JP2007138183A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】強靱で耐衝撃性に優れたポリエステルフィルムを提供する。
【解決手段】密度が1.37〜1.41g/cm3であり、固体高分解能NMRによる構造解析におけるジオール炭素の緩和時間T1ρが50ミリ秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。さらに、上記二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、融点が250〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルからなる層が、フィルム全体の厚みに対して30%以下の厚みの範囲で積層された二軸配向ポリエステルフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、包装用あるいは工業用分野において好適に使用することができる強靱な二軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエステルフィルムは、優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、表面特性、光学特性、また、耐熱性、耐薬品性などの性質を利用して、磁気記録媒体用、工業材料用、包装用など種々の用途に幅広く用いられている。しかしながら、包装材料などで特に求められる耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性に劣るため、このような用途においてはナイロン二軸延伸フイルムが多く使用されている。一方、ナイロンフイルムにも吸湿率および湿度膨張係数が大きく、保存時や加工時の取り扱いに注意を要し、蒸着加工が困難である。また、耐熱性や印刷適性、腰の強さ、寸法安定性を補うため、ポリエステルフィルムと貼り合わせた形態で用いられる場合が多い。また、ポリエステルフィルム単体での耐衝撃性を与える方法として、PETにダイマー酸を共重合する方法(例えば特開平6−79776号公報)が提案されているが、耐熱性が低く、粘着しやすいため製膜工程や加工工程で巻き付きなどのトラブルが起こりやすいという問題があった。
特開平6−79776号公報
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、強靱で耐衝撃性に優れたポリエステルフィルムを提供せんとするものである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムはかかる課題を解決するために、主として次の構成を有する。すなわち、密度が1.37〜1.41g/cm3であり、固体高分解能NMRによる構造解析におけるジオール炭素の緩和時間T1ρが50ミリ秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムである。
本発明によれば、包装材料や、耐屈曲性や耐衝撃性が要求される建材用などの用途に好適に用いられる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することができる。
本発明は、前記課題、つまり強靱で耐衝撃性に優れたポリエステルフィルムについて、鋭意検討し、特定な密度で、かつ、ジオール炭素の緩和時間T1ρが特定な二軸配向ポリエステルフィルムとしてみたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリエステルとしては、ジオール成分としてエチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールなどから選ばれる直鎖骨格を有するジオールと、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などから選ばれるジカルボン酸からなるポリエステルが好ましいが、2種類以上のグリコール成分を有する共重合ポリエステルや、2種類以上のポリエステルを混合したものでもよいが、中でも全繰り返し単位の40%以上がエチレンテレフタレートであるポリエステルが、高い弾性率と耐屈曲性、耐衝撃性のバランスの良いフィルムを提供しやすいので好ましい。
かかるポリエステルフィルムの密度は、1.37〜1.41g/cm3 であることが必要である。かかる密度が1.37g/cm3より小さい場合、弾性率が小さくなったり、熱収縮率が大きくなってしまうため、ポリエステルフィルム本来のメリットである弾性率が高く、寸法安定性に優れたフィルムを得ることができず、他のポリエステルフィルムなどの、弾性率が高く寸、法安定性に優れたフィルムと貼り合わせて使用する必要があるなど、使用方法が制限されてしまう。また、かかる密度が1.41g/cm3より大きいと、脆くて、耐衝撃性の劣ったフィルムを提供することができなくなってしまう。
上記のようなポリエステルフィルムは、一般に耐屈曲性、耐衝撃性が非常に悪く、包装材料として用いる場合は、これらの特性の優れたナイロンフィルムと貼り合わせて使用されることが多い。
我々は種々の検討を行った結果、固体高分解能NMRによる構造解析におけるジオール炭素の緩和時間T1ρを50ミリ秒以上100ミリ秒以下とすることにより、弾性率、寸法安定性といった、ポリエステルフィルム本来の利点を損なうことなく、耐屈曲性、耐衝撃性に優れたフィルムを得ることが出来ることを見出した。
ここで、ジオール炭素の緩和時間T1ρとは、ポリエステル分子鎖中のジオール部分の運動性を示すものであり、一般に、結晶化して密度が1.37g/cm3以上であるような二軸配向ポリエステルフィルムでは、120ミリ秒以上となる。かかるジオール炭素の緩和時間T1ρを50ミリ秒以上100ミリ秒以下と特定な範囲に制御すると、非晶部の運動性を高めることができ、かくすることにより、繰り返し屈曲を行っても、ピンホールが発生しにくく、かつ、衝撃を受けた場合にも、劈開が起こりにくいフィルムを提供することができる。なお、かかるジオール炭素の緩和時間T1ρが100ミリ秒より大きいと、耐屈曲性、耐衝撃性が悪くなる。
また、ポリエステルフィルムの密度が1.37g/cm3以上のポリエステルフィルムの場合では、かかるジオール炭素の緩和時間T1ρを50ミリ秒より小さくすることは困難であり、たとえ出来たとしても、弾性率が小さく、腰の弱いフィルムとなってしまう。特に耐屈曲性、耐衝撃性の高いフィルムを得るためには、かかるジオール炭素の緩和時間T1ρを60〜85ミリ秒の範囲に制御することが好ましい。
このような密度と固体高分解能NMRによるジオール炭素の緩和時間T1ρが上述の範囲にあるようなポリエステルフィルムを得るための手段としては、融点が246〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルを好ましくは50〜95重量%、より好ましくは70〜90重量%配合し、融点が150〜240℃の熱可塑性樹脂を好ましくは5〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%を配合、混合してなるブレンドポリマーを用いることが好ましく採用される。
かかる融点が246〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレートのホモポリエステルや、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸、1,4シクロヘキサンジカルボン酸、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコールを好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%の範囲で共重合したコポリエステルが使用される。
また、これに混合する融点が150〜240℃の熱可塑性樹脂としては、結晶性の熱可塑性樹脂が好ましく用いられるが、中でも融点が150〜230℃のポリマーが好ましく用いられる。かかる熱可塑性樹脂の種類は特に問わないが、混合するエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルと相溶性が良い熱可塑性樹脂が好ましく採用される。かかる熱可塑性樹脂の中でも、特にポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートやこれらにイソフタル酸を1〜20重量%共重合したコポリエステル、これらポリエステルとポリエーテルのブロック共重合体等が好ましく用いられる。
かかる低融点熱可塑性樹脂としては、要するに、該高融点熱可塑性樹脂との相溶性に優れたポリマーが選択して用いられる。具体的には、これらのブレンドポリマーからなるフィルムのヘイズが好ましくは0.1〜10%、より好ましくは0.5〜7%の範囲内にあれば、これらのポリマーの相溶性がよいことを意味するものであり、かかるヘイズを満足するものは、前記本発明の課題を好ましく達成する。
さらに、これらの樹脂に、ガラス転移温度が0℃以下、好ましくは−20℃以下の熱可塑性樹脂を0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%添加すると、耐屈曲性をさらに向上できるため好ましい。このようにガラス転移温度が0℃以下の熱可塑性樹脂を0.3〜5重量%添加する場合には、融点が246〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルの割合は47.5〜94.7重量%、融点が150〜240℃の熱可塑性樹脂の割合は4.75〜49.9重量%とするのが好ましい。
ガラス転移温度が0℃以下の熱可塑性樹脂の添加量が5重量%より多い場合、ガラス転移点の低い熱可塑性樹脂が相分離して大きなドメインを形成し、フィルムヘイズの大きなフィルムとなったり、逆に耐屈曲性に劣ったフィルムとなりやすいため好ましくない。このようなガラス転移温度が0℃以下の樹脂は特に問わないが、フィルムを構成する他の樹脂との相溶性の面からポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレートやポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートに長鎖の柔軟性成分、例えばポリオキシメチレングリコールなどを共重合したポリエステルが好ましく用いられる。
さらに、耐屈曲性に優れたポリエステルフィルムを得るためには、フィルムを溶融、急冷した後再昇温した際に150℃〜235℃の範囲に融点が観察されないことが好ましい。ここで、融点が観察されるかどうかについては、以下の方法で判断することができる。フィルムを300℃、5分間溶融した後急冷したサンプルを示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分で昇温した際に、150〜235℃の範囲にポリマーの融解に起因する2J/g以上の吸熱ピークが存在しない場合、この温度範囲に融点が観察されないと判断できる。この範囲に融点が観測される場合は、エチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルに添加した低融点樹脂の融点が独立して存在することを意味し、低融点樹脂の大きなドメインが存在し、耐熱性、熱収縮率や耐屈曲性の悪いフィルムとなりやすいため好ましくない。
また、密度と固体高分解能NMRによるジオール単層の緩和時間T1ρが、前記のごときポリエステルフィルムを得るためには、上記のようなポリエステルを用いるだけではなく、二軸延伸を行った後に、特定のエネルギーを与えることにより、ポリエステルの非晶部分の運動性を高める処理を行うことが好ましい。
かかるエネルギーを付与する方法としては、赤外線、紫外線などの特定波長の電磁波を吸収する添加剤をあらかじめ添加して、電磁波を照射する方法、電子線を照射する方法、特定条件で加熱する方法や、これらの組み合わせなどを採用することができるが、中でも特に上記のような融点のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルと、これと相溶性の良い特定融点の熱可塑性樹脂とを混合して用い、かつ、添加する熱可塑性樹脂の融点近傍での熱処理を行うことが有効である。
かかる熱処理度としては、添加する熱可塑性樹脂の融点より15℃低い温度〜融点までの温度範囲で、5秒以上行う条件で行うことが好ましいが、この熱処理温度は、エチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルの非晶部の運動性が高くなる温度域である180〜240℃である場合に、特に有効である。
また、かかる熱処理や電磁波照射、電子線照射などで、非晶部分の運動性を高める処理を行った後の冷却過程では、運動性が高められた非晶部が再結晶化しやすい120〜180℃の温度域で、10秒以上保持しないように注意することが好ましい。ただし、上記のようなポリエステルと熱可塑性樹脂の組み合わせで用いる場合は、120℃以上で、かつ、添加する熱可塑性樹脂の融点より20℃低い温度との間に、10秒以上保持しないことが好ましい。このような温度域に、10秒以上保持すると、非晶部の結晶化が進むため、ジオール炭素の緩和時間T1ρが100ミリ秒より大きなフィルムとなりやすい。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、取扱い性、成形性の点から、フィルム厚みが、5〜50μmであることが好ましい。さらに好ましくは10〜30μmである。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの面配向係数は、好ましくは0.50〜0.17、さらに好ましくは0.80〜0.16であるものがよい。ここで面配向係数とは、フィルム長手方向の屈折率とフィルム幅方向の屈折率の平均値とフィルム厚さ方向の差である。各方向の屈折率は、例えば偏光子付き接眼レンズを備えたアッベ式屈折率計などで測定することができる。かかる面配向係数が0.50より小さいと、弾性率の大きなフィルムを得ることが困難となり、また0.17より大きいと、ジオール炭素の緩和時間T1ρが100より大きくなりやすいため好ましくない。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、単層で用いてもよいが、高温の工程での粘着などの問題を防止するため、少なくとも片面に融点が250〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルからなる層をフィルム全体の厚みに対して30%以下の厚みの範囲で積層するのが好ましい。かかる積層ポリエステル層の厚さが、フィルム全体の厚みに対して30%より大きい場合は、耐屈曲性や耐衝撃性の劣るフィルムとなってしまう。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、取り扱い性、加工性を向上させるために、平均粒子径0.01〜10μmの公知の内部粒子、無機粒子および/または有機粒子を0.01〜3重量%含有することが好ましい。内部粒子の析出方法としては、公知の技術を用いることができるが、たとえば特開昭48−61556号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭53−41355号公報、特開昭54−90397号公報などに記載の技術を採用することができる。さらに、特公昭55−20496号公報、特開昭59−204617号公報などの粒子を併用することもできる。なお、10μmを越える平均粒子径を有する粒子を使用すると、フィルムに欠陥が生じることがあるので注意を要する。
かかる無機粒子としては、たとえば湿式および乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなど、有機粒子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物などを構成成分とする粒子を使用することができる。なかでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これらの内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用してもよい。
また、本発明の二軸配向ポリエステルフィルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などを含有してもよい。例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機、無機の粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤などを含有させることができる。
かかる二軸配向ポリエステルを構成するポリエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール中で測定)としては、0.4〜1.2dl/gが好ましく、0.5〜0.8dl/gであるのがより好ましい。
次に、かかる二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、たとえば、ポリエステルを、必要に応じて乾燥した後、公知の溶融押出機に供給、溶融しスリット状のダイからシート状に押出し、たとえばワイヤー状電極もしくはテープ状電極を使用して、静電印加する方法、キャスティングドラムと押出したポリマーシート間に、水膜を設けたキャスト法により、冷却固化し、未延伸フィルムを得る。
かかる未延伸フィルムを、加熱ロールを用いて、長手方向に延伸した後、クリップに把持して、幅方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸する逐次二軸延伸法、フィルムの長手方向、幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などにより延伸を行う。
かかる延伸方法において、採用される延伸倍率としては、それぞれの方向に好ましくは1.6〜4.2倍、さらに好ましくは2.4〜4.0倍である。また、延伸速度は1000〜200000%/分であることが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移点〜ガラス転移点より40℃高い温度の間の温度範囲が好ましい。また、延伸は各方向に対して複数回行ってもよい。
さらにかかる二軸延伸の後に、フィルムの熱処理を行うが、この熱処理は、オーブン中で、定長もしくは順次収縮させながら160〜230℃の熱処理温度で1〜30秒間熱処理を行う。ただし、非晶部の運動性を向上させる処理を加熱により行う場合は、上述の温度範囲で行うことが好ましい。熱処理を行った後、必要に応じて、紫外線照射、電子線照射などを行い、非晶部の運動性を向上させる。
本発明の二軸配向ポリエステルフィルムは、包装材料の好適であるが、耐屈曲性や耐衝撃性が要求される建材用などの用途にも用いることができる。
(特性の測定方法および効果の評価方法)
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)密度フィルムを一辺5mmの正方形に切り取り、臭化ナトリウム水溶液を用いた密度勾配管により密度(g/cm3)を測定した。
(2)ジオール炭素の緩和時間T1ρ高分解能固体NMRの測定装置は、chemagnetics社製CMXW−300を用いた。測定は13C核のT1ρ(回転座標における縦緩和)測定を実施した。 測定は、温度24.5℃、湿度50RH%、静磁場強度6.34T(テスラ)下で、1H、13Cの共鳴周波数は、それぞれ270.2MHz、67.9MHzである。ケミカルシフトの異方性の影響を消すために、MAS(マジック角度回転)法を採用した。回転数は、3.5〜3.7kHzで行った。パルス系列の条件は、1Hに対して90℃、パルス幅4μsec、ロッキング磁場強度62.5kHzとした、1Hの分極を13Cに移すCP(クロスポーラリゼーション)の接触時間は、1.5msecである。
また、保持時間τとしては、0.001,0.5,0.7,1,3,7,10,20,30,40,50msecを用いた。保持時間τ後の13Cの磁化ベクトルの自由誘導減衰(FID)を測定した(FID測定中1Hによる双極子相互作用の影響を除去するために高出力デカップリングを行った。なおS/N比を向上させるため512回の積算を行った)。また、パルス繰り返し時間としては、5sec〜15secの間で行った。ジオール炭素のピークは62ppmに観測される。
(3)融点、ガラス転移点、150℃〜235℃の範囲での融点有無セイコーインスツルメント社製のDSC(示差走査熱量計)RDC220を用いて測定した。試料5mgをDSC装置にセットし、−100から10℃/分で300℃まで昇温し、ガラス転移点と、結晶融解に基づく吸熱ピーク温度から融点を求めた。また、150℃〜235℃の範囲での融点有無については、300℃、5分間溶融した後液体窒素中で急冷したサンプルを示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分で昇温した際に、150〜235℃の範囲にポリマーの融解に起因する2J/g以上の吸熱ピークが存在する場合、この範囲に融点が存在すると判断し、2J/g以上の吸熱ピークが存在しない場合はこの範囲に融点が存在しないと判断した。
(4)ヘイズ一辺10cmのサンプルに切り出し、スガ試験機(株)製ヘーズメーターHGM−2DPを用いて測定した。
(5)面配向係数偏光子を備えたアタゴ(株)製アッベ屈折率計4Tを用いてフィルム各方向の屈折率を測定し、次式で面配向係数を求めた。光源はハロゲンランプ、浸液はヨウ化メチレン、上部プリズムには屈折率1.740のものを用いた。
面配向係数=(nx+ny)/2−nzただし、nx:フィルム長手方向の屈折率、ny:フィルム幅方向の屈折率、ny:フィルム幅方向の屈折率である。
(6)積層厚み積層フィルムから断面を切り出し、その断面を透過型電子顕微鏡で観察し、積層膜の厚みを測定した。
(7)弾性率サンプルは、フィルム長手方向に長さ200mm、幅10mmの短冊状に切り出して用いた。JIS K 7127に規定された方法にしたがって、東洋精機製作所株式会社製の引張試験機を用いて、25℃、65%RHにて測定した。
初期引張チャック間距離は、100mmとし、引張速度は、300mm/分とした。測定は、サンプルを変更して20回行い、平均値を用いた。
(8)熱収縮率JIS C 2318に規定された方法にしたがって熱収縮率を測定した。ただし、オーブンの温度と保持時間は100℃、30分とし、それぞれサンプルを変え20回の測定結果の平均を用いた。熱収縮率は小さいほど良いが、加工時のシワ抑制のためには2%以下であることが好ましい。
(9)耐屈曲性(ゲルボテスト)
テスター産業(株)製恒温槽付ゲルボフレックステスターBE−1005を用いて、0℃、1000回の繰り返し折り曲げテストを実施した後のピンホール個数を測定した。測定サンプルは180mm×260mmである。
(10)耐衝撃性(落袋試験)
厚さ60μmのポリプロピレンシートをポリウレタン接着剤でラミネートし、インパルスシーラーを用いて4方をシールして水250mlの入った200mm×150mmの袋を作成し、0℃で12時間調温後1.25mの高さから落下させ、破袋あるいは水漏れの有無を調べた。破袋および水漏れのない袋については再度1.25mの高さから落下させ、破袋および水漏れを発生しない落下回数を調べた。20サンプルについてこれを行い、平均落下回数を求め、2以上を合格とした。
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
表1に記載のポリエステル1(ポリエチレンテレフタレート)とポリエステル2(ポリブチレンテレフタレート)を重量比で80:20で混合して用いた。混合したポリエステルチップを真空乾燥した後溶融押出を行い、口金から20℃に冷却した金属ロール上に静電印加を行いながら吐出させ未延伸フィルムを得た。ついで外未延伸フィルムを85℃に加熱してロール/ロール間で長手方向に3.2倍延伸した。その後、テンター式延伸機で、幅方向に、95℃で、3.5倍延伸し、225℃で10秒間熱処理を行った後、100℃の冷却ゾーンを通過させて、厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
この二軸配向ポリエステルフィルムは表2に示すとおり優れた特性を有していた。
実施例2
表1に記載のポリエステル1とポリエステル3(ポリトリメチレンテレフタレート)を、重量比で60:40で混合して用い、製膜条件を、表2に記載の条件に変更した以外は、実施例1と同様にして、厚さ10μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
この二軸配向ポリエステルフィルムは、表2に示すとおり優れた特性を有していた。
実施例3
表1に記載のポリエステル1とポリエステル4(イソフタル酸を10モル%共重合したポリブチレンテレフタレート)および紫外線吸収剤(シブロ化成(株)SEESORB202)を、重量比で90:8:2で混合して用い、製膜条件を、表2に記載の条件に変更して、延伸、熱処理を行った後、160W/cmの紫外線ランプ1灯で、照射距離10cmで、紫外線照射処理を行い、厚さ35μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
この二軸配向ポリエステルフィルムは、ジオール部分の緩和時間T1ρがやや大きいため、耐屈曲性、耐衝撃性に若干劣るものの実用上十分な特性を有していた。
実施例4
表1に記載のポリエステル1とポリエステル2を、重量比で75:25で混合して、基層部原料として用い、ポリエステル5(イソフタル酸を17モル%共重合したポリエチレンテレフタレート)を積層部原料として用い、それぞれ真空乾燥して、2台の押出機で溶融押出しを行い、口金上部の合流部で、糧面に積層するように合流させた後、口金から20℃に冷却した金属ロール上に、静電印加を行いながら吐出させ、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムについて、表2に記載の条件で、二軸延伸、熱処理を行い、厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。このポリエステル5の積層厚さは2μmであった。
この二軸配向ポリエステルフィルムは、耐屈曲性に若干劣るものの優れた特性を有していた。
比較例1〜3
表3に記載の原料を用い、表2の製膜条件で、実施例1と同様にして、比較例1〜3の二軸配向ポリエステルフィルムを得た。この二軸配向ポリエステルフィルムは、ジオール部分の緩和時間T1ρが好ましい範囲を外れるため、耐屈曲性、耐衝撃性に劣るフィルムであった。
比較例4
積層厚さを6μmとした以外は、実施例4と同様にして、厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
この二軸配向ポリエステルフィルムは、ジオール部分の緩和時間T1ρが大きく、耐屈曲性、耐衝撃性に劣るフィルムであった。
実施例5,比較例5
表1に記載のポリエステル1,ポリエステル2,ポリエステル3をそれぞれ表4に記載の重量比で混合して用いた以外は実施例1と同様にして厚さ12μmの2軸配向ポリエステルフィルムを得た。実施例5は優れた特性を有していたが、比較例5の二軸配向ポリエステルフィルムは、密度が低く、ジオール部分の緩和時間T1ρが小さすぎたため、熱収縮率が大きく、耐衝撃性に劣るフィルムであった。
Figure 2007138183
Figure 2007138183
Figure 2007138183
Figure 2007138183

Claims (7)

  1. 密度が1.37〜1.41g/cm3であり、固体高分解能NMRによる構造解析におけるジオール炭素の緩和時間T1ρが50ミリ秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
  2. 該二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリマーが、融点が246〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステル50〜95重量%と、融点が150〜240℃の熱可塑性樹脂5〜50重量%との混合物であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  3. 該二軸配向ポリエステルフィルムを構成するポリマーが、融点が246〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステル47.5〜94.7重量%と、融点が150〜240℃の熱可塑性樹脂4.75〜49.9重量%、ガラス転移温度が0℃以下の熱可塑性樹脂0.3〜5重量%の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  4. フィルムを溶融、急冷した後再昇温した際に150℃〜235℃の範囲に融点が観察されないことを特徴とする請求項2または3に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  5. 該二軸配向ポリエステルフィルムが、厚みが5〜50μmで、かつ、ヘイズ値が0.1〜10%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  6. 該二軸配向ポリエステルフィルムが、面配向係数が0.50〜0.17であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、融点が250〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルからなる層が、フィルム全体の厚みに対して30%以下の厚みの範囲で積層されてなることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
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