JP2009058451A - 電流センサ用磁気コアおよびこれを用いた電流センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来、電流センサに用いる磁気コアの性質は、飽和磁束密度が大きく、かつ、磁性体内に生じる磁束の起磁界の変化に対する線形性の良いことが望まれている。
【解決手段】 電流センサ用磁気コア11は、被測定電流線12を囲んで曲げられて、両端部間にエアギャップ13が形成されている。この磁性体11は、線形性は高いが、飽和磁束密度が小さいPC材からなる第1の磁性体11aと、線形性は低いが飽和磁束密度は大きいPB材からなる第2の磁性体11bとが重ね合わされて構成されている。従って、磁気コア11は、第1の磁性体11aが有する線形性の高い特性、および第2の磁性体11bが有する飽和磁束密度が大きい特性を呈するようになる。このため、線形性が高く、しかも飽和磁束密度が高い電流センサ用磁気コア11およびこれを用いた電流センサ10が提供される。
【選択図】 図1
【解決手段】 電流センサ用磁気コア11は、被測定電流線12を囲んで曲げられて、両端部間にエアギャップ13が形成されている。この磁性体11は、線形性は高いが、飽和磁束密度が小さいPC材からなる第1の磁性体11aと、線形性は低いが飽和磁束密度は大きいPB材からなる第2の磁性体11bとが重ね合わされて構成されている。従って、磁気コア11は、第1の磁性体11aが有する線形性の高い特性、および第2の磁性体11bが有する飽和磁束密度が大きい特性を呈するようになる。このため、線形性が高く、しかも飽和磁束密度が高い電流センサ用磁気コア11およびこれを用いた電流センサ10が提供される。
【選択図】 図1
Description
本発明は、被測定電流線を流れる電流を検出するための電流センサ用磁気コアおよびこれを用いた電流センサに関するものである。
従来、この種の電流センサ用磁気コアおよびこれを用いた電流センサとしては、特許文献1に開示されたものがある。この特許文献1に開示された電流センサは、コの字形をした磁気コア、この磁気コアの平行な一対の脚部の間のギャップ内に配置されたホール効果センサ、および測定する電流が流れる電導体から構成される。
磁気コアは、電導体を通る電流によってその内部に磁束が誘導される。誘導された磁束はホール効果センサによって検出され、磁束に比例した大きさを有する出力信号をホール効果センサが発生することにより、電導体を流れる電流が計測される。
磁気コアの材料としては、一般に、フェイライト、鋼、鉄成分およびパーマロイ等があり、これらの材料から、磁気コアに必要な飽和磁束密度等の物理的要因に基づいて選択される。
特表2006−500561号公報
しかしながら、飽和磁束密度が大きい磁気コア材料を電流センサを構成する磁気コアの材料として選択した場合、電流センサによって測定することが出来る最大の電流値は大きくなるが、線形性は良くなく、電導体を流れる電流に正比例した出力信号が得られない。また、線形性が良い磁気コア材料を電流センサを構成する磁気コアの材料として選択した場合、線形性は良くなるが、磁気コアの飽和磁束密度が小さいため、電流センサによって測定することが出来る最大の電流値は小さくなる。
従って、飽和磁束密度が大きく、かつ線形性の良い性質を呈する磁気コアが望まれる。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、
被測定電流線を囲んで曲げられて両端部間にエアギャップが形成された磁性体から構成される電流センサ用磁気コアにおいて、磁性体は、被測定電流線を流れる電流が起こす起磁界によって磁性体内に生じる磁束の、起磁界の変化に対する線形性は高いが、起磁界によって磁性体内に生じる磁束の、起磁界の増加に対する飽和値が小さい第1の磁性体と、線形性は低いが飽和値は大きい第2の磁性体とが少なくとも重ね合わされて構成されていることを特徴とする。
被測定電流線を囲んで曲げられて両端部間にエアギャップが形成された磁性体から構成される電流センサ用磁気コアにおいて、磁性体は、被測定電流線を流れる電流が起こす起磁界によって磁性体内に生じる磁束の、起磁界の変化に対する線形性は高いが、起磁界によって磁性体内に生じる磁束の、起磁界の増加に対する飽和値が小さい第1の磁性体と、線形性は低いが飽和値は大きい第2の磁性体とが少なくとも重ね合わされて構成されていることを特徴とする。
本構成によれば、電流センサ用磁気コアは、第1の磁性体が有する、磁性体内に生じる磁束の起磁界の変化に対する線形性が高く、第2の磁性体が有する、磁性体内に生じる磁束の起磁界の増加に対する飽和値が大きい特性を呈するようになる。このため、線形性が高く、しかも飽和値が高い電流センサ用磁気コアが提供される。
また、本発明は、磁性体が、第1の磁性体が外側に、第2の磁性体が内側に重ね合わされて構成されており、第1の磁性体の両端部間に形成されるエアギャップの長さが第2の磁性体の両端部間に形成されるエアギャップの長さより長いことを特徴とする。
本構成によれば、飽和値が小さい第1の磁性体の両端部間に形成されたエアギャップの長さが長く構成されているため、エアギャップにおける磁気抵抗は高くなる。従って、第1の磁性体内に生じる磁束は小さくなって、この磁束の起磁界の増加に対する飽和値は大きくなる。このため、線形性の高い第1の磁性体は飽和値も大きくなり、この第1の磁性体に、飽和値の大きい第2の磁性体が重ね合わされて構成される磁気コアは、飽和値がより大きく、しかも線形性が高いものとなる。
また、本発明は、第1の磁性体がニッケル含有量が多いパーマロイ、第2の磁性体がニッケル含有量が少ないパーマロイであることを特徴とする。
本構成によれば、電流センサ用磁気コアは、ニッケル含有量の多いパーマロイ、例えばJIS(日本工業規格)で規定されるニッケル含有量が70%〜85%のPC材からなる第1の磁性体と、ニッケル含有量の少ないパーマロイ、例えばJISで規定されるニッケル含有量が41%〜51%のPB材からなる第2の磁性体とが、重ね合わされて構成される。
また、本発明は、上記のいずれかの電流センサ用磁気コアと、磁性体の両端部間に形成されたエアギャップに設置され、磁性体内に生じる磁束を検出する磁気センサとから、この磁気センサの検出出力から被測定電流線を流れる電流を検出する電流センサを構成した。
本構成によれば、線形性が高く、しかも飽和値の大きい電流センサ用磁気コアが用いられて電流センサが構成されるため、磁気センサの検出出力から計測される電流は被測定電流線を流れる電流の変化に対して高い線形性を示し、また、被測定電流線を流れる電流が増加することによって磁気センサの検出出力から計測される電流が飽和するまでの値は、大きくなる。この結果、精度よく、しかも、被測定電流線を流れる広い範囲の電流を測定することが可能な電流センサが提供される。
本発明によれば、上記のように、線形性が高く、しかも飽和値が高い電流センサ用磁気コアが提供される。また、本発明によれば、上記のように、精度よく、しかも、被測定電流線を流れる広い範囲の電流を測定することが可能な電流センサが提供される。
次に、本発明の最良の実施の形態による電流センサ用磁気コアおよび電流センサについて説明する。
図1および図2は、この最良の実施の形態による磁気コア11、およびこれを用いた電流センサ10の構成の概略を示す斜視図および側面図である。
電流センサ10は、磁気コア11とホール素子14とから構成される。磁気コア11は、被測定電流線12を囲んでコの字形に曲げられて、両端部間にエアギャップ13が形成された第1の磁性体11aおよび第2の磁性体11bから構成される。また、ホール素子14は、磁気コア11の両端部間に形成されたエアギャップ13に設置された、磁気コア11内に生じる磁束を検出する磁気センサを構成している。電流センサ10は、このホール素子14の検出出力から被測定電流線12を流れる電流を計測する。
磁気コア11は、第1の磁性体11aが外側に、第2の磁性体11bが内側に重ね合わされて構成されている。また、磁気コア11は、第1の磁性体11aの両端部間に形成されるエアギャップ13の長さAが、第2の磁性体11bの両端部間に形成されるエアギャップ13の長さBより長く構成されている。第1の磁性体11aは、ニッケル含有量が70%〜85%でニッケル含有量が多いPC材のパーマロイからなり、被測定電流線12を流れる電流が起こす起磁界によってその磁性体内に生じる磁束の、起磁界の変化に対する線形性は高いが、起磁界によってその磁性体内に生じる磁束の、起磁界の増加に対する飽和値(飽和磁束密度)が小さい。また、第2の磁性体11bは、ニッケル含有量が41%〜51%でニッケル含有量が少ないPB材のパーマロイからなり、線形性は低いが飽和磁束密度は大きい。PC材のパーマロイの初透磁率は約6万、最大透磁率は約18万、飽和磁束密度は約0.65[T]であり、PB材のパーマロイの初透磁率は約4千5百、最大透磁率は約4万5千、飽和磁束密度は約1.50[T]である。
次に、上述した構成を持つ本実施形態による電流センサ用磁気コア11、およびこれを用いた電流センサ10の動作について説明する。
被測定電流線12に電流が流れると、被測定電流線12の周りに起磁界が発生し、この起磁界により、磁気コア11内に磁束が誘導されて発生する。この磁束はエアギャップ13に配置されたホール素子14によって検出され、ホール素子14は、この磁束に比例した電圧を出力する。ホール素子14に接続されている図示しない電気回路は、ホール素子14の出力電圧に基づいて、被測定電流線12を流れる電流の値を計測する。
このような本実施形態による磁気コア11および電流センサ10によれば、磁気コア11は、第1の磁性体11aが有する、磁性体内に生じる磁束の起磁界の変化に対する線形性が高く、第2の磁性体11bが有する、磁性体内に生じる磁束の起磁界の増加に対する飽和磁束密度が大きい特性を呈するようになる。このため、線形性が高く、しかも飽和磁束密度が大きい電流センサ用磁気コア11が提供される。
また、本実施形態では、飽和磁束密度が小さい第1の磁性体11aの両端部間に形成されたエアギャップ13の長さAが長く構成されているため、エアギャップ13における磁気抵抗は高くなる。従って、第1の磁性体11a内に生じる磁束は小さくなって、この磁束の起磁界の増加に対する飽和磁束密度は大きくなる。このため、線形性の高い第1の磁性体11aは飽和磁束密度も大きくなり、この第1の磁性体11aに、飽和磁束密度の大きい第2の磁性体11bが重ね合わされて構成される磁気コア11は、飽和磁束密度がより大きく、しかも線形性が高いものとなる。
また、本実施形態では、線形性が高く、しかも飽和磁密度の大きい磁気コア11が用いられて電流センサ10が構成されるため、磁気センサ14の検出出力から計測される電流は被測定電流線12を流れる電流の変化に対して高い線形性を示し、また、被測定電流線12を流れる電流が増加することによって磁気センサ14の検出出力から計測される電流が飽和するまでの値は、大きくなる。この結果、精度よく、しかも、被測定電流線12を流れる広い範囲の電流を測定することが可能な電流センサ10が提供される。
なお、上記実施形態では、磁気コア11が、ニッケル含有量の多いPC材からなる第1の磁性体11a、およびニッケル含有量の少ないPB材からなる第2の磁性体11bから構成される場合について説明した。しかし、JISで規定される、PC材およびPB材以外の様々なニッケル含有量のPCS材、PD材およびPE材のパーマロイを用いて、ニッケル含有量の多いパーマロイからなる第1の磁性体と、ニッケル含有量の少ないパーマロイからなる第2の磁性体とから、磁気コアを構成してもよい。
また、上記実施形態では、磁気コア11の形状がコの字形であった場合について説明したが、U字状等や他の形状であってもよい。
また、上記実施形態では、磁気コア11が第1の磁性体11aと第2の磁性体11bの2層からなる場合について説明したが、必ずしも、これらの2層である必要はなく、少なくともこれらの2層を含んでいればよい。
また、上記実施形態では、磁気コア11の両端部間に形成されたエアギャップ13に設置する磁気センサとしてホール素子14を用いた場合について説明した。しかし、磁気抵抗素子や、異方性磁気抵抗(AMR)、巨大磁気抵抗(GMR)などを磁気センサとして用いることもできる。
上記のいずれの構成によっても、上記実施形態と同様な作用・効果が奏される。
上記実施形態の電流センサ10は、電流計測が必要となる電子式電力量計や、電子式電力計、電子式電流計などに利用することが可能である。例えば、電流センサ10を250A計測用の電子式電力量計に用いた場合、定格の2%〜100%の範囲、つまり5[A]〜250[A]の範囲で精度を保証する必要がある。
この場合、電流センサ10の検出電流の飽和値を大きくするため、線形性は高いが飽和磁束密度が小さいPC材のパーマロイを磁気コアの外側と内側で2層に構成することが考えられる。しかし、この構成の場合、被測定電流線12を流れる電流と、電流センサ10が計測した電流との間の精度保証範囲におけるリニアリティは0.4%程度、電子式電力量計によって測定することが出来る最大の電流値(飽和電流値)は270[A]程度であった。ここで、リニアリティとは、精度保証範囲における計測電流の非線形最大誤差分、つまり、線形性を示す値からの最大ずれ分を百分率で表したもの(非線形最大誤差/真電流値×100)である。従って、計測電流の直線性は良いが、飽和電流値は十分でない。
また、線形性は低いが飽和磁束密度が大きいPB材のパーマロイを1層で磁気コアを構成することも考えられる。しかし、この構成の場合、上記構成と同じ270[A]程度の飽和電流値が得られるが、リニアリティは0.8%程度と劣った。
一方、本実施形態において説明した、PC材のパーマロイからなる第1の磁性体11aが外側に、PB材のパーマロイからなる第2の磁性体11bが内側に重ね合わされた磁気コア11を用いた場合、リニアリティは0.4%程度、飽和電流値は300[A]程度となった。つまり、磁気コア11は、計測電流の線形性が高い第1の磁性体11aの特性、および飽和磁束密度の大きい第2の磁性体11bの特性を合わせ持つようになった。
10…電流センサ
11…磁気コア
11a…第1の磁性体
11b…第2の磁性体
12…被測定電流線
13…エアギャップ
14…ホール素子
11…磁気コア
11a…第1の磁性体
11b…第2の磁性体
12…被測定電流線
13…エアギャップ
14…ホール素子
Claims (4)
- 被測定電流線を囲んで曲げられて両端部間にエアギャップが形成された磁性体から構成される電流センサ用磁気コアにおいて、
前記磁性体は、前記被測定電流線を流れる電流が起こす起磁界によって前記磁性体内に生じる磁束の、前記起磁界の変化に対する線形性は高いが、前記起磁界によって前記磁性体内に生じる磁束の、前記起磁界の増加に対する飽和値が小さい第1の磁性体と、前記線形性は低いが前記飽和値は大きい第2の磁性体とが少なくとも重ね合わされて構成されていることを特徴とする電流センサ用磁気コア。 - 前記磁性体は、前記第1の磁性体が外側に、前記第2の磁性体が内側に重ね合わされて構成されており、
前記第1の磁性体の両端部間に形成されるエアギャップの長さが前記第2の磁性体の両端部間に形成されるエアギャップの長さより長いことを特徴とする請求項1に記載の電流センサ用磁気コア。 - 前記第1の磁性体はニッケル含有量が多いパーマロイ、前記第2の磁性体はニッケル含有量が少ないパーマロイであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電流センサ用磁気コア。
- 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電流センサ用磁気コアと、前記磁性体の両端部間に形成されたエアギャップに設置され、前記磁性体内に生じる磁束を検出する磁気センサとから構成され、
この磁気センサの検出出力から前記被測定電流線を流れる電流を計測する電流センサ。
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