JP2009143101A - 液体供給装置およびそれを備えたインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱気液に経路中の残留エアーを溶解させることにより、インクジェットヘッドから安定した脱気液の吐出することのできる液体供給装置およびインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置100は、インクジェットヘッド1から吐出されるインクを供給するインク供給装置2を備えている。インク供給装置2は、密閉タンク20から排出されたインクが脱気モジュール23に送液され、脱気モジュール23で形成された脱気インクが密閉タンク20に戻るインク形成経路21と、密閉タンク20内の脱気インクがインクジェットヘッド1に供給されるインク供給経路122とが、互いに独立して設けられている。
【選択図】図1

Description

本発明は、インクジェットヘッドから安定して脱気インクを吐出するための液体供給装置およびそれを備えたインクジェット記録装置に関する。
インクジェット記録装置においてインク吐出を安定させる方法として、インクジェットヘッドに供給するインク中の溶存気体を除去する方法が知られている。インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドを駆動させることにより、インクジェットヘッドからインクを吐出する。しかし、インクジェットヘッドの駆動時に発生する圧力変動が原因となって、インクジェットヘッド内に存在するインクに溶存しているミクロのエアーが、気泡として発生する。
また、インクジェットヘッドにインクを供給する配管が空の状態(初期状態)のとき、インクジェットヘッド内にインクを供給しようとすると、その配管にインクが供給される際に、配管中に気泡が残留する。その結果、残留した気泡がインク共に、インクジェットヘッドに流れ込んでしまう。このため、インクの不吐出、または、インク吐出にバラツキ(吐出ムラ)が生じる。これにより、基板上に着弾したインク量に変化(バラツキ)が生じ、その変化(バラツキ)がすじムラの原因となる。つまり、インク吐出後の基板は、不良品となってしまう。
そこで、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッドにインクを供給する供給経路中に、空気残渣が発生する箇所を極力なくすように構成されたり、その供給経路中に、脱気装置を設け、脱気したインクをインクジェットヘッドに供給するように構成されたりする。
脱気装置を備えるインクジェット記録装置では、例えば、上記供給経路となる配管に、脱気モジュール(テフロン(登録商標)製やポリエチレン製の膜のフィルター)の入口と出口が直列に接続される。また、脱気モジュール内を真空に保持するために、脱気モジュールに真空ポンプが接続される。これにより、インク中に溶解しているエアーを取り除いたインク(以下「脱気インク」)が作製される。そして、この脱気インクが、上記供給経路を介してインクジェットヘッドに供給される。これにより、インクジェットヘッドの駆動により発生する気泡の低減、および、上記初期状態時に配管内に残留するエアーがインクに溶解することによって発生するインクの不吐出を抑制することができる。
しかし、このように脱気インクを作製したとしても、脱気インクが空気に曝されると、インクに空気が溶解し、すぐに空気が飽和した状態に戻ってしまう。このため、如何に高脱気度の脱気インクを作製するか、また如何に脱気インクの脱気度を保持したままインクジェットヘッドへ供給するか、如何に供給経路内(配管内)に空気を残留させずにインクを供給できるかが課題となる。
そこで、特許文献1には、インクジェットヘッドによるインクの吐出動作中に、脱気装置によって脱気された脱気インクを、インクジェット内に循環させた、インクジェット記録装置が開示されている。
また、このインクジェット記録装置は、インクの供給経路内に、溶存酸素計を備えており、インク中の溶存酸素濃度をモニターしている。これにより、インク中の溶存酸素量を一定値以下に保持した脱気インクが、インクジェットヘッドに供給される。一方、溶存酸素量が一定値を超えた場合には、インクジェットヘッドにインクを供給せず、脱気装置にインクを循環させる。
特開2000−190529号公報(公開日:2000年7月11日)
しかしながら、特許文献1の構成では、インクジェットヘッドから安定した脱気液を吐出することができない。
ここで、インクジェットヘッド内のエアーを脱気インクに溶解させ、配管経路中に残留するエアーを脱気インクに溶解させるためには、脱気度の高いインクが必要になる。このような高脱気度の脱気インクを作製するには、例えば、脱気モジュールを通るインクの流量を極力低い状態で送液させるか、容量の大きい脱気モジュールを使用するか、または、脱気モジュール内を構成するチューブを長く、且つチューブの径を細くして本数を多くすることが考えられる。
しかし、特許文献1では、脱気モジュールがインクジェットヘッドに接続されているため、脱気モジュールで形成された脱気インクが、直接インクジェットヘッドに供給される。このため、例えば、脱気モジュールを通るインクの流量を低くして、脱気度の高い脱気インクを作製しようとすると、配管中に残留するエアーを溶解させるために長時間を要することになる。また、インクジェットヘッドの手前に配置される脱気モジュールの容量を大きくすると、インクジェット記録装置上で脱気モジュールを搭載させる機構設計を考慮する必要がある。このため、より多くのスペースが必要となってくる。また、脱気モジュール内に在るチューブの径を小さくして本数を多くし、併せてチューブ長を長くする仕様にすると、供給するインクの配管抵抗が大きくなる。その結果、インク詰まりが発生する危険性や、インクジェットヘッドを循環する流量の制御が難しくなる。このため、水頭差で流量を制御するためには供給側の液面高さを管理する機構が必要となる。従って、特許文献1の構成では、インクジェットヘッドから、安定したインク吐出ができない。
そこで、本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、脱気液に経路中の残留エアーを溶解させることにより、インクジェットヘッドから安定した脱気液の吐出することのできる液体供給装置およびインクジェット記録装置を提供することにある。
本発明の液体供給装置は、上記の課題を解決するために、インクジェットヘッドから吐出される液体を供給する液体供給装置であって、
上記液体が貯蔵される密閉タンクと、
密閉タンク内の液体中の溶存気体を脱気する脱気部を備え、
密閉タンクから排出された液体が脱気部に送液され、脱気部で形成された脱気液が密閉タンクに戻る第1経路と、
密閉タンク内の脱気液がインクジェットヘッドに供給される第2経路が、互いに独立して設けられていることを特徴としている。
本発明の液体供給装置は、第1経路により形成された脱気液を、第2経路を介して、インクジェットヘッドに供給する。
上記の構成によれば、脱気液の形成経路である第1経路と、インクジェットヘッドへの脱気液の供給経路である第2経路とが、互いに独立して設けられている。これにより、第1経路の流量に影響されずに、インクジェットヘッドに脱気液を供給し、インクジェットヘッドから脱気液を吐出させることができる。
しかも、上記の構成によれば、特許文献1のように脱気部からインクジェットヘッドに脱気液が供給されるのではなく、密閉タンクからインクジェットヘッドに脱気液が供給される。このため、インクジェットヘッドに高流量で脱気インクを供給することができる。これにより、第2経路に残留するエアーを、短時間で確実に脱気液に溶解させることができる。従って、第2経路中に残存するエアーが原因となるインクの不吐出を抑制することができる。それゆえ、インクジェットヘッドにより、安定して脱気液を吐出させることができる。
このように、本発明の液体供給装置によれば、第1経路により形成された脱気度の高い(エアー濃度の低い)脱気液が、第2経路によりインクジェットヘッドに供給される。しかも、第2経路に脱気液を高流量で供給することより、第2経路に残留するエアーを、高流量で供給された脱気液に溶解させることができる。従って、インクジェットヘッドから安定して脱気液を吐出させることができる。
本発明の液体供給装置は、第1経路により脱気液が形成されつつ、第2経路によりインクジェットヘッドに脱気液が供給されることが好ましい。
上記の構成によれば、インクジェットヘッドから脱気液を吐出している間にも、第1経路により脱気液が形成されている。これにより、脱気液の形成時間を短縮することができ、常に脱気度の高い脱気液をインクジェットヘッドに供給することができる。
本発明の液体供給装置は、第1経路で形成された脱気液が、第1経路を循環するようになっており、第2経路は、インクジェットヘッドから吐出されずに排出される脱気液を密閉タンクに戻す経路をさらに有しており、インクジェットヘッドから排出された脱気液が、第2経路を循環するようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、第1経路で形成された脱気液は、第1経路→密閉タンク→第1経路…のように循環する。一方、この循環とは独立して、インクジェットヘッドから吐出されずに排出された脱気液は、第2経路→密閉タンク→第2経路…のように循環する。これにより、インクジェットヘッドから吐出されなかった脱気液も再利用される。従って、無駄な脱気液の消費量を、削減することができる。
本発明の液体供給装置は、第1経路を流れる液体または脱気液の流量が、第2経路を流れる脱気液の流量よりも多くなっていてもよい。
上記の構成によれば、脱気液を形成する第1経路の流量よりも、脱気液を供給する第2経路の流量よりも多い。これにより、第1経路により形成される脱気液の量よりも、第2経路に供給される脱気液の量が、少なくなる。従って、第2経路に、確実に脱気度の高い脱気液を供給することができる。
本発明の液体供給装置は、第2経路における、インクジェットヘッドから吐出されずに排出される経路中に、送液ポンプを備え、
上記送液ポンプは、インクジェットヘッドに対し負圧をかけて、密閉タンクから第2経路に脱気液を供給させるようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、送液ポンプがインクジェットヘッドの排出側に設けられており、インクジェットヘッドに負圧がかかる。これにより、インクジェットヘッドのメニスカスを破壊することなく、第2経路に脱気インクを供給することができる。
本発明の液体供給装置では、上記密閉タンクは、密閉タンク内の液体または脱気液が減少するに従い、密閉タンクの容積を減少させるようになっていることが好ましい。
上記の構成によれば、密閉タンク内部の液体または脱気液の体積変動に連動して、密閉タンク内の容積を変動させるようになっている。これにより、インクジェットヘッドから、第2経路を経て、密閉タンク内にエアーが侵入するのを低減することができる。
このような体積変動に連動して容積が変動する密閉タンクは、例えば、上記液体が貯蔵されるシリンダと、押圧によりシリンダの液体を排出させるピストンとから構成することができる。
上記の構成によれば、ピストンの圧力を制御することによって、インクジェットヘッドのメニスカスを制御することができる。
また、このような体積変動に連動して容積が変動する密閉タンクは、袋状の構成とすることもできる。これにより、簡単な構成により、密閉タンクの体積変動に連動して容積を変動させることができる。
本発明の液体供給装置は、上記密閉タンクの表面が、金属膜によりラミネートされていることが好ましい。
上記の構成によれば、密閉タンクの表面が金属膜によりラミネートされているため、密閉タンクへの空気の侵入が効果的に遮断される。これにより、密閉タンク内の脱気液を脱気度の高い状態で維持することができる。すなわち、脱気液の酸素濃度を低い状態に維持することができる。
本発明の液体供給装置は、第2経路中に、インクジェットヘッドから吐出されずに排出された脱気液を貯蔵する密閉容器を備え、
上記送液ポンプが、密閉容器に接続されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第2経路のインクジェットヘッドと、密閉タンクとの間に、インクジェットヘッドで吐出されなかった脱気液を貯蔵する密閉容器を備えている。また、この密閉容器に、送液ポンプが接続されている。これにより、直接、送液ポンプにより第2経路に脱気液を送液した場合よりも、脈動が少ない状態で、脱気インクを供給することができる。従って、より安定したインク供給が可能となる。
本発明の液体供給装置は、上記密閉容器を加圧または減圧する加減圧ポンプと、
上記密閉容器内の圧力を検知する圧力センサーを備え、
上記圧力センサーの出力値が、密閉容器内が所定の圧力となる加減圧ポンプの設定圧力値に近似するように、加減圧ポンプの回転数が制御されることが好ましい。
上記の構成によれば、圧力センサーの出力値が、密閉容器内が所定の圧力となる加減圧ポンプの設定圧力値に近似するように、加減圧ポンプ(加圧または減圧が可能なポンプ)の回転数が制御される。これにより、加減圧ポンプの設定圧力値における脱気液の流量と略同程度の流量で、密閉タンクからインクジェットヘッドに脱気液を供給することができる。
なお、加減圧ポンプの回転数は、圧力センサーが常に一定の値を示すように、加減圧ポンプを加圧または減圧の制御が行われることが好ましい。これにより、密閉容器内の圧力値が一定に維持される。これにより、密閉容器内の圧力は、常に一定の値に維持される。従って、一定の流量でインクジェットヘッドに脱気液を送液することが可能となる。
本発明の液体供給装置は、上記密閉容器の内部に、脱気液が貯蔵されるインク袋を備え、上記密閉容器とインク袋とが、遮断されていることが好ましい。
上記の構成によれば、インクジェットヘッドから排出された脱気液は、インク袋に貯蔵される。これにより、脱気液を貯蔵するインク袋へ、外気と触れずに脱気液を送液させることができる。
本発明の液体供給装置は、第2経路における、密閉タンクとインクジェットヘッドとの経路中に、密閉タンクから排出された脱気液を貯蔵する第2インク袋と、第2インク袋を内部に収容する第2密閉容器とを備え、
上記加減圧ポンプは、密閉容器および第2密閉容器を負圧に制御することにより、密閉タンクから排出された脱気液を、第2インク袋、インクジェットヘッド、インク袋の順に送液することが好ましい。
上記の構成によれば、加減圧ポンプが、密閉容器および第2密閉容器を負圧に制御する。これにより、密閉タンクよりも容積の小さいインク袋および第2インク袋により、インクジェットヘッドのメニスカスをコントロールすることが可能となる。
本発明の液体供給装置では、第2経路は、密閉タンクとインクジェットヘッドとの経路中で分岐しており、その分岐した経路が、脱気部から排出される脱気液が密閉タンクへ送液される経路に接続されており、
第2経路は、さらに、密閉タンクとインク袋の経路中で分岐しており、その分岐した経路によって、密閉タンクの液体が脱気部へ送液される経路に接続されていることが好ましい。
上記の構成によれば、第2経路は、密閉タンクとインクジェットヘッドとの経路中で分岐しており、その分岐した経路が、脱気部から排出される脱気液が密閉タンクへ送液される経路に接続されている。つまり、この分岐した経路は、第1経路における、脱気部によって形成された脱気液が密閉タンクへ戻る経路となっている。
さらに、第2経路は、第2経路は、さらに、密閉タンクとインク袋の経路中で分岐しており、その分岐した経路によって、密閉タンクの液体が脱気部へ送液される経路に接続されている。つまり、この分岐した経路は、第1経路における、密閉タンクから排出された液体が脱気部に送液される経路となっている。
このように、上記の構成によれば、第1経路と第2経路とを一部共有した構成となっている。これにより、密閉タンクから第2インク袋へインクを供給するスパウトのみで、脱気液をインクジェットヘッドで吐出しながら密閉タンク内の液体を脱気することができる。
本発明の液体供給装置は、インクジェットヘッドから吐出されずに排出される脱気液が貯蔵される廃液タンクを備えることが好ましい。
上記の構成によれば、廃液タンクに、インクジェットヘッドから吐出されなかった脱気液が貯蔵される。これにより、廃液タンクに貯めた脱気液を再利用することができる。
本発明のインクジェット記録装置は、前記いずれかの液体供給装置と、インクジェットヘッドとを備えることを特徴としている。
本発明のインクジェット記録装置は、本発明の液体供給装置を備えているため、インクジェットヘッドから安定して脱気液を吐出させることができる。
以上のように、本発明によれば、密閉タンクから排出された液体が脱気部に送液され、脱気部で形成された脱気液が密閉タンクに戻る第1経路と、密閉タンク内の脱気液がインクジェットヘッドに供給される第2経路とが、互いに独立して設けられている。それゆえ、インクジェットヘッドから安定したインク吐出が可能であるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の一形態について、図1〜図15に基づいて説明する。なお、本発明は、以下の実施の形態の構成に限定されるもではない。また、以下では、同一の機能および作用を示す部材については、同一の符号を付し説明を省略する。
〔実施の形態1〕
本発明のインクジェット記録装置は、密閉タンク内のインクを脱気して脱気インクを形成する経路と、その脱気インクを密閉タンクからインクジェットヘッドに供給する経路とを、互いに独立して備えることにより、インクジェットヘッドに高流量で脱気インクの送液を実現するものである。
図1は、実施の形態1のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。図1のように、インクジェット記録装置10は、インクを吐出するインクジェットヘッド1と、インクジェットヘッド1に、インクを供給するインク供給装置(液体供給装置)2aとを備えている。インクジェット記録装置10は、例えば、インクジェットヘッド1から基板に着色インクを吐出することにより、カラーフィルタを製造する。つまり、インクジェット記録装置10は、カラーフィルタ製造装置として利用される。
インクジェットヘッド1は、インク供給装置2から供給された脱気インクを、吐出対象となる基板(図示せず)に吐出する。インクジェットヘッド1は、脱気インクの流路となるインク流路11と、インク流路11に供給された脱気インクを吐出するノズル12とを備えている。ノズル12には複数の開口が形成されており、脱気インクはこの開口から吐出される。
インク供給装置2aは、インクジェットヘッド1から吐出されるインクを、インクジェットヘッド1に供給する。インク供給装置2aは、密閉タンク20を備えており、インクジェットヘッド1に供給されるインクは、この密閉タンク20に貯蔵される。インク供給装置2aは、密閉タンク20に貯蔵されたインク中の溶存気体の少なくとも一部を脱気し、脱気インクを形成するインク形成経路21(第1経路)と、形成された脱気インクを密閉タンク20からインクジェットヘッド1に供給するインク供給経路122(第2経路)とを、互いに独立して備えている。
密閉タンク20は、外気から遮断するために、密閉型構造となっている。これにより、インク形成経路21により形成された脱気インクを、密閉タンク20内で保持しても、脱気インクは外気に曝されない。従って、密閉タンク20内で、脱気インクの脱気度を維持することができる。密閉タンク20は、例えば、外部からの空気と遮蔽する金属、PVC(ポリ塩化ビニル)製樹脂、またはPE(ポリエチレン)製樹脂で形成することが好ましい。
インク形成経路21内には、密閉タンク20から排出されたインク中の溶存気体を脱気する脱気モジュール23(脱気部)が設置されている。インク形成経路21は、この脱気モジュール23、密閉タンク20から排出されたインクを脱気モジュール23に供給する配管24、および、脱気モジュール23から排出された脱気インクを密閉タンク20に供給する配管25から形成されている。また、配管25中(脱気モジュール23と密閉タンク20との間)には、送液ポンプ26が設けられている。
脱気モジュール23の内部には、気体透過性を有する中空糸を複数本束ねたものが設けられている。また、脱気モジュール23には、送液ポンプ27が接続されている。これにより、脱気モジュール23内の中空糸中にインクが送液されたときに、中空糸の外側から真空ポンプ8で脱気モジュール23内の圧力を負圧にすることで、インクに溶け込んでいる気体をインク中から取り除くことができる。なお、本実施形態では、脱気モジュール23は、中空糸を構成する中空糸脱気膜としてPFA等のテフロン(登録商標)材料が使用された、潤工社製の脱気モジュールを使用した。
脱気モジュール23により、インクの脱気を効率よく行うためには、脱気モジュール23内の真空度を高くすることが望ましい。本実施形態では、装置構造及び配置できるスペースを踏まえ、コンパクトで且つ−94、5kPaの性能を有するダイアフラムポンプ(アルバック機工製DAP−6D(93(W)×163(L)×100.6(H))を使用した。
インク形成経路21では、送液ポンプ26のモータの回転数を制御することにより、インク形成経路21内を循環するインクの流量が調整される。このようにインクの流量を調整すれば、インク形成経路21で形成される脱気インクの脱気度も調整することができる。送液ポンプ27としては、例えば、チューブポンプを使用することができる。本実施形態では、ウィルコ製のWPX-149(W)×46(L)×100(H))のチューブポンプを、送液ポンプ26として用いた。
インク形成経路21では、密閉タンク20から排出されたインクが、配管24を通過し、脱気モジュール23に供給される。供給されたインクは、脱気モジュール23により、インク中に残存する気体が脱気され、脱気インクが形成される。形成された脱気インクは、脱気モジュール23から排出され、配管25を通過し、再び密閉タンク20へ戻る。このように、密閉タンク20内のインクは、密閉タンク20→脱気モジュール23→密閉タンク・・・のように、インク形成経路21を循環し、脱気インクの形成処理が繰り返し行われる。これにより、密閉タンク20内のインク全体が、脱気インクに置換される。
なお、密閉タンク20と脱気モジュールとに接続される配管24,25は、金属製のSUS配管、および、PVC製配管等のように、空気バリア製の高いチューブを使用することが好ましい。また、配管24,25と、密閉タンク20および脱気モジュール23との接続は、図示しない、スエージロック社のSUS製継手を使用し、極力外部からの気体の侵入を防止する構造とすることが好ましい。
また、密閉タンク20から配管24,25にインクが供給される初期段階は、配管24,25内に空気(エアー)が残留している。このため、この空気残渣を考慮すると、配管24,25の径は、小さくことが好ましい。しかし、配管24,25の径が小さく、長さが長くなると、配管24,25内を流れるインクの流動抵抗が大きくなる。このため、インクを循環させる送液ポンプ26の性能が制約される。そこで、本実施形態では、外径4mm−内径2mmの配管24,25を使用するとともに、脱気の効率および部材の配置を考慮して、配管24,25の長さを極力短くした。
一方、インク供給経路122は、インク形成経路21により形成された脱気インクを、密閉タンク20から、密閉タンク20の下方に位置するインクジェットヘッド1に供給する経路である。インク供給経路122は、密閉タンク20から排出された脱気インクをインクジェットヘッド1に供給する配管28、インクジェットヘッド1で吐出されなかった脱気インクを溜める廃液タンク90、および、インクジェットヘッド1で吐出されなかった脱気インクを廃液タンク90に供給する配管39から形成されている。また、配管39中(インクジェットヘッド1と廃液タンク90との間)には、送液ポンプ30が設けられている。インク供給経路122には、脱気インクが常にインクジェットヘッド1(インク流路11)を流動するように、密閉タンク20から脱気インクが供給される。
配管28,39は、インク形成経路21の配管24,25と同様のものを用いることができ、本実施形態では、外径4mm−内径2mmのSUS配管を用いた。
インク供給経路122では、送液ポンプ30のモータの回転数を制御することにより、インク供給経路122内を循環するインクの流量が調整される。送液ポンプ30は、送液ポンプ27と同様に、例えば、チューブポンプを使用することができる。
インク供給経路122では、密閉タンク20から排出された脱気インクが、配管28を通過し、インクジェットヘッド1(インク流路11)に供給される。供給されたインクは、ノズル12から吐出される。一方、ノズル12から吐出されなかった脱気インクは、インクジェットヘッド1から排出され、配管39を通過して、廃液タンク90へ送液される。
具体的には、インクジェットヘッド1のインク流路11は、密閉タンク20から脱気インクが供給される供給口と、ノズル12から吐出されなかった脱気インクを排出する排出口とを有している(図示せず)。また、この供給口および排出口には、いずれにも図示しないコネクタが設けられており、このコネクタに配管28,39が接続される。これにより、密閉タンク20から脱気インクを、インクジェットヘッド1に送液することができる。
インクジェットヘッド1のインク流路11の近傍には、複数の開口が形成されたノズル12を備えている。このため、インクジェットヘッド1の駆動により各ノズル12の開口から、インクジェットヘッド1に供給された脱気インクが吐出される。吐出されなかった脱気インクは、インク流路11の排出口から排出され、配管39を介して、廃液タンク90に送液される。インクジェットヘッド1から吐出されなかった脱気インクは、上記と同様にインクを送液ポンプ30により廃液タンク90に送液することが可能となる。
なお、廃液タンク90に貯めた脱気液は、通常そのまま廃液として廃棄される。ただし、廃液タンク90を密閉された容器とすれば、廃液タンク90に貯蔵された脱気液を脱気された状態で貯蔵できる。このため、再利用が可能となる。
なお、本実施形態では、送液ポンプ30として、送液ポンプ26と同様に、ウィルコ製のWPX-149(W)×46(L)×100(H))のチューブポンプを用いた。このチューブポンプは、サイズが小型であるため、インクジェットヘッド1の周辺設計について、インク供給経路122および干渉問題等に影響しない。このため、インクジェット記録装置10における、インク供給系のシステムを容易に構築することができる。送液ポンプ26,30のサイズは、これに限定されることなく、インクジェット記録装置10のサイズや、他の部材とのスペースなどを考慮して設定すればよい。
送液ポンプ26,30としてチューブポンプを用いれば、チューブポンプに具備されたモータのギア比やドライバーの電圧設定を変えることにより、0.数cc〜数十ccの範囲で、脱気インクの流量を的確に送液することが可能となる。
また、送液ポンプ30は、インクジェットヘッド1からの脱気インクが排出される配管39の途中に配置することが好ましい。つまり、送液ポンプ30は、ノズル12から吐出されなかった脱気インクを廃液タンク90に送液する経路中に配置することが好ましい。インクジェットヘッド1に対し密閉タンク20から脱気インクが供給される配管28の途中に送液ポンプ30を設けた場合、インクジェットヘッド1に対して加圧により脱気インクを送液することになる。このため、加圧によって、インクジェットヘッド1のノズル12に形成された複数の開口のメニスカスが破壊され、開口からノズル12表面にかけて脱気インクが流れる可能性がある。これに対し、配管39の途中(脱気インクの排出側)に送液ポンプ30を設けた場合、インクジェットヘッド1に対し負圧で脱気インクを送液することになる。このため、加圧する場合のように、メニスカスを破壊させることなく、インクジェットヘッド1内のインク流路11に脱気インクを送液することが可能となる。
このように、インクジェット記録装置100は、インク形成経路21およびインク供給経路122の2つの経路が、互いに独立して設けられている。そして、インク形成経路21とインク供給経路122とは互いに関係せずに、脱気インクを流動させている。つまり、常にインク形成経路21で脱気インクを形成する一方、インク供給経路122を介してインクジェットヘッド1に脱気インクを供給することができる。このため、インク形成経路21の脱気インクの流量と、インク供給経路122の脱気インクの流量とを、独立して制御することができる。これにより、インク形成経路21の流量に影響されずに、インクジェットヘッド1に脱気インクを供給し、ノズル12から脱気インクを吐出することができる。
さらに、本実施形態のインク供給装置2aは、従来のように脱気モジュール23からインクジェットヘッド1に脱気インクを供給するのではなく、密閉タンク20からインクジェットヘッド1に脱気インクを供給する。このため、インクジェットヘッド1に高流量で脱気インクを供給することができる。これにより、インク供給経路122(特に配管28,39)に残留するエアーを、短時間で確実に脱気インクに溶解させることができる。従って、インク供給経路122中に残存するエアーが原因となるインクの不吐出を抑制することができる。
〔実施の形態2〕
実施の形態1の構成では、インクジェットヘッド1から吐出されなかった脱気インクは、廃液タンク90に送液され、通常は廃棄される。インクジェットヘッド1から吐出される脱気インク量は、インクジェットヘッド1のインク流路11に供給される脱気インク量に比べ、極端に少ない。このため、無駄なインク消費量が増える。
そこで、実施の形態2では、インクジェットヘッド1から吐出される脱気インクを無駄なく有効利用する構成について説明する。
図2は、実施の形態2のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。図2のように、インクジェット記録装置100は、インクを吐出するインクジェットヘッド1と、インクジェットヘッド1に、インクを供給するインク供給装置(液体供給装置)2とを備えている。実施の形態2のインクジェット記録装置100は、実施の形態1のインクジェット記録装置10とほぼ同様の構成である。ただし、インクジェット供給装置2の構成が、実施の形態1のインクジェット供給装置2aとは異なる。
インク供給装置2は、インクジェットヘッド1から吐出されるインクを、インクジェットヘッド1に供給する。インク供給装置2は、密閉タンク20を備えており、インクジェットヘッド1に供給されるインクは、この密閉タンク20に貯蔵される。インク供給装置2は、密閉タンク20に貯蔵されたインク中の溶存気体の少なくとも一部を脱気し、脱気インクを形成するインク形成経路21(第1経路)と、形成された脱気インクを密閉タンク20からインクジェットヘッド1に供給するインク供給経路22(第2経路)とを、互いに独立して備えている。
インクジェット記録装置100は、脱気インクがインク供給経路22を循環するようになっている。このインク供給経路22が、脱気インクが循環しない実施の形態1のインク供給経路122と大きく異なる。
具体的には、インク供給経路22は、インク形成経路21により形成された脱気インクを、密閉タンク20から、密閉タンク20の下方に位置するインクジェットヘッド1に供給する経路である。インク供給経路22は、密閉タンク20から排出された脱気インクをインクジェットヘッド1に供給する配管28、および、インクジェットヘッド1で吐出されなかった脱気インクを密閉タンク20に供給する配管29から形成されている。また、配管29中(インクジェットヘッド1と密閉タンク20との間)には、送液ポンプ30が設けられている。インク供給経路22には、脱気インクが常にインクジェットヘッド1(インク流路11)を流動するように、密閉タンク20から脱気インクが供給される。
配管29は、インクジェットヘッド1から吐出されずに排出される脱気インクを密閉タンク20に戻す経路である。配管29は、インク形成経路21の配管24,25と同様のものを用いることができ、本実施形態では、外径4mm−内径2mmのSUS配管を用いた。
ここで、インクジェットヘッド1のノズル12から吐出される脱気インク量は、インクジェットヘッド1のインク流路11に供給される脱気インク量に比べ、極端に少ない。そこで、本実施形態では、配管29を設けることによって、ノズル12から吐出されなかった脱気インクを、インクジェットヘッド1から密閉タンク20へ戻している。つまり、インクジェットヘッド1から排出された脱気インクが、インク供給経路22を循環するようになっている。これにより、脱気インクを無駄なく有効利用することができる。
インク供給経路22では、送液ポンプ30のモータの回転数を制御することにより、インク供給経路22内を循環するインクの流量が調整される。送液ポンプ30は、送液ポンプ27と同様に、例えば、チューブポンプを使用することができる。
インク供給経路22では、密閉タンク20から排出された脱気インクが、配管28を通過し、インクジェットヘッド1(インク流路11)に供給される。供給されたインクは、ノズル12から吐出される。一方、ノズル12から吐出されなかった脱気インクは、インクジェットヘッド1から排出され、配管29を通過して、再び密閉タンク20へ戻る。このように、インクジェットヘッド1に供給されノズル12から吐出されなかった脱気インクは、密閉タンク20→インクジェットヘッド1→密閉タンク20・・・のように、インク供給経路22を循環する。これにより、インクジェットヘッド1から吐出されなかった脱気インクも再利用される。従って、無駄な脱気インクの消費量を、削減することができる。
具体的には、インクジェットヘッド1のインク流路11は、密閉タンク20から脱気インクが供給される供給口と、ノズル12から吐出されなかった脱気インクを排出する排出口とを有している(図示せず)。また、この供給口および排出口には、いずれにも図示しないコネクタが設けられており、このコネクタに配管29,30が接続される。これにより、密閉タンク20から脱気インクを、インクジェットヘッド1に送液することができる。
インクジェットヘッド1のインク流路11の近傍には、複数の開口が形成されたノズル12を備えている。このため、インクジェットヘッド1の駆動により各ノズル12の開口から、インクジェットヘッド1に供給された脱気インクが吐出される。吐出されなかった脱気インクは、インク流路11の排出口から排出され、配管29を介して、再び密閉タンク20に戻る。インクジェットヘッド1から吐出されなかった脱気インクは、上記と同様にインクを送液ポンプ30により密閉タンク20に戻すことが可能となる。
また、送液ポンプ30は、インクジェットヘッド1からの脱気インクが排出される配管29の途中に配置することが好ましい。つまり、送液ポンプ30は、ノズル12から吐出されなかった脱気インクを密閉タンク20に戻す経路中に配置することが好ましい。インクジェットヘッド1に対し密閉タンク20から脱気インクが供給される配管28の途中に送液ポンプ30を設けた場合、インクジェットヘッド1に対して加圧により脱気インクを送液することになる。このため、加圧によって、インクジェットヘッド1のノズル12に形成された複数の開口のメニスカスが破壊され、開口からノズル12表面にかけて脱気インクが流れる可能性がある。これに対し、配管29の途中(脱気インクの排出側)に送液ポンプ30を設けた場合、インクジェットヘッド1に対し負圧で脱気インクを送液することになる。このため、加圧する場合のように、メニスカスを破壊させることなく、インクジェットヘッド1内のインク流路11に脱気インクを送液することが可能となる。
このように、インクジェット記録装置100も、実施の形態1のインクジェット記録装置10と同様、インク形成経路21およびインク供給経路22の2つの経路が、互いに独立して設けられている。これにより、インク形成経路21の流量に影響されずに、インクジェットヘッド1に脱気インクを供給し、ノズル12から脱気インクを吐出することができる。また、インク供給経路22中に残存するエアーが原因となるインクの不吐出を抑制することができる。
それに加え、インクジェット記録装置100は、インク形成経路21で形成された脱気インクは、インク形成経路21→密閉タンク20→インク形成経路21…のように循環する。一方、この循環とは独立して、インクジェットヘッド1から吐出されずに排出された脱気インクは、インク供給経路22→密閉タンク20→インク供給経路22…のように循環する。これにより、インクジェットヘッド1から吐出されなかった脱気インクも再利用される。従って、無駄な脱気インクの消費量を、削減することができる。
ここで、本実施形態のインクジェット記録装置100(インク供給装置2)の効果を確認した結果について説明する。図3は、図2の密閉タンク20を示す図であり、図4は、その効果を確認した装置の構成を示す図である。
図3のように、密閉タンク20は、注射器のような構成となっている。すなわち。密閉タンク20は、シリンダ31とピストン32とから構成される。シリンダ31内には、インクが充填されている。シリンダ31の底部には、インク形成経路21およびインク供給経路22に、脱気インクを供給する接続口が形成されている。これにより、密閉タンク20内の脱気インクは、外気から完全に遮蔽される。
また、密閉タンク20内のインクは、インクジェットヘッド1のノズル12から吐出されるにしたがい、減少する。このとき、ノズル12から、インク供給経路22を経て、密閉タンク20内にエアーが侵入する危険性がある。この危険性は、インクジェットヘッド1の駆動時間が長くなるほど、高まる。このため、密閉タンク20は、インクの体積減少に追従して、密閉タンク20内の容積を減少させる構成となっている。すなわち、図3の密閉タンク20は、内部のインクの体積変動に連動して、密閉タンク20内の容積を変動させる。
具体的には、ピストン32には、ピストン32を上下動させるためのロードセル33が接続されている。ロードセル33は、密閉タンク20の側部に配置された電動スライダー34に接続されており、これによってロードセル33の位置が制御される。密閉タンク20は、ピストン32の上下動により、容積を変動させる。
ここで、ロードセル33は、密閉タンク20(シリンダ31)内のインクの液面から、インクジェットヘッド1のノズル12の先端までの距離(H)、インクの密度(ρ)のときにかかるインクジェットヘッド1への水頭差分の力(F;F=ρgH)と、ピストン32の自重との合計となるように、ピストン32を保持している。そして、ノズル12からのインクの吐出量(密閉タンク20内のインクの減少量)に応じて、ロードセル33を下降させて、ロードセル33を下降させる。これにより、ノズル12のメニスカスを破壊させずに、インクジェットヘッド1に脱気インクを送液することが可能となる。
なお、インクの吐出量(密閉タンク20内のインクの減少量)は、シリンダ31に刻まれた目盛りから体積を求めることにより検出することができる。そして、この検出結果に基づいて、ロードセル33の移動量が制御される。
このような密閉タンク20を備えたインク供給装置2の効果について、図4のように、インク形成経路21およびインク供給経路22に酸素濃度計35,36を配置して確認した。酸素濃度計35は、密閉タンク20からインクが排出される直後の配管24中に、酸素濃度計36は、インクジェットヘッド1からインクが排出される配管29中に、それぞれ配置されている。ここでは、密閉タンク20から水溶性インクを送液し、酸素濃度計35,36として、ハック・ウルトラ・アナリティクス・ジャパン・インク製の酸素濃度計を用いて、各配管24,29を流れる水溶性インクの酸素濃度を測定した。そして、測定脱気レベルについて確認した。なお、各配管24,29と酸素濃度計35,36とは、図示しないアダプタにより連結されている。
図5および図6は、図4のような酸素濃度計35を用いて、インク形成経路21のインク中の酸素濃度を測定した結果を示すグラフである。図5は、インク形成経路21を循環するインク流量が5cc/分の場合の結果である。図6は、インク形成経路21を循環するインク流量が5cc/分の場合の結果である。
図5のように、インク流量が流量5cc/分の場合、約60分でインクの酸素濃度は1ppmを下回った。一方、図6のように、インク流量が20cc/分の場合、約30分でインクの酸素濃度は2.5ppmで飽和した。これらの結果から、インク流量が少なければ少ないほど、インクの酸素濃度が低下することが確認される一方、飽和濃度に達するまでの時間は逆に長くなることが確認された。
次に、酸素濃度が約1ppm前後に脱気された脱気インク800ccを、密閉タンク20から、インクジェットヘッド1に送液した。そして、インクジェットヘッド1から排出されるインク中の酸素濃度を測定することによって、インクジェットヘッド1内に残留するエアー量の変化(エアーの減少量)を確認した。なお、インク流量は、1cc/分および10cc/分とした。また、インクジェットヘッド1は、透明性を有するPC(ポリカーボネート)樹脂で形成されたものを用いた。そして、インク流路11を流れるインクによってトラップされる、インクジェットヘッド1内(インク流路11内)のエアーの大きさを目視で確認した。図7は、図4のような酸素濃度計36を用いて、インク中の酸素濃度を測定した結果を示すグラフである。
なお、図7におけるエアー残量は、以下のようにして算出した。すなわち、図4の配管24・29中に、テフロン(登録商標)等の透明性を有する樹脂で形成された配管を接続する。そして、その透明な配管中に残留したエアーを、定規で縦、横の楕円球型の体積を算出し、その体積の経時変化からエアー残量を簡易的に算出した。
図7のように、インクジェットヘッド1へ供給される脱気インクの流量が多ければ多いほど、インクジェットヘッド1内のインク流路11に残留するエアーを溶解させる時間を短縮させることができることが確認された。この原因は、まず、脱気インクを高流量で送液することにより、インク供給経路22の配管28およびインク流路11内に与える、脱気インクのせん断力が高くなる。その結果、インク供給経路22残存する古いインクと、新たに供給された脱気インクとの置換率が高くなるためであると考えられる。
このように、本実施形態のインクジェット記録装置100は、インク供給装置2を備えている。しかも、このインク供給装置2は、脱気インクを形成するインク形成経路21と、脱気インクを密閉タンク20からインクジェットヘッド1に供給するインク供給経路22とを独立して備えている。つまり、インク形成経路21と、インク供給経路22とが別経路である。これにより、インク形成経路21により密閉タンク20内のインク全体を脱気させつつ、インク供給経路22からインクジェットヘッド1に脱気インクを高流量で供給することができる。その結果、インク供給経路22中、特にインクジェットヘッド1のインク流路11に残留するエアーを、短時間で脱気インクに溶解させることができる。従って、インク供給経路22中に残存するエアーが原因となるインクの不吐出を抑制することができる。
〔実施の形態3〕
実施の形態3では、実施の形態2の密閉タンク20の別の構成例について説明する。図3では、密閉タンク20が、シリンダ31とピストン32とから構成されていた。しかし、図8のように、袋状の密閉タンク20aとすることも可能である。
図8の密閉タンク20aは、PE(ポリエチレン)などの樹脂フィルムの端部が熱圧着により袋状に加工されたものである。さらに、密閉タンク20aの表面(樹脂フィルム表面)は、アルミニウム膜41などの金属膜によりラミネートされている。また、この樹脂フィルムとアルミニウム膜41との間に隙間が生じないように、スパウト42が設けられている。スパウト42は、密閉タンク20aからインク形成経路21およびインク供給経路22にインクを供給し循環させるためのものである。つまり、このスパウト42により、密閉タンク20a内のインクは、インク形成経路21およびインク供給経路22を行き来することができる。なお、スパウト42は、ポリエチレン部品であり、図示しない熱圧着用治具を使用して、密閉タンク20aに圧着されている。
また、スパウト42は、密閉タンク20aの外部のマニホールド43に接続される。さらにマニホールド43は、継手44に接続される。そして、継手124には、インク形成経路21およびインク供給経路22が接続される。これにより、密閉タンク20aのインクが、インク形成経路21およびインク供給経路22に供給され、各経路を循環する。また、スパウト42とマニホールド43との間には、Oリング45を介在させており、インクのリークを防止している。
このような密閉タンク20aも、図3の密閉タンク20と同様に、インクの体積減少に追従して、密閉タンク20a内の容積を減少させる構成となっている。具体的には、内部のインク量が減少すると、袋状の密閉タンク20aが縮むようになっている。これにより、ノズル12からインク供給経路22を経て、密閉タンク20a内にエアーが侵入するのを抑制することができる。
このように密閉タンク20aを収縮させる場合、密閉タンク20aは、可鍛性の低い柔軟な材料から構成することが好ましく、それに加えて脱気インクの脱気度を保持するために空気透過性の低い材料から構成することがより好ましい。例えば、1.0m/(m・24h・atm)以下の材料から、密閉タンク20aを構成することが好ましい。例えば、PEフィルムに、空気遮蔽性に優れるアルミ箔やアルミ蒸着フィルム(アルミニウム膜41)をラミネートした高強度で耐久性のPEフィルムから密閉タンク20aを構成すると、軽量で柔軟性のある密閉タンク20aとなる。このような高強度で耐久性のPEフィルムは、例えばシリコンウエハーケース包装ガゲット袋に用いられるアルミニウムラミネートフィルムを用いることができる。密閉タンク20aは、このようなPEフィルムの端部を、約140℃で熱圧着して袋状に加工することにより製造することができる。
一方、密閉タンク20aにインクを入れた状態で、インクジェットヘッド1よりも上部に、密閉タンク20aを配置すると、インクジェットヘッド1におけるノズル12の吐出面と密閉タンク20aの水頭差によって、ノズル12の吐出面(開口)に圧力がかかる。同時に、密閉タンク20aは柔軟な材料から構成されているため、インクに大気圧がかかる。その結果、その圧力によって、インクジェットヘッド1のノズル12に形成された複数の開口のメニスカスが破壊され、開口からノズル12表面にかけて脱気インクが流れる可能性がある。
そこで、密閉タンク20aは、インクジェットヘッド1のノズル12の吐出面よりも低い位置に配置することが好ましい。これにより、大気圧によってノズル12のメニスカスを破壊させることなく、インクジェットヘッド1内のインク流路11に脱気インクを送液することが可能となる。
次に、以下の実施の形態4〜8では、図10〜図15に基づいて、インクジェットヘッド1への脱気インクの供給量(インク循環流量)を制御可能なインクジェット記録装置101〜105について説明する。
〔実施の形態4〕
図9は、実施の形態4のインクジェット記録装置101の要部構成を示す平面図である。図9のインクジェット記録装置101が、図2および図3のインクジェット記録装置100と異なる点は、インク供給経路22aである。
図9のように、インクジェット記録装置101は、インク供給経路22aのインクジェットヘッド1と送液ポンプ30との間(インクジェットヘッド1の排出側)に、密閉容器51を備えている。密閉容器51は、インクジェットヘッド1から吐出されずに排出されたインクを貯蔵する。
密閉容器51の上部および下部には、それぞれ、液面センサー52が設置されており、密閉容器51内のインク量が検出されるようになっている。
また、密閉容器51には、密閉容器51内を減圧(負圧)状態とする真空ポンプ53と、開閉により密閉容器51内の減圧状態を維持または開放するための大気開放弁54とが接続されている。
インクジェットヘッド1のインク排出側と密閉容器51の底部とは、配管29aにより接続されている。また、配管29aの途中には、二方弁55が設けられている。そして、この二方弁55の開閉により、インクジェットヘッド1から密閉容器51へのインクの流路が開放または遮断される。
一方、密閉容器51と密閉タンク20とは、配管29bにより接続されている。配管29bの途中には、送液ポンプ30が設けられており、密閉容器51内のインクを密閉タンク20に送液する。
このようなインク供給経路22aでは、送液ポンプ30および真空ポンプ53が駆動していない状態では、脱気インクの供給源となる密閉タンク20内のインクには、大気圧がかからない。このため、インク供給経路22にインクが流動しない。そこで、大気開放弁54を閉状態、二方弁55を開状態として、真空ポンプ53によって、密閉容器51内を負圧にすると、密閉タンク20内のインクが、密閉容器51に吸引される。これにより、インクジェットヘッド1に、インクを供給することが可能となる。
なお、真空ポンプ53による密閉容器51内の負圧の設定値については、密閉タンク20から接続するインクジェットヘッド1までの配管28、インクジェットヘッド1内のインク流路11(図示せず)、および、インクジェットヘッド1から密閉容器51につながる配管29aの流路抵抗を計算し、それ以上の圧力に設定すればよい。このように設定した圧力で吸引すれば、密閉タンク20から、配管28、インクジェットヘッド1、配管29a、密閉容器51の順に、脱気インクの流れが生じる。
なお、密閉容器51に貯蔵されたインクを、配管29bを介して、密閉タンク20に戻すためには、まず真空ポンプ53を停止し、大気開放弁54を開状態として、密閉容器51内を大気開放する。そして、この状態で、送液ポンプ30を駆動させることにより、密閉容器51内のインクが密閉タンク20に送液される。
このように、本実施形態では、インク供給経路22a中に、インクジェットヘッド1から排出されたインクを貯蔵できる密閉容器51が設けられている。これにより、密閉容器51が、バッファーとして機能する。これにより、密閉容器51を設けず、送液ポンプ30で送液した場合よりも、脈動の少ない安定した状態で、インク供給経路22aにインクを送液することが可能となる。つまり、密閉容器51は、図2のインクジェット記録装置100における送液ポンプ30と同様の役割を果たすとともに、より安定した状態でインクを供給。
なお、図9のように、密閉容器51内を密閉状態とするには、密閉容器51を、例えば、図示しないインクを貯蔵できる箱(容器)、および、その箱(容器)を閉じる蓋から構成すればよい。そして、その箱の上側に蓋を配置し、Oリングを介して箱と蓋とを締結する。これにより、密閉容器51への空気の侵入を防ぐことができる。また、上述のように、密閉容器51内のインクが真空ポンプ53にリークする可能性がある。そこで、箱に固定した蓋に対し、真空ポンプ53を接続する際には、前述と同様、図示しないスエージロック社製の配管継手等を用いることが好ましい。また、この配管継手は、真空ポンプ53側にインクが侵入しないように密閉容器51内の最も上部に配置することが望ましい。なお、密閉容器51の蓋を永久に開けない場合は、箱と蓋とを溶接すればよい。
また、本実施形態では、密閉容器51の上部および下部側に、密閉容器51内のインク量を把握するため、液面センサー52が設けられている。これにより、密閉容器51内のインクが満タンになり、真空ポンプ53へのインクの侵入を防止することができる。
液面センサー52は、密閉容器51の外側および内側のいずれに設置してもよい。液面センサー52は、例えば、レーザー光を発光する発光部と、発光部からのレーザー光を受光する受光部とから構成する。このよう液面センサー52を密閉容器51の外側に設置する場合、液面センサー52のレーザー発光が受光側で検知できるよう、密閉容器51をガラス等の光透過性の材料から構成することが好ましい。一方、液面センサー52を密閉容器51の内側に設置する場合は、レーザー光によるセンサーの代わりに、フロートスイッチを液面センサー52として適用することができる。なお、フロートスイッチを用いる場合は、フロートスイッチの耐インク性を考慮して適切なものを選択すればよい。
このような液面センサー52を設けると、密閉容器51の上部に設置された液面センサー52の位置にインクの液面が到達すれば、液面センサー52がそれを検知する。そして、密閉容器51内のインクが配管29bを介して密閉タンク20に戻るように、送液ポンプ30が働くようになっている。ここで、大気開放弁54を開放せずに送液ポンプ30を稼動させると、送液ポンプ30の流量と同等のインクジェットヘッド1内のインク流路11のインクが高流量で流れる恐れがある。このため、送液ポンプ30を駆動させるときは、真空ポンプ53を停止させ、密閉容器51の蓋(上部)に具備された大気開放弁54を開状態とすることが好ましい。これにより、密閉容器51内は大気開放された状態で、送液ポンプ30が稼動するため、インクジェットヘッド1内のインク流路11のインクが高流量で流れることはない。
また、密閉容器51内を大気開放すると、密閉容器51内のインクの液面との水頭差によりインクジェットヘッド1のノズル12に力がかかる。このため、その力によって、ノズル12からインクが吐出される可能性がある。そこで、密閉容器51を大気開放するときには、二方弁55を閉状態とすることが好ましい。これにより、ノズル12に水頭差による力がかかるのを防ぐことができ、ノズル12からの不要な吐出を避けることができる。
また、本実施形態では、送液ポンプ30が働くことによって密閉容器51内のインクの液面が下がり、密閉容器51内のインクの液面が、密閉容器51の下部側の液面センサー52を下回ると、前記送液ポンプ30が停止するようになっている。さらにこれに併せて、大気開放弁54を閉状態とし、インクジェットヘッド1からインクが排出される配管29a上に設けた二方弁55を開状態として、真空ポンプ53を駆動させることにより、再び密閉タンク20からインクジェットヘッド1へインクが供給される。
〔実施の形態5〕
図10は、実施の形態5のインクジェット記録装置102の要部構成を示す平面図である。図10のインクジェット記録装置102は、図9に示す実施の形態4のインクジェット記録装置101と略同様の構成である。図10のインクジェット記録装置102が、図9のインクジェット記録装置101と異なるのは、インク供給経路22bである。
図10のように、インクジェット記録装置102は、インク供給経路22bに設けられた密閉容器51に、圧力センサー56と加減圧ポンプ57とが接続されている。一方、インクジェット記録装置102は、図9のインクジェット記録装置101における真空ポンプ53、大気開放弁54、および二方弁55を備えていない。これらの点が、インクジェット記録装置102がインクジェット記録装置101と異なる。
圧力センサー56は、密閉容器51内の圧力を検知するものであり、例えば、KEYENCE製の圧力センサ(AP−10S)を用いることができる。
一方、加減圧ポンプ57は、密閉容器51内を加圧または減圧するものであり、図9の真空ポンプ53の代わりに設置されたものである。加減圧ポンプ57は、例えば、ダイアフラム、若しくは、チューブポンプを使用することができる。この加減圧ポンプ57により、常に密閉容器51内を負圧状態に維持すれば、一定の流量で密閉タンク20からインクジェットヘッド1にインクを供給しながら、密閉容器51内のインクを密閉タンク20に戻すことが可能となる。
本実施形態のインクジェット記録装置102は、加減圧ポンプ57の回転数を制御することによって、インク供給経路22bへ供給されるインクの流量を制御する。具体的には、密閉容器51を密閉した状態で、あるインク流量でインクジェットヘッド1に送液されるように、加減圧ポンプ57の圧力が設定される。この設定圧力値で、加減圧ポンプ57が駆動させる一方、加減圧ポンプ57が駆動した状態で、圧力センサー56が、密閉容器51内の圧力を検知する。そして、圧力センサー56から出力される出力値(アナログ値)を監視して、その出力値が、加減圧ポンプ57の設定圧力値に近似するように、加減圧ポンプ57の回転回数を制御する。これにより、加減圧ポンプ57の設定圧力値におけるインク流量と略同程度のインク流量で、密閉タンク20からインクジェットヘッド1に脱気インクを供給することができる。
さらに、加減圧ポンプ57の回転数は、圧力センサー56が常に一定の値を示すように、制御されることが好ましい。これにより、密閉容器51内の圧力値が一定に維持される。例えば、密閉容器51から密閉タンク20に戻されるインク流量が、密閉タンク20からインクジェットヘッド1に供給されるインク流量よりも多い場合、送液ポンプ30の圧力が、加減圧ポンプ57の圧力を上回る。このため、密閉容器51内が減圧状態となり、圧力センサー56の出力値は、加減圧ポンプ57の設定圧力値よりも小さくなる。その結果、インク流量が変動する。そこで、このような場合、加減圧ポンプ57により、密閉容器51内を設定圧力値に近似するように加圧する。これにより、密閉容器51内の圧力は、常に一定の値に維持される。従って、一定の流量でインクジェットヘッド1のインク流路11内にインクを送液することが可能となる。
このように、本実施形態によれば、圧力センサー56と加減圧ポンプ57とにより、密閉容器51内の圧力が一定に維持される。従って、図9に示す実施の形態4のインクジェット記録装置101のように、大気開放弁54および二方弁55を設ける必要がない。つまり、密閉容器51から密閉タンク20にインクを戻す際に、大気開放弁54を開状態として密閉容器51内を大気開放する必要も、二方弁55閉状態として、インクジェットヘッド1から密閉容器51へのインクの流れを停止させる必要もない。
〔実施の形態6〕
図11は、実施の形態6のインクジェット記録装置103の要部構成を示す平面図である。図11のインクジェット記録装置103は、図10に示す実施の形態5のインクジェット記録装置102と略同様の構成である。図11のインクジェット記録装置103が、図10のインクジェット記録装置102と異なるのは、インク供給経路22cである。
図11のように、インクジェット記録装置103は、図10の密閉容器51の代わりに、密閉容器61内にインク袋62を備えている点が、図10のインクジェット記録装置102と異なる。インクジェット記録装置103では、密閉容器61内のインク袋62に、インクジェットヘッド1から排出されたインクが貯蔵される。インク袋62は、配管29aおよび配管29bに接続されている。
前述のように、インク供給源となる密閉タンク20内のインクには大気圧がかからないため、送液ポンプ30および加減圧ポンプ57を駆動させなければ、インクが流動しない。そこで、インク袋62の周囲を囲うように密閉容器61が設けられている。さらに、密閉容器61に、圧力センサー56と加減圧ポンプ57と接続されている。これにより、加減圧ポンプ57により密閉容器61内を負圧にすると、密閉容器61内のインク袋62が膨張する。これに伴い、密閉タンク20からインクジェットヘッド1のインク流路11にインクが送液されるとともに、インクジェットヘッド1から排出されたインクは、インク袋62に貯蔵される。ここで、インク袋62が配管29aおよび配管29bに接続されており、密閉容器61と配管29aおよび配管29bとが接続されていない。このため、密閉容器61を加減圧ポンプ57により減圧して、脱気インクがインク袋62に送液されても、脱気インクがインク袋62に送液されるまでに全く空気と接触することがない。従って、密閉タンク20からインクジェットヘッド1までの配管22c内が空であった場合にその配管22c内に脱気インクが供給されることによって発生するエアー噛みを、抑制することができる。
なお、インク袋62は、前述の実施の形態3における密閉タンク20aと同様の構成とすることができる。例えば、インク袋62は脱気したインクを保持するため、空気透過性の低い1.0m/(m・24h・atm)以下の素材であり、かつ、耐薬品性(耐インク性)を有する素材をから構成することが好ましい。例えば、PEフィルムに、空気遮蔽性に優れるアルミ箔やアルミ蒸着フィルムをラミネートした高強度で耐久性のPEフィルムからインク袋62を構成すると、軽量で柔軟性のあるインク袋62となる。このような高強度で耐久性のPEフィルムは、例えばシリコンウエハーケース包装ガゲット袋に用いられるアルミニウムラミネートフィルムを用いることができる。インク袋62は、このようなPEフィルムの端部を、約140℃で熱圧着して袋状に加工することにより製造することができる。なお、インク袋62のサイズを、W88×D42×H122(mm)のPEフィルムにおいて端部5mmで熱圧着すれば、約70〜80ccの容量のインクを貯蔵できる。
また、前述のように、密閉容器61には、圧力センサー56が接続されている。そして、この圧力センサー56は、密閉容器61内に収容されたインク袋62内へ吸引させるインク量が制御される。圧力センサー56は、例えば、KEYENCE製の圧力センサー(AP10S)を用いることができる。圧力センサー56は、図示しない専用アンプ(AP−80)に接続されている。圧力センサー56は、専用アンプからアナログ出力される出力値から、密閉容器61内の圧力が常時監視されるようになっている。そして、密閉容器61内32を負圧状態に維持することにより、一定の流量で密閉タンク20からインクジェットヘッド1にインクを供給しつつ、送液ポンプ30の駆動によりインクが溜まったインク袋62から密閉タンク20にインクを還すことが可能となる。このようにして、インク供給経路22cに脱気インクが循環する。
ここで、図12に基づき、密閉容器61内にインク袋62を設置する方法について説明する。図12は、インクジェット記録装置103の密閉容器61の構成を示す図である。図12のように、密閉容器61は、インク袋62を内部に収容する収容部61aと、収容部61aに蓋をして密閉する蓋部62bとから構成される。蓋部62bに、加減圧ポンプ57が接続される。
図12のように、密閉容器61は、収容部61aに形成された開口部を、蓋部61bで塞いだ構成である。また、収容部61aと蓋部61bとはネジ67により固定される。これにより、蓋部61bに接続されたインク袋62が収容部61aに収容され、密閉容器61内部が密閉状態となる。
蓋部61bには、図示しないフランジ部が形成されている。一方、インク袋62の開口部は、スパウト部63に挿入されている。このフランジ部とスパウト部63との間にOリング64が挟みこまれた状態で、ネジ65により、蓋部61bにスパウト部63(インク袋62)が固定される。このように固定することにより、インク袋62からのインクのリークを防止することができる。また、収容部61aは、スパウト部63よりも外側で蓋部61bに面接触するように固定されており、空気のリークが生じない構成となっている。
ここで、インク袋62に収容されるインク量が確認できないと、インク袋62にインクが溜まり続け、最終的にはインク袋62が破裂する危険性がある。このため、密閉容器61は、透明材料から構成されることが好ましい。これにより、密閉容器61内部に収容されるインク袋62のインク量を目視により確認することができる。この様な透明材料には、例えば、透明性を有するアクリル樹脂若しくはPC樹脂を用いることができる。
また、図12のように、密閉容器61の外側部には、エリアセンサー66と、受光センサ(図示せず)とが設けられる。受光センサーは、インク袋62を介したエリアセンサー66の対面に設けられている。エリアセンサー66には、例えば、KEYENCE製のエリアセンサー(LV−H100)を用いることができる。また、各センサーは、専用アンプ(例えば、KEYENCE製LV−51M)に接続されている。そして、インク袋62の膨らみによる、各センサーの発光の遮蔽量の変化を、アナログ出力で監視する。
図13は、このように、各センサーの出力値を監視することにより、受光量の変化とインク袋62内のインク量との関係を確認した結果を示すグラフである。インク袋62内にインクが送液されると、インク袋62が膨らむため、エリアセンサー66を遮蔽する量が大きくなる。このため、専用アンプ(LV−51M)に遮蔽量の閾値を設定すれば、閾値を超えると信号が出力され、インク袋62内のインクが所定量を超えたことがわかる。そこで、その信号が出力されれば、送液ポンプ30を駆動させて、インク袋62のインクを密閉タンク20に送液するように制御する。これにより、密閉タンク20から供給される脱気インクが、インク供給経路22c内で、全く空気を接触することなく、インク供給経路22内に脱気インクを循環させることができる。従って、インク供給経路22c内に残留するエアーに対して効果を発揮することが可能となる。
〔実施の形態7〕
図14は、実施の形態7のインクジェット記録装置104の要部構成を示す平面図である。図14のインクジェット記録装置104は、図11に示す実施の形態6のインクジェット記録装置103と略同様の構成である。図14のインクジェット記録装置104が、図11のインクジェット記録装置103と異なるのは、インク供給経路22dである。
図14のインクジェット記録装置104は、図11のインクジェット記録装置103の構成に加え、密閉タンク20とインクジェットヘッド1との間に、密閉容器71(第2密閉容器)内に収容されたインク袋72(第2インク袋)を備えている。この密閉容器71およびインク袋72は、密閉容器61およびインク袋62と同様である。また、密閉容器71にも、密閉容器61と同様に、圧力センサー73および加減圧ポンプ74が接続されている。図14のインクジェット記録装置103のこれらの構成が、図11のインクジェット記録装置103と異なる。インクジェット記録装置104では、密閉タンク20から排出された脱気インクが、インクジェットヘッド1に供給される前に、インク袋72に貯蔵される。そして、インク袋72からインクジェットヘッド1に供給される。さらに、実施の形態6のインクジェット記録装置103のように、インクジェットヘッド1から排出されるインクがインク袋62に貯蔵され、貯蔵されたインク袋62のインクが密閉タンク20に供給される。なお、インク袋72は、配管28aおよび配管28bに接続されている。また、密閉タンク20とインク袋72とを接続する配管28aには二方弁79が、インクジェットヘッド1とインク袋62とを接続する配管29aには二方弁69が、それぞれ設けられている。二方弁69は、インクジェットヘッド1からインク袋62へのインクの送液を、開放または遮断する。同様に、二方弁79は、密閉タンク20からインク袋72へのインクの送液を、開放または遮断する。
このようなインクジェット記録装置104では、まず、密閉タンク20からインクジェットヘッド1へインクを供給するため、二方弁79を開状態とする一方、二方弁69を閉状態とする。次に、加減圧ポンプ74により、インク袋72を収容する密閉容器71内の圧力を負圧とする。これにより、インク袋72と密閉タンク20間の水頭差によって、密閉タンク20から、インク袋72にインクが送液される。なお、密閉容器71にも、実施の形態6で説明したように、エリアセンサーおよび受光センサーが設けられており、インク袋72内のインク量を把握することができるようになっている。
インク袋72にインクが充填されれば、二方弁79を閉状態とする一方、二方弁69を開状態とする。さらに、密閉容器61に接続される加減圧ポンプ57により、密閉容器61内を、インクジェットヘッド1と密閉容器61間の水頭差分の圧力(負圧値)以上の圧力で吸引する。これにより、インクジェットヘッド1のノズル12に対し、メニスカスが保持される。
一方、加減圧ポンプ57により、インク袋72にかかる水頭差分の圧力(負圧値)以上の圧力で吸引すれば、インク袋72のインクを、インクジェットヘッド1に送液することができる。また、加減圧ポンプ57により、インク袋72からインク袋62にインクを送液するために必要な圧力(負圧値)以上の圧力で吸引すれば、インク袋72のインクを、インクジェットヘッド1を経て、インク袋62に送液することができる。
このように、インクジェット記録装置104は、加減圧ポンプ57および加減圧ポンプ74の圧力値を制御することにより、インク供給経路22dに供給されるインク量を調節する。つまり、ノズル12のメニスカスは、密閉タンク20ではなく、密閉タンク20に比べて顕著に容積の小さいインク袋62・72によって保持することになる。
このように、本実施形態では、密閉タンク20よりも容積の小さいインク袋62・72により、ノズル12のメニスカスをコントロールすることが可能となる。これにより、実施の形態2(図3)のように、密閉タンク20にロードセルや電動スライダーを設置する必要がない。従って、容積の大きい密閉タンク20の設計が容易であるとともに、ロードセルや電動スライダー等の機構部品も不要である。それゆえ、インクジェット記録装置104は、コスト的に安価となる。
〔実施の形態8〕
図15は、実施の形態8のインクジェット記録装置105の要部構成を示す平面図である。図15のインクジェット記録装置105は、図14に示す実施の形態7のインクジェット記録装置104と略同様の構成である。図15のインクジェット記録装置105が、図14のインクジェット記録装置104と異なるのは、インク形成経路21aとインク供給経路22eである。
図15のインクジェット記録装置105は、図14のインクジェット記録装置104において、密閉タンク20とインク袋72とを接続する配管28aが途中で分岐しており、脱気モジュール23から脱気液が排出される配管25に接続されている。さらに、インク袋62と密閉タンク20とを接続する配管29bも途中で分岐しており、密閉タンク20から排出されるインクを脱気モジュール23に送液する配管24に接続されている。また、配管25の途中(配管28aに合流する前)には二方弁81が設けられており、密閉タンク20から配管24と配管29bとに分岐するまでの位置に、二方弁82が設けられている。また、本実施形態では、送液ポンプ7が、配管24(脱気モジュール23の手前)に設けられている。
このようなインクジェット記録装置105では、インク形成経路21aで脱気インクを形成する際には、二方弁79を閉状態とする一方、二方弁81、82を開状態とする。そして、送液ポンプ30を停止(電源OFF)させた上で、送液ポンプ7を駆動させる。これにより、密閉タンク20から脱気モジュール23へのインクの流れが生じ、脱気インクが形成され、再び前記脱気インクは密閉タンク20へ戻る。なお、送液ポンプ30は停止しているため、インク袋62から密閉タンク20へは、インクが流れない。このようにして、インク形成経路21aにより、脱気インクを形成することができる。
一方、インクジェット記録装置105では、インク供給経路22eに脱気インクを供給する際には、先ずインク袋72へ一旦インクを供給するため、二方弁79、81を開状態とする一方、二方弁69、82を閉状態とする。次に、加減圧ポンプ74により、インク袋72を収容する密閉容器71内の圧力を負圧とし、ノズル12とインク袋72間の水頭差分を保持し、ノズル12に形成された開口のメニスカスの破壊を防止する。併せてインク袋72と密閉タンク20間の水頭差によって、脱気されたインクがインク袋72に送液される。
次に、二方弁79を閉状態とする一方、二方弁69を開状態とする。さらに、密閉容器61に接続される加減圧ポンプ57により、インク袋72にかかる水頭差分の圧力(負圧値)以上の圧力で吸引すれば、インク袋72のインクを、インクジェットヘッド1に送液することができる。また、加減圧ポンプ57により、インク袋72からインク袋62にインクを送液するために必要な圧力(負圧値)以上の圧力で吸引すれば、インク袋72のインクを、インクジェットヘッド1を経て、インク袋62に送液することができる。このようにして、インク形成経路21aで脱気インクを形成しつつ、形成された脱気インクをインク供給経路22eに供給することができる。
また、インク袋62から密閉タンク20にインクを還す場合は、二方弁69および二方弁79、82を閉状態とする。また、二方弁81は開状態とする。送液ポンプ7(例えばチューブポンプ)を駆動させるとともに、同様の送液条件で送液ポンプ30を駆動させる。これにより、インク袋62から密閉タンク20へインクを還すことができる。
このように、本実施形態のインクジェット記録装置105は、密閉タンク20と密閉容器71とを接続する配管28a中に分岐点が設けられ、脱気モジュール23から排出されるインクを送液する配管25に接続されている。さらに、インク袋62と密閉タンク20とを接続する配管29bに分岐点が設けられ、密閉タンク20のインクを脱気モジュール23へ送液する配管24に接続されている。これにより、密閉タンク20からインク袋72へインクを供給するスパウトのみで、インクジェットヘッド1で吐出しながら密閉タンク20内のインクを脱気することができる。
つまり、インク袋62には、スパウトを設ける必要がないため、スパウトの個数を減らすことができる。これにより、インク袋62を作製するコストが減少する。すなわち、スパウトをインク袋62に熱圧着するプロセスでは、スパウトを圧着する治具の温度バラツキ及び圧着時に不均一な負荷がかかる。このため、インク袋62袋内圧に耐えうるインク袋を作製するのが難しいため、スパウトの数が少量になるほど、袋を作製する効率は上昇し、袋単価については減少する。
なお、本発明を以下のように表現することもできる。
〔1〕インクジェットヘッドに脱気した液体を供給するシステムであって、液体を貯蔵した密閉タンクと、前記タンクから液体を排出する配管及び前記排出された液体が戻ってくる配管と、前記配管中に液体中に溶解している気体を脱気する脱気モジュール、及び脱気モジュールを真空引きするための真空ポンプを具備した循環システムと、インクジェットヘッドと、前記ヘッドに脱気した液体を供給する配管及び前記ヘッドで吐出されずに排出され前記タンクへ液体を還す配管を備えた循環システムから形成されることを特徴とする脱気システム(液体供給装置)。
これによれば、インクを吐出するインクジェットヘッドに供給するインクを貯蔵した密閉タンクから脱気モジュールにインクを供給し、前記供給したインクが真空ポンプで負圧に保持される脱気モジュールを通り、再び密閉タンクに還る配管からなる循環システムと、前記密閉タンクからインクジェットヘッドにインクを供給し、前記ヘッドから排出されるインクを再び密閉タンクに還す配管を備えた循環システムとにより、エアー濃度の低い脱気されたインクを作製し、且つ前記脱気インクをインクジェットヘッドに高流量で供給して配管に残留したエアーを溶解することが可能で、またインクジェットヘッドで吐出されなかったインクを循環することにより再度、使用することで無駄なインク消費を削減の効果を得ることが出来る。
〔2〕〔1〕に記載の液体を貯蔵した密閉タンクであって、密閉タンクはシリンダとピストンで構成されていることを特徴とする脱気システムにおける脱気システム。
〔3〕〔1〕に記載の液体を貯蔵した密閉タンクであって、密閉タンクは袋で構成されていることを特徴とする脱気システムにおける脱気システム。
〔4〕〔3〕に記載の液体を貯蔵した袋構成の密閉タンクであって、前記袋を構成するフィルムには金属性の膜がラミネートされていることを特徴とする脱気システム。
また〔2〕のように、液体を貯蔵する密閉タンクはシリンダとピストンで構成してもよく、ピストンを電動スライダー、ロードセルで制御することにより、インクジェットヘッドのメニスカスを制御出来る。さらに、〔3〕のように密閉タンクを袋で構成してもよく、更に言えば、〔4〕のように、袋を構成するフィルムについて金属性の膜をラミネートしてもよい。これにより、脱気した液体の酸素濃度を維持したまま貯蔵できる。
〔5〕〔1〕に記載のインクジェットヘッドで吐出されずに排出され〔1〕に記載の密閉タンクへ液体を還す配管を備えた循環システムであって、前記配管において、前記液体が行き来できる密閉型タンクが接続され、前記密閉タンクにはタンク内を吸引するポンプが具備されており、前記密閉タンクと〔1〕に記載の密閉タンク間を接続する配管に液体を送液するポンプが接続されていることを特徴とする脱気システムにおける循環システム。
これによれば、インクジェットヘッドで吐出されずに排出された液体を密閉タンクへ還す配管において前記液体が行き来できる密閉型のタンクを接続し、タンク内の空気を真空ポンプで吸引させることでインクジェットヘッドに液を供給するため、液体に脈動を与えずに安定した流量で送液することが出来る。
〔6〕〔1〕に記載のインクジェットヘッドで吐出されずに排出され〔1〕に記載密閉タンクへ液体を還す配管を備えた循環システムであって、液体を還す配管中に、液体のみ行き来できる密閉されたタンクが接続され、前記密閉タンクにはタンク内を加減圧できるポンプと前記タンク内の圧力を監視する圧力センサーが具備されており、前記密閉タンクと請求項1記載の密閉タンク間を接続する配管に液体を送液するポンプが接続されていることを特徴とする脱気システムにおける循環システム。
これによれば、インクジェットヘッドで吐出されずに排出された液体を密閉タンクへ還す配管において、液体のみ行き来できる密閉型のタンクを接続して、タンク内の圧力を監視しながらタンク内を加減圧するため、前記密閉タンクで溜まった際の送液ポンプでインクを還す時においてもインクジェットヘッドに液を供給することが出来る。
〔7〕〔1〕に記載のインクジェットヘッドで吐出されずに排出され、〔1〕に記載の密閉タンクへ液体を還す配管を備えた循環システムであって、液体を還す配管中に、液体のみ行き来できる密閉されたタンクが接続され、前記密閉タンクにはタンク内を加減圧できるポンプと前記タンク内の圧力を監視する圧力センサーとインクを貯蔵できるインク袋が具備され、前記密閉タンクと〔1〕に記載の密閉タンク間を接続する配管中には液体を送液するポンプが接続されており、前記インクジェットヘッドから排出された液体は前記密閉容器内に収納されたインク袋を通って密閉タンクへ還ることを特徴とする脱気システムにおける循環システム。
これによれば、インクジェットヘッドで吐出されずに排出された液体を密閉タンクへ還す配管に、液体のみ行き来できる密閉したタンクを接続して、タンク内にインク袋を載置してもよく、タンク内を圧力センサーで圧力を監視し、タンク内の空気を加減圧することでインク袋を膨張、収縮させることで、インクジェットヘッドに液を供給することが出来、インクを貯蔵する密閉タンクへ脱気されたインクを外気と触れずに還すことが可能となる。
〔8〕〔1〕に記載のインクジェットヘッドに脱気した液体を供給する配管及び前記ヘッドで吐出されずに排出され前記タンクへ液体を返す配管を備えた循環システムであって、液体を供給する配管及び液体を還す配管中に、液体のみ行き来できる密閉されたタンクが接続され、前記密閉タンクにはタンク内を加減圧できるポンプと前記タンク内の圧力を監視する圧力センサーとインクを貯蔵できるインク袋が具備され、前記密閉タンクと〔1〕に記載の密閉タンク間を接続する配管中には液体を送液するポンプが接続されており、脱気された液体は〔1〕に記載の密閉タンクから供給する配管中に設けたインク袋を介しインクジェットヘッドに供給され、前記インクジェットヘッドから排出された液体は前記密閉容器内に収納されたインク袋を通って密閉タンクへ還ることを特徴とする脱気システムにおける循環システム。
これによれば、インクジェットヘッドで吐出されずに排出された液体を密閉タンクへ還す配管と、液体を貯蔵する密閉タンクから液体をインクジェットヘッドに供給する配管中に液体のみ行き来できる密閉されたタンクを接続し、タンク内にインク袋を載置してもよく、タンク内を圧力センサーで圧力を監視し、タンク内の空気を加減圧することでインク袋を膨張、収縮させることで、インクジェットヘッドに液を供給することが出来、密閉容器内を負圧で常に制御することでインクジェットヘッドのノズルのメニスカスを維持することが可能となる。
〔9〕〔8〕に記載の循環システムにおいて、〔1〕に記載の密閉タンクと、液体を供給する配管に設置した密閉タンク間の配管中に真空ポンプを具備した脱気モジュールへ液体を送液する配管を分岐させ、脱気モジュールを通り液体が排出される配管は〔1〕に記載の密閉タンクに還す送液ポンプと請求項1記載密閉タンク間の配管中に接続されることを特徴とする脱気システムにおける循環システム。
これによれば、液体を密閉タンクと、液体を供給する配管に設置した密閉タンク間の配管中に真空ポンプを具備した脱気モジュールへ液体を送液する配管を分岐させ、脱気モジュールを通り液体が排出される配管は〔1〕の密閉タンクに還す送液ポンプと〔1〕の密閉タンク間の配管中に接続される。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明によれば、脱気液に経路中の残留エアーを溶解させることにより、インクジェットヘッドから安定した脱気液の吐出することのできる脱気モジュールを具備したインクジェット記録装置を提供することができる。
本発明の実施の形態1のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。 本発明の実施の形態2のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。 図2のインクジェット記録装置において、密閉タンクの構成を説明するための図である。 図2のインクジェット記録装置の効果を確認するため、酸素濃度計を設置した構成を示す平面図である。 図4のインクジェット記録装置において、5cc/分でインクを送液したときの、インク形成経路中のインクの酸素濃度と脱気時間との関係を示すグラフである。 図4のインクジェット記録装置において、20cc/分でインクを送液したときの、インク形成経路中のインクの酸素濃度と脱気時間との関係を示すグラフである。 図4のインクジェット記録装置において、1cc/分または10cc/分でインクを送液したときの、インク供給経路中のエアー残量と送液時間との関係を示すグラフである。 袋状の密閉タンクの構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態4のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。 本発明の実施の形態5のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。 本発明の実施の形態6のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。 図11のインクジェット記録装置における密閉容器の構成を示す図である。 図12の密閉容器における容器内のインク量とエリアセンサーの受光量との関係を示すグラフである。 本発明の実施の形態7のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。 本発明の実施の形態8のインクジェット記録装置の要部構成を示す平面図である。
符号の説明
1 インクジェットヘッド
2 インク供給装置(液体供給装置)
10 インクジェット記録装置
20 密閉タンク
21 インク形成経路(第1経路)
22 インク供給経路(第2経路)
23 脱気モジュール(脱気部)
27,30 送液ポンプ
31 シリンダ
32 ピストン
41 アルミニウム膜(金属膜)
51,61 密閉容器
56 圧力センサー
62 インク袋
71 密閉容器(第2密閉容器)
72 インク袋(第2インク袋)
74 加減圧ポンプ
90 廃液タンク
100〜106 インクジェット記録装置
122インク供給経路(第2経路)

Claims (16)

  1. インクジェットヘッドから吐出される液体を供給する液体供給装置であって、
    上記液体が貯蔵される密閉タンクと、
    密閉タンク内の液体中の溶存気体を脱気する脱気部とを備え、
    密閉タンクから排出された液体が脱気部に送液され、脱気部で形成された脱気液が密閉タンクに戻る第1経路と、
    密閉タンク内の脱気液がインクジェットヘッドに供給される第2経路とが、互いに独立して設けられていることを特徴とする液体供給装置。
  2. 第1経路により脱気液が形成されつつ、第2経路によりインクジェットヘッドに脱気液が供給されることを特徴とする請求項1に記載の液体供給装置。
  3. 第1経路で形成された脱気液が、第1経路を循環するようになっており、
    第2経路は、インクジェットヘッドから吐出されずに排出される脱気液を密閉タンクに戻す経路をさらに有しており、
    インクジェットヘッドから排出された脱気液が、第2経路を循環するようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給装置。
  4. 第1経路を流れる液体または脱気液の流量が、第2経路を流れる脱気液の流量よりも多いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液体供給装置。
  5. 第2経路における、インクジェットヘッドから吐出されずに排出される経路中に、送液ポンプを備え、
    上記送液ポンプは、インクジェットヘッドに対し負圧をかけて、密閉タンクから第2経路に脱気液を供給させるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の液体供給装置。
  6. 上記密閉タンクは、密閉タンク内の液体または脱気液が減少するに従い、密閉タンクの容積を減少させるようになっていることを特徴とする請求1〜5のいずれか1項に記載の液体供給装置。
  7. 上記密閉タンクは、上記液体または脱気液が貯蔵されるシリンダと、押圧によりシリンダの液体を排出させるピストンとから構成されていることを特徴とする請求項6に記載の液体供給装置。
  8. 上記密閉タンクは、袋状になっていることを特徴とする請求項6に記載の液体供給装置。
  9. 上記密閉タンクの表面が、金属膜によりラミネートされていることを特徴とする請求項8に記載の液体供給装置。
  10. 第2経路中に、インクジェットヘッドから吐出されずに排出された脱気液を貯蔵する密閉容器を備え、
    上記送液ポンプが、密閉容器に接続されていることを特徴とする請求項5に記載の液体供給装置。
  11. 上記密閉容器を加圧または減圧する加減圧ポンプと、
    上記密閉容器内の圧力を検知する圧力センサーを備え、
    上記圧力センサーの出力値が、密閉容器内が所定の圧力となる加減圧ポンプの設定圧力値に近似するように、加減圧ポンプの回転数が制御されることを特徴とする請求項10に記載の液体供給装置。
  12. 上記密閉容器の内部に、脱気液が貯蔵されるインク袋を備え、
    上記密閉容器とインク袋とが、遮断されていることを特徴とする請求項11に記載の液体供給装置。
  13. 第2経路における、密閉タンクとインクジェットヘッドとの経路中に、密閉タンクから排出された脱気液を貯蔵する第2インク袋と、第2インク袋を内部に収容する第2密閉容器とを備え、
    上記加減圧ポンプは、密閉容器および第2密閉容器を負圧に制御することにより、密閉タンクから排出された脱気液を、第2インク袋、インクジェットヘッド、インク袋の順に送液することを特徴とする請求項12に記載の液体供給装置。
  14. 第2経路は、密閉タンクとインクジェットヘッドとの経路中で分岐しており、その分岐した経路が、脱気部から排出される脱気液が密閉タンクへ送液される経路に接続されており、
    第2経路は、さらに、密閉タンクとインク袋の経路中で分岐しており、その分岐した経路によって、密閉タンクの液体が脱気部へ送液される経路に接続されていることを特徴とする請求項13に記載の液体供給装置。
  15. インクジェットヘッドから吐出されずに排出される脱気液が貯蔵される廃液タンクを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の液体供給装置。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の液体供給装置と、インクジェットヘッドとを備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
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