JP2007258389A - 圧電膜とその製造方法、及び圧電素子 - Google Patents

圧電膜とその製造方法、及び圧電素子 Download PDF

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Abstract

【課題】圧電膜の製造方法において、比較的低温で成膜を行うことができ、しかも結晶配向性に優れると共に膜の均質性にも優れ、圧電性能に優れた圧電膜を安定的に製造することを可能とする。
【解決手段】基板10上に、結晶配向性を有する圧電膜30Aを成膜する成膜工程と、圧電膜30Aに対して、成膜工程の成膜温度を超える温度でアニールを行うアニール工程とを順次実施して、圧電膜30を製造する。基板温度の面内ばらつきが0〜±25℃の条件で、上記成膜を実施することが好ましい。400℃以上600℃未満の成膜温度で、上記成膜を実施することが好ましい。成膜温度より10℃以上高い温度で、上記アニールを実施することが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、インクジェット式記録ヘッド等に用いられる圧電膜とその製造方法、該圧電膜を用いた圧電素子、並びに該圧電素子を備えたインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置に関するものである。
電界印加強度の増減に伴って伸縮する圧電性を有する圧電膜と、圧電膜に対して所定方向に電界を印加する電極とを備えた圧電素子が、インクジェット式記録ヘッドに搭載されるアクチュエータ等として使用されている。圧電材料としては、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)等のペロブスカイト型複合酸化物が知られている。
圧電膜の自発分極軸のベクトル成分と電界印加方向とが一致するときに、電界印加強度の増減に伴う伸縮が効果的に起こり、大きな圧電定数が得られる。圧電膜の自発分極軸と電界印加方向とは完全に一致することが最も好ましい。また、インク吐出量のばらつき等を抑制するには、圧電膜の圧電性能の面内ばらつきが小さいことが好ましい。これらの点を考慮すれば、結晶配向性に優れた圧電膜が好ましい。
特許文献1には、表面にTiが島状に析出したTi含有貴金属電極上に圧電膜を成膜することで、結晶配向性に優れた圧電膜を成膜できることが記載されている。特許文献2には、基板としてMgO基板を用いることで、結晶配向性に優れた圧電膜を成膜できることが記載されている。
特許文献3には、アモルファス強誘電体膜を成膜し、その後、急速加熱法によって該膜を結晶化させる強誘電体膜の製造方法が開示されている。
特開2004-186646号公報 特開2004-262253号公報 特開2003-218325号公報
特許文献1及び2に記載の方法では、600℃以上の成膜温度が必要である(特許文献1の段落[0065]及び[0078]を参照)。かかる高い温度で成膜を行うと、基板温度の面内ばらつきが大きくなる傾向にあり、成膜される圧電膜の膜質及び膜性能の面内ばらつきが大きくなる傾向にある。基板が大きくなる程、基板温度の面内ばらつきが大きくなり、圧電膜の膜質及び膜性能の面内ばらつきが大きくなる傾向にある。
特許文献3に記載の方法では、成膜を比較的低温で行うことができるものの、はじめにアモルファス膜を成膜してその後結晶化させるため、結晶配向性の良い膜が得られにくい。基板が大きくなる程、全体の結晶化の制御が難しく、圧電膜の膜性能のばらつきが大きくなる傾向にある。また、特許文献3に記載の方法では、結晶化によって膜内部に応力が発生して圧電膜が基板から剥離する恐れもある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、比較的低温で成膜を行うことができ、しかも結晶配向性に優れると共に膜の均質性にも優れ、圧電性能に優れた圧電膜を安定的に製造することが可能な圧電膜の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、上記製造方法を用いることで、結晶配向性に優れると共に膜の均質性にも優れ、圧電性能に優れた圧電膜を提供することを目的とするものである。
本発明はまた、上記圧電膜を用いた圧電素子、該圧電素子を備えたインクジェット式記録ヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することを目的とするものである。
本発明の圧電膜の製造方法は、
基板上に、結晶配向性を有する圧電膜を成膜する成膜工程と、
前記圧電膜に対して、前記成膜工程の成膜温度を超える温度でアニールを行うアニール工程とを有することを特徴とするものである。
本明細書において、「成膜温度」は、成膜時の基板の中心温度を意味するものとする。同様に、「アニール温度」は、アニール時の基板の中心温度を意味するものとする。
本明細書において、圧電膜が「結晶配向性を有する」とは、Lotgerling法により測定される配向度Fが、80%以上であることと定義する。
配向度Fは、下記式で表される。
F(%)=(P−P0)/(1−P0)×100・・・(i)
式(i)中、Pは、配向面からの反射強度の合計と全反射強度の合計の比である。(001)配向の場合、Pは、(00l)面からの反射強度I(00l)の合計ΣI(00l)と、各結晶面(hkl)からの反射強度I(hkl)の合計ΣI(hkl)との比({ΣI(00l)/ΣI(hkl)})である。例えば、ペロブスカイト結晶において(001)配向の場合、P=I(001)/[I(001)+I(100)+I(101)+I(110)+I(111)]である。
P0は、完全にランダムな配向をしている試料のPである。
完全にランダムな配向をしている場合(P=P0)にはF=0%であり、完全に配向をしている場合(P=1)にはF=100%である。
前記成膜工程においては、基板温度の面内ばらつきが0〜±25℃の条件で、前記成膜を実施することが好ましい。
本明細書において、「基板温度の面内ばらつきT(R)」は、基板の中心部と周縁部とを含む複数点について温度測定を実施して、最大温度T(max)と最小温度T(min)とを求め、下記式から算出するものとする。
T(R)=±{(T(max)−T(min))/2}
一般的には、基板の中心が最大温度T(max)又は最小温度T(min)となることが多い。また、基板の中心が最大温度T(max)を示す場合、基板の周縁部に位置する測定点が最小温度T(min)を示し、基板の中心が最小温度T(min)を示す場合、基板の周縁部に位置する測定点が最大温度T(max)を示すことが多い。
前記成膜工程においては、400℃以上600℃未満の成膜温度で、前記成膜を実施することが好ましい。
前記アニール工程においては、前記成膜工程の成膜温度より10℃以上高い温度で、前記アニールを実施することが好ましい。
前記圧電膜は好ましくは、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、及びニオブ酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むペロブスカイト型複合酸化物(不可避不純物を含んでもよい)により構成される。
前記成膜工程においては、正方晶系、斜方晶系、及び菱面体晶系のうちいずれかの結晶構造を有するペロブスカイト型複合酸化物(不可避不純物を含んでいてもよい)からなり、(100)面、(001)面、及び(111)面のうちいずれかの面に優先配向し、配向度が95%以上である前記圧電膜を成膜することが好ましい。
本発明の圧電膜の製造方法は、前記基板の最大径が150mm(約6インチ)以上である場合に、有効である。
本発明の圧電膜は、上記の本発明の圧電膜の製造方法により製造されたものであることを特徴とするものである。
本発明の圧電素子は、上記の本発明の圧電膜と、該圧電膜に電界を印加する電極とを備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、前記圧電膜の圧電定数d31の面内ばらつきが±10%以下である圧電素子を提供することができる。
本発明によれば、前記圧電膜の中心の圧電定数d31が150pm/V以上である圧電素子を提供することができる。
本明細書において、「圧電定数d31及びその平均値と面内ばらつき」は、以下の手順で求めるものとする。すなわち、レーザードップラー振動計を用い、30kHz、電界強度60kV/cmの条件で矩形波を印加しながら(この条件は実際の圧電素子の駆動条件例である)、変位量を測定する。この変位量の測定を、基板面のx方向とy方向について10mm間隔で行う。同時に駆動周波数を変化させて、変位が最大になる点を求め、この点を共振点とする。これらの結果から、解析ソフトANSYSにて解析を行い、各測定点の圧電定数d31及びその平均値と面内のばらつきを求める。なお、本発明者が、測定間隔を1mmとしても、圧電定数d31の平均値はほとんど変わらなかった。
本発明のインクジェット式記録ヘッドは、上記の本発明の圧電素子を備えたことを特徴とするものである。
本発明によれば、基板に圧電膜と該圧電膜に電界を印加する電極とが形成されてなる圧電素子と、
インクが貯留されるインク室及び該インク室から外部に前記インクが吐出されるインク吐出口を有するインク貯留吐出部材とを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、
前記インクジェット式記録ヘッドのヘッド長が50mm以上であり、
前記圧電膜の圧電定数d31の面内ばらつきが±10%以下であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッドを提供することができる。
本明細書において、「インクジェット式記録ヘッドのヘッド長」は、インクジェット式記録ヘッドの上記基板の面方向の長さ(インクジェット式記録ヘッドが平面視略長方形状の場合には、同面方向の長手方向の長さ)により定義するものとする。
本発明のインクジェット式記録装置は、上記の本発明のインクジェット式記録ヘッドを備えたことを特徴とするものである。
本発明の圧電膜の製造方法は、基板上に、結晶配向性を有する圧電膜を成膜する成膜工程と、前記圧電膜に対して、前記成膜工程の成膜温度を超える温度でアニールを行うアニール工程とを有することを特徴とするものである。
かかる方法によれば、比較的低温で成膜を行うことができ、しかも結晶配向性に優れると共に膜の均質性にも優れ、圧電性能に優れた圧電膜を安定的に製造することができる。
「圧電素子及びインクジェット式記録ヘッド」
図1を参照して、本発明に係る実施形態の圧電素子及びこれを備えたインクジェット式記録ヘッドの構造について説明する。図1はインクジェット式記録ヘッドの要部断面図(圧電素子の厚み方向の断面図)である。視認しやすくするため、構成要素の縮尺は実際のものとは適宜異ならせてある。
本実施形態の圧電素子1は、基板10上に、下部電極20と圧電膜30と上部電極40とが順次積層された素子である。圧電膜30は圧電性を有する無機化合物からなり、下部電極20と上部電極40とにより厚み方向に電界が印加されるようになっている。
下部電極20は基板10の略全面に形成されており、この上に図示手前側から奥側に延びるライン状の凸部31がストライプ状に配列したパターンの圧電膜30が形成され、各凸部31の上に上部電極40が形成されている。
圧電膜30のパターンは図示するものに限定されず、適宜設計される。また、圧電膜30は連続膜でも構わない。但し、圧電膜30は、連続膜ではなく、互いに分離した複数の凸部31からなるパターンで形成することで、個々の凸部31の伸縮がスムーズに起こるので、より大きな変位量が得られ、好ましい。
下部電極20と上部電極40の厚みは特に制限なく、例えば200nm程度である。圧電膜30の膜厚は特に制限なく、通常1μm以上であり、例えば1〜5μmである。
基板10としては特に制限なく、シリコン、ガラス、ステンレス(SUS)、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、アルミナ、サファイヤ、シリコンカーバイド等の基板が挙げられる。基板10としては、シリコン基板の表面にSiO酸化膜が形成されたSOI基板等の積層基板を用いてもよい。
下部電極20の主成分としては特に制限なく、Pt,Ir,IrO,RuO,LaNiO,及びSrRuO等の金属又は金属酸化物、及びこれらの組合せが挙げられる。
上部電極40の主成分としては特に制限なく、下部電極20で例示した材料、Al,Ta,Cr,及びCu等の一般的に半導体プロセスで用いられている電極材料、及びこれらの組合せが挙げられる。
圧電膜30の構成材料は特に制限なく、ペロブスカイト型複合酸化物(不可避不純物を含んでもよい)からなる圧電膜30が好ましい。
ペロブスカイト型複合酸化物としては、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、ジルコニウム酸鉛、チタン酸鉛ランタン、ジルコン酸チタン酸鉛ランタン、マグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛、ニッケルニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛等の鉛含有化合物や、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウム、チタン酸ビスマス等の非鉛含有化合物が挙げられる。圧電膜30は、1種又は複数種のペロブスカイト型複合酸化物により構成することができる。例示した圧電材料はいずれも、電界無印加時において、自発分極性を有する強誘電体である。
電気特性がより良好となることから、圧電膜30は、Mg2+,Ca2+,Sr2+,Ba2+,Bi3+,Ln3+,Nb5+,Ta5+,及びW6+等の金属イオンを、1種又は2種以上含むことが好ましい。
本実施形態の圧電素子1においては、結晶配向性を有する圧電膜30が形成されている。
PZT等では、立方晶系と正方晶系と菱面体晶系との3種の結晶系があり、チタン酸バリウム等では、立方晶系と正方晶系と斜方晶系と菱面体晶系との4種の結晶系がある。立方晶系は常誘電体であり圧電性を示さないので、圧電膜30は、正方晶系、斜方晶系、及び菱面体晶系のうちいずれかの結晶構造を有するペロブスカイト型複合酸化物により構成される。
強誘電性結晶構造における自発分極軸は以下の通りである。
正方晶系:<001>、斜方晶系:<110>、菱面体晶系:<111>
圧電膜30の自発分極軸のベクトル成分と電界印加方向(本実施形態では基板面に対して垂直方向)とを合わせることで、電界印加強度の増減に伴う伸縮が効果的に起こり、大きな圧電定数が得られる。圧電膜30の自発分極軸と電界印加方向とは完全に一致することが最も好ましい。
具体的には、圧電膜30は、正方晶系、斜方晶系、及び菱面体晶系のうちいずれかの結晶構造を有するペロブスカイト型複合酸化物からなり、(100)面、(001)面、及び(111)面のうちいずれかの面に優先配向した膜であることが好ましい。
自発分極軸と電界印加方向との一致を考慮すれば、圧電膜30は、正方晶系の結晶構造を有する場合には(100)面に優先配向し、斜方晶系の結晶構造を有する場合には(110)面に優先配向し、菱面体晶系の結晶構造を有する場合には(111)面に優先配向していることが最も好ましい。
圧電膜30の配向度は95%以上であることが好ましく、98%以上であることがより好ましく、99%以上であることが特に好ましい。
本実施形態の圧電素子1は以上のような素子構成を有し、後記製造方法により製造されたものである。
インクジェット式記録ヘッド2は、概略、上記構成の圧電素子1の基板10の下面に、振動板50を介して、インクが貯留されるインク室61及びインク室61から外部にインクが吐出されるインク吐出口62を有するインクノズル(インク貯留吐出部材)60が取り付けられたものである。インク室61は、圧電膜30の凸部31の数及びパターンに対応して、複数設けられている。
インクジェット式記録ヘッド2では、圧電素子1の凸部31に印加する電界強度を凸部31ごとに増減させてこれを伸縮させ、これによってインク室61からのインクの吐出や吐出量の制御が行われる。
「製造方法」
図2を参照して、圧電素子1及びインクジェット式記録ヘッド2の製造方法について説明する。図2は工程図であり、図1に対応した断面図である。
はじめに、図2(a)に示す如く、シリコン、ガラス、ステンレス(SUS)等の基板、あるいはシリコン基板の表面にSiO酸化膜が形成されたSOI基板等の基板10を用意し、該基板上の略全面に下部電極20を成膜する。
次に、図2(b)に示す如く、下部電極20上の略全面に結晶配向性を有する圧電膜30Aをベタ状に成膜し(成膜工程)、図2(c)に示す如く、この圧電膜30Aに対して成膜温度を超える温度でアニールを行って(アニール工程)、圧電膜30を製造する。その後、図2(d)に示す如く、ドライエッチング等の公知方法により圧電膜30をパターニングして、圧電膜30を複数の凸部31が配列したパターンとする。
圧電膜30Aは、スパッタ法、MOCVD法、パルスレーザデポジッション法等の気相法;あるいはゾルゲル法、有機金属分解法等の液相法などの公知の薄膜形成方法により、成膜できる。正方晶系、斜方晶系、及び菱面体晶系のうちいずれかの結晶構造を有するペロブスカイト型複合酸化物(不可避不純物を含んでいてもよい)からなり、(100)面、(001)面、及び(111)面のうちいずれかの面に優先配向し、配向度が95%以上、好ましくは98%以上である圧電膜30を成膜し、該膜に対してアニールを実施することが好ましい。
本実施形態では、結晶配向性を有する圧電膜30Aが成膜されるように、基板10の種類、下部電極20の成膜条件、及び圧電膜30Aの成膜条件を設計する。
例えば、Pt等の主電極材料とTiとを同時にスパッタして、電極表面にTiが島状に析出した構造のTi含有下部電極20を成膜することで、その上に(100)面に優先配向した圧電膜30Aを成膜することができる。
また、基板10として(100)MgO基板等を用い、(100)面に配向したPt等の下部電極20を形成することで、その上に(100)面に優先配向した圧電膜30Aを成膜することができる。
「発明が解決しようとする課題」の項において述べたように、「背景技術」の項に挙げた特許文献1及び2に記載の方法では、600℃以上の成膜温度が必要であるため、基板温度の面内ばらつきが大きくなる傾向にあり、圧電膜の膜質及び膜性能の面内ばらつきが大きくなる傾向にあることを述べた。
本実施形態では、結晶配向性を有する圧電膜30Aを成膜した後、圧電膜30Aに対してアニールを実施するので、アニールによって膜の結晶配向性と均質性を高めることができる。したがって、圧電膜30の成膜を比較的低温で実施しても、高温で成膜する場合と同等以上の特性を得ることができる。
また、「背景技術」の項に挙げた特許文献3に記載の方法では、はじめに成膜する膜の結晶性がないので、その後にアニールを実施しても結晶配向性の良い膜は得られにくい。特許文献3に記載の方法では、結晶化によって膜内部に応力が発生して、圧電膜が基板から剥離する恐れもある。
本実施形態では、ある程度結晶配向性を有する圧電膜30Aを成膜し、その後アニールを実施する構成としているので、比較的低温で成膜を行うことができ、しかも結晶配向性に優れると共に膜の均質性にも優れ、圧電性能に優れた圧電膜30を安定的に製造することが可能となる。また、アニール時に圧電膜30が基板10から剥離する恐れもない。
本実施形態では、具体的には、400℃以上600℃未満の成膜温度で圧電膜30Aの成膜を実施することができる。
圧電膜30がPZT系である場合、結晶構造及び結晶配向性が良好な圧電膜30Aを成膜でき、基板温度の面内ばらつきの抑制効果が効果的に得られることから、圧電膜30Aの成膜温度は450〜570℃が好ましく、500〜550℃が特に好ましい(後記実施例1〜6の図7を参照)。
圧電膜30の膜質及び膜性能の面内ばらつきを抑制するには、基板温度の面内ばらつきが0〜±25℃の条件で、圧電膜30Aの成膜を実施することが好ましい。
必要に応じて、基板10を加熱するヒータ等を制御して、圧電膜30Aを成膜する際の基板温度の面内ばらつきを上記範囲に制御することができる。本実施形態では、比較的低温で成膜を行うことができるので、基板温度の面内ばらつきを制御しやすい。
アニールによる膜の結晶配向性及び均質性の向上効果が効果的に発現することから、圧電膜30Aのアニール温度は、成膜温度より10℃以上高く設定することが好ましく、成膜温度より30℃以上、特に50℃以上高く設定することがより好ましい。
圧電膜30がPZT系である場合、圧電膜30Aのアニール温度は580〜650℃が好ましい。圧電膜30Aのアニール温度が650℃を超えると、Pb成分が抜ける恐れがある。但し、650℃超の温度でも短時間のアニールであれば、Pb抜けはそれ程大きな問題にはならない。
アニール時間は、良好なアニール効果が得られ、Pb抜け等の問題がない範囲内で設定すればよく、特に制限されない。アニール温度580〜650℃の条件であれば、アニール時間は1分間〜60分間程度が好ましい。
本実施形態は特に、600℃以上の温度で成膜を行うと基板温度の面内ばらつきが大きくなる最大径150mm(6インチ)以上の大きさの基板10を用いる場合に、有効である。本発明者は、最大径150mm(6インチ)〜最大径300mm(12インチ)の基板10を用いる場合にも、圧電性能の面内ばらつきの小さい高性能な圧電素子1が得られることを確認している。
以上のように所定のパターンの圧電膜30を形成した後、図2(e)に示す如く、圧電膜30の各凸部31上に上部電極40を形成し、必要に応じて、基板10の下面をエッチングして基板10の厚みを薄くして、圧電素子1が完成する。
上記圧電素子1に振動板50及びインクノズル60を取り付けることにより(図示略)、インクジェット式記録ヘッド2が製造される。
基板10とは独立した部材の振動板50及びインクノズル60を取り付ける代わりに、基板10の一部を振動板50及びインクノズル60に加工してもよい。例えば、基板10がSOI基板等の積層基板からなる場合には、基板10を下面側からエッチングしてインク室61を形成し、基板自体の加工により振動板50とインクノズル60とを形成することができる。
本実施形態では、基板10上に結晶配向性を有する圧電膜30Aを成膜し、さらにこの圧電膜30Aに対して成膜温度を超える温度でアニールを実施して、圧電膜30を製造している。かかる構成では、比較的低温で圧電膜30の成膜を行うことができ、しかも結晶配向性に優れると共に膜の均質性にも優れ、圧電性能に優れた圧電膜30を安定的に製造することができる。
本実施形態によれば、結晶配向性に優れると共に膜の均質性にも優れ、圧電性能に優れた圧電膜30、及び該圧電膜を備えた圧電素子1を提供することができる。
本実施形態によれば、圧電膜30の圧電定数d31の面内ばらつきが±10%以下である圧電素子1を提供することができる。また、圧電膜30の中心の圧電定数d31が150pm/V以上である圧電素子1を提供することができる。
実際の生産では、1つの基板10に対して複数のインクジェット式記録ヘッド2を同時に作り込み、最後に基板10を切り分けて、個々のインクジェット式記録ヘッド2に分けることがなされる。
基板10の大きさと、1つの基板10から切り出されるインクジェット式記録ヘッド2の標準的なヘッド長との間には、例えば、後記実施例7の表3に挙げるような関係がある。本実施形態によれば、インクジェット式記録ヘッド2のヘッド長が50mm以上であり、圧電膜30の圧電定数d31の面内ばらつきが±10%以下であるインクジェット式記録ヘッド2を提供することができる。
「インクジェット式記録装置」
図3及び図4を参照して、上記実施形態のインクジェット式記録ヘッド2を備えたインクジェット式記録装置の構成例について説明する。図3は装置全体図であり、図4は部分上面図である。
図示するインクジェット式記録装置100は、インクの色ごとに設けられた複数のインクジェット式記録ヘッド(以下、単に「ヘッド」という)2K,2C,2M,2Yを有する印字部102と、各ヘッド2K,2C,2M,2Yに供給するインクを貯蔵しておくインク貯蔵/装填部114と、記録紙116を供給する給紙部118と、記録紙116のカールを除去するデカール処理部120と、印字部102のノズル面(インク吐出面)に対向して配置され、記録紙116の平面性を保持しながら記録紙116を搬送する吸着ベルト搬送部122と、印字部102による印字結果を読み取る印字検出部124と、印画済みの記録紙(プリント物)を外部に排紙する排紙部126とから概略構成されている。
印字部102をなすヘッド2K,2C,2M,2Yが、各々上記実施形態のインクジェット式記録ヘッド2である。
デカール処理部120では、巻き癖方向と逆方向に加熱ドラム130により記録紙116に熱が与えられて、デカール処理が実施される。
ロール紙を使用する装置では、図3のように、デカール処理部120の後段に裁断用のカッター128が設けられ、このカッターによってロール紙は所望のサイズにカットされる。カッター128は、記録紙116の搬送路幅以上の長さを有する固定刃128Aと、該固定刃128Aに沿って移動する丸刃128Bとから構成されており、印字裏面側に固定刃128Aが設けられ、搬送路を挟んで印字面側に丸刃128Bが配置される。カット紙を使用する装置では、カッター128は不要である。
デカール処理され、カットされた記録紙116は、吸着ベルト搬送部122へと送られる。吸着ベルト搬送部122は、ローラ131、132間に無端状のベルト133が巻き掛けられた構造を有し、少なくとも印字部102のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する部分が水平面(フラット面)となるよう構成されている。
ベルト133は、記録紙116の幅よりも広い幅寸法を有しており、ベルト面には多数の吸引孔(図示略)が形成されている。ローラ131、132間に掛け渡されたベルト133の内側において印字部102のノズル面及び印字検出部124のセンサ面に対向する位置には吸着チャンバ134が設けられており、この吸着チャンバ134をファン135で吸引して負圧にすることによってベルト133上の記録紙116が吸着保持される。
ベルト133が巻かれているローラ131、132の少なくとも一方にモータ(図示略)の動力が伝達されることにより、ベルト133は図3上の時計回り方向に駆動され、ベルト133上に保持された記録紙116は図3の左から右へと搬送される。
縁無しプリント等を印字するとベルト133上にもインクが付着するので、ベルト133の外側の所定位置(印字領域以外の適当な位置)にベルト清掃部136が設けられている。
吸着ベルト搬送部122により形成される用紙搬送路上において印字部102の上流側に、加熱ファン140が設けられている。加熱ファン140は、印字前の記録紙116に加熱空気を吹き付け、記録紙116を加熱する。印字直前に記録紙116を加熱しておくことにより、インクが着弾後に乾きやすくなる。
印字部102は、最大紙幅に対応する長さを有するライン型ヘッドを紙送り方向と直交方向(主走査方向)に配置した、いわゆるフルライン型のヘッドとなっている(図4を参照)。各印字ヘッド2K,2C,2M,2Yは、インクジェット式記録装置100が対象とする最大サイズの記録紙116の少なくとも一辺を超える長さにわたってインク吐出口(ノズル)が複数配列されたライン型ヘッドで構成されている。
記録紙116の送り方向に沿って上流側から、黒(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の順に各色インクに対応したヘッド2K,2C,2M,2Yが配置されている。記録紙116を搬送しつつ各ヘッド2K,2C,2M,2Yからそれぞれ色インクを吐出することにより、記録紙116上にカラー画像が記録される。
印字検出部124は、印字部102の打滴結果を撮像するラインセンサ等からなり、ラインセンサによって読み取った打滴画像からノズルの目詰まり等の吐出不良を検出する。
印字検出部124の後段には、印字された画像面を乾燥させる加熱ファン等からなる後乾燥部142が設けられている。印字後のインクが乾燥するまでは印字面と接触することは避けた方が好ましいので、熱風を吹き付ける方式が好ましい。
後乾燥部142の後段には、画像表面の光沢度を制御するために、加熱・加圧部144が設けられている。加熱・加圧部144では、画像面を加熱しながら、所定の表面凹凸形状を有する加圧ローラ145で画像面を加圧し、画像面に凹凸形状を転写する。
こうして得られたプリント物は、排紙部126から排出される。本来プリントすべき本画像(目的の画像を印刷したもの)とテスト印字とは分けて排出することが好ましい。このインクジェット式記録装置100では、本画像のプリント物と、テスト印字のプリント物とを選別してそれぞれの排出部126A、126Bへと送るために排紙経路を切り替える選別手段(図示略)が設けられている。
大きめの用紙に本画像とテスト印字とを同時に並列にプリントする場合には、カッター148を設けて、テスト印字の部分を切り離す構成とすればよい。
インクジェット記記録装置100は、以上のように構成されている。
(設計変更)
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜設計変更可能である。
本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
(基板温度のばらつきの評価)
本発明者ははじめに、後記実施例1のスパッタ装置を用いたときのヒータ設定温度と基板の中心温度との関係及び基板温度のばらつきを評価した。実施例1の基板と同じ材質で、実施例1の基板よりも径が大きいSOI基板(約250mmφ)について、評価を行った。
上記基板をスパッタ装置のヒータ上に載置し、定常状態になった後、図5(a)に示す測定点1〜8の温度を各々測定し、最大温度T(max)、最小温度T(min)、平均値、及び基板温度の面内ばらつきを求めた。ヒータ設定温度を変えて同様の測定を実施した。図5(a)は基板の上面図である。
結果を表1〜2及び図5(b)に示す。図5(b)は、最大温度T(max)と最小温度T(min)をプロットした図である。
図示するように、250mmφのSOI基板では、ヒータを610〜690℃に設定することで、基板の中心温度を490〜560℃とすることができ、その際の基板温度のばらつきは±15〜17℃であることが明らかとなった。基板温度のばらつきは±15〜17℃に抑えられているが、基板温度が高くなる程、基板温度の面内ばらつきが大きくなる傾向にあった。
Figure 2007258389
Figure 2007258389
(実施例1〜6)
図2に示した工程に従って、本発明の圧電膜及び圧電素子を製造した。
はじめに、基板として、(100)Si基板上に約300nm厚のSiO膜と15μm厚のSi活性層とが順次積層されたSOI基板(6インチφ=約150mmφ)を用意した。この基板上の略全面にTiとPtとを同時にスパッタして、Tiを2モル%含むPt下部電極を200nm厚で成膜した。
次に、同じスパッタ装置を用い、下部電極を形成した基板上の略全面に、結晶配向性を有するPZT膜を5μm厚で成膜した。具体的には、スパッタ装置内のヒータ上に下部電極を形成した基板を載置し、真空度0.5Pa、Ar/O混合雰囲気(O体積分率2.5%)の条件下で、Pb1.3Zr0.52Ti0.48のターゲットを用いて、PZT膜を成膜した。基板を載置する前のヒータ温度の面内ばらつきが±10℃であり、成膜開始時の基板の中心温度は520℃、基板周縁温度は505℃であった(基板の温度ばらつき=±7.5℃)。
得られた膜のXRD測定を実施したところ、PZT膜の中心部と周縁部はいずれも(100)面に優先配向しており、中心部の配向度は99.9%、周縁部の配向度は98.0%であった。
上記PZT膜に対して、アニール炉にて600℃1時間のアニールを実施した。アニール後のPZT膜の配向度をアニール前と同様に測定したところ、中心部と周縁部はいずれも配向度が99.0%以上であった。アニールによって、PZT膜の周縁部の結晶配向性が高まり、膜全体の均質性が向上した。
アニール後のPZT膜の中心のXRD測定結果を図6に示す。図には、(100)面配向、及び(100)面と同じ面配向の(200)面配向のピークが強く現れている。
アニール後のPZT膜上にPt上部電極をスパッタ法にて100nm厚で形成した。最後に、SOI基板の下面側をRIE(リアクティブ・イオン・エッチング)して、500μm×500μmのインク室を形成し、SOI基板の活性層(15μm厚)を振動板とし、SOI基板自体の加工により振動板とインク室及びインク吐出口を有するインクノズルとを形成し、本発明の圧電素子を得た。
得られた圧電素子の圧電定数d31を測定したところ、中心の圧電定数d31は180pm/Vであり、面内ばらつきは±10pm/Vであった。
「背景技術」に挙げた特許文献1では、最大で圧電定数d31=138pm/Vの圧電素子が得られたことが記載されている(段落[0106]を参照)。本実施例では、特許文献1に記載のものより圧電定数が高く、高性能な膜が得られた。
(比較例1)
PZT膜のアニールを実施しなかったことを除けば、実施例1と同様にして、比較用の圧電素子を得た。
圧電素子の圧電定数d31を測定したところ、中心の圧電定数d31は160pm/Vであり、面内ばらつきは±18pm/Vであった。
(実施例2〜6、比較例2〜6)
PZT膜の成膜温度(成膜時の基板中心温度)を変える以外は実施例1と同様にして、本発明の圧電素子を得た。
また、PZT膜のアニールを実施しなかったことを除けば、実施例2〜6と同様にして、比較用の圧電素子を得た。
PZT膜の成膜温度は、450℃(実施例2と比較例2)、470℃(実施例3と比較例3)、500℃(実施例4と比較例4)、550℃(実施例5と比較例5)、570℃(実施例6と比較例6)とした。
(実施例1〜6と比較例1〜6の評価)
図7に、実施例1〜6と比較例1〜6の評価結果を示す。図7は、PZT膜の成膜温度(成膜時の基板中心温度)と圧電膜の中心の圧電定数d31との関係を示す図である。
同じ成膜温度でPZT膜を成膜した実施例と比較例とを比較すると、PZT膜の成膜後にアニールを実施した実施例1〜6はいずれも、アニールを実施しなかった比較例1〜6に対して圧電定数d31に大幅な向上が見られた。
実施例1〜6では、成膜温度を500〜550℃としたときに、アニール後の圧電定数d31が最も高くなり、この温度範囲から外れるにつれてアニール後の圧電定数d31が低下する傾向にあった。また、成膜温度500〜550℃の範囲内ではアニール後の圧電定数d31はほとんど変わりがなかった。このことから、基板の中心温度が525℃程度、基板温度のばらつきが0〜±25℃の条件でPZT膜を成膜し、その後600℃のアニールを行うことで、圧電定数d31が高く、しかも圧電定数のばらつきがないPZT膜を製造できることが明らかとなった。
(比較例2)
ヒータ温度の面内ばらつきが±30℃の条件でPZT膜の成膜を実施したことを除けば、実施例1と同様にして、比較用の圧電素子を得た。
アニール前のPZT膜は、中心部と周縁部のいずれもペロブスカイトの結晶配向性を示さず、パイロクロア相のみであった。アニールを行っても、ペロブスカイトの結晶配向性を示さず、配向度はほとんどゼロであった。
(実施例7)
実施例1で得られた圧電素子を複数個に切断して、本発明のインクジェット式記録ヘッドを得た。ヘッド長は、6インチの基板から製造されるインクジェット式記録ヘッドの標準サイズである50mmとした。
また、基板サイズを変える以外は実施例1と同様にして本発明の圧電素子を得、上記と同様に本発明のインクジェット式記録ヘッドを得た。ヘッド長は、それぞれのサイズの基板から製造されるインクジェット式記録ヘッドの標準サイズとした。
用いた基板のサイズ、切り出したインクジェット式記録ヘッドのヘッド長、得られたインクジェット式記録ヘッドの圧電定数d31の平均値、及び圧電定数d31のばらつきを、表3に示す。
本発明では、6インチφ〜12インチφの基板を用いても、圧電定数が高く、しかも圧電定数の面内ばらつきの小さい高性能な圧電素子1が得られることが示された。
Figure 2007258389
本発明の圧電膜及び圧電素子は、インクジェット式記録ヘッド、強誘電体メモリ(FRAM)、圧力センサ等に好ましく利用できる。
本発明に係る実施形態の圧電素子及びインクジェット式記録ヘッドの構造を示す断面図 (a)〜(e)は、本発明に係る実施形態の圧電素子の製造方法を示す工程図 図1のインクジェット式記録ヘッドを備えたインクジェット式記録装置の構成例を示す図 図3のインクジェット式記録装置の部分上面図 (a)及び(b)は基板温度の測定箇所と基板温度の測定結果を示す図 実施例1のXRD測定結果を示す図 実施例1〜6と比較例1〜6の評価結果を示す図
符号の説明
1 圧電素子
2、2K,2C,2M,2Y インクジェット式記録ヘッド
10 基板
20、40 電極
30 圧電膜
30A アニール前の圧電膜
60 インクノズル(インク貯留吐出部材)
61 インク室
62 インク吐出口
100 インクジェット式記録装置

Claims (14)

  1. 基板上に、結晶配向性を有する圧電膜を成膜する成膜工程と、
    前記圧電膜に対して、前記成膜工程の成膜温度を超える温度でアニールを行うアニール工程とを有することを特徴とする圧電膜の製造方法。
  2. 前記成膜工程においては、基板温度の面内ばらつきが0〜±25℃の条件で、前記成膜を実施することを特徴とする請求項1に記載の圧電膜の製造方法。
  3. 前記成膜工程においては、400℃以上600℃未満の成膜温度で、前記成膜を実施することを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電膜の製造方法。
  4. 前記アニール工程においては、前記成膜工程の成膜温度より10℃以上高い温度で、前記アニールを実施することを特徴とする請求項3に記載の圧電膜の製造方法。
  5. 前記圧電膜は、チタン酸鉛、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、及びニオブ酸カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含むペロブスカイト型複合酸化物(不可避不純物を含んでもよい)からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧電膜の製造方法。
  6. 前記成膜工程においては、正方晶系、斜方晶系、及び菱面体晶系のうちいずれかの結晶構造を有するペロブスカイト型複合酸化物(不可避不純物を含んでいてもよい)からなり、(100)面、(001)面、及び(111)面のうちいずれかの面に優先配向し、配向度が95%以上である前記圧電膜を成膜することを特徴とする請求項5に記載の圧電膜の製造方法。
  7. 前記基板の最大径が150mm以上であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の圧電膜の製造方法。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の圧電膜の製造方法により製造されたものであることを特徴とする圧電膜。
  9. 請求項8に記載の圧電膜と、該圧電膜に電界を印加する電極とを備えたことを特徴とする圧電素子。
  10. 前記圧電膜の圧電定数d31の面内ばらつきが±10%以下であることを特徴とする請求項9に記載の圧電素子。
  11. 前記圧電膜の中心の圧電定数d31が150pm/V以上であることを特徴とする請求項9又は10に記載の圧電素子。
  12. 請求項9〜11のいずれかに記載の圧電素子を備えたことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  13. 基板に圧電膜と該圧電膜に電界を印加する電極とが形成されてなる圧電素子と、
    インクが貯留されるインク室及び該インク室から外部に前記インクが吐出されるインク吐出口を有するインク貯留吐出部材とを備えたインクジェット式記録ヘッドにおいて、
    前記インクジェット式記録ヘッドのヘッド長が50mm以上であり、
    前記圧電膜の圧電定数d31の面内ばらつきが±10%以下であることを特徴とするインクジェット式記録ヘッド。
  14. 請求項12又は13に記載のインクジェット式記録ヘッドを備えたことを特徴とするインクジェット式記録装置。
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