JP2004103791A - 電源用ct - Google Patents
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Abstract
【課題】一次電流の小電流から大電流までを1台で済ませることができると共に、小型軽量化、ローコスト化を図ることができる電源用CTを提供する。
【解決手段】電源用CTは、配電線6を一次巻線にして固定コア4と可動コア5が配設され、このコア4,5に巻回された出力巻線1から取り出した電力を機器に電源として供給する。コア4,5は、高透磁率を有するPCコア材4a,5aと、高飽和磁束密度を有するPBコア材4b,5bの組み合わせにより構成され、PCコア材4a,5aとPBコア材4b,5bの断面積の比率を所定の値に設定し、例えば、約2:1になるように設定することが望ましい。この構成によって、PCコア材4aと5aがそれぞれ負担する磁束量は、一次電流範囲の1/2程度になる。
【選択図】 図2
【解決手段】電源用CTは、配電線6を一次巻線にして固定コア4と可動コア5が配設され、このコア4,5に巻回された出力巻線1から取り出した電力を機器に電源として供給する。コア4,5は、高透磁率を有するPCコア材4a,5aと、高飽和磁束密度を有するPBコア材4b,5bの組み合わせにより構成され、PCコア材4a,5aとPBコア材4b,5bの断面積の比率を所定の値に設定し、例えば、約2:1になるように設定することが望ましい。この構成によって、PCコア材4aと5aがそれぞれ負担する磁束量は、一次電流範囲の1/2程度になる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源用CT(変流器)に関し、特に、優れた磁気特性を備えながら軽量化、小型化、及び低価格化を可能にした電源用CTに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、22kVの配電線に電気的な接続を行うことなく電子機器等の負荷に電力を供給するための電源用CTの構造は、電流測定用のCTと同じ原理である。電源用CTは、配電線を内挿するコアと、このコアに巻回された二次巻線(一次巻線は、測定対象の配電線が相当)を備えて構成されている。コアは、磁気特性に優れた薄板を積層して、全体が丸形や楕円形を成すように作られている。配電線に流れる電流を測定するためには、コアが配電線を取り巻くように装着する必要があるが、配電線は固定されているため、配電線の端部からコアを挿入することはできない。そこで、コアの一部をコア本体部(固定部)から開閉できるように2分割構造とし、配電線に装着する際にはコアの開閉部(回動部)をコア本体部から開いて開口部からコア内に配電線を挿入し、測定するときにはコアの開閉部をコア本体部に密着させて閉磁路を形成できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電源用CTによると、1種類のみのコア材によりコアが構成されているため、一次電流の大きい領域か小さい領域かのいずれか一方にしか対応できない。例えば、コアに高透磁率のコア材を使用した場合、例えば、2.6A〜150A程度の一次電流に対応できる。一方、コア材に磁気飽和の高いものを用いた場合、30A〜450A程度の一次電流に対応可能であるが、小電流には対応できない。このため、小電流から大電流までの広範囲にわたる電力供給に対応しようとすると、小電流用から大電流用まで数種類の電源用CTを用意する必要があった。
【0004】
また、一次巻線としての配電線に磁気的に結合して磁気飽和し易いコア部分の断面積に合わせて二次巻線が巻回されるコア部分の断面積が決定されているため、小型軽量化及びローコスト化が図り難い。
【0005】
したがって、本発明の目的は、一次電流の小電流から大電流までを1台で済ませることができると共に、小型軽量化、及びローコスト化を図ることができる電源用CTを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、一次巻線としての配電線等の電源ラインを切断することなく前記電源ラインに装着される2分割構造のコアに巻回された二次巻線から電力を取り出す電源用CTにおいて、前記コアは、全磁路にわたって高透磁率を有する第1のコア材と高飽和磁束密度を有する第2のコア材により構成され、各々の負担する磁束量が一次電流範囲の1/2程度の一次電流においてほぼ等しくなるように前記第1のコア材と前記第2のコア材の断面積の比率が設定されていることを特徴とする電源用CTを提供する。
【0007】
この構成によれば、コアが高透磁率の第1のコア材と高飽和磁束密度の第2のコア材の2種類のコア材から構成され、一次電流が小さいときには高透磁率の第1のコア材が磁束の発生を分担し、一次電流が大きいときには高飽和磁束密度の第2のコア材が分担するように機能するので、一次電流範囲の約1/2付近で第1のコア材と第2のコア材が磁束量を分担するように設定すれば、小電流から大電流にいたる一次電流に対し、1台の電源用CTで済ませることが可能になる。更に、小型軽量化及びローコスト化が可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明による電源用CTを示す。図1はコア材の部分で把持部及び巻線部を切断した状態を示し、図2は図1のA−A断面を示す。
【0009】
本発明の電源用CT10は、矩形に巻回されると共に外面に綿テープ1a(表面に静電塗装が施されている)による絶縁が施された出力巻線(コイル)1は、樹脂成形製の筐体部2内に配設されており、この筐体部2の下端には環状突起3が一定間隔に形成されている。出力巻線1の介在部には、“L”字形のコア4aと“I”字形のコア4bの組み合わせによる固定コア4が配設されている。この固定コア4の上部には、端部が係合する逆“U”字形の可動コア5が配設されている。
【0010】
可動コア5は、固定コア4に対して上下方向から簡単に装着できる構造にし、電源用CT10をケーブル6に簡単に装着できるようにしている。その構造として、例えば、係合部7a,7bにより楔状に嵌合して固定する構造や、係合部7a,7bに軸部を設けて可動コア5を開閉する構造等を採用することができる。電源用CT10を配電線等のケーブル6(電源ライン)に装着したとき、このケーブル6は、可動コア5の内側の凹部から固定コア4の上部にかけて介在するようになる。
【0011】
固定コア4及び可動コア5は、図2に示すように、2種類のコア材を組み合わせた構造になっている。すなわち、固定コア4及び可動コア5は、高透磁率を有するコア材4a,5a(第1のコア材)と、高飽和磁束密度を有するコア材4b,5b(第2のコア材)からなる。具体的には、コア材4a,5aとして、PCパーマロイの薄板(例えば、0.5mm厚)が用いられ、その68枚を積層している。また、コア材4b,5bにはPBパーマロイの薄板(例えば、0.5mm厚)が用いられ、その32枚を積層している。その断面積の比率はPCパーマロイ:PBパーマロイ=2.1:1(PCパーマロイの比率2.1は、各コア材の厚みと幅は同じであるので、枚数から68/32≒2.125≒2.1として算出できる)としている。
【0012】
このような比率とした理由は、高透磁率のコア材の飽和磁束密度と、低透磁率かつ高飽和磁束密度のコア材の磁束との比率が、1:〔2〜3〕であることによる。そして、回りに出力巻線1のある部分のコアは断面積を小さく(例えば、15mm×50mm=750mm2 )し、出力巻線1が無い部分のコアは断面積を大きく(例えば、16mm×50mm=800mm2 )している。
【0013】
また、PCパーマロイ及びPBパーマロイは腐食に強く、かつ雨水や湿気にさらされる屋外で使用しても、珪素鋼板のように錆を発生することがないという特長を有している。電源用CTを屋外で使用した場合、雨水や高湿度を避けることは難しく、様々な影響を受けることになる。例えば、コアに珪素鋼板を用いた場合、錆の発生により磁気特性が変化したり、錆により2分割のコアが固着し、ケーブルから電源用CTを取り外せなくなる恐れがある。しかし、上記した本発明の構造によれば、このような錆の心配はない。
【0014】
PBパーマロイは、45〜49%のニッケル(Ni)を含む鉄−Ni合金であり、高飽和磁束密度を有する材料として知られている。このPBパーマロイは小型リレーや変成器に広く用いられている。また、PCパーマロイは77〜79%のNiのほか、モリブデン(Mo)、銅(Cu)を含む鉄−Ni合金であり、通常の軟質磁性材料としては最も高い最大透磁率(100,000以上)を有すると共に、高い初透磁率を有している。このPCパーマロイは、巻鉄心、各種変成器の鉄心、磁気ヘッドの鉄心やシールド材などに広く用いられている。
【0015】
コア材4a,5a(PCパーマロイ)とコア材4b,5b(PBパーマロイ)の比を2対1とし、この比率が一次電流範囲の1/2付近で各々負担する磁束量が同じになるようにし、コイルの回りを樹脂モールドによる筐体部2で絶縁して耐電圧を負担する構造としている。更に、周りに出力巻線1(コイル)が無い可動コア5及び固定コア4の脚部(図1に示す垂直部分)の断面積に対し、出力巻線1が巻回されている固定コア4の直線部(図1に示す水平部分)の断面積を小さくすることにより、出力巻線1が巻かれていない部分の可動コア5における磁気飽和特性が改善される。
【0016】
この結果、出力巻線1が巻かれていない部分の磁気飽和特性と、巻かれている部分の磁気飽和特性との差が無くなるため、励磁電流を小さくすることができる。励磁電流を小さくできることにより、出力巻線1における出力低下を改善することができる。また、コア4a,4bの断面積を小さく(例えば、6.6%)できることにより、重量軽減が可能になる。この結果、コア部分の小型化及び軽量化、ひいては電源用CTの小型化、軽量化、及び低コスト化が可能になる。
【0017】
更に、図1に示すように、固定コア4と可動コア5は、出力巻線1が介在する部分においては直線になるようにし、付近に出力巻線1が無い部分では半円形(又はU字形)にしている。半円形にしたことにより、磁路長を短くすることができ、これにより四角形等のコアに比べ、コア材の使用量を低減できるため、コアの軽量化が可能になる。
【0018】
次に、本発明の実施例について説明する。〔表1〕は、PCとPBの断面積比率を変えたときの出力特性を示している。
【表1】
【0019】
例えば、地絡検出装置を地絡センサの設置位置の近くに設置したとき、その電源を確保する必要があるが、近くにAC100V等の低圧を得ることができない場合がある。このような場合、電池を電源に用いた場合には頻繁に交換する必要があり、実用的でない。そこで、本発明に示した電源用CT10を電源トランスとして用い、配電線等の電源ラインから電源を取得すれば、電池(一次電池又は二次電池)を不要にすることができる。地絡検出装置の場合、仮に消費電力を2VA程度とすれば、電源用CT10の一次電流は26Aを流せばよい。
【0020】
〔表1〕を参照すると、実施例1のように、PCとPBとの断面積比率を1/2づつ(1:1)にしたとき、PC:PBを2/3:1/3にした場合に比べ、最大出力は大きいが26A時の電力値が1.8VAと小さい。これに対し、実施例2(本発明)のようにPC:PBの比率を2/3:1/3(即ち、2:1)とした場合、定格時(455アンペア時)の最大出力は2.8VAとやや劣るが、26A時の電力値は2.2VAとなり、最低限必要な電力(2VA)を確保することができる。
【0021】
図3は、PCとPBの断面積比率を変えたときの電源用CTの出力特性を示す。特性Aは一次電流が定格時(455アンペア時)の出力特性であり、特性Bは一次電流が26A時の特性である。また、ラインCは一次電流が26A時の最低必要ライン(2VA)である。特性Aを参照すると、PBを増やすにつれて出力容量が大きくなることがわかる。しかし、特性Bに示すように一次電流が小電流(26A)時の出力特性がPBの増加と共に悪くなり、必要とする出力容量が得られなくなり低下傾向を示す。一方、特性Bには、PBが30%の辺りにピークがあることも示している。そこで、PCとPBを組み合わせたコアとし、PC:PBが約2:1になるようにすれば、PBで出すことのできない低電流特性をPCにより出すことが可能になり、更に、PCで出すことのできない大電流特性をPBにより出すことが可能になり、広範囲にわたって出力電流が得られるようになる。
【0022】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明の電源用CTによれば、高透磁率の第1のコア材と高飽和磁束密度の第2のコア材の2種類のコア材を組み合わせてコアを構成し、第1と第2のコア材の断面積の比率を、一次電流範囲の約1/2のところで各々のコア材の負担する磁束量が等しくなるように第1と第2のコア材の断面積の比率を設定することにより、小電流から大電流までの広範囲における電力供給が可能な電源用CTを得ることができる。そして、出力巻線の巻回部分の断面積を小さくできることにより、電源用CTの小型軽量化、及びローコスト化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電源用CTの側面断面図である。
【図2】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図3】PCとPBの断面積比率を変えたときの本発明の電源用CTの出力特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 出力巻線
2 筐体部(絶縁材)
3 環状突起
4 固定コア
4a,5a 高透磁率を有するコア材
4b,5b 高飽和磁束密度を有するコア材
5 可動コア
6 配電線
7a,7b 係合部
10 電源用CT
【発明の属する技術分野】
本発明は、電源用CT(変流器)に関し、特に、優れた磁気特性を備えながら軽量化、小型化、及び低価格化を可能にした電源用CTに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、22kVの配電線に電気的な接続を行うことなく電子機器等の負荷に電力を供給するための電源用CTの構造は、電流測定用のCTと同じ原理である。電源用CTは、配電線を内挿するコアと、このコアに巻回された二次巻線(一次巻線は、測定対象の配電線が相当)を備えて構成されている。コアは、磁気特性に優れた薄板を積層して、全体が丸形や楕円形を成すように作られている。配電線に流れる電流を測定するためには、コアが配電線を取り巻くように装着する必要があるが、配電線は固定されているため、配電線の端部からコアを挿入することはできない。そこで、コアの一部をコア本体部(固定部)から開閉できるように2分割構造とし、配電線に装着する際にはコアの開閉部(回動部)をコア本体部から開いて開口部からコア内に配電線を挿入し、測定するときにはコアの開閉部をコア本体部に密着させて閉磁路を形成できるようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の電源用CTによると、1種類のみのコア材によりコアが構成されているため、一次電流の大きい領域か小さい領域かのいずれか一方にしか対応できない。例えば、コアに高透磁率のコア材を使用した場合、例えば、2.6A〜150A程度の一次電流に対応できる。一方、コア材に磁気飽和の高いものを用いた場合、30A〜450A程度の一次電流に対応可能であるが、小電流には対応できない。このため、小電流から大電流までの広範囲にわたる電力供給に対応しようとすると、小電流用から大電流用まで数種類の電源用CTを用意する必要があった。
【0004】
また、一次巻線としての配電線に磁気的に結合して磁気飽和し易いコア部分の断面積に合わせて二次巻線が巻回されるコア部分の断面積が決定されているため、小型軽量化及びローコスト化が図り難い。
【0005】
したがって、本発明の目的は、一次電流の小電流から大電流までを1台で済ませることができると共に、小型軽量化、及びローコスト化を図ることができる電源用CTを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の目的を達成するため、一次巻線としての配電線等の電源ラインを切断することなく前記電源ラインに装着される2分割構造のコアに巻回された二次巻線から電力を取り出す電源用CTにおいて、前記コアは、全磁路にわたって高透磁率を有する第1のコア材と高飽和磁束密度を有する第2のコア材により構成され、各々の負担する磁束量が一次電流範囲の1/2程度の一次電流においてほぼ等しくなるように前記第1のコア材と前記第2のコア材の断面積の比率が設定されていることを特徴とする電源用CTを提供する。
【0007】
この構成によれば、コアが高透磁率の第1のコア材と高飽和磁束密度の第2のコア材の2種類のコア材から構成され、一次電流が小さいときには高透磁率の第1のコア材が磁束の発生を分担し、一次電流が大きいときには高飽和磁束密度の第2のコア材が分担するように機能するので、一次電流範囲の約1/2付近で第1のコア材と第2のコア材が磁束量を分担するように設定すれば、小電流から大電流にいたる一次電流に対し、1台の電源用CTで済ませることが可能になる。更に、小型軽量化及びローコスト化が可能になる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1及び図2は、本発明による電源用CTを示す。図1はコア材の部分で把持部及び巻線部を切断した状態を示し、図2は図1のA−A断面を示す。
【0009】
本発明の電源用CT10は、矩形に巻回されると共に外面に綿テープ1a(表面に静電塗装が施されている)による絶縁が施された出力巻線(コイル)1は、樹脂成形製の筐体部2内に配設されており、この筐体部2の下端には環状突起3が一定間隔に形成されている。出力巻線1の介在部には、“L”字形のコア4aと“I”字形のコア4bの組み合わせによる固定コア4が配設されている。この固定コア4の上部には、端部が係合する逆“U”字形の可動コア5が配設されている。
【0010】
可動コア5は、固定コア4に対して上下方向から簡単に装着できる構造にし、電源用CT10をケーブル6に簡単に装着できるようにしている。その構造として、例えば、係合部7a,7bにより楔状に嵌合して固定する構造や、係合部7a,7bに軸部を設けて可動コア5を開閉する構造等を採用することができる。電源用CT10を配電線等のケーブル6(電源ライン)に装着したとき、このケーブル6は、可動コア5の内側の凹部から固定コア4の上部にかけて介在するようになる。
【0011】
固定コア4及び可動コア5は、図2に示すように、2種類のコア材を組み合わせた構造になっている。すなわち、固定コア4及び可動コア5は、高透磁率を有するコア材4a,5a(第1のコア材)と、高飽和磁束密度を有するコア材4b,5b(第2のコア材)からなる。具体的には、コア材4a,5aとして、PCパーマロイの薄板(例えば、0.5mm厚)が用いられ、その68枚を積層している。また、コア材4b,5bにはPBパーマロイの薄板(例えば、0.5mm厚)が用いられ、その32枚を積層している。その断面積の比率はPCパーマロイ:PBパーマロイ=2.1:1(PCパーマロイの比率2.1は、各コア材の厚みと幅は同じであるので、枚数から68/32≒2.125≒2.1として算出できる)としている。
【0012】
このような比率とした理由は、高透磁率のコア材の飽和磁束密度と、低透磁率かつ高飽和磁束密度のコア材の磁束との比率が、1:〔2〜3〕であることによる。そして、回りに出力巻線1のある部分のコアは断面積を小さく(例えば、15mm×50mm=750mm2 )し、出力巻線1が無い部分のコアは断面積を大きく(例えば、16mm×50mm=800mm2 )している。
【0013】
また、PCパーマロイ及びPBパーマロイは腐食に強く、かつ雨水や湿気にさらされる屋外で使用しても、珪素鋼板のように錆を発生することがないという特長を有している。電源用CTを屋外で使用した場合、雨水や高湿度を避けることは難しく、様々な影響を受けることになる。例えば、コアに珪素鋼板を用いた場合、錆の発生により磁気特性が変化したり、錆により2分割のコアが固着し、ケーブルから電源用CTを取り外せなくなる恐れがある。しかし、上記した本発明の構造によれば、このような錆の心配はない。
【0014】
PBパーマロイは、45〜49%のニッケル(Ni)を含む鉄−Ni合金であり、高飽和磁束密度を有する材料として知られている。このPBパーマロイは小型リレーや変成器に広く用いられている。また、PCパーマロイは77〜79%のNiのほか、モリブデン(Mo)、銅(Cu)を含む鉄−Ni合金であり、通常の軟質磁性材料としては最も高い最大透磁率(100,000以上)を有すると共に、高い初透磁率を有している。このPCパーマロイは、巻鉄心、各種変成器の鉄心、磁気ヘッドの鉄心やシールド材などに広く用いられている。
【0015】
コア材4a,5a(PCパーマロイ)とコア材4b,5b(PBパーマロイ)の比を2対1とし、この比率が一次電流範囲の1/2付近で各々負担する磁束量が同じになるようにし、コイルの回りを樹脂モールドによる筐体部2で絶縁して耐電圧を負担する構造としている。更に、周りに出力巻線1(コイル)が無い可動コア5及び固定コア4の脚部(図1に示す垂直部分)の断面積に対し、出力巻線1が巻回されている固定コア4の直線部(図1に示す水平部分)の断面積を小さくすることにより、出力巻線1が巻かれていない部分の可動コア5における磁気飽和特性が改善される。
【0016】
この結果、出力巻線1が巻かれていない部分の磁気飽和特性と、巻かれている部分の磁気飽和特性との差が無くなるため、励磁電流を小さくすることができる。励磁電流を小さくできることにより、出力巻線1における出力低下を改善することができる。また、コア4a,4bの断面積を小さく(例えば、6.6%)できることにより、重量軽減が可能になる。この結果、コア部分の小型化及び軽量化、ひいては電源用CTの小型化、軽量化、及び低コスト化が可能になる。
【0017】
更に、図1に示すように、固定コア4と可動コア5は、出力巻線1が介在する部分においては直線になるようにし、付近に出力巻線1が無い部分では半円形(又はU字形)にしている。半円形にしたことにより、磁路長を短くすることができ、これにより四角形等のコアに比べ、コア材の使用量を低減できるため、コアの軽量化が可能になる。
【0018】
次に、本発明の実施例について説明する。〔表1〕は、PCとPBの断面積比率を変えたときの出力特性を示している。
【表1】
【0019】
例えば、地絡検出装置を地絡センサの設置位置の近くに設置したとき、その電源を確保する必要があるが、近くにAC100V等の低圧を得ることができない場合がある。このような場合、電池を電源に用いた場合には頻繁に交換する必要があり、実用的でない。そこで、本発明に示した電源用CT10を電源トランスとして用い、配電線等の電源ラインから電源を取得すれば、電池(一次電池又は二次電池)を不要にすることができる。地絡検出装置の場合、仮に消費電力を2VA程度とすれば、電源用CT10の一次電流は26Aを流せばよい。
【0020】
〔表1〕を参照すると、実施例1のように、PCとPBとの断面積比率を1/2づつ(1:1)にしたとき、PC:PBを2/3:1/3にした場合に比べ、最大出力は大きいが26A時の電力値が1.8VAと小さい。これに対し、実施例2(本発明)のようにPC:PBの比率を2/3:1/3(即ち、2:1)とした場合、定格時(455アンペア時)の最大出力は2.8VAとやや劣るが、26A時の電力値は2.2VAとなり、最低限必要な電力(2VA)を確保することができる。
【0021】
図3は、PCとPBの断面積比率を変えたときの電源用CTの出力特性を示す。特性Aは一次電流が定格時(455アンペア時)の出力特性であり、特性Bは一次電流が26A時の特性である。また、ラインCは一次電流が26A時の最低必要ライン(2VA)である。特性Aを参照すると、PBを増やすにつれて出力容量が大きくなることがわかる。しかし、特性Bに示すように一次電流が小電流(26A)時の出力特性がPBの増加と共に悪くなり、必要とする出力容量が得られなくなり低下傾向を示す。一方、特性Bには、PBが30%の辺りにピークがあることも示している。そこで、PCとPBを組み合わせたコアとし、PC:PBが約2:1になるようにすれば、PBで出すことのできない低電流特性をPCにより出すことが可能になり、更に、PCで出すことのできない大電流特性をPBにより出すことが可能になり、広範囲にわたって出力電流が得られるようになる。
【0022】
【発明の効果】
以上より明らかなように、本発明の電源用CTによれば、高透磁率の第1のコア材と高飽和磁束密度の第2のコア材の2種類のコア材を組み合わせてコアを構成し、第1と第2のコア材の断面積の比率を、一次電流範囲の約1/2のところで各々のコア材の負担する磁束量が等しくなるように第1と第2のコア材の断面積の比率を設定することにより、小電流から大電流までの広範囲における電力供給が可能な電源用CTを得ることができる。そして、出力巻線の巻回部分の断面積を小さくできることにより、電源用CTの小型軽量化、及びローコスト化が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による電源用CTの側面断面図である。
【図2】図1のA−A断面を示す断面図である。
【図3】PCとPBの断面積比率を変えたときの本発明の電源用CTの出力特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 出力巻線
2 筐体部(絶縁材)
3 環状突起
4 固定コア
4a,5a 高透磁率を有するコア材
4b,5b 高飽和磁束密度を有するコア材
5 可動コア
6 配電線
7a,7b 係合部
10 電源用CT
Claims (2)
- 一次巻線としての配電線等の電源ラインを切断することなく前記電源ラインに装着される2分割構造のコアに巻回された二次巻線から電力を取り出す電源用CTにおいて、
前記コアは、全磁路にわたって高透磁率を有する第1のコア材と高飽和磁束密度を有する第2のコア材により構成され、各々の負担する磁束量が一次電流範囲の1/2程度の一次電流においてほぼ等しくなるように前記第1のコア材と前記第2のコア材の断面積の比率が設定されていることを特徴とする電源用CT。 - 前記コアは、前記二次巻線が巻回される直線部分と、前記直線部分の両端に脚部が結合される逆U字形部分とにより構成され、
前記直線部分は、前記逆U字形部分より小なる断面積を有することを特徴とする請求項1記載の電源用CT。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002263010A JP2004103791A (ja) | 2002-09-09 | 2002-09-09 | 電源用ct |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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