触媒活性を低下させる惧れがある。また、例えば中間層が多孔質な構造であれば、繰り返し加熱されることにより、基板から析出される金属元素が中間層の孔を通じて触媒層へ到達し、触媒金属と反応して触媒活性を低下させる惧れがある。
本発明は上記問題点を解決して、繰り返し加熱が行われたとしても基板に含まれる金属元素が中間層上に滲み出ることなく、再利用が可能なカーボンナノチューブ生成用基板、その製造方法及びその再利用方法を提供することを目的とする。
本発明のカーボンナノチューブ生成用基板は、窒化物又は酸化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板と、前記基板表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層と、前記中間層上に形成された触媒金属が含まれる触媒層とを備えるカーボンナノチューブ生成用基板であって、
前記基板の表面側に窒素、窒素化合物、酸素及び酸素化合物のうちいずれか一つを浸透させる処理により形成された少なくとも一種の窒化物又は酸化物を含む被処理層を備えることを特徴とするものである。
また、基板は添加元素としてクロムを含有する鋼板であることが好ましい。
また、基板の表面から20μm以内に被処理層が形成されていることが好ましい。
上記の本発明のカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法は、窒化物又は酸化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板と、前記基板表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層と、前記中間層上に形成された触媒金属が含まれる触媒層とを備えるカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法であって、
前記基板の表面側に窒素、窒素化合物、酸素及び酸素化合物のうちいずれか一つを浸透させる処理により少なくとも一種の酸化物又は窒化物を含む被処理層を形成する工程と、
前記被処理層が形成された前記基板の表面に、触媒金属の触媒活性を損なわない材料を積層して中間層を形成する工程と、
前記中間層の上に触媒金属が含まれる触媒層を形成する工程とを備えることを特徴とする。
また、基板の表面側に窒素又は窒素化合物を浸透させる処理には、窒素加熱、ガス窒化法、ガス軟窒化法、塩浴窒化法、塩浴軟窒化法、プラズマ窒化法及びプラズマ軟窒化法のいずれか一つが用いられることが好ましい。
また、基板の表面側に酸素又は酸素化合物を浸透させる処理には、酸素加熱が用いられることが好ましい。
また、基板には、添加元素としてクロムを含有する鋼板が用られることが好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法は、上記のカーボンナノチューブ生成用基板を用いて、
熱化学気相成長法により、触媒層の触媒金属と炭素含有ガスとを反応させてカーボンナノチューブを生成させる工程と、
前記カーボンナノチューブが生成された前記触媒層の表面から前記カーボンナノチューブを剥離する工程と、
前記カーボンナノチューブが剥離された前記触媒層の表面の炭素含有残渣を熱分解により除去する工程とを一連の手順として複数回繰り返すことを特徴とする。
また、カーボンナノチューブが剥離された触媒層の表面の炭素含有残渣を熱分解により除去する工程の後に、前記残渣が除去された触媒層表面に触媒金属を担持させる工程を備えることが好ましい。
本発明のカーボンナノチューブ生成用基板及びその製造方法によれば、合金製の基板の表面側に、窒素、窒素化合物、酸素及び酸素化合物のうちいずれか一つを浸透させる処理により被処理層が形成されることによって、添加元素をはじめとする金属元素が窒化物又は酸化物となるため中間層を介した金属元素の析出が抑制されて、担持された触媒金属と基板に含まれる金属元素とが反応することによる触媒活性の低下を防止することができる。したがって、本発明のカーボンナノチューブ生成用基板は、繰り返し加熱が行われたとしても基板に含まれる金属元素が中間層上に析出しにくくなるため、再利用が可能である。
実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板の断面図である。 カーボンナノチューブが生成された同カーボンナノチューブ生成用基板の断面図である。 同カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法のうち窒化処理により窒化層を形成する工程を示す概略図である。 同カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法のうち中間層を形成する工程を示す概略図であり、(a)はスピンコーティングによる中間層に用いられる材料を塗布する様子を示し、(b)は中間層を焼成する様子を示す。 同カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法のうち触媒層を形成する工程を示す概略図であり、(a)は電子ビーム蒸着法により触媒金属を中間層上に蒸着する様子を示し、(b)は触媒層を微粒化する様子を示す。 同カーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法を示すフロー図である。 実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板の断面図である。 同カーボンナノチューブ生成用基板の製造方法のうち酸化処理により酸化層を形成する工程を示す概略図である。 実験例1の基板Aの表面を解析したXPSスペクトルであり、(a)には1回加熱後に鉄について解析した結果を示し、(b)には5回加熱後に鉄について解析した結果を示し、(c)には1回加熱後にクロムについて解析した結果を示し、(d)には5回加熱後にクロムについて解析した結果を示す。 比較例1の基板Pの表面を解析したXPSスペクトルであり、(a)には1回加熱後に鉄について解析した結果を示し、(b)には5回加熱後に鉄について解析した結果を示し、(c)には1回加熱後にクロムについて解析した結果を示し、(d)には5回加熱後にクロムについて解析した結果を示す。 実験例2の基板Bの表面を解析したXPSスペクトルであり、(a)には1回加熱後に鉄について解析した結果を示し、(b)には5回加熱後に鉄について解析した結果を示し、(c)には1回加熱後にクロムについて解析した結果を示し、(d)には5回加熱後にクロムについて解析した結果を示す。 実験例3の基板Cと比較例2の基板Qについて、カーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ長さとの関係を示す図である。 実験例3の基板Cと比較例2の基板Qについて、カーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ生成量との関係を示す図である。 実験例4の基板Dと比較例2の基板Qについて、カーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ長さとの関係を示す図である。 実験例4の基板Dと比較例2の基板Qについて、カーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ生成量との関係を示す図である。
以下、本発明に係るカーボンナノチューブ生成用基板、その製造方法及びその再利用方法の実施例1及び実施例2について、それぞれ説明する。本発明に係るカーボンナノチューブ生成用基板は、概して、窒化物又は酸化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板と、前記基板表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層と、中間層上に形成された触媒金属が含まれる触媒層とを備え、基板の表面側に窒素、窒素化合物、酸素及び酸素化合物のうちいずれか一つを浸透させる処理により形成された少なくとも一種の窒化物又は酸化物を含む被処理層を備える。この被処理層は、具体的には実施例1では窒化層であり、実施例2では酸化層である。
[実施例1]
まず、本発明に係る実施例1のカーボンナノチューブ生成用基板の構成について図1及び図2を用いて説明する。次に、実施例1のカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法について、図3〜図5を用いて説明する。最後に、実施例1のカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法について、図6を用いて説明する。
実施例1のカーボンナノチューブ生成用基板は、熱化学気相成長法(thermal chemical vapor deposition method 以下、熱CVD法と略称することがある。)により垂直配向性のカーボンナノチューブを生成するために用いられる。
図1に示すように、カーボンナノチューブ生成用基板10は、窒化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板1と、基板1表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層2と、中間層2上に形成された触媒金属が含まれる触媒層3とを備えている。また、基板1の表面側に、後述の窒化処理により少なくとも一種の窒化物を含む被処理層4(以下、窒化層4Aという。)が形成されている。なお、図2に示すようにこのカーボンナノチューブ生成用基板10には、熱CVD法により触媒粒子5を核としてカーボンナノチューブ6が生成される。
以下、このカーボンナノチューブ基板10の製造方法について図3〜図5を用いて説明する。概して、このカーボンナノチューブ生成用基板10の製造方法は、図3に示すように、窒化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板1の表面側に窒素又は窒素化合物を浸透させる窒化処理により少なくとも一種の窒化物を含む窒化層4Aを形成する工程と、図4に示すように、窒化層4Aが形成された基板1の表面に、触媒金属の触媒活性を損なわない材料を積層して中間層2を形成する工程と、図5に示すように、中間層2の上に触媒金属が含まれる触媒層3を形成する工程とを備える。
基板1には、窒化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金材料が用いられる。例えば、鋼等の合金であり、実施例1においては、ステンレス鋼が用いられる。なお、ステンレス鋼には、添加元素として少なくともクロムが含有されている。
まず、基板1の表面側に窒素又は窒素化合物を浸透させる作業すなわち窒化処理を施すことにより窒化層4Aを形成する工程が行われる。窒化処理には、例えば、窒素加熱、ガス窒化法、ガス軟窒化法、塩浴窒化法、塩浴軟窒化法、プラズマ窒化法、プラズマ軟窒化法などの方法が用いられる。実施例1においては、窒素加熱が採用され、図3に示すように、基板1であるステンレス鋼板を窒素含有雰囲気下にて所定温度で加熱装置11により加熱する。窒素含有雰囲気を構成するガスとしては、例えば窒素(N)やアンモニア(NH)が用いられる。また、所定温度としては、例えば500℃〜700℃の範囲が好適である。なお、基板1に一般の合金材料を用いる場合には、所定温度としては、例えば500℃〜1000℃が好適である。
この窒化処理により形成された窒化層4Aは、基板1の表面側に形成される。なお、コスト低減の観点から、この窒化層4Aは、0.02mm〜0.5mmの範囲の厚さの基板1において、その表面から20μm以内に形成されることが好ましい。この窒化層4Aはステンレス鋼の主成分の鉄の窒化物であるγ’−FeN及びε−Fe2−3Nの結晶構造を有する窒化鉄や、添加元素の窒化物である窒化クロムなどの複合窒化物から構成されている。このように、基板1表面側に窒化鉄や窒化クロムなどの窒化物が形成されることによって基板1に含まれる鉄やクロムなどの金属元素が不活性となり中間層2への浸透、拡散が抑制される。したがって、中間層2から基板1に含まれた鉄やクロムなどの金属元素が析出して触媒金属と反応することが防止される。
なお、ガス窒化法は、アンモニア雰囲気下にてオーステナイト変態を起こす温度よりも低い温度領域で基板を加熱するものである。ガス軟窒化法は、吸熱型変成ガス又は有機溶剤の熱分解ガスなどの浸炭性ガスにアンモニアなどの窒素含有ガスを混合した雰囲気下にて基板を加熱するものである。塩浴窒化法は、シアン化カリウム(KCN)やシアン化カルシウム(CaCN)などのナトリウムやカリウムのシアン化合物を含む塩浴中に基板を浸漬させるものである。塩浴軟窒化法は、シアン酸塩(XCNO:XはNa又はK)を主成分とする塩浴に空気を吹き込みながら基板を浸漬させるものである。プラズマ窒化法は、減圧した窒素含有雰囲気中で、陰極とした基板と陽極との間に生じるグロー放電による窒素のプラズマを用いるものである。プラズマ軟窒化法は、減圧下で窒素を主体とし炭素又は酸素を含有する雰囲気中で、陰極とした基板と、陽極との間に生じるグロー放電による窒素のプラズマを用いたものである。ただし、これらの種々の窒化処理の方法によって形成される窒化層4Aの密度はそれぞれに異なるため、所望の窒化層4Aの密度にあわせて窒化処理の方法を適宜選択するとよい。
次に、窒化処理された基板1の表面上に触媒金属の触媒活性を損なわない材料を積層して中間層2を形成する工程が行われる。中間層2に用いられる材料は、融点の高いものであることがより好ましい。なぜなら、熱CVD法によりカーボンナノチューブ6を生成する場合、融点の低い材料から成る中間層を有する基板が高温で加熱されることで中間層が溶融してしまい、生成されたカーボンナノチューブが剥がれ落ちる惧れがあるためである。また、中間層2に用いられる材料は、熱安定性の高いものや、活性が低いものであることがさらに好ましい。したがって、中間層2には、例えば、ケイ素(Si)、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、マグネシウム(Mg)、タンタル(Ta)、これらの金属の酸化物及びこれらの金属を含む合金のうち、少なくとも一種を含む材料が用いられるが、より具体的には二酸化ケイ素(SiO)が用いられることが好ましい。
また、中間層2の形成には、電子ビーム蒸着法、スパッタリング、ディップコーティングやスピンコーティング、ロールコーティング、スプレー法などの公知の成膜技術を用いればよい。例えば図4(a)に示すように、スピンコーティングを用いる場合、基板1をスピンコータ12のロータ13に載せて回転させながら二酸化ケイ素の前躯体をアルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)、アセトン及び水並びにそれらの混合溶媒に溶かした溶液をシリンジ14から滴下して塗布し、その後図4(b)に示すように加熱装置11を用いて焼成する。中間層2の厚さは0.05μm〜1μmの範囲が好適である。仮に0.05μm未満の中間層2を形成すると、厚さが薄すぎるために中間層2の表面ラフネスが変化して基板1から剥がれ易くなるなど、中間層2としての機能を奏さない惧れがあるため、好ましくない。
そして、中間層2の上に触媒金属を含む触媒層3を積層する工程が行われる。触媒層3に含まれる触媒金属、すなわち触媒層3を形成するのに用いられる材料は、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、金(Au)及びこれら金属を含む合金のうち、少なくとも一種を含む材料が挙げられるが、より具体的には鉄が用いられることが好ましい。触媒層3の形成には、電子ビーム蒸着法、スパッタリング、ディップコーティングやスピンコーティング、ロールコーティング、スプレー法などの公知の成膜技術を用いればよい。例えば、図5(a)に示すように電子ビーム蒸着法を用いる場合、電子ビーム蒸着装置15において、中間層2が形成された基板1を中間層2側が下方へ向くように基板ホルダ16によって固定し、触媒金属(鉄)が入ったるつぼ17へ電子銃18から電子ビームRを発射することにより触媒金属を蒸発させて中間層2の表面に蒸着する。触媒層3の厚さはカーボンナノチューブ6の生成条件に対して適切に決定されればよいが、実施例1においては0.1nm〜20nmの範囲が好適である。触媒層3を形成した後、図5(b)に示すように、所定温度で加熱装置11を用いて加熱することにより微粒化された触媒粒子5を形成するとなおよい。この微粒化は、減圧下又は非酸化雰囲気下で500℃〜800℃の範囲で加熱し、直径1nm〜50nmの範囲の大きさの触媒粒子5を形成することがより好ましい。
このようにして、図1に示すような、窒化処理により形成された添加元素の窒化物を含む窒化層4Aを備える合金製の基板1と、基板1表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層2と、中間層2上に形成された触媒金属が含まれる触媒層3とを備えるカーボンナノチューブ生成用基板10が作られる。
実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板10及びその製造方法によれば、合金製の基板1の表面側に、窒化処理により窒化層4Aが形成されることによって、添加元素をはじめとする金属元素が窒化物となるため中間層2を介した金属元素の析出が抑制されて、担持された触媒金属と基板1に含まれる金属元素とが反応することによる触媒活性の低下を防止することができる。
以下、このカーボンナノチューブ生成用基板10を用いた再利用方法について図6を用いて説明する。
実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板10の再利用方法は、概して、図6に示すように、熱化学気相成長法により触媒層3の触媒金属と炭素含有ガスとを反応させてカーボンナノチューブ6を生成させる熱CVD工程と、カーボンナノチューブ6が生成された触媒層3の表面からカーボンナノチューブ6を剥離する剥離工程と、カーボンナノチューブ6が剥離された触媒層3の表面の炭素含有残渣を熱分解により除去する残渣除去工程とを一連の手順として複数回繰り返すものである。
すなわち、熱化学気相成長法により、このカーボンナノチューブ生成用基板10の(触媒層3の)表面の微粒化された触媒金属(触媒粒子5)と原料ガスとを反応させてカーボンナノチューブ6を生成させる熱CVD工程が行われる。カーボンナノチューブ6の生成には、キャリアガスと原料ガスとを混合した雰囲気下にて所定温度で加熱して触媒粒子5を核としてカーボンナノチューブ6を成長させる熱CVD法が用いられる。キャリアガスとしては、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)、アルゴン(Ar)などの希ガス元素や窒素(N)などの不活性ガスが、原料ガスとしては炭素含有ガス、例えばアセチレン(C)、メタン(CH)、エチレン(C)等の炭化水素系のガスが挙げられるが、具体的にはアセチレンが用いられることが好ましい。また、熱CVD法による加熱温度は、500℃〜800℃の範囲が好適である。
次に、カーボンナノチューブ6が生成された触媒層3からカーボンナノチューブ6を剥離する剥離工程が行われる。剥離方法としては、例えばカッターによる切り離しや、レーザーによる切り離し、転写などが挙げられる。いずれの方法を用いても、触媒層3上には、長さの短いカーボンナノチューブ6や非晶質炭素等の炭素含有残渣が付着している。このカーボンナノチューブ生成用基板10を再利用するためには、この残渣を除去する必要がある。
そこで、熱分解により、カーボンナノチューブ6が剥離されたカーボンナノチューブ生成用基板10の表面の炭素含有残渣を除去する残渣除去工程が行われる。実施例1においては、触媒層3の表面に対して、微量の酸素を供給しながら加熱することで残渣に含まれる炭素を分解して触媒から除去する。熱分解に代えて酸素プラズマによる酸化処理を行ってもよい。また、この後、触媒層3の表面に対して、熱分解や酸化処理によって酸化された触媒を還元する還元処理を行ってもよい。このとき、炭素含有残渣を除去した後、肥大化した触媒粒子5を含む残渣を例えば水洗いなどで機械的に除去するとなおよい。
ここまで説明した上記の熱CVD工程、剥離工程及び残渣除去工程の3つの工程をこの順に一連の手順として、複数回繰り返すことにより、カーボンナノチューブ生成用基板10を複数回再利用して、カーボンナノチューブ6を複数回生成する。
さらに、場合によっては、図6に破線で示すように、肥大化した触媒粒子5を含む残渣が除去された触媒層3上に触媒金属を担持させる触媒再担持工程が付加される。上記のカーボンナノチューブ6の剥離工程や熱分解などによって、触媒層3から失われた触媒金属を補うため、再び触媒金属を担持させる。この担持の方法は、上述の製造方法において説明した触媒層3の形成の方法と同様である。再び形成された触媒層3の厚さは、熱分解による残渣除去にて除かれた厚さと等しくなることが好ましい。
実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板10の再利用方法によれば、基板1表面側にクロムなどの添加元素をはじめとする金属元素の窒化物が形成されることによって、基板1に含まれる金属元素が不活性となるため、複数回加熱したとしても、また仮に中間層2に亀裂が生じたとしても、金属元素が中間層2へ浸透、拡散することが抑制される。したがって、中間層2から基板1に含まれた金属元素が析出して触媒金属と反応することが防止され、カーボンナノチューブ生成用基板10の再利用が可能となる。
[実施例2]
以下、実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板及びその製造方法について、図7及び図8を用いて説明する。ここで、実施例1と同一の構成については、同一の名称及び符号で示して説明を省略する。なお、実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法は、実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板10の再利用方法と同一であるため、説明を省略する。
実施例1において、基板1の表面側に窒化処理により添加元素の窒化物を含む被処理層4(窒化層4A)が形成されたのに対して、図7に示すように、実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板10’では、基板1の表面側に酸化処理により添加元素の酸化物を含む被処理層4(以下、酸化層4Bという。)が形成される。すなわち、実施例2のカーボンナノチューブ生成用基板10’は、酸化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板1と、基板1表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層2と、中間層2上に形成された触媒金属が含まれる触媒層3とを備えている。また、基板1の表面側に、後述の酸化処理により少なくとも一種の酸化物を含む酸化層4Bが形成されている。
また、実施例2のカーボンナノチューブ生成用基板10’の製造方法は、実施例1では、基板1の表面側に窒素又は窒素化合物を浸透させる作業すなわち窒化処理を施すことにより窒化層4Aを形成する工程が行われたのに対して、実施例2では、基板1の表面側に酸素又は酸素化合物を浸透させる作業すなわち酸化処理を施すことにより酸化層4Bが形成されている。酸化処理には、例えば酸素を含んだ雰囲気下での加熱すなわち酸素加熱が用いられる。酸素を含んだ雰囲気を構成するガスとしては、大気又は希ガスと酸素との混合ガス(より好ましくはAr/O,He/O)が挙げられる。実施例2においては、図8に示すように、大気下での加熱が採用され、基板1であるステンレス鋼板を大気下にて所定温度で加熱装置11により加熱する。また、所定温度としては、例えば500℃〜700℃の範囲が好適である。なお、実施例1と同様、基板1に一般の合金材料を用いる場合には、所定温度としては、例えば500℃〜1000℃が好適である。
実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板10’及びその製造方法によれば、合金製の基板1の表面側に、酸化処理により酸化層4Bが形成されることによって、添加元素をはじめとする金属元素が酸化物となるため中間層2を介した金属元素の析出が抑制されて、担持された触媒金属と基板1に含まれる金属元素とが反応することによる触媒活性の低下を防止することができる。
ここで、実施例1に係る窒化層4Aを有する基板1上に中間層2を形成したものを用いて繰り返し加熱した後、その表面分析を行い、基板1に含まれる金属元素の析出が抑制されていることを確認する実験を実験例1として行った。また、比較例1として、被処理層4を有さない基板に中間層2を形成したものについて表面を分析した。また、実験例2として、酸化層4Bを有する基板1上に中間層2を形成したものについて、その表面を分析し、基板1に含まれる金属元素の析出が抑制されていることを確認した。以下、詳細を説明する。
[実験例1]
以下、実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板10を用いた実験例1について説明する。
基板1として、JIS規格番号SUS444のステンレス鋼板を用いた。このステンレス鋼の組成は、19Cr−2Mo−Ti,Nb,Zr−極低(C,N)である。このステンレス鋼板の表面に、窒素ガス雰囲気下にて700℃で20分間加熱し、窒化層4Aの形成を行った。
次に、窒化層4Aが形成されたステンレス鋼板の表面に、シリケート(ケイ酸塩)の濃度が6重量%で加水分解率が1500%である二酸化ケイ素の前躯体の溶液をスピンコーティングにて塗布して焼成することにより、中間層2を形成した。より具体的には、塗布後の厚さが約0.2μmとなるように回転速度1500rpmで20分間スピンコータ12を用いて塗布した後、大気雰囲気下にて500℃で1時間焼成を行った。このように中間層2が形成されたステンレス鋼板(以下、基板Aという。)を窒素雰囲気下にて700℃で20分間加熱する作業を5回行った。1回加熱した後と5回加熱した後とにおける基板A(中間層2)の表面の様子を主成分である鉄と添加元素であるクロムに着目して、X線光電子分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy method 以下、XPS法と略称する。)により観察した。その結果であるXPSスペクトルを図9に示す。XPSスペクトルは、横軸を結合エネルギー(単位eV)、縦軸を強度(任意単位)として示される。図9(a)には1回加熱後の基板A表面における鉄(Fe 2p3/2)に関して、図9(b)には5回加熱後の基板A表面における鉄(Fe 2p3/2)に関してそれぞれ示す。また、図9(c)には1回加熱後の基板A表面におけるクロム(Cr 2p3/2)に関して、図9(d)には5回加熱後の基板A表面におけるクロム(Cr 2p3/2)に関してそれぞれ示す。図9(a)〜図9(d)に示すように、実験例1の基板A表面においては、鉄のXPSスペクトル及びクロムのXPSスペクトルのいずれに関しても、1回加熱した後と5回加熱した後とではピークが確認されなかったため、クロム及び鉄やそれらの化合物すなわち金属元素の中間層2上への析出が抑制されたことが確認された。
[比較例1]
比較例1として、実験例1と同じJIS規格番号SUS444のステンレス鋼板の表面に窒化処理を行わず、実験例1と同じ条件でスピンコート法により中間層2を形成した。この窒化処理を行わずに中間層2が形成されたステンレス鋼板(以下、基板Pという。)を実験例1と同じ条件で5回加熱し、1回加熱した後と5回加熱した後とにおける基板P(中間層2)の表面の様子を主成分である鉄と添加元素であるクロムに着目して、XPS法にて観察した。その結果を示すXPSスペクトルを、図10(a)には1回加熱後の基板P表面における鉄(Fe 2p3/2)に関して、図10(b)には5回加熱後の基板P表面における鉄(Fe 2p3/2)に関してそれぞれ示す。また、図10(c)には1回加熱後の基板P表面におけるクロム(Cr 2p3/2)に関して、図10(d)には5回加熱後の基板P表面におけるクロム(Cr 2p3/2)に関してそれぞれ示す。比較例1の基板P表面においては、図10(a),(b)に示すように、鉄のXPSスペクトルに関して、1回加熱した後においては、ピークが確認されなかったため中間層2上への析出が抑制されたことが確認されたが、5回加熱した後においては、710eV付近に顕著なピークが現れ、鉄や鉄化合物が中間層2上へ析出したことが確認された。また、図10(c),(d)に示すように、クロムのXPSスペクトルに関して、1回加熱した後と5回加熱した後とに、それぞれ576eV付近に顕著なピークが現れ、その強度は5回加熱した後の方が1回加熱した後よりも強いことから、加熱回数が増えるごとにクロムやクロム化合物がより多く中間層2上へ析出されたことが確認された。これは、ステンレス鋼板の表面に被処理層4を形成しなかったため、基板Pへの繰り返し加熱により、金属元素、特に添加元素(クロム)の活性が抑制されなかったことによるものと考えられる。
[実験例2]
以下、実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板10を用いた実験例2について説明する。
基板1として、実験例1と同一のJIS規格番号SUS444のステンレス鋼板の表面に、大気雰囲気下にて500℃で30分間加熱し、酸化層4Bの形成を行った。さらに、実験例1と同じ条件で中間層2を形成したステンレス鋼板(以下、基板Bという。)を実験例1と同じ条件で5回加熱し、1回加熱した後と5回加熱した後とにおける基板B(中間層2)の様子を主成分である鉄と添加元素であるクロムに着目して、XPS法にて観察した。その結果を示すXPSスペクトルを、図11(a)には1回加熱後の基板B表面における鉄(Fe 2p3/2)に関して、図11(b)には5回加熱後の基板B表面における鉄(Fe 2p3/2)に関してそれぞれ示す。また、図11(c)には1回加熱後の基板B表面におけるクロム(Cr 2p3/2)に関して、図11(d)には5回加熱後の基板B表面におけるクロム(Cr 2p3/2)に関してそれぞれ示す。図11(a)〜図11(d)に示すように、実験例2の基板B表面においては、鉄のXPSスペクトル及びクロムのXPSスペクトルのいずれに関しても、1回加熱した後と5回加熱した後とではピークが確認されなかったため、クロム及び鉄やそれらの化合物すなわち金属元素の中間層2上への析出が抑制されたことが確認された。
次に、実験例3として、実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板10に複数回カーボンナノチューブ6を生成し、カーボンナノチューブ生成回数と、カーボンナノチューブ生成量及びカーボンナノチューブ長さとの関係を調べる実験を行った。比較例2として、被処理層4を有さない基板上に中間層2及び触媒層3を形成したものを用いて、また実験例4として、実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板10’を用いて、カーボンナノチューブ生成回数と、カーボンナノチューブ生成量及びカーボンナノチューブ長さとの関係をそれぞれ調べた。
[実験例3]
以下、実施例1に係るカーボンナノチューブ生成用基板10を用いた実験例3について説明する。
実験例1と同じJIS規格番号SUS444のステンレス鋼板の表面に、実験例1と同じ条件で窒化処理を行い、窒化層4Aが形成されたステンレス鋼板の表面に、実験例1と同じ条件で中間層2を形成した。
さらに、中間層2の上に、鉄を電子ビーム蒸着法により蒸着して厚さ3nmの触媒層3を形成した。その後、形成された触媒層3を、水素(H)を5%含有する雰囲気下で715℃に10分間加熱し、直径5nm〜50nmの触媒粒子5に微粒化した。
このようにして形成されたカーボンナノチューブ生成用基板10(以下、基板Cという。)に、繰り返しカーボンナノチューブ6を生成して剥離する実験を行った。カーボンナノチューブ6は、毎回、アセチレンを19%含有する雰囲気下にて715℃で10分間生成された。1回の生成を終えると、生成されたカーボンナノチューブ6は基板1から剥離され、その後、基板Cの表面にある炭素含有残渣が、大気雰囲気下にて700℃で30分間の加熱処理(熱分解)により除去された。この残渣処理が行われた後、肥大化した触媒粒子5を含む残渣を水洗いして取り除いた。さらに、カーボンナノチューブ6の剥離によりおよそ2nmの厚さの触媒層3が除去されたため、電子ビーム蒸着法により膜厚2nmの鉄の触媒層3を形成して補った。
基板Cのカーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ長さ(単位μm)との関係、またカーボンナノチューブ生成回数と単位面積あたりのカーボンナノチューブの重さすなわちカーボンナノチューブ生成量(単位mg/cm)との関係について調べた。その結果を図12及び図13に折れ線グラフa及び折れ線グラフbで示す。図12及び図13に示すように、基板Cにおいては、カーボンナノチューブ生成回数に依存することなく、生成されたカーボンナノチューブ長さ及びカーボンナノチューブ生成量は一定であった。これは、ステンレス鋼板に窒化層4Aを形成することにより、ステンレス鋼板から添加元素(クロム)が析出することを抑制したことによるものと考えられる。すなわち、基板Cはカーボンナノチューブ6の繰り返し利用が十分に可能なカーボンナノチューブ生成用基板10であると言える。
[比較例2]
比較例2として、実験例1と同じJIS規格番号SUS444のステンレス鋼板の表面に窒化処理及び酸化処理を行うことなく、実験例1と同じ条件で中間層2を形成し、実験例3と同じ条件で触媒層3を形成した。この比較例2のカーボンナノチューブ生成用基板(以下、基板Qという。)に、実験例3と同じ条件で、繰り返しカーボンナノチューブ6を生成して剥離する実験を行った。基板Qのカーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ長さ(単位μm)との関係、またカーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ生成量(単位mg/cm)との関係について調べた。その結果を図12及び図13に折れ線グラフc及び折れ線グラフdで示す。図12及び図13に示すように、基板Qはカーボンナノチューブ生成回数が増えるにつれてカーボンナノチューブ長さ及びカーボンナノチューブ生成量ともに低下していることがわかった。これは、ステンレス鋼板の表面に被処理層4を形成しなかったため、カーボンナノチューブ6の生成ごとに行われる基板Qへの繰り返し加熱により、ステンレス鋼板から添加元素(クロム)が析出して、触媒金属の触媒活性を低下させたことによるものと考えられる。
[実験例4]
以下、実施例2に係るカーボンナノチューブ生成用基板10’を用いた実験例4について説明する。
実験例1と同じJIS規格番号SUS444のステンレス鋼板の表面に、実験例2と同じ条件で酸化処理を行い、酸化層4Aが形成されたステンレス鋼板の表面に、実験例2と同じ条件で中間層2を形成し、実験例3と同じ条件で触媒層3を形成した。このようにして形成されたカーボンナノチューブ生成用基板10’(以下、基板Dという)に、実験例3と同じ条件で、繰り返しカーボンナノチューブ6を生成して剥離する実験を行った。基板Dのカーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ長さ(単位μm)との関係、またカーボンナノチューブ生成回数とカーボンナノチューブ生成量(単位mg/cm)との関係について調べた。その結果を図14及び図15に折れ線グラフe及び折れ線グラフfで示す。なお、併せて上述の比較例2の基板Qの結果も折れ線グラフc及び折れ線グラフdで示す。
図14及び図15に示すように、基板Dにおいては、カーボンナノチューブ生成回数に依存することなく、生成されたカーボンナノチューブ長さ及びカーボンナノチューブ生成量は一定であった。これは、ステンレス鋼板に酸化層4Bを形成することにより、ステンレス鋼板から添加元素(クロム)が析出することを抑制したことによるものと考えられる。すなわち、基板Dはカーボンナノチューブ6の繰り返し利用が十分に可能なカーボンナノチューブ生成用基板10’であると言える。
[変形例]
上記実施例1及び2における触媒再担持工程において、触媒金属の微粒化は、カーボンナノチューブ6の剥離により触媒層3の触媒微粒子5の数が減少した場合には行うなど、必要に応じて行えばよく必ずしも必要なものではない。
また、上記実施例1及び2における触媒再担持工程を行わない場合には、例えば、カーボンナノチューブ生成用基板10の製造の際、中間層2の上に触媒金属を含む触媒層3を積層する工程において、基板1表面上に配置される複数の触媒粒子5間に、カーボンナノチューブ6の生成に寄与せず且つ触媒粒子5間に触媒粒子5の保護を目的とするバリア粒子を配置させるとよい。バリア粒子には、例えば酸化マグネシウム(MgO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)が用いられる。これにより、触媒粒子5が凝集しにくくなるためカーボンナノチューブ6を剥離する際に触媒粒子5が基板1から剥離されることを抑制することができるため、触媒粒子5を再利用することが可能になる。
1 基板
2 中間層
3 触媒層
4 被処理層
4A 窒化層
4B 酸化層
5 触媒粒子
6 カーボンナノチューブ
10 カーボンナノチューブ生成用基板
11 加熱装置
12 スピンコータ
13 ロータ
14 シリンジ
15 電子ビーム蒸着装置
16 基板ホルダ
17 るつぼ
18 電子銃
R 電子ビーム

Claims (9)

  1. 窒化物又は酸化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板と、前記基板表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層と、前記中間層上に形成された触媒金属が含まれる触媒層とを備えるカーボンナノチューブ生成用基板であって、
    前記基板の表面側に窒素、窒素化合物、酸素及び酸素化合物のうちいずれか一つを浸透させる処理により形成された少なくとも一種の窒化物又は酸化物を含む被処理層を備えることを特徴とするカーボンナノチューブ生成用基板。
  2. 基板は添加元素としてクロムを含有する鋼板であることを特徴とする請求項1に記載のカーボンナノチューブ生成用基板。
  3. 基板の表面から20μm以内に被処理層が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のカーボンナノチューブ生成用基板。
  4. 窒化物又は酸化物を形成し得る添加元素を少なくとも一種含有する合金製の基板と、前記基板表面上に形成されて触媒金属の触媒活性の低下を防ぐ中間層と、前記中間層上に形成された触媒金属が含まれる触媒層とを備えるカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法であって、
    前記基板の表面側に窒素、窒素化合物、酸素及び酸素化合物のうちいずれか一つを浸透させる処理により少なくとも一種の酸化物又は窒化物を含む被処理層を形成する工程と、
    前記被処理層が形成された前記基板の表面に、触媒金属の触媒活性を損なわない材料を積層して中間層を形成する工程と、
    前記中間層の上に触媒金属が含まれる触媒層を形成する工程とを備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法。
  5. 基板の表面側に窒素又は窒素化合物を浸透させる処理には、窒素加熱、ガス窒化法、ガス軟窒化法、塩浴窒化法、塩浴軟窒化法、プラズマ窒化法及びプラズマ軟窒化法のいずれか一つが用いられることを特徴とする請求項4に記載のカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法。
  6. 基板の表面側に酸素又は酸素化合物を浸透させる処理には、酸素加熱が用いられることを特徴とする請求項4に記載のカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法。
  7. 基板には、添加元素としてクロムを含有する鋼板が用られることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ生成用基板の製造方法。
  8. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のカーボンナノチューブ生成用基板を用いて、
    熱化学気相成長法により、触媒層の触媒金属と炭素含有ガスとを反応させてカーボンナノチューブを生成させる工程と、
    前記カーボンナノチューブが生成された前記触媒層の表面から前記カーボンナノチューブを剥離する工程と、
    前記カーボンナノチューブが剥離された前記触媒層の表面の炭素含有残渣を熱分解により除去する工程とを一連の手順として複数回繰り返すことを特徴とするカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法。
  9. カーボンナノチューブが剥離された触媒層の表面の炭素含有残渣を熱分解により除去する工程の後に、前記残渣が除去された触媒層表面に触媒金属を担持させる工程を備えることを特徴とする請求項8に記載のカーボンナノチューブ生成用基板の再利用方法。
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