JP2018130958A - 二軸配向ポリプロピレンフィルム - Google Patents

二軸配向ポリプロピレンフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルム等の離型用フィルムとして用いた場合、表面平滑性に優れ、且つロールの巻き姿が良好であり、平面性や加工性に優れるポリプロピレンフィルムを提供すること。【解決手段】本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、幅手方向の120℃の熱収縮率が1.1%〜3.0%であり、長手方向の120℃の熱収縮率が2.0%〜5.0%であり、フィルム厚みが5μm〜50μmの幅手方向の厚み斑が5%以下であることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルム等の離型用フィルムとして好適に用いることのできる二軸配向ポリプロピレンフィルムに関する。
二軸配向ポリプロピレンフィルムは、透明性、離型性、機械特性、電気特性等に優れるため、包装用途、離型用途、工程基材用途、テープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサをはじめとする電気用途等の様々な用途に用いられている。中でも優れた離型性を活かして、カバーフィルム、保護フィルム、工程フィルム等の離型用フィルムとして好適に用いられる。
近年、電子機器の小型化、精密化に伴い、カバーフィルム、保護フィルム、工程フィルムの表面平滑性への要求が高まりつつある。また、カバーフィルムを貼った状態で製品の欠点検出をする場合もあり、高い透明性が求められる場合がある。一方で、フィルム表面を平滑化すると、フィルムの滑り性が悪くなり、ロール巻き姿が悪化する。
ポリプロピレンフィルムのロール巻き姿を改善する方法として、特許文献1では厚み斑とスリット条件について記載されているが、フィルム厚みが厚くなると十分な巻き姿を得ることができない場合があり、比較的フィルム厚みが必要な離型用フィルムには適用が難しいことがある。巻き姿の均一性や巻き出し時の搬送シワの軽減する方法として、特許文献2ではフィルム表層に自己粘着層を配置することが記載されているが、この自己粘着層が離型性に問題となる場合がある。
更に、フィルム加工時におけるフィルム搬送時のバタつきや直進性などの走行性の確保が課題となるが、従来は特許文献3のようなクリップ間の距離を制御して片のび量を適正化することで解決する技術がある。
特開2015−195367号公報 特開2009−166305号公報 特開2014−195985号公報
本発明の課題は、上記した問題点を解決することにある。すなわち、表面平滑性に優れ、ロール巻き姿が良好であることから平面性が良く、また走行性にも優れることから、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルムおよび工程フィルム等の離型用フィルムとして好適に用いることのできる二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供することにある。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、幅手方向の120℃の熱収縮率が1.1%〜3.0%であり、長手方向の120℃の熱収縮率が2.0%〜5.0%であり、フィルム厚みが5μm〜50μmであり、幅手方向の厚み斑が5%以下であることを特徴とする。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表面平滑性に優れ、ロール巻き姿が良好であることから平面性が良く、また走行性にも優れることから、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルム等の離型用フィルムとして好適に使用することができる。
以下、さらに詳しく本発明について説明する。
本発明のポリプロピレンフィルムは、ポリプロピレン樹脂を主成分とする。また、ポリプロピレン樹脂以外の成分としては、本発明の目的を損なわない範囲で種々の添加剤、例えば、結晶核剤、酸化防止剤、熱安定剤、易滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有せしめることも好ましい。
かかるポリプロピレン樹脂としては、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有してもよいし、プロピレンが単独ではない重合体がブレンドされていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構成する単量体成分として、例えば、エチレン、プロピレン(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチルペンテン−1、3−メチルブテン−1、1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1、5−エチルヘキセン−1、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2−ノルボルネンなどが挙げられる。
本発明のポリプロピレンフィルムは、灰分が100ppm(質量基準、以下同じ)以下であることが好ましく、80ppm以下であればより好ましく、50ppm以下であればさらに好ましく、30ppm以下であれば特に好ましい。灰分が100ppmを超える場合、ポリプロピレンフィルムの表面突起が多くなり、被保護体に打痕を与えることがある。灰分を上記の範囲とするためには、触媒残渣の少ない原料を用いることが重要であるが、製膜時の押出系からの汚染を極力低減する方法、例えば製膜を開始する前に未劣化のポリプロピレン樹脂でポリマーが流れる経路を十分洗浄する方法を好ましく採用することができる。
本発明のポリプロピレンフィルムを構成する上記ポリプロピレン樹脂のメルトフローレート(以下MFRと記載)はJIS K 7210(1995)の条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した場合において、製膜安定性・厚み斑の観点から0.5〜10g/10分であることが好ましく、1〜8g/10分であるとより好ましく、2〜6g/10分であるとさらに好ましい。ポリプロピレン樹脂のMFRが0.5g/10分未満の場合、製膜性に劣り安定してポリプロピレンフィルムが得られなかったり、厚み斑が悪化する場合がある。一方、ポリプロピレン樹脂のMFRが10g/10分を超える場合、熱収縮率が低下することがある。ポリプロピレン樹脂のMFRを上記の範囲内とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方法などが好ましく採用される。
本発明のポリプロピレンフィルムは、フィルム厚みが5〜50μmである。ハンドリング性の観点からフィルム厚みは8〜40μmであるとより好ましく、12〜30μmであるとさらに好ましい。フィルム厚みが5μm未満の場合、保護フィルムとしての保護の役目を果さないことや、後加工工程でハンドリング性が悪くなる。一方、フィルム厚みが50μmを超える場合、後加工工程で巻径の制限を受け、被保護体を長く巻き取ることが出来ず、生産性が悪化する。フィルム厚みを上記の範囲内とするためには、シートを形成する際に樹脂の吐出量を調整したりすることで適宜設定することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、巻き取り性の観点から幅手方向の厚み斑が5%以下であり、好ましくは4%以下であり、更に好ましくは2%以下である。幅手方向の厚み斑が5%より大きいと厚み斑箇所でフィルムが変形したり、局所的にエアーが溜まることでシワになることがある。厚み斑を上記範囲とするためには、製膜時の横延伸条件、熱固定条件、リラックス条件を後述する範囲内とすることで達成することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、加工性の観点から幅手方向の120℃の熱収縮率が1.1%〜3.0%であり、好ましくは1.3〜2.5%である。幅手方向の熱収縮率が1.1%未満の場合、フィルムを巻き物にした時に、エアー溜まりの箇所でフィルムが弛みシワとなる。一方、幅手方向の熱収縮率が3.1%以上の場合は後加工工程でフィルムがカールするなど加工不良が発生する。長手方向の120℃の熱収縮率は2.0%〜5.0%であり、好ましくは2.3〜4.0%である。長手方向の熱収縮率が2.0%未満の場合、目的の幅手方向の熱収収縮率のフィルムを製造することは困難である。一方、長手方向の熱収縮率が5.0%以上の場合、後加工工程で被保護体との収縮率差が大きくなることによって、加工中に剥がれたりすることがある。熱収縮率を上記範囲とするためには、上述したポリプロピレン樹脂を使用して、製膜時の縦延伸条件、横延伸条件、熱固定条件、リラックス条件を後述する範囲内とすることで達成することができる。
尚、本発明においては、フィルムの製膜する方向に平行な方向を、製膜方向あるいは長手方向あるいはMD方向と称し、フィルム面内で製膜方向に直交する方向を幅手方向あるいはTD方向と称する。また、本発明において120℃の熱収縮率とは、120℃で15分処理した後の熱収縮率をいう。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、フィルムの走行性の観点から長手方向のヤング率が1.0GPa以上であり、好ましくは1.4GPa以上である。幅手方向のヤング率は2.0GPa以上であり、好ましくは2.4GPa以上である。長手方向のヤング率が1.0GPa未満であると、フィルム搬送時にフィルムが安定走行しないことがある。幅手方向のヤング率は2.0GPa未満であると、巻き取り時にシワになったりすることがある。本発明のポリプロピレンフィルムのヤング率は、いずれの方向ともに、実質的に5.0GPaが上限である。ヤング率を5.0GPa以上に上げようとすると、高延伸倍率で延伸する必要があり、フィルムが破断する場合がある。ヤング率を長手方向、幅手方向ともに上記の範囲とするためには、上述したポリプロピレン樹脂を使用して、後述する通りフィルム製膜時の縦延伸工程、横延伸工程、熱処理工程を特定の条件とすることで達成することができる。
二軸配向ポリプロピレンフィルムでは、フィルムの走行性の観点から片のび量を適正な範囲に制御する必要がある。そこで上記実情に鑑み鋭意検討した結果、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムはこれまで12mm/10m長であった長手方向の片伸び量を、少なくとも8mm/10m長以下、好ましくは5mm/10m長以下、さらに好ましくは3mm/10m長以下にすることで、走行性を良化させることを見出した。片伸び量とは、ポリプロピレンフィルムを長手方向に巻き出した時に、フィルムが円弧状に湾曲する現象である。本発明でいう片伸び量とは、フィルムを長手方向に10m長巻き出した時に、フィルム長手方向10m長の両端部の端から端に糸を貼り、長手方向中央部分(5mの位置)の糸とフィルム端部との距離の事をあらわし、片伸び量が大きいほどフィルムが円弧状に湾曲している事をあらわす。片伸び量を上記範囲内とすることで、走行性に優れ、また巻き取り性にも優れたフィルムが得られる。さらに片伸び量の絶対値が8mm/10m長を越える場合は、フィルム巻き出し・搬送時の蛇行が大きく、EPC(エッジポジションコントロール装置)やクロスガイダーを使用して調整しても、加工ムラやシワ、巻き取り時の耳不揃いなどの不具合が発生し、生産性を悪化するため好ましくない。長手方向の片伸び量を上記の範囲内とするためには、上述したポリプロピレン樹脂を使用して、後述する通りフィルム製膜時の横延伸工程後に特定の条件とすることで達成することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、加工性や走行性の観点から少なくとも一方の面の光沢度が130〜155%であることが好ましく、より好ましくは135〜153%である。光沢度を上記範囲内とすることで、被保護体へ打痕を与えず、巻き取り性に優れたフィルムが得られる。光沢度を上記の範囲内とするためには、上述したポリプロピレン樹脂を使用して、後述する通りフィルム製膜時のキャスト工程、縦延伸工程を特定の条件とすることで達成することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、搬送性や巻き取り性の観点から長手方向の動摩擦係数が0.9以下であり、好ましくは0.8以下である。動摩擦係数は低いと、フィルムが滑り易いことを意味しており、フィルムの搬送性や巻き取り時のシワに対して良好である。動摩擦係数を上記の範囲内とするためには、上述したポリプロピレン樹脂を使用して、後述する通りフィルム製膜時のキャスト工程、縦延伸工程を特定の条件とすることで達成することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムのロールは、二軸配向ポリプロピレンフィルムをコアに巻回してなる。かかるコアの材質としては、変形の少ないプラスチック製、繊維強化プラスチック製、金属製が好ましく、強度の観点から繊維強化プラスチック製を用いることがより好ましい。繊維強化プラスチック製コアとしては、例えば、炭素繊維あるいはガラス繊維を巻回して円筒形とし、これに不飽和ポリエステル樹脂のような熱可塑性樹脂を含浸せしめ、硬化させた樹脂含浸タイプのコアなどが挙げられる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、巻き取り性の観点からポリプロピレンフィルムロールとしたときのロール内のエアー噛み込み率が5%以下であり、好ましくは4%以下である。エアー噛み込み率が5%を超えると、エアー溜まりが発生してシワとなることがある。エアー噛み込み率を上記の範囲内とするためには、後述する通りスリット工程を特定の条件にすることで達成することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムのロールは、巻き取り性の観点から表層硬度が88〜98°であり、好ましくは90〜96°である。表層硬度が88°未満の場合、フィルムロールが軟らかすぎて、巻き取り時や運搬時に巻きズレが生じる場合がある。一方、表層硬度が98°を超える場合、フィルム層間でブロッキングが生じ、巻き出し時のフィルムが安定せずにフィルム破断が発生する場合がある。表層硬度を上記の範囲内とするためには、後述する通りスリット工程を特定の条件とすることで達成することができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、上記したポリプロピレン樹脂を主成分としてシートを作成し、二軸延伸されることによって得ることが好ましい。二軸延伸の方法としては、インフレーション同時二軸延伸法、テンター同時二軸延伸法、テンター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、製膜安定性、厚み均一性の観点でテンター逐次二軸延伸法を採用することが好ましい。特に長手方向に延伸後、幅手方向に延伸することが好ましい。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、様々な効果を付与する目的で少なくとも片面に機能層を積層させてもよい。積層構成としては、2層積層でも3層積層でも、また、それ以上の積層数でもいずれでも構わない。積層の方法としては、例えば、共押出によるフィードブロック方式やマルチマニホールド方式でも、ラミネートによるポリプロピレンフィルム同士を貼り合わせる方法でもいずれでも構わない。特に、例えばポリプロピレンフィルムの加工性を向上させる目的で、微細な粒子を均一に配置した易滑層を、平滑性を低下させない範囲で積層することは好ましいことである。
次に本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの一態様を例に、その製造方法を以下に説明するが、必ずしもこれに限定されるものではない。
まず、上述した好ましいポリプロピレン樹脂を溶融押出機に供給し、230〜260℃にて溶融押出を行う。次に、ポリマー管の途中に設置したフィルターにて、異物や変性ポリマーなどを除去した後、Tダイよりキャストドラム上に吐出し、未延伸シートを得る。また、キャストドラムは、光沢度や動摩擦係数を適切な範囲に制御するために、表面温度が15〜100℃であることが好ましい。20〜80℃であるとより好ましく、20〜50℃であるとさらに好ましい。Tダイから吐出された溶融シートをキャストドラムに着地させる。キャストドラムへシートを密着させる方法としては、静電印加法、エアーナイフ法、ニップロール法、水中キャスト法などの手法を採用することができるが、異物レスやフィルム冷却化の観点でエアーナイフ法が好ましい。
次に、得られた未延伸シートを二軸延伸し、二軸配向せしめる。具体的な延伸条件としては、まず、未延伸シートを長手方向に延伸する温度を制御する。温度制御の方法は、温度制御された回転ロールを用いる方法、熱風オーブンを使用する方法などを採用することができる。長手方向に延伸する際のフィルム温度としては、光沢度や動摩擦係数を制御することと、安定製膜性の観点から120〜160℃であると好ましく、より好ましくは130〜155℃である。延伸倍率としては、厚み斑や熱収縮率、ヤング率を適切な範囲に制御するために3.5〜6.0倍であると好ましく、より好ましくは4.0〜5.0倍である。延伸倍率が3.5倍未満の場合、均一延伸ができず厚み斑が悪くなる。6.0倍を超えて延伸すると、縦延伸工程でのフィルム破断や次の横延伸工程でフィルム破断が起き易くなる。
次に、テンター式延伸機にフィルム端部を把持させて導入し、幅手方向に延伸する。厚み斑や安定製膜性の観点で好ましくは145〜170℃、より好ましくは150〜165℃に加熱して、幅手方向に7〜12倍、より好ましくは8〜11倍延伸を行う。
ついで、そのままテンター内で熱処理を行い、幅手の熱収縮率を制御するために、熱処置温度は110〜160℃であることが好ましく、120〜150℃であるとより好ましい。さらに、熱処理時にはフィルムの幅手方向に弛緩させながら行ってもよく、特に、幅手方向の弛緩率を5〜15%、より好ましくは6〜10%とすることで、幅手の熱収縮率を適切な寸法安定性のバランスの観点で好ましい。
従来の製造方法では、熱収縮率を高め、厚み斑を低減することは困難であったが、今回、目的の熱収縮率と厚み斑を得るために鋭意検討した結果、テンター内で幅手方向に延伸し、熱処理を行った後に幅手方向に再度微延伸することが望ましいことを見出した。再微延伸は、好ましくは20〜120℃の温度で、より好ましくは30〜110℃の温度で、幅手方向に1.002〜1.028倍に再微延伸することが好ましく、1.004〜1.018倍であるとより好ましい。再微延伸が1.002未満だと、目的の熱収縮率と厚み斑を得ることが出来ない場合がある。再微延伸が1.028倍を超えると、フィルム破断が起きやすくなる。
フィルムの走行性改善のために、従来は、特許文献3のようなクリップ間の距離の制御で片のびを制御する技術もあるが、本願では、幅手方向延伸におけるクリップ離間時のフィルム走行速度を基準としたときの搬送ロールの速度を調整して、クリップ離間直後の搬送フィルムの張りを調整することで、フィルムの片伸び量を低減することが可能であることを見いだした。
搬送中の収縮挙動を張りの調整で制御するため、好ましくはフィルム温度が20〜120℃の温度で、より好ましくは30〜110℃の温度で、クリップ離間時のフィルム走行速度を基準としたときの搬送ロールの速度を0.970倍〜1.050倍に調整することが好ましく、さらに1.000〜1.020倍であるとより好ましい。速度倍率が1.050倍を超えると、クリップの離間性が悪化し、フィルム破断が起きやすくなる。また、ここでいう搬送ロールとは幅手方向に延伸及び微延伸を行うテンターの出口の直後にある搬送ロールのことを指す。
最後に、上記したポリプロピレンフィルムをスリット工程にて所定の幅、長さにスリットし、フィルムロールとしてコアに巻き取る。本発明において、離型用フィルムの需要、生産性の観点から、フィルムロール幅(ポリプロピレンフィルムの幅)は、500mm以上1800mm以下が好ましく、900mm以上1700mm以下が更に好ましい。フィルム長さは、3000m以上が好ましく、4000m以上が更に好ましい。生産性と巻き取り技術の難易度を考慮すると、更に好ましくは、4000m以上20000m以下である。
スリット工程でのスリット速度は、ロールのエアー噛み込み率、表層硬度を制御する観点や生産性の観点で50〜400m/分であることが好ましい。スリット速度が50m/分未満の場合、フィルムの随伴気流が少なくなり、搬送時のシワが発生し易くなり、シワをロールに巻き込んだり、シワが折れることで平面性が悪くなる。スリット工程での巻出張力は、搬送時のシワを抑制する観点で300〜600N/mであることが好ましい。巻出張力が300N/m未満の場合、搬送時にシワが発生し易くなる。一方、巻出張力が600N/mを超える場合においても、搬送時にシワが発生し易くなる。スリット工程での初期巻取張力は、エアー噛み込み率や巻き硬度の観点で20〜70N/mであることが好ましく、30〜60N/mであるとより好ましい。初期巻取張力が20N/m未満の場合、巻き取り時にシワが発生し易くなる。一方、初期巻取張力が70N/mを超える場合においても、巻き取り時にシワが発生し易くなる。スリット工程での巻取張力テーパー(フィルムロール巻き上がり時の巻取張力/初期巻取張力×100)は、搬送時のシワの発生を抑制させ、特にポリプロピレンフィルムロールに存在するシワやエアー噛み込み率の観点で、60〜90%であることが好ましい。巻取張力テーパーが60%未満であると、ポリプロピレンフィルムロール表層の硬度が軟らかくなりすぎてしまい、座屈したり巻きズレたりする場合がある。また、急激に巻取張力が変化することによる搬送シワが発生する場合がある。一方、巻取張力テーパーが90%を超える場合、特にポリプロピレンフィルムロール表層付近においてシワや凹凸が発生し易くなる。
スリット工程での初期巻取面圧は、表層硬度を制御する観点で300〜600N/mであることが好ましい。初期巻取面圧が300N/m未満の場合、ポリプロピレンフィルムロールの表層硬度が軟らかくなりすぎてしまい、座屈したり巻きズレたりする場合がある。一方、初期巻取面圧が600N/mを超える場合、ポリプロピレンフィルムロールの表層硬度が高くなりすぎてしまい、フィルム層間でブロッキングが生じたり、コンタクトロールのベンディングによりロール中央でシワが入る場合がある。スリット工程での巻取面圧テーパー(フィルムロール巻き上がり時の巻取面圧/初期巻取面圧×100)は、表層硬度を制御する観点で90〜120%であることが好ましい。巻取面圧テーパーが90%未満の場合、ポリプロピレンフィルムロールの表層硬度が軟らかくなりすぎてしまい、座屈したり、巻きズレたりする場合がある。一方、巻取面圧テーパーが120%を超える場合、ポリプロピレンフィルムロールの表層硬度が高くなりすぎてしまい、フィルム層間でブロッキングが生じたり、コンタクトロールのベンディングによりロール中央でシワが入る場合がある。
スリット工程において、ポリプロピレンフィルムに厚み斑が存在する場合、巻き取ったフィルムロールに厚み斑起因の凹凸が生じ易くなることがある。この問題を解消するために、巻き出しフィルムもしくは巻き取りフィルムロールを幅手方向に反復し移動させて厚み斑を均す、所謂オシレーションを実施することが好ましい。スリット工程でのオシレーション幅は、厚み斑を均し、巻きズレの観点で200mm以下であることが好ましく、150mm以下であるとより好ましい。オシレーション速度は2〜70mm/分であることが好ましい。
以上のようにして得られた本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、包装用フィルム、離型用フィルム、衛生用品、農業用品、建築用品、医療用品など様々な用途で用いることができるが、特に表面平滑性、透明性、易滑性および走行性に優れることから、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルム等の離型用フィルムとして好適に用いることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをカバーフィルムとして用いる例を、レジスト用のカバーフィルムを例にとって説明する。シリコーン離型処理を施したポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを工程フィルムとして巻き出し、フィルム上にレジスト用塗液を塗工する。塗液を所定の温度で乾燥した後、本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをレジスト用カバーフィルムとして貼り合わせて、PETフィルム、レジスト層、二軸配向ポリプロピレンフィルムの積層体を巻き取り、製品とする。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表面が平滑であり、且つ平面性に優れているため、レジスト面への凹凸転写が少なく、高精細な露光パターンが要求される用途で好ましく用いることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを保護フィルムとして用いる例を、光学部材用の保護フィルムを例にとって説明する。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをコーターから巻き出し、片面に粘着剤を塗工して80〜100℃で乾燥し、粘着剤層付きの保護フィルムを得る。その後、光学用部材の製膜工程や検査工程で、粘着剤層付きの保護フィルムを貼り合わせて使用することができる。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表面が平滑であり、且つ平面性に優れているため、光学部材への表面凹凸転写が少なく、高精細な画像表示素子の部材用保護フィルムとして好ましく用いることができる。
本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムを工程フィルムとして用いる例を、光学フィルムの溶液製膜用の工程フィルムを例にとって説明する。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムをコーターから巻き出し、光学部材の溶液を塗工して80〜100℃で乾燥し、その後、工程フィルムから光学フィルムを剥離して、溶媒が完全に除去されるまで更に乾燥して光学フィルムを得る。本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムは、表面が平滑であり、且つ平面性が優れているため、光学フィルムへの表面凹凸転写が少なく、高精細な画像表示素子の部材用保護フィルムとして好ましく用いることができる。
本発明における特性値の測定方法、並びに効果の評価方法は次のとおりである。
(1)動摩擦係数μd
JIS K7125(1999)に準拠し、東レ社製スリップテスター(200G−15C)を用いて測定した。二軸配向ポリプロピレンフィルムを長手方向100mm、幅手方向75mmにサンプリングし、同様の試料を2枚用意した。次いで、2枚の試料を23℃、65%RHの雰囲気下で24時間調湿した。調湿後の2枚の試料の異なる面どうしを重ね合わせ、さらに荷重(質量200g、底面積50mm×50mmの正方形)を乗せた上で、一方の試料を短冊の長手方向に引取速度100mm/分で引き取った。摩擦力は試料が滑り始める臨界点で観測される静摩擦力と、滑り出した後の安定領域での動摩擦力に区分されるが、本評価では動摩擦力R(g)をチャートより読み取り、
動摩擦係数μd=R(g)/200(g)
により算出した。なお、本測定を3回行い、その平均値を本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの動摩擦係数とした。
(2)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210(1995)の条件M(230℃、2.16kg)に準拠して測定した。
(3)フィルム厚み
JIS C2330(2001)の7.4.1.1に準じ、マイクロメーター法厚みを測定した。
(4)厚み斑
二軸配向ポリプロピレンフィルムロールの幅手方向に50mm毎にマイクロメーター法厚みを測定し、最大値、最小値、平均値より、下記式より厚み斑を求めた。
厚み斑(%)=((厚み最大値−厚み最小値)/厚み平均値)×100 。
(5)熱収縮率
二軸配向ポリプロピレンフィルムの長手方向もしくは幅手方向について、測定方向200mm、測定方向と直角の方向10mmとなるように試料を5本切り出し、両端から50mmの位置に印を付けて試長100mmとした。次に、120℃に保温されたオーブン内に吊し、15分加熱後に取り出して、室温で冷却後、寸法(l)を測定して下記式にて求め、長手方向、幅手方向ともにそれぞれ5本の平均値を本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムの熱収縮率とした。
熱収縮率={(l−l)/l}×100(%) 。
(6)エアー噛み込み率
ポリプロピレンフィルムロールの外周長さを寸法精度10μmの巻き尺を用いて測定し、外周よりロール直径を求める。ロール直径は、どちらかのロール端部より5mm内側の点より、50mm毎に全幅にわたり測定し、その平均値を用いる。エアー噛み込み率は下記の式で示される値である。
α= {1−t1L/((d1−d2)π/4)}×100
α :エアー噛み込み率(%)
t1:重量法フィルム厚み(μm)
L :ロール長さ(m)
d1:ロール直径(mm)
d2:コア直径(mm)。
(7)表層硬度
JIS K−6301に規定される高分子計器株式会社製ゴム硬度計(ASKER“TypeC”)を用いて、ポリプロピレンフィルムロールの表面の表層硬度を測定した。測定箇所は、まずポリプロピレンフィルムロールの幅手方向中央部を決定し、そこから幅手方向に両方の端に向けて25mm間隔で測定箇所を設定した(測定箇所にはマーカーで印を付けた)。ただし、ポリプロピレンフィルムロールの両端部より25mmの範囲は、測定範囲から除いた。上記測定箇所について、一方の端から他方の端まで順次表層硬度を測定した。測定により得られたそれぞれの表層硬度の平均値を本発明のポリプロピレンフィルムロールの表層硬度とした。
(8)ヤング率
二軸配向ポリプロピレンフィルムの長手方向もしくは幅手方向について、測定方向200mm、測定方向と直角の方向10mmとなるように試料を5本切り出し、両端から50mmの位置に印を付けて試長100mmとした。オリエンテック株式会社製フィルム強伸度測定装置(AMF/RTA−100)を用いて、23℃、65%RHの雰囲気下で引張速度300mm/分にて測定した。長手方向、幅手方向ともにそれぞれ5本の試料の平均値を本発明の二軸配向ポリプロピレンフィルムのヤング率とした。
(9)光沢度
JIS K7105(1981)に準じ、スガ試験機社製デジタル変角光沢計UGV−5Dを用いて入射角60°、受光角60°の条件で測定した。なお、本測定を両面(ロール内面側及びロール外面側)ともに5回ずつ行い、そのそれぞれの平均値を本発明のポリプロピレンフィルムの光沢度とした。
(10)灰分
JIS C2330(1995)に従い、初期質量Wのポリプロピレンフィルムを白金坩堝に入れ、まずガスバーナーで十分に燃焼させた後、750〜800℃の電気炉で1時間処理して完全に灰化し、得られた灰の質量Wを測定し、下記式から算出した。
灰分=(W/W)×1,000,000(ppm) 。
(11)平面性評価
スリット工程後のポリプロピレンフィルムロールからフィルムを引き出し、シワがあるかを目視で確認する。シワがある場合は、フィルムの両端を指で引っ張る、所謂フィンガーテンションを掛けた時に下記の基準により平面性を評価した。
○:シワ無し
△:シワがあるが、フィンガーテンションで消える
×:シワがあり、フィンガーテンションで消えない
評価が「×」のものは実用には耐えられないものである。
(12)巻きズレ
スリット工程後のポリプロピレンフィルムロール端面からフィルムが飛び出している長さをノギスで測定し巻きズレとした。巻きズレは10mm以内が使用可能である。
(13)片伸び量
測定試料用フィルムを長手方向10m長取り出し、平板上におきフィルムと平板間のエアーを抜きシワがないように密着させる。フィルム長手方向10m長の両端部の端から端に糸を貼り、長手方向中央部分(5mの位置)の糸とフィルム端部との距離の絶対値(mm)を測定した。なお、片のび量はフィルム幅方向両端部の両側にて距離の絶対値を測定し、その平均値とした。
(14)走行性評価
スリット工程で巻き取ったフィルムを巻き出して、走行性を確認した。走行性の評価として、幅方向において、搬送ロールの中心とフィルムの中心の偏りの最大値を測定し、5mm未満であれば○、5mm以上10mm未満であれば△、10mm以上であれば×とした。
○:5mm未満
△:5mm以上10mm未満
×:10mm以上
評価が「×」のものは実用に耐えられないものである。
(15)総合評価
ポリプロピレンフィルムロールを加工する際には、「平面性評価」と「走行性評価」の両立が必要であり、どちらか一方でも評価が悪いと、例えば加工の際にフィルムにシワが発生するなどの不具合が発生する。加工適正の総合評価として、下記の通り評価をおこなった。
○:平面性評価・走行性評価の両方が〇
△:平面性評価・走行性評価のどちらか一方が〇・もう一方が△
×:平面性評価・走行性評価の少なくとも一方が×
評価が「×」のものは加工する際に不具合が発生して使用できない。
以下、本発明を実施例に基づき説明する。
(実施例1)
ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー社製、融点:166℃、MFR:3.5g/10分、mmmm:0.985)を溶融押出機に供給し、250℃で溶融押出を行い、25μmカットの焼結フィルターで異物除去を行った。Tダイから吐出された溶融シートを30℃に表面温度を制御したキャストドラム上に密着させ未延伸シートを得た。この際、溶融シートをキャストドラム上に密着させるためにエアーナイフを用いた。ついで、150℃に加熱したロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に4.0倍延伸を行った。次にテンターで端部をクリップで把持して165℃で幅手方向に9倍延伸した。さらに、140℃で熱処理を行い、幅手方向に8%の弛緩を行った後、幅手方向に1.010倍に延伸した。テンターの出口の直後にある搬送ロールの速度は、延伸後のクリップ離間時のフィルム走行速度を基準として1.010倍とした。テンターの出口の直後にある搬送ロール直前でのフィルム温度は60℃の状態とした。テンターの出口の直後にある搬送ロールで搬送した後に、クリップで把持したフィルムの耳部をカットして除去した。端部を除去したフィルムを巻取機で巻き取り、厚み25μmのポリプロピレンフィルムを得た。ついで、スリッターにて、スリット速度100m/分、巻出張力400N/m、初期巻取張力50N/m、巻取張力テーパー70%、初期巻取面圧500N/m、巻取面圧テーパー100%、オシレーション幅150mmの条件下においてスリットし、フィルム幅1600mmで長さ8000mのフィルムロールとしてコアに巻回した。こうして得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す通りであった。平面性、巻きズレとも優れるものであった。
(実施例2)
溶融押出の際の吐出量を調整し、フィルム厚みを12μmとした以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(実施例3)
熱処理及び弛緩処理を行った後、幅手方向に1.002倍に延伸した以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(実施例4)
テンター内で幅手方向に155℃で8倍延伸した後、120℃で熱処理し、幅手方向に5%弛緩した後、幅手方向に1.025倍に延伸した以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(実施例5)
スリッターにて、スリット速度150m/分、初期巻取張力40N/m、初期巻取面圧400N/mでスリットした以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(実施例6)
溶融押出の際の吐出量を調整し、フィルム厚みが30μm以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(実施例7)
テンターの出口の直後にある搬送ロールの速度について、延伸後のクリップ離間時のフィルム走行速度を基準としてテンターの出口の直後にある搬送ロールの速度を0.995倍とした以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(実施例8)
テンターの出口の直後にある搬送ロールの速度について、延伸後のクリップ離間時のフィルム走行速度を基準としてテンターの出口の直後にある搬送ロールの速度を1.025倍とした以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(比較例1)
テンター内で140℃に加熱し幅手方向7倍延伸を行った後、140℃で熱処理を行い、幅手方向に4%弛緩し、その後幅手方向に延伸しなかった。また、クリップ離間時のフィルム走行速度を基準としたときの搬送ロールの速度を0.950倍にしたこと以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(比較例2)
テンター内で幅手方向に10%弛緩した後、幅手方向に延伸しなかった以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(比較例3)
溶融押出の際の吐出量を調整し、フィルム厚みを35μmとし、Tダイから吐出された溶融シートを、表面温度を20℃に制御したキャストドラム上に密着させ、158℃に加熱したロールを用いて予熱を行いフィルムの長手方向に3.4倍延伸を行った後、170℃で幅手方向に8倍延伸を行い、熱処理温度165℃で幅手方向に12%弛緩し、その後幅手方向に延伸しなかった以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(比較例4)
クリップ離間時のフィルム走行速度を基準としたときの搬送ロールの速度を0.950倍にしたこと以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得た。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(比較例5)
スリッターにて、初期巻取面圧を250N/mでスリットした以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得たが、大きく巻きズレして表層に強いしわが発生した。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
(比較例6)
溶融押出の際の吐出量を調整してフィルム厚みを5μmとし、またスリッターにて初期巻取面圧を500N/mでスリットした以外は実施例1と同様に製膜を行い、二軸配向ポリプロピレンフィルムを得た。さらに、実施例1と同様に巻き取り処理して、同じフィルム幅・長さのフィルムロールを得たが、強いしわが表層に発生した。得られた二軸配向ポリプロピレンフィルムの特性は表1に示す。
Figure 2018130958
本発明は、表面平滑性に優れ、且つロールの巻き姿が良好であり、精密部材用のカバーフィルム、保護フィルム、工程フィルム等の離型用フィルムとして好適に用いることのできる離型用二軸配向ポリプロピレンフィルムを提供する。

Claims (5)

  1. ポリプロピレン樹脂を主成分とするポリプロピレンフィルムであって、ポリプロピレンフィルムの幅手方向の120℃の熱収縮率が1.1%〜3.0%であり、長手方向の120℃の熱収縮率が2.0〜5.0%であり、フィルム厚みが5μm〜50μmであり、幅手方向の厚み斑が5%以下の離型用二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  2. ポリプロピレンフィルムの長手方向の動摩擦係数が0.9以下の請求項1に記載の離型用二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  3. ポリプロピレンフィルムロールとしたときのエアー噛み込み率が5%以下の請求項1または2に記載の離型用二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  4. ポリプロピレンフィルムの長手方向の片伸び量が8mm/10m長以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリプロピレンフィルム。
  5. ポリプロピレンフィルムの少なくとも一方の表面の光沢度が130%〜155%である請求項1〜4のいずれかに記載の離型用二軸配向ポリプロピレンフィルム。
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