JP2005109207A - 発光素子の製造方法及び発光素子 - Google Patents

発光素子の製造方法及び発光素子 Download PDF

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Abstract


【課題】 発光層部を含む化合物半導体層が薄く、また反り等を生じている場合であっても、化合物半導体層の割れ、特に、金属層との接合界面に形成された接合合金化層周囲におけるクラック形成を抑制しつつ、素子基板と化合物半導体層との金属層を介した貼り合わせを確実に行なうことができる発光素子の製造方法を提供する。
【解決手段】 化合物半導体層50の第二主表面に接合合金化層31を、一部が第二主表面よりも化合物半導体層50側に食い込み、残余の部分が第二主表面から突出した形態で形成する。接合合金化層31の形成された化合物半導体層50の第二主表面に金属層10a,10bと素子基板7とを重ね合わせた積層体130’を作成し、該積層体130’を貼り合わせ加圧しつつ貼り合わせ温度に加熱することにより、化合物半導体層50と素子基板7とを金属層10a,10bを介して貼り合わせる。そして、貼り合わせ温度よりも低温にて貼り合わせ加圧を開始する一方、該加圧圧開始時の温度から貼り合わせ温度に到達するまでの積層体130’の昇温を、当該加圧よりも遅れたタイミングにて開始する。
【選択図】 図1

Description

この発明は発光素子の製造方法に関する。
特開2001−339100号公報
発光ダイオードや半導体レーザー等の発光素子において高輝度化を図ろうとした場合、素子からの光取出し効率が極めて重要となる。特許文献1をはじめとする種々の公報には、成長用のGaAs基板を除去する一方、補強用のSi基板(導電性を有するもの)を、反射用のAu層を介して除去面に貼り合わせる技術が開示されている。このAu層は反射率が高く、また、反射率の入射角依存性が小さいので、光取出し効率の向上を図る上で有利である。
上記の方法においては、発光層部や電流拡散層を含む薄い化合物半導体層を、半導体や金属からなる素子基板に貼り合わせる工程が必須となる。一般に、発光素子に多用されるIII−V族化合物半導体は脆く欠けやすい特性を有しており、薄い化合物半導体層を素子基板に貼り合わせる際には、その貼り合わせの加圧力が不均一であると、該化合物半導体層に割れや欠けが極めて生じやすくなり、不良に直結する問題がある。こうした割れや欠けは、多数個の発光素子チップを一括形成する貼り合わせウェーハの状態で、目視確認できるようなマクロな割れ等ももちろん問題になるが、発光素子の性能という点では、次のようなミクロクラックの発生も影響が深刻である。
金属層と発光層部との間には、両者の接触抵抗を低減するために接合合金化層を配置する必要がある。この接合合金化層は、発光層部への金属層の貼り合わせ面に、AuGeNi合金等からなる接合金属層を分散形成し、次いで熱処理することにより発光層部をなす化合物半導体と合金化して接合合金化層とする。そして、この発光層部の主表面を接合合金化層とともに金属層で覆い、素子基板と重ね合わせて加圧及び加熱を行ない貼り合わせると、接合合金化層の周囲部分をなす発光層部領域にミクロクラックが多数発生することがある。このようなミクロクラックは、発光駆動時の導通路をなす接合合金化層を起点に形成されるため、接触抵抗の増大や電流リークにつながる可能性がある。また、通電時に電流が集中してクラック伝播が進みやすく、電流リークが次第に顕著になって、発光強度の経時的な劣化も引き起こしやすい。化合物半導体層には、成長用の基板との格子定数の不一致や線膨張係数の相違等により反りを生じることがあるが、上記のような不具合は、こうした反りにより一層発生しやすい傾向にある。また、貼り合わせ時において発光層部内の温度分布により熱応力を生じている場合にも、該不具合が助長されやすい傾向にある。
本発明の課題は、発光層部を含む化合物半導体層が薄く、また反り等を生じている場合であっても、化合物半導体層の割れ、特に、金属層との接合界面に形成された接合合金化層周囲におけるクラック形成を抑制しつつ、素子基板と化合物半導体層との金属層を介した貼り合わせを確実に行なうことができる発光素子の製造方法と、該本発明の製造方法によってはじめて実現可能となる発光素子であって、金属層を介して素子基板と化合物半導体層とが貼り合わされた構造を有し、接合合金化層の周囲における化合物半導体層へのクラック形成を低減することにより、接触抵抗が低くしかも長期にわたって良好な発光強度を維持することができる発光素子とを提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明の発光素子の製造方法は、発光層部を有する化合物半導体層に金属層を介して素子基板が貼り合わされた発光素子を製造するためのものであり、
化合物半導体層の第二主表面に金属層と素子基板とを重ね合わせた積層体を作成し、該積層体を第一加圧部材と第二加圧部材との間にて貼り合わせ加圧しつつ貼り合わせ温度に加熱することにより、化合物半導体層と素子基板とを金属層を介して貼り合わせるとともに、
貼り合わせ温度よりも低温にて貼り合わせ加圧を開始する一方、該加圧開始時の温度から貼り合わせ温度に到達するまでの積層体の昇温を、当該加圧開始よりも遅れたタイミングにて開始することを特徴とする。
化合物半導体層を金属層を介して素子基板に貼り合わせる際に、その貼り合わせ温度への昇温時において温度分布が安定化しないうちに、貼り合わせの設定圧力に向けた昇圧を急速に行なうと、脆い化合物半導体層に割れやクラックが生じる場合がある。貼り合わせのために介在する金属層は、加熱状態で加圧されると塑性流動を起こす傾向にあるが、昇圧が過度に急速に行なわれると該塑性流動が圧力上昇に追従しきれず、加圧力の不均一を招きやすくなる。このような加圧力の不均一は化合物半導体層に反りが生じていると一層著しくなる。そして、貼り合わせ温度への昇温時に生ずる積層体の温度分布不均一の影響(例えば、熱的な応力分布の発生など)がこれに重なることで、化合物半導体層への割れが助長されるものと考えられる。
また、貼り合わせに先立って化合物半導体層側と素子基板側とに金属層を振り分けて配置し、化合物半導体層側の金属層と素子基板側の金属層とを貼り合わせる場合、貼り合わせ温度への加熱(特に大気中での加熱)に伴う種々の要因により、両金属層の貼り合わせ面が酸化や変質を受けることがある。しかし、上記の方法を採用すると、両金属層を重ねて加圧密着させた後、加圧開始時点の温度から最終的な貼り合わせ温度までの昇温を開始するようにしたから、各金属層の貼り合わせ面の酸化や変質の影響を軽減でき、強固な貼り合わせ状態を容易に得ることができる。
なお、加圧開始時の積層体の温度は室温(例えば20℃前後)であってもよいし、上記本発明の効果が損なわれない範囲で室温よりも高温に設定することもできる。
より具体的な方法の第一は、化合物半導体層の第二主表面に、該化合物半導体層との接触抵抗を低減する合金成分を含有した接合金属層を分散形成して合金化熱処理することにより、該接合金属層と化合物半導体層とが合金化した接合合金化層を、一部が第二主表面よりも化合物半導体層側に食い込み、残余の部分が第二主表面から突出した形態で形成し、
接合合金化層の形成された化合物半導体層の第二主表面に金属層と素子基板とを重ね合わせた積層体を作成し、該積層体に対する貼り合わせ加圧を一定の設定圧力にて行なうとともに、
設定圧力に向けた昇圧の途上で、設定圧力よりも低い中間圧力にて昇圧を中断することにより該中間圧力を保持した後、昇圧を再開することを要旨とする。
本発明者が検討したところ、貼り合わせ温度への昇温時において温度分布が安定化しないうちに、貼り合わせの設定圧力に向けた昇圧を急速に行なうと、化合物半導体層の特に接合合金化層の周囲にミクロクラックが生じやすくなることがわかった。すなわち、昇圧が過度に急速となったときの金属層の塑性流動の遅れによる、加圧力の不均一(さらには化合物半導体層の反り)の影響が、積層体の温度分布不均一の影響と重なると、荷重集中しやすい接合合金化層の周囲では、脆い化合物半導体へのミクロクラック発生がより助長されやすくなると考えられる。
そこで、上記方法においては、昇圧開始後において、最終的な設定圧力よりも低い中間圧力に到達したら、そこで昇圧を一旦中断し、該中間圧力を所定の時間だけ保持するようにした。つまり、中間圧力への保持により設定圧力までの昇圧を作為的に遅らせることで、積層体の温度分布を安定化させるためのいわば時間稼ぎを行なうことができ、ひいては温度分布不均一による不都合な応力発生等を抑制することができる。その結果、目視確認できるようなマクロな割れはもちろん、接合合金化層の周囲における化合部半導体層へのミクロクラック発生も効果的に抑制することができるようになる。
この場合、上記中間圧力への保持中において積層体の貼り合わせ温度に向けた昇温を継続するとさらによい。つまり、中間圧力への保持により設定圧力までの昇圧を作為的に遅らせ、その間に貼り合わせ温度への昇温を先行させることによって、温度分布不均一による不都合な応力発生等を抑制した状態で、最終的な設定圧力への加圧を継続できる。こっれにより、化合物半導体層への割れ発生を効果的に抑制しつつ、また、昇圧の能率も高めることができる。
具体的な方法の第二は、発光素子は、発光層部がAlGaInP又はInAlGaNからなり、金属層がAuを主成分とするAu系金属層を有するものであり、素子基板がSi基板であり、
化合物半導体層の第二主表面に、該化合物半導体層との接触抵抗を低減するコンタクト用合金成分を含有した接合金属層を分散形成して合金化熱処理することにより、該接合金属層と化合物半導体層とが合金化した接合合金化層を、一部が第二主表面よりも化合物半導体層側に食い込み、残余の部分が第二主表面から突出した形態で形成し、
接合合金化層の形成された化合物半導体層の第二主表面に金属層の一部となるべきAuを主成分とする第一Au系金属層を形成し、他方、Si基板の貼り合わせ面に金属層の一部となるべきAuを主成分とする第二Au系金属層を形成し、第一Au系金属層と第二Au系金属層とを重ね合わせて積層体を作成し、該積層体を第一加圧部材と第二加圧部材との間にて貼り合わせ加圧しつつ貼り合わせ温度に加熱することにより、第一Au系金属層と第二Au系金属層とを貼り合わせにより結合するとともに、
Si基板からのSi成分が第二Au系金属層へ拡散するのを防ぐSi拡散阻止層を、Si基板と第二Au系金属層との間に形成し、
貼り合わせ加圧の設定圧力を5kPa以上1000kPa以下、貼り合わせ温度を200℃以上280℃以下、設定圧力での保持時間を10分以上60分以下に設定して貼り合わせを行なうことを特徴とする。
上記方法では、適用対象となる発光素子の素子基板としてSi基板を用いる。この場合、化合物半導体層の第二主表面に金属層の一部となるべき第一Au系金属層を形成し、他方、Si基板の貼り合わせ面に金属層の一部となるべき第二Au系金属層を形成し、第一Au系金属層と第二Au系金属層とを貼り合わせにより結合する方法を採用することが可能である。Si基板はドーピングにより発光素子として十分な導電性を容易に確保することができ、しかも安価である。また、第一Au系金属層と第二Au系金属層との貼り合わせは、Au系金属層同士の親和力が強いために、比較的低温でも十分な貼り合わせ強度を容易に得られる利点がある。また、AuとSiとは比較的低温で冶金的な反応(具体的には共晶反応:Au−Si二元系の共晶温度は363℃)を起こしやすいが、Au系金属層同士の貼り合わせ工程を採用すれば、こうした反応を生ずる温度よりも低温で貼り合わせが可能となるため、Si基板とAu系金属層との冶金的な反応により反射面の状態が損なわれる不具合を回避できる利点がある。なお、貼り合わせ温度のさらなる低温化を図るためには、第一Au系金属層と第二Au系金属層とを、いずれもAu含有率が95質量%以上とすることが望ましい。
この場合、貼り合わせが完了する前の第二Au系金属層には、前述の加圧クッション層の軟化処理など、上記の共晶反応温度よりも低温であって室温よりは高温の熱履歴が加わることがある。この場合、Si基板と第二Au系金属層とが反応を起こさずとも、Au中のSi原子の拡散速度が比較的大きいため、第二Au系金属層の表面にSiが拡散により湧き上がることがある。この場合、貼り合せ処理を大気中で行うと、第二Au系金属層の表面に湧き上がったSiが酸化され、第一Au系金属層との貼り合わせ強度が大幅に低下することがある。そこで、Si基板からのSi成分が第二Au系金属層へ拡散するのを防ぐSi拡散阻止層を、Si基板と第二Au系金属層との間に形成しておくことが望ましい。このようなSi拡散阻止層を設けておくことで、第二Au系金属層にSiが拡散により湧き上がること、ひいては、第一Au系金属層との貼り合わせ強度低下を効果的に抑制することができる。このようなSi拡散阻止層としては、Ti、Ni及びCrのいずれかを主成分とする金属層、ないしSn、Pb、In及びGaの1種又は2種以上からなるSi拡散阻止成分を含有したAu又はAgを主成分とする金属層を好適に採用することができる。なお、貼り合わせ熱処理をアルゴンや窒素などSi酸化に対して不活性な雰囲気で実施することにより、第二Au系金属層の表面にSiが多少拡散しても第一Au系金属層との貼り合わせを問題なく行うことができる場合には、Si拡散阻止層を省略することも可能である。
AlGaInP又はInAlGaNからなる薄い化合物半導体層の場合、成長用基板との格子定数の不一致や線膨張係数の相違等により反りを生じていることが極めて多い。このような化合物半導体層を、Au系金属層を介してSi基板と貼り合わせることを考慮した場合、貼り合わせを貼り合わせ加圧の設定圧力は5kPa以上1000kPa以下、貼り合わせ温度を200℃以上280℃以下、設定圧力での保持時間を10分以上60分以下に設定して貼り合わせを行なうことが望ましい。化合物半導体層側とSi基板側とにそれぞれ形成したAu系金属層同士の密着状態を高めるには、化合物半導体層に上記の割れやクラック(特に、接合合金化層周囲のミクロクラック)が生じない範囲で貼り合わせ圧力をなるべく高く設定し、柔らかいAu系金属層同士の塑性流動的な追従変形を促して、反りに抗してAu系金属層同士を均一に密着させつつ相互拡散を生じさせることが、均一で強固な貼り合わせ状態を得る上で重要である。
具体的には、設定圧力が上記の下限値未満となった場合、圧力不足のためAu系金属層同士の密着が十分に進まず、均一な貼り合わせ状態が得にくくなる。また、貼り合わせ温度が上記の下限値未満となった場合、貼り合わせ状態を形成するためのAu系金属層間の相互拡散速度が低下し、均一な貼り合わせ状態が得にくくなる。また、保持時間が10分未満では、貼り合わせ面内全域に渡ってAu系金属層間の相互拡散を均一に進行させることが困難となり、結果的に均一な貼り合わせ状態が得られなくなる。他方、設定圧力が上限値を超えた場合は薄い化合物半導体層に割れやクラック(特に前述のミクロクラック)が生じやすくなる。また、貼り合わせ温度が上限値を超えた場合は、Si基板からAu系金属層へのSi拡散が進みやすくなり、金属層が形成する反射面への沸き上がりにより反射率低下等の不具合を生じやすくなる。さらに、保持時間が60分を超えることは、貼り合わせ工程の能率を考慮すると望ましくないし、Si基板からのSi拡散により反射率が低下する懸念も増加する。
加圧時におけるAu系金属層同士の塑性流動的な追従変形には時間を要するため、設定圧力への昇圧速度を過度に大きく設定しすぎると、反りに抗したAu系金属層の変形が昇圧に追従しきれなくなって、化合物半導体層に割れやクラック、特に、荷重集中しやすい接合合金化層周囲へのミクロクラックが発生しやすくなる。この場合、設定圧力へ昇圧を行なう際の昇圧速度を100kPa/分以下に抑制すると、上記の不具合を効果的に防止することができる。なお、過度に昇圧速度を小さくすることは貼り合わせ工程の能率低下にもつながるので、昇圧速度は、例えば1kPa/分以上に設定することが望ましい。
上記具体的方法の第二は、前記具体的方法の第一と組み合わせること、すなわち、貼り合わせ温度よりも低温にて貼り合わせ加圧を開始する一方、該加圧開始時の温度から貼り合わせ温度に到達するまでの積層体の昇温を、当該加圧開始よりも遅れたタイミングにて開始する方法を結合することができ、化合物半導体層へのクラック発生防止に寄与する。
そして、上記本発明の方法を採用することにより、以下の本発明の発光素子を実現することが可能となる。すなわり、本発明の発光素子は、AlGaInP又はInAlGaNからなる発光層部を有する化合物半導体層に、Auを主成分とするAu系金属層を有した金属層を介して素子基板が貼り合わされ、
金属層と化合物半導体層との接合界面に、該化合物半導体層との接触抵抗を低減する合金成分を含有した接合金属層を化合物半導体層と合金化させた接合合金化層が、該接合合金化層の一部が化合物半導体層側に食い込み、残余の部分が金属層に食い込むように接合界面に分散形成され、
かつ、分散形成された接合合金化層の総数をNとし、個々の接合合金化層のうち、その周囲において該接合合金化層と接触する化合物半導体層にクラックを生じているものの個数をN1としたとき、N1/Nが0.05以下であることを特徴とする。
本発明の発光素子は、上記本発明の製造方法により製造可能であり、貼り合わせ時に荷重集中しやすい接合合金化層の周囲において、ミクロクラックの発生を効果的に防止できる結果、複数分散形成する接合合金化層のうち、クラックを生じているものの個数比率を0.05以下(つまり、5%以下)とすることができる。その結果、接合合金化層と化合物半導体層との接触抵抗の増大や電流リークが生じにくくなるほか、通電時の電流集中によるクラック伝播、ひいては発光強度の経時的な劣化が起こりにくく、長期にわたって高い発光性能を維持できる。
次に、本発明の発光素子の製造方法においては、化合物半導体層の第一主表面側に結合層を介して仮支持基板を貼り合わせ、さらに該化合物半導体層の第二主表面に金属層と素子基板とを重ね合わせた積層体を該仮支持基板とともに第一加圧部材と第二加圧部材との間で挟圧・加熱することができる。薄い化合物半導体層に仮支持基板が貼り合わされていることで、積層体を形成する際の化合物半導体層のハンドリングが極めて容易になる。その結果、ハンドリング失敗による化合物半導体層の破損確率が減じられ、ひいては発光素子の製造歩留まり向上に寄与する。仮支持貼り合わせ体に組み込む化合物半導体層の全厚が7μm以上30μm以下と薄い場合は、上記仮支持基板を用いる効果が特に顕著に発揮される。この場合、結合層を高分子材料結合層にて構成しておけば、化合物半導体層を素子基板に貼り合わせた後に、高分子材料結合層を加熱軟化又は有機溶剤に溶解することにより、仮支持基板を化合物半導体層から容易に分離することができる。
高分子材料結合層は、熱硬化性の高分子材料、特にエポキシ樹脂又はウレタン樹脂にて構成すると、貼り合わせ熱処理時に高分子材料結合層からのガス発生を効果的に抑制でき、ガス成分による化合物半導体層の汚染(特に炭素による汚染)や、急激なガス発生による化合物半導体層の割れなどをより効果的に防止することができる。
また、本発明の発光素子の製造方法においては、化合物半導体層と素子基板とを重ね合わせた積層体を作成し、各々金属本体を有する第一加圧部材と第二加圧部材との間にて、第一加圧部材の金属本体と積層体の第一主表面との間、及び第二加圧部材の金属本体と積層体の第二主表面との間の少なくともいずれかに熱可塑性高分子材料からなる加圧クッション層を介在させた状態で該積層体を配置し、加圧クッション層が軟化する貼り合わせ温度に積層体を加熱しつつ、第一加圧部材と第二加圧部材との間で該積層体を、軟化した加圧クッション層を介して加圧することにより、化合物半導体層と素子基板とを貼り合わせることができる。
既に説明した通り、化合物半導体層に割れや欠けが発生する要因は、この貼り合わせ圧力の面内分布が不均一になることに集約される。こうした貼り合わせ圧力の不均一化は、素子基板や化合物半導体層に生じている厚さ不均一や反りにより助長される。このうち、素子基板の厚さ不均一は、研削、研磨ないしエピタキシャル成長の不均一によって生ずることが多い。研削、研磨あるいはエピタキシャル成長が不均一になると、基板の主表面は互いに平行とならず、一方が他方に対して傾斜することになり、その傾斜の向きに対応して基板厚さの不均一が生じ、化合物半導体層を重ねて積層体とした後も、その積層体の厚さ不均一となって引き継がれる。また、反りの問題は、成長用基板上にヘテロエピタキシャル成長される化合物半導体層において、該成長用基板とエピタキシャル層との格子定数の不一致や線膨張係数の相違等により発生しやすい。いずれの場合も、積層体の肉厚部や反りによる突出部には、加圧部材の加圧面が偏って当たるため加重が集中しやすく、化合物半導体層の割れや欠けの直接的な要因となるのである。
そこで、少なくともどちらかの加圧部材の金属本体と積層体との間に熱可塑性高分子材料からなる加圧クッション層を介在させ、その熱可塑性高分子材料が軟化する貼り合わせ温度を設定し、貼り合わせ時に加圧クッション層を軟化させた状態とする。そして、その軟化した加圧クッション層を介して上記貼り合わせ温度にて、第一加圧部材と第二加圧部材との間で積層体を加圧することにより貼り合わせを行なう。軟化した加圧クッション層は流動性を示すので、積層体に厚さの不均一や反り等を生じていても、貼り合わせの加圧により積層体(もしくは該積層体と加圧部材との間に介在する別部材:例えば、化合物半導体層に結合される後述の仮支持基板)との接触面に倣うように変形し、結果として積層体に対し面内方向に均一に加圧力を付加することができる。従って、貼り合わせの対象となる化合物半導体層がごく薄い場合でも、上記のような厚さ不均一や反りの影響による割れ(前述のミクロクラック含む)や欠けの発生を極めて効果的に防止ないし抑制することができる。
特に、積層体を形成する化合物半導体層に反りが生じている場合は、加圧クッション層を介した均一な圧力付加により、該反りを矯正しつつ素子基板への貼り合わせを行なうことができるようになる。具体的には、化合物半導体層に生じている反りが、化合物半導体層の主表面外径をd(mm)、化合物半導体層に生じている反りの厚さ方向の変位をu(μm)として、u/dの値にて7(μm/mm)以下の範囲に収まっている場合は、加圧クッション層を用いることにより、割れ欠けの発生を抑制した状態で、化合物半導体層を素子基板に対し反りを矯正しつつ貼り合わせることができる。
加圧クッション層は、(加圧部材の)金属本体の表面に形成された高分子材料コーティング層とすることができる。加圧クッション層を高分子材料コーティング層の形で加圧部材の加圧面に一体化することで、積層体を加圧部材間に配置する際に、加圧クッション層の準備に工数がかからなくなり、ひいては貼り合わせ工程の高能率化を図ることができる。一方、加圧クッション層は、金属本体と積層体との間に着脱可能に挿入される高分子材料シートとすることもできる。加熱状態で加圧を反復すれば、加圧クッション層は徐々に消耗し、また永久変形も蓄積されてゆくので、適当な回数で交換する必要がある。加圧クッション層を上記のような高分子材料シートにて形成しておけば、寿命が到来したときの交換が非常に容易である。他方、高分子材料コーティング層として形成する場合は、寿命到来した古いコーティング層を研磨等により除去して、新しいコーティング層を再形成する必要がある。
上記の高分子材料コーティング層又は高分子材料シートはフッ素系樹脂にて構成することができる。フッ素系樹脂は耐熱性に優れ、大気中でも比較的高温まで安定性を保ち、金属等との反応も起こしにくい上、表面の摩擦係数も小さい。従って、積層体への樹脂の付着や、擦れ等により積層体を傷つけたりする不具合を生じにくく、また、加圧部材の金属本体との反応による変質等も起こしにくい。本発明に使用可能なフッ素系樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、4‐フルオロエチレン‐6‐フルオロプロピレン共重合体(FEP)、4‐フルオロエチレン‐パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、4‐フルオロエチレン‐エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニルフルオライド(PVF)、フルオロエチレン‐炭化水素系ビニルエーテル共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCT)などを例示できる。
他方、化合物半導体層の第一主表面側に、加圧クッション層をなす熱可塑性高分子材料からなる高分子材料結合層を介して仮支持基板を貼り合わせ、積層体を該仮支持基板とともに第一加圧部材と第二加圧部材との間で貼り合わせ加圧しつつ貼り合わせ温度に加熱することもできる。この方法によると、高分子材料結合層が加圧クッション層として機能することによる効果に加え、薄い化合物半導体層に仮支持基板が貼り合わされていることで、積層体を形成する際の化合物半導体層のハンドリングが極めて容易になる利点も生ずる。
発光素子は、化合物半導体層の光取出面となる第一主表面の一部を覆う形で光取出面側電極が形成される一方、該化合物半導体層の第二主表面に、発光層部からの光を光取出面側に反射させる反射面を有した金属層を介して素子基板が貼り合わされたものとすることができる。この場合、前記の積層体は、素子基板、金属層及び化合物半導体層がこの順序にて積層され、かつ、金属層と化合物半導体層との間に、該化合物半導体層と該金属層との接触抵抗を低減するための貼り合わせ側接合合金化層を配置したものとして形成することができる。反射率の高い金属層を介して貼り合わせを行なうことで、発光素子の光取出し効率を向上させることができる。この場合、化合物半導体層と金属層との接触抵抗を低減するために、両者の間には接合金属層を分散配置して熱処理により合金化する工程が必須である。これを考慮して本発明の発光素子の製造方法は、仮支持基板を用いて以下のように実施することができる。すなわち;
成長用基板の第一主表面上に化合物半導体層をエピタキシャル成長する化合物半導体層成長工程と、
化合物半導体層の第一主表面側に光取出面側電極を形成する光取出面側電極形成工程と、
化合物半導体層の第二主表面側に成長用基板が付随した状態で、光取出面側電極が形成された化合物半導体層の第一主表面に結合層を介して仮支持基板を貼り合わせ、その後、成長用基板を除去することにより、化合物半導体層と仮支持基板とが貼り合わされた仮支持貼り合わせ体を形成する仮支持貼り合わせ体形成工程と、
成長用基板の除去により露出した化合物半導体層の第二主表面に貼り合わせ側接合金属層を形成する貼り合わせ側接合金属層形成工程と、
貼り合わせ側接合金属層を化合物半導体層と合金化させて貼り合わせ側接合合金化層とする貼り合わせ側合金化熱処理を、仮支持貼り合わせ体の状態で行なう貼り合わせ側合金化熱処理工程と、
該貼り合わせ側合金化熱処理の終了後に、貼り合わせ温度を貼り合わせ側合金化熱処理工程よりも低温に設定して貼り合わせ処理を行なうことにより、該化合物半導体層の第二主表面に金属層を介して素子基板を貼り合せた素子基板貼り合わせ体を作成する素子基板貼り合わせ工程と、
素子基板貼り合わせ体から仮支持基板を分離する仮支持基板分離工程と、をこの順序にて実施する。
上記の方法によると、成長用基板の第一主表面上に化合物半導体層をエピタキシャル成長した後、さらにその第一主表面側に光取出面側電極を形成する。そして、該光取出面側電極が形成された化合物半導体層の第一主表面に、結合層を介して仮支持基板を貼り合わせ、さらに、成長用基板を化学エッチング等により除去する。仮支持基板が貼り合わされていることにより、成長用基板が除去されても化合物半導体層には仮支持基板が補強体として随伴しているので、エッチング中の泡アタック等により化合物半導体層が破損する不具合を効果的に防止できる。
III−V族化合物半導体からなる化合物半導体層の場合、接合金属層は、例えばAu、AgあるいはAlを主成分(50質量%以上)とし、コンタクト用合金成分として、Ge、Sb、Sn、Be及びZnの1種又は2種以上を含有したものを使用することができる。AuGe、AuGeNi、AuSn、AuSbはn型半導体層との接触抵抗低減効果に優れ、AuZn及びAuBeはp型半導体層との接触抵抗低減効果に優れる。このような接合金属層に対する合金化熱処理は、300℃以上450℃以下の温度で行うことが好ましい。合金化熱処理温度が300℃未満では化合物半導体層と接合金属層との合金化が十分に進まず、接触抵抗増大につながる。他方、450℃より高温では合金化の効果は飽和し、むしろ、発光層部への合金成分拡散や発光層部内のドーパント濃度プロファイルの拡散劣化などを防止する観点からは、温度を不必要に高く設定することは得策でないので、合金化熱処理の温度の上限は450℃に設定する。また、合金化熱処理温度は比較的高温であるため、化合物半導体層の酸化劣化等を防止するために、その処理はアルゴンや窒素などの不活性ガス雰囲気中で行なう。
上記の方法によれば、成長用基板が除去された化合物半導体層の第二主表面に貼り合わせ側接合金属層を形成した後、合金化熱処理をまず行ない、その後、該化合物半導体層の第二主表面に金属層を介して素子基板を貼り合せる。これにより、貼り合わせ側接合金属層と接した状態で貼り合わせ用の金属層に合金化熱処理の熱履歴が加わることがなくなり、貼り合わせ側接合金属層の成分(特に、コンタクト用合金成分)が金属層面内に拡散して反射率を落とす不具合を効果的に防止できる。
また、光取出面側電極自身又は該光取出面側電極と化合物半導体層との間に配置された光取出面側接合金属層と、化合物半導体層とを合金化するための光取出側合金化熱処理を、上記素子基板貼り合わせ工程の前に実施する。その結果、光取出面側電極と化合物半導体層との接触抵抗を十分に低減できる。そして、光取出面側電極の合金化熱処理もまた素子基板の貼り合わせ前に行なわれるので、その熱履歴により貼り合わせ側接合金属層の成分が金属層面内に拡散して反射率を落とす不具合を防止できる。また、化合物半導体層の第二主表面側と、反射金属層の反射面側との合金化も抑制されるため、これも反射率向上に寄与する。
光取出側合金化熱処理の実施のタイミングは、素子基板貼り合わせ工程の前であればよく、以下のような種々のパターンから選択できる:
(1)仮支持基板の貼り合わせ前に実施する;
(2)仮支持基板の貼り合わせ後、貼り合わせ側合金化熱処理工程前に別途実施する;
(3)貼り合わせ側合金化熱処理工程を光取出側合金化熱処理に兼用する。
このうち、(3)の工程が工数削減に最も寄与することは明らかである。
特に、前述の本発明の製造方法の第二を採用する場合、貼り合わせ温度を、上記の合金化熱処理温度よりはるかに低温である200℃以上280℃以下で行なうので、均一に貼り合わせを行なうため、その設定圧力及び貼り合わせ温度での保持時間が10分以上と長いにもかかわらず、接合金属層の成分(特に、接触抵抗を低減するための合金成分)が金属層面内に拡散する不具合を効果的に抑制できる。
次に、仮支持貼り合わせ体形成工程においては、高分子材料結合層を介して化合物半導体層に仮支持基板を貼り合わせることができる。この場合、仮支持基板分離工程において、高分子材料結合層を加熱して軟化させることにより、素子基板貼り合わせ体から仮支持基板を分離することができる。高分子材料結合層は熱可塑性高分子材料(ワックスを含む)にて構成されるので、化合物半導体層上への塗布も容易であり、また、仮支持基板が工程上不要となった場合は、高分子材料結合層を加熱軟化させることにより容易に化合物半導体層から分離することができる。
なお、加圧クッション層は、仮支持基板を積層体(の化合物半導体層)に結合するための高分子材料結合層とともに、加圧部材の金属本体と積層体(あるいは仮支持基板)との間に配置される、前述の高分子材料コーティング層ないし高分子材料シートとを併用することも可能である。これにより、貼り合わせ時に化合物半導体層に割れや欠け等が生ずることを、一層効果的に抑制することができる。
次に、本発明の発光素子の製造方法においては、上記の高分子材料結合層を加熱して軟化させた後、積層体に対する貼り合わせ加圧の昇圧を開始することが望ましい。該方法によると、高分子材料結合層を予め軟化させ、流動性を高めておいてから貼り合わせ加圧の昇圧を開始することで、積層体に付加される加圧力の均一化効果をより高めることができ、ひいては積層体に含まれる化合物半導体層の割れ等を効果的に防止することができる。
素子基板としてSi基板を用いる場合、化合物半導体層の第二主表面に金属層の一部となるべき第一Au系金属層を形成し、他方、Si基板の貼り合わせ面に金属層の一部となるべき第二Au系金属層を形成し、第一Au系金属層と第二Au系金属層とを貼り合わせにより結合することができる。貼り合わせ温度のさらなる低温化を図るためには、加圧クッション層として高分子材料コーティング層又は高分子材料シートのいずれかと高分子材料結合層とを併用し、かつ、高分子材料結合層として高分子材料コーティング層又は高分子材料シートを形成する熱可塑性高分子材料よりも軟化温度の低いものを採用することができる。そして、貼り合わせ温度以下であって高分子材料結合層が軟化する中間温度に積層体を加熱し、該中間温度への到達以降に積層体に対する貼り合わせ加圧の昇圧を開始し、該昇圧開始後に積層体を中間温度から貼り合わせ温度に向けて昇温する。中間温度への加熱により高分子材料結合層を十分に軟化させ、その状態で貼り合わせ加圧の最終的な設定圧力に向けた昇圧を開始することで、積層体の温度があまり上昇しない状態で2つのAu系金属層同士に均一に加圧力を付加できる。その結果、Si基板側からAu系金属層へのSi拡散を抑制しつつ、第一Au系金属層と第二Au系金属層との清浄な主表面同士を互いに密着しあった状態とすることができる。そして、該加圧の途上で積層体を中間温度から貼り合わせ温度に向けてさらに昇温することにより、清浄な状態で密着しあった第一Au系金属層と第二Au系金属層とを拡散接合することができ、比較的短時間で強固な貼り合わせ状態を得ることができる。該効果は、中間温度に積層体を保持した状態で、積層体に対する貼り合わせ加圧の昇圧を開始することで一層高められる。
加圧クッション層を設ける場合も、貼り合わせ加圧の設定圧力は5kPa以上1000kPa以下、貼り合わせ温度を200℃以上280℃以下、設定圧力での保持時間を10分以上60分以下に設定して貼り合わせを行なうことが、やはり望ましい。設定圧力が上記の下限値未満となった場合、加圧クッション層がある程度軟化していても、圧力不足のため上記追従変形が十分に進行せず、均一な貼り合わせ状態が得にくくなる。また、貼り合わせ温度が上記の下限値未満となった場合、貼り合わせ状態を形成するためのAu系金属層間の相互拡散速度が低下するとともに、加圧クッション層の軟化も不足しがちとなり、均一な貼り合わせ状態が得にくくなる。また、保持時間が10分未満では、加圧クッション層の追従変形のための流動が不足しやすいこととも相俟って、貼り合わせ面内全域に渡ってAu系金属層間の相互拡散を均一に進行させることが困難となり、結果的に均一な貼り合わせ状態が得られなくなる。
他方、最終圧力が上限値を超えた場合は薄い化合物半導体層に割れやクラックが生じやすくなる。また、貼り合わせ温度が上限値を超えた場合は、Si基板からのSi拡散により反射率低下等の不具合を生じやすくなる。さらに、保持時間が60分を超えることは、貼り合わせ工程の能率を考慮すると望ましくないし、Si基板からのSi拡散により反射率が低下する懸念も増加する。
以下、本発明に係る発光素子の製造方法の実施形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の適用対象となる発光素子の概念図である。該発光素子100は、素子基板としてのシリコン単結晶よりなるシリコン基板7(本実施形態ではn型であるがp型でもよい)の第一主表面上に、金属層としてのAu系金属層10を介して発光層部24が貼り合わされた構造を有してなる。本実施形態において各層及び基板の主表面は、図1のごとく、発光素子100の光取出面PFを上側にした状態を正置状態として、該正置状態における図面上側に表れる面を第一主表面、下側に表れる面を第二主表面として統一的に記載する。従って、工程説明の都合上、上記正置状態に対し上下を反転した転置状態にて図示を行なう場合は、該図示における第一主表面と第二主表面の上下関係も反転する。
発光層部24は、ノンドープの(AlGa1−xIn1−yP(ただし、0≦x≦0.55、0.45≦y≦0.55)混晶からなる活性層5を、第一導電型クラッド層、本実施形態ではp型(AlGa1−zIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるp型クラッド層6と、第一導電型クラッド層とは異なる第二導電型クラッド層、本実施形態ではn型(AlGa1−zIn1−yP(ただしx<z≦1)からなるp型クラッド層4とにより挟んだ構造を有し、活性層5の組成に応じて、発光波長を、緑色から赤色領域(発光波長(ピーク発光波長)が550nm以上670nm以下)にて調整できる。
発光層部24の第一主表面上には、AlGaAs(AlInPでもよい)からなる電流拡散層20が形成され、発光層部24とともに化合物半導体層50を構成している。電流拡散層20の第一主表面の略中央には、発光層部24に発光駆動電圧を印加するための光取出面側電極9(例えばAu電極)が形成されている。該光取出面側電極9と電流拡散層20との間には、光取出側接合合金化層としてのAuBe接合合金化層9a(例えばBe:2質量%)が配置されている。そして、電流拡散層20の第一主表面における光取出面側電極9の周囲の領域が、発光層部24からの光取出領域PFを形成している。なお、光取出面側電極9の全体をAuBe合金にて構成し、接合合金化層9aを省略することも可能である。電流拡散層20の厚さが5μm未満では面内の電流拡散効果が低下して光取出し効率の低下を招く場合がある。他方、電流拡散層20の厚さが28μmを超えると、該電流拡散層20をエピタキシャル成長する際の熱履歴により発光層部24の活性層5へのドーパント拡散が進み、発光効率の低下につながる場合がある。なお、本実施形態では、p型クラッド層6が光取出面側に位置する積層形態としているが、n型クラッド層4が光取出面側に位置する積層形態としてもよい(この場合、電流拡散層20はn型にする必要があり、また、接合合金化層9aはAuGeNi等で構成する)。
n型クラッド層4及びp型クラッド層6の厚さは、例えばそれぞれ0.8μm以上4μm以下(望ましくは0.8μm以上2μm以下)であり、活性層5の厚さは例えば0.4μm以上2μm以下(望ましくは0.4μm以上1μm以下)である。発光層部24全体の厚さは、例えば2μm以上10μm以下(望ましくは2μm以上5μm以下)である。さらに、電流拡散層20の厚さは、例えば5μm以上28μm以下(望ましくは8μm以上15μm以下)である。従って、化合物半導体層50の厚さは、例えば7μm以上38μm以下(望ましくは5μm以上15μm以下)である。
他方、シリコン基板7の裏面には、その全体を覆うように裏面電極(例えばAu電極である)15が形成されている。該裏面電極15とシリコン基板7との間には基板側接合合金化層として、AuSb接合合金化層16が介挿されている。なお、AuSb接合合金化層16に代えてAuSn接合合金化層を基板側接合合金化層として用いてもよい。
シリコン基板7は、Si単結晶インゴットをスライス・研磨して製造されたものであり、その厚みは例えば100μm以上500μm以下である。そして、発光層部24に対し、Au系金属層10を挟んで貼り合わされている。Au系金属層10は、化合物半導体層50側の第一Au系金属層10aと、シリコン基板7側の第二Au系金属層10bとが貼り合わせにより一体化したものであり、見かけ上は単一のAu系金属層である。これら第一Au系金属層10a及び第二Au系金属層10b(ひいてはAu系金属層10)は、純AuもしくはAu含有率が95質量%以上のAu合金よりなる。
発光層部24とAu系金属層10(第一Au系金属層10a)との間には、貼り合わせ側接合合金化層としてAuGeNi接合合金化層31(例えばGe:15質量%、Ni:10質量%)が形成されており、素子の直列抵抗低減に貢献している。AuGeNi接合合金化層31は、Au系金属層10の第一主表面上に分散形成されている。接合合金化層31は、Au系金属層10と化合物半導体層50との接合界面において、それぞれ、一部が化合物半導体層50側に食い込み、残余の部分がAu系金属層10に食い込んでいる。
また、従来の発光素子においては、図16に示すように、後述する貼り合わせ工程にて荷重集中しやすい接合合金化層31の周囲に、脆い化合部半導体層50へのミクロクラック(microcrack)MCが多数発生する傾向にあった。しかし、後述の本発明特有の製造工程を採用することにより、図15に示すように、上記のようなミクロクラックMCの形成が抑制される。具体的には、分散形成された接合合金化層31の総数をNとし、個々の接合合金化層31のうち、その周囲において該接合合金化層31と接触する化合物半導体層50にクラックを生じているものの個数をN1としたとき、N1/Nが0.05以下(つまり、5%以下、望ましくは1%以下)とされている。
図1に戻り、シリコン基板7と第二Au系金属層10bとの間には、基板側接合合金化層としてAuSb接合合金化層32(例えばSb:2質量%)が介挿されている。なお、AuSb接合合金化層32に代えてAuSn接合合金化層を用いてもよい。また、本実施形態においては、該AuSb接合金属層32の全面が、後述の貼り合わせ熱処理時においてシリコン基板7からのSi成分がAu系金属層10へ拡散するのを防ぐ拡散阻止層(具体的にはTi層である)10cにより覆われている。拡散阻止層10cの厚さは1nm以上10μm以下(本実施形態では200nm)である。なお、拡散阻止層はTi層に代えてNi層又はCr層にて構成してもよい。また、Au系金属層10(第二Au系金属層10b)は、該拡散阻止層10cの全面を覆う形でこれと接するように配置されている。
金属層をなすAu系金属層10は、本実施形態では反射層も兼ねるものとなっている。発光層部24からの光は、光取出面側に直接放射される光に、Au系金属層10による反射光が重畳される形で取り出される。Au系金属層10の厚さは、反射効果を十分に確保するため、80nm以上とすることが望ましい。また、厚さの上限には制限は特にないが、反射効果が飽和するため、コストとの兼ね合いにより適当に定める(例えば1μm以下)。なお、反射層も兼ねる金属層としてはAg系層の使用も可能である。例えば、第一Au系金属層10a及び第二Au系金属層10bに代え、第一Ag系層及び第二Ag系層を形成して両者を貼り合せることができる。この場合、貼り合わせ側接合合金化層は、AgGeNiなどのAg系材料にて構成することもできる。
以下、上記発光素子100の製造方法の具体例について説明する。
まず、図2の工程1に示すように、成長用基板をなすGaAs単結晶基板1の主表面に、n型GaAsバッファ層2を例えば0.5μm、AlAsからなる剥離層3を例えば0.5μm、この順序にてエピタキシャル成長させる。その後、発光層部24として、n型クラッド層4(厚さ:例えば1μm)、AlGaInP活性層(ノンドープ)5(厚さ:例えば0.6μm)、及びp型クラッド層6(厚さ:例えば1μm)を、この順序にエピタキシャル成長させる。発光層部24の全厚は2.6μmである。また、さらにp型AlGaAsよりなる電流拡散層20を例えば5μmエピタキシャル成長させる。これら各層のエピタキシャル成長は、公知のMOVPE法により行なうことができる。Al、Ga、In、P及びAsの各成分源となる原料ガスとしては以下のようなものを使用できる;
・Al源ガス;トリメチルアルミニウム(TMAl)、トリエチルアルミニウム(TEAl)など;
・Ga源ガス;トリメチルガリウム(TMGa)、トリエチルガリウム(TEGa)など;
・In源ガス;トリメチルインジウム(TMIn)、トリエチルインジウム(TEIn)など。
・P源ガス;ターシャルブチルホスフィン(TBP)、ホスフィン(PH)など。
・As源ガス;ターシャルブチルアルシン(TBA)、アルシン(AsH)など。
また、ドーパントガスとしては、以下のようなものを使用できる;
(p型ドーパント)
・Mg源:ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(CpMg)など。
・Zn源:ジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DEZn)など。
(n型ドーパント)
・Si源:モノシランなどのシリコン水素化物など。
これによって、GaAs単結晶基板1上に発光層部24及び電流拡散層20からなる化合物半導体層50が形成される。該化合物半導体層50の厚さは7.6μmであり、GaAs単結晶基板1を除去した場合、これを単独で無傷にハンドリングすることは事実上不可能である。なお、化合物半導体層50の第一主表面には、この段階でAuBe接合金属層9a’(光取出面側接合合金化層)とこれを覆う光取出面側電極9をパターニング形成する。このあと、引き続き光取出側合金化熱処理を行ってAuBe接合金属層9a’を接合合金化層9aとしてもよいが、本実施形態では該光取出側合金化熱処理を、後述のAu系金属層10a側のAuGeNi接合合金化層31を形成する際の合金化熱処理に兼用させている。
次に、工程2に示すように、化合物半導体層50の第一主表面に高分子材料結合層111(後に加圧クッション層としても機能する)を、光取出面側電極9を覆う形態で塗付形成する。そして、工程3に示すように、高分子材料結合層111を加熱軟化させた状態で、別途用意した仮支持基板110を重ね合わせて密着させ、その後冷却して該高分子材料結合層111を硬化させることにより、化合物半導体層50と仮支持基板110とを高分子材料結合層111を介して貼り合わせた仮支持貼り合わせ体120を作成する(工程3)。なお、高分子材料結合層111を仮支持基板110に塗布形成し、これに化合物半導体層50を貼り合わせて仮支持貼り合わせ体120を形成してもよい。この時点では、化合物半導体層50の第二主表面側には、成長用基板であるGaAs単結晶基板1が付随した状態となっている。
仮支持基板110の材質は、後述の合金化熱処理時においても剛性を保ち、かつ、ガス発生等が少ない材料で構成する。具体的には、シリコン基板やセラミック板(例えばアルミナ板)、あるいは金属板等で構成することができる。その厚さは、例えば100μm以上500μm以下であるが、もっと厚くてもよい。他方、高分子材料結合層111としては、ホットメルト型接着剤やワックス類を用いることができ、具体的には、不活性ガス雰囲気中にて300℃以上450℃以下の温度範囲で後述の合金化熱処理を行なう際に、高分子材料結合層111の気化による化合物半導体層50の損傷等を避けるため、該300℃以上450℃以下の温度域での蒸気圧(定容積条件で測定した平衡蒸気圧とする)が10torr以下のものを使用する。このような高分子材料結合層111の形成に適したワックスの市販品としては、アピエゾン・ワックスW(M&I Materials Ltd.社製)、スペースリキッド(日化精工社製)あるいはプロテクトワックス等を例示することができる。
次に、図3の工程4に示すように、仮支持貼り合わせ体120に付随している成長用基板としてのGaAs単結晶基板1を除去する。該除去は、例えば仮支持貼り合わせ体120(工程3参照)をGaAs単結晶基板1とともにエッチング液(例えば10%フッ酸水溶液)に浸漬し、バッファ層2と発光層部24との間に形成したAlAs剥離層3を選択エッチングすることにより、該GaAs単結晶基板1を仮支持貼り合わせ体120から剥離する形で実施することができる。なお、AlAs剥離層3に代えてAlInPよりなるエッチストップ層を形成しておき、GaAsに対して選択エッチング性を有する第一エッチング液(例えばアンモニア/過酸化水素混合液)を用いてGaAs単結晶基板1をGaAsバッファ層2とともにエッチング除去し、次いでAlInPに対して選択エッチング性を有する第二エッチング液(例えば塩酸:Al酸化層除去用にフッ酸を添加してもよい)を用いてエッチストップ層をエッチング除去する工程を採用することもできる。
このようにして、GaAs単結晶基板1が除去された化合物半導体層50は、加圧クッション層としても機能する高分子材料結合層111を介して仮支持基板110と貼り合わされ、仮支持貼り合わせ体120を形成している。従って、化合物半導体層50がごく薄いにもかかわらず、GaAs単結晶基板1のエッチング除去時に泡等の衝撃で破壊される不具合を生じにくく、かつ、GaAs単結晶基板1の除去後も仮支持貼り合わせ体120の形で補強されているために、以降の工程に供する際のハンドリングを容易に行なうことが可能となる。
また、図10に示すように、仮支持基板110を貼り合わせない状態で成長用基板1を除去した場合、該成長用基板1上にエピタキシャル成長された化合物半導体層50には、成長用基板1との格子定数不一致や線膨張係数の相違等に起因した残留応力により強い反りを生ずる(なお、反り変位uは、層ないし基板を水平面上においたときの見かけの高さHから、層ないし基板の実厚さt0を減じた値として定義する)。しかし、図11に示すように、反りの小さい仮支持基板110を、高分子材料結合層111を介して化合物半導体層50に貼り合わせ、その状態で成長用基板1を除去すれば、化合物半導体層50が仮支持基板110に面内に引張られる形で矯正され、反り変位uを小さくすることができる。なお、成長用基板1を除去したあとの仮支持貼り合わせ体120(ひいては該仮支持貼り合わせ体120内の化合物半導体層50)の反り変位u(μm)は、化合物半導体層50の主表面外径をd(mm)として、u/dの値にて7(μm/mm)以下の範囲以下に収まるよう、エピタキシャル成長の条件や、発光層部24ないし電流拡散層20の組成及び厚さを調整しておくことが望ましい。発光層部24を構成するAlGaInP化合物は、結晶欠陥等をできるだけ少なくして内部量子効率を向上させるために、GaAs単結晶からなる成長用基板1との格子不整合率が可及的に縮小される組成が選択される。
次に、工程5に示すように、上記仮支持貼り合わせ体120の状態で、GaAs単結晶基板1の除去により露出した化合物半導体層50の第二主表面にAuGeNi接合金属層31’を分散形成し、さらに該AuGeNi接合金属層31’をAuGeNi接合合金化層31とするための貼り合わせ側合金化熱処理を行なう。このとき、光取出面側電極9に対するAuBe接合金属層9a’の合金化も同時に行なうことができる(つまり、光取出側合金化熱処理にも兼用されている)。なお、化合物半導体層50の第二主表面の全面積に対するAuGeNi接合金属層の形成面積率は1%以上25%以下とする。
AuGeNi接合金属層31’の成膜は、真空雰囲気にてスパッタリングあるいは真空蒸着等により行なわれる。具体的には該成膜を、温度60℃以上150℃以下、真空度(圧力)1×10−6torr以上1×10−4torr以下の条件下で行なう(必要であれば、仮支持貼り合わせ体120を図示しないヒータにより加熱することができる)。高分子材料結合層111として、上記温度範囲での蒸気圧が1×10−6torr以下のものを採用することで(前述の市販品はこの条件も満たす)、成膜される接合金属層31’の品質が、高分子材料結合層111からのガスにより低下する不具合を効果的に防止できる。
合金化熱処理は、300℃以上450℃以下の温度の不活性ガス雰囲気下で実施され、具体的には、大気圧と同程度のN等の不活性ガス雰囲気下で行なうことができる。使用する高分子材料結合層111は、上記温度範囲での蒸気圧が10torr以下であるので、高分子材料結合層111の急激な気化により化合物半導体層50が破損する不具合を効果的に防止できる。
また、シリコン基板7を別途用意し、その両主表面にAuSb接合金属層を形成して、さらに250℃以上360℃以下の温度域で合金化熱処理を行なうことにより、それぞれAuSb接合合金化層32,16とする。このうち、AuSb接合合金化層32上には、続く素子基板貼り合わせ工程においてシリコン基板7の成分が第二Au系金属層10bへ拡散するのを阻止する拡散阻止層10cを形成しておく。AuSb接合合金化層32の合金化熱処理は、Si拡散阻止層10cを形成後に行なう。他方、AuSb接合合金化層16上には裏面電極15を形成する。
次に、素子基板貼り合わせ工程を行なう。具体的には、図3の工程6に示すように、仮支持貼り合わせ体120の状態で、化合物半導体層50の第二主表面に第一Au系金属層10aを形成し、他方、シリコン基板7の第一主表面側に第二Au系金属層10bを形成する。なお、各Au系金属層の形成は、真空雰囲気(スパッタリングあるいは真空蒸着等により)にて行なうことができる。具体的には、温度60℃以上150℃以下、真空度(圧力)1×10−6torr以上1×10−4torr以下の条件にて成膜を行なう。仮支持貼り合わせ体120側の第一Au系金属層10aを形成する場合は、高分子材料結合層111として、上記温度域での蒸気圧が1×10−6torr以下のものを採用することにより、高分子材料結合層111からのガスで、成膜されるAu系金属層の品質が低下する不具合を効果的に防止できる。
そして、仮支持貼り合わせ体120の第一Au系金属層10aとシリコン基板7の第二Au系金属層10bとを重ね合わせる。化合物半導体層50は、素子基板であるシリコン基板7と重ね合わされて積層体130を形成する。なお、化合物半導体層50の第一主表面には仮支持基板110が高分子材料結合層111を介して貼り合わされているので、該仮支持基板110付の積層体130を仮支持積層体130’と称することにする。そして、該仮支持積層体130’を、抵抗発熱ヒータ49が内蔵された第一加圧部材51と第二加圧部材52との間に配置し、抵抗発熱ヒータ49によって加熱しつつ両加圧部材51,52間で加圧して、第一Au系金属層10aと第二Au系金属層10bとを貼り合わせる(図5)。抵抗発熱ヒータ49は各加圧部材51,52の金属本体51a,52aに埋設され、金属本体51a,52aの加圧面には、熱可塑性のフッ素系樹脂(本実施形態ではポリテトラフルオロエチレン(商標名:テフロン))からなる、加圧クッション層としての高分子材料コーティング層150が、例えば50μm以上300μm以下の厚さにて形成されている。前述の高分子材料結合層111は、フッ素系樹脂からなる高分子材料コーティング層150よりも軟化温度が低いものが選定されている(例えば、ガラス転移温度が80℃以上90℃以下のものである)。
貼り合わせ工程の詳細を図6に、また、貼り合わせ工程中の圧力と温度との制御パターンを図7にそれぞれ例示している。図6の工程1に示すように、抵抗発熱ヒータ49を発熱させ、最終的な貼り合わせ温度θ2よりも低い中間温度θ1まで加熱する。中間温度θ1は、例えば80℃以上150℃以下の範囲で、仮支持基板110を貼り合せている高分子材料結合層111(加圧クッション層)が軟化するように設定される。この状態で、仮支持積層体130’を両加圧部材51,52間に配置し、該仮支持積層体130’(ひいては高分子材料結合層111)の温度が上記中間温度θ1に安定するまで若干待機する。
仮支持積層体130’の温度が上記中間温度θ1に到達すれば、工程2に示すように、該中間温度θ1に保持した状態で、仮支持積層体130’への貼り合わせ加圧を開始する。この加圧は、両加圧部材51,52を駆動機構により相対的に接近させることにより行なう。高分子材料結合層111が予め十分に軟化していることで、該高分子材料結合層111は、反りや厚さ不均一を生じた化合物半導体層50の形状に追従して変形する。これにより、仮支持基板110側からの加圧力を面内に均一に伝達する圧力伝達媒体として機能し、化合物半導体層50の割れや、図16に示すようなミクロクラックMCの発生防止に効果を発揮する。特に、化合物半導体層50に反り変形が生じている場合、高分子材料結合層111の流動性を高めておくことで、化合物半導体層50の変形に対する拘束も弱まるので、割れやミクロクラックの防止効果は一層顕著となる。なお、中間温度θ1付近での昇温速度を小さくすれば、中間温度θ1での等温保持を必ずしも行なわなくてよい場合がある。
なお、化合物半導体層50やSi基板7あるいは仮支持基板110の厚さ不均一や、高分子材料結合層111の塗付厚さの不均一等により、仮支持積層体130’の両主表面が傾斜している場合は、加圧部材51,52の加圧面同士が互いに平行となるように軸合わせされた油圧式や機械式の一軸駆動機構を用いると、加圧部材51,52の加圧面が仮支持積層体130’の主表面に偏って当たり、加圧力の不均一化が著しくなる。そこで、図9に示すように、第二加圧部材52の加圧面法線方向Oを可変に構成し、仮支持積層体130’の2つの主表面が互いに傾斜している場合は、第二加圧部材の加圧面法線O方向が仮支持積層体130’の第二主表面の法線方向Oと一致するように、該第二加圧部材52の仮支持積層体130’に対する加圧姿勢を矯正しつつ加圧駆動する加圧駆動機構53を設けておくとよい。第一加圧部材51の加圧面法線方向Oを固定にしておけば、第一加圧部材51の加圧面法線O方向も仮支持積層体130’の第一主表面の法線Oと一致した状態となる。例えば、加圧駆動機構53は、第二加圧部材52を、仮支持積層体130’に面しているのと反対側から流体圧を介して加圧駆動する流体加圧機構として構成することができる。該加圧駆動機構53の要部は、充填空間形成体55と可撓性密閉部材56とを有する。充填空間形成体55は、第二加圧部材52に対し、仮支持積層体130’に面しているのと反対側に加圧流体Fの充填空間54を形成し、該第二加圧部材52とともに充填空間54の区画壁の一部をなす。また、可撓性密閉部材56は、充填空間形成体55と第二加圧部材52とを充填空間54を密閉する形で連結するとともに、充填空間54内に加圧流体Fが圧入されたときの、第二加圧部材52の仮支持積層体130’に対する加圧姿勢の変化を吸収する働きをなす。加圧流体Fとしては空気等の気体のほか、油や水などの液体を用いてもよい。充填空間54への加圧流体Fの圧入力により、加圧力を所期の値に調整できる。
化合物半導体層50側とSi基板7側とにそれぞれ形成したAu系金属層10a,10b同士の密着状態を高めるには、昇温下での加圧により柔らかいAu系金属層10a,10b同士の塑性流動的な追従変形を促して、反りに抗してAu系金属層10a,10b同士を均一に密着させつつ相互拡散を生じさせることが、均一で強固な貼り合わせ状態を得る上で重要である。加圧時の塑性流動的なAu系金属層10a,10b同士の追従変形には時間を要するため、設定圧力への昇圧速度を過度に大きく設定しすぎると、反りに抗したAu系金属層10a,10bの変形が昇圧に追従しきれなくなって、化合物半導体層50に割れやクラック、特に、図16のように、荷重集中しやすい接合合金化層31周囲へのミクロクラックが発生しやすくなる。また、加圧時の高分子材料結合層111の流動には一定の遅れが伴なうので、加圧に際しての昇圧速度を過度に大きく設定しすぎると、化合物半導体層50の形状に合わせた高分子材料結合層111の変形が昇圧に追従しきれなくなり、化合物半導体層50への割れやミクロクラックの発生が却って助長されることになる。従って、該昇圧速度は、このような不具合が生じないよう、例えば100kPa/分以下、望ましくは50kPa/分以下に設定するのがよい。ただし、過度に昇圧速度を小さくすることは貼り合わせ工程の能率低下にもつながるので、昇圧速度は1kPa/分以上に設定することが望ましい。
仮支持積層体130’(積層体130)は上記中間温度θ1から最終的な貼り合わせ温度θ2までさらに昇温する。貼り合わせ温度θ2は200℃以上280℃以下であり、2つのAu系金属層10a,10b同士の拡散が十分に進行し、他方、Si基板7から第二Au系金属層10bへのSi拡散はそれほど急速に進行せず(Si拡散素子層10cによりSi基板7からのSi拡散が抑制されていることの効果も大きい)、かつ、加圧クッション層をなす高分子材料コーティング層150が軟化するように設定されている。図8に示すように、高分子材料コーティング層150が軟化した状態で貼り合わせ加圧を行なうと、反りを生じた仮支持積層体130’の主表面側表層部が軟化した高分子材料コーティング層150に食い込み、仮支持積層体130’の主表面形状に追従して高分子材料コーティング層150が変形する。これにより、貼り合わせの加圧力をAu系金属層10a,10bの貼り合わせ界面に対し、より均一に付与することができ、割れやミクロクラック防止に有効となる。
また、本実施形態では、貼り合わせ温度θ2よりも低い中間温度θ1での保持中に、貼り合わせの加圧を開始し、その加圧に一定時間(図7においてはt1)遅れる形で、中間温度θ1から貼り合わせ温度θ2への昇温を開始するようにしている。中間温度θ1が十分に低く、しかも本実施形態では拡散阻止層10cを設けているので、Si基板7から第二Au系金属層10bへのSi拡散はそれほど進まず、第一Au系金属層10aとの貼り合わせ面(第一主表面)も清浄な状態に保たれている。その状態で、貼り合わせの加圧を開始することで、Au系金属層10a,10b同士をSi拡散により汚染されない状態で均一に密着させることができる。
なお、貼り合わせ温度θ2への昇温時において、仮支持積層体130’(積層体120)の温度分布が十分安定化しないうちに、最終的な設定圧力P3(5kPa以上1000kPa以下)までの昇圧を急速に行なうと、化合物半導体層50に割れを生じやすくなる。本実施形態では、図7に示すように、昇圧開始後において、最終的な設定圧力P3よりも低い中間圧力P2に到達したら、そこで昇圧を一旦中断し、該中間圧力P2を保ちつつ所定の時間t2だけ保持する(図6:工程3)。そして、この中間圧力P2での保持中に、中間温度θ1から貼り合わせ温度θ2への昇温を開始し、その昇温開始にt2だけ遅れる形で、設定圧力P3への昇圧を再開するようにしている(設定圧力P3まで時間t3にて到達している)。つまり、中間圧力P2での保持により設定圧力P3までの昇圧を作為的に遅らせ、その間に貼り合わせ温度θ2への昇温を先行させることによって、仮支持積層体130’の温度分布を安定化させるためのいわば時間稼ぎを行なうことができ、温度分布不均一による不都合な応力発生等を抑制した状態で、最終的な設定圧力P3への加圧を継続できるので、化合物半導体層50での割れ発生を効果的に抑制することができる。また、中間圧力P2で保持することで、Au系金属層10a,10b同士の密着状態をより均一化することができる。その結果、目視確認できるようなマクロな割れはもちろん、接合合金化層31の周囲における化合部半導体層50へのミクロクラック発生も、より効果的に抑制することができるようになる。
本実施形態では、中間圧力P2を最終設定圧力P3の50%以上70%以下に設定している。P2がP3の50%未満になると、Au系金属層10a,10b同士の密着状態の改善効果が不十分となる。他方、P2がP3の70%を超えると、化合物半導体層50での割れが生じやすくなる。また、中間圧力P2に至るまで、及び該中間圧力P2から最終設定圧力P3に至るまでの昇圧速度は、前述のごとくそれぞれ1kPa/分以上100kPa/分以下とすることで、化合物半導体層50への割れやミロクラックの発生を効果的に防止できる。ただし、図7に一点鎖線で示すように、中間圧力保持を省略し、該中間圧力保持期間をいわば吸収する形で、前後の期間の昇圧速度を減少させ、100kPa/分以下の一定の速度で設定圧力P3まで連続的に昇圧させることも可能である。
温度が貼り合わせ温度θ2に到達し、加圧力が設定圧力P3に到達したら、その状態で10分以上60分以下の範囲で保持する。これにより、第一Au系金属層10a及び第二Au系金属層10bとの間に、化合物半導体層50に多少の反りが生じていても割れやミクロクラック等を生ずることなく、全面に渡って極めて均一な貼り合わせ状態を形成することができる。
以上の一連の工程の作用・効果は以下のようにまとめることができる。すなわち、80℃以上150℃以下の中間温度θ1にて、1kPa/分以上100kPa/分以下に制御された条件で徐々に昇圧を行なうこと、さらには、設定圧力P3(5kPa以上1000kPa以下)の50%以上70%以下に調整された中間圧力P2にて保持を行なうことにより、軟化した高分子材料結合層111を介して第一Au系金属層10a及び第二Au系金属層10bとを均一に密着させることができ、両者の貼り合わせ界面にSi拡散の影響が及ぶことを効果的に防止できる。また、Si拡散素子層10cにより、Si基板7から第二Au系金属層10bへのSi拡散自体が抑制されていることの効果も大きい。そして、その中間温度θ1での保持中に加圧開始した後、貼り合わせ温度θ2に向けた昇温を再開することで、化合物半導体層50への割れやミクロクラック発生を効果的に抑制しつつ、仮支持積層体130’を貼り合わせ温度θ2及び設定圧力P3に到達させることができる。そして、その状態で10分以上60分以下の範囲で保持することにより、清浄な状態で密着した第一Au系金属層10a及び第二Au系金属層10b同士の拡散を、貼り合わせ面の全面に渡って均一に進行させることができ、極めて強固な貼り合わせ状態を得ることができる。また、貼り合わせ温度θ2が200℃以上280℃以下に設定されていることで、保持時間が60分以下に留まる限り、Si基板7からのSi拡散の影響も反射面(第一Au系金属層10aが形成する)に及びにくく、良好な反射率を達成できる。
なお、第一Au系金属層10a及び第二Au系金属層10bとは、いずれも酸化しにくいAuを主体に構成されているので、上記貼り合わせ熱処理は、例えば大気中でも問題なく行なうことができる。また、本実施形態の工程では、この段階で既に光取出側及び貼り合わせ側の各合金化熱処理が既に終わっており、貼り合わせ熱処理がそれよりも低温で実施されることにより、接合合金化層からの合金成分がAu系金属層10からなる反射面の面内に拡散することが効果的に抑制され、前述のコンタクト用合金成分拡散率を30%以下に留めることができ、ひいてはより反射率の高い反射面を得ることができる。
貼り合わせ熱処理が完了したら仮支持基板分離工程を行なう。仮支持基板分離工程は、図4の工程8に示すように、高分子材料結合層111を加熱・軟化させ、仮支持基板110を分離・除去する。なお、この分離は、工程7の貼り合わせ熱処理の際に同時に行なうことも可能である。その後、工程9に示すように、化合物半導体層50の第一主表面上に残存している高分子材料結合層111を、トルエンやケトン系溶剤(例えばメチルエチルケトン(MEK))等の有機溶剤を用いて溶解・除去する。
なお、化合物半導体層50に接着された状態のまま仮支持基板110を有機溶剤中に浸漬して高分子材料結合層111を溶解し、仮支持基板110の分離を行なうようにしてもよい。また、高分子材料結合層111は、熱可塑性樹脂に代えてエポキシ樹脂やウレタン樹脂を採用することもできる。これにより、貼り合わせ加熱中における高分子材料結合層111からのガス発生をより効果的に抑制することができる。なお、エポキシ樹脂を使用する場合はアミン硬化型のもの、及びポリアミド硬化型のもの、のいずれを採用してもよい。高分子材料結合層111を熱硬化性樹脂にて構成する場合は、貼り合わせ加熱時に軟化させることができないので、該高分子材料結合層111自体を加圧クッション層として利用することはできない。この場合、前述の熱可塑性樹脂からなる高分子材料コーティング層150、あるいは熱可塑性樹脂からなる高分子材料シートを加圧クッション層として利用することが有効である。
以上においては、理解を容易にする便宜上、貼り合わせ結合体130を作る工程を素子単体の積層形態にて図示しつつ説明していたが、実際は、複数の素子チップがマトリックス状に配列した形で一括形成された貼り合わせウェーハが作成される。そして、この貼り合わせウェーハを通常の方法によりダイシングして素子チップとし、これを支持体に固着してリード線のワイヤボンディング等を行った後、樹脂封止をすることにより最終的な発光素子が得られる。
以上の実施形態では、図5に示すごとく、加圧部材51,52の金属本体部51a,52aの加圧面に高分子材料コーティング層150,150を加圧クッション層として形成していたが、図12に示すように、仮支持積層体130’と加圧部材51,52との間に、加圧クッション層をなす高分子材料シート151,151を着脱可能に配置するようにしてもよい。また、積仮支持層体130’の反りが小さい場合は、図13に示すように、高分子材料コーティング層ないし高分子材料シートの一方又は双方を省略することも可能である。図13は、高分子材料コーティング層ないし高分子材料シートの双方を省略し、仮支持基板110を貼り合わせるための高分子材料結合層111のみを加圧クッション層として設けた例である。
また、製造対象となる発光素子100は、図14に示すように、Au系金属層10(第一Au系金属層10a+第二Au系金属層10b)を専ら貼り合わせに用い、Au系金属層10とは別の反射用金属層10rを、Au系金属層10と化合物半導体層50との間に設けることもできる。このような反射用金属層10rとしては、Agを主成分とするAg系反射層や、Alを主成分とするAl系反射層を用いることができる。この場合、貼り合わせ側接合合金化層は、Ag系反射層の場合はAgGeNiなどのAg系材料にて、また、Al系反射層の場合はAlGeNiなどのAl系材料にて構成することもできる。製造工程は略同じであるが、コンタクト金属部32を反射用金属層10rで覆った後、さらに第一Au系金属層10aで覆う点が相違する。
さらに、Si基板7に代えて、GaP等からなる透明導電性基板を化合物半導体層に直接又はITO(Indium Tin Oxide)などの導電性酸化物層を介して貼り合わせた発光素子構造にも本発明を適用できる。
また、発光層部24は、活性層及びクラッド層が、InAlGaNあるいはMgZnOにて構成されたダブルへテロ構造を有するものとして構成することもできる。
本発明の適用対象となる発光素子の一例を示す模式図。 本発明の発光素子の製造方法の一例を示す工程説明図。 図2に続く工程説明図。 図3に続く工程説明図。 貼り合わせ装置の要部を説明する模式図。 貼り合わせ工程の一例を、より詳細に説明する図。 貼り合わせ工程における加熱及び加圧の制御パターンの一例を模式的に説明する図。 貼り合わせ工程における加圧クッション層の作用を模式的に示す説明図。 より望ましい貼り合わせ装置の要部を説明する模式図。 化合物半導体層に反りが生ずる様子を説明する模式図。 仮支持基板の貼り合わせにより化合物半導体層の反りが軽減される様子を説明する模式図。 加圧クッション層の変形例を、貼り合わせ装置の要部とともに説明する模式図。 加圧部材側の加圧クッション層を省略した例を示す模式図。 本発明の適用対象となる発光素子の別例を示す模式図。 貼り合わせ側接合合金化層の分散形成形態の一例を模式的に示す平面図。 貼り合わせ側接合合金化層の周囲にて化合物半導体層にミクロクラックが形成される様子を示す平面図。
符号の説明
1 GaAs単結晶基板(成長用基板)
7 シリコン基板(素子基板)
9 光取出側電極
9a’ AuBe接合金属層(光取出側接合金属層)
9a AuBe接合合金化層(光取出側接合合金化層)
10 Au系金属層(金属層)
10a 第一Au系金属層
10b 第二Au系金属層
20 電流拡散層
24 発光層部
31 AuGeNi接合合金化層(貼り合わせ側接合合金化層)
31d 拡散領域
50 化合物半導体層
51 第一加圧部材
51a 金属本体部
52 第二加圧部材
52a 金属本体部
100 発光素子
110 仮支持基板
111 高分子材料結合層(加圧クッション層)
120 仮支持貼り合わせ体
130 積層体
130’ 仮支持積層体
150 高分子材料コーティング層(加圧クッション層)
151 高分子材料シート(加圧クッション層)
MC ミクロクラック

Claims (17)

  1. 発光層部を有する化合物半導体層に金属層を介して素子基板が貼り合わされた発光素子の製造方法であって、
    前記化合物半導体層の第二主表面に前記金属層と前記素子基板とを重ね合わせた積層体を作成し、該積層体を第一加圧部材と第二加圧部材との間にて貼り合わせ加圧しつつ貼り合わせ温度に加熱することにより、前記化合物半導体層と前記素子基板とを前記金属層を介して貼り合わせるとともに、
    前記貼り合わせ温度よりも低温にて前記貼り合わせ加圧を開始する一方、該加圧開始時の温度から前記貼り合わせ温度に到達するまでの前記積層体の昇温を、当該加圧開始よりも遅れたタイミングにて開始することを特徴とする発光素子の製造方法。
  2. 前記化合物半導体層の第二主表面に、該化合物半導体層との接触抵抗を低減する合金成分を含有した接合金属層を分散形成して合金化熱処理することにより、該接合金属層と前記化合物半導体層とが合金化した接合合金化層を、一部が前記第二主表面よりも前記化合物半導体層側に食い込み、残余の部分が前記第二主表面から突出した形態で形成し、
    前記接合合金化層の形成された前記化合物半導体層の第二主表面に前記金属層と前記素子基板とを重ね合わせた積層体を作成し、該積層体に対する前記貼り合わせ加圧を一定の設定圧力にて行なうとともに、
    前記設定圧力に向けた昇圧の途上で、前記設定圧力よりも低い中間圧力にて昇圧を中断することにより該中間圧力を保持した後、前記昇圧を再開することを特徴とする請求項1記載の発光素子の製造方法。
  3. 前記中間圧力への保持中において前記積層体の前記貼り合わせ温度に向けた昇温を継続することを特徴とする請求項2に記載の発光素子の製造方法。
  4. 前記発光素子は、前記発光層部がAlGaInP又はInAlGaNからなり、前記金属層がAuを主成分とするAu系金属層を有するものであり、前記素子基板がSi基板であり、
    前記化合物半導体層の第二主表面に、該化合物半導体層との接触抵抗を低減する合金成分を含有した接合金属層を分散形成して合金化熱処理することにより、該接合金属層と前記化合物半導体層とが合金化した接合合金化層を、一部が前記第二主表面よりも前記化合物半導体層側に食い込み、残余の部分が前記第二主表面から突出した形態で形成し、
    前記接合合金化層の形成された前記化合物半導体層の前記第二主表面に前記金属層の一部となるべきAuを主成分とする第一Au系金属層を形成し、他方、前記Si基板の貼り合わせ面に前記金属層の一部となるべきAuを主成分とする第二Au系金属層を形成し、前記第一Au系金属層と前記第二Au系金属層とを重ね合わせて積層体を作成し、該積層体を第一加圧部材と第二加圧部材との間にて貼り合わせ加圧しつつ貼り合わせ温度に加熱することにより、前記第一Au系金属層と前記第二Au系金属層とを貼り合わせにより結合するとともに、
    前記Si基板からのSi成分が前記第二Au系金属層へ拡散するのを防ぐSi拡散阻止層を、前記Si基板と前記第二Au系金属層との間に形成し、
    前記貼り合わせ加圧の設定圧力を5kPa以上1000kPa以下、前記貼り合わせ温度を200℃以上280℃以下、前記設定圧力での保持時間を10分以上60分以下に設定して前記貼り合わせを行なうことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  5. 前記化合物半導体層の第一主表面側に結合層を介して仮支持基板を貼り合わせ、さらに該化合物半導体層の第二主表面に前記金属層と前記素子基板とを重ね合わせた積層体を該仮支持基板とともに前記第一加圧部材と前記第二加圧部材との間で挟圧・加熱することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  6. 前記結合層が高分子材料結合層からなり、前記化合物半導体層を前記素子基板に貼り合わせた後に、前記高分子材料結合層を加熱軟化又は有機溶剤に溶解することにより、前記仮支持基板を前記化合物半導体層から分離することを特徴とする請求項5記載の発光素子の製造方法。
  7. 前記高分子材料結合層がエポキシ樹脂又はウレタン樹脂からなることを特徴とする請求項6記載の発光素子の製造方法。
  8. 第一加圧部材の金属本体と前記積層体の第一主表面との間、及び第二加圧部材の金属本体と前記積層体の第二主表面との間の少なくともいずれかに熱可塑性高分子材料からなる加圧クッション層を介在させた状態で該積層体を配置し、前記加圧クッション層が軟化する貼り合わせ温度に前記積層体を加熱しつつ、前記第一加圧部材と前記第二加圧部材との間で該積層体を、軟化した前記加圧クッション層を介して加圧することにより、前記化合物半導体層と前記素子基板とを前記金属層を介して貼り合わせることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  9. 前記加圧クッション層は、前記金属本体の表面に形成された高分子材料コーティング層であることを特徴とする請求項8記載の発光素子の製造方法。
  10. 前記加圧クッション層は、前記金属本体と前記積層体との間に着脱可能に挿入される高分子材料シートであることを特徴とする請求項8記載の発光素子の製造方法。
  11. 前記高分子材料コーティング層又は前記高分子材料シートがフッ素系樹脂からなることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の発光素子の製造方法。
  12. 前記化合物半導体層の第一主表面側に、前記加圧クッション層をなす前記熱可塑性高分子材料からなる高分子材料結合層を介して仮支持基板を貼り合わせ、前記積層体を該仮支持基板とともに前記第一加圧部材と前記第二加圧部材との間で前記貼り合わせ加圧しつつ前記貼り合わせ温度に加熱することを特徴とする請求項8ないし請求項11のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  13. 前記発光素子は、前記化合物半導体層の光取出面となる第一主表面の一部を覆う形で光取出面側電極が形成される一方、該化合物半導体層の第二主表面に、前記発光層部からの光を前記光取出面側に反射させる反射面を有した金属層を介して前記素子基板が貼り合わされたものであり、前記積層体を、前記素子基板、前記金属層及び前記化合物半導体層がこの順序にて積層され、かつ、前記金属層と前記化合物半導体層との間に、該化合物半導体層と該金属層との接触抵抗を低減するための貼り合わせ側接合合金化層を配置したものとして形成し、
    成長用基板の第一主表面上に前記化合物半導体層をエピタキシャル成長する化合物半導体層成長工程と、
    前記化合物半導体層の第一主表面側に前記光取出面側電極を形成する光取出面側電極形成工程と、
    前記化合物半導体層の第二主表面側に前記成長用基板が付随した状態で、前記光取出面側電極が形成された前記化合物半導体層の前記第一主表面に前記結合層を介して前記仮支持基板を貼り合わせ、その後、前記成長用基板を除去することにより、前記化合物半導体層と前記仮支持基板とが貼り合わされた仮支持貼り合わせ体を形成する仮支持貼り合わせ体形成工程と、
    前記成長用基板の除去により露出した前記化合物半導体層の第二主表面に貼り合わせ側接合金属層を形成する貼り合わせ側接合金属層形成工程と、
    前記貼り合わせ側接合金属層を前記化合物半導体層と合金化させて前記貼り合わせ側接合合金化層とする貼り合わせ側合金化熱処理を、前記仮支持貼り合わせ体の状態で行なう貼り合わせ側合金化熱処理工程と、
    該貼り合わせ側合金化熱処理の終了後に、前記貼り合わせ温度を前記貼り合わせ側合金化熱処理工程よりも低温に設定して貼り合わせ処理を行なうことにより、該化合物半導体層の第二主表面に金属層を介して素子基板を貼り合せた素子基板貼り合わせ体を作成する素子基板貼り合わせ工程と、
    前記素子基板貼り合わせ体から前記仮支持基板を分離する仮支持基板分離工程と、をこの順序にて実施することを特徴とする請求項5、請求項6、請求項7及び請求項12のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  14. 前記光取出面側電極と前記化合物半導体層との接触抵抗を低減するために、前記光取出面側電極自身又は該光取出面側電極と前記化合物半導体層との間に配置された光取出面側接合金属層と前記化合物半導体層とを合金化する光取出側合金化熱処理を、前記素子基板貼り合わせ工程の前に実施することを特徴とする請求項13記載の発光素子の製造方法。
  15. 前記高分子材料結合層を加熱して軟化させた後、前記積層体に対する貼り合わせ加圧の昇圧を開始することを特徴とする請求項12ないし請求項14のいずれか1項に記載の発光素子の製造方法。
  16. 前記素子基板としてSi基板を用い、前記化合物半導体層の前記第二主表面に前記金属層の一部となるべき第一Au系金属層を形成し、他方、前記Si基板の貼り合わせ面に前記金属層の一部となるべき第二Au系金属層を形成し、前記第一Au系金属層と前記第二Au系金属層とを貼り合わせにより結合するとともに、
    前記加圧クッション層として前記高分子材料コーティング層又は前記高分子材料シートのいずれかと前記高分子材料結合層とを併用し、かつ、前記高分子材料結合層として前記高分子材料コーティング層又は前記高分子材料シートを形成する熱可塑性高分子材料よりも軟化温度の低いものを採用し、
    前記貼り合わせ温度以下であって前記高分子材料結合層が軟化する中間温度に前記積層体を加熱し、該中間温度への到達以降に前記積層体に対する貼り合わせ加圧の昇圧を開始し、該昇圧開始後に前記積層体を前記中間温度から前記貼り合わせ温度に向けて昇温する特徴とする請求項15記載の発光素子の製造方法。
  17. AlGaInP又はInAlGaNからなる発光層部を有する化合物半導体層に、Auを主成分とするAu系金属層を有した金属層を介して素子基板が貼り合わされ、
    前記金属層と前記化合物半導体層との接合界面に、該化合物半導体層との接触抵抗を低減する合金成分を含有した接合金属層を前記化合物半導体層と合金化させた接合合金化層が、該接合合金化層の一部が前記化合物半導体層側に食い込み、残余の部分が前記金属層に食い込むように前記接合界面に分散形成され、
    かつ、分散形成された接合合金化層の総数をNとし、個々の接合合金化層のうち、その周囲において該接合合金化層と接触する前記化合物半導体層にクラックを生じているものの個数をN1としたとき、N1/Nが0.05以下であることを特徴とする発光素子。
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