JP2002154187A - ポリプロピレンフィルムおよびフィルムコンデンサー - Google Patents

ポリプロピレンフィルムおよびフィルムコンデンサー

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JP2002154187A
JP2002154187A JP2001239016A JP2001239016A JP2002154187A JP 2002154187 A JP2002154187 A JP 2002154187A JP 2001239016 A JP2001239016 A JP 2001239016A JP 2001239016 A JP2001239016 A JP 2001239016A JP 2002154187 A JP2002154187 A JP 2002154187A
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film
polypropylene
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capacitor
polypropylene film
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Junichi Masuda
順一 増田
Shigeru Tanaka
茂 田中
Masatoshi Okura
正寿 大倉
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 包装用、コンデンサー用等に好適であり、か
つリサイクル性にも優れたポリプロピレンフィルムを提
供する。 【解決手段】 メソペンタッド分率(mmmm)が90
%以上のポリプロピレン樹脂層(B層)の少なくとも片
面に、最大表面粗さRmaxと中心線平均表面粗さRaの
比Rmax/Raが8〜16の範囲であって、標準面積当
たりの突起個数SPcが10(個/0.1mm2)以
上、結晶融解温度が150℃以上であるポリプロピレン
樹脂層(A層)が積層されたことを特徴とするポリプロ
ピレンフィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、包装用や工業用等
に好適な粗面化ポリプロピレンフィルムに関する。特に
コンデンサー用誘電体として好適な粗面化ポリプロピレ
ンフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】粗面化ポリプロピレンフィルムは、防湿
性、機械特性、電気特性等に優れるため、包装用途、テ
ープ用途、ケーブルラッピングやコンデンサーをはじめ
とする電気用途等の様々な用途に用いられている。かか
る粗面化ポリプロピレンフィルムは、コンデンサー用誘
電体として用いる際には、滑り性や絶縁油含浸性の向上
が必要であり表面を適度に粗面化する必要がある。
【0003】この粗面化方法には、これまでエンボス法
やサンドブラスト法などの機械的方法、溶剤によるケミ
カルエッチング等の化学的方法、ポリエチレン等の異種
ポリマーを混合したシートを延伸する方法、β晶を生成
させたシートを延伸する方法(例えば特開昭51−63
500号公報)等が提案されていた。
【0004】しかし、機械的方法および化学的方法では
粗さ密度が低く、またβ晶を生成させたシートを延伸す
る方法では粗大突起が生じやすく、突起高さの均一性と
いう点で必ずしも十分とはいえない場合があった。ま
た、これらの方法で粗面化したフィルムは、コンデンサ
ー形成時にフィルム層間への油含浸が不十分となり部分
的に未含浸部分を生じやすく、未含浸部分でのコロナ放
電が原因となり、コンデンサー寿命が低下する場合があ
った。ポリエチレン等の異種ポリマーを配合したシート
を延伸する方法では、ポリエチレンの結晶融解温度が低
いために、高温での絶縁破壊強度に劣り、オールPP
(ポリプロピレン)の場合に比較してリサイクルが困難
であるという問題点があった。
【0005】また、いずれの方法によるフィルムも粗さ
密度や突起高さの均一性、および高温での絶縁破壊強度
の点で必ずしも十分とはいえない場合が多かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、包装用、工
業用等に好適であり、特にコンデンサー用フィルムとし
て、優れた絶縁破壊強度、素子ライフ、リサイクル性を
有するポリプロピレンフィルムを提供することをその課
題とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の課題は、メソペ
ンタッド分率が92〜99.5%のポリプロピレン樹脂
層(B層)の少なくとも片面に、最大表面粗さRmax
中心線平均表面粗さRaの比Rmax/Raが8〜16の
範囲であって、標準面積当たりの突起個数SPcが10
(個/0.1mm2)以上であるポリプロピレン樹脂層
(A層)が積層されており、かつA層を構成する樹脂の
結晶融解温度が150℃以上でことを特徴とするポリプ
ロピレンフィルムにより解決される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明のポリプロピレンフィルム
のB層のメソペンタッド分率は92〜99.5%の範囲
であることが必要である。ここでメソペンタッド分率と
は、ポリプロピレンを13C−NMRで測定して求めた各
ペンタッドに相当するメチル基の吸収ピークのうち、隣
接する2個の繰り返し単位の立体配座をメソ(mと表
記)またはラセモ(rと表記)で表したとき、mmmm
なる立体配座に由来する吸収ピークの割合をいう。メソ
ペンタッド分率が92%未満では耐熱性、耐絶縁破壊特
性の低下が大きくなりコンデンサー用として実用性がな
い。メソペンタッド分率が99.5%を越えると製膜性
が著しく悪化する。より好ましくは93〜99.3%で
あり、さらに好ましくは94〜99%である。
【0009】B層に用いられるポリプロピレンは、主と
してプロピレンの単独重合体からなるが、本発明の目的
を損なわない範囲で他の不飽和炭化水素による共重合成
分などを含有してもよいし、他の重合体がブレンドされ
ていてもよい。このような共重合成分やブレンド物を構
成する単量体成分として例えばエチレン、プロピレン
(共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1−
ペンテン、3−メチルペンテン−1,3−メチルブテン
−1,1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1,5−エ
チルヘキセン−1,1−オクテン、1−デセン、1−ド
デセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベン
ゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−2
−ノルボルネンなどが挙げられる。耐絶縁破壊特性、耐
熱性の点から共重合量は1mol%未満、ブレンド量は
10重量%未満が好ましい。共重合量やブレンド量がこ
の範囲を超えると、特にリサイクル性が悪くなるため好
ましくない。
【0010】また本発明のB層に用いられるポリプロピ
レンのアイソタクチックインデックス(以下IIと表記
する)は、製膜性の点で90〜99.5%が好ましい。
ここでアイソタクチックインデックスとはフィルムを沸
騰n−ヘプタンで抽出した場合の、抽出前フィルム重量
に対する不溶分の重量の割合により定義される。IIが
高すぎると、二軸配向したフィルムを製造する際、延伸
性が悪く、製膜が著しく困難となる。またIIが低すぎ
ると耐熱性、耐絶縁破壊特性の低下が大きくなる。より
好ましいIIは92〜99.5%であり、さらに好まし
くは94〜99%である。このようなIIを有するポリ
プロピレンフィルムとするには、原料であるポリプロピ
レン樹脂の沸騰n−ヘプタンに溶けやすい低分子量成分
や、立体規則性の低い、いわゆるアタクチックの部分の
割合が適度に低いものを選択するなどの方法を採用する
ことができる。
【0011】本発明のポリプロピレンフィルムのB層に
用いられるポリプロピレンのメルトフローレイト(MF
R)は、製膜性の点から1〜10g/10分(230
℃、2.16kg加重)のものが好ましく、2〜5g/
10分のものがより好ましい。MFRが小さすぎると、
溶融押出時に濾圧が上昇したり、押出原料の置換に長時
間を要するなどの問題点が生じる場合がある。MFRが
大きすぎると、製膜されたフィルムの厚み斑が大きくな
るなどの問題点が生じる場合がある。MFRを上記の値
とするためには、平均分子量や分子量分布を制御する方
法などが採用される。
【0012】本発明のポリプロピレンフィルムのB層に
用いられるポリプロピレンには、本発明の目的を損なわ
ない範囲で添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安
定剤、滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填
剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有せしめることも
できる。
【0013】これらの中で、酸化防止剤の種類および添
加量の選定は長期耐熱性にとって重要である。本発明の
ポリプロピレンフィルムに添加される酸化防止剤は立体
障害性を有するフェノール性のもので、そのうち少なく
とも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ま
しい。この具体例としては種々のものが挙げられるが、
例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BH
T:分子量220.4)とともに1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えばチバガイギー
社製"Irganox"1330:分子量775.2)またはテトラ
キス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばチ
バガイギー社製"Irganox"1010:分子量1177.7)
等を併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含
有量はポリプロピレン全量に対して0.03〜1重量%
の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると長期耐熱
性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸
化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキン
グにより、コンデンサー素子に悪影響を及ぼす場合があ
る。より好ましい含有量は0.1〜0.9重量%であ
り、さらに好ましくは0.2〜0.8重量%である。
【0014】また、結晶核剤の添加はフィルムの表面粗
さや透明性に作用を及ぼす。結晶核剤の添加量が多くな
ると、絶縁破壊強度が悪化する傾向があるので添加量と
して0.1重量%未満とするのが好ましく、さらに好ま
しくは実質的に添加されていないことが好ましい。
【0015】次に、本発明のポリプロピレンフィルム
は、B層の少なくとも片面に、最大表面粗さRmaxと中
心線平均表面粗さRaの比Rmax/Raが8〜16の範
囲で、標準面積当たりの突起個数SPcが10(個/
0.1mm2)以上であるポリプロピレン樹脂層(A
層)が積層されていることが必要である。該A層のR
max/Raが大きすぎると粗大突起の割合が増えるた
め、フィルムを積層した場合に層間に空気が入りコンデ
ンサー素子の劣化につながり、またフィルムに金属層を
形成したとき金属層に穴アキ等が発生し、高温時の絶縁
破壊強度や素子ライフが低下したり、電圧印加時に電荷
が集中し絶縁欠陥の原因となる。逆にRmax/Raが小
さすぎるとハンドリング性に劣り、コンデンサー素子巻
時に皺が入りやすく、その皺が原因で絶縁破壊電圧が低
下する場合がある。また、A層の標準面積当たりの突起
個数SPcが10(個/0.1mm2)未満であると、
コンデンサー素子に絶縁油を含浸する場合はフィルム層
間に絶縁油が均一に浸透せず、連続使用時に容量変化が
大きくなる。また、SPcが60(個/0.1mm2
を越えると、突起高さが低下する場合があるので、60
(個/0.1mm2)以下が好ましい。
【0016】また、本発明のポリプロピレンフィルムの
A層の結晶融解温度(Tm)は、150℃以上であるこ
とが必要である。ここで、ブレンド物などで混合した成
分に起因する複数の結晶融解ピークが得られるようなも
のについては、すべての成分のTmが150℃以上であ
ることが必要である。A層樹脂のTmが低いと、コンデ
ンサーにしたときの耐熱性に劣り、高温での電気絶縁性
に劣る。好ましくは、155℃以上であり、さらに好ま
しくは160℃以上である。
【0017】本発明のポリプロピレンフィルムのA層
は、230℃で測定したときの溶融張力(MS)とメル
トフローレイト(MFR)が、下記式(1)を満たす、
より好ましくは下記式(2)を満たす、更に好ましくは
下記式(3)を満たす、MSが高い高溶融張力ポリプロ
ピレン樹脂(High Melt Strength−
PP;以下HMS−PPと記す)であることが好まし
い。ポリエチレン等の異種ポリマーを配合した樹脂を積
層したシートを延伸する方法によって得られるポリプロ
ピレンフィルムの表面よりもさらに微細で突起密度が高
くかつ突起のそろった表面を容易に得ることができるか
らである。 log(MS)>−0.56log(MFR)+0.74 ・・(1) log(MS)>−0.56log(MFR)+0.84 ・・(2) log(MS)>−0.56log(MFR)+0.94 ・・(3)
【0018】ここで、230℃で測定したときのMSと
は、東洋精機製メルトテンションテスターを用いて、ポ
リプロピレンを230℃に加熱し、溶融ポリプロピレン
を押出速度15mm/分で吐出しストランドとし、この
ストランドを6.5m/分の速度で引き取る際の張力を
測定し、MS(単位cN)とした。また、230℃で測
定したときのMFRとは、JIS K6758に従って
2.16kgの荷重下で測定されたもの(単位g/10
分)である。
【0019】本発明のA層に用いられるポリプロピレン
樹脂は、上記のMSとMFRの関係式を満たすHMS−
PPであればよいが、MSは1〜30cNの範囲が好ま
しく、2〜20cNの範囲がより好ましい。MSが小さ
いと突起の均一性に劣り、最大表面粗さRmaxと中心線
平均表面粗さRaの比Rmax/Raが大きくなり、また
標準面積当たりの突起個数SPcが小さくなる。MSが
大きいほど突起高さの均一性が高くRmax/Raは小さ
くなり、SPcは大きくなるが、MSが大きすぎると製
膜が困難になる。また、MFRは製膜性の観点から1〜
20g/10分の範囲が好ましく、1〜10g/10分
の範囲がより好ましい。MFRが小さすぎると、溶融押
出時に濾圧が上昇したり、押出原料の置換に長時間を要
し、さらには均一な厚みのラミネート層を形成すること
が困難になるなどの問題点が生じる。MFRが大きすぎ
ると、製膜されたフィルムの厚み斑が大きくなるなどの
問題点が生じる。
【0020】230℃で測定したときの溶融張力(M
S)とメルトフローレイト(MFR)が、上記式(1)
を満たすHMS−PPを得るには、高分子量成分を多く
含むポリプロピレンをブレンドする方法、分岐構造を持
つオリゴマーやポリマーをブレンドする方法、特開昭6
2−121704号公報に記載されているようにポリプ
ロピレン分子中に長鎖分岐構造を導入する方法、あるい
は特許第2869606号公報に記載されているように
長鎖分岐を導入せずに溶融張力と固有粘度、結晶化温度
と融点とがそれぞれ特定の関係を満たし、かつ沸騰キシ
レン抽出残率が特定の範囲にある直鎖状の結晶性ポリプ
ロピレンとする方法等が好ましく用いられる。
【0021】本発明のA層に用いられるポリプロピレン
はその製法には特に制限はないが、ポリプロピレン分子
中に長鎖分岐を導入して溶融張力を高めたHMS−PP
を用いることが好ましい。具体例としては、サンアロマ
ー社製HMS−PP、Borealis社製HMS−P
Pなどが挙げられる。
【0022】ポリプロピレンの長鎖分岐の程度を示す指
標値として、下記式(4)で表される分岐指数gが挙げ
られる。 g=[η]LB/[η]Lin ・・(4)
【0023】ここで、[η]LBは長鎖分岐を有するポリ
プロピレンの固有粘度であり、[η]Linは長鎖分岐を
有するポリプロピレンと実質的に同一の重量平均分子量
を有する直鎖状の結晶性ポリプロピレンの固有粘度であ
る。なお、固有粘度はテトラリンに溶解した試料につい
て通常の方法で135℃にて測定する。分岐指数が実質
的に1より小さいものが長鎖分岐を有するポリプロピレ
ンであるとすることができる。また、重量平均分子量
は、M.L.McConnellによってAmeric
an Laboratory、May、63−75(1
978)に発表されている方法、すなわち低角度レーザ
ー光散乱光度測定法で測定される。
【0024】本発明のA層に用いられるポリプロピレン
は、主としてプロピレンの単独重合体からなるが、本発
明の目的を損なわない範囲、すなわち通常共重合量で1
0mol%未満、ブレンド量で10重量%未満の範囲で
あれば他の不飽和炭化水素による共重合成分などを含有
してもよいし、プロピレン単独ではない重合体がブレン
ドされていてもよい。共重合量やブレンド量がこの範囲
を超えると、特にリサイクル性が悪くなるため好ましく
ない。このような共重合成分やブレンド物を構成する単
量体成分として例えばエチレン、プロピレン(プロピレ
ンが共重合されたブレンド物の場合)、1−ブテン、1
−ペンテン、3−メチルペンテン−1,3−メチルブテ
ンー1,1−ヘキセン、4−メチルペンテン−1,5−
エチルヘキセン−1,1−オクテン、1−デセン、1−
ドデセン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、アリルベ
ンゼン、シクロペンテン、ノルボルネン、5−メチル−
2−ノルボルネンなどが挙げられる。ブレンドの場合、
ブレンド物が式(1)を満たすことがより好ましい。
【0025】本発明のポリプロピレンフィルムのA層に
用いられるポリプロピレンには、本発明の目的を損なわ
ない範囲で添加剤、例えば結晶核剤、酸化防止剤、熱安
定剤、滑剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、充填
剤、粘度調整剤、着色防止剤などを含有せしめることも
できる。
【0026】これらの中で、酸化防止剤の種類および添
加量の選定は長期耐熱性にとって重要である。本発明の
ポリプロピレンフィルムに添加される酸化防止剤は立体
障害性を有するフェノール性のもので、そのうち少なく
とも1種は分子量500以上の高分子量型のものが好ま
しい。この具体例としては種々のものが挙げられるが、
例えば2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BH
T:分子量220.4)とともに1,3,5−トリメチ
ル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(例えばチバガイギー
社製"Irganox"1330:分子量775.2)またはテトラ
キス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(例えばチ
バガイギー社製"Irganox"1010:分子量1177.7)
等を併用することが好ましい。これら酸化防止剤の総含
有量はポリプロピレン全量に対して0.03〜1重量%
の範囲が好ましい。酸化防止剤が少なすぎると長期耐熱
性に劣る場合がある。酸化防止剤が多すぎるとこれら酸
化防止剤のブリードアウトによる高温下でのブロッキン
グにより、コンデンサー素子に悪影響を及ぼす場合があ
る。より好ましい含有量は0.1〜0.9重量%であ
り、さらに好ましくは0.2〜0.8重量%である。
【0027】また、結晶核剤の添加はフィルムの表面粗
さや透明性に作用を及ぼす。結晶核剤の添加量が多くな
ると本発明の特定表面粗さを持つ二軸配向ポリプロピレ
ンフィルムを得ることが難しくなり、また絶縁破壊強度
が悪化する傾向があるので添加量として0.1重量%未
満とするのが好ましく、さらに好ましくは実質的に添加
されていないことが好ましい。
【0028】本発明のポリプロピレンフィルムは、上述
した特性を与えうる原料を用い、二軸配向されることに
よって得られる。二軸配向の方法としては、インフレー
ション同時二軸延伸法、テンター同時二軸延伸法、テン
ター逐次二軸延伸法のいずれによっても得られるが、そ
の中でも、製膜安定性、厚み均一性、フィルムの表面形
状を制御する点においてテンター逐次二軸延伸法により
製膜されたものが好ましく用いられる。
【0029】本発明のポリプロピレンフィルムの積層方
法としては、任意の方法が用いられる。中でも、2台以
上の押出機を用い一つの口金の中で合流させて溶融押出
した積層シートを二軸配向せしめる方法や、未延伸のB
層の上にA層を溶融押出でラミネートし、これを二軸配
向せしめる方法等が好ましい。
【0030】本発明のポリプロピレンフィルムの全厚み
は、1〜40μmが好ましく、より好ましくは1.5〜
30μm、さらに好ましくは2〜20μmである。フィ
ルムの厚みが小さすぎると、機械的強度や絶縁破壊強度
に劣る場合がある。フィルムの厚みが大きすぎると均一
な厚みのフィルムを製膜することが困難になり、またコ
ンデンサー用の誘電体として用いた場合、体積当たりの
容量が小さくなるため好ましくない。
【0031】本発明のポリプロピレンフィルムの厚み方
向の構成は、A層が少なくとも片方の表面層となること
が必要である。この際、両面の表面層がA層からなって
も片面のみA層からなってもいずれでもかまわない。A
層/B層の2層構成、A層/B層/A層の3層構成、さ
らに4層以上の構成(この際中間層にA層を含んでいて
もいなくてもいずれでもかまわない)が好ましく用いら
れる。
【0032】A層の厚みはフィルム全厚みに対し、製膜
性や表面形状を制御する点から1〜40%であることが
好ましく5〜30%がより好ましい。A層の割合が大き
すぎると製膜時に押出機の吐出圧力が高くなりすぎ製膜
性が低下する場合がある。A層の割合が小さすぎると中
心線平均表面粗さRaおよび最大表面粗さRmaxが小さ
くなる。
【0033】また、本発明のポリプロピレンフィルムの
灰分は50ppm以下であることが好ましく、より好ま
しくは30ppm以下であり、さらに好ましくは20p
pm以下である。ポリプロピレンの重合過程において
は、金属を含む化合物を触媒として用いることが一般的
であるが、この触媒の残渣は樹脂を完全に燃焼させた残
りの金属酸化物の量を求めることで評価でき、これを灰
分と呼ぶ。灰分が多すぎると、該フィルムの耐絶縁破壊
特性が低下し、コンデンサーとした場合に絶縁破壊強度
が低下する場合がある。灰分をこの範囲とするために
は、触媒残渣の少ない原料を用いることが重要である
が、製膜時の押出系からの汚染も極力低減する方法、例
えばブリード時間を1時間以上かけるなどの方法も採用
することができる。
【0034】本発明のポリプロピレンフィルムは、3g
の荷重下で、120℃、15分間加熱した際の機械方向
と幅方向の熱収縮率の和が0〜6.0%の範囲であるこ
とが好ましく、さらに好ましくは1.0〜5.0%、最
も好ましくは2.0〜4.5%である。熱収縮率が大き
すぎると、電極としての金属層形成時に寸法変化を起こ
しフィルムロールに皺が入ったり、コンデンサー素子形
成時の熱による機械的変形が大きすぎるためにフィルム
中および/あるいは外部電極との接触部にストレスが発
生し、コンデンサーの容量が大きくなったり、素子の破
壊に至る場合がある。熱収縮率が小さすぎると、コンデ
ンサー作製時の熱処理による巻締まりが不十分となり、
形態保持性や容量変化率に悪影響を及ぼしたり、素子層
間に空気が入りコンデンサー素子の劣化などにつながる
場合がある。
【0035】本発明のポリプロピレンフィルムに金属層
を形成して用いる場合、金属層を形成する面に、接着力
を高めるためコロナ放電処理あるいはプラズマ処理を行
うことが好ましい。コロナ放電処理は処理をする際に雰
囲気ガスとして空気、炭酸ガス、窒素ガスおよびこれら
の混合ガス中での処理が好ましい。またプラズマ処理
は、種々の気体をプラズマ状態におき、フィルム表面を
化学変成させる方法、例えば特開昭59−98140号
公報に記載されている方法などが挙げられる。
【0036】本発明のポリプロピレンフィルムに金属層
を形成する方法としては、真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンビーム法等が例示される。また、用いる金属
としては、アルミニウム、亜鉛、銅、錫、銀、ニッケル
等が好ましく用いられる。
【0037】本発明において、金属化フィルムの膜抵抗
値は1〜40Ω/□の範囲が好ましく用いられる。より
好ましくは1.2〜30Ω/□である。膜抵抗値が小さ
すぎると、蒸着膜の厚みが厚く蒸着時に熱負けが生じア
バタ状の表面欠点や4μm前後の薄いフィルムでは穴ア
キ等が発生することがある。膜抵抗値が大きすぎると荷
電時に蒸着膜のクリアリングが生じた時、膜の消失が生
じやすく、容量変化が大きくなることがある。
【0038】本発明のポリプロピレンフィルムに金属層
を形成する時に設けられるマージン(電気絶縁目的など
により金属層を形成する面に設けられる金属層のない部
分)の仕様は、通常タイプ以外にヒューズ機構を設けた
種々のものなど目的に応じて採用できる。
【0039】本発明のポリプロピレンフィルムを誘電体
として用いた場合のコンデンサーの形式は、乾式や油含
浸式等が挙げられるが、本発明のポリプロピレンフィル
ムは、油含浸時に気泡の残存が少ないため油含浸式が特
に好ましい。油含浸型コンデンサーに用いる絶縁油とし
ては、電気絶縁性のあるものであれば任意のものを使用
することができる。例えば多塩化ビフェニール類、パラ
フィン類、ナフテン類、あるいは芳香族系炭化水素より
なる鉱油類、ポリブテン、菜種油、あるいはシリコーン
油等を挙げることができる。これらは単独で、あるいは
混合して使用することができ、またこれらの油の中に各
種の添加剤を添加することができる。好ましい絶縁油と
しては粘性の小さなガス吸収性の優れた、フェニルキシ
リルエタン、モノイソプロピルビフェニールである。
【0040】次に本発明のポリプロピレンフィルムの製
造方法および本発明のポリプロピレンフィルムからなる
コンデンサーの製造方法を以下に説明するが、必ずしも
これに限定されるものではない。
【0041】2種類のポリプロピレン原料を別々の押出
機に供給し、加熱溶融し、濾過フィルターを通した後、
220〜280℃の温度で1台のスリット状口金から共
押出し、30〜85℃の温度に保たれたキャスティング
ドラムに巻き付けて冷却固化せしめ、未延伸積層フィル
ムを作る。このときキャスティングドラム温度が高すぎ
るとフィルムの結晶化が進行しすぎ後の工程での延伸が
困難になったり、フィルム内にボイドができ耐絶縁破壊
特性が低下する場合がある。キャスティングドラムへの
密着方法としては静電印加法、水の表面張力を利用した
密着方法、エアーナイフ法、プレスロール法、水中キャ
スト法などのうちいずれの手法を用いてもよいが、平面
性が良好でかつ表面粗さの制御が可能なエアーナイフ法
が好ましい。
【0042】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。まず未延伸フィルムを120〜150
℃に保たれたロールに通して予熱し、引き続き該シート
を130℃〜150℃の温度に保ち周速差を設けたロー
ル間に通し、長手方向に2〜6倍に延伸した後、室温に
冷却する。引き続き該延伸フィルムをテンターに導い
て、140〜170℃の温度で予熱し、150〜170
℃の温度で幅方向に5〜15倍に延伸し、次いで幅方向
に2〜20%の弛緩を与えつつ、140〜170℃の温
度で熱固定して巻き取る。その後、蒸着を施す面に蒸着
金属の接着性を良くするために、空気中、窒素中、炭酸
ガス中あるいはこれらの混合気体中でコロナ放電処理を
行いワインダーで巻き取る。
【0043】得られたフィルムを真空蒸着装置にセット
し、目的に応じた絶縁溝部を形成するためグラビアコー
ターを用いてオイルをフィルムに塗布し、その後、目的
に応じた金属を所定の膜抵抗に蒸着する。この蒸着フィ
ルムをスリットし、コンデンサー素子を作るための2リ
ール一対の蒸着リールとする。この後、素子状に巻回し
熱プレスして扁平状に成形し、端部の金属溶射(メタリ
コン工程)、リード取り出し、必要に応じて絶縁油を含
浸し、外装を経てコンデンサーとする。
【0044】本発明における特性値の測定方法、並びに
効果の評価方法は次のとおりである。 (1)メソペンタッド分率(mmmm) 試料をo−ジクロロベンゼンに溶解し、JEOL製JN
M−GX270装置を用い、共鳴周波数67.93MH
zで13C−NMRを測定した。得られたスペクトルの帰
属およびペンタッド分率の計算については、T.Hay
ashiらが行った方法[Polymer,29,13
8〜143(1988)]に基づき、メチル基由来のス
ペクトルについて、mmmmピークを21.855pp
mとして各ピークの帰属を行い、ピーク面積を求めてメ
チル基由来全ピーク面積に対する比率を百分率で表示し
た。詳細な測定条件は以下の通りである。
【0045】測定溶媒:o−ジクロロベンゼン(90w
t%)/ベンゼン−D6(10wt%) 試料濃度:15〜20wt% 測定温度:120〜130℃ 共鳴周波数:67.93MHz パルス幅:10μsec(45°パルス) パルス繰り返し時間:7.091sec データ点:32K 積算回数:8168 測定モード:ノイズデカップリング
【0046】(2)アイソタクチシティ(アイソタクチ
ックインデックス:II) 試料を60℃以下の温度のn−ヘプタンで時間抽出し、
ポリプロピレンへの添加物を除去する。その後130℃
で2時間真空乾燥する。これから重量W(mg)の試料
をとり、ソックスレー抽出器に入れ沸騰n−ヘプタンで
12時間抽出する。次に、この試料を取り出しアセトン
で十分洗浄した後、130℃で6時間真空乾燥しその後
常温まで冷却し、重量W’(mg)を測定し、次式で求
めた。 II=(W’/W)×100(%)
【0047】(3)溶融指数(メルトフローレート:M
FR) JIS K6758に示されるポリプロピレン試験方法
(230℃、2.16kgf)に従って測定した。 (4)溶融張力(MS) 東洋精機製メルトテンションテスターを用いて、ポリプ
ロピレンを230℃(ポリエチレン190℃)に加熱
し、溶融ポリプロピレンを押出速度15mm/分で吐出
しストランドとし、このストランドを6.5m/分の速
度で引き取る際の張力を測定し、溶融張力(MS)とし
た。
【0048】(5)中心線平均表面粗さ(Ra)、最大
表面粗さ(Rmax)、突起個数(SPc) JIS B0601に従って、触針式表面粗さ計を用い
て測定した。なお、小坂研究所(株)製、高精度薄膜段
差測定器(型式:ET−30K)を使用し、触針径円錐
型0.5μmR、荷重16mg、カットオフは0.08
mmとした。この時、中心線平均表面粗さ(Ra)は、
粗さ曲線から測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取
部分の中心線をX軸、縦方向をY軸とし、粗さ曲線をy
=f(x)で表した時、次の式によって求められる値を
μmで表したものをいう。
【数1】
【0049】また、最大表面粗さ(Rmax)は、粗さ曲
線から測定長さLの部分を抜き取った部分の最大値、最
小値を、平均線に平行な2直線で挟んだ時、この2直線
の間隔の値をμmで表したものをいう。
【0050】突起個数(SPc)は、粗さ曲線の平均線
の上下に、該平均線に平行で±0.1μmだけ離れた二
本のピークカウントレベルを設け、粗さ曲線がこの下側
のピークカウントレベルと交叉した後、上側のピークカ
ウントレベルと交叉し、さらにもう一度下側のピークカ
ウントレベルと交叉するまでを1山とする。測定長1m
mで、サンプルを10μmずつ移動して30回測定して
幅300μmの範囲を測定して山数を求め、0.1mm
2当たりの値に換算する。
【0051】(6)熱収縮率 フィルムを機械方向と幅方向にそれぞれ縦260mm、
横10mmにサンプリングし、両端から30mmのとこ
ろにマークを入れて、原寸(LO:200mm)とす
る。このサンプルの下端に3gの荷重をかけ、120℃
のオーブン中につるし15分間熱処理する。その後サン
プルを取り出し、マークした長さ(L1)を測定し、次
式により熱収縮率を算出し、機械方向と幅方向の和を熱
収縮率とした。 熱収縮率=[(LO−L1)/LO]×100(%)
【0052】(7)結晶融解温度 セイコー電子工業(株)製示差走査熱量計DSC(RD
C220)を用い、約5mgの試料重量で室温から昇温
速度10℃/分で280℃まで昇温した。この際観測さ
れた吸熱ピークの頂点の温度を結晶融解温度とした。
【0053】(8)フィルム絶縁破壊強度(BDV) JIS C2110に従って測定した。陰極に厚み10
0μm、10cm角のアルミ箔電極、陰極に真鍮性8m
mφの電極を用い、この間にフィルムをはさみ、春日電
気(株)製直流高圧安定化電源を用いて、100V/秒
の速度で昇圧しながら電圧を印加し、電流が10mA以
上流れた場合を絶縁破壊したものとした。その時の電圧
を測定点のフィルム厚みで割った値を絶縁破壊強度と
し、30点測定した平均値で示した。
【0054】(9)コンデンサー素子ライフ性テスト フィルム厚み当たり60V/μmの交流電圧(周波数6
0Hz)をコンデンサー素子に印加し、105℃の雰囲
気で素子が破壊するまでの時間を測定した。 (10)リサイクル性 一度製膜したフィルムを再ペレット化し、B層未使用原
料50重量%にドライブレンドし、再度製膜した。これ
を3回繰り返し得られたフィルムのフィルム絶縁破壊強
度を測定した。フィルム絶縁破壊強度の値が20%を超
えて低下したものを×、低下が0〜20%のものを○と
した。
【0055】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明の効果をさらに
説明する。
【0056】実施例1 本発明のA層樹脂として、メルトフローレイト(MF
R)が3.0g/10分、溶融張力(MS)が25cN
の長鎖分岐を有するポリプロピレン原料に2,6−ジ−
t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.3重量%、
テトラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チ
バガイギー社製"Irganox"1010)0.3重量%を添加し
たものを、B層樹脂として、メソペンタッド分率(mm
mm)が94.5%、MFRが2.8g/10分、溶融
張力が2.2cNのポリプロピレン原料に2,6−ジ−
t−ブチル−p−クレゾール(BHT)0.3重量%、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
(チバガイギー社製"Irganox"1330:分子量775.
2)0.3重量%を添加したものを別々の押出機に供給
して240℃の温度で溶融し、200メッシュの濾過フ
ィルターを通した後、T型口金からシート状に押出成形
し、70℃の温度のキャスティングドラムに巻き付けて
冷却固化した。次いで、該シートを135℃で予熱し、
引き続き140℃の温度に保ち周速差を設けたロール間
に通し、長手方向に5.5倍に延伸した。引き続き該フ
ィルムをテンターに導き、160℃で予熱し、165℃
の温度で幅方向に10倍延伸し、次いで幅方向に8%の
弛緩を与えながら150℃で熱処理を行い、厚み構成が
A層/B層=1μm/9μmの2層積層ポリプロピレン
フィルムを得た。さらに該A層表面に30W・min/
2の処理強度で大気中でコロナ放電処理を行った。
【0057】次に、このフィルムを真空蒸着機にセット
し、コロナ処理面にアルミニウムを膜抵抗が4.0Ω/
□になるように蒸着した。このフィルムをスリットし、
全幅38mm、マージン幅1mmの金属化フィルムを得
た。得られたフィルム一対2リールを用いて素子巻し、
素子の端面に金属溶射し、ここからリード線を取り出
し、絶縁油としてモノイソプロピルビフェニールを含浸
してコンデンサー素子を作製した。用いたポリプロピレ
ン原料の樹脂特性を表1に、得られたポリプロピレンフ
ィルムとコンデンサー素子についての評価結果を表2に
まとめた。
【0058】本フィルムは、突起高さの均一な表面を持
ちかつ突起密度も高く、またコンデンサー用として優れ
た絶縁破壊強度、素子ライフ、リサイクル性が得られ
た。
【0059】実施例2 A層樹脂として、メルトフローレイト(MFR)が4.
3g/10分、溶融張力(MS)が11.0cNの長鎖
分岐を有するポリプロピレン原料を用いた以外は実施例
1と同様の方法でポリプロピレンフィルムを得た。
【0060】実施例1と同様に、用いたポリプロピレン
原料の樹脂特性を表1に、得られたポリプロピレンフィ
ルムとコンデンサー素子についての評価結果を表2にま
とめた。本フィルムは、突起高さの均一な表面を持ちか
つ突起密度も高く、またコンデンサー用として優れた絶
縁破壊強度、素子ライフ、リサイクル性が得られた。
【0061】実施例3 A層樹脂として、メルトフローレイト(MFR)が8.
5g/10分、溶融張力(MS)が3.0cNの長鎖分
岐を有するポリプロピレン原料を用い、B層樹脂とし
て、メソペンタッド分率(mmmm)が98.5%、M
FRが3.1g/10分、溶融張力が2.5cNのポリ
プロピレン原料を用いた以外は実施例1と同様の方法で
ポリプロピレンフィルムを得た。
【0062】実施例1と同様に、用いたポリプロピレン
原料の樹脂特性を表1に、得られたポリプロピレンフィ
ルムとコンデンサー素子についての評価結果を表2にま
とめた。本フィルムは、突起高さの均一な表面を持ちか
つ突起密度も高く、またコンデンサー用として優れた絶
縁破壊強度、素子ライフ、リサイクル性が得られた。
【0063】実施例4 実施例1のA層樹脂とB層樹脂を用いて2種3層口金で
A層/B層/A層の3層積層(厚み構成:1/9/1μ
m)とした以外は、実施例1と同様にしてポリプロピレ
ンフィルムを得た。
【0064】実施例1と同様に、用いたポリプロピレン
原料の樹脂特性を表1に、得られたポリプロピレンフィ
ルムとコンデンサー素子についての評価結果を表2にま
とめた。本フィルムは、突起高さの均一な表面を持ちか
つ突起密度も高く、またコンデンサー用として優れた絶
縁破壊強度、素子ライフ、リサイクル性が得られた。
【0065】比較例1 A層樹脂として、メルトフローレイト(MFR)が2.
8g/10分、溶融張力(MS)が1.6cNのポリプ
ロピレン原料を用いた以外は実施例1と同様の方法でポ
リプロピレンフィルムを得た。
【0066】実施例1と同様に、用いたポリプロピレン
原料の樹脂特性を表1に、得られたポリプロピレンフィ
ルムとコンデンサー素子についての評価結果を表2にま
とめた。本フィルムは、表面粗さが小さく、突起密度も
低くコンデンサー用として用いたときに絶縁油の含浸性
が悪く素子ライフ性に劣っていた。
【0067】比較例2 実施例1のB層樹脂単体を押出機に供給して240℃の
温度で溶融し、T型口金からシート状に押出成形し、8
0℃の温度のキャスティングドラムに巻き付けて冷却固
化した。次いで、該シートを135℃で予熱し、引き続
き137℃の温度に保ち周速差を設けたロール間に通
し、長手方向に5倍に延伸した。引き続き該フィルムを
テンターに導き、155℃で予熱し、160℃の温度で
幅方向に9倍延伸し、次いで幅方向に5%の弛緩を与え
ながら150℃で熱処理を行い、厚み10μmのポリプ
ロピレンフィルムを得た。さらに25W・min/m2
の処理強度で大気中でコロナ放電処理を行った。
【0068】このフィルムを真空蒸着機にセットし、銅
を核付け金属とし、コロナ処理面に亜鉛を膜抵抗が4.
0Ω/□になるように蒸着した。このフィルムをスリッ
トし、全幅38mm、マージン幅1mmの金属化フィル
ムを得た。得られたフィルム一対2リールを用いて素子
巻し、素子の端面に金属溶射し、ここからリード線を取
り出して容量5μFのコンデンサー素子を作製した。ま
た、実施例1と同様に用いたポリプロピレン原料の樹脂
特性を表1に、得られたポリプロピレンフィルムとコン
デンサー素子についての評価結果を表2にまとめた。
【0069】本フィルムは、A層を積層していないた
め、粗大突起があり、突起も不均一であり、コンデンサ
ーの素子ライフ性に劣っていた。
【0070】比較例3 A層樹脂として、メルトフローレイト(MFR)が8.
0g/10分、溶融張力(MS)が3.7cNのポリプ
ロピレン原料80重量部、MFRが3.0g/10分の
高密度ポリエチレン20重量部、2,6−ジ−t−ブチ
ル−p−クレゾール(BHT)0.4重量部、およびテ
トラキス[メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ
ガイギー社製"Irganox"1010)0.3重量部を添加した
もの(MFR:5.0g/10分、MS:3.9g/1
0分)を用いた以外は、実施例1と同様の方法でポリプ
ロピレンフィルムを得た。
【0071】また、実施例1と同様に、用いたポリプロ
ピレン原料の樹脂特性を表1に、得られたポリプロピレ
ンフィルムとコンデンサー素子についての評価結果を表
2にまとめた。
【0072】本フィルムは、式(1)に記載されたA層
のMSとMFRの関係式を満たすことから表面粗さは均
一であるが、融点が低い(118℃)高密度ポリエチレ
ンがA層中に含まれているために高温での電気絶縁性に
劣り、コンデンサー用として用いたときに絶縁破壊電圧
が低く、素子ライフ性、リサイクル性にも劣っていた。
【0073】比較例4 B層樹脂として、メソペンタッド分率(mmmm)が9
0.0%、メルトフローレイト(MFR)が5.2g/
10分のポリプロピレン原料を用いた以外は、実施例1
と同様の方法でポリプロピレンフィルムを得た。
【0074】実施例1と同様に、用いたポリプロピレン
原料の樹脂特性を表1に、得られたポリプロピレンフィ
ルムとコンデンサー素子についての評価結果を表2にま
とめた。
【0075】本フィルムは、表面粗さは均一であるが、
B層のポリプロピレン原料のメソペンタッド分率が低す
ぎるため、コンデンサー用として用いたときに絶縁破壊
電圧が低く、素子ライフ性、リサイクル性にも劣ってい
た。
【0076】比較例5 B層樹脂として、メソペンタッド分率(mmmm)が9
9.8%、メルトフローレイト(MFR)が4g/10
分のポリプロピレン原料を用いた以外は、実施例1と同
様の方法でポリプロピレンフィルムを得た。
【0077】実施例1と同様に、用いたポリプロピレン
原料の樹脂特性を表1に、得られたポリプロピレンフィ
ルムとコンデンサー素子についての評価結果を表2にま
とめた。
【0078】本フィルムは、B層のポリプロピレン原料
のメソペンタッド分率が高すぎるために粗大突起があ
り、表面粗さも不均一となり、コンデンサー用として用
いたときに絶縁破壊電圧が低く、素子ライフ性、リサイ
クル性にも劣っていた。
【0079】
【表1】
【0080】
【表2】
【0081】
【発明の効果】本発明のポリプロピレンフィルムは、包
装用や工業用等に適しており、特にコンデンサー用フィ
ルムとして好適であり、優れた絶縁破壊強度、素子ライ
フ、リサイクル性が得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AK07A AK07B BA02 BA07 DD07B GB15 GB48 JA04B JA06B JL16 YY00B 5E082 BC35 BC40 FF15 FG06 FG35 PP04 PP06 PP08 PP10

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メソペンタッド分率が92〜99.5%
    のポリプロピレン樹脂層(B層)の少なくとも片面に、
    最大表面粗さRmaxと中心線平均表面粗さRaの比Rmax
    /Raが8〜16の範囲であって、標準面積当たりの突
    起個数SPcが10(個/0.1mm2)以上であるポ
    リプロピレン樹脂層(A層)が積層されており、かつA
    層を構成する樹脂の結晶融解温度が150℃以上である
    ことを特徴とするポリプロピレンフィルム。
  2. 【請求項2】 A層ポリプロピレン樹脂の230℃で測
    定したときの溶融張力(MS)とメルトフローレイト
    (MFR)の関係が、次式(1) log(MS)>−0.56log(MFR)+0.74・・・(1) を満たすことを特徴とする請求項1に記載のポリプロピ
    レンフィルム。
  3. 【請求項3】 コンデンサー用であることを特徴とする
    請求項1または2に記載のポリプロピレンフィルム。
  4. 【請求項4】 油含浸型コンデンサー用であることを特
    徴とする請求項3記載のポリプロピレンフィルム。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のポリプロピレ
    ンフィルムを用いて製造したフィルムコンデンサー。
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