JP2007522332A - 官能性フルオロポリマーおよびその製法関連出願の相互参照本願は、米国特許出願第号、出願、発明の名称「官能性基を含有するテレケリックポリマー」、代理人整理番号59516−054と類似の主題を含む。 - Google Patents
官能性フルオロポリマーおよびその製法関連出願の相互参照本願は、米国特許出願第号、出願、発明の名称「官能性基を含有するテレケリックポリマー」、代理人整理番号59516−054と類似の主題を含む。 Download PDFInfo
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Abstract
Description
本発明は、官能性フルオロポリマーおよび共重合体、およびそれらの製造方法に関する。特に本発明は、官能性フルオロモノマーのオルガノボラン/O2開始剤のような開始剤による重合であって、連鎖移動反応に大きく関与することなく、適切なラジカル重合を行い、高分子ポリマーを得ることができる重合に関する。
ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリ(ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロペン)(VDF/HFPエラストマー)などのフルオロポリマーは、熱安定性、化学的不活性(耐酸性および耐酸化性)、低い水および溶剤吸収性、自己消火性、優れた耐候性および非常に興味深い表面特性などの特性の個性的な組合せを示す。これらは、普通、航空宇宙、自動車、繊維加工仕上げ、およびマイクロ電子技術などの、多くの高機能用途において使用される。しかし、フルオロポリマーは、また、限られた加工性、基材に対する低い接着性、限られた架橋化学反応性、および化学修飾に対する不活性など、いくつかの欠点も有し、相互作用性および反応特性が最重要である場合、これによってその用途が限定される。過去数10年間、多くの研究グループが特定の官能基を含む官能性フルオロポリマーの製造に焦点を当ててきた。一般的に、重合プロセス中に官能基のフルオロポリマーへの直接挿入を達成するアプローチは2つあり、(i)官能性開始剤または連鎖移動剤を使用した重合を制御して末端官能基を含むテレケリックフルオロポリマーを製造することと、(ii)フッ素化モノマーと官能性コモノマーとを共重合して、ペンダント官能性基を含む官能性フルオロ共重合体を製造することである。
レケリックフルオロポリマーを製造する、興味深いヨウ素移動重合(ITP)方法を開示した(Compemp. Topics Polyme. Sci., 4,763,1984;米国特許第4,158,678号明細書参照)。化学反応は、可逆的付加−切断連鎖移動(RAFT)プロセスと、α,ω−ジヨードパーフルオロアルカン(I−RF−I)連鎖移動剤との組合せを基にしており、一方、RFはCF2CF2、CF2CF2CF2CF2、CF2CFCl、CF2CF(CF3)などである。リビング性は、通常、モノマーの変換による分子量の増加と比較的狭い分子量分布(Mw/Mn<2)とによって示される。活性なCF2−I基は、常に、ポリマー鎖の両端に位置し、ポリマーの分子量が大きくなるにも関わらず類似の反応性を維持する。この反応プロセスによって、重要な市販品、すなわち、商品名Dai−E1(登録商標)で出されているジヨード末端VDF/HFPエラストマーが導き出され、これは、室温で液状ゴムであり、熱や照射により容易に硬化し、優れた耐熱オイル性、耐溶剤性、耐化学薬品性、耐オゾン性を持ち、高い機械的強度および低い圧縮歪みを持つ、3次元網目構造を形成する。これは、O−リング、ガスケット、チューブ、バルブまたはベロー用のシーリング剤として有用であり、また、ライニング、保護手袋および靴においても有用である。さらに、このヨード末端テレケリックは、2個以上の異なるポリマーセグメントで構成される、分節性のポリマー(ブロックまたはグラフト共重合体)の製造にも新しい経路も提供する。
これらのコモノマーのうち、ダイキン社によって開発された、パーフルオロビニル官能性モノマー、すなわち、CF2=CF(CF2)n(CH2)mX(式中、n=0〜10、m=1〜4、およびX=−OH、−COOHまたはエポキシ基である)は、共重合反応において最も興味深い(米国特許第4,544,720号明細書)。これらは、共重合反応において、良好な挿入および高い分子量の共重合体を達成するのに、非常に効果的である。近年、アメディールらも、テロメリゼーション反応によって合成された数種のトリフルオロビニル官能性モノマー、すなわち、CF2=CF(CH2)mX(式中、m=1〜3およびX=−OH、OCOCH3、−COOH、SO3H、エポキシ、チオール官能性基である)を報告した(ジャーナル・オブ・アップライド・ポリマー・サイエンス、73,189,1999;ジャーナル・オブ・フルオリン・ケム、93,117,1999;ジャーナル・オブ・フルオリン・ケム、114,171,2002参照)。しかし、これらの官能性コモノマーは、普通、20%未満の低収率で、3,000g/モル未満の低い分子量の共重合体しか提供しない。それは、コモノマー中にアリル水素原子が存在するためである。当該技術分野で周知のように、アリル水素を含むモノマーの普通のフリーラジカ
ル重合では連鎖移動反応が促進され、したがって、ポリマーの分子量と触媒活性が減少する。
本発明の有利な特徴は、官能性フルオロポリマーと共重合体とをオルガノボラン開始剤で製造する方法である。
とを含む。また、該方法は、複数の官能性フルオロモノマーのみの、あるいは1個以上の非官能フルオロモノマーとの混合物の共重合に適用し、ペンダント官能性を有するフルオロ共重合体を多く形成することができ有利である。アリル系プロトン(複数を含む)、Si−H基およびシンナモイル基を有するモノマーが重合されたポリマーのような官能性フルオロポリマーを製造することができ有利である。
フリーラジカル重合は、ヘテロ原子または反応性基を含有する官能性モノマーの重合(典型的には、架橋反応のような後続反応で使用される)において使用される、最も一般的なメカニズムである。また、フリーラジカル重合は、ポリ(テトラフルオロエチレン)(PTFE)、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)、ポリ(ビニリデン−コ−ヘキサフルオロプロペン)(VDF/HFPエラストマー)などのフルオロポリマーを製造するための唯一の実際的な商業的方法でもある。従来から、フルオロモノマーの重合は、乳化あるいは水性懸濁溶液中で、開始剤の無機または有機過酸化物とともに高温で行われている。
。しかし、本明細書に記載されるある実施形態の重合および共重合方法は、官能性フルオロポリマーおよび共重合体の形成を可能にする。
組合せ、該モノマーを共重合して、以下の式:
本発明の実施形態の実施では、酸素とともにオルガノボランの作用によって、官能性フルオロモノマーモノマーを重合する。本発明の実施形態の実施においては、任意のオルガノボランを使用することができると考えられる。オルガノボランは、式:R−BR’(R”)(式中、R、R’およびR”は、独立して、炭素数が2〜約15、好ましくは2〜10、最も好ましくは2〜6の、直鎖、分岐状または環状アルキル基から選択される)で表されるような、トリアルキルボランでもよい。
ル・オブ・オルガノメタル・ケム,581,176,1999)。いかなる理論に拘泥するものではないが、反応機構は、フルオロモノマーとトリフルオロビニル官能性コモノマーとのその場でのラジカル形成および共重合は、以下に示すように表すことができる。
以下の実施例は本発明のある好ましい実施形態をさらに説明するためにあるものであり
、これに限定されるものではない。当業者であれば、常法による実験以上のものを用いることなく、数多くの本明細書に記載の特定の物質および手順と等価のものを理解し、確認するであろう。
1,1,2−トリフルオロ−4−ヒドロキシ−1−ブテン(CF2=CFCH2CH2OH)の合成
冷却器および磁気撹拌器を備えた丸底フラスコに、3.0g(125ミリモル)のマグネシウムパウダーを導入した。フラスコを約30分、真空で火炎乾燥し、アルゴンを再充填し、その後200mlの絶乾ジエチルエーテルを加えた。次いで、19.0g(100.5ミリモル)のCF2=CFCH2CH2Br(BTFB)を2段階で加えた。激しく撹拌しながら、最初の一部として3.0gのBTFBをフラスコに注入した。発熱反応が起こり、溶剤が還流した。5分後、溶剤の還流を保つために、残りのBTFBを滴下した。BTFBの添加が完了した後、溶液をさらに2時間連続的に撹拌し、その後、固体を溶液からろ取し、透明な明黄色のCF2=CFCH2CH2MgBr/エーテル溶液を得た。次いで、この透明な明黄色溶液を0℃に冷却し、1.3リットル(54ミリモル)のO2を溶液に30分かけてゆっくりと導入した。さらに30分撹拌した後、120mlの1M HCl/H2Oを加えた。混合物をさらに30分撹拌し、次いで、水層を除去した。有機層を50mlの食塩水で3回洗浄し、次いで、MgSO4で乾燥した。MgSO4をろ過によって除去し、エーテルを常圧80℃で蒸留によって除去した後、粗生成物を常温で分別蒸留した。最終生成物を110℃と115℃との間で分別蒸留することによって無色透明の液体として回収した。最終生成物は8.2gのCF2=CFCH2CH2OHで、総収率が67%であった。CF2=CFCH2CH2OHのスペクトルデータは、以下の通りである。1H−NMR(300Mz,CDCl3,r.t.):δ3.78ppm(t,2H,CH2O),δ2.18ppm(dq,2H,CH2CF),δ1.56ppm(br s,1H,OH).19F−NMR(300Mz,CDCl3,r.t.):δ−103.6ppm(dd),δ−124.4ppm(dd),δ−176.2ppm(m)。
1,1,2−トリフルオロ−4−トリメチルシロキシル−1−ブテン(CF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3)の合成
実施例1と同じ手順で、3.0gのMgと19.0gのBTFBを300mlのジエチルエーテル中で反応させることによって、透明な明黄色のCF2=CFCH2CH2MgBr/エーテル溶液を製造した。次いで、この溶液に7.0g(41ミリモル)のN,N,N’,N’,N”−ペンタメチル−ジエチレントリアミン(PMDETA)を加えた。激しく撹拌しながら、11g(10.2ミリモル)の(CH3)3SiClを約20分の時間で混合物に滴下した。撹拌を30分続け、得られたスラリーをろ過し、100mlのエーテルで3回洗浄した。合わせたろ液を常圧70℃で蒸留してエーテルを除去することによって濃縮し、次いで、微量の残ったエーテルと過剰のMe3SiClとを0℃、真空下(0.5mmHg)で完全に除去した。純粋な生成物(12.2g)を約120℃〜125℃で蒸留し、収率61%を得た。1,1,2−トリフルオロ−4−トリメチルシロキシル−1−ブテンCF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3のスペクトルデータは以
下の通りである。1H−NMR(300Mz,CDCl3,r.t.):δ3.78ppm(t,2H,CH2O),δ2.48ppm(dq,2H,CH2CF),δ0.16ppm(br s,9H,SiCH2).19F−NMR(300Mz,CDCl3,r.t.):δ−103.6ppm(dd),δ−124.5ppm(dd),δ−176.3ppm(m)。
ジメチル3,4,4−トリフルオロ−3−ビニル−ブチルシラン(CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2H)の合成
実施例1と同じ手順で、4.2g(175.0ミリモル)のMgと29.0g(150.2ミリモル)のBTFBを300mlのジエチルエーテル中で反応させることによって、透明な明黄色のCF2=CFCH2CH2MgBr/エーテル溶液を製造した。溶液を0℃に冷却した後、14.1g(150ミリモル)の(CH3)2SiHClを加えた。混合物をゆっくりと、2時間で室温まで暖め、さらに2時間撹拌した。次いで、溶液から固体を完全に分離させるため、混合物を−40℃まで冷却した。次いで、エーテル層を残渣からデカントした。70℃で溶液からエーテルを蒸留させた後、高温で無色の液体生成物CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2H(17.2g)を収率60%で流出させた。生成物のスペクトルデータは、以下の通りである。1H−NMR(300Mz,CDCl3,r.t.):δ3.92ppm(m,1H,SiH),δ1.98ppm(dm,2H,CH2CF),δ0.56ppm(t,2H,SiCH2)δ−0.16ppm(s,6H,SiCH3).19F−NMR(300Mz,CDCl3,r.t.):δ−107.8ppm(dd),δ−126.0ppm(t,2F),δ−174.8ppm(m)。
(n−C4H9)3B/O2によるVDF/CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2Hの重合
磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブ中でラジカル重合を行った。0.34gのCF2=CFCH2CH2Si(CH3)2H、91mgの(n−C4H9)3Bおよび20mlのCH2C12をアルゴン下で加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、25mlのVDFを真空下で反応器に導入した。次いで、約4mlのO2を導入して重合を開始した。オートクレーブをゆっくり室温まで暖め、室温で20時間保った。未反応のVDFモノマーを回収した後、重合体スラリーをメタノールに注ぎ、析出した重合体粉末を真空下、80℃で24時間乾燥した。重合体の総収率は約55%であり、極限粘度測定によって測定した重合体分子量は、Mv=48,000g/モルであった。1.2モル%のCF2=CFCH2CH2Si(CH3)2H単位を含む共重合体の組成を1H NMRスペクトルによって測定した。
(n−C4H9)3B/O2によるVDF/CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2Hの重合
実施例4の重合手順と同様にして、磁気撹拌器を備えた200mlステンレス製オートクレーブ中でラジカル重合を行った。アルゴン下で0.7gのCF2=CFCH2CH2Si(CH3)2H、91mgの(n−C4H9)3Bおよび100mlのCH2Cl2を加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、50mlのVDFを真空下で反応器に導入した。次いで、約4mlのO2を導入し、重合を開始した。オートクレーブをゆっくり室温まで暖め、室温で20時間保った。未反応のVDFモノマーを回収した後、重合体スラリーをメタノールに注ぎ、析出した重合体粉末を真空下、80℃で24時間乾燥した。重合体の総収率は約40%であり、極限粘度測定によって測定した重合体分子量は、Mv=96,000g/モルであった。1.0モル%のCF2=CFCH2CH
2Si(CH3)2H単位を含む共重合体の組成を1H NMRスペクトルによって測定した。
(n−C4H9)3B/O2によるVDF/HFP/CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2Hの重合
磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブ中でラジカル重合を行った。3.0gのCF2=CFCH2CH2Si(CH3)2H、0.1gの(n−C4H9)3B、および20mlのCH2C12をアルゴン下で加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、20mlのVDFおよび5mlのHFPを真空下で反応器に導入した。次いで、約15mlのO2を導入して重合を開始した。オートクレーブをゆっくり室温まで暖め、次いで、80℃で油浴に20時間浸漬した。未反応のVDFモノマーを回収した後、スラリーを真空下で乾燥し、4.5gの白色重合体粉末を収率40%で得た。
(n−C4H9)3B/O2開始剤によるVDF/HFP/CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2Hの重合
一連の実施例で、実施例6と同様の重合手順を、磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブ中で行った。3.0gのCF2=CFCH2CH2Si(CH3)2H、0.1gの(n−C4H9)3Bおよび20mlのCH2Cl2をアルゴン下で加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、20mlのVDFおよび5mlのHFPを真空下で反応器に導入した。次いで、約15mlのO2を導入して重合を開始した。オートクレーブをゆっくり室温まで暖め、次いで、種々の温度(室温(r.t.)、40℃、60℃、80℃、および100℃)で油浴に20時間浸漬した。未反応のモノマーを回収した後、スラリーを真空下で乾燥し、白色重合体粉末を得た。三元重合体の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、三元重合体の組成を、1Hおよび19F NMRスペクトルによって測定した。表1に試験結果をまとめる。
AIBN開始剤によるVDF/HFP/CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2Hの重合
溶剤および開始剤を変化させた以外は、実施例6の手順を行った。AIBNを含む、通常のフリーラジカル重合系ではCH2C12は溶剤として適切でないことがよく知られているので、溶剤をアセトニトリルに変えた。0.3gのAIBN、3.0gのCF2=C
FCH2CH2Si(CH3)2Hおよび30mlのアセトニトリルを、磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブに加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、20mlのVDFおよび5mlのHFPを真空下で反応器に導入した。オートクレーブを徐々に室温まで暖め、次いで、70℃で油浴に20時間浸漬した。未反応のモノマーを回収した後、透明の溶液が得られ、揮発分を除去した後、ごく微量(<0.1g)の白色重合体粉末が得られた。
AIBN/I(CF2)4I開始剤によるVDF/HFP/CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2Hの重合
溶剤および開始剤を変化させた以外は、実施例6の手順を行った。AIBNの場合を含む、通常のフリーラジカル重合系ではCH2C12は溶剤として適切でないことがよく知られているので、溶剤をアセトニトリルに変えた。0.3gのAIBN、0.8gのI(CF2)4I、3.0gのCF2=CFCH2CH2Si(CH3)2H、および30mlのアセトニトリルを、磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブに加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、20mlのVDFおよび5mlのHFPを真空下で反応器に導入した。オートクレーブを徐々に室温まで暖め、次いで、70℃で油浴に20時間浸漬した。未反応のモノマーを回収した後、透明の溶液が得られ、揮発分を除去した後、ごく微量(<0.1g)の白色重合体粉末が得られた。
過酸化ベンゾイル(BPO)開始剤によるVDF/HFP/CF2=CFCH2CH2Si(CH3)2Hの重合
溶剤および開始剤を変化させた以外は、実施例6の手順を行った。BPOを含む、通常のフリーラジカル重合系ではCH2C12は溶剤として適切でないことがよく知られているので、溶剤をアセトニトリルに変えた。0.26gのBPO、3.0gのCF2=CFCH2CH2Si(CH3)2Hおよび30mlのアセトニトリルを、磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブに加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、20mlのVDFおよび5mlのHFPを真空下で反応器に導入した。オートクレーブを徐々に室温まで暖め、次いで、100℃で油浴に20時間浸漬した。未反応のモノマーを回収した後、透明の溶液が得られ、揮発分を除去した後、ごく微量(<0.1g)の白色重合体粉末が得られた。
(n−C4H9)3B/O2開始剤によるVDF/CF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3の重合
磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブ中でラジカル重合を行った。0.84gのCF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3、91mgの(n−C4H9)3Bおよび20mlのCH2C12をアルゴン下で加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、25mlのVDFを真空下で反応器に導入した。次いで、約4mlのO2を導入して重合を開始した。オートクレーブをゆっくり室温まで暖め、次いで室温で20時間保った。未反応のモノマーを回収した後、スラリーをメタノールに注ぎ、析出した重合体粉末を真空下、80℃で24時間乾燥した。重合体の総収率は約60%であり、極限粘度によって測定した重合体分子量は、Mv=53,000g/モルであった。1.5モル%のCF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3単位を含む共重合体の組成を1H NMRスペクトルによって測定した。
(n−C4H9)3B/O2開始剤によるVDF/CF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3の重合
実施例15の手順を、磁気撹拌器を備えた200mlステンレス製オートクレーブ中で行った。1.68gのCF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3、91mgの(n−C4H9)3Bおよび100mlのCH2C12をアルゴン下で加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、50mlのVDFを真空下で反応器に導入した。次いで、約4mlのO2を導入して重合を開始した。オートクレーブをゆっくり室温まで暖め、次いで、室温で20時間保った。未反応のモノマーを回収した後、スラリーをメタノールに注ぎ、析出した重合体粉末を、真空下、80℃で24時間乾燥した。重合体の総収率は約40%であり、極限粘度によって測定した重合体分子量は、Mv=82,000g/モルであった。1.4モル%のCF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3単位を含む共重合体の組成を1H NMRスペクトルによって測定した。
(n−C4H9)3B/O2開始剤によるVDF/HFP/CF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3の重合
一連の実施例で、付加的なHFP成分を加えた以外、実施例15と同様の重合手順を、磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブ中で行った。3.0gのCF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3、0.1gの(n−C4H9)3Bおよび20mlのCH2C12をアルゴン雰囲気下で加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、20mlのVDFおよび5mlのHFPを真空下で反応器に導入し、次いで15mlのO2を導入した。オートクレーブを室温まで暖め、あるいは40または70℃で油浴に20時間浸漬した。未反応のモノマーを回収した後、スラリーを真空下で乾燥し、重合体を得た。重合体の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定し、三元重合体の組成を、1Hおよび19F NMRスペクトルによって測定した。表2に試験結果をまとめる。
OH基含有VDF/HPF共重合体の合成
実施例19で得た三元重合体VDF/HFP/CF2=CFCH2CH2OSi(CH3)32.0gを30mlのTHFに溶解した。約10mlの6N HCl/H2O溶液を加えた後、混合物を室温で5時間、室温で撹拌した。全揮発物を除去した後、目的とする重合体を30mlのメタノールで3回洗浄し、80℃、真空下で24時間乾燥した。1H NMRスペクトルによれば、O−Si(CH3)3の−OHへの転化率は、98%を超えていた。
シンナモイル基含有VDF/HPF共重合体の合成
実施例20で得たOH基含有VDF/HFP共重合体2.0gを30mlのTHFに溶解した。2.0gのピリジンおよび2.0gの塩化シンナモイルを加えた後、混合物を室温で5時間撹拌、還流した。全揮発物を除去した後、目的とする重合体を30mlのメタノールで3回洗浄し、80℃、真空下で24時間乾燥した。1H NMRスペクトルによれば、O−Hの−O−C(=O)CH=CH−C6H5への転化率は、約95%を超えていた。
UV照射によるシンナモイル基含有VDF/HFP共重合体の架橋反応
実施例21で得られたシンナモイル基含有VDF/HPF共重合体約50mgを、0.5mlのアセトンに完全に溶解した。次いで、均質な重合体溶液をUV照射に30秒曝した。溶液中にゲル状粒子が直ちに観察された。得られた不溶性重合体のFTIRスペクトルは、−O−C(=O)CH=CH−C6H5の環状ブチル構造体(架橋剤)への高い転化率(>85%)を示した。
AIBN開始剤によるVDF/HFP/CF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3の重合
溶剤および開始剤を変化させた以外は、実施例17の手順を行った。AIBNの場合を含む、通常のフリーラジカル重合系ではCH2C12は溶剤として適切でないことがよく知られているので、溶剤をアセトニトリルに変えた。0.3gのAIBN、3.0gのCF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3および30mlのアセトニトリルを、磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブに加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、20mlのVDFおよび5mlのHFPを真空下で反応器に導入した。オートクレーブを徐々に室温まで暖め、次いで、70℃で油浴に20時間浸漬した。未反応のモノマーを回収した後、透明の溶液が得られ、揮発分を除去した後、ごく微量(<0.1g)の白色重合体粉末が得られた。
AIBN/I(CF2)4I開始剤によるVDF/HFP/CF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3の重合
溶剤および開始剤を変化させた以外は、実施例17の手順を行った。AIBNの場合を含む、通常のフリーラジカル重合系ではCH2C12は溶剤として適切でないことがよく知られているので、溶剤をアセトニトリルに変えた。0.3gのAIBN、0.8gのI(CF2)4I、3.0gのCF2=CFCH2CH2OSi(CH3)3および30mlのアセトニトリルを、磁気撹拌器を備えた70mlステンレス製オートクレーブに加えた後、液体窒素温度でモノマーを濃縮することにより、20mlのVDFおよび5mlのHFPを真空下で反応器に導入した。オートクレーブを徐々に室温まで暖め、次いで、70℃で油浴に20時間浸漬した。未反応のモノマーを回収した後、透明の溶液が得られ、揮発分を除去した後、ごく微量(<0.1g)の白色重合体粉末が得られた。
Claims (19)
- 官能性フルオロポリマーを製造する方法であって、1個以上の官能性フルオロモノマーを、オルガノボラン開始剤および酸素と組合せて1個以上の官能性フルオロモノマーを重合し、官能性フルオロポリマーにすることを含む方法。
- XおよびYがフッ素である請求項2記載の方法。
- Jが、OH、ハロゲン、Cl、Br、O−Si−R1R2R3、SiR1R2R3およびオレフィン基(式中、R1、R2およびR3は、独立して、H、ハロゲン、Cl、C1〜C10直鎖、分岐状、環状アリールまたはアルキル基である)からなる群から選択される請求項2記載の方法。
- オルガノボラン開始剤が、トリアルキルボランである請求項1記載の方法。
- 官能性フルオロ共重合体を製造する方法であって、少なくとも1個の官能性フルオロモノマー、少なくとも1個のフルオロモノマー、オルガノボラン開始剤および酸素を組合わせて該モノマーを共重合し、官能性フルオロ共重合体とすることを含む方法。
- フルオロモノマーが、フッ化ビニル、二フッ化ビニリデン、1−フルオロ−1−クロロ−エチレン、l−クロロ−2,2−ジフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペンおよびパーフルオロメチルビニルエーテルからなる群から選択される請求項6記載の方法。
- Jが、OH、ハロゲン、Cl、Br、O−Si−R1R2R3、SiR1R2R3およびオレフィン基(式中、R1、R2およびR3は、独立して、H、ハロゲン、Cl、C1〜C10直鎖、分岐状、環状アリールまたはアルキル基である)からなる群から選択される請求項8記載の方法。
- 約35%を超える官能性フルオロモノマーを共重合することを含む請求項6記載の方法。
- オルガノボラン開始剤が、トリアルキルボランである請求項8記載の方法。
- モノマーをランダムに共重合することを含む請求項6記載の方法。
- Jが、OH、ハロゲン、Cl、Br、O−Si−R1R2R3、SiR1R2R3およびオレフィン基(式中、R1、R2およびR3は独立してH、ハロゲン、Cl、C1〜C10直鎖、分岐状、または環状アリールまたはアルキル基である)からなる群から選択される請求項13記載の方法。
- 約35%を超える官能性フルオロモノマーを共重合することを含む請求項13記載の方法。
- オルガノボラン開始剤がトリアルキルボランである請求項13記載の方法。
- mが、約0.5と20モル%との間であり、n+mが100モル%である請求項13記載の方法。
- さらに、J基をシンナモイル基に変換して、少なくとも1個のシンナモイルペンダント基を有するフルオロ共重合体を得ることを含む請求項13記載の方法。
- 約5,000g/モルを超える平均分子量を有する請求項1記載の官能性フルオロポリマー。
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