JP2009241919A - シートスライド装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】操作部材の誤操作を防止するシートスライド装置を提供する。
【解決手段】操作レバー70の操作に応じてロック部材50をロック解除回動方向に付勢する付勢部材60であって、操作レバー70の操作に応じて当該操作レバー70とともにシャフト62を傾動中心として傾動可能な付勢部材60を備えている。そして、この付勢部材60のバランサ64は、操作レバー70の操作により傾動する当該操作レバー70および付勢部材60を含む傾動体の重心位置をシャフト62の軸心に近接させるように、その形状や質量等が調整されている。
【選択図】図7
【解決手段】操作レバー70の操作に応じてロック部材50をロック解除回動方向に付勢する付勢部材60であって、操作レバー70の操作に応じて当該操作レバー70とともにシャフト62を傾動中心として傾動可能な付勢部材60を備えている。そして、この付勢部材60のバランサ64は、操作レバー70の操作により傾動する当該操作レバー70および付勢部材60を含む傾動体の重心位置をシャフト62の軸心に近接させるように、その形状や質量等が調整されている。
【選択図】図7
Description
本発明は、車両用のシートを前後に調整するためのシートスライド装置に関するものである。
従来より、車両用のシートを前後に調整するためのシートスライド装置として、下記特許文献1に示す車両用シートスライド装置が知られている。この車両用シートスライド装置のロック機構は、アッパレールに傾動可能に固定されるロックレバーの爪がロアレールの係合孔とアッパレールの係合孔等とに嵌合することにより、アッパレールをロアレールに対して移動不能にロックする。そして、操作レバーの操作によりロックレバーを傾動させて爪をロアレールの係合孔とアッパレールの係合孔等から引き抜くと、上記ロックが解除される。
特開2002−154356号公報
ところで、搭乗者が搭乗している車両が衝突したときや急ブレーキをかけたとき等に、誤って操作レバーに接触して当該操作レバーがロック解除方向に傾動することにより、ロック機構がロック解除状態となる場合が想定される。また、上述のような衝突や急ブレーキ時に、操作レバーの自重により当該操作レバーがロック解除方向に傾動することにより、ロック機構がロック解除状態となる場合が想定される。この問題を解決するため、操作レバーの傾動に応じて生じるロック機構をロック解除させるときの力を小さくしてロック解除されにくくする必要があり、そのためには、操作レバーを含めた傾動体の重心位置を傾動中心に近接させるように調整する必要がある。
しかしながら、上述のような操作レバーは、ロック時にロックレバーを押動するために当該ロックレバーに当接するように延出して形成されていることから、上記傾動体の重心位置が基本的に一義的に決められてしまい調整が困難であるという問題がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、操作部材の誤操作を防止するシートスライド装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1のシートスライド装置では、車体(B)に固定されるロアレール部材(30)と、シート(S)に固定されるとともに前記ロアレール部材に対し摺動自在に設けられるアッパーレール部材(20)と、前記ロアレール部材のロアレール側被係合部(35a)と前記アッパーレール部材のアッパーレール側被係合部(22a、23a)とに係脱可能なロック側係合部(55)を有するロック部材(50)と、前記ロック側係合部が前記ロアレール側係合部および前記アッパーレール側係合部に係合するロック状態とそのロック状態を解除するロック解除状態とを切り替えるために操作される操作部材(70)と、を備えるシートスライド装置(10)において、前記ロック解除状態に切り替えるための前記操作部材の操作に応じて前記ロック部材をロック解除方向に付勢する付勢部材(60)であって、前記操作部材の操作に応じて当該操作部材とともに所定の傾動中心(L)を中心に傾動可能な付勢部材を備え、前記操作部材の操作により前記所定の傾動中心を中心に傾動する当該操作部材および前記付勢部材を含む傾動体の重心位置を前記所定の傾動中心に近接させるように前記付勢部材の重心位置が調整されることを技術的特徴とする。
請求項1の発明では、シートスライド装置は、ロック解除状態に切り替えるための操作部材の操作に応じてロック部材をロック解除方向に付勢する付勢部材であって、操作部材の操作に応じて当該操作部材とともに所定の傾動中心を中心に傾動可能な付勢部材を備えている。そして、この付勢部材は、操作部材の操作により上記所定の傾動中心を中心に傾動する当該操作部材および付勢部材を含む傾動体の重心位置を上記所定の傾動中心に近接させるように、その重心位置が調整される。
これにより、操作部材および付勢部材を含む傾動体の重心位置が上記所定の傾動中心に近接するので、操作レバーの傾動に応じて生じるロック機構をロック解除させるときの力が小さくなり、操作レバーの誤操作が抑制され得る。
また、付勢部材の重心位置を調整することで上記傾動体の重心位置を調整することができるので、当該傾動体の重心位置を上記所定の傾動中心に近接させるための調整作業を容易に実施することができる。
したがって、操作部材の誤操作を防止することができる。
したがって、操作部材の誤操作を防止することができる。
請求項2の発明では、付勢部材は、ロック状態から上記所定の傾動中心を中心にロック解除方向に傾動する操作部材に当接可能な当接部が形成されるとともに、ロック状態から上記所定の傾動中心を中心に反ロック解除方向に傾動する操作部材には接しないように形成される。
一般に、車両の室内側のロアレール部材およびアッパーレール部材(以下、内側レール部材ともいう)の反操作部材側近傍の車両用シートには、シートベルトの取付具が固定部材等を介して固定されている。そして、車両衝突時等、シートベルトを装着した搭乗者が座っている車両用シートに強い衝撃がかかるとシートベルトの取付具に強い引張力が生じる。この引張力により内側レール部材の反操作部材側が上方に移動する一方で、車両の室外側のロアレール部材およびアッパーレール部材(以下、外側レール部材ともいう)は移動しない。
把持部の各端部から延出する各連結部を内側レール部材と外側レール部材との双方に連結してロック状態とロック解除状態とを切り替える操作部材では、上述のように内側レール部材の反操作部材側のみが上方に移動すると、当該内側レール部材は、その操作部材側が下方向に移動するように傾動する。このように傾動する内側レール部材の付勢部材に連結される操作部材は、把持部を下方に移動させる方向、すなわち、ロック解除方向とは反対の方向である反ロック解除方向に傾動する。そうすると、把持部の外側レール部材側が上方、すなわち、ロック解除方向に移動してしまい、搭乗者の意思に反して外側レール部材がロック解除されてしまう。
そこで、付勢部材を、ロック状態から上記所定の傾動中心を中心に反ロック解除方向に傾動する操作部材には接しないように形成することにより、内側レール部材の反操作部材側のみが上方に移動することにより付勢部材が反ロック解除方向に傾動してもこの傾動に応じて操作部材が傾動することはない。一方、付勢部材は、ロック状態から上記所定の傾動中心を中心にロック解除方向に傾動する操作部材に当接可能な当接部が形成されているので、ロック解除方向への操作部材の傾動は当該付勢部材を介してロック部材に伝達可能である。
これにより、上述のような衝撃力により外側レール部材がロック解除されるような操作部材の誤動作を防止することができる。
これにより、上述のような衝撃力により外側レール部材がロック解除されるような操作部材の誤動作を防止することができる。
請求項3の発明では、付勢部材は、操作部材の操作に応じて上記所定の傾動中心を中心に傾動する第1傾動部材と、上記所定の傾動中心を中心に傾動可能に支持されてロック部材をロック解除方向に付勢可能な第2傾動部材とを備えている。そして、第1傾動部材および第2傾動部材のいずれか一方に係合穴が形成され、他方にこの係合穴に対して上記所定の傾動中心を中心に円周方向に相対移動可能に係合する係合軸が形成されている。そして、第2傾動部材は、第1傾動部材がロック状態からロック解除方向に傾動するとき、係合軸が係合穴の内周面に当接することにより第1傾動部材とともにロック解除方向に傾動してロック部材をロック解除方向に付勢する。また、第1傾動部材および第2傾動部材の少なくとも1つの部材の重心位置は上記傾動体の重心位置を上記所定の傾動中心に近接させるように調整されている。
このため、操作部材の操作により第1傾動部材がロック状態からロック解除方向に傾動するとき、係合軸が係合穴の内周面に当接することにより第1傾動部材の傾動に応じて第2傾動部材が上記所定の傾動中心を中心にロック解除方向に傾動する。この第2傾動部材の傾動に応じてロック部材がロック解除方向に付勢されるので、操作部材の操作に応じて確実にロック状態を解除することができる。
一方、上述したように内側レール部材の反操作部材側のみが上方に移動すると、当該内側レール部材のロック部材を付勢する第2傾動部材は上記所定の傾動中心を中心にロック状態から反ロック解除方向に傾動する。このとき、係合軸は、係合穴の内周面に当接することなく係合穴に対して上記所定の傾動中心を中心に相対移動する。このため、第2傾動部材の反ロック解除方向への傾動に応じて第1傾動部材および操作部材が傾動することはない。
このようにしても、上述のような衝撃力により外側レール部材がロック解除されるような操作部材の誤動作を防止することができる。
このようにしても、上述のような衝撃力により外側レール部材がロック解除されるような操作部材の誤動作を防止することができる。
請求項4の発明では、付勢部材は、ロック部材がロック解除されない程度の付勢力にて第1傾動部材をロック解除方向に付勢する付勢片を備えている。このように、第1傾動部材は付勢片によりロック部材がロック解除されない程度の付勢力にてロック解除方向に付勢されるので、当該第1傾動部材は、係合軸が係合穴の内周面に当接するまでロック解除方向に傾動することとなる。これにより、ロック状態時には係合軸が係合穴の内周面に確実に当接しているので、操作部材の誤動作を防止するとともに、操作部材のロック解除操作に応じて確実にロック解除することができる。
請求項5の発明では、操作部材および第1傾動部材は、いずれか一方に形成された凹部の内面と他方に形成された凸部の外面との間に弾性変形可能な弾性部材を介して連結されている。これにより、操作部材と、内側レール部材および外側レール部材の双方の第1傾動部材とをがたつきを抑制して連結することができる。
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本第1実施形態に係るシートスライド装置10が設置される車両用シートSの構成概要を示す側面図である。図2は、図1のシートスライド装置10の一部分解斜視図である。図3は、図1のシートスライド装置10の部分断面図である。図4は、図3に示す4−4線相当の切断面による断面図である。
以下、本発明の第1実施形態について図を参照して説明する。図1は、本第1実施形態に係るシートスライド装置10が設置される車両用シートSの構成概要を示す側面図である。図2は、図1のシートスライド装置10の一部分解斜視図である。図3は、図1のシートスライド装置10の部分断面図である。図4は、図3に示す4−4線相当の切断面による断面図である。
図1〜図3に示すように、シートスライド装置10は、車両用シートSを前後摺動可能に車両フロアBに固定するもので、主に、車両用シートSに固定されるアッパーレール20と、前後フット31を介して車両フロアBに固定されるロアレール30と、アッパーレール20とロアレール30とを相対移動不能に固定(ロック)可能なロック部材50と、操作レバー70の操作に応じてロック部材50をロック解除する回動方向へ付勢可能な付勢部材60と、をそれぞれ一対備えるとともに(図1および図2には一方のみを記載する)、上記一対のロック部材50によるアッパーレール20とロアレール30とのロック状態とそのロック状態を解除するロック解除状態とを切り替えるために操作される操作レバー70とを備えている。
図4に示すように、アッパーレール20は車両フロアBに略水平で車両用シートSが図略のブラケット等を介して取り付けられる上壁21とこの上壁21の両端から垂設される側壁22と、各側壁22の下端からそれぞれ上方に屈曲して折れ曲がっている連結部23と、リテーナ40の第1スチールボール41をロアレール30との間の空間に保持する傾斜部24を備えている。
一方の側壁22と、この側壁22に連結する連結部23とには、ロック部材50の各ロック爪55(後述する)に係合可能な切欠き22a、23aがそれぞれ5カ所設けられている。
ロアレール30は車両フロアBに略水平で前記アッパーレール20の上壁21に対向し前後フット31を介して車両フロアBに固定される底壁32と、この底壁32の両端から上方に延出する第1側部33と、各第1側部33の上端から中央に向かい底壁32と略平行に設けられる鍔部34と、各鍔部34の端末から底壁32に向かい第1側部33と略平行に延出する第2側部35とを備えている。
側壁22の各切欠き22aおよび連結部23の各切欠き23aに対応する第2側部35には、切欠き22a、23aと同様に形成される5カ所以上の切欠き35aが設けられている。
アッパーレール20はその上壁21がロアレール30の底壁32と対向し、ロアレール30の第1側部33と第2側部35の間の空間にアッパーレール20の傾斜部24が入り込むように配置されている。そして、ロアレール30の第1側部33から鍔部34との間のコーナー部分とアッパーレール20の傾斜部24の間にはリテーナ40の第1スチールボール41が配置され、ロアレール30の底壁32と第1側部33との間のコーナー部分とアッパーレールの連結部23の間にはリテーナ40の第2スチールボール42が配置されている。リテーナ40に保持される第1スチールボール41および第2スチールボール42により、アッパーレール20とロアレール30は車両前後方向に円滑に摺動できるようになっている。
図5は、図3に示す一点鎖線IIによる楕円内の拡大図である。図6は、図5のロック部材50の分解斜視図である。
図5および図6に示すように、ロック部材50は、ロックブラケット50aと、回動部材50bとを備えている。ロックブラケット50aは、長手方向両端近傍に2つの丸穴51aが設けられる天板51とこの天板51の一側端部から下方に延出する側板52とにより断面略L字状に形成されている。
図5および図6に示すように、ロック部材50は、ロックブラケット50aと、回動部材50bとを備えている。ロックブラケット50aは、長手方向両端近傍に2つの丸穴51aが設けられる天板51とこの天板51の一側端部から下方に延出する側板52とにより断面略L字状に形成されている。
側板52には、長手方向にほぼ均等に配置された3個の支持片53が設けられており、各支持片53は、下端部が側板52に連結された断面略C字状(図4の紙面表面方向から見ると断面略逆C字状)の支持部53aとこの支持部53aの上端から斜め上方に延出する延出部53bとをそれぞれ備えている(図4参照)。そして、各支持部53aが連結される側板52の部位の上方近傍には、長手方向に広く開口した開口部52aがそれぞれ形成されている(図5参照)。
図6に示すように、回動部材50bは、板状本体部54とこの板状本体部54の長手方向一側(反操作レバー側)部位から幅方向にて斜め上方に突出するように形成される5つのロック爪55とを備えている。板状本体部54には、各ロック爪55に対して幅方向反対側に離間して長手方向全長にわたって長手方向に広く開口した3個の長穴54aが設けられている。各長穴54aは、対応する支持片53の延出部53bおよび支持部53aに挿通可能であって、その短径方向の幅は、挿通状態の支持片53が相対回動可能なように支持片53の厚さよりも長くなるように形成されている。
また、板状本体部54には、各長穴54a近傍にて、ロック爪55から離間する方向に角状に突出する突出部54bがそれぞれ設けられており、各突出部54bの幅寸法(レール摺動方向の寸法)は、側板52の各開口部52aの幅寸法よりも僅かに狭くなるように形成されている(図5参照)。
また、板状本体部54の長手方向他側(操作レバー側)部位の長穴54aから離間した側(ロック爪側)は、上方に傾斜する傾斜部56として形成されている。この傾斜部56には、後述するロックスプリング57の一側端部57aを挿通可能な貫通穴56aが形成されている。
図4に示すように、このように構成される回動部材50bは、各長穴54aを対応する支持片53に挿通して係合させるとともに各突出部54bを対応する開口部52aに挿入することにより、各突出部54bの下端部と各開口部52aの下縁との接触部位、または、各長穴54aの上縁と各支持部53aとの接触部位が回動中心Lとなってロックブラケット50aに回動可能に支持される。なお、回動中心Lは、レール摺動方向に延びることとなるので、図4では紙面に直角方向となることから点状に図示されている。
このとき、回動部材50bの各突出部54bの幅寸法は、対応する開口部52aの幅寸法よりも僅かに狭くなるように形成されているので、回動部材50bが回動中心Lを中心に回動する場合であっても、当該回動部材50bが長手方向(レール摺動方向)にがたつくこともない(図5参照)。また、回動部材50bが各長穴54aにてロックブラケット50aの支持片53の断面略C字状に形成される各支持部53aに回動可能に支持されるので、当該回動部材50bがロックブラケット50aから抜けにくくなっている。
このように構成されるロック部材50は、そのロックブラケット50aの天板51および側板52がアッパーレール20の上壁21および側壁22に当接した状態で、天板51の両丸穴51aと上壁21に設けられた2つの丸穴21aとの双方をリベット25でかしめることによりアッパーレール20に固定される。そして、回動部材50bの貫通穴56aには、弾性体である金属棒を折り曲げて形成されたロックスプリング57の一側端部57aが挿通される。
これにより、回動部材50bは、一側端部57aに挿通されたロックスプリング57により、回動中心Lを中心として図4にて反時計方向に回動する方向、すなわち、各ロック爪55をアッパーレール20の各切欠き22a、23aおよびロアレール30の対応する各切欠き35aに係合させる方向(ロック回動方向)へ付勢されている。なお、ロックスプリング57は、その他側端部57bにて平板を屈曲させて形成された固定具58によりアッパーレール20に固定されている。
図7は、図3に示す一点鎖線IIIによる楕円内の拡大図である。図8は、図7の付勢部材60の分解斜視図である。
図7および図8に示すように、付勢部材60は、アッパーレール20に固定されるバランサ支持部材61と、このバランサ支持部材61の両貫通穴61cに圧入してレール摺動方向に直角に固定されるシャフト62と、このシャフト62にその両貫通穴63bにて傾動可能に支持されるバランサブラケット63と、このバランサブラケット63に固着されるバランサ64と、操作レバー70の連結部72のロックを解除する傾動方向であるロック解除傾動方向とは反対の方向(反ロック解除傾動方向)への傾動を抑制する略クリップ状の弾性部材65とを備えている。
図7および図8に示すように、付勢部材60は、アッパーレール20に固定されるバランサ支持部材61と、このバランサ支持部材61の両貫通穴61cに圧入してレール摺動方向に直角に固定されるシャフト62と、このシャフト62にその両貫通穴63bにて傾動可能に支持されるバランサブラケット63と、このバランサブラケット63に固着されるバランサ64と、操作レバー70の連結部72のロックを解除する傾動方向であるロック解除傾動方向とは反対の方向(反ロック解除傾動方向)への傾動を抑制する略クリップ状の弾性部材65とを備えている。
バランサ支持部材61は、両側板61aの操作レバー側上端部を連結部61bにより連結して形成されている。両側板61aには、中央部に貫通穴61cが形成されるとともに、この貫通穴61cの操作レバー側および反操作レバー側の両側に切欠片61dがそれぞれ形成されている。各切欠片61dは、アッパーレール20の両側壁22の操作レバー側に設けられる図略の係合部に係合したとき、バランサ支持部材61の両側壁22に対する操作レバー側への相対移動を抑制するように形成されている。
また、連結部61bには、反操作レバー側が開口した断面略U字状の弾性挟持部61eが設けられており、この弾性挟持部61eの断面U字状部の高さはアッパーレール20の上壁21の厚さよりも僅かに狭くなるように形成されている。
図9は、バランサブラケット63の詳細斜視図である。
図9に示すように、バランサブラケット63は、中央部に貫通穴63bがそれぞれ形成された2つの側板63aを備えており、両側板63aは、貫通穴63bの中心から反操作レバー側の下端部が連結部63cにより連結されている。この連結部63cは、後述するようにバランサブラケット63と操作レバー70とをシャフト62に取り付けてロック解除傾動方向に傾動させた場合に操作レバー70の支持部73の下面に当接可能に形成されている。
図9に示すように、バランサブラケット63は、中央部に貫通穴63bがそれぞれ形成された2つの側板63aを備えており、両側板63aは、貫通穴63bの中心から反操作レバー側の下端部が連結部63cにより連結されている。この連結部63cは、後述するようにバランサブラケット63と操作レバー70とをシャフト62に取り付けてロック解除傾動方向に傾動させた場合に操作レバー70の支持部73の下面に当接可能に形成されている。
また、一方の側板63aの上端部の反操作レバー側には、他方の側板63aの上端部側および反操作レバー側に向けて延出する延出片63dが設けられている。この延出片63dは、後述するようにバランサブラケット63と操作レバー70とをシャフト62に取り付けて反ロック解除傾動方向に傾動させた場合に操作レバー70の支持部73の上面に接しないように、両貫通穴63bから反操作レバー側へ離間させて形成されている。
バランサ64は、その操作レバー側の端面64aおよび上面64bがバランサブラケット63の両側板63aおよび延出片63dに溶接等で固着されている。また、バランサ64の反操作レバー側の一部位にはロック部材50の傾斜部56に当接可能な連結片64cが突出するように形成されている(図7参照)。
このバランサ64は、操作レバー70の操作によりシャフト62を中心に傾動する操作レバー70および左右両側の付勢部材60を含む傾動体の重心位置がシャフト62の軸心に近接するように、その形状や質量等が調整されている。なお、傾動体の重心位置がシャフト62の軸心に一致するように、その形状や質量等が調整されてもよい。また、特許請求の範囲の記載において、「近接」には「一致」も含まれるものとする。
操作レバー70は、アッパーレール20の外方に配置される把持部71と、この把持部71の両端から互いに平行に略へ字状にそれぞれ延出する連結部72と、両連結部72にそれぞれ連結されてシャフト62に挿通可能な貫通穴73aが形成される支持部73とを備えている。(図1および図8参照)。
このように構成される付勢部材60および操作レバー70のアッパーレール20への組み付けについて以下に説明する。まず、バランサ64が固着されたバランサブラケット63の両貫通穴63bと支持部73の両貫通穴73aとにシャフト62を挿通した状態でこのシャフト62をバランサ支持部材61の両貫通穴61cに圧入して固定する。これにより、バランサ64と操作レバー70がシャフト62を傾動中心としてバランサ支持部材61に支持される。
次に、図7に示すように、弾性部材65のU字状付勢部65aを操作レバー70の連結部72に係止させるとともに、弾性部材65の両支持部65bをバランサ支持部材61の連結部61bの上面とアッパーレール20の上壁21の下面との間に挟持させて、付勢部材60をアッパーレール20内に挿入する。そして、バランサ支持部材61の連結部61bの弾性挟持部61eを上壁21に係合させるとともに、バランサ支持部材61の切欠片61dを両側壁22の係合部に係合させる。
これにより、付勢部材60および操作レバー70がアッパーレール20に組み付けられる。このとき、操作レバー70の連結部72は、弾性部材65のU字状付勢部65aにより反ロック解除傾動方向への傾動を抑制するように付勢されている(図7参照)。また、バランサ64の連結片64cの下面は、ロック部材50の傾斜部56の上面に当接している(図7参照)。
図10(A) は、図3に示す10−10線相当の切断面において、ロック部材50によるロック状態を示す断面図であり、図10(B) は、ロック部材50によるロック解除状態を示す断面図である。
以上のように構成されるシートスライド装置10において、操作レバー70の把持部71が操作されない状態では、ロック部材50は、ロックスプリング57の付勢力により回動中心Lを中心にロック回動方向に付勢されて、各ロック爪55がアッパーレール20の各切欠き22a、23aとロアレール30の各切欠き35aのうちいずれか5つとに係合した状態を維持する。これにより、アッパーレール20とロアレール30とが相対移動不能にロックされる(図10(A) 参照)。
以上のように構成されるシートスライド装置10において、操作レバー70の把持部71が操作されない状態では、ロック部材50は、ロックスプリング57の付勢力により回動中心Lを中心にロック回動方向に付勢されて、各ロック爪55がアッパーレール20の各切欠き22a、23aとロアレール30の各切欠き35aのうちいずれか5つとに係合した状態を維持する。これにより、アッパーレール20とロアレール30とが相対移動不能にロックされる(図10(A) 参照)。
このようなロック部材50によるロック状態において、操作レバー70の把持部71が上方向に移動するように操作されると、操作レバー70の支持部73がシャフト62を中心として傾動する。このように傾動する支持部73によりバランサブラケット63の連結部63cが下方向に押動されると、当該バランサブラケット63がシャフト62を中心として延出片63dを下方に移動させる方向(ロック解除傾動方向)に傾動する。
このように傾動するバランサブラケット63に固着されたバランサ64の連結片64cによりロック部材50の傾斜部56が下方向に付勢されると、回動部材50bが回動中心Lを中心に図10(B)にて時計方向(ロック解除回動方向)へ回動する。これにより、各ロック爪55と、アッパーレール20の各切欠き22a、23aおよびロアレール30の各切欠き35aとの係合が解除されて、アッパーレール20とロアレール30とが相対移動可能なロック解除状態になる。
このとき、回動部材50bは、回動中心Lを構成する長穴54aとロック爪55とが離間するように形成されているので、長穴54aとロック爪55とが近接している場合と比べて、ロック解除するときの操作レバー70の操作に応じて移動する回動部材50bの傾斜部56の下方への移動量が大きくなる。
また、回動部材50bは、長穴54aから離間して形成された傾斜部56がバランサ64の連結片64cに付勢されることにより回動中心Lを中心にロック状態(図10(A) )からロック解除状態(図10(B) )まで回動するので、長穴54a近傍部位が付勢される場合と比べて、ロック解除するときの操作レバー70の操作に応じて移動する回動部材50bの傾斜部56の下方への移動量が大きくなる。
このように回動部材50bの傾斜部56の下方への移動量が大きくなることにより、ロック解除時におけるシャフト62を中心に傾動するバランサ64の傾動角度が大きくなる。その結果、ロック解除時におけるシャフト62を中心に傾動する支持部73の傾動角度、すなわち、把持部71の上方への移動距離が大きくなり、ロック解除操作に大きな操作ストロークが必要となる。
そして、アッパーレール20とロアレール30との相対位置を調整した後に操作レバー70の把持部71を元の位置に戻すように下方へ移動させると、バランサ64の連結片64cによる回動部材50bへの付勢が解除されて、当該回動部材50bは、ロックスプリング57の付勢力により回動中心Lを中心にロック回動方向に回動する。これにより、各ロック爪55がアッパーレール20の各切欠き22a、23aとロアレール30の各切欠き35aのうちいずれか5つとに係合して、アッパーレール20とロアレール30とが再び相対移動不能にロックされる(図10(A) 参照)。
また、このようなロック状態において、車両が衝突等して搭乗者が操作レバー70の把持部71をロック解除傾動方向に移動させるように接触しても、以下の理由によりロック解除される操作レバー70の誤操作が防止され得る。すなわち、操作レバー70および左右両側の付勢部材60を含む傾動体の重心位置がシャフト62の軸心に近接しているから、傾動体の重心位置が傾動中心から離間している場合と比べて、操作レバー70の傾動に応じて生じるロック部材50をロック解除させるときの力が小さくなっている。これにより、ロック解除されにくくなるので、搭乗者の意思に反する接触等による当該操作レバー70の誤操作が防止される。また、ロック解除に必要な回動体50bの回動角度を増加させることにより、ロック解除操作に大きな操作ストロークが必要となる。
また、このようなロック状態において、車両が衝突等してシートベルトの取付具に引張力が生じると、この取付具の近傍に配置される車両室内側のアッパーレール20およびロアレール30(以下、内側レール20、30ともいう)の反操作レバー側が上方に移動する一方で、車両の室外側のアッパーレール20およびロアレール30(以下、外側レール20、30ともいう)は移動しない。
上述のように内側レール20、30の反操作レバー側のみが上方に移動すると、当該内側レール20、30は、その操作レバー側が下方向に移動するように傾動する。このとき、操作レバー70の支持部73と付勢部材60のバランサブラケット63とが固定された状態でシャフト62を傾動中心として傾動する構成である場合では、外側レール側の把持部71が反ロック解除方向には移動できずに操作レバー70が元の位置(水平状態)を保つため、傾斜した内側レール20、30に対して操作レバー70が相対的にロック解除方向に移動することとなり、搭乗者の意思に反して内側レール20、30がロック解除されてしまう。
本第1実施形態においては、シャフト62に傾動可能に支持されるバランサブラケット63の延出片63dは操作レバー70の支持部73の上面に接しないように形成されているので、付勢部材60がロック状態から反ロック解除傾動方向へ傾動してもこの傾動に応じて支持部73が傾動することはない。このため、上述のようにシートベルト取付具に生じた引張力に応じて内側レール20、30が傾動しても、操作レバー70の連結部72が反ロック解除傾動方向に傾動することもない。
以上説明したように、本第1実施形態に係るシートスライド装置10は、操作レバー70の操作に応じてロック部材50をロック解除回動方向に付勢する付勢部材60であって、操作レバー70の操作に応じて当該操作レバー70とともにシャフト62を傾動中心として傾動可能な付勢部材60を備えている。そして、この付勢部材60のバランサ64は、操作レバー70の操作によりシャフト62を傾動中心として傾動する当該操作レバー70および付勢部材60を含む傾動体の重心位置をシャフト62の軸心に近接させるように、その形状や質量等が調整されている。
これにより、操作レバー70および付勢部材60を含む傾動体の重心位置がシャフト62の軸心に近接しているので、操作レバー70の傾動に応じて生じるロック部材50をロック解除させるときの力が小さくなることから当該ロック部材50がロック解除されにくくなり、操作レバー70の誤操作が抑制され得る。
また、バランサ64の重心位置を調整することで上記傾動体の重心位置を調整することができるので、当該傾動体の重心位置をシャフト62の軸心に近接させるための調整作業を容易に実施することができる。
したがって、操作レバー70の誤操作を防止することができる。
したがって、操作レバー70の誤操作を防止することができる。
また、本第1実施形態に係るシートスライド装置10では、付勢部材60のバランサブラケット63は、ロック状態からシャフト62を中心にロック解除傾動方向に傾動する操作レバー70の支持部73に当接可能な連結部63cが形成されている。また、バランサブラケット63の延出片63dは、ロック状態からシャフト62を中心に反ロック解除傾動方向に傾動する操作70の支持部73には接しないように、両貫通穴63bから反操作レバー側へ離間させて形成されている。
これにより、上述のようにシートベルト取付具に生じた引張力に応じて内側レール20、30の付勢部材60がロック状態から反ロック解除傾動方向へ傾動しても、支持部73が傾動することもない。一方、付勢部材60のバランサブラケット63は、ロック解除傾動方向に傾動する支持部73に当接可能な連結部63cが形成されているので、ロック解除傾動方向への操作レバー70の傾動は当該付勢部材60を介してロック部材50に伝達可能である。
これにより、上述のような衝撃力により外側レール20、30がロック解除されるような操作レバー70の誤動作を防止することができる。
これにより、上述のような衝撃力により外側レール20、30がロック解除されるような操作レバー70の誤動作を防止することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について図11〜図13を参照して説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係るシートスライド装置10の要部を示す斜視図である。図12は、図11の付勢部材80の分解斜視図である。図13(A) は、ロック状態の付勢部材80を示す図であり、図13(B) は、ロック状態から反ロック解除方向に傾動した付勢部材80を示す図である。なお、図13(A),(B)は、傾動部材83の傾動状態を説明するために、バランサ84の一部のみを2点鎖線で示すとともにバランサ支持部材81を断面にして示している。
次に、本発明の第2実施形態について図11〜図13を参照して説明する。図11は、本発明の第2実施形態に係るシートスライド装置10の要部を示す斜視図である。図12は、図11の付勢部材80の分解斜視図である。図13(A) は、ロック状態の付勢部材80を示す図であり、図13(B) は、ロック状態から反ロック解除方向に傾動した付勢部材80を示す図である。なお、図13(A),(B)は、傾動部材83の傾動状態を説明するために、バランサ84の一部のみを2点鎖線で示すとともにバランサ支持部材81を断面にして示している。
本第2実施形態に係るシートスライド装置10は、上記第1実施形態にて述べた付勢部材60および操作レバー70に代えて、付勢部材80および操作レバー90を採用する点が上記第1実施形態に係るシートスライド装置と異なる。したがって、第1実施形態のシートスライド装置と実質的に同一の構成部分には、同一符号を付し、その説明を省略する。
図11および図12に示すように、付勢部材80は、アッパーレール20に固定されるバランサ支持部材81と、このバランサ支持部材81の両貫通穴81cに圧入してレール摺動方向に直角に固定される第1シャフト82と、この第1シャフト82に相対傾動可能に支持される傾動部材83および2つのバランサ84,85と、両バランサの貫通穴84b,85bに嵌合する第2シャフト86と、スプリング87とを備えている。
バランサ支持部材81は、両側板81aの上端部を2つの連結部81bにより連結して形成されている。両側板81aには、中央部に貫通穴81cが形成されるとともに、この貫通穴81cの操作レバー側および反操作レバー側の両側に切欠片81dがそれぞれ形成されている。各切欠片81dは、バランサ支持部材81を下方からアッパーレール20に対して押し上げるように組み付けることにより、両側壁22の操作レバー側に設けられる図略の係合部に係合するように形成されている。また、反操作レバー側の連結部81bの中央には、反操作レバー側下方に傾斜する付勢片81eが設けられている。
傾動部材83は、中央部に形成される貫通穴83aにより第1シャフト82に対して相対傾動可能に支持されている。この傾動部材83には、貫通穴83aの反操作レバー側に上下方向に長く形成された長穴83bが設けられている。この長穴83bには、第2シャフト86が当該長穴83bに対して略上下方向に相対移動可能に係合されている。なお、長穴83bの短径は、第2シャフト86の外径よりも大きくなるように設定されている。
また、傾動部材83の操作レバー側は、上方に傾斜するように突出して操作レバー90に連結する部位である連結部83cを構成し、この連結部83cの先端部近傍には第3シャフト88が挿通可能な貫通穴83dが形成されている。
バランサ84には2つの貫通穴84a,84bが形成されており、当該バランサ84は、操作レバー側の貫通穴84aにより第1シャフト82に相対傾動可能に支持されている。また、貫通穴84bには、長穴83bに相対移動可能に係合する第2シャフト86の一側端部が挿入されて相対移動不能に固定されている。このバランサ84の反操作レバー側の一部位には、ロック部材50の傾斜部56に当接可能な連結片84cが突出するように形成されている。
バランサ85は、2つの貫通穴85a,85bが形成されており、当該バランサ85は、操作レバー側の貫通穴85aにより第1シャフト82に相対傾動可能に支持されている。また、貫通穴85bには、長穴83bに相対移動可能に係合する第2シャフト86の他側端部が挿入されて相対移動不能に固定されている。
両バランサ84,85は、操作レバー90の操作により第1シャフト82を中心に傾動する操作レバー90および左右両側の付勢部材80を含む傾動体の重心位置が第1シャフト82の軸心に近接するように、その形状や質量等が調整されている。なお、傾動体の重心位置が第1シャフト82の軸心に一致するように、その形状や質量等が調整されてもよい。
スプリング87は、板状の弾性部材をU字状に折り曲げて形成されている。このスプリング87は、傾動部材83の連結部83cの外面と操作レバー90の支持部93の凹部93aの内面との間に介装されることにより、操作レバー90と、内側レールおよび外側レールの双方の傾動部材83とのがたつきを抑制して連結する役割を果たす。
操作レバー90は、アッパーレール20の外方に配置される把持部91と、この把持部91の両端から互いに平行に略へ字状にそれぞれ延出する連結部92と、両連結部92および付勢部材80の傾動部材83の双方にそれぞれ連結される支持部93とを備えている。
支持部93の端部には、スプリング87を外面に嵌めた連結部83cが嵌合可能な凹部93aが形成されるとともに、第3シャフト88が挿通可能な貫通穴93bが形成されている。
このように構成される付勢部材80および操作レバー90のアッパーレール20への組み付けについて以下に説明する。まず、第1シャフト82を、傾動部材83の貫通穴83aおよび両バランサ84,85の貫通穴84a,85aに挿通するとともに、傾動部材83の長穴83bに上下方向に相対移動可能に係合された第2シャフト86の一側端部および他側端部を、両バランサ84,85の貫通穴84b,85bに挿通する。このように傾動部材83および両バランサ84,85が相対傾動可能に挿通された第1シャフト82を、バランサ支持部材81の両貫通穴81cに圧入して固定する。
次に、スプリング87を傾動部材83の連結部83cの外面に嵌めた後、スプリング87および連結部83cを支持部93の凹部93aに嵌合する。これにより、支持部93の凹部93aの内面と傾動部材83の連結部83cの外面との間にスプリング87が介装されることとなる。そして、第3シャフト88を貫通穴93bおよび貫通穴83dに挿通することにより、傾動部材83、両バランサ84,85および操作レバー90が、第1シャフト82を傾動中心としてバランサ支持部材81に支持されることとなる。
そして、バランサ支持部材81の切欠片81dをアッパーレール20の両側壁22の係合部に係合させることにより、付勢部材80および操作レバー90がアッパーレール20に組み付けられる。
このとき、傾動部材83の反操作レバー側上端部にはバランサ支持部材ト81の付勢片81eが当接することにより、当該傾動部材83は略下方向(第2シャフト86を中心としてロック解除傾動方向)に付勢されている。このため、傾動部材83は、付勢片81eにより、その長穴83bの上部の内周面が第2シャフト86に当接するように付勢されることとなる。
以上のように構成されるシートスライド装置10において、操作レバー90の把持部91が操作されない状態では、ロック部材50は、上記第1実施形態と同様に、ロックスプリング57の付勢力により回動中心Lを中心にロック回動方向に付勢されて、各ロック爪55がアッパーレール20の各切欠き22a、23aとロアレール30の各切欠き35aのうちいずれか5つとに係合した状態を維持する。これにより、アッパーレール20とロアレール30とが相対移動不能にロックされる。
このようなロック部材50によるロック状態において、操作レバー90の把持部91が上方向に移動するように操作されると、支持部93および傾動部材83が第1シャフト82を中心としてロック解除傾動方向に傾動する。このとき、図13(A) に示すように、傾動部材83の長穴83bの内周面に当接している第2シャフト86が、傾動部材83の傾動に応じて略下方向に移動する。この第2シャフト86の移動により、当該第2シャフト86の一側端部および他側端部が貫通穴84b,85bに挿入されたバランサ84,85は、第1シャフト82を中心としてロック解除傾動方向に傾動する。
このように傾動するバランサ84の連結片84cによりロック部材50の傾斜部56が下方向に付勢されると、回動部材50bが回動中心Lを中心にロック解除回動方向へ回動する。これにより、各ロック爪55と、アッパーレール20の各切欠き22a、23aおよびロアレール30の各切欠き35aとの係合が解除されて、アッパーレール20とロアレール30とが相対移動可能なロック解除状態になる。
そして、アッパーレール20とロアレール30との相対位置を調整した後に操作レバー90の把持部91を元の位置に戻すように下方へ移動させると、バランサ84の連結片84cによる回動部材50bへの付勢が解除されて、当該回動部材50bは、ロックスプリング57の付勢力により回動中心Lを中心にロック回動方向に回動する。これにより、各ロック爪55がアッパーレール20の各切欠き22a、23aとロアレール30の各切欠き35aのうちいずれか5つとに係合して、アッパーレール20とロアレール30とが再び相対移動不能にロックされる。
また、上記第1実施形態にて述べたように、車両の衝突等により内側レール20、30の反操作レバー側のみが上方に移動する場合、当該内側レール20、30は、その操作レバー側が下方向に移動するように傾動する。このとき、本第2実施形態においては、ロック部材50を付勢するバランサ84は、傾動部材83に対して第1シャフト82を中心として相対的に反ロック解除傾動方向に傾動することとなる。このとき、バランサ84に一側端部が固定される第2シャフト86は、長穴83bの内周面に当接することなく長穴83bに対して第1シャフト82を中心に相対移動する(図13(B) 参照)。このため、バランサ84の反ロック解除傾動方向への傾動に応じて傾動部材83および操作レバー90が傾動することはない。その結果、上述のようにシートベルト取付具に生じた引張力に応じて内側レール20、30が傾動しても、操作レバー90の連結部92が反ロック解除傾動方向に傾動することもない。
以上説明したように、本第2実施形態に係るシートスライド装置10では、付勢部材80は、操作レバー90の操作に応じて第1シャフト82を中心に傾動する傾動部材83と、第1シャフト82を中心に傾動可能に支持されてロック部材50をロック解除方向に付勢可能なバランサ84とを備えている。そして、傾動部材83には上下方向に長く形成された長穴83bが形成され、バランサ84には長穴83bに対して第1シャフト82を中心に円周方向に相対移動可能に係合する第2シャフト86が固定されている。そして、バランサ84は、傾動部材83がロック状態からロック解除方向に傾動するとき、第2シャフト86が長穴83bの上部の内周面に当接することにより傾動部材83とともにロック解除方向に傾動してロック部材50をロック解除方向に付勢する。また、バランサ84およびバランサ85の重心位置は、操作レバー90および付勢部材80を含む傾動体の重心位置を第1シャフト82の軸心に近接させるように調整されている。
このため、操作レバー90の操作により傾動部材83がロック状態からロック解除方向に傾動するとき、第2シャフト86が長穴83bの上部の内周面に当接することにより傾動部材83の傾動に応じてバランサ84が第1シャフト82を中心にロック解除方向に傾動する。このバランサ84の傾動に応じてロック部材50がロック解除方向に付勢されるので、操作レバー90の操作に応じて確実にロック状態を解除することができる。
一方、上述したように内側レール20,30の反操作レバー側のみが上方に移動すると、当該内側レール20,30のロック部材50を付勢するバランサ84は第1シャフト82を中心にロック状態から反ロック解除方向に傾動する。このとき、バランサ84に固定された第2シャフト86は、長穴83bの内周面に当接することなく当該長穴83bに対して第1シャフト82を中心に相対移動する。このため、バランサ84の反ロック解除方向への傾動に応じて傾動部材83および操作レバー90が傾動することはない。
このようにしても、上述のような衝撃力により外側レール20,30がロック解除されるような操作レバー90の誤動作を防止することができる。
このようにしても、上述のような衝撃力により外側レール20,30がロック解除されるような操作レバー90の誤動作を防止することができる。
また、本第2実施形態に係るシートスライド装置10では、付勢部材80は、ロック部材50がロック解除されない程度の付勢力にて傾動部材83をロック解除方向に付勢する付勢片81eを備えている。このように、傾動部材83は付勢片81eによりロック部材50がロック解除されない程度の付勢力にてロック解除方向に付勢されるので、当該傾動部材83は、第2シャフト86が長穴83bの内周面に当接するまでロック解除方向に傾動することとなる。これにより、ロック状態時には第2シャフト86が長穴83bの内周面に確実に当接しているので、操作レバー90の誤動作を防止するとともに、操作レバー90のロック解除操作に応じて確実にロック解除することができる。
さらに、本第2実施形態に係るシートスライド装置10では、操作レバー90および傾動部材83は、支持部93の凹部93aの内面と連結部83cの外面との間に弾性変形可能なスプリング87を介して連結されている。これにより、操作レバー90と、内側レールおよび外側レールの双方の傾動部材83とをがたつきを抑制して連結することができる。
なお、本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記各実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)付勢部材60のバランサブラケット63とバランサ64は別体ではなく、バランサブラケット63とバランサ64とを一体に形成してもよい。
(1)付勢部材60のバランサブラケット63とバランサ64は別体ではなく、バランサブラケット63とバランサ64とを一体に形成してもよい。
(2)バランサブラケット63は、その延出片63dを廃止するとともに、その両側板63aにてバランサ64の端面64aに溶接等で固着されてもよい。
(3)ロック部材50の回動部材50bは、各長穴54aを支持片53に挿通して係合させることにより回動中心Lを中心にロックブラケット50aに回動可能に支持されることに限らず、回動中心Lがロック爪55から離間するようにロックブラケット50aに回動可能に支持されればよい。
(4)各支持片53および各長穴54aは、それぞれ3個設けられることに限らず、1個または2個でもよいし、4個以上設けてもよい。
(5)支持部53aは、断面略C字状に形成されることに限らず、支持部53aに挿通された長穴54aが当該支持部53aから抜けにくい形状であればよい。
(6)各突出部54bおよび各開口部52aは、それぞれ3個設けられることに限らず、1個または2個でもよいし、4個以上設けてもよい。
(7)上記第2実施形態において、上述した傾動体の重心位置を調整するためのバランサ84,85は、1つのみのバランサ、例えば、バランサ84のみを採用して上記傾動体の重心位置を調整してもよいし、3つ以上のバランサを採用して上記傾動体の重心位置を調整してもよい。また、傾動部材83の重心位置を調整して上記傾動体の重心位置を調整してもよい。
(8)上記第2実施形態において、傾動部材83の長穴83bを第2シャフト86に挿通して相対移動不能となる貫通穴に変更するとともに、バランサ84,85の貫通穴84b,85bを第2シャフト86が上下方向に相対移動可能に係合する長穴に変更してもよい。この場合、ロック状態では、第2シャフト86は、両バランサ84,85の長穴の下部の内周面に当接することとなる。
(9)上記第2実施形態において、傾動部材83の長穴83bは、上下方向に長く形成されることに限らず、第2シャフト86が第1シャフト82を中心として円周方向に相対移動可能な形状に形成されてもよい。
(10)上記第2実施形態において、傾動部材83および操作レバー90の支持部93は、連結部83cの外面と凹部93aの内面との間にスプリング87を介装して連結されることに限らず、傾動部材83の操作レバー側部位に凹部を形成するとともに支持部93の傾動部材側に凸部を形成し、凹部の内面と凸部の外面との間にスプリング87を介装して連結されてもよい。このようにしても、操作レバー90と、内側レールおよび外側レールの双方の傾動部材83とをがたつきを抑制して連結することができる。
(11)上記第2実施形態において、スプリング87は、板状の弾性部材をU字状に折り曲げて形成されることに限らず、傾動部材83の連結部83cの外面と操作レバー90の支持部93の凹部93aの内面との間に介装され得る形状であればよい。
10…シートスライド装置、
20…アッパーレール(アッパーレール部材)、22a、23a…切欠き(アッパーレール側被係合部)、
30…ロアレール(ロアレール部材)、35a…切欠き(ロアレール側被係合部)、
50…ロック部材、50a…ロックブラケット、50b…回動部材、52a…開口部、53…支持片、53a…支持部、54a…長穴、54b…突出部、55…ロック爪(ロック側係合部)、56…傾斜部、56a…貫通穴、
60…付勢部材、61…バランサ支持部材、62…シャフト、63…バランサブラケット、63a…側板、63b…貫通穴、63c…連結部、63d…延出片、64…バランサ、64c…連結片、
70…操作レバー(操作部材)、71…把持部、72…連結部、73…支持部、73a…貫通穴、
80…付勢部材、82…第1シャフト、83…傾動部材(第1傾動部材)、83b…長穴(係合穴)、84…バランサ(第2傾動部材)、85…バランサ、86…第2シャフト(係合軸)、
B…車両フロア(車体)、L…回動中心、S…車両用シート。
20…アッパーレール(アッパーレール部材)、22a、23a…切欠き(アッパーレール側被係合部)、
30…ロアレール(ロアレール部材)、35a…切欠き(ロアレール側被係合部)、
50…ロック部材、50a…ロックブラケット、50b…回動部材、52a…開口部、53…支持片、53a…支持部、54a…長穴、54b…突出部、55…ロック爪(ロック側係合部)、56…傾斜部、56a…貫通穴、
60…付勢部材、61…バランサ支持部材、62…シャフト、63…バランサブラケット、63a…側板、63b…貫通穴、63c…連結部、63d…延出片、64…バランサ、64c…連結片、
70…操作レバー(操作部材)、71…把持部、72…連結部、73…支持部、73a…貫通穴、
80…付勢部材、82…第1シャフト、83…傾動部材(第1傾動部材)、83b…長穴(係合穴)、84…バランサ(第2傾動部材)、85…バランサ、86…第2シャフト(係合軸)、
B…車両フロア(車体)、L…回動中心、S…車両用シート。
Claims (5)
- 車体に固定されるロアレール部材と、
シートに固定されるとともに前記ロアレール部材に対し摺動自在に設けられるアッパーレール部材と、
前記ロアレール部材のロアレール側被係合部と前記アッパーレール部材のアッパーレール側被係合部とに係脱可能なロック側係合部を有するロック部材と、
前記ロック側係合部が前記ロアレール側係合部および前記アッパーレール側係合部に係合するロック状態とそのロック状態を解除するロック解除状態とを切り替えるために操作される操作部材と、
を備えるシートスライド装置において、
前記ロック解除状態に切り替えるための前記操作部材の操作に応じて前記ロック部材をロック解除方向に付勢する付勢部材であって、前記操作部材の操作に応じて当該操作部材とともに所定の傾動中心を中心に傾動可能な付勢部材を備え、
前記操作部材の操作により前記所定の傾動中心を中心に傾動する当該操作部材および前記付勢部材を含む傾動体の重心位置を前記所定の傾動中心に近接させるように前記付勢部材の重心位置が調整されることを特徴とするシートスライド装置。 - 前記付勢部材は、前記ロック状態から前記所定の傾動中心を中心にロック解除方向に傾動する前記操作部材に当接可能な当接部が形成されるとともに、前記ロック状態から前記所定の傾動中心を中心に反ロック解除方向に傾動する前記操作部材には接しないように形成されることを特徴とする請求項1記載のシートスライド装置。
- 前記付勢部材は、前記操作部材の操作に応じて前記所定の傾動中心を中心に傾動する第1傾動部材と、前記所定の傾動中心を中心に傾動可能に支持されて前記ロック部材を前記ロック解除方向に付勢可能な第2傾動部材とを備え、
前記第1傾動部材および前記第2傾動部材のいずれか一方に係合穴が形成され、他方にこの係合穴に対して前記所定の傾動中心を中心に円周方向に相対移動可能に係合する係合軸が形成され、
前記第2傾動部材は、前記第1傾動部材が前記ロック状態から前記ロック解除方向に傾動するとき、前記係合軸が前記係合穴の内周面に当接することにより前記第1傾動部材とともに前記ロック解除方向に傾動して前記ロック部材を前記ロック解除方向に付勢し、
前記第1傾動部材および前記第2傾動部材の少なくとも1つの部材の重心位置は前記傾動体の重心位置を前記所定の傾動中心に近接させるように調整されることを特徴とする請求項1に記載のシートスライド装置。 - 前記付勢部材は、前記ロック部材がロック解除されない程度の付勢力にて前記第1傾動部材を前記ロック解除方向に付勢する付勢片を備えることを特徴とする請求項3に記載のシートスライド装置。
- 前記操作部材および前記第1傾動部材は、いずれか一方に形成された凹部の内面と他方に形成された凸部の外面との間に弾性変形可能な弾性部材を介して連結されることを特徴とする請求項3または4に記載のシートスライド装置。
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