JP2006093688A - コンデンサー用ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いてなるコンデンサー - Google Patents

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Abstract

【課題】寸法安定性、耐熱性は従来品同等に保持し、表面に均一かつ緻密な凹凸を形成させ、絶縁欠陥を減少せしめることにより、従来品ではその両立が困難であったハンドリング性と耐電圧特性に優れたポリプロピレンフィルムを提供すること。また、該ポリプロピレンフィルムを用いた金属化フィルムおよびコンデンサーを提供すること。さらには、金属化、コンデンサー素子作製の際に加工性、ハンドリング性に優れたポリプロピレンフィルムを提供すること。
【解決手段】トルートン比が30以上のポリプロピレンを含み、および/またはトルートン比が14以上30未満であり、および/または主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含み、かつフィルム両面の中心線平均表面粗さ(Ra)、最大表面粗さ(Rmax)が下記関係式(1)を満たすことを特徴とするコンデンサー用ポリプロピレンフィルム、および該ポリプロピレンフィルムを用いた金属化フィルム、コンデンサーとする。
Rmax/Ra≦20 (1)
【選択図】なし。

Description

本発明は、フィルム表裏に微細かつ均一緻密な凹凸を有し、耐電圧特性に優れるとともに、製膜時に延伸加工する際にはフィルム破れが少なく、優れた製膜性を示すコンデンサー用ポリプロピレンフィルムおよびそれを用いてなる金属化フィルムに関する。さらには、小型大容量化、高定格電圧下での使用にも好適なコンデンサーに関するものである。
ポリプロピレンフィルムは、優れた防湿性、透明性、表面光沢を有し、安価に供給し得ることから、工業用、包装用に幅広く用いられている。また、ポリプロピレンは他のポリマーに比べて優れた電気特性(耐電圧特性や誘電損失など)を併せ持つことから、特にその二軸配向フィルムが電気用途にも広く用いられている。なかでもコンデンサーの誘電体としての需要は大きく、その伸びは著しい。
近年、各種電気設備のインバータ化、およびコンデンサーの軽薄短小化、小型大容量化が進むにつれて、二軸配向ポリプロピレンフィルムがより一層注目されるようになり、その薄膜化が加速度的に進行しつつある。
ところが、二軸配向ポリプロピレンフィルムは、薄くなるにつれてハンドリング性(例えば、フィルムを巻き取る際に滑り性が適度に良好で、巻きずれやシワが発生しないこと、など)や加工性(例えば、金属化の際にフィルムの伸びやシワ、白化が発生しない、など)などの特性が悪化する傾向にあるため、これらの向上が求められている。
ポリプロピレンフィルムのハンドリング性を向上させる手法としては、フィルムの少なくとも片面を粗面化して滑り性を向上させる手法が代表的である。また、適度にフィルム表面を粗面化することは、コンデンサー素子の特性(下記に定義するセルフヒール性など)向上の観点からも重要である。この粗面化手法としては、例えばエンボス法やサンドブラスト法などの機械的な粗面化方法、溶剤を用いたケミカルエッチングなどの化学的な粗面化方法、ポリプロピレンにポリエチレンなどの異種ポリマーを混合したシートを延伸し、二軸配向せしめることにより粗面化する方法、β晶を含有するシートを延伸し、二軸配向せしめることにより粗面化する方法(例えば、特許文献1参照)などが挙げられる。このうち、コンデンサー用ポリプロピレンフィルムには、表面粗さの制御、耐熱性、耐電圧特性、環境対応などの観点から表面にβ晶を生成させたシートを延伸し、二軸配向せしめることにより粗面化する方法(以下、β晶法と略称することがある)が主に適用されている。
β晶法による粗面化では、溶融押出したポリプロピレンを金属ドラム上に巻き付けて冷却固化し、表面(近傍)にα晶の他にβ晶を含有するシートを作製し、該未延伸シートを二軸延伸する過程でβ晶(結晶密度0.922g/cm)をα晶(結晶密度0.936g/cm)に結晶変態させて、これらの密度差によりフィルム表面にクレータ状の凹凸を形成させて粗面化し、滑り性を付与する。β晶法による粗面化は、用いるポリプロピレンの原料特性(結晶性、粘度など)、金属ドラム上で冷却固化する際の冷却速度(ドラム温度、ドラム回転速度などにより制御可能)、二軸延伸条件(倍率、温度など)などにより制御できることは公知である(例えば、非特許文献1参照)。
また、従来のフィルムコンデンサーは耐電圧特性に余裕を持たせて、厚めのフィルムを用いて設計されていたが、上記したように軽薄短小化、小型大容量化の進行に伴うフィルムの薄膜化(=コンデンサーの高容量化)により、コンデンサー用ポリプロピレンフィルムには、より高度な耐電圧特性、耐熱性が要求されつつある。
一般に、コンデンサー素子作製時には、別途準備した金属箔や両面を金属化した紙もしくはプラスチックフィルムなどの電極と重ねるか、金属化によりフィルム上に金属層を設置することにより、フィルムに電極を挿入し、巻き取った後、一定温度下で熱処理する。この際、フィルムを適度に熱収縮させ、素子に巻締まりを発生させることにより、形態保持性やフィルム層間の空気を排除させる必要がある。この熱収縮は、大きすぎると素子が変形してしまい、コンデンサー容量の低下、素子の破壊を生じる場合があり、小さすぎると巻締まりが不十分なため、長期高温使用下で誘電正接が上昇し、素子が破壊する場合があった。したがって、コンデンサー用ポリプロピレンフィルムには熱収縮率が適度に低いことも必要とされる。
これまで、コンデンサー用ポリプロピレンフィルムのハンドリング性、加工性、耐電圧特性、耐熱性、熱収縮特性を向上させるため、種々の提案がなされている。例えば、メソペンタッドフラクション、灰分、フィルムの密度より求めた結晶化度を特定範囲とすることにより、耐電圧特性、耐熱性、蒸着加工性を向上させた耐熱耐電圧性コンデンサー用ポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献2参照)、フィルムの灰分、内部ヘイズの積を特定の範囲とすることにより、耐電圧特性を向上させたコンデンサー用ポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献3参照)、特定範囲のヘプタンインデックスを有するポリプロピレンを用い、10点平均粗さ、中心線粗さ、最大粗さを特定範囲となるように上記β晶法により粗面化し、ハンドリング性を向上させた二軸延伸ポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献4参照)、ポリプロピレンフィルムの一方の面に金属蒸着を施した後の非蒸着面とクロムメッキを施した金属板との80℃における静摩擦係数が特定範囲であって、かつ融点が130℃以下の添加剤の含有量を特定範囲とすることにより、ロールとの滑り性が良好で、蒸着加工性を向上させたコンデンサー用蒸着用ポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献5参照)、重合時のポリプロピレン取得量が特定範囲であり、灰分および特定の灰分組成が特定範囲であり、沸騰n−ヘプタン可溶分が特定範囲であるポリプロピレン高分子絶縁材料を二軸延伸してなる電気絶縁性フィルム(例えば、特許文献6参照)、ポリプロピレンに、実質的に二重結合や極性基を含まない石油樹脂、テルペン樹脂から選ばれた樹脂の一種以上を特定組成で混合した樹脂層を少なくとも一層有し、少なくとも片面の中心線平均表面粗さを特定範囲とすることにより、絶縁欠陥を少なくして耐電圧特性を向上させ、長期耐用における保安特性を向上させたコンデンサー用ポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献7参照)、230℃で測定した際の溶融張力(MS)とメルトフローレイト(MFR)が特定の関係式を満たすポリプロピレンからなることにより、突起密度が高く突起のそろった表面を有する二軸配向ポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献8参照)、トルートン比が特定範囲であるポリプロピレンを含み、またはトルートン比が特定範囲であるポリプロピレンに、延伸助剤が1種以上混合された、長手方向の剛性が高い二軸延伸ポリプロピレンフィルム(例えば、特許文献9参照)などが知られている。
特公昭56−11963号公報(第1頁第1段落第29〜35行) 特開平8−294962号公報(第2頁第1段落第2〜6行) 特開平9−139323号公報(第2頁第1段落第2〜6行) 特開平11−147962号公報(第2頁第1段落第2〜24行) 特許第2663594号公報(第1頁第1段落第37〜42行) 特許第3369253号公報(第1頁第1段落第37〜45行) 特開平11−162779号公報(第2頁第1段落第2〜10行) 特開2001−72778号公報(第2頁第1段落第2〜7行) 特開2004−161799号公報(第2頁第2〜4行) フジヤマ(M.Fujiyama)ら、"ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス"("Journal of Applied Polymer Science")、第36巻、1988年、p.985−1048
上記のように、ポリプロピレンフィルムコンデンサーの耐電圧特性、耐熱性向上のためには、ポリプロピレンの原料特製の観点からはポリプロピレンの結晶性の制御、不純物量低減などが主に検討されてきた。ところが、特許文献1〜6、非特許文献1などの従来のβ晶法による粗面化を採用したフィルムでは、ハンドリング性と耐電圧特性の両立が難しく、実用上最低限のハンドリング性を保持した上で耐電圧特性を向上させるのにも限界があった。
従来の上記β晶法では、原料特性、製膜条件は主として耐電圧特性向上、安定製膜の観点から制御される。このため、ハンドリング性が良好な均一粗面を得るためには、主として溶融樹脂の冷却速度をコントロールして未延伸シートに含有されるβ晶量を制御する。すなわち、粗面を得るためには、溶融樹脂を金属ドラムに巻き付ける際のドラム温度を高く設定し、冷却速度を遅く(徐冷)することにより、未延伸シート表面(近傍)に適量のβ晶を生成させる必要があった。しかしながら、この際の冷却速度が遅すぎると(ドラム温度が高すぎると)、二軸延伸後のフィルム内部にボイドなどの絶縁欠陥が発生し、耐電圧特性を著しく悪化せしめることがあった。
また、フィルムコンデンサーの高容量化のためには、フィルムの薄膜化が重要となるが、フィルムが薄くなるほどハンドリング性、耐電圧特性を高いレベルでバランスさせることが困難になる。二軸延伸後のフィルムを薄くするためには、製膜が安定しない高延伸倍率で二軸延伸しない限りは、未延伸シートを薄くする必要がある。未延伸シートが薄くなるとシートの冷却速度が早くなる傾向にあり、密着ムラの発生と相まってβ晶の生成効率が悪化し、薄くなるほどフィルム表面が粗面化せず、逆に平滑化する傾向にあった。また、薄くした際のβ晶生成効率の低下を補うためにドラム温度を高くすればするほど、二軸延伸後のフィルム内部に発生するボイドが多くなる傾向にある。このため、二軸延伸後のフィルムが薄くなるほど、表面の凹凸や上記内部ボイドが全厚みに占める割合が増えるため、電気特性の悪化、すなわち誘電率の低下はもちろんのこと、特に耐電圧特性を悪化させることがあった。さらに、例えば公知のロール延伸機、テンター延伸機を用いて縦−横逐次二軸延伸する場合、その横延伸挙動は、延伸部が薄く、未延伸部が厚くなり、その境界にくびれ(=ネッキング)を伴い、機械倍率に比較して延伸部の実効倍率が高くなる不均一延伸(ネッキング延伸)である。ところが、特許文献2〜4、6などのような単に結晶性を向上させただけのフィルムでは、さらに実効延伸倍率が高くなり、すなわち延伸がより不均一化し、特に薄いフィルムを製造する場合には、製膜工程でフィルム破れが増加し、製膜性が逆に悪化する傾向にあるため、生産性が悪化したり、上記したフィルム内部に発生するボイドが多いことも問題であった。
特許文献7のフィルムでは、特定の樹脂を混合することにより、絶縁欠陥を減少せしめ、耐電圧特性を向上させているものの、混合せしめる樹脂の不純物含量と混合量によっては逆に耐電圧特性が悪化することがあるとともに、高温での熱収縮率が高くなり、寸法安定性に劣ることが問題であった。
特許文献8のフィルムでは、突起密度が高く突起のそろった表面が得られるが、長手方向の剛性が低く加工性に劣るとともに、耐電圧特性が不十分であった。
特許文献9のフィルムは、長手方向の剛性が高く、加工性に優れるが、混合せしめる樹脂の不純物含量と混合量によっては逆に耐電圧特性が悪化することがあり、コンデンサー用フィルムとしての詳細かつ十分な設計思想も開示されていなかった。
本発明の目的は、上記課題を解消すべくなされたものであり、寸法安定性、耐熱性は従来品同等に保持し、耐電圧特性を向上させたコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを提供することである。また、表面に均一かつ緻密な凹凸を形成させ、絶縁欠陥を減少せしめることにより、ハンドリング性、耐電圧特性に優れたポリプロピレンフィルムを提供することである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、主として以下の構成により上記課題を達成できることを見出した。
すなわち、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、主として、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含み、かつフィルム両面の中心線平均表面粗さ(Ra)、最大表面粗さ(Rmax)が下記関係式(1)を満たすことを特徴とする。
Figure 2006093688
また、別の構成として、トルートン比が14以上30未満であり、かつフィルム両面の中心線平均表面粗さ(Ra)と最大表面粗さ(Rmax)が下記関係式(1)を満たすことを特徴とする。
Figure 2006093688
また、別の構成として、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含み、かつフィルム両面の中心線平均表面粗さ(Ra)、最大表面粗さ(Rmax)が下記関係式(1)を満たすことを特徴とする。
Figure 2006093688
さらに、これらコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの好ましい態様として、二軸配向していること、またマイクロメータ法によるフィルムの厚みが5μm以下であること、また中心線平均表面粗さ(Ra)が0.01〜0.3μmであること、また該ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属層が設置された金属化ポリプロピレンフィルム、また該ポリプロピレンフィルムもしくは該金属化ポリプロピレンフィルムを用いてなるコンデンサー
である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、フィルム両表面に均一かつ緻密な凹凸を適度に形成しており、絶縁欠陥となるフィルム内部のボイドが少ないことから、寸法安定性、耐熱性を従来品同等に保持しながら、従来相反する特性であったハンドリング性と耐電圧特性の両方に優れる。また、延伸時の破れが少なく、製膜性に優れる。さらに、従来に比較して長手方向の強度が高く、金属化などのフィルム加工の際に、フィルムに伸びやシワが発生しにくく、加工性に優れる。また、例えば、本発明のフィルムを二軸延伸し、例えば5μm以下の非常に薄いフィルムとして製造する際には、従来の単純なβ晶法を用いたフィルムとは異なり、極端な平滑化の傾向はみられず、フィルム両表面に粗大突起が少ない均一かつ緻密な凹凸を適度に形成できるため、ハンドリング特性を保持でき、二軸延伸時に発生するボイドなどの絶縁欠陥が従来に比較して少ないことから、薄くなるにつれてみられる耐電圧特性の低下を抑制できる。以上のことから、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、例えば、金属化、コンデンサー素子作製の際にも優れた加工性、ハンドリング性を有し、耐電圧特性に優れた信頼性の高いポリプロピレンフィルムとして、広範囲への適用が期待される。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含む。
ここで、トルートン比は、流入圧力損失法を用い、コックスウェル(Cogswell)の理論[“ポリマー エンジニアリング サイエンス”(Polymer Engineering Science)、12、p.64−73(1972)]にしたがって測定を行うことにより得られる。ここでいうトルートン比とは、指数関数で近似した伸張粘度−伸張ひずみ速度曲線、剪断粘度−剪断ひずみ速度曲線から求めたもので、ここで開示する各発明においては、230℃、ひずみ速度60s−1での伸張粘度と剪断粘度の比である。 したがって、あるポリプロピレンについて、剪断粘度の割に伸張粘度が高い場合にはトルートン比は高くなり、逆の場合は低くなる。ここで、ポリプロピレンの伸張粘度を高くする手段としては、例えば、分子量分布のブロード化、超高分子量成分の導入、長鎖分岐の導入、軽度の架橋、低密度ポリエチレンなどの長鎖分岐を有するポリプロピレン以外のポリマーの添加、ポリプロピレン中で棒状などの状態で分散するポリプロピレン以外の添加剤の添加などが挙げられる。
ポリプロピレンのトルートン比は、ペンゼ(A.Pendse)ら,“エスピーイー アニューアル テクニカル カンファレンス”(SPE Annual Technical Conference),41,1080−1084頁(1995);ペンゼ(A.Pendse)ら,“エスピーイー アニューアル テクニカル カンファレンス”(SPE Annual Technical Conference)、42,1129−1133頁(1996);バラコス(G.Barakos)ら,“ジャーナル オブ アプライド ポリマー サイエンス” (J. Appl. Polym. Sci.),59,543−556頁(1996);ビンディッヒ (D.M.Bindigs)ら,“ジャーナル オブ ノン−ニュートニアン フルード メカニックス”(J. Non−Newtonian Fluid Mech.),79,137−155頁(1998)などで測定例が開示されている。また、当該条件下でポリプロピレンのトルートン比を測定した例は、例えば、特開2004−161799公報などで開示されている。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むことにより、フィルム両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成でき、滑り性が高く、ハンドリング性に優れる。この表裏均一かつ緻密な凹凸は、延伸前の未延伸シートから形成されているが、これは、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むことにより、系内で促進された分子鎖の絡み合いが、溶融押出時に圧縮変形され蓄積された溶融体のエネルギーの弾性的回復に関与しているために生じるものと推察される。また、この表裏均一かつ緻密な凹凸により、粗大突起が少なくなるため、表面凹凸が全厚みに占める割合を小さくでき、耐電圧特性を向上できるとともに、フィルムを薄くしてもその優れた耐電圧特性を保持できる。
さらに、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むことにより、二軸延伸時に発生するボイドなどの絶縁欠陥が少なく、耐電圧特性をさらに向上できる。また、延伸時の破れが少なく、製膜性に優れる。これは、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むことにより、キャスト後には系内の微結晶を貫く非晶相のタイ分子の絡み合いが促進され、その後の延伸過程で延伸応力が系全体に均一に伝達される(延伸が均一化の傾向となる)ことにより、フィルム内部に発生するボイドが減少し、破れが抑制されるものと推察される。
加えて、トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むことにより、長手方向の剛性が高く、金属化(金属蒸着)などのフィルム加工の際に、フィルムに伸びやシワが発生しにくく、加工性に優れる。これは、上記した延伸応力の均一伝達により、横延伸時の微結晶の横方向への回転が抑制され、縦配向した微結晶が一部残存するためと推察される。
さらに、驚くべきことに、トルートン比が30以上のポリプロピレンの添加量が極めて少量でも、これらの効果が得られる。したがって、トルートン比が30以上のポリプロピレンのMI、結晶性(mmmm、IIなど)や灰分などがフィルム全体の耐電圧特性に及ぼす影響、原料価格などを勘案して、適宜添加量を決定することができる。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに含まれる上記ポリプロピレンのトルートン比は、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上である。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに含まれる上記ポリプロピレンのトルートン比は、高いほど、上記した表裏均一かつ微細な凹凸によるハンドリング性と耐電圧特性の向上、ボイド量低減、破れ低減などの効果が得られ、フィルム薄膜化時にもこれらの効果を保持できる傾向にあり、そのトルートン比には特に上限は設けないが、添加量にもよるが、あまりに高すぎると、溶融押出時の溶融ポリマーの安定吐出性が悪化したり、製膜性、特に縦延伸性が悪化する場合があるため、例えば、100以下であることが好ましい。
上記のようなトルートン比が30以上のポリプロピレンを得る方法としては、例えば、高分子量成分を多く含むポリプロピレンをブレンドする方法、分岐構造を持つオリゴマーやポリマーをブレンドする方法、特開昭62−121704号公報に記載されているようにポリプロピレン分子中に長鎖分岐構造を導入する方法、あるいは特許第2869606号公報に記載されているように長鎖分岐を導入せずに溶融張力と固有粘度、結晶化温度と融点とがそれぞれ特定の関係を満たし、かつ沸騰キシレン抽出残率が特定の範囲にある直鎖状の結晶性ポリプロピレンとする方法などが好ましく用いられる。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに含まれるトルートン比が30以上のポリプロピレンは、これらのポリプロピレンのうち、溶融押出の安定性、上記したハンドリング性、製膜性の向上効果が大きい傾向にあることから、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンであることが特に好ましい。
ここで、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンとは、ポリプロピレン主鎖骨格から枝分かれしたポリプロピレン鎖を有するポリプロピレンである。主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンで上記のように大きな効果が得られるのは、溶融押出の際の分散性が良好であり、キャストの段階から長鎖分岐が微結晶間を疑似架橋するタイ分子として作用し、その後の延伸工程で延伸応力が系全体に均一に伝達されるためと推定される。
かかる主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンの具体例としては、Basell製ポリプロピレン(タイプ名:PF−814、PF−633、PF−611、SD−632など)、Borealis製ポリプロピレン(タイプ名:WB130HMSなど)、Dow製ポリプロピレン(タイプ名:D114、D201、D206など)などが挙げられる。
ポリプロピレンの長鎖分岐の程度を示す指標値として、下記式で表される分岐指数gが挙げられる。
Figure 2006093688
ここで、[η]LBは長鎖分岐を有するポリプロピレンの固有粘度であり、[η]Linは長鎖分岐を有するポリプロピレンと実質的に同一の重量平均分子量を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンの固有粘度である。なお、ここで示した固有粘度はテトラリンに溶解した試料について公知の方法で135℃で測定する。また、このg値測定の際の重量平均分子量は、マッコーネル(M.L.McConnell)によって“アメリカン ラボラトリー”(American Laboratory)、May、63−75(1978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザー光散乱光度測定法で測定する。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに含まれる上記ポリプロピレンの分岐指数gは、0.95以下であることが好ましい。分岐指数gが上記範囲を超えると、上記ポリプロピレンの添加効果が低下し、表裏均一かつ微細な表面凹凸が得られなくなったり、製膜性が悪化する場合がある。上記ポリプロピレンの分岐指数gは、より好ましくは0.9以下である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに含まれるトルートン比が30以上のポリプロピレンの混合量は、特に制限されないが、ポリプロピレン全量に対して、0.1〜30重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることがより好ましく、上記の通り、少量添加でも効果がみられるのが特徴である。混合量が上記範囲未満であると、フィルム表面の凹凸が不均一になり、ハンドリング性や耐電圧特性が悪化したり、製膜性、特に横延伸性が悪化する場合がある。混合量が上記範囲を超えると、製膜性、特に縦延伸性が悪化したり、溶融押出時の溶融ポリマーの安定吐出性が悪化したり、該ポリプロピレン自体の下記で定義する灰分が高い場合、耐電圧特性が逆に低下する場合がある。トルートン比が30以上のポリプロピレンの混合量は、ポリプロピレン全量に対して、より好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜15重量%であり、次に好ましくは0.5〜6重量%であり、さらに好ましくは1〜6重量%であり、最も好ましくは1.5〜6重量%である。
本発明の他の構成として、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が14以上30未満であることが挙げられる。ここで、“ポリプロピレンフィルムのトルートン比が14以上30未満である”ことは、フィルムを構成するポリプロピレン全体について得られるトルートン比が14以上30未満であることを意味する。この際、フィルムを構成する該ポリプロピレン全体に、下記で定義するポリプロピレン以外の添加物、不純物などが含まれる場合には、これを抽出・除去して測定することが好ましい(この際、同時に微量に抽出されるポリプロピレン成分は無視しても良い)が、添加剤などが存在した抽出前の状態で測定されたトルートン比で代表させても差し支えはなく、かかる場合においても同様に本発明の目的が達成されるため、本発明においては、添加物、不純物などの存在下でトルートン比が14以上30未満であれば、本要件を満たしているものとする。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、トルートン比が上記範囲、特に14以上であるポリプロピレンからなることにより、フィルム両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成でき、滑り性が高く、ハンドリング性に優れる。この表裏均一かつ緻密な凹凸は、延伸前の未延伸シートから形成されているが、これは、トルートン比が上記範囲、特に14以上であるポリプロピレンからなることにより、系内で促進された分子鎖の絡み合いが、溶融押出時に圧縮変形され蓄積された溶融体のエネルギーの弾性的回復に関与しているものと推察される。また、この表裏均一かつ緻密な凹凸により、粗大突起が少なくなるため、表面凹凸が全厚みに占める割合を小さくでき、耐電圧特性を向上できるとともに、フィルムを薄くしてもその優れた耐電圧特性を保持できる。
さらに、トルートン比が上記範囲のポリプロピレンからなることにより、二軸延伸時に発生するボイドなどの絶縁欠陥が少なく、製膜性、特に縦−横逐次二軸延伸における横延伸性を向上でき、下記に定義する灰分量を低減できることから、耐電圧特性をさらに向上でき、溶融押出時に溶融ポリマーを安定に吐出でき、製膜性、特に縦−横逐次二軸延伸における縦延伸性を向上できる。これは、トルートン比が上記範囲のポリプロピレンからなることにより、キャスト後には系内の微結晶を貫く非晶相のタイ分子の絡み合いが促進され、その後の延伸過程で延伸応力が系全体に均一に伝達される(延伸が均一化の傾向となる)ことにより、フィルム内部に発生するボイドが減少し、破れが抑制されるものと推察される。
加えて、トルートン比が上記範囲のポリプロピレンからなることにより、長手方向の剛性が高く、金属化(金属蒸着)などのフィルム加工の際に、フィルムに伸びやシワが発生しにくく、加工性に優れる。これは、上記した延伸応力の均一伝達により、縦延伸性を損なうことなく、横延伸時の微結晶の横方向への回転が抑制され、縦配向した微結晶が一部残存するためと推察される。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンのトルートン比は、好ましくは14〜28、また、好ましくは15〜30、より好ましくは15〜28、さらに好ましくは15〜25、最も好ましくは18〜24、さらに好ましくは16〜24である。これらは、例えば、下記に示すような主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンの添加により制御できる。また、驚くべきことに、このような主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンの添加量が極めて少量でも、これらの効果が得られる。したがって、トルートン比が30以上のポリプロピレンのMI、結晶性(mmmm、IIなど)や灰分などがフィルム全体の耐電圧特性に及ぼす影響、原料価格などを勘案して、適宜添加量を決定することができる。
上記したようなトルートン比が14以上30未満のポリプロピレンは、例えば、高分子量成分を導入したり、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンと各種汎用ポリプロピレンを混合したり、汎用ポリプロピレンの主鎖骨格中に長鎖分岐成分を共重合、グラフト重合などで導入することによって得られる。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するトルートン比が14以上30未満のポリプロピレンとしては、これらのうち、上記した表裏均一かつ微細な凹凸によるハンドリング性と耐電圧特性の向上、ボイド量低減、破れ低減などの効果が大きい傾向にあることから、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを用いることが好ましい。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンは、トルートン比が上記範囲であれば特に制限はないが、例えば、以下に示すような性質を有するポリプロピレンであることが好ましい。
すなわち、トルートン比が30以上であるポリプロピレンを含み、トルートン比が14以上30未満であるポリプロピレンであることが好ましい。トルートン比が30以上のポリプロピレンは、例えば主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンと汎用ポリプロピレンを混合したり、汎用ポリプロピレンの主鎖骨格中に長鎖分岐成分を共重合、グラフト重合などで導入することによって得られる。
従来の汎用ポリプロピレンの分子構造は線状構造だが、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンには、このような長鎖分岐を有するポリプロピレンを混合することにより、表裏均一かつ微細な凹凸によるハンドリング性と耐電圧特性の向上、ボイド量低減、破れ低減などの効果を大きくできる。これは、溶融押出の際の分散性が良好であり、キャストの段階から長鎖分岐が微結晶間を疑似架橋するタイ分子として作用し、その後の延伸工程で延伸応力が系全体に均一に伝達されるためと推定される。
この際、混合せしめる長鎖分岐を有するポリプロピレンのトルートン比は、より好ましくは35以上、さらに好ましくは40以上、さらにより好ましくは40〜100である。
本発明の他の構成として、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムが主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことが挙げられる。
ここで、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンとは、ポリプロピレン主鎖骨格中に、枝分かれしたポリプロピレン鎖を有するポリプロピレンである。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことにより、フィルム両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成でき、滑り性が高く、ハンドリング性に優れる。この表裏均一かつ緻密な凹凸は、延伸前の未延伸シートから形成されているが、これは、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことにより、長鎖分岐が系内の分子鎖の絡み合いを促進し、これが溶融押出時に圧縮変形され蓄積された溶融体のエネルギーの弾性的回復に関与しているために生じるものと推察される。また、この表裏均一かつ緻密な凹凸により、粗大突起が少なくなるため、表面凹凸が全厚みに占める割合を小さくでき、耐電圧特性を向上できるとともに、フィルムを薄くしてもその優れた耐電圧特性を保持できる。
さらに、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことにより、二軸延伸時に発生するボイドなどの絶縁欠陥が少なく、耐電圧特性をさらに向上できる。また、延伸時の破れが少なく、製膜性に優れる。これは、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことにより、キャスト後には長鎖分岐が系内の微結晶を貫く非晶相のタイ分子の絡み合いを促進し(微結晶間の疑似架橋効果)、その後の延伸過程で延伸応力が系全体に均一に伝達される(延伸が均一化の傾向となる)ことにより、フィルム内部に発生するボイドが減少し、破れが抑制されるものと推察される。
加えて、主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含むことにより、長手方向の剛性が高く、金属化(金属蒸着)などのフィルム加工の際に、フィルムに伸びやシワが発生しにくく、加工性に優れる。これは、上記した長鎖分岐による延伸応力の均一伝達により、横延伸時の微結晶の横方向への回転が抑制され、縦配向した微結晶が一部残存するためと推察される。
主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンの主鎖から枝分かれしたポリプロピレン鎖は、長いほど上記した長鎖分岐を有するポリプロピレンの添加効果が高く、ポリプロピレン主鎖と同等の長さを有することが好ましい。また、該長鎖分岐は、長鎖分岐を有するポリプロピレン全体の平均で、1本のポリプロピレン主鎖中に平均1本以上導入されていることが、上記した微結晶間の疑似架橋効果付与の観点から好ましく、より好ましくは平均2本以上である。
また、上記した長鎖分岐を有するポリプロピレンの重量平均分子量(Mw)は、10×10以上であることが好ましい。Mwが上記範囲未満であると、上記した微結晶間の疑似架橋効果が不十分となる場合がある。Mwには、本発明の効果を奏する限り、特に上限は設けないが、例えば、溶融押出特性の観点から500×10以下であることが好ましい。Mwは、好ましくは15×10以上、より好ましくは20×10以上である。長鎖分岐を有するポリプロピレンのの重量平均分子量は、マッコーネル(M.L.McConnell)によって“アメリカン ラボラトリー”(American Laboratory)、May、63−75(1978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザー光散乱光度測定法で測定する。
主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンの具体例としては、Basell製ポリプロピレン(タイプ名:PF−814、PF−633、PF−611、SD−632など)、Borealis製ポリプロピレン(タイプ名:WB130HMSなど)、Dow製ポリプロピレン(タイプ名:D114、D201、D206など)などが挙げられる。
ポリプロピレンの長鎖分岐の程度を示す指標値として、下記式で表される分岐指数gが挙げられる。
Figure 2006093688
ここで、[η]LBは長鎖分岐を有するポリプロピレンの固有粘度であり、[η]Linは長鎖分岐を有するポリプロピレンと実質的に同一の重量平均分子量を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンの固有粘度である。なお、ここで示した固有粘度はテトラリンに溶解した試料について公知の方法で135℃で測定する。また、このg値測定の際の重量平均分子量は、マッコーネル(M.L.McConnell)によって“アメリカン ラボラトリー”(American Laboratory)、May、63−75(1978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザー光散乱光度測定法で測定する。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに含まれる長鎖分岐を有するポリプロピレンの分岐指数gは、0.95以下であることが好ましい。分岐指数gが上記範囲を超えると、上記ポリプロピレンの添加効果が低下し、表裏均一かつ微細な表面凹凸が得られなくなったり、製膜性が悪化する場合がある。長鎖分岐を有するポリプロピレンの分岐指数gは、より好ましくは0.9以下である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに含まれる長鎖分岐を有するポリプロピレンの混合量は、特に制限されないが、ポリプロピレン全量に対して、0.1〜30重量%であることが好ましく、1〜30重量%であることが好ましく、上記の通り、少量添加でも効果がみられるのが特徴である。混合量が上記範囲未満であると、フィルム表面の凹凸が不均一になり、ハンドリング性や耐電圧特性が悪化したり、製膜性、特に横延伸性が悪化する場合がある。混合量が上記範囲を超えると、製膜性、特に縦延伸性が悪化したり、溶融押出時の溶融ポリマーの安定吐出性が悪化したり、該ポリプロピレン自体の下記で定義する灰分が高い場合、耐電圧特性が逆に低下する場合がある。長鎖分岐を有するポリプロピレンの混合量は、ポリプロピレン全量に対して、より好ましくは0.5〜15重量%、さらに好ましくは1〜15重量%であり、次に好ましくは0.5〜6重量%であり、さらに好ましくは1〜6重量%であり、最も好ましくは1.5〜6重量%である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、主としてポリプロピレンからなる。ポリプロピレンからなれば、コンデンサー素子とした際に絶縁破壊電圧が高く耐電圧特性に優れ、損失の少ないコンデンサー用フィルムとすることができ、ポリプロピレンの原料特性については特に限定されないが、例えば、以下に示すような原料特性を有すれば、さらに優れた耐電圧特性を有し、滑り性が良好でハンドリング性に優れ、寸法安定性、剛性、耐熱性、加工性に優れたフィルムとできるので好ましい。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンのメルトインデックス(MI)は、製膜性および製膜後のフィルム特性の観点から0.5〜30g/10分の範囲にあることが好ましい。MIが上記範囲未満であると、溶融押出時に濾圧が上昇したり、押出原料の置換に長時間を要するなどの問題点が生じる場合があり、得られるフィルムの寸法安定性(熱収縮率)が悪化する場合がある。MIが上記範囲を超えると、得られるフィルムの厚み斑が大きくなったり、表面粗さが小さくなるなどの問題点を生じる場合がある。MIを上記範囲とするためには、該ポリプロピレン重合時の重合条件により平均分子量や分子量分布などを調整する方法などが好ましく用いられる。MIは、より好ましくは1〜20g/10分、さらに好ましくは1.5〜10g/分である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンのアイソタクチックインデックス(II)は、92〜99.8%の範囲にあることが好ましい。IIが上記範囲未満であると、得られるフィルムの寸法安定性、剛性が低下して加工性が悪化したり、ハンドリング性が悪化したり、耐電圧特性が著しく低下するため、コンデンサー用として実用に耐えない場合がある。IIが上記範囲を超えると、製膜性が著しく悪化する場合がある。IIを上記範囲とするためには、ポリプロピレンの沸騰n−ヘプタン可溶低分子量物成分や、立体規則性の低いいわゆるアタクチック成分の割合が適度に低いポリプロピレンを用いる方法が好ましく用いられる。IIは、より好ましくは94〜99.5%、さらに好ましくは95〜99%、最も好ましくは96〜99%である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンのメソペンタッド分率(mmmm)は、92〜99.5%の範囲にあることが好ましい。ここで、mmmmとは、ポリプロピレンのにおけるアイソタクチックの立体構造を直接反映する指標である。また、ここでいうmmmmとは、下記に示すように13C−NMRにより得られたメチル基由来の各スペクトルから、下記に示す特定範囲で算出した全積分面積に対する補正mmmmピークの積分面積の比率を各サンプルについて5回測定し、これらから算出した平均値である。mmmmを上記範囲とすることで、寸法安定性に優れ、耐電圧特性、耐熱性、剛性、ハンドリング性、加工性などが著しく向上したフィルムを安定製造することができる。mmmmが上記範囲未満であると、得られるフィルムの寸法安定性、剛性が低下して加工性が悪化したり、ハンドリング性が悪化したり、耐電圧特性が著しく低下するため、コンデンサー用として実用に耐えない場合がある。mmmmが上記範囲を超えると、製膜性が著しく悪化する場合がある。mmmmを上記範囲とするためには、ポリプロピレン重合時の触媒組成(固体触媒、外部電子ドナー)やそれらの純度を調整する方法などが好ましく用いられる。mmmmは、より好ましくは94〜99%、さらに好ましくは95〜98.5%、最も好ましくは96〜98.5%である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに用いるポリプロピレンは、経済性の観点から、本発明の特性を損なわない範囲で本発明のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムや他のフィルムを製造する際に生じた屑フィルムを回収使用してもかまわない。
また、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンは、本発明の目的を損なわない範囲でプロピレンとプロピレン以外の不飽和炭化水素の単量体成分が共重合された重合体であってもよいし、プロピレンとプロピレン以外の不飽和炭化水素の単量体成分が共重合された重合体がブレンドされてもよいし、プロピレン以外の不飽和炭化水素の単量体成分の(共)重合体がブレンドされてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として、例えば、エチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられるが、必ずしも本発明がこれらに限定されるわけではない。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンには、例えば酸化防止剤、塩素捕捉剤、α晶もしくはβ晶結晶核剤、熱安定剤、滑剤、ブロッキング防止剤、粘度調整剤、銅害防止剤などの各種添加剤を混合してもよい。ただし、添加することにより未添加の場合に比較して、得られるフィルムの耐電圧特性や加工性(金属化の際の白化など)が悪化するものは添加しないことが好ましい。特に、その製造方法上、製膜時にボイドを誘発したり、耐電圧特性を直接低下させるようなものなどは添加するべきではない。具体例としては、添加量にもよるが、例えば鉄粉などの金属粉;シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライト、酸化チタンなどの無機粒子などが挙げられる。また、石油樹脂、テルペン樹脂などの市販品は不純物を多く含有することがあり、添加しない方が好ましい場合もある。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムに好ましい添加剤のなかで、酸化防止剤の種類および添加量の選定は、フィルムの長期耐熱性にとって重要である。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを構成するポリプロピレンに添加される酸化防止剤は、立体障害性を有するフェノール類で、そのうち少なくとも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ましい。酸化防止剤の具体例としては種々の化合物が挙げられるが、例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT;分子量220)とともに1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えば、チバガイギー(株)製“Irganox(登録商標)”1330;分子量775)、もしくはテトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えば、チバガイギー(株)製“Irganox(登録商標)”1010;分子量1178)などを併用することが好ましい。これら酸化防止剤の添加量は、それぞれポリプロピレン全量に対して、0.03〜1重量%であることが好ましい。酸化防止剤の添加量が上記範囲未満であると、コンデンサー素子とした場合に長期耐熱性に劣る場合がある。酸化防止剤の添加量が上記範囲を超えると、酸化防止剤のブリードアウトが原因で高温下でブロッキングが発生する場合がある。酸化防止剤の添加量は、ポリプロピレン全量に対して、より好ましくは0.05〜0.9重量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.8重量%である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの灰分は、50ppm以下であることが好ましい。ポリプロピレンの重合過程では、触媒として金属を含む化合物を用いることが一般的である。この際、触媒の残渣は、樹脂を完全に燃焼させた後の金属酸化物の量から評価でき、これが灰分と定義される。灰分が上記範囲を超えると、得られるフィルムの耐電圧特性が低下し、コンデンサーとした場合に絶縁破壊強度(BDV)が低下する場合がある。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの灰分には、本発明の効果を奏する限り特に下限は設けないが、例えばポリプロピレン重合時の生産性(触媒活性)の観点から1ppm以上であることが好ましい。灰分を上記範囲とするためには、触媒活性を高めたり、重合後のポリプロピレンパウダーを洗浄する(脱灰)などの、用いるポリプロピレンの触媒残渣を低くする方法が最も好ましく用いられるが、製膜時の汚染(ポリプロピレンの溶融押出時の劣化物もしくは異物の混入、製膜・巻き取り・スリット時の異物の混入、原料回収の際の異物の混入など)を可能な限り抑制する方法も好ましく用いられる。灰分は、より好ましくは40ppm以下、さらに好ましくは30ppm以下、最も好ましくは20ppm以下である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、マイクロメータ法によるフィルム厚さが5μm以下であることが好ましい。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、フィルムの厚みが上記した範囲にあり、薄くても優れたハンドリング性、耐電圧特性を有することが特徴である。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムのマイクロメータ法によるフィルム厚さが上記範囲を超えると、コンデンサー素子とした場合に体積当たりの静電容量が小さくなるため好ましくない場合がある。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムのマイクロメータ法によるフィルム厚さは薄いほど体積当たりのコンデンサー素子とした場合の単位体積当たりの静電容量を大きくできる傾向にあり、マイクロメータ法によるフィルム厚さには特に下限は設けないが、例えば、安定製膜およびその後の加工性の観点から、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、1.5μm以上であることがさらに好ましい。マイクロメータ法によるフィルム厚さは、溶融押出により溶融ポリマーをシート状に成形する際の、溶融ポリマーの押出量や冷却ドラムの周速、製膜時に延伸加工する場合にはその面積倍率(=縦方向の実効延伸倍率と横方向の実効延伸倍率の積)などの製膜条件により制御できる。マイクロメータ法によるフィルム厚さは、より好ましくは4μm以下、さらに好ましくは3.5μm以下である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面の中心線平均表面粗さ(Ra)は、0.01〜0.3μmであることが好ましい。Raが上記範囲未満であると、フィルムの滑り性が低下し、金属化(金属蒸着)などのフィルム加工時にシワや巻きずれが発生してハンドリング性に劣る場合がある。また、コンデンサー素子とした場合、フィルム層間の空隙率が小さくなるため、コンデンサー内で絶縁破壊が発生した際に発生するガスや飛散金属が系外に抜けずに耐電圧特性に支障を及ぼす(当該業者はこのことをセルフヒール(SH)性が悪化するという)場合がある。Raが上記範囲を超えると、製膜、コンデンサー素子作製などの際のフィルム巻き取り工程でフィルム端面がずれたり、表面凹凸が全厚みに占める割合が高くなり耐電圧特性が悪化する場合がある。Raは、用いるポリプロピレンの特性(mmmmやII、添加する長鎖分岐を有するポリプロピレンのトルートン比やその添加量、ポリプロピレン全体のトルートン比など)や製膜条件(溶融押出して未延伸シートを得る際の押出温度や冷却ドラム温度、縦・横延伸温度、倍率など)などにより制御できる。Raは、より好ましくは0.01〜0.2μm、さらに好ましくは0.02〜0.1μmである。さらに、フィルムの両面のRaが上記範囲を満たすことが、上記の関係をバランス良く制御できることから好ましい。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面の最大表面粗さ(Rmax)は、0.1〜2μmであることが好ましい。Rmaxが上記範囲未満であると、ハンドリング性に劣り、コンデンサー素子作製工程でシワや巻きずれが入りやすく、特にそのシワが原因で耐電圧特性が低下する場合がある。Rmaxが上記範囲を超えると、粗大突起の割合が増えるため、製膜、コンデンサー素子作製などの際のフィルム巻き取り工程でフィルム端面がずれたり、表面凹凸が全厚みに占める割合が高くなり耐電圧特性が悪化する場合がある。また、フィルムを金属化して電極層を形成する場合、金属層にピンホールが発生し、電圧印加時に電荷が集中し、絶縁欠陥の原因となることから、特に高温で使用する際の絶縁破壊強度や素子ライフが低下する場合がある。さらに、コンデンサー素子とした場合には、フィルム層間の空隙率が大きくなるため、フィルム層間で内部放電が発生し、コンデンサーに課電した際の経時に伴う容量減少が大きくなり、素子ライフが低下する場合がある。Rmaxは、用いるポリプロピレンの特性(mmmmやII、添加する長鎖分岐を有するポリプロピレンのトルートン比やその添加量、ポリプロピレン全体のトルートン比など)や製膜条件(溶融押出して未延伸シートを得る際の押出温度や冷却ドラム温度、縦・横延伸温度、倍率など)などにより制御できる。Rmaxは、より好ましくは0.2〜1μm、さらに好ましくは0.23〜0.9μmである。さらに、フィルムの両面のRmaxが上記範囲を満たすことが、上記の関係をバランス良く制御できることから好ましい。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、フィルム両面について、中心線平均表面粗さ(Ra)と最大表面粗さ(Rmax)が、下記関係式(1)を満たす。
Figure 2006093688
ここで、Ra、Rmaxそれぞれについては上記に説明した通りであり、Rmax/Raが小さければ小さいほど、フィルム表面の凹凸は粗大突起が少なく、均一であることを意味する。即ち、Rmax/Raはフィルム表面の凹凸の形状の均一性を示す尺度である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、フィルム表裏のRmax/Raが上記範囲を満たすことから、従来に比較して表裏均一かつ緻密な凹凸を形成している。これにより、フィルムの滑り性が高く、製膜、金属化(金属蒸着)などのフィルム加工時にシワや巻きずれなどが発生しないため、ハンドリング性に優れる。また、全厚みに占める凹凸の割合を低くでき、優れた耐電圧特性を示す。このように、Rmax/Raを上記範囲とすることで、従来困難だったハンドリング性と耐電圧特性の両立を高いレベルで実現することができる。フィルム両面のRmax/Raは、用いるポリプロピレンの特性(mmmmやII、添加する長鎖分岐を有するポリプロピレンのトルートン比やその添加量、ポリプロピレン全体のトルートン比など)や製膜条件(溶融押出して未延伸シートを得る際の押出温度や冷却ドラム温度やドラム構成(径、本数)、縦・横延伸温度、倍率など)などにより制御できる。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、フィルム両面について、より好ましくは下記関係式(2)、さらに好ましくは下記関係式(3)、さらにより好ましくは下記関係式(4)を満たすことが、上記したハンドリング性と耐電圧特性の両立の観点から好ましい。
Figure 2006093688
Figure 2006093688
Figure 2006093688
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの120℃での長手方向の熱収縮率は、0.5〜4%であることが好ましい。なお、ここでいう120℃での長手方向の熱収縮率とは、3gfの荷重下で120℃、15分間加熱処理した際のフィルムの長手方向の収縮率である。120℃での長手方向の熱収縮率が上記範囲未満であると、コンデンサー素子作製時に巻き締まりが不十分となって形態保持性や容量変化率に悪影響を及ぼしたり、素子層間に空隙が形成され、コンデンサー素子の劣化が進行する場合がある。また、120℃での長手方向の熱収縮率が上記範囲を超えると、コンデンサー素子作製時に巻き締まりが大きすぎて、素子が変形し、内部ストレス増大に伴うコンデンサー容量の低下、さらには素子の破壊を生じる場合がある。120℃での長手方向の熱収縮率は、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmmやIIなどに対応)や製膜条件(溶融押出して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦・横延伸温度、倍率、延伸後のフィルムの弛緩処理など)などにより制御できる。120℃での長手方向の熱収縮率は、より好ましくは1〜3.8%、さらに好ましくは1.2〜3.5%、最も好ましくは1.4〜3.3%である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの25℃での長手方向の破断強度は、160MPa以上であることが好ましい。ここで、長手方向の破断強度とは、長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズで切り出した試料を、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張した際の試料破断時にかかる応力である。本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、従来に比較して長手方向の剛性が高く、金属化(金属蒸着)などのフィルム加工の際に、フィルムに伸びやシワが発生しにくく、加工性に優れる。25℃での長手方向の破断強度が上記範囲未満であると、フィルムの抗張力性が不足し、特にフィルムを薄くした際に加工張力により伸びてしまい、加工性に劣る場合がある。25℃での長手方向の破断強度は、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmmやIIなどに対応)や製膜条件(溶融押出して未延伸シートを得る際の冷却ドラム温度、縦延伸条件(温度、倍率、延伸後のフィルムの弛緩処理)など)などにより制御できる。25℃での長手方向の破断強度は、より好ましくは175MPa以上、さらに好ましくは180MPa以上である。また、本発明の金属化ポリプロピレンフィルムについても上記範囲を満たすことが好ましい。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、フィルムを重ね合わせた際の静摩擦係数(μs)が、0.1〜1の範囲であることが好ましい。μsが上記範囲未満であると、製膜、金属化(金属蒸着)などのフィルム加工時に、フィルムが滑りすぎて巻きずれが発生し、長尺に巻き取れないなど、ハンドリング性に劣る場合がある。μsが上記範囲を超えると、フィルムの巻き取りの際に、滑り性が低く、巻き取り後のフィルムにシワや巻きずれなどが発生し、ハンドリング性に劣る場合がある。μsは、用いるポリプロピレンの特性(mmmmやII、添加する長鎖分岐を有するポリプロピレンのトルートン比やその添加量、ポリプロピレン全体のトルートン比など)や製膜条件(溶融押出して未延伸シートを得る際の押出温度や冷却ドラム温度、縦・横延伸温度、倍率など)、フィルムの帯電状態などにより制御できる。μsは、より好ましくは、0.15〜0.9、さらに好ましくは0.2〜0.7である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの25℃での絶縁破壊電圧(BDV)は、フィルム厚さにも大きく依存するが、500V/μm以上であることが好ましく、表裏に均一かつ緻密な凹凸を形成することにより、表面凹凸が全厚みに占める割合を小さくできることにより、同じ厚さでは従来より高いBDVを有することが特徴である。25℃でのBDVが上記範囲未満であると、該フィルムをコンデンサー素子とした場合、耐電圧特性が低くて、実用に耐えない場合があり、マイクロメータ法フィルム厚さが薄くなるほどこの傾向が強い。なお、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの25℃でのBDVは高いほどコンデンサー素子とした場合に耐電圧特性に優れた信頼性の高いフィルムとできる傾向にあり、25℃でのBDVには特に上限は設けないが、例えば、製膜性、耐熱性、寸法安定性と耐電圧特性を高いレベルでバランスさせるためには、1200V/μm以下であることが好ましい。25℃でのBDVは、用いるポリプロピレンの結晶性(mmmmやIIなどに対応)や灰分、製膜条件(溶融押出して未延伸シートを得る際の押出温度や冷却ドラム温度、延伸温度、面積倍率など)、フィルムの異物、特に金属異物の削減などにより制御できる。25℃でのBDVは、より好ましくは510V/μm以上、さらに好ましくは520V/μm以上、最も好ましくは540V/μm以上である。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、上述した特性を与えうる原料を用いて製造される限り、その配向状態は無配向であっても一軸配向であっても二軸配向であっても構わず、特に限定されないが、二軸配向せしめることにより、得られるフィルムの耐熱性、耐電圧特性、ハンドリング性をさらに高めることができ、より薄いフィルム、すなわち単位体積当たりの静電容量がより大きいコンデンサーとできる傾向にあるので、好ましい。なお、二軸配向の手法としては、同時二軸延伸法、逐次二軸延伸法いずれを用いても構わない。
ここで、フィルムの配向状態(無配向、一軸配向、二軸配向の別)は、例えば、松本喜代一ら、“繊維学会誌”、第26巻、第12号、1970年、p.537−549;松本喜代一著、“フィルムをつくる”、共立出版(1993)、p.67−86;岡村誠三ら著、“高分子化学序論(第2版)”、化学同人(1981)、p.92−93などで解説されているように、フィルムに対して3方向からX線を入射した(一般に、Through入射(フィルムの縦方向(長手方向、MD)・横方向(幅方向、TD)で形成される面に垂直に入射)、End入射(フィルムの横方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射)、Edge入射(フィルムの縦方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射)と称される)X線回折写真から判別される。すなわち、無配向のシートでは、いずれの方向のX線回折写真においても実質的にほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られ、縦一軸配向のフィルムではEnd入射のX線回折写真においてほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られ、二軸配向のフィルムではいずれの方向のX線回折写真においてもその配向を反映した、回折強度が均等ではない回折像が得られる。本判別手法は、装置や手法の進化に伴い修正などは加えられるものの、当該業者には公知の手法として行われる。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムをコンデンサー素子に用いる際の電極は、金属箔であっても両面を金属化した紙やプラスチックフィルムであっても、本発明のフィルムの少なくとも片面を金属化して設置された金属層であっても構わず、特に限定されないが、例えば、軽薄短小化、小型大容量化の観点から、金属化により設置された金属層であることが好ましい。この際、用いる金属としては、亜鉛、錫、銀、クロム、アルミニウム、銅、ニッケルなどから選ばれる少なくとも1種の金属が挙げられるが、特に限定されない。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属層を設置する(金属化する、金属蒸着する)場合には、該フィルム面にコロナ放電処理を施し、金属層との接着性をより高めることは好ましい。コロナ放電処理時の雰囲気ガスとしては、空気、酸素、窒素、炭酸ガス、あるいは窒素/炭酸ガスの混合系などが好ましく、経済性の観点からは空気中でコロナ放電処理することが特に好ましい。また、火炎(フレーム)処理、プラズマ処理なども金属層との接着性向上の観点から好ましい。
また、フィルムを金属化する方法としては、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンビーム法などが挙げられ、特に限定されないが、例えば、生産性や経済性などの観点から真空蒸着法がより好ましい。
一般に真空蒸着法としては、るつぼ方式やワイヤー方式などが挙げられ、特に限定されないが、例えば、金属層への欠陥発生率が小さいEBガン方式がより好ましい。
本発明において、金属化されたフィルムの膜抵抗値は1〜40Ω/□であることが好ましい。膜抵抗値が上記範囲未満であると、金属層が厚いため、金属蒸着時にいわゆる熱負けが生じ、フィルムに白化、穴あきなどの欠点が発生する場合がある。膜抵抗値が上記範囲を超えると、コンデンサー素子とした際に容量変化が大きくなる場合がある。膜抵抗値は、より好ましくは1.2〜30Ω/□である。
本発明において、金属化されたフィルムに形成されるマージン(電気絶縁目的などにより金属層を形成する面に設けられる金属層のない部分)の仕様は、通常タイプ以外にヒューズ機構を設けた種々のものなどを目的に応じて採用できる。また、それらマージンの形成方法も特に限定されず、例えば、テープ方式でもオイル方式でも構わない。
また、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを誘電体として用いたコンデンサ−の構造や形態は、特に限定されるものではなく、例えば、乾式でも絶縁油による含浸式でも、あるいは丸型でも扁平プレス型でも差し支えないが、シワが入り易い扁平化プレス工程を経る扁平型コンデンサー用途には優れたハンドリング性、加工性を示すため、特に好ましい場合がある。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを油含浸型コンデンサーに用いる場合、絶縁油としては、電気絶縁性のあるものであれば任意のものを使用することができ、例えば、多塩化ビフェニール類、パラフィン類、ナフテン類、あるいは芳香族系炭化水素よりなる鉱油類、ポリブテン、菜種油、あるいはシリコーン油などが挙げられ、単独もしくは混合して使用することができ、さらにはこれらの油の中に各種の添加剤を添加せしめることもできる。好ましい絶縁油としては、粘性が小さく、ガス吸収性に優れた、フェニルキシリルエタン、モノイソプロピルビフェニールなどが挙げられるが、必ずしも本発明がこれらに限定されるわけではない。
次に、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムを二軸延伸して製造する場合の一例、および得られるフィルムを用いてなる金属化フィルムおよびコンデンサーの製造方法の一例を以下に説明するが、必ずしも本発明がこれらに限定されるわけではない。
トルートン比が30以上のポリプロピレンを含むポリプロピレン、あるいはトルートン比が14以上30未満であるポリプロピレン、あるいは主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレン、ならびに各種コンデンサー用として好ましく用いることができるポリプロピレンを準備する。この際、2種類以上の樹脂の混合を伴う場合は、溶融押出時に混入する異物を最小限に留めるために各原料単体のチップをそのまま特定組成で混合するドライブレンド法でも構わないし、分散性の観点から予め特定の濃度で両者を押出機中で加熱・溶融混練せしめ、ガット状に押出してチップカッターに通し、得られるチップを用いるマスターバッチ法を用いても構わない。また、この際上記した酸化防止剤などの添加剤を目的に応じて添加しても構わない。
準備したポリプロピレンを一軸押出機に供給して200〜300℃の温度で溶融させ、濾過フィルターを経た後、スリット状口金から押出し、冷却用の金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめ、未延伸シートを得る。
ここで、本発明のフィルム特有の、表裏均一かつ緻密な凹凸は、上記した通り、未延伸シートから形成されている。この表裏均一かつ緻密な特徴を保持した上で凹凸形状の制御するためには、押出温度が重要である。用いるポリプロピレン、金属ドラムの温度、実効面積倍率などの他の製膜条件にもよるが、二軸延伸後の表面粗さを全体的に高く制御するためには、押出温度は上記範囲のうち低い方が好ましく、全体的に低く制御するためには、押出温度は上記範囲のうち高い方が好ましいので、適宜目的に応じて押出温度を選定することが重要である。
また、上記金属ドラムに巻き付けて溶融ポリマーを冷却固化する工程において、二軸延伸後の表面粗さをより高く制御するためには、金属ドラムの温度を調整して溶融ポリマーの冷却速度を遅くしてβ晶を多く含有した未延伸シートを作製することが好ましい。この際、冷却用金属ドラムは一つであっても構わないし、2つ以上を連続して設置し、これらを通過させて未延伸シート表裏の冷却速度を制御しても構わない。例えば、冷却用金属ドラムが一つの場合のキャストドラム温度は50〜95℃であることが好ましい。ドラム温度が上記範囲未満であると、未延伸シートに生成するβ晶が少ないため、得られる二軸配向フィルムの表面が平滑化し、所望の滑り性が得られず、ハンドリング性に劣る場合がある。ドラム温度が上記範囲を超えると、二軸延伸性が悪化し、製膜が不安定になったり、耐電圧特性が悪化する場合がある。ドラム温度は、より好ましくは60〜90℃である。また、上記ドラム温度の条件はあくまで一例であり、金属ドラム径、ドラムの個数、ドラムの温度、ドラムの周速、未延伸シートの厚さなどにより溶融ポリマーの冷却速度が変化し、好ましい耐電圧特性、表面粗さが得られるようにこれらを設計することは、当該業者にとって公知である。
また、金属ドラムへの密着性を高めるためには、静電印加法、水の表面張力を利用した密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャスト法などの各種の手法が好ましく用いられる。いずれを用いても良いが、平面性が良好であり、吹き出しエアーの温度により表面粗さの制御が可能であることから、エアーナイフ法を用いることが好ましい。
次に、得られた未延伸シートを二軸延伸して二軸配向せしめる。二軸延伸法としては、逐次二軸延伸法、同時二軸延伸法が挙げられ、いずれを用いても良いが、以下に逐次二軸延伸法を用いた場合について説明する。まず、未延伸シートを120〜170℃の温度に保たれたロールに通して予熱し、引き続き該シートを130〜170℃の温度に保ち周速差を設けたロール間に通し、縦方向に実効倍率4.2〜6倍に延伸して直ちに室温に冷却する。この際、縦延伸を少なくとも2段階に分けて行うことは、長手方向の剛性向上、表面欠点抑制などの観点から重要である。また、縦延伸後の冷却過程において、フィルムの厚みムラが悪化しない程度に縦方向に弛緩を与えることは、長手方向の寸法安定性の観点から好ましい。
引き続き、この縦延伸フィルムをテンター式延伸機に導いて、150〜180℃の温度で予熱し、150〜180℃の温度で横方向に実効倍率7〜15倍に延伸する。さらに、寸法安定性向上の観点から横方向に1%以上の弛緩を与えつつ150〜180℃で熱固定した後、冷却する。
必要に応じ、フィルムの金属化する面に、金属との密着性向上の観点から、空気、窒素、炭酸ガスあるいはこれらの混合雰囲気中でコロナ放電処理を行い、ワインダーを用いて巻き取る。
次いで、得られた二軸配向フィルムを、内部を真空度10−4Torr以下の高真空状態に保持した真空蒸着装置に装填し、フィルムを走行させ、上記に例示した目的に応じた金属を加熱溶融して蒸発させ、フィルムのコロナ放電処理面に凝集堆積させて1〜40Ω/□の膜抵抗値となるように金属層を形成する。この際、目的に応じた絶縁溝部を形成するためグラビアコーターなどを用いてフィルムの金属化面にオイルを塗布し、オイルが塗布された部分は蒸着されないようにして、いわゆるマージンを適宜形成しても構わない。また、必要以上に金属層の膜抵抗値を高くしてコンデンサー素子とした際の容量変化を大きくさせず、かつ必要以上に膜抵抗値を低くしてコンデンサー素子とした際の端部メタリコンとの接触抵抗が高くなりコンデンサーの耐電流特性を悪化させないように、コンデンサー作製時のメタリコン接触部のみの膜抵抗値を低くして残りを高くするように、金属層の膜抵抗値に傾斜をつけて金属化する、いわゆるヘビーエッジ法なども好ましく採用される。
得られた金属化フィルムを40〜60℃の温度でエージングすることは、フィルムの構造(好ましくは結晶性)が安定化し、金属層−フィルム間の密着力が向上する傾向にあるので好ましい。この際、エージングの時間は金属層の密着力向上の観点から12時間以上であることが好ましく、24時間以上であることがより好ましい。
得られた金属化フィルムを目的の寸法にスリットし、コンデンサー素子を作るための2リール1対の蒸着リールとする。この後、素子状に巻回し、熱プレスして例えば扁平状に成形し、端部を金属溶射(メタリコン工程)し、リード端子を取り出し、必要に応じて上記に例示したような絶縁油を含浸し、外装を経てコンデンサーとする。
ここで、メタリコン工程で用いる溶射金属には、アルミニウム、銅、亜鉛、錫、はんだなどから選ばれる少なくとも一種の金属(もしくは合金)を用いても良いが、特に溶融温度が100〜200℃の金属(もしくは合金)を用いることが、溶射ムラが低減され、得られるコンデンサーの耐電流特性を向上させられる傾向にあるため、好ましいことがある。また、該工程を1層目にフィルム表面の金属層と電気的に接着性が良好な金属を溶射し、その上にリード線を接着しやすい金属を順次溶射する、いわゆる2層吹きと称される方式も好ましく採用される。
[特性値の測定法]
本発明で用いている用語および測定法を以下にまとめて説明する。
(ア)トルートン比
流入圧力損失法を用いてコックスウェル(Cogswell)の理論[“ポリマー エンジニアリング サイエンス”(Polymer Engineering Science)、12、p.64−73(1972)]から以下の条件で測定を行った。
・装置:ツインキャピラリ・レオメータ RH−2200型(Rosand製)
・温度:230℃
・毛管サイズ:ダイ/1.0mmφ×16mm
オリフィス/1.0mmφ×0.25mm
・剪断速度:10s−1付近〜1800s−1付近
・伸張ひずみ速度:2s−1付近〜180s−1
各サンプル(チップ形状の原料はそのまま、フィルム形状のものは必要に応じて抽出処理を行った後、5mm角以下のサイズに必要量切り出して用いる。)は230℃で装置にセット・充填し、3分間保持した。さらに再充填し、3分間保持した後、測定を開始した。
Cogswellの理論によると、流入の際に毛管入口で生じる圧力損失(ΔPent)は、剪断粘度と伸張粘度を用いて次式のように表せる。
Figure 2006093688
ここで、η:伸張粘度、η:剪断粘度、γ:剪断速度である。また、nはべき法則(σ=kγ 、σ:剪断応力)における流れ指数である。
ツインキャピラリ・レオメータでは、長さの異なる2つの毛管で同時測定することにより、各毛管での圧力損失から、バグレープロットを用い、毛管入口で生じる圧力損失(ΔPent)を求めることができる。すなわち、ある剪断速度での剪断粘度、ΔPentを同時に求めることができるので、伸張粘度ηは次式より求めることができる。
Figure 2006093688
Figure 2006093688
ここで、ε:伸張応力である。
また、剪断速度はラビノビッチ補正により、装置付属のコンピュータを用いて、キャピラリー壁面の真の値に換算した。なお、バグレープロット、ラビノビッチ補正の詳細は、例えば、JIS K 7199(1991)、8.2;日本レオロジー学会編、“講座・レオロジー”、高分子刊行会(1993)、p.68などを参考にすればよい。
得られた伸張粘度−伸張ひずみ速度曲線、剪断粘度−剪断速度曲線をそれぞれ指数関数として近似し、これらの関数を用いて、ひずみ速度60s−1でのηE(60)、ηS(60)を求めた。これより、次式によりひずみ速度60s−1でのトルートン比(同じひずみ速度でのηとηの比)を算出した。
Figure 2006093688
同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたトルートン比の平均値を当該サンプルのトルートン比とした。
(イ)中心線平均表面粗さ(Ra)、最大表面粗さ(Rmax)
JIS B 0601(2001)に基づいて、触針式表面粗さ計を用いて測定した。なお、小坂研究所(株)製、高精度薄膜段差測定器(型式:ET−30HK)および三次元粗さ分析装置(形式:SPA−11)を使用し、以下の条件より求めた。
・触針走査方向:フィルムの横方向
・測定モード:触針式(STYLUS)
・処理モード:8(ROUGHNESS)
・測定長さ:1mm
・触針径:円錐型0.5μmR
・荷重:16mg
・カットオフ:250μm
・測定ライン数:30本
・走査速度:100μm/秒
・ピッチ:X方向4μm、Y方向10μm
・SLOPE COMP:ON
・GAIN:×1
・測定面積:0.2988mm
・標準面積:0.1mm
測定に当たって、適宜レコーダーを用いて粗さ曲線を記録した。その際の条件は以下の通りである。
・X・Y軸方向記録倍率:100倍
・Z軸方向倍率:10000倍(レコーダー上で粗さ曲線の倍率が大きすぎて場合は適宜5000倍としてもよい)
・レコーダー速度:40μm/秒
・Y記録ピッチ:2mm。
この際、中心線平均表面粗さ(Ra)は、粗さ曲線から測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦方向をY軸とし、粗さ曲線をy=f(x)で表した時、次の式によって求められる値である(単位:μm)。
Figure 2006093688
また、最大表面粗さ(Rmax)は、粗さ曲線から測定長さLの部分を抜き取り、最大値、最小値を平均線に平行な2直線で挟んだ際にこの2直線の間隔の値を求めたものである(単位:μm)。
同じ測定を各サンプル毎に測定箇所を変えて5回行い、得られた値の平均値を算出し、当該ポリプロピレンフィルムのRa(μm)、Rmax(μm)とした。
(ウ)絶縁破壊電圧(BDV)
JIS C 2110(1994)に基づいて測定した。下部電極に厚み100μm、10cm角のアルミ箔電極、上部電極に真鍮製25mmφの電極を用い、この間にフィルムをはさみ、春日電気(株)製直流高圧安定化電源を用いて、100V/秒の速度で昇圧しながら電圧を印加し、電流が10mA以上流れた場合を絶縁破壊したものとした。その際の電圧を測定点近傍のフィルム厚み(安立電気(株)製電気マイクロメータ、デジタル表示形K351C、プランジャ式検出器K−402B、JIS B 7536(1982))で割った値を絶縁破壊電圧(V/μm)とし、30点測定した平均値で示した。
(エ)X線回折写真による配向の判別
フィルムの配向状態を、フィルムに対して以下に示す3方向からX線を入射したX線回折写真から判別する。
・Through入射:フィルムの縦方向(長手方向、MD)・横方向(幅方向、TD)で形成される面に垂直に入射
・End入射:フィルムの横方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射
・Edge入射:フィルムの縦方向・厚み方向で形成される面に垂直に入射。
なお、サンプルは方向を揃えて重ね合わせ、厚さ1mm程度に調整した後、幅1mm程度に切り出し、測定に供した。
X線回折写真は以下の条件でイメージングプレート法により測定した。
・X線発生装置:理学電気(株)製 4036A2型
・X線源:CuKα線(Niフィルター使用)
・出力:40Kv、20mA
・スリット系:1mmφピンホールコリメータ
・イメージングプレート :FUJIFILM BAS−SR
・撮影条件:カメラ半径40mm、露出時間5分。
ここで、フィルムの無配向、一軸配向、二軸配向の別は、例えば、松本喜代一ら、“繊維学会誌”、第26巻、第12号、1970年、p.537−549;松本喜代一著、“フィルムをつくる”、共立出版(1993)、p.67−86;岡村誠三ら著、“高分子化学序論(第2版)”、化学同人(1981)、p.92−93などで解説されているように、以下の基準で判別できる。
・無配向:いずれの方向のX線回折写真においても実質的にほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られる
・縦一軸配向:End入射のX線回折写真においてほぼ均等強度を有するデバイ・シェラー環が得られる
・二軸配向:いずれの方向のX線回折写真においてもその配向を反映した、回折強度が均等ではない回折像が得られる。
(オ)マイクロメータ法フィルム厚さ(MMV)
JIS C 2330(2001)の7.4.1.1に従ってマイクロメータ法フィルム厚さ(MMV)を測定した(単位:μm)。同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたMMVの平均値を当該サンプルのMMVとした。
(カ)固有粘度([η])
135℃のテトラリン中に溶解したポリプロピレンについて、三井東圧化学(株)製のオストワルド粘度計を用いて測定した(単位:dl/dg)。同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られた固有粘度の平均値を当該サンプルの固有粘度とした。
(キ)メルトインデックス(MI)
JIS K 7210(1999)に準じて条件M(230℃、2.16kgf(21.18N))で測定した(単位:g/10分)。同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたMIの平均値を当該サンプルのMIとした。
(ク)アイソタクチックインデックス(II)
フィルムのポリプロピレンを60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出し、ポリプロピレン中の不純物・添加物を除去する。その後130℃で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の試料を取り、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタンで12時間抽出する。次に、この試料を取り出し、アセトンで十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥し、その後常温まで冷却し、重量W’(mg)を測定し、次式で求めた。
Figure 2006093688
同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたIIの平均値を当該サンプルのIIとした。
(ケ)メソペンタッド分率(mmmm)
フィルムのポリプロピレンを60℃以下の温度のn−ヘプタンで2時間抽出し、ポリプロピレン中の不純物・添加物を除去した後、130℃で2時間以上真空乾燥したものをサンプルとする。該サンプルを溶媒に溶解し、13C−NMRを用いて、以下の条件にてメソペンタッド分率(mmmm)を求めた(単位:%)。
測定条件
・装置:Bruker製DRX−500
・測定核:13C核(共鳴周波数:125.8MHz)
・測定濃度:10重量%
・溶媒:ベンゼン:重オルトジクロロベンゼン=1:3混合溶液(体積比)
・測定温度:130℃
・スピン回転数:12Hz
・NMR試料管:5mm管
・パルス幅:45°(4.5μs)
・パルス繰り返し時間:10秒
・データポイント:64K
・換算回数:10000回
・測定モード:complete decoupling。
解析条件
LB(ラインブロードニングファクター)を1としてフーリエ変換を行い、mmmmピークを21.86ppmとした。WINFITソフト(Bruker製)を用いて、ピーク分割を行う。その際に、高磁場側のピークから以下のようにピーク分割を行い、更にソフトの自動フィッテイングを行い、ピーク分割の最適化を行った上で、mmmmとss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)のピーク分率の合計をメソペンタッド分率(mmmm)とする。
(1)mrrm
(2)(3)rrrm(2つのピークとして分割)
(4)rrrr
(5)mrmm+rmrr
(6)mmrr
(7)mmmr
(8)ss(mmmmのスピニングサイドバンドピーク)
(9)mmmm
(10)rmmr
同じサンプルについて同様の測定を5回行い、得られたmmmmの平均値を当該サンプルのmmmmとした。
(コ)灰分
JIS C 2330(1995)の6.3.5に準じて測定した。初期重量W(g)のサンプルを、白金坩堝に入れ、まずガスバーナーで十分に燃焼させた後、800℃の電気炉で1時間処理して完全灰化し、得られた灰の重量W(g)を測定して、次式より求めた。
Figure 2006093688
(サ)120℃での長手方向の熱収縮率
測定方向(長さ方向)を長手方向として、フィルムから長さ260mm、幅10mmにサンプリングし、両端からそれぞれ30mmの位置にマークを入れ、このマーク間の長さを原寸(L)とする。このサンプルの上端を固定し、下端に3gの荷重をかけ、120℃の熱風循環オーブン中で15分間熱処理した後、室温中に取り出し、サンプルのマーク間の長さ(L)を測定する。この際、120℃での長手方向の熱収縮率は次式により求められる(単位:%)。同じ測定を各サンプル毎に5回行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの120℃での長手方向の熱収縮率とした。
Figure 2006093688
(シ)25℃での長手方向の破断強度
JIS K 7127(1999、試験片タイプ2)に準じて、(株)オリエンテック製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、25℃、65%RHにて測定した。サンプルを長手方向:15cm、幅方向:1cmのサイズに切り出し、原長50mm、引張り速度300mm/分で伸張して、破断強度を測定した(単位:MPa)。同じ測定を各サンプル毎に5回行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの25℃での長手方向の破断強度とした。
(ス)静摩擦係数μs
東洋精機(株)製スリップテスターを用いて、JIS K 7125(1999)に準じて、25℃、65%RHにて測定した。なお、測定はフィルムの異なる面同士を重ねて行った。同じ測定を各サンプル毎に5回行い、得られた値の平均値を算出し、当該サンプルの静摩擦係数μsとした。
(セ)膜抵抗
JIS K 7194(1994)に示される四探針法に基づき、低抵抗率計(三菱化学(株)製ロレスタ−GP、MCP−T600)および四探針プローブ(ASPプローブ)を用いて、金属層側の面について表面抵抗率(単位:Ω/□)を測定した。なお、ここでいう表面抵抗率とは、JIS K 6911(1995)の5.13の定義に基づき、下記式で表される。
Figure 2006093688
ここで、Rは抵抗(単位:Ω)であり、RCFはサンプルの形状、寸法、測定位置に対する抵抗率補正係数である。表面抵抗率は、金属層の厚みを反映して変化するため、本発明ではフィルム表面に設置した金属層の厚みの指標値として用いる。測定位置を変えて各サンプル毎に5回同じ測定を行い、得られた表面抵抗率の平均値を算出し、当該サンプルの膜抵抗値とした。
(ソ)表面濡れ張力(mN/m)
ホルムアミドとエチレングリコールモノエーテルとの混合液を用いて、JIS K 6768(1999)に準じて測定した(単位:mN/m)。
(タ)実効延伸倍率
スリット状口金から押出し、金属ドラムに巻き付けてシート状に冷却固化せしめた未延伸フィルムに、長さ1cm四方の升目をそれぞれの辺がフィルムの長手方向、幅方向に平行になるように刻印した後、延伸・巻き取りを行い、得られたフィルムの升目の長さ(cm)を測定し、これを縦方向・横方向の実効延伸倍率とした。
(チ)製膜性
各々5時間製膜した際に、下記の基準で判定した。
・◎ :破れが発生しない。
・○ :破れが1回発生。
・× :破れが2回発生。
・××:破れが3回以上発生。
なお、破れの回数は以下の基準で数えた。すなわち、縦延伸工程もしくは横延伸工程で破れが発生したら、その時点で破れ1回とカウントし、速やかにその工程の前でフィルムをカットして巻き取りつつ待機し(何らかの理由で破れが発生した前の工程で待機することが困難な場合、そのさらに前の工程で待機してもよい)、準備が整い次第破れが発生した工程に再びフィルムを導入する。例えば、横延伸工程でフィルム破れが発生した場合、縦延伸機−横延伸機(テンター)間でフィルムを一旦カットして縦延伸フィルムをそのまま巻き取りつつ待機状態とし、テンター内の破れフィルムの除去、フィルム通し条件(温度、テンタークリップ走行速度など)の調整が完了次第、再びフィルムをテンターに導入して横延伸させ、製膜性を評価する。なお、上記5時間の製膜時間は、この待機状態を含んだ時間と定義する。同じ水準について同様の製膜実験を5回行い、得られた破れ回数の平均値を破れ回数とし、製膜性を上記基準で判定した。
(ツ)絶縁欠陥試験
JIS C 2330(1995)の6.3.10に基づき、100個の試験片を作製し、春日電気(株)製直流高圧安定化電源を用いて100V/秒の速度で昇圧しながら電圧を印加し、基準電圧が記載されていない厚さ6μm以下のフィルムについては電圧150V以下で破壊した試験片の数を絶縁欠陥数(個)とし、下記基準にて判定した。なお、コンデンサー用ポリプロピレンフィルムとして実用に供することができるのは、○、△のものである。
○:絶縁欠陥数が2個以下
△:絶縁欠陥数が3〜5個以下
×:絶縁欠陥数が6個以上。
(テ)加工性、ハンドリング性
フィルムをULVAC製真空蒸着機に装填し、コロナ処理面にアルミニウムを膜抵抗15Ω/□となるように金属蒸着する際、T型マージンを形成させたものと通常マージンを形成したものを作製した。次に、これらT型マージン品と通常マージン品1対2リールを素子巻きし、容量100μFのコンデンサー素子を100個作製した。素子巻きの際の巻き取り条件は以下の通りである。
・巻き取り機:皆藤製作所製 KAW−4L
・巻き取り速度:2000rpm
・張力:600gf。
得られたコンデンサー素子にシワやずれが発生しているものを計測し、素子100個に対する割合からシワ発生率(%)、ずれ発生率(%)を測定した。コンデンサー素子として実用に供することができるのはシワ発生率、ずれ発生率がいずれも5%以下のものである。なお、ここでは巻き取った素子の外観を目視で観察し、長さ10mm以上のシワが2カ所以上確認された素子をシワが発生したものとし、2mm以上の端面ずれが確認された素子をずれが発生したものとして計測する。また、上記基準でシワとずれが同時に確認された素子は両方に計測する。
(ト)素子絶縁破壊強度
上記(タ)で作製したコンデンサー素子のうちシワもずれも無いものを10個選定し、温度110℃、圧力0.4MPaの条件下、扁平化した状態で6時間加熱処理した後、メタリコンおよびリード端子付けを行った。該素子をエポキシ樹脂で外装し、容量100μFのコンデンサーを作製した。熱風循環オーブン中で105℃に保持した該コンデンサー素子に、春日電気(株)製直流高圧安定化電源を用いて、100V/秒の速度で昇圧しながら電圧を印可し、電流が10mA以上流れた場合を素子が絶縁破壊したものとした。この際の電圧を求め、10個の素子について測定した電圧の平均値をマイクロメータ法フィルム厚さ当たりに換算して素子絶縁破壊強度(V/μm)とした。
本発明を実施例に基づいて説明する。なお、所望の厚みのフィルムを得るためには、特に断りのない限り、溶融ポリマーの押出量と冷却ドラムの周速を所定の条件に調節した。また、縦−横逐次二軸延伸の横延伸機械倍率は、特に断りのない限り、8倍に設定し、縦−横同時二軸延伸の横延伸機械倍率は、特に断りのない限り、5倍に設定し、得られたフィルムの配向状態は、上記測定法(エ)の方法で確認した。さらに、特に断りのない限り、金属蒸着は、該フィルムを製造する工程において、樹脂を溶融押出し、金属ドラムに巻き付けて未延伸シートを作製する際にドラムに接した面に対して行った。また、特に断りのない限り、PP全体のトルートン比、メルトインデックス(MI)、メソペンタッド分率(mmmm)、アイソタクチックインデックス(II)は、得られたポリプロピレンフィルムに関して測定した値である。
(実施例1)
メルトインデックス(MI)が4g/10分、アイソタクチックインデックス(II)が98.5%、メソペンタッド分率(mmmm)が97.7%、灰分が14ppmである公知のホモポリプロピレン(上記したBHT、“Irganox(登録商標)”1010をそれぞれ3000ppm、ステアリン酸カルシウムを50ppm含有)97重量%に、トルートン比が50である長鎖分岐を有するポリプロピレンとして、Basell製ポリプロピレンPF−814(MI:3g/10分)を3重量%の比率で添加混合し、一軸押出機に供給して250℃で溶融させ、10μmカットの濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、表面温度70℃の金属ドラムにエアーナイフを用いてエアー温度45℃で巻き付けてシート状に成形した。
この未延伸シートを135℃に保たれたロール群に通して予熱し、140℃に保ち周速差を設けたロール間に通し、縦方向に5倍延伸して直ちに室温に冷却する。引き続きこの縦延伸フィルムをテンターに導入して165℃で予熱し、160℃で横方向に9倍に延伸し、次いで幅方向に10%の弛緩を与えつつ160℃で熱固定した後、フィルムの片面(未延伸シートを作製する際に冷却ドラムに接した面)に濡れ張力が40mN/mとなるように空気中でコロナ放電処理し、冷却後ワインダーで巻き取り、マイクロメータ法フィルム厚さ(MMV)が3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムを真空蒸着機に装填し、コロナ処理面にアルミニウムを膜抵抗15Ω/□となるように蒸着した。この際、オイルマージン法により、スリット後のフィルムに長手方向0.7mm幅、横方向0.4mm幅、16mm間隔のT型マージンが形成されるように蒸着した。また、同様にして通常マージン品を作製した。得られたT型マージン品、通常マージン品をそれぞれ100mm幅にスリットし、これらを一対として素子巻きし、コンデンサー素子を作製した。
得られた二軸配向フィルムの原料組成、特性値、および金属化フィルム、コンデンサー素子の評価結果を表1、表2にまとめて示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例2)
実施例1において、金属ドラムの表面温度を80℃に上げた以外は同様の条件で作製した、MMVが3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例2とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例3)
実施例2において、公知のポリプロピレンとして、MIが3.7g/10分、IIが98.3%、mmmmが97.8%、灰分が15ppmである公知のBorealis製ホモポリプロピレン“Borclean(登録商標)”HC300BF(上記した “Irganox(登録商標)”1010を4500ppm、ステアリン酸カルシウムを75ppm含有)を用いた以外は同様の条件で作製した、MMVが3.2μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例3とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例4)
実施例3において、長鎖分岐を有するポリプロピレンの混合量を1.5重量%とした以外は同様の条件で作製した、MMVが3.3μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例4とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例5)
実施例4において、長鎖分岐を有するポリプロピレンの混合量を6重量%とした以外はは同様の条件で作製した、MMVが3.3μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例5とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例6)
実施例2において、縦方向の延伸を2段階に分け、1段目で4倍、2段目で1.3倍延伸した以外は同様の条件で作製した、MMVが3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例6とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例7)
実施例5と同じ組成の原料を一軸押出機に供給して250℃で溶融させ、10μmカットの濾過フィルターを経た後にスリット状口金から押出し、表面温度80℃の金属ドラムにエアーナイフを用いてエアー温度40℃で巻き付けてシート状に成形した。
得られた未延伸シートをパンタグラフ式同時二軸延伸機に導入して170℃で予熱し、163℃で縦方向に7倍、横方向に6倍同時延伸し、次いで縦方向に10%、横方向に2%の弛緩を与えつつ165℃で熱固定した後、フィルムの片面に濡れ張力が40mN/mとなるように空気中でコロナ放電処理し、冷却後ワインダーで巻き取り、MMVが3.4μmである二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。
得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムを実施例1と同様にしてアルミニウム蒸着、素子巻きし、金属化フィルムおよびコンデンサー素子を作製した。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例8)
実施例3において、未延伸シートの厚みを変えた以外は同様の条件で作製したMMVが7.5μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例8とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例9)
実施例3において、未延伸シートの厚みを変えた以外は同様の条件で作製したMMVが2.5μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例9とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例10)
実施例3において、押出温度を230℃とした以外は同様の条件で作製した、MMVが3.3μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例10とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例11)
実施例2において、長鎖分岐を有するポリプロピレンの混合量を1重量%とした以外は同様の条件で作製した、MMVが3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例11とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(実施例12)
実施例11において、長鎖分岐を有するポリプロピレンの混合量を0.5重量%とした以外は同様の条件で作製した、MMVが3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を実施例12とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、横延伸での実効倍率が低いことから延伸が均一化しており、フィルム破れも少なく、製膜性に優れていた。また、表面の粗大突起が少なく、均一かつ緻密な凹凸をフィルム表裏にバランスして形成しているとともに長手方向の強度が高いことから、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。さらに、両表面に均一かつ緻密な凹凸を形成しているとともに絶縁欠陥が少ないことから、耐電圧特性にも優れており、コンデンサー素子作製後もその優れた耐電圧特性を保持していた。
(比較例1)
実施例1において、長鎖分岐を有するポリプロピレンを添加せずにホモポリプロピレン単体を用いた以外は同様の条件で作製した、MMVが3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例1とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、フィルム表裏の表面粗さがアンバランスで片側の面の粗さが不均一なためか、蒸着加工時にシワ、ずれが散発し、ハンドリング性に劣っていた。さらに、絶縁欠陥が少ないとはいえず、耐電圧特性も十分ではなく、素子巻き後のコンデンサー素子の耐電圧特性も劣っていた。
(比較例2)
比較例1において、金属ドラムの表面温度を80℃に上げた以外は同様の条件で作製した、MMVが3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例2とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、製膜性に劣り、フィルム表裏の表面粗さがアンバランスで片側の面の粗さが不均一なためか、蒸着加工時にシワが散発し、ハンドリング性に劣っていた。さらに、絶縁欠陥により耐電圧特性も十分ではなく、素子巻き後のコンデンサー素子の耐電圧特性も劣っていた。
(比較例3)
実施例3において、長鎖分岐を有するポリプロピレンを添加せずにホモポリプロピレン単体を用いた以外は同様の条件で作製した、MMVが3.2μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例3とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、フィルム表裏の表面粗さがアンバランスで片側の面の粗さが不均一なためか、蒸着加工時にシワが散発し、ハンドリング性に劣っていた。さらに、絶縁欠陥が少ないとはいえず、耐電圧特性も十分ではなく、素子巻き後のコンデンサー素子の耐電圧特性も劣っていた。
(比較例4)
比較例1において、ポリプロピレンとして、MIが4.3g/10分、mmmmが99.8%、IIが99.5%、灰分が13ppmである公知のホモポリプロピレン(上記したBHTを2000ppm、“Irganox(登録商標)”1010を2000ppm、ステアリン酸カルシウムを35ppm含有)を用いた以外は同様の条件で作製した二軸配向ポリプロピレンフィルムを比較例4とした。
結果を表1、2に示す。製膜時に破れが多発し、満足なフィルムが得られず、工業的な製造に耐えないフィルムであった。
(比較例5)
実施例6において、長鎖分岐を有するポリプロピレンを添加せずにホモポリプロピレン単体を一軸押出機に直接供給して製膜を行った以外は同様の条件で作製した、MMVが3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例5とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、製膜時に破れが散発し、著しく製膜性に劣っていた。また、面積倍率が高いためか、絶縁欠陥が多く、耐電圧特性も十分ではなく、素子巻き後のコンデンサー素子の耐電圧特性も劣っていた。
(比較例6)
実施例7において、長鎖分岐を有するポリプロピレンを添加せずにホモポリプロピレン単体を一軸押出機に直接供給して製膜を行った以外は同様の条件で作製した、MMVが3.4μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例6とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、製膜時に破れが散発し、著しく製膜性に劣っていた。また、絶縁欠陥が少ないとはいえず、耐電圧特性も十分ではなく、素子巻き後のコンデンサー素子の耐電圧特性も劣っていた。
(比較例7)
比較例3において、未延伸シートの厚みを変えた以外は同様の条件で作製したMMVが7.5μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例7とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは実用上必要なハンドリング性、耐電圧特性は有するものの、フィルムが厚いため、コンデンサー素子が大きくなり、小型化には明らかに不向きであった。
(比較例8)
比較例3において、未延伸シートの厚みを変えた以外は同様の条件で作製したMMVが2.5μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例8とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、製膜時に破れが散発し、著しく製膜性に劣っていた。また、フィルム表裏の表面粗さが不均一なためか、蒸着加工時にシワやずれが散発し、ハンドリング性に劣っていた。さらに、粗大で不均一な表面粗さやボイドの影響か、絶縁欠陥が多く、耐電圧特性が低下し、素子巻き後のコンデンサー素子の耐電圧特性も劣っていた。
(比較例9)
実施例3において、長鎖分岐を有するポリプロピレンを添加せずに極性基を含まない水添石油樹脂として、トーネックス(株)製“エスコレッツ(登録商標)”5320を10重量%の比率で添加混合した樹脂組成を二軸押出機に供給して270℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを原料として用いた以外は同様の条件で作製したMMVが3.2μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例9とした。
結果を表1、2に示す。なお、上記の二軸押出機によるチップ作製時に、石油樹脂を添加せずに作製したチップについて、トルートン比、MI、mmmm、IIを測定し、比較例9におけるポリプロピレン全体の値とした。得られたフィルムは、石油樹脂の異物が多いためか、絶縁欠陥が低減されず、耐電圧特性に劣っていた。また、表面にブリードアウトした石油樹脂の影響か、蒸着加工時にずれが散発し、ハンドリング性に劣っていた。さらに、熱収縮率がコンデンサー用フィルムとしては高く、コンデンサー素子とした際に著しく耐電圧特性が低下した。
(比較例10)
実施例3において、公知のポリプロピレン85重量%に、長鎖分岐を有するポリプロピレンを5重量%、極性基を含まない水添石油樹脂として、トーネックス(株)製“エスコレッツ(登録商標)”5320を10重量%の比率でそれぞれ添加混合した樹脂組成を二軸押出機に供給して270℃でガット状に押出し、20℃の水槽に通して冷却してチップカッターで3mm長にカットした後、100℃で2時間乾燥したチップを原料として用い、縦方向に9倍、横方向に8倍延伸した以外は同様の条件で作製したMMVが3.2μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例10とした。
結果を表1、2に示す。なお、上記の二軸押出機によるチップ作製時に、石油樹脂を添加せずに作製したチップについて、トルートン比、MI、mmmm、IIを測定し、比較例10におけるポリプロピレン全体の値とした。得られたフィルムは、長手方向の剛性が高く、蒸着加工、コンデンサー素子作製時にフィルムの伸びやシワなどが少なく、加工性に優れているものの、石油樹脂の異物が多いためか、絶縁欠陥が低減されず、耐電圧特性に劣っていた。また、表面にブリードアウトした石油樹脂の影響か、蒸着加工時にずれが散発し、ハンドリング性に劣っていた。さらに、熱収縮率がコンデンサー用フィルムとしては高く、コンデンサー素子とした際に著しく耐電圧特性が低下した。
(比較例11)
実施例2において、長鎖分岐を有するポリプロピレン単体を用いた以外は同様の条件で作製した、MMVが3.0μmである二軸配向ポリプロピレンフィルム、および該フィルムから作製した金属化フィルム、コンデンサー素子を比較例11とした。
結果を表1、2に示す。得られたフィルムは、フィルム表裏に均一かつ緻密な凹凸が形成されており、蒸着加工時のハンドリング性、加工性に優れていた。長鎖分岐を有するポリプロピレンの製造方法に起因しているのか、得られるフィルムの灰分が多く、絶縁欠陥が低減されず、耐電圧特性も十分ではなく、素子巻き後のコンデンサー素子の耐電圧特性も劣っていた。
Figure 2006093688
Figure 2006093688
表1、2より、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、延伸がより均一化しており、フィルム破れが少なく、製膜性に優れていた。また、得られたフィルムには、比較例に示す従来技術のフィルムとは異なり、表裏にバランスした、粗大突起の少ない均一かつ緻密な凹凸が形成されており、長手方向の剛性が高いことから、蒸着加工時にフィルムの伸びやシワ、巻きずれが少なく、従来品に比べて加工性、ハンドリング性に優れることが分かった。また、均一かつ緻密な凹凸により、全厚みに占める凹凸の割合が低くても(Rmax/Raが低くても)ハンドリング性に優れるとともに、絶縁欠陥が少ないことから、フィルム、コンデンサー素子の耐電圧特性に優れていた。このように、本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムにより、従来困難であったハンドリング性と耐電圧特性を両立できることが分かった。さらに、フィルムが薄くなっても表裏均一かつ緻密な粗面化が可能であり、従来品にみられるような絶縁欠陥に起因する耐電圧特性の低下もみられない。また、これらの優れた効果は、長鎖分岐を有するポリプロピレンの添加量、フィルムの製膜条件などにより制御することができた。
本発明のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムは、フィルム両表面に均一かつ緻密な凹凸を適度に形成しており、フィルム内部のボイドが少ないことから、寸法安定性、耐熱性を従来品同等に保持しながら、従来相反する特性であったハンドリング性と耐電圧特性の両方に優れる。また、延伸時の破れが少なく、製膜性に優れる。さらに、従来に比較して長手方向の強度が高く、金属化などのフィルム加工の際に、フィルムに伸びやシワが発生しにくく、加工性に優れる。これらの特徴は、フィルムを薄くしても保持できることから、近年高まりつつある軽薄短小化、小型大容量化の要求にも対応可能なフィルムとして、コンデンサー用途への展開、特に近年薄膜化の要求が高まりつつあるインバータ回路向け、ハイブリッド電気自動車向けコンデンサー用途などへの展開が期待される。

Claims (8)

  1. トルートン比が30以上のポリプロピレンを含み、かつフィルム両面の中心線平均表面粗さ(Ra)、最大表面粗さ(Rmax)が下記関係式(1)を満たすことを特徴とするコンデンサー用ポリプロピレンフィルム。
    Figure 2006093688
  2. トルートン比が14以上30未満であり、かつフィルム両面の中心線平均表面粗さ(Ra)と最大表面粗さ(Rmax)が下記関係式(1)を満たすことを特徴とするコンデンサー用ポリプロピレンフィルム。
    Figure 2006093688
  3. 主鎖骨格中に長鎖分岐を有するポリプロピレンを含み、かつフィルム両面の中心線平均表面粗さ(Ra)、最大表面粗さ(Rmax)が下記関係式(1)を満たすことを特徴とするコンデンサー用ポリプロピレンフィルム。
    Figure 2006093688
  4. 二軸配向していることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のコンデンサー用ポリプロピレンフィルム。
  5. マイクロメータ法によるフィルムの厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のコンデンサー用ポリプロピレンフィルム。
  6. 中心線平均表面粗さ(Ra)が0.01〜0.3μmであることを特徴とする請求項1〜5いずれか記載のコンデンサー用ポリプロピレンフィルム。
  7. 請求項1〜6いずれか記載のポリプロピレンフィルムの少なくとも片面に金属層が設置されたことを特徴とするコンデンサー用金属化ポリプロピレンフィルム。
  8. 請求項1〜7いずれか記載のコンデンサー用ポリプロピレンフィルムまたはコンデンサー用金属化ポリプロピレンフィルムを用いてなるコンデンサー。
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