JP2010279393A - モナチンを含む飲料組成物及びその製造方法。 - Google Patents

モナチンを含む飲料組成物及びその製造方法。 Download PDF

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Abstract

【課題】モナチンを含む新規の飲料組成物及びかかる組成物の製造方法、並びに特定のモナチン立体異性体、モナチン立体異性体の特定の配合物及び/又はインビボ又はインビトロでの生化学的経路を介して産生されるモナチンを含む飲料組成物を提供すること。
【解決手段】本発明は、モナチンを含む新規の飲料組成物及びかかる組成物の製造方法に関する。本発明は同様に、特定のモナチン立体異性体、モナチン立体異性体の特定の配合物及び/又はインビボ(例えば細胞内部)又はインビトロでの生化学的経路を介して産生されるモナチンを含む飲料組成物にも関する。
【選択図】図1

Description

発明の分野
本発明は、モナチンを含む新規の飲料組成物及びかかる組成物の製造方法に関する。本発明は同様に、特定のモナチン立体異性体、モナチン立体異性体の特定の配合物及び/又はインビボ(例えば細胞内部)又はインビトロでの生化学的経路を介して産生されるモナチンを含む飲料組成物にも関する。
関連出願に対する相互参照
本出願は、本明細書にその開示全体が参考として内含されている2003年8月25日付けの米国仮特許出願第60/497,627号の利益を請求するものである。
背景
ノーカロリーの高強度甘味料の使用は、小児肥満症、インシュリン非依存性糖尿病及び関連疾患に関して高まっている健康上の懸念に起因して増加しつつある。かくしてグラニュー糖(スクロース)といったような従来の甘味料の場合よりも著しく高い甘味度をもつ甘味料に対する需要が存在している。数多くの高強度甘味料は、不快な臭気及び/又は予想外かつ所望のものに満たない甘味度プロファイルを有する。これらの問題を克服しようとして、業界では、スクロースに類似した甘味度プロファイルを達成するための甘味料配合物、にがみ阻害物質、臭気マスキング技術の多大な研究が実施され続けている。
モナチン(2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸)は、南アフリカのトランスパール地方内に見られる植物Sclerochitonilicifoliusから単離された天然に発生する高強度甘味料である。モナチンは、スクロース又はその他の栄養甘味料とは異なり、同等の甘味度で炭水化物又は糖を全く含有せず、ほとんどノーカロリーである。
概要
本発明は、下記式:
Figure 2010279393
の構造式を有する化合物である、モナチン(2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−アミノグルタル酸、〔4−アミノ−2−ヒドロキシ−2−(1H−インドール−3−イルメチル)−ペンタン二酸、あるいは、代わりの番号付け系に基づいて4−ヒドロキシ−4−(3−インドリルメチル)グルタミン酸としても知られている〕)を含む飲料組成物に関する。
モナチンは、天然の高強度甘味料である。モナチンは、次の4つの立体異性体形態を有する:2R,4R(「R,R立体異性体」又は「R,Rモナチン」)、2S,4S(「S,S立体異性体」又は「S,Sモナチン」、2R,4S(「R,S立体異性体」又は「R,Sモナチン」)及び2S,4R(「S,R立体異性体」又は「S,Rモナチン」)。他に他に断らない限り、本明細書で使用される用語「モナチン」は、モナチンの4つの立体異性体全て並びにモナチン立体異性体のあらゆる組合せのあらゆる配合物(例えば、モナチンのR,R及びS,S立体異性体の配合物)を意味する。
モナチンは、優れた甘味度品質を有する。モナチンは、その他の既知の高強度甘味料と同等に又はそれ以上に清浄である。モナチンの用量応答性曲線は線形的であり、よって、サッカリンといったようなその他の高強度甘味料に比べてよりスクロースに類似している。モナチンはその優れた甘味度プロファイルのため、食卓用甘味料,食品、飲料及びその他の製品の中で使用するのに望ましいものとなっている。
R,R,及びS,S立体異性体を含めたモナチンの異なる立体異性体は、甘味料産業において別々の成分として又は配合物の形で潜在性を有している。モナチンは単独で又は炭水化物と混合された場合に望ましい味覚プロファイルを有する。モナチン及びモナチンと炭水化物といったその他の甘味料の配合物は、その他の高強度甘味料と比べて優れた味覚特性及び/又は物理的品質を有するものと考えられている。例えば、モナチンは、アスパルターム(「APM」としても知られている)よりも安定しており、サッカリンよりも清廉な味をもち、1つの立体異性体(R,Rモナチン)はスクラロースよりもさらに甘い。同様に、モナチン甘味料には、サッカリンに付随するにがい後味もその他の一部の強力な甘味料の金属的な、すっぱい、渋い又はのど焼けするような後味も無い。さらに、モナチン甘味料は、ステビオシド及びグリシルリジンなどの或る種の天然甘味料に付随する甘草の後味を示さない。
さらに、アスパルターム甘味料とは異なり、モナチン甘味料は、フェニールケトン尿症患者に対するフェニルアラニン警告も必要としない。同様にして、モナチンは、発酵可能な炭水化物を含有していないことから、う蝕原性ではない(すなわち虫歯を促進しない)と予想されている。同様に、モナチンは、pH降下試験において測定されるように、唾液と混合した場合に5.7のpH(これは歯にとって有害であり得る)より低く降下させることがないと予想されている。その強力な甘味度のため、特にR,R立体異性体は、その他の高強度甘味料に比べ経済的に競合力があるはずである。
1つの態様において、本発明は、R,R、S,S、R,S又はS,Rモナチン又は異なる立体異性体の配合物といったような、モナチン又はその塩を含む飲料組成物を提供する。本明細書で使用される「飲料組成物」というのは、そのままで可飲である(すなわち希釈を必要としない、又は「ready−to−drink」(そのまま飲める))組成物又は、液体で希釈又は混合させて可飲飲料を形成できる濃縮物を意味する。例えば、飲料組成物は、例えば水又は牛乳と混合して可飲飲料を形成できる乾燥飲料ミックス(例えばココア飲料ミックスフルーツ飲料ミックス、麦芽入り飲料又はレモネードミックス)であり得る。もう1つの例としては、飲料組成物は、例えば炭酸水で希釈させて炭酸ソフトドリンクを形成できる飲料シロップであり得る。もう1つの例としては、飲料シロップ又はミックスを水/氷及び単数又は複数のその他の成分(例えばテキーラ)で希釈させてアルコール飲物(例えばマルガリータ)を形成することができる。本明細書で記述するように、モナチンは、顕著な味の差異が無くその他の一般的なバルク甘味料の代用となることができる。モナチンを含有する炭酸飲料は、アスパルタームで甘味づけされたコーラタイプの炭酸ソフトドリンクに比べ改善された味プロファイルを有する。モナチンは、酸性ソフトドリンク条件の下でアスパルタームよりも安定しており、モナチンがより長い貯蔵寿命を有することが予想されている。本明細書で使用される用語「炭酸」は、その飲料が溶解又は分散した二酸化炭酸を含有することを意味している。
一部の実施形態においては、飲料組成物は、モナチンと甘味料(例えばスクロース又は高フルクトースコーンシロップ)の配合物を内含している。その他の実施形態では、モナチンを含む飲料組成物は、香味料,カフェイン及び/又はバルク甘味料を内含する。バルク甘味料は例えば、糖甘味料,無糖甘味料及び低糖質(すなわちグルコースよりも低いグリセミックインデックスをもつ炭水化物)であり得る。その他の実施形態においては、モナチン含有飲料組成物には、高強度甘味料及び/又は低糖質が含まれる。その他の実施形態においては、モナチン含有飲料組成物は甘味度増強剤を内含する。
一部の実施形態においては、飲料組成物は、基本的にS,S又はR,Rモナチンから成るモナチンを含む。その他の実施形態では、組成物は、主としてS,S又はR,Rモナチンを含有する。「主として」というのは、組成物中に存在するモナチン立体異性体のうち、モナチンが90%超の特定の立体異性体を含有することを意味する。一部の実施形態においては、組成物は実質的にS,S又はR,Rモナチンを含まない。「実質的に含まない」というのは、組成物中に存在するモナチン立体異性体のうち、該組成物が特定の立体異性体を2%未満しか含有していないことを意味する。付加的に又は代替的に、生合成経路で産生されるモナチンを記述するために使用される場合、「実質的に含まない」という用語は、異なる特異的立体異性体(例えばR,Rモナチン)を産生するべくキラル特異的酵素(例えばD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ又はD−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ)及び/又はキラル特異的基質(例えばR−ステレオ配置内に1つの炭素を有するもの)が関与する生合成経路で副作物として産生される立体異性体(例えばS,Sモナチン)の量を包含する。
本発明のもう1つの態様においては、飲料組成物は、生合成経路で産生される立体異性体的に過剰のモナチン混合物を内含する。「立体異性体的に過剰のモナチン混合物」というのは、混合物が2つ以上の立体異性体を含有し、混合物中のモナチン立体異性体の少なくとも60%がR,R,S,S、S,R又はR,Sといったような特定の立体異性体であることを意味している。その他の実施形態においては、混合物は、65%,70%,75%,80%,90%,95%,98%又は99%超の特定のモナチン立体異性体を含有する。もう1つの実施形態においては、飲料組成物は、立体異性体的に過剰のR,R又はS,Sモナチンを含む。「立体異性体的に過剰の」R,Rモナチンというのは、モナチンが少なくとも60%のR,Rモナチンを含むことを意味する。「立体異性体的に過剰の」S,Sモナチンというのは、モナチンが少なくとも60%のS,Sモナチンを含むことを意味する。その他の実施形態においては、「立体異性体的に過剰の」モナチンには、65%,70%,75%,80%,85%,90%,95%,98%又は99%超のR,R又はS,Sモナチンが含まれる。
モナチンは、植物Sclerochiton ilicifoliusの根の樹皮から単離可能である。例えば、樹皮を研磨し水で抽出し、ろ過し、凍結乾燥させて暗褐色の非結晶質の塊を得ることができる。この塊を水中で再溶解させ、例えばHCl形態の「Biorod」AG50W×8(Bio-Rad Laboratories, Richmond, CA)といった酸形態のカチオン樹脂と反応させることができる。樹脂を水で洗浄し、樹脂に結合した化合物をアンモニア水溶液を用いて溶出することができる。溶出物を凍結乾燥して水性ゲルろ過に付すことができる。例えば、米国特許第5,128,164号を参照のこと。あるいは、モナチンを化学的に合成することができる。例えば、Holzapfel 及び Olivier, Synth, Commun, 23:2511(1993);Holzapfel et al., Synth. Commun. 38;7025(1994);米国特許第5,128,164;米国特許第4,975,298号及び米国特許第5,994,559号の方法を参照のこと。同じく組換えによりモナチンを産生させることもできる。
本発明の1つの態様においては、モナチンを含む飲料組成物の製造方法が提供されている。この方法は、インビボ又はインビトロのいずれかでモナチンを生合成により産生させる段階を内含する。「生合成経路」は少なくとも1つの生物学的変換段階を含んで成る。一部の実施形態においては、生合成経路は、多段階プロセスであり、少なくとも1つの段階は生物学的変換段階である。その他の実施形態においては、生合成経路は、生物学的及び化学的変換段階が両方共関与する多段階プロセスである。一部の実施形態では、産生されたモナチンは、立体異性体的に過剰のモナチン混合物である。
本発明のもう1つの態様では、生合成により生成されたモナチンを含む飲料組成物が提供されている。モナチンを化学的に合成することも可能であるが、化学的に合成されたモナチンは望ましくない汚染物質を内含する可能性があることから、生合成で産生されたモナチンは化学的に合成したモナチンに比べ飲料の利用分野では利点を提供し得る。
本発明のもう1つの態様においては、グルコース、トリプトファン、インドール−3−乳酸並びにインドール−3−ピルビン酸及び2−ヒドロキシ2−(インドール−3−イルメチル)−4−ケトグルタル酸(「モナチン前駆物質」、「MP」又はモナチンのα−ケト体としても知られている)から選択される基質からモナチンを製造するための複数の生合成経路が存在する。モナチン又はその中間体を産生又は製造するための生化学的経路の例が図1〜3及び11〜13で開示されており、これらの図では、ボックス内に、可能な中間産物及び最終産物を示す。例えば、グルコースからトリプトファン、トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸、インドール−3−ピルビン酸からMP、MPからモナチン、又はインドール−3−乳酸(インドール−ラクタート)からインドール−3−ピルビン酸といった、1つの産物からもう1つの産物への変換が、これらの経路で発生する。
生合成経路でのこれらの変換は、化学的及び/又は生物学的変換を介して促進することができる。「変換」という用語は、第1の中間体を第2の中間体に変更するための1つの反応における化学的手段又は少なくとも1つのポリペプチドのいずれかの使用を意味する。「化学的変換」という用語は、ポリペプチドによって活発に促進されない反応を意味する。「生物学的変換」という用語は、単数又は複数のポリペプチドによって活発に促進される反応を意味する。生物学的変換が使用される場合、ポリペプチド及び/又は細胞を、重合体支持体上への化学的結合などによって、支持体上に固定化することができる。変換は、例えばバッチ又は連続的反応装置などのような当業者にとって既知のいずれかの反応装置を用いて達成可能である。
生物学的変換を実施するために使用可能なポリペプチド及びそのコーディング配列の例は、図1〜3及び11〜13の中で示されている。ポリペプチドの基質特異性及び/又は活性を修飾できるようにする単数又は複数の点突然変異を有するポリペプチドを用いてモナチンを製造することができる。かかるポリペプチドを発現する単離した又は組換え型細胞を用いてモナチンを産生させることができる。これらの細胞は、植物、動物、細菌、酵母、藻類、古真菌又は真菌細胞といったあらゆる細胞であり得る。
例えば、モナチン産生細胞は、以下の活性のうちの単数又は複数のもの(例えば2つ以上、又は3つ以上)を内含し得る:トリプトファンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.27)、チロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.5)、トリプトファンデヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.19)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.2、1.4.1.3、1.4.1.4)、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.28)、多重基質アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.−)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.1)、L−アミノ酸オキシダーゼ(EC1.4.3.2)、トリプトファンオキシダーゼ(EC番号無し、Hadar et al., J Bacteriol 125:1096−1104、1976及びFuruya et al., Biosci Biotechnol Biochem 64:1486−93、2000)、D−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ(Kohiba 及びMito, ビタミンB6及びカルボニル触媒反応に関する第8回国際シンポジウム議事録、日本、大阪、1990)、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.4.99.1)、D−アミノ酸オキシダーゼ(EC1.4.3.3)、D−アラニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.21)、シンターゼ/リアーゼ(EC4.1.3.−)、例えば4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.16)又は4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.17)など、及び/又はシンターゼ/リアーゼ(4.1.2.−)。
もう1つの例においては、細胞は以下の活性のうちの単数又は複数のもの(例えば2つ以上、又は3つ以上)を内含し得る:インドール乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.110)、R−4−ヒドロキシフェニル乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.222)、3−(4)−ヒドロキシフェニルピルビン酸レダクターゼ(EC1.1.1.237)、乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.27、1.1.1.28、1.1.2.3)、(3−イミダゾール−5−イル)乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.lll)、乳酸オキシダーゼ(EC1.1.3.−)、シンターゼ/リアーゼ(4.1.3.−)例えば4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.16)又は4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.17)など、シンターゼ/リアーゼ(4.1.2.−)、トリプトファンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.27)、チロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.5)、トリプトファンデヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.19)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.2、1.4.1.3、1.4.1.4)、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.28)、多重基質アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.−)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.1)、D−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.4.99.1)、及び/又はD−アラニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.21)。
さらに、細胞は以下の活性のうちの単数又は複数のもの(例えば2つ以上又は3つ以上)を内含し得る;トリプトファンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.27)、チロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.5)、トリプトファンデヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.19)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.2、1.4.1.3、1.4.1.4)、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(EC2.6.1.28)、多重基質アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.−)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.1)、L−アミノ酸オキシダーゼ(EC1.4.3.2)、トリプトファンオキシダーゼ、D−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.4.99.1)、D−アミノ酸オキシダーゼ(EC1.4.3.3)、D−アラニンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.21)、インドール乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.110)、R−4−ヒドロキシフェニル乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.222)、3−(4)−ヒドロキシフェニルピルビン酸レダクターゼ(EC1.1.1.237)、乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.27、1.1.1.28、1.1.2.3)、(3−イミダゾール−5−イル)乳酸デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.11.1)、乳酸オキシダーゼ(EC1.1.3.−)、シンターゼ/リアーゼ(EC4.1.3.−)、例えば4−ヒドロキシ−2−オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.16)又は4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタル酸アルドラーゼ(EC4.1.3.17)、及び/又はシンターゼ/リアーゼ(4.1.2.−)。
さらなる例として、細胞は以下のアルドラーゼ活性のうちの単数又は複数のものを内含し得る:KHGアルドラーゼ、ProAアルドラーゼ、KDPGアルドラーゼ及び/又は関連ポリペプチド(KDPH)、トランスカルボキシベンザルピルビン酸ヒドラターゼ−アルドラーゼ、4−(2−カルボキシフェニル)−2−オキソブト−3−エノ酸アルドラーゼ、トランス−O−ヒドロキシベンジリデンピルビン酸ヒドラターゼ−アルドラーゼ、3−ヒドロキシアスパラギン酸アルドラーゼ、ベンゾインアルドラーゼ、ジヒドロネオプテリンアルドラーゼ、L−スレオ−3−フェニルセリンベンズアルデヒド−/リアーゼ(フェニルセリンアルドラーゼ)、4−ヒドロキシ−2−オキソ吉草酸アルドラーゼ、1.2−ジヒドロキシベンジルピルビン酸アルドラーゼ、及び/又は2−ヒドロキシベンザルピルビン酸アルドラーゼ。
モナチンは、トリプトファン及び/又はインドール−3−乳酸をインドール−3−ピルビン酸に変換する第1のポリペプチドとトリプトファン及び/又はインドール−3−乳酸を接触させる段階(インドール−3−ピルビン酸に変換される基質としてトリプトファン又はインドール−3−乳酸のD又はL形態のいずれかを使用することができる。当業者であればこの段階のために選択されるポリペプチドが理想的に適切な特異性を示すことがわかるだろう);インドール−3−ピルビン酸を2−ヒドロキシ2−(インドール−3−イルメチル)−4−ケトグルタル酸(MP)に変換させる第2のポリペプチドと、結果として得たインドール−3−ピルビン酸を接触させる段階;及びMPをモナチンに変換させる第3のポリペプチドとMPを接触させる段階を内含する方法により産生可能である。
単数又は複数の生物学的変換を介して生合成経路内でモナチンを産生させることによって、いくつかの利点が得られる。例えば、生合成経路内で特異的ポリペプチド及び/又は或る種の基質を用いることにより、特異的立体異性体が富化された混合物を産生させかつ/又は単数又は複数の立体異性体を実質的に含まないモナチン混合物を産生させることができる。
モナチン組成物は、モナチン合成のために用いられた方法の結果として不純物を内含し得る。純粋に合成的手段(すなわち生物学的変換が1つも関与しない手段)により産生されたモナチン組成物は、生合成経路を介して産生されたモナチン組成物とは異なる不純物を含有することになる。例えば、使用される原料に基づいて、純粋に合成的手段によって産生されたモナチン組成物は、人間の消費には不適切な石油化学、毒性及び/又はその他の危険な汚染物質を内含し得る。かかる汚染物質の例としては、LDA,水素Pd/C,ジアゾメタン、KCN、グリニャール試薬及びNa/Hgといったような危険な化学物質がある。一方、生合成経路を介して産生されたモナチン組成物は、食用又は飲用不純物を含有し得るが、石油化学、毒性及び/又はその他の危険な材料を含有することはない。
単数又は複数の生物学的変換を介して生合化経路でモナチンを産生するための方法は、より少ない毒性の又は危険な汚染物質しか産生せず、かつ/又は、純粋に合成的手段に比べて高い比率の特定の立体異性体を提供できると予想されている。例えば、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ、D−アラニン(アスパラギン酸)アミノトランスフェラーゼ、D−芳香族アミノトランスフェラーゼ又はD−メチオニンアミノトランスフェラーゼを用いてモナチンを製造する場合、少なくとも60%のR,Rモナチン及び40%未満のS,S,S,R及び/又はR,Sモナチンを得ることができると予想される。同様に、例えば、上述のD−酵素並びにR−立体形態の炭素をもつ少なくとも1つの基質(例えばモナチン前駆物質)を用いてモナチンを製造する場合、少なくとも95%のR,Rモナチン及び5%未満のS,S,S,R及び/又はR,Sモナチンを得ることができるということも予想されている。これとは対照的に、純粋に合成的手段によってモナチンを製造する場合、約25%〜50%の所望の立体異性体が得られるということも予想されている。
1つの実施形態においては、例えば単数又は複数の生物学的変換が関与する生合成経路を介してモナチンを産生させるための方法は、いかなる石油化学、毒性又は危険汚染物質も産生しない。「石油化学、毒性又は危険汚染物質」という語は、純粋に合成的手段を介してモナチンを産生させる場合に作り出されるか又は原料として提供される汚染物質を含む、石油化学、毒性、危険及び/又はその他の形で人間の消費に適していないあらゆる材料を意味する。もう1つの実施形態においては、例えば単数又は複数の生物学的変換が関与する生合成経路を介してモナチンを産生させるための方法は、食用又は飲用材料しか産生させない。「食用又は飲用材料」というのは、人間が食べる又は飲むのに適した又はその他の形で人間の消費にとって安全な単数又は複数の化合物又は材料を意味する。食用又は飲用材料の例としては、モナチン、トリプトファン、ピルビン酸塩、グルタミン酸塩並びに体内に天然に存在するその他の化合物又は材料が含まれる。
1つの実施形態においては、モナチン又はその塩を含む飲料組成物は、匹敵する甘味度でモナチン又はその塩の代りにスクロース又は高フルクトースコーンシロップを含む同量の飲料組成物に比べて低いカロリー及び炭水化物を含有している。用語「(〜に)匹敵する甘味度(a sweetness comparable又はcomparable sweetness)」は、熟練した官能評価人が平均して、第1の組成物内で提示された甘味度が第2の組成物の提示する甘味度の80%〜120%の範囲内にあることを判定することになる、ということを意味している。
その他の実施形態においては、モナチン又はその塩を含む飲料組成物は、シトラスフレーバを含み、ここでモナチン又はその塩は該シトラスフレーバにより提供される風味を増強する量で存在している。もう1つの実施形態においては、飲料組成物はシトラスフレーバ及び炭水化物をさらに含み、モナチン又はその塩及び炭水化物は、シトラスフレーバにより提供される風味を増強する量で存在している。炭水化物は、エリスリトール、マルトデキストリン、スクロース及びそれらの組合せの中から選択され得るがこれらに制限的されるわけではない。
1つの実施形態においては、炭酸飲料がその約15重量%〜約25重量%の範囲内の量でシロップ組成物を含み、該シロップ組成物はモナチン又はその塩を含んでいる。
もう1つの実施形態においては、飲料組成物は約3〜約10000ppmのモナチン又はその塩を含む。その他の実施形態においては、飲料組成物は約3ppmから約30ppm未満までのモナチン、又は2500ppmを超える量から約10000ppmまでのモナチンを含む。もう1つの実施形態においては、飲料組成物は、シロップ又は乾燥飲料ミックスであり、ここで該組成物は約10〜約10000ppmのモナチン又はその塩を含む。例えば、該飲料組成物は1対3〜1対5.5のシロップ対飲物部分比の範囲内での飲物中への希釈に適した濃縮物であるシロップであり得る。1実施形態においては、該シロップは約600〜約10000ppmのS,Sモナチン又はその塩を含む。もう1つの実施形態においては、シロップは約18〜約300ppmのR,Rモナチン又はその塩を含む。あるいは、シロップは約0〜約10000ppmのS,Sモナチン又はその塩及び約0〜約300ppmのR,Rモナチン又はその塩を含む。
別の実施形態では、飲料組成物は約10〜約10000ppmのモナチン又はその塩を含む乾燥飲料ミックスである。1つの実施形態においては、乾燥飲料ミックスは約600〜約10000ppmのS,Sモナチン又はその塩を含む。別の実施形態では、乾燥飲料ミックスは、約10〜約450ppmのR,Rモナチン又はその塩を含む。あるいは、乾燥飲料ミックスは、約0〜約10000ppmのS,Sモナチン又はその塩及び約0〜約450ppmのR,Rモナチン又はその塩を含む。
その他の実施形態においては、飲料組成物は約3〜約10000ppmのモナチン又はその塩を含み、該組成物は、実質的にR,Rモナチン又はその塩を含まないか又は実質的にS,Sモナチン又はその塩を含まない。もう1つの実施形態においては、飲料組成物は約3〜約450ppmのR,Rモナチン又はその塩(例えば約6〜約225ppmのR,Rモナチン又はその塩)を含む、もう1つの実施形態においては、飲料組成物は約3〜約10000ppmのS,Sモナチン又はその塩(例えば約60〜約4600ppmのS,Sモナチン又はその塩)を含む。もう1つの実施形態においては、飲料組成物は、約0〜約10000ppmのS,Sモナチン又はその塩及び約0〜約450ppmのR,Rモナチン又はその塩を含む。
1実施形態においては、飲料組成物は、約3〜約2000ppmのモナチン又はその塩を含むそのまま飲める組成物である。もう1つの実施形態においては、該そのまま飲める組成物は、約5〜約50ppmのR,Rモナチン又はその塩又は約60〜約2000ppmのS,Sモナチン又はその塩を含む。
もう1つの実施形態,飲料組成物は約450以下のR,Rモナチン又はその塩を含み、実質的にS,S,S,R又はR,Sモナチン又はその塩を含まない。あるいは、飲料組成物は、約10000ppm以下のS,Sモナチン又はその塩を含み、実質的に、R,R,S,R又はR,Sモナチン又はその塩を含まない。一部の実施形態においては、飲料組成物中のモナチン又はその塩は基本的にR,Rモナチン又はその塩で構成されているか、基本的にS,Sモナチン又はその塩で構成されている。その他の実施形態においては、飲料組成物中のモナチン又はその塩は、立体異性体的に過剰のR,Rモナチン又はその塩であるか又は立体異性体的に過剰のS,Sモナチン又はその塩である。その他の実施形態においては、飲料組成物中のモナチン又はその塩は、少なくとも95%のR,Rモナチン又はその塩,又は少なくとも95%のS,Sモナチン又はその塩を含む。
1実施形態においては、飲料組成物は生合成経路で産生されるモナチン又はその塩を含む。もう1つの実施形態においては、飲料組成物は立体異性体的に過剰のモナチン混合物を含み、ここで該モナチン混合物は生合成経路を介して産生される。1実施形態においては、該生合成経路は多段階経路であり、多段階経路の少なくとも1つの段階は化学的変換である。その他の実施形態においては、生合成経路を介して産生されるモナチン混合物は大部分R,Rモナチン又はその塩又は大部分S,Sモナチン又はその塩である。
1実施形態においては、飲料組成物は生合成経路で産生されたモナチン組成物を含み、ここで該モナチン組成物は石油化学、毒性又は危険汚染物質を含有しない。もう1つの実施形態においては、飲料組成物はモナチン又はその塩を含み、ここで該モナチン又はその塩は生合成経路で産生され、組換え型細胞から単離され、該組換え型細胞は石油化学、毒性又は危険汚染物質を含有しない。
1実施形態においては、モナチン又はその塩を含む飲料組成物は非う蝕原性である。その他の実施形態においては、モナチン又はその塩を含む飲料組成物は、エリスリトール、トレハロース、チクロ、D−タガトース又はそれらの組合せを含む。
その他の実施形態においては、モナチン又はその塩を含む飲料組成物は、さらにバルク甘味料、高強度甘味料、低糖質,香味料、酸化防止剤、カフェイン、甘味度増強剤又はそれらの組合せを含んで成る。例えば、香味料はコーラ風味、シトラスフレーバ及びそれらの組合せの中から選択され得る。例えば、バルク甘味料は、コーン甘味料、スクロース、デキストロース、転化糖、マルトース、デキストリン、マルトデキストリン、フルクトース、果糖、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ固形物、果糖、ガラクトース、トレハロース、イソマルツロース、フルクト−オリゴ糖及びそれらの組合せの中から選択されて得る。例えば、高強度甘味料は、スクラロース、アスパルターム、サッカリン、アセスルファムK、アリテーム、ソーマチン、ジヒドロカルコン、ネオテーム、チクロ、ステビオシド、モグロシド、グリシリジン、フィロズルチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、シルクリン、ペンタジン及びそれらの組合せの中から選択され得る。例えば、低糖質は、D−タガトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マルチトール、加水分解水添でんぷん、イソマルト、D−プシコース、1,5無水D−フルクトース及びそれらの組合せの中から選択され得る。例えば、甘味増強剤は、クルクリン、ミラクリン、シナリン、クロロゲン酸、コーヒー酸、ストロジン、アラビノガラクタン、マルトール、ジヒドロキシ安息香酸及びそれらの組合せの中から選択され得る。
別の実施形態においては、飲料組成物は、R,R及びS,Sモナチン又はその塩の配合物であるモナチン又はその塩を含む。さらに、飲料組成物は、モナチン又はその塩と非モナチン甘味料の配合物を含んでいてもよい。非モナチン甘味料はスクロース及び高フルクトースコーンシロップの中から選択されている。
一部の実施形態においては、モナチン又はその塩を含む飲料組成物を製造する方法は、グルコース、トリプトファン、インドール−3−乳酸、インドール−3−ピルビン酸及びモナチン前駆物質の中から選択された少なくとも1つの基質からモナチン又はその塩を産生させることを含んで成る。該方法はさらに、モナチン又はその塩でない少なくとも1つのその他の成分、例えば(エリスリトール、トレハロース、チクロ、D−タガロース、マルトデキストリン又はそれらの組合せ)とモナチン又はその塩を組合せる段階をさらに含むことができる。一部の実施形態においては、該その他の成分は、増量剤、バルク甘味料,液体甘味料、低糖質、高強度甘味料、増粘剤、脂肪、油、乳化剤、酸化防止剤、甘味度増強剤、着色剤、香味料、カフェイン、酸、粉末、フロー剤、緩衝液、タンパク質源、風味増強剤、風味安定化剤及びそれらの組合せの中から選択され得る。バルク甘味料は、例えば糖甘味料、無糖甘味料、低糖質及びそれらの組合せの中から選択され得る。その他の実施形態では、飲料組成物は、約0〜約10000ppmのS,Sモナチン又はその塩及び約0〜約450ppmのR,Rモナチン又はその塩を含んでいる。
その他の実施形態では、モナチン又はその塩を含む飲料組成物を製造する方法は、生合成経路を通してモナチン又はその塩を産生させることを含んで成る。一部の実施形態では、モナチン又はその塩を含む飲料組成物の製造方法は、少なくとも1つの生物学的変換を用いて又は生物学的変換のみを用いてモナチン又はその塩を産生させる段階を含んで成る。もう1つの実施形態においては、モナチン組成物を含む飲料組成物の製造方法は、(a)組換え型細胞内において生化学経路でモナチン又はその塩を産生させる段階;(b)組換え型細胞からモナチン組成物を単離する段階を含み、ここで、モナチン組成物はモナチン又はその塩及びその他の食用又は飲用材料で構成されている。
その他の実施形態においては、モナチン組成物を含む飲料組成物の製造方法は、生合成経路でモナチン組成物を産生させる段階を含んで成り、ここで、モナチン組成物は石油化学、毒性又は危険汚染物質を含有しない。その他の実施形態においては、モナチン組成物を含む飲料組成物を含む飲料組成物の製造方法は、多段階経路で基質からモナチン組成物を産生させる段階を含み、ここで多段階経路内の単数又は複数の段階は生物学的変換であり、モナチン組成物は石油化学、毒性又は危険汚染物質を含有しない。
その他の実施形態においては、モナチン組成物を含む飲料組成物の製造方法は、生合成経路内でモナチン組成物を産生させる段階を含んで成り、ここで、モナチン組成物はモナチン又はその塩及びその他の食用又は飲用材料で構成されている。もう1つの実施形態においては、モナチン組成物を含む飲料組成物を含む飲料組成物の製造方法は、多段階経路で基質からモナチン組成物を産生させる段階を含み、ここで多段階経路内の単数又は複数の段階は生物学的変換であり、モナチン組成物はモナチン又はその塩及びその他の食用又は飲用材料で構成されている。
他に断らない限り、本明細書で使用する全ての技術的及び科学的用語は、本発明が関連する当業者が一般に理解するものと同じ意味を有する。本明細書に記述されているものと類似の又は等価の方法及び材料を本発明の実施又は試験において使用することができるものの、以下では適切な方法及び材料について記述する。本明細書で言及されている全ての刊行物、特許出願、特許及びその他の参考文献は、その全体が参考として内含されている。不一致がある場合には、定義を含め本明細書が支配することになる。さらに、材料、方法及び実施例は例示を目的としたものにすぎず、制限的意図はない。
本明細書中の教示から、当業者にとっては、本発明の特定の実施形態を上述の態様及びその他の態様のうちの1つ又はそれらの組合せに向けることができる、ということは明らかであろう。本発明のその他の特長及び利点は、以下の詳細な記述から明白になると思われる。
図1は、モナチン及びインドール−3−ピルビン酸を産生させるのに用いられる生合成経路を示す。1つの経路は、トリプトファンを介してインドール−3−ピルビン酸を産生させ、一方、もう1つの経路はインドール−3−乳酸を介してインドール−3−ピルビン酸を産生させる。その後、モナチンがMP中間体を介して産生される。 囲み内に示された化合物は、生合成経路で産生された基質及び産物である。矢印に隣接する組成物は、基質から産物への変換中に使用可能である。反応産物又は補因子である。使用される補因子又は反応物質は、生合成経路の特定の段階のために使用されるポリペプチドによって左右されることになる。補因子PLP(ピリドキサール5′−ホスファート)は、ポリペプチドとは無関係の反応を触媒でき、従ってPLPを提供するだけで基質から産物への進展を可能にすることができる。 図2は、MP中間体を利用する生合成経路のより詳細な図である。経路中の各段階のための基質は囲み内に示されている。基質間の変換を可能にするポリペプチドは、基質間の矢印に隣接して列挙されている。各ポリペプチドはその共通の名称及び酵素クラス(EC番号)により記述されている。 図3は、インドール−3−乳酸からインドール−3−ピルビン酸への変換の生合成経路のより詳細な図を示している。基質は囲み内に示され、基質間の変換を可能にするポリペプチドは、基質間の矢印に隣接して列挙されている。各々のポリペプチドは、その共通の名物及びEC番号によって記述されている。 図4は、化学的手段を介してMPを製造するための考えられる1つの反応を示している。 図5Aは、酵素によって産生されるモナチンのLC/MS同定を示すクロマトグラムである。 図5Bは、酵素によって産生されるモナチンのLC/MS同定を示すクロマトグラムである。 図6は、酵素によって合成されるモナチンのエレクトロスプレー質量スペクトルである。 図7Aは、酵素混合物の中で産生されるモナチンのLC/MS/MS娘イオン分析のクロマトグラムである。 7Bは、酵素混合物の中で産生されるモナチンのLC/MS/MS娘イオン分析のクロマトグラムである。 図8は、酵素によって産生されるモナチンの高解像度質量測定を示すクロマトグラムである。 図9Aは、(A)R−トリプトファンによって産生されたモナチンのキラル分離を示すクロマトグラムである。 図9Bは、(B)S−トリプトファンによって産生されたモナチンのキラル分離を示すクロマトグラムである。 図9Cは、(C)酵素によって産生されたモナチンのキラル分離を示すクロマトグラムである。 図10は、IPTG誘発の後の細菌細胞内で産生されたモナチンの相対量を示す棒グラフである。(−)は、基質添加の欠如(いかなるトリプトファンもピルビン酸塩も添加されていない)を表わす。 図11は、トリプトファン又はインドール−3−ピルビン酸から産生されたモナチンの収量を増大させるのに使用される経路を示す概略図である。 図12は、トリプトファン又はインドール−3−ピルビン酸から産生されたモナチンの収量を増大させるのに使用される経路を示す概略図である。 図13は、トリプトファン又はインドール−3−ピルビン酸から産生されたモナチンの収量を増大させるのに使用可能な経路を示す概略図である。 図14は、モナチンのR,R立体異性体を用いて得られる用量応答曲線を提示している。 図15は、モナチンのR,R/S,S立体異性体混合物で得られる用量応答曲線を提示している。 図16は、サッカリンで得られた用量応答曲線に対して、モナチンのR,R/S,S立体異性体混合物で得られた用量応答曲線を比較している。 図17は、合成的に産生されたモナチンの標準の逆相クロマトグラフィーを示す。 図18は、モナチン標準のキラルクロマトグラフィーを示す。
詳細な説明
モナチン産生のための生合成経路の概要
用語及び方法についての以下の説明は、当該開示をよりよく説明するため及び当該開示の実践において当業者を導くために提供されている。本明細書で使用される「〜を内含する」は「〜を含む」を意味する。さらに単数形態「a」又は「an」又は「the」は、前後関係が明確にその他の形で指示するのでないかぎり、複数の引例を内含する。「約」という用語は、あらゆる測定において発生する実験上の誤差の範囲を包含する。他に断らない限り、全ての測定数字は、たとえ「約」という語が明示的に使用されていなくても、その前に「約」という語を有するものとみなされる。「% wt/vol」又は「%w/v」という用語は、体積あたりの重量百分率を意味し、ここで100% wt/volは1g/mLである。従って、例えば1g/100mLは1%wt/volは1%wt/vol(液体」組成物中の)である。「ppm」という用語は、100万分の1を意味する。例えば、80ppmのモナチンというのは、100万グラム中の80グラム(g)のモナチンを意味する。同様にして、1ppm=0.0001%w/w又は水溶液については=1mg/L=1μm/mL=0.0001%wt/volである。
図1〜3及び11〜13に示されているように、インドール−3−ピルビン酸又はMPといったようなモナチン又はその中間体を産生させるために、数多くの生合成経路を使用することができる。各基質(例えばグルコース、インドール−3−乳酸、インドール−3−ピルビン酸及びMP)を各産物(例えばトリプトファン、インドール−3−ピルビン酸、MP及びモナチン)に変換するためには、複数の異なるポリペプチドを使用することができる。さらに、これらの反応をインビボ、インビトロで、又はインビボ反応と例えば非酵素的化学反応を内含するインビトロ反応といったインビトロ反応の組合せを通して実施することができる。従って、図1〜3及び11〜13は一例であり、所望の産物を得るのに使用可能である数多くの異なる経路を示している。
グルコースからトリプトファンへ
数多くの生体がグルコースからトリプトファンを合成できる。グルコース及び/又はトリプトファンからモナチン、MP及び/又はインドール−3−ピルビン酸を産生させるのに必要な遺伝子(単複)を含有する構成体(単複)を、このような生体にクローニングさせることができる。本明細書では、トリプトファンモナチンに変換し得ることが示されている。
その他の例では、トリプトファンを産生させるか又はトリプトファンを過剰産生させるために既知のポリペプチドを用いて生体を工学処理することができる。例えば、米国特許第4,371,614号は、野生型トリプトファンオペロンを含有するプラスミドで形質転換されたE.coli菌株について記述している。
米国特許第4,371,614号で開示されているトリプトファンの最大力価は、約230ppmである。同様に、国際公開8701130号は、トリプトファンを産生させるように遺伝子的に工学処理されたE.coli菌株について記述し、L−トリプトファンの発酵による産生の増大について論述している。当業者であれば、グルコースからトリプトファンを産生させる能力をもつ生体が同様に、グルコース又はフルクトース−6−ホスファートへと変換され得るその他の炭素及びエネルギー供給源を利用する能力をもち、類似の結果をもたらす、ということを認識することだろう。炭素及びエネルギー供給源の例には、スクロース、フルクトース、でんぷん、セルロース又はグリセロールが含まれるが、これらに制限されるわけではない。
トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸へ
トリプトファンをインドール−3−ピルビン酸に変換するために、複数のポリペプチドを使用することができる。ポリペプチド例としては、制限的な意味なく、酵素クラス(EC)2.6.1.27、1.4.1.19、1.4.99.1、2.6.1.28、1.4.3.2、1.4.3.3、2.6.1.5、2.6.1.−、2.6.1.1、及び2.6.1.21の構成員が内含される。これらのクラスには、制限的な意味なく、L−トリプトファン及び2−オキソグルタラートをインドール−3−ピルビン酸及びL−グルタマートに変換するトリプトファンアミノトランスフェラーゼ(L−フェニルアラニン−2−オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼ、トリプトファントランスアミナーゼ、5−ヒドロキシトリプトファン−ケトグルタル酸トランスアミナーゼ、ヒドロキシトリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ、L−トリプトファントランスアミナーゼ及びL−トリプトファン:2−オキソグルタル酸アミノトランスフェラーゼとも呼ばれる);D−トリプトファン及び2−オキソ酸をインドール−3−ピルビン酸及びアミノ酸へと変換するD−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ;L−トリプトファン及びNAD(P)をインドール−3−ピルビン酸及びNH3及びNAD(P)Hへと変換させるトリプトファンデヒドロゲナーゼ(NAD(P)−L−トリプトファンデヒドロゲナーゼ、L−トリプトファンデヒドロゲナーゼ、L−Trp−デヒドロゲナーゼ、TDH及びL−トリプトファン;NAD(P))オキシドレダクターゼ(脱アミノ化)とも呼ばれる);D−アミノ酸及びFADをインドール−3−ピルビン酸及びNH3及びFADH2に変換させるD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ;L−トリプトファン及びフェニルピルビン酸をインドール−3−ピルビン酸及びL−フェニルアラニンに変換させるトリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(L−トリプトファン−α−ケトイソカプロン酸アミノトランスフェラーゼ及びL−トリプトファン;フェニルピルビン酸アミノトランスフェラーゼとも呼ばれる);L−アミノ酸及びH2O及びO2を2−オキソ酸及びNH3及びH22に変換させるL−アミノ酸オキシダーゼ(オフィオ−アミノ酸オキシダーゼ及びL−アミノ−酸:酸素オキシドレダクターゼ(脱アミノ化)とも呼ばれる);D−アミノ酸及びH2O及びO2を2−オキソ酸及びNH3及びH22へと変換させるD−アミノ酸オキシダーゼ(オフィオ−アミノ酸オキシダーゼ及びD−アミノ−酸:酸素オキシドレダクターゼ(脱アミノ化)とも呼ばれる);及びL−トリプトファン及びH2O及びO2をインドール−3−ピルビン酸及びNH3及びH22へと変換させるトリプトファンオキシダーゼ、と呼ばれるポリペプチドが含まれる。これらのクラスには同様に、チロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼ、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、D−アミノ酸(又はD−アラニン)アミノトランスフェラーゼ及び、トリプトファン及び2−オキソ酸をインドール−3−ピルビン酸及びアミノ酸へと変換することができるものをいくつか含む多数のアミノトランスフェラーゼ活性を有する広範な(多重基質)アミノトランスフェラーゼが含まれる。
配列番号11及び12に示された新規のアミノトランスフェラーゼを内含するこのような活性を有するアミノトランスフェラーゼクラスの11の構成員について、以下の実施例1で記述される。従って、本開示は、それぞれ配列番号11及び12に記された配列に対する少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%さらには少なくとも99%の配列同一性をもつ単離された核酸及びアミノ酸配列を提供する。同様に本開示が包含しているのは、アミノトランスフェラーゼ活性をもつか又はアミノトランスフェラーゼ活性を保持するポリペプチドをコードする配列番号11及び12に記された配列のフラグメント及び融合である。フラグメントの例としては、配列番号11の少なくとも10、12、15、20、25、50、100、200、500又は1000の隣接ヌクレオチド又は配列番号12の少なくとも6、10、15、20、25、50、75、100、200、300又は350の隣接アミノ酸が含まれるが、これらに制限的されるわけではない。開示された配列(及びその変異体、フラグメント及び融合)は、1つのベクターの一部分でよい。宿主細胞を形質転換して、トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸を産生できかつ一部の例ではさらにMP及び/又はモナチンを産生できる組換え型細胞を産生するのにこのベクターを使用することができる。
L−アミノ酸オキシダーゼ(1,4,3,2)は既知であり、Vipera lebetine(sp P81375)、Ophiophagus hannah(sp P81383)、Agkistrodon rhodostoma (spP81382)、Crotalus atrox(sp P56742)、Burkholderia cepacia、Arabidopsis thaliana、Caulobacter cresentus、Chlamydomonas reinhardtii、Mus musculus、Pseudomonas syringae、及びRhodococcus strといったような複数の異なる供給源から配列を単離することができる。さらに、文献中ではトリプトファンオキシダーゼが記述されており、これを例えばCoprinus sp. SF−1、根こぶ病をもつ白菜、Arabidopsis thaliana、 及び哺乳類肝臓から単離することができる。トリプトファンをインドール−3−ピルビン酸に変換できるL−アミノ酸オキシダーゼクラスの1構成員は、以下の実施例3で、分子クローニングのための代替的供給源と共に論述される。数多くのD−アミノ酸オキシダーゼ遺伝子は、分子クローニングのためデータベースの形で利用可能である。
トリプトファンデヒドロゲナーゼは既知であり、例えばホウレンソウ、Pisum sativum、 Prosopis juliflora、エンドウ豆、メスキート、小麦、トウモロコシ、トマト、タバコ、Chromobacterium violaceum、及びLactobacilliから単離可能である。数多くのD−アミノ酸デヒドロゲナーゼ遺伝子配列が知られている。
図11−13に示されているように、トリプトファンをインドール−3−ピルビン酸に変換させるためにトリプトファンオキシダーゼといったようなアミノ酸オキシダーゼが使用される場合、過酸化水素の存在を削減するかさらには削除するためにカタラーゼを添加することができる。
インドール−3−ラクタートからインドール−3−ピルビン酸へ
インドール−3−ラクタートをインドール−3−ピルビン酸に変換させる反応は、ポリペプチドの1.1.1.110、1.1.1.27、1.1.1.28、1.1.2.3、1.1.1.222、1.1.1.237、1.1.3.−、又は1.1.1.111クラスの構成員といったような、さまざまなポリペプチドによる触媒作用を受ける。ポリペプチドの1.1.1.110クラスには、酢酸インドールデヒドロゲナーゼ(インドール酢酸:NAD+オキシドレダクターゼとも呼ばれる)が内含される。1.1.1.27、1.1.1.28及び1.1.2.3クラスには、ラクタートデヒドロゲナーゼ(lactate dehydrogenases)(乳酸デヒドロゲナーゼ(lactic acid dehydrogenases)、ラクタート:NAD+オキシドレダクターゼとも呼ばれる)が内含される。1.1.1.222クラスには、(R)−4−ヒドロキシフェニル乳酸デヒドロゲナーゼ(D−芳香族乳酸デヒドロゲナーゼ、R−芳香族乳酸デヒドロゲナーゼ及びR−3−(4−ヒドロキシフェニル)ラクタート:NAD(P)+2−オキシドレダクターゼとも呼ばれる)が含まれ、1.1.1.237クラスには、3−(4−ヒドロキシフェニルピルビン酸)レダクターゼ(ヒドロキシフェニルピルビン酸レダクターゼ及び4−ヒドロキシフェニルラクタート:NAD+オキシドレダクターゼとも呼ばれる)が含まれる。1.1.3−クラスには、乳酸オキシダーゼが含まれ、1.1.1.111クラスには、(3−イミダゾール−5−イル)乳酸デヒドロゲナーゼ((S)−3−(イミダゾール−5−イル)ラクタート:NAD(P)+オキシドレダクターゼとも呼ばれる)が含まれる。これらのクラスの中のポリペプチドのうちの複数のものがインドール−3−乳酸からのインドール−3−ピルビン酸の産生を可能にする確率は高い。この変換の例は、実施例2で提供されている。
インドール−3−乳酸をインドール−3−ピルビン酸に変換するのに化学反応も使用可能である。かかる化学反応には、例えばB2触媒(China Chemical Reporter 第13巻、第28号、p18(1)、2002)、希過マンガン酸塩及び過塩素酸塩又は金属触媒の存在下の過酸化水素を用いた空気酸化といった複数の方法を用いて達成可能な酸化段階が内含される。
インドール−3−ピルビン酸から2−ヒドロキシ2−(インドール−3イルメチル)−4−ケトグルタル酸(MP)
インドール−3−ピルビン酸をMPに変換するために複数の既知のポリペプチドを使用することができる。ポリペプチドクラスの例としては、4.1.3.−、4.1.3.16、4.1.3.17及び4.1.2.−が含まれる。これらのクラスには、炭素−炭素シンターゼ/リアーゼ、例えば2つのカルボン酸基質の縮合の触媒として作用するアルドラーゼが含まれる。ポリペプチドクラスEC4.1.3.−は、求電子物質として(インドール−3−ピルビン酸といったような)オキソ酸基質を利用する炭素−炭素結合を形成するシンターゼ/リアーゼであり、一方EC4.1.2.−は求電子物質として(ベンズアルデヒドといったような)アルデヒド基質を利用する炭素−炭素結合を形成するシンターゼ/リアーゼである。
例えば、欧州特許第1045−029号で記述されているポリペプチド(EC4.1.3.16、4−ヒドロキシ−2−オキソグルタラートアルドラーゼ、2−オキソ−4−ヒドロキシグルタラートアルドラーゼ又はKHGアルドラーゼとも呼ばれる4−ヒドロキシ−2−オキソグルタラートグリオキシラート−リアーゼ)はグリオキシル酸及びピルビン酸塩を4−ヒドロキシ−2−ケトグルタル酸に変換し、ポリペプチド4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタラートアルドラーゼ(EC4.1.3.17、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタラートピルビン酸リアーゼ又はProAアルドラーゼとも呼ばれる)は、2つのピルビン酸塩といったような2つのケト酸を4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタラートへと縮合する。これらのリアーゼを利用する反応が、本明細書で記述されている。
図1〜2及び11〜13は、3−炭素(C3)分子がインドール−3−ピルビン酸と組合わされるこれらの反応の概略図を示す。EC4.1.2−及び4.1.3−特にPLP利用ポリペプチドの数多くの構成員が、セリン、システイン及びアラニン又はその誘導体といったようなアミノ酸であるC3分子を利用できる。EC4.1.2.−及び4.1.3の代表によって触媒されたアルドール縮合には、この経路の3つの炭素分子がピルビン酸塩又はその誘導体であることが必要である。しかしながら、その他の化合物もC3炭素供給源として役立ちピルビン酸塩に変換可能である。アラニンは、上述のものの多くを含め、数多くのPLP利用トランスアミナーゼによってアミノ基転移され、ピルビン酸塩を生成し得る。ピルビン酸塩とアンモニアは、L−セリン、L−システイン及びセリン及びシステインの誘導体とO−メチル−L−セリン、O−ベンジル−L−セリン、S−メチルシステイン、S−ベンジルシステイン、S−アルキル−L−システイン、O−アシル−L−セリン及び3−クロロ−L−アラニンといった充分な脱離基のβ−脱離反応(例えばトリプトファナーゼ又はβ−チロシナーゼによって触媒されるもの)によって得ることができる。アスパラギン酸塩は、トリプトファナーゼ(EC4.1.99.1)及び/又はβ−チロシナーゼ(EC4.1.99.2、チロシン−フェノールリアーゼとも呼ばれる)による触媒作用を受けるものといったようなPLP−介在β−リアーゼ反応の中でピルビン酸塩の供給源として役立つことができる。β−リアーゼ反応速度は、Mouratou et al.(J.Biol. Chem 274:1320−5、1999)によって及び実施例8中で記述されているような(4.1.99.1−2)ポリペプチド上での部位特異的突然変異誘発を実施することによって増加され得る。これらの修飾により、ポリペプチドはジカルボンアミノ酸基質を受容することができるようになる。乳酸塩も同様にピルビン酸塩供給源として役立ち、乳酸デヒドロゲナーゼ及び酸化された補因子又は乳酸オキシダーゼ及び酸素の添加によりピルビン酸塩へと酸化される。これらの反応の例が以下で記述されている。例えば図2及び図11〜13で示されているように、C3分子としてピルビン酸塩が使用される場合、ProAアルドラーゼをインドール−3−ピルビン酸と接触させることができる。
実施例5で提供されているアルドール縮合をといったような化学反応を用いてMPを生成することもできる。
MPからモナチンへ
MPからモナチンへの変換は、トリプトファンアミノトランスフェラーゼ(2.6.1.27)、トリプトファンデヒドロゲナーゼ(1.4.1.19)、D−アミノ酸デヒドロゲナーゼ(1.4.99.1)、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(1.4.1.2−4)、フェニルアラニンデヒドロゲナーゼ(EC1.4.1.20)、トリプトファン−フェニルピルビン酸トランスアミナーゼ(2.6.1.28)、又はより一般的にはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.1)、チロシン(芳香族)アミノトランスフェラーゼ(2.6.1.5)、D−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ又はD−アラニン(2.6.1.21)アミノトランスフェラーゼ(図2)といったようなアミノトランスフェラーゼファミリー(2.6.1.−)の構成員のうちの単数又は複数のものを触媒とすることができる。以下では、配列番号11及び12に示されたクラスの新規構成員を含めアミノトランスフェラーゼクラスの11の構成員について記述されており、実施例7ではアミノトランスフェラーゼ及びデヒドロゲナーゼの活性を実証する反応が提供されている。
この反応は同様に化学反応を用いても実施可能である。アンモニア及びシアノホウ化水素ナトリウムを用いた還元的アミノ化により、ケト酸(MP)のアミノ化が実施される。
図11〜13は、MPをモナチンに変換するのに使用され得かつインドール−3−ピルビン酸又はトリプトファンからのモナチンの収量の増大を提供する追加のポリペプチドを示す。例えば、アスパラギン酸塩がアミノ供与体として使用される場合、アスパラギン酸塩からオキサロ酢酸塩へと変換するためにアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを使用することができる(図11)。オキサロ酢酸塩は、オキサロ酢酸デカルボキシラーゼといったようなデカルボキシラーゼによりピルビン酸塩と二酸化炭素に変換される(図11)。さらに、リジンがアミノ供与体として使用される場合、リジンをアリシンに変換するために、リジンイプシロンアミノトランスフェラーゼを使用することができる(図12)。アリシンは、自然発生的に1−ピペリデイン6−カルボキシラートへと変換される(図12)。還元的アミノ化反応の触媒として作用する能力をもつポリペプチド(例えばグルタミン酸デヒドロゲナーゼ)がMPからモナチンへの変換に用いられる場合、NAD(P)Hを再循環させかつ/又は揮発性産物を産生できるポリペプチド(図13)例えばギ酸デヒドロゲナーゼを使用することができる。
生合成経路の設計における付加的な考慮事項
インドール−3−ピルビン酸、MP及び/又はモナチンを生成するのにどのポリペプチドが使用されるかに応じて、産物形成を増強させるべく、産生細胞に対し補因子、基質及び/又は追加のポリペプチドを提供することができる。さらに、インドール−3−ピルビン酸、MP及びモナチンといったような産物の産生を増強させるように遺伝子改変を設計することができる。同様にして、モナチン産生のために使用される宿主細胞を最適化することができる。
過酸化水素の除去
過酸化水素(H22)は、発生した場合、産生細胞、ポリペプチド又は産生された産物(例えば中間体)に損傷を与える可能性のある産物である。以下で記述したL−アミノ酸オキシダーゼは、一産物としてH22を発生させる。従って、L−アミノ酸オキシダーゼが使用される場合、結果として得られるH22を除去するか又はそのレベルを低下させて細胞又は産物に対する可能性のある損傷を低減させることができる。
細胞中のH22レベルを減少させるためにカタラーゼを使用することができる(図11−13)。産生細胞は、過酸化水素の水及び酸素ガスへの分解の触媒として作用するカタラーゼ(EC1.11.1.6)をコードする遺伝子又はcDNA配列を発現できる。例えばカタラーゼは、産生細胞へとトランスフェクトされたベクターから発現され得る。使用可能なカタラーゼの例としては、tr|Q9EV50(Staphylococcus xylosus)、tr|Q9KBE8(Bacillus halodurans)、tr|Q9URJ7(Candida albicans)、 tr|P77948(Streptomyces coelicolor)、tr|Q9RBJ5(Xanthomonas campestris)(SwissProt受入れ番号)が含まれるがこれらに制限的されるわけではない。L−アミノ酸オキシダーゼ、D−アミノ酸オキシダーゼ又はトリプトファンオキシダーゼを利用する生物触媒性反応装置には、カタラーゼポリペプチドが収納されていてもよい。
ピリドキサール5’−ホスファート(PLP)利用可能性の調節
図1に示されているように、PLPを本明細書中で記述された生合成段階のうちの単数又は複数のものの中で利用することができる。PLP濃度は、PLPが反応の全体的効率に対する制限とならないような形で補完可能である。
ビタミンB6(PLPの前駆物質)のための生合成経路は、E.coli内で徹底的に研究され、タンパク質の一部は結晶化されてきた(Laber et al.、FEBS Letters、 449:45−8、1999)。その他の代謝経路内で遺伝子のうちの2つ(epd又はgapB及びserC)が必要とされ、一方3つの遺伝子(pdxA、pdxB及びpdxJ)はピリドキサールリン酸生合成に独特のものである。E.coli経路内の出発材料の1つは1−デオキシ−D−キシルロース−5−ホスファート(DXP)である。共通の2個又は3個の炭素の主な代謝産物からのこの前駆物質の合成は、ポリペプチド1−デオキシ−D−キシルロース−5−ホスファートシンターゼ(DXS)の触媒作用を受ける。もう一つの前駆物質は、四炭糖、D−エリスロース4−ホスファートから形成されるトレオニン誘導体である。ホスホ−4−ヒドロキシル−Lトレオニン(HTP)に対する変換に必要とされる遺伝子はepd、pdxB及びserCである。PLPの形成のための最後の反応は、pdxA及びpdxJの遺伝子産物の触媒作用を受けるDXPとHTPとの間の複合分子内縮合と閉環反応である。
PLPがモナチンを産生するための発酵中に制限的栄養素となった場合、モナチンの収量を増大させるために、生産宿主細胞内の経路遺伝子の単数又は複数のものの発現の増大を使用することができる。宿主生体は、その未変性経路遺伝子の多重コピーを含むことができ、そうでなければ生体のゲノム内に非未変性経路遺伝子のコピーを取込むこともできる。付加的には、再利用経路遺伝子の多重コピーを宿主生体内にクローニングすることができる。
全ての生体内に保存されている1つの再利用経路は、ビタミンB6のさまざまな誘導体を活性PLP形態へと再循環させる。この経路に関与するポリペプチドはpdxKキナーゼ、pdxHオキシダーゼ及びpdxYキナーゼである。これらの遺伝子のうちの単数又は複数のものの過剰発現がPLPの利用可能性を増大させ得る。
ビタミンB6レベルは、宿主生体中の未変性生合成経路遺伝子の代謝調節の削除又は抑制により上昇させられる可能性がある。PLPは、細菌Flavobacterium sp. 菌株238−7における前駆物質トレオニン誘導体の生合成に関与するポリペプチドを抑制する。代謝制御から自由にされたこの細菌菌株は、ピリドキサール誘導体を過剰産生し、最高20mg/LのPLPを***することができる。類似の要領でモナチンを産生する宿主生体の遺伝子操作は、生合成経路遺伝子の過剰発現無く生産PLPの増大を可能にすることになる。
アンモニウムの利用
トリプトファナーゼ反応は、アンモニアをより利用可能なものにするか又は水を除去することによって、合成的方向(インドールからのトリプトファンの産生)に向かって駆動され得る。グルタミン酸デヒドロゲナーゼの触媒作用を受けるものといったような還元アミノ化反応も、余剰のアンモニウムにより順方向に駆動され得る。
アンモニアは炭酸又はリン酸緩衝系内の炭酸アンモニウム又はリン酸アンモニウム塩として利用可能にすることができる。アンモニアは同様に、ピルビン酸アンモニウム又はギ酸アンモニウムとしても提供することができる。あるいは、アンモニアは、グルタミン酸デヒドロゲナーゼ又はトリプトファンデヒドロゲナーゼといったようなアンモニアを生成する反応と該反応をカップリングする場合に供給可能である。アンモニアは、EC4.1.99−の天然基質(チロシン又はトリプトファン)を添加することによって生成でき、これをフェノール又はインドール、ピルビン酸塩及びNH3に加水分解させることになる。こうして、酵素がその好ましい基質を加水分解することを可能にすることで、標準平衡量に比べ増大した合成産物収量も可能となる。
産物及び副産物の除去
トリプトファンアミノトランスフェラーゼを介したトリプトファンからインドール−3−ピルビン酸への変換は、該反応がグルタミン酸塩を産生し補助塩基2−オキソグルタラート(α−ケトグルタラート)を必要とすることから、インドール−3−ピルビン酸の産生率に不利な影響を及ぼす可能性がある。グルタミン酸塩はアミノトランスフェラーゼの阻害をひき起こす可能性があり、該反応は大量の補助塩基を消費し得る。その上、高いグルタミン酸塩濃度は、下流側の分離プロセスにとって不利であり得る。
ポリペプチドグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(GLDH)はグルタミン酸塩を2−オキソグルタラートへと変換し、かくしてトリプトファンアミノトランスフェラーゼを触媒とする反応において補助塩基を再循環させる。GLDHは同様に、好気状態で細胞(ATP)のためのエネルギーを生成するために使用できる還元性等価物(NADH又はNADPH)を生成する。GLDHによるグルタミン酸塩の利用は同様に、副産物形成を削減させる。さらに、該反応は、細胞のための窒素供給源として又は図1に示されている最終段階のための還元アミノ化における基質として役立つことのできるアンモニアを生成する。従ってGLDHポリペプチドを過剰発現する産生細胞を用いて、収量を増大させかつ媒質及び/又は分離プロセスのコストを削減することができる。
トリプトファンからモナチンの経路においては、適切な酵素クラスからのアミノトランスフェラーゼが使用される場合、段階3のアミノ供与体(グルタミン酸塩又はアスパラギン酸塩)を段階1に必要とされるアミノ供与体(例えば2−オキソ−グルタラート又はオキサロアセタート)へと変換し戻すことができる。1つのトランスアミナーゼの基質がもう1つのトランスアミナーゼの活性を競合的に阻害しない、2つの別々のトランスアミナーゼをこの経路のために利用することで、この経路の効率を増大させることができる。
記述された経路における反応の多くは可逆的であり、従って基質と産物の間の平衡を達成することができる。該経路の収量は、ポリペプチドからの産物の連続的除去によって増大され得る。例えば、パーミアーゼ又はその他の輸送タンパク質を用いた発酵ブロス内へのモナチンの分泌又は基質の同時再循環を伴う生体触媒反応装置流からのモナチンの選択的結晶化が、反応収量を増大させることになる。
追加の酵素反応を介した又はアミノ供与基の置換を介した副産物の除去が、反応収量を増大させるもう1つの方法である。実施例13では複数の実施例が論述されており、図11〜13に図示されている。例えば、相変化(蒸発)によってか又は二酸化炭素といった未反応性最終産物への自然発生的変換により、逆方向に反応するよう利用することができない副産物を産生することができる。
基質プールの調節
トリプトファン前駆物質の産生を増加させかつ/又はインドール−3−ピルビン酸及び/又はトリプトファンが関与する異化経路を改変させることによって、インドールプールを調節することができる。例えば、宿主細胞中でEC4.1.1.74についてコードする遺伝子を機能的に欠失させることにより、インドール−3−ピルビン酸からのインドール−3−酢酸の産生を削減又は排除することができる。トリプトファンからのインドールの産生を、宿主細胞中のEC4.1.991についてコードする遺伝子を機能的に欠失させることにより、削減又は削除することが可能である。あるいは、EC4.1.99.1についてコードする遺伝子の量の増加と組合わせて、インビトロ又はインビボプロセス中の基質として余剰のインドールを利用することができる(Kawasaki et al., J.Ferm. and Bioeng, 82:604−6、1996)。さらに、D−エリスロース−4−ホスファート及びコリスミ酸塩といったような中間体のレベルを増大させるために遺伝子改変を行なうことが可能である。
大部分の生体において、トリプトファン産生は調節されている。1つのメカニズムは、経路内の或る種の酵素のフィードバック阻害を介してのものである。従って、トリプトファン中間体を介してモナチンを産生するために工学処理された宿主細胞を用いる場合、トリプトファン濃度に敏感でない生体を使用することができる。例えば、さまざまなトリプトファン類似体による成長阻害に対する耐性をもつCatharanthus roseus菌株が、高濃度の5−メチルトリプトファンに対する反復的露呈により選択された(Schallenberg及びBerlin, Z Naturforsch34:541−5、1979)。菌株の結果として得られるトリプトファンシンターゼ活性は、おそらくは遺伝子内の突然変異に起因して、産物の阻害によりもたらされることが少なかった。同様にして、モナチン産生のために使用される宿主細胞を最適化することができる。
産物阻害に対する感応性が比較的低いポリペプチドを導き出すための定向進化法の使用を通して、トリプトファン産生を最適化することができる。例えば、代謝可能でない高レベルのトリプトファン類似体を用いて、培地中に全くトリプトファンを含有しない平板上でスクリーニングを実施することができる。米国特許第5,756,345号;4,742,007号及び4,371,614号は、発酵生体内のトリプトファン生産性を増加させるのに用いられる方法について記述している。トリプトファン生合成の最後の段階は、インドールに対するセリンの添加である。従って、セリンの利用可能性を増大させてトリプトファン産生を増大させることができる。
宿主生体により産生されるピルビン酸塩の量を増大させることにより、発酵生体により産生されるモナチンの量を増大させることができる。Trichosporon cutaneum(Wang et al., Lett. Appl. Microbiol. 35;338−42、2002)及びTorulopsis glabrata (Li et al., Appl Microbiol. Biotechnol. 57:451−9、2001)といったような或る種の酵母は、ピルビン酸塩を過剰産生し、本明細書で開示されている方法を実践するために使用することができる。さらに、E.coli 菌株W1485lip2(Kawasaki et al.,J. Ferm. and Bioeng.82:604−6、1996)におけるもののようなピルビン酸産生を促進するための生体に対する遺伝子改変を行なうことができる。
キラリティー制御
モナチンの味覚プロファイルは、その立体化学(キラリティー)を制御することによって変更することができる。例えば、異なる食物系について異なる濃度の配合物中で異なるモナチン立体異性体が望まれる可能性がある。キラルティーは、pH及びポリペプチドの組合せを介して制御可能である。
Figure 2010279393
モナチンのC−4位置におけるラセミ化(上述の番号付けされた分子を参照のこと)が、ラセマーゼといったような酵素に結合した又は溶液中に遊離した補因子PLPとの反応によってか又はpHのシフトによって発生しうるα−炭素の脱プロトン化又は再プロトン化によって起こり得る。微生物中では、該pHはラセミ化をひき起こすのに充分なほどシフトする確率が低いが、PLPは豊富に存在する。ポリペプチドでのキラルティーの制御方法は、モナチン産生のために利用される生合成ルートによって左右される。
図2に示されている経路を用いてモナチンが形成される場合、以下のことを考慮することができる。生体触媒反応においては、インドール−3−ピルビン酸をMPに変換させる酵素によって炭素−2のキラルティーを決定することができる。(例えばEC4.1.2.−、4.1.3.−からの)数多くの酵素がインドール−3−ピルビン酸をMPに変換でき、かくして所望の立体異性体を形成する酵素を選択することができる。あるいは、インドール−3−ピルビン酸をMPに変換する酵素の鏡像特異性を定向進化法を用いて修飾することができ、そうでなければ、所望の反応の触媒として作用するように触媒抗体を工学処理することができる。MPがひとたび産生された(酵素的に又は化学的縮合により)ならば、本明細書で記述されているようなトランスアミナーゼを用いて立体特異的にアミノ基を添加することができる。D又はLのいずれの芳香族酸アミノトランスフェラーゼが使用されるかに応じて、炭素−4のR又はS形態のいずれかを生成することができる。大部分のアミノトランスフェラーゼは、L−立体異性体に特異的である。しかしながら、或る種の植物中ではD−トリプトファンアミノトランスフェラーゼが存在する(Kohiba及びMito、ビタミンB6及びカルボニル触媒反応に関する第8回国際シンポジウム議事録、Osaka, Japan1990)。その上、D−アラニンアミノトランスフェラーゼ(2.6.1.21)、D−メチオニン−ピルビン酸アミノトランスフェラーゼ(2.6.1.41)、及び(R)−3−アミノ−2−メチルプロパン酸アミノトランスフェラーゼ(2.6.1.61)及び(S)−3−アミノ−2−メチルプロパン酸アミノトランスフェラーゼ(2.6.1.22)の両方が同定されてきた。或る種のアミノトランスフェラーゼは、C2炭素において特定の形態をもつこの反応用の基質しか受容できない。従って、MPに対する変換が立体特異的でない場合でも、最終産物の立体化学をトランスアミナーゼの適切な選択を通して制御することができる。反応が可逆的でないことから、未反応MP(望ましくない立体異性体)をその成分に戻すべく再循環させることができ、MPのラセミ混合物を再形成させることができる。
基質の活性化
ホスホエノールピルビン酸(PEP)といったようなリン酸化された基質を、本明細書で開示された反応において使用することができる。リン酸化された基質は、エネルギー的により有利であり、従って、反応速度及び/又は収量を増大させるために使用可能である。アルドール縮合においては、リン酸基の添加は、求核基質のエノール互変体を安定化し、それをさらに反応性の高いものにする。その他の反応においては、リン酸化された基質により優れた脱離基を提供することができる。同様にして、CoA誘導体又はピロリン酸誘導体に対する変換により基質を活性化することができる。
飲料組成物内でのモナチンの使用
モナチンのS.S立体異性体は、重量でスクロースに比べおよそ50〜200倍甘味が高い。モナチンのR,R立体異性体は、重量でスクロースに比べおよそ2000〜2400倍甘味が高い。モナチンの甘味度は、甘味度比較手順において熟練した官能評価人を用いて計算され、ここで甘味強度に関する一連の基準溶液のうちの1つに対してテスト甘味料溶液を整合させる。溶液は、例えば最高pH3.0で0.16%(w/v)のクエン酸及び0.02%(w/v)のクエン酸ナトリウムを含む緩衝液を用いて調製され得る。
具体的には、甘味度推定手順に熟練した熟練した官能評価人パネルを使用することによって、スクロースとの関係における甘味料の甘味度を査定することができる。(同じ緩衝液中の)全ての試料は、22℃±1℃の温度で二点で供される。試料溶液は、最高pH3.0で0.16%(w/v)のクエン酸及び0.02%(w/v)のクエン酸ナトリウムを含む緩衝液を用いて調製可能である。3桁の乱数コードで符号化されたテスト溶液が、無作為の順序でパネリストに個別に提示される。0.5%(w/v)のスクロースという段階で増加する2.0〜10.0%(w/v)の範囲のスクロースというスクロース基準標準も同様に提供される。パネリストは、テスト溶液の甘味度をスクロース標準に比較することによって甘味度を推定するよう依頼される。これは、テスト溶液を3口、その後水を1口、次にスクロース標準を3口、次に水を1口等々といったようにすすることによって実施される。パネリストは、甘味度を、例えば6.8、8.5のように1桁の少数位まで推定する。5分の休憩時間がテスト溶液の評価の間に課せられる。パネリストは同様に、潜在的な持ち越し効果をことごとく削減するため、充分に口をすすぎクラッカを食べることが求められる。
熟練した官能評価人パネルによって決定されたスクロース当量値(SEV)(例えばスクロース%)は、用量応答曲線を得るべく、モナチン濃度の一関数としてプロットされる。多項式曲線の当てはめが用量応答曲線に適用され、モナチン濃度(例えばモナチン%)でスクロース当量値(SEV)を除することにより、例えば8%のSEVといった特定の点での甘味強度つまり効力を計算するために用いられる。例えば図15(R,R/S,Sモナチン用量応答曲線);図14(R,Rモナチン用量応答曲線)を参照のこと。S,S及びR,Rモナチンについての上述の甘味強度(すなわちそれぞれ、重量でスクロースよりもおよそ50〜200倍及びおよそ2000〜2400倍甘味度が高い)は、およそ8%のSEVで決定された。
モナチンは、消費に適した濃度で水溶液中で可溶である。モナチン立体異性体のさまざまな配合物は、或る種のマトリクス中で、又はその他の甘味料との配合において、質的により優れている可能性がある。その他の甘味料とモナチンの配合物は、甘味強度及び/又はプロファイルを最大限にし、コストを最小限に抑えるために使用することができる。スクロースに類似した時間的プロファイルを生成するため又はその他の利点のため、その他の甘味料及び/又はその他の成分と組合せた形でモナチンを使用することができる。
例えば、特定のフレーバプロファイル又はカロリーターゲットを達成するべく、その他の栄養性及び非栄養性甘味料とモナチンを配合することができる。かくして甘味料組成物は、モナチンを以下の甘味料タイプのうちの単数又は複数のものとの組合せを内含することができる:(1)糖アルコール(例えばエリスリトール、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、ラクチトール、キシリトール、イソマルト、低血糖(glycemic)シロップなど);(2)その他の高強度甘味料(例えばアスパルターム、スクラロース、サッカリン、アセスルファム−K、ステビオシド、チクロ、ネオテーム、ソーマチン、アリテーム、ジヒドロカルコン、モネリン、グリシルリジン、モグロサイド、フィロダルシン、マビンリン、ブラゼイン、シルクリン、ペンタジンなど)及び(3)栄養性甘味料(例えばスクロース、D−タガトース、転化糖、フルクトース、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ(HFCS)、グルコース/デキストロース、トレハロース、イソマルツロースなど)。モナチンは、後味を抑制するか、レモンといったその他のフレーバを補強するか、又は時間的フレーバ−プロファイルを改善するために、味修正剤といった配合物の中で使用することができる。データは同様に、モナチンが(ヨーロッパで使用されている)チクロと数量的な相乗効果をもつことを示しているものの、アスパルターム、サッカリン、アセスルファム−K、スクラロース又は炭水化物甘味料との有意な数量的相乗効果は全く指摘されなかった。
モナチンは炭水化物ではないことから、飲料組成物中の炭水化物含有率を低下させるためにこれを使用することが可能である。1つの実施形態においては、モナチンを含む一定量の飲料組成物は、モナチンの代わりに糖(例えばスクロース及び/又は高スクロースコーンシロップ)を含有する同量の飲料組成物よりも低いカロリー及び炭水化物を含有している。その他の実施形態においては、モナチンを含む飲料組成物(例えばモナチン及び単数又は複数の炭水化物を含むもの)は、炭水化物のみを甘味料として含有する類似の飲料組成物によって提供されるものに匹敵する経時的な口あたり、フレーバ及び甘味度を提供する。
モナチンは、乾燥形態で安定しており、望ましい味プロファイルを単独で又は炭水化物と混合した場合に有している。それは不可逆的に崩壊するようには見えず、むしろ低pH(水性緩衝液中)でラクトン及び/又はラクタムを形成し、平衡に達する。それは、溶液中で経時的にゆっくりと4位置でラセミ化することができるが、これは標準的に高pHで起こる。一般に、モナチンの安定性はアスパルタームに匹敵するものであるか又はそれを上回り、モナチンの味覚プロファイルは、アスパルターム、アリテーム及びスクラロースといったようなその他の良質甘味料に匹敵するか又はそれを上回る。モナチンは、サッカリン及びステビオシドといったような一部のその他の高強度甘味料に付随する望ましくない後味を有していない。
一部の実施形態においては、モナチンを含む飲料組成物は同様に、以下のものうちの単数又は複数のものをも内含している:緩衝液、増量剤、増粘剤、脂肪、香味料、着色剤(着色料又は顔料とも呼ばれる)、甘味料及びフロー剤。飲料組成物は、例えば、飲料中に存在するモナチン又はその他の甘味料の量を調整することによってか又は組成物中に存在する着香剤又は酸を含めたその他の添加剤の量又は種類を調整することによって、特定の甘味度プロファイルを有するように処方可能である。その他の実施形態においては、飲料組成物中で用いられる全ての成分は食品グレードであり、一般に安全なものとして認識されている。
一部の実施形態では、モナチンを含む飲料組成物は、さらに、食品グレードの酸化防止剤を含む。かかる酸化防止剤の例としては、ビタミンC(例えばアスコルビン酸、アスコルビンリン酸マグネシウム)、エリソルビン酸塩(イソアスコルビン酸)、カロチノイド、例えばルテイン、リコペン及びβ−カロテン、トコフェロール(例えば、α−トコフェロール(天然ビタミンE)、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール)、ヒドロキシシンナメート(例えば、ネオクロロゲン酸及びクロロゲン酸)、グルタチオン、フェノール成分(例えば、カカオフェノール、赤ワインフェノール、プルーン中のフェノール成分)、ブチル化ヒドロキシアニゾール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、第3ブチルヒドロキノン(TBHQ)、プロピルガラート、ナイシン、緑茶エキス及びローズマリーエキスなどが含まれる。その他の実施形態では、モナチンを含む飲料組成物は、さらに、安息香酸ナトリウム及び/又はソルビン酸カリウムといったような或る種の防腐剤を含む。
その他の実施形態においては、モナチンを含む飲料組成物はさらに、非酵素的褐色化反応(例えばメイラード反応に起因する褐色化)を防止する単数又は複数の成分を含む。かかる成分は、亜硫酸塩及び亜硫酸塩剤(例えば、二酸化硫黄、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリム又はカリウム、メタ重亜硫酸塩、スルヒドリル基含有アミノ酸)、塩化カルシウム及びその他の無機ハロゲン化物、酸化防止剤及び水の活性に影響を及ぼす化合物(例えばグリセロール、ソルビトール及びトレハロース)を内含し得るがこれらに制限的されるわけではない。
一部の実施形態においては、乾燥飲料ミックスといったようなモナチン含有飲料濃縮物はチョコレート飲料、フルーツ飲料、麦芽入り飲料又はレモネードを調製するために容易に分散され得る。その他の実施形態では、飲料濃縮物は、炭酸ソフトドリンクを調製するのに使用可能な飲料シロップである。炭酸飲料は、例えば炭酸水で水、モナチン及び香味料を含有する飲料シロップを希釈することにより調製可能である。一部の実施形態では、飲料シロップは同様に、その他の甘味料及び/又は添加物をも含有する。飲料シロップは、例えば成分全てを混合し加熱して可溶化させることによって調製可能である。飲料シロップには例えば少なくとも80%の水(例えば少なくとも85%、90%又は95%の水)を内含し得る。
或る種の実施形態においては、モナチンは、その中の任意の特定の値(例えば飲料組成物の0.0003%、0.005%、0.06%又は0.2%)を含めた、飲料組成物の約0.0003〜約1%(すなわち約3〜約10,000ppm)(例えば0.0005〜約0.2%)の範囲内の量で存在する。例えば、飲料組成物は、0.0005〜0.005%(例えば0.001〜0.0045%)のR,Rモナチン又は0.005〜0.2%(例えば0.01〜0.175%)のS,Sモナチンを含み得る。
当業者であれば、甘味料の組合せを用いて飲料組成物の所望の味及びカロリー計数を提供できるということを認識することだろう。かくして、飲料組成物中の甘味料の量は、甘味料及び所望の甘味強度の選択によって左右される。甘味料は、例えばCargill Inc(Wayzata、モナチン)及びMcNeil Specialty(Fort Washington, PA)を通して市販されている。1つの実施形態においては、飲料組成物はモナチンと甘味料の配合物(例えばスクロース又は高フルクトースコーンシロップ)を内含する。例えば飲料組成物はモナチン及びバルク甘味料を内含し得る。
バルク甘味料は、例えば、糖甘味料、無糖甘味料、低糖質及びそれらの組合せから選択できる。糖甘味料には例えば、コーン甘味料、スクロース、デキストロース(例えば、セレロースデキストロース)、マルトース、デキストリン、マルトデキストリン、転化糖、フルクトース、高フルクトースコーンシロップ、レブロース、ガラクトース、コーンシロップ固形物、ガラクトース、トレハロース、イソマルツロース、フルクト−オリゴサッカライド(例えばケストース又はニストースなど)、より高分子量のフルクト−オリゴサッカライド又はそれらの組合せを内含し得る。例えば高フルクトースコーンシロップ(HFCS)及びその他のコーン由来の甘味料は、デキストロース(グルコース)及びフルクトースの組合せである。さらに、糖甘味料には、果糖、メープルシロップ及びハチミツ又はそれらの組合せが含まれる。1実施形態においては、0.0003〜0.15%のモナチン(例えば0.0006〜0.004%のR,Rモナチン)及び2〜10%(例えば3〜10%又は4〜6%)のスクロース又は高フルクトースコーンシロップを飲料組成物中で使用することができる。
もう1つの実施形態においては、飲料組成物には、無糖甘味料及び/又は低糖炭水化物(すなわちグルコースより低いグリセミックインデックスを有するもの)が含まれる。無糖甘味料又は低糖質には、D−タガトース、ソルビトール(非結晶質及び結晶質ソルビトールを含む)、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マルチトール、加水分解水添デンプン、イソマルト、D−プシコース、1,5無水D−フルクトース又はそれらの組合せが含まれるがこれらに制限的されるわけではない。
或る種の実施形態においては、モナチンを含む飲料組成物には同様に、高強度甘味料も含まれる。一部の実施形態においては、高強度甘味料は、スクロースよりも少なくとも20倍甘い(すなわちスクロースの20×)。かかる高強度甘味料には、単独又は組合わせた形でアスパルターム、サッカリン及びその塩、アセサルファムの塩(例えば、アセサルファムK)、アリテーム、ソーマチン、ジヒドロカルコン(例えば、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン)、ネオテーム、シクラミン酸及びその塩(例えば、シクラメート)、ステビオシド(Stevia rebaudianaの葉から抽出されたもの)、モルグロシド(Lo Han Guo 果実から抽出されたもの)、グリチルリチン、フィロズルチン(Hydrangea macrophyllaの葉から抽出されたもの、スクロースの約400〜600倍)、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、シルクリン、ペンタジンが含まれるが、これらに制限的されるわけではない。
酸といったようなその他の化合物の存在下でのみ甘い甘味度増強剤も、飲料組成物内で使用することができる。甘味度増強剤(甘味度促進剤としても知られている)としては、クルクリン、ミラクリン、シナリン、クロロゲン酸、コーヒー酸、ストロジン、アラビノガラクタン、マルトール及びジヒドロキシ安息香酸が含まれる。或る種の実施形態においては、モナチンを含む飲料組成物は同様に、Sucramask(登録商標)又はトレハロースといったようなフレーバ増強剤又は安定化剤を内含している。
場合により、食品グレードの天然又は人工着色料を飲料組成物内に内含させることができる。これらの着色料は、合成顔料(例えばアゾ染料、トリフェニルメタン、キサンチン、キニン及びインジゴイド)、カラメル顔料、二酸化チタン、赤色3号、赤色40号、青色1号及び黄色5号を含め、当該技術分野において一般的に知られ入手可能であるものの中から選択され得る。ビート汁(ビートレッド)、カルミン、クルクミン、ルテイン、ニンジン汁、ベリー汁、香辛料エキス(ターメリック、アンナット及び/又はパプリカ)及びカロチノイドなどの天然着色剤も又使用可能である。選択された着色料のタイプ及び量は、最終産物及び消費者の選好により左右されることになる。
一部の実施形態においては、飲料組成物は同様に、単数又は複数の天然の又は合成の香味料を内含する。適切な香味料には、柑橘類及び非柑橘類のフルーツフレーバ;香辛料;ハーブ;植物性薬品;チョコレート、ココア又はチョコレートリキュール;コーヒー;バニラ豆から得た香味料;木の実エキス;リキュール及びリキュールエキス;フルーツブランデー蒸留物;芳香族化学物質、構造フレーバ及びこれらのいずれかの濃縮物、抽出部又はエッセンスが含まれる。柑橘類フレーバには例えばレモン、ライム、オレンジ、タンゲリン、グレープフルーツ、シトロン又はキンカンが含まれる。数多くのフラグメントが例えば、Rhodia USA(Cranbury, NJ);IFF(South Brunswick, NJ);Wild Flavors, Inc.(Erlanger, KY);Silesia Flavors, Inc.(Hoffman Estates, IL);Chr. Hansen(Milkwaukee,WI)、及びFirmenisch(Princeton, NJ)から市販されている。
例えば、炭酸ソフトドリンクを調製するための飲料シロップには、飲料にコーラフレーバを付与するのに使用可能な天然のコーラフレーバ(例えばコーラの実のエキス)が内含されうる。一部の実施形態においては、香味料はエマルジョンの形に形成され得、これを次に飲料シロップ内に分散させる。エマルジョン液滴は通常、水よりも低い比重を有し、従って分離した相を形成することができる。重み付け剤、乳化剤及びエマルジョン安定化剤を用いて、フレーバエマルジョン液滴を安定化させることができる。かかる乳化剤及びエマルジョン安定化剤の例としては、ゴム、ペクチン、セルロース、ポリソルベート、ソルビタンエステル及びアルギン酸プロピレングリコールが含まれる。一部の実施形態においては、コーラフレーバエマルジョンは、飲料シロップの0.8〜1.5%を占める。その他の実施形態においては、コーラフレーバを増強させるために使用できる付加的な香味料には、レモン、ライム、オレンジ、タンゲリン、グレープフルーツ、シトロン又はキンカンといった柑橘類のフレーバ及び丁子及びバニラといった香辛料フレーバが含まれる。その他の実施形態においては、シトラスフレーバ(例えば天然のレモン又はライムフレーバ)が飲料シロップの約0.03〜0.06%を占め、香辛料フレーバ(例えばバニラ)が飲料シロップの0.5〜1.5%を占める。
飲料シロップのpHは、酸の添加(例えば無機又は有機酸)によって制御可能である。標準的には、飲料シロップのpHは、2.5〜約5(例えば2.5〜約4.0)の範囲内にある。特に有用な無機酸としては、その未解離形態において又はアルカリ金属塩(例えば、リン酸水素カリウム又はナトリウム、リン酸二水素カリウム又はナトリウム塩)として存在しうるリン酸が含まれる。使用可能な有機酸の制限的な意味のない例としては、クエン酸、リンゴ酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸、グルクロノラクトン、ヒドロキシクエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、酢酸又はその混合物が含まれる。これらの酸はその未解離形態で又はそのそれぞれの塩として存在し得る。
一部の実施形態においては、飲料シロップはさらにカフェイン(例えば天然コーラフレーバから)を含む。カフェインは同様に別途添加することもできる。
1実施形態においては、炭酸飲料は、結果として得た飲料が15〜25%のシロップと75〜85%の水を含有するような形で炭酸水で飲料シロップを希釈することによって調製可能である。あるいは、飲料を調製するべくシロップを希釈するのに非炭酸水を使用することができ、次に炭酸化作用を達成するべく飲料中に二酸化炭素を導入することができる。もう1つの実施形態においては、標準的にびん又は缶といったような容器の中に炭酸飲料を入れ次に密封することができる。本発明の炭酸飲料を製造するためには、従来のあらゆる炭酸化方法を使用することができる。
一部の実施形態においては、飲料組成物は乾燥飲料ミックスであり得る。「乾燥」材料は残留レベルの液体を含有することができるという点に留意されたい。例えば、飲料ミックスは、麦芽入り飲料ミックス、チョコレート風味の飲料ミックス又は粉末フルーツドリンクミックス例えばKool-Aid(登録商標)又はCrystal Light(登録商標)であり得る。1実施形態においては、溶解状態で液体成分を湿式混合し、成分を真空乾燥してドライケーキを提供し、その後続いてドライケーキを基剤粉末へと粉砕することによって乾燥飲料ミックスを調製することができる。油、乳化剤及び水といった成分を用いて、例えばココアパウダーを基剤粉末に添加してさらなる乾燥成分中に配合させることができる。
もう1つの実施形態においては、標準的には消費者がスクロースと組合わせるレモネード小包といったような、標準的に甘味料を有していない基本飲料粉末を、モナチンといったような高強度甘味料と配合することが可能である。例えば、マルトデキストリン、加水分解でんぷん、デキストロース、ポリデキストリン及びイヌリンといったような希釈剤又は増量剤を用いることにより、配合を容易にすることができる。
その他の実施形態においては、麦芽入り飲料ミックスは、乾燥飲料成分例えば、粉末化されたタンパク質源例えば粉乳、スキムミルク粉末、卵タンパク質粉末、植物又は種子タンパク質分離株例えば大豆タンパク質分離株、麦芽粉末、加水分解した穀物粉末、デンプン粉末、その他の炭水化物粉末、ビタミン、ミネラル、ココアパウダー、及び粉末着香剤又はかかる成分のあらゆる組合せを内含する。液体麦芽入り飲料成分は、例えば、脂肪及び油、液体麦芽エキス、液体甘味料例えばハチミツ及びグルコースシロップそして液体タンパク質供給源例えば植物タンパク質濃縮物又はそのあらゆる組合せのうちの単数又は複数のものを内含し得る。適切な脂肪は、制限的な意味なく、部分的又は全体的に硬化された植物油、例えば綿実油、大豆油、コーン油、ヒマワリ油、ヤシ油、カノーラ油、パーム核油、ラッカセイ油、ぬか油、ベニバナ油、ココナッツ油、ナタネ油、及びそれらの中及び高オレイン酸対応物;又はそれらのあらゆる組合せを内含する。バター脂肪といったような動物の脂肪を使用することも可能である。各々の麦芽入り飲料成分の量は、所望の処方に応じて変動し得る。一部の実施形態においては、モナチンは、上述のようにバルク甘味料と組合せ可能である。
一部の実施形態においては、フルーツ飲料プレミックスには、クエン酸(例えば60〜70%)、香味料(例えば2〜4%)、着色料(例えば0.001〜1%)、モナチン、リン酸カルシウム(例えば0〜25%)、混濁剤(例えば0〜5%)及びアスコルビン酸(例えば0〜2%を内含する。例えばフルーツ飲料ミックスは64%のクエン酸、20.5%のリン酸カルシウム、3.9%の混濁剤、0.78%のアスコルビン酸、2.7%のフレーバ、0.1%の顔料そしてモナチンを内含し得る。一部の実施形態においては、モナチンは上述の通りのバルク甘味料と組合わせることができる。もう1つの実施形態においては、フルーツ飲料を調製するために、プレミックスを水でもどし、かくして、結果としての飲料が約0.5〜1.5%(例えば0.75%)のミックスを含有するようにすることができる。
1実施形態においては、乾燥チョコレート飲物組成物は、スキムミルク粉末(例えば約20〜30%)、乳清粉末(例えば35〜45%)、コーヒー用クリーム(例えば10〜15%)、低脂肪ココア粉末(例えば15〜20%)、重炭酸カリウム(例えば0.1〜10%)、グアールガム(例えば0.06〜2%)、カラギナン(例えば0.05〜5%)、フレーバ(例えばチョコレート及び/又はバニラ)及びモナチンを内含し得る。例えば、乾燥チョコレート飲物組成物は、26%のスキムミルク粉末、40%乳清粉末、12%のコーヒー用クリーム、18%の低脂肪ココア粉末、1%の重炭酸カリウム、0.6%のグアールガム、0.5%のカラギナン、チョコレートフレーバ、バニラフレーバ、及びモナチンを内含し得る。もう1つの実施形態においては、チョコレート飲料を調製するため、プレミックスを水又は牛乳でもどし、結果としての飲料が約0.5〜1.5(例えば0.8%)のミックスを含有するようにすることができる。
一部の実施形態においては、組成物として、飲料組成物で調製する上で有用である乾燥成分の混合物、そのために有用な湿潤成分の混合物又は乾燥及び湿潤成分の液体混合物(分散)が組成物として提供されている。かかる組成物は、製造品として提供され得、販売場所への輸送及び調製を容易にし注ぎ込み及び/又は混合作業を容易にするような適切な容器(例えば袋、バケツ、カートン)に入れて包装することができる。該製造品は、道具、混合用容器又はその他の任意の成分といった任意の物体を収納し得る。該製造品は、飲料組成物を調製するための使用説明書を内含できる。
飲料内のその他の甘味料に比べた場合、飲料内に含有しているモナチンは、より長い貯蔵寿命、より高い熱・酸安定性並びにより優れた味特性及びマーケティング上の利点を有することになる。該説明について、以下の実施例においてさらに記述していくか、これらの例が、記述される本発明の範囲を制限するわけではない。
実施例1
トリプトファンアミノトランスフェラーゼのクローニングと発現
この例は、トリプトファンをインドール−3−乳酸に変換するために使用することができる、トリプトファンアミノトランスフェラーゼをクローニングするために使用されてきた方法について記述している。
実験の概要
アミノトランスフェラーゼをコードする11の遺伝子をE.coli内にクローニングした。これらの遺伝子は、Bacillus subtilis D−アラニンアミノトランスフェラーゼ(dat、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれGenbank受入れ番号Y14082.1bp28622−29470及びGenbank受入れ番号NP−388848.1)、Sinorhizobium meliloti(Rhizobium melilotiとも呼ばれる)、チロシンアミノトランスフェラーゼ(tatA、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれ配列番号1及び2)、Rhodobacter sphaeroides菌株2.4.1チロシンアミノトランスフェラーゼ(相同性により断定されたtatA、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれ配列番号3及び4)、R. sphaeroides35053チロシンアミノトランスフェラーゼ(相同性により断定されたもの、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれ配列番号5及び6)、Leishmania majar広基質アミノトランスフェラーゼ(bsat、L.mexicanaからのペプチドフラグメントに対する相同性により断定されたもの、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれ配列番号7及び8)、Bacillus subtilis 芳香族アミノトランスフェラーゼ(araT、相同性により断定されたもの、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれ配列番号9及び10)、Lactobacillus amylovorus芳香族アミノトランスフェラーゼ(相同性により断定されたaraT、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれ配列番号11及び12)、R. sphaeroides 35053多重基質アミノトランスフェラーゼ(相同性により断定されたもの、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれ配列番号13及び14)、Rhodobacter sphaeroides菌株2.4.1多重基質アミノトランスフェラーゼ(相同性により断定されたmsa、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれGenbank受入れ番号AAAE01000093.1、bp14743−16155及びGenbank受入れ番号ZP00005082.1)、Escherichia coliアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(aspC、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれGenbank受入れ番号AE000195.1bp2755〜1565及びGenbank受入れ番号AAC74014.1)及びE.coliチロシンアミノトランスフェラーゼ(tyrB、核酸配列及びアミノ酸配列がそれぞれ配列番号31及び32)であった。市販の酵素と共に、遺伝子をクローニングし、発現させ、トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸への変換における活性についてテストした。11のクローン全てが活性を有していた。
所望の活性を有するポリペプチドを含有し得る細菌菌株の同定
NCBI(国立バイオテクノロジー情報センタ)データベース内のいずれの遺伝子もトリプトファンアミノトランスフェラーゼと呼称されていなかった。しかしながら、この酵素活性をもつ生体が同定されていた。L−トリプトファンアミノトランスフェラーゼ(TAT)活性が、細胞抽出物の中で又は以下の供給源由来の精製タンパク質から測定された:Festuca octoflora由来のRhizo bacteria分離株、エンドウマメミトコンドリア及び細胞質ゾル、ヒマワリクラウンコール細胞 Rhizobium leguminosarum biovar trifoli、 Erwinia herbicola pv gypsophilae、Pseudomonas syringae pv. savastanoi、Agrobacterium tumefaciens、 Azospirillum lipferum & brasilense、Enterobacter cloacae、 Enterobacter agglomerans、Bradyrhizobium elkanii、 Candida maltosa、Azotobacter vinelandii、ラットの脳、ラットの肝臓、Sinorhizobium meliloti、 Pseudomonas fluorescens CHA0、Lactococcus lactis、Lactobacillus casei、Lactobacillus helveticus、 コムギ苗、オオムギ、Phaseolus aureus(グリーンビーンズ)、Saccharomyces uvarum(carlsbergensis)、 Leishmania sp.、 トウモロコシ、トマトの芽、エンドウマメ植物、タバコ、ブタ、Clostridium sporogenes、 及びStreptomyces griseus。
実施例2
インドール−3−ラクタートからインドール−3−ピルビン酸への変換
図1及び3に示されているように、インドール−3−ピルビン酸を産生するためにインドール−3−乳酸を使用することができる。乳酸とピルビン酸塩の間の変換は、インドール−3−ピルビン酸とインドール−3−ラクタートの間の変換と同様、可逆的反応である。インドール−3−ピルビン酸から340nmで大量のバックグラウンドがあることに起因して標準的にインドール−ラクタートの酸化を追跡調査した。
標準的な検定混合物は、100mMのリン酸カリウム、pH8.0、0.3mMのNAD+、7単位の乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)(Sigma−L2395、St. Louis、 MO)及び0.1mL中の2mMの基質を含有していた。分子デバイスSpectoraMax Plus平板読取り装置を用いて、UV透過性マイクロタイタープレートの中で二点で検定を実施した。ポリペプチド及び緩衝液を混合し、インドール−3−乳酸及びNAD+の入ったウェルの中にピペットで取り込み、各ウェルの340nmでの吸収度を、簡単な混合後9秒の間隔で読取った。反応を5分間、25℃で保った。340nmでの吸収度の増大は、NAD+からのNADHの産生の後に続いている。NAD+無し、基質無しで、別の頁の対照を実施した。Leuconostoc mesenteroides(Sigmaのカタログ番号L2395)からのD−LDHは、Bacillus stearothermophilus(Sigmaカタログ番号L5275)からのL−LDHよりも高いインドール誘導体基質との活性を示すように思われた。
D−LDHポリペプチドの天然の基質であるD−乳酸及びNAD+又はNADH及びピルビン酸塩を用いて、類似の方法を利用した。ピルビン酸塩の減少についてVmaxは、乳酸塩の酸化のためのVmaxより100〜1000倍高いものであった。D−LDHでのインドール−3−乳酸の酸化反応のためのVmaxは、乳酸でのものの約5分の1であった。インドール−3−ピルビン酸の存在も同様に、0.5mMのEDTA及び0.5mMのヒ酸ナトリウムを含有する50mMのホウ酸ナトリウム緩衝液を用いて327での吸収度(エノール−ホウ酸塩誘導体)の変化を追跡調査することによって測定された。L及びD−LDHの両方のポリペプチドについての負の対照と比べて、反復可能であるもののわずかな吸収度の変化が観察された。
さらに、広い特異性の乳酸デヒドロゲナーゼ(EC.1.1.1.27、EC1.1.1.28及び/又はEC1.1.2.3に付随する活性をもつ酵素)をクローニングし、インドール−3−乳酸からインドール−3−ピルビン酸を製造するために使用することができる。広い特異性のデヒドロゲナーゼの供給源としては、E.coli、 Neisseria gonorrhoeae、 及びLactobacillus plantarumがある。
あるいは、インドール乳酸デヒドロゲナーゼ(EC.1.1.1.110)を含有するClostridium sporogenes;又は、インドール−3−ピルビン酸に対する活性をもつものとして知られているP−ヒドロキシフェニル酢酸デヒドロゲナーゼ(EC.1.1.1.222)を含有するTrypanosoma cruzi epimastigotes 細胞抽出物;又は、イミダゾール−5−イル乳酸菌デヒドロゲナーゼ(EC1.1.1.111)を含有するPseudomonas acidovarans又はE.coli 細胞抽出物;又はヒドロキシフェニルピルビン酸レダクターゼ(EC1.1.1.237)を含有するColeus blumei、 又はD−芳香族乳酸デヒドロゲナーゼ(EC.1.1.1.222)を含有するCandida maltosaからの細胞抽出物とインドール−3−ラクタートを接触させることによってインドール−3−ピルビン酸を産生することができる。かかる活性について記述する参考文献としては、Nowicki et al.(FEMS Microbiol Lett 71:119−24、1992)、Jean 及びDeMoss(Canadian J. Microbiol.14 1968、Coote 及びHassall (Biochem. J.111:237−9、1969)、Cortese et al.,(C.R. Seances Soc. Biol. Fil.162 390−5、1968)、Petersen 及びAlfermann(Z Naturforsch. C:Biosci. 43 501−4;1988)、及びBhatnagar et al.(J. Gen Microbiol 135:353−60、1989)がある。さらに、Pseudomonas sp.(Gu et al. J.Mol. CatalysisB:Enzymatic:18:299−305、2002)、からのものといったような乳酸オキシダーゼを、インドール−3−乳酸からインドール−3−ピルビン酸への酸化のために利用することができる。
実施例3
L−アミ ノ酸オキシダーゼを利用したL−トリプトファンからインドール−3−ピルビン酸への変換
この例は、例1で記述した通りのトリプトファンアミノトランスフェラーゼの使用に対する代替案として、オキシダーゼ(EC1.4.3.2)を介してトリプトファンからインドール−3−ピルビン酸へと変換するために用いられる方法について記述する。L−アミノ酸オキシダーゼは、Crotalus durissus(Sigma, St. Louis,MO、カタログ番号A−2805)から精製した。分子クローニングのためのL−アミノ酸オキシダーゼの受入れ番号としては、以下のものが含まれる:CAD21325.1、AAL14831、NP_490275、BAB78253、A38314、CAB71136、JE0266、T08202、S48644、CAC00499、P56742、P81383、O93364、P81382、P81375、S62692、P23623、AAD45200、AAC32267、CAA88452、AP003600、及びZ48565。
37℃で振盪しながら10分間インキュベートした状態で、合計体積1mLでマイクロ遠心分離管の中で反応を実施した。反応混合物は5mMのL−トリプトファン、pH6.6の100mMのリン酸ナトリウム緩衝液、0.5mMのヒ酸ナトリウム、0.5mMのEDTA、25mMの四ホウ酸ナトリウム、0.016mgのカタラーゼ(83U、SigmaC−3515)、0.008mgのFAD(Sigma)、及び0.005〜0.125単位のL−アミノ酸オキシダーゼを含有していた。負の対照は、トリプトファン以外の全ての成分を含有し、ブランクはオキシダーゼ以外の全ての成分を含んでいた。酸化的脱アミノ化の間に形成される過酸化水素を除去するためにカタラーゼを使用した。327nmでの最大の吸収度を示すインドール−3−ピルビン酸のエノール−ホウ酸塩形態を安定化するために、四ホウ酸ナトリウム及びヒ酸ナトリウムを使用した。インドール−3−ピルビン酸標準を、反応混合物中0.1〜1mMの濃度で調製した。
購入したL−アミノ酸オキシダーゼは、タンパク質1mgあたり1分につき形成された540μgのインドール−3−ピルビン酸という比活性を有していた。これは、トリプトファンアミノトランスフェラーゼ酵素の比活性と同じ規模である。
実施例4
アルドラーゼを用いたインドール−3−ピルビン酸から2−ヒドロキシ2−(インドール−3−イルメチル)−4−ケトグルタル酸への変換
この例は、アルドラーゼ(リアーゼ)を用いてインドール−3−ピルビン酸をMPへと変換するために使用可能な方法について記述している(図2)。アルドール縮合は、アルデヒド又はケトンのβ−炭素ともう1つのアルデヒド又はケトンのカルボニル炭素の間の炭素−炭素結合を形成する反応である。1つの基質のカルボニル基に隣接する炭素上にカルバニオンが形成され、これは第2の基質(求電子性炭素)のカルボニル炭素を攻撃する求核試薬として役立つ。最も一般的には、求電子性基質はアルデヒドであり、従って、大部分のアルドラーゼはEC4.1.2−カテゴリに入る。求核性基質はピルビン酸塩であることがきわめて多い。アルドラーゼが2つのケト酸又は2つのアルデヒドの間の縮合の触媒として作用することはさほど一般的ではない。
しかしながら、2つのカルボン酸の縮合の触媒として作用するアルドラーゼが同定されてきた。例えば、欧州特許第1045−029号は、Pseudomonas培養(EC4.1.3.16)を用いたグリオキシル酸及びピルビン酸塩からのL−4−ヒドロキシ−2−ケトグルタル酸の産生について記述している。さらに、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタラートアルドラーゼ(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタラートピルビン酸リアーゼ、EC(4.1.3.17)は、2つのケト酸の縮合の触媒として作用できる。従って、ピルビン酸塩とインドール−3−ピルビン酸の縮合の触媒として作用するために、類似のアルドラーゼポリペプチドを使用した。
クローニング
4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタラートピルビン酸リアーゼ(ProAアルドラーゼ、EC4.1.3.17)及び4−ヒドロキシ−2−オキソグルタラートグリオキシル酸リアーゼ(KHGアルドラーゼ、EC4.1.3.16)は、図2のアルドラーゼ反応と極めて類似した反応の触媒として作用する。pET30Xa/LICベクターのための相容性あるオーバーハングを伴ってプライマーが設計された(Novagen Madison,WI)。
ProA遺伝子産物での活性結果
C. testosteroni ProA及びS. meliloti SMc00502の両方の遺伝子構成体が共に、LPTGで誘発された時点で高レベルの発現を有していた。組換え型タンパク質は、合計タンパク質及び細胞抽出物試料のSDS−PAGE分析によって決定される通り、溶解度が非常に高いものであった。C. testosteroni 遺伝子産物は、95%を上回る純度まで精製された。His−Bindカートリッジを用いた親和性精製の後 S. meliloti 遺伝子産物の収量は非常に低いものであったため、酵素検定のために細胞抽出物を使用した。
両方の組換え型アルドラーゼは、インドール−3−ピルビン酸及びピルビン酸塩からのMPの形成の触媒として作用した。2価のリン酸マグネシウム及びカリウムの存在は、酵素活性のために必要であった。インドール−3−ピルビン酸、ピルビン酸塩又はリン酸カリウムが存在しない場合、いかなる産物も見られなかった。酵素の不在下でも、少量の産物が形成された(典型的には、酵素が存在した場合より1桁分少ない)。
産物ピークは、インドール−3−ピルビン酸標準よりわずかに遅く逆相C18カラムから溶出し、このピークの質量スペクトルは、産物MPについて予想された親イオンである、292.1の衝突で誘発された親イオン(〔M+H〕+)を示した。質量スペクトル内に存在する主要な娘フラグメントには、m/z=158(1H−インドール−3−カルブアルデヒドカルボニウムイオン)、168(3−ブタ−1,3−ジエニル−1H−インドールカルボニウムイオン)、274(292−H2O)、256(292−2H2O)、238(292−3H2O)、228(292−CH4O3)、及び204(ピルビン酸塩の損失)を伴うものが含まれていた。該産物は同じく、279−280のXmax及び約290nmの小さいショルダーを有する、トリプトファンといったようなその他のインドール含有化合物のUVスペクトル特性を示した。
C. testosteroni アルドラーゼにより産生されたMPの量は、室温から37℃までの反応温度の上昇、基質量及びマグネシウム量の増加に伴って増大した。酵素の合成活性は、pHの増加に伴って減少し、観察された最大の産物はpH7におけるものであった。トリプトファン標準に基づいて、20μgの精製タンパク質を用いた標準検定下で産生されたMPの量は、1回のmL反応につきおよそ10〜40μgであった。
以上で上述されたその他の遺伝子でのS.meliloti及びC. testosteroni ProAアルドラーゼコーディング配列の相同性レベルが高いことから、組換え型遺伝子産物の全てがこの反応の触媒として作用できるものと予想されている。その上、位置59及び87にトレオニン(T)、119にアルギニン(R)、120にアスパラギン酸塩(D)そして31と71にヒスチジン(H)を有するアルドラーゼ(C. testosteroniの番号付け系に基づく)が類似の活性を有することになると予想されている。
khg遺伝子産物での活性結果
B. subtrilis 及びE.coli khg遺伝子構成体の両方が、IPTGで誘発された場合に高いタンパク質発現レベルを有していたが、一方 S. meliloti khgは、より低い発現レベルを有していた。合計タンパク質及び細胞抽出物のSDS−PAGE分析によって判断されるように、組換え型タンパク質は溶解度が非常に高いものであった。B. subtilis及びE.coli khg 遺伝子産物は、95%を上回る純度まで精製された。His−Bindカートリッジを用いた親和性精製の後、S. meliloti 遺伝子産物の収量はさほど高くなかった。
この酵素についての活性のために、マグネシウム及びリン酸塩が必要であるという証拠は全く無い。しかしながら、文献では、リン酸ナトリウム緩衝液内での検定の実施が報告されており、該酵素は二官能性あるとされ、2−ケト−3−デオキシ−6−ホスホグルコナート(KDPG)といったようなリン酸化された基質上で活性を有する。酵素検定は、上述の通り実施され、一部のケースでは、リン酸塩は除かれた。結果は、組換え型KHGアルドラーゼがMPを産生したものの、ProAアルドラーゼほどには活性でなかったことを示している。一部のケースでは、KHGにより産生されたMPのレベルは、マグネシウム及びリン酸塩単独により産生された量とほぼ同一であった。リン酸塩がKHG活性を増加させるとは思われなかった。Bacillus酵素は、SRM(例10参照)により決定されるように、マグネシウム及びリン酸塩単独の場合よりおよそ20〜25%高い、最高の活性を有していた。Sinorhizobium酵素は、発現において指摘された折畳み及び溶解度の問題と結びつけることのできる最少量の活性を有していた。3つの酵素全てが活性部位グルタミン酸塩(B. subtilis番号付け系内の位置43)並びにピルビン酸塩とのシッフ塩基形成に必要とされるリジン(位置130)を有している。しかしながら、B. subtilis酵素は、アルギニンではなくむしろ活性部位残基であるトレオニンを位置47に含有する。B. subtilis KHGは、さらに小さく、その他の酵素が活性部位トレオニンを有している状態で、S.meliloti及びE.coli酵素と全く異なるクラスタ内にあると思われる。活性部位の差異は、B. subtilis 酵素の活性の増加の理由となり得る。
アルドラーゼ活性の改善
触媒抗体は、天然アルドラーゼと同じ程度に効率が良く、広い範囲の基質を受諾し、図2に示されている反応の触媒として作用するように使用することができる。
アルドラーゼは同様に、例えばリン酸塩に対する必要条件を無くし鏡像選択性を反転させるべくDNAシャッフリング及び変異体PCRによって進化させられる(上述のKHGに対する相同性の高い)KDPGアルドラーゼについて前述されたとおりの定向進化法により改善させることもできる。KDPGアルドラーゼポリペプチドは、供与体基質(ここではピルビン酸塩)にきわめて特異的であるものの、受容体基質(すなわちインドール−3−ピルビン酸)に関しては比較的融通性があることから、生化学反応において有用である(Koeller & Wong, Nature409;232−9、2001)。KHGアルドラーゼは、一定数のカルボン酸でのピルビン酸塩の縮合のための活性を有する。KHGアルドラーゼの哺乳動物種は、4−ヒドロキシ4−メチル2−オキソグルタラートに対するより高い活性及び4−ヒドロキシ−2−ケトグルタラートの両方の立体異性体の受諾を含め、細菌種よりもさらに広い特異性をもつと考えられている。細菌供給源は、R立体異性体に対する10倍の好適性を有すると思われる。ゲノムデータベース内で利用可能なほぼ100のKHG相同性が存在し、Pseudomonas、Paracoccus、Providencia、Sinorhizobium、Morganella、E.coli及び哺乳動物組織内で活性が実証されてきた。これらの酵素は、モナチンの産生のために望まれる鏡像特異性を調整するための出発点として使用可能である。
ピルビン酸塩及びケト酸であるかかつ/又はインドールといったような嵩高い疎水基を有する別の基質を利用するアルドラーゼを、ポリペプチドの特異性、速度及び選択性を調整するように「進化させる」ことが可能である。本明細書で実証されているKHG及びProAアルドラーゼに加えて、これらの酵素の例としては、KDPGアルドラーゼ及び関連ポリペプチド(KDPH);Nocardioides st由来のトランスカルボキシベンザルピルビン酸ヒドラターゼ−アルドラーゼ;ピルビン酸塩と2−カルボキシベンズアルデヒド(芳香族環含有基質)を縮合する4−(2−カルボキシフェニル)−2−オキソブト−3−エノ酸アルドラーゼ(2′−カルボキシベンザルピルビン酸アルドラーゼ);同じくピルビン酸塩及び芳香族環含有アルデヒドを基質として用いるPseudomonas putida及びSphingomonas aromaticivorans由来のトランス−o−ヒドロキシベンジリデンピルビン酸ヒドラターゼ−アルドラーゼ;基質として2−オキソ酸を使用し生体Micrococcus denitrificans内に存在すると考えられている3−ヒドロキシアスパラギン酸アルドラーゼ(エリスロ−3−ヒドロキシ−L−アスパルタートグリオキシラートリアーゼ;ベンジル基を含有する基質を利用するベンゾインアルドラーゼ(ベンズアルデヒドリアーゼ);ジヒドロネオプテリンアルドラーゼ;グリシンをベンズアルデヒドと縮合させるL−トレオ−3−フェニルセリンベンズアルデヒド−リアーゼ(フェニルセリンアルドラーゼ);ヒドロキシ−2−オキソ吉草酸アルドラーゼ;1,2−ジヒドロキシベンジルピルビン酸アルドラーゼ;及び2−ヒドロキシベンザルピルビン酸アルドラーゼ、が含まれるがこれらに制限的されるわけではない。
以下の方法を用いて問題のクローンをスクリーニングすることによって、所望の活性をもつポリペプチドを選択することができる。発現カセット上に問題のクローンを担持するベクターでトリプトファン栄養要求体を形質転換させ、少量のモナチン又はMPを含む培地上で成長させる。アミノトランスフェラーゼ及びアルドラーゼ反応は可逆的であることから、細胞は、モナチンのラセミ混合物からトリプトファンを産生することができる。同様にして、炭素及びエネルギー源として、MP又はモナチンを利用する能力によって、生体(組換え型及び野生型の両方)をスクリーニングすることができる。標的アルドラーゼの1つの供給源は、さまざまなPseudomonas及びrhizobacterium菌株の発現ライブラリーである。Pseudomonadsは、芳香族分子の分解のための数多くの通常でない異化経路を有し、これらは又数多くのアルドラーゼを含有する。一方、rhizobacteriaは、アルドラーゼを含有し、植物根圏内で成長するものとして知られ、モナチンのための生合成経路の構築のために記述された遺伝子のうちの数多くのものを有する。
実施例5
モナチン前駆物質の化学的合成
実施例4では、インドール−3−ピルビン酸をMPに変換するのにアルドラーゼを用いる方法が記述された。この例は、MPを化学的に合成する代替的方法について記述している。MPは、標準的なアルドールタイプの縮合を用いて形成可能である(図4)。簡単に言うと、標準的なアルドールタイプの反応には、LDA(リチウムジイソプロピルアミド)、リチウムヘキサメチルジシラザン又はブチルリチウムといったような強塩基を用いてピルビン酸エステルのカルバニオンを生成することが関与している。生成されるカルバニオンは、ピルビン酸インドールと反応してカップリングされた産物を形成する。
インドール窒素を保護するために使用することのできる保護基としては、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)及びベンジルオキシカルボニル(Cbz)が含まれるが、これらに制限的されるわけではない。カルボン酸のための遮断基としては、アルキルエステル(例えばメチル、エチル、ベンジルエステル)が含まれるがこれらに制限的されるわけではない。かかる保護基が使用される場合、形成される産物の立体化学を制御することは不可能である。しかしながら、R2及び/又はR3が(S)−2−ブタノール、メントール又はキラルアミンといったようなキラル保護基(図4)である場合、これは、その他のものに比べ1つのMP鏡像異性体の形成に有利に作用することができる。
実施例6
トリプトファン又はインドール−3−ピルビン酸からモナチンへの変換
2つの酵素つまりアミノトランスフェラーゼ及びアルドラーゼを利用するインビトロプロセスが、トリプトファン及びピルビン酸塩からモナチンを産生させた。第1の段階では、α−ケトグルタラートが、インドール−3−ピルビン酸及びグルタミン酸塩を生成するアミノ基転移反応におけるトリプトファンからのアミノ基の受容体であった。アルドラーゼは、Mg2+とリン酸塩の存在下でインドール−3−ピルビン酸とピルビン酸塩を反応させモナチンのα−ケト誘導体、2−ヒドロキシ−2−(インドール−3−イルメチル)−4−ケトグルタル酸を生成する第2の反応の触媒として作用した。第1の反応において形成されたグルタミン酸塩からのアミノ基の転移が、所望の産物、モナチンを産生させた。該産物の精製及び特徴づけにより、形成された立体異性体がS,S−モナチンであることが実証された。このプロセスに対してなされた改善と共に、代替的な基質、酵素及び条件が記述されている。
酵素
Comamonas testosteroni由来のアルドラーゼである、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−オキソグルタラートピルビン酸リアーゼ(ProAアルドラーゼ、ProA遺伝子)(EC4.1.3.17)を実施例4に記述されているようにクローニングし、発現させ、精製した。B.subtilis、E. coli、及び S. meliloti由来の4−ヒドロキシ−2−オキソグルタラートグリオキシラート/リアーゼ(KHGアルドラーゼ)(EC4.1.3.16)を、例4に記述されているようにクローニングし、発現させ、精製した。
モナチンを産生するためにアルドラーゼと併用したアミノトランスフェラーゼは、E.coli aspC遺伝子によりコードされたL−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、E.coli tyrB遺伝子によってコードされたチロシンアミノトランスフェラーゼ、S. meliloti TatA酵素、L. major bsat 遺伝子によってコードされた広域基質アミノトランスフェラーゼ、又はブタの心臓(IIa型)由来のグルタミン−オキサロ酢酸トランスアミナーゼであった。非哺乳動物タンパク質のクローニング、発現及び精製は、実施例1に記述されている。ブタの心臓(IIa型)由来のグルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼはSigma(#G7005)から入手した。
ProAアルドラーゼ及びL−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼを用いた方法
反応混合物は、1リットル中に50mMの酢酸アンモニウム(pH8.0)、0.4mMのMgCl2、3mMのリン酸カリウム、0.05mMのリン酸ピリドキサール、100mMのピルビン酸アンモニウム、50mMのトリプトファン、10mMのα−ケトグルタラート、160mgの組換え型C.testosteroni ProAアルドラーゼ(未精製細胞抽出物、最高30%のアルドラーゼ)、233mgの組換え型E.coli L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(未精製細胞抽出物、最高40%のアミノトランスフェラーゼ)を含有していた。酵素を除く全ての成分を一緒に混合し、トリプトファンが溶解するまで30℃でインキュベートした。その後酵素を添加し、反応溶液を3.5時間穏やかに振盪しながら(100rpm)30℃でインキュベートした。酵素の添加から0.5時間及び1時間後に、固体トリプトファン(各々50mmol)のアリコートを反応に添加した。添加したトリプトファンが全て溶解したわけではなく、濃度は50mM以上に維持された。3.5時間後に、固体トリプトファンをろ過で除去した。標準として規定量のトリプトファンを用いたLC/MSによる反応混合物の分析は、溶液中のトリプトファンの濃度が60.5mMで、モナチンの濃度が5.81mM(1.05g)であることを示した。
最終産物を精製するためには以下の方法を使用した。透明溶液の90パーセントをBioRad AG50W−X8樹脂のカラム(225mL:1.7meq/mlの結合能力)に適用した。280nmでの吸収度が、第1のフロースルー画分の5%未満となるまで、カラムを水で洗浄し、300mLの画分を収集した。その後、カラムを1Mの酢酸アンモニウム(pH8.4)で溶出して、4300mLの画分を収集した。4つの画分は全て、モナチンを含有し、ぬるい水浴と共に回転蒸発装置を用いて105mLまでこれらの画分を蒸発させた。体積が縮小するにつれて沈殿物が形成し、これを蒸発プロセス全体にわたってろ過により除去した。
LC/MSによるカラム画分の分析は、カラムに対し99%のトリプトファン及びモナチンが結合することを示した。蒸発プロセス中に形成した沈殿物は、97%を上回るトリプトファンと2%未満のモナチンを含有していた。上清中のトリプトファン対産物の比はおよそ2:1であった。
0.5Lの1MのNaOH、0.2Lの水、1.0Lの1.0Mの酢酸アンモニウム(pH8.4)及び0.5Lの水で洗浄することによって、予め酢酸塩形態に変換された100mLの高速流DEAEセファロース(Amersham Biosciences)カラムに対して、上清(7mL)を適用した。上清を2mL/分未満で投入し、280nmでの吸収度が最高0となるまで3〜4mL/分でカラムを水で洗浄した。pH8.4の100mMの酢酸アンモニウムでモナチンを溶出し、100mLの4つの画分を収集した。
画分の分析は、フロースルー画分中のトリプトファン対モナチンの比G85:15であった。溶離剤画分中の比が7:93であることを示した。280nmのモナチンでの消散係数がトリプトファンと同じであると仮定すると、溶離剤画分は、0.146mmoleの産物を含有していた。合計1Lの反応に対する外挿によって、68%の回収のため、最高2.4mmoles(最高710mg)のモナチンが生成されることになった。
DEAEセファロースカラムからの溶離剤画分を、20mL未満まで蒸発させた。分析規模のモナチンの特徴づけについて例10で記述されているものと同じクロマトグラフィー条件を用いてC8分取逆相カラムに適用することによって、産物のアリコートをさらに精製した。m/z=293イオンの検出に基づいてモナチンの自動画分収集を始動させるため、Waters Fractionlynx(登録商標)ソフトウェアを利用した。モナチンのための対応するプロトン化された分子イオンを伴うC8カラムからの画分を収集し、乾燥に至るまで蒸発させ、その後、小さい体積の水の中で溶離させた。この画分を産物の特徴づけのために使用した。
結果として得た産物を、以下の方法を用いて特徴づけした。
UV/可視分光法。酵素的に産生されたモナチンのUV/可視分光計測を、Cary 100Bio UV/可視分光光度計を用いて実施した。水中に溶解させた精製済み産物は、インドール含有化合物の典型的な特徴である288nmにおけるショルダーを伴う280nmの最大吸収度を示した。
LC/MS分析。インビトロ生化学反応から誘導されたモナチンについての混合物の分析を、例10で記述されている通りに実施した。インビトロ酵素系合成混合物中のモナチンの標準的なLC/MS分析は、図5の中で例示されている。図5の下の図版は、m/z=293におけるモナチンのプロトン化された分子イオンについての選択されたイオンクロマトグラムを例示している。混合物中のモナチンのこの同定は、図6に例示された質量スペクトルにより確証された。LC/MSによる精製済み産物の分析は、293の分子イオン及び280nmでの吸収度での単一ピークを示した。質量スペクトルは、図6に示されているものと同一であった。
MS/MS分析。例10に記述したとおりのLC/MS/MS娘イオン実験も同様にモナチンについて実施された。モナチンの娘イオン質量スペクトルは図7に例示されている。図7で標識された全てのフラグメントイオンの構造帰属の試みが行なわれた。これらには、m/z=275(293−H2O)、257(293−(2×H2O))、230(275−COOH)、212(257−COOH)、168(3−ブタ−1,3−ジエニル−1H−インドールカルボニウムイオン)、158(1H−インドール−カルブアルデヒドカルボニウムイオン)、144(3−エチル−1H−インドールカルボニウムイオン)、130(3−メチレン−1H−インドールカルボニウムイオン)及び118(インドールカルボニウムイオン)のフラグメントイオンが含まれている。これらの多くは、分子のインドール部分から誘導された場合に予想される通り、MPについて得られたもの(例4)と同じである。その一部分は、ケトンに代ってアミノ基が存在することから、MPについて見られるものよりも1質量単位高い。
モナチンの正確な質量測定。図8は、Applied Biosystems-Perkin Elmer Q-Starハイブリッド四重極−飛行時間計測式質量分光計を用いた精製済みモナチンについて得られた質量スペクトルを例示している。内部質量較正標準としてトリプトファンを用いたプロトン化されたモナチンについての測定上の質量は、293.1144であった。元素組成C141725に基づいたプロトン化されたモナチンの計算上の質量は293.1137であった。これは、百万分の2(ppm)未満の質量測定誤差であり、酵素的に産生されたモナチンの元素組成の確証を提供している。
NMR分光法。NMR実験を、Varian Inova500MHzの計器上で実施した。0.5mLのD2O中に、モナチンの試料(最高3mg)を溶解させた。最初に、4.78ppmでの内部標準として溶媒(D2O)を使用した。水についてのピークは大きいものであったことから、水についてのピークを抑制しながら、1H−NMRを実施した。その後、水ピークの広さに起因して、基準ピークとしてモナチンのC−2プロトンを使用し、7,192ppmという公表済みの値にこれを設置した。
13C−NMRについては、数百回の走査の初期ランは、試料が希薄すぎて割当てられた時間内に適切な13Cスペクトルを得ることができないということを示した。従って、異核多量子コヒーレンス(HMQC)実験を実施し、これにより水素とそれが結合している炭素の相関関係づけが可能となり、又炭素の化学シフトについての情報も提供された。
表1及び2に 1H及びHMQCデータの要約が示されている。公表された値に比較することにより、NMRデータは、酵素的に産生されたモナチンが(S,S)、(R,R)又はその両方の混合物のいずれかであることを示した。
キラルLC/MS分析。インビトロで産生されたモナチンが1つの立体異性体であり、(R,R)及び(S,S)鏡像異性体の混合物ではなかったことを立証するために、例10で記述された計装を用いて、キラルLC/MS分析を実施した。
キラルLC分離を、室温で、ChirobioticT(Advanced Separation Technologies)キラルクロマトグラフィーカラムを用いて行なった。供給メーカーからの公表されたプロトコルに基づく分離と検出を、トリプトファンのR−(D)及びS−(L)立体異性体について最適化した。LC移動相は、A)0.05%(v/v)のトリフルオロ酢酸を含有する水;B)0.05%(v/v)のトリフルオロ酢酸を含有するメタノールで構成されていた。溶離は、70%A及び30%Bで定組成であった。流速は1.0mL/分であり、PDA吸収度は200nmから400nmまで監視された。トリプトファンとモナチンのキラルLC/MS分析のために使用される計器パラメータは、LC/MS分析のために実施例10で記述されているものと同一である。領域m/z150〜400についての質量スペクトルの収集が利用された。プロトン化分子イオンについての選択されたクロマトグラム(R−及びS−トリプトファンの両方について〔M+H〕+=205そしてモナチンについては〔M+H〕+=293)が、混合物中にこれらの分析物の直接的同定を可能にした。
キラルクロマトグラフィーによって分離されMSにより監視されたR及びS−トリプトファン及びモナチンのクロマトグラムは図9に示されている。モナチンのクロマトグラム中の単一のピークは、化合物がS−トリプトファンとほぼ同一の保持時間をもつ1つの立体異性体であることを示している。
Figure 2010279393
Figure 2010279393
偏光分析法。旋回度をRudolph Autopol III偏光分析計上で測定した。モナチンは、水中の14.6mg/mLの溶液として調製した。S,Sモナチン(塩形態)について予想された比旋回度(〔α〕D 20)は、水中の1g/mL溶液について−49.6である(Vleggaar et al)。観察された〔α〕D 20は、酵素によって産生された精製済みのモナチンについて−28.1であり、これは、それがS,S立体異性体であることを示していた。
改善
試薬及び酵素濃度を内含する反応条件を最適化し、pH8.3の50mMの酢酸アンモニウム、2mMのMgCl2、200mMのピルビン酸塩(ナトリウム又はアンモニウム塩)、5mMのα−ケトグルタラート(ナトリウム塩)、0.05mMのリン酸ピリドキサール、酵素の添加後に1mLの最終体積を達成するための脱気水、3mMのリン酸カリウム、50μg/mLの組換え型ProAアルドラーゼ(細胞抽出物:合計タンパク質濃度167μg/mL)、E.coli aspC遺伝子によりコードされた1000μg/mLのL−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(細胞抽出物:合計タンパク質濃度2500μg/mL)、及び60mM超の濃度(飽和済み:反応全体を通して一部未溶解)を提供するための固体トリプトファンといった試薬混合物を用いて5〜10mg/mLの収量を産生させた。混合物を穏やかに撹拌又は混合しながら30℃で4時間インキュベートした。
代用
α−ケトグルタラートの濃度を、1mMまで削減し、9mMのアスパラギン酸塩で補足して同等のモナチン収量を得ることができる。オキサロ酢酸塩といった代わりのアミノ酸受容体を第1段階で利用することができる。
E.coli L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼの代りに組換え型L.major広域基質アミノトランスフェラーゼを使用した場合、類似のモナチン収量が達成された。しかしながら、292という分子質量をもつ第2の未同定産物(主要産物の3〜10%)もLC−MS分析によって検出された。E.coli tyrBコード化酵素、S. mililoti tatAコード化酵素又はブタの心臓(IIa型)由来のグルタミン酸−オキサロ酢酸トランスアミナーゼをアミノトランスフェラーゼとして添加した場合、0.1〜0.5mg/mLのモナチン濃度が産生された。インドール−3−ピルビン酸から反応を開始した場合、(実施例7の場合と同様に)グルタミン酸デヒドロゲナーゼ及びNADHを用いて最後の段階として還元的アミノ化を行なうことができる。
酵素によりモナチンに産生するために、E.coli L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼと共に、B. subtilis, E.coli及びS.meliloti由来のKHGアルドラーゼも使用することができた。以下の反応条件を使用した:pH8.3の50mMのNH4−OAc、2mMのMgCl2、200mMのピルビン酸塩、5mMのグルタミン酸塩、0.05mMのリン酸ピリドキサール、酵素添加後に0.5mLの最終体積を達成するための脱気水、3mMのリン酸カリウム、20μm/mLの組換え型B.subtilis KHGアルドラーゼ(精製済み)、細胞抽出物から未精製の約400μg/mLのE.coli L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspC)、及び12mMのインドール−3−ピルビン酸。振盪しながら30℃で30分間、反応をインキュベートした。B. subtilis酵素を用いて産生されたモナチンの量は80ng/mLであり、漸増的量のアルドラーゼで増加させた。飽和量のトリプトファン及び5mMのα−ケトグルタラートでインドール−3−ピルビン酸及びグルタミン酸塩を置換した場合、モナチンの産生は360ng/mLまで増大した。飽和量のトリプトファンでpH8.3の50mMのトリス中の各々30μg/mLずつの3つのKHG酵素を用いて反応を反復し、検出を増大させるべく1時間進行させた。Bacillus酵素は、実施例4と同様最高の活性を有し、およそ4000ng/mLのモナチンを産生した。E.coli KHGは、3000ng/mLのモナチンを産生し、S. meliloti酵素は2300ng/mLを産生した。
実施例7
MPとモナチンの間の相互変換
モナチンを形成するためのMPのアミン化は、実施例1〜6において同定されたものといったようなアミノトランスフェラーゼ又はNADH又はNADPHといった還元補因子を必要とするデヒドロゲナーゼによる触媒作用を受けることができる。これらの反応は可逆的であり、いずれの方向にでも測定できる。方向性は、デヒドロゲナーゼ酵素を使用する場合、アンモニウム塩の濃度によって主として制御可能である。
デヒドロゲナーゼ活性。NAD(P)+がより発色性のNAD(P)Hに変換されるにつれての340nmにおける吸収度の増加を追跡調査することによってモナチンの酸化的脱アミノ化を監視した。モナチンを、実施例6で記述されているように、酵素的に産生させ精製した。
標準的検定混合物は、0.2mL中に50mMのトリス−HCl、pH8.0〜8.9、0.33mMのNAD+又はNADP+、2〜22単位のグルタミン酸デヒドロゲナーゼ(Sigma)及び10〜15mMの基質を含有していた。分子デバイスSpectraMax Plus平板読取装置上で、UV透過性マイクロタイタープレート内で、検定を二点で実施した。酵素、緩衝液及びNAD(P)+のミックスを、基質を含有するウェル内にピペットで取り、簡単に混合した後10秒の間隔で340nmにおける吸収度の増加を監視した。10分間25℃で反応をインキュベートした。基質の添加無しで、負の対照を実施し、グルタミン酸塩を正の対照として利用した。ウシの肝臓由来のIII型グルタミン酸デヒドロゲナーゼ(Sigma#G−7882)は、グルタミン酸塩からα−ケトグルタラートへの変換速度のおよそ100分の1の変換速度でモナチンからモナチン前駆物質への変換の触媒として作用した。
アミノ基転移活性。E.coli由来のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspC)、E.coli由来のチロシンアミノトランスフェラーゼ(TyrB)、L. major由来の域基質アミノトランスフェラーゼ(BSAT)及び例1で記述された2つの市販のブタグルタメート−オキサロ酢酸アミノトランスフェラーゼを用いて、モナチンアミノトランスフェラーゼ検定を実施した。オキサロ酢酸塩及びα−ケトグルタラートの両方をアミノ受容体としてテストした。検出混合物は、(0.5mL中に)50mMのトリス−HCl、pH8.0、0.05mMのPLP、5mMのアミノ受容体、5mMのモナチン及び25μgのアミノトランスフェラーゼを含有していた。検定を30分間30℃でインキュベートし、0.5mLのイソプロピルアルコールを添加することにより、反応を停止した。モナチンの喪失をLC/MCによって監視した(例10)。アミノ受容体としてオキサロ酢酸塩を伴うL. majol BSATで、最高量の活性が見られ、その後にアミノ受容体としてα−ケトグルタラートを伴う同じ酵素が続いた。オキサロ酢酸塩での相対的活性は、BSAT>AspC>ブタIIa型>ブタI型=TyrBであった。α−ケトグルタラートでの相対的活性は、BSAT>AspC>ブタI型>ブタIIa型>TyrBであった。
実施例8
ピルビン酸塩以外のC3供給源及びトリプトファンからのモナチンの産生
実施例6で上述した通り、C3分子としてピルビン酸塩を用いてインドール−3−ピルビン酸又はトリプトファンをモナチンに変換することができる。ただし、一部の状況下では、ピルビン酸塩が望ましい原料でない可能性がある。例えば、ピルビン酸塩はその他のC3炭素供給源より高価であり、そうでなければ、培地に添加された場合に発酵に対する不利な効果を有する可能性もある。数多くのPLP−酵素によりアラニンをアミノ基転移してピルビン酸塩を産生することができる。トリプトフィナーゼ様の酵素は、アミノトランスフェラーゼといったようなその他のPLP酵素よりも速くβ−脱離反応を実施する。このクラスからの酵素(4.1.99−)は、O−メチル−L−セリン、O−ベンジル−L−セリン、S−メチルシステイン、S−ベンジルシステイン、S−アルキル−L−システイン、O−アシル−L−セリン、3−クロロ−L−アラニンといった優れた脱離基を伴う、L−セリン、L−システイン及びセリン及びシステインの誘導体といったアミノ酸からアンモニアとピルビン酸塩を産生することができる。
EC4.1.99−ポリペプチドを用いてモナチンを産生するプロセスは、Mouratou et al.(J.Biol. Chem274:1320−5、1999)の方法に従ってβ−チロシナーゼ(TPL)又はトリプトファナーゼを突然変異させることにより、改良することができる。Mouratou et al.は、自然に発生することが報告されていないジカルボンアミノ酸β−リアーゼへとβ−リロシナーゼを変換する能力について記述している。特異性の変化は、バリン(V)283をアルギニン(R)にそしてアルギニン(R)100をトレオニン(T)に変換させることによって達成された。これらのアミノ酸変化により、リアーゼは加水分解脱アミノ化反応(例えばアスパラギン酸塩)のためにジカルボンアミノ酸を受諾することができる。従ってアスパラギン酸塩は、その後のアルドール縮合反応のためのピルビン酸塩供給源として使用することもできる。
更に、細胞又は酵素反応装置に、乳酸塩及び乳酸塩をピルビン酸塩へと変換する酵素を供給することができる。この反応の触媒として作用する能力をもつ酵素の例としては、乳酸デヒドロゲナーゼ及び乳酸オキシダーゼが含まれる。
反応混合物は、pH8.3の50mMのトリス−Cl、2mMのMgCl2、200mMのC3炭素源、5mMのα−ケトグルタラーゼ、ナトリウム塩、0.05mMのリン酸ピリドキサール、酵素の添加後0.5mLの最終体積を達成するための脱気水、pH7.5の3mMのリン酸カリウム、実施例4で調製されたような25μgの粗製組換え型C、testosteroni ProAアルドラーゼ、実施例1で調製されたような500μgの粗製L−アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspC)、60mM超の濃度(飽和済み:反応全体を通して一部未溶解)を提供するための固体トリプトファンで構成されていた。反応ミックスと、混合しながら30℃で30分間インキュベートした。3−炭素源としてセリン、アラニン及びアスパラギン酸塩を供給した。β−脱離及びβ−リアーゼ反応を実施する能力をもつ(精製済みの)二次的PLP酵素(トリプトファナーゼ(TNA)、2重変異体トリプトファナーゼ、β−チロシナーゼ(TPL))を伴って及び伴わずに検定を実施した。結果は表3に示されている。
Figure 2010279393
3炭素源としてアラニン及びセリンから産生されたモナチンを細胞/MS/MS娘走査分析により確認し、これは、例6で産生された特徴づけされたモナチンと同一であった。アラニンは、テストされた最良の代替案であり、AspC酵素によりアミノ基転移された。二次的活性としてアミノ基転移の能力をもつトリプトファナーゼを添加することによって産生されたモナチンの量を増加させた。セリンを炭素源として用いて産生させたモナチンの量は、アミノトランスフェラーゼに比べてわずか5分の1の量のトリプトファナーゼしか添加されない場合でも、トリプトファナーゼ酵素の添加ではほぼ倍増した。AspCは、単独で幾分かの量のβ−脱離活性を発揮する能力をもつ。アスパラギン酸での結果は、アスパラギン酸に対するトリプトファナーゼ活性が、β−チロシナーゼについて以前に提案されたものと同じ部位特異的突然変異と共に増大しないということを示している。
実施例9
モナチンの化学合成
インドール−3−乳酸に対するアラニンの添加はモナチンを産生し、この反応は、グリニャール又は有機リチウム試薬を用いて合成的に実施可能である。
例えば、カルボキシル及びアミノ基が保護されている3−クロロ又は3−ブロモ−アラニンに対して、無水条件下でマグネシウムを添加する。その後インドール−3−ピルビン酸(好適に保護されたもの)を添加して、カップリングした産物を形成しその後続いて保護基を除去しモナチンを形成させる。特に有用な保護基としては、容易に付着され除去されるTHP(テトラヒドロピラニルエーテル)が含まれる。
実施例10
トリプトファン、モナチン及びMPの検出
この実施例は、モナチン又はその前駆物質2−ヒドロキシ2−(インドール−3−イルメチル)−4−ケトグルタル酸の存在を検出するのに用いられる方法について記述している。
LC/MS分析
インビトロ又はインビボでの生化学反応から誘導されたモナチン、MP及び/又はトリプトファンについての混合物の分析を、クロマトグラフとMicromars Quattro Ultimaトリプル四重奏質量分光計の間で直列に設置されたWaters996フォトダイオードアレイ(PDA)吸収度モニターを伴うWaters 2690液体クロマトグラフを含むWaters/Micromass液体クロマトグラフィー縦列質量分光分析(LC/MS/MS)計器を用いて実施した。室温でSupelco Discoery C18逆相クロマトグラフィーカラム2.1mm×150mm、又はXterraMSC8逆相クロマトグラフィーカラム、2.1mm×250mmを用いてLC分離を行なった。LC移動相は、A)0.05%(v/v)のトリフルオロ酢酸と、B)0.05%(v/v)トリフルオロ酢酸を含有するメタノールで構成されていた。
勾配溶離は、各操作の間に10分の再平衡時間を伴って、5%のBから35%のBまで線形、35%のBから90%のBまで線形、9〜16分、90%のBで定組成、16〜20分、90%のBから5%Bまで線形、20〜22分であった。流速は0.25mL/分でPDA吸収度を200nmから400nmまで監視した。ESI−MSの全てのパラメータを問題の分析物のプロトン化された分子イオン(〔M+H〕+)の生成及び特徴的フラグメントイオンの産生に基づいて最適化し選択した。
モナチンのLC/MS分析のためには、以下の計器パラメータを用いた;キャピラリ:3.5kV;コーン:40V;Hex1:20V;アパーチャ:OV;Hex2:OV;供給源温度:100℃;脱溶媒和ガス:500L/時:コーンガス;50L/時;低質量分解能(Q1):15.0;高質量分解能(Q1):15、0;イオンエネルギー:0.2;入口:50V;衝突エネルギー:2;出口:50V;低質量分解能(Q2):15;高質量分解能(Q2):15;イオンエネルギー(Q2):3.5;乗数:650。報告された質量/電荷比(m/z)及びモル質量についての不確実性±0.01%である。モナチンのα−ケト酸形態(MP)及びモナチンの混合物中での初期検出は、領域m/z150〜400についての質量スペクトルの収量を伴うLC/MS監視によって達成された。プロトン化された分子イオンについての選択されたイオンクロマトグラム(MPについて〔M+H〕+=292、モナチンについて〔M+H〕+=293)は混合物中のこれらの分析物の直接的同定を可能にした。
MS/MS分析
モナチンについて、LC/MS/MS娘イオン実験を以下のように実施した。娘イオン分析には、第1の質量分析装置(Q1)から質量分析計の衝突セル内への問題の親イオン(例えばモナチンについてm/z=293)の透過が関与し、ここでアルゴンが導入され、親イオンをフラグメント(娘)イオンへと化学的に解離する。これらのフラグメントイオンを次に第2の質量分析計(Q2)で検出し、親の構造帰属を確証するためにこれを使用することができる。トリプトファンをm/z=205の透過及び断片化を介して同じ要領で特徴づけし定量した。
モナチンのLC/MS/MS分析のためには以下の計器パラメータを使用した:キャピラリ:3.5kV;コーン:40V;Hex1:20V;アパーチャ:OV;Hex2:OV;供給源温度:100℃;脱溶媒和温度:350℃;脱溶媒和ガス:500L/時:コーンガス;50L/時;低質量分解能(Q1):13.0;高質量分解能(Q1):13.0;イオンエネルギー:0.2;入口:−5V;衝突エネルギー:14;出口:1V;低質量分解能(Q2):15;高質量分解能(Q2):15イオンエネルギー(Q2):3.5;乗数:650。
モナチン及びトリプトファンの高速大量処理判定
インビトロ又はインビボ反応から誘導されたモナチン及びトリプトファンについての混合物の高速大量処理分析(<5分/試料)を、上述の計装及びLC/MS/MSについて記述されたものと同じパラメータを用いて実施した。室温で4.6mm×50mmのAdvanced Separation Technologies のChirobioticTカラムを用いてLC分離を行なった。LC移動相は、A)0.25%の酢酸を含有する水;B)0.25%の酢酸を含有するメタノールで構成されていた。定組成溶離は50%B、0〜5分であった。流速は0.6mL/分であった。ESI−MS/MSシステムのパラメータを、トリプトファン及び内部標準25−トリプトファンのプロトン化された分子イオンの最適な供給源内生成並びに多重反応監視(MRM)実験のためのアミノ酸特異的フラグメントイオンの衝突誘発された産生に基づいて最適化し選択した。陽イオン多重反応監視(mm)モードでのモナチン及びトリプトファンのLC/MS/MS分析のためには、以下の計器パラメータを使用した:キャピラリ:3.5kV;コーン:20V;Hex1:15V;アパーチャ:1V;Hex2:OV;供給源温度:100℃;脱溶媒和温度:350℃;脱溶媒和ガス:500L/時:コーンガス;40L/時;低質量分解能(Q1):12.0;高質量分解能(Q1):12.0;イオンエネルギー:0.2;入口:−5V;衝突エネルギー:14;出口:1V;低質量分解能(Q2):15;高質量分解能(Q2):15;イオンエネルギー(Q2):0.5;乗数:650。MRMパラメータ;チャネル間遅延:0.03秒;走査間遅延:0.03秒;滞留時間:0.05秒。
モナチンの正確な質量測定
高分解能MS分析を、Applied Biosystems-Perkin Flmer Q−Starハイブリッド四重極/飛行時間型質量分光計を用いて実施した。プロトン化されたモナチンのための測定上の質量は、内部質量較正標準としてトリプトファンを使用した。元素組成C141725に基づくプロトン化モナチンの計算上の質量は、293.1137である。例Aで記述された生体触媒プロセスを用いて産生させたモナチンは、293.1144という測定上の質量を示した。これは、百万分の2(ppm)未満の質量測定誤差であり、酵素により産生されたモナチンの元素組成の確証を提供している。
実施例11
細菌内でのモナチンの産生
この実施例は、E.coli細胞内でモナチンを産生するのに用いられる方法について記述している。当業者であれば、その他の細菌細胞内でモナチンを産生させるために類似の方法を使用できるということを理解するであろう。さらに、モナチン合成経路(図2)内でその他の遺伝子を含有するベクターを使用することが可能である。
Trp−1+グルコース培地、すなわちE.coli細胞中のトリプトファンの産生の増加に使用されてきた最小培地(Zeman et al., Folia Microbiol. 35:200−4、1990)を以下のように調製した。700mLのナノ純水に対して、以下の試薬を添加した:2g(NH42SO4、13.6gのKH2PO4、0.2gのMgSO4・7H2O、0.01gのCaCl2・2H2O及び0.5mgのFeSO4・7H2O。pHを7.0に調整し、体積を850mLまで増大させ、培地をオートクレーブ処理した。50%のグルコース溶液を別途調製し、滅菌ろ過した。1Lの最終体積となるよう、40mLを基本培地(850mL)に加えた。
pH7の0.1Mのリン酸ナトリウム内で10g/LのL−トリプトファン溶液を調製し、滅菌ろ過した。標準的に10分の1の体積を以下で規定する通り培地に添加した。10%のピルビン酸ナトリウム溶液も調製し、滅菌ろ過した。標準的に培養1リットルにつき10mLのアリコートを使用した。アンピシリン(100mg/mL)、カナマイシン(25mg/mL)及びIPTG(840mM)の原液を調製し、滅菌ろ過し、使用するまで−20℃で貯蔵した。0.2%(体積/体積)の最終濃度でTween20(ポリオキシエチレン20−ソルビタンモノラウレート)を利用した。標準的に1〜10μg/mLの最終濃度という非致死濃度でアンピシリンを使用した。
50μg/mLのカナマイシンを含有するLB培地上で、E.coli BL21(DE3)::C.testosteroni ProA/pET30Xa/LIC(例4で記述済み)の新鮮な平板を調製した。単一コロニーから一晩の培養(5mL)を接種し、カナマイシンと共に50μg/mLのLB培地内で30℃で成長させた。trp−1+グルコース培地中での誘発のためには、標準的に1〜50個の接種材料を使用した。50mg/Lの最終濃度に対して新鮮な抗生物質を添加した。誘発に先立ち、振盪フラスコを37℃で培養した。
0.35〜0.8のOD600が得られるまで毎時細胞を試料採取した。その後0.1mMのIPTGで細胞を誘発し、温度は34℃まで低下させた。誘発(ゼロ時点)に先立って試料(1mL)を収集し、5000×gで遠心分離に付した。LC/MS分析のために、−20℃で上清を凍結させた。誘発から4時間後に、さらに1mLの試料を収集し、遠心分離に付して細胞ペレットからブロスを分離した。上述の通り、トリプトファン、ピルビン酸ナトリウム、アンピシリン及びTweenを添加した。
誘発後48時間細胞を成長させ、さらに1mLの試料を取り、上述の通りに前処理した。48時間後に、トリプトファンとピルビン酸塩のもう1つのアリコートを添加した。4℃、3500rpmで20分間、約70時間の成長(誘発後)の後、培養体積全体を遠心分離に付した。上清を傾瀉し、ブロス及び細胞の両方を−80℃で凍結させた。ブロス画分をろ過し、LC/MSにより分析した。〔M+H〕+=293ピークの高さ及び面積を実施例10で記述されている通りに監視した。培地のバックグラウンドレベルを減算した。又、〔M+H〕+=293ピークの高さを600nmにおける培地の光学密度で除したものをプロットすることにより、細胞の成長についてデータを正規化もした。
誘発時ではなくむしろ誘発から4時間後にピルビン酸塩、アンピシリン及びTweenを添加した場合に、より高いレベルのモナチンが産生された。PLP、付加的なリン酸塩又は付加的なMgCl2といったその他の添加物はモナチンの産生を増大させなかった。インドール−3−ピルビン酸の代わりにトリプトファンを利用した場合、そして接種時又は誘発時にではなく誘発後にトリプトファンを添加した場合に、より高い力価のモナチンが得られた。誘発に先立って、及び誘発から4時間後(基質添加の時点で)、発酵ブロス又は細胞抽出物中に検出可能なモナチンレベルは標準的に全く存在しなかった。pET30aベクターのみを伴う細胞並びにトリプトファンとピルビン酸塩が添加されなかった培養を用いて負の対照を行なった。親MS走査は、(m+1)/Z=293の化合物が比較的大きな分子から誘導されていないこと及び娘走査(例10の通りに実施されたもの)がインビトロで作られたモナチンを類似していることを実証した。
0、0.2%(体積/体積)及び0.6%の最終濃度のTween−20を利用することにより、Tweenの効果を研究した。振盪フラスコにより産生されたモナチンの最大量は、0.2%のTweenにおけるものであった。アンピシリン濃度は0〜10μg/mLの間で変動させた。細胞ブロス中のモナチンの量は、0〜1μg/mLの間で急速に(2.5X)増大し、アンピシリン濃度が1から10μg/mLまで増大した場合、1.3倍増大した。
標準的結果を示す経時変化実験が図10に示されている。細胞ブロス内に分泌されたモナチンの量は、細胞成長について値が正規化される場合でさえ、増大した。トリプトファンのモル消散係数を用いることにより、ブロス内のモナチンの量は、10μg/mL未満であると推定された。ProAインサート無しでベクターを含有する細胞を用いて、同じ実験を反復した。数の多くは負であり、これは、m/z=293でのピーク高さが、培地単独中よりもこれらの培養中でより低いものであったことを表わしている(図10)。トリプトファン及びピルビン酸塩が不在である場合、数は一貫してより低いものであり、これは、モナチン産生がアルドラーゼ酵素による触媒作用を受ける酵素反応の結果であることを実証している。
細菌細胞中のモナチンのインビボ産生を800mL入り振盪フラスコ実験及び発酵装置中で反復させた。アニオン交換クロマトグラフィー及び分取逆相液体クロマトグラフィーにより、250mLのモナチン試料(細胞を含まないブロス中)を精製した。この試料を蒸発させ、(実施例6に記述されている)高分解能質量分析に付した。高分解能のMSは、産生中の代謝物がモナチンであることを示した。
インビトロ検定は、アミノトランスフェラーゼがアルドラーゼよりも高いレベルで存在する必要があること(実施例6参照)、従って、E.coliからのアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼがアルドラーゼ遺伝子と組合せた形で過剰発現され、産生されたモナチンの量を増大させたことを示している。プライマーは、以下のようにaspC/pET30Xa/LICを伴うオペロン内にC.testosteroni ProAを導入するように設計された:
5’プライマー:ACTCGGATCCGAAGGAGATATACATATGTACGAACTGGGACT(配列番号67)及び3’プライマー:CGGCTGTCGACCGTTAGTCAATATATTTCAGGC(配列番号68)。
5’プライマーは、BamHI部位を含み、3’プライマーはクローニングのためのSalIを含む。例4に記述されている通りにPCRを実施し、ゲル精製した。PCR産物と同様に、aspC/pET30Xa/LIC構成体をBamHI及びSalIで消化させた。Quiagenスピンカラムを用いて、消化物を精製した。メーカーの使用説明書に従って、Roche Rapid DNAライゲーションキット(Indianapolis, IN)を用いて、ベクターに対し、ProA PCR産物をライゲートした。実施例1に記述されているように、Novablues Singles(Novagen)を用いて化学的形質転換を行なった。50mg/Lのカナマイシンを含むLB培地中でコロニーを成長させ、Quiagenスピンミニプレップキットを用いてプラスミドDNAを精製した。制限消化物分析によりクローンをスクリーニングし、配列をSeqwright(Houston, TX)を確認した。構成体を、BLR(DE3)、BLR(DE3)pLysS、BL21(DE3)及びBL21(DE3)pLysS(Novagen)内にサブクローニングした。ProA/pET30Xa/LIC構成体を同様に、BL21(DE3)pLysSへと形質転換した。
上述の標準的条件下でのBLR(DE3)振盪フラスコ試料の初期比較は、第2の遺伝子(aspC)の添加が産生されたモナチンの量を7倍改善することを実証した。成長を早めるため、BL21(DE3)由来の宿主菌株を使用した。ProAクローン及び2つの遺伝子オペロンクローンを上述の通りTrp−1培地中で誘発させ、pLysS宿主は、培地にも添加された状態でクロラムフェニコール(34mg/L)を有していた。0.2%のTween−20及び1mg/Lのアンピシリンの添加を伴って及び伴わずに、振盪フラスコ実験を実施した。ブロス中のモナチンの量を、インビトロで産生した精製済みモナチンを標準として用いて計算した。実施例10で記述されている通りに、SRM分析を実施した。細胞をゼロ、4時間、24時間、48時間、72時間及び96時間の成長時点で試料採取した。
結果は、培養ブロス中で産生された最大量について表4に示されている。大部分のケースにおいて、2つの遺伝子構成体は、ProA構成体単独よりも高い値を示した。Leakier 細胞エンベロープを有するべきであるpLysS菌株は、たとえこれらの菌株が標準的により緩慢な速度で成長するとしても、より高いレベルのモナチンを分泌させた。Tween及びアンピシリンの添加は有益であった。
Figure 2010279393
実施例12
酵母中でのモナチンの産生
この実施例は、真核細胞中でモナチンを産生させるのに使用される方法について記述している。当業者であれば、問題となっているいずれの細胞の中でモナチンを産生させるのにも類似の方法を使用できるということがわかるだろう。さらに、この実施例に記述されているものに加えて又はその代わりにその他の遺伝子(例えば図2に列挙されているもの)を使用することも可能である。
Saccharomyces cerevisiaeの中にE.coli aspC及びC. testosteroni ProA遺伝子をクローニングし発現するために、pESC酵母エピトープタグ付けベクター系(Stratagene, La Jolla, CA)を使用した。pESCベクターは、2つの全く異なる多重クローニング部位が2つの遺伝子の発現を同時に可能にする状態で、相対するストランド上にGAL1及びGAL10の両方のプロモーターを含有している。pESC−Hisベクターは同様に、宿主(YPH500)中のヒスチジン栄養要求性の補完のためのHis3遺伝子をも含有している。GAL1及びGAL10プロモーターはグルコースにより抑制され、ガラクトースにより誘発される。酵母内の最適な発現のためにKozak 配列が利用される。pESCプラスミドはシャトルベクターであり、(選択のためのbla遺伝子と共に)E.coli内で初期構成体を製造できるようにする。しかしながら、多重クローニング部位の中には、いかなる細菌リボソーム結合部位も存在しない。
以下のプライマーは、pESC−His内へのクローニングのために設計された(制限部位は下線が付され、Kozak配列は太字で表わされている):aspC(BamHISalI)、GAL1:5’−CGCGGATCCATAATGGTTGAGAACATTACCG−3’(配列番号69)及び5’−ACGCGTCGACTTACAGCACTGCCACAATCG−3’(配列番号70)。ProA(EcoRI/NotI)、GAL10:5’−CCGGAATTCATAATGGCGAACTGGGAGTTGT−3’(配列番号71)及び5’−GAATGCGGCCGCTTAGTCAATATATTTCAGGCC−3’(配列番号72)。
両方の成熟タンパク質のための第2のコドンは、Kozak 配列の導入に起因して芳香族アミノ酸からバリンへと変化した。問題の遺伝子は、実施例1及び4に記述されたクローンからのpET30Xa/LICミニプレップDNAを鋳型として使用して増幅した。50μLの反応について、1.0μLの鋳型、各プライマー1.0μMずつ、0.4mMの各dNTP、3.5UのExpand High Fidelity Polymerase(Roche, Indianapolis, IN)及び1倍のMgを伴うExpand(登録商標)緩衝液というプロトコル及びEppendorf Master サイクラー勾配サーモサイクラーを用いて、PCRを実施した。使用したサーモサイクラプログラムは、5分間94℃での高温始動とそれに続く、30秒94℃、1分45秒50℃及び2分15秒72℃というステップの反復29回で構成されていた。29回の反復の後、試料を10分間72℃に維持し、次に4℃に貯蔵した。1%TAE−アガロースゲル上での分離とそれに続くQIA quick Gel Extraction Kit(Qiagen, Valencia, CA)を用いた回収により、PCR産物を精製した。
上述の通りにpESC−HisベクターDNA(2.7μg)をBamHI/SalIで消化させ、ゲル精製した。aspCPCR産物をBam HI/SalIで消化し、QIAquickPCR精製カラムで精製した。メーカーのプロトコルに従って、Roche Rapid DNAライゲーションキットでライゲーションを実施した。メーカーの使用説明書に従ってパルスコントローラープラスを伴うBiorad Gene PulserIIを用いて0.2cmのBiorad使い捨てキュベット内で40μlのElectromax DH10Bコンピテント細胞(Invitrogen)内に脱塩済みライゲーションを電気穿孔した。1mLのSOC培地内で1時間回収した後、100μg/mLのアンピシリンを含有するLB培地上で形質転換体を平板固定した。クローンのためのプラスミドDNA調製を、QIAprep Spin Miniprep Kitsを用いて行なった。プラスミドDNAを制限消化物によりスクリーニングし、ベクターのために設計されたプライマーを用いて確認のため配列決定した(Seqwright)。
ProA PCR産物と同様に、aspC/pESC−HisクローンをEcoRI及びNotIで消化した。DNAを上述の通りに精製し、上述の通りにライゲートした。2つの遺伝子構成体をDH10B細胞に形質転換させ、制限消化物及びDNA配列決定によってスクリーニングした。
S.c. Easy Comp(登録商標)形質転換キット(Invitrogen)を用いて、S. cerevisiae菌株YPH500へと構成体を形質転換させた。形質転換反応を、2%のグルコースを含有するSC−His最小培地(Invitrogen pYES2manual)上に平板固定した。個々の酵母コロニーを、上述のPCRプライマーを用いてコロニーPCRによりProA及びaspC遺伝子の存在についてスクリーニングした。ペレット化した細胞(2μl)を、1μlのザイモラーゼを含有する20μLのY−Lysis Buffer(Zymo Research)中で懸濁させ、10分間37℃で加熱した。次に、PCR反応混合物及び上述のプログラムを用いて、50μLのPCR反応の中で4μLのこの懸濁液を使用した。
30℃及び225rpmでSC−His+グルコース上で一晩5mLの培養を成長させた。ガラクトースでの誘発に先立つ遅滞期間を最小限にするべく、ラフィノース上での成長に対し漸進的に細胞を調製した。約12時間の成長の後、600nmでの吸収度測定を行ない、適切な体積の細胞をスピンダウンさせて再懸濁させ新鮮なSC−His培地内で0.4のODを提供した。以下の炭素源を逐次的に使用した:1%のラフィノース+1%のグルコース、0.5%のグルコース+1.5%のラフィノース、2%のラフィノース及び最後に誘発のための1%のラフィノース+2%のガラクトース。
誘発培地内のおよそ16時間の成長の後、50mLの培養を25mLの二点の培養に分割し、二点の一方のみに以下のものを添加した:(最終濃度)1g/LL−トリプトファン、5mMのリン酸ナトリウムpH7.1。1g/Lのピルビン酸ナトリウム、1mMのMgCl2。非誘発培地からの及びモナチン経路のための基質の添加に先立つ16時間の培養由来のブロス及び細胞ペレットの試料を負の対照として取っておいた。さらに、もう1つの負の対照として、機能的aspC遺伝子(及び一部欠失ProA遺伝子)のみを含有する構成体を利用した。誘発後合計69時間、細胞を成長させた。時折、酵母細胞をより低いOD(光学密度)で誘発させ、トリプトファン及びピルビン酸塩を添加する前6時間だけ成長させた。しかしながら、これらのモナチン基質は、成長を阻害するように思われ、より高いODでの添加がより効率の良いものであった。
培養からの細胞ペレットは、前出の例で記述されているように、プロテアーゼ阻害物質とベンゾアナーゼヌクレアーゼの添加を伴って、メーカーのプロトコルに従い細胞1グラム(湿潤重量)あたり5mLのYeast Buster(登録商標)+50μlのTHP(Novagen)で、培養からの細胞ペレットを溶解させた。培養ブロス及び細胞抽出物をろ過し、実施例10で記述されているようにSRMにより分析した。この方法を用いて、ブロス試料中にはいかなるモナチンも検出されず、これらの条件下では細胞がモナチンを分泌し得ないことを示していた。これらの条件下では、プロトン駆動力は不充分であるかもしれず、そうでなくても、一般的アミノ酸輸送物質がトリプトファンで飽和される可能性がある。タンパク質発現は、SDS−PAGEを用いて変化を検出できるようにするレベルにはなかった。
トリプトファン及びピルビン酸塩を培地に添加した場合、2つの機能的遺伝子で培養の細胞抽出物中で過渡的にモナチンを検出することができた(およそ60ng/mL)。負の対照細胞抽出物のいずれにおいても、モナチンは検出されなかった。実施例6に記述されている最適化された検定を用いて、4.4mg/mLの合計タンパク質(E.coli 細胞抽出物について標準的に使用されるものの約2倍)で二点でモナチンについてのインビトロ検定を実施した。細胞抽出物内でどの酵素が制限的であるかを見極めるために、32μg/mLのC.testosteroni ProAアルドラーゼ又は400μg/mLのAspCアミノトランスフェラーゼのいずれかを添加して、その他の検定を実施した。酵素を全く添加せずに、又はAspCアミノトランスフェラーゼのみを添加して(アルドール縮合は、酵素無しで或る程度発生し得る)、負の対照を実施した。16μg/mLのアルドラーゼ及び400μg/mLのアミノトランスフェラーゼを用いて、正の対照を部分的に純粋な酵素(30〜40%)で実施した。
SRMによりインビトロ結果を分析した。細胞抽出物の分析は、トリプトファンが、誘発後に培地に添加された時点で細胞内に有効に輸送され、その結果付加的なトリプトファンが全く添加されなかったものより2桁分高いトリプトファンレベルをもたらす、ということを示した。インビトロモナチン分析についての結果は、表5に示されている(数字はng/mLを示している)。
Figure 2010279393
基質が増殖培地に添加された状態及び添加されない状態の完全2遺伝子構成体細胞抽出物で、陽性の結果が得られた。これらの結果は、正の対照と比較して、酵素が酵母内で1%の合計タンパク質に近いレベルで発現されたことを示している。(一部欠失ProAを伴う)aspC構成体の細胞抽出物をアルドラーゼと共に検定した場合の産生されたモナチンの量は、細胞抽出物が単独で検定された場合よりも著しく多く、組換え型AspCアミノトランスフェラーゼが酵母合計タンパク質のおよそ1〜2%を構成するということを表わしている。未誘発培養の細胞抽出物は、細胞内の未変性アミノトランスフェラーゼの存在に起因して、アルドラーゼと共に検定した場合、少量の活性を有していた。AspCアミノトランスフェラーゼと共に検定した場合、未誘発細胞からの抽出物の活性は、AspC(約200ng/mL)を伴う負の対照により産生されるモナチンの量まで増大した。これとは対照的に、2つの遺伝子構成体細胞抽出物を検定する場合に見られる活性は、アルドラーゼが添加された場合に比べアミノトランスフェラーゼが補足された場合の方がより多く増大する。両方の遺伝子共同じレベルで発現されなくてはならないことから、これは、実施例6に示されている結果と合致して、アミノトランスフェラーゼのレベルがアルドラーゼのレベルよりも高い場合に産生されるモナチンの量が最大となるということを表わしている。
ピルビン酸塩及びトリプトファンの添加は、細胞の成長を阻害するだけではなく、見かけ上タンパク質の発現をも阻害する。成長、発現及び分泌に対する効果がより少ない状態でトリプトファンを供給する手段を提供するべく、YPH500宿主細胞のトリプトファン栄養要求性を補正するためにpESC−Trpプラスミドの添加を用いることができる。
実施例13
カップリングされた反応を用いた酵素プロセスの改善
理論的には、基質又は中間体のいかなる副反応も分解も起こらない場合、図1に例示されている酵素反応から形成された最大量の産物は、各反応の平衡定数及びトリプトファン及びピルビン酸塩の濃度に正比例する。トリプトファンは、溶解度の非常に高い基質ではなく、200mMを超えるピルビン酸塩の濃度は、収量に対しマイナスの効果を及ぼすと思われる(実施例6参照)。
理想的には、モナチンの濃度は、分離コストを削減するべく基質との関係において最大限にされる。反応混合物からモナチンを除去し、逆反応が起こるのを防ぐように、物理的な分離を行なうことができる。原料及び触媒を次に再生することができる。サイズ、電荷及び疎水性に関してモナチンがいくつかの試薬及び中間体に類似していることから、(アフィニティクロマトグラフィー技術のように)モナチンに対する大量の親和性が存在しないかぎり物理的な分離は困難であろう。しかしながら、系の平衡をモナチン産生に向かってシフトさせるようにモナチン反応をその他の反応にカップリングさせることが可能である。以下に示すのは、トリプトファン又はインドール−3−ピルビン酸から得たモナチンの収量を改善するためのプロセスの例である。
オキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(EC4.1.1.3)を用いたカップリングされた反応
図11は、該反応の例示である。インドール−3−ピルビン酸産生の方向で反応を促すためにトリプトファンオキシダーゼ及びカタラーゼが利用される。カタラーゼは、過酸化水素が逆方向に反応するため又は酵素又は中間体に損傷を加えるために利用できないように余剰に使用される。酸素はカタラーゼ反応の間に再生される。あるいは、基質としてインドール−3−ピルビン酸を使用することができる。
MPのアミノ化のためにアミノ供与体としてアスパラギン酸塩が使用され、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼが利用される。理想的には、インドール−3−ピルビン酸を再アミノ化するためにアスパラギン酸塩が利用されないように、MPが1モナチンへの反応に比べトリプトファン/インドール−3−ピルビン酸反応に対する特異性が低いアミノトランスフェラーゼが使用される。オキサロ酢酸をピルビン酸塩と二酸化酸素に変換させるために、オキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(Pseudomonas sp由来)を添加することができる、CO2は、揮発性であることから、酵素との反応に利用可能でなく逆反応を減少させるかさらには防止する。この段階で産生されたピルビン酸塩は同様に、アルドール縮合反応においても利用可能である。その他のデカルボキシラーゼ酵素も使用でき、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Aquifex aeolicus、Archaeoglobus fulgidus、Azotobactor vinelandii、Bacteroides fragilis、複数のBordetella種、Campylobacter jejuni、Chlorobium tepidum、Chloroflexus aurantiacus、Enterococcus faecalis、Fusobacterium nucleatum、Klebsiella pneumoniae、Legionella pneumophila、Magnetococcus MC-1、Mannheimia haemolytica、Methylobacillus flagellatus KT、Pasteurella multocida Pm70、Petrotoga miotherma、Porphyromonas gingivalis、複数のPseudomonas種、複数のPyrococcus種、Rhodococcus、複数のSalmonella種;複数のStreptococcus種、Thermochromatium tepidum、Thermotoga maritima、Treponema pallidum、及び複数のVibrio種の中に相同体が存在することがわかっている。
E.coli由来のアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AspC)、E.coli由来のチロシンアミノトランスフェラーゼ(TyrB)、L. major由来の広基質アミノトランスフェラーゼ(BSAT)及び実施例1に記述された通りの2つの市販のブタダルタマート−オキサロ酢酸アミノトランスフェラーゼを用いて、トリプトファンアミノトランスフェラーゼ検定を実施した。アミノ受容体として、オキサロ酢酸塩とα−ケトグルタラートの両方をテストした。モナチンを使用した活性(実施例7)対トリプトファンを使用した活性の比を比較して、どの酵素がモナチンアミノトランスフェラーゼ反応に対する最高の特異性を有するかを判定した。これらの結果は、トリプトファン反応に比べモナチン反応に対し最高の特異性をもつ酵素がブタII−A型グルタメート−オキサロ酢酸アミノトランスフェラーゼ、GOAT(SigmaG7005)であることを示していた。この特異性は、どのアミノ受容体が利用されたかとは無関係であった。従って、この酵素は、オキサロ酢酸デカルボキシラーゼとのカップリングされた反応において使用された。
インドール−3−ピルビン酸から開始した標準的な反応は(最終濃度)50mMのトリス−Cl、pH7.3,6mMのインドール−3−ピルビン酸、6mMのピルビン酸ナトリウム、6mMのアスパラギン酸塩、0.05mMのPL、3mMのリン酸カリウム、3mMのMgCl2、25μg/mLのアミノトランスフェラーゼ、50μg/mLのC. testosteroni ProAアルドラーゼ及び3ユニット/mLのデカルボキシラーゼ(Sigma O4878)を内含していた。反応を26℃で1時間進行させた。一部の場合において、デカルボキシラーゼを除くか又はアスパラギン酸塩をα−ケトグラタラート(負の対照として)で置換させた。上述のアミノトランスフェラーゼ酵素をGOATの代りにテストして、早期の特異性実験を確認した。試料をろ過し、実施例10で記述されているようにLC/MSにより分析した。結果は、GOAT酵素が、タンパク質1mgにつき最高量のモナチンを産生し、副産物として最少量のトリプトファンが産生されたことを実証している。さらに、デカルボキシラーゼ酵素を添加させたことにより2〜3倍の利益が存在した。E.coli AspC酵素は同様に、その他のアミノトランスフェラーゼに比べ大量のモナチンを産生した。
モナチン産生は、1)インドール−ピルビン酸、ピルビン酸塩及びアスパラギン酸塩を2mM定期的に添加すること(半時間〜1時間毎)、2)嫌気性環境内で又は脱ガスされた緩衝液を用いて、反応を実施すること、3)一晩反応を進行させること及び4)凍結−解凍を何度も受けていない調製されたばかりのデカルボキシラーゼを使用すること、によって増大させられた。デカルボキシラーゼは、12mMを超える濃度のピルビン酸塩によって阻害された。4mMを超えるインドール−3−ピルビン酸の濃度では、インドール−3−ピルビン酸との副反応が加速された。反応内で使用されるインドール−3−ピルビン酸の量は、アルドラーゼの量も同様に増加させた場合に増大させることができた。高レベルのリン酸塩(50mM)及びアスパラギン酸塩(50mM)は、デカルボキシラーゼ酵素に対し阻害作用をもつことがわかった。添加されるデカルボキシラーゼ酵素の量は、1時間の反応中でモナチン産生の減少が全く無い状態で、0.5U/mLまで削減させることができた。産生されるモナチンの量は、温度を26℃から30℃まで及び30℃から37℃まで増大させた場合に増大した。しかしながら37℃では、インドール−3−ピルビン酸の副反応も同様に加速した。産生されるモナチンの量は、pHが7から7.3に増大するにつれて増加し、pH7.3〜8.3で比較的安定していた。
トリプトファンで開始した標準的反応には(最終濃度)50mMのトリス−Cl、pH7.3、20mMのトリプトファン、6mMのアスパラギン酸塩、6mMのピルビン酸ナトリウム、0.05mMのPLP、3mMのリン酸カリウム、3mMのMgCl2、25μg/mLのアミノトランスフェラーゼ、50μg/mLのC. testosteroni ProAアルドラーゼ及び4ユニット/mLのデカルボキシラーゼ、5−200mU/mLのL−アミノ酸オキシダーゼ(Sigma A−2805)、168U/mLのカタラーゼ(Sigma C−3515)及び0.008mgのFADが含まれていた。反応は30℃で30分間実施された。改善はデカルボキシラーゼの添加と共に観察された。50mU/mLのオキシダーゼを使用した時点で、最大量のモナチンが産生された。改善は、基質としてインドール−3−ピルビン酸を使用した場合に観察されたものに類似していた。さらに、1)トリプトファンレベルが低かった(すなわち、アミノトランスフェラーゼ酵素のKmより低く、従って活性部位内でMPと競合することができない)場合、及び2)オキシダーゼ対アルドラーゼ及びアミノトランスフェラーゼの比が、インドール−3−ピルビン酸が蓄積できないようなレベルに維持された場合、産生されるモナチンの量は増加した。
インドール−3−ピルビン酸又はトリプトファンのいずれで開始したのであれ、1〜2時間のインキュベーション時間を伴う検定において産生されたモナチンの量は、同じ酵素比を維持しながら全ての酵素の量の2〜4倍が使用された場合に増大した。いずれかの基質を使用した場合も、約1mg/mLのモナチン濃度が達成された。インドール−ピルビン酸から開始した場合に産生されたトリプトファンの量は標準的に産物量の20%未満であり、これはカップリングされた反応を利用することの利益を示している。中間体及び副反応の濃度をさらに最適化及び制御するにつれて、生産性及び収量を大幅に改善することができる。
リジンイプシロンアミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.36)を用いたカップリングされた反応
リジンイプシロンアミノトランスフェラーゼ(L−リジン6−トランスアミナーゼ)は、Rhodococcus、Mycobacterium、Streptomyces、Nocardia、Flavobacterium、Candida utilis及びStreptomycesを含めた複数の生体内に見られる。それは、一部のβ−ラクタム抗生物質の産生における第1段階として生体により利用される(Rius及びDemain, J. Microbial. Biotech., 7:95−100,1997)。この酵素は、アミノ受容体としてα−ケトグルタラートを利用したリジンのC−6のPLP介在アミノ基転移によって、リジンをL−2−アミノアジパート6−セミアルデヒド(アリシン)に変換する。アリシンは不安定で、自然発生的に分子内脱水を受けて環状分子である1−ピペリデイン6−カルボキシラートを形成する。こうして実際、あらゆる逆反応が発生するのを阻害する。反応スキームは図12に描かれている。代わりの酵素であるリジン−ピルビン酸、6−トランスアミナーゼ(EC2.6.1.71)も同様に使用可能である。
標準的反応は、1mL中に50mMのトリス−HClpH7.31、20mMのインドール−3−ピルビン酸、0.05mMのPLP、6mMのリン酸カリウムpH8、2〜50mMのピルビン酸ナトリウム、1.5mMのMgCl2、50mMのリジン、100μgのアミノトランスフェラーゼ(リジンイプシロンアミノトランスフェラーゼLAT−101、BioCatalytics Pasadena, CA)及び200μgのC. testosteroni ProAアルドラーゼを含有していた。産生されたモナチンの量は、ピルビン酸塩の濃度の上昇に伴って増大した。これらの反応条件を使用した最大量は(50mMのピルビン酸塩で)、オキサロ酢酸デカルボキシラーゼ(およそ0.1mg/mL)を用いたカップリングされた反応で観察されたものの10分の1であった。
〔M+H〕+=293をもつピークは、モナチンについて予想された時間で溶離し、質量スペクトルはその他の酵素プロセスで観察されたものと同じフラグメントのうちのいくつかを含有していた。正しい質量対電荷比(293)をもつ第2のピークは、例6で産生されたS,Sモナチンについて標準的に観察されるものよりもわずかに早く溶離し、これはモナチンのもう1つの立体異性体の存在を標示している可能性がある。この酵素によって産生されたトリプトファンは非常にわずかであった。しかしながら、(副産物としてアラニンを産生する)ピルビン酸塩に対する幾分かの活性が存在する確率が高い。同様に、酵素は不安定であることがわかっている。安定性を増大し、ピルビン酸塩での活性を減少させるMPでの活性を増大させるべく定向進化法実験を実施することによって、改善を行なうことができる。これらの反応は、上述の通り、L−アミノ酸オキシダーゼ/カタラーゼにカップリングすることもできる。
その他のカップリングされた反応
トリプトファンはインドール−ピルビン酸からのモナチンの収量を改善することのできるもう1つのカップリング反応は、図13に示されている。ギ酸デヒドロゲナーゼ(EC1.2,1.2又は1.2,1.43)は一般的な酵素である。一部のギ酸デヒドロゲナーゼはNADHが必要であり、一方その他のギ酸デヒドロゲナーゼはNADPHを利用することができる。グルタミン酸デヒドロゲナーゼは、アンモニウムベースの緩衝液を用いた前出の例においてモナチン前駆物質とモナチンの間の相互変換の触媒として作用した。ギ酸アンモニウム及びギ酸デヒドロゲナーゼの存在は、補因子の再生にとって効率のよい系であり、二酸化炭素の発生は、逆反応の速度を減少させるための効率の良い方法である(Bommarius et al., Biocatalysis 10:37,1994及びGalkin et al. Appl. Environ. Microbiol. 63:4651−6,1997)。さらに、反応緩衝液中に大量のギ酸アンモニウムを溶解させることができる。グルタミン酸デヒドロゲナーゼ反応(又は類似の還元性アミノ化)によって産生されたモナチンの収量は、ギ酸デヒドロゲナーゼ及びギ酸アンモニウムの添加によって改善可能である。
平衡をモナチン産物に向かって促すためにその他のプロセスを使用することができる。例えば、米国特許第5,360,724号及び5,300,437号中で記述されているもののようなω−アミノ酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6,1.18)と共にMPからモナチンへの変換においてアミノ酸供与体としてアミノプロパンが利用される場合、結果として得られる産物の1つは、基質であるアミノプロパンよりもさらに揮発性の高い産物であるアセトンとなるだろう。アセトンを一掃するべく定期的に短時間温度を上昇させ、かくして平衡を緩和させることができる。アセトンは、短時間使用する場合中間体を分解する確率の低い温度である47℃という沸点を有する。α−ケトグルタラートに対する活性を有する大部分のアミノトランスフェラーゼは同様に、モナチン前駆物質に対する活性も有する。同様にして、グリオキシラート/芳香族酸アミノトランスフェラーゼ(EC2.6.1.60)がアミノ供与体としてのグリシンと共に使用される場合、比較的不安定でグリシンと比べてきわめて低い沸点を有するグリコキシラートが産生される。
実施例14:用量応答曲線
0.14%(w/v)のクエン酸及び0.04(w/v)のクエン酸ナトリウムを含有するpH3.2のモデルソフトドリンク系の中で、15,30,45,60,75及び90ppmでモナチン溶液(モナチンの「ラセミミックス」とも呼ばれる、およそ96%の2R,4R/2S,4S鏡像異性体対及び4%の2R,4S/2S,4R鏡像異性体対の混合物)を調製した。スクロースとの関係におけるモナチンの甘味度を、以下で記述する甘味度推定方法を用いて決定した。全ての査定は、この甘味度判定手順に熟練した訓練を受けたパネリストの一団(n=6〜8)によって二点で実施した。全ての試料は、20℃±1℃の温度で供された。
モナチン溶液に符号を付し、個別に無作為にパネリストに提示した。0.5%(w/v)スクロースという段階を経て増加する2.0〜11.0(w/v)のスクロースという範囲内のスクロース基準標準を提供した。パネリストには、テスト溶液の甘味度をスクロース標準と比較することによって甘味度を推定するように依頼した。これは、テスト溶液を3口、その後水を1口、次にスクロース標準を3口、次に水を1口等々といったようにすすることによって実施された。パネリストには、甘味度を、例えば6.8、8.5といったように少数1位まで推定するよう促した。5分の休憩時間がテスト溶液の評価の間に課せられた。パネリストには同様に、潜在的な持ち越し効果をことごとく削減するため、充分に口をすすぎクラッカを食べるように求めた。スクロース当量値(SEV)及び標準偏差は表6にまとめられている。
配合物は全て、急速な甘味度開始及び最大強度に至る甘味度確立を示すものと判断された。甘味度の減衰も同様に急速であった。大部分の混合物は、モナチン/グルコース配合物以外、スクロースほどフルーティでないと判断された。わずかななかなか消えない甘味の後味、きわめて軽い苦味/金属臭が指摘された。甘草又は清涼な後味は指摘されなかった。
Figure 2010279393
実施例15:炭水化物甘味料とモナチンの配合
10.0%(w/v)のスクロースと等甘味度のグルコースシロップ(63デキストロース当量、DE)及びHFCS(55%フルクトース)、スクロースとモナチン(例14で記述されている通り)の配合物を調製した。各々の炭水化物甘味料について、モナチンが全甘味度の25、50及び75%を提供するような形でモナチン:甘味料の比を調整した。10.0%(w/v)のスクロースに対する甘味度パリティを、実施例14に記述されている甘味度推定方法を用いて決定した。例14にあるように、各人、二点で試飲する6〜8名のパネリストを使用して、pH3.2のモデルソフトドリンク系において、全ての評価を実施した。
Figure 2010279393
Figure 2010279393
Figure 2010279393
等甘味度のモナチン/炭水化物(50;50)配合物の品質を次に、小規模の熟練した査定人パネルによりスクロースとの関係において査定させた。この評価は、「2重盲検」で実施した。対照としてスクロースで甘味づけした系を同定し、その他の産物全てを無作為に符号化した。パネリストには、以下の属性について対照との関係において無作為に符号化した試料を評価するよう依頼した:甘味料プロファイル;開始、確立そして減衰;フレーバプロファイル;酸味、苦味、及びその他の特性;口あたり;及び後味。パネリストには又、甘味料系の品質について1つの評点(1:不良 −5:優良)を割当てるように依頼した。示されたコメント及び与えられた評点のまとめが表10に提示されている。
Figure 2010279393
実施例16:ソフトドリンク系中のモナチンの時間強度プロファイル
80ppmのモナチン(実施例14に記述されたモナチンのラセミミックス)、10.0%(w/v)のスクロース及び200ppmのスクロースの溶液を、実施例4に記述されたpH3.2のモデルソフトドリンク系中で調製した。次にこれらの溶液の時間強度プロファイルを、以下の手順を用いて査定した。この研究には6名のパネリストが含まれていた。これらのパネリストは、その全体的官能鋭敏度についてスクリーニングされ、甘味強度及び甘味の質の差異に対するその感受性のために選択された。全員が甘味料査定方法に熟練しており、時間強度評価における特殊な訓練を受けていた。講習会は当初、コンピュータ援用データ入力システムを用いて経時的に試料を評価し評定する方法にパネルを親しませるために実施された。
各溶液の試料(13mL)を符号化し、無作為の順序でパネリストに個別に提示した。各々のパネリストについて、飲み込んだ直後に、コンピュータは最高60秒まで0〜100の各秒の目盛上での時限強度読取り値を記録した。各溶液を二点で評価した。時間強度評価の結果は表11として要約されている。
Figure 2010279393
これらの結果は、モナチンの時間的味属性が高品質の甘味料を表わすスクロースに匹敵するものであることを示している。さらに、モナチンは、一般に使用される高強度甘味料であるスクラロースにも有利に匹敵するものである。
実施例17:モナチンを含有するコーラ及びレモン/ライム飲料の調製
コーラ及びレモン/ライム飲料を以下の処方を用いて調製し、スクロース、HFCS(55%のフルクトース)、アスパルターム、スクラロース、モナチン(例14に記述されたラセミミックス)、モナチン/スクロース又はモナチン/HFCSで甘味づけした。1部分のシロップを5.5部分の炭酸水に添加し、評価した。
レモン/ライムシロップ処方:
成分 %wt/vol
クエン酸 2.400
クエン酸ナトリム 0.500
安息香酸ナトリム 0.106
フレーバ 0.450 (レモン/ライムフレーバ730301−H
例えば、Givaudan Roure)
甘味料 下記参照
水 100.000充分量
コーラシロップ処方:
成分 %wt/vol
リン酸 0.650(75%溶液)
クエン酸 0.066
クエン酸ナトリム 0.300
安息香酸ナトリム 0.106
コーラフレーバA 1.100(A01161 例えば、Givaudan
Roure)
コーラフレーバB 1.100(B01162 例えば、Givauda
Roure)
甘味料 下記参照
水 100.000充分量
レモン/ライム又はコーラ炭酸飲料中の甘味料濃度:
スクロース 10%
HFCS(55%フルクトース) 10%(固形物)
アスパルターム 500ppm
スクラロース 200ppm
モナチン 67ppm(レモン/ライム中);80ppm(コーラ中)
モナチン/スクロース 30.8ppm/5.0%
モナチン/HFCS 30.8ppm/5.0%(固形物)
熟練したテスターのパネルにより「2重盲検」で査定を実施した。スクロースで甘味づけした産物を対照として同定し、その他の産物全てを無作為に符号化した。パネリストには、以下の属性について対照との関係において無作為に符号化された試料を査定するよう依頼した:
フレーバプロファイル: 酸味
苦味
その他の特性
甘味度のプロファイル: 開始
確立
強度
減衰
口あたり
後味。
パネリストには同様に、甘味料系の品質について評点(1:不良〜5:優良)を割当てるよう依頼した。与えられた平均評点と合わせて出されたコメントの要約が、それぞれレモン/ライム炭酸飲料及びコーラについて表12及び13に提示されている。レモン/ライムフレーバにおいては、モナチンはフレーバに関してアスパルタームに匹敵していた。モナチン/炭水化物の配合物はより高い等級づけを受けた。コーラにおいては、モナチンはアスパルタームに類似していた。
Figure 2010279393
Figure 2010279393
Figure 2010279393
Figure 2010279393
議論
この実施例で使用されているモナチンは、天然の高強度甘味料の中に往々にして見られる苦味、清涼感及び甘草フレーバが基本的に無い、明瞭な甘味プロファイルを惹起した。この例で使用されたモナチン立体異性体の配合物は、10.0%(w/v)SEVでのスクロースより1250倍甘い相対的甘味強度で、平滑で規則的な用量応答曲線を生成した。
時間強度研究の結果は、モナチンが概してスクロース及びスクラロースのものに類似した時間/甘味強度プロファイルを示すことを示した。スクロースと比較して、モナチンは最大強度を達成するのにわずかに長くかかり、評価の終了時(60秒)のより高い受感甘味度と共に、より低い減衰速度を示した。しかしながら、観察された差異は統計的に有意なものではなかった。
炭水化物甘味料と配合された時点で、モナチンはスクロースの1500〜2000倍の甘味強度を提供した。結果として得た配合物は非常に良質の甘味度及びフレーバプロファイルを生み出した。甘味度開始のわずかな遅延が見られたが、長びく甘味は低いレベルでしか検出できなかった。モナチンと炭水化物甘味料の配合物は例えば、中カロリー飲料を調製するために使用可能である。
評価されたモナチンは、唯一の甘味料としても、炭水化物甘味料と配合された場合でも共に優れた性能を示した。レモン/ライム炭酸飲料の中では、モナチンだけで甘味づけされた製品は、アスパルターム及びスクラロースで甘味付けした飲物の両方に非常に類似した味プロファイルを有していた。モナチン/スクロース飲物は特に優れており、現在スクロース対照製品に比べより許容性の高いものと判断された。モナチンは、その他の炭水化物甘味料との配合物の中でレモン/ライムフレーバを増強するものと予想されている。コーラ系では、HFCSをモナチンに配合することでHFCS対照と同じ位許容性の高い飲物が生成された。
実施例18:水中のモナチンの官能安定性
水(8%SEV)中でのモナチン(実施例14で記述されたラセミミックス)の官能安定性を、0〜6時間室温で貯蔵した後研究した。SEVを(実施例14で記述されている通りに)モナチン溶液調製から0〜1時間後又は5〜6時間後のいずれかに監視した。室温では6時間後にモナチンSEVの検出可能な損失は全く存在しなかった。これらのデータは、LC/MSを用いた分析研究により裏付けられた(例えばいかなるラクトン化も観察されなかった)。
実施例19:麦芽入り飲料プレミックスの調製
表14に列挙された成分を用いて麦芽入り飲料プレミックスを調製した。
Figure 2010279393
実施例20:チョコフレーバ飲料プレミックスの調製
表15に列挙された成分を用いてチョコフレーバ飲料プレミックスを調製した。非乳製品クリーマは、植物油、増粘剤、レシチン、タンパク質、ビタミン、ミネラル、乳化剤(例えばレシチン、DATEM及びモノ及びジグリセリド)及び増量剤(例えばコーンシロップ固形分、低カロリー増量剤)を内含し得る。
Figure 2010279393
実施例21:オレンジフレーバ飲料プレミックスの調製
表16に列挙されている成分を用いてオレンジフレーバ飲料プレミックスを調製した。
Figure 2010279393
8オンスの水中に乾燥ミックスをおよそ1オンス混合し、次に完全に水和するまで撹拌又は振盪することにより、オレンジ飲料を作ることができる。かくして最終的なそのまま飲める飲料は、約66〜約440ppmのS,Sモナチン、約6〜約13ppmのR,R又はその混合物を有する。
実施例22:モナチン甘味料を用いたレモネードの調製
甘味料がグラニュー糖スプーン2杯(最高8グラム)中の甘味度に匹敵する甘味度を提供するように処方されている、モナチンを含有する甘味料の便利な1回分の小包を調製することが可能である。S,Sはスクロースよりも50〜200倍甘いことから、40〜160mgのS,Sモナチンは8グラムのグラニュー糖中の甘味度に匹敵する甘味度を提供する。かくして例えば、+/−25%の甘味度最適化を考慮すると、モナチンの一回分小包1グラムの処方には、およそ40〜200mgのS,Sモナチンが含まれる可能性がある。
同様にして、R,Rはスクロースより2000〜2400倍甘いことから、3.3〜4.0mgのR,Rモナチンは、糖8グラム中の甘味度に匹敵する甘味度を提供する。かくしてもう1つの実施形態においては、+/−25%の甘味度最適化を考慮すると、モナチンの一回分小包1グラム処方は、およそ3.3〜5.0mgのR,Rモナチンを含み得る。もう1つの実施形態では、小包処方は、スプーン2杯分のグラニュー糖中の甘味度に匹敵する甘味度を提供するべく、40〜200mgのS,Sモナチン、3.3〜5.0mgのR,Rモナチン又は合計重量1グラムあたり同じ又はそれ未満の量のそれらの組合せを含む可能性がある。
レモネードを作るためには、溶解するまで背の高いグラス内に3/4カップの水と共にモナチン小包処方3包(3g)とレモン汁スプーン2杯を混合させる。氷を加える。モナチンで甘味づけされたレモネードは、スプーン2杯(24g)のスクロースで甘味づけされたレモネードとほぼ同等の甘味度をもちそれと同様に好まれることになり、しかも著しくカロリーが少なくなる(約0カロリー対96カロリー)。
実施例23:コーヒー及びアイスティー中のR,Rモナチン含有甘味料の評価
R,Rモナチン又はR,Rモナチン/エリスリトール組合せを含むモナチン甘味料処方を、コーヒー及びアイスティー中のその他の既知の甘味料(アスパルターム及びスクラロース)との関係において査定した。査定された主要な官能パラメータには、甘味品質、後味、苦味及びその後味、が含まれていた。定性的評価が実施された。
製品処方
(i)コーヒー
甘味料性能を評価するべき標準コーヒーを使用した(表17)。
Figure 2010279393
甘味料を以下の濃度でコーヒーに加えた:
アスパルターム 0.025%(w/v)
スクラロース 0.0082%(w/v)
R,Rモナチン 0.0020、0.0025、0.0030%(w/v)プラス
1gのマルトデキストリン
R,Rモナチン/エリスリトール 0.0020、0.0025、0.0030%
(w/v)プラス1gのエリスリトール
(ii)アイスティー
甘味料の性能を評価するためにアイスティー処方を開発した(表18)。
Figure 2010279393
甘味料を、以下の濃度でアイスティーに加えた:
アスパルターム 0.0450%(w/v)
スクラロース 0.0170%(w/v)
R,Rモナチン 0.0030、0.0035、0.0040%(w/v)
プラス1gのマルトデキストリン
R,Rモナチン/エリスリトール 0.0030、0.0035、0.0040%
(w/v)プラス1gのエリスリトール
官能評価
これらのコーヒー及び紅茶飲物の評価は、1回の試飲の機会にコーヒー製品を評価し次の機会に紅茶製品を評価する熟練した官能評価人のパネル(n=6)によって実施された。これらの評価の結果は表19に要約されている。
Figure 2010279393
議論
モナチンは、甘味料処方において、明瞭な官能上の利益を含め予想外の性能上の利益を提供した。コーヒーにモナチンを加えたとき、コーヒーのフレーバ・レベルに明らかな増加が認められた。この利益は、フレーバのバランスをとり円熟味を与え甘味度開始時点を加速することのできる低濃度のエリスリトールの添加を通してさらに増強された。アイスティー特に酸性化された酸っぱい紅茶においては、モナチンはレモンフレーバの香気を増強した。ここでも又、モナチンと配合したエリスリトールは、さらなるフレーバ上の利益を付与した。
モナチンは、紅茶及びコーヒーといったような一般に消費される飲料において、改善された官能特性(例えば少ない後味、少ない味抜け、フレーバマスキング無し)を提供する。モナチンで甘味づけされたコーヒーは、スプーン2杯(〜8g)のスクロースで甘味づけされたコーヒーが32カロリーであるのに比べて、0に近いカロリーしか含んでいない。
飲料組成物の中で、モナチンは、アスパルターム又はスクラロースに比べて、甘味度についてより有利な時間/強度プロファイルを提供する同時に全てのシトラスフレーバの増強を示すと予想されている。さらに、飲料組成物、モナチン及びエリスリトールの配合物が、アスパルターム又はスクラロースに比べてさらにシトラスフレーバを増強し、より有用な甘味度プロファイルを提供することが予想されている。モナチン及びエリスリトールの配合物は、ソフトドリンク、炭酸飲料、シロップ、乾燥飲料ミックス及びより低い温度で維持されるフローズン(slush)飲料といったあらゆる飲料組成物においてこれらの利益を示すことになると予想されている。
実施例24:飲料中のR,Rモナチンの評価
飲料(コーラ、レモン−ライム及びオレンジ)を処方し、アスパルターム、スクラロース又はR,Rモナチンで甘味づけした。定性的評価を実施した。
製品処方
開発され評価されたソフトドリンク処方が、表20に提示されている。「スロー(throw)」は、水での希釈を意味する。例えば、「1+4」のスローは、濃縮処方一部分対水4部分を意味する。かくして、例えば濃縮処方が0.021%wt/vol(すなわち210ppm)のR,Rモナチンを内含する場合、1+4のスローは42ppm(210ppm/5)のR,Rモナチンを含有する希釈飲料を作る。
Figure 2010279393
最終的なそのまま飲める飲料(スローの後)は以下のような甘味料濃度を含有していた:
レモン/ライム アスパルターム 500ppm
スクラロース 200ppm
R,Rモナチン 42ppm
オレンジエード アスパルエーム 550ppm
スクラロース 220ppm
R,Rモナチン 45ppm
コーラ アスパルターム 550ppm
スクラロース 220ppm
R,Rモナチン 45ppm
飲料の官能評価
これらのソフトドリンクの評価は、別々の試飲の機会に各々の飲物セットを評価する査定人のパネル(n=6)によって実施された。評価の結果は表21に要約されている。
Figure 2010279393
議論
レモン/ライム、オレンジエード及びコーラ飲料においては、モナチンは、共に上質の甘味料であるアスパルタームと品質が類似しスクロースの品質よりはわずかに優れた甘い味を送達した。レモン/ライム飲料中では、アスパルターム処方の場合に比べモナチン処方中では少ない後味しか指摘されなかった。その上、R,Rモナチンの効力はアスパルターム及びスクロースよりも大きい。
実施例25:モナチン及びサッカリンの甘味度用量応答曲線
モナチン及びサッカリンの甘味度を、二点で判断を行なう20名の熟練した官能評価人を用いて評価した。pH3.2のクエン酸/クエン酸塩緩衝液の中でテスト及び基準溶液を調製した。図16参照。サッカリンに比べたR,R/S,Sモナチンのより線形な応答は、より糖様の味特性の提供と一貫性をもつ。10%SEVより上の水平域は、「混合物を抑制する」味抜け及び後味が無いこと又はそのレベルが低いことを表わしている。モナチンの用量−応答曲線の形状は、全て「高品質」甘味料であるアスパルターム、スクラロース及びアリテームのものに類似している。
モデル系(pH3.2)内の唯一の甘味料としてのR,R/S,Sモナチンで、以下の特性が観察された:(1)甘味開始のわずかな遅延;(2)甘味減衰はきわめて急速であった;(3)わずかに「アスパルターム様の」後味、わずかに甘い後味、後味には苦味がない;及び(4)無着香系内の残留清涼感。
実施例26:温度上昇に伴うpH3のモナチンの安定性
25℃,50℃及び100℃の温度で、合成モナチンの試料をpH3に付した。室温及びpH3で、48時間の期間にわたり14%のモナチン損失を観察した。この損失はラクトン形成に起因した。50℃及びpH3で、モナチンの23%の損失が48時間にわたり観察された。この損失はラクトン形成及び約15.5分の後の未知の化合物の蓄積に起因した。100℃及びpH3で、ほぼ全てのモナチンが24時間後に失なわれた。主要な検出可能な成分は、15.5分の時点で未知のものであった。
実施例27:40℃におけるpH2.5、3.0、4.0でのモナチン及びアスパルタームの官能安定性
pH2.5、3.0及び4.0で調製され40℃で貯蔵されたモナチン溶液の官能安定性を100日間監視した。これらの溶液からの甘味度損失を、同じ条件下で調製され貯蔵したアスパルターム溶液からの甘味度の損失と比較した。
2.5,3.0及び4.0のpHをもつリン酸塩/クエン酸塩緩衝液中のモナチンの官能安定性(8%SEV、最高55ppm、約96%の2R,4R/2S,4S鏡像異性体対及び4%の2R,4S/2S,4R鏡像異性体対を含有する合成配合物)を、40℃での貯蔵の後に検査した。モナチンの安定性を同じ緩衝液中のアスパルターム(400ppm)のものと比較した。モナチン及びアスパルターム溶液と同じリン酸塩/クエン酸塩緩衝液中で3つのスクロース基準溶液を調製した。調製した溶液は全て暗所で貯蔵した。
緩衝液組成物: pH2.5リン酸(75%溶液)0.127%(w/v)
クエン酸三ナトリウム一水和物0.005%(w/v)
pH3.0リン酸(75%溶液)0.092%(w/v)
クエン酸三ナトリウム一水和物0.031%(w/v)
pH4.0リン酸(75%溶液)0.071%(w/v)
クエン酸三ナトリウム一水和物0.047%(w/v)
スクロースとの関係における各甘味料の甘味度は、甘味度評価手順に熟練した訓練した官能評価人のパネル(n=8)によって二点で査定された。(同じ緩衝液中の)全ての試料を22℃±1℃の温度で、二点で供した。3桁の乱数で符号化されたモナチン(テスト)溶液を無作為の順序でパネリストに個別に提示した。0.5%(w/v)スクロースという段階で増大する4.0〜10.0%(w/v)のスクロースという範囲のスクロース基準標準も同様に提供された。パネリストには、スクロース標準に対してテスト溶液の甘味度を比較することにより、甘味度を推定するように依頼した。これは、テスト溶液を3口、その後水を1口、次にスクロース標準を3口、次に水を1口等々といったようにすすることによって実施された。パネリストには、甘味度を、例えば6.8、8.5といったように少数第1位まで推定するよう促した。5分の休憩時間がテスト溶液の評価の間に課せられた。パネリストには同様に、潜在的な持ち越し効果をことごとく削減するため、充分に口をすすぎクラッカを食べるように求めた。
表22及び23は、リン酸クエン酸緩衝液中での安定性研究の結果を提示している。暗所で40℃での100日間の貯蔵後、各pHで、モナチン甘味度の保持率はアスパルタームで保持されたものより大きいものであった。pH4.0で、モナチン溶液の甘味度損失は、アスパルタームが甘味度を喪失し続けた一方で17日目と100日目の間の測定上の甘味強度の変化が非常にわずかであったことから、ほぼ安定したように見えた。
Figure 2010279393
Figure 2010279393
Figure 2010279393
それぞれの緩衝液は、表24を見ればわかるように、pHを維持する上で有効であった。
Figure 2010279393
偽一次破壊反応を仮定した場合、logn保持率対時間(logn%PTN v.t)のプロットにより、任意の与えられた条件セット下での甘味度損失の速度定数(k)及び半減期(t1/2)の推定が可能となる。そのようにしながら、モナチン及びアスパルタームの甘味度損失の反応速度を以下の表25に要約することができる。
Figure 2010279393
40℃での100日間の貯蔵後、各pHで、モナチン甘味度の保持率はアスパルタームから保持されたものより大きいものである。pH4.0で、モナチン溶液の甘味度損失は、アスパルタームが甘味度を喪失し続ける一方で17日目と100日目の間の測定上の甘味強度の変化が非常にわずかであったことから、ほぼ安定したように見える。
モナチン及びアスパルタームの半減期の推定値は、モナチンに由来する甘味度がアスパルタームからのものより緩慢な速度で失なわれていることを表わしている。pH2.5,3.0及び4.0におけるモナチンの甘味度についての半減期推定値は、それぞれ65日、115日及び230日であった。アスパルターム半減期推定値は、同じ条件下で55日、75日及び140日であった。
かくして、酸性条件及び40℃での貯蔵の下で、モナチンはアスパルタームよりも安定した甘味度を提供する。モナチンは、より低いpHをもつコーラ及びその他の飲料の中で並びに高い温度でアスパルタームよりも優れた安定性を有する。モナチンはアスパルタームよりも優れた安定性を示し平衡に達し、pH3で非可逆的に破壊しないことから、モナチンがコーラ飲料といったような飲料中で低いpHで長期の安定した甘味度を提供することが予想される。
さらに、紫外(UV)光にさらされた時点で、(周囲温度で)pH3.0のリン酸/クエン酸緩衝液中のモナチンは、アスパルタームと同じ位安定しているか又はそれよりもわずかに安定度が高いということが発見された(データ示さず)。UV不安定性は、或る種のフレーバ系によって加速され得る。UV吸収性の包装材料、着色料及び/又は酸化防止剤は、モナチン含有飲料中でUV光が誘発するフレーバ相互作用から保護することができる。
実施例28:モナチン立体異性体のクロマトグラフィー
試料の調製−マイクロ遠心分離管の中におよそ50〜75μgの凍結乾燥された材料を置いた。これに、1.0mLのHPLCグレードのメタノールを加えた。溶液を30分間ボルテックスし、遠心分離に付し、上清のアリコートを分析のために取り出した。
逆相HPLC−2.1×250mm×Xterra(登録商標)MSC85μm(Waters Corporation)HPLCカラムを用いて、2つの全く異なるジアステレオマーピーク(R,R/S,S及びR,S/S,R)のクロマトグラフィーを達成した。MicromassからのUltima(登録商標)三連四重極質量分析計を用いて検出を実施した。以下の勾配により、移動相を送達した。
Figure 2010279393
キラルHPLC−250×4.6mmのChirobiotic T(Advanced Separations Technologies, Inc)HPLCカラムを用いて、2つの全く異なるモナチン立体異性体(R,R及びS,S)のクロマトグラフィーを達成した。MicromassからのUltima(登録商標)3連四重極質量分析計を用いて、検出を実施した。移動相は、0.2%の酢酸及び0.05%の水酸化アンモニウムを伴うメタノールから成っていた。
質量分析計(MS/MS)−モナチンの存在は、選択型反応監視(SRM)実験によって検出された。モナチンのプロトン化された分子イオン(〔MPH〕+)はm/z=293.3を有している。この分子イオンの断片化により分子イオンの多重脱水から生じるm/z=257.3における有意なイオンが生成される。この遷移はモナチンに非常に特異的であることが示されてきており、SRM実験中の監視のための遷移(293.3から257.3)として選択された。この検出方法は、モナチンの逆相及びキラルの両方の分離のために利用された。
結果−逆相HPLCの下でR,S/S,R及びS,S/R,Rの標準試料を評価した。試料を、誘導体化及び酵素分解により調製した。図17に標準溶液についてのクロマトグラムが表示されている。逆相分析の後、試料中に存在する特異的立体異性体を評価するために、キラルクロマトグラフィーを実施した。図18に、標準S,S及びR,R,モナチン溶液のキラルクロマトグラフィーが表示されている。
実施例29:高温(80℃)及び中性pHでのモナチンの安定性
原液としてpH7で75ppmのモナチンの100ミリリットル溶液を使用した。合成モナチン試料は、およそ96%の2R,4R/2S,4S鏡像異性体対及び4%の2R,4S/2S,4R鏡像異性体対を含有していた。実験の持続時間中80℃及びpH7で試料をインキュベートし、0、1、2、3、4時間及び1、2、4、7、14、21及び35日目に試料を撤去した。全ての実験条件は二点で行った。
逆相クロマトグラフィーを用いたLC−MS使用する分離及び定量化−合成モナチンの両方の検出されたジアステレオマーピークについて、応答曲線を作成した。DI水中に溶解させられた合成モナチン標準について、5〜150rpmの範囲がひとくくりにされた。2つのジアステレオマーピークの分離を3.9×150mmのNovapak C18(Waters Corporation)HPLCカラムを用いて達成した。検出及び定量化のため、連続して紫外線−可視光線(UV)及び質量分光計(MS)検出器を使用した。モナチン及びそのラクトンピークは各々279nmでUVmaxを有し、これが精確な検出を助けた。定量化は、陽イオン電子スプレーモードで293.3m/z及び275.3m/zの選択型イオン監視(SIM)走査を獲得することによって行なわれた。
結果−中性pHで、モナチン分解度は、7〜35日後でさえ有意でないものと判定された。経時的なモナチンの消滅は、一次副産物が環化そして場合によっては非常に小レベルのラセミ化であることから、pHによって大きく左右される。80℃及びpH7での実験の間、定量のためにLC−MSを使用することで提供された精度限界内でラセミRR/SSモナチン又はそのラクトンの濃度の変化は全く検出されなかった。
中性pHでのモナチンの熱安定性に起因して、モナチンは(乳製品又は粉末飲料組成物といったような)中性pHの飲料にとって適当な安定性を有することが予想される。同様に、その他の高強度甘味料(例えばアスパルターム)に比べ、モナチンはこれらの飲料組成物の中でより長い貯蔵寿命を有することも予想されている。さらにモナチンは、熱充填といったような処理条件下でより高い安定性を示すことになると予想されている。
実施例30:その他のソフトドリンク処方(濃縮物)
Figure 2010279393
Figure 2010279393
Figure 2010279393
本開示の原理が適用され得る数多くの可能な実施形態に鑑み、ここで例示された実施形態が該開示の特定の例にすぎず、該開示の範囲に対する限界として考えられるべきものではないということを認識すべきである。

Claims (18)

  1. グルコース、トリプトファン、インドール-3-乳酸、インドール-3-ピルビン酸、及び2-ヒドロキシ 2-(インドール-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの基質から生合成経路で産生されるモナチン又はその塩を含む飲料組成物であって、該モナチン又はその塩は立体異性体的に過剰のR,Rモナチンである、組成物
  2. その一定の量が、同じ甘味度でモナチン又はその塩の代わりにスクロース又は高フルクトースコーンシロップを含む同量の飲料組成物よりも少ないカロリー及び炭水化物を含有する、請求項1に記載の飲料組成物。
  3. シトラスフレーバを更に含み、そして、前記モナチン又はその塩がシトラスフレーバにより提供される風味を増強する量で存在する、請求項1に記載の飲料組成物。
  4. シトラスフレーバ及び炭水化物を更に含み、そして、前記モナチン又はその塩及び炭水化物が、シトラスフレーバにより提供される風味を増強する量で存在する、請求項1に記載の飲料組成物。
  5. 前記炭水化物が、エリスリトール、マルトデキストリン、スクロース及びそれらの組合せの中から選択されている、請求項4に記載の飲料組成物。
  6. シロップ又は乾燥飲料ミックスであり、そして、10〜10000ppmのモナチン又はその塩を含む、請求項1に記載の飲料組成物。
  7. 3〜2000ppmのモナチン又はその塩を含む、そのまま飲める組成物である、請求項1に記載の飲料組成物。
  8. 450ppm以下のR,Rモナチン又はその塩を含み、そして、当該モナチン又はその塩が実質的にS,S、S,R又はR,Sモナチン又はその塩を含まない、請求項1に記載の飲料組成物。
  9. 前記モナチン又はその塩が、少なくとも90%のR,Rモナチン又はその塩を含む、請求項1に記載の飲料組成物。
  10. 前記モナチン又はその塩が、少なくとも95%のR,Rモナチン又はその塩を含む、請求項1に記載の飲料組成物。
  11. エリスリトール、トレハロース、チクロ、D−タガトース又はそれらの組合せを更に含む、請求項1に記載の飲料組成物。
  12. 石油化学的、毒性又は有害汚染物質を含有しない、請求項1に記載の飲料組成物。
  13. バルク甘味料、高強度甘味料、低糖質(glycemic carbohydrate)、香味料、酸化防止剤、カフェイン、甘味度増強剤又はそれらの組合せを更に含む、請求項1に記載の飲料組成物。
  14. 前記香味料がコーラ風味、シトラスフレーバ及びそれらの組合せから選択され;
    前記バルク甘味料が、コーン甘味料、スクロース、デキストロース、転化糖、マルトース、デキストリン、マルトデキストリン、フルクトース、レブロース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ固形物、ガラクトース、トレハロース、イソマルツロース、フルクト−オリゴ糖及びそれらの組合せから選択され;
    前記高強度甘味料が、スクラロース、アスパルターム、サッカリン、アセスルファムK、アリテーム、ソーマチン、ジヒドロカルコン、ネオテーム、チクロ、ステビオシド、モグロシド、グリシリジン、フィロズルチン、モネリン、マビンリン、ブラゼイン、シルクリン、ペンタジン及びそれらの組合せから選択され;
    前記低糖質が、D−タガトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、ラクチトール、エリスリトール、マルチトール、加水分解水添でんぷん、イソマルト、D−プシコース、1,5無水D−フルクトース及びそれらの組合せから選択され;そして、
    前記甘味増強剤が、クルクリン、ミラクリン、シナリン、クロロゲン酸、コーヒー酸、ストロジン、アラビノガラクタン、マルトール、ジヒドロキシ安息香酸及びそれらの組合せから選択される、請求項13に記載の飲料組成物。
  15. モナチン又はその塩を含む飲料組成物の製造方法であって、
    (a) グルコース、トリプトファン、インドール-3-乳酸、インドール-3-ピルビン酸、及び2-ヒドロキシ 2-(インドール-3-イルメチル)-4-ケトグルタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つの基質から生合成経路を介してモナチンまたはその塩、ここで該モナチン又はその塩は立体異性体的に過剰のR,Rモナチンである、を産生するステップ;
    (b) 当該モナチンまたはその塩をシロップおよびその他の成分と組合せるステップ;および
    (c) 飲料組成物を生成するステップ、
    を含む、前記方法。
  16. 前記その他の成分が、エリスリトール、トレハロース、チクロ、D−タガロース、マルトデキストリン又はそれらの組合せから選ばれる、請求項15に記載の方法。
  17. 前記その他の成分が、増量剤、バルク甘味料、液体甘味料、低糖質、高強度甘味料,増粘剤、脂肪、油、乳化剤、酸化防止剤、甘味度増強剤、着色剤、香味料、カフェイン、酸、粉末、フロー剤、緩衝液、タンパク質源、風味増強剤、風味安定化剤及びそれらの組合せから選択される、請求項15に記載の方法。
  18. 前記モナチン又はその塩が、少なくとも95%のR,Rモナチン又はその塩を含む、請求項15に記載の方法。
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