JP2003113258A - 二軸配向ポリエステルフィルム - Google Patents
二軸配向ポリエステルフィルムInfo
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Abstract
を提供する。 【解決手段】密度が1.37〜1.41g/cm3であ
り、固体高分解能NMRによる構造解析におけるジオー
ル炭素の緩和時間T1ρが50ミリ秒以上100ミリ秒
以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィ
ルム。さらに、上記二軸配向ポリエステルフィルムの少
なくとも片面に、融点が250〜270℃のエチレンテ
レフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステルか
らなる層が、フィルム全体の厚みに対して30%以下の
厚みの範囲で積層された二軸配向ポリエステルフィル
ム。
Description
業用分野において好適に使用することができる強靱な二
軸配向ポリエステルフィルムに関する。
ンテレフタレートを主成分とするポリエステルフィルム
は、優れた機械的特性、熱的特性、電気的特性、表面特
性、光学特性、また、耐熱性、耐薬品性などの性質を利
用して、磁気記録媒体用、工業材料用、包装用など種々
の用途に幅広く用いられている。しかしながら、包装材
料などで特に求められる耐衝撃性、耐屈曲ピンホール性
に劣るため、このような用途においてはナイロン二軸延
伸フイルムが多く使用されている。一方、ナイロンフイ
ルムにも吸湿率および湿度膨張係数が大きく、保存時や
加工時の取り扱いに注意を要し、蒸着加工が困難であ
る。また、耐熱性や印刷適性、腰の強さ、寸法安定性を
補うため、ポリエステルフィルムと貼り合わせた形態で
用いられる場合が多い。また、ポリエステルフィルム単
体での耐衝撃性を与える方法として、PETにダイマー
酸を共重合する方法(例えば特開平6−79776号公
報)が提案されているが、耐熱性が低く、粘着しやすい
ため製膜工程や加工工程で巻き付きなどのトラブルが起
こりやすいという問題があった。
技術の背景に鑑み、強靱で耐衝撃性に優れたポリエステ
ルフィルムを提供せんとするものである。
ステルフィルムはかかる課題を解決するために、主とし
て次の構成を有する。すなわち、密度が1.37〜1.
41g/cm3であり、固体高分解能NMRによる構造
解析におけるジオール炭素の緩和時間T1ρが50ミリ
秒以上100ミリ秒以下であることを特徴とする二軸配
向ポリエステルフィルムである。
で耐衝撃性に優れたポリエステルフィルムについて、鋭
意検討し、特定な密度で、かつ、ジオール炭素の緩和時
間T1ρが特定な二軸配向ポリエステルフィルムとして
みたところ、かかる課題を一挙に解決することを究明し
たものである。
構成するポリエステルとしては、ジオール成分としてエ
チレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメ
チレングリコールなどから選ばれる直鎖骨格を有するジ
オールと、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジ
カルボン酸などから選ばれるジカルボン酸からなるポリ
エステルが好ましいが、2種類以上のグリコール成分を
有する共重合ポリエステルや、2種類以上のポリエステ
ルを混合したものでもよいが、中でも全繰り返し単位の
40%以上がエチレンテレフタレートであるポリエステ
ルが、高い弾性率と耐屈曲性、耐衝撃性のバランスの良
いフィルムを提供しやすいので好ましい。
1.37〜1.41g/cm3 であることが必要であ
る。かかる密度が1.37g/cm3より小さい場合、
弾性率が小さくなったり、熱収縮率が大きくなってしま
うため、ポリエステルフィルム本来のメリットである弾
性率が高く、寸法安定性に優れたフィルムを得ることが
できず、他のポリエステルフィルムなどの、弾性率が高
く寸、法安定性に優れたフィルムと貼り合わせて使用す
る必要があるなど、使用方法が制限されてしまう。ま
た、かかる密度が1.41g/cm3より大きいと、脆
くて、耐衝撃性の劣ったフィルムを提供することができ
なくなってしまう。
般に耐屈曲性、耐衝撃性が非常に悪く、包装材料として
用いる場合は、これらの特性の優れたナイロンフィルム
と貼り合わせて使用されることが多い。
解能NMRによる構造解析におけるジオール炭素の緩和
時間T1ρを50ミリ秒以上100ミリ秒以下とするこ
とにより、弾性率、寸法安定性といった、ポリエステル
フィルム本来の利点を損なうことなく、耐屈曲性、耐衝
撃性に優れたフィルムを得ることが出来ることを見出し
た。
は、ポリエステル分子鎖中のジオール部分の運動性を示
すものであり、一般に、結晶化して密度が1.37g/
cm 3以上であるような二軸配向ポリエステルフィルム
では、120ミリ秒以上となる。かかるジオール炭素の
緩和時間T1ρを50ミリ秒以上100ミリ秒以下と特
定な範囲に制御すると、非晶部の運動性を高めることが
でき、かくすることにより、繰り返し屈曲を行っても、
ピンホールが発生しにくく、かつ、衝撃を受けた場合に
も、劈開が起こりにくいフィルムを提供することができ
る。なお、かかるジオール炭素の緩和時間T1ρが10
0ミリ秒より大きいと、耐屈曲性、耐衝撃性が悪くな
る。
37g/cm3以上のポリエステルフィルムの場合で
は、かかるジオール炭素の緩和時間T1ρを50ミリ秒
より小さくすることは困難であり、たとえ出来たとして
も、弾性率が小さく、腰の弱いフィルムとなってしま
う。特に耐屈曲性、耐衝撃性の高いフィルムを得るため
には、かかるジオール炭素の緩和時間T1ρを60〜8
5ミリ秒の範囲に制御することが好ましい。
るジオール炭素の緩和時間T1ρが上述の範囲にあるよ
うなポリエステルフィルムを得るための手段としては、
融点が246〜270℃のエチレンテレフタレートを主
な繰り返し単位とするポリエステルを好ましくは50〜
95重量%、より好ましくは70〜90重量%配合し、
融点が150〜240℃の熱可塑性樹脂を好ましくは5
〜50重量%、より好ましくは10〜30重量%を配
合、混合してなるブレンドポリマーを用いることが好ま
しく採用される。
テレフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステル
としては、ポリエチレンテレフタレートのホモポリエス
テルや、ポリエチレンテレフタレートにイソフタル酸、
1,4シクロヘキサンジカルボン酸、トリメチレングリ
コール、テトラメチレングリコールを好ましくは20重
量%以下、より好ましくは10重量%の範囲で共重合し
たコポリエステルが使用される。
0℃の熱可塑性樹脂としては、結晶性の熱可塑性樹脂が
好ましく用いられるが、中でも融点が150〜230℃
のポリマーが好ましく用いられる。かかる熱可塑性樹脂
の種類は特に問わないが、混合するエチレンテレフタレ
ートを主な繰り返し単位とするポリエステルと相溶性が
良い熱可塑性樹脂が好ましく採用される。かかる熱可塑
性樹脂の中でも、特にポリトリメチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレートやこれらにイソフタル
酸を1〜20重量%共重合したコポリエステル、これら
ポリエステルとポリエーテルのブロック共重合体等が好
ましく用いられる。
るに、該高融点熱可塑性樹脂との相溶性に優れたポリマ
ーが選択して用いられる。具体的には、これらのブレン
ドポリマーからなるフィルムのヘイズが好ましくは0.
1〜10%、より好ましくは0.5〜7%の範囲内にあ
れば、これらのポリマーの相溶性がよいことを意味する
ものであり、かかるヘイズを満足するものは、前記本発
明の課題を好ましく達成する。
が0℃以下、好ましくは−20℃以下の熱可塑性樹脂を
0.3〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%添加す
ると、耐屈曲性をさらに向上できるため好ましい。この
ようにガラス転移温度が0℃以下の熱可塑性樹脂を0.
3〜5重量%添加する場合には、融点が246〜270
℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位とする
ポリエステルの割合は47.5〜94.7重量%、融点
が150〜240℃の熱可塑性樹脂の割合は4.75〜
49.9重量%とするのが好ましい。
の添加量が5重量%より多い場合、ガラス転移点の低い
熱可塑性樹脂が相分離して大きなドメインを形成し、フ
ィルムヘイズの大きなフィルムとなったり、逆に耐屈曲
性に劣ったフィルムとなりやすいため好ましくない。こ
のようなガラス転移温度が0℃以下の樹脂は特に問わな
いが、フィルムを構成する他の樹脂との相溶性の面から
ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート
やポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレ
フタレートに長鎖の柔軟性成分、例えなポリオキシメチ
レングリコールなどを共重合したポリエステルが好まし
く用いられる。
ィルムを得るためには、フィルムを溶融、急冷した後再
昇温した際に150℃〜235℃の範囲に融点が観察さ
れないことが好ましい。ここで、融点が観察されるかど
うかについては、以下の方法で判断することができる。
フィルムを300℃、5分間溶融した後急冷したサンプ
ルを示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分で昇
温した際に、150〜235℃の範囲にポリマーの融解
に起因する2J/g以上の吸熱ピークが存在しない場
合、この温度範囲に融点が観察されないと判断できる。
この範囲に融点が観測される場合は、エチレンテレフタ
レートを主な繰り返し単位とするポリエステルに添加し
た低融点樹脂の融点が独立して存在することを意味し、
低融点樹脂の大きなドメインが存在し、耐熱性、熱収縮
率や耐屈曲性の悪いフィルムとなりやすいため好ましく
ない。
オール単層の緩和時間T1ρが、前記のごときポリエス
テルフィルムを得るためには、上記のようなポリエステ
ルを用いるだけではなく、二軸延伸を行った後に、特定
のエネルギーを与えることにより、ポリエステルの非晶
部分の運動性を高める処理を行うことが好ましい。
は、赤外線、紫外線などの特定波長の電磁波を吸収する
添加剤をあらかじめ添加して、電磁波を照射する方法、
電子線を照射する方法、特定条件で加熱する方法や、こ
れらの組み合わせなどを採用することができるが、中で
も特に上記のような融点のエチレンテレフタレートを主
な繰り返し単位とするポリエステルと、これと相溶性の
良い特定融点の熱可塑性樹脂とを混合して用い、かつ、
添加する熱可塑性樹脂の融点近傍での熱処理を行うこと
が有効である。
性樹脂の融点より15℃低い温度〜融点までの温度範囲
で、5秒以上行う条件で行うことが好ましいが、この熱
処理温度は、エチレンテレフタレートを主な繰り返し単
位とするポリエステルの非晶部の運動性が高くなる温度
域である180〜240℃である場合に、特に有効であ
る。
照射などで、非晶部分の運動性を高める処理を行った後
の冷却過程では、運動性が高められた非晶部が再結晶化
しやすい120〜180℃の温度域で、10秒以上保持
しないように注意することが好ましい。ただし、上記の
ようなポリエステルと熱可塑性樹脂の組み合わせで用い
る場合は、120℃以上で、かつ、添加する熱可塑性樹
脂の融点より20℃低い温度との間に、10秒以上保持
しないことが好ましい。このような温度域に、10秒以
上保持すると、非晶部の結晶化が進むため、ジオール炭
素の緩和時間T1ρが100ミリ秒より大きなフィルム
となりやすい。
は、取扱い性、成形性の点から、フィルム厚みが、5〜
50μmであることが好ましい。さらに好ましくは10
〜30μmである。
ルムの面配向係数は、好ましくは0.50〜0.17、
さらに好ましくは0.80〜0.16であるものがよ
い。ここで面配向係数とは、フィルム長手方向の屈折率
とフィルム幅方向の屈折率の平均値とフィルム厚さ方向
の差である。各方向の屈折率は、例えば偏光子付き接眼
レンズを備えたアッベ式屈折率計などで測定することが
できる。かかる面配向係数が0.50より小さいと、弾
性率の大きなフィルムを得ることが困難となり、また
0.17より大きいと、ジオール炭素の緩和時間T1ρ
が100より大きくなりやすいため好ましくない。
は、単層で用いてもよいが、高温の工程での粘着などの
問題を防止するため、少なくとも片面に融点が250〜
270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返し単位
とするポリエステルからなる層をフィルム全体の厚みに
対して30%以下の厚みの範囲で積層するのが好まし
い。かかる積層ポリエステル層の厚さが、フィルム全体
の厚みに対して30%より大きい場合は、耐屈曲性や耐
衝撃性の劣るフィルムとなってしまう。
は、取り扱い性、加工性を向上させるために、平均粒子
径0.01〜10μmの公知の内部粒子、無機粒子およ
び/または有機粒子を0.01〜3重量%含有すること
が好ましい。内部粒子の析出方法としては、公知の技術
を用いることができるが、たとえば特開昭48−615
56号公報、特開昭51−12860号公報、特開昭5
3−41355号公報、特開昭54−90397号公報
などに記載の技術を採用することができる。さらに、特
公昭55−20496号公報、特開昭59−20461
7号公報などの粒子を併用することもできる。なお、1
0μmを越える平均粒子径を有する粒子を使用すると、
フィルムに欠陥が生じることがあるので注意を要する。
よび乾式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸アルミ、酸
化チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バ
リウム、酸化アルミ、マイカ、カオリン、クレーなど、
有機粒子としてはスチレン、シリコーン、アクリル酸
類、メタクリル酸類、ポリエステル類、ジビニル化合物
などを構成成分とする粒子を使用することができる。な
かでも、湿式および乾式シリカ、アルミナなどの無機粒
子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリ
ル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼンなどを構成成分
とする粒子を使用することが好ましい。さらに、これら
の内部粒子、無機粒子および有機粒子は二種以上を併用
してもよい。
ルム中には、本発明の効果を阻害しない範囲内で、各種
の添加剤や樹脂組成物、架橋剤などを含有してもよい。
例えば酸化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機、
無機の粒子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、難燃剤、
アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリ
オレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹
脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコ
ーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架
橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メチロール化、アルキロ
ール化された尿素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミ
ド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合物、アジリジン
化合物、各種シランカップリング剤、各種チタネート系
カップリング剤などを含有させることができる。
リエステルの極限粘度(25℃のo−クロロフェノール
中で測定)としては、0.4〜1.2dl/gが好まし
く、0.5〜0.8dl/gであるのがより好ましい。
ムの製造方法としては、特に限定されるものではない
が、たとえば、ポリエステルを、必要に応じて乾燥した
後、公知の溶融押出機に供給、溶融しスリット状のダイ
からシート状に押出し、たとえばワイヤー状電極もしく
はテープ状電極を使用して、静電印加する方法、キャス
ティングドラムと押出したポリマーシート間に、水膜を
設けたキャスト法により、冷却固化し、未延伸フィルム
を得る。
いて、長手方向に延伸した後、クリップに把持して、幅
方向に延伸する、あるいは、幅方向に延伸した後、長手
方向に延伸する逐次二軸延伸法、フィルムの長手方向、
幅方向をほぼ同時に延伸していく同時二軸延伸法などに
より延伸を行う。
倍率としては、それぞれの方向に好ましくは1.6〜
4.2倍、さらに好ましくは2.4〜4.0倍である。
また、延伸速度は1000〜200000%/分である
ことが望ましく、延伸温度はポリエステルのガラス転移
点〜ガラス転移点より40℃高い温度の間の温度範囲が
好ましい。また、延伸は各方向に対して複数回行っても
よい。
熱処理を行うが、この熱処理は、オーブン中で、定長も
しくは順次収縮させながら160〜230℃の熱処理温
度で1〜30秒間熱処理を行う。ただし、非晶部の運動
性を向上させる処理を加熱により行う場合は、上述の温
度範囲で行うことが好ましい。熱処理を行った後、必要
に応じて、紫外線照射、電子線照射などを行い、非晶部
の運動性を向上させる。
は、包装材料の好適であるが、耐屈曲性や耐衝撃性が要
求される建材用などの用途にも用いることができる。
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は
次のとおりである。 (1)密度 フィルムを一辺5mmの正方形に切り取り、臭化ナトリ
ウム水溶液を用いた密度勾配管により密度(g/c
m3)を測定した。 (2)ジオール炭素の緩和時間T1ρ 高分解能固体NMRの測定装置は、chemagnet
ics社製CMXW−300を用いた。測定は13C核の
T1ρ(回転座標における縦緩和)測定を実施した。
測定は、温度24.5℃、湿度50RH%、静磁場強度
6.34T(テスラ)下で、1H、13Cの共鳴周波数
は、それぞれ270.2MHz、67.9MHzであ
る。ケミカルシフトの異方性の影響を消すために、MA
S(マジック角度回転)法を採用した。回転数は、3.
5〜3.7kHzで行った。パルス系列の条件は、1H
に対して90℃、パルス幅4μsec、ロッキング磁場
強度62.5kHzとした、1Hの分極を13Cに移すC
P(クロスポーラリゼーション)の接触時間は、1.5
msecである。
0.5,0.7,1,3,7,10,20,30,4
0,50msecを用いた。保持時間τ後の13Cの磁化
ベクトルの自由誘導減衰(FID)を測定した(FID
測定中1Hによる双極子相互作用の影響を除去するため
に高出力デカップリングを行った。なおS/N比を向上
させるため512回の積算を行った)。また、パルス繰
り返し時間としては、5sec〜15secの間で行っ
た。ジオール炭素のピークは62ppmに観測される。 (3)融点、ガラス転移点、150℃〜235℃の範囲
での融点有無 セイコーインスツルメント社製のDSC(示差走査熱量
計)RDC220を用いて測定した。試料5mgをDS
C装置にセットし、−100から10℃/分で300℃
まで昇温し、ガラス転移点と、結晶融解に基づく吸熱ピ
ーク温度から融点を求めた。また、150℃〜235℃
の範囲での融点有無については、300℃、5分間溶融
した後液体窒素中で急冷したサンプルを示差走査熱量計
(DSC)を用いて20℃/分で昇温した際に、150
〜235℃の範囲にポリマーの融解に起因する2J/g
以上の吸熱ピークが存在する場合、この範囲に融点が存
在すると判断し、2J/g以上の吸熱ピークが存在しな
い場合はこの範囲に融点が存在しないと判断した。 (4)ヘイズ 一辺10cmのサンプルに切り出し、スガ試験機(株)
製ヘーズメーターHGM−2DPを用いて測定した。 (5)面配向係数 偏光子を備えたアタゴ(株)製アッベ屈折率計4Tを用
いてフィルム各方向の屈折率を測定し、次式で面配向係
数を求めた。光源はハロゲンランプ、浸液はヨウ化メチ
レン、上部プリズムには屈折率1.740のものを用い
た。
ルム幅方向の屈折率、ny:フィルム幅方向の屈折率で
ある。 (6)積層厚み 積層フィルムから断面を切り出し、その断面を透過型電
子顕微鏡で観察し、積層膜の厚みを測定した。 (7)弾性率 サンプルは、フィルム長手方向に長さ200mm、幅1
0mmの短冊状に切り出して用いた。JIS K 71
27に規定された方法にしたがって、東洋精機製作所株
式会社製の引張試験機を用いて、25℃、65%RHに
て測定した。
し、引張速度は、300mm/分とした。測定は、サン
プルを変更して20回行い、平均値を用いた。 (8)熱収縮率 JIS C 2318に規定された方法にしたがって熱
収縮率を測定した。ただし、オーブンの温度と保持時間
は100℃、30分とし、それぞれサンプルを変え20
回の測定結果の平均を用いた。熱収縮率は小さいほど良
いが、加工時のシワ抑制のためには2%以下であること
が好ましい。 (9)耐屈曲性(ゲルボテスト) テスター産業(株)製恒温槽付ゲルボフレックステスタ
ーBE−1005を用いて、0℃、1000回の繰り返
し折り曲げテストを実施した後のピンホール個数を測定
した。測定サンプルは180mm×260mmである。 (10)耐衝撃性(落袋試験) 厚さ60μmのポリプロピレンシートをポリウレタン接
着剤でラミネートし、インパルスシーラーを用いて4方
をシールして水250mlの入った200mm×150
mmの袋を作成し、0℃で12時間調温後1.25mの
高さから落下させ、破袋あるいは水漏れの有無を調べ
た。破袋および水漏れのない袋については再度1.25
mの高さから落下させ、破袋および水漏れを発生しない
落下回数を調べた。20サンプルについてこれを行い、
平均落下回数を求め、2以上を合格とした。
ート)とポリエステル2(ポリブチレンテレフタレー
ト)を重量比で80:20で混合して用いた。混合した
ポリエステルチップを真空乾燥した後溶融押出を行い、
口金から20℃に冷却した金属ロール上に静電印加を行
いながら吐出させ未延伸フィルムを得た。ついで外未延
伸フィルムを85℃に加熱してロール/ロール間で長手
方向に3.2倍延伸した。その後、テンター式延伸機
で、幅方向に、95℃で、3.5倍延伸し、225℃で
10秒間熱処理を行った後、100℃の冷却ゾーンを通
過させて、厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィル
ムを得た。
に示すとおり優れた特性を有していた。 実施例2 表1に記載のポリエステル1とポリエステル3(ポリト
リメチレンテレフタレート)を、重量比で60:40で
混合して用い、製膜条件を、表2に記載の条件に変更し
た以外は、実施例1と同様にして、厚さ10μmの二軸
配向ポリエステルフィルムを得た。
2に示すとおり優れた特性を有していた。 実施例3 表1に記載のポリエステル1とポリエステル4(イソフ
タル酸を10モル%共重合したポリブチレンテレフタレ
ート)および紫外線吸収剤(シブロ化成(株)SEES
ORB202)を、重量比で90:8:2で混合して用
い、製膜条件を、表2に記載の条件に変更して、延伸、
熱処理を行った後、160W/cmの紫外線ランプ1灯
で、照射距離10cmで、紫外線照射処理を行い、厚さ
35μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得た。
オール部分の緩和時間T1ρがやや大きいため、耐屈曲
性、耐衝撃性に若干劣るものの実用上十分な特性を有し
ていた。 実施例4 表1に記載のポリエステル1とポリエステル2を、重量
比で75:25で混合して、基層部原料として用い、ポ
リエステル5(イソフタル酸を17モル%共重合したポ
リエチレンテレフタレート)を積層部原料として用い、
それぞれ真空乾燥して、2台の押出機で溶融押出しを行
い、口金上部の合流部で、糧面に積層するように合流さ
せた後、口金から20℃に冷却した金属ロール上に、静
電印加を行いながら吐出させ、未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムについて、表2に記載の条件で、二
軸延伸、熱処理を行い、厚さ12μmの二軸配向ポリエ
ステルフィルムを得た。このポリエステル5の積層厚さ
は2μmであった。
屈曲性に若干劣るものの優れた特性を有していた。 比較例1〜3 表3に記載の原料を用い、表2の製膜条件で、実施例1
と同様にして、比較例1〜3の二軸配向ポリエステルフ
ィルムを得た。
オール部分の緩和時間T1ρが好ましい範囲を外れるた
め、耐屈曲性、耐衝撃性に劣るフィルムであった。 比較例4 積層厚さを6μmとした以外は、実施例4と同様にし
て、厚さ12μmの二軸配向ポリエステルフィルムを得
た。
オール部分の緩和時間T1ρが大きく、耐屈曲性、耐衝
撃性に劣るフィルムであった。 実施例5,比較例5 表1に記載のポリエステル1,ポリエステル2,ポリエ
ステル3をそれぞれ表4に記載の重量比で混合して用い
た以外は実施例1と同様にして厚さ12μmの2軸配向
ポリエステルフィルムを得た。実施例5は優れた特性を
有していたが、比較例5の二軸配向ポリエステルフィル
ムは、密度が低く、ジオール部分の緩和時間T1ρが小
さすぎたため、熱収縮率が大きく、耐衝撃性に劣るフィ
ルムであった。
や耐衝撃性が要求される建材用などの用途に好適に用い
られる二軸配向ポリエステルフィルムを提供することが
できる。
Claims (7)
- 【請求項1】 密度が1.37〜1.41g/cm3で
あり、固体高分解能NMRによる構造解析におけるジオ
ール炭素の緩和時間T1ρが50ミリ秒以上100ミリ
秒以下であることを特徴とする二軸配向ポリエステルフ
ィルム。 - 【請求項2】 該二軸配向ポリエステルフィルムを構成
するポリマーが、融点が246〜270℃のエチレンテ
レフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステル5
0〜95重量%と、融点が150〜240℃の熱可塑性
樹脂5〜50重量%との混合物であることを特徴とする
請求項1に記載の二軸配向ポリエステルフィルム。 - 【請求項3】 該二軸配向ポリエステルフィルムを構成
するポリマーが、融点が246〜270℃のエチレンテ
レフタレートを主な繰り返し単位とするポリエステル4
7.5〜94.7重量%と、融点が150〜240℃の
熱可塑性樹脂4.75〜49.9重量%、ガラス転移温
度が0℃以下の熱可塑性樹脂0.3〜5重量%の混合物
であることを特徴とする請求項1に記載の二軸配向ポリ
エステルフィルム。 - 【請求項4】 フィルムを溶融、急冷した後再昇温した
際に150℃〜235℃の範囲に融点が観察されないこ
とを特徴とする請求項2または3に記載の二軸配向ポリ
エステルフィルム。 - 【請求項5】 該二軸配向ポリエステルフィルムが、厚
みが5〜50μmで、かつ、ヘイズ値が0.1〜10%
以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに
記載の二軸配向ポリエステルフィルム。 - 【請求項6】 該二軸配向ポリエステルフィルムが、面
配向係数が0.50〜0.17であることを特徴とする
請求項1〜5のいずれかに記載の二軸配向ポリエステル
フィルム。 - 【請求項7】 請求項1〜6のいずれかに記載の二軸配
向ポリエステルフィルムの少なくとも片面に、融点が2
50〜270℃のエチレンテレフタレートを主な繰り返
し単位とするポリエステルからなる層が、フィルム全体
の厚みに対して30%以下の厚みの範囲で積層されてな
ることを特徴とする二軸配向ポリエステルフィルム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002207266A JP2003113258A (ja) | 2001-07-17 | 2002-07-16 | 二軸配向ポリエステルフィルム |
Applications Claiming Priority (3)
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JP2001-216328 | 2001-07-17 | ||
JP2002207266A JP2003113258A (ja) | 2001-07-17 | 2002-07-16 | 二軸配向ポリエステルフィルム |
Related Child Applications (2)
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JP2006349063A Division JP2007138183A (ja) | 2001-07-17 | 2006-12-26 | 二軸配向ポリエステルフィルム |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005097560A (ja) * | 2003-08-19 | 2005-04-14 | Toyobo Co Ltd | ポリエステルフィルム |
JP2006299141A (ja) * | 2005-04-22 | 2006-11-02 | Toray Ind Inc | ポリプロピレンテレフタレート樹脂組成物、および製造方法 |
-
2002
- 2002-07-16 JP JP2002207266A patent/JP2003113258A/ja active Pending
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JP2005097560A (ja) * | 2003-08-19 | 2005-04-14 | Toyobo Co Ltd | ポリエステルフィルム |
JP2006299141A (ja) * | 2005-04-22 | 2006-11-02 | Toray Ind Inc | ポリプロピレンテレフタレート樹脂組成物、および製造方法 |
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