JPH11302406A - 二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法 - Google Patents

二軸配向ポリエステルフィルムおよびその製造方法

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JPH11302406A
JPH11302406A JP10112399A JP11239998A JPH11302406A JP H11302406 A JPH11302406 A JP H11302406A JP 10112399 A JP10112399 A JP 10112399A JP 11239998 A JP11239998 A JP 11239998A JP H11302406 A JPH11302406 A JP H11302406A
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Japan
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polyester film
film
biaxially oriented
stretching
oriented polyester
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JP10112399A
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Masaaki Kotoura
正晃 琴浦
Tetsuya Yamagata
哲也 山形
Tetsuya Tsunekawa
哲也 恒川
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【解決手段】ポリエチレンテレフタレート(A)と、主
鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル(B)とか
らなり、ポリエステルフィルムのエチレングリコール成
分の炭素原子のT1ρ値が90msec以上135ms
ec以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステル
フィルムである。その製造方法は、フィルム長手方向と
幅方向との合計延伸倍率が40倍〜100倍の範囲で延
伸することを特徴とする。 【効果】フィルムの薄膜化に対応するべく高強度であり
ながら製膜安定性に優れた磁気記録媒体用、プリンタリ
ボン用、コンデンサー用、包装用等として好適な二軸延
伸ポリエステルフィルムとして広く活用が可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、従来の二軸配向ポ
リエステルフィルムの物性・品質を大幅に向上させたフ
ィルム、具体的には、弾性率が高く、製膜安定性に優れ
た、磁気記録媒体用、プリンタリボン用、コンデンサー
用、包装用などとして好適な二軸配向ポリエステルフィ
ルムとその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】二軸延伸ポリエステルフィルムはその優
れた熱安定性、寸法安定性及び機械特性から各種用途に
使用されているが、特に磁気テープ用などのベースフィ
ルムとして、その有用性は周知である。近年は器材の軽
量化、小型化と長時間記録化のためにベースフィルムの
一層の薄膜化が要求されている。また、熱転写リボン
用、コンデンサー用においても薄膜化の傾向が近年非常
に強い。しかしながら、薄膜化すると機械的強度が不十
分となってフィルムの腰の強さが弱くなったり、伸びや
すくなる為、例えば磁気テープ用途ではテープダメージ
を受けやすくなったり、ヘッドタッチが悪化し電磁変換
特性が低下する。また、熱転写リボン用途では、印字す
る際のリボンの平坦性が保たれず印字ムラや過転写が生
じ、コンデンサー用途では、絶縁破壊電圧が低下すると
いったような問題点がある。
【0003】そのため、従来から種々な方法でベースと
なるフィルムの強力化が検討されてきた。代表的なもの
に、特開平3−190719公報に代表される再縦/再
横延伸を行う方法や、特開昭54−56674公報や特
開昭49−99169公報に代表される縦/横の延伸を
2段階以上の多段階延伸を行う方法などがある。
【0004】弾性率を高める一つの方法として、延伸な
どの改良で分子配向度を上げる方法が一般によく行われ
ている。しかしながら、フィルムの固有粘度が低いと、
弾性率を高めるために、過度に分子配向させようとする
と、延伸時のフィルム破れが避けられず、弾性率の向上
には限界があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した従
来技術における問題点の解決を課題として検討した結果
達成されたものである。すなわち、本発明の目的は、高
度に面配向し、フィルム長手方向と幅方向のいずれか一
方のみでなく、二つの方向共にバランスのとれた強度を
有する、薄膜化され、かつ製膜安定性に優れた二軸延伸
ポリエステルフィルムとその製造方法を提供することで
ある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意検討した結果、特定の共重合ポリ
エステル(B)をポリエチレンテレフタレート(A)に
添加し、ポリエステルフィルムのエチレングリコール成
分の炭素原子のT1ρ値を90msec以上135ms
ec以下にコントロールすると高弾性率になることを見
出し本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の二
軸配向ポリエステルフィルムは、ポリエチレンテレフタ
レート(A)と、主鎖にメソゲン基を含有する共重合ポ
リエステル(B)とからなり、ポリエステルフィルムの
エチレングリコール成分の炭素原子のT1ρ値が90m
sec以上135msec以下であることを特徴とする
二軸配向ポリエステルフィルムとその製造方法を骨子と
する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て説明する。
【0008】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムを
構成するポリエチレンテレフタレート(A)とは、酸成
分として、テレフタル酸を少なくとも80モル%以上含
有するポリマーである。酸成分については、少量の他の
ジカルボン酸成分を共重合してもよく、またエチレング
リコールを主たるジオール成分とするが、他のジオール
成分を共重合成分として加えてもかまわない。
【0009】テレフタル酸以外のジカルボン酸成分とし
ては、芳香族ジカルボン酸成分として例えば、イソフタ
ル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、
1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレン
ジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、
4,4’−ジフェニルエ−テルジカルボン酸、4,4’
−ジフェニルスルホンジカルボン酸等を用いることがで
きる。脂環族ジカルボン酸成分としては例えば、シクロ
ヘキサンジカルボン酸等を用いることができる。脂肪族
ジカルボン酸成分としては例えば、アジピン酸、スベリ
ン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸等を用いることが
できる。これらの酸成分は1種のみ用いてもよく、2種
以上併用してもよく、さらには、ヒドロキシエトキシ安
息香酸等のオキシ酸等を一部共重合してもよい。また、
エチレングリコール以外のジオール成分としては例え
ば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオ
ール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオー
ル、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサ
ンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノー
ル、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレン
グリコール、トリエチレングリコール、ポリアルキレン
グリコール、2,2’−ビス(4’−β−ヒドロキシエ
トキシフェニル)プロパン等を用いることができる。こ
れらのジオール成分は1種のみ用いてもよく、2種以上
併用してもよい。
【0010】共重合ポリエステル(B)をポリエチレン
テレフタレート(A)に添加する時期は、ポリエチレン
テレフタレート(A)の重合前、例えばエステル化反応
前に添加してもよいし、重合後で溶融押出前に添加して
もよい。また、溶融押出前に、ポリエチレンテレフタレ
ート(A)と共重合ポリエステル(B)をペレタイズし
てもよい。
【0011】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル(B)
は、主鎖にメソゲン基を有する溶融成形性があるポリエ
ステルである。例えば、芳香族オキシカルボニル単位、
芳香族ジオキシ単位、芳香族ジカルボニル単位、アルキ
レンジオキシ単位などから選ばれた構造単位からなる異
方性溶融相を形成するポリエステルなどである。
【0012】本発明で用いる好ましい主鎖にメソゲン基
を有する共重合ポリエステル(B)の例としては、下記
(I)、(II)、(III )および(IV)の構造単位から
なる主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル、
(I)、(III )および(IV)の構造単位からなる主鎖
にメソゲン基を有する共重合ポリエステル、(I)、
(II)および(IV)の構造単位からなる主鎖にメソゲン
基を有する共重合ポリエステルから選ばれた一種以上で
あるものが挙げられる。
【0013】
【化4】 (但し式中のR1は、
【化5】 を示し、R2は
【化6】 から選ばれた一種以上の基を示し、R3は、
【化7】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
原子または塩素原子を示し、構造単位[((II)+(II
I )]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
上記構造単位(I)はpーヒドロキシ安息香酸および/
または6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成したポ
リエステルの構造単位を、構造単位(II)は、4、4´
−ジヒドロキシビフェニル、3、3´、5、5´−テト
ラメチル−4、4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイド
ロキノン、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイド
ロキノン、2、6−ジヒドキシナフタレン、2、7−ジ
ヒドキシナフタレン、2、2´−ビス(4ーヒドロキシ
フェニル)プロパンおよび4、4´−ジヒドロキシジフ
ェニルエーテルから選ばれた芳香族ジヒドロキシ化合物
から生成した構造単位を、構造単位(III )はエチレン
グリコールから生成した構造単位を、構造単位(IV)
は、テレフタル酸、イソフタル酸、4、4´−ジフェニ
ルジカルボン酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、
1、2−ビス(フェノキシ)エタン−4、4´−ジカル
ボン酸、1、2−ビス(2ークロルフェノキシ)エタン
−4、4´−ジカルボン酸および4、4´−ジフェニル
エーテルジカルボン酸から選ばれた芳香族ジカルボン酸
から生成した構造単位を各々示す。
【0014】また、上記構造単位(I)、(II)および
(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、R1が
【化8】 であり、 R2が
【化9】 から選ばれた一種以上であり、 R3が
【化10】 から選ばれた一種以上であるものが好ましい。
【0015】また、上記構造単位(I)、(III )およ
び(IV)からなる主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリ
エステルの場合は、R1が
【化11】 であり、 R3が
【化12】 であるものが特に好ましい。
【0016】また、上記構造単位(I)、(II)、(II
I )および(IV)からなる主鎖にメソゲン基を有する共
重合ポリエステルの場合は、R1が
【化13】 であり、R2が
【化14】 であり、R3が
【化15】 であるものが特に好ましい。
【0017】上記構造単位(I)、(II)、(III )お
よび(IV)の共重合量は任意であるが、流動性、ポリエ
チレンテレフタレート(A)との相溶性の点から次の共
重合量であることが好ましい。
【0018】上記構造単位(I)、(II)、(III )お
よび(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記
構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する
[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%であ
り、20〜80%がより好ましく、40〜75モル%が
最も好ましい。また、構造単位[(I)+(II)+(II
I )]に対する(III )のモル分率は95〜5モル%で
あり、80〜20モル%がより好ましく、60〜25モ
ル%が最も好ましい。また、構造単位(I)/(II)の
モル比は流動性の点から、好ましくは75/25〜95
/5であり、より好ましくは78/22〜93/7であ
る。また、構造単位(IV)のモル数は構造単位[(II)
+(III )]のトータルモル数と実質的に等しい。
【0019】また、上記構造単位(I)、(III )およ
び(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、上記構
造単位(I)は[(I)+(III )]の5〜95モル%
が好ましく、20〜80モル%がより好ましく、40〜
75モル%が最も好ましい。構造単位(IV)は構造単位
(III )と実質的に等モルである。
【0020】さらに上記構造単位(I)、(II)および
(IV)からなる共重合ポリエステルの場合は、単独では
なく、構造単位(I)、(II)、(III )および(IV)
からなる共重合ポリエステルまたは/および構造単位
(I)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエス
テルのブレンドポリマーとして用いることが好ましい。
このブレンドポリマーの場合においても、前記同様に、
構造単位[(I)+(II)+(III )]に対する
[(I)+(II)]のモル分率は5〜95モル%が好ま
しく、20〜80%がより好ましく、40〜75モル%
が最も好ましい。
【0021】以上述べた説明中の「実質的に」とは、必
要に応じてポリエステルの末端基をカルボキシル基末端
あるいはヒドロキシル末端基のいずれかを多くすること
ができ、このような場合には構造単位(IV)のモル数は
構造単位[(II)+(III )]のトータルモル数と完全
に等しくないからである。
【0022】上記好ましい主鎖にメソゲン基を有する共
重合ポリエステル(B)を重縮合する際には、上記構造
単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3、3´−
ジフェニルジカルボン酸、2、2´−ジフェニルジカル
ボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジ
カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジ
カルボン酸、クロルハイドロキノン、メチルハイドロキ
ノン、4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフォン、
4、4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4、4
´−ジヒドロキシベンゾフェノンなどの芳香族ジオー
ル、1、4−ブタンジオール、1、6−ヘキサンジオー
ル、ネオペンチルグリコール、1、4−シクロヘキサン
ジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール等の脂
肪族、脂環式ジオールおよびm−ヒドロキシ安息香酸、
2、6−ヒドロキシナフトエ酸などの芳香族ヒドロキシ
カルボン酸およびp−アミノフェノール、p−アミノ安
息香酸などを本発明の目的を損なわない程度の少割合の
範囲で、さらに共重合せしめることができる。
【0023】本発明における主鎖にメソゲン基を有する
共重合ポリエステル(B)の製造方法は、特に制限がな
く、公知のポリエステルの重縮合法に準じて製造でき
る。
【0024】例えば、上記の好ましく用いられる主鎖に
メソゲン基を有する共重合ポリエステルの製造法におい
て、上記構造単位(III )を含まない場合は下記(1)
および(2)、構造単位(III )を含む場合は下記
(3)の製造方法が好ましい。
【0025】(1)p−アセトキシ安息香酸および4、
4´−ジアセトキシビフェニル、4、4´−ジアセトキ
シベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル
化物とテレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢
酸重縮合反応によって製造する方法。
【0026】(2) p−ヒドロキシ安息香酸および
4、4´−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンな
どの芳香族ジヒドロキシ化合物、テレフタル酸などの芳
香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール
性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって
製造する方法。
【0027】(3)ポリエチレンテレフタレートなどの
ポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−
ヒドロキシエチル)テレフタレートなどの芳香族ジカル
ボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在
下で(1)または(2)の方法により製造する方法。
【0028】これらの重縮合反応は無触媒でも進行する
が、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸カリウ
ムおよび酢酸ナトリウム、三酸化アンチモン、金属マグ
ネシウムなどの金属化合物を添加した方が好ましい場合
もある。
【0029】本発明では、低粘度の共重合ポリエステ
ル、すなわちポリエチレンテレフタレート(A)との溶
融粘度比(溶融粘度(ポリエチレンテレフタレート)/
溶融粘度(共重合ポリエステル))を大きくする共重合
ポリエステルが好ましい。これは、低粘度の共重合ポリ
エステルを添加した場合、ポリエステルフィルム中での
分散性がよくなり、延伸倍率アップや製膜安定性の向上
を、より効果的に達成できるからである。この溶融粘度
比は、少なくとも5以上3000以下であることが好ま
しく、より好ましくは50以上3000以下、特に好ま
しくは100以上3000以下である。従って、共重合
ポリエステル(B)の溶融粘度は、使用するポリエチレ
ンテレフタレート(A)の溶融粘度にもよるが、280
℃、剪断速度200秒-1の条件下で0.1〜50Pa・
秒であることが望ましく、好ましくは0.3〜10Pa
・秒、さらに好ましくは0.5〜3Pa・秒である。一
方、ポリエステルフィルムの実用的な溶融粘度の観点か
らも、溶融粘度比は、5以上3000以下が好ましい。
さらに、このような超低粘度の共重合ポリエステルをポ
リエチレンテレフタレート(A)に適量添加することに
より、共重合ポリエステルが、ポリエチレンテレフタレ
ート中に、より微分散化され、透明性の良好な高弾性な
フィルムが得られる。
【0030】このような低い溶融粘度を有し、本発明の
目的を達成する上で特に好適に用いることのできる共重
合ポリエステル(B)は、上記構造単位(I)、(I
I)、(III )および(IV)からなる共重合ポリエステ
ルである。この共重合ポリエステルは、ポリエチレンテ
レフタレート(A)中で均一に微分散する。
【0031】本発明に用いられるポリエチレンテレフタ
レート(A)、主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエ
ステル(B)には必要に応じて、難燃剤、熱安定剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、顔料、染料、脂
肪酸エステル、ワックス等の有機滑剤、あるいは消泡剤
を配合することができる。また、易滑性や耐摩耗性、耐
スクラッチ性を付与するためにクレー、マイカ、酸化チ
タン、炭酸カルシウム、カリオン、タルク、湿式または
乾式シリカ、コロイド状シリカ、リン酸カルシウム、硫
酸バリウム、アルミナ、ジルコニア等の無機粒子、アク
リル酸類、スチレン等を構成成分とする有機粒子等を配
合したり、ポリエステル重合反応時に添加する触媒等に
よって析出する、いわゆる内部粒子を含有せしめたり、
界面活性剤を配合したりすることができる。
【0032】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
エチレングリコール成分の炭素原子のT1ρ値は、90
msec以上135msec以下であることが必要であ
る。このT1ρ値は、核磁気共鳴法(NMR)から求め
られる局所的な分子の運動性を表す指標であり、値が大
きくなるほど分子がより強く拘束されていることを示
す。そのため、T1ρ値が大きくなるほど、弾性率が大
きくなっていく傾向が見られる。T1ρ値は、好ましく
は95msec以上、さらに好ましくは100msec
以上である。T1ρ値が、90msec未満であると、
ポリエステルフィルム内での分子の配向が弱くなってし
まい、高弾性率を有するポリエステルフィルムを得るこ
とができなくなる。T1ρ値は大きいほど好ましいが、
上限値は、ポリエステルフィルムの現在の製膜技術の実
用的な観点から、135msec以下である。
【0033】また、二軸配向ポリエステルフィルムのエ
チレングリコール成分の炭素原子のT1値は、40se
c以上60sec以下であることが好ましい。このT1
値も上記T1ρ値と同様にして求められる指標ではある
が、T1ρ値で示す分子運動より、広い範囲に及ぶ分子
運動を表す指標である。T1値は、さらに好ましくは4
5sec以上、最も好ましくは50sec以上である。
T1ρ値と同じく、値が大きくなるほど、分子が動きに
くく、拘束されていることを示している。そのため、高
弾性率の観点から、T1値は40sec以上であること
が好ましい。T1値もT1ρ値と同様に、大きいほど好
ましいが、T1値の上限値は、ポリエステルフィルムの
現在の製膜技術の実用的な観点から、60sec以下で
ある。
【0034】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムの
固有粘度は、0.7〜3dl/gであることが好まし
い。好ましくは0.75〜2.5dl/g、さらに好ま
しくは0.8〜2dl/gである。かかる固有粘度の高
いポリエステルを得る手段としては、ポリエステルチッ
プを固相重合する方法が最も好ましく用いられる。機械
強度や製膜安定性の点から、二軸配向ポリエステルフィ
ルムの固有粘度は0.7dl/g以上であり、押出時の
駆動電流値や濾圧などの実用的な観点からは3dl/g
以下である。
【0035】本発明の二軸配向ポリエステルフィルムに
おける主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル
(B)は、ポリエステルフィルム中に、0.01〜10
重量%、より好ましくは0.2〜7重量%、特に好まし
くは0.5〜5重量%含有されることである。昇温結晶
化温度、表面特性、フィルム巻き特性等の観点から、共
重合ポリエステル(B)の添加量は0.01重量%以上
が好ましく、機械特性、表面特性の観点からは、添加量
が10重量%以下が好ましい。
【0036】また本発明の二軸配向ポリエステルフィル
ムは、長手方向と幅方向の弾性率の和が14GPa以上
18GPa以下、好ましくは15GPa以上18GPa
以下であることが、長時間記録用磁気テープに使用した
場合において、走行時に磁気ヘッドやガイドピンから受
ける張力のために発生する磁気テープの伸びの抑制や、
良好な電磁変換特性を要求される磁気記録媒体用フィル
ムとして使用する上で好ましい。
【0037】また、本発明の二軸配向ポリエステルフィ
ルムは単膜でもよいが、これに他のポリマー層、例えば
ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリ塩化
ビニリデン、アクリル系ポリマーなどを積層してもよ
い。特にポリエステル層を表層に薄く積層する場合、積
層部の厚み(M)は、該積層部に含有されている粒子の
平均径(N)よりも薄くする(M<N)、好ましくは、
Mの1/1000〜1/2、さらに好ましくは、1/1
00〜1/10とすることにより、走行性、易滑性、平
滑性に優れたフィルムとすることができ、特に表面特性
を重視する磁気記録用のベースフィルムとしては好まし
い。また、ポリエステルからなる3層以上の積層フィル
ムの場合、中央層に回収原料などを混合させておくこと
により、生産性、品質向上を図ることもできる。この様
な粒子としては、酸化珪素、酸化マグネシウム、炭酸カ
ルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、架橋ポリエ
ステル、架橋ポリスチレン、マイカ、タルク、カオリン
等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
【0038】次に、本発明のポリエステルフィルムの製
造方法について具体的に説明する。
【0039】ここでは固有粘度の高いポリエチレンテレ
フタレートをを用いた例を示すが、使用するポリエチレ
ンテレフタレートにより製造条件は異なる。
【0040】まず、常法に従って、テレフタル酸とエチ
レングリコールからエステル化し、または、テレフタル
酸ジメチルとエチレングリコールをエステル交換によ
り、ビス−β−ヒドロキシエチルテレフタレート(BH
T)を得る。次にこのBHTを重合槽に移行しながら、
真空下で280℃に加熱して重合反応を進める。ここ
で、固有粘度が0.5程度のポリエステルを得る。この
とき、所定量の共重合ポリエステル(B)を添加してお
いてもよい。得られたポリエステルをペレット状で減圧
下において固相重合する。固相重合する場合は、あらか
じめ180℃以下の温度で予備結晶化させた後、190
〜250℃で1mmHg程度の減圧下、10〜50時間
固相重合させ固有粘度を高める。
【0041】次に、ポリエチレンテレフタレート(A)
と共重合ポリエステル(B)のチップを混合し、180
℃で3時間以上真空乾燥したのち、280℃に加熱され
た押出機に供給し、フィルターにて濾過して、Tダイに
よりシート状に押出す。ポリエチレンテレフタレート
(A)と共重合ポリエステル(B)は共にチップのまま
混合してもよいが、分散性を高めるために、一旦、二軸
混練機等を用いて、高濃度の共重合ポリエステル(B)
を含むポリエチレンテレフタレートマスターチップを作
成し、該チップをポリエチレンテレフタレートチップで
希釈して用いることも好ましく行われる。また、このと
き必要があれば、2台以上の押出機、2層以上に分割さ
れたピノール、または口金を用いて、2層以上の積層フ
ィルムとしてもよい。また、異物を除去するために公知
のフィルター、例えば焼結金属、多孔性セラミック、サ
ンド、金網などを用いることが好ましい。Tダイから押
出しされたシートを表面温度25℃に冷却されたドラム
上に静電気力により密着固化せしめ実質的に非晶状態の
キャストフィルムを得る。口金から押出す時のドラフト
比は、好ましくは2〜200、より好ましくは5〜15
0であり、最も好ましくは10〜100である。もしく
は未乾燥ペレットをベント式押出機に供給し同様にして
無配向状態のフィルムを得る。また、この無配向状態の
フィルムのエッジ部の最大厚み(C)と幅方向中央部の
厚み(D)との比C/D)が、2〜6のものが好ましく
用いられる。
【0042】本発明では、この無配向のフィルムを長手
方向と幅方向との合計延伸倍率が40倍〜100倍の範
囲で延伸することが必要である。好ましくは、合計延伸
倍率が45倍〜95倍、さらに好ましくは、50倍〜8
5倍の範囲である。製膜方法としては、特に限定されな
いが、下記(1)、(2)が好ましい。
【0043】(1)ポリエチレンテレフタレート(A)
と主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル(B)
からなり、固有粘度が0.7〜3dl/gの範囲のポリ
エステルフィルムを、長手(縦)方向および幅(横)方
向の延伸を行うに際して、延伸温度をポリエチレンテレ
フタレート(A)のガラス転移温度(Tg)+30℃〜
Tg+70℃の範囲で行うことを特徴とする二軸配向ポ
リエステルフィルムの製造方法。
【0044】(2)ポリエチレンテレフタレート(A)
と主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル(B)
からなるポリエステルフィルムを、フィルムの複屈折
(Δn)が0〜0.02、結晶化度が10%以下となる
ように縦横あるいは横縦二軸に延伸し、次いで先の横延
伸時の延伸温度よりも低温でさらに横方向に再横延伸
し、さらに縦方向に再縦延伸した後、再々横延伸するこ
とを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルムの製造方
法。
【0045】合計延伸倍率が40倍未満であると、分子
の配向が弱く、T1ρ値が小さくなってしまい、高弾性
率とならない。また、一方、合計延伸倍率が100倍を
超えると、製膜安定性が悪化してしまう問題が発生す
る。
【0046】(1)のさらに具体的な説明としては、無
配向状態のポリエステルフィルムを十分加熱された数本
のロール上を通過させて十分加熱した後、ロールの周速
差を利用して縦方向に延伸する。延伸温度はポリエステ
ルのガラス転移温度(Tg)+30℃〜(Tg)+70
℃が好ましく、より好ましくは延伸温度が(Tg)+3
5℃〜(Tg)+65℃で延伸することである。高倍率
延伸を行う観点からは、延伸温度がポリエステルのガラ
ス転移温度(Tg)+30℃以上であることが好まし
く、分子を有効に配向させて高弾性フィルムを得る観点
からは、ガラス転移温度(Tg)+70℃以下の延伸温
度が好ましい。
【0047】次に、得られた縦延伸後のフィルムを続い
て横方向に延伸する。横方向への延伸方法としては、公
知のステンターを用いて行う。延伸温度は先の縦延伸温
度と同様にポリエステルのガラス転移温度(Tg)+3
0℃〜(Tg)+70℃で延伸されることが好ましく、
より好ましくは延伸温度が(Tg)+35℃〜(Tg)
+65℃の範囲である。このあとさらに、再縦あるいは
/および再横延伸を行ってもよいし、熱固定工程におい
て、少なくとも1ゾーン以上で1〜2倍延伸してもよ
い。横延伸条件も縦延伸条件と同様に、高倍率延伸の観
点から、延伸温度がポリエステルのガラス転移温度(T
g)+30℃以下であることが好ましく、分子を有効に
配向させる観点からは、ガラス転移温度(Tg)+70
℃以下の延伸温度が好ましい。
【0048】(2)のさらに具体的な説明としては、無
配向状態のポリエステルフィルムをまず縦方向に延伸す
る。ポリエステルフィルムを十分加熱された数本のロー
ル上を通過させて十分加熱した後、ロールの周速差を利
用して縦方向に延伸する。延伸温度はポリエステルのガ
ラス転移温度(Tg)〜(Tg)+60℃、延伸倍率は
1.2倍〜3倍の範囲で延伸されることが好ましく、よ
り好ましくは延伸温度が(Tg)+15℃〜(Tg)+
45℃、延伸倍率が1.5倍〜2.5倍の範囲である。
【0049】得られた縦延伸後のフィルムを続いて横方
向に延伸する。横方向への延伸方法としては、公知のス
テンターを用いて行う。横延伸温度(T1)は先の縦延
伸温度と同様にポリエステルのガラス転移温度(Tg)
〜(Tg)+60℃、延伸倍率が1.2倍〜3倍の範囲
で延伸されることが好ましく、より好ましくは延伸温度
が(Tg)+15℃〜(Tg)+45℃、延伸倍率が
1.5倍〜2.5倍の範囲である。
【0050】このようにして得られた縦横二軸延伸フィ
ルムの複屈折(Δn)は、0〜0.02の範囲、好まし
くは0〜0.01の範囲であることが好ましい。複屈折
が上記範囲内である場合は、フィルム縦方向および横方
向にバランスのとれた機械強度や優れた熱収縮特性を有
するフィルムを得ることができる。また、複屈折率が
0.02を超える場合は、延伸性が悪化し、また上記の
ようなバランスのとれた械強度や優れた熱収縮特性を有
するフィルムを得ることができない。
【0051】また、縦延伸後のフィルムの結晶化度は、
縦延伸後の延伸工程での延伸性、フィルム破れの観点か
ら、10%以下、好ましくは8%以下、さらに好ましく
は6%以下である。上記範囲の複屈折、結晶化度を同時
に満足する縦横二軸延伸フィルムとすることで、この後
の延伸工程でより高い機械強度を発現させることができ
る。
【0052】上記のようにして得られた縦横二軸延伸フ
ィルムを同一ステンター内で横方向に再横延伸する。再
延伸温度(T2)は先の横延伸温度(T1)−10℃〜
(T1)−50℃、延伸倍率は1.2〜4倍の範囲で行
うことにより、横方向に無理なく延伸でき、横方向の機
械強度を向上させることができ、また横延伸後に再縦延
伸、再々横延伸を行う場合の延伸性も良好となるので好
ましい。より好ましくは延伸温度が先の横延伸温度(T
1)−20℃〜(T1)−40℃、延伸倍率が2〜3倍
の範囲である。また、横延伸後に必要に応じて熱処理を
行うこともできる。
【0053】さらに上記のようにして得られたフィルム
を再縦延伸する。延伸温度は先の再横延伸温度(T2)
〜(T2)+60℃、延伸倍率は1.2〜6倍の範囲で
行うことにより、縦方向に好適な配向が付与され縦横バ
ランスのとれたフィルムとなるので好ましい。より好ま
しくは延伸温度が先の再横延伸温度(T2)+5℃〜
(T2)+55℃、延伸倍率は2〜5倍の範囲である。
また、再縦延伸を行うに際して上記延伸温度、倍率の範
囲内であれば1段階の延伸でも、2段階以上の温度勾配
をつけた多段延伸でもよい。
【0054】また、本発明では、再縦延伸後、再々横延
伸を行うこともできる。再々横延伸は、延伸温度が先の
再縦延伸温度〜ポリエステルの融解温度(Tm)−20
℃、延伸倍率が1.05倍〜3倍の範囲で行うことが好
ましい。
【0055】このようにして得られた2軸延伸フィルム
は、平面性、熱寸法安定性を付与するために、緊張下ま
たは弛緩下で熱処理が施され、均一に徐冷後室温まで冷
やして巻き取られる。
【0056】なお、本発明におけるポリエステルフィル
ムの全体厚みは、例として下記に説明する如く、用途、
目的等に応じて適宜に決定することができる。通常、磁
気材料用途では1μm以上20μm以下が好ましく、ま
た、熱転写リボン用途では1μm以上6μm以下、コン
デンサ用途では0.1μm以上15μm以下であること
が好ましい。
【0057】また、本発明では、フィルムの表面にウレ
タン、アクリル、エステル、シリコン、ワックスなどで
代表される樹脂コート層を付設して表面改質したフィル
ムとしてもよい。この場合、表面改質は、製膜ラインの
途中で行う方が製造コスト低減などの点から好ましい。
【0058】
【実施例】以下、次に本発明の効果をより明確にするた
めに実施例、比較例を示す。
【0059】なお、ここで用いた物性の測定方法と効果
の評価方法は次のとおりである。
【0060】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】(1)T1
ρ値、T1値・・・緩和時間(NMR測定) ポリエステルフィルムのエチレングリコール成分の炭素
原子(62ppm付近)の緩和時間である、T1ρ値お
よびT1値は以下のようにして求めた。
【0061】日本電子(株)製スペクトロメータJNM
−GX270、日本電子(株)製アンプ、MASコント
ローラNM−GSH27MU、日本電子(株)製プロー
ブNM−GSH27T VT.W)を用い、13C核のT
1およびT1ρ(回転座標における縦緩和)測定を実施
した。
【0062】測定条件は、温度24.5℃、湿度50R
H%、静磁場強度6.34T(テスラ)、1H、13Cの
共鳴周波数はそれぞれ270.2MHz、67.9MH
zである。ケミカルシフトの異方性の影響を消すために
MAS(マジック角度回転)法を採用した。回転数は
3.5〜3.7kHzで行った。パルス系列の条件は、
1Hに対して90°、パルス幅4.2μ(マイクロ)
秒、ロッキング磁場強度62.5kHzとした。1Hの
分極を13Cに移すCP(クロスポーラリゼーション)の
接触時間は1.5msec(msec=×10-3秒)で
ある。またT1ρ測定の保持時間τとしては、0.00
1、0.5、0.7、1、3、7、10、20、30、
40、50msecを用いた。保持時間τ後の13Cの磁
化ベクトルの自由誘導減衰(FID)を測定した(FI
D測定中1Hによる双極子相互作用の影響を除去するた
めの高出力デカップリングを行った。なお、S/N比を
向上させるため、256回の積算を行った)。また、パ
ルス繰り返し時間としては、5秒〜15秒の間で行っ
た。
【0063】 測定条件 基準物質 TMS 測定核 67.94MHz パルスくり返し時間 ACQTM 0.076sec PD=12.0sec データ点 POINT 8K SAMPO 4K スペクトル幅 27027kHz T1ρ値は、通常、式1で表される。
【0064】 (Ai:T1ρiに対する成分の割合) そして、各保持時間に対して観測されたピーク強度を片
対数プロットすることにより、その傾きから求めること
ができる。ここでは2成分系(T1ρ1:非晶成分、T
1ρ2:結晶成分)で解析し、下記の式を用い最小2乗
法フィッティングによりその値を求めた。
【0065】 I(t)=fa1・exp(−t/T1ρ1) +fa2・exp(−t/T1ρ2) fa1:T1ρ1に対する成分の割合 fa2:T1ρ2に対する成分の割合 fa1+fa2=1 T1ρ=T1ρ1×fa1+T1ρ2×fa2 T1値測定法は、Torchiaのパルス法を用いた。
このパルス系列は2つの部分からなり、第一系列ではC
Pで得られた13C磁化を+z方向に倒してその後の緩和
を測定する。また、第2系列ではその磁化を−z方向に
倒して以下同様の観測を行い、両系列で得られた差を積
算する。そうすれば、第一系列及び第二系列の13C磁化
の時間変化はそれぞれ、 M1(t)=Mcp exp(-t/T1)+M(∞){1−exp(-t
/T1)} M2(t)=-Mcp exp(-t/T1)+M(∞){1−exp(-
t/T1)} で表され、両者の差は次の式2となる。
【0066】 Mc(t)=2Mcp exp(-t/T1)・・・式2 ここで、McpはCP直後に得られる13C磁化である。な
お、式2を成立させるために、1H磁化を0にしてお
く。そのためには、時間tの間1Hの90°パルスを一
定間隔τ1でかける。この間隔はT2H<τ1<T1Hで通常
10−20msecにセットする。2式から、lnMc
(t)をtに対してプロットして直線を得て、その勾配
からT1を求めた。
【0067】一つの共鳴線にT1の異なる複数の成分が
含まれている場合、各成分に式2が成立すると仮定す
る。すなわち Mc(t)=2ΣMcp,iexp(-t/T1,i) に従って通常の多成分解析を行い、各T1値を求め、T
1ρ値と同様にしてT1値を求めた。
【0068】(2)固有粘度 25℃で、オルトクロロフェノール中、0.1g/ml
濃度で、25℃で測定した値である。単位はdl/gで
表す。
【0069】(3)溶融粘度 融点(Tm)+15℃の条件でずり速度1000(1/
秒)の条件下でノズル径0.5mmφ、ノズル長さ10
mmのノズルを用い、高下式フローテスターによって測
定した値である。単位はPa・秒で表す。また融点(T
m)とは、示差走査熱量測定において、重合を完了した
ポリマ−を室温から40℃/分の昇温条件で測定した際
に観測される吸熱ピ−ク温度(Tm1)観測後、Tm1
+20℃の温度で5分間保持した後、20℃/分の降温
条件で室温まで一旦冷却した後、再度20℃/分の昇温
条件で測定した際に観測される吸熱ピ−ク温度(Tm
2)のピ−クを指す。
【0070】(4) 複屈折(Δn) 偏光顕微鏡にべレックコンペンセータを使用してフィル
ムのレターデーションを測定し、次式により複屈折(Δ
n)を求めた。
【0071】Δn=R/d R:レターデーション d:フィルム厚み (5)弾性率 JIS−Z1702に規定された方法に従って、インス
トロンタイプの引っ張り試験機を用いて、25℃、65
%RHの雰囲気下で測定した。
【0072】(6)結晶化温度、融解温度、ガラス転移
温度(Tg) 示差走査熱量計(DSC)として、セイコー電子工業株
式会社製ロボットDSC「RDC220」を用い、デー
タ解析装置として、同社製ディスクステーション「SS
C/5200」を用いて、アルミニウム製受皿に5mg
のサンプルを充填して、常温から20℃/分の昇温速度
で昇温して、昇温DSC曲線を得た。該チャートから結
晶化に伴う発熱ピークを求め、結晶化温度(Tcc)と
し、また融解に伴い吸熱ピークを求め、融解温度(T
m)とした。
【0073】ガラス転移温度は、JIS K7121に
従い測定した。 (7) 破れ頻度 二軸延伸ポリエステルフィルムの製造工程において、破
れ頻度を次の基準で判定した。
【0074】 ◎ :エッジからの破れが48時間以上ない場合 ○ :エッジからの破れが24時間以上ない場合 × :エッジからの破れにより製膜が6時間以上連続し
てできない場合 上記基準において、製膜安定性、収率などの理由によ
り、◎、○の判定結果が得られたフィルムを合格とし
た。
【0075】実施例1(表1、2、3) 公知の方法により得られたポリエチレンテレフタレート
(固有粘度0.75)のペレットと下記の主鎖にメソゲ
ン基を有する共重合ポリエステルペレットを99/1重
量%の割合でブレンドし、180℃で3時間真空乾燥し
た後に、280℃に加熱された押出機に供給して溶融押
出し、Tダイよりシート状に吐出した。
【0076】[共重合ポリエステル(B)]主鎖にメソ
ゲン基を有する共重合ポリエステルとしては 、下記原
料から重縮合した共重合ポリエステル(B1、融点22
5℃、液晶開始温度205℃、溶融粘度2Pa・秒 )
を用いた。
【0077】 [主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル原料(B1)] 共重合モル比 ヒドロキシ安息香酸 42.5 4、4´ージヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 50.0 テレフタル酸 57.5 さらにこのシートを表面温度25℃の冷却ドラム上に静
電気力で密着させて冷却固化し、実質的に無配向状態の
フィルムを得た。このフィルムを、表2に示す条件で延
伸を行った。まず数本のロールの配置された縦延伸機を
用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸し、続
いてステンターにより横延伸を行い、さらにロール縦延
伸機で再縦延伸後、ステンターにより、熱処理を行い室
温に冷却後、フィルムエッジを除去し厚さ9.5μm、
T1ρ値が92msecの二軸配向ポリエステルフィル
ムを得た。
【0078】得られた二軸配向ポリエステルフィルムの
特性を表3に示した。T1ρ値が大きく、高強度でしか
も製膜安定性に優れたフィルムを得ることができた。
【0079】実施例2〜4、比較例1〜2 実施例2〜4は共重合ポリエステル(B)の種類、添加
量は同一で、ポリエチレンテレフタレート(A)の固有
粘度と延伸条件を表1、2のように変更して製造した例
である。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性
を表3に示した。T1ρ値が大きく、高強度でしかも製
膜安定性に優れたフィルムを得ることができた。一方、
比較例1、2は、本発明の延伸条件から外れた条件で製
造した例である。表3に示したように、T1ρ値が小さ
くなり、弾性率も小さく、破れが頻発して製膜安定性も
悪化した。
【0080】以上をまとめたのが次の表1〜3である。
【0081】
【表1】
【表2】
【表3】 実施例5(表4、5、6) 実施例1と同様にして、シート状に吐出した。
【0082】このシートを表面温度25℃の冷却ドラム
上に静電気力で密着させて冷却固化し、実質的に無配向
状態のフィルムを得た。このフィルムを、表5に示す条
件で延伸を行った。まず数本のロールの配置された縦延
伸機を用いて、ロールの周速差を利用して縦方向に延伸
する。続いてステンターにより横延伸を行い、さらに同
一ステンターを用いて再横延伸を行う。その後、ロール
縦延伸機で再縦延伸後、ステンターにより再々横延伸、
熱処理を行い室温に冷却後、フィルムエッジを除去し厚
さ10.5μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得
た。
【0083】得られた二軸配向ポリエステルフィルムの
特性を表6に示した。T1ρ値が95msecと大き
く、高強度でしかも製膜安定性に優れたフィルムを得る
ことができた。
【0084】実施例6〜10、比較例3〜6(表4、
5、6) 実施例6〜8は共重合ポリエステル(B)の種類、添加
量は同一で、ポリエチレンテレフタレートの固有粘度と
延伸条件を表4、5のように変更して製造した例であ
る。得られた二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表
6に示した。T1ρ値が大きく、高強度でしかも製膜安
定性に優れたフィルムを得ることができた。
【0085】実施例9については、下記組成の共重合ポ
リエステル(B2)を用いた。
【0086】[共重合ポリエステル(B)]主鎖にメソ
ゲン基を有する共重合ポリエステルとしては 、下記原
料から重縮合した共重合ポリエステル(融点235℃、
液晶開始温度215℃、溶融粘度5Pa・秒 )を用い
た。
【0087】 [主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル原料(B2)] 共重合モル比 ヒドロキシ安息香酸 32.5 4、4´ージヒドロキシビフェニル 7.5 エチレングリコール 60.0 テレフタル酸 67.5 実施例10については、溶融粘度が1Pa・秒の共重合
ポリエステル(B2)を用いた。実施例10で得られた
二軸配向ポリエステルフィルムの特性を表6に示した。
T1ρ値が大きく、高強度でしかも製膜安定性に優れた
フィルムを得ることができた。
【0088】比較例3、4は、共重合ポリエステル
(B)を用いずに、表5に示したように本発明の延伸条
件を外れた条件で製造した例である。表6に示したよう
に、T1ρ値が小さくなり、弾性率も小さく、破れが頻
発して製膜安定性も悪化した。
【0089】比較例5、6は、表5に示したように本発
明の延伸条件を外れた条件で製造した例である。表6に
示したように、T1ρ値が小さくなり、弾性率も小さ
く、破れが頻発して製膜安定性も悪化した。
【0090】以上をまとめたのが次の表4〜6である。
【0091】
【表4】
【表5】
【表6】 以上のように、本発明の範囲内にある二軸配向ポリエス
テルフィルムは高弾性で製膜安定性に優れるが、範囲外
の二軸配向ポリエステルフィルムは、高弾性にならず、
製膜安定性も悪化する。
【0092】
【発明の効果】本発明の二軸配向ポリエステルフィルム
は、ポリエチレンテレフタレート(A)と主鎖にメソゲ
ン基を有する共重合ポリエステル(B)からなり、該二
軸配向ポリエステルフィルムの弾性率を高めると共に、
製膜安定性を図ったものであり、磁気記録用、プリンタ
リボン用、コンデンサー用、包装用など各種フィルム用
途に広く活用が可能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート(A)と、
    主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル(B)と
    からなり、ポリエステルフィルムのエチレングリコール
    成分の炭素原子のT1ρ値が90msec以上135m
    sec以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステ
    ルフィルム。
  2. 【請求項2】 ポリエステルフィルムのエチレングリコ
    ール成分の炭素原子のT1値が、40sec以上60s
    ec以下であることを特徴とする請求項1に記載の二軸
    配向ポリエステルフィルム。
  3. 【請求項3】 共重合ポリエステル(B)の主鎖中のメ
    ソゲン基の共重合量が5〜95モル%であることを特徴
    とする請求項1または請求項2に記載の二軸配向ポリエ
    ステルフィルム。
  4. 【請求項4】 前記共重合ポリエステル(B)が下記
    (I)、(III )および(IV)の構造単位からなる共重
    合ポリエステル、(I)、(II)および(IV)の構造単
    位からなる共重合ポリエステル、(I)、(II)、(II
    I )および(IV)の構造単位からなる共重合ポリエステ
    ルから選ばれた少なくとも一種であることを特徴とする
    請求項1から請求項3のいずれかに記載の二軸配向ポリ
    エステルフィルム。 【化1】 (但し、式中のR1は、 【化2】 から選ばれた一種以上の基を示し、R2は、 【化3】 から選ばれた一種以上の基を示す。また、式中Xは水素
    原子または塩素原子を示し、構造単位[((II)+(II
    I )]と構造単位(IV)は実質的に等モルである。)
  5. 【請求項5】 ポリエチレンテレフタレート(A)と共
    重合ポリエステル(B)の溶融粘度比(ηA/ηB)が
    5〜3000であることを特徴とする請求項1から請求
    項4のいずれかに記載の二軸配向ポリエステルフィル
    ム。
  6. 【請求項6】 前記共重合ポリエステル(B)をポリエ
    ステルフィルム中に0.01〜10重量%含有すること
    を特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の
    二軸配向ポリエステルフィルム。
  7. 【請求項7】 ポリエステルフィルムの長手方向と幅方
    向の弾性率の和が14〜18GPaであることを特徴と
    する請求項1から請求項6のいずれかに記載の二軸配向
    ポリエステルフィルム。
  8. 【請求項8】 ポリエチレンテレフタレート(A)と、
    主鎖にメソゲン基を有する共重合ポリエステル(B)と
    からなり、フィルム長手方向と幅方向との合計延伸倍率
    が40倍〜100倍の範囲で延伸することを特徴とする
    二軸配向ポリエステルフィルムの製造方法。
  9. 【請求項9】 固有粘度が0.7〜3dl/gの範囲の
    ポリエステルフィルムを、該フィルムの長手(縦)方向
    および幅(横)方向の延伸を行うに際して、延伸温度を
    ポリエチレンテレフタレート(A)のガラス転移温度
    (Tg)+30℃〜Tg+70℃の範囲で行うことを特
    徴とする請求項8に記載の二軸配向ポリエステルフィル
    ムの製造方法。
  10. 【請求項10】 ポリエステルフィルムを、フィルムの
    複屈折(Δn)が0〜0.02、結晶化度が10%以下
    となるように縦横あるいは横縦二軸に延伸し、次いで先
    の横延伸時の延伸温度よりも低温でさらに横方向に再横
    延伸し、さらに縦方向に再縦延伸した後、再々横延伸す
    ることを特徴とする請求項8に記載の二軸配向ポリエス
    テルフィルムの製造方法。
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