JP2004161799A - 二軸延伸ポリプロピレンフィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】汎用の縦−横逐次二軸延伸法を用いてフィルムの長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供する。
【解決手段】トルートン比が30以上のポリプロピレンを含み、および/または、トルートン比が16以上のポリプロピレンからなり、および/または、長鎖分岐を有するポリプロピレンを含み、かつ、延伸助剤が1種以上混合された二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
【選択図】なし。
【解決手段】トルートン比が30以上のポリプロピレンを含み、および/または、トルートン比が16以上のポリプロピレンからなり、および/または、長鎖分岐を有するポリプロピレンを含み、かつ、延伸助剤が1種以上混合された二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
【選択図】なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装用途、工業用途など広範な用途に好適な二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物や資源の削減という社会的要請に基づき、特に包装用途では材料の薄膜化への期待が大きくなっている。現在、例えば包装用で20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが用いられており、その大半は、汎用の縦−横逐次二軸延伸法で製造されている。ここでいう汎用の縦−横逐次二軸延伸法とは、ポリマーを押出機で融解させ、濾過フィルターを経た後、スリット状口金から押し出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却・固化せしめた未延伸フィルムを得、該未延伸フィルムを周速差が設けられたロール間で長手方向に延伸し、次いでテンターに導いて幅方向に延伸、熱固定し、冷却後に巻き取って延伸フィルムを得る、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの代表的な製造方法のことである。
【0003】
ここで例示した20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムに対し、15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムで同等の性能や加工適性が得られるのであれば、25%のゴミおよび資源の削減に繋げることができる。
【0004】
このような要求を満足するためには、まず二軸延伸ポリプロピレンフィルムを強力化して、加工工程での張力に対する伸びを抑える必要がある。この際、加工工程の張力はフィルムの長手方向に掛かるため、主に長手方向に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを強力化する必要がある。
【0005】
また、一般的にポリプロピレンフィルムを強力化することにより、ポリプロピレンフィルムの熱収縮率は上昇する傾向にある。高温におけるフィルムの寸法安定性が悪化すると、印刷、コーティング、ラミネート加工などの二次加工時にフィルムが収縮してフィルムの商品価値が極度に低下することがある。したがって、熱収縮率を汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムとほぼ同等またはそれ以下に抑える必要がある。
【0006】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを強力化するために、長手方向、幅方向に延伸した後、引き続き長手方向に再延伸して、長手方向に強いフィルムを得る方法は、公知である(例えば、特許文献1〜3参照。)。さらに、これら長手方向に強いフィルムの幅方向の弱さを解消する目的で、特定の溶融結晶化温度を有するポリプロピレンシートを二軸延伸後、長手方向に再延伸する方法が開示されている(特許文献4参照。)。また、逐次二軸延伸法以外では縦−横同時二軸延伸法により長手方向に強力化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することができる(例えば、非特許文献1または2参照。)。
【0007】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの強力化に関して、上記した製造プロセス面からの検討に加えて、ポリプロピレンの改質による原料面からの検討も従来より行われている。例えば、ポリプロピレンの結晶性を高めるなどの改質を行うことにより、剛性・防湿性などに優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムが得られる(例えば、特許文献5参照。)。また、ポリプロピレンに石油樹脂やテルペン樹脂などを添加することにより、製膜性を向上させることができ、かつ剛性・防湿性などに優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムが得られる(例えば、特許文献6参照。)。さらに、これら結晶性の高いポリプロピレンに石油樹脂やテルペン樹脂などを添加した二軸延伸ポリプロピレンフィルムも公知である(例えば、特許文献7〜10参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特公昭41−21790号公報
【0009】
【特許文献2】
特公昭45−37879号公報
【0010】
【特許文献3】
特公昭49−18628号公報
【0011】
【特許文献4】
特開昭56−51329号公報
【0012】
【特許文献5】
特開2001−40111号公報
【0013】
【特許文献6】
特許第1733605号公報
【0014】
【特許文献7】
特許第3077482号公報
【0015】
【特許文献8】
特表平11−507605号公報
【0016】
【特許文献9】
特表2000−508984号公報
【0017】
【特許文献10】
特開2002−128913号公報
【0018】
【非特許文献1】
西山、“成形加工”、2002年、第14巻、第14号、p.18−24
【0019】
【非特許文献2】
ブライル(Breil)、“タッピ プロシーディングス ポリマーズ、ラミネイションズアンドコーティングス カンファレンス”(“TAPPI Proceedings. Polymers,Laminations&Coatings Conference”)、(アメリカ)、1999年、 p.727−745
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、汎用の縦−横逐次二軸延伸法では長手方向に強力化した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることは困難であった。すなわち、縦−横逐次二軸延伸法では、縦延伸で生成した配向結晶を横延伸するため、温度を半融解状態にする必要がある。このため、横延伸後には結晶の大半は幅方向に再配列し、剛性が幅方向に大きく偏った二軸延伸ポリプロピレンフィルムしか得られなかった。
【0021】
また、上記した長手方向に再延伸する方法や同時二軸延伸法では、工程が複雑で設備費がかさむという問題があった。さらには、主に長手方向の熱寸法安定性が悪化したり、長手方向の剛性が不十分なこともあった。
【0022】
さらに、結晶性の高いポリプロピレンを用いた場合、従来のポリプロピレンに比べて製膜性が劣り、二軸延伸の際に破れが発生し、工程が不安定になるという問題があった。また、汎用の縦−横逐次二軸延伸法で結晶性の高いポリプロピレンを製膜した場合、上記した結晶の再配列のために、実際には幅方向の剛性が主に高くなり、長手方向の剛性は不十分であった。また、ポリプロピレンに石油樹脂やテルペン樹脂を添加した二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムの熱収縮率が高くなり、熱寸法安定性に劣るとともに、高温下ではフィルムの剛性が低下するという問題があり、上記した結晶の再配列のために、長手方向の剛性も不十分であった。また、結晶性の高いポリプロピレンに石油樹脂やテルペン樹脂を添加した二軸延伸ポリプロピレンフィルムも破れの問題があり、製膜性が不十分で、かつ上記した結晶の再配列のために長手方向の剛性も不十分であった。
【0023】
このように、従来の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、長手方向の剛性が不十分なため、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工工程で印刷ピッチずれ、フィルムの伸び/縮み、シワ入り、膜割れ(クラック)などの問題を生じることがあった。例えば、蒸着フィルムを例に挙げると、汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは長手方向に弱いため、金属蒸着フィルムとした場合には印刷・製袋などの種々のフィルム加工工程で蒸着膜に膜割れ(クラック)が発生し、その結果ガスバリア性が悪化するという問題があった。
【0024】
本発明の目的は、上記課題を解消すべくなされたものであり、従来一般的に行われる汎用の縦−横逐次二軸延伸法でフィルムの長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することである。また、熱収縮率、防湿性などが汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムとほぼ同等もしくは優れることにより、従来に比べて薄膜化しても同等の性能を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、主として、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
【0026】
すなわち、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、主として、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含み、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする。
また、別の構成として、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、主として、トルートン比が16以上のポリプロピレンに、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする。
また、別の構成として、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、主として、長鎖分岐を有するポリプロピレンを含み、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする。
さらに、好ましい態様として、延伸助剤が、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂であること、また長手方向のヤング率(YMD)が25℃で2.5GPa以上であること、またポリプロピレンのメソペンタッド分率(mmmm)が、90〜99.5%であること、また120℃での長手方向の熱収縮率が5%以下であること、また長手方向のヤング率(YMD)と幅方向のヤング率(YTD)で次式(1)により表されるm値
m=YMD/(YMD+YTD) (1)
が25℃において0.4〜0.7であること、また水蒸気透過率が1.5g/m2/d/0.1mm以下であること、ポリプロピレンの結晶化温度(Tmc)が、110℃以上であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
である。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含む。
【0028】
トルートン比は、流入圧力損失法を用い、Cogswellの理論[Polymer Engineering Science、12、64(1972)]にしたがって測定を行うことにより得られる。ここでいうトルートン比とは、指数関数で近似した伸張粘度−伸張ひずみ速度曲線、剪断粘度−剪断ひずみ速度曲線から求めた230℃、ひずみ速度60S−1での伸張粘度と剪断粘度の比である。
【0029】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むことにより、汎用の縦−横逐次二軸延伸法において、これまで困難であった長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することができる。すなわち、上記トルートン比が30以上のポリプロピレンが横延伸時の縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制する。
【0030】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含まれるポリプロピレンのトルートン比はある程度高いほど好ましいが、あまりに高すぎると製膜性が悪化したり、表面ヘイズが悪化する場合がある。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含まれるポリプロピレンのトルートン比は、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40〜100の範囲内である。
【0031】
上記のようなトルートン比が30以上のポリプロピレンを得る方法として、高分子量成分を多く含むポリプロピレンをブレンドする方法、分岐構造を持つオリゴマーやポリマーをブレンドする方法、特開昭62−121704号公報に記載されているようにポリプロピレン分子中に長鎖分岐構造を導入する方法、あるいは特許第2869606号公報に記載されているように長鎖分岐を導入せずに溶融張力と固有粘度、結晶化温度と融点とがそれぞれ特定の関係を満たし、かつ沸騰キシレン抽出残率が特定の範囲にある直鎖状の結晶性ポリプロピレンとする方法などが好ましく用いられる。
【0032】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、これらのポリプロピレンのうち、分子鎖骨格中に長鎖分岐を導入したポリプロピレンを用いることが特に好ましい。
【0033】
ここで、長鎖分岐を有するポリプロピレンとは、ポリプロピレン主鎖骨格中に、枝分かれしたポリプロピレン鎖を有するポリプロピレンである。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことにより、横延伸時の縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制することができるので、長手方向の剛性をさらに高めることができる。これは、長鎖分岐が縦配向結晶を擬似架橋するタイ分子として働き、横延伸時に延伸応力を系全体に均一に伝播させるため、縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制しているためと推察される。長鎖分岐を有するポリプロピレンの枝分かれしたポリプロピレン鎖は、長いほど縦配向結晶の再配列抑制効果が高く、ポリプロピレン主鎖と同等の長さを有することが好ましい。また、該長鎖分岐は、1本のポリプロピレン主鎖中に1本以上導入されていることが、縦配向結晶の再配列抑制の観点から好ましく、より好ましくは2本以上である。
【0034】
また、上記した長鎖分岐を有するポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)は、10×104以上であることが好ましい。Mwが上記範囲未満であると、上記した縦配向結晶の再配列抑制効果が不十分となる場合がある。Mwには、本発明の効果を奏する限り、特に上限は設けないが、例えば、溶融押出特性の観点から500×104以下であることが好ましい。Mwは、好ましくは15×104以上、より好ましくは20×104以上である。長鎖分岐を有するポリプロピレンのの重量平均分子量は、M.L.McConnellによってAmerican Laboratory、May、63−75(1978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザー光散乱光度測定法で測定する。
【0035】
長鎖分岐を有するポリプロピレンの具体例としては、Basell社製ポリプロピレン(タイプ名:PF−814など)、Borealis社製ポリプロピレン(タイプ名:WB130HMSなど)、Dow社製ポリプロピレン(タイプ名:D201など)などが挙げられる。
【0036】
ポリプロピレンの長鎖分岐の程度を示す指標値として、下記式で表される分岐指数gが挙げられる。
【0037】
g=[η]LB/[η]Lin
ここで、[η]LBは長鎖分岐を有するポリプロピレンの固有粘度であり、[η]Linは長鎖分岐を有するポリプロピレンと実質的に同一の重量平均分子量を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンの固有粘度である。なお、ここで示した固有粘度はテトラリンに溶解した試料について公知の方法で135℃で測定する。また、このg値測定の際の重量平均分子量は、M.L.McConnellによってAmerican Laboratory、May、63−75(1978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザー光散乱光度測定法で測定する。
【0038】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含まれるトルートン比が30以上のポリプロピレンの分岐指数gは、0.95以下であることが好ましい。分岐指数gが上記範囲を超えると、トルートン比が30以上のポリプロピレンの添加効果が低下し、フィルムとしたときの長手方向のヤング率が不十分となる場合がある。トルートン比が30以上のポリプロピレンの分岐指数gは、より好ましくは0.9以下である。
【0039】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含まれるトルートン比が30以上のポリプロピレンの混合量は、特に制限されないが、1〜60重量%であることが好ましく、少量添加でも効果がみられるのが特徴である。混合量が上記範囲未満であると、横延伸性が悪化したり、長手方向の剛性向上効果が小さくなる場合があり、上記範囲を超えると、縦延伸性が悪化したり、フィルムの耐衝撃性、透明性などが悪化する場合がある。トルートン比が30以上のポリプロピレンの混合量は、より好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは3〜40重量%である。
【0040】
本発明の他の構成として、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのトルートン比が16以上であることが挙げられる。
【0041】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が16以上のポリプロピレンからなることにより、汎用の縦−横逐次二軸延伸法において、これまで困難であった長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することができる。
【0042】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのトルートン比は高いほど好ましいが、あまりに高すぎると製膜性が悪化したり、表面ヘイズが悪化する場合がある。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのトルートン比は、より好ましくは18以上、さらに好ましくは20〜100の範囲内、最も好ましくは20〜80の範囲内である。これらは、例えば下記に示すような長鎖分岐を有するポリプロピレンの添加により調整が可能であり、長手方向の剛性をさらに向上させることができる。
【0043】
上記したようなトルートン比が16以上のポリプロピレンは、例えば長鎖分岐を有するポリプロピレンと公知の汎用ポリプロピレンを混合したり、汎用ポリプロピレンの主鎖骨格中に長鎖分岐成分を共重合、グラフト重合などで導入することによって得られる。すなわち、このような長鎖分岐を有するポリプロピレンにより、横延伸時の縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制することができる。
【0044】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、トルートン比が16以上であれば特に制限はないが、例えば、以下に示すような性質を有するポリプロピレンを含有することが好ましい。
【0045】
すなわち、トルートン比が30以上であるポリプロピレンを含み、トルートン比を16以上にすることが好ましい。トルートン比が30以上のポリプロピレンは、例えば主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンと汎用ポリプロピレンを混合したり、汎用ポリプロピレンの主鎖骨格中に長鎖分岐成分を共重合、グラフト重合などで導入することによって得られる。
【0046】
従来の汎用ポリプロピレンの分子構造は線状構造だが、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンには、このような長鎖分岐を有するポリプロピレンを混合することにより、横延伸時の縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制することができる。これは、長鎖分岐が縦配向結晶を擬似架橋するタイ分子として働き、横延伸時に延伸応力を系全体に均一に伝播させるため、縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制しているためと推察される。
【0047】
この際、混合せしめる長鎖分岐を有するポリプロピレンのトルートン比は、より好ましくは35以上、さらにより好ましくは40〜100である。
【0048】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンの結晶化温度(Tmc)は、110℃以上であることが好ましい。Tmcを上記範囲とすることで、溶融状態から冷却して未延伸シートを得る際に球晶サイズを小さくすることができ、縦延伸後の長手方向の結晶配向を高められるとともに、製膜安定性を向上させ、二軸延伸後には透明性を高められる場合がある。用いるポリプロピレンのTmcが上記範囲未満であると、二軸延伸後のフィルムの透明性が悪化したり、縦延伸後の長手方向の結晶配向が上がらず、二軸延伸後の長手方向の剛性が不十分となる場合がある。Tmcには、本発明の効果を奏する限りにおいて上限は設けないが、例えば安定製膜の観点から140℃以下であることが好ましく、135℃以下であることがより好ましい。Tmcは、より好ましくは112℃以上、さらに好ましくは115℃以上、最も好ましくは118℃以上である。
【0049】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのメルトフローレイト(MFR)は、製膜性の観点から1〜30g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲未満であると、溶融押出時に濾圧が上昇したり、押出原料の置換に長時間を要する、均一な厚みのフィルムを形成することが困難になる、製膜性が悪化するなどの問題点を生じる場合がある。MFRが上記範囲を超えると、製膜されたフィルムの厚み斑が大きくなるなどの問題点が生じる場合がある。MFRは、より好ましくは1〜20g/10分である。
【0050】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのメソペンタッド分率(mmmm)は、90〜99.5%であることが好ましく、92〜99.5%であることがより好ましい。ここで、mmmmとはポリプロピレンにおけるアイソタクチックの立体構造を直接反映する指標である。mmmmを上記範囲とすることで、寸法安定性に優れ、耐熱性、剛性、防湿性、耐薬品性などが著しく向上したフィルムを安定製造することができるので、印刷、コーティング、蒸着、製袋、ラミネート、離型などのフィルム加工工程において、高い二次加工性を有するフィルムを提供することができる。mmmmが上記範囲未満であると、フィルムとしたときの腰が低下し、熱収縮率が大きくなる傾向にあるため、印刷、コーティング、蒸着、製袋、ラミネート、離型などの二次加工性が低下する場合があり、水蒸気透過率も高くなる場合がある。mmmmが高くなるほど剛性、寸法安定性、防湿性が向上する傾向にあるが、上記範囲を超えると、製膜性が悪化する場合がある。mmmmは、さらに好ましくは93〜99%、最も好ましくは94〜98.5%である。
【0051】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのアイソタクチックインデックス(II)は、92〜99.8%であることが好ましい。IIが上記範囲未満であると、フィルムとしたときの腰が低下する、熱収縮率が大きくなる、水蒸気透過率が高くなるなどの問題点が生じる場合があり、印刷、コーティング、蒸着、製袋、ラミネート、離型などの二次加工性が低下する場合がある。IIが高くなるほど剛性、寸法安定性、防湿性が向上する傾向にあるが、上記範囲を超えると製膜性が悪化する場合がある。IIは、より好ましくは94〜99.5%である。
【0052】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、経済性などの観点から、本発明の特性を損なわない範囲で、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する際に生じた屑フィルムや、他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルム、その他の樹脂をブレンド使用してもかまわない。この場合、ブレンド後のポリプロピレンのトルートン比が16以上であることが長手方向の剛性向上の観点から必要である。
【0053】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でポリプロピレンと他の不飽和炭化水素の単量体成分が共重合された重合体であってもよいし、プロピレンとプロピレン以外の単量体成分が共重合された重合体がブレンドされてもよいし、プロピレン以外の不飽和炭化水素の単量体成分の(共)重合体がブレンドされてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として、例えば、エチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0054】
ここで、上記したトルートン比、分岐指数g、MFR、mmmm、IIなどのポリプロピレンの特性値は、製膜前の原料チップを用いて判定することが望ましいが、製膜後のフィルムについても、該フィルムを60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間程度抽出し、不純物・添加物を除去後、130℃で2時間以上真空乾燥したものをサンプルとして用いて測定することもできる。
【0055】
次に、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、強力化、防湿性向上、製膜性向上などの観点から、延伸助剤が混合されていることが必要である。ここでいう延伸助剤とは、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンに添加することにより、未添加の場合に比較して、安定でより高倍率の延伸を可能にする添加剤をいう。かかる延伸助剤が混合されていないと、長鎖分岐を有するポリプロピレンによる縦配向結晶の幅方向への再配列抑制効果が十分に発揮できず、製膜性、防湿性も劣ったものとなる。
【0056】
本発明の延伸助剤は、ポリプロピレンに対する相溶性が高い樹脂であることが好ましく、また、ガラス転移点温度(以下、Tgと記すことがある)は、60℃以上であることが好ましい。Tgが60℃以上であれば、フィルムの防湿性、剛性の向上効果が十分に得られるので好ましい。また、Tgの上限は、本発明の効果を奏する限りにおいて特に制限はされないが、120℃以下であると、ポリプロピレンとの相溶性、フィルムの延伸性、防湿性などが優れたものが得られるので好ましい。
【0057】
本発明の延伸助剤としては、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の1種以上が、高倍率延伸、強力化、防湿性向上などの観点から好ましく用いられる。
【0058】
ここで、極性基を実質的に含まない石油樹脂とは、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホン基またはそれらの変成体などからなる極性基を有さない石油樹脂であり、具体的には石油系不飽和炭化水素を原料とするシクロペンタジエン系、あるいは高級オレフィン系炭化水素を主原料とする樹脂である。
【0059】
さらに、かかる極性基を実質的に含まない石油樹脂のTgは、60℃以上であることが好ましい。Tgが上記範囲未満であると、剛性の向上効果が小さくなる場合がある。Tgの上限は、本発明の効果を奏する限りにおいて特に限定はされないが、ポリプロピレンとの相溶性、フィルムの延伸性、防湿性などの観点から、120℃以下であることが好ましい。
【0060】
また、かかる石油樹脂に水素を添加し、その水素添加率を90%以上、好ましくは99%以上とした水素添加(以下、水添と記すことがある)石油樹脂は、特に好ましく用いられる。代表的な水添石油樹脂としては、例えばTgが70℃以上で水添率99%以上のポリジシクロペンタジエンなどの脂環族石油樹脂を挙げることができる。
【0061】
また、極性基を実質的に含まないテルペン樹脂とは、水酸基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホン基またはそれらの変成体などからなる極性基を有さないテルペン樹脂、すなわち(C5H8)nの組成の炭化水素およびこれから導かれる変性化合物である。ここで、nは2〜20程度の自然数である。
【0062】
テルペン樹脂はテルペノイドと呼ばれることもあり、代表的な化合物としては、ピネン、ジペンテン、カレン、ミルセン、オシメン、リモネン、テレピノレン、テルピネン、サビネン、トリシクレン、ビサボレン、ジンギペレン、サンタレン、カンホレン、ミレン、トタレンなどがあり、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合、水素を添加し、その水素添加率を90%以上とするのが好ましく、特に99%以上とすることが好ましい。なかでも、水添β−ピネン、水添β−ジペンテンなどが特に好ましく用いられる。
【0063】
かかる極性基を実質的に含まないテルペン樹脂のTgは、60℃以上であることが好ましい。Tgが上記範囲未満では、剛性の向上効果が小さくなる場合がある。Tgの上限は、本発明の効果を奏する限りにおいて特に限定はされないが、ポリプロピレンとの相溶性、フィルムの延伸性、防湿性などの観点から、120℃以下であることが好ましい。
【0064】
該石油樹脂またはテルペン樹脂の臭素価としては、10以下が好ましく、さらに好ましくは5以下、特に好ましくは1以下のものがよい。
【0065】
上記延伸助剤の添加量は、その効果が発揮される量であれば特に限定されないが、前記石油樹脂およびテルペン樹脂の混合量を合わせて0.1〜30重量%であることが好ましい。該樹脂の混合量が上記範囲未満では、延伸性、長手方向の剛性の向上効果が小さくなったり、透明性が悪化する場合がある。また、上記範囲を越えると、熱寸法安定性が悪化したり、フィルム表層に該添加剤がブリードアウトして滑り性が悪化したり、フィルム同士がブロッキングする場合がある。添加剤の混合量は石油樹脂およびテルペン樹脂の添加量を合わせて、より好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは2〜15重量%である。
【0066】
なお、延伸助剤として極性基を含有する石油樹脂および/またはテルペン樹脂を使用した場合には、ポリプロピレンとの相溶性に劣ることから、フィルム内部にボイドが形成されやすく、水蒸気透過率が高くなり、また帯電防止剤や滑剤のブリードアウトを悪化させる可能性がある。
【0067】
かかる延伸助剤の具体例としては、例えばトーネックス(株)社製“エスコレッツ”(タイプ名:E5300シリーズなど)、ヤスハラケミカル(株)社製“クリアロン”(タイプ名:P−125など)、荒川化学工業(株)社製“アルコン”(タイプ名:P−125など)などが挙げられる。
【0068】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、フィルムの帯電による静電気障害防止のため帯電防止剤が好ましく添加される。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含有される帯電防止剤は特に限定されないが、例えば、ベタイン誘導体のエチレンオキサイド付加物、第4級アミン系化合物、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリドなど、もしくはこれらの混合物を挙げることができる。
【0069】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、滑剤を添加することが好ましく、上記帯電防止剤と併用することがより好ましい。これは、JIS用語で表現される熱可塑性樹脂の加熱成形時の流動性、離型性をよくするために添加されるもので、加工機械とフィルム表面、またはフィルム同士の間の摩擦力を調節するために添加される。
【0070】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに添加される滑剤は特に限定されないが、例えば、ステアリン酸アミド、エルシン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミドなどのアミド系化合物など、もしくはこれらの混合物が挙げられる。
【0071】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに添加される帯電防止剤の添加量は、用いるポリプロピレン100重量部に対して、0.3重量部以上添加されていることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.5重量部の範囲である。また、帯電防止剤と滑剤の合計添加量は0.5〜2.0重量部が帯電防止性と滑り性の点でより好ましい。
【0072】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを金属蒸着フィルムとして用いる場合は、滑り性を付与し、作業性や巻き取り性を向上させるために、有機架橋性粒子や無機粒子を少量添加することは許容されるが、上記帯電防止剤や有機滑剤は添加しない方が金属蒸着層の接着性向上、ならびにガスバリア性向上の観点から好ましい。
【0073】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、滑り性付与のため無機粒子および/または架橋有機粒子が好ましく添加混合される。
【0074】
本発明で、無機粒子とは金属化合物の無機粒子であり、特に限定されないが、例えば、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪酸アルミニウム、カオリン、カオリナイト、タルク、クレイ、珪藻土、モンモリロナイト、酸化チタンなどの粒子、もしくはこれらの混合物を挙げることができる。
【0075】
また、本発明で、架橋有機粒子は架橋剤を用いて高分子化合物を架橋した粒子である。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに添加される架橋有機粒子は、特に限定されないが、例えば、ポリメトキシシラン系化合物の架橋粒子、ポリスチレン系化合物の架橋粒子、アクリル系化合物の架橋粒子、ポリウレタン系化合物の架橋粒子、ポリエステル系化合物の架橋粒子、フッソ系化合物の架橋粒子、もしくはこれらの混合物を挙げることができる。
【0076】
また、無機粒子および架橋有機粒子の平均粒径は0.5〜6μmであることが好ましい。平均粒径が上記範囲未満であると、滑り性が悪くなる場合があり、上記範囲を越えると、粒子の脱落やフィルム同士を擦った時にフィルム表面に傷がつきやすくなる場合がある。
【0077】
無機粒子および/または架橋有機粒子の添加量は、0.02〜0.5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2重量%とすることが、耐ブロッキング防止性、滑り性および透明性の点で好ましい。
【0078】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、必要に応じて上記以外の造核剤、熱安定剤、酸化防止剤などを添加せしめてもよい。
【0079】
例えば造核剤としては、ソルビトール系、有機リン酸エステル金属塩系、有機カルボン酸金属塩系、ロジン系造核剤などを0.5重量%以下、熱安定剤としては2,6−ジ−第3−ブチル−4−メチルフェノ−ル(BHT)などを0.5重量%以下、酸化防止剤としてはテトラキス[メチレン−(3,5−ジ−第3−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(Irganox 1010)などを0.5重量%以下の範囲で添加してもよい。
【0080】
次に、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面には、添加剤飛散・ブリードアウト抑制、コーティング膜・蒸着膜易接着、易印刷性付与、ヒートシール性付与、プリントラミネート性付与、光沢付与、滑り性付与、ヘイズ低減(透明性付与)、離型性付与、イージーピール性付与、表面硬度向上、平滑性付与、表面粗度向上、ガスバリア性向上、手切れ性付与など、種々の目的に応じて、適宜公知のポリオレフィン系樹脂およびその他の樹脂を積層することが好ましい。
【0081】
この際の積層厚みは、0.25μm以上であり、かつフィルムの全厚みの1/2以下であることが好ましい。積層厚みが0.25μm未満であると、膜切れなどにより均一な積層が困難となり、全厚みの1/2を越えると、機械特性に及ぼす表層の影響が大きくなり、ヤング率の低下を引き起こし、フィルムの抗張力性もまた低下する。
【0082】
また、この際積層される表層樹脂は必ずしも本発明の範囲を満たす必要はなく、積層方法は共押出、インライン・オフライン押出ラミネート、インライン・オフラインコーティングなどが挙げられるが、これらのうちいずれかに限定されるわけではなく、随時最良の方法を選択すればよい。
【0083】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの少なくとも片方のフィルム表面にコロナ放電処理を施し、フィルム表面の濡れ張力を35mN/m以上とすることは、印刷性、接着性、帯電防止性および滑剤のブリードアウト性を向上させるため好ましく採用することができる。この際、コロナ放電処理時の雰囲気ガスとしては、空気、酸素、窒素、炭酸ガス、あるいは窒素/炭酸ガスの混合系などが好ましく、経済性の観点からは空気中でコロナ放電処理することが特に好ましい。また、火炎(フレーム)処理、プラズマ処理なども表面濡れ張力向上の観点から好ましい。濡れ張力の上限は特に設けないが、過度な表面処理は表面を劣化させ
る場合があり、60mN/m以下であることが好ましい。
【0084】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向のヤング率(YMD)は2.5GPa以上であることが好ましい。25℃でのYMDが上記範囲未満であると、フィルム加工時に抗張力性が不十分となったり、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。25℃でのYMDは、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃でのYMDは、より好ましくは2.7GPa以上、さらに好ましくは3.0GPa以上、最も好ましくは3.2GPa以上である。
【0085】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの80℃での長手方向のヤング率(YMD)は、0.4GPa以上であることが好ましい。80℃でのYMDが上記範囲未満であると、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。80℃でのYMDは、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。80℃でのYMDは、より好ましくは0.5GPa以上、さらに好ましくは0.6GPa以上である。
【0086】
本発明に用いる二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、長手方向のヤング率(YMD)と幅方向のヤング率(YTD)により表されるm値
m=YMD/(YMD+YTD) (1)
が25℃において0.4〜0.7であることが好ましい。ここで、m値はフィルムの長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和に占める長手方向のヤング率の比率である。したがって、m値<0.5のフィルムは長手方向に比較して幅方向の剛性が高く、m値=0.5のフィルムは長手方向と幅方向の剛性が実質的にバランスしており、m値>0.5のフィルムは幅方向に比較して長手方向の剛性が高い。m値が0.4〜0.7であることにより、長手方向と幅方向の剛性がほぼバランスした二軸延伸ポリプロピレンフィルム、さらには幅方向に比較して長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムとできるので、従来に比べて飛躍的に腰の強いフィルムとすることができ、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に優れたハンドリング性、加工性を示すフィルムを、汎用の縦−横逐次二軸延伸法を用いて安定製造できる。25℃でのm値が上記範囲未満であると、幅方向に比較して長手方向の剛性が劣り、剛性がアンバランスになるため、フィルム加工時の抗張力性が不十分であったり、フィルムの腰が不十分となり、膜割れ(クラック)やフィルムの伸び、シワ入り、印刷ピッチずれなどのベースフィルム起因のトラブルが発生することがあり、フィルム加工時のハンドリング性、加工性に劣る場合がある。25℃でのm値が上記範囲を超えると、長手方向に比較して幅方向の剛性が著しく低下するため、薄膜化を行った際のフィルムの腰が不十分となり、フィルム加工時のハンドリング性、加工性に劣る場合があり、長手方向にフィルムが裂け易くなる場合がある。25℃でのm値は、製膜条件(溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸温度、倍率、縦・横延伸後のフィルムの弛緩など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)に対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃でのm値は、より好ましくは0.42〜0.68、さらに好ましくは0.44〜0.65、最も好ましくは0.48〜0.62である。また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、印刷、ラミネートヒートシールなどの加工工程の際には、室温以上に加熱されることがあるが、室温以上の温度においてもm値が上記範囲(0.4〜0.7)であることが二次加工性の観点から好ましい。特に、m値は、例えば80℃においても上記範囲を満たすことが好ましい。
【0087】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向のF2値は、40MPa以上であることが好ましい。ここで、長手方向のF2値とは、長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張した際の伸度2%の時に試料にかかる応力である。25℃での長手方向のF2値が上記範囲未満であると、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。25℃での長手方向のF2値は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃での長手方向のF2値は、より好ましくは45MPa以上である。
【0088】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向のF5値は、50MPa以上であることが好ましい。ここで、長手方向のF5値とは、長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張した際の伸度5%の時に試料にかかる応力である。25℃での長手方向のF5値が上記範囲未満であると、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。25℃での長手方向のF5値は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃での長手方向のF5値は、より好ましくは55MPa以上である。
【0089】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向の破断強度は180MPa以上であることが好ましい。25℃での長手方向の破断強度が上記範囲未満であると、フィルム加工時に抗張力性が不十分となったり、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。25℃での長手方向の破断強度は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃での長手方向の破断強度は、より好ましくは200MPa以上、さらに好ましくは220MPa以上、最も好ましくは240MPa以上である。
【0090】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの120℃での長手方向の熱収縮率は、5%以下であることが好ましい。120℃での長手方向の熱収縮率が上記範囲を越えると、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に温度を付加した際のフィルムの収縮が大きくなり、膜割れ(クラック)、ピッチずれ、シワ入りなどの工程不良を誘起することがある。120℃での長手方向の熱収縮率は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸条件(延伸温度、倍率、延伸後のフィルムの弛緩など)、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmm、IIなどに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。120℃での長手方向の熱収縮率は、より好ましくは4%以下である。
【0091】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの120℃での長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の和は、8%以下であることが好ましい。120℃での長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の和が上記範囲を越えると、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に温度を付加した際のフィルムの収縮が大きくなり、膜割れ(クラック)、ピッチずれ、シワ入りなどの工程不良を誘起することがある。120℃での長手方向と幅方向の熱収縮率の和は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸条件(延伸温度、倍率、延伸後のフィルムの弛緩など)、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmm、IIなどに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。120℃での長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の和は、より好ましくは6%以下である。
【0092】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの水蒸気透過率は、1.5g/m2/d/0.1mm以下であることが好ましい。水蒸気透過率が上記範囲を越えると、例えば、内容物を外気と遮断する包装体に本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた際の防湿性に劣る場合がある。水蒸気透過率は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸条件(延伸温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmm、IIなどに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件、原料を選定すればよい。水蒸気透過率は、より好ましくは1.2g/m2/d/0.1mm以下である。
【0093】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造には、公知の方法が使用できる。例えば、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むポリプロピレン、あるいはトルートン比が16以上のポリプロピレンに、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の1種以上を混合した樹脂、ならびに該フィルムの少なくとも片面に第2、第3、・・の層を積層した積層体とする場合には各々所望の樹脂を必要に応じて準備する。これらの樹脂を別々の押出機に供給して200〜290℃の温度で溶融させ、濾過フィルターを経た後、(積層体とする場合は、短管あるいは口金内で合流せしめ、目的とするそれぞれの積層厚みで)スリット状口金から押し出し、冷却用ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめ未延伸(積層)フィルムとする。冷却用ドラムの温度は20〜100℃とし、フィルムを適度に結晶化させることが長手方向の剛性向上の観点から好ましい。また、冷却ドラムへの密着方法としては静電印可法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得る手法としては厚み制御性が良好なエアーナイフ法が好ましい。
【0094】
次に、得られた未延伸(積層)フィルムを、公知の汎用の縦−横逐次二軸延伸法を用いて二軸延伸する。まず、未延伸フィルムを所定の温度に保たれたロールに通して予熱し、引き続きそのフィルムを所定の温度に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に延伸して直ちに室温に冷却する。ここで、長手方向に高度に強力化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する重要なポイントとして、縦方向(=長手方向)の延伸倍率が挙げられる。通常の縦−横逐次二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製膜する際の縦方向の実効延伸倍率は、4.5〜5.5倍の範囲であり、6倍を越えると安定な製膜が困難になり、横延伸でフィルムが破れてしまうのに対して、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムでは、縦方向の実効延伸倍率を6倍以上とすることが好ましい。縦方向の実効延伸倍率が上記範囲未満であると、得られるフィルムの長手方向の剛性が不足する場合があり、薄膜化を行った際のフィルムの腰が不十分となる場合がある。縦方向の実効延伸倍率は、より好ましくは7倍以上、さらに好ましくは8倍以上である。この際、縦延伸を少なくとも2段階以上に分けて行うことは、長手方向の強力化、表面欠点抑制などの観点から好ましい場合がある。縦延伸温度は、安定製膜性、厚みムラ抑制、長手方向の強力化などの観点から適宜最適な温度条件を選定すればよく、120〜150℃であることが好ましい。また、縦延伸後の冷却過程において、フィルムの厚みムラが悪化しない程度に縦方向に弛緩を与えることは、長手方向の寸法安定性の観点から好ましい。さらに、縦延伸後のフィルムに所望の樹脂層を適宜押出ラミネートやコーティングなどにより設置してもよい。
【0095】
引き続き、この縦延伸フィルムをテンター式延伸機に導いて、各々所定の温度で予熱し、幅方向に延伸する。ここで、幅方向の実効延伸倍率は、10倍以下であることが好ましい。幅方向の実効延伸倍率が10倍を越えると、得られるフィルムの長手方向の剛性が不足したり、製膜が不安定になる場合がある。横延伸温度は、安定製膜性、厚みムラ、長手方向の強力化などの観点から適宜最適な温度条件を選定すればよく、150〜180℃であることが好ましい。
【0096】
幅方向に延伸した後、さらに幅方向に1%以上の弛緩を与えつつ150〜180℃で熱固定し、冷却する。さらに、必要に応じ、フィルムの少なくとも片面に空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で、コロナ放電処理する。この際、ヒートシール層を積層している場合には、高いヒートシール強度を得るためにはコロナ放電処理を行わない方が好ましい。次いで、該フィルムを巻き取ることで、本発明に用いる二軸延伸ポリプロピレンフィルムが得られる。
【0097】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、従来の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比較して長手方向の剛性が高いことから、フィルム加工時の抗張力性に優れるとともに、長手方向と幅方向の剛性がバランス化していることから、フィルムを薄膜化しても十分な腰を有する。これより、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムのハンドリング性に優れるだけでなく、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋などのフィルム加工時に、加工張力に対する優れた抗張力性を示し、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)などのベースフィルム起因のトラブルを解消することができる。
【0098】
また、従来の汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムより薄くしても寸法安定性、防湿性に優れることから、従来より薄くしても寸法安定性、防湿性などのその他の特性を損なうことなく、加工特性を保持することができる。かつ、既存の縦−横逐次二軸延伸機を用いることから、大きな設備投資を必要とせず、上記特性を持ったフィルムを低コストで安定製造することができる。
【0099】
さらに、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、他のフィルムと複合化して構成体に加工して用いるような場合でも、該構成体の二次加工性やガスバリア性能を向上させることができる。また、一般特性を損なうことなく、本発明のフィルム、もしくは本発明のフィルムと複合化する他のフィルムを適宜薄膜化できるため、廃棄物や資源を削減することができる。
【0100】
以上のことから、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、包装用途、工業用途などに好ましく用いることができる。
【0101】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの応用例を、例として以下に挙げるが、本発明がこれらに限定されるわけではない。
(1)直進手切れ性フィルム
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(A層)の少なくとも片面に、一軸配向層(B層)を積層することにより、該B層の一軸配向方向に直進手切れ性を付与することができる。
【0102】
ここで、直進手切れ性とは、手で容易に真直ぐ切ることができる積層フィルムの特性を意味する。具体的には、該積層フィルムの端部を親指と人差指で、左右の親指と左右の人差指同士が接するようにして持ち、該積層フィルム端部をカット方向にひねるように急速な力を加えて引き裂く場合に、容易に真直ぐ手で引き裂くことができる特性をいう。
【0103】
該積層フィルムの構成は、少なくともA層/B層の2層構成であるが、該構成の少なくとも片面に光沢を付与するためのC層(C層/A層/B層もしくはA層/B層/C層)を積層したり、A層とB層の接着性を向上させるためのD層(A層/D層/B層)を積層してもよい。
【0104】
上記したC層には、エチレン・プロピレンランダム共重合体を用いることが好ましく、D層には、mmmmが70〜90%であるポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体、およびそれらの混合物)などを主たる構成成分とすることが好ましく、メタロセン触媒を用いたポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体なども用いることができる。
【0105】
また、A層とB層の積層比は、以下の関係を満たすことが好ましい。
【0106】
0.05≦ta/(ta+tb)≦0.5
ただし、ta、tbはそれぞれA層、B層の厚みである。積層比が上記範囲未満であると、該フィルムを巻出す際、および巻取る際にフィルムが切れてしまい、ハンドリング性が不十分となる場合がある。積層比が上記範囲を超えると、積層フィルムの直進手切れ性が不十分となる場合がある。
【0107】
該一軸配向層(B層)に用いる樹脂は、エチレンもしくはα−オレフィンの単独重合体、またはエチレンもしくはα−オレフィンのうち少なくとも2種以上の単量体成分による共重合体などが挙げられ、これらのうち2種以上を混合したり、マレイン酸や無水マレイン酸などの極性基を有する化合物をグラフト重合した、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。具体的には、B層はホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン3元共重合体、これらにマレイン酸や無水マレイン酸をグラフト重合した変性ポリオレフィン共重合体、およびこれらの混合物などからなることがより好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂以外の他の樹脂を添加混合してもよく、適宜最適な樹脂を選定すればよい。本発明では、B層樹脂にホモポリプロピレンおよび/またはエチレン・プロピレンランダム共重合体を用いることが透明性、押出ラミネート性、手切れ性などの観点から特に好ましい。また、例えば、該積層フィルムに艶消し感を付与するためにB層樹脂もしくは反対面のA層面に積層する樹脂として、エチレン・プロピレンブロック共重合体を用いたり、ヒートシール性を付与するためにA層面もしくはB層面に積層する樹脂として、にエチレン・プロピレン・ブテン3元共重合体を用いることもできる。
【0108】
該B層の一軸配向方向は、積層される本発明のフィルム(A層)の長手方向、幅方向いずれかの方向に実質的に一致していることが好ましいが、例えば該積層フィルムを二次加工(ラミネート、製袋など)して包装袋とした場合、主に横方向(=幅方向)へのカット性が要求されることが多いため、B層の一軸配向方向はA層の幅方向に実質的に一致していることが好ましい。
【0109】
該B層の積層方法は、特に限定されないが、B層の一軸配向方向をA層の長手方向に一致させる場合には、あらかじめB層を一軸延伸フィルムとして作製し、A層の少なくとも片面にラミネートする方法を例示できる。また、B層の一軸配向方向をA層の幅方向に一致させる場合には、A層の二軸延伸工程内において、縦延伸後のフィルム(A層)の少なくとも片面にB層樹脂を押出ラミネートし、該積層体を横延伸することにより、A層を二軸配向、B層を一軸(幅方向)配向させる方法を例示できる。これらのうち、本発明のフィルムであるA層の二軸延伸工程内でB層を積層する後者の方法が、加工工程を一段階減じることができ、さらには従来のフィルムに比較して縦延伸倍率変更に伴う縦延伸フィルムの幅変動を小さくすることができる場合があるため、生産性の観点から特に好ましい。また、後者の方法ではB層樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、押出ラミネート性の観点から5〜30g/10分であることが好ましく、7〜20g/10分であることがさらに好ましい。
【0110】
該積層フィルムは、適宜他のフィルムとラミネートすることもでき、その直進手切れ性を利用して、例えば、スープ、薬品、菓子などの包装や粘着テープのベースフィルムなどに用いることができる。
【0111】
上記積層フィルムのA層に用いる本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比べて、より等方的に二軸配向し、かつ長手方向の剛性が高められているので、従来の直進手切れ性フィルムと同等の直進手切れ性は保持しつつ、上記積層フィルムの抗張力性、耐衝撃性を向上させることができる。この際、上記積層フィルムは寸法安定性、防湿性にも優れるので、A層に用いる本発明のフィルムを従来(従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムをA層に用いた場合)より薄くしても、積層フィルム自体の加工特性を保持することができる。また、A層に従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた場合、その手切れ性故に、該フィルムを巻出す際、および巻取る際にフィルムが切れてしまうことが問題となっていたが、上記積層フィルムでは、A層とB層の厚み比率を適宜制御することにより、直進手切れ性は保持しつつ、上記問題を解消し、フィルム自体のハンドリング性を向上させることができる。さらに、該積層フィルムを粘着テープのベースフィルムとして用いる場合には、直進手切れ性を保持しつつ長手方向の剛性を高めることができるため、テープ使用時にフィルムがのびてしまう、などの問題点を解消することができる。
(2)艶消しマット調フィルム
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(A層)の少なくとも片面に、艶消し層(E層)を積層することによりフィルムの意匠性(艶消し効果)を付与することができる。
【0112】
該艶消し層樹脂は、示差走査熱量計(DSC)により測定された熱量曲線において、少なくともTm1:50〜130℃とTm2:140℃〜170℃に融解ピーク(それぞれP1、P2とする)の頂点、すなわち融点を有することが好ましい。具体的には、少なくともTm1に融解ピークを有する樹脂を島相とし、該島相樹脂とは非相溶性のTm2に融解ピークを有する海相樹脂を主たる構成成分とする海島構造を有することがより好ましい。
【0113】
該積層フィルムでは、上記海島構造を有する樹脂を艶消し層(E層)としてA層の少なくとも片面に積層し、表面に微細で均一な凹凸を付与することにより、フィルム自体に渋みのある落ち着いた表面効果(艶消し効果)を付与することができる。
【0114】
E層に用いるP1を有する島相樹脂としては、ポリエチレンを用いることが好ましく、該ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いたポリエチレンなどから選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を例示できる。また、該ポリエチレンには、他の若干の共重合成分(例えばプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、酢酸ビニルなど)が1種以上共重合されていてもよい。P1を有する島相樹脂の添加量は、5〜50重量%であることが艶消し効果発現の観点から好ましい。
【0115】
E層に用いるP2を有する海相樹脂としては、ホモポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体、およびそれらの混合物を用いることが好ましい。上記した共重合成分のα−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えばエチレン、ブテン−1、イソブテン、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、スチレンなどの少なくとも1種以上を挙げることができる。P2を有する海相樹脂の添加量は、50〜95重量%であることが艶消し効果発現の観点から好ましい。
【0116】
E層に用いる樹脂としては、上記P1、P2を有するエチレン・プロピレンブロック共重合体を用いることが好ましい。該樹脂のブロック重合部は、艶消し効果発現の観点からエチレン含有率が50〜100重量%であることが好ましく、ブロック重合部以外の重合部はプロピレン含有率が80重量%以上であることがB層の耐熱性の観点から好ましい。
【0117】
また、E層に用いる樹脂には、溶融時の流動性向上の観点から有機過酸化物を添加することが好ましい。上記有機過酸化物としては、特に制限されないが、例えばラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3などが挙げられる。
【0118】
該有機過酸化物の添加量は、E層樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部であることが好ましい。添加量が上記範囲未満であると、有機過酸化物の添加効果がみられず、上記範囲を超えると、添加効果はみられるが、E層樹脂の流動性が高くなりすぎ(MFRが高くなりすぎ)、均一にE層樹脂を積層できず艶消し効果に斑が発生する場合がある。
【0119】
ここで、P1、P2の融解熱量(それぞれH1、H2とする)はそれぞれ10mJ/mg以上であることが好ましい。P1、P2の熱量曲線がオーバーラップしている場合には、適宜カーブフィッティングして各融解熱量を算出すればよい。融解熱量が上記範囲未満であると、上記積層フィルムの艶消し効果が不十分となる場合がある。また、艶消し効果発現の観点から、H1、H2は下記式を満たすことが好ましい。
【0120】
0.05≦H1/(H1+H2)≦0.25
H1、H2が上記範囲を満たさないと、積層フィルムの艶消し性が不十分となる場合がある。
【0121】
該E層の積層方法は、特に限定されないが、例えば共押出によりA層の少なくとも片面に積層して二軸延伸する方法、A層の二軸延伸工程内において縦延伸後のフィルム(A層)の少なくとも片面にE層樹脂を押出ラミネートし、該積層体を横延伸する方法が好ましい。
【0122】
また、該E層の積層厚みは1μm以上であることが好ましい。E層の積層厚みにより該積層フィルムの艶消し感を制御することができるが、積層厚みが上記範囲未満であると、艶消し感が不十分となる場合がある。E層の積層厚みは、より好ましくは2μm以上である。
【0123】
上記積層フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.3μm以上であることが好ましい。Raが上記範囲未満であると、積層フィルムの艶消し性が不十分となる場合がある。Raは、好ましくは0.4μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、最も好ましくは0.5μm以上である。
【0124】
該積層フィルムは、適宜他のフィルムとラミネートすればよく、その艶消し効果を利用して、例えば、菓子、スナック、石鹸などの包装用や、書籍などの印刷物や写真などにラミネートして表面艶消し加工用に用いられる。また、該積層フィルムに金属泊をラミネートしたり、金属蒸着層を付設すると、金属特有の光沢感のない、落ち着いた外観を付与することができる。また、該積層フィルムのB層は離型性にも優れるので、不飽和ポリエステル樹脂やメラミン樹脂などを成形する際の離型用フィルムとすることもできる。
【0125】
さらに、上記積層フィルムのA層に用いる本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比べて長手方向の剛性が高められており、かつ剛性がバランスしているので、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などの二次加工時に加工張力に対する優れた抗張力性を示し、印刷ピッチずれ、フィルムの伸びによるマット感の消失、シワ入り、膜割れ(クラック)などを抑制することができる。また、上記積層フィルムは寸法安定性、防湿性にも優れるので、A層に用いる本発明のフィルムを従来(従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムをA層に用いた場合)より薄くしても、積層フィルム自体の加工特性を保持することができる。
(3)コンデンサー用フィルム
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンの特性をさらに制御することにより、優れたコンデンサー特性を付与することができる。
【0126】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、フィルムのメソペンタッド分率(mmmm)は、耐電圧特性向上の観点から高いほど好ましく、94%以上であることが好ましい。mmmmが上記範囲未満であると、フィルムの絶縁破壊強度が不十分となる場合がある。mmmmには、本発明の効果を奏する限り上限は設けないが、例えば製膜安定性の観点から99.8%以下であることが好ましい。mmmmは、より好ましくは94.5%以上、さらに好ましくは96%以上、さらにより好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。
【0127】
フィルムのmmmmを上記範囲に制御するためには、用いるポリプロピレンの立体規則性を高度に制御することが有効である。かかる原料の作成方法としては、ポリプロピレン重合の際の触媒系(固体触媒、外部添加電子供与性化合物など)やこれらの純度を制御することにより達成される。また、溶融押出時のポリプロピレンの熱劣化もmmmmを低下させる原因となるため、溶融ポリプロピレンの長時間滞留を避けるなどの押出機形状の工夫、押出条件制御などを適宜検討することが好ましい。
【0128】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、フィルムのアイソタクチックインデックスは、95〜99.8%であることが好ましい。IIが上記範囲未満であると、フィルムの絶縁破壊強度が不十分となる場合があり、上記範囲を超えると製膜安定性が悪化する場合がある。IIは、より好ましくは、96〜99.6%、さらに好ましくは97〜99.4%である。フィルムのIIを上記範囲に制御するためには、用いるポリプロピレンの沸騰n−ヘプタンに溶けやすい低分子量成分や立体規則性の低い、いわゆるアタクチック成分の割合が適度に低いものを選択するなどの方法を採用することができる。
【0129】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、絶縁欠点となりうる異物などは極力含まれないことが好ましい。具体的には、フィルムの灰分は50ppm以下であることが好ましい。灰分が上記範囲を超えると、異物が絶縁欠点となり、絶縁破壊強度が不十分となる場合がある。フィルムの灰分を上記範囲に制御するためには、フィルム製造中の防塵対策を講じるのはもちろんのこと、ポリプロピレン重合過程において使用し、重合後もポリプロピレン中に残存する触媒残磋の少ないポリプロピレンを用いたり、溶融押出時の汚染も極力低減する(例えば、ブリード時間を1時間以上かける、他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムの回収比率を低くするなど)ことが好ましい。灰分は、より好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下、最も好ましくは20ppm以下である。
【0130】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、酸化防止剤の種類および添加量は、長期耐熱性の観点から重要である。該酸化防止剤としては、分子骨格中に立体障害性を有するフェノール基を有するものであって、少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型であることが、長期耐熱性、溶融押出時の飛散防止のために好ましい。
【0131】
上記具体例としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT、分子量:220.4)とともに、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えば、チバガイギー社製Irganox1330、分子量:775.2)、またはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えば、チバガイギー社製Irganox1010、分子量:1177.7)などを併用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、酸化防止剤の総含有量は、ポリプロピレン全量に対して0.03〜1重量%であることが好ましい。総含有量が上記範囲未満であると、長期耐熱性に劣る場合があり、上記範囲を超えると、これら酸化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキングにより、コンデンサー素子素子とした場合に悪影響を及ぼす場合がある。総含有量は、より好ましくは0.1〜0.9重量%、さらに好ましくは0.2〜0.8重量%である。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.01〜0.4μmであることが好ましい。Raが上記範囲未満であると、フィルムの滑りが悪くなり、ハンドリング性に劣る場合があり、コンデンサー素子に絶縁油を含浸する場合はフィルム層間に絶縁油が均一に浸透せず、連続使用時に容量変化が大きくなる場合がある。Raが上記範囲を超えると、フィルムを積層した場合に層間に空気が入り、コンデンサー素子の劣化につながり、またフィルムに電極として金属蒸着層を形成した場合、金属蒸着層にピンホールなどが発生し、高温使用時の絶縁破壊強度や素子ライフが低下したり、電圧印加時に電荷が集中し、絶縁欠陥の原因となる場合がある。Raは、より好ましくは0.03〜0.3μm、さらに好ましくは0.04〜0.25μmである。
【0132】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、フィルムの120℃の長手方向と幅方向の熱収縮率の和は、1.5〜3.5%であることが好ましい。熱収縮率の和が上記範囲未満であると、コンデンサー素子作製時の熱処理による巻締まりが不十分となり、形態保持性や容量変化率に悪影響を及ぼすことがある。熱収縮率の和が上記範囲を超えると、コンデンサー素子作製の際に熱による機械的変形が大きすぎるためにフィルム中および/あるいは外部電極との接触部にストレスが発生し、コンデンサーの容量低下が大きくなったり、素子の破壊に至る場合がある。熱収縮率の和は、好ましくは1.6〜3.3%、さらに好ましくは1.7〜3%、最も好ましくは1.8〜2.8%である。
【0133】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、25℃でのフィルムの絶縁破壊強度(BDV)は実用上600V/μm以上であることが好ましく、より好ましくは650V/μm以上である。また、本発明のフィルムは面配向が高く、BDVのバラツキ(標準偏差)を従来より低くすることができ、40以下であることが好ましく、より好ましくは30以下である。いずれも上記範囲を満たさないと、コンデンサーとしたときの耐電圧特性に劣る場合がある。
【0134】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサーとする際、電極として金属泊を用いて共に巻回したものでもよいが、フィルムの少なくとも片面に金属蒸着層を電極として付設し、巻回したものが素子の小型化の観点から好ましい。また、金属蒸着層の付設には真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビーム法などの公知の方法を用いることができ、この際絶縁溝部設置方法としては、レーザーマージン法、オイルマージン法、テープマージン法などの公知の方法を用いることができる。
【0135】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、例えば上記に示したようにフィルム特性を制御することにより、優れた耐電圧特性を付与できるとともに、高温においてもその特性を保持できる。また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは長手方向の剛性が高く、巻き取り時にフィルムが部分的に伸びたり、シワが入り、このシワ部分に水分を含む空気が保持されるため、その部分の電気特性を劣化させ、局所的なコロナ放電の原因となる、といった問題を未然に防ぐことができる。電極として金属蒸着層を付設した場合には、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの長手方向の剛性が高いことから、コンデンサー素子作製時に金属蒸着層の膜割れ(クラック)発生を抑制することができ、絶縁破壊強度や素子ライフを向上させることができる。さらには、従来のフィルムに比較して剛性がバランスしており、寸法安定性、耐熱性にも優れるので、従来のフィルムより薄くしても加工特性、コンデンサー特性を保持することができ、具体的には厚み3μm前半、2μm台、1μm台といった極薄コンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムとしても好適に用いることができる。
【0136】
[特性値の測定法]
本発明で用いられている用語および測定法を以下にまとめて説明する。
(1)トルートン比
流入圧力損失法を用いてCogswellの理論[Polymer Engineering Science、12、64(1972)]から以下の条件で測定を行った。
【0137】
各試料は230℃で装置にセット・充填し、3分間保持した。さらに再充填し、3分間保持した後、測定を開始した。
【0138】
Cogswellの理論によると、流入の際に毛管入り口で生じる圧力損失(ΔPent)は、剪断粘度と伸張粘度を用いて次式のように表せる。
ここで、ηE:伸張粘度、ηs:剪断粘度、γa:剪断速度である。また、nはべき法則(σs=kγa n、σs:剪断応力)における流れ指数である。
ツインキャピラリ・レオメータでは、長さの異なる2つの毛管で同時測定することにより、ある剪断速度での剪断粘度、ΔPentを同時に求めることができるので、伸張粘度ηEは次式より求めることができる。
ここで、ε:伸張応力である。得られた伸張粘度−伸張ひずみ速度曲線、剪断粘度−剪断速度曲線をそれぞれ指数関数として近似し、これらの関数を用いて、ひずみ速度60s−1でのηE(60)、ηs(60)を求めた。これより、次式によりひずみ速度60s−1でのトルートン比(同じひずみ速度でのηEとηsの比)を算出した。
(2)ヤング率、F2値、F5値、破断強度
25℃でのヤング率、F2値、F5値は、(株)オリエンテック社製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、65%RHにて測定した。サンプルを測定方向:15cm、測定方向と直角の方向:1cmのサイズに切り出し、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、ヤング率は、JIS−Z1702に規定された方法に従い測定した。また、F2値、F5値は、それぞれ伸度2%、5%に対する試料にかかる応力を測定した。破断強度は、サンプルが破断した際の応力また、80℃などの高温で測定を行う際は、ゴンドー科学(株)社製高低温度恒温槽を装着し、上記と同様の条件にて測定した。
(3)メソペンタッド分率(mmmm)
ポリプロピレンをo−ジクロロベンゼン−D6に溶解させ、JEOL製JNM−GX270装置を用い、共鳴周波数67.93MHzで13C−NMRを測定した。得られたスペクトルの帰属、およびメソペンタッド分率の計算については、T.Hayashiらが行った方法(Polymer、29、138〜143(1988))に基づき、メチル基由来のスペクトルについて、mmmmピークを21.855ppmとして各ピークの帰属を行い、ピーク面積を求めてメチル基由来全ピーク面積に対する比率を百分率で表示した。詳細な測定条件は以下の通りである。
【0139】
測定濃度:15〜20wt%
測定溶媒:o−ジクロロベンゼン(90wt%)/ベンゼン−D6(10wt%)
測定温度:120〜130℃
共鳴周波数:67.93MHz
パルス幅:10μ秒(45°パルス)
パルス繰り返し時間:7.091秒
データ点:32K
積算回数:8168
測定モード:ノイズデカップリング
(4)熱収縮率
測定方向を長手方向および幅方向として、フィルムから試長260mm、幅10mmにサンプリングし、原寸(L0)として200mmの位置にマークを入れる。このサンプルの下端に3gの荷重をかけ、120℃の熱風循環オーブン中で15分間熱処理した後室温中に取り出し、サンプルにマークした長さ(L1)を測定する。この際、熱収縮率は次式により求められる。各方向(長手方向、幅方向)について上記操作を行い、長手方向と幅方向の熱収縮率、およびその和を求めた。
【0140】
熱収縮率(%)=100×(L0−L1)/L0
(5)水蒸気透過率
MOCON/Modern Controls社製の水蒸気透過率測定装置PERMATRAN−W3/30を用いて、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定した。金属蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィルムについては、金属蒸着を行った面に、ポリプロピレン製の粘着フィルム(3M社製、Scotchmark、40μm厚み)を貼り合わせ、上記条件で測定した。
(6)固有粘度([η])
135℃のテトラリン中に溶解したポリプロピレンについて、三井東圧化学(株)製のオストワルド粘度計を用いて測定した。
(7)メルトフローレイト(MFR)
JIS K6758に示されるポリプロピレン試験方法(230℃、2.16kgf)に従って測定した。
(8)アイソタクチックインデックス(II)
ポリプロピレンを60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出し、ポリプロピレン中の添加物を除去する。その後130℃で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の試料を取り、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタンで12時間抽出する。次に、この試料を取り出し、アセトンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥し、その後常温まで冷却し、重量W’(mg)を測定し、次式で求めた。
【0141】
II=(W’/W)×100(%)
(9)ガラス転移点温度(Tg)、融点(Tm)、結晶融解熱量(H)、結晶化温度(Tmc)
Seiko Instruments社製熱分析装置RDC220型に、サンプル重量5mgとしてアルミニウムパンに封入して装填し、20℃/分の速度で30℃から280℃まで昇温し、得られた熱量曲線から同社製熱分析システムSSC5200の内蔵プログラムを用い、ガラス転移の開始点をガラス転移温度(Tg)とし、さらに昇温する際に結晶の融解に伴う吸熱ピークの頂点を融点(Tm)とし、結晶融解熱量(H)はその面積から求めた。この面積は、熱量曲線が昇温に伴いベースラインから吸熱側にずれ、次いでベースラインの位置に戻るまでの面積であり、融解開始温度位置から終了温度位置までを直線で結び、この面積をコンピュータ処理して求めた。なお複数の吸熱ピークが観察される場合は、適宜コンピュータ処理でピーク分離を行い、それぞれ融解熱量を求めた。昇温完了後、280℃で5分間待機させ、引き続き20℃/分の速度で30℃まで降温した。この際溶融状態からの結晶化に伴う発熱ピークの頂点を結晶化温度(Tmc)として求めた。
(10)臭素価
JIS K−2543−1979に準じて測定した。試料油100g中の不飽和成分に付加される臭素のg数で表される。
(11)粒子の平均粒径(μm)
遠心沈降法(堀場製作所製 CAPA500を使用)を用いて測定した体積平均径を平均粒径とした。
(12)フィルムを構成する各層の厚み(μm)
フィルムをミクロトームを用いて切断し、断面を形成させ、電解放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いてフィルム断面構成観察を行い、各積層厚みを測定した。
(13)直進手切れ性
フィルムの端部を親指と人差指で、左右の親指と左右の人差指同士が接するようにして持ち、フィルム端部をカット方向にひねるように急速な力を加えて引き裂く場合に、容易に真直ぐ手で引き裂くことができるものを○とし、容易には手で引き裂くことができないもの、真直ぐ引き裂けないものを×とした。
(14)中心線平均表面粗さ(Ra)
JIS B0601に従って、触針式表面粗さ計を用いて測定した。なお、小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器(型式:ET−30HK)を使用し、触針径円錐型0.5μmR、荷重16mg、カットオフは0.08mmとした。
【0142】
この時、中心線平均表面粗さ(Ra)は、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取部分の中心線をX軸、縦方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表した時、次の式によって求められる値をμmで表したものをいう。
(15)表面濡れ張力
ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液によるJIS K6768に規定された測定方法に基づいて測定した。
(16)実効延伸倍率
スリット状口金から押し出し、金属ドラムに巻き付けてシート上に冷却固化せしめた未延伸フィルムに、長さ1cm四方の升目をそれぞれの辺がフィルムの長手方向、幅方向に平行になるように刻印した後、延伸・巻き取りを行い、得られたフィルムの升目の長さ(cm)を測定し、これを長手方向・横方向の実効延伸倍率とした。
(17)灰分
JIS C2330にしたがい、初期重量W0の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを、白金坩堝に入れ、まずガスバーナーで十分に燃焼させた後、750〜800℃の電気炉で、約1時間程度処理して完全に灰化し、得られた灰の重量W1を測定し、下記式から算出した。
【0143】
灰分=(W1/W0)×1000000(ppm)
(18)フィルム絶縁破壊強度(BDV)
JIS C2110に従って測定した。陰極に厚み100μm、10cm角のアルミ箔電極、陰極に真鍮性8mmφの電極を用い、この間にフィルムをはさみ、春日電気(株)製直流高圧安定化電源を用いて、100V/秒の速度で昇圧しながら電圧を印加し、電流が10mA以上流れた場合を絶縁破壊したものとした。その時の電圧を測定点のフィルム厚みで割った値を絶縁破壊強度とし、30点測定した平均値で示した。また、バラツキは、該30点のデータから標準偏差を算出し、求めた。
(19)二次加工性
長さ1000mの本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルムをポリウレタン系の接着剤を用いてドライラミネートし、食品包装用フィルムとした。該フィルムを未延伸ポリプロピレンフィルム層が内側になるようにして、(株)フジキカイ製の縦型ピロー包装機(FUJI FW−77)を用いて、フィルムを筒状に挿入し、製袋した。
【0144】
その際、フィルムにシワや伸びなどが入らず、製袋品の形状がよいものを○とし、フィルムの長手方向のヤング率が低かったり腰が低いために伸びたり、滑りが悪かったり、熱収縮率が大きいためにシワが入ったりして製袋品の形状が悪くなったものなどを×として評価した。
【0145】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。なお、所望の厚みのフィルムを得るためには、特に断りのない限り、押出機の回転数と冷却ドラムの周速を所定の値に調節した。
【0146】
実施例1
トルートン比が12の公知のポリプロピレン(メルトフローレート(MFR):2.3g/10分、メソペンタッド分率(mmmm):92%、アイソタクチックインデックス(II):96%)に、トルートン比が50の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:3g/10分、mmmm:97%、II:96.5%)5重量%の比率で添加混合したポリプロピレン90重量%に、延伸助剤として、極性基を実質的に含まない石油樹脂である、Tg80℃、臭素価3cg/g、水添率99%のポリジシクロペンタジエンを10重量%添加混合した樹脂組成100重量部に、架橋有機粒子として平均粒径2μmのポリメタクリル酸系重合体の架橋粒子(架橋PMMA)を0.15重量部添加し、帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステルとアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルを1:1の割合に混合して0.8重量部添加し、二軸押出機に供給して270℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを一軸押出機に供給して280℃で溶融させ、濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、25℃の金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。
【0147】
このシートを135℃に保たれたロールに通して予熱し、140℃に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に9倍延伸して直ちに室温に冷却する。引き続きこの延伸フィルムをテンターに導入して165℃で予熱し、160℃で幅方向に7倍に延伸し、次いで幅方向に8%の弛緩を与えつつ、160℃で熱固定をした後、冷却して巻き取った厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0148】
得られたフィルムの原料組成とフィルム特性評価結果をまとめて表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0149】
実施例2
実施例1において、長手方向の延伸倍率を11倍に上げた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例2とした。
【0150】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0151】
実施例3
実施例1において、延伸助剤として、極性基を実質的に含まないテルペン樹脂である、Tg75℃、臭素価4cg/g、水添率99%のβ−ピネンを3重量%混合し、長手方向に8倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例3とした。
【0152】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0153】
実施例4
実施例3において、延伸助剤のテルペン樹脂の混合量を8重量%とした以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例4とした。
【0154】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0155】
実施例5
実施例1において、長鎖分岐を有するポリプロピレンの添加量を10重量%、ポリジシクロペンタジエンの添加量を5重量%とした以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例5とした。
【0156】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0157】
実施例6
トルートン比が50の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:3g/10分、mmmm:97%、II:96.5%)85重量%に、延伸助剤として、極性基を実質的に含まないテルペン樹脂である、Tg75℃、臭素価4cg/g、水添率99%のβ−ピネンとTg75℃、臭素価3cg/g、水添率99%の水添β−ジペンテンの混合物を15重量%添加混合した樹脂組成100重量部に、架橋有機粒子として平均粒径1μmのポリスチレン系重合体の架橋粒子(架橋PS)を0.15重量部添加し、帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステルとアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルを1:1の割合に混合して0.8重量部添加し、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを一軸押出機に供給して270℃で溶融させ、濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、30℃の金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。
【0158】
このシートを132℃に保たれたロールに通して予熱し、137℃に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に8倍延伸して直ちに室温に冷却する。引き続きこの延伸フィルムをテンターに導入して162℃で予熱し、160℃で幅方向に8倍に延伸し、次いで幅方向に8%の弛緩を与えつつ、160℃で熱固定をした後、冷却して巻き取った厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0159】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0160】
実施例7
実施例6において、トルートン比が12の公知のポリプロピレン(MFR:2.3g/10分、mmmm:92%、II:96%)に、トルートン比が50の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:3g/10分、mmmm:97%、II:96.5%)を5重量%の比率で添加混合したポリプロピレン80重量%に、ポリプロピレンに相溶して、延伸助剤として、極性基を実質的に含まない石油樹脂である、Tg80℃、臭素価3cg/g、水添率99%のポリジシクロペンタジエンを20重量%混合し、長手方向に11倍、幅方向に6倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例7とした。
【0161】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0162】
実施例8
実施例3において、トルートン比が40の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:2.0g/10分、mmmm:95%、II:96%)を15重量%の比率で添加したポリプロピレンを用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例8とした。
【0163】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0164】
実施例9
実施例8において、長鎖分岐を有するポリプロピレンの混合比率を10重量%とした以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例9とした。
【0165】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0166】
実施例10
実施例3において、トルートン比が60の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:2.1g/10分、mmmm:94%、II:95.5%)を5重量%の比率で添加混合したポリプロピレンを用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例10とした。
【0167】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0168】
実施例11
実施例1において、長鎖分岐を有するポリプロピレンを30重量%の比率で添加混合し、長手方向に10倍、幅方向に7倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例11とした。
【0169】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0170】
実施例12
実施例1において、トルートン比が10の公知のポリプロピレン(MFR:3.1g/10分、mmmm:98%、II:99%)に、長鎖分岐を有するポリプロピレンを5重量%の比率で添加混合したポリプロピレンを用いて、長手方向に10倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例12とした。
【0171】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0172】
実施例13
実施例5において、トルートン比が11の公知のポリプロピレン(MFR:2.5g/10分、mmmm:95.5%、II:96%)に長鎖分岐を有するポリプロピレンを10重量%の比率で添加混合したポリプロピレンを用いて、長手方向に9倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例13とした。
【0173】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0174】
実施例14
実施例4において、長手方向の延伸を2段に分けて、135℃で予熱した後、1段目で137℃にて1.5倍、2段目で142℃にて5.3倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例14とした。
【0175】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0176】
【表1】
【0177】
【表2】
【0178】
比較例1
実施例1において、トルートン比が12の公知のポリプロピレン(MFR:2.3g/10分、mmmm:92%、II:96%)単体を用いて長手方向に5倍、幅方向に10倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例1とした。
【0179】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、防湿性、二次加工性に劣っていた。
【0180】
比較例2
比較例1において、縦方向の延伸倍率を7倍に上げた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例2とした。
【0181】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが多発したため、満足なフィルムが得られなかった。
【0182】
比較例3
比較例1において、トルートン比が10の公知のポリプロピレン(MFR:3g/10分、mmmm:97.5%、II:99%)単体を用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例3とした。
【0183】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、溶融状態から冷却ドラムに巻き付ける際にエッジがまくれ上がるため、縦延伸でシートがしばしば切れた。また、横延伸の際に破れが散発し、全体として製膜性が悪く、工業的に生産できないフィルムであった。
【0184】
比較例4
比較例1において、トルートン比が8の公知のポリプロピレン(MFR:6g/10分、mmmm:99.8%、II:99.5%)単体を用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例4とした。
【0185】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが多発したため、満足なフィルムが得られなかった。
【0186】
比較例5
実施例6において、長鎖分岐を有するポリプロピレン単体を用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例5とした。
【0187】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分となり、二次加工性に劣っていた。
【0188】
比較例6
実施例5において、極性基を実質的に含まない石油樹脂の代わりに、ポリプロピレンとの相溶性が悪い極性基としてカルボキシル基を含んだTg39℃で、臭素価15cg/gの未水添のガムロジンを用い、長手方向に5倍、幅方向に11倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例6とした。
【0189】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、ポリプロピレンとの相溶性が悪いガムロジンを添加しており、ガムロジンのTgが低く、臭素価が高く、極性基を持っているために、長手方向と幅方向のヤング率が低く、剛性が不十分であった。また、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、二次加工性に劣っていた。
【0190】
比較例7
比較例1において、長手方向に8倍延伸し、冷却後そのまま巻き取った厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例7とした。
【0191】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向に裂けやすく、フィルムのハンドリング性に著しく劣っていることから、二次加工性に劣っていた。
【0192】
比較例8
比較例1において、ポリプロピレン97重量%に、延伸助剤として、極性基を実質的に含まないテルペン樹脂である、Tg75℃、臭素価4cg/g、水添率99%のβ−ピネンを3重量%添加混合した樹脂組成を用い、長手方向に5倍、幅方向に9倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例8とした。
【0193】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、二次加工性にも劣っていた。
【0194】
比較例9
比較例8において、長手方向に7倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例9とした。
【0195】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが散発し、十分な長さのフィルムを採取することができず、工業的に生産できないフィルムであった。
【0196】
比較例10
比較例8において、長手方向の延伸倍率をさらに8倍に上げた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例16とした。
【0197】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが多発したため、満足なフィルムが得られなかった。
【0198】
比較例11
比較例8において、β−ピネンの混合量を10重量とした以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの比較例11とした。
【0199】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、80℃での長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、寸法安定性、二次加工性に劣っていた。
【0200】
比較例12
比較例11において、長手方向に8倍、幅方向に7倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例11とした。
【0201】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが散発し、十分な長さのフィルムを採取することができず、工業的に生産できないフィルムであった。
【0202】
比較例13
比較例11において、長手方向の延伸倍率をさらに9倍に上げた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例13とした。
【0203】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが多発したため、満足なフィルムが得られなかった。
【0204】
比較例14
比較例1において、ポリプロピレン100重量部に、結晶核剤としてリン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−第3−ブチルフェニル)ナトリウムを0.2重量部添加した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例14とした。
【0205】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、二次加工性に劣っていた。また、比較例1に比べてフィッシュアイによる欠点が増大した。
【0206】
【表3】
【0207】
【表4】
【0208】
表1〜4より、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムが、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むか、もしくはトルートン比が16以上のポリプロピレンからなり、かつ延伸助剤の1種以上を含むことにより、抗張力性に優れるとともに寸法安定性、防湿性に優れたフィルムとすることができた。また、このような優れた特性を有するフィルムを汎用の縦−横逐次二軸延伸機を用いて、破れなどの工程不良なく、安定して製膜することができた。
【0209】
【発明の効果】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、従来の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比較して長手方向の剛性が高いことから、フィルム加工時の抗張力性に優れるとともに、長手方向と幅方向の剛性がバランス化していることから、フィルムを薄膜化しても十分な腰を有する。これより、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムのハンドリング性に優れるだけでなく、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋などのフィルム加工時に、加工張力に対する優れた抗張力性を示し、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)などのベースフィルム起因のトラブルを解消することができる。
【0210】
また、従来の汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムより薄くしても寸法安定性、防湿性に優れることから、従来より薄くしても寸法安定性、防湿性などのその他の特性を損なうことなく、加工特性を保持することができる。かつ、既存の縦−横逐次二軸延伸機を用いることから、大きな設備投資を必要とせず、上記特性を持ったフィルムを低コストで安定製造することができる。
【0211】
さらに、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、他のフィルムと複合化して構成体に加工して用いるような場合でも、該構成体の二次加工性やガスバリア性能を向上させることができる。また、一般特性を損なうことなく、本発明のフィルム、もしくは本発明のフィルムと複合化する他のフィルムを適宜薄膜化できるため、廃棄物や資源を削減することができる。
【0212】
以上のことから、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、包装用途、工業用途などに好ましく用いることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、包装用途、工業用途など広範な用途に好適な二軸延伸ポリプロピレンフィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
廃棄物や資源の削減という社会的要請に基づき、特に包装用途では材料の薄膜化への期待が大きくなっている。現在、例えば包装用で20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムなどが用いられており、その大半は、汎用の縦−横逐次二軸延伸法で製造されている。ここでいう汎用の縦−横逐次二軸延伸法とは、ポリマーを押出機で融解させ、濾過フィルターを経た後、スリット状口金から押し出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却・固化せしめた未延伸フィルムを得、該未延伸フィルムを周速差が設けられたロール間で長手方向に延伸し、次いでテンターに導いて幅方向に延伸、熱固定し、冷却後に巻き取って延伸フィルムを得る、二軸延伸ポリプロピレンフィルムの代表的な製造方法のことである。
【0003】
ここで例示した20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムに対し、15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムで同等の性能や加工適性が得られるのであれば、25%のゴミおよび資源の削減に繋げることができる。
【0004】
このような要求を満足するためには、まず二軸延伸ポリプロピレンフィルムを強力化して、加工工程での張力に対する伸びを抑える必要がある。この際、加工工程の張力はフィルムの長手方向に掛かるため、主に長手方向に二軸延伸ポリプロピレンフィルムを強力化する必要がある。
【0005】
また、一般的にポリプロピレンフィルムを強力化することにより、ポリプロピレンフィルムの熱収縮率は上昇する傾向にある。高温におけるフィルムの寸法安定性が悪化すると、印刷、コーティング、ラミネート加工などの二次加工時にフィルムが収縮してフィルムの商品価値が極度に低下することがある。したがって、熱収縮率を汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムとほぼ同等またはそれ以下に抑える必要がある。
【0006】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムを強力化するために、長手方向、幅方向に延伸した後、引き続き長手方向に再延伸して、長手方向に強いフィルムを得る方法は、公知である(例えば、特許文献1〜3参照。)。さらに、これら長手方向に強いフィルムの幅方向の弱さを解消する目的で、特定の溶融結晶化温度を有するポリプロピレンシートを二軸延伸後、長手方向に再延伸する方法が開示されている(特許文献4参照。)。また、逐次二軸延伸法以外では縦−横同時二軸延伸法により長手方向に強力化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することができる(例えば、非特許文献1または2参照。)。
【0007】
二軸延伸ポリプロピレンフィルムの強力化に関して、上記した製造プロセス面からの検討に加えて、ポリプロピレンの改質による原料面からの検討も従来より行われている。例えば、ポリプロピレンの結晶性を高めるなどの改質を行うことにより、剛性・防湿性などに優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムが得られる(例えば、特許文献5参照。)。また、ポリプロピレンに石油樹脂やテルペン樹脂などを添加することにより、製膜性を向上させることができ、かつ剛性・防湿性などに優れた二軸延伸ポリプロピレンフィルムが得られる(例えば、特許文献6参照。)。さらに、これら結晶性の高いポリプロピレンに石油樹脂やテルペン樹脂などを添加した二軸延伸ポリプロピレンフィルムも公知である(例えば、特許文献7〜10参照。)。
【0008】
【特許文献1】
特公昭41−21790号公報
【0009】
【特許文献2】
特公昭45−37879号公報
【0010】
【特許文献3】
特公昭49−18628号公報
【0011】
【特許文献4】
特開昭56−51329号公報
【0012】
【特許文献5】
特開2001−40111号公報
【0013】
【特許文献6】
特許第1733605号公報
【0014】
【特許文献7】
特許第3077482号公報
【0015】
【特許文献8】
特表平11−507605号公報
【0016】
【特許文献9】
特表2000−508984号公報
【0017】
【特許文献10】
特開2002−128913号公報
【0018】
【非特許文献1】
西山、“成形加工”、2002年、第14巻、第14号、p.18−24
【0019】
【非特許文献2】
ブライル(Breil)、“タッピ プロシーディングス ポリマーズ、ラミネイションズアンドコーティングス カンファレンス”(“TAPPI Proceedings. Polymers,Laminations&Coatings Conference”)、(アメリカ)、1999年、 p.727−745
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、汎用の縦−横逐次二軸延伸法では長手方向に強力化した二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得ることは困難であった。すなわち、縦−横逐次二軸延伸法では、縦延伸で生成した配向結晶を横延伸するため、温度を半融解状態にする必要がある。このため、横延伸後には結晶の大半は幅方向に再配列し、剛性が幅方向に大きく偏った二軸延伸ポリプロピレンフィルムしか得られなかった。
【0021】
また、上記した長手方向に再延伸する方法や同時二軸延伸法では、工程が複雑で設備費がかさむという問題があった。さらには、主に長手方向の熱寸法安定性が悪化したり、長手方向の剛性が不十分なこともあった。
【0022】
さらに、結晶性の高いポリプロピレンを用いた場合、従来のポリプロピレンに比べて製膜性が劣り、二軸延伸の際に破れが発生し、工程が不安定になるという問題があった。また、汎用の縦−横逐次二軸延伸法で結晶性の高いポリプロピレンを製膜した場合、上記した結晶の再配列のために、実際には幅方向の剛性が主に高くなり、長手方向の剛性は不十分であった。また、ポリプロピレンに石油樹脂やテルペン樹脂を添加した二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムの熱収縮率が高くなり、熱寸法安定性に劣るとともに、高温下ではフィルムの剛性が低下するという問題があり、上記した結晶の再配列のために、長手方向の剛性も不十分であった。また、結晶性の高いポリプロピレンに石油樹脂やテルペン樹脂を添加した二軸延伸ポリプロピレンフィルムも破れの問題があり、製膜性が不十分で、かつ上記した結晶の再配列のために長手方向の剛性も不十分であった。
【0023】
このように、従来の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、長手方向の剛性が不十分なため、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工工程で印刷ピッチずれ、フィルムの伸び/縮み、シワ入り、膜割れ(クラック)などの問題を生じることがあった。例えば、蒸着フィルムを例に挙げると、汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは長手方向に弱いため、金属蒸着フィルムとした場合には印刷・製袋などの種々のフィルム加工工程で蒸着膜に膜割れ(クラック)が発生し、その結果ガスバリア性が悪化するという問題があった。
【0024】
本発明の目的は、上記課題を解消すべくなされたものであり、従来一般的に行われる汎用の縦−横逐次二軸延伸法でフィルムの長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することである。また、熱収縮率、防湿性などが汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムとほぼ同等もしくは優れることにより、従来に比べて薄膜化しても同等の性能を有する二軸延伸ポリプロピレンフィルムを提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討した結果、主として、以下の構成により上記課題を解決できることを見出した。
【0026】
すなわち、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、主として、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含み、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする。
また、別の構成として、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、主として、トルートン比が16以上のポリプロピレンに、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする。
また、別の構成として、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、主として、長鎖分岐を有するポリプロピレンを含み、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする。
さらに、好ましい態様として、延伸助剤が、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂であること、また長手方向のヤング率(YMD)が25℃で2.5GPa以上であること、またポリプロピレンのメソペンタッド分率(mmmm)が、90〜99.5%であること、また120℃での長手方向の熱収縮率が5%以下であること、また長手方向のヤング率(YMD)と幅方向のヤング率(YTD)で次式(1)により表されるm値
m=YMD/(YMD+YTD) (1)
が25℃において0.4〜0.7であること、また水蒸気透過率が1.5g/m2/d/0.1mm以下であること、ポリプロピレンの結晶化温度(Tmc)が、110℃以上であることを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
である。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含む。
【0028】
トルートン比は、流入圧力損失法を用い、Cogswellの理論[Polymer Engineering Science、12、64(1972)]にしたがって測定を行うことにより得られる。ここでいうトルートン比とは、指数関数で近似した伸張粘度−伸張ひずみ速度曲線、剪断粘度−剪断ひずみ速度曲線から求めた230℃、ひずみ速度60S−1での伸張粘度と剪断粘度の比である。
【0029】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むことにより、汎用の縦−横逐次二軸延伸法において、これまで困難であった長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することができる。すなわち、上記トルートン比が30以上のポリプロピレンが横延伸時の縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制する。
【0030】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含まれるポリプロピレンのトルートン比はある程度高いほど好ましいが、あまりに高すぎると製膜性が悪化したり、表面ヘイズが悪化する場合がある。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含まれるポリプロピレンのトルートン比は、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40〜100の範囲内である。
【0031】
上記のようなトルートン比が30以上のポリプロピレンを得る方法として、高分子量成分を多く含むポリプロピレンをブレンドする方法、分岐構造を持つオリゴマーやポリマーをブレンドする方法、特開昭62−121704号公報に記載されているようにポリプロピレン分子中に長鎖分岐構造を導入する方法、あるいは特許第2869606号公報に記載されているように長鎖分岐を導入せずに溶融張力と固有粘度、結晶化温度と融点とがそれぞれ特定の関係を満たし、かつ沸騰キシレン抽出残率が特定の範囲にある直鎖状の結晶性ポリプロピレンとする方法などが好ましく用いられる。
【0032】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、これらのポリプロピレンのうち、分子鎖骨格中に長鎖分岐を導入したポリプロピレンを用いることが特に好ましい。
【0033】
ここで、長鎖分岐を有するポリプロピレンとは、ポリプロピレン主鎖骨格中に、枝分かれしたポリプロピレン鎖を有するポリプロピレンである。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことにより、横延伸時の縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制することができるので、長手方向の剛性をさらに高めることができる。これは、長鎖分岐が縦配向結晶を擬似架橋するタイ分子として働き、横延伸時に延伸応力を系全体に均一に伝播させるため、縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制しているためと推察される。長鎖分岐を有するポリプロピレンの枝分かれしたポリプロピレン鎖は、長いほど縦配向結晶の再配列抑制効果が高く、ポリプロピレン主鎖と同等の長さを有することが好ましい。また、該長鎖分岐は、1本のポリプロピレン主鎖中に1本以上導入されていることが、縦配向結晶の再配列抑制の観点から好ましく、より好ましくは2本以上である。
【0034】
また、上記した長鎖分岐を有するポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)は、10×104以上であることが好ましい。Mwが上記範囲未満であると、上記した縦配向結晶の再配列抑制効果が不十分となる場合がある。Mwには、本発明の効果を奏する限り、特に上限は設けないが、例えば、溶融押出特性の観点から500×104以下であることが好ましい。Mwは、好ましくは15×104以上、より好ましくは20×104以上である。長鎖分岐を有するポリプロピレンのの重量平均分子量は、M.L.McConnellによってAmerican Laboratory、May、63−75(1978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザー光散乱光度測定法で測定する。
【0035】
長鎖分岐を有するポリプロピレンの具体例としては、Basell社製ポリプロピレン(タイプ名:PF−814など)、Borealis社製ポリプロピレン(タイプ名:WB130HMSなど)、Dow社製ポリプロピレン(タイプ名:D201など)などが挙げられる。
【0036】
ポリプロピレンの長鎖分岐の程度を示す指標値として、下記式で表される分岐指数gが挙げられる。
【0037】
g=[η]LB/[η]Lin
ここで、[η]LBは長鎖分岐を有するポリプロピレンの固有粘度であり、[η]Linは長鎖分岐を有するポリプロピレンと実質的に同一の重量平均分子量を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンの固有粘度である。なお、ここで示した固有粘度はテトラリンに溶解した試料について公知の方法で135℃で測定する。また、このg値測定の際の重量平均分子量は、M.L.McConnellによってAmerican Laboratory、May、63−75(1978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザー光散乱光度測定法で測定する。
【0038】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含まれるトルートン比が30以上のポリプロピレンの分岐指数gは、0.95以下であることが好ましい。分岐指数gが上記範囲を超えると、トルートン比が30以上のポリプロピレンの添加効果が低下し、フィルムとしたときの長手方向のヤング率が不十分となる場合がある。トルートン比が30以上のポリプロピレンの分岐指数gは、より好ましくは0.9以下である。
【0039】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含まれるトルートン比が30以上のポリプロピレンの混合量は、特に制限されないが、1〜60重量%であることが好ましく、少量添加でも効果がみられるのが特徴である。混合量が上記範囲未満であると、横延伸性が悪化したり、長手方向の剛性向上効果が小さくなる場合があり、上記範囲を超えると、縦延伸性が悪化したり、フィルムの耐衝撃性、透明性などが悪化する場合がある。トルートン比が30以上のポリプロピレンの混合量は、より好ましくは2〜50重量%、さらに好ましくは3〜40重量%である。
【0040】
本発明の他の構成として、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのトルートン比が16以上であることが挙げられる。
【0041】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が16以上のポリプロピレンからなることにより、汎用の縦−横逐次二軸延伸法において、これまで困難であった長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造することができる。
【0042】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのトルートン比は高いほど好ましいが、あまりに高すぎると製膜性が悪化したり、表面ヘイズが悪化する場合がある。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのトルートン比は、より好ましくは18以上、さらに好ましくは20〜100の範囲内、最も好ましくは20〜80の範囲内である。これらは、例えば下記に示すような長鎖分岐を有するポリプロピレンの添加により調整が可能であり、長手方向の剛性をさらに向上させることができる。
【0043】
上記したようなトルートン比が16以上のポリプロピレンは、例えば長鎖分岐を有するポリプロピレンと公知の汎用ポリプロピレンを混合したり、汎用ポリプロピレンの主鎖骨格中に長鎖分岐成分を共重合、グラフト重合などで導入することによって得られる。すなわち、このような長鎖分岐を有するポリプロピレンにより、横延伸時の縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制することができる。
【0044】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、トルートン比が16以上であれば特に制限はないが、例えば、以下に示すような性質を有するポリプロピレンを含有することが好ましい。
【0045】
すなわち、トルートン比が30以上であるポリプロピレンを含み、トルートン比を16以上にすることが好ましい。トルートン比が30以上のポリプロピレンは、例えば主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンと汎用ポリプロピレンを混合したり、汎用ポリプロピレンの主鎖骨格中に長鎖分岐成分を共重合、グラフト重合などで導入することによって得られる。
【0046】
従来の汎用ポリプロピレンの分子構造は線状構造だが、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンには、このような長鎖分岐を有するポリプロピレンを混合することにより、横延伸時の縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制することができる。これは、長鎖分岐が縦配向結晶を擬似架橋するタイ分子として働き、横延伸時に延伸応力を系全体に均一に伝播させるため、縦配向結晶の幅方向への再配列を抑制しているためと推察される。
【0047】
この際、混合せしめる長鎖分岐を有するポリプロピレンのトルートン比は、より好ましくは35以上、さらにより好ましくは40〜100である。
【0048】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンの結晶化温度(Tmc)は、110℃以上であることが好ましい。Tmcを上記範囲とすることで、溶融状態から冷却して未延伸シートを得る際に球晶サイズを小さくすることができ、縦延伸後の長手方向の結晶配向を高められるとともに、製膜安定性を向上させ、二軸延伸後には透明性を高められる場合がある。用いるポリプロピレンのTmcが上記範囲未満であると、二軸延伸後のフィルムの透明性が悪化したり、縦延伸後の長手方向の結晶配向が上がらず、二軸延伸後の長手方向の剛性が不十分となる場合がある。Tmcには、本発明の効果を奏する限りにおいて上限は設けないが、例えば安定製膜の観点から140℃以下であることが好ましく、135℃以下であることがより好ましい。Tmcは、より好ましくは112℃以上、さらに好ましくは115℃以上、最も好ましくは118℃以上である。
【0049】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのメルトフローレイト(MFR)は、製膜性の観点から1〜30g/10分であることが好ましい。MFRが上記範囲未満であると、溶融押出時に濾圧が上昇したり、押出原料の置換に長時間を要する、均一な厚みのフィルムを形成することが困難になる、製膜性が悪化するなどの問題点を生じる場合がある。MFRが上記範囲を超えると、製膜されたフィルムの厚み斑が大きくなるなどの問題点が生じる場合がある。MFRは、より好ましくは1〜20g/10分である。
【0050】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのメソペンタッド分率(mmmm)は、90〜99.5%であることが好ましく、92〜99.5%であることがより好ましい。ここで、mmmmとはポリプロピレンにおけるアイソタクチックの立体構造を直接反映する指標である。mmmmを上記範囲とすることで、寸法安定性に優れ、耐熱性、剛性、防湿性、耐薬品性などが著しく向上したフィルムを安定製造することができるので、印刷、コーティング、蒸着、製袋、ラミネート、離型などのフィルム加工工程において、高い二次加工性を有するフィルムを提供することができる。mmmmが上記範囲未満であると、フィルムとしたときの腰が低下し、熱収縮率が大きくなる傾向にあるため、印刷、コーティング、蒸着、製袋、ラミネート、離型などの二次加工性が低下する場合があり、水蒸気透過率も高くなる場合がある。mmmmが高くなるほど剛性、寸法安定性、防湿性が向上する傾向にあるが、上記範囲を超えると、製膜性が悪化する場合がある。mmmmは、さらに好ましくは93〜99%、最も好ましくは94〜98.5%である。
【0051】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンのアイソタクチックインデックス(II)は、92〜99.8%であることが好ましい。IIが上記範囲未満であると、フィルムとしたときの腰が低下する、熱収縮率が大きくなる、水蒸気透過率が高くなるなどの問題点が生じる場合があり、印刷、コーティング、蒸着、製袋、ラミネート、離型などの二次加工性が低下する場合がある。IIが高くなるほど剛性、寸法安定性、防湿性が向上する傾向にあるが、上記範囲を超えると製膜性が悪化する場合がある。IIは、より好ましくは94〜99.5%である。
【0052】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、経済性などの観点から、本発明の特性を損なわない範囲で、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する際に生じた屑フィルムや、他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルム、その他の樹脂をブレンド使用してもかまわない。この場合、ブレンド後のポリプロピレンのトルートン比が16以上であることが長手方向の剛性向上の観点から必要である。
【0053】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でポリプロピレンと他の不飽和炭化水素の単量体成分が共重合された重合体であってもよいし、プロピレンとプロピレン以外の単量体成分が共重合された重合体がブレンドされてもよいし、プロピレン以外の不飽和炭化水素の単量体成分の(共)重合体がブレンドされてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として、例えば、エチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
【0054】
ここで、上記したトルートン比、分岐指数g、MFR、mmmm、IIなどのポリプロピレンの特性値は、製膜前の原料チップを用いて判定することが望ましいが、製膜後のフィルムについても、該フィルムを60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間程度抽出し、不純物・添加物を除去後、130℃で2時間以上真空乾燥したものをサンプルとして用いて測定することもできる。
【0055】
次に、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、強力化、防湿性向上、製膜性向上などの観点から、延伸助剤が混合されていることが必要である。ここでいう延伸助剤とは、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンに添加することにより、未添加の場合に比較して、安定でより高倍率の延伸を可能にする添加剤をいう。かかる延伸助剤が混合されていないと、長鎖分岐を有するポリプロピレンによる縦配向結晶の幅方向への再配列抑制効果が十分に発揮できず、製膜性、防湿性も劣ったものとなる。
【0056】
本発明の延伸助剤は、ポリプロピレンに対する相溶性が高い樹脂であることが好ましく、また、ガラス転移点温度(以下、Tgと記すことがある)は、60℃以上であることが好ましい。Tgが60℃以上であれば、フィルムの防湿性、剛性の向上効果が十分に得られるので好ましい。また、Tgの上限は、本発明の効果を奏する限りにおいて特に制限はされないが、120℃以下であると、ポリプロピレンとの相溶性、フィルムの延伸性、防湿性などが優れたものが得られるので好ましい。
【0057】
本発明の延伸助剤としては、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の1種以上が、高倍率延伸、強力化、防湿性向上などの観点から好ましく用いられる。
【0058】
ここで、極性基を実質的に含まない石油樹脂とは、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホン基またはそれらの変成体などからなる極性基を有さない石油樹脂であり、具体的には石油系不飽和炭化水素を原料とするシクロペンタジエン系、あるいは高級オレフィン系炭化水素を主原料とする樹脂である。
【0059】
さらに、かかる極性基を実質的に含まない石油樹脂のTgは、60℃以上であることが好ましい。Tgが上記範囲未満であると、剛性の向上効果が小さくなる場合がある。Tgの上限は、本発明の効果を奏する限りにおいて特に限定はされないが、ポリプロピレンとの相溶性、フィルムの延伸性、防湿性などの観点から、120℃以下であることが好ましい。
【0060】
また、かかる石油樹脂に水素を添加し、その水素添加率を90%以上、好ましくは99%以上とした水素添加(以下、水添と記すことがある)石油樹脂は、特に好ましく用いられる。代表的な水添石油樹脂としては、例えばTgが70℃以上で水添率99%以上のポリジシクロペンタジエンなどの脂環族石油樹脂を挙げることができる。
【0061】
また、極性基を実質的に含まないテルペン樹脂とは、水酸基、アルデヒド基、ケトン基、カルボキシル基、ハロゲン基、スルホン基またはそれらの変成体などからなる極性基を有さないテルペン樹脂、すなわち(C5H8)nの組成の炭化水素およびこれから導かれる変性化合物である。ここで、nは2〜20程度の自然数である。
【0062】
テルペン樹脂はテルペノイドと呼ばれることもあり、代表的な化合物としては、ピネン、ジペンテン、カレン、ミルセン、オシメン、リモネン、テレピノレン、テルピネン、サビネン、トリシクレン、ビサボレン、ジンギペレン、サンタレン、カンホレン、ミレン、トタレンなどがあり、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの場合、水素を添加し、その水素添加率を90%以上とするのが好ましく、特に99%以上とすることが好ましい。なかでも、水添β−ピネン、水添β−ジペンテンなどが特に好ましく用いられる。
【0063】
かかる極性基を実質的に含まないテルペン樹脂のTgは、60℃以上であることが好ましい。Tgが上記範囲未満では、剛性の向上効果が小さくなる場合がある。Tgの上限は、本発明の効果を奏する限りにおいて特に限定はされないが、ポリプロピレンとの相溶性、フィルムの延伸性、防湿性などの観点から、120℃以下であることが好ましい。
【0064】
該石油樹脂またはテルペン樹脂の臭素価としては、10以下が好ましく、さらに好ましくは5以下、特に好ましくは1以下のものがよい。
【0065】
上記延伸助剤の添加量は、その効果が発揮される量であれば特に限定されないが、前記石油樹脂およびテルペン樹脂の混合量を合わせて0.1〜30重量%であることが好ましい。該樹脂の混合量が上記範囲未満では、延伸性、長手方向の剛性の向上効果が小さくなったり、透明性が悪化する場合がある。また、上記範囲を越えると、熱寸法安定性が悪化したり、フィルム表層に該添加剤がブリードアウトして滑り性が悪化したり、フィルム同士がブロッキングする場合がある。添加剤の混合量は石油樹脂およびテルペン樹脂の添加量を合わせて、より好ましくは1〜20重量%であり、さらに好ましくは2〜15重量%である。
【0066】
なお、延伸助剤として極性基を含有する石油樹脂および/またはテルペン樹脂を使用した場合には、ポリプロピレンとの相溶性に劣ることから、フィルム内部にボイドが形成されやすく、水蒸気透過率が高くなり、また帯電防止剤や滑剤のブリードアウトを悪化させる可能性がある。
【0067】
かかる延伸助剤の具体例としては、例えばトーネックス(株)社製“エスコレッツ”(タイプ名:E5300シリーズなど)、ヤスハラケミカル(株)社製“クリアロン”(タイプ名:P−125など)、荒川化学工業(株)社製“アルコン”(タイプ名:P−125など)などが挙げられる。
【0068】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、フィルムの帯電による静電気障害防止のため帯電防止剤が好ましく添加される。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに含有される帯電防止剤は特に限定されないが、例えば、ベタイン誘導体のエチレンオキサイド付加物、第4級アミン系化合物、アルキルジエタノールアミン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ステアリン酸グリセリドなど、もしくはこれらの混合物を挙げることができる。
【0069】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、滑剤を添加することが好ましく、上記帯電防止剤と併用することがより好ましい。これは、JIS用語で表現される熱可塑性樹脂の加熱成形時の流動性、離型性をよくするために添加されるもので、加工機械とフィルム表面、またはフィルム同士の間の摩擦力を調節するために添加される。
【0070】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに添加される滑剤は特に限定されないが、例えば、ステアリン酸アミド、エルシン酸アミド、エルカ酸アミド、オレイン酸アミドなどのアミド系化合物など、もしくはこれらの混合物が挙げられる。
【0071】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに添加される帯電防止剤の添加量は、用いるポリプロピレン100重量部に対して、0.3重量部以上添加されていることが好ましく、より好ましくは0.4〜1.5重量部の範囲である。また、帯電防止剤と滑剤の合計添加量は0.5〜2.0重量部が帯電防止性と滑り性の点でより好ましい。
【0072】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを金属蒸着フィルムとして用いる場合は、滑り性を付与し、作業性や巻き取り性を向上させるために、有機架橋性粒子や無機粒子を少量添加することは許容されるが、上記帯電防止剤や有機滑剤は添加しない方が金属蒸着層の接着性向上、ならびにガスバリア性向上の観点から好ましい。
【0073】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、滑り性付与のため無機粒子および/または架橋有機粒子が好ましく添加混合される。
【0074】
本発明で、無機粒子とは金属化合物の無機粒子であり、特に限定されないが、例えば、ゼオライト、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、シリカ、珪酸アルミニウム、カオリン、カオリナイト、タルク、クレイ、珪藻土、モンモリロナイト、酸化チタンなどの粒子、もしくはこれらの混合物を挙げることができる。
【0075】
また、本発明で、架橋有機粒子は架橋剤を用いて高分子化合物を架橋した粒子である。本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに添加される架橋有機粒子は、特に限定されないが、例えば、ポリメトキシシラン系化合物の架橋粒子、ポリスチレン系化合物の架橋粒子、アクリル系化合物の架橋粒子、ポリウレタン系化合物の架橋粒子、ポリエステル系化合物の架橋粒子、フッソ系化合物の架橋粒子、もしくはこれらの混合物を挙げることができる。
【0076】
また、無機粒子および架橋有機粒子の平均粒径は0.5〜6μmであることが好ましい。平均粒径が上記範囲未満であると、滑り性が悪くなる場合があり、上記範囲を越えると、粒子の脱落やフィルム同士を擦った時にフィルム表面に傷がつきやすくなる場合がある。
【0077】
無機粒子および/または架橋有機粒子の添加量は、0.02〜0.5重量%であることが好ましく、より好ましくは0.05〜0.2重量%とすることが、耐ブロッキング防止性、滑り性および透明性の点で好ましい。
【0078】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムには、必要に応じて上記以外の造核剤、熱安定剤、酸化防止剤などを添加せしめてもよい。
【0079】
例えば造核剤としては、ソルビトール系、有機リン酸エステル金属塩系、有機カルボン酸金属塩系、ロジン系造核剤などを0.5重量%以下、熱安定剤としては2,6−ジ−第3−ブチル−4−メチルフェノ−ル(BHT)などを0.5重量%以下、酸化防止剤としてはテトラキス[メチレン−(3,5−ジ−第3−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(Irganox 1010)などを0.5重量%以下の範囲で添加してもよい。
【0080】
次に、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面には、添加剤飛散・ブリードアウト抑制、コーティング膜・蒸着膜易接着、易印刷性付与、ヒートシール性付与、プリントラミネート性付与、光沢付与、滑り性付与、ヘイズ低減(透明性付与)、離型性付与、イージーピール性付与、表面硬度向上、平滑性付与、表面粗度向上、ガスバリア性向上、手切れ性付与など、種々の目的に応じて、適宜公知のポリオレフィン系樹脂およびその他の樹脂を積層することが好ましい。
【0081】
この際の積層厚みは、0.25μm以上であり、かつフィルムの全厚みの1/2以下であることが好ましい。積層厚みが0.25μm未満であると、膜切れなどにより均一な積層が困難となり、全厚みの1/2を越えると、機械特性に及ぼす表層の影響が大きくなり、ヤング率の低下を引き起こし、フィルムの抗張力性もまた低下する。
【0082】
また、この際積層される表層樹脂は必ずしも本発明の範囲を満たす必要はなく、積層方法は共押出、インライン・オフライン押出ラミネート、インライン・オフラインコーティングなどが挙げられるが、これらのうちいずれかに限定されるわけではなく、随時最良の方法を選択すればよい。
【0083】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの少なくとも片方のフィルム表面にコロナ放電処理を施し、フィルム表面の濡れ張力を35mN/m以上とすることは、印刷性、接着性、帯電防止性および滑剤のブリードアウト性を向上させるため好ましく採用することができる。この際、コロナ放電処理時の雰囲気ガスとしては、空気、酸素、窒素、炭酸ガス、あるいは窒素/炭酸ガスの混合系などが好ましく、経済性の観点からは空気中でコロナ放電処理することが特に好ましい。また、火炎(フレーム)処理、プラズマ処理なども表面濡れ張力向上の観点から好ましい。濡れ張力の上限は特に設けないが、過度な表面処理は表面を劣化させ
る場合があり、60mN/m以下であることが好ましい。
【0084】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向のヤング率(YMD)は2.5GPa以上であることが好ましい。25℃でのYMDが上記範囲未満であると、フィルム加工時に抗張力性が不十分となったり、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。25℃でのYMDは、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃でのYMDは、より好ましくは2.7GPa以上、さらに好ましくは3.0GPa以上、最も好ましくは3.2GPa以上である。
【0085】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの80℃での長手方向のヤング率(YMD)は、0.4GPa以上であることが好ましい。80℃でのYMDが上記範囲未満であると、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。80℃でのYMDは、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。80℃でのYMDは、より好ましくは0.5GPa以上、さらに好ましくは0.6GPa以上である。
【0086】
本発明に用いる二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、長手方向のヤング率(YMD)と幅方向のヤング率(YTD)により表されるm値
m=YMD/(YMD+YTD) (1)
が25℃において0.4〜0.7であることが好ましい。ここで、m値はフィルムの長手方向のヤング率と幅方向のヤング率の和に占める長手方向のヤング率の比率である。したがって、m値<0.5のフィルムは長手方向に比較して幅方向の剛性が高く、m値=0.5のフィルムは長手方向と幅方向の剛性が実質的にバランスしており、m値>0.5のフィルムは幅方向に比較して長手方向の剛性が高い。m値が0.4〜0.7であることにより、長手方向と幅方向の剛性がほぼバランスした二軸延伸ポリプロピレンフィルム、さらには幅方向に比較して長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルムとできるので、従来に比べて飛躍的に腰の強いフィルムとすることができ、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に優れたハンドリング性、加工性を示すフィルムを、汎用の縦−横逐次二軸延伸法を用いて安定製造できる。25℃でのm値が上記範囲未満であると、幅方向に比較して長手方向の剛性が劣り、剛性がアンバランスになるため、フィルム加工時の抗張力性が不十分であったり、フィルムの腰が不十分となり、膜割れ(クラック)やフィルムの伸び、シワ入り、印刷ピッチずれなどのベースフィルム起因のトラブルが発生することがあり、フィルム加工時のハンドリング性、加工性に劣る場合がある。25℃でのm値が上記範囲を超えると、長手方向に比較して幅方向の剛性が著しく低下するため、薄膜化を行った際のフィルムの腰が不十分となり、フィルム加工時のハンドリング性、加工性に劣る場合があり、長手方向にフィルムが裂け易くなる場合がある。25℃でのm値は、製膜条件(溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸温度、倍率、縦・横延伸後のフィルムの弛緩など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)に対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃でのm値は、より好ましくは0.42〜0.68、さらに好ましくは0.44〜0.65、最も好ましくは0.48〜0.62である。また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、印刷、ラミネートヒートシールなどの加工工程の際には、室温以上に加熱されることがあるが、室温以上の温度においてもm値が上記範囲(0.4〜0.7)であることが二次加工性の観点から好ましい。特に、m値は、例えば80℃においても上記範囲を満たすことが好ましい。
【0087】
また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向のF2値は、40MPa以上であることが好ましい。ここで、長手方向のF2値とは、長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張した際の伸度2%の時に試料にかかる応力である。25℃での長手方向のF2値が上記範囲未満であると、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。25℃での長手方向のF2値は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃での長手方向のF2値は、より好ましくは45MPa以上である。
【0088】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向のF5値は、50MPa以上であることが好ましい。ここで、長手方向のF5値とは、長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張した際の伸度5%の時に試料にかかる応力である。25℃での長手方向のF5値が上記範囲未満であると、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。25℃での長手方向のF5値は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃での長手方向のF5値は、より好ましくは55MPa以上である。
【0089】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向の破断強度は180MPa以上であることが好ましい。25℃での長手方向の破断強度が上記範囲未満であると、フィルム加工時に抗張力性が不十分となったり、長手方向に比較して幅方向の剛性が高くなり、剛性がアンバランスとなる場合がある。このため、フィルムの腰が不十分となる場合があり、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)を生じるなど、フィルムの抗張力性が不十分となる場合がある。25℃での長手方向の破断強度は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)などに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。25℃での長手方向の破断強度は、より好ましくは200MPa以上、さらに好ましくは220MPa以上、最も好ましくは240MPa以上である。
【0090】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの120℃での長手方向の熱収縮率は、5%以下であることが好ましい。120℃での長手方向の熱収縮率が上記範囲を越えると、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に温度を付加した際のフィルムの収縮が大きくなり、膜割れ(クラック)、ピッチずれ、シワ入りなどの工程不良を誘起することがある。120℃での長手方向の熱収縮率は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸条件(延伸温度、倍率、延伸後のフィルムの弛緩など)、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmm、IIなどに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。120℃での長手方向の熱収縮率は、より好ましくは4%以下である。
【0091】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの120℃での長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の和は、8%以下であることが好ましい。120℃での長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の和が上記範囲を越えると、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などのフィルム加工時に温度を付加した際のフィルムの収縮が大きくなり、膜割れ(クラック)、ピッチずれ、シワ入りなどの工程不良を誘起することがある。120℃での長手方向と幅方向の熱収縮率の和は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸条件(延伸温度、倍率、延伸後のフィルムの弛緩など)、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmm、IIなどに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件・原料を選定すればよい。120℃での長手方向の熱収縮率と幅方向の熱収縮率の和は、より好ましくは6%以下である。
【0092】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの水蒸気透過率は、1.5g/m2/d/0.1mm以下であることが好ましい。水蒸気透過率が上記範囲を越えると、例えば、内容物を外気と遮断する包装体に本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた際の防湿性に劣る場合がある。水蒸気透過率は、溶融状態から冷却固化して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸条件(延伸温度、倍率など)、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmm、IIなどに対応)、延伸助剤の混合量などにより制御することができる。したがって、本発明の特性を損なわない範囲で適宜最適な製膜条件、原料を選定すればよい。水蒸気透過率は、より好ましくは1.2g/m2/d/0.1mm以下である。
【0093】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの製造には、公知の方法が使用できる。例えば、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むポリプロピレン、あるいはトルートン比が16以上のポリプロピレンに、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂の1種以上を混合した樹脂、ならびに該フィルムの少なくとも片面に第2、第3、・・の層を積層した積層体とする場合には各々所望の樹脂を必要に応じて準備する。これらの樹脂を別々の押出機に供給して200〜290℃の温度で溶融させ、濾過フィルターを経た後、(積層体とする場合は、短管あるいは口金内で合流せしめ、目的とするそれぞれの積層厚みで)スリット状口金から押し出し、冷却用ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめ未延伸(積層)フィルムとする。冷却用ドラムの温度は20〜100℃とし、フィルムを適度に結晶化させることが長手方向の剛性向上の観点から好ましい。また、冷却ドラムへの密着方法としては静電印可法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得る手法としては厚み制御性が良好なエアーナイフ法が好ましい。
【0094】
次に、得られた未延伸(積層)フィルムを、公知の汎用の縦−横逐次二軸延伸法を用いて二軸延伸する。まず、未延伸フィルムを所定の温度に保たれたロールに通して予熱し、引き続きそのフィルムを所定の温度に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に延伸して直ちに室温に冷却する。ここで、長手方向に高度に強力化された二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製造する重要なポイントとして、縦方向(=長手方向)の延伸倍率が挙げられる。通常の縦−横逐次二軸延伸ポリプロピレンフィルムを製膜する際の縦方向の実効延伸倍率は、4.5〜5.5倍の範囲であり、6倍を越えると安定な製膜が困難になり、横延伸でフィルムが破れてしまうのに対して、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムでは、縦方向の実効延伸倍率を6倍以上とすることが好ましい。縦方向の実効延伸倍率が上記範囲未満であると、得られるフィルムの長手方向の剛性が不足する場合があり、薄膜化を行った際のフィルムの腰が不十分となる場合がある。縦方向の実効延伸倍率は、より好ましくは7倍以上、さらに好ましくは8倍以上である。この際、縦延伸を少なくとも2段階以上に分けて行うことは、長手方向の強力化、表面欠点抑制などの観点から好ましい場合がある。縦延伸温度は、安定製膜性、厚みムラ抑制、長手方向の強力化などの観点から適宜最適な温度条件を選定すればよく、120〜150℃であることが好ましい。また、縦延伸後の冷却過程において、フィルムの厚みムラが悪化しない程度に縦方向に弛緩を与えることは、長手方向の寸法安定性の観点から好ましい。さらに、縦延伸後のフィルムに所望の樹脂層を適宜押出ラミネートやコーティングなどにより設置してもよい。
【0095】
引き続き、この縦延伸フィルムをテンター式延伸機に導いて、各々所定の温度で予熱し、幅方向に延伸する。ここで、幅方向の実効延伸倍率は、10倍以下であることが好ましい。幅方向の実効延伸倍率が10倍を越えると、得られるフィルムの長手方向の剛性が不足したり、製膜が不安定になる場合がある。横延伸温度は、安定製膜性、厚みムラ、長手方向の強力化などの観点から適宜最適な温度条件を選定すればよく、150〜180℃であることが好ましい。
【0096】
幅方向に延伸した後、さらに幅方向に1%以上の弛緩を与えつつ150〜180℃で熱固定し、冷却する。さらに、必要に応じ、フィルムの少なくとも片面に空気あるいは窒素あるいは炭酸ガスと窒素の混合雰囲気中で、コロナ放電処理する。この際、ヒートシール層を積層している場合には、高いヒートシール強度を得るためにはコロナ放電処理を行わない方が好ましい。次いで、該フィルムを巻き取ることで、本発明に用いる二軸延伸ポリプロピレンフィルムが得られる。
【0097】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、従来の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比較して長手方向の剛性が高いことから、フィルム加工時の抗張力性に優れるとともに、長手方向と幅方向の剛性がバランス化していることから、フィルムを薄膜化しても十分な腰を有する。これより、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムのハンドリング性に優れるだけでなく、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋などのフィルム加工時に、加工張力に対する優れた抗張力性を示し、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)などのベースフィルム起因のトラブルを解消することができる。
【0098】
また、従来の汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムより薄くしても寸法安定性、防湿性に優れることから、従来より薄くしても寸法安定性、防湿性などのその他の特性を損なうことなく、加工特性を保持することができる。かつ、既存の縦−横逐次二軸延伸機を用いることから、大きな設備投資を必要とせず、上記特性を持ったフィルムを低コストで安定製造することができる。
【0099】
さらに、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、他のフィルムと複合化して構成体に加工して用いるような場合でも、該構成体の二次加工性やガスバリア性能を向上させることができる。また、一般特性を損なうことなく、本発明のフィルム、もしくは本発明のフィルムと複合化する他のフィルムを適宜薄膜化できるため、廃棄物や資源を削減することができる。
【0100】
以上のことから、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、包装用途、工業用途などに好ましく用いることができる。
【0101】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの応用例を、例として以下に挙げるが、本発明がこれらに限定されるわけではない。
(1)直進手切れ性フィルム
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(A層)の少なくとも片面に、一軸配向層(B層)を積層することにより、該B層の一軸配向方向に直進手切れ性を付与することができる。
【0102】
ここで、直進手切れ性とは、手で容易に真直ぐ切ることができる積層フィルムの特性を意味する。具体的には、該積層フィルムの端部を親指と人差指で、左右の親指と左右の人差指同士が接するようにして持ち、該積層フィルム端部をカット方向にひねるように急速な力を加えて引き裂く場合に、容易に真直ぐ手で引き裂くことができる特性をいう。
【0103】
該積層フィルムの構成は、少なくともA層/B層の2層構成であるが、該構成の少なくとも片面に光沢を付与するためのC層(C層/A層/B層もしくはA層/B層/C層)を積層したり、A層とB層の接着性を向上させるためのD層(A層/D層/B層)を積層してもよい。
【0104】
上記したC層には、エチレン・プロピレンランダム共重合体を用いることが好ましく、D層には、mmmmが70〜90%であるポリプロピレン系樹脂(ホモポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体、およびそれらの混合物)などを主たる構成成分とすることが好ましく、メタロセン触媒を用いたポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン・プロピレン共重合体なども用いることができる。
【0105】
また、A層とB層の積層比は、以下の関係を満たすことが好ましい。
【0106】
0.05≦ta/(ta+tb)≦0.5
ただし、ta、tbはそれぞれA層、B層の厚みである。積層比が上記範囲未満であると、該フィルムを巻出す際、および巻取る際にフィルムが切れてしまい、ハンドリング性が不十分となる場合がある。積層比が上記範囲を超えると、積層フィルムの直進手切れ性が不十分となる場合がある。
【0107】
該一軸配向層(B層)に用いる樹脂は、エチレンもしくはα−オレフィンの単独重合体、またはエチレンもしくはα−オレフィンのうち少なくとも2種以上の単量体成分による共重合体などが挙げられ、これらのうち2種以上を混合したり、マレイン酸や無水マレイン酸などの極性基を有する化合物をグラフト重合した、ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。具体的には、B層はホモポリプロピレン、エチレン・プロピレンランダム共重合体、エチレン・プロピレンブロック共重合体、エチレン・プロピレン・ブテン3元共重合体、これらにマレイン酸や無水マレイン酸をグラフト重合した変性ポリオレフィン共重合体、およびこれらの混合物などからなることがより好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂以外の他の樹脂を添加混合してもよく、適宜最適な樹脂を選定すればよい。本発明では、B層樹脂にホモポリプロピレンおよび/またはエチレン・プロピレンランダム共重合体を用いることが透明性、押出ラミネート性、手切れ性などの観点から特に好ましい。また、例えば、該積層フィルムに艶消し感を付与するためにB層樹脂もしくは反対面のA層面に積層する樹脂として、エチレン・プロピレンブロック共重合体を用いたり、ヒートシール性を付与するためにA層面もしくはB層面に積層する樹脂として、にエチレン・プロピレン・ブテン3元共重合体を用いることもできる。
【0108】
該B層の一軸配向方向は、積層される本発明のフィルム(A層)の長手方向、幅方向いずれかの方向に実質的に一致していることが好ましいが、例えば該積層フィルムを二次加工(ラミネート、製袋など)して包装袋とした場合、主に横方向(=幅方向)へのカット性が要求されることが多いため、B層の一軸配向方向はA層の幅方向に実質的に一致していることが好ましい。
【0109】
該B層の積層方法は、特に限定されないが、B層の一軸配向方向をA層の長手方向に一致させる場合には、あらかじめB層を一軸延伸フィルムとして作製し、A層の少なくとも片面にラミネートする方法を例示できる。また、B層の一軸配向方向をA層の幅方向に一致させる場合には、A層の二軸延伸工程内において、縦延伸後のフィルム(A層)の少なくとも片面にB層樹脂を押出ラミネートし、該積層体を横延伸することにより、A層を二軸配向、B層を一軸(幅方向)配向させる方法を例示できる。これらのうち、本発明のフィルムであるA層の二軸延伸工程内でB層を積層する後者の方法が、加工工程を一段階減じることができ、さらには従来のフィルムに比較して縦延伸倍率変更に伴う縦延伸フィルムの幅変動を小さくすることができる場合があるため、生産性の観点から特に好ましい。また、後者の方法ではB層樹脂のメルトフローレイト(MFR)は、押出ラミネート性の観点から5〜30g/10分であることが好ましく、7〜20g/10分であることがさらに好ましい。
【0110】
該積層フィルムは、適宜他のフィルムとラミネートすることもでき、その直進手切れ性を利用して、例えば、スープ、薬品、菓子などの包装や粘着テープのベースフィルムなどに用いることができる。
【0111】
上記積層フィルムのA層に用いる本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比べて、より等方的に二軸配向し、かつ長手方向の剛性が高められているので、従来の直進手切れ性フィルムと同等の直進手切れ性は保持しつつ、上記積層フィルムの抗張力性、耐衝撃性を向上させることができる。この際、上記積層フィルムは寸法安定性、防湿性にも優れるので、A層に用いる本発明のフィルムを従来(従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムをA層に用いた場合)より薄くしても、積層フィルム自体の加工特性を保持することができる。また、A層に従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用いた場合、その手切れ性故に、該フィルムを巻出す際、および巻取る際にフィルムが切れてしまうことが問題となっていたが、上記積層フィルムでは、A層とB層の厚み比率を適宜制御することにより、直進手切れ性は保持しつつ、上記問題を解消し、フィルム自体のハンドリング性を向上させることができる。さらに、該積層フィルムを粘着テープのベースフィルムとして用いる場合には、直進手切れ性を保持しつつ長手方向の剛性を高めることができるため、テープ使用時にフィルムがのびてしまう、などの問題点を解消することができる。
(2)艶消しマット調フィルム
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルム(A層)の少なくとも片面に、艶消し層(E層)を積層することによりフィルムの意匠性(艶消し効果)を付与することができる。
【0112】
該艶消し層樹脂は、示差走査熱量計(DSC)により測定された熱量曲線において、少なくともTm1:50〜130℃とTm2:140℃〜170℃に融解ピーク(それぞれP1、P2とする)の頂点、すなわち融点を有することが好ましい。具体的には、少なくともTm1に融解ピークを有する樹脂を島相とし、該島相樹脂とは非相溶性のTm2に融解ピークを有する海相樹脂を主たる構成成分とする海島構造を有することがより好ましい。
【0113】
該積層フィルムでは、上記海島構造を有する樹脂を艶消し層(E層)としてA層の少なくとも片面に積層し、表面に微細で均一な凹凸を付与することにより、フィルム自体に渋みのある落ち着いた表面効果(艶消し効果)を付与することができる。
【0114】
E層に用いるP1を有する島相樹脂としては、ポリエチレンを用いることが好ましく、該ポリエチレンとしては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、メタロセン触媒を用いたポリエチレンなどから選ばれる少なくとも1種以上の樹脂を例示できる。また、該ポリエチレンには、他の若干の共重合成分(例えばプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、酢酸ビニルなど)が1種以上共重合されていてもよい。P1を有する島相樹脂の添加量は、5〜50重量%であることが艶消し効果発現の観点から好ましい。
【0115】
E層に用いるP2を有する海相樹脂としては、ホモポリプロピレン、プロピレンとα−オレフィン(プロピレンを除く)の共重合体、およびそれらの混合物を用いることが好ましい。上記した共重合成分のα−オレフィンとしては、特に限定されないが、例えばエチレン、ブテン−1、イソブテン、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1、スチレンなどの少なくとも1種以上を挙げることができる。P2を有する海相樹脂の添加量は、50〜95重量%であることが艶消し効果発現の観点から好ましい。
【0116】
E層に用いる樹脂としては、上記P1、P2を有するエチレン・プロピレンブロック共重合体を用いることが好ましい。該樹脂のブロック重合部は、艶消し効果発現の観点からエチレン含有率が50〜100重量%であることが好ましく、ブロック重合部以外の重合部はプロピレン含有率が80重量%以上であることがB層の耐熱性の観点から好ましい。
【0117】
また、E層に用いる樹脂には、溶融時の流動性向上の観点から有機過酸化物を添加することが好ましい。上記有機過酸化物としては、特に制限されないが、例えばラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン−3などが挙げられる。
【0118】
該有機過酸化物の添加量は、E層樹脂100重量部に対して0.001〜1重量部であることが好ましい。添加量が上記範囲未満であると、有機過酸化物の添加効果がみられず、上記範囲を超えると、添加効果はみられるが、E層樹脂の流動性が高くなりすぎ(MFRが高くなりすぎ)、均一にE層樹脂を積層できず艶消し効果に斑が発生する場合がある。
【0119】
ここで、P1、P2の融解熱量(それぞれH1、H2とする)はそれぞれ10mJ/mg以上であることが好ましい。P1、P2の熱量曲線がオーバーラップしている場合には、適宜カーブフィッティングして各融解熱量を算出すればよい。融解熱量が上記範囲未満であると、上記積層フィルムの艶消し効果が不十分となる場合がある。また、艶消し効果発現の観点から、H1、H2は下記式を満たすことが好ましい。
【0120】
0.05≦H1/(H1+H2)≦0.25
H1、H2が上記範囲を満たさないと、積層フィルムの艶消し性が不十分となる場合がある。
【0121】
該E層の積層方法は、特に限定されないが、例えば共押出によりA層の少なくとも片面に積層して二軸延伸する方法、A層の二軸延伸工程内において縦延伸後のフィルム(A層)の少なくとも片面にE層樹脂を押出ラミネートし、該積層体を横延伸する方法が好ましい。
【0122】
また、該E層の積層厚みは1μm以上であることが好ましい。E層の積層厚みにより該積層フィルムの艶消し感を制御することができるが、積層厚みが上記範囲未満であると、艶消し感が不十分となる場合がある。E層の積層厚みは、より好ましくは2μm以上である。
【0123】
上記積層フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.3μm以上であることが好ましい。Raが上記範囲未満であると、積層フィルムの艶消し性が不十分となる場合がある。Raは、好ましくは0.4μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上、最も好ましくは0.5μm以上である。
【0124】
該積層フィルムは、適宜他のフィルムとラミネートすればよく、その艶消し効果を利用して、例えば、菓子、スナック、石鹸などの包装用や、書籍などの印刷物や写真などにラミネートして表面艶消し加工用に用いられる。また、該積層フィルムに金属泊をラミネートしたり、金属蒸着層を付設すると、金属特有の光沢感のない、落ち着いた外観を付与することができる。また、該積層フィルムのB層は離型性にも優れるので、不飽和ポリエステル樹脂やメラミン樹脂などを成形する際の離型用フィルムとすることもできる。
【0125】
さらに、上記積層フィルムのA層に用いる本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比べて長手方向の剛性が高められており、かつ剛性がバランスしているので、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋、離型などの二次加工時に加工張力に対する優れた抗張力性を示し、印刷ピッチずれ、フィルムの伸びによるマット感の消失、シワ入り、膜割れ(クラック)などを抑制することができる。また、上記積層フィルムは寸法安定性、防湿性にも優れるので、A層に用いる本発明のフィルムを従来(従来の汎用二軸延伸ポリプロピレンフィルムをA層に用いた場合)より薄くしても、積層フィルム自体の加工特性を保持することができる。
(3)コンデンサー用フィルム
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンの特性をさらに制御することにより、優れたコンデンサー特性を付与することができる。
【0126】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、フィルムのメソペンタッド分率(mmmm)は、耐電圧特性向上の観点から高いほど好ましく、94%以上であることが好ましい。mmmmが上記範囲未満であると、フィルムの絶縁破壊強度が不十分となる場合がある。mmmmには、本発明の効果を奏する限り上限は設けないが、例えば製膜安定性の観点から99.8%以下であることが好ましい。mmmmは、より好ましくは94.5%以上、さらに好ましくは96%以上、さらにより好ましくは98%以上、最も好ましくは99%以上である。
【0127】
フィルムのmmmmを上記範囲に制御するためには、用いるポリプロピレンの立体規則性を高度に制御することが有効である。かかる原料の作成方法としては、ポリプロピレン重合の際の触媒系(固体触媒、外部添加電子供与性化合物など)やこれらの純度を制御することにより達成される。また、溶融押出時のポリプロピレンの熱劣化もmmmmを低下させる原因となるため、溶融ポリプロピレンの長時間滞留を避けるなどの押出機形状の工夫、押出条件制御などを適宜検討することが好ましい。
【0128】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、フィルムのアイソタクチックインデックスは、95〜99.8%であることが好ましい。IIが上記範囲未満であると、フィルムの絶縁破壊強度が不十分となる場合があり、上記範囲を超えると製膜安定性が悪化する場合がある。IIは、より好ましくは、96〜99.6%、さらに好ましくは97〜99.4%である。フィルムのIIを上記範囲に制御するためには、用いるポリプロピレンの沸騰n−ヘプタンに溶けやすい低分子量成分や立体規則性の低い、いわゆるアタクチック成分の割合が適度に低いものを選択するなどの方法を採用することができる。
【0129】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、絶縁欠点となりうる異物などは極力含まれないことが好ましい。具体的には、フィルムの灰分は50ppm以下であることが好ましい。灰分が上記範囲を超えると、異物が絶縁欠点となり、絶縁破壊強度が不十分となる場合がある。フィルムの灰分を上記範囲に制御するためには、フィルム製造中の防塵対策を講じるのはもちろんのこと、ポリプロピレン重合過程において使用し、重合後もポリプロピレン中に残存する触媒残磋の少ないポリプロピレンを用いたり、溶融押出時の汚染も極力低減する(例えば、ブリード時間を1時間以上かける、他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムの回収比率を低くするなど)ことが好ましい。灰分は、より好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下、最も好ましくは20ppm以下である。
【0130】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、酸化防止剤の種類および添加量は、長期耐熱性の観点から重要である。該酸化防止剤としては、分子骨格中に立体障害性を有するフェノール基を有するものであって、少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型であることが、長期耐熱性、溶融押出時の飛散防止のために好ましい。
【0131】
上記具体例としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT、分子量:220.4)とともに、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えば、チバガイギー社製Irganox1330、分子量:775.2)、またはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えば、チバガイギー社製Irganox1010、分子量:1177.7)などを併用することが好ましいが、これらに限定されるものではない。また、酸化防止剤の総含有量は、ポリプロピレン全量に対して0.03〜1重量%であることが好ましい。総含有量が上記範囲未満であると、長期耐熱性に劣る場合があり、上記範囲を超えると、これら酸化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキングにより、コンデンサー素子素子とした場合に悪影響を及ぼす場合がある。総含有量は、より好ましくは0.1〜0.9重量%、さらに好ましくは0.2〜0.8重量%である。
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、フィルムの中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.01〜0.4μmであることが好ましい。Raが上記範囲未満であると、フィルムの滑りが悪くなり、ハンドリング性に劣る場合があり、コンデンサー素子に絶縁油を含浸する場合はフィルム層間に絶縁油が均一に浸透せず、連続使用時に容量変化が大きくなる場合がある。Raが上記範囲を超えると、フィルムを積層した場合に層間に空気が入り、コンデンサー素子の劣化につながり、またフィルムに電極として金属蒸着層を形成した場合、金属蒸着層にピンホールなどが発生し、高温使用時の絶縁破壊強度や素子ライフが低下したり、電圧印加時に電荷が集中し、絶縁欠陥の原因となる場合がある。Raは、より好ましくは0.03〜0.3μm、さらに好ましくは0.04〜0.25μmである。
【0132】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、フィルムの120℃の長手方向と幅方向の熱収縮率の和は、1.5〜3.5%であることが好ましい。熱収縮率の和が上記範囲未満であると、コンデンサー素子作製時の熱処理による巻締まりが不十分となり、形態保持性や容量変化率に悪影響を及ぼすことがある。熱収縮率の和が上記範囲を超えると、コンデンサー素子作製の際に熱による機械的変形が大きすぎるためにフィルム中および/あるいは外部電極との接触部にストレスが発生し、コンデンサーの容量低下が大きくなったり、素子の破壊に至る場合がある。熱収縮率の和は、好ましくは1.6〜3.3%、さらに好ましくは1.7〜3%、最も好ましくは1.8〜2.8%である。
【0133】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、25℃でのフィルムの絶縁破壊強度(BDV)は実用上600V/μm以上であることが好ましく、より好ましくは650V/μm以上である。また、本発明のフィルムは面配向が高く、BDVのバラツキ(標準偏差)を従来より低くすることができ、40以下であることが好ましく、より好ましくは30以下である。いずれも上記範囲を満たさないと、コンデンサーとしたときの耐電圧特性に劣る場合がある。
【0134】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサーとする際、電極として金属泊を用いて共に巻回したものでもよいが、フィルムの少なくとも片面に金属蒸着層を電極として付設し、巻回したものが素子の小型化の観点から好ましい。また、金属蒸着層の付設には真空蒸着法、スパッタリング法、イオンビーム法などの公知の方法を用いることができ、この際絶縁溝部設置方法としては、レーザーマージン法、オイルマージン法、テープマージン法などの公知の方法を用いることができる。
【0135】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムをフィルムコンデンサー用に用いる場合、例えば上記に示したようにフィルム特性を制御することにより、優れた耐電圧特性を付与できるとともに、高温においてもその特性を保持できる。また、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは長手方向の剛性が高く、巻き取り時にフィルムが部分的に伸びたり、シワが入り、このシワ部分に水分を含む空気が保持されるため、その部分の電気特性を劣化させ、局所的なコロナ放電の原因となる、といった問題を未然に防ぐことができる。電極として金属蒸着層を付設した場合には、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの長手方向の剛性が高いことから、コンデンサー素子作製時に金属蒸着層の膜割れ(クラック)発生を抑制することができ、絶縁破壊強度や素子ライフを向上させることができる。さらには、従来のフィルムに比較して剛性がバランスしており、寸法安定性、耐熱性にも優れるので、従来のフィルムより薄くしても加工特性、コンデンサー特性を保持することができ、具体的には厚み3μm前半、2μm台、1μm台といった極薄コンデンサー用二軸延伸ポリプロピレンフィルムとしても好適に用いることができる。
【0136】
[特性値の測定法]
本発明で用いられている用語および測定法を以下にまとめて説明する。
(1)トルートン比
流入圧力損失法を用いてCogswellの理論[Polymer Engineering Science、12、64(1972)]から以下の条件で測定を行った。
【0137】
各試料は230℃で装置にセット・充填し、3分間保持した。さらに再充填し、3分間保持した後、測定を開始した。
【0138】
Cogswellの理論によると、流入の際に毛管入り口で生じる圧力損失(ΔPent)は、剪断粘度と伸張粘度を用いて次式のように表せる。
ここで、ηE:伸張粘度、ηs:剪断粘度、γa:剪断速度である。また、nはべき法則(σs=kγa n、σs:剪断応力)における流れ指数である。
ツインキャピラリ・レオメータでは、長さの異なる2つの毛管で同時測定することにより、ある剪断速度での剪断粘度、ΔPentを同時に求めることができるので、伸張粘度ηEは次式より求めることができる。
ここで、ε:伸張応力である。得られた伸張粘度−伸張ひずみ速度曲線、剪断粘度−剪断速度曲線をそれぞれ指数関数として近似し、これらの関数を用いて、ひずみ速度60s−1でのηE(60)、ηs(60)を求めた。これより、次式によりひずみ速度60s−1でのトルートン比(同じひずみ速度でのηEとηsの比)を算出した。
(2)ヤング率、F2値、F5値、破断強度
25℃でのヤング率、F2値、F5値は、(株)オリエンテック社製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、65%RHにて測定した。サンプルを測定方向:15cm、測定方向と直角の方向:1cmのサイズに切り出し、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、ヤング率は、JIS−Z1702に規定された方法に従い測定した。また、F2値、F5値は、それぞれ伸度2%、5%に対する試料にかかる応力を測定した。破断強度は、サンプルが破断した際の応力また、80℃などの高温で測定を行う際は、ゴンドー科学(株)社製高低温度恒温槽を装着し、上記と同様の条件にて測定した。
(3)メソペンタッド分率(mmmm)
ポリプロピレンをo−ジクロロベンゼン−D6に溶解させ、JEOL製JNM−GX270装置を用い、共鳴周波数67.93MHzで13C−NMRを測定した。得られたスペクトルの帰属、およびメソペンタッド分率の計算については、T.Hayashiらが行った方法(Polymer、29、138〜143(1988))に基づき、メチル基由来のスペクトルについて、mmmmピークを21.855ppmとして各ピークの帰属を行い、ピーク面積を求めてメチル基由来全ピーク面積に対する比率を百分率で表示した。詳細な測定条件は以下の通りである。
【0139】
測定濃度:15〜20wt%
測定溶媒:o−ジクロロベンゼン(90wt%)/ベンゼン−D6(10wt%)
測定温度:120〜130℃
共鳴周波数:67.93MHz
パルス幅:10μ秒(45°パルス)
パルス繰り返し時間:7.091秒
データ点:32K
積算回数:8168
測定モード:ノイズデカップリング
(4)熱収縮率
測定方向を長手方向および幅方向として、フィルムから試長260mm、幅10mmにサンプリングし、原寸(L0)として200mmの位置にマークを入れる。このサンプルの下端に3gの荷重をかけ、120℃の熱風循環オーブン中で15分間熱処理した後室温中に取り出し、サンプルにマークした長さ(L1)を測定する。この際、熱収縮率は次式により求められる。各方向(長手方向、幅方向)について上記操作を行い、長手方向と幅方向の熱収縮率、およびその和を求めた。
【0140】
熱収縮率(%)=100×(L0−L1)/L0
(5)水蒸気透過率
MOCON/Modern Controls社製の水蒸気透過率測定装置PERMATRAN−W3/30を用いて、温度40℃、湿度90%RHの条件で測定した。金属蒸着二軸延伸ポリプロピレンフィルムについては、金属蒸着を行った面に、ポリプロピレン製の粘着フィルム(3M社製、Scotchmark、40μm厚み)を貼り合わせ、上記条件で測定した。
(6)固有粘度([η])
135℃のテトラリン中に溶解したポリプロピレンについて、三井東圧化学(株)製のオストワルド粘度計を用いて測定した。
(7)メルトフローレイト(MFR)
JIS K6758に示されるポリプロピレン試験方法(230℃、2.16kgf)に従って測定した。
(8)アイソタクチックインデックス(II)
ポリプロピレンを60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出し、ポリプロピレン中の添加物を除去する。その後130℃で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の試料を取り、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタンで12時間抽出する。次に、この試料を取り出し、アセトンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥し、その後常温まで冷却し、重量W’(mg)を測定し、次式で求めた。
【0141】
II=(W’/W)×100(%)
(9)ガラス転移点温度(Tg)、融点(Tm)、結晶融解熱量(H)、結晶化温度(Tmc)
Seiko Instruments社製熱分析装置RDC220型に、サンプル重量5mgとしてアルミニウムパンに封入して装填し、20℃/分の速度で30℃から280℃まで昇温し、得られた熱量曲線から同社製熱分析システムSSC5200の内蔵プログラムを用い、ガラス転移の開始点をガラス転移温度(Tg)とし、さらに昇温する際に結晶の融解に伴う吸熱ピークの頂点を融点(Tm)とし、結晶融解熱量(H)はその面積から求めた。この面積は、熱量曲線が昇温に伴いベースラインから吸熱側にずれ、次いでベースラインの位置に戻るまでの面積であり、融解開始温度位置から終了温度位置までを直線で結び、この面積をコンピュータ処理して求めた。なお複数の吸熱ピークが観察される場合は、適宜コンピュータ処理でピーク分離を行い、それぞれ融解熱量を求めた。昇温完了後、280℃で5分間待機させ、引き続き20℃/分の速度で30℃まで降温した。この際溶融状態からの結晶化に伴う発熱ピークの頂点を結晶化温度(Tmc)として求めた。
(10)臭素価
JIS K−2543−1979に準じて測定した。試料油100g中の不飽和成分に付加される臭素のg数で表される。
(11)粒子の平均粒径(μm)
遠心沈降法(堀場製作所製 CAPA500を使用)を用いて測定した体積平均径を平均粒径とした。
(12)フィルムを構成する各層の厚み(μm)
フィルムをミクロトームを用いて切断し、断面を形成させ、電解放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いてフィルム断面構成観察を行い、各積層厚みを測定した。
(13)直進手切れ性
フィルムの端部を親指と人差指で、左右の親指と左右の人差指同士が接するようにして持ち、フィルム端部をカット方向にひねるように急速な力を加えて引き裂く場合に、容易に真直ぐ手で引き裂くことができるものを○とし、容易には手で引き裂くことができないもの、真直ぐ引き裂けないものを×とした。
(14)中心線平均表面粗さ(Ra)
JIS B0601に従って、触針式表面粗さ計を用いて測定した。なお、小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器(型式:ET−30HK)を使用し、触針径円錐型0.5μmR、荷重16mg、カットオフは0.08mmとした。
【0142】
この時、中心線平均表面粗さ(Ra)は、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取部分の中心線をX軸、縦方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表した時、次の式によって求められる値をμmで表したものをいう。
(15)表面濡れ張力
ホルムアミドとエチレングリコールモノエチルエーテルとの混合液によるJIS K6768に規定された測定方法に基づいて測定した。
(16)実効延伸倍率
スリット状口金から押し出し、金属ドラムに巻き付けてシート上に冷却固化せしめた未延伸フィルムに、長さ1cm四方の升目をそれぞれの辺がフィルムの長手方向、幅方向に平行になるように刻印した後、延伸・巻き取りを行い、得られたフィルムの升目の長さ(cm)を測定し、これを長手方向・横方向の実効延伸倍率とした。
(17)灰分
JIS C2330にしたがい、初期重量W0の二軸延伸ポリプロピレンフィルムを、白金坩堝に入れ、まずガスバーナーで十分に燃焼させた後、750〜800℃の電気炉で、約1時間程度処理して完全に灰化し、得られた灰の重量W1を測定し、下記式から算出した。
【0143】
灰分=(W1/W0)×1000000(ppm)
(18)フィルム絶縁破壊強度(BDV)
JIS C2110に従って測定した。陰極に厚み100μm、10cm角のアルミ箔電極、陰極に真鍮性8mmφの電極を用い、この間にフィルムをはさみ、春日電気(株)製直流高圧安定化電源を用いて、100V/秒の速度で昇圧しながら電圧を印加し、電流が10mA以上流れた場合を絶縁破壊したものとした。その時の電圧を測定点のフィルム厚みで割った値を絶縁破壊強度とし、30点測定した平均値で示した。また、バラツキは、該30点のデータから標準偏差を算出し、求めた。
(19)二次加工性
長さ1000mの本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムの片面に、厚さ20μmの未延伸ポリプロピレンフィルムをポリウレタン系の接着剤を用いてドライラミネートし、食品包装用フィルムとした。該フィルムを未延伸ポリプロピレンフィルム層が内側になるようにして、(株)フジキカイ製の縦型ピロー包装機(FUJI FW−77)を用いて、フィルムを筒状に挿入し、製袋した。
【0144】
その際、フィルムにシワや伸びなどが入らず、製袋品の形状がよいものを○とし、フィルムの長手方向のヤング率が低かったり腰が低いために伸びたり、滑りが悪かったり、熱収縮率が大きいためにシワが入ったりして製袋品の形状が悪くなったものなどを×として評価した。
【0145】
【実施例】
本発明を実施例に基づいて説明する。なお、所望の厚みのフィルムを得るためには、特に断りのない限り、押出機の回転数と冷却ドラムの周速を所定の値に調節した。
【0146】
実施例1
トルートン比が12の公知のポリプロピレン(メルトフローレート(MFR):2.3g/10分、メソペンタッド分率(mmmm):92%、アイソタクチックインデックス(II):96%)に、トルートン比が50の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:3g/10分、mmmm:97%、II:96.5%)5重量%の比率で添加混合したポリプロピレン90重量%に、延伸助剤として、極性基を実質的に含まない石油樹脂である、Tg80℃、臭素価3cg/g、水添率99%のポリジシクロペンタジエンを10重量%添加混合した樹脂組成100重量部に、架橋有機粒子として平均粒径2μmのポリメタクリル酸系重合体の架橋粒子(架橋PMMA)を0.15重量部添加し、帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステルとアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルを1:1の割合に混合して0.8重量部添加し、二軸押出機に供給して270℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを一軸押出機に供給して280℃で溶融させ、濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、25℃の金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。
【0147】
このシートを135℃に保たれたロールに通して予熱し、140℃に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に9倍延伸して直ちに室温に冷却する。引き続きこの延伸フィルムをテンターに導入して165℃で予熱し、160℃で幅方向に7倍に延伸し、次いで幅方向に8%の弛緩を与えつつ、160℃で熱固定をした後、冷却して巻き取った厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0148】
得られたフィルムの原料組成とフィルム特性評価結果をまとめて表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0149】
実施例2
実施例1において、長手方向の延伸倍率を11倍に上げた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例2とした。
【0150】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0151】
実施例3
実施例1において、延伸助剤として、極性基を実質的に含まないテルペン樹脂である、Tg75℃、臭素価4cg/g、水添率99%のβ−ピネンを3重量%混合し、長手方向に8倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例3とした。
【0152】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0153】
実施例4
実施例3において、延伸助剤のテルペン樹脂の混合量を8重量%とした以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例4とした。
【0154】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0155】
実施例5
実施例1において、長鎖分岐を有するポリプロピレンの添加量を10重量%、ポリジシクロペンタジエンの添加量を5重量%とした以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例5とした。
【0156】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0157】
実施例6
トルートン比が50の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:3g/10分、mmmm:97%、II:96.5%)85重量%に、延伸助剤として、極性基を実質的に含まないテルペン樹脂である、Tg75℃、臭素価4cg/g、水添率99%のβ−ピネンとTg75℃、臭素価3cg/g、水添率99%の水添β−ジペンテンの混合物を15重量%添加混合した樹脂組成100重量部に、架橋有機粒子として平均粒径1μmのポリスチレン系重合体の架橋粒子(架橋PS)を0.15重量部添加し、帯電防止剤としてグリセリン脂肪酸エステルとアルキルジエタノールアミン脂肪酸エステルを1:1の割合に混合して0.8重量部添加し、二軸押出機に供給して260℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを一軸押出機に供給して270℃で溶融させ、濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、30℃の金属ドラムに巻き付けてシート状に成形した。
【0158】
このシートを132℃に保たれたロールに通して予熱し、137℃に保ち周速差を設けたロール間に通し、長手方向に8倍延伸して直ちに室温に冷却する。引き続きこの延伸フィルムをテンターに導入して162℃で予熱し、160℃で幅方向に8倍に延伸し、次いで幅方向に8%の弛緩を与えつつ、160℃で熱固定をした後、冷却して巻き取った厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを得た。
【0159】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0160】
実施例7
実施例6において、トルートン比が12の公知のポリプロピレン(MFR:2.3g/10分、mmmm:92%、II:96%)に、トルートン比が50の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:3g/10分、mmmm:97%、II:96.5%)を5重量%の比率で添加混合したポリプロピレン80重量%に、ポリプロピレンに相溶して、延伸助剤として、極性基を実質的に含まない石油樹脂である、Tg80℃、臭素価3cg/g、水添率99%のポリジシクロペンタジエンを20重量%混合し、長手方向に11倍、幅方向に6倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例7とした。
【0161】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0162】
実施例8
実施例3において、トルートン比が40の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:2.0g/10分、mmmm:95%、II:96%)を15重量%の比率で添加したポリプロピレンを用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例8とした。
【0163】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0164】
実施例9
実施例8において、長鎖分岐を有するポリプロピレンの混合比率を10重量%とした以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例9とした。
【0165】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0166】
実施例10
実施例3において、トルートン比が60の長鎖分岐を有するポリプロピレン(MFR:2.1g/10分、mmmm:94%、II:95.5%)を5重量%の比率で添加混合したポリプロピレンを用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例10とした。
【0167】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0168】
実施例11
実施例1において、長鎖分岐を有するポリプロピレンを30重量%の比率で添加混合し、長手方向に10倍、幅方向に7倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例11とした。
【0169】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0170】
実施例12
実施例1において、トルートン比が10の公知のポリプロピレン(MFR:3.1g/10分、mmmm:98%、II:99%)に、長鎖分岐を有するポリプロピレンを5重量%の比率で添加混合したポリプロピレンを用いて、長手方向に10倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例12とした。
【0171】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0172】
実施例13
実施例5において、トルートン比が11の公知のポリプロピレン(MFR:2.5g/10分、mmmm:95.5%、II:96%)に長鎖分岐を有するポリプロピレンを10重量%の比率で添加混合したポリプロピレンを用いて、長手方向に9倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例13とした。
【0173】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0174】
実施例14
実施例4において、長手方向の延伸を2段に分けて、135℃で予熱した後、1段目で137℃にて1.5倍、2段目で142℃にて5.3倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを実施例14とした。
【0175】
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が高く、抗張力性に優れるとともに防湿性、寸法安定性、二次加工性に優れていた。
【0176】
【表1】
【0177】
【表2】
【0178】
比較例1
実施例1において、トルートン比が12の公知のポリプロピレン(MFR:2.3g/10分、mmmm:92%、II:96%)単体を用いて長手方向に5倍、幅方向に10倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例1とした。
【0179】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、防湿性、二次加工性に劣っていた。
【0180】
比較例2
比較例1において、縦方向の延伸倍率を7倍に上げた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例2とした。
【0181】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが多発したため、満足なフィルムが得られなかった。
【0182】
比較例3
比較例1において、トルートン比が10の公知のポリプロピレン(MFR:3g/10分、mmmm:97.5%、II:99%)単体を用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例3とした。
【0183】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、溶融状態から冷却ドラムに巻き付ける際にエッジがまくれ上がるため、縦延伸でシートがしばしば切れた。また、横延伸の際に破れが散発し、全体として製膜性が悪く、工業的に生産できないフィルムであった。
【0184】
比較例4
比較例1において、トルートン比が8の公知のポリプロピレン(MFR:6g/10分、mmmm:99.8%、II:99.5%)単体を用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例4とした。
【0185】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが多発したため、満足なフィルムが得られなかった。
【0186】
比較例5
実施例6において、長鎖分岐を有するポリプロピレン単体を用いた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例5とした。
【0187】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分となり、二次加工性に劣っていた。
【0188】
比較例6
実施例5において、極性基を実質的に含まない石油樹脂の代わりに、ポリプロピレンとの相溶性が悪い極性基としてカルボキシル基を含んだTg39℃で、臭素価15cg/gの未水添のガムロジンを用い、長手方向に5倍、幅方向に11倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例6とした。
【0189】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、ポリプロピレンとの相溶性が悪いガムロジンを添加しており、ガムロジンのTgが低く、臭素価が高く、極性基を持っているために、長手方向と幅方向のヤング率が低く、剛性が不十分であった。また、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、二次加工性に劣っていた。
【0190】
比較例7
比較例1において、長手方向に8倍延伸し、冷却後そのまま巻き取った厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例7とした。
【0191】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向に裂けやすく、フィルムのハンドリング性に著しく劣っていることから、二次加工性に劣っていた。
【0192】
比較例8
比較例1において、ポリプロピレン97重量%に、延伸助剤として、極性基を実質的に含まないテルペン樹脂である、Tg75℃、臭素価4cg/g、水添率99%のβ−ピネンを3重量%添加混合した樹脂組成を用い、長手方向に5倍、幅方向に9倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例8とした。
【0193】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、二次加工性にも劣っていた。
【0194】
比較例9
比較例8において、長手方向に7倍、幅方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例9とした。
【0195】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが散発し、十分な長さのフィルムを採取することができず、工業的に生産できないフィルムであった。
【0196】
比較例10
比較例8において、長手方向の延伸倍率をさらに8倍に上げた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例16とした。
【0197】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが多発したため、満足なフィルムが得られなかった。
【0198】
比較例11
比較例8において、β−ピネンの混合量を10重量とした以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムの比較例11とした。
【0199】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、80℃での長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、寸法安定性、二次加工性に劣っていた。
【0200】
比較例12
比較例11において、長手方向に8倍、幅方向に7倍延伸した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例11とした。
【0201】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが散発し、十分な長さのフィルムを採取することができず、工業的に生産できないフィルムであった。
【0202】
比較例13
比較例11において、長手方向の延伸倍率をさらに9倍に上げた以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例13とした。
【0203】
結果を表3、4に示す。横延伸の際に破れが多発したため、満足なフィルムが得られなかった。
【0204】
比較例14
比較例1において、ポリプロピレン100重量部に、結晶核剤としてリン酸2,2−メチレンビス(4,6−ジ−第3−ブチルフェニル)ナトリウムを0.2重量部添加した以外は同様の条件で作製した厚さ15μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを比較例14とした。
【0205】
結果を表3、4に示す。得られたフィルムは、長手方向のヤング率が低く、抗張力性が不十分であり、二次加工性に劣っていた。また、比較例1に比べてフィッシュアイによる欠点が増大した。
【0206】
【表3】
【0207】
【表4】
【0208】
表1〜4より、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムが、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むか、もしくはトルートン比が16以上のポリプロピレンからなり、かつ延伸助剤の1種以上を含むことにより、抗張力性に優れるとともに寸法安定性、防湿性に優れたフィルムとすることができた。また、このような優れた特性を有するフィルムを汎用の縦−横逐次二軸延伸機を用いて、破れなどの工程不良なく、安定して製膜することができた。
【0209】
【発明の効果】
本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、従来の二軸延伸ポリプロピレンフィルムに比較して長手方向の剛性が高いことから、フィルム加工時の抗張力性に優れるとともに、長手方向と幅方向の剛性がバランス化していることから、フィルムを薄膜化しても十分な腰を有する。これより、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、フィルムのハンドリング性に優れるだけでなく、印刷、ラミネート、コーティング、蒸着、製袋などのフィルム加工時に、加工張力に対する優れた抗張力性を示し、印刷ピッチずれ、フィルムの伸び、シワ入り、膜割れ(クラック)などのベースフィルム起因のトラブルを解消することができる。
【0210】
また、従来の汎用の二軸延伸ポリプロピレンフィルムより薄くしても寸法安定性、防湿性に優れることから、従来より薄くしても寸法安定性、防湿性などのその他の特性を損なうことなく、加工特性を保持することができる。かつ、既存の縦−横逐次二軸延伸機を用いることから、大きな設備投資を必要とせず、上記特性を持ったフィルムを低コストで安定製造することができる。
【0211】
さらに、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、他のフィルムと複合化して構成体に加工して用いるような場合でも、該構成体の二次加工性やガスバリア性能を向上させることができる。また、一般特性を損なうことなく、本発明のフィルム、もしくは本発明のフィルムと複合化する他のフィルムを適宜薄膜化できるため、廃棄物や資源を削減することができる。
【0212】
以上のことから、本発明の二軸延伸ポリプロピレンフィルムは、包装用途、工業用途などに好ましく用いることができる。
Claims (10)
- トルートン比が30以上のポリプロピレンを含み、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- トルートン比が16以上のポリプロピレンに、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- 長鎖分岐を有するポリプロピレンを含み、延伸助剤が1種以上混合されたことを特徴とする二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- 延伸助剤が、極性基を実質的に含まない石油樹脂および/または極性基を実質的に含まないテルペン樹脂である請求項1〜3のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- 長手方向のヤング率(YMD)が25℃で2.5GPa以上である請求項1〜4のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- ポリプロピレンのメソペンタッド分率(mmmm)が、90〜99.5%である請求項1〜5のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- 120℃での長手方向の熱収縮率が5%以下である請求項1〜6のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- 長手方向のヤング率(YMD)と幅方向のヤング率(YTD)で次式(1)により表されるm値
m=YMD/(YMD+YTD) (1)
が25℃において0.4〜0.7である請求項1〜7のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。 - 水蒸気透過率が1.5g/m2/d/0.1mm以下である請求項1〜8のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
- ポリプロピレンの結晶化温度(Tmc)が、110℃以上である請求項1〜9のいずれかに記載の二軸延伸ポリプロピレンフィルム。
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