JP2009060688A - 同期電動機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電機子抵抗の影響を受けることなく、位置センサレスベクトル制御にて永久磁石同期電動機を可変速駆動する。
【解決手段】適応電流オブザーバ110は、埋込形永久磁石同期電動機101のモデルに基づいて電機子電流を推定し、逆伝達関数行列算出手段111は、電機子電流のγδ軸の検出値と推定値との偏差までの伝達関数の逆行列に基づいて、γδ軸の電流の偏差を角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とに分離し、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を出力し、角度・速度・一次抵抗推定器112は、逆伝達関数行列算出手段111から出力された角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#に基づいて、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出する。
【選択図】 図1
【解決手段】適応電流オブザーバ110は、埋込形永久磁石同期電動機101のモデルに基づいて電機子電流を推定し、逆伝達関数行列算出手段111は、電機子電流のγδ軸の検出値と推定値との偏差までの伝達関数の逆行列に基づいて、γδ軸の電流の偏差を角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とに分離し、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を出力し、角度・速度・一次抵抗推定器112は、逆伝達関数行列算出手段111から出力された角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#に基づいて、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出する。
【選択図】 図1
Description
本発明は同期電動機の制御装置に関し、特に、位置センサレスベクトル制御にて永久磁石同期電動機を可変速駆動する制御方法に適用して好適なものである。
永久磁石同期電動機は、誘導電動機に比べて小型高効率であるという利点があり、エレベータなどの他、電気自動車や鉄道車両などの交通分野にも適用されている。特に、鉄道車両などの交通分野での電動機駆動装置は、極低速から弱め界磁運転範囲までの広い範囲で可変速運転とトルク制御が可能であることが要求される。このような永久磁石同期電動機の制御方法として、非特許文献1には、磁束を推定するオブザーバを用いることで、永久磁石同期電動機速度センサレスベクトル制御を実現する方法が開示されている。
図4は、従来の同期電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図4において、埋込形永久磁石同期電動機001には、埋込形永久磁石同期電動機001を可変速駆動する同期電動機の制御装置000が接続され、埋込形永久磁石同期電動機001の回転軸には負荷002が接続されている。
ここで、同期電動機の制御装置000には、電力変換装置004、回転二相/三相座標変換手段005、三相/回転二相座標変換手段006、電流制御手段007、電流指令値作成手段008、速度PID調節器009、電機子電流磁束オブザーバ010、角度誤差演算手段011、速度・角度演算手段012、減算器013、014、015が設けられ、同期電動機の制御装置000の出力側には、埋込形永久磁石同期電動機001に供給されるUVW相電流iu、iv、iwを検出する電流検出手段003が設けられている。
図4において、埋込形永久磁石同期電動機001には、埋込形永久磁石同期電動機001を可変速駆動する同期電動機の制御装置000が接続され、埋込形永久磁石同期電動機001の回転軸には負荷002が接続されている。
ここで、同期電動機の制御装置000には、電力変換装置004、回転二相/三相座標変換手段005、三相/回転二相座標変換手段006、電流制御手段007、電流指令値作成手段008、速度PID調節器009、電機子電流磁束オブザーバ010、角度誤差演算手段011、速度・角度演算手段012、減算器013、014、015が設けられ、同期電動機の制御装置000の出力側には、埋込形永久磁石同期電動機001に供給されるUVW相電流iu、iv、iwを検出する電流検出手段003が設けられている。
そして、減算器013は、同期電動機の制御装置000に与えられた速度指令値ω*と、速度・角度演算手段012から出力された速度推定値ωr#との偏差を算出することができる。
速度PID調節器009は、減算器013から出力された速度指令値ω*と速度推定値ωr#との偏差がゼロになるように、速度指令値ω*と速度推定値ωr#との偏差のPID演算を行うことにより、トルク指令値T*を算出することができる。
速度PID調節器009は、減算器013から出力された速度指令値ω*と速度推定値ωr#との偏差がゼロになるように、速度指令値ω*と速度推定値ωr#との偏差のPID演算を行うことにより、トルク指令値T*を算出することができる。
電流指令値作成手段008は、速度PID調節器009から出力されたトルク指令値T*に基づいて、γδ軸の電流指令値iγ*、iδ*を算出することができる。なお、埋込形永久磁石同期電動機001の磁石の磁極に平行な方向と推定している軸をγ軸、γ軸に直交する方向をδ軸とした。
三相/回転二相座標変換手段006は、電流検出手段003にて検出されたUVW相電流iu、iv、iwの検出値をαβ軸の固定二相変換した後、速度・角度演算手段012から出力された角度推定値θ#の回転座標変換を行うことで、γδ軸の電流検出値iγ、iδを算出することができる。
三相/回転二相座標変換手段006は、電流検出手段003にて検出されたUVW相電流iu、iv、iwの検出値をαβ軸の固定二相変換した後、速度・角度演算手段012から出力された角度推定値θ#の回転座標変換を行うことで、γδ軸の電流検出値iγ、iδを算出することができる。
減算器014、015は、電流指令値作成手段008から出力された電流指令値iγ*、iδ*と、三相/回転二相座標変換手段006ら出力された電流検出値iγ、iδとの偏差をそれぞれ算出することができる。
電流制御手段007は、減算器014、015からそれぞれ出力された電流指令値iγ*、iδ*と電流検出値iγ、iδとの偏差がゼロになるように、γδ軸の電圧指令値vγ*、vδ*を算出することができる。
電流制御手段007は、減算器014、015からそれぞれ出力された電流指令値iγ*、iδ*と電流検出値iγ、iδとの偏差がゼロになるように、γδ軸の電圧指令値vγ*、vδ*を算出することができる。
回転二相/三相座標変換手段005は、速度・角度演算手段012から出力された角度推定値θ#に基づいてγδ軸の電圧指令値vγ*、vδ*を逆回転変換し、固定二相の値に変換した後、二相三相変換を行うことで、電圧指令値vu、vv、vwを算出することができる。
電力変換装置004は、回転二相/三相座標変換手段005から出力される電圧指令値vu、vv、vwに基づいて埋込形永久磁石同期電動機001を駆動することにより、埋込形永久磁石同期電動機001を可変速制御することができる。
電力変換装置004は、回転二相/三相座標変換手段005から出力される電圧指令値vu、vv、vwに基づいて埋込形永久磁石同期電動機001を駆動することにより、埋込形永久磁石同期電動機001を可変速制御することができる。
電機子電流磁束オブザーバ010は、電流制御手段007から出力された電圧指令値vγ*、vδ*から抵抗での電圧降下分を差し引いた値uγδに基づいて、埋込形永久磁石同期電動機001の電機子電流磁束(固定子巻き線に流れる電流によって発生する磁束)を推定し、その電機子電流推定磁束λγδ#とみかけの電機子電流磁束λγδ*との偏差を算出することができる。
角度誤差演算手段011は、電機子電流磁束オブザーバ010から出力された電機子電流推定磁束λγδ#とみかけの電機子電流磁束λγδ*との偏差に基づいて、磁極位置の角度誤差Δθを算出することができる。
速度・角度演算手段012は、角度誤差演算手段011から出力された角度誤差Δθに基づいて、速度推定値ωr#および角度推定値θ#を算出することができる。
速度・角度演算手段012は、角度誤差演算手段011から出力された角度誤差Δθに基づいて、速度推定値ωr#および角度推定値θ#を算出することができる。
そして、速度指令値ω*が同期電動機の制御装置000に与えられると、その速度指令値ω*と、速度・角度演算手段012から出力された速度推定値ωr#との偏差が減算器013にて算出され、速度PID調節器009に出力される。そして、速度PID調節器009は、速度指令値ω*と速度推定値ωr#との偏差がゼロになるようにPID演算を行い、トルク指令値T*を電流指令値作成手段008にトルク指令値T*を出力する。そして、電流指令値作成手段008は、トルク指令値T*を速度PID調節器009から受け取ると、トルク指令値T*に基づいて電流指令値iγ*、iδ*を算出し、減算器014、015にそれぞれ出力する。
一方、電流検出手段003は、埋込形永久磁石同期電動機001に供給されるUVW相電流iu、iv、iwを検出し、その検出値を三相/回転二相座標変換手段006に出力する。そして、三相/回転二相座標変換手段006は、UVW相電流iu、iv、iwの検出値をαβ軸の固定二相変換した後、速度・角度演算手段012から出力された角度推定値θ#の回転座標変換を行うことで、電流検出値iγ、iδを算出し、減算器014、015にそれぞれ出力する。
そして、減算器014、015は、電流指令値iγ*、iδ*と電流検出値iγ、iδとをそれぞれ受け取ると、電流指令値iγ*、iδ*と電流検出値iγ、iδとの偏差をそれぞれ算出し、電流制御手段007に出力する。そして、電流制御手段007は、電流指令値iγ*、iδ*と電流検出値iγ、iδとの偏差がゼロになるように電圧指令値vγ*、vδ*を算出し、回転二相/三相座標変換手段005に出力する。
そして、回転二相/三相座標変換手段005は、電圧指令値vγ*、vδ*を受け取ると、速度・角度演算手段012から出力された角度推定値θ#に基づいて電圧指令値vγ*、vδ*を逆回転変換し、固定二相の値に変換した後、二相三相変換を行うことで、電圧指令値vu *、vv *、vw *を算出し、電力変換装置004に出力する。そして、電力変換装置004は、電圧指令値vu *、vv *、vw *に基づいて埋込形永久磁石同期電動機001を駆動することにより、埋込形永久磁石同期電動機001を可変速制御する。
また、三相/回転二相座標変換手段006にて算出された電流検出値iγ、iδは電機子電流磁束オブザーバ010に出力されるとともに、電流制御手段007にて算出された電圧指令値vγ*、vδ*は電機子電流磁束オブザーバ010に出力される。そして、電機子電流磁束オブザーバ010は、電流制御手段007から出力された電圧指令値vγ*、vδ*から抵抗での電圧降下分を差し引いた値uγδに基づいて、以下の(1)式の演算を行うことにより、埋込形永久磁石同期電動機001の電機子電流磁束を推定し、その電機子電流推定磁束λγδ#とみかけの電機子電流磁束λγδ*との偏差を角度誤差演算手段011に出力する。
ただし、
uγδ:二軸のインバータ電圧から抵抗での電圧降下分を差し引いた値
p:微分演算子
λγδ#:二軸の電機子電流推定磁束
ω1:速度推定値(=ωr#)(一次周波数と等しい)
Φm:磁石磁束
(αI−Jω1):電機子電流磁束オブザーバ010のフィードバックゲイン
λγδ*:二軸のみかけの電機子電流磁束
である。なお、(1)式では、複素数表示を行列表示で表した。また、
uγδ:二軸のインバータ電圧から抵抗での電圧降下分を差し引いた値
p:微分演算子
λγδ#:二軸の電機子電流推定磁束
ω1:速度推定値(=ωr#)(一次周波数と等しい)
Φm:磁石磁束
(αI−Jω1):電機子電流磁束オブザーバ010のフィードバックゲイン
λγδ*:二軸のみかけの電機子電流磁束
である。なお、(1)式では、複素数表示を行列表示で表した。また、
(1)式において、電機子電流磁束オブザーバ010は、電流制御手段007から出力された電圧指令値vγ*、vδ*から抵抗での電圧降下分を差し引いた値uγδを入力とし、電機子電流推定磁束λγδ#を算出することができる。また、(2)式において、電機子電流磁束オブザーバ010は、みかけの電機子電流磁束λγδ*を算出し、電機子電流推定磁束λγδ#との偏差(λγδ#−λγδ*)を角度誤差演算手段011に出力することができる。
そして、角度誤差演算手段011は、電機子電流推定磁束λγδ#とみかけの電機子電流磁束λγδ*との偏差(λγδ#−λγδ*)を受け取ると、磁極位置の角度誤差Δθを算出し、速度・角度演算手段012に出力する。
ここで、埋込形永久磁石同期電動機001が定常状態にある場合(角度誤差Δθが小さい場合)、角度誤差演算手段011は、磁束推定誤差のγ軸成分を用いることにより、以下の(3)式にて角度誤差Δθを求めることができる。
そして、角度誤差演算手段011は、電機子電流推定磁束λγδ#とみかけの電機子電流磁束λγδ*との偏差(λγδ#−λγδ*)を受け取ると、磁極位置の角度誤差Δθを算出し、速度・角度演算手段012に出力する。
ここで、埋込形永久磁石同期電動機001が定常状態にある場合(角度誤差Δθが小さい場合)、角度誤差演算手段011は、磁束推定誤差のγ軸成分を用いることにより、以下の(3)式にて角度誤差Δθを求めることができる。
また、埋込形永久磁石同期電動機001が始動状態にある場合(角度誤差Δθが大きい場合)、角度誤差演算手段011は、以下の(4)式にて角度誤差Δθを求めることができる。
そして、速度・角度演算手段012は、角度誤差Δθを受け取ると、速度推定値ωr#および角度推定値θ#を算出し、速度推定値ωr#を減算器013に出力するとともに、角度推定値θ#を回転二相/三相座標変換手段005および三相/回転二相座標変換手段006に出力することで、磁極位置を検出する位置センサを用いることなく、埋込形永久磁石同期電動機001を可変速駆動することができる。
ここで、速度・角度演算手段012は、以下の(5)式にて速度推定値ωr#=ω1を求めることができる。
ここで、速度・角度演算手段012は、以下の(5)式にて速度推定値ωr#=ω1を求めることができる。
また、速度・角度演算手段012は、以下の(6)式にて角度推定値θ#を求めることができる。
村上暁・梶野大樹・釜井健次・林洋一・福本哲哉:「適応オブザーバによる永久磁石同期電動機速度センサレスベクトル制御系の設計手法」,電気学会半導体電力変換研究会資料,SPC−02−85
しかしながら、速度推定値ωr#および角度推定値θ#を算出するために、図4の電機子電流磁束オブザーバ010を用いる方法では、インバータ電圧から抵抗での電圧降下分を差し引いた値uγδが電機子電流磁束オブザーバ010の入力となるため、電機子抵抗が変動すると、角度推定値θ#に誤差が発生するという問題があった。特に、低速では、出力電圧に占める電機子抵抗による電圧降下の割合が増えるため、電機子抵抗の誤差が角度推定値θ#に大きな影響を及ぼし、低速でのトルク精度を劣化させるようになる。
そこで、本発明の目的は、電機子抵抗の影響を受けることなく、位置センサレスベクトル制御にて永久磁石同期電動機を可変速駆動することが可能な同期電動機の制御装置を提供することである。
そこで、本発明の目的は、電機子抵抗の影響を受けることなく、位置センサレスベクトル制御にて永久磁石同期電動機を可変速駆動することが可能な同期電動機の制御装置を提供することである。
上述した課題を解決するために、請求項1記載の同期電動機の制御装置によれば、同期電動機の電機子電流を検出する電流検出手段と、前記同期電動機のモデルに基づいて電機子電流を推定する適応電流オブザーバと、軸ずれの角度推定誤差および電機子の抵抗推定誤差から前記電機子電流の2軸の検出値と推定値との偏差までの伝達関数の逆行列に基づいて、前記2軸の電流の偏差を角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とに分離する逆伝達関数行列算出手段と、前記逆伝達関数行列算出手段にて分離された角度誤差に比例する成分に基づいて磁極位置を推定する位置推定器と、前記推定された磁極位置を用いて生成された電圧指令値に基づいて、前記同期電動機を可変速制御する電力変換装置とを備えることを特徴とする。
また、請求項2記載の同期電動機の制御装置によれば、前記逆伝達関数行列算出手段にて分離された抵抗誤差に比例する成分に基づいて電機子抵抗を推定する抵抗推定器を備え、前記適応電流オブザーバは、前記抵抗推定器にて推定された電機子抵抗に基づいて電機子電流を推定することを特徴とする。
また、請求項3記載の同期電動機の制御装置によれば、同期電動機の電機子電流を検出する電流検出手段と、前記同期電動機のモデルに基づいて電機子電流を推定する適応電流オブザーバと、前記電機子電流の2軸の検出値と推定値との偏差から抵抗誤差にのみ比例する成分と、角度誤差を含む成分とを抽出する安定化補償器と、前記安定化補償器にて抽出された角度誤差を含む成分に基づいて磁極位置を推定する位置推定器と、前記安定化補償器にて抽出された抵抗誤差にのみ比例する成分に基づいて電機子抵抗を推定する抵抗推定器と、前記推定された磁極位置を用いて生成された電圧指令値に基づいて、前記同期電動機を可変速制御する電力変換装置とを備えることを特徴とする。
また、請求項3記載の同期電動機の制御装置によれば、同期電動機の電機子電流を検出する電流検出手段と、前記同期電動機のモデルに基づいて電機子電流を推定する適応電流オブザーバと、前記電機子電流の2軸の検出値と推定値との偏差から抵抗誤差にのみ比例する成分と、角度誤差を含む成分とを抽出する安定化補償器と、前記安定化補償器にて抽出された角度誤差を含む成分に基づいて磁極位置を推定する位置推定器と、前記安定化補償器にて抽出された抵抗誤差にのみ比例する成分に基づいて電機子抵抗を推定する抵抗推定器と、前記推定された磁極位置を用いて生成された電圧指令値に基づいて、前記同期電動機を可変速制御する電力変換装置とを備えることを特徴とする。
また、請求項4記載の同期電動機の制御装置によれば、前記適応電流オブザーバは、前記抵抗推定器にて推定された電機子抵抗に基づいて電機子電流を推定することを特徴とする。
また、請求項5記載の同期電動機の制御装置によれば、前記適応電流オブザーバのゲインは、前記角度誤差および前記2軸の検出値と推定値との偏差の関係が直流量となるように設定されることを特徴とする。
また、請求項5記載の同期電動機の制御装置によれば、前記適応電流オブザーバのゲインは、前記角度誤差および前記2軸の検出値と推定値との偏差の関係が直流量となるように設定されることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、電機子電流の2軸の検出値と推定値との偏差までの伝達関数の逆行列を用いることにより、角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とを分離して推定することができ、電機子抵抗を同時に同定しながら位置センサレスベクトル制御にて永久磁石同期電動機を可変速駆動することが可能となることから、電機子抵抗が変動する場合においても、低速域での位置精度を向上させることができる。
また、電機子電流の2軸の検出値と推定値との偏差から角度誤差に比例する成分と抵抗誤差にのみ比例する成分とを抽出することにより、角度誤差に依存することなく、抵抗誤差を推定することが可能となり、角度誤差と独立に電機子抵抗を推定しながら位置センサレスベクトル制御にて永久磁石同期電動機を可変速駆動することが可能となることから、電機子抵抗が変動する場合においても、低速域での位置精度を向上させることができる。
さらに、埋込形永久磁石同期電動機を制御する場合には、適応電流オブザーバのゲインを調整することで、運転条件に関わらず角度推定系のゲインを一定にすることができ、速度推定の応答が運転条件に左右されないように同期電動機の制御装置を構成することができる。
さらに、埋込形永久磁石同期電動機を制御する場合には、適応電流オブザーバのゲインを調整することで、運転条件に関わらず角度推定系のゲインを一定にすることができ、速度推定の応答が運転条件に左右されないように同期電動機の制御装置を構成することができる。
以下、本発明の実施形態に係る同期電動機の制御装置について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る同期電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、埋込形永久磁石同期電動機101には、埋込形永久磁石同期電動機101を可変速駆動する同期電動機の制御装置100が接続され、埋込形永久磁石同期電動機101の回転軸には負荷102が接続されている。
図1は、本発明の第1実施形態に係る同期電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図1において、埋込形永久磁石同期電動機101には、埋込形永久磁石同期電動機101を可変速駆動する同期電動機の制御装置100が接続され、埋込形永久磁石同期電動機101の回転軸には負荷102が接続されている。
ここで、同期電動機の制御装置100には、電力変換装置104、回転二相/三相座標変換手段105、三相/回転二相座標変換手段106、電流制御手段107、電流指令値作成手段108、速度PID調節器109、適応電流オブザーバ110、逆伝達関数行列算出手段111、角度・速度・一次抵抗推定器112、減算器113、114、115が設けられ、同期電動機の制御装置100の出力側には、埋込形永久磁石同期電動機101に供給されるUVW相電流iu、iv、iwを検出する電流検出手段103が設けられている。
なお、電力変換装置104、回転二相/三相座標変換手段105、三相/回転二相座標変換手段106、電流制御手段107、電流指令値作成手段108、速度PID調節器109、減算器113、114、115は、図4の電力変換装置004、回転二相/三相座標変換手段005、三相/回転二相座標変換手段006、電流制御手段007、電流指令値作成手段008、速度PID調節器009、減算器013、014、015とそれぞれ同様の動作を行うことができる。
適応電流オブザーバ110は、埋込形永久磁石同期電動機101のモデルに基づいて電機子電流を推定することができる。ここで、適応電流オブザーバ110は、電機子電流を推定する場合、角度・速度・一次抵抗推定器112にて推定された電機子抵抗推定値RS#を埋込形永久磁石同期電動機101のモデルのパラメータとして使用することができる。
逆伝達関数行列算出手段111は、軸ずれの角度推定誤差Δθ#および電機子の抵抗推定誤差ΔRS#からγδ軸の電流検出値iγ、iδと電流推定値iγ#、iδ#との偏差までの伝達関数の逆行列に基づいて、γδ軸の電流の偏差を角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とに分離し、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を出力することができる。
逆伝達関数行列算出手段111は、軸ずれの角度推定誤差Δθ#および電機子の抵抗推定誤差ΔRS#からγδ軸の電流検出値iγ、iδと電流推定値iγ#、iδ#との偏差までの伝達関数の逆行列に基づいて、γδ軸の電流の偏差を角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とに分離し、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を出力することができる。
角度・速度・一次抵抗推定器112は、逆伝達関数行列算出手段111から出力された角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#に基づいて、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出することができる。
そして、三相/回転二相座標変換手段106にて算出された電流検出値iγ、iδは適応電流オブザーバ110に出力されるとともに、電流制御手段107にて算出された電圧指令値vγ*、vδ*は適応電流オブザーバ110に出力される。さらに、角度・速度・一次抵抗推定器112にて算出された電機子抵抗推定値RS#は適応電流オブザーバ110に出力される。
そして、三相/回転二相座標変換手段106にて算出された電流検出値iγ、iδは適応電流オブザーバ110に出力されるとともに、電流制御手段107にて算出された電圧指令値vγ*、vδ*は適応電流オブザーバ110に出力される。さらに、角度・速度・一次抵抗推定器112にて算出された電機子抵抗推定値RS#は適応電流オブザーバ110に出力される。
そして、適応電流オブザーバ110は、γδ軸の電流検出値iγ、iδおよびγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#に関する状態方程式を用いることにより、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差(以下、電流誤差とも言う)をそれぞれ算出し、逆伝達関数行列算出手段111に出力する。
ここで、γδ軸の電流検出値iγ、iδおよびγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#に関する状態方程式は、以下の(7)式で表すことができる。
ここで、γδ軸の電流検出値iγ、iδおよびγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#に関する状態方程式は、以下の(7)式で表すことができる。
ただし、
iγ#、iδ#:γδ軸の電流推定値
RS#:電機子抵抗推定値
g11、g12、g21、g22:適応電流オブザーバ110のフィードバックゲイン
である。また、適応電流オブザーバ110のフィードバックゲインは、以下の(8)式のように与えることができる。
iγ#、iδ#:γδ軸の電流推定値
RS#:電機子抵抗推定値
g11、g12、g21、g22:適応電流オブザーバ110のフィードバックゲイン
である。また、適応電流オブザーバ110のフィードバックゲインは、以下の(8)式のように与えることができる。
ただし、
gc:の極を決める制御変数(正の値)
である。
そして、逆伝達関数行列算出手段111は、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差を受け取ると、電機子電流のγδ軸の検出値と推定値との偏差までの伝達関数の逆行列に基づいて、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を算出し、角度・速度・一次抵抗推定器112に出力する。
ここで、インバータ出力周波数と埋込形永久磁石同期電動機101の回転速度が一致しているとみなせる場合、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#から、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差までの伝達関数の逆行列は、以下の(9)式にて与えることができる。
gc:の極を決める制御変数(正の値)
である。
そして、逆伝達関数行列算出手段111は、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差を受け取ると、電機子電流のγδ軸の検出値と推定値との偏差までの伝達関数の逆行列に基づいて、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を算出し、角度・速度・一次抵抗推定器112に出力する。
ここで、インバータ出力周波数と埋込形永久磁石同期電動機101の回転速度が一致しているとみなせる場合、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#から、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差までの伝達関数の逆行列は、以下の(9)式にて与えることができる。
ただし、係数B11〜B22は、以下の(10)式のように設定することができる。
一方、インバータ出力周波数と埋込形永久磁石同期電動機101の回転速度が異なっている場合、一次周波数と回転速度との誤差を考慮して、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#から、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差までの伝達関数の逆行列は、以下の(11)式にて与えることができる。
ただし、係数B11〜B22は、以下の(12)式のように設定することができる。
また、(11)式において、係数B11〜B22の関係は、以下の(13)式にて与えることができる。
このため、以下の(14)式の関係を満たす場合には、(11)式は(9)式と同様な形におくことができる。
このため、m0≧0の場合、f(m0)=1、m0<0の場合、f(m0)=−1とすることができる。また、m0m1≧0の場合、h1=|m1|、h0=|m0|、m0m1<0の場合、h1=|m0|+|m0||m1|k´とすることができる。
以下、逆伝達関数行列算出手段111にて算出される伝達関数の逆行列を用いることで、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を同時に推定できる点について説明する。
まず、同期電動機の制御装置100のγδ軸が埋込形永久磁石同期電動機001のdq軸から角度誤差Δθを持つ場合、γδ軸から見た埋込形永久磁石同期電動機001の状態方程式は以下の(15)式にて与えることができる。
まず、同期電動機の制御装置100のγδ軸が埋込形永久磁石同期電動機001のdq軸から角度誤差Δθを持つ場合、γδ軸から見た埋込形永久磁石同期電動機001の状態方程式は以下の(15)式にて与えることができる。
ただし、Cは、dq軸の量をγδ軸に変換する回転座標変換行列であり、以下の(16)式にて与えることができる。Δθ>0の場合、埋込形永久磁石同期電動機001のdq軸に比べてγδ軸がΔθだけ遅れている。
そして、(15)式から(7)式を差し引くと、以下の(17)式にて誤差方程式を与えることができる。
ただし、F1(x)、F2(x)は、角度誤差Δθを変数とする三角関数を含む2×2の行列である。
ここで、F1(x)、F2(x)において、cosΔθ=cos2Δθ=1、sinΔθ=Δθ、sin2Δθ=2Δθと近似する。また、Δω=d/dtΔθとおき、適応電流オブザーバ110のフィードバックゲインとして(8)式の値を用いると、(17)式は、以下の(18)式のように書き直すことができる。
ここで、F1(x)、F2(x)において、cosΔθ=cos2Δθ=1、sinΔθ=Δθ、sin2Δθ=2Δθと近似する。また、Δω=d/dtΔθとおき、適応電流オブザーバ110のフィードバックゲインとして(8)式の値を用いると、(17)式は、以下の(18)式のように書き直すことができる。
ただし、係数B11〜B22は、(12)式のように設定することができる。この場合、適応電流オブザーバ110のフィードバックゲインの特性方程式は、以下の(19)式にて与えることができ、適応電流オブザーバ110は安定に動作する。
そして、(18)式を用いることにより、以下の(20)式に示すように、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差、角度誤差Δθおよび電機子抵抗推定誤差(RS−RS#)の関係を与えることができる。
そして、(20)式を(9)式に代入し、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差を消去した時の角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を求めると、以下の(21)式のように表すことができ、角度誤差と抵抗誤差から逆伝達関数までの出力は一次遅れ系で表すことができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器112は、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を受け取ると、以下の(22)〜(24)式を用いることにより、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出することができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器112は、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出すると、速度推定値ωr#を減算器113に出力し、角度推定値θ#を回転二相/三相座標変換手段105および三相/回転二相座標変換手段106に出力し、電機子抵抗推定値RS#を適応電流オブザーバ110に出力することができ、適応電流オブザーバ110は角度誤差Δθに比例する電流誤差を正確に出力することができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器112は、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出すると、速度推定値ωr#を減算器113に出力し、角度推定値θ#を回転二相/三相座標変換手段105および三相/回転二相座標変換手段106に出力し、電機子抵抗推定値RS#を適応電流オブザーバ110に出力することができ、適応電流オブザーバ110は角度誤差Δθに比例する電流誤差を正確に出力することができる。
ただし、
Kθp:速度推定器の比例ゲイン
Kθi:速度推定器の積分ゲイン
KRp:抵抗推定器の比例ゲイン
KRi:抵抗推定器の積分ゲイン
である。
これにより、角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とを分離して推定することができ、電機子抵抗Rsを同時に同定しながら位置センサレスベクトル制御にて埋込形永久磁石同期電動機101を可変速駆動することが可能となることから、電機子抵抗Rsが変動する場合においても、低速域での位置精度を向上させることができる。
Kθp:速度推定器の比例ゲイン
Kθi:速度推定器の積分ゲイン
KRp:抵抗推定器の比例ゲイン
KRi:抵抗推定器の積分ゲイン
である。
これにより、角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とを分離して推定することができ、電機子抵抗Rsを同時に同定しながら位置センサレスベクトル制御にて埋込形永久磁石同期電動機101を可変速駆動することが可能となることから、電機子抵抗Rsが変動する場合においても、低速域での位置精度を向上させることができる。
図2は、本発明の第2実施形態に係る同期電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図2において、埋込形永久磁石同期電動機201には、埋込形永久磁石同期電動機201を可変速駆動する同期電動機の制御装置200が接続され、埋込形永久磁石同期電動機201の回転軸には負荷202が接続されている。
ここで、同期電動機の制御装置200には、電力変換装置204、回転二相/三相座標変換手段205、三相/回転二相座標変換手段206、電流制御手段207、電流指令値作成手段208、速度PID調節器209、適応電流オブザーバ210、安定化補償器211、角度・速度・一次抵抗推定器212、減算器213、214、215が設けられ、同期電動機の制御装置200の出力側には、埋込形永久磁石同期電動機201に供給されるUVW相電流iu、iv、iwを検出する電流検出手段203が設けられている。
図2において、埋込形永久磁石同期電動機201には、埋込形永久磁石同期電動機201を可変速駆動する同期電動機の制御装置200が接続され、埋込形永久磁石同期電動機201の回転軸には負荷202が接続されている。
ここで、同期電動機の制御装置200には、電力変換装置204、回転二相/三相座標変換手段205、三相/回転二相座標変換手段206、電流制御手段207、電流指令値作成手段208、速度PID調節器209、適応電流オブザーバ210、安定化補償器211、角度・速度・一次抵抗推定器212、減算器213、214、215が設けられ、同期電動機の制御装置200の出力側には、埋込形永久磁石同期電動機201に供給されるUVW相電流iu、iv、iwを検出する電流検出手段203が設けられている。
なお、電力変換装置204、回転二相/三相座標変換手段205、三相/回転二相座標変換手段206、電流制御手段207、電流指令値作成手段208、速度PID調節器209、減算器213、214、215は、図4の電力変換装置004、回転二相/三相座標変換手段005、三相/回転二相座標変換手段006、電流制御手段007、電流指令値作成手段008、速度PID調節器009、減算器013、014、015とそれぞれ同様の動作を行うことができる。
適応電流オブザーバ210は、埋込形永久磁石同期電動機201のモデルに基づいて電機子電流を推定することができる。ここで、適応電流オブザーバ210は、電機子電流を推定する場合、角度・速度・一次抵抗推定器212にて推定された電機子抵抗推定値RS#を埋込形永久磁石同期電動機201のモデルのパラメータとして使用することができる。また、適応電流オブザーバ210のゲインは、角度誤差Δθおよび電流検出値iγ、iδと電流推定値iγ#、iδ#との偏差のトルク軸成分の関係が直流量となるように設定することができる。
安定化補償器211は、γδ軸の電流検出値iγ、iδと電流推定値iγ#、iδ#との偏差から抵抗誤差にのみ比例する成分と角度誤差を含む成分とを抽出し、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を出力することができる。
角度・速度・一次抵抗推定器212は、安定化補償器211から出力された角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#に基づいて、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出することができる。
角度・速度・一次抵抗推定器212は、安定化補償器211から出力された角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#に基づいて、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出することができる。
そして、三相/回転二相座標変換手段206にて算出された電流検出値iγ、iδは適応電流オブザーバ210に出力されるとともに、電流制御手段207にて算出された電圧指令値vγ*、vδ*は適応電流オブザーバ210に出力される。さらに、角度・速度・一次抵抗推定器212にて算出された電機子抵抗推定値RS#は適応電流オブザーバ210に出力される。
そして、適応電流オブザーバ210は、γδ軸の電流検出値iγ、iδおよびγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#に関する状態方程式を用いることにより、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差をそれぞれ算出し、安定化補償器211に出力する。
ここで、適応電流オブザーバ210の状態方程式は、上記の(7)式で表すことができる。また、適応電流オブザーバ210のフィードバックゲインは、制御変数αa、αb、αc、αdを用いることにより、以下の(25)式のように与えることができる。
ここで、適応電流オブザーバ210の状態方程式は、上記の(7)式で表すことができる。また、適応電流オブザーバ210のフィードバックゲインは、制御変数αa、αb、αc、αdを用いることにより、以下の(25)式のように与えることができる。
ただし、制御変数αc、αdは、以下の(26)式および(27)式のように与えることができる。
ここで、係数B110〜B211は、以下の(28)式のように設定することができる。
この適応電流オブザーバ210のフィードバックゲインを用いた場合に位置推定に用いられる電流誤差中の角度誤差Δθの成分は、以下のように求めることができる。
すなわち、埋込形永久磁石同期電動機201の状態方程式と(7)式の適応電流オブザーバ210の状態方程式の差分をとった誤差状態方程式は、以下の(29)式のように表すことができる。
すなわち、埋込形永久磁石同期電動機201の状態方程式と(7)式の適応電流オブザーバ210の状態方程式の差分をとった誤差状態方程式は、以下の(29)式のように表すことができる。
この(29)式から、以下の(31)式のように、電流誤差と角度誤差と抵抗誤差の関係を求めることができる。
ただし、係数B12、B22は、以下の(32)式のように設定することができる。
(31)式において、角度および抵抗誤差から電流誤差までの伝達関数を表す行列の2行1列目の要素(s+αa)(B211s+B210)−αd(B111s+B110)は、角度誤差Δθからトルク軸電流誤差(iδ−iδ#)までの伝達関数の分子になっている。
そして、適応電流オブザーバ210のフィードバックゲインの(26)、(27)式から求まる以下の(33)式を(31)式に代入し、トルク軸電流誤差(iδ−iδ#)を抽出すると、以下の(34)式が得られる。
そして、適応電流オブザーバ210のフィードバックゲインの(26)、(27)式から求まる以下の(33)式を(31)式に代入し、トルク軸電流誤差(iδ−iδ#)を抽出すると、以下の(34)式が得られる。
この(34)式により、抵抗誤差を無視した時に角度誤差Δθからトルク軸電流誤差(iδ−iδ#)までの伝達関数は、B211という直流量で表されることが判る。
そして、安定化補償器211は、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差を受け取ると、抵抗誤差にのみ比例する成分と角度誤差を含む成分とを抽出することで、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を算出し、角度・速度・一次抵抗推定器212に出力する。
ここで、安定化補償器211の伝達関数G(s)は、以下の(35)式にて与えることができる。
そして、安定化補償器211は、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差を受け取ると、抵抗誤差にのみ比例する成分と角度誤差を含む成分とを抽出することで、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を算出し、角度・速度・一次抵抗推定器212に出力する。
ここで、安定化補償器211の伝達関数G(s)は、以下の(35)式にて与えることができる。
ただし、F(s)は、以下の(36)式のように表すことができる。
そして、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差が与えられた時の角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#は、以下の(37)式にて与えることができる。
ただし、m0、m1は、以下の(38)式のように表すことができる。
また、m0m1≧0の場合、h1=|m1|、h0=|m0|、m0m1<0の場合、h1=|m0|+|m0||m1|k´とすることができる。
ここで、安定化補償器211から出力される抵抗推定誤差ΔRS#は、角度誤差Δθに対しては無関係な値になり、抵抗誤差(RS−RS#)に比例する成分のみ抵抗推定器に入力することができる。また、角度推定誤差Δθ#は、抵抗誤差の影響を受けるが、角度誤差Δθと独立に抵抗推定を行うことが可能となるため、抵抗推定が収束している状態では、抵抗誤差の影響を無視することができる。
ここで、安定化補償器211から出力される抵抗推定誤差ΔRS#は、角度誤差Δθに対しては無関係な値になり、抵抗誤差(RS−RS#)に比例する成分のみ抵抗推定器に入力することができる。また、角度推定誤差Δθ#は、抵抗誤差の影響を受けるが、角度誤差Δθと独立に抵抗推定を行うことが可能となるため、抵抗推定が収束している状態では、抵抗誤差の影響を無視することができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器212は、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を受け取ると、上記の(22)〜(24)式を用いることにより、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出することができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器212は、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出すると、速度推定値ωr#を減算器213に出力し、角度推定値θ#を回転二相/三相座標変換手段205および三相/回転二相座標変換手段206に出力し、電機子抵抗推定値RS#を適応電流オブザーバ210に出力することができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器212は、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出すると、速度推定値ωr#を減算器213に出力し、角度推定値θ#を回転二相/三相座標変換手段205および三相/回転二相座標変換手段206に出力し、電機子抵抗推定値RS#を適応電流オブザーバ210に出力することができる。
これにより、角度誤差Δθに依存することなく、抵抗誤差を推定することが可能となり、角度誤差Δθと独立に電機子抵抗Rsを推定しながら位置センサレスベクトル制御にて永久磁石同期電動機201を可変速駆動することが可能となることから、電機子抵抗Rsが変動する場合においても、低速域での位置精度を向上させることができる。
さらに、適応電流オブザーバ210のゲインを調整することで、運転条件に関わらず角度推定系のゲインを一定にすることができ、速度推定の応答が運転条件に左右されないように同期電動機の制御装置200を構成することができる。
さらに、適応電流オブザーバ210のゲインを調整することで、運転条件に関わらず角度推定系のゲインを一定にすることができ、速度推定の応答が運転条件に左右されないように同期電動機の制御装置200を構成することができる。
図3は、本発明の第3実施形態に係る同期電動機の制御装置の概略構成を示すブロック図である。
図3において、表面磁石形永久磁石同期電動機301には、表面磁石形永久磁石同期電動機301を可変速駆動する同期電動機の制御装置300が接続され、表面磁石形永久磁石同期電動機301の回転軸には負荷302が接続されている。
図3において、表面磁石形永久磁石同期電動機301には、表面磁石形永久磁石同期電動機301を可変速駆動する同期電動機の制御装置300が接続され、表面磁石形永久磁石同期電動機301の回転軸には負荷302が接続されている。
ここで、同期電動機の制御装置300には、電力変換装置304、回転二相/三相座標変換手段305、三相/回転二相座標変換手段306、電流制御手段307、電流指令値作成手段308、速度PID調節器309、適応電流オブザーバ310、安定化補償器311、角度・速度・一次抵抗推定器312、減算器313、314、315が設けられ、同期電動機の制御装置300の出力側には、表面磁石形永久磁石同期電動機301に供給されるUVW相電流iu、iv、iwを検出する電流検出手段303が設けられている。
なお、電力変換装置304、回転二相/三相座標変換手段305、三相/回転二相座標変換手段306、電流制御手段307、電流指令値作成手段308、速度PID調節器309、減算器313、314、315は、図4の電力変換装置004、回転二相/三相座標変換手段005、三相/回転二相座標変換手段006、電流制御手段007、電流指令値作成手段008、速度PID調節器009、減算器013、014、015とそれぞれ同様の動作を行うことができる。
適応電流オブザーバ310は、表面磁石形永久磁石同期電動機301のモデルに基づいて電機子電流を推定することができる。ここで、適応電流オブザーバ310は、電機子電流を推定する場合、角度・速度・一次抵抗推定器312にて推定された電機子抵抗推定値RS#を表面磁石形永久磁石同期電動機301のモデルのパラメータとして使用することができる。
安定化補償器311は、γδ軸の電流検出値iγ、iδと電流推定値iγ#、iδ#との偏差から抵抗誤差にのみ比例する成分と角度誤差を含む成分とを抽出し、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を出力することができる。
角度・速度・一次抵抗推定器312は、安定化補償器311から出力された角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#に基づいて、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出することができる。
角度・速度・一次抵抗推定器312は、安定化補償器311から出力された角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#に基づいて、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出することができる。
そして、三相/回転二相座標変換手段306にて算出された電流検出値iγ、iδは適応電流オブザーバ310に出力されるとともに、電流制御手段307にて算出された電圧指令値vγ*、vδ*は適応電流オブザーバ310に出力される。さらに、角度・速度・一次抵抗推定器312にて算出された電機子抵抗推定値RS#は適応電流オブザーバ310に出力される。
そして、適応電流オブザーバ310は、γδ軸の電流検出値iγ、iδおよびγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#に関する状態方程式を用いることにより、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差をそれぞれ算出し、安定化補償器311に出力する。
ここで、適応電流オブザーバ310の状態方程式は、以下の(39)式で表すことができる。
ここで、適応電流オブザーバ310の状態方程式は、以下の(39)式で表すことができる。
ただし、
Ls:一次インダクタンス
である。
また、適応電流オブザーバ310のフィードバックゲインは、以下の(40)式のように与えることができる。
Ls:一次インダクタンス
である。
また、適応電流オブザーバ310のフィードバックゲインは、以下の(40)式のように与えることができる。
この適応電流オブザーバ310のフィードバックゲインを用いた場合の電流検出値iγ、iδと電流推定値iγ#、iδ#との偏差に含まれる角度誤差と抵抗誤差は、以下のように求めることができる。
すなわち、表面磁石形永久磁石同期電動機301の状態方程式と(39)式の適応電流オブザーバ310の状態方程式の差分をとった誤差状態方程式は、以下の(41)式のように表すことができる。
すなわち、表面磁石形永久磁石同期電動機301の状態方程式と(39)式の適応電流オブザーバ310の状態方程式の差分をとった誤差状態方程式は、以下の(41)式のように表すことができる。
ただし、係数B11〜B22は、以下の(42)式のように表すことができる。
表面磁石形永久磁石同期電動機301を制御する場合には、定格速度の範囲であれば、磁束軸電流iγ=0として制御されることが多い。そこで、磁束軸電流iγ=0の場合には、抵抗の影響を受けなくなるように、本実施形態では(39)式を用いることで、角度誤差と係数B11の積となる成分を用いて角度推定を行う。
そして、安定化補償器311は、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差を受け取ると、抵抗誤差にのみ比例する成分と角度誤差を含む成分とを抽出することで、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を算出し、角度・速度・一次抵抗推定器312に出力する。
ここで、安定化補償器311の伝達関数G(s)は、以下の(43)式にて与えることができる。
そして、安定化補償器311は、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差を受け取ると、抵抗誤差にのみ比例する成分と角度誤差を含む成分とを抽出することで、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を算出し、角度・速度・一次抵抗推定器312に出力する。
ここで、安定化補償器311の伝達関数G(s)は、以下の(43)式にて与えることができる。
ただし、F(s)は、以下の(44)式のように表すことができる。
ここで、β0、β1は、正の調整用ゲインであり、速度推定系の応答に応じて設定することができる。
そして、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差が与えられた時の角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#は、以下の(45)式にて与えることができる。
そして、γδ軸の電流検出値iγ、iδとγδ軸の電流推定値iγ#、iδ#との偏差が与えられた時の角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#は、以下の(45)式にて与えることができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器312は、角度推定誤差Δθ#および抵抗推定誤差ΔRS#を受け取ると、上記の(22)〜(24)式を用いることにより、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出することができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器312は、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出すると、速度推定値ωr#を減算器313に出力し、角度推定値θ#を回転二相/三相座標変換手段305および三相/回転二相座標変換手段306に出力し、電機子抵抗推定値RS#を適応電流オブザーバ310に出力することができる。
ここで、抵抗推定器では、外乱となる角度誤差の成分が含まれないようにすることができ、電機子抵抗を正確に推定することができる。
そして、角度・速度・一次抵抗推定器312は、速度推定値ωr#=ω1、角度推定値θ#および電機子抵抗推定値RS#を算出すると、速度推定値ωr#を減算器313に出力し、角度推定値θ#を回転二相/三相座標変換手段305および三相/回転二相座標変換手段306に出力し、電機子抵抗推定値RS#を適応電流オブザーバ310に出力することができる。
ここで、抵抗推定器では、外乱となる角度誤差の成分が含まれないようにすることができ、電機子抵抗を正確に推定することができる。
100、200、300 同期電動機の制御装置
101、201 埋込形永久磁石同期電動機
301 表面磁石形永久磁石同期電動機
102、202、302 負荷
103、203、303 電流検出手段
104、204、304 電力変換装置
105、205、305 回転二相/三相座標変換手段
106、206、306 三相/回転二相座標変換手段
107、207、307 電流制御手段
108、208、308 電流指令値作成手段
109、209、309 速度PID調節器
110、210、310 適応電流オブザーバ
111 逆伝達関数行列算出手段
211、311 安定化補償器
112、212、312 角度・速度・一次抵抗推定器
113、114、115、213、214、215、313、314、315 減算器
101、201 埋込形永久磁石同期電動機
301 表面磁石形永久磁石同期電動機
102、202、302 負荷
103、203、303 電流検出手段
104、204、304 電力変換装置
105、205、305 回転二相/三相座標変換手段
106、206、306 三相/回転二相座標変換手段
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108、208、308 電流指令値作成手段
109、209、309 速度PID調節器
110、210、310 適応電流オブザーバ
111 逆伝達関数行列算出手段
211、311 安定化補償器
112、212、312 角度・速度・一次抵抗推定器
113、114、115、213、214、215、313、314、315 減算器
Claims (5)
- 同期電動機の電機子電流を検出する電流検出手段と、
前記同期電動機のモデルに基づいて電機子電流を推定する適応電流オブザーバと、
軸ずれの角度推定誤差および電機子の抵抗推定誤差から前記電機子電流の2軸の検出値と推定値との偏差までの伝達関数の逆行列に基づいて、前記2軸の電流の偏差を角度誤差に比例する成分と抵抗誤差に比例する成分とに分離する逆伝達関数行列算出手段と、
前記逆伝達関数行列算出手段にて分離された角度誤差に比例する成分に基づいて磁極位置を推定する位置推定器と、
前記推定された磁極位置を用いて生成された電圧指令値に基づいて、前記同期電動機を可変速制御する電力変換装置とを備えることを特徴とする同期電動機の制御装置。 - 前記逆伝達関数行列算出手段にて分離された抵抗誤差に比例する成分に基づいて電機子抵抗を推定する抵抗推定器を備え、
前記適応電流オブザーバは、前記抵抗推定器にて推定された電機子抵抗に基づいて電機子電流を推定することを特徴とする請求項1記載の同期電動機の制御装置。 - 同期電動機の電機子電流を検出する電流検出手段と、
前記同期電動機のモデルに基づいて電機子電流を推定する適応電流オブザーバと、
前記電機子電流の2軸の検出値と推定値との偏差から抵抗誤差にのみ比例する成分と、角度誤差を含む成分とを抽出する安定化補償器と、
前記安定化補償器にて抽出された角度誤差を含む成分に基づいて磁極位置を推定する位置推定器と、
前記安定化補償器にて抽出された抵抗誤差にのみ比例する成分に基づいて電機子抵抗を推定する抵抗推定器と、
前記推定された磁極位置を用いて生成された電圧指令値に基づいて、前記同期電動機を可変速制御する電力変換装置とを備えることを特徴とする同期電動機の制御装置。 - 前記適応電流オブザーバは、前記抵抗推定器にて推定された電機子抵抗に基づいて電機子電流を推定することを特徴とする請求項3記載の同期電動機の制御装置。
- 前記適応電流オブザーバのゲインは、前記角度誤差および前記2軸の検出値と推定値との偏差の関係が直流量となるように設定されることを特徴とする請求項3または4記載の同期電動機の制御装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2007223946A JP2009060688A (ja) | 2007-08-30 | 2007-08-30 | 同期電動機の制御装置 |
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JP (1) | JP2009060688A (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
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- 2007-08-30 JP JP2007223946A patent/JP2009060688A/ja active Pending
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