JP2002533360A - 蛋白質キナーゼ活性を調節するためおよび癌の化学療法において用いるための3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン化合物 - Google Patents

蛋白質キナーゼ活性を調節するためおよび癌の化学療法において用いるための3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン化合物

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JP2002533360A JP2000590484A JP2000590484A JP2002533360A JP 2002533360 A JP2002533360 A JP 2002533360A JP 2000590484 A JP2000590484 A JP 2000590484A JP 2000590484 A JP2000590484 A JP 2000590484A JP 2002533360 A JP2002533360 A JP 2002533360A
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    • A61P35/00Antineoplastic agents

Abstract

(57)【要約】 本発明は,蛋白質キナーゼの酵素活性を調節し,したがって,蛋白質キナーゼ関連細胞性疾患,例えば癌の予防および治療において有用であると予測される3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン化合物に関する。さらに,これらの化合物は,癌の治療において他の化学療法剤,特にフッ化ピリミジンの有効性を増強すると予測される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】 序 本発明は,一般に,化学,生化学,薬理学,医薬および癌治療に関する。より
詳細には,本発明は,蛋白質キナーゼ(PK)の活性を調節する3−ヘテロアリ
ーリデニル−2−インドリノン化合物,および異常な蛋白質キナーゼ活性に関連
する疾患,例えば癌の治療において,この化合物と他の化学療法剤を組み合わせ
て用いる方法に関する。
【0002】 発明の背景 以下は,背景情報としてのみ提供されるものであり,本発明に対する先行技術
であると認めるものではない。
【0003】 PKは,蛋白質のチロシン,セリンおよびトレオニン残基上のヒドロキシ基の
リン酸化を触媒する酵素である。この外観上は単純な活性の結果は圧倒的である
。細胞成長,分化および増殖,すなわち,細胞生命のほぼすべての観点が種々の
仕方でPK活性に依存する。さらに,異常なPK活性は,比較的生命を脅かさな
い疾患(例えば乾癬)から,非常に悪性の疾患(例えば神経膠細胞腫(脳癌))
までの範囲の疾患の宿主と関連づけられてきた。
【0004】 PKは,慣用的に2種類に分類することができる:蛋白質チロシンキナーゼ(
PTK)およびセリン−トレオニンキナーゼ(STK)。
【0005】 PK活性の主な観点は,成長因子レセプターへのその関与である。成長因子レ
セプターは,細胞表面蛋白質である。成長因子リガンドが結合すると,成長因子
レセプターは活性型に変換され,これが細胞膜の内表面上の蛋白質と相互作用す
る。これは,レセプターおよび他の蛋白質上のチロシン残基のリン酸化を引き起
こし,細胞内部で種々の細胞質シグナリング分子との複合体を形成する。次にこ
れらの複合体は,多くの細胞性応答,例えば,細胞***(増殖),細胞分化,細
胞成長,細胞外微細環境に対する代謝的効果の発現等を行う。さらに詳しい議論
については,Schlessinger and Ullrich,Neuro
n,9:303−391(1992)(本明細書において完全に記載されている
ように,図面を含め本明細書の一部としてここに引用する)を参照されたい。
【0006】 PK活性を有する成長因子レセプターは,レセプターチロシンキナーゼ("R
TK")として知られている。これらは,多様な生物学的活性を有する膜貫通レ
セプターの大きなファミリーを含む。現在のところ,RTKの少なくとも19個
の異なるサブファミリーが同定されている。これらのサブファミリーの例は,"
HER"RTKと称されるサブファミリーであり,これにはEGFR(上皮成長
因子レセプター),HER2,HER3およびHER4が含まれる。これらのR
TKは,細胞外グリコシル化リガンド結合ドメイン,膜貫通ドメイン,および蛋
白質上のチロシン残基をリン酸化しうる細胞内細胞質触媒ドメインから構成され
る。
【0007】 別のRTKサブファミリーは,インスリンレセプター(IR),インスリン様
成長因子Iレセプター(IGF−1R)およびインスリンレセプター関連レセプ
ター(IRR)を含む。IRおよびIGF−1Rはインスリン,IGF−Iおよ
びIGF−IIと相互作用して,2つの完全に細胞外グリコシル化されたαサブ
ユニットと2つのβサブユニットのヘテロ4量体を形成し,これは細胞膜を横切
り,チロシンキナーゼドメインを含有する。
【0008】 第3のRTKサブファミリーは,血小板由来成長因子レセプター("PDGF
R")群と称され,これにはPDGFRα,PDGFRβ,CSFIR,c−k
itおよびc−fmsが含まれる。これらのレセプターは,可変数のイムノグロ
ビン様ループおよび細胞内ドメインからなるグリコシル化された細胞外ドメイン
から構成され,ここでチロシンキナーゼドメインは関連のないアミノ酸配列によ
り分断されている。
【0009】 別の群は,そのPDGFRサブファミリーとの類似性のため,しばしばPDG
FRサブファミリーに包摂される,胎児肝キナーゼ("flk")レセプターサブ
ファミリーである。この群は,キナーゼ挿入ドメイン−レセプター胎児肝キナー
ゼ−1(KDR/FLK−1),flk−1R,flk−4およびfms様チロ
シンキナーゼ1(flt−1)からなると考えられている。
【0010】 チロシンキナーゼ成長因子レセプターファミリーの別の1つのメンバーは,繊
維芽細胞成長因子("FGF")レセプター群である。この群は,4つのレセプタ
ー,FGFR1−FGFR4,および7つのリガンド,FGF1−FGF7から
構成される。まだあまり明確にされていないが,レセプターは,可変数のイムノ
グロビン様ループおよび細胞内ドメインを含有するグリコシル化された細胞外ド
メインから構成されるようであり,ここでPTK配列は関係のないアミノ酸配列
の領域により分断されている。
【0011】 既知のRTKサブファミリーのより完全なリストは,Plowman et
al.,DN&P,7(6):334−339(1994)(本明細書において
完全に記載されているように,図面を含め本明細書の一部としてここに引用する
)に記載されている。
【0012】 RTKに加え,"非レセプターチロシンキナーゼ"または"細胞性チロシンキナ
ーゼ"と称される,完全に細胞内のPTKのファミリーが存在する。本明細書に
おいては,"CTK"と略されるこの後者の呼称を使用する。CTKは細胞外およ
び膜貫通ドメインを含有しない。現在のところ,11個のサブファミリー(Sr
c,Frk,Btk,Csk,Abl,Zap70,Fes,Fps,Fak,
JakおよびAck)の24個を越えるCTKが同定されている。Srcサブフ
ァミリーは,これまでのところ,CTKのもっとも大きい群であるようであり,
Src,Yes,Fyn,Lyn,Lck,Blk,Hck,FgrおよびYr
kを含む。CTKのより詳細な議論については,Bolen,Oncogene
,8:2023−2031(1993)(本明細書において完全に記載されてい
るように,図面を含め本明細書の一部としてここに引用する)を参照されたい。
【0013】 セリン/トレオニンキナーゼもしくはSTKは,CTKと同様に主として細胞
内にあるが,STKレセプターキナーゼは少ない。STKはもっとも一般的なサ
イトゾルキナーゼである。すなわち,細胞質オルガネラおよび細胞骨格以外の,
細胞質のその部分でその機能を行うキナーゼである。サイトゾルは,細胞の中間
代謝および生合成活性のほとんどが生ずる細胞中の領域である。例えば,蛋白質
がリボソーム上で合成されるのはサイトゾル内である。
【0014】 RTK,CTKおよびSTKはすべて,病原性状態,特に癌を含む状態のホス
トであることが示唆されてきた。PTKと関連づけられてきた他の病原性状態に
は,限定されるものではないが,乾癬,肝硬変,糖尿病,アテローム性動脈硬化
,脈管形成,再狭窄,眼性疾患,慢性関節リウマチおよび他の炎症性疾患,自己
免疫疾患,および種々の腎臓疾患が含まれる。
【0015】 癌に関しては,腫瘍の発達を推進する過剰な細胞増殖を説明する主要な仮説の
2つは,PKにより制御されることが知られている機能に関連する。すなわち,
悪性細胞成長は細胞***および/または分化を調節するメカニズムの故障に起因
することが示唆されている。多数のプロトオンコジンの蛋白質産物は,細胞成長
および分化を制御するシグナル伝達経路に関与することが示されている。これら
のプロトオンコジンの蛋白質産物には,上で議論した,細胞外成長因子,膜貫通
成長因子PTKレセプター(RTK),細胞質PTK(CTK)およびサイトゾ
ルSTKが含まれる。
【0016】 癌は,依然として,ヒトの死亡の主な原因の1つである。癌の大部分は,固体
腫瘍癌,例えば,限定されないが,卵巣癌,直腸結腸癌,脳癌,肝臓癌,腎臓癌
,胃癌,前立腺癌,肺癌,甲状腺癌,カポジ肉腫および皮膚癌である。固体腫瘍
癌のうち,直腸結腸癌は特に一般的な悪性腫瘍である。米国およびほとんどの西
洋化国ではおよそ20人に1人が大腸の腺癌に罹患している。米国では,直腸結
腸癌は新たに診断された癌の約15%を占める。直腸結腸癌は癌関連死亡の3番
目に多い原因であるが,予後および結果は診断時における疾病の段階に非常に依
存する。直腸結腸癌は早期段階で診断された場合,多分野治療計画を用いてきわ
めて治癒可能である。いずれにしても,この疾病であると診断された患者の20
−25%に転移が生じるか,局所再発性または転移性疾病を発生し,これらの患
者の大部分は最終的にこの疾病のために死亡する。
【0017】 結腸直腸癌を含む固体腫瘍癌の治療の基本的なモードは,外科手術,放射線治
療および化学療法を,別々に,または組み合わせて行う。
【0018】 腫瘍の最初の形成および成長は新たな血管の形成を必要としないが,さらに成
長するためには新生血管形成が必要である。すなわち,腫瘍が体積3−4mm3
を越えて成長するためには,新たな血管の成長,すなわち,現存する血管から新
たな毛細血管の芽を出す新脈管形成が生じなければならない。実際,成長してい
る腫瘍の縁からの腫瘍切片の免疫組織化学的分析は,腫瘍のタイプにかかわらず
,多数の血管を示す。この新生血管形成を達成するために,脈管形成因子が低酸
素症腫瘍細胞から放出され,近くの血管内皮細胞に移動し,これらの細胞を活性
化して形態学的に変化させ,移動させ,***させる。適切な脈管構造を有しない
腫瘍は,壊死性(Brem,S.,et al.,Cancer Res.,1
976,36,2807−12)および/またはアポトーシス性(Holmgr
en,L.,et al.,Nature Med.,1995,1:149−
53;Parangi,S.,et al.,Cancer Res.,199
5,55:6071−6)となり,一方,新生血管形成を行った腫瘍は,急速な
成長の相に入りうるのみならず,増加した転移性能力を示す。ヒト腫瘍における
新脈管形成の重要性を支持するものとして,脈管形成の表現型および患者の生存
に関連した最近の研究は,原発性腫瘍中の微小血管の数が,乳癌腫(Gaspa
rini,G.,and Harris,A.L.,J.Clin.Oncol
.,1995,13:765−82;Toi,M.,et al.,Japan
.J.Cancer Res.,1994,85:1045−9),膀胱癌腫(
Dickinson,A.J.,et al.,Br.J.Urol.,199
4,74:762−6),結腸癌腫(Ellis,L.M./ et al.,
Surgery,1996,120(5):871−8),口腔腫瘍(Will
iams,J.K.,et al.,Am.J.Surg.,1994,168
:373−80)の予後において重要であることを示している。新脈管形成はま
た,造血新生物および多発性骨髄腫の成長において役割を果たしているかもしれ
ない(Bellamy,W.T.,et al.,Proc.Amer.Ass
oc.Cancer Res.,1998,Abstract#2566)。
【0019】 現在,悪性腫瘍の新脈管形成の中心的な媒介物は,内皮の有糸***促進物質で
ある血管内皮成長因子(VEGF)であると考えられている。VEGFは,多く
のタイプの小および大血管の内皮細胞有糸***促進物質である。これは,組織因
子,コラゲナーゼおよびプラスミノーゲンアクチベータおよび阻害剤の産生を誘
導する。VEGFは,その透過性促進効果のため,しばしば"血管透過性因子"と
称される(Landriscina,M.,et al.,Brit.J.Ca
ncer,1998,78(6):765−770)。実際,VEGFの血管透
過性係数は,よく知られる血管透過性分子であるヒスタミンより約50,000
倍高い(Dvorak,H.F.,et al.,Am.J.Path.,19
95,146:1029−39)。この高い透過性のため,循環からのフィブロ
ゲンなどの高分子の溢出が生じ,これは内皮細胞ならびに腫瘍細胞の移動および
組織化のためのフィブリンゲル網または基底を提供する(Kumar,H.,e
t al.,Clin.Cancer Res.,1998,4:1279−8
5)。VEGF発現は,インビトロで多くのヒト癌細胞株において,および胃腸
管,卵巣,脳,乳および腎臓の外科的に切除された腫瘍中で示されている(Th
omas,K.A.,J.Biol.Chem.,1996,271:603−
6)。
【0020】 VEGFはまた,直腸結腸癌の発達と密接に関連づけられてきた。すなわち,
直腸結腸癌を有する患者からの腫瘍組織において,VEGFのレベルの増加が認
められている。実際,VEGFの増加と,疾病段階および腸管壁侵入の深度との
間に強い相関関係が認められている(C.Barone,et al.,Bri
t.J.Cacer,1998,78(6):765−70)。この結果と一致
して,VEGFの血清レベルがデュークス分類および癌胎児性抗原レベルと有意
に相関していること,および肝臓および/またはリンパ節転移を有する患者はそ
のような転移を有しない患者より高い血清VEGFレベルを有する傾向にあるこ
とが見いだされている(Fujisaki,K.,et al.,Am.J.G
astroenterology,1998,93(2):249−52)。
【0021】 固体腫瘍の成長に新生血管形成が必要であり,VEGFが特に直腸結腸癌にお
いて新脈管形成の最も重要な媒介物としての役割を果たすのであれば,VEGF
の脈管形成効果を阻害しうる化合物は,フルオロウラシルに基づく直腸結腸癌治
療において観察される反跳効果を遅らせ,このことによりフルオロウラシル単独
またはロイコボリンとの組み合わせの化学療法の有効性を増加させるであろう。
そのような方法の追加の利点は,腫瘍が新たな血管を発達させる能力を減少させ
,したがって細胞毒性ではなくむしろ静細胞性である脈管形成阻害剤の使用は,
標準的な細胞毒性化学療法を補完することであろう。すなわち,異なる作用メカ
ニズムを用いて,追加の毒性を与えることなく,細胞毒性薬剤の有効性を増加さ
せることができる。
【0022】 発明の概要 蛋白質キナーゼ媒介性シグナル伝達を調節する小有機分子についての本発明者
らの探索により,蛋白質キナーゼ(PK),例えばレセプターチロシンキナーゼ
(RTK),細胞性チロシンキナーゼ(CTK)およびセリン−トレオニンチロ
シンキナーゼ(STK)の活性を調節する3−ヘテロアリーリデニル−2−イン
ドリノンが見いだされた。RTKには,例えば,Flk−1,Flt−1,Ti
e−1およびTie−2が含まれ,これらの発現はすべて内皮細胞に限定される
ことが見いだされている。本発明に関連して特に重要なことは,Flk−1が新
脈管形成において重要な役割を果たすと考えられており,この役割はVEGFに
より媒介されていることである。このことは,3−ヘテロアリーリデニル−2−
インドリノンが,化学療法剤(例えば,限定されないが,フッ化ピリミジン)が
患者に投与されていない期間に腫瘍のVEGF媒介性血管新生を阻害し,このこ
とにより腫瘍の成長を阻害することができ,したがって,化学療法剤の有効性を
増加させるはずであることを示す。
【0023】 すなわち,1つの観点においては,本発明は,細胞において新脈管形成または
血管形成を阻害する3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン化合物,すな
わち,次の化学構造:
【化2】 [式中, R1はHまたはアルキルであり; R2はOまたはSであり; R3は水素であり; R4,R5,R6,およびR7は,それぞれ独立して,水素,アルキル,アルコキシ
,アリール,アリールオキシ,アルカリール,アルカリールオキシ,ハロゲン,
トリハロメチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR
’,OH,CN,C(O)R,OC(O)R,(CH2nCO2R,およびCO
NRR’からなる群より選択され; Aは,チオフェン,ピロール,ピラゾール,イミダゾール,1,2,3−トリア
ゾール,1,2,4−トリアゾール,オキサゾール,イソオキサゾール,チアゾ
ール,イソチアゾール,2−スルホニルフラン,4−アルキルフラン,1,2,
3−オキサジアゾール,1,2,4−オキサジアゾール,1,2,5−オキサジ
アゾール,1,3,4−オキサジアゾール,1,2,3,4−オキサトリアゾー
ル,1,2,3,5−オキサトリアゾール,1,2,3−チアジアゾール,1,
2,4−チアジアゾール,1,2,5−チアジアゾール,1,3,4−チアジア
ゾール,1,2,3,4−チアトリアゾール,1,2,3,5−チアトリアゾー
ル,およびテトラゾールからなる群より選択される五員のヘテロアリール環であ
り,1またはそれ以上の位置において,アルキル,アルコキシ,アリール,アリ
ールオキシ,アルカリール,アルカリールオキシ,ハロゲン,トリハロメチル,
S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR’,OH,CN,
C(O)R,OC(O)R,(CH2nCO2R,またはCONRR’で任意に
置換されていてもよく; nは0−3であり;そして, RおよびR’は,独立して,アルキルまたはアリールからなる群より選択される
] を有する化合物またはその薬学的に許容しうる塩またはプロドラッグに関する。
【0024】 "アルキル"とは,直鎖,分枝鎖または環状の飽和脂肪族炭化水素を表す。好ま
しくは,アルキル基は,1−12個の炭素を有する。より好ましくは,これは1
−7個の炭素を有し,より好ましくは,これは1−4個の炭素を有する低級アル
キルである。典型的なアルキル基には,メチル,エチル,プロピル,イソプロピ
ル,ブチル,イソブチル,3級ブチル,ペンチル,ヘキシル等が含まれる。アル
キル基は,ヒドロキシル,−C(O)OR,シアノ,未置換アルコキシ,=O,
=S,NO2,ハロゲン,NRR’およびSRからなる群より選択される1また
はそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0025】 "アルケニル"とは,少なくとも1つの炭素−炭素二重結合を含むアルキル基を
表す。
【0026】 "アルキニル"とは,少なくとも1つの炭素−炭素三重結合を含むアルキル基を
表す。
【0027】 "アルコキシ"とは,"−O−アルキル"基を表し,ここで,アルキル基は1また
はそれ以上のハロ基で任意に置換されていてもよい。
【0028】 "アリール"とは,少なくとも1つの芳香族環,すなわち,共役パイ電子系を有
する1つの環構造を有する基を表し,炭素環式アリール,ヘテロ環式アリールお
よびビアリール基を含む。アリール基は,ハロゲン,トリハロメチル,ヒドロキ
シル,SR,ニトロ,シアノ,アルコキシ,アルキルおよびNRR’からなる群
より選択される1またはそれ以上の置換基で任意に置換されていてもよい。
【0029】 "アルカリール"とは,アリール基に共有結合しているアルキルを表す。好まし
くは,アルキルは未置換低級アルキルである。
【0030】 "炭素環式アリール"とは,環原子が炭素であるアリール基を表す。
【0031】 "ヘテロ環式アリール"とは,1−3個のヘテロ原子を環原子として有し,残り
の環原子が炭素であるアリール基を表す。ヘテロ原子には,酸素,イオウ,およ
び窒素が含まれる。環は5員環でも6員環でもよい。ヘテロ環式アリール基の例
としては,フラニル,チエニル,ピリジル,ピロリル,N−アルキルピロリル,
ピリミジニル,ピラジニル,イミダゾリルなどが挙げられる。
【0032】 "アミド"とは,−C(O)ONHRaを表し,ここで,Raは,アルキル,アリ
ール,アルキルアリールまたは水素である。
【0033】 "チオアミド"とは,−C(S)NHRaを表す。
【0034】 "アミノ"とは,RおよびR’の両方が水素であるNRR’基を表す。
【0035】 "チオエーテル"とは,−SRb基を表し,ここで,Rbは,アルキル,アリール
またはアルキルアリールである。
【0036】 "ハロゲン"とは,フッ素,塩素,臭素またはヨウ素を表す。
【0037】 "スルホニル"とは,−S(O)2cを表し,ここで,Rcはアリール,−C(
CN)=C−アリール,−CH2CN,アルキルアリール,−SO2NRR’,−
NH(アルキル),−NH(アルキルアリール),または−NH(アリール)で
ある。
【0038】 3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノンの生理学的に許容しうる塩およ
びプロドラッグもまた,本発明の範囲内である。
【0039】 "生理学的に許容しうる塩"とは,これを投与する患者の物理学的安寧に有害で
ない塩を表す。本発明の化合物が形成することができる生理学的に許容しうる塩
には,負または正に荷電した種が含まれる。化合物が正に荷電した成分を形成し
ている塩の例には,限定されないが,4級アンモニウム基の窒素原子が適当な酸
と反応した本発明の選択された化合物の窒素である,4級アンモニウム(本明細
書において定義される),塩酸,硫酸,炭酸,乳酸,酒石酸,マレイン酸,コハ
ク酸等の塩が含まれる。本発明の化合物が負に荷電した種を形成している塩には
,限定されないが,化合物中のカルボン酸基を適当な塩基(例えば水酸化ナトリ
ウム(NaOH),水酸化カリウム(KOH),水酸化カルシウム(Ca(OH
2)等)と反応させることにより形成されるナトリウム,カリウム,カルシウ
ムおよびマグネシウム塩が含まれる。
【0040】 "プロドラッグ"とは,インビボで親薬剤に転換される薬剤を表す。プロドラッ
グは,場合により,親薬剤より投与が容易であるかもしれないため,しばしば有
用である。例えば,プロドラッグは経口投与により生物学的に利用可能であるが
,親薬剤はそうではない。プロドラッグはまた,親薬剤よりも医薬組成物中で改
良された溶解性を有するかもしれない。プロドラッグの例は,限定されるもので
はないが,エステル("プロドラッグ")として投与されて,水溶性であることが
移動に不利である細胞膜の通過を容易にし,次に,水溶性であることが有利であ
る細胞内に入った後,代謝的に加水分解されて活性種のカルボン酸となるような
,本発明の化合物であろう。プロドラッグのさらに別の例は,カルボキシ基に結
合している短いポリペプチドであり,ポリペプチド基の代謝的除去により活性化
合物が放出される。
【0041】 本発明の3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン化合物は,EまたはZ
異性体,またはそれらの組み合わせとして存在することができる。これらのすべ
てのコンフィギュレーションは本発明の範囲内である。本発明の好ましい態様に
おいては,3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノンは,主として(90%
より多い)Z異性体である。
【0042】 "阻害する"とは,排除する,減少させる,含有する,じゃまする,妨害する,
遅くする,遅延させるおよび/または制限することを意味する。本発明の現在好
ましい態様においては,阻害するとは,新脈管形成または血管形成を阻害するこ
とを意味する。
【0043】 "新脈管形成"活性とは,組織において新たな血管を形成することを意味する。
【0044】 "血管形成"とは,新たな血管が組織に広がり,脈管系を形成することを意味す
る。
【0045】 別の観点においては,本発明の3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン
化合物は,3−[4−(2−カルボキシエチル−3,5−ジメチルピロール−2
−イル)メチリデニル]−2−インドリノン(構造1)である。
【0046】 本発明のさらに別の観点においては,3−ヘテロアリーリデニル−2−インド
リノンは3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−
インドリノン(構造2)である。
【化3】
【0047】 本発明のさらに別の観点においては,そのような治療を必要とする患者に治療
上有効量の他の化学療法剤および治療上有効量の3−ヘテロアリーリデニル−2
−インドリノンを投与することを含む,癌を治療する方法が提供され,ここで,
3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノンは次の化学構造を有する:
【化4】 [式中,R1,R2,R3,R4,R5,R6,R7,およびAは,上で定義したもの
と同じである]。
【0048】 現在好ましい態様においては,化学療法剤はフッ化ピリミジンである。
【0049】 ここでもまた,3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリンの生理学的に許容
しうる塩またはプロドラッグも,本発明のこの組み合わせ化学療法の観点の範囲
内である。
【0050】 "方法"との用語は,所与の作業を遂行するための様式,手段,技術,および手
順を表し,化学,薬理学,生物学,生化学,および医学的技術の従業者には周知
の,あるいは既に該従業者によって既知の様式,手段,技術,および手順から開
発された様式,手段,技術,および手順を含むがこれに限定されない。
【0051】 癌に関しては,"治療する"との用語は,単に,癌に罹患した個体の予想生存が
増加するであろうこと,疾病の1またはそれ以上の症状が減少するであろうこと
,および/または生活の質が向上するであろうことを意味する。
【0052】 本明細書において用いる場合,"投与する","投与すること"または"投与"とは
,本発明の化合物,塩またはプロドラッグ,または本発明の化合物,塩またはプ
ロドラッグを含む医薬組成物を,癌の治療またはPK−関連疾患の予防または治
療の目的のために患者に輸送することを表す。
【0053】 本明細書において用いる場合,"投与"に関連して"含む"とは,本発明に従って
投与される薬剤が,単に3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン化合物と
化学療法剤のみとの組み合わせとして投与されてもよく,または追加の薬剤,例
えば,化学療法剤がフッ化ピリミジンである場合,組み合わせに追加の有利な特
徴を与えることが知られているかまたは予測されるロイコボリンを含むように拡
張されてもよいことを意味することが意図される。
【0054】 一般に,"治療上有効量"とは,疾病の症状を予防,軽減,減少,または改善す
るか,または治療中の患者の生存を延長するのに有効な薬剤またはその代謝産物
の量を表す。特に,癌の治療に関しては,治療上有効量は,(1)腫瘍の大きさ
を減じる(好ましくは排除する),(2)腫瘍の転移を阻害する(すなわち速度
をある程度まで減じる,好ましくは停止する),(3)腫瘍の成長をある程度阻
害する(すなわち速度をある程度まで減じる,好ましくは停止する),および/
または(4)癌に関連した1またはそれ以上の症状をある程度までやわらげる(
または,好ましくは除去する)という効果を有する量を表す。
【0055】 上述の一般的定義に加えて,"治療上有効量の"化学療法剤とは,医学の技術分
野において現在認識されているか,またはこれらの薬剤の使用に関する将来の開
発の結果として生ずる任意の方法および任意の治療計画で投与される任意の量を
意味する。本発明の現在好ましい態様においては,化学療法剤は,フッ化ピリミ
ジン,特に,フルオロウラシルであり,治療計画は,フルオロウラシルの投与に
ついて化学療法の技術分野において知られているものである。
【0056】 "治療計画"とは,確立された期間にわたり規定時間に規定方法で投与される,
選択された化学療法剤(および任意に他の薬剤,例えば本発明の3−ヘテロアリ
ーリデニル−2−インドリノン化合物)の特定の量を表す。例えば,限定されな
いが,直腸結腸癌をフルオロウラシル/ロイコボリンで治療する一般的な治療計
画は,425mg/m2(ミリグラム/体表面積1平方メートル,当業者によく
知られている化学療法剤の用量を測定する方法)のフルオロウラシルと20mg
/m2のロイコボリン(特定の量の選択された薬剤)を5日間毎日(規定時間)
静脈内押出(規定方法)により投与し,これを4−5週間の間隔(確立された期
間)で行うことを含む。
【0057】 治療計画において投与の"規定時間"に関連する場合,"連続日"とは,連続する
カレンダー日,例えば月曜日,火曜日,水曜日などを意味する。"交互交替的な"
日とは,間にカレンダー日が挟まれたカレンダー日,例えば,限定されないが,
月曜日,水曜日,土曜日などを意味する。
【0058】 さらに,"治療上有効量の3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン"との
語句は,"回復"期すなわち,治療計画中の他の化学療法剤が患者に投与されない
期間の間に,腫瘍の成長,サイズおよび血管新生,すなわち,新脈管形成および
/または血管形成を阻害するのに十分な化合物の量を表す。
【0059】 "患者"とは,PK関連疾患,例えば特定の癌に罹患している高等生物を意味す
る。好ましくは,"患者"は哺乳動物,特にヒトを表す。
【0060】 "フッ化ピリミジン化学療法剤"は,化学療法の分野の当業者にはよく知られて
いる。本発明の化合物とともに用いることができるフッ化ピリミジンの例として
は,限定されないが,カルモフール,ドキシフルリジン,フルオロウラシル,フ
ロキシウリジン,テガフール,カペシタビンおよびウラシル−フトラフール(U
FT)が含まれる。
【0061】 本発明の現在好ましい態様においては,フッ化ピリミジン化学療法剤はフルオ
ロウラシルである。
【0062】 フッ化ピリミジン化学療法剤がフルオロウラシルである場合,上述の癌の治療
方法はまたロイコボリンを含むことも,本発明の現在好ましい態様である。
【0063】 本発明のさらに別の観点においては,癌を治療するために他の化学療法剤と組
み合わせて用いられる3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノンは,5−ヒ
ドロキシ−3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2
−インドリノン(構造3),4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ
インドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カルボン酸(構造4
),4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデ
ンメチル)−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル(構造5),3−
(5−ヒドロキシメチル−3−メチル−1H−ピロール−2−イルメチレン)−
1,3−ジヒドロインドール−2−オン(構造6)および4−メチル−5−(2
−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロー
ル−2−カルボアルデヒド(構造7)からなる群より選択される:
【化5】
【0064】 本発明のさらに別の観点においては,他の化学療法剤と組み合わせて癌の治療
に用いられる3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン化合物は,3−[4
−(2−カルボキシエチル−3,5−ジメチルピロール−2−イル)メチリデニ
ル]−2−インドリノン(構造1)である。
【0065】 本発明のさらに別の観点においては,他の化学療法剤と組み合わせて癌の治療
に用いられる3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノン化合物は,3−[(
2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノン(構
造2)である。
【0066】 上述の方法を用いて治療することができる癌は,乳癌,胃癌,卵巣癌,腎臓癌
,肝臓癌,膵臓癌,膀胱癌,甲状腺癌,前立腺癌および直腸結腸癌からなる群よ
り選択することができる。
【0067】 本発明のさらに別の観点は,そのような治療を必要とする患者に,治療上有効
量のフルオロウラシル,および3−[4−(2−カルボキシエチル−3,5−ジ
メチルピロール−2−イル)メチリデニル]−2−インドリノンおよび3−[(
2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンから
なる群より選択される治療上有効量の化合物を投与することを含む,癌を治療す
る方法である。
【0068】 好ましい態様においては,癌は直腸結腸癌である。
【0069】 本発明の別の観点においては,癌の治療のための上述の方法はロイコボリンの
使用を含む。
【0070】 治療上有効量のフルオロウラシルは,約300−約800mg/m2,好まし
くは約400−約500mg/m2の化合物を含む。
【0071】 本発明のさらに別の観点においては,治療上有効量のフルオロウラシルは静脈
内ボーラス注射としてまたは連続静脈内注入として投与される。
【0072】 治療上有効量の3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)−メチリデニ
ル]−2−インドリノンは,約4−約190mg/m2,好ましくは約72−1
45mg/m2の化合物を含む。
【0073】 治療上有効量のロイコボリンは,約20−約500mg/m2,好ましくは約
20−約200mg/m2の化合物を含む。
【0074】 本発明のさらに別の観点は,約400−約500mg/m2のフルオロウラシ
ルを1またはそれ以上の日にち投与し(連続的でも交互交替的でもよい),その
後に,約72−約145mg/m2の3−[(2,4−ジメチルピロール−5−
イル)メチリデニル]−2−インドリノンを1またはそれ以上の日にち投与する
(同様に,連続的でも交互交替的でもよい)ことを含む治療計画である。
【0075】 別の観点においては,フルオロウラシルを投与する日に20mg/m2のロイ
コボリンをも投与してもよい。
【0076】 本発明の現在好ましい態様においては,上述の治療計画は,治療計画の第1週
の第1,2,3,4および5日にフルオロウラシル(および任意にロイコボリン
)を静脈内ボーラス注射し,治療計画の第2,3および4週の間に週2回,3−
[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノン
を静脈内ボーラス注射することからなる,4週間の治療計画である。
【0077】 本発明の別の観点は,そのような治療を必要とする患者に,治療上有効量の3
−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノ
ンおよび治療上有効量のゲムシタビン(別のフルオロピリミジン化合物)を投与
することを含む,癌を治療する方法である。ゲムシタビンは,進行膵臓癌の治療
において特に有効であることが示されている。さらに,他の化学療法剤,例えば
パクリタキセル,カルボプラチン,ドキソルビシン(特に,リポソーム性ドキソ
ルビシン)およびトポテカンとの組み合わせにおいて,ゲムシタビンは他の不応
性固体腫瘍癌,例えば進行卵巣癌,小細胞肺癌および腎臓癌に対して実質的な活
性を示す。ゲムシタビンと3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチ
リデニル]−2−インドリノン単独との組み合わせ,またはさらに別の化学療法
剤,例えば上述したものとの組み合わせは,フルオロピリミジンに関して一般的
に議論した理由により,さらに毒性を与えることなく固体腫瘍阻害能力を与える
はずである。
【0078】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンとゲムシタビン以外のヌクレオシド類似体との組み合わせもまた本発明に
より企図される。
【0079】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンとの組み合わせが有益であるはずの別のピリミジン類似体は,転移性乳癌
に対して有効であることが示されているカペシタビンであり,このような組み合
わせは本発明の別の観点である。
【0080】 さらに,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2
−インドリノンと,ピリミジン化学療法剤である5−FUまたはUFTまたはそ
れに関連する誘導体,類似体または薬剤のいずれかとの化学療法的組み合わせは
,本発明の1つの観点である。
【0081】 本発明のさらに別の観点は,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチリデニル]−2−インドリノンと,カルボプラチン,オキサリプラチン,シ
スプラチンまたは関連する化学療法剤との組み合わせである。カルボプラチンお
よびシスプラチンは,現在のところ進行卵巣癌の治療の抜群の薬剤であり,オキ
サリプラチンは転移性直腸結腸癌の最も優れた化学療法剤である。3−[(2,
4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンをカルボ
プラチンまたはシスプラチンと組み合わせて使用することは,これらの2つの非
常に毒性の高い化学療法剤の癌の治療に必要な量を減少させることを可能とする
であろう。さらに,カルボプラチンまたはシスプラチンとパクリタキセルとの組
み合わせは,卵巣癌の治療に有望であることが示されている。これらの化学療法
剤の組み合わせに3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル
]−2−インドリノンを加えることにより,上述の組み合わせに関して述べてき
た利点と同じ利点が得られるかもしれない。現在好ましい化学療法剤の組み合わ
せは,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−イ
ンドリノン,シスプラチンおよびゲムシタビンからなる。
【0082】 本発明のさらに別の観点は,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチリデニル]−2−インドリノンと,パクリタキセル(タキソール),その合
成類似体であるドセタキセルまたはポリグルタミン酸化タキサン類との組み合わ
せである。パクリタキセルは,卵巣,乳,肺およびAIDS関連癌の治療に関し
てFDAにより認可されている。パクリタキセル/ドセタキセルは,本発明の化
合物とは異なるメカニズムにより作用する。すなわち,これらは細胞が有糸***
の間に有糸***スピンドルを分解する能力をブロックする。したがって,そのよ
うな特定の作用モードを有するこれらの薬剤を,3−[(2,4−ジメチルピロ
ール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンの抗血管形成活性と組み合
わせることにより,強力な抗腫瘍剤/静腫瘍剤の組み合わせを得ることができる
であろう。
【0083】 本発明のさらに別の観点は,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチリデニル]−2−インドリノンと,トポイソメラーゼI阻害剤であるカンポ
テシンの誘導体であって直腸結腸癌に有効であることが証明されているCPT1
1(イリノテカン)との組み合わせである。CPT11に関連する化学療法剤と
の組み合わせ治療もまた本発明により意図される。ここでもまた,作用モードの
組み合わせが,この型の癌の治療に実質的に有益であるかもしれない。
【0084】 本発明のさらに別の観点は,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチリデニル]−2−インドリノンと,特に,不応性骨髄腫および多型性神経膠
芽細胞腫(非常に悪性の脳癌)に対しても実質的な化学療法的有用性を示すサリ
ドマイドとの組み合わせである。この組み合わせに応答するであろう他の癌には
,前立腺癌,乳癌および皮膚癌(カポジ肉腫)が含まれる。
【0085】 本発明の1つの観点は,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチ
リデニル]−2−インドリノンとCOX−2阻害剤との化学療法的組み合わせで
ある。シクロオキシゲナーゼ−2の阻害は,新脈管形成を刺激する因子の産生を
妨害する。この組み合わせは,癌細胞の活力に必須の血管新生を2つの方法で攻
撃する。
【0086】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンとタモキシフェンまたはその誘導体とからなる組み合わせ治療は,本発明
の1つの観点である。タモキシフェンは,乳癌細胞の成長を促進することが示さ
れているエストロゲンの活性を阻害する。抗新脈管形成化合物である3−[(2
,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンとこの
"抗エストロゲン"化合物との組み合わせは,強力な追加の乳癌治療を提供するこ
とができるであろう。
【0087】 本発明の別の観点は,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリ
デニル]−2−インドリノンと,天然に生ずるゴナドトロピン放出ホルモンの合
成ノナペプチド類似体であって,特に精巣癌ならびに卵巣癌および乳癌にも有効
であることが示されているロイプロリドとの組み合わせである。ロイプロリドに
関連する薬剤を用いる組み合わせ治療もまた,本発明により企図される。この場
合にも,2つの異なる作用モードの化合物を組み合わせることにより,実質的な
有益性を得ることができるであろう。
【0088】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンと,アポトーシスにより新脈管形成を阻害するアンジオスタチン,エンド
スタチンまたは類似の化学療法剤との化学療法的組み合わせも同様に,本発明の
1つの観点である。アポトーシスはプログラムされた細胞死である。細胞殺傷性
抗新脈管形成と細胞静止性抗新脈管形成との組み合わせは,強力な化学療法的組
み合わせでありうる。
【0089】 さらに,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2
−インドリノンとマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)阻害剤との化学療
法的組み合わせは,癌を含む多くの疾病状態に関与していることが示されている
。MMP阻害剤,例えば,限定されないが,AG3340は,非小細胞肺癌およ
びホルモン不応性前立腺癌等の固体腫瘍癌に対して静腫瘍的効力を示す。新脈管
形成阻害剤の追加は,相乗的組み合わせを提供することができる。
【0090】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンとインターフェロンとの組み合わせは本発明の別の観点である。インター
フェロンアルファ,およびその種々のサブタイプ(例えば,限定されないが,イ
ンターフェロンアルファA/2a,アルファ/2b,アルファB2/アルファ8
)は,ヘアリーセル白血病,慢性骨髄性白血病,腎臓癌,黒色腫,低分化型リン
パ腫,多発性骨髄腫およびカポジ肉腫等の癌に対してよく確立された化学療法剤
である。
【0091】 本発明のさらに別の観点は,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチリデニル]−2−インドリノンと,ドキソルビシン,ダウノルビシンおよび
他のアントラサイクリン抗新生物抗生物質およびそれらの誘導体および処方,例
えば,限定されないが,リポソーム性ドキソルビシンとの化学療法的組み合わせ
である。ドキソルビシンは,悪性リンパ腫,白血病,頭頸部の扁平上皮細胞癌,
乳癌および甲状腺癌の治療に広く用いられている。リポソーム性ドキソルビシン
は,カポジ肉腫の治療用に認可されている。3−[(2,4−ジメチルピロール
−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンの抗新脈管形成活性により弱め
られた腫瘍細胞は,ドキソルビシンに対してはるかに感受性でありうる。3−[
(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンお
よびメトキサントロン(関連する化学療法剤)を用いる組み合わせ治療は,本発
明により特に企図されている。
【0092】 本発明の1つの観点である別の化学療法的組み合わせは,3−[(2,4−ジ
メチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンと,不応性前立
腺癌の治療において特に有用であることが示されているエストラムスチンおよび
これに関連する化学療法剤との組み合わせである。エストラムスチンは,DNA
合成を妨害することにより細胞死を引き起こす。ここでも,異なる作用モード,
すなわち,DNA合成の破壊と抗新脈管形成の組み合わせは,有用な化学療法的
組み合わせを提供することができる。
【0093】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンおよびビンカアルカロイド,例えば,限定されるものではないが,ビンク
リスチンおよびビンブラスチンを用いる組み合わせ治療もまた本発明により企図
される。
【0094】 本発明のさらに別の観点は,5−ヒドロキシ−3−[(2,4−ジメチルピロ
ール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノン(構造3),4−メチル−
5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H
−ピロール−2−カルボン酸(構造4),4−メチル−5−(2−オキソ−1,
2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カルボ
ン酸メチルエステル(構造5),3−(5−ヒドロキシメチル−3−メチル−1
H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3−ジヒドロインドール−2−オン(
構造6)および4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−
3−イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カルボアルデヒド(構造7)から
なる群より選択される3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノンである。
【0095】 上述の化合物の生理学的に許容しうる塩およびプロドラッグもまた,本発明の
範囲内に含まれる。
【0096】 さらに別の観点においては,本発明は,PKを上に示されるいずれかの構造を
有する化合物と接触させることを含む,PKの触媒活性を調節する方法に関する
【0097】 本明細書において用いられる場合,"調節"または"調節すること"との用語は,
RTK,CTK,およびSTKの触媒活性の変更を表す。特に,調節することは
,RTK,CTK,およびSTKの触媒活性の活性化を表し,好ましくは,RT
K,CTK,およびSTKに暴露される化合物または塩の濃度に依存したRTK
,CTK,およびSTKの触媒活性の活性化または阻害を表し,さらに好ましく
は,RTK,CTK,およびSTKの触媒活性の阻害を表す。
【0098】 本明細書において用いられる場合,"触媒活性"との用語は,RTKおよび/ま
たはCTKの直接または間接的な影響下でのチロシンのリン酸化,またはSTK
の直接または間接的な影響下でのセリンおよびトレオニンのリン酸化の速度を表
す。
【0099】 本明細書において用いられる場合,"接触させる"との用語は,本発明の化合物
と標的PKとを,当該化合物がPKの触媒活性を直接に,すなわちキナーゼ自体
と相互作用することによるか,または間接に,すなわち当該キナーゼの触媒活性
が依存している別の分子と相互作用することにより,影響することが可能な様式
で一緒に合わせることを表す。このような"接触させる"ことは,インビトロで,
すなわち試験管,ペトリ皿等において行うことができる。試験管内では,接触さ
せることは,化合物と目的とするPKのみが関与してもよく,あるいは全細胞が
関与してもよい。細胞は培養皿中で維持または成長させ,その環境において化合
物と接触させることができる。この文脈においては,特定の化合物がPK関連疾
患に影響を及ぼす能力,すなわち当該化合物のIC50(以下に定義される)を,
より複雑な生体を用いてのインビボでの使用を試みる前に測定することが可能で
ある。生体の外の細胞については,PKを当該化合物と接触させるための多様な
方法が存在し,かつ当業者には周知であり,例えば直接の細胞マイクロインジェ
クションおよび多数の膜貫通担体技術を含むがこれに限定されない。
【0100】 本発明の別の観点においては,上述のPKは,RTK,CTKまたはSTKか
らなる群より選択される。
【0101】 さらに,その触媒活性が本発明の化合物により調節されるレセプター蛋白質キ
ナーゼが,EGF,HER2,HER3,HER4,IR,IGF−1R,IR
R,PDGFRα,PDGFRβ,CSFIR,C−Kit,C−fms,Fl
k−1R,Flk4,KDR/Flk−1,Flt−1,FGFR−1R,FG
FR−2R,FGFR−3RおよびFGFR−4Rからなる群より選択されるこ
とも,本発明の1つの観点である。
【0102】 さらに,その触媒活性が本発明の化合物により調節される細胞性チロシンキナ
ーゼが,Src,Frk,Btk,Csk,Abl,ZAP70,Fes,Fp
s,Fak,Jak,Ack,Yes,Fyn,Lyn,Lck,Blk,Hc
k,FgrおよびYrkからなる群より選択されることも,本発明の1つの観点
である。
【0103】 その触媒活性が本発明の化合物により調節されるセリン−トレオニン蛋白質キ
ナーゼがCDK2およびRafからなる群より選択されることは,本発明の別の
観点である。
【0104】 別の観点においては,本発明は,そのような治療を必要とする患者においてP
K−関連疾患を治療または予防する方法に関し,該方法は,患者に治療上有効量
の1またはそれ以上の上述の化合物を投与することを含む。
【0105】 本明細書において用いられる場合,"PK関連疾患","PK推進性疾患",およ
び"異常なPK活性"とは,すべて不適切な,すなわち不完全な,あるいはより一
般的には過剰な,PK触媒活性によって特徴づけられる状態を表し,ここで特定
のPKはRTK,CTK,またはSTKであることが可能である。不適切な触媒
活性は;(1)正常にはPKを発現しない細胞におけるPKの発現,(2)望ま
しくない細胞増殖,分化および/または成長に導くPK発現の増加,または(3
)細胞増殖,分化および/または成長の望ましくない減少に導くPK発現の減少
,のいずれかの結果として生じることが可能である。PKの過剰な活性は,特定
のPKをコードしている遺伝子の増幅か,または細胞増殖,分化および/または
成長と相互に関係することが可能なあるレベルのPK活性の産生を表す(すなわ
ち,PKのレベルが増加すると,細胞性障害による一つまたはそれより多い症状
の激しさが増す)。低い活性は,もちろんその逆であり,PKのレベルが低下す
ると,一つまたはそれより多い細胞性障害による症状の激しさが増加する。
【0106】 PK−関連疾患に関して,"治療する,""治療すること"または"治療"とは,P
K−関連疾患の原因および/または効果の軽減または排除を表す。
【0107】 本明細書において用いられる場合,"予防する","予防すること",および"予
防"との用語は,生物がPK関連疾患を最初の場所で獲得することを妨げるため
の方法を表す。
【0108】 本発明のさらに別の観点においては,PK関連疾患は,RTK,CTKおよび
STK関連疾患からなる群より選択することができる。
【0109】 本発明のさらに別の観点においては,上述のPK関連疾患は,EGFR関連疾
患,PDGFR関連疾患,IGFR関連疾患およびflk関連疾患からなる群よ
り選択されることができる。
【0110】 本発明のさらに別の観点においては,上述の蛋白質キナーゼ関連疾患は,扁平
上皮癌,星状細胞腫,神経膠芽細胞腫,肺癌,膀胱癌,頭頸部癌,黒色腫,卵巣
癌,前立腺癌,乳癌,小細胞肺癌,直腸結腸癌,胃腸癌および神経膠腫からなる
群より選択される癌である。
【0111】 本発明のさらに別の観点においては,上述の蛋白質キナーゼ関連疾患は,糖尿
病,自己免疫疾患,過増殖疾患,再狭窄,線維症,乾癬,変形性関節症,慢性関
節リウマチ,炎症性疾患および新脈管形成からなる群より選択される。
【0112】 本発明の化合物により治療することができるかもしれない他の疾患には,限定
されないが,免疫学的および心血管疾患,例えば動脈硬化症がある。
【0113】 上述の化合物の医薬組成物は,本発明のさらに別の観点である。
【0114】 "医薬組成物"とは,1またはそれ以上の本明細書に記載される化合物または薬
剤,またはそれらの生理学的に許容される塩またはプロドラッグと,他の化学成
分,例えば生理学的に許容しうる担体および賦形剤との混合物を表す。医薬組成
物の目的は,化合物の生物への投与を容易にすることである。
【0115】 本明細書において用いる場合,"生理学的に許容しうる担体"とは,投与される
化合物の生物学的活性および特性を排除せず,例えば化合物を安定化または可溶
化することにより投与を容易にする担体または希釈剤を表す。好ましくは,担体
は,生物に顕著な刺激を引き起こさない。
【0116】 "賦形剤"とは,医薬組成物に加えて化合物の投与をさらに容易にする物質を表
す。賦形剤の例としては,限定されるものではないが,炭酸カルシウム,リン酸
カルシウム,種々の糖および各種の澱粉,セルロース誘導体,ゼラチン,植物油
,界面活性剤およびポリエチレングリコールが挙げられる。
【0117】 本発明のさらに別の観点は,細胞を本発明の3−ヘテロアリーリデニル−2−
インドリノンと接触させることを含む,細胞において腫瘍形成活性を阻害する方
法である。
【0118】 本明細書において用い,かつ細胞に関連する場合,"腫瘍形成"活性とは,新生
物の形成に寄与する細胞内および細胞外の生化学活性の両方を表す。
【0119】 "新生物"とは,細胞増殖により正常な細胞より早く成長し,新規成長を開始さ
せる刺激が停止した後であっても成長し続ける,異常な組織である。新生物は,
構造的秩序および正常組織との機能的協調を部分的にまたは完全に欠失しており
,通常は明確な組織の塊体を形成する。そのような塊体は,良性(良性腫瘍)ま
たは悪性腫瘍(固体腫瘍癌)でありうる。悪性新生物は,局所的に侵襲性であり
,破壊的であり,多くの場合転移性(影響を受けた生物の元の部位と離れた領域
において組織に広がり,侵入し,破壊する)である。新生物形成のプロセスは,
一般に,"新形成"と称される。すなわち,新形成とは,新生物が形成し,成長す
る生化学プロセスである。
【0120】 "悪性新生物","癌","腫瘍"および"固体腫瘍癌"との用語は,本明細書におい
て相互交換的に用いられ,単に"癌"として一般に称される生命を脅かす疾病とし
て当業者によく知られる状態を表す。
【0121】 腫瘍形成活性に関して,"阻害する"または"阻害"とは,新生物を排除する,減
少させる,含有する,じゃまする,妨害する,遅らせる,遅延させるおよび/ま
たは制限することを表す。
【0122】 "化学療法剤"とは,疾病を治療するために用いられる化学物質または薬剤を表
す。この用語は,しばしば主として癌の治療に用いられるそのような物質または
薬剤に適用される。
【0123】 発明の詳細な説明 1.摘要/標的疾病 一般 その触媒活性が本発明の化合物により調節されるPKには,蛋白質チロシンキ
ナーゼが含まれ,これには2つのタイプがある。レセプターチロシンキナーゼ(
RTK)および細胞性チロシンキナーゼ(CTK),およびセリン−トレオニン
キナーゼ(STK)である。RTK媒介性シグナル伝達は,特定の成長因子(リ
ガンド)との細胞外相互作用により開始され,次にレセプター二量体化,内在性
蛋白質チロシンキナーゼ活性の過渡的刺激およびリン酸化が続く。このことによ
り細胞内シグナル伝達分子の結合部位が形成され,適切な細胞性応答(例えば細
胞***,細胞外微小環境に対する代謝効果等)を容易にする,ある範囲の細胞質
シグナリング分子との複合体の形成につながる。Schlessinger a
nd Ullrich,1992,Neuron 9:303−391を参照。
【0124】 成長因子レセプター上のチロシンリン酸化部位は,シグナリング分子のSH2
(Srcホモロジー)ドメインのための高親和性結合部位として機能することが
示されている。Fantl et al.1992,Cell 69:413−
423,Songyang et al.1994,Mol.Cell.Bio
l.14:2777−2785),Songyang et al.1993,
Cell72:767−778),およびKoch et al.1991,S
cience 252:668−678。RTKと会合するいくつかの細胞内基
質蛋白質が同定されている。それらは二つの主要なグループに分けられる:(1
)触媒ドメインを有する基質,および(2)そのようなドメインを欠くが,アダ
プターとして役立ち,触媒活性のある分子と会合する。Songyang et
al.1993,Cell 72:767−778。レセプターとその基質の
SH2ドメインとの間の相互作用の特異性は,リン酸化されたチロシン残基を直
接取囲んでいるアミノ酸残基によって決められる。SH2ドメインと,特定のレ
セプターのホスホチロシン残基を取囲んでいるアミノ酸配列との間の結合親和性
の差異は,それらの基質リン酸化のプロファイルに見られる差異と一致している
。Songyang et al.1993,Cell 72:767−778
。これらの観察は,各々のRTKの機能が,その発現パターンならびにリガンド
利用可能性によるだけでなく,特定のレセプターによって活性化される下流のシ
グナル伝達経路によっても決定されることを示唆している。したがって,リン酸
化は特異的な成長因子レセプター,ならびに分化因子レセプターによってリクル
ートされる,シグナリング経路の選択性を決定する重要な段階を提供する。
【0125】 STKは,本来細胞質ゾル性であり,しばしばPTK事象についてのダウン方
向の応答として,細胞内部の生化学に影響を及ぼす。STKは,細胞増殖に導く
DNA合成とそれに続く細胞***とを開始する,シグナリング過程に関係してい
る。
【0126】 したがって,PKシグナル伝達は,応答の中で特に,細胞増殖,分化,成長,
および代謝をもたらす。異常な細胞増殖は,癌腫,肉腫,神経膠芽細胞腫,およ
び血管腫等の新生物,白血病,乾癬,動脈硬化症,関節炎,および糖尿病性網膜
炎,および制御されない新脈管形成および/または血管形成に関連する他の疾患
を含む,広い範囲の疾患および疾病という結果をもたらしうる。
【0127】 本発明の化合物がPKを阻害する機構についての正確な理解は,本発明の実施
のためには必要ではない。しかしながら,本発明においてはいかなる特定のメカ
ニズムまたは理論にも束縛されるものではないが,化合物はPKの触媒領域のア
ミノ酸と相互作用すると考えられている。PKは典型的には2葉構造を有してお
り,ATPは,PKの中でアミノ酸が保存されている領域内の,2つの葉の間の
裂け目に結合するように見える。PKの阻害剤は,前記のATPがPKに結合す
るのと同じ普遍領域において,水素結合,ファン−デル−ワールス力,およびイ
オン相互作用等の非共有結合によって結合すると考えられる。さらに具体的には
,本発明の化合物の2−インドリノン成分が,正常にはATPのアデニン環によ
って占められる普遍区域に結合すると考えられている。このように,ある特定の
分子の特定のPKに対する特異性は,2−インドリノンコア上の種々の置換基と
,特定のPKに特異的なアミノ酸ドメインとの間の,付加的な相互作用の結果と
して生じるかもしれない。すなわち,異なるインドリノン置換基は,特定のPK
に対する優先的な結合に貢献するかもしれない。異なるATP(または他のヌク
レオチド)結合部位において活性のある化合物を選択する能力は,本発明の化合
物を,そのような部位を有する任意の蛋白質を標的とするのに有用なものにする
。したがって本明細書において開示される化合物は,かかる蛋白質についてのイ
ンビトロでのアッセイ用としての有用性を有すると同時に,かかる蛋白質との相
互作用を通じてインビボでの治療効果を示すものでありうる。
【0128】 別の観点においては,その触媒活性が本発明の化合物との接触によって調節さ
れる蛋白質キナーゼは,蛋白質チロシンキナーゼであり,さらに詳しくはレセプ
ター蛋白質チロシンキナーゼである。本発明の化合物またはその塩によりその触
媒活性が調節されるレセプター蛋白質チロシンキナーゼは,これに限定されない
が,EGF,HER2,HER3,HER4,IR,IGF−1R,IRR,P
DGFRα,PDGFRβ,CDFIR,C−Kit,C−fms,Flk−1
R,Flk4,KDR/Flk−1,Flt−1,FGFR−1R,FGFR−
2R,FGFR−3R,およびFGFR−4Rである。
【0129】 本発明の化合物,またはその塩あるいはプロドラッグとの接触により,その触
媒活性が調節される蛋白質チロシンキナーゼは,非レセプターまたは細胞性蛋白
質チロシンキナーゼ(CTK)であってもよい。したがって,例えば,限定され
ないが,Src,Frk,Btk,Csk,Abl,ZAP70,Fes,Fp
s,Fak,Jak,Ack,Yes,Fyn,Lyn,Lck,Blk,Hc
k,Fgr,およびYrk等のCTKの触媒活性は,本発明の化合物または塩と
の接触により調節することができる。
【0130】 本発明の化合物との接触によってその触媒活性が調節されることができるまた
別のPK群は,CDK2およびRaf等の(これに限定されない)セリン−トレ
オニン蛋白質キナーゼである。
【0131】 別の観点においては,本発明は治療上有効量の本発明の化合物か,またはその
塩またはプロドラッグを投与することにより,PK関連疾患を治療または予防す
るための方法に関する。
【0132】 PK関連疾患を予防または治療する目的で,本発明の化合物またはその塩また
はプロドラッグを含む医薬組成物を生物に投与することも,本発明の1つの観点
である。
【0133】 したがって本発明は,RTK,CTK,および/またはSTKの酵素活性に影
響を及ぼし,このことによりそのような蛋白質によって伝達されるシグナルを妨
害することにより,PKのシグナル伝達を調節する化合物に関する。さらに詳細
には,本発明は癌腫,カポジ肉腫を含む肉腫,赤芽細胞腫,神経膠芽細胞腫,髄
膜腫,星状細胞腫,黒色腫,および筋芽細胞腫を含むがこれに限定されない多く
の種類の固体腫瘍の治癒に向けられた治療用アプローチとしての,RTK,CT
K,および/またはSTKを介するシグナル伝達経路を調節する化合物に関する
。白血病等の非固体腫瘍癌の治療または予防もまた本発明により企図される。適
用には,脳癌,膀胱癌,卵巣癌,胃癌,膵臓癌,結腸癌,血液癌,肺癌,および
骨癌が含まれるが,これに限定されない。
【0134】 本明細書に記載される化合物がその予防,治療,および研究に有用であるかも
しれない,不適切なPK活性に関連した疾患のタイプの,さらなる例は,限定さ
れないが,細胞増殖性疾患,線維性疾患,および代謝性疾患である。
【0135】 本発明により予防,治療,またはさらに研究されることができる細胞増殖性疾
患には,癌,血管増殖性疾患,およびメサンギウム細胞増殖性疾患が含まれる。
【0136】 血管増殖性疾患とは,異常な血管形成(血管の形成)および新脈管形成(血管
の拡散)に関連する疾患を表す。血管形成および新脈管形成は胚発生,黄体形成
,損傷治癒,および臓器再生等の種々の正常な生理学的過程において重要な役割
を果たすが,それらはまた腫瘍を生かしておくために必要な新しい毛細血管をそ
れらが形成させる癌の発生においても中枢的な役割を演じる。血管増殖疾患の他
の例は,新しい毛細血管が関節に侵入して軟骨を破壊する関節炎,および糖尿病
性網膜炎のように,網膜内の新しい毛細血管が硝子体に侵入し,出血させ,さら
に失明を引起す眼性疾患を含む。
【0137】 逆に,再狭窄などの,血管の収縮,狭窄,または閉鎖に関連した疾患もまた,
本発明の方法により治療または予防することができる。
【0138】 線維性疾患は細胞外マトリックスの異常な形成を表す。線維性疾患の例は,肝
硬変およびメサンギウム細胞増殖疾患を含む。肝硬変は,肝性瘢痕の形成を生じ
る結果となる細胞外マトリックス成分の増加によって特徴づけられる。肝性瘢痕
を生じる結果となる増加した細胞外マトリックスは,肝炎等のウイルス感染によ
っても引き起こされることが可能である。脂肪細胞は,肝硬変において重要な役
割を果たすようである。他の線維性疾患はアテローム性動脈硬化症である。
【0139】 メサンギウム細胞増殖性疾患は,メサンギウム細胞の異常増殖によってもたら
される疾患を表す。メサンギウム増殖性疾患は,糸球体腎炎,糖尿病性腎症,お
よび悪性腎硬化症等のヒトの腎疾患,ならびに血栓性細小血管症症候群,移植拒
絶反応,および糸球体症等の疾患を含む。RTK PDGFRはメサンギウム細
胞の増殖の維持に関与することが示唆されている。Floege et al.
1993,Kidney International 43:47s−54s
【0140】 多くの癌は細胞増殖性疾患であり,先に記載したように,PKは細胞増殖性疾
患と関連づけられている。したがって,例えばRTKファミリーのメンバーが癌
の発生と関連づけられてきたことも意外なことではない。EGFR(Tuzi
et al.1991,Br.J.Cancer 63:227−233,To
rp et al.1992,APMIS 100:713−719),HER
2/neu(Slamon et al.1989,Science 244:
707−712),およびPDGF−R(Kumabe et al.1992
,Oncogene,7:627−633)等のこれらのレセプターのいくつか
は多くの腫瘍において過剰発現され,および/またはオートクリンループにより
持続的に活性化される。事実,ほとんどの一般的かつ重い癌においては,これら
のレセプターの過剰発現(Akbasak&Suner−Akbasak et
al.,J.Neurol.Sci.1992,111:119−133,D
ickson et al.,Cancer Treatment Res.1
992,61:249−273,Korc et al.,J.Clin.In
vest.1992,90:1352−1360),およびオートクリーンルー
プ(Lee and Donoghue,J.Cell.Biol.,1992
,118:1057−1070,Korc et al.前掲,Akbasak
and Suner−Akbasak et al.前掲)が示されている。
例えば,EGFRは扁平上皮癌,星状細胞腫,神経膠芽細胞腫,頭頚部癌,肺癌
,および膀胱癌と関連づけられている。HER2は***,卵巣,胃,肺,膵臓,
および膀胱の癌と結びつけられている。PDGFRは神経膠芽細胞腫および黒色
腫,ならびに肺,卵巣,および前立腺の癌と関連づけられている。RTK c−
metもまた悪性の腫瘍形成と関連づけられている。例えば,c−metは他の
癌の中でも,結腸直腸,甲状腺,膵臓,胃,および肝細胞の癌腫およびリンパ腫
と関連づけられている。加えてc−metは白血病に結びつけられている。c−
met遺伝子の過剰発現はまたホジキン病およびバーキット病の患者に検出され
ている。
【0141】 Flkも同様に,広いスペクトルの腫瘍と関連づけられてきており,これらに
は,限定されないが,乳癌,卵巣癌,肺腫瘍,ならびに神経膠芽種等の神経膠腫
が含まれる。
【0142】 IGF−IRは,栄養上の支持およびII型糖尿病に関係づけられていること
に加えて,いくつかの型の癌に関係づけられている。例えば,IGF−Iはいく
つかの型の腫瘍,例えばヒト乳癌の癌細胞(Arteaga et al.,J
.Clin.Invest.1989,84:1418−1423),および肺
腫瘍小細胞(Macauley et al.,Cancer Res.199
0,50:2511−2517)に対するオートクリン成長刺激因子として関係
づけられている。さらに,IGF−Iは神経系の正常な成長および分化に完全に
深くかかわっていると共に,ヒトの神経膠腫のオートクリン刺激因子でもあるよ
うに見える。Sandberg−Nordqvist et al.,Canc
er Res.1993,53:2475−2478。細胞増殖におけるIGF
−IRとそのリガンドの重要性は,培養されている多くの細胞型(線維芽細胞,
上皮細胞,平滑筋細胞,Tリンパ球,骨髄性細胞,軟骨細胞,および骨芽細胞(
骨髄の幹細胞))がIGF−Iによって成長するべく刺激されるという事実によ
ってさらに支持される。Goldring and Goldring,Euk
aryotic Gene Expression,1991,1:301−3
26。最近の一連の発表においてBasergaは,IGF−IRが形質転換の
機構において中心的な役割を果たしていること,またそれ自体がヒトの広範囲の
悪性腫瘍に対する治療的介入のための好ましい標的となり得ることを示唆してい
る。Baseerga,Cancer Res.1995,55:249−25
2,Baserga,Cell,1994,79:927−939,Coppo
la et al.,Mol.Cell.Biol.1994,14:4588
−4595。
【0143】 STKは,特に乳癌を含む多くの型の癌に関係づけられている(Cance
et al.Int.J.Cancer,1993,54:571−77)。
【0144】 異常なPK活性と疾患との間の結びつきは癌に限らない。例えば,RTKは乾
癬,真性糖尿病,子宮内膜症,新脈管形成,アテローム斑の発生,アルツハイマ
ー病,表皮の過剰増殖,神経変性疾患,年齢に関連した黄斑部変性,および血管
腫といった疾患と関連づけられている。例えば,EGFRは角膜および皮膚の損
傷治癒と関連づけられている。インスリン−RおよびIGF−Rの欠陥はII型
の真性糖尿病において示される。特異的なRTKとそれらの治療上の指標との間
のさらに完全な相関関係は,Plowman et al.,DN&P,199
4,7:334−339に記載されている。
【0145】 先に記したように,RTKのみならず,src,abl,fps,yes,f
yn,lyn,lck,blk,hck,fgr,およびyrkを含むがこれに
限定されないCTK(Bolenらによる総説,1992,FASEBJ.,6
:3403−3409)も,増殖および代謝のシグナル伝達経路に関与しており
,したがって本発明が向けられている多くのPTK媒介性疾患に関与しているこ
とが予想でき,かつ示されてきた。例えば突然変異したsrc(v−src)は
,腫瘍性蛋白質(pp60v-src)であることがニワトリにおいて示されている
。さらに,その細胞性同等物であるプロトオンコジンpp60c-srcは,多くの
レセプターの発癌シグナルを伝達する。腫瘍におけるEGFRまたはHER2/
neuの過剰発現は,悪性細胞に特徴的であるが正常細胞にはない,pp60c- src の構成的活性化に導く。一方,c−srcの発現を欠如しているマウスは大
理石骨病の表現形を示し,破骨細胞機能におけるc−srcの重要な関与と,関
連疾患における可能な関与とを暗示している。
【0146】 同様に,Zap70は自己免疫疾患に関与することが示唆されているT細胞シ
グナリングに関係づけられている。
【0147】 STKは,炎症,自己免疫疾患,免疫応答,および,再狭窄,線維症,乾癬,
変形性関節症,および慢性関節リウマチ等の過剰増殖疾患と関連づけられている
【0148】 PKはまた胚着床にも関連づけられている。したがって本発明の化合物は,か
かる胚着床を防ぐ有効な方法を提供し,それにより受胎調節用薬剤として有用で
ありうる。
【0149】 最後に,現在,RTKおよびCTKの双方は過免疫疾患にかかわっていると疑
われている。
【0150】 上で議論した1またはそれ以上の蛋白質キナーゼの触媒活性を調節する化学的
化合物を同定する方法は,本発明の別の観点である。該方法は,所望の蛋白質キ
ナーゼを発現する細胞を本発明の化合物(またはその塩またはプロドラッグ)と
接触させ,化合物が細胞に対して有する任意の影響について細胞をモニターする
ことを含む。影響は,裸眼でまたは機械を使用して観察することができる細胞表
現型の任意の観察可能な変化または無変化でありうる。モニターされる細胞表現
型の変化または無変化は,限定されないが,細胞における蛋白質キナーゼの触媒
活性の変化または無変化,または蛋白質キナーゼと天然の結合パートナーとの相
互作用の変化または無変化でありうる。
【0151】新脈管形成および直腸結腸癌におけるVEGFおよびFlk−1/KDR 腫瘍細胞は,休止内皮細胞を刺激して分化させ,成長因子を放出することによ
り新たな血管を形成させ,これは内皮細胞の近くに結合する(パラクライン作用
モード)。血管内皮成長因子("VEGF")がそのレセプターの1つに結合する
と,新たな血管形成に関与する細胞の事象を制御するシグナリングカスケードが
開始される。
【0152】 多数のレセプターチロシンキナーゼが,直接的にまたは間接的に新脈管形成に
関与すると考えられている。レセプターを選択的に阻害することにより腫瘍の成
長を支持する新たな血管成長を阻害するようなレセプターの探索が,過去10年
間の基礎研究の焦点であった。その発現が内皮細胞に限定される多数のレセプタ
ーが存在するが(Flk−1,Flt−1,Tie−1およびTie−2を含む
),Flk−1レセプターが新脈管形成において重要な役割を果たしていると考
えられている。
【0153】 VEGFおよびそのレセプターの発現の時間的および空間的パターンは,これ
らが胚発生の間に正常な新脈管形成に役割を果たしていることを支持する。VE
GF,Flt−1およびFlk−1はまた,多くの固体腫瘍,例えば神経膠腫,
乳癌,膀胱癌,結腸癌腫および他の胃腸管癌の成長を支持する病理学的新脈管形
成に関与することが示唆されている。乳腫瘍,腎臓細胞癌腫および結腸癌におい
て,VEGF発現と血管密度との間に相関関係が認められている。高度に血管化
した神経膠芽細胞腫においては,VEGFおよびそのレセプターの転写産物がイ
ンシトゥーハイブリダイゼーションにより同定された。より低い程度に血管化し
た,低い悪性度分類の神経膠腫または正常脳組織においては,転写産物は検出さ
れなかった。この状態(パラクライン作用モードを支持する)においては,Fl
k−1レセプターは血管の内皮細胞において検出されるが,VEGFは腫瘍細胞
に局在化している。VEGFおよびそのレセプターの発現は,多発性骨髄腫を含
む造血腫瘍細胞株において示されている。
【0154】 VEGFは,インビトロで内皮細胞の有糸***促進物質である。そのような系
においては,Flk−1に対する中和抗体は有糸***を阻害する。同様に,fl
k−1またはflt−1 mRNAを切断するリボザイムは,ヒト微小血管内皮
細胞の成長を低下させ,これはおそらくは細胞上のレセプターの数を減少させる
ためである。
【0155】 種々のインビボ技術を用いて,腫瘍新脈管形成におけるVEGFシグナリング
の役割の研究が行われてきた。細胞内キナーゼドメインを欠失しているFlk−
1レセプターは,培養細胞において内因性Flk−1レセプター活性の活性化を
ブロックし,ヌードマウスの皮下に移植された腫瘍の成長を阻害する。この動物
モデルにおいて形成されたすべての腫瘍は,有意に減少した血管密度を有してい
た。また,アンチセンス構築物を用いてVEGF発現を低下させると,ヌードマ
ウスにおけるC6ラット神経膠腫細胞の成長が阻害され,同時にこれらの腫瘍に
おける血管密度が減少し,ヌード/SCIDマウスにおいてヒト黒色腫細胞の成
長が阻害される。同様に,中和抗体によるVEGFレベルの減少は,ヌードマウ
スにおけるヒト横紋筋肉腫,多型性神経膠芽細胞腫および平滑筋肉腫の成長,お
よびBALBc/ヌードマウスにおける線維肉腫の成長を阻害する。
【0156】 これらの結果を総合すると,固体腫瘍成長における新脈管形成における,Fl
k−1を介するVEGFシグナリングの重要な役割の強力な証拠が得られる。F
lk−1の阻害剤は,癌患者において治療上の有用性を有するであろう。
【0157】 2.薬理学3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリ ノンを用いる前臨床試験 細胞に基づくアッセイにおいては,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−
イル)メチリデニル]−2−インドリノンは,典型的にはVEGFとそのレセプ
ターとの相互作用後のレセプターのリン酸化を阻害することが見いだされている
。3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンのインビトロ研究は,これがFlk−1自己リン酸化を約1μMのIC50 値で阻害する能力を示した。さらに,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−
イル)メチリデニル]−2−インドリノンは,VEGFにより誘導される内皮細
胞のインビトロ増殖を約0.07μMのIC50値で阻害する。このアッセイにお
いては,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−
インドリノンは,時間依存的な効力の増加を示し,検出可能な活性は薬剤に5分
間暴露した後に最初に認められた。3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イ
ル)メチリデニル]−2−インドリノンに1時間暴露すると,3−4日後にイン
ビトロ抗増殖活性が生じる。3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メ
チリデニル]−2−インドリノンは,50μMまでの濃度では種々の腫瘍細胞株
に対して直接の阻害的効果を有しない。
【0158】 種々の腫瘍細胞株を免疫無防備状態マウスの皮下に移植した3−[(2,4−
ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンのインビボ研
究においては,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]
−2−インドリノンは,その成長が種々の成長因子,例えば,PDGF,EGF
およびHer2により推進される広範なスペクトルの腫瘍タイプに対して,腫瘍
成長の有意な抑制を示す。1日の腹膜内用量(12.5−25mg/kg/日を
28日間)により,腫瘍成長が30−80%阻害された。初期の研究においては
,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンの投与は,腫瘍移植後の第1日に開始した。腫瘍が約50mm3の体積に
成長するまで3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−
2−インドリノンの投与を遅らせたその後の研究は,腫瘍成長の抑制について同
等に有効であることを示した。
【0159】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノン(6.25−25mg/kg/日の用量)を用いる用量応答研究は,無胸
腺マウスの皮下に移植したヒト黒色腫細胞を用いて行った。3−[(2,4−ジ
メチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンを1mg/kg
/日程度の低い用量で毎日投与したところ,これらの細胞は用量依存的に阻害さ
れた。3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−イ
ンドリノンをより低い頻度(1週間に2回を4週間)で無胸腺マウスに腹膜内投
与した追加の研究によってもまた,毎日腹膜内投与と比較して同等の腫瘍成長阻
害が得られた(1週間に2回の投与で77%に対し,毎日投与で68%)。
【0160】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノン(25mg/kg/日)の毎日投与はまた,結腸漿膜下に外科的に移植し
た腫瘍細胞の成長を有意に阻害することが示された。3−[(2,4−ジメチル
ピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンによる治療は,腫瘍サ
イズの減少,および3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニ
ル]2−インドリノン処置動物における腫瘍の青白い外観により証明されるよう
に,血管新生の減少を導いた。
【0161】3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリ ノンの薬物動力学 インビトロの洗浄実験は96時間の標的半減期を示し,このことは,3−[(
2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンがレ
セプターチロシンキナーゼのATP結合部位に非常に強く競合結合することを示
唆する。3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−
インドリノンのインビボ静脈内薬物動力学は,親化合物がマウス,ラットおよび
イヌの循環系から急速に排出されることにより特徴づけられた。ラットにおいて
は,マウスおよびイヌと比較して,わずかに長い排出半減期が測定された(デー
タ示さず)。
【0162】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンのラットにおける薬物動力学は,高い静脈内用量においては用量依存性で
ある。29.5−97.9mg/m2の範囲の用量においては,3−[(2,4
−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンの排出半減
期は用量が増加するのにしたがって直線的に増加し,用量が3倍しか増加しない
とき,AUCは10倍増加する。
【0163】 ラットおよびイヌにおける準慢性毒性動力学研究(28日間毒性研究)は,薬
剤が反復投与後に血漿中に蓄積しなかったことを示した。
【0164】 [14C]−3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−
2−インドリノンを用いる全身オートラジオグラフィーは,3−[(2,4−ジ
メチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンが組織に広く分
布し,静脈内注射の後急速に排出されることを示した。最高のレベルは小腸内容
物および尿に存在した(さらに3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチリデニル]−2−インドリノンは肝臓,腎臓,皮膚,精巣,褐色脂肪,ハル
ダー腺および鼻甲介において認められた)。24時間内に回収された総用量は投
与した用量の92%であり,72%は大便中に排出され16%は尿中に排出され
た。胆管排出が排出の主要経路であると考えられる。
【0165】 非標識および[14C]−標識3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチリデニル]−2−インドリノンを用いる研究は,化合物がラットにおいて静
脈内投与後急速に代謝されることを示す。放射性代謝産物プロファイルは,[14 C]−3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−イ
ンドリノンの90%以上が静脈内投与後3時間以内に代謝されることを示した。
代謝産物同定のデータは,1つの代謝産物はピロール環のメチル基の1つにカル
ボキシル基が付加されており,第2の代謝産物はカルボキシル基にメチルが付加
されていることを示唆する。
【0166】 進行した悪性腫瘍を有する患者における,4.4−190mg/m2の用量で
患者を治療した第1相試験からの予備的な薬物動力学データは,この薬剤はヒト
において約60分間の半減期を有することを示す。アルファ半減期は急速であり
,平均で5.8±1.9分間である。ベータ半減期すなわち排出相は,10−1
11分間の範囲で平均値43.4±21.9分間である。3−[(2,4−ジメ
チルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンの全身循環からの
クリアランスは急速であり,平均値は1日あたり1857±1016リットルの
血漿から3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−
インドリノンがクリアされる。クリアランスはこれらのレベルでは用量に依存し
なかった。BSAに基づいて計算した個々のクリアランスは,41.8±22.
1L/時/m2であった。3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチ
リデニル]−2−インドリノンを8回注入した後,すべての患者においてクリア
ランスの速度は50−300%増加した。1コンパートメントモデルにより計算
した3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−イン
ドリノンの合計分布容量は53.6±11.3リットルであり,このことは,こ
の薬剤が体液全体に分布されたことを示す。これまでにヒトで試験した用量にお
いては,AUCおよびCMAXは用量とともに直線的に増加する。
【0167】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンの代謝の主要経路は,ピロール環上の5−メチル基の逐次酸化反応を経由
するものである。血清中で4種類の代謝産物を測定することができ,これらはす
べてピロール環上のこのメチル基の逐次酸化を含む。インビトロ代謝研究からの
データは,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2
−インドリノンが,P−450肝酵素,おそらくは誘導可能酵素であるCYP1
A2およびCYP3A4により代謝されることを示す。特に,CYP3A4は,
すべての3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−
インドリノン注射の前にプレメディケイションとして投与されるデキサメタゾン
等の多くの生体異物により誘導される。
【0168】フルオロウラシルおよびフルオロウラシル/ロイコボリン−一般 フルオロウラシルの化学構造は5−フルオロ−2,4(1H,3H)−ピリミ
ジンジオンである。フルオロウラシルの正確な作用モードは明らかではないが,
この薬剤は,少なくとも3つの方法で抗代謝剤として機能すると考えられている
。1つの観点においては,この薬剤は,そのデオキシリボヌクレオチド誘導体で
ある5−フルオロ−2’−デオキシウリジン−5’−ホスフェート(F−dUM
P)としてチミジレートシンセターゼを阻害し,その結果デオキシウリジン酸か
らチミジル酸へのメチル化が阻害される。これは次に,DNAの合成を妨害する
。第2の観点においては,フルオロウラシルは,少ない量ではあるがRNAのプ
ロセシングおよび機能の両方に重要な影響を与えるのに十分な程度,RNA中に
取り込まれることが見いだされている。最後に第3の観点においては,フルオロ
ウラシルはウラシルホスファターゼをブロックし,したがって,あらかじめ形成
されたウラシルがRNA合成において用いられることを阻害する(Goodma
n and Oilman,"The Pharmacological Ba
sis of Therapeutics",1985,pages 1268
−1271)。
【0169】 フルオロウラシルは,単独で,または他の薬剤と組み合わせて投与することが
できる。最も一般的な組み合わせは,ロイコボリン(フォリン酸)の使用を含む
。ロイコボリンはフルオロウラシルの細胞毒性効果を増強する。これは,減少し
た葉酸の細胞外濃度を増加させ,次に(F−dUMP),5,10−メチレンテ
トラヒドロフォレートおよびチミジンシンセターゼにより形成される共有三次複
合体を安定化させることによると考えられている。この複合体の安定化は,シン
セターゼの阻害を促進し,このことによりフルオロウラシルの有効性が増加する
【0170】 これまでに進行段階の直腸結腸癌の治療に用いられてきたフルオロウラシルと
の他の化学療法的組み合わせには,限定されないが,フルオロウラシルと,メト
トレキセート単独(Blijham,G.,et al.,J.Clin On
col.,1996,14(8):2266−73)およびロイコボリンとの組
み合わせ(Romero,A.O.,et al.,Am.J.Clin.On
ocol.,1998,21(1):94−8);インターフェロンアルファ−
2a(Greco,F.A.,et al.,J.Clin.Oncol.,1
996,14(10):2674−81);インターフェロンアルファ2b+ロ
イコボリン(Kohne,C.H.,Oncology,1997,54(2)
:96−101):白金化合物,例えばシスプラチンおよびオキサリプラチンと
ロイコボリンとの組み合わせ(Scheithauer,W.,et al.,
Cancer,1994,73(6):1562−68);カルボプラチン+メ
トトレキセート(フルオロウラシル投与の前)(Pronzato,P.,J.
Chemother.,1998,10(3):254−57);およびBle
iberg,H.andGramont,A.,Semin.Oncol.,1
998,25(2 Suppi.5):32−39):ラバミゾール(Band
ealy,M.T.,Clin.Cancer Res.,1998,4(4)
:935−38);メチルロムスチンおよびロイコボリン(Jones,Jr.
,D.V.,Cancer,1995,76(10):1709−14);およ
び,イリノテカン(トポイソメラーゼ−I阻害剤,フルオロウラシル/ロイコボ
リンでの前治療の後)(Rougier,P. et al.,J.Clin.
Oncol.,1997,15(1):251−260)との組み合わせが含ま
れる。
【0171】 上述の組み合わせの使用は増加しているが,現在フルオロウラシル単独または
フルオロウラシルとロイコボリンとの組み合わせを越える利点を与えているもの
はなさそうである。この後者は,転移性直腸結腸癌を有する患者の標準的な初期
治療である。単独の薬剤として,これは約15%の応答比率および6か月間の生
存中央値を与える。ロイコボリンとの組み合わせにおいては,フルオロウラシル
の活性は増加し,応答比率は約20%であり,進行(ステージD)直腸結腸癌の
生存期間の中央値は11−13か月であることが認められている(Wolmar
k,N.,et al.,J.Clin.Oncol.,1993,11:18
79−1887)。
【0172】 フルオロウラシルは,静脈内ボーラス注射または連続注入のいずれかにより投
与することができる。分布体積は細胞外空間よりわずかに大きい。370−72
0mg/m2の静脈内ボーラス用量は,8−14分間の排出半減期を与え,血漿
レベルは2時間の間に細胞毒性効果のほぼ閾値である1μM以下になる。薬剤の
10%未満が尿中に***され,残りは代謝経路を通じてクリアされる。
【0173】 しばしば用いられる投与スケジュールは,3−4週間ごとに3−5日間の短い
ボーラス注射,4週間ごとに96−120時間持続の連続静脈内注入,および8
週間ごとに6週間の毎週の注入である。深刻な臨床的毒性の発生は,全身暴露が
高くなるにつれて(例えば,連続注入の間のより高い定常状態血漿濃度およびボ
ーラス投与によるより高いAUC)増加する傾向にある。
【0174】 特に,上述の治療のスケジュールのそれぞれは,フルオロウラシルを投与しな
い実質的な間隔を含む。これは主としてフルオロウラシルの本来の毒性のためで
あり,これはロイコボリンを加えることにより悪化する。残念ながら,この時間
的間隔は,フルオロウラシルの有効性を実質的に減少させる。すなわち,フルオ
ロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコボリンによる患者の最初の治療によ
り,腫瘍の数およびサイズが約3対数単位(3桁,すなわち1000倍)減少す
る。しかし,治療しない"回復"期間の間,腫瘍の数およびサイズは約2対数単位
(100倍)程度に反跳する。すなわち,フルオロウラシルによる1クールの治
療の総合的な効果は,フルオロウラシルの1回投与につき,約1対数単位(腫瘍
の数およびサイズの約10倍の減少)のみである。フルオロウラシルによる長い
治療は治療の費用および患者の生活の質等に関する問題を引き起こすのみならず
,その結果薬剤に対する二次的耐性が生ずる可能性がある。本発明の方法は,回
復期間の間にフルオロウラシルのそれぞれの投与の効果のより実質的な部分を維
持することに向けられている。したがって,治療の全クールにおいて続いて投与
することにより,腫瘍のサイズおよび数の減少が見られ,したがって,フルオロ
ウラシルの総合的な有効性を改良するであろう。
【0175】進行直腸結腸癌におけるフルオロウラシルおよびフルオロウラシル/ロイコボリ ンを用いる臨床試験 しばしば用いられる連続注入スケジュールは,3−4週間ごとに3−5日間の
短いボーラス注射,4週間ごとに96−120時間持続の連続静脈内注入,およ
び8週間ごとに6週間の毎週の注入である。深刻な臨床的毒性の発生は,全身暴
露が高くなるにつれて(例えば,連続注入の間のより高い定常状態血漿濃度およ
びボーラス投与によるより高いAUC)増加する傾向にある。
【0176】 メイヨークリニックおよびノースセントラル癌治療群(Mayo/NCCTG
)により行った進行転移性直腸結腸癌を有する患者におけるランダム化臨床試験
において,3種類の治療計画を比較した。ロイコボリン200mg/m2および
フルオロウラシル370mg/m2対ロイコボリン20mg/m2およびフルオロ
ウラシル425mg/m2対フルオロウラシル500mg/m2。すべての薬剤は
5日間毎日低速静脈内注入により投与し,これを28−35日ごとに繰り返した
。応答比率は,高用量ロイコボリン,低用量ロイコボリンおよびフルオロウラシ
ル単独群について,それぞれ26%(p=0.04,対フルオロウラシル単独)
,43%(p=0.001,対フルオロウラシル単独)および10%であった。
それぞれの生存期間中央値は,12.2か月(p=0.037),12か月(p
=0.050),および7.7か月であった。低用量ロイコボリン治療計画は,
5%より多い体重増加,症状の軽減,および行動状態の改良において統計的に有
意の改良を与えた。高用量ロイコボリン治療計画は,行動状態において統計学的
に有意の改良を与え,体重増加および症状の軽減を改良する傾向を示したがこれ
は統計学的には有意ではなかった。
【0177】 第2のMayo/NCCTGランダム化臨床試験においては,フルオロウラシ
ル単独アームを,メトトレキセート(MTX),フルオロウラシル,およびロイ
コボリンを逐次投与する治療計画により置き換えた。ロイコボリン200mg/
2およびフルオロウラシル370mg/m2対ロイコボリン20mg/m2およ
びフルオロウラシル425mg/m2対逐次的MTXおよびフルオロウラシルお
よびロイコボリンを用いたときの応答比率は,それぞれ31%(p=<.01)
,42%(p=<.01),および14%であった。それぞれの生存期間の中央
値は,12.7か月(p=<.04),12.7か月(p=<.01),および
8.4か月であった。各治療アームの間には,5%より多い体重増加または動作
状態の改良について統計学的に有意な相違は認められなかった。
【0178】 低用量(20mg/m2)および高用量(200mg/m2)のロイコボリンの
結果および毒性を比較する第3の研究においては,4週間ごとにロイコボリンに
加えて患者に400mg/m2/日のフルオロウラシルの1時間注入を行った。
2つの群は,性別比,原発性腫瘍の部位,行動状態,および腫瘍の程度において
統計学的に有意な差がないようにそろえた。2つの治療計画における毒性は低く
,2つの群の間で有意に相違しなかった。全体的な生存の中央値は,2つの群の
間で有意に相違しなかった:低用量ロイコボリンを投与した患者について346
日,高用量ロイコボリンを投与した患者について323日。1年の時点において
,同等性評価は有意であり(p<0.01),このことは高用量治療計画に関し
ては,1年生存において20%を越える有益性がないことを示す。5日間治療計
画においてフルオロウラシルと組み合わせて高用量ロイコボリンを使用すること
は,転移性直腸結腸癌を有する患者の全体的生存率を有意に改良しない。
【0179】 最後に,第4の大きなランダム化研究において,進行した直腸結腸癌の治療に
おけるフルオロウラシル/ロイコボリンの最も一般的な2つのスケジュールを比
較した。先に行った制御された試験において,これらの用量投与スケジュールは
それぞれ単一薬剤ボーラスでのフルオロウラシルより優れていることが示された
ためである。転移性直腸結腸癌を有する372人の患者を,行動状態および測定
可能な指標病巣の存在および位置にしたがって分類し,ランダム化して次の2つ
の治療計画のいずれかで化学療法を行った:(1)集中クール−フルオロウラシ
ル+低用量ロイコボリン(5日間毎日,フルオロウラシル425mg/m2+ロ
イコボリン20mg/m2を静脈内[IV]プッシュ,このクールを4−5週間
隔で繰り返す);または(2)毎週−フルオロウラシル+高用量ロイコボリン(
フルオロウラシル600mg/m2をIVプッシュ+ロイコボリン500mg/
2を2時間注入として,6週間毎週,このクールを8週間ごとに繰り返す)。
以下のパラメータに関して,試験した2つのフルオロウラシル/ロイコボリン治
療計画の間には治療の有効性において有意な差はなかった。他覚的腫瘍応答(3
5%v31%),生存率(中央値,9.3v10.7か月),および緩和効果(
症状の軽減,改良された行動状態,および体重増加により評価)。毒性について
有意な差異(P<.05)があり,集中クール治療計画(1−5日)ではより多
くの白血球減少症および口内炎が認められ,毎週治療計画ではより多くの下痢が
認められ,毒性を管理するために入院の必要性が増加した。治療上有効性は同様
であるが,化学療法の毒性を管理するために入院の必要が少ないことから,集中
クール−フルオロウラシル+低用量ロイコボリンは,この研究で適用した用量投
与スケジュールを用いる毎週フルオロウラシル+高用量ロイコボリンと比較して
優れた治療指数を有するようであった。
【0180】 3.医薬組成物および用途 本発明の化合物,そのプロドラッグ,または該化合物またはそのプロドラッグ
のいずれかの生理学的に許容される塩は,そのままヒトの患者に投与するか,ま
たは前述の材料が適当な担体または賦形剤と混合された医薬組成物中で投与する
ことが可能である。薬物の製剤および投与の技術は,"Remington’s
Pharmcological Sciences"(Mack Publi
shing Co,Easton,PA)の最新版に見られるだろう。
【0181】投与経路 一般 適当な投与経路は,限定されないが,経口,直腸,経粘膜,または腸管投与か
,あるいは筋肉内,皮下,骨髄内,髄内,直接心室内,静脈内,硝子体内,腹腔
内,鼻腔内,または眼内の注射を含む。好ましい投与経路は経口および非経口で
ある。
【0182】 あるいは,化合物は,全身的方法ではなく局所に,例えば化合物を固体腫瘍内
へ直接に,しばしばデポ剤または持効性の製剤中で,注射することにより投与し
てもよい。
【0183】 さらに,薬物はターゲティングされたドラッグデリバリーシステムにおいて,
例えば腫瘍特異的抗体により被覆されたリポソーム中で投与されてもよい。リポ
ソームは当該腫瘍にターゲティングされ,取り込まれるであろう。
【0184】組成物/製剤 一般 本発明の医薬組成物は,当該技術分野において周知の工程,例えば通常の混合
,溶解,顆粒化,糖衣作成,研和,乳化,カプセル封入,捕捉,または凍結乾燥
の工程により製造されてよい。
【0185】 本発明にしたがって使用するための医薬組成物は,活性成分の薬剤学的に使用
可能な製品への加工を容易にする賦形剤および補助剤を含む,一つまたはそれよ
り多い生理学的に許容される担体を用いる通常の方法で製剤されてよい。適切な
製剤は,選ばれた投与経路に依存する。
【0186】 注射用には,本発明の化合物は水溶性溶液,好ましくはハンクス溶液,リンガ
ー溶液,または生理的塩類緩衝液等の生理学的に適した緩衝液において製剤され
てよい。経粘膜投与用には,浸透すべき障壁に適した浸透剤が製剤に用いられる
。そのような浸透剤は当該技術分野において一般に周知である。
【0187】 経口投与用には,活性化合物を,当該技術分野において周知の薬剤学的に許容
される担体と組合せることにより処方することができる。かかる担体は,本発明
の化合物を,患者による経口摂取のための錠剤,丸剤,トローチ,糖衣剤,カプ
セル,液体,ゲル,シロップ,スラリー,懸濁液,その他として製剤することを
可能とする。経口使用のための薬剤学的製品は,固形の賦形剤を用い,得られた
混合物を任意に破砕し,所望であればさらに他の適当な補助剤を添加した後に,
顆粒混合物を加工して錠剤または糖衣剤のコアを得る。有用な賦形剤は,特に,
ラクトース,ショ糖,マンニトール,またはソルビトールを含む糖類,トウモロ
コシデンプン,小麦デンプン,米デンプン,およびジャガイモデンプン等のセル
ロース製品,およびゼラチン,トラガカントゴム,メチルセルロース,ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース,カルボキシメチルセルロースナトリウム,および
/またはポリビニルピロリドン(PVP)等の他の材料等の増量剤である。所望
であれば,架橋されたポリビニルピロリドン,寒天,またはアルギニン酸等の崩
壊剤が添加されてもよい。またアルギン酸ナトリウム等の塩も使用されてよい。
【0188】 糖衣剤のコアは,適当なコーティングとともに供給される。この目的のために
は,濃縮された糖溶液を用いることができるが,アラビアゴム,タルク,ポリビ
ニルピロリドン,カルボポールゲル,ポリエチレングリコール,および/または
二酸化チタン,ラッカー溶液,および適当な有機溶媒または溶媒混合物を任意に
含んでよい。識別のため,あるいは活性成分の用量の異なる組合せを特徴づける
ため,染料または色素が錠剤または糖衣剤コーティングに添加されてよい。
【0189】 経口的に用いられることが可能な医薬組成物は,ゼラチンでできたプッシュフ
ィットカプセル,ならびにゼラチンおよびグリセロールやソルビトールといった
可塑剤から成る密封軟カプセルを含む。プッシュフィットカプセルは,活性成分
を,ラクトース等の増量剤,デンプン等の結合剤,および/またはタルクやステ
アリン酸マグネシウムといった潤滑剤,さらに任意に安定剤と混合して含むこと
ができる。軟カプセルにおいては,活性成分は脂肪油,流動パラフィン,または
液体ポリエチレングリコール等の適当な液体中に溶解または懸濁されてよい。安
定剤もこれらの製剤に添加されてよい。
【0190】 吸入による投与用には,本発明に従って用いられる化合物は,加圧されたパッ
クまたはネブライザーと,噴射剤,例えばこれに限定されないが,ジクロロジフ
ルオロメタン,トリクロロフルオロメタン,ジクロロテトラフルオロエタン,ま
たは二酸化炭素とを用いたエアーゾルスプレイの形状にて便利に送達される。加
圧されたエアーゾルの場合,用量単位は計量された量を送達するべく備えられた
バルブにより調節されてよい。例えば吸入器または注入器において使用するため
のゼラチン製のカプセルおよびカートリッジは,当該化合物の粉末混合物と,ラ
クトースやデンプンといった適当な粉末基剤とを含んで製剤されてよい。
【0191】 また当該化合物は,例えばボーラス注射または連続注入による非経口投与用に
製剤されてもよい。注射用の製剤は,単位用量にて,例えばアンプルにて,ある
いは添加された保存料と共に多用量容器中で提供されてよい。組成物は油性また
は水性のベヒクルにおいて,懸濁液,溶液,または乳濁液といった形状をとって
よく,また懸濁,安定および/または分散剤といった製剤物質を含んでもよい。
【0192】 非経口投与用の薬剤組成物は,これに限定されないが,活性成分の塩等の,水
に可溶性の形状の水溶液を含む。さらに,活性成分の懸濁物は,親油性のベヒク
ル中で調製されてよい。適切な親油性ベヒクルはゴマ油等の脂肪油,オレイン酸
エチル等の合成脂肪酸エステル,およびトリグリセリド,またはリポソーム等の
物質を含む。水溶性の注射用懸濁液は,カルボキシメチルセルロースナトリウム
,ソルビトール,またはデキストラン等の当該懸濁液の粘度を増す物質を含んで
よい。任意に,当該懸濁液はまた,高度に濃縮された溶液の調製を可能にするべ
く,当該化合物の可溶性を亢進する適当な安定剤および/または薬剤を含んでも
よい。
【0193】 あるいは,活性成分は,使用前に適当な媒体,例えば無菌の,発熱物質なしの
水を用いて構成するための,粉末の形状であってもよい。
【0194】 当該化合物は,例えばカカオバターまたは他のグリセリドといった通常の坐剤
基剤を用いて,坐剤または停留浣腸等の直腸用組成物に製剤されてもよい。
【0195】 先に述べた製剤に加えて,当該化合物はまたデポ製剤として製剤されてよい。
かかる長時間作用性の製剤は,埋込み(例えば皮下または筋肉内への)によるか
,または筋肉内注射により投与されてよい。この投与経路のためには,本発明の
組成物は適当な高分子性または疎水性物質と共に(例えば薬理学的に許容される
油剤による乳濁液にて),イオン交換樹脂と共に,あるいはこれに限定されない
がやや溶けにくい塩等のやや溶けにくい誘導体として,製剤されてよい。
【0196】 本発明の疎水性化合物のための薬学的担体の非限定的例は,ベンジルアルコー
ル,非極性界面活性剤,水混和性有機ポリマーおよび水性相を含む共溶媒系,例
えばVPD共溶媒系である。VPDは,3%w/vベンジルアルコール,8%w
/v非極性界面活性剤ポリソルベート80(商標),および65%w/vポリエ
チレングリコール300を純粋エタノール中に作成した溶液である。VPD共溶
媒系(VPD:D5W)は,VPDを5%デキストロースの水溶液中に1:1で
希釈したものである。この共溶媒系は疎水性化合物をよく溶解し,それ自体,全
身投与に際して低い毒性を示す。そのような共溶媒系の比率は,その溶解性およ
び毒性特性を破壊することなく相当変化させることができる。さらに,共溶媒成
分の同一性も変化させることができる。例えば,他の低毒性非極性界面活性剤を
ポリソルベート80(商標)の代わりに用いることができ,ポリエチレングリコ
ールの分画サイズは様々でありうる。他の生体適合性ポリマー,例えばポリビニ
ルピローリドンをポリエチレングリコールの代わりに用いることができ,他の糖
または多糖類をデキストロースの代わりに用いることができる。
【0197】 あるいは,疎水的医薬化合物のための他の輸送系を用いてもよい。リポソーム
および乳剤は,疎水的薬剤のための輸送用ベヒクルまたは担体の例としてよく知
られている。さらに,ある種の有機溶媒,例えばジメチルスルホキシドもまた用
いることができるが,しばしば毒性がより高くなる。
【0198】 さらに,化合物は,持続放出系,例えば治療薬剤を含む固体疎水性ポリマーの
準透過性マトリクスを用いて輸送することができる。種々の持続放出材料が確立
されており,当業者にはよく知られている。持続放出カプセルはその化学的性質
に応じて,数週間から100日を越える期間,化合物を放出する。治療薬剤の化
学的性質および生物学的安定性に応じて,さらに別の蛋白質安定化戦略を用いて
もよい。
【0199】 本発明の医薬組成物はまた,適当な固体またはゲル相担体または賦形剤を含ん
でいてもよい。そのような担体または賦形剤の例には,限定されるものではない
が,炭酸カルシウム,リン酸カルシウム,種々の糖およびでんぷん,セルロース
誘導体,ゼラチン,およびポリエチレングリコール等のポリマーが含まれる。
【0200】3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリ ノン組成物 この化合物は,上述の任意の組成物または製剤として処方することができる。
しかし現在好ましい処方は,4.5mg/mlの最終濃度を与えるのに十分な無
菌非経口投与溶液中の3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデ
ニル]−2−インドリノンからなる。処方の追加の成分には,ポリエチレングリ
コール400;ポリオキシル35ひまし油(Cremophor(登録商標))
;ベンジルアルコールおよび脱水アルコールが含まれる。この処方は,Crem
ophor(登録商標)を含有するため,標準的なPVC裏打シリンジ,静脈内
バッグおよび投与セットとは適合性ではないことに注意すべきである。
【0201】フルオロウラシル/ロイコボリン組成物 フルオロウラシルは,化学療法の分野の当業者に知られている組成物および処
方中で市販されており,本発明の方法においては,これらの組成物/処方として
投与することができる。そのような組成物/処方の例は,市販のフルオロウラシ
ルの包装挿入物中に見いだされ,これを本明細書中に完全に記載されているよう
に本明細書の一部としてここに引用する。将来開発されるかまたは利用可能とな
る任意の他のまたは異なる組成物/処方の使用も,本発明の範囲内である。
【0202】 同様に,ロイコボリンもまた化学療法の技術分野の当業者に知られる組成物/
処方中で市販されており,本発明の方法においてはそのような組成物/処方とし
て投与することができる。そのような組成物/処方の例は,市販のロイコボリン
に付属の包装挿入物中に示されており,これを本明細書において完全に記載され
ているように本明細書の一部としてここに引用する。上述したように,将来開発
され入手可能になるであろう任意の他のまたは異なる組成物/処方それ自体もま
た,本発明の範囲内である。
【0203】用量 一般 本発明における使用に適した医薬組成物は,意図された目的,すなわちPK活
性の調節,またはPK関連疾患の治療または予防を遂行するのに充分な量の活性
物質が含まれている組成物を含む。
【0204】 さらに具体的には,治療上有効な量とは,疾患の症状を予防,緩和,または改
善するため,あるいは治療されている患者の生存を延長させるために有効な化合
物の量を意味する。
【0205】 治療上有効な量の決定は,特に本明細書において提供された詳細な開示に照ら
し合われせば,当業者の能力で充分可能である。
【0206】 本発明の方法において用いられる化合物については,治療上有効な量または用
量は,最初は細胞培養検定から見積もることができる。次に,動物モデルにおけ
る使用のために,培養細胞において測定されたIC50(すなわちPK活性の最大
阻害の半分を成し遂げる試験化合物の濃度)を含む循環濃度範囲を達成するよう
な用量を処方することができる。かかる情報は次いで,ヒトにおける有用な用量
のさらに正確な決定のために用いられることが可能である。
【0207】 本明細書に述べた化合物の毒性ならびに治療上の有効性は,細胞培養物または
実験動物において標準的な薬剤学的方法により,例えば披検化合物についてIC 50 およびLD50(双方とも本明細書の他の場所において議論されている)を測定
することにより,測定することが可能である。このような細胞培養物の検定およ
び動物研究から得られたデータは,ヒトにおいて使用するための用量範囲の処方
に利用することができる。用量は,用いられる剤形と,利用される投与経路とに
依存して変えられてよい。正確な製剤,投与経路,および用量は,個々の医師に
より,患者の状態を考慮して選択されることが可能である。(例えば,Fing
l et al.1975,"The Pharmacological Ba
sis of Therapeutics",Ch.1,p.1を参照のこと)
【0208】 投薬用量および間隔は,活性種の,キナーゼ調節効果を維持するために充分な
血漿濃度を提供するべく,個々に調節されてよい。このような血漿濃度は,最小
有効濃度(MEC)と呼ばれる。MECは各々の化合物ごとに異なるであろうが
,インビトロのデータから算定されることは可能であり,例えばキナーゼの50
〜90%阻害を達成するために必要な濃度は,本明細書に述べた検定法を用いて
確認されてよい。MECに達するために必要な用量は個体の特性および投与経路
に依存することとなる。HPLC検定法または生物学的検定法は,血漿濃度を測
定するべく使用されることが可能である。
【0209】 投薬間隔もまたMEC値を用いて測定することができる。化合物は,MECよ
り高い血漿濃度が10〜90%の時間,好ましくは30〜90%の間,最も好ま
しくは50〜90%の間にわたって維持される投与計画を用いて投与すべきであ
る。
【0210】 局所投与または選択的摂取の場合には,薬剤の有効な局所濃度は血漿濃度に関
係なく,当該技術分野において周知の他の方法を用いて,正しい用量および間隔
を決定することができる。
【0211】 投与される組成物の量は,もちろん治療される患者,苦しみの激しさ,投与法
,処方している医師の判断,その他に依存する。
【0212】3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリ ノンの用量 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノン(上述を参照)に関して得られた薬理学的データに基づけば,化合物は,
約4mg/m2から約195mg/m2の範囲の用量で投与することができる。現
在好ましい態様においては,用量は約72.5mg/m2−約145mg/m2
ある。
【0213】 上述の組成物の節で記載した希釈物は,患者に,約50−約350cc/時の
速度で投与することができる。好ましくは,速度は約150−約250cc/時
である。最も好ましくは,速度は約175−約225cc/時である。
【0214】 "約"との用語は,本明細書において用いられる場合,±10%を意味する。す
なわち,約175cc/時とは,157.5cc/時−192.5cc/時を意
味する。
【0215】 現在好ましい態様においては,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル
)メチリデニル]−2−インドリノンの用量を,フルオロウラシルまたはフルオ
ロウラシル/ロイコボリンを患者に投与しない期間の間に投与する。上述の薬理
学の節における例から明らかにされたように,フルオロウラシルまたはフルオロ
ウラシル/ロイコボリンは,多くの治療計画において投与することができ,治療
計画の選択は担当の臨床医の知識および専門的能力の範囲内である。
【0216】フルオロウラシルおよびフルオロウラシル/ロイコボリンの用量 上述のフルオロウラシルおよびフルオロウラシル/ロイコボリンを用いる臨床
試験において見られるように,現在,フルオロウラシルまたはフルオロウラシル
/ロイコボリンを進行直腸結腸癌に投与するのに用いられる種々のスケジュール
が存在する。しかし,フルオロウラシルおよびフルオロウラシル/ロイコボリン
の種々の投与用量およびスケジュールを用いた結果には顕著な相違はなく,ほと
んどの治療計画は,白血球減少症,下痢および粘膜炎を様々な程度で生ずる。す
なわち,フルオロウラシルは,約300mg/m2−約800mg/m2の範囲の
用量で投与することができるが,約400−500mg/m2/週の用量強度を
与えるフルオロウラシルのスケジュールが現在最適な治療であると考えられてい
る。ロイコボリンを治療に含める場合,低および高用量ロイコボリンについての
臨床結果の相違は小さく,高用量治療計画には追加の毒性があるため,現在低用
量治療計画が最も適当であるようである。
【0217】 すなわち,フルオロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコボリンは,本発
明の範囲内で,現在認可されている任意の方法で,または将来有効であると見い
だされる任意の方法で投与することができるが,上述のデータによれば,本発明
の現在好ましい態様においては,フルオロウラシルは4週間サイクルの第1−5
日に約400−500mg/m2の用量でボーラス静脈内注射として投与する。
4週間のサイクルは,必要に応じて,または治療を実施している臨床医に認識さ
れる有害な副作用が生ずるまで,繰り返すことができる。
【0218】 ロイコボリンは,フルオロウラシルとともに投与することができる。ロイコボ
リンは,約20−約500mg/m2,好ましくは約20−約200mg/m2
用量で投与することができ,本発明の現在好ましい態様においては,フルオロウ
ラシルの各投与について,約20mg/m2の低用量投与として,ボーラス注射
として投与する。
【0219】フルオロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコボリンと3−[(2,4−ジ メチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンとの組み合わせ 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンをフルオロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコボリンとの組み合わ
せで投与する場合,化合物は,各成分の特徴の最大の利点を得るように計算され
た治療計画にしたがって,同時に,逐次的に,連続的に,間欠的に等で投与する
ことができることが,本発明の1つの観点である。現在好ましい態様においては
,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インド
リノンは,フルオロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコボリンを投与しな
い日に投与する。すなわち,本発明の1つの態様においては,上述の3−[(2
,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンの用量
を,所望の任意のパターンで投与することができる。例えば,限定されるもので
はないが,フルオロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコボリンについて選
択された治療計画において,フルオロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコ
ボリンを投与しない,各日,1日おき,2日おき等で投与することができる。3
−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノ
ンは,ボーラス静脈内注射として,または連続静脈内注入として投与することが
できる。しかし,インビトロデータに基づけば,3−[(2,4−ジメチルピロ
ール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンは,比較的短い時間(5−
30分間)かけて投与することができ,その3−4日後に内皮細胞に対して抗増
殖活性を示す。同様に,インビボデータは,3−[(2,4−ジメチルピロール
−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンを3−4日間隔で投与すること
は,毒性を示すことなく腫瘍成長を阻害するのに十分であることを示している。
さらに,52週間までの治療を受けた患者における第1相用量増加試験において
累積的毒性は認められなかった。すなわち,本発明の現在好ましい態様において
は,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−イン
ドリノンの示された用量を,4週間の治療計画のそれぞれの2−4週において週
2回投与する。
【0220】 本明細書の開示に基づけば,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチレン]−2−インドリノンは,他の化学療法剤との組み合わせにおいても作
用すると予測される。例えば,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)
メチレン]−2−インドリノンと他のアルキル化剤との組み合わせは,毒性を増
加させることなく相乗的活性を与えるであろう。そのようなアルキル化剤には,
限定されないが,アルキルスルホネート,例えばブルスファン(慢性顆粒球性白
血病の治療に用いられる),イムプロスルファンおよびピポスルファン;アジリ
ジン類,例えばベンゾデパ,カルボコン,メツレデパおよびウレデパ;エチレン
イミン類およびメチルメラミン類,例えばアルトレタミン,トリエチレンメラミ
ン,トリエチレンホスホルアミド,トリエチレンチオホスホルアミドおよびトリ
メチロールメラミン,およびナイトロジェンマスタード類,例えばクロラムブシ
ル(慢性リンパ性白血病,原発性マクログロブリン血症および非ホジキンリンパ
腫の治療において用いられる),シクロホスファミド(ホジキン病,多発性骨髄
腫,神経芽細胞腫,乳癌,卵巣癌,肺癌,ウイルムス腫瘍および横紋筋肉腫の治
療において用いられる),エストラムスチン,イフォスファミド,ノベムブリチ
ン,プレドニムスチンおよびウラシルマスタード(原発性血小板増加症,非ホジ
キンリンパ腫,ホジキン病および卵巣癌用);およびトリアジン類,例えばダカ
ルバジン(軟組織肉腫用)が含まれる。
【0221】 同様に,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−イ
ンドリノンは,他の抗代謝化学療法剤,例えば,限定されないが,葉酸類似体(
例えば,メトトレキセート(急性リンパ性白血病,絨毛癌腫,菌状息肉腫,乳癌
,頭頸部癌および肺癌,骨形成性肉腫の治療に用いられる)およびプテロプテリ
ン),プリン類似体,例えばメルカプトプリンおよびチオグアニン(急性顆粒球
性白血病,急性リンパ性白血病および慢性顆粒球性白血病の治療に用いられる)
との組み合わせにおいて,有益な効果を有するかもしれない。
【0222】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノ
ンはまた,天然産物化学療法剤,例えば,限定されないが,ビンカアルカロイド
(ビンブラスチン(乳癌および精巣癌に用いられる),ビンクリスチン,ビンデ
シン),エピポドフィロトキシン類(エトポシド,テニポシド(両方とも精巣癌
およびカポジ肉腫の治療に用いられる)),抗生物質化学療法剤(ダウノルビシ
ン,ドキソルビシン,ブレオマイシン,マイトマイシン(胃癌,子宮頸癌,結腸
癌,乳癌,膀胱癌および膵臓癌に用いられる),ダクチノマイシン,プリカマイ
シン,ブレオマイシン(皮膚癌,食道癌および尿生殖器管癌に用いられる)およ
び酵素的化学療法剤,例えばL−アスパラギナーゼとの組み合わせにおいて有効
性を示すかもしれない。
【0223】 本発明の開示に基づけば,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メ
チレン]−2−インドリノンは,化学療法剤,例えば白金配位錯体(シスプラチ
ン等),置換尿素(ヒドロウレア),メチルヒドラジン誘導体(プロカルバジン
),副腎皮質抑制剤(ミトーテン,アミノグルテチミド),ならびにホルモンお
よびアンタゴニスト,例えばアドレノコルチコステロイド(プレドニゾン),プ
ロゲスチン(ヒドロキシプロゲステロンカプロネート),エストロゲン(ジエチ
ルスチルベストロール),抗エストロゲン(タモキシフェン)およびアンドロゲ
ン(テストステロンプロピオネート)等の活性にも有益であるかもしれない。
【0224】 最後に,3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−2−イ
ンドリノンとミトザントロンまたはパクリタキセルの組み合わせは,固体腫瘍ま
たは白血病,例えば,限定されないが,急性骨髄性(非リンパ球)白血病の治療
において特に有益な効果を示すと予測される。
【0225】 上述の説明はフルオロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコボリンとの組
み合わせにおける3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチレン]−
2−インドリノンの使用に関するものであるが,本発明の他の化合物,特にフル
オロウラシルまたはフルオロウラシル/ロイコボリンとの組み合わせにおける3
−[4−(2−カルボキシエチル−3,5−ジメチルピロール−2−イル)メチ
リデニル]−2−インドリノンもまた,本発明の範囲および精神の範囲内である
ことが理解されるべきである。
【0226】包装 組成物は,所望であれば, FDA承認のキット等の,活性成分を含んでいる
一つまたはそれより多い単位剤形を含むパックまたは調剤装置にて提供されてよ
い。パックは例えばPTP包装等の金属またはプラスチックの箔を含む。パック
または調剤装置には,投与のための使用説明書が添付されてよい。またパックま
たは調剤装置は,薬剤の製造,用途,または販売を取締まる政府機関によって規
定された形式の,容器に関連した注意書が添付されてよく,その注意書は当該組
成物の形状について,あるいはヒトまたは獣医学的投与についての当該機関によ
る承認を反映するものである。かかる注意書は,例えば米国食品医薬品局により
処方箋調剤薬として承認されたラベルによるものか,または承認された製品に差
込まれたものでもよい。適合した製剤学的担体中で製剤された,本発明の化合物
を含んでいる組成物もまた調製され,適当な容器内に設置され,さらに指示され
た条件による処置のためにラベルされてよい。ラベル上に示される適切な状態と
しては,腫瘍の治療,新脈管形成の阻害,線維症,糖尿病等の治療が挙げられる
【0227】 4.合成 本発明の化合物,ならびに前駆体である2−オキシインドール類およびアルデ
ヒド類は,化学の技術分野においてよく知られる技術を用いて容易に合成するこ
とができる。当業者は,本発明の化合物を形成するために他の合成経路が利用可
能であり,以下の記載は例示のために提供されるものであり,限定ではないこと
を理解するであろう。
【0228】 1. 4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリ
デンメチル)−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル オキシ塩化リン(0.186mL,1.44mmol)をジクロロメタン(4
mL)中のジメチルホルムアミド(0.15mL,1.44mmol)の溶液に
0℃で滴加した。混合物を室温に暖め,30分間撹拌し,次に0℃に冷却した。
4−メチル−2−ピロールカルボキシレートメチルエステル(100mg,0.
72mmol)を少しずつ加え,次に混合物を40−50℃で4時間撹拌した。
水酸化ナトリウム(10%水性溶液,2ml)を加え,反応混合物を30分間撹
拌した。次に塩基性溶液を酢酸エチル(3X)で抽出し,有機層をブラインで洗
浄し,pH6−7とし,無水硫酸ナトリウムで乾燥し,真空下で濃縮して,11
5.9mg(96%)の4−メチル−5−ホルミル−2−ピロールカルボキシレ
ートメチルエステルを黄色油状物として得た。
【0229】 オキシインドール(105mg,0.79mmol),4−メチル−5−ホル
ミル−2−ピロールカルボキシレートメチルエステル(110mg,0.67m
mol)およびピペリジン(2滴)のエタノール(2mL)中の混合物を,90
℃で3時間撹拌した。沈殿物を真空濾過により回収し,エタノールで洗浄し,真
空下で乾燥して,153.2mg(81%)の4−メチル−5−(2−オキソ−
1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カ
ルボン酸メチルエステルを得た。
【化6】
【0230】 2. 4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリ
デンメチル)−1H−ピロール−2−カルボン酸 オキシ塩化リン(0.66mL,7.2mmol)を,ジメチルホルムアミド
(0.6mL,7.2mmol)のジクロロメタン(30mL)中の氷***液に
滴加した。混合物を室温で30分間撹拌し,次に氷浴中で冷却した。4−メチル
−2−ピロールカルボキシレートエチルエステル(919mg,6mmol)を
反応混合物にゆっくり加えた。次に,得られた反応混合物を室温で2.4時間撹
拌した。次に,混合物を氷浴中で冷却し,2N水酸化ナトリウムを加え,混合物
を30分間撹拌した。水性混合物を酢酸エチル(2X)で抽出し,有機層を合わ
せ,ブラインで洗浄し,次に無水硫酸ナトリウムで乾燥し,真空下で濃縮した。
得られたピンク色の固体を真空下で室温で3日間乾燥して,1.05g(96%
)の4−メチル−5−ホルミル−2−ピロールカルボキシレートエチルエステル
を得た。生成物はさらに精製することなく用いた。MS(APCI)[M−l] + 180(80%),[M−34]+146(100%)。
【0231】 4−メチル−5−ホルミル−2−ピロールカルボキシレートエチルエステル(
543.57mg,3mmol)の2N水酸化ナトリウム(15mL水中1.2
g)中の混合物を1/2時間還流した。反応混合物を室温に冷却し,氷水に注加
した。次にこれを2N塩酸で酸性にしてpH約3.5とし,酢酸エチル(2X)
で抽出した。有機層をブラインで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥し,真空下
で濃縮した。得られた固体を真空下で40℃で2時間乾燥して,410mg(8
9%)の4−メチル−5−ホルミル−2−ピロールカルボン酸を白色固体として
得た。
【0232】 オキシインドール(133.15mg,1mmol),4−メチル−5−ホル
ミル−2−ピロールカルボン酸(153.14mg,1mmol),ピペリジン
(2滴)のエタノール(2mL)中の混合物を3時間還流した。沈殿物を真空濾
過により回収し,エタノールで洗浄し,2N塩酸で中和し,水で洗浄し,乾燥し
て,268.5mg(100%)の4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジ
ヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カルボン酸を
橙色/赤色固体として得た。
【化7】
【0233】 3. 3−(5−ヒドロキシメチル−3−メチル−1H−ピロール−2−イルメ
チレン)−1,3−ジヒドロインドール−2−オンおよび 4.4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロ−インドール−3−イリ
デンメチル)−1H−ピロール−2−カルボキシアルデヒド 4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデン
メチル)−1H−ピロール−2−カルボン酸(4.02g,15mmol)のテ
トラヒドロフラン(50mL)中の懸濁液に,塩化オキサリル(3.80g,3
0mmol)を0℃でゆっくり加えた。添加が完了した後,得られた懸濁液を室
温で2時間撹拌した。次にホウ水素化ナトリウム(1.14g,30mmol)
を混合物に少しずつ加え,懸濁液を室温でさらに1日間撹拌した。この時点で,
1.14gのホウ水素化ナトリウムをさらに加え,次に10mLのジメチルホル
ムアミドを加えて固体を溶解し,反応混合物を室温でさらに1日間撹拌した。氷
冷した反応混合物に,ガスが発生しなくなるまで氷水を加えた。水性層を酢酸エ
チルで抽出した。有機層と水性層との間に形成された沈殿物を濾過し,水および
酢酸エチルで洗浄し,乾燥して,2.5g(60%)の赤色固体を得た。有機層
をブラインで洗浄し,無水硫酸ナトリウムで乾燥し,濃縮し,シリカゲルカラム
で酢酸エチル−ヘキサンで溶出して精製して,340mg(9%)の3−(5−
ヒドロキシメチル−3−メチル−1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,3
−ジヒドロインドール−2−オンを黄色固体として,および540mg(14%
)の4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデ
ンメチル)−1H−ピロール−2−カルボアルデヒドを橙色固体として得た。
【0234】 3−(5−ヒドロキシメチル−3−メチル−1H−ピロール−2−イルメチレン
)−1,3−ジヒドロインドール−2−オン:
【化8】 4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメ
チル)−1H−ピロール−2−カルボアルデヒド:
【化9】
【0235】 5.生物学的評価 任意の与えられた一群の化合物において,生物学的活性のスペクトルが得られ
るであろうことが理解されるであろう。好ましい態様においては,本発明は,R
TK,CTK,およびSTK活性を調節する能力を示す,新規な3−ヘテロアリ
ーリデニル−2−インドリノンに関する。以下のアッセイを用いて,最適な程度
の所望の活性を示す化合物が選択される。
【0236】アッセイ方法 以下のインビトロアッセイを用いて,本発明の種々の化合物の1つまたはそれ
以上のPKに対する活性および効果のレベルを決定することができる。同様にし
て,当該技術分野においてよく知られる技術を用いて,任意のPKについて類似
のアッセイを設計することができる。
【0237】 本明細書に記載される細胞/触媒アッセイは,ELISAフォーマットで実施
する。一般的方法は以下のとおりである:天然にまたは組換え的に試験キナーゼ
を発現する細胞に化合物を導入する。選択された時間が経過した後,試験キナー
ゼがレセプターである場合には,レセプターを活性化することが知られているリ
ガンドを加える。細胞を溶解し,あらかじめ酵素的リン酸化反応の基質を認識す
る特異的抗体でコーティングしたELISAプレートのウエルに溶解物を移す。
細胞溶解物の非基質成分を洗い流し,ホスホチロシンを特異的に認識する抗体で
基質のリン酸化の量を検出し,試験化合物と接触させていない対照細胞と比較す
る。
【0238】 本明細書に記載される細胞/生物学的アッセイは,試験キナーゼの活性化に応
答して生成したDNAの量を測定し,これは一般的な増殖性応答の尺度である。
このアッセイの一般的方法は次のとおりである:天然にまたは組換え的に試験キ
ナーゼを発現する細胞に化合物を導入し,選択された時間が経過した後,試験キ
ナーゼがレセプターである場合にはレセプターを活性化することが知られている
リガンドを加える。少なくとも一夜インキュベーションした後,DNA標識試薬
,例えばブロモデオキシウリジン(BrdU)または3H−チミジンを加える。
抗BrdU抗体でまたは放射活性を測定することにより標識されたDNAの量を
検出し,試験化合物と接触させていない対照細胞と比較する。
【0239】細胞/触媒アッセイ 酵素結合イムノソルベントアッセイ(ELISA)を用いて,PK活性の存在
を検出し測定することができる。ELISAは,例えば,Voller,et
al.,1980("Enzyme−Linked Immunosorben
t Assay," Manual of Clinical Immunol
ogy,2d.ed,Rose and Friedman,pp359−37
1 Am.Soc.Of Microbiology,Washington,
D.C.)に記載の既知のプロトコルに従って実施することができる。
【0240】 開示されるプロトコルを,特定のPKに関する活性を検出するように適合させ
ることができる。例えば,特定のPKに関するELISA実験を実施するための
好ましいプロトコルは以下に記載される。しかし,RTKファミリーの他のメン
バー,ならびにCTKおよびSTKに対する化合物の活性を検出するためにこれ
らのプロトコルを適合させることは,当業者の知識の範囲内である。
【0241】FLK−1アッセイ ELISAアッセイを実施して,FLK−1レセプターのキナーゼ活性,より
詳細にはFLK−1レセプター上のTK活性の阻害または活性化を測定する。詳
細には,以下のアッセイを実施して,Flk−1を発現するように遺伝子工学処
理された細胞において,FLK−1レセプターのキナーゼ活性を測定することが
できる。
【0242】材料および方法 a. Corning96ウエルELISAプレート(Corningカタログ
No.25805−96); b. Cappelヤギ抗ウサギIgG(カタログNo.55641); c. PBS(GibcoカタログNo.450−1300EB); d. TBSW緩衝液(50mMTris(pH7.2),150mMNaCl
および0.1%Tween−20); e. エタノールアミン保存液(10%エタノールアミン(pH7.0),4℃
で保存); f. HNTG緩衝液(20mMHEPES緩衝液(pH7.5),150mM
NaCl,0.2%TritonX−100,および10%グリセロール); g. EDTA(0.5M(pH7.0)100X保存液として); h. オルトバナジウム酸ナトリウム(0.5M,100X保存液として); i. ピロリン酸ナトリウム(0.2M,100X保存液として); j. NUNC96ウエルV底ポリプロピレンプレート(Applied Sc
ientificカタログNo.AS−72092); k. NIH3T3 C7#3細胞(FLK−1発現細胞); l. DMEM,1X高グルコースL−グルタミン含有(カタログNo.119
65−050); m. FBS,Gibco(カタログNo.16000−028); n. L−グルタミン,Gibco(カタログNo.25030−016); o. VEGF,PeproTech,Inc.(カタログNo.100−20
)Milli−QdH2O中1μg/100μl保存液として保持し,−20℃
で保存; p. アフィニティー精製抗FLK−1抗血清; q. ホスホチロシン特異的UB40モノクローナル抗体(Fendley,e
t al.,1990,Cancer Research 50:1550−1
558を参照); r. EIA等級ヤギ抗マウスIgG−POD(BioRadカタログNo.1
72−1011); s. 2,2−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−硫酸(ABT
S)溶液(100mMクエン酸(無水),250mMNa2HPO4(pH4.0
),0.5mg/mlABTS(SigmaカタログNo.A−1888)),
溶液は,使用まで暗所で4℃で保存しなければならない; t. H22(30%溶液)(FisherカタログNo.H325); u. ABTS/H22(15mlABTS溶液,2μlH22)使用の5分間
に調製,室温に保持; v. 0.2MHCl保存液,H2O中; w. ジメチルスルホキシド(100%)(SigmaカタログNo.D−84
18);および y. トリプシン−EDTA(Gibco BRLカタログNo.25200−
049)
【0243】プロトコル 1. Corning96ウエルELISAプレートを,ウエルあたり1.0μ
gの,0.1MNa2CO3(pH9.6)中Cappel抗ウサギIgG抗体,
でコーティングする。最終容量をウエルあたり150μlとする。プレートを4
℃で一夜コーティングする。プレートは,4℃で保存したとき,2週間まで保存
することができる。 2. 細胞を適当な培養皿中で成長培地(DMEM,2.0mML−グルタミン
,10%FBSを補充)中で,コンフルエントとなるまで37℃,5%CO2
成長させる。 3. トリプシン処理により細胞を回収し,Corning25850ポリスチ
レン96ウエル丸底細胞プレートに,200μlの成長培地中25,000細胞
/ウエルで播種する。 4. 細胞を37℃,5%CO2で少なくとも1日成長させる。 5. 細胞をD−PBS 1Xで洗浄する。 6. 200μl/ウエルの飢餓培地(DMEM,2.0mM l−グルタミン
,0.1%FBS)を加える。37℃,5%CO2で一夜インキュベートする。 7. 化合物をポリプロピレン96ウエルプレート中で飢餓培地を用いて1:2
0に希釈する。対照ウエルで使用するために,ジメチルスルホキシドを1:20
に希釈する。 8. 96ウエル細胞培養プレートから飢餓培地を除去し,162μlの新たに
調製した飢餓培地を各ウエルに加える。 9. 1:20に希釈された化合物希釈物18μl(工程7より)を各ウエルに
加え,1:20ジメチルスルホキシド希釈物を対照ウエルに加え(+/−VEG
F),細胞刺激の後,1:200の最終希釈とする。最終ジメチルスルホキシド
は0.5%である。プレートを37℃,5%CO2で2時間インキュベートする
。 10. プレートを逆さにして液体を除去することにより,未結合抗体をELI
SAプレートから除去する。TBSW+0.5%エタノールアミン,pH7.0
で3回洗浄する。プレートをペーパータオル上で軽くたたいて,過剰の液体およ
び気泡を除去する。 11. ウエルあたり150μlのTBSW+0.5%エタノールアミン,pH
7.0でプレートをブロッキングする。プレートをマイクロタイタープレート振
盪器で振盪しながら,30分間インキュベートする。 12. プレートを工程10で記載したように3回洗浄する。 13. 0.5μg/ウエルのアフィニティー精製抗FLU−1ポリクローナル
ウサギ抗血清を加える。TBSW+0.5%エタノールアミンpH7.0で最終
容量を150μl/ウエルとする。プレートを振盪しながら30分間インキュベ
ートする。 14. 細胞に180μlの飢餓培地を加え,20μl/ウエルの10.0mM
オルトバナジウム酸ナトリウムおよび500ng/mlVEGF(最終濃度;ウ
エルあたり1.0mMオルトバナジウム酸ナトリウムおよび50ng/mlVE
GF)で37℃,5%CO2で8分間細胞を刺激する。陰性対照ウエルには飢餓
培地のみを加える。 15. 8分後,培地を細胞から除去し,200μl/ウエルのPBSで1回洗
浄しなければならない。 16. 150μl/ウエルのHNTG中で室温で5分間振盪しながら細胞を溶
解させる。HNTG配合物はオルトバナジウム酸ナトリウム,ピロリン酸ナトリ
ウムおよびEDTAを含む。 17. ELISAプレートを工程10に記載したように3回洗浄する。 18. 細胞溶解物を細胞プレートからELISAプレートに移し,振盪しなが
ら2時間インキュベートする。細胞溶解物を移すには,ウエルを掻きながらピペ
ットアップおよびダウンを行う。 19. プレートを工程10に記載したように3回洗浄する。 20. ELISAプレートを0.02μg/ウエルのTBSW+05%エタノ
ールアミン中のUB40とともにインキュベートする。最終容量を150μl/
ウエルとする。振盪しながら30分間インキュベートする。 21. プレートを工程10に記載したように3回洗浄する。 22. ELISAプレートを,TBSW+0.5%エタノールアミン,pH7
.0中で1:10,000に希釈したEIA等級ヤギ抗マウスIgGコンジュゲ
ート西洋ワサビペルオキシダーゼとともにインキュベートする。最終容量を15
0μl/ウエルとする。振盪しながら30分間インキュベートする。 23. 工程10で記載したようにプレートを洗浄する。 24. 100μlのABTS/H22溶液をウエルに加える。振盪しながら1
0分間インキュベートする。 25. 100μlの0.2MHClを0.1MHCl最終濃度となるように加
えて,発色反応を停止する。室温で1分間振盪する。ゆっくりした空気の流れで
気泡を除去し,ELISAプレートをELISAプレートリーダーで410nm
で読む。
【0244】全細胞におけるEGFレセプター−HER2キメラレセプターアッセイ EGFR−NIH3T3全細胞中のHER2キナーゼ活性を以下に記載するよ
うにして測定した。
【0245】材料および試薬 a. EGF:保存液濃度:16.5ILM;EGF201,TOYOBO,C
o.,Ltd.Japan b. 05−101(UBI)(EGFR細胞外ドメインを認識するモノクロー
ナル抗体) c. 抗ホスホチロシン抗体(抗Ptyr)(ポリクローナル)(Fendle
y,et al.,(上掲)を参照) d. 検出抗体:ヤギ抗ウサギlgG西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲー
ト,TAGO,Inc.,Burlingame,CA e. TBST緩衝液: Tris−HCl,pH7.2 50mM NaCl 150mM TritonX−100 0.1 f. HNTG 5X保存液: HEPES 0.1M NaCl 0.75M グリセロール 50% TritonX−100 1.0% g. ABTS保存液: クエン酸 100mM Na2HPO4 250mM HCl(濃) 0.5mM ABTS* 0.5mg/ml *(2,2'−アジノビス(3−エチルベンズチアゾリンスルホン酸)) 溶液は使用するまで暗所で4℃で保存する。 h. 試薬保存液: EDTA 100mM pH7.0 Na3VO4 0.5M Na4(P27) 0.2M
【0246】方法 ELISAプレートのプレコート 1. ELISAプレート(Corning,96ウエル,Cat.#2580
5−96)をウエルあたりPBS中0.5μgの05−101抗体で100μl
の最終容量/ウエルでコーティングし,4℃で一夜保存する。コーティングした
プレートは4℃で保存した場合,10日間まで良好である。 2. 使用の日,コーティング緩衝液を除去し,100μlのブロッキング緩衝
液(PBS中5%Carnationインスタント脱脂乾燥ミルク)で置き換え
る。プレートを室温で(約23℃から25℃)振盪しながら30分間インキュベ
ートする。使用の直前に,ブロッキング緩衝液を除去し,プレートをTBST緩
衝液で4回洗浄する。
【0247】細胞播種 1. このアッセイには,EGFR細胞外ドメインおよび細胞内HER2キナー
ゼドメインを含有するキメラレセプターを過剰発現するNIH3T3細胞株を用
いることができる。 2. 80−90%コンフルエントの培養皿を実験用に選択する。細胞をトリプ
シン処理し,10%ウシ胎児血清を加えることにより反応を停止させる。細胞を
DMEM培地(10%CS DMEM培地)中に懸濁し,1500rpmで室温
で5分間1回遠心分離する。 3. 細胞を播種培地(DMEM,0.5%ウシ血清)に再懸濁し,トリパンブ
ルーを用いて細胞を計数する。90%より高い生存性が許容される。細胞をDM
EM培地(0.5%ウシ血清)中で,ウエルあたり10,000細胞の密度で,
ウエルあたり100μlで,96ウエルマイクロタイタープレートに播種する。
播種した細胞を5%CO2中で37℃で約40時間インキュベートする。
【0248】アッセイ方法 1. 播種した細胞を,倒立顕微鏡を用いてコンタミネーションについて検査す
る。薬剤保存液(DMSO中10mg/ml)をDMEM培地で1:10に希釈
し,次に5μlを,最終薬剤希釈1:200および最終DMSO濃度1%となる
ように,TBSTウエルに移す。対照ウエルにはDMSOのみを加える。5%C
2中で37℃で2時間インキュベートする。 2. EGFリガンドの調製:保存液EGFを,10μl希釈EGF(1:12
希釈)を移したときに100nMの最終濃度が得られるように,DMEM中で希
釈する。 3. ウエルあたり100μlに十分なように新たにHNTG*を調製し,氷上
に置く。 HNTG*(10ml): HNTG保存液 2.0ml milli−QH2O 7.3ml EDTA,100mM,pH7.0 0.5ml Na3VO4,0.5M 0.1ml Na4(P27),0.2M 0.1ml 4. 薬剤とともに120分間インキュベーションした後,調製したSGFリガ
ンドを,ウエルあたり10μl,最終濃度100nMとなるように細胞に加える
。対照ウエルにはDMEMのみを加える。室温で5分間振盪しながらインキュベ
ートする。 5. 薬剤,EGF,およびDMEMを除去する。細胞をPBSで2回洗浄する
。ウエルあたり100μlのHNTG*を細胞に移す。氷上に5分間放置する。
この間に,ブロッキング緩衝液を他のELISAプレートから除去し,上述した
ようにTBSTで洗浄する。 6. マイクロピペッターにぴったりと固定したピペットチップを用いて,細胞
をプレートからはがし,HNTG*溶解緩衝液を繰り返し吸引および分配するこ
とにより,細胞物質をホモジナイズする。コーティングし,ブロッキングし,洗
浄したELISAプレートに溶解物を移す。振盪しながら室温で1時間インキュ
ベートする。 7. 溶解物を除去し,TBSTで4回洗浄する。新たに希釈した抗Ptyr抗
体をウエルあたり100μlでELISAプレートに移す。抗Ptyr抗血清(
TBST中1:3000希釈)の存在下で,振盪しながら室温で30分間インキ
ュベートする。 8. 抗Ptyr抗体を除去し,TBSTで4回洗浄する。新たに希釈したTA
GO抗ウサギIgG抗体をELISAプレートにウエルあたり100μlで移す
。振盪しながら室温で30分間インキュベートする(抗ウサギIgG抗体:TB
ST中1:3000希釈)。 9. TAGO検出抗体を除去し,TBSTで4回洗浄する。新たに調製したA
BTS/H22溶液をウエルあたり100μlでELISAプレートに移す。振
盪しながら室温で20分間インキュベートする(ABTS/H22溶液:10m
lABTS保存液中1.0μlの30%H22)。 10. 50μlの5N H2SO4を加えることにより反応を停止し(任意),
410nmでO.D.を測定する。 11. 最大ホスホチロシンシグナルは,陰性対照の値を陽性対照の値から差し
引くことにより決定する。次に,抽出物含有ウエルについて,陰性対照を差し引
いた後にホスホチロシン含有量のパーセント阻害を計算する。
【0249】PDGF−Rアッセイ すべての細胞培養培地,グルタミンおよびウシ胎児血清は,特に記載しないか
ぎり,Gibco Life Technologies(Grand Isl
and,NY)から購入した。すべての細胞は,90−95%空気および5−1
0%CO2の湿潤雰囲気下で37℃で成長させた。すべての細胞株は,日常的に
1週間に2回サブカルチャーし,Mycotect法(Gibco)によりマイ
コプラズマがないことを確認した。
【0250】 ELISAアッセイについては,細胞(U1242,Joseph Schl
essinger,NYUから入手)を成長培地(MEM,10%FBS,NE
AA,1mM NaPyrおよび2mMGLN含有)で80−90%コンフルエ
ントまで成長させ,96ウエル組織培養プレートに0.5%血清中で,ウエルあ
たり25,000−30,000細胞を播種する。0.5%血清含有培地で一夜
インキュベーションした後,細胞を無血清培地に移し,5%CO2,37℃イン
キュベーター中で試験化合物で2時間処理する。次に細胞をリガンドで5−10
分間刺激し,HNTG(20mMHepes,150mMNaCl,10%グリ
セロール,5mMEDTA,5mMNa3VO4,0.2%TritonX−10
0,および2mMNaPyr)で溶解する。細胞溶解物(PBS中0.5mg/
ウエル)をレセプター特異的抗体であらかじめ被覆し,TBST(50mMTr
is−HClpH7.2,150mMNaClおよび0.1%TritonX−
100)中5%ミルクで室温で30分間ブロッキングしたELISAプレートに
移す。溶解物を振盪しながら室温で1時間インキュベートする。プレートをTB
STで4回洗浄し,次にポリクローナル抗ホスホチロシン抗体とともに室温で3
0分間インキュベートする。プレートをTBSTで4回すすぐことにより過剰の
抗ホスホチロシン抗体を除去する。ELISAプレートにヤギ抗ウサギIgG抗
体を室温で30分間加え,次にTBSTでさらに4回すすぐ。ABTS(100
mMクエン酸,250mMNa2HPO4および0.5mg/mL2,2'−アジ
ノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−硫酸)),およびH22(1.2
mL30%H22を10mlABTSに加える)をELISAプレートに加えて
発色を開始させる。ABTS添加の約15から30分後,410nmおよび63
0nmの参照波長における吸光度を記録する。
【0251】IGF−Iレセプターアッセイ 以下のプロトコルを用いて,IGF−Iレセプター上のホスホチロシンレベル
を測定することができ,これはIGF−Iレセプターチロシンキナーゼ活性を示
す。
【0252】材料および試薬 a. このアッセイにおいて用いる細胞株は,IGF−1レセプターを過剰発現
するように遺伝子工学処理された細胞株3T3/IGF−1Rである。 b. NIH3T3/IGF−1Rを,5%CO2,37℃のインキュベーター
で成長させる。成長培地はDMEM+10%FBS(熱不活性化)+2mML−
グルタミンである。 c. アフィニティー精製抗IGF−1R抗体17−69 d. D−PBS: KH2PO4 0.20g/l K2HPO4 2.16g/l KCl 0.20g/l NaCl 8.00g/l(pH7.2) e. ブロッキング緩衝液:TBSTプラス5%ミルク(Carnationイ
ンスタント脱脂乾燥ミルク) f. TBST緩衝液: Tris−HCl 50mM NaCl 150mM(pH7.2/HCl 10N) TritonX−100 0.1% TBS(10X)の保存溶液を調製し,希釈の間に緩衝液にTritonX−1
00を加える。 g. HNTG緩衝液: HEPES 20mM NaCl 150mM(pH7.2/HCl 1N) グリセロール 10% TritonX−100 0.2% 保存溶液(5X)を調製し,4℃で保存する。 h. EDTA/HCl:0.5MpH7.0(NaOH),100X保存液と
して i. Na3VO4:100X保存液として0.5M,アリコートは−80℃で保
存する。 j. Na427:100X保存液として0.2M k. インスリン様成長因子−1,Promega(Cat#G5111) ウサギポリクローナル抗ホスホチロシン抗血清 m. ヤギ抗ウサギIgG,PODコンジュゲート(検出抗体),Tago(C
at.No.4520,LotNo.1802):Tago,Inc.,Bur
lingame,CA n. ABTS(2,2'−アジノビス(3−エチルベンズチアゾリン硫酸)) 溶液: クエン酸 100mM Na2HPO4 250mM(pH4.0/1NHCl) ABTS 0.5mg/ml ABTS溶液は暗所で4℃で保存しなければならない。溶液は緑色に変色したと
きは廃棄しなければならない。 o. 過酸化水素:30%溶液を暗所で4℃で保存する。
【0253】方法 以下のすべての工程は,特に記載しないかぎり,室温で実施する。すべてのE
LISAプレート洗浄は,プレートを水道水で3回すすぎ,TBSTで1回すす
ぐことにより実施する。プレートを軽くたたいてペーパータオルで乾燥させる。
【0254】細胞播種 : 1. 組織培養皿(Corning25020−100)で80−90%コンフ
ルエントまで成長させた細胞を,トリプシン−EDTA(0.25%,0.5m
l/D−100,GIBCO)で回収する。 2. 細胞を新鮮なDMEM+10%FBS+2mML−グルタミン中に再懸濁
し,96ウエル組織培養プレート(Corning,25806−96)に20
,000細胞/ウエル(100μl/ウエル)で移す。1日インキュベートし,
次に培地を無血清培地(90/μl)で置き換え,5%CO2,37℃で一夜イ
ンキュベートする。
【0255】ELISAプレートコーティングおよびブロッキング : 1. ELISAプレート(Corning25805−96)を,100μl
PBS中の抗IGF−1R抗体で0.5μg/ウエルで少なくとも2時間コーテ
ィングする。 2. コーティング溶液を除去し,100μlのブロッキング緩衝液で置き換え
,30分間振盪する。ブロッキング緩衝液を除去し,溶解物を加える直前にプレ
ートを洗浄する。
【0256】アッセイ方法 : 1. 薬剤は,無血清条件で試験する。 2. 薬剤保存液(100%DMSO中)を96ウエルポリプロピレンプレート
中でDMEMで1:10に希釈し,10μl/ウエルのこの溶液を細胞に移して
,最終薬剤希釈1:100,最終DMSO濃度1.0%とする。細胞を5%CO 2 中で37℃で2時間インキュベートする。 3. 新鮮な細胞溶解緩衝液(HNTG*)を調製する。 HNTG 2ml EDTA 0.1ml Na3VO4 0.1ml Na4(P27) 0.1ml H2O 7.3ml 4. 薬剤を2時間インキュベートした後,10μl/ウエルのPBS中200
nMIGF−1リガンドを細胞に移し(最終濃度20nM),5%CO2で37
℃で10分間インキュベートする。 5. 培地を除去し,100μl/ウエルのHNTG*を加え,10分間振盪す
る。細胞を顕微鏡下で観察して,これらが適切に溶解したか否かを見る。 6. 12チャネルピペットを用いて細胞をプレートから掻き取り,吸引と分配
を繰り返すことにより溶解物をホモジナイズする。すべての溶解物を抗体コーテ
ィングELISAプレートに移し,1時間振盪する。 7. 溶解物を除去し,プレートを洗浄し,抗pTyr(TBST中1:3,0
00)を100μl/ウエルで移し,30分間振盪する。 8. 抗pTyrを除去し,プレートを洗浄し,TAGO(TBST中1:3,
000)を100μl/ウエルで移し,30分間振盪する。 9. 検出抗体を除去し,プレートを洗浄し,新鮮なABTS/H22(1.2
μlH22を10mlABTSに加える)を100μl/ウエルでプレートに移
して,発色を開始させる。 10. DynatecMR5000で参照波長630nmで410nmのOD
を測定する。
【0257】EGFRアッセイ ヒトEGF−Rを発現するよう遺伝子工学処理された細胞中のEGFレセプタ
ーキナーゼ活性を以下に記載するように測定することができる。
【0258】材料および試薬 a. EGFリガンド:保存液濃度=16.5μM;EGF201,TOYOB
O,Co.,Ltd.Japan b. 05−101(UBI)(EGFR細胞外ドメインを認識するモノクロー
ナル抗体) c. 抗ホスホチロシン抗体(抗Ptyr)(ポリクローナル) d. 検出抗体:ヤギ抗ウサギlgG西洋ワサビペルオキシダーゼコンジュゲー
ト,TAGO,Inc.,Burlingame,CA e. TBST緩衝液: Tris−HCl,pH7 50mM NaCl 150mM TritonX−100 0.1 f. HNTG 5X保存液: HEPES 0.1M NaCl 0.75M グリセロール 50 TritonX−100 1.0% g. ABTS保存液: クエン酸 100mM NaVO4 250mM HCl(濃) 4.0pH ABTS* 0.5mg/ml 溶液は使用するまで暗所で4℃で保存する。 h. 試薬保存液: EDTA 100mM pH7.0 Na3VO4 0.5M Na4(P27) 0.2M
【0259】方法 ELISAプレートのプレコート 1. ELISAプレート(Corning,96ウエル,Cat.#2580
5−96)をウエルあたりPBS中0.5μg,150μl最終容量/ウエルの
05−101抗体でコーティングし,4℃で一夜保存する。コーティングしたプ
レートは4℃で保存した場合10日間まで良好に使用しうる。 2. 使用の日,コーティング緩衝液を除去し,ブロッキング緩衝液(PBS中
5%Carnationインスタント脱脂乾燥ミルク)で置き換える。プレート
を振盪しながら室温(約23℃−25℃)で30分間インキュベートする。使用
の直前に,ブロッキング緩衝液を除去し,プレートをTBST緩衝液で4回洗浄
する。
【0260】細胞播種 1. このアッセイにはNIH3T3/C7細胞株(Honegger,et
al.,Cell51:199−209,1987)を用いることができる。 2. 80−90%コンフルエントの皿を実験用に選択する。細胞をトリプシン
処理し,10%CS DMEM培地を加えることにより反応を停止させる。細胞
をDMEM培地(10%CS DMEM培地)中に懸濁し,1000rpmで室
温で5分間,1回遠心分離する。 3. 細胞を播種培地(DMEM,0.5%ウシ血清)に再懸濁し,トリパンブ
ルーを用いて細胞を計数する。90%を越える生存率が許容範囲である。細胞を
96ウエルマイクロタイタープレート上で,DMEM培地(0.5%ウシ血清)
中に,ウエルあたり10,000細胞の密度でウエルあたり100μlで播種す
る。播種した細胞を5%CO2,37℃で約40時間インキュベートする。
【0261】アッセイ方法 1. 倒立顕微鏡を用いて,播種した細胞のコンタミネーションを調べる。試験
化合物保存液(DMSO中10mg/ml)をDMEM培地中で1:10に希釈
し,次に5μlを試験ウエルに移して,1:200の最終薬剤希釈および1%の
最終DMSO濃度とする。対照ウエルにはDMSOのみを加える。5%CO2
37℃で1時間インキュベートする。 2. EGFリガンドの調製:保存液EGFを,10μlの希釈EGF(1:1
2希釈)を移したときに25nMの最終濃度が得られるように,DMEM中で希
釈する。 3. ウエルあたり100μlに十分なように新鮮なHNTG*10mlを調製
する。HNTG*は以下のものを含む:HNTG保存液(2.0ml),mil
li−QH2O(7.3ml),EDTA,100mM,pH7.0(0.5m
l),Na3VO40.5M(0.1ml)およびNa4(P27),0.2M(
0.1ml) 4. 氷上に置く。 5. 薬剤とともに2時間インキュベーションした後,調製したEGFリガンド
を,ウエルあたり10μlで,25nMの最終濃度となるように細胞に加える。
対照ウエルにはDMEMのみを加える。振盪しながら室温で5分間インキュベー
トする。 6. 試験化合物,EGFおよびDMEMを除去する。細胞をPBSで2回洗浄
する。HNTG*をウエルあたり100μlで細胞に移す。氷上に5分間置く。
その間に,他のELISAプレートからブロッキング緩衝液を除去し,上述した
ようにTBSTで洗浄する。 7. マイクロピペッターにぴったりと固定したピペットチップを用いて,細胞
をプレートからはがし,HNTG*溶解緩衝液を繰り返し吸引および分配するこ
とにより,細胞物質をホモジナイズする。コーティングし,ブロッキングし,洗
浄したELISAプレートに溶解物を移す。振盪しながら室温で1時間インキュ
ベートする。 8. 溶解物を除去し,TBSTで4回洗浄する。新たに希釈した抗Ptyr抗
体をウエルあたり100μlでELISAプレートに移す。抗Ptyr抗血清(
TBST中1:3000希釈)の存在下で,振盪しながら室温で30分間インキ
ュベートする。 9. 抗Ptyr抗体を除去し,TBSTで4回洗浄する。新たに希釈したTA
GO30抗ウサギIgG抗体をELISAプレートにウエルあたり100μlで
移す。振盪しながら室温で30分間インキュベートする(抗ウサギIgG抗体:
TBST中1:3000希釈)。 10. 検出抗体を除去し,TBSTで4回洗浄する。新たに調製したABTS
/H22溶液をウエルあたり100μlでELISAプレートに移す。室温で2
0分間インキュベートする(ABTS/H22溶液:10mlABTS保存液中
1.2μlの30%H22)。 11. 50μlの5NH2SO4を加えることにより反応を停止し(任意),4
10nmでO.D.を測定する。 12. 最大ホスホチロシンシグナルは,陰性対照の値を陽性対照の値から差し
引くことにより決定する。次に,陰性対照を差し引いた後,抽出物含有ウエルに
ついてのホスホチロシン含有量のパーセント阻害を計算する。
【0262】Met自己リン酸化アッセイ このアッセイは,Metレセプター上のMet蛋白質チロシンキナーゼレベル
を分析することにより,Metチロシンキナーゼ活性を決定する試薬 a. HNTG(5X保存溶液):23.83gHEPESおよび43.83g
NaClを約350mldH2Oに溶解する。HClまたはNaOHでpHを7
.2に調節し,500mlグリセロールおよび10mlTritonX−100
を加え,混合し,dH2Oを加えて総容量を1Lとする。1X作業溶液1Lを作
成するためには,200mlの5X保存溶液を800mldH2Oに加え,必要
に応じてpHを調べて調節し,4℃で保存する。 b. PBS(ダルベッコリン酸緩衝化食塩水),Gibco Cat.#45
0−1300EB(1X溶液) c. ブロッキング緩衝液:500mldH2O中に,100gBSA,12.
1gTris−pH7.5,58.44gNaClおよび10mlTween−
20を加え,希釈して総容量1Lとする。 d. キナーゼ緩衝液:500mldH2Oに,12.1gTRIS(pH7.
2),58.4gNaCl,40.7gMgCl2および1.9gEGTAを加
え,dH2Oで総容量1Lとする。 e. PMSF(フッ化フェニルメチルスルホニル),Sigma Cat.#
P−7626,435.5mgに100%エタノールを総容量25mlとなるよ
うに加え,ボルテックスする。 f. ATP(細菌起源),Sigma Cat.#A−7699,粉末を−2
0℃で保存する;作業溶液を作成するためには,3.31mgを1mldH2
中に溶解する。 g. RC−20H HRPOコンジュゲート化抗ホスホチロシン,Trans
duction Laboratories Cat.#E120H h. Pierce 1−Step(商標)Turbo−TMB−ELISA(
3,3',5,5'−テトラメチルベンジジン),Pierce Cat.#34
022 i. H2SO4,濃硫酸1ml(18N)を35mldH2Oに加える。 j. TRIS HCL,Fischer Cat.#BP152−5;材料1
21.14gに600mlのMilliQ H2Oを加え,HClでpHを7.
5(または7.2)に調節し,MilliQ H2Oで容量を1Lとする。 k. NaCl,Fischer Cat.#S271−10,5M溶液を作成
する。 l. Tween−20,Fischer Cat.#S337−500 m. Na3VO4,Fischer Cat.#S454−50,材料1.8g
に80mlのMilliQ H2Oを加え,HClまたはNaOHでpHを10
.0に調節し,電子レンジで沸騰させ,冷却し,pHを調べ,pHが10.0で
安定となるまでこの工程を繰り返し,MilliQ H2Oを加えて総容量10
0mlとし,1mlアリコートを作成し,−80℃で保存する。 n. MgCl2,Fischer Cat.#M33−500,1M溶液を作
成する。 o. HEPES,Fischer Cat.#BP310−500,200m
lMilliQ H2Oに,材料59.6gを加え,pHを7.5に調節し,総
容量250mlとし,濾過滅菌する。 p. アルブミン,ウシ(BSA),Sigma Cat.#A−4503,材
料30gに滅菌蒸留水を加えて総容量300mlとし,4℃で保存する。 q. TBST緩衝液:1Lの目盛り付きシリンダー中の約900mlのdH2
Oに6.057gTRISおよび8.766gNaClを加え,溶解したとき,
HClでpHを7.2に調節し,1.0mlTritonX−100を加え,d
2Oで総容量1Lとする。 r. ヤギアフィニティー精製抗体ウサギIgG(全分子),Cappel C
at.#55641 s. 抗h−Met(C−28)ウサギポリクローナルIgG抗体,Santa
Cruz Chemical Cat.#SC−161 t. 過渡的にトランスフェクションされたEGFR/Metキメラ細胞(EM
R)(Komada,et al.,Oncogene,8:2381−239
0(1993) u. 炭酸ナトリウム緩衝液,(Na2CO4,Fischer Cat.#S4
95):材料10.6gに800mlのMilliQ H2Oを加え,溶解した
とき,NaOHでpHを9.6に調節し,MilliQ H2Oで総容量1Lと
し,濾過し,4℃で保存する。
【0263】方法 以下の工程は,特に記載のない限り,全て室温で実施する。ELISAプレー
ト洗浄は全てTBSTで4回すすぐことにより行う。
【0264】EMR溶解 この方法は,レセプター捕捉の開始の前夜または直前に実施することができる
。 1. 溶解物を37℃の水浴中で渦巻き動作により最後の結晶が消失するまで急
速に溶解する。 2. 細胞ペレットを1mMPMSFを含有する1X HNTG中で溶解する。
15cm皿の細胞あたり3mlのHNTGを用いる。計算したHNTG容量の1
/2を加え,管を1分間ボルテックスし,残量のHNTGを加え,さらに1分間
ボルテックスする。 3. 管の釣り合いをとり,10,000xg,10分間,4℃で遠心分離する
。 4. 上清をプールし,アリコートを除去して蛋白質測定を行う。 5. プールしたサンプルをドライアイス/エタノール浴中で急速凍結する。こ
の工程は,溶解物を一夜保存するか蛋白質測定後に直ちに使用するかにかかわら
ず実施する。 6. 標準的ビシンコニン酸(BCA)法を用いて蛋白質測定を実施する(BC
Aアッセイ試薬キット,Pierce Chemical Cat.#2322
5)。
【0265】ELISA法 1. Corning96ウエルELISAプレートを,総ウエル容量50μl
,ウエルあたり5μgの炭酸塩緩衝液中のヤギ抗ウサギ抗体でコーティングする
。4℃で一夜保存する。 2. プレートを逆さにして液体を除去することにより,未結合ヤギ抗ウサギ抗
体を除去する。 3. 150μlのブロッキング緩衝液を各ウエルに加える。振盪しながら30
分間インキュベートする。 4. TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオル上で軽くたたいて過
剰の液体および気泡を除去する。 5. ウエル総容量100μlに対して,TBST中で希釈したウサギ抗Met
抗体をウエルあたり1μg加える。 6. 溶解物をHNTGで希釈する(90μg溶解物/100μl)。 7. 希釈した溶解物100μlを各ウエルに加える。60分間振盪する。 8. TBSTで4回洗浄する。ペーパータオル上で軽くたたいて過剰の液体お
よび気泡を除去する。 9. ウエルあたり50μlの1X溶解物緩衝液を加える。 10. 化合物/抽出物をポリプロピレン96ウエルプレート中で1Xキナーゼ
緩衝液中で1:10に希釈する。 11. 希釈した化合物5.5μlをELISAプレートウエルに移す。振盪し
ながら室温で20分間インキュベートする。 12. ウエルあたり5.5μlの60μMATP溶液を加える。陰性対照には
ATPを加えない。振盪しながら90分間インキュベートする。 13. TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオル上で軽くたたいて
過剰の液体および気泡を除去する。 14. ウエルあたり100μlのRC20(ブロッキング緩衝液中1:300
0希釈)を加える。振盪しながら30分間インキュベートする。 15. TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオル上で軽くたたいて
過剰の液体および気泡を除去する。 16. ウエルあたり100μlのTurbo−TMBを加える。振盪しながら
30−60分間インキュベートする。 17. ウエルあたり100μlの1MH2SO4を加えて反応を停止させる。 18. Dynatech MR7000 ELISAリーダーでアッセイを読
む。試験フィルター=450nm,参照フィルター=410nm。
【0266】生化学的srcアッセイ このアッセイを用いて,ビオチニル化ペプチドのリン酸化を読出しとして測定
することにより,src蛋白質キナーゼ活性を決定する。
【0267】材料および試薬: a. srcでトランスフォームした酵母(Sugen,Inc.,Redwo
od City,California) b. 細胞溶解物:srcを発現する酵母細胞をペレット化し,水で1回洗浄し
,再びペレット化して,使用するまで−80℃で保存する。 c. N−末端ビオチニル化EEEYEEYEEEYEEEYEEEYは,当業
者に周知の標準的な方法により調製する。 d. DMSO:Sigma,St.Louis,MO e. 96ウエルELISAプレート:Corning96ウエルEasy W
ash,改変平底プレート,Corning Cat.#25805−96 f. NUNC96ウエルV−底ポリプロピレンプレート,化合物の希釈用:A
pplied Scientific Cat.#A−72092 g. Vecastain ELITE ABC試薬:Vector,Burl
ingame,CA h. 抗src(327)mab:Schizosaccharomyces
Pombeを用いて組換えSrcを発現させる(Superti−Furga,
et al.,EMBO J.,12:2625−2634;Superti−
Furga,et al.,Nature Biochem.,14:600−
605)。S.Pombe SP200株(h−s leul.32 ura4
ade210)を記載されたように増殖させ,酢酸リチウム法(Supert
i−Furga,(上掲))によりpRSP発現プラスミドでトランスフォーム
する。細胞は1μMチアミンの存在下で増殖させてnmtlプロモーターの発現
を抑制するか,またはチアミンの非存在下で増殖させて発現を誘導する。 i. モノクローナル抗ホスホチロシン,UBI05−321(代わりにUB4
0を用いることができる) j. Turbo TMB−ELISAペルオキシダーゼ基質:Pierce
Chemical
【0268】緩衝液溶液: a. PBS(ダルベッコリン酸緩衝化食塩水):GIBCO PBS,GIB
CO Cat.#450−1300EB b. ブロッキング緩衝液:5%無脂乳(Carnation),PBS中 c 炭酸塩緩衝液:Na2CO4,Fischer,Cat.#S495,100
mM保存溶液を作成する。 d. キナーゼ緩衝液:1.0ml(1M保存溶液から)MgCl2;0.2m
l(1M保存溶液から)MnCl2;0.2ml(1M保存溶液から)DTT;
5.0ml(1M保存溶液から)HEPES;0.1mlTX−100;Mil
liQ H2Oで総容量10mlとする。 e. 溶解緩衝液:5.0HEPES(1M保存溶液から);2.74mlNa
Cl(5M保存溶液から);10mlグリセロール;1.0mlTX−100;
0.4mlEDTA(100mM保存溶液から);1.0mlPMSF(100
mM保存溶液から);0.1mlNa3VO4(0.1M保存溶液から);Mil
liQ H2Oで総容量100mlとする。 f. ATP:Sigma Cat.#A−7699,10mM保存溶液(5.
51mg/ml)を作成する。 g TRIS−HCl:Fischer Cat.#BP152−5,600m
lのMilliQ H2Oに121.14gの物質を加え,HClでpHを7.
5に調節し,MilliQ H2Oで総容量1Lとする。 h. NaCl:Fischer Cat.#S271−10,MilliQ
2Oで5M保存溶液を作成する。 i. Na3VO4:Fischer Cat.#S454−50;80mlのM
illiQ H2Oに,1.8gの物質を加える;HClまたはNaOHでpH
を10.0に調節する;電子レンジ中で沸騰させる;冷却する;pHを調べ,加
熱/冷却サイクルの後にpHが安定に維持されるまでpH調節を繰り返す;Mi
lliQ H2Oで総容量100mlとする;1mlのアリコートを作成し,−
80℃で保存する。 j. MgCl2:Fischer Cat.#M33−500,MilliQ
2Oで1M保存溶液を作成する。 k. HEPES:Fischer Cat.#BP310−500;200m
lMilliQ H2Oに,59.6gの物質を加え,pHを7.5に調節し,
MilliQ H2Oで総容量250mlとし,濾過滅菌する(1M保存溶液)
。 l. TBST緩衝液:TBST緩衝液:900mlのdH2Oに,6.057
gTRISおよび8.766gNaClを加える;HClでpHを7.2に調節
し,1.0mlTriton−X100を加える;dH2Oで総容量1Lとする
。 m. MnCl2:Fischer Cat.#M87−100,MilliQ
2Oで1M保存溶液とする。 n. DTT:Fischer Cat.#BP172−5 o. TBS(TRIS緩衝化食塩水):900mlのMilliQ H2Oに
,6.057gTRISおよび8.777gNaClを加える;MilliQ
2Oで総容量を1Lとする。 p. キナーゼ反応混合物:アッセイプレート(100ウエル)1枚あたりの量
:1.0mlキナーゼ緩衝液,200μgGST−ζ,MilliQ H2Oで
最終容量8.0mlとする。 q. ビオチン標識EEEYEEYEEEYEEEYEEEY:水中のペプチド
保存溶液(1mM,2.98mg/ml)を使用の直前に新たに作成する。 r. Vectastain ELITE ABC試薬:14mlの作業用試薬
を調製するためには,1滴の試薬Aを15mlTBSTに加え,管を数回逆さに
して混合する。次に1滴の試薬Bを加える。管を室温で環状振盪器に入れ,30
分間混合する。
【0269】方法: srcでコーティングしたELISAプレートの調製 1. ELISAプレートを100μlの炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)
中の0.5μg/ウエルの抗srcモノクローナル抗体で,4℃で一夜コーティ
ングする。 2. ウエルをPBSで1回洗浄する。 3. プレートをPBS中5%ミルク0.15mlで,室温で30分間ブロッキ
ングする。 4. プレートをPBSで5回洗浄する。 5. 溶解緩衝液中で希釈した,srcでトランスフォームした酵母の溶解物を
10μg/ウエルで加える(ウエルあたり総容量0.1ml)。(溶解物の量は
,バッチにより異なるであろう)。プレートを室温で20分間振盪する。
【0270】ホスホチロシン抗体でコーティングしたELISAプレートの調製 1. 4G10プレート:100μlPBS中の0.5μg/ウエルの4G10
で4℃で一夜コーティングし,150μlのPBS中5%ミルクで室温で30分
間ブロッキングする。
【0271】キナーゼアッセイ法 1. 未結合蛋白質をプレートから除去し,プレートをPBSで5回洗浄する。 2. ウエルあたり0.08mlのキナーゼ反応混合物(ウエルあたり10μl
の10Xキナーゼ緩衝液および10μM(最終濃度)のビオチン−EEEYEE
YEEEYEEEYEEEY,水中に希釈)を加える。 3. 10%DMSOを含有する水中に希釈した10μlの化合物を加え,室温
で15分間プレインキュベートする。 4. 10μl/ウエルの水中0.05mMATP(最終5μMATP)を加え
ることにより,キナーゼ反応を開始させる。 5. ELISAプレートを室温で15分間振盪する。 6. ウエルあたり10μlの0.5MEDTAを加えることによりキナーゼ反
応を停止させる。 7. 90μlの上清を,ブロッキングした4G10コーティングELISAプ
レートに移す。 8. 振盪しながら室温で30分間インキュベートする。 9. プレートをTBSTで5回洗浄する。 10. Vectastain ELITE ABC試薬(100μl/ウエル
)とともに室温で30分間インキュベートする。 11. ウエルをTBSTで5回洗浄する。 12. Turbo TMBで発色させる。
【0272】生化学的lckアッセイ このアッセイを用いて,GST−ζのリン酸化を読出しとして測定することに
より,lck蛋白質キナーゼ活性を決定する材料および試薬: a. lckでトランスフォームした酵母:Schizosaccharomy
ces Pombeを用いて組換えLckを発現させる(Superti−Fu
rga,et al.,EMBO J,12:2625−2634;Super
ti−Furga,et al.,Nature Biotech.,14:6
00−605)。S.Pombe SP200株(h−s leul.32 u
ra4 ade210)を記載されたように増殖させ,pRSP発現プラスミド
で酢酸リチウム法によりトランスフォームする(Superti−Furga,
(上掲))。細胞を1μMチアミンの存在下で増殖させ,発現を誘導する。 b. 細胞溶解物:lckを発現する酵母細胞をペレット化し,水で1回洗浄し
,再ペレット化し,使用するまで−80℃で凍結保存する。 c. GST−ζ:細菌中で発現させるためのGST−ζ融合蛋白質をコードす
るDNAは,Howard Hughes Medical Institut
e,the University of California,San F
ranciscoのArthur Weissから入手する。トランスフォーム
した細菌を振盪しながら25℃で一夜増殖させる。GST−ζは,グルタチオン
アフィニティークロマトグラフィー(Pharmacia,Alameda,C
A)により精製する。 d. DMSO:Sigma,St.Louis,MO e. 96ウエルELISAプレート:Corning96ウエルEasy W
ash,改変平底プレート,Corning Cat.#25805−96 f. NUNC96ウエルV−底ポリプロピレンプレート,化合物希釈用:Ap
plied Scientific Cat.#AS−72092 g. 精製ウサギ抗GST抗血清:Amrad Corporation(Au
stralia)Cat.#90001605 h. ヤギ抗ウサギ−IgG−HRP:Amersham Cat.#V010
301 i. ヤギ抗マウスIgG(H+L):Jackson Labs Cat.#
5215−005−003 j. 抗Lck(3A5)モノクローナル抗体:Santa Cruz Bio
technologyCat#sc−433 k. 抗ホスホチロシンモノクローナル抗体UBI05−321(代わりにUB
40を用いてもよい)
【0273】緩衝液溶液: a. PBS(ダルベッコリン酸緩衝化食塩水)1X溶液:GIBCOPBS,
GIBCO Cat.#450−1300EB b. ブロッキング緩衝液:100gBSA,12.1gTRIS−pH7.5
,58.44gNaCl,10mlTween−20,MilliQ H2Oで
総容量1Lとする。 c. 炭酸緩衝液:Na2CO4,Fischer,Cat.#S495;Mil
liQ H2Oで100mM溶液とする。 d. キナーゼ緩衝液:1.0ml(1M保存溶液より)MgCl2;0.2m
l(1M保存溶液より)MnCl2;0.2ml(1M保存溶液より)DTT;
5.0ml(1M保存溶液より)HEPES;0.1mlTX−100;Mil
liQ H2Oで総容量10mlとする。 e. 溶解緩衝液:5.0HEPES(1M保存溶液より);2.74mlNa
Cl(5M保存溶液より);10mlグリセロール;1.0mlTX−100;
0.4mlEDTA(100mM保存溶液より);1.0mlPMSF(100
mM保存溶液より);0.1mlNa3VO4(0.1M保存溶液より);Mil
liQ H2Oで総容量100mlとする。 f. ATP:Sigma Cat.#A−7699,10mM保存溶液(5.
51mg/ml)を作成する。 g. TRIS−HCl:Fischer Cat.#BP152−5,600
mlのMilliQ H2Oに,121.14gの物質を加え,HClでpHを
7.5に調節し,MilliQ H2Oで総容量1Lとする。 h. NaCl:Fischer Cat.#S271−10,MilliQ
2Oで5M保存溶液を作成する。 i. Na3VO4:Fischer Cat.#S454−50;80mlのM
illiQ H2Oに,1.8gの物質を加える;HClまたはNaOHでpH
を10.0に調節する;電子レンジ中で沸騰させる;冷却する;pHを調べ,加
熱/冷却サイクルの後にpHが安定となるまでpH調節を繰り返す;Milli
Q H2Oで総容量100mlとする;1mlのアリコートを作成し,−80℃
で保存する。 j. MgCl2:Fischer Cat.#M33−500,MilliQ
2Oで1M保存溶液を作成する。 k. HEPES:Fischer Cat.#BP310−500;200m
lのMilliQ H2Oに,59.6gの物質を加え,pHを7.5に調節し
,MilliQ H2Oで総容量250mlとし,濾過滅菌する(1M保存溶液
)。 l. アルブミン,ウシ(BSA),Sigma Cat.#A4503;15
0mlのMilliQ H2Oに,30gの物質を加え,MilliQ H2Oで
総容量300mlとし,0.22μmフィルターを通して濾過し,4℃で保存す
る。 m. TBST緩衝液:900mlのdH2Oに,6.057gTRISおよび
8.766gNaClを加える;HClでpHを7.2に調節する;1.0ml
Triton−X100を加える;dH2Oで総容量1Lとする。 n. MnCl2:Fischer Cat.#M87−100,MilliQ
2Oで1M保存溶液を作成する。 o. DTT;Fischer Cat.#BP172−5 p. TBS(TRIS緩衝化食塩水):900mlのMilliQ H2Oに
,6.057gTRISおよび8.777gNaClを加える;MilliQ
2Oで総容量1Lとする。 q. キナーゼ反応混合物:アッセイプレート(100ウエル)1枚あたりの量
:1.0mlキナーゼ緩衝液,200μgGST−ζ,MilliQ H2Oで
最終容量8.0mlとする。
【0274】方法: LckでコーティングしたELISAプレートの調製 1. 100μlの炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)中のヤギ抗マウスIg
G2.0μg/ウエルで,4℃で一夜コーティングする。 2. ウエルをPBSで1回洗浄する。 3. プレートを0.15mlのブロッキング緩衝液で室温で30分間ブロッキ
ングする。 4. プレートをPBSで5回洗浄する。 5. 0.1mlPBS中の抗lck(モノクローナル抗体3A5)を0.5μ
g/ウエルで室温で1−2時間加える。 6. プレートをPBSで5回洗浄する。 7. 溶解緩衝液中に希釈した,lckでトランスフォームした酵母の溶解物を
20μg/ウエルで加える(ウエルあたり総容量0.1ml)。プレートを4℃
で一夜振盪して活性の喪失を防止する。
【0275】ホスホチロシン抗体でコーティングしたELISAプレートの調製 1. UB40プレート:100μlPBS中の1.0μg/ウエルUB40を
4℃で一夜加え,150μlのブロッキング緩衝液で少なくとも1時間ブロッキ
ングする。
【0276】キナーゼアッセイ法 1. 未結合蛋白質をプレートから除去し,プレートをPBSで5回洗浄する。 2. ウエルあたり0.08mlのキナーゼ反応混合物(ウエルあたり,水で希
釈した10μlの10Xキナーゼ緩衝液および2μgGST−ζを含む)を加え
る。 3. 10%DMSOを含有する水中で希釈した化合物10μlを加え,室温で
15分間プレインキュベートする。 4. 水中0.1mMATP(最終濃度10μMATP)を10μl/ウエルで
加えることによりキナーゼ反応を開始させる。 5. ELISAプレートを室温で60分間振盪する。 6. ウエルあたり10μlの0.5MEDTAを加えることによりキナーゼ反
応を停止させる。 7. 90μlの上清を,上述のB節からのブロッキングした4G10コーティ
ングELISAプレートに移す。 8. 振盪しながら室温で30分間インキュベートする。 9. プレートをTBSTで5回洗浄する。 10. 100μlTBST中1:5000に希釈したウサギ抗GST抗体とと
もに室温で30分間インキュベートする。 11. ウエルをTBSTで5回洗浄する。 12. 100μlのTBST中1:20,000に希釈したヤギ抗ウサギ−I
gG−HRPとともに室温で30分間インキュベートする。 13. ウエルをTBSTで5回洗浄する。 14. Turbo TMBで発色させる。
【0277】RAFのリン酸化機能を測定するアッセイ 以下のアッセイは,RAFにより触媒される,その標的蛋白質MEKならびに
MEKの標的であるMAPKのリン酸化の量を測定する。RAF遺伝子配列は,
Bonnerら(1985,Molec.Cell.Biol.5:1400−
1407)に記載されており,多くの遺伝子配列データバンクにおいて容易にア
クセス可能である。核酸ベクターの構築および本発明のこの部分において用いら
れる細胞株は,Morrisonら(1988,Proc.Natl.Acad
.Sci.USA85:8855−8859)にすべて記載されている。
【0278】材料および試薬 1. Sf9(Spodoptera frugiperda)細胞;GIBC
O−BRL,Gaithersburg,MD 2. RIPA緩衝液:20mMTris/HC1pH7.4,137mMNa
Cl,10%グリセロール,1mMPMSF,5mg/Lアプロテニン,0.5
%TritonX−100; 3. チオレドキシン−MEK融合蛋白質(T−MEK):T−MEK 発現およびアフィニティークロマトグラフィーによる精製は,製造元の方法に従
って実施する。カタログ#K350−01およびR350−40,Invitr
ogenCorp.,San Diego,CA 4. His−MAPK(ERK2);His−タグMAPKは,His−MA
PKをコードするpUC18ベクターによりトランスフォームしたXL1 Bl
ue細胞中で発現させる。His−MAPKはNi−アフィニティークロマトグ
ラフィーにより精製する。Cat#27−4949−01,Pharmacia
,Alameda,CA,本明細書に記載されたとおり。 5. ヤギ抗マウスIgG:Jackson laboratories,We
st Grove,PA.カタログ,#515−006−008,Lot#28
563 6. RAF−1蛋白質キナーゼ特異的抗体:URP2653,UBI 7. コーティング緩衝液:PBS;リン酸緩衝化食塩水,GIBCO−BRL
,Gaithersburg,MD 8. 洗浄緩衝液:TBST−50mMTris/HCLpH7.2,150m
MNaCl,0.1%TritonX−100 9. ブロッキング緩衝液:TBST,0.1%エタノールアミンpH7.4 10. DMSO,Sigma,St.Louis,MO 11. キナーゼ緩衝液(KB):20mMHEPES/HCl(pH7.2)
,150mMNaCl,0.1%TritonX−100,1mMPMSF,5
mg/Lアプロテニン,75mMオルトバナジウム酸ナトリウム,0.5MMD
TTおよび10mMMgCl2 12. ATP混合物:l00mMMgCl2,300mMATP,10mCi
γ33PATP(DuPont−NEN)/mL 13 停止溶液:1%リン酸;Fisher,Pittsburgh,PA 14. Wallacリン酸セルロースフィルターマット;Wallac,Tu
rku,Finnland 15. フィルター洗浄溶液:1%リン酸,Fisher,Pittsburg
h,PA 16. Tomtecプレート回収機,Wallac,Turku,Finnl
and 17. Wallacベータプレートリーダー#1205,Wallac,Tu
rku,Finnland 18. 化合物用に,NUNC96ウエルV底ポリプロピレンプレート,App
lied Scientificカタログ#AS−72092
【0279】方法 以下のすべての工程は,特に指示しないかぎり,室温で実施する。 1. ELISAプレートコーティング:ELISAウエルを100mlのヤギ
抗マウスアフィニティー精製抗血清(1mg/l00mLコーティング緩衝液)
で4℃で一夜コーティングする。ELISAプレートは,4℃で保存したとき,
2週間使用することができる。 2. プレートを逆さにして液体を除去する。100mLのブロッキング溶液を
加え,30分間インキュベートする。 3. ブロッキング溶液を除去し,洗浄緩衝液で4回洗浄する。プレートをペー
パータオル上で軽くたたいて過剰の液体を除去する。 4. 各ウエルに1mgのRAF−1特異的抗体を加え,1時間インキュベート
する。工程3に記載したように洗浄する。 5. RAS/RAFで感染させたSf9細胞からの溶解物を解凍し,TBST
で10mg/100mLに希釈する。10mgの希釈溶解物をウエルに加え,1
時間インキュベートする。インキュベーションの間,プレートを振盪する。陰性
対照には溶解物を加えない。各ウイルスにつきMOI5で細胞を組換えバキュロ
ウイルスで感染させた後,RAS/RAFで感染させたSf9昆虫細胞からの溶
解物を調製し,48時間後に回収する。細胞をPBSで1回洗浄し,RIPA緩
衝液中で溶解する。不溶物質を遠心分離(5分間,10000xg)により除去
する。溶解物のアリコートをドライアイス/エタノール中で凍結し,使用まで−
80℃で保存する。 6. 非結合物質を除去し,上に簡単に述べたように洗浄する(工程3)。 7. ウエルあたり2mgのT−MEKおよび2mgのHis−MAEPKを加
え,キナーゼ緩衝液で容量を40mLに調節する。細胞抽出物からT−MEKお
よびMAPKを精製する方法は,本明細書の実施例に記載される。 8. 化合物(保存溶液10mg/mLDMSO)または抽出物をTBSTプラ
ス1%DMSO中であらかじめ20倍に希釈する。5mLのあらかじめ希釈した
化合物/抽出物を工程6に記載したウエルに加える。20分間インキュベートす
る。対照には薬剤を加えない。 9. 5mLATPミックスを加えることによりキナーゼ反応を開始する。イン
キュベーションの間,ELISAプレート振盪器でプレートを振盪する。 10. 60分後,30mLの停止溶液を各ウエルに加えることによりキナーゼ
反応を停止する。 11. ホスホセルロースマットおよびELISAプレートをTomtecプレ
ート回収機中に置く。フィルターを回収し,フィルター洗浄溶液で製造元の推奨
にしたがってこれを洗浄する。フィルターマットを乾燥する。フィルターマット
を密封し,ケース中に置く。ケースを放射活性検出装置に入れ,フィルターマッ
ト上の放射活性リンを定量する。 あるいは,アッセイプレートの個々のウエルからの40mLのアリコートを,
ホスホセルロースフィルターマットの対応する位置に移すことができる。フィル
ターを風乾した後,フィルターをトレイ中に置く。トレイを穏やかにロックし,
洗浄溶液を15分間ごとに1時間交換する。フィルターマットを風乾する。フィ
ルターマットを密封し,サンプル中の放射活性リンを測定するのに適当なケース
中に入れる。ケースを検出装置に入れ,フィルターマット上の放射活性リンを定
量する。
【0280】CDK2/サイクリンA−阻害アッセイ このアッセイは,外部基質中のCDK2の蛋白質キナーゼ活性を測定する。試薬: A. 緩衝液A(80mMTris(pH7.2),40mMMgCl2):4
.84gTris(F.W.=121.1g/mol),4.07gMgCl2
(F.W.=203.31g/mol),500mlH2O中に溶解。HClで
pHを7.2に調節する。 B. ヒストンH1溶液(0.45mg/mlヒストンH1および20mMHE
PES(pH7.2):11.111mlの20mMHEPESpH7.2(4
77mgHEPES(F.W.=238.3g/mol))中の5mgヒストン
H1(Boehringer Mannheim),100mlddH2O中に
溶解する。1mlアリコートとして−80℃で保存する。 C. ATP溶液(60μMATP,300μg/mlBSA,3mMDTT)
:120μlの10mMATP,600μlの10mg/mlBSAで20ml
とし,1mlアリコートとして−80℃で保存する。 D. CDK2溶液:cdk2/サイクリンA,10mMHEPES,pH7.
2,25mMNaCl,0.5mMDTT,10%グリセロール中。9μlアリ
コートとして−80℃で保存する。
【0281】プロトコル 1. 阻害剤の溶液を,ddH2O/15%DMSO(v/v)で所望の最終ア
ッセイ濃度の3倍で調製する。 2. 20μlの阻害剤をポリプロピレンの96ウエルプレートのウエルに加え
る(または陽性および陰性対照については20μlの15%DMSO)。 3. ヒストンH1溶液(1ml/プレート),ATP溶液(1ml/プレート
プラス陰性対照について1アリコート),およびCDK2溶液(9μl/プレー
ト)を解凍する。CDK2は使用まで氷上に保存する。CDK2溶液を適当にア
リコートに分けて,凍結解凍サイクルの繰り返しを避ける。 4. 9μlのCDK2溶液を2.1ml緩衝液A(プレートあたり)で希釈し
,混合し,20μlを各ウエルに加える。 5. 1mlヒストンH1溶液を1mlATP溶液(プレートあたり)と混合し
て,10mlねじ蓋管に入れる。γ33P ATPを0.15μCi/20μl(
アッセイ中,0.15μCi/ウエル)の濃度となるよう加える。BSAの泡を
避けるよう注意深く混合する。20μlを適当なウエルに加える。プレートをプ
レート振盪器上で混合する。陰性対照については,等量の20mMHEPES(
pH7.2)とATP溶液とを混合し,γ33P ATPを0.15μCi/20
μl溶液の濃度となるように加える。20μlを適当なウエルに加える。 6. 反応を60分間進行させる。 7. 35μlの10%TCAを各ウエルに加える。プレートをプレート振盪器
上で混合する。 8. 40μlの各サンプルをP30フィルターマットの升目上にスポットする
。マットを乾燥させる(約10−20分間)。 9. フィルターマットを250mlの1%リン酸(ddH2O 1lあたり1
0mlリン酸)で4X10分間洗浄する。 10. フィルターマットをベータプレートリーダーで計数する。
【0282】細胞/生物学的アッセイ PDGF−誘導性BrdU取り込みアッセイ 材料および試薬 : (1) PDGF:ヒトPDGF B/B;1276−956,Boehrin
ger Mannheim,Germany (2) BrdU標識試薬:10mM,PBS(pH7.4)中,Cat.No
.1647229,Boehringer Mannheim,Germany (3) FixDenat:固定溶液(即使用可),Cat.No.16472
29,Boehringer Mannheim,Germany (4) 抗BrdU−POD:ペルオキシダーゼとコンジュゲート化したマウス
モノクローナル抗体,Cat.No.1647229,Boehringer
Mannheim,Germany (5) TMB基質溶液:テトラメチルベンジジン(TMB),即使用可,Ca
t.No.1647229,Boehringer Mannheim,Ger
many (6) PBS洗浄溶液:1XPBS,pH7.4(Sugen,Inc.,R
edwood City,California) (7) アルブミン,ウシ(BSA):画分V粉末;A−8551,Sigma
Chemical Co.,USA (8) ヒトPDGF−Rを発現するよう遺伝子工学処理された3T3細胞株
【0283】プロトコル (1) 細胞をDMEM,10%CS,2mMGln中で,96ウエルプレート
に8000細胞/ウエルで播種する。細胞を5%CO2中で37℃で一夜インキ
ュベートする。 (2) 24時間後,細胞をPBSで洗浄し,次に無血清培地(0%CS DM
EM,0.1%BSA)中で24時間血清飢餓とする。 (3) 第3日に,リガンド(PDGF,3.8nM,DMEM,0.1%BS
A中で調製)および試験化合物を細胞に同時に加える。陰性対照ウエルには,無
血清DMEMおよび0.1%BSAのみを加える;陽性対照細胞には,リガンド
(PDGF)を加えるが試験化合物を加えない。試験化合物は,96ウエルプレ
ート中で無血清DMEM中でリガンドとともに調製し,連続希釈して7種類の試
験濃度とする。 (4) リガンド活性化の20時間後,希釈BrdU標識試薬(DMEM,0.
1%BSA中1:100)を加え,細胞をBrdU(最終濃度=10μM)とと
もに1.5時間インキュベートする。 (5) 標識試薬とともにインキュベーションした後,デカントし,逆さにした
プレートをペーパータオル上で軽くたたくことにより,培地を除去する。Fix
Denat溶液を加え(50μl/ウエル),プレートをプレート振盪器上で室
温で45分間インキュベートする。 (6) デカントし,逆さにしたプレートをペーパータオル上で軽くたたくこと
により,FixDenat溶液をよく除去する。ブロッキング溶液としてミルク
を加え(PBS中5%脱水ミルク,200μl/ウエル),プレートをプレート
振盪器上で室温で30分間インキュベートする。 (7) デカントによりブロッキング溶液を除去し,ウエルをPBSで1回洗浄
する。抗BrdU−POD溶液(PBS,1%BSA中1:100希釈)を加え
(100μl/ウエル),プレートをプレート振盪器上で室温で90分間インキ
ュベートする。 (8) デカントし,ウエルをPBSで5回すすぐことにより抗体コンジュゲー
トをよく除去し,プレートを逆さにしてペーパータオル上で軽くたたくことによ
り乾燥させる。 (9) TMB基質溶液を加え(100μl/ウエル),プレート振盪器で室温
で20分間,発色が光度計による検出に十分となるまでインキュベートする。 (10) サンプルの吸光度は,Dynatech ELISAプレートリーダ
ーで410nmで測定する(参照波長として490nmで読みとるフィルターを
用いる"二波長"モード)。
【0284】EGF−誘導性BrdU取り込みアッセイ 材料および試薬 (1) EGF:マウスEGF,201;Toyobo,Co.,Ltd.Ja
pan (2) BrdU標識試薬:10mM,PBS(pH7.4)中,Cat.No
.1647229,Boehringer Mannheim,Germany (3) FixDenat:固定溶液(即使用可),Cat.No.16472
29,Boehringer Mannheim,Germany (4) 抗BrdU−POD:ペルオキシダーゼとコンジュゲート化したマウス
モノクローナル抗体,Cat.No.1647229,Boehringer
Mannheim,Germany (5) TMB基質溶液:テトラメチルベンジジン(TMB),即使用可,Ca
t.No.1647229,Boehringer Mannheim,Ger
many (6) PBS洗浄溶液:1XPBS,pH7.4(Sugen,Inc.,R
edwoodCity,California) (7) アルブミン,ウシ(BSA):画分V粉末;A−8551,Sigma
Chemical Co.,USA (8) ヒトEGF−Rを発現するよう遺伝子工学処理された3T3細胞株
【0285】プロトコル (1) 細胞をDMEM中10%CS,2mMGlnで,96ウエルプレート中
で8000細胞/ウエルで播種する。細胞を5%CO2中で37℃で一夜インキ
ュベートする。 (2) 24時間後,細胞をPBSで洗浄し,次に無血清培地(0%CS DM
EM,0.1%BSA)中で24時間血清飢餓とする。 (3) 第3日に,リガンド(EGF,2nM,DMEM,0.1%BSA中で
調製)および試験化合物を細胞に同時に加える。陰性対照ウエルには0.1%B
SAを含む無血清DMEMのみを加える。陽性対照細胞には,リガンド(EGF
)を加えるが試験化合物を加えない。試験化合物は,96ウエルプレート中で,
無血清DMEM中でリガンドとともに調製し,連続希釈して7種類の試験濃度と
する。 (4) リガンド活性化の20時間後,希釈したBrdU標識試薬(DMEM中
1:100,0.1%BSA)を加え,細胞をBrdU(最終濃度=10μM)
とともに1.5時間インキュベートする。 (5) 標識試薬とともにインキュベートした後,デカントして逆さにしたプレ
ートをペーパータオル上で軽くたたくことにより培地を除去する。FixDen
at溶液を加え(50μl/ウエル),プレートをプレート振盪器で室温で45
分間インキュベートする。 (6) デカントして逆さにしたプレートをペーパータオル上で軽くたたくこと
によりFixDenat溶液をよく除去する。ブロッキング溶液としてミルクを
加え(PBS中5%脱水ミルク,200μl/ウエル),プレートをプレート振
盪器で室温で30分間インキュベートする。 (7) デカントによりブロッキング溶液を除去し,ウエルをPBSで1回洗浄
する。抗BrdU−POD溶液(PBS中1:100希釈,1%BSA)を加え
(100μl/ウエル),プレートをプレート振盪器で室温で90分間インキュ
ベートする。 (8) デカントし,ウエルをPBSで5回すすぐことにより抗体コンジュゲー
トをよく除去し,プレートを逆さにしてペーパータオル上で軽くたたくことによ
り乾燥させる。 (9) TMB基質溶液を加え(100μl/ウエル),プレート振盪器で室温
で20分間,発色が高度計検出に十分となるまでインキュベートする。 (10) サンプルの吸光度は,Dynatech ELISAプレートリーダ
ーで,410nm(参照波長として490nmを読むフィルターを用いる"二波
長"モード”で)測定する。
【0286】EGF−誘導性Her2−推進BrdU取り込み 材料および試薬 : (1) EGF:マウスEGF,201;Toyobo,Co.,Ltd.Ja
pan (2)BrdU標識試薬:10mM,PBS(pH7.4)中,Cat.No.
1647229,Boehringer Mannheim,Germany (3) FixDenat:固定溶液(即使用可),Cat.No.16472
29,Boehringer Mannheim,Germany (4) 抗BrdU−POD:ペルオキシダーゼとコンジュゲート化したマウス
モノクローナル抗体,Cat.No.1647229,Boehringer
Mannheim,Germany (5) TMB基質溶液:テトラメチルベンジジン(TMB),即使用可,Ca
t.No.1647229,Boehringer Mannheim,Ger
many (6) PBS洗浄溶液:1XPBS,pH7.4,自社製。 (7) アルブミン,ウシ(BSA):画分V粉末;A−8551,Sigma
Chemical Co.,USA (8) EGF−Rの細胞外ドメインおよびHer2の細胞内ドメインを有する
キメラレセプターを発現するよう遺伝子工学処理された3T3細胞株
【0287】プロトコル : (1) 細胞をDMEM,10%CS,2mMGln中で96−ウエルプレート
に8000細胞/ウエルで播種する。細胞を37℃で5%CO2中で一夜インキ
ュベートする。 (2) 24時間後,細胞をPBSで洗浄し,次に無血清培地(0%CS DM
EM,0.1%BSAを含む)中で24時間血清飢餓とする。 (3) 第3日に,リガンド(EGF=2nM,0.1%BSAを含むDMEM
中で調製)および試験化合物を細胞に同時に加える。陰性対照ウエルには無血清
DMEM,0.1%BSAのみを加える;陽性対照細胞にはリガンド(EGF)
を加えるが試験化合物は加えない。試験化合物は,無血清DMEM中でリガンド
とともに96ウエルプレート中で調製し,連続希釈して7種類の試験濃度とする
。 (4) リガンド活性化の20時間後,希釈BrdU標識試薬(DMEM中1:
100,0.1%BSA)を加え,細胞をBrdU(最終濃度=10μM)とと
もに1.5時間インキュベートする。 (5) 標識試薬とともにインキュベートした後,デカントして逆さにしたプレ
ートをペーパータオル上で軽くたたくことにより培地を除去する。FixDen
at溶液を加え(50μl/ウエル),プレートを室温でプレート振盪器で45
分間インキュベートする。 (6) デカントし,逆さにしたプレートをペーパータオル上で軽くたたくこと
により,FixDenat溶液をよく除去する。ブロッキング溶液としてミルク
を加え(PBS中5%脱水ミルク,200μl/ウエル),プレートをプレート
振盪器上で室温で30分間インキュベートする。 (7) デカントによりブロッキング溶液を除去し,ウエルをPBSで1回洗浄
する。抗BrdU−POD溶液(PBS,1%BSA中1:100希釈)を加え
(100μl/ウエル),プレートをプレート振盪器上で90分間室温でインキ
ュベートする。 (8) デカントし,ウエルをPBSで5回すすぐことにより抗体コンジュゲー
トをよく除去し,プレートを逆さにしてペーパータオル上で軽くたたくことによ
り乾燥させる。 (9) TMB基質溶液を加え(100μl/ウエル),プレート振盪器で室温
で20分間,発色が光度計検出に十分となるまでインキュベートする。 (10) サンプルの吸光度を,Dynatech ELISAプレートリーダ
ーで,410nmで(参照波長として490nmで読むフィルターを用いる"二
波長"モードで)測定する。
【0288】IGF1−誘導性BrdU取り込みアッセイ 材料および試薬 : (1) IGF1リガンド:ヒト,組換え;G511,Promega Cor
p,USA (2) BrdU標識試薬:10mM,PBS(pH7.4)中,Cat.No
.1647229,Boehringer Mannheim,Germany (3) FixDenat:固定溶液(即使用可),Cat.No.16472
29,Boehringer Mannheim,Germany (4) 抗BrdU−POD:ペルオキシダーゼとコンジュゲート化したマウス
モノクローナル抗体,Cat.No.1647229,Boehringer
Mannheim,Germany (5) TMB基質溶液:テトラメチルベンジジン(TMB),即使用可,Ca
t.No.1647229,Boehringer Mannheim,Ger
many (6) PBS洗浄溶液:1XPBS,pH7.4(Sugen,Inc.,R
edwood City,California) (7) アルブミン,ウシ(BSA):画分V粉末;A−8551,Sigma
Chemical Co.,USA (8) ヒトIGF−1レセプターを発現するよう遺伝子工学処理された3T3
細胞株
【0289】プロトコル : (1) 細胞をDMEM,10%CS,2mMGln中で96−ウエルプレート
に8000細胞/ウエルで播種する。細胞を5%CO2中,37℃で一夜インキ
ュベートする。 (2) 24時間後,細胞をPBSで洗浄し,次に無血清培地(0%CS DM
EM,0.1%BSA)中で24時間血清飢餓とする (3) 第3日に,リガンド(IGF1=3.3nM,0.1%BSAを含むD
MEM中で調製)および試験化合物を細胞に同時に加える。陰性対照ウエルには
0.1%BSAを含む無血清DMEMのみを加える。陽性対照細胞にはリガンド
(IGF1)を加えるが試験化合物を加えない。試験化合物は,96ウエルプレ
ートで無血清DMEM中でリガンドとともに調製し,連続希釈して7種類の試験
濃度とする。 (4) リガンド活性化の16時間後,希釈BrdU標識試薬(DMEM,0.
1%BSA中1:100)を加え,細胞をBrdU(最終濃度=10μM)とと
もに1.5時間インキュベートする。 (5) 標識試薬とともにインキュベーションした後,デカントし,逆さにした
プレートをペーパータオル上で軽くたたくことにより培地を除去する。FixD
enat溶液を加え(50μl/ウエル),プレートをプレート振盪器上で室温
で45分間インキュベートする。 (6) デカントし,逆さにしたプレートをペーパータオル上で軽くたたくこと
によりFixDenat溶液をよく除去する。ブロッキング溶液としてミルクを
加え(PBS中5%脱水ミルク,200μl/ウエル),プレートをプレート振
盪器上で室温で30分間インキュベートする。 (7) ブロッキング溶液をデカントにより除去し,ウエルをPBSで1回洗浄
する。抗BrdU−POD溶液(PBS,1%BSA中1:100希釈)を加え
(100μl/ウエル),プレートをプレート振盪器上で室温で90分間インキ
ュベートする。 (8) デカントし,ウエルをPBSで5回すすぐことにより抗体コンジュゲー
トをよく除去し,プレートを逆さにしペーパータオル上で軽くたたくことにより
乾燥する。 (9) TMB基質溶液を加え(100μl/ウエル),プレート振盪器上で室
温で20分間,発色が光度計検出に十分となるまでインキュベートする。 (10) サンプルの吸光度は,Dynatech ELISAプレートリーダ
ーで,410nm(参照波長として490nmで読むフィルターを用いる"二波
長"モード)で測定する。
【0290】FGF−誘導性BrdU取り込みアッセイ このアッセイは,外来性FGFレセプターを発現する3Tc7/EGFr細胞
におけるFGF誘導性DNA合成を測定する。
【0291】材料および試薬: 1.FGF:ヒトFGF2/bFGF(Gibco BRL,No.13256
−029) 2.BrdU標識試薬,(10mMPBS(pH7.4),Boehringe
r Mannheim CatNo.1647229) 3.Fixdenat固定溶液(Boehringer Mannheim C
at No.1647229) 4.抗BrdU−POD(ペルオキシダーゼとコンジュゲートしたマウスモノク
ローナル抗体,Boehringer MannheimCat:.No.16
47229) 5.TMB(テトラメチルベンジジン,Boehringer Mannhei
mCat.No.1647229) 6.PBS洗浄溶液,pH7.4(Sugen,Inc.) 7.アルブミン,ウシ(BSA),画分V粉末(Sigma Chemical
Co.,Cat.No.A−8551)
【0292】方法 1.3T3遺伝子工学処理細胞株:3T3c7/EGFr 2.細胞は,DMEM,10%CSおよび2mMGlnで,96ウエルプレート
に8,000細胞/ウエルで播種する。5%CO2中で37℃で24時間インキ
ュベートする。 3.24時間後,細胞をPBSで洗浄し,次に,無血清培地(0%DMEM,0
.1%BSA)中で24時間血清飢餓とする。 4.リガンド(FGF2(DMEM中1.5nM,0.1%BSA)および試験
化合物を同時に加える。陰性対照ウエルには0.1%BSAを含む無血清DME
Mのみを加え,陽性対照ウエルにはFGF2リガンドを加えるが試験化合物は加
えない。試験化合物は,96ウエルプレート中で無血清DMEM中でリガンドと
ともに調製し,連続希釈して7種類の試験濃度とする。 5.20時間後,希釈BrdU標識試薬を細胞に加え(1:100BrdU:D
MEM,0.1%BSA,最終濃度10μM),1.5時間インキュベートする
。 6.培地をデカントする。ペーパータオルで痕跡量の物質を除去する。FixD
enatを加え(50μl/ウエル),プレート振盪器で室温で45分間インキ
ュベートする。 7.Fixdenat溶液を除去する。ブロッキング溶液(PBS中5%脱水ミ
ルク(200μl/ウエル))を加え,プレート振盪器で室温で30分間インキ
ュベートする。 8.ブロッキング溶液をデカントし,ウエルをPBSで1回洗浄する。抗Brd
U−POD溶液(PBS中1:100希釈,0.1%BSA)を加え,プレート
振盪器で室温で90分間インキュベートする。 9.抗体コンジュゲートをデカントし,ウエルをPBSで5回すすぐ。ペーパー
タオル上で逆さにして軽くたたくことによりプレートを乾燥する。 10.TMB溶液を加え(100μl/ウエル),プレート振盪器で室温で20
分間,発色が光度検出に十分となるまでインキュベートする。 11.Dynatech ELISAプレートリーダーで"二波長"モードを用い
,490nMのフィルターを用いて,410nMで吸光度を測定する。
【0293】生化学的EGFRアッセイ このアッセイは,ELISAを用いてEGFRのインビトロキナーゼ活性を測
定する材料および試薬 1.Corning96ウエルElisaプレート(CorningカタログN
o.25805−96) 2.SUM01モノクローナル抗EGFR抗体(Biochemistry L
ab,SUGEN,Inc.) 3.PBS(ダルベッコリン酸緩衝化食塩水,GibcoカタログNo.450
−1300EB) 4.TBST緩衝液
【表1】 5.ブロッキング緩衝液:
【表2】 6.A431細胞溶解物(Screening Lab,SUGEN,Inc.
)7.TBS緩衝液:
【表3】 8.TBS+10%DMSO
【表4】 9.アデノシン−5'−三リン酸(ウマ筋肉からのATP,Sigma Cat
.No.A−5394) dH2O中1.0mM溶液を調製する。この試薬は使用の直前に作成し,氷上に
保存する。 10.MnCl2 dH2O中1.0Mの保存溶液を調製する。 11.ATP/MnCl2リン酸化混合物
【表5】 この試薬は,使用直前に調製し,氷上に保存しなければならない。 12.NUNC96ウエルV底ポリプロピレンプレート(Applied Sc
ientific Cat.No.AS−72092) 13.エチレンジアミン四酢酸(EDTA) dH2O中200mMの作業溶液を調製する。10NNaOHでpH8.0に調
製する。 14.ウサギポリクローナル抗ホスホチロシン血清(Biochemistry
Lab,SUGEN,Inc.) 15.ヤギ抗ウサギIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(Biosourc
e Cat.No.ALT0404) 16.ABTS(2,2'−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−
硫酸),Sigma Cat.No.A−1888)
【表6】 最初に,約900mlのdH2O中で2つの成分を混合する。リン酸でpHを4
.0に調製する。ABTSを加え,カバーし,約0.5時間放置し,濾過する。
溶液は使用前まで暗所で4℃で保存すべきである。 17.過酸化水素30%溶液(Fisher Cat.No.H325) 18.ABTS/H22 15mlのABTS溶液と2.0μlのH22を混合する。使用の5分前に調製
する。 19.0.2MHCl
【0294】方法 1.Corning96ウエルELISAプレートをウエルあたり100μlP
BS中0.5μgのSUM01でコーティングし,4℃で一夜保存する。 2.プレートを逆さにして液体を除去することにより,未結合SUM01をウエ
ルから除去する。dH2Oで1回洗浄する。プレートをペーパータオル上で軽く
たたいて過剰の液体を除去する。 3.150μlのブロッキング緩衝液を各ウエルに加える。振盪しながら室温で
30分間インキュベートする。 4.プレートを脱イオン水で3回,次にTBSTで1回洗浄する。プレートをペ
ーパータオル上で軽くたたいて,過剰の液体および気泡を除去する。 5.溶解物をPBS中で希釈する(7μg溶解物/100μlPBS)。 6.100μlの希釈溶解物を各ウエルに加える。室温で60分間振盪する。 7.上述の工程4に記載したようにプレートを洗浄する。 8.120μlのTBSを,捕捉EGFRを含有するELISAプレートに加え
る。 9.試験化合物を96ウエルポリプロピレンプレート中でTBSで1:10に希
釈する(すなわち,10μl化合物+90μlTBS)。 10.13.5μlの希釈試験化合物をELISAプレートに加える。対照ウエ
ルには13.5μlTBS+10%DMSOを加える(ウエルには試験化合物を
加えない)。 11.振盪しながら室温で30分間インキュベートする。 12.15μlリン酸化混合物を陰性対照ウエルを除くすべてのウエルに直接加
える。陰性対照ウエルにはATP/MnCl2を加えない。(最終ウエル容量は
約150μl,各ウエル中3μMATP/5mMMnCl2の最終濃度となるは
ずである)。振盪しながら5分間インキュベートする。 13.5分後,16.5μlの200mMEDTA(pH8.0)を各ウエルに
加えることにより反応を停止させ,振盪を続ける。EDTAを加えた後,1分間
振盪する。 14.脱イオン水で4回,TBSTで2回洗浄する。 15.ウエルあたり100μlの抗ホスホチロシン(TBST中1:3000希
釈)を加える。振盪しながら室温で30−45分間インキュベートする。 16.上述の工程4に記載したように洗浄する。 17.100μlのBiosourceヤギ抗ウサギIgGペルオキシダーゼコ
ンジュゲート(TBST中1:2000希釈)を各ウエルに加える。振盪しなが
ら室温で30分間インキュベートする。 18.上述の工程4に記載したように洗浄する。 19.100μlのABTS/H22溶液を各ウエルに加える。 20.振盪しながら5−10分間インキュベートする。気泡を除去する。 21.必要ならば,ウエルあたり100μlの0.2MHClを加えて,反応を
停止させる。 22.アッセイをDynatech MR7000 ELISAリーダーで読む
;試験フィルター:410nM参照フィルター:630Nm。
【0295】生化学的PDGFRアッセイ このアッセイは,ELISAを用いてPDGFRのインビトロキナーゼ活性を
測定する。
【0296】材料および試薬 特に記載しないかぎり,以下の試薬の作業溶液の調製は,上述の生化学的EG
FRアッセイと同じである。 1.Corning96ウエルElisaプレート(CorningカタログN
o.25805−96) 2.28D4C10モノクローナル抗PDGFR抗体(Biochemistr
y Lab,SUGEN,Inc.) 3.PBS(ダルベッコリン酸緩衝化食塩水,GibcoカタログNo.450
−1300EB) 4.TBST緩衝液 5.ブロッキング緩衝液 6.PDGFR−β発現NIH3T3細胞溶解物(Screening Lab
,SUGEN,Inc.) 7.TBS緩衝液 8.TBS+10%DMSO 9.アデノシン−5'−三リン酸(ATP,ウマ筋肉由来,Sigma Cat
.No.A−5394) 10.MnCl2 11.キナーゼ緩衝液リン酸化混合物
【表7】 12.NUNC96ウエルV底ポリプロピレンプレート(Applied Sc
ientific Cat.No.AS−72092) 13.エチレンジアミン四酢酸(EDTA) 14.ウサギポリクローナル抗ホスホチロシン血清(Biochemistry
Lab,SUGEN,Inc.) 15.ヤギ抗ウサギIgGペルオキシダーゼコンジュゲート(Biosourc
e Cat.No.ALI0404) 16.2,2'−アジノ−ビス(3−エチルベンズチアゾリン−6−硫酸)(A
BTS,Sigma Cat.No.A−1888) 17.過酸化水素30%溶液(Fisher Cat.No.H325) 18.ABTS/H22 19.0.2MHCl
【0297】方法 1.Corning96ウエルELISAプレートをウエルあたり100μlP
BS中の0.5μgの28D4C10でコーティングする。4℃で一夜保存する
。 2.プレートを逆さにして液体を除去することにより,未結合28D4C10を
ウエルから除去する。dH2Oで1回洗浄する。プレートをペーパータオル上で
軽くたたいて過剰の液体を除去する。 3.150μlのブロッキング緩衝液を各ウエルに加える。振盪しながら室温で
30分間インキュベートする。 4.プレートを脱イオン水で3回,次にTBSTで1回洗浄する。プレートをペ
ーパータオル上で軽くたたいて,過剰の液体および気泡を除去する。 5.溶解物をHNTG中で希釈する(10μg溶解物/100μlHNTG) 6.100μlの希釈溶解物を各ウエルに加える。室温で60分間振盪する。 7.プレートを上述の工程4に記載したように洗浄する。 8.80μlの作業用キナーゼ緩衝液混合物を捕捉PDGFRを含有するELI
SAプレートに加える。 9.試験化合物を96ウエルポリプロピレンプレート中でTBSで1:10に希
釈する(10μl化合物+90μlTBS)。 10.10μlの希釈試験化合物をELISAプレートに加える。対照ウエル(
試験化合物を加えないウエル)には10μlTBS+10%DMSOを加える。 11.振盪しながら室温で30分間インキュベートする。 12.10μlのATPを陰性対照ウエルを除く全てのウエルに直接加える。(
各ウエル中最終ウエル容量は20μMATPを含む約100μlとなるはずであ
る)。振盪しながら30分間インキュベートする。 13.30分後,10μlの200mMEDTA(pH8.0)を各ウエルに加
えることにより反応を停止する。 14.脱イオン水で4回,TBSTで2回洗浄する。 15.ウエルあたり100μlの抗ホスホチロシン(TBST中1:3000希
釈)を加える。振盪しながら室温で30−45分間インキュベートする。 16.上述の工程4に記載したように洗浄する。 17.100μlのBiosourceヤギ抗ウサギIgGペルオキシダーゼコ
ンジュゲート(TBST中1:2000希釈)を各ウエルに加える。振盪しなが
ら室温で30分間インキュベートする。 18.上述の工程4に記載したように洗浄する。 19.100μlのABTS/H22溶液を各ウエルに加える。 20.振盪しながら10−30分間インキュベートする。気泡を除去する。 21.必要ならば,ウエルあたり100μlの0.2MHClを加えて反応を停
止する。 22.Dynatech MR7000 ELISAリーダーでアッセイを読む
:試験フィルター:410nM,参照フィルター:630nM。
【0298】生化学的FGFRアッセイ このアッセイは,ELISAを用いてMyc−GyrB−FGFR融合蛋白質
のキナーゼ活性をインビトロで測定する。
【0299】材料および試薬 1.HNTG
【表8】 1リットルの5x保存溶液を作成するためには,HEPESおよびNaClを約
350mlのdH2Oに溶解し,HClまたはNaOHでpHを7.2に調節し
(用いるHEPESによる),グリセロール,TritonX100を加え,次
にdH2Oを加えて最終容量とする。 2.PBS(ダルベッコリン酸緩衝化食塩水,Gibcoカタログ#450−1
300EB) 3.ブロッキング緩衝液 4.キナーゼ緩衝液
【表9】 5.フッ化フェニルメチルスルホニル(PMSF,Sigma,Cat.No.
P−7626) 作業溶液:エタノール中100mM 6.ATP(細菌起源,Sigma Cat.No.A−7699) 6mMの濃度の保存液のためには,1mlのMilliQ H2Oあたり3.3
1mgを用いる。 7.ビオチンコンジュゲート化抗ホスホチロシンモノクローナル抗体(クローン
4G10,Upstate Biotechnology Inc.Cat.N
o.16−103,Ser.No.14495) 8.Vectastain Elite ABC試薬(アビジンペルオキシダー
ゼコンジュゲート,Vector Laboratories Cat.No.
PK−6100) 9.ABTS溶液 10.過酸化水素30%溶液(Fisherカタログ#H325) 11.ABTS/H22 12.0.2MHCl 13.TRIS HCl(Fischer Cat.No.BP152−5) MilliQ H2O中の1.0mM溶液を調製し,HClでpHを7.2に調
節する 14.NaCl(Fisher Cat.No.S271−10) MilliQ H2O中の5M溶液を調製する 15.MgCl2(Fisher Cat.No.M33−500) MilliQ H2O中の1M溶液を調製する 16.HEPES(Fisher Cat.No.BP310−500) MilliQ H2O中の1M溶液を調製し,pHを7.5に調節し,濾過滅菌
する。 17.TBST緩衝液 18.炭酸ナトリウム緩衝液(Fisher Cat.No.S495) MilliQ H2O中に0.1M溶液を調製し,NaOHでpHを9.6に調
製し,濾過する。 19.ジチオスレイトール(DTT,Fisher Cat.No.BP172
−25) 使用直前にMilliQ H2O中に0.5mMの作業溶液を調製する。使用す
るまで−20℃で保存し,残りは廃棄する。 20.MnCl2 21.TritonX−100 22.ヤギ抗ウサギIgG(Cappel) 23.アフィニティー精製ウサギ抗GST GyrB(Biochemistr
y Lab.SUGEN,Inc.)
【0300】方法 以下の全ての工程は,特に記載しない限り,室温で実施する。 1.Corning96ウエルELISAプレートを,ウエルの総容量が100
μlとなるように,ウエルあたり2μgの炭酸緩衝液中のヤギ抗ウサギ抗体でコ
ーティングする。4℃で一夜保存する。 2.プレートを逆さにして液体を除去することにより,未結合ヤギ抗ウサギ抗体
を除去する。プレートをペーパータオル上で軽くたたいて,過剰の液体および気
泡を除去する。 3.150μlのブロッキング緩衝液(PBS中5%低脂肪ミルク)を各ウエル
に加える。マイクロタイタープレート振盪器で振盪しながら30分間インキュベ
ートする。 4.TBSTで4回洗浄する。プレートをペーパータオル上で軽くたたいて,過
剰の液体および気泡を除去する。 5.ウエルあたり0.5μgのウサギ抗GyrB抗体を加える。抗体をDPBS
中で希釈して最終容量をウエルあたり100μlとする。マイクロタイタープレ
ート振盪器で振盪しながら室温で1時間インキュベートする。 6.工程4に記載したようにTBSTで4回洗浄する。 7.HNTG中の2μgのCOS/FGFR細胞溶解物(Myc−GyrB−F
GFR源)を各ウエルに加えて,ウエルあたり100μlの最終容量とする。マ
イクロタイタープレート振盪器で振盪しながら1時間インキュベートする。 8.工程4に記載したようにTBSTで4回洗浄する。 9.ウエルあたり80μlの1xキナーゼ緩衝液を加える。 10.ポリプロピレン96ウエルプレート中で試験化合物を1xキナーゼ緩衝液
+1%DMSOで1:10に希釈する。 11.希釈した試験化合物溶液および対照ウエルの10μlをポリプロピレンプ
レートウエルから対応するELISAプレートウエルに移し,マイクロタイター
プレート振盪器で振盪しながら20分間インキュベートする。 12.キナーゼ緩衝液中で希釈した70μMATPの10μlを陽性対照および
試験ウエル(最終ATP濃度は7μM/ウエル)に加える。10μlの1xキナ
ーゼ緩衝液を陰性対照ウエルに加える。マイクロタイタープレート振盪器で振盪
しながら15分間インキュベートする。 13.5μlの0.5MEDTAをすべてのウエルに加えることによりキナーゼ
反応を停止する。 14.工程4に記載したようにTBSTで4回洗浄する。 15.TBST中で希釈したビオチンコンジュゲート化抗ホスホチロシンモノク
ローナル抗体(b4G10)100μlを各ウエルに加える。マイクロタイター
プレート振盪器で振盪しながら30分間インキュベートする。 16.Vectastain ABC試薬を調製する。1滴の試薬Aを15ml
のTBSTに加える。管を数回逆さにすることにより混合する。1滴の試薬Bを
加え,再び混合する。 17.工程4に記載したようにTBSTで4回洗浄する。 18.100μlのABC HRP試薬を各ウエルに加える。マイクロタイター
プレート振盪器で振盪しながら30分間インキュベートする。 19.工程4に記載したようにTBSTで4回洗浄する。 20.100μlのABTS/H22溶液を各ウエルに加える。 22.振盪しながら5−15分間インキュベートする。気泡を除去する。 23.必要ならば,100μlの0.2MHCl/ウエルを加えることにより 反応を停止させる。 24.アッセイをDynatech MR7000 ELISAプレートリーダ
ーで読む;試験フィルター:410nM,参照フィルター:630nM。
【0301】生化学的FLK−1アッセイ このアッセイは,ELISAを用いて,flk−1自己リン酸化活性をインビ
トロで評価する。
【0302】材料および試薬 1.15cm組織培養皿 2.Flk−1/NIH細胞:ヒトflk−1クローン3(SUGEN,Inc
.,MPI,Martinsried,Germanyより入手)を過剰発現す
るNIH繊維芽細胞株 3.成長培地:DMEMプラス熱不活性化10%FBSおよび2mMグルタミン
(Gibco−BRL) 4.飢餓培地:DMEMプラス0.5%熱不活性化FBS,2mMグルタミン(
Gibco−BRL) 5.Corning96ウエルELISAプレート(Corning Cat.
No.25805−96) 6.flk−1に特異的なL4またはE38モノクローナル抗体;蛋白質−Aア
ガロースアフィニティークロマトグラフィーにより精製(SUGEN,Inc.
) 7.PBS(ダルベッコリン酸緩衝化食塩水)Gibco Cat.No.45
0−1300EB) 8.HNTG(調製については生化学的FGFRを参照) 9.PierceBCA蛋白質検定キット 10.ブロッキング緩衝液 11.TBST(pH7.0) 12.キナーゼ緩衝液 13.キナーゼ停止溶液:200mMEDTA 14.ビオチニル化4G10,ホスホチロシンに特異的(UBI,Cat.No
.No.16−103) 15.ABキット(Vector Laboratories Cat.No.
PK4000) 16.DMSO 17.NUNC96ウエルV底ポリプロピレンプレート(Applied Sc
ientific Cat.No.AS−72092) 18.Turbo−TMB(Pierce) 19.Turbo−TMB停止溶液:1M H2SO4 20.ATP(Sigma Cat.No.A−7699) 21.20%DMSO,TBS(pH7.0)中
【0303】方法 細胞成長および溶解物調製 1.細胞を成長培地中に播種し,37℃,5%CO2で90−100%コンフル
エントとなるまで2−3日間成長させる。20継代を越えないこと。 2.培地を除去し,細胞をPBSで2回洗浄する。HNTG溶解緩衝液で溶解す
る。すべての溶解物を回収し,20−30秒間ボルテックス混合する。 3.遠心分離(5−10分間,約10,000xg)により不溶性物質を除去す
る。 4.BCAキットを用いて蛋白質濃度を決定する。 5.溶解物を1mgのアリコートに分配し,−80℃で保存する。
【0304】アッセイ方法 1.Corning96ウエルELISAプレートを,100μlのPBS中の
2μg/ウエルの精製L4(またはE38)でコーティングする。4℃で一夜保
存する。 2.プレートを逆さにして液体を除去することにより,未結合蛋白質をウエルか
ら除去する。dH2Oで1回洗浄し,プレートをペーパータオル上で軽くたたい
て過剰の液体を除去する。 3.プレートをウエルあたり150μlのブロッキング緩衝液でブロッキングす
る。4℃で振盪しながら45−60分間インキュベートする。 4.ブロッキング緩衝液を除去し,ELISAプレートをdH2Oで3回,TB
STで1回洗浄する。プレートをペーパータオル上で軽くたたいて過剰の液体を
除去する。 5.溶解物をPBS中で希釈して,最終濃度を50μg/100μlとする。1
00μlの希釈溶解物を各ウエルに加える。振盪しながら4℃で一夜インキュベ
ートする。 6.プレートを逆さにすることにより未結合蛋白質をウエルから除去する。工程
4と同様に洗浄する。 7.80μlのキナーゼ緩衝液をウエルに加える(陰性対照ウエルには90μl
)。 8.試験化合物をTBS中20%DMSOを含むポリプロピレンプレートのウエ
ル中で希釈する(通常は10倍)。 9.10μlの希釈化合物を固定化flk−1を含むELISAウエルに加え,
振盪する。対照ウエルには化合物を加えない。 10.1mMATP保存液から,dH2O中0.3mMATP溶液を調製する(
あるいは,キナーゼ緩衝液を用いてもよい)。 11.陰性対照を除くすべてのウエルに10μlの0.3mMATPを加える。
振盪しながら室温で60分間インキュベートする。 12.1時間後,11μlの200mMEDTAを加えることにより,キナーゼ
反応を停止させる。1−2分間振盪する。 13.ELISAプレートをdH2Oで4回,TBSTで2回洗浄する。 14.100μlの1:5000ビオチニル化4G1O:TBSTをすべてのウ
エルに加える。振盪しながら室温で45分間インキュベートする。 15.上述のものをインキュベートしている間,ABCキットからの50μlの
溶液AおよびBを10mlのTBSTに加える。これらの溶液は,使用の約30
分前に混合しなければならない。 16.工程4と同様にプレートを洗浄する。 17.あらかじめ形成したAとBの複合体100μlをすべてのウエルに加える
。振盪しながら室温で30分間インキュベートする。 18.工程4と同様にプレートを洗浄する。 19.100μlのTurbo−TMBを加える。室温で10−15分間振盪す
る。 20.陽性対照ウエルの色が吸光度約0.35−0.4に達したとき,100μ
lのTurbo−TMB停止溶液で反応を停止する。 21.Dynatech MR7000 ELISAリーダーでプレートを読む
。試験フィルター:450nM,参照フィルター:410nM。
【0305】HUV−EC−Cアッセイ また,以下のプロトコルを用いて,PDGF−R,FGF−R,VEGF,a
FGFまたはFlk−1/KDR(これらはすべてHUV−EC細胞により天然
に発現されている)に対する化合物の活性を測定することができる。
【0306】第0日 1. HUV−EC−C細胞(ヒト臍静脈内皮細胞,(American Ty
pe Cuture Collection;カタログNo.1730CRL)
を洗浄し,トリプシン処理する。ダルベッコリン酸緩衝化食塩水(D−PBS;
Gibco BRL;カタログNo.14190−029から入手)で2回,約
1ml/10cm2組織培養フラスコで洗浄する。非酵素細胞解離溶液(Sig
ma Chemical Company;カタログNo.C−1544)中で
0.05%トリプシン−EDTAでトリプシン処理する。0.05%トリプシン
は,0.25%トリプシン/1mMEDTA(Gibco;カタログNo.25
200−049)を細胞解離溶液中で希釈することにより作成する。約1ml/
25−30cm2組織培養フラスコで37℃で約5分間トリプシン処理する。細
胞をフラスコからはがした後,等量のアッセイ培地を加え,50ml滅菌遠心分
離管(Fisher Scientific;カタログNo.05−539−6
)に移す。
【0307】 2. 50ml滅菌遠心分離管中にアッセイ培地を加えることにより,細胞を約
35mlのアッセイ培地で洗浄し,約200gで10分間遠心分離し,上清を吸
引し,35mlのD−PBSに再懸濁する。D−PBSでさらに2回洗浄し,細
胞を約1ml/組織培養フラスコ15cm2のアッセイ培地に再懸濁する。アッ
セイ培地は,F12K培地(Gibco BRL;カタログNo.21127−
014)+0.5%熱不活性化ウシ胎児血清からなる。Coulter Cou
nter(商標)(Coulter Electronics,Inc.)で細
胞を計数し,アッセイ培地を細胞に加えて0.8−1.0x105細胞/mlの
濃度とする。
【0308】 3. 細胞を96ウエル平底プレートに100μl/ウエルまたは0.8−1.
0x104細胞/ウエルで加える;37℃,5%CO2で約24時間インキュベー
トする。
【0309】第1日 1. 試験化合物の2倍滴定を別々の96ウエルプレート中に作成する。一般に
,50μMから0μMまで。上述の第0日,工程2と同じアッセイ培地を用いる
。滴定は,90μl/ウエルの試験化合物を200μM(4X最終ウエル濃度)
で特定のプレートカラムの最上のウエルに加えることにより行う。試験化合物保
存液濃度は通常DMSO中20mMであるため,200μMの薬剤濃度は2%D
MSOを含む。
【0310】 DMSO濃度を一定に保持しながら薬剤を希釈するために,アッセイ培地中(
F12K+0.5%ウシ胎児血清)2%DMSOとした希釈剤を,試験化合物滴
定の希釈剤として用いる。この希釈物をカラム中の残りのウエルに60μl/ウ
エルで加える。カラムの最上ウエル中の120μlの200μM試験化合物希釈
物から60μlを採取し,カラムの第2のウエル中の60μlと混合する。この
ウエルから60μlを採取し,カラム中の第3のウエル中の60μlと混合し,
2倍滴定が完了するまでこれを続ける。最後から2番目のウエルが混合されたと
き,このウエル中の120μlの60μlを採取し,これを廃棄する。最後のウ
エルには薬剤非含有対照として60μlのDMSO/培地希釈物を加える。以下
のアッセイの,滴定する試験化合物の三重のウエルに十分な9つのカラムを作成
する:(1)VEGF(Pepro Tech Inc.,から入手,カタログ
No.100−200,(2)内皮細胞成長因子(ECGF)(酸性繊維芽細胞
成長因子またはaFGFとしても知られる)(Boehringer Mann
heim Biochemicaから入手,カタログNo.1439600);
または(3)ヒトPDGF B/B(1276−956,Boehringer
Mannheim,Germany)およびアッセイ培地対照。ECGFはヘ
パリンナトリウムを有する調製物として得た。
【0311】 2. 50μl/ウエルの試験化合物希釈物を,第0日からのHUV−EC−C
細胞0.8−1.0x104細胞/100μl/ウエルを含む96ウエルアッセ
イプレートに移し,37oC,5%CO2で約2時間インキュベートする。
【0312】 3. 三重に,80μg/mlVEGF,20ng/mlECGF,または各試
験化合物の条件に対する培地対照を50μl/ウエルで加える。試験化合物につ
いては,成長因子濃度は所望の最終濃度の4倍である。第0日,工程2からのア
ッセイ培地を用いて,成長因子の濃度を調節する。37℃,5%CO2で約24
時間インキュベートする。各ウエルに50μlの試験化合物希釈物,50μlの
成長因子または培地,および100μlの細胞を加え,総量200μl/ウエル
とする。すなわち,すべてをウエルに加えたとき,4倍濃度の試験化合物および
成長因子は1倍となる。
【0313】第2日 1. 3H−チミジン(Amersham;カタログNo.TRK−686)を
1μCi/ウエル(RPMI培地+10%熱不活性化ウシ胎児血清中で調製した
100μCi/ml溶液を10μl/ウエル)で加え,37℃,5%CO2で約
24時間インキュベートする。RPMIはGibco BRLから入手する,カ
タログNo.11875−051
【0314】第3日 1. プレートを−20℃で一夜凍結する。
【0315】第4日 1. プレートを融解し,96ウエルプレート回収器(Tomtec Harv
ester96(登録商標))でフィルターマット(Wallac;カタログN
o.1205−401)上に回収する;Wallac Betaplate(商
標)液体シンチレーション計数機で計数する。
【0316】インビボ動物モデル 異種移植片動物モデル ヒト腫瘍が無胸腺マウス(例えば,Balb/c,nu/nu)中で異種移植
片として成長する能力は,ヒト腫瘍の治療に対する生物学的応答を研究するのに
有用なインビボモデルを提供する。ヒト腫瘍の無胸腺マウスへの最初の成功的な
異種移植(Rygaard and Povlsen,1969,Acta P
athol.Microbial.Scand.77:758−760)以来,
多くの異なるヒト腫瘍細胞株(例えば,***,肺,尿生殖器,胃腸,頭頸部,神
経膠芽細胞腫,骨,および悪性黒色腫)が移植され,ヌードマウス中での成長に
成功してきた。以下のアッセイを用いて,本発明の種々の化合物の活性,特異性
および効果のレベルを決定することができる。3種類の一般的アッセイ,すなわ
ち細胞/触媒,細胞/生物学的およびインビボアッセイが化合物の評価に有用で
ある。細胞/触媒アッセイの目的は,TKが細胞中の既知の基質上のチロシンを
リン酸化する能力に及ぼす化合物の影響を判定することである。細胞/生物学的
アッセイの目的は,細胞中でTKにより刺激される生物学的応答に及ぼす化合物
の影響を判定することである。インビボアッセイの目的は,特定の疾患,例えば
癌の動物モデルにおける化合物の影響を判定することである。
【0317】 皮下異種移植片実験に適した細胞株としては,C6細胞(神経膠腫,ATCC
#CCL107),A375細胞(黒色腫,ATCC#CRL1619),A4
31細胞(類表皮癌腫,ATCC#CRL1555),Calu6細胞(肺,A
TCC#HTB56),PC3細胞(前立腺,ATCC#CRL1435),お
よびEGFR,PDGFR,IGF−1Rまたは任意の他の試験キナーゼを過剰
発現するように遺伝子工学処理されたSKOV3TP5細胞およびNIH3T3
繊維芽細胞が挙げられる。以下のプロトコルを用いて異種移植片実験を行うこと
ができる。
【0318】 雌無胸腺マウス(BALB/c,nu/nu)はSimonsen Labo
ratories(Gilroy,CA)から入手する。すべての動物は,クリ
ーンルーム条件下で,マイクロアイソレーターケージでアルファドライ敷きわら
で維持する。動物には,滅菌齧歯類食および水を任意に与える。
【0319】 細胞株は,適当な培地(例えば,MEM,DMEM,Ham'sF10,また
はHam'sF12プラス5%−10%ウシ胎児血清(FBS)および2mMグ
ルタミン(GLN))中で成長させる。すべての細胞培養培地,グルタミン,お
よびウシ胎児血清は,特に断らない限り,Gibco Life Techno
logies(Grand Island,NY)から購入する。すべての細胞
は,90−95%空気および5−10%CO2の湿潤環境下で37℃で成長させ
る。すべての細胞株は,週に2回,定期的に継代し,Mycotect法(Gi
bco)により判定して,マイコプラズマについては陰性である。
【0320】 細胞は,コンフルエント,またはそれに近い状態で,0.05%トリプシン−
EDTAで回収し,450xgで10分間ペレット化する。ペレットを滅菌PB
Sまたは培地(FBSなし)中に懸濁して特定の濃度とし,細胞をマウス(1群
あたり,8−10匹のマウス,2−10x106細胞/動物)の後側腹部内に移
植する。腫瘍成長は,ベニエカリパスを用いて3−6週間にわたり測定する。腫
瘍体積は,とくに記載のないかぎり,長さx幅x高さの積として計算する。P値
は,スチューデントt−テストを用いて計算する。50−100μlの賦形剤(
DMSO,またはVPD:D5W)中の試験化合物は,通常は移植後の第1日か
ら初めて,異なる濃度でIP注入により輸送することができる。
【0321】腫瘍侵襲モデル 以下の腫瘍侵襲モデルが開発されており,KDR/FLK−1レセプターを選
択的に阻害すると同定された化合物の治療的価値および有効性を評価するために
用いることができる。
【0322】方法 8週齢のヌードマウス(雌)(SimonsenInc.)を実験動物として
用いる。腫瘍細胞の移植は,層流フード内で行うことができる。麻酔用に,キシ
ラジン/ケタミンカクテル(100mg/kgケタミンおよび5mg/kgキシ
ラジン)を腹膜内に投与する。中線切開を行って,腹腔を露出して(約1.5c
mの長さ),容量100μlの培地中の107個の腫瘍細胞を注入する。細胞は
,膵臓の十二指腸葉または結腸の漿膜下に注入する。腹膜および筋肉を6−0絹
連続縫糸により縫合し,皮膚は創傷クリップを用いて縫合する。動物は毎日観察
する。
【0323】分析 動物の全体的所見により2−6週間後,マウスを殺し,局所腫瘍の種々の臓器
(肺,肝臓,脳,胃,脾臓,心臓,筋肉)への転移を調べ,分析する(腫瘍サイ
ズ,侵襲の程度,免疫化学,およびインサイチオハイブリダイゼーション測定)
【0324】細胞毒性の測定 治療用化合物は,細胞毒性効果を発揮するよりも,蛋白質キナーゼ活性の阻害
においてより強力であるべきである。ある化合物の有効性および細胞毒性の尺度
は,治療指数,すなわちIC50/LD50を決定することにより得ることができる
。50%阻害を達成するのに必要な用量IC50は,標準的な技術,例えば本明細
書に記載される技術を用いて測定することができる。50%毒性を与える用量L
50もまた,標準的な技術を用いて(Mossman,1983,J.Immu
nol.Methods,65:55−63),放出されたLDHの量を測定す
ることにより(Korzeniewski and Callewaert,1
983,J.Immunol.Methods,64:313;Decker
and Lohmann−Matthes,1988,J.Immunol.M
ethods,115:61),または動物モデルにおける致死量を測定するこ
とにより,測定することができる。高い治療指数を有する化合物が好ましい。治
療指数は,2より大きくなくてはならず,好ましくは少なくとも10,より好ま
しくは少なくとも50である。
【0325】結論 以上のように,3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリノンは,種々の化学
療法剤,特にフッ化ピリミジン化合物の化学療法的有効性に有益な効果を有する
ことが予測されることが理解されるであろう。さらに,3−[(2,4−ジメチ
ルピロール−5−イル)メチレン]−2−インドリノンとフルオロウラシルまた
はフルオロウラシル/ロイコボリンとの組み合わせは,直腸結腸癌の治療用の有
効な化学療法的組み合わせであると予測される。
【0326】 また,本発明の化合物,方法および医薬組成物は,RPKおよびCTK活性を
調節すると予測され,したがって,RTKおよびCTK関連疾患に対する治療薬
として有効であると予測されることが理解されるであろう。
【0327】 当業者は,本発明は,その目的を実施し,記載される結果および利点,ならび
に本明細書に固有のものを得るのによく適合していることを容易に理解するであ
ろう。本明細書に記載される分子複合体および方法,手順,処理,分子,特定の
化合物は,現在のところ好ましい態様の代表的なものであり,例示的なものであ
って,本発明の範囲を限定することを意図するものではない。当業者は,特許請
求の範囲において定義される本発明の精神の中に包含される変更および他の用途
をなすであろう。
【0328】 当業者は,本発明の範囲および精神から逸脱することなく,本明細書に開示さ
れる本発明に対して種々の置換および変更をなすことが可能であることを容易に
理解するであろう。
【0329】 本明細書において言及されるすべての特許および刊行物は,本発明の属する技
術分野の技術者のレベルを示す。すべての特許および刊行物は,それぞれの刊行
物が特定的に個々に本明細書の一部としてここに引用されることと同じ程度に,
本明細書の一部として引用される。
【0330】 本明細書に例示的に記載されている発明は,本明細書に特定的に開示されてい
ない任意の要素または限定なしでも適切に実施することができる。すなわち,例
えば,本明細書における各例において,"・・・を含む","・・・から本質的に
なる"および"・・・からなる"との用語は,他の2つのいずれかと置き換えるこ
とができる。本明細書において用いた用語および表現は,説明の用語として用い
るものであり,限定ではない。そのような用語および表現の使用においては,示
されかつ記載されている特徴またはその一部の等価物を排除することを意図する
ものではない。特許請求の範囲に記載される本発明の範囲中で種々の変更が可能
であることが理解される。すなわち,好ましい態様および任意の特徴により本発
明を特定的に開示してきたが,当業者には本明細書に記載される概念の変更およ
び変種が可能であり,そのような変更および変種も特許請求の範囲に定義される
本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0331】 さらに,発明の特徴および観点がマーカッシュグループの用語で記載されてい
る場合,当業者は,本発明が,マーカッシュグループのメンバーの個々のメンバ
ーまたはサブグループに関してもまた記載されていることを認識するであろう。
例えば,Xが,臭素,塩素およびヨウ素からなる群より選択されるとして記載さ
れている場合,Xが臭素である特許請求の範囲およびXが臭素および塩素である
特許請求の範囲も完全に記載されている。
【0332】 他の態様も特許請求の範囲の範囲内である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZW ),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU, TJ,TM),AL,AM,AT,AU,AZ,BA, BB,BG,BR,BY,CA,CH,CN,CU,C Z,DE,DK,EE,ES,FI,GB,GD,GE ,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS, JP,KE,KG,KP,KR,KZ,LC,LK,L R,LS,LT,LU,LV,MD,MG,MK,MN ,MW,MX,NO,NZ,PL,PT,RO,RU, SD,SE,SG,SI,SK,SL,TJ,TM,T R,TT,UA,UG,UZ,VN,YU,ZW (71)出願人 230 East Grand Avenu e,South San Francis co,California 94080,U nited States of Ame rica (72)発明者 ショーヴァー,ローラ・ケイ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94112, サンフランシスコ, コッタ ー・ストリート, 216 (72)発明者 タン,ペン・チョー アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94556, モラーガ, カミーノ・リカル ド, 827 (72)発明者 スン,リ アメリカ合衆国 カリフォルニア州 94404, フォスター・シティ, ロック ハーバー・レイン, 64 Fターム(参考) 4C086 AA01 AA02 BC13 BC42 BC43 GA02 GA07

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 癌を治療する方法であって,そのような治療を必要とする患
    者に,治療上有効量のフッ化ピリミジン化学療法剤および次の化学構造: 【化1】 [式中,R1はHまたはアルキルであり; R2はOまたはSであり; R3は水素であり; R4,R5,R6,およびR7は,それぞれ独立して,水素,アルキル,アルコキシ
    ,アリール,アリールオキシ,アルカリール,アルカリールオキシ,ハロゲン,
    トリハロメチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR
    ’,OH,CN,C(O)R,OC(O)R,(CH2nCO2R,およびCO
    NRR’からなる群より選択され; Aは,チオフェン,ピロール,ピラゾール,イミダゾール,1,2,3−トリア
    ゾール,1,2,4−トリアゾール,オキサゾール,イソオキサゾール,チアゾ
    ール,イソチアゾール,2−スルホニルフラン,4−アルキルフラン,1,2,
    3−オキサジアゾール,1,2,4−オキサジアゾール,1,2,5−オキサジ
    アゾール,1,3,4−オキサジアゾール,1,2,3,4−オキサトリアゾー
    ル,1,2,3,5−オキサトリアゾール,1,2,3−チアジアゾール,1,
    2,4−チアジアゾール,1,2,5−チアジアゾール,1,3,4−チアジア
    ゾール,1,2,3,4−チアトリアゾール,1,2,3,5−チアトリアゾー
    ル,およびテトラゾールからなる群より選択される五員のヘテロアリール環であ
    り,これらは1またはそれ以上の位置において,アルキル,アルコキシ,アリー
    ル,アリールオキシ,アルカリール,アルカリールオキシ,ハロゲン,トリハロ
    メチル,S(O)R,SO2NRR’,SO3R,SR,NO2,NRR’,OH
    ,CN,C(O)R,OC(O)R,(CH2nCO2R,またはCONRR’
    で任意に置換されていてもよく; nは0−3であり;および, RおよびR’は,独立して,H,アルキルまたはアリールからなる群より選択さ
    れる] を有する治療上有効量の化合物またはその生理学的に許容しうる塩またはプロド
    ラッグを投与することを含む方法。
  2. 【請求項2】 前記化合物が,5−ヒドロキシ−3−[(2,4−ジメチル
    ピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノン,4−メチル−5−(
    2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロ
    ール−2−カルボン酸,4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロイン
    ドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステ
    ル,3−(5−ヒドロキシメチル−3−メチル−1H−ピロール−2−イルメチ
    レン)−1,3−ジヒドロインドール−2−オンおよび4−メチル−5−(2−
    オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール
    −2−カルボアルデヒドまたはそれらの生理学的に許容しうる塩またはプロドラ
    ッグからなる群より選択される,請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記化合物が3−[4−(2−カルボキシエチル−3,5−
    ジメチルピロール−2−イル)メチリデニル]−2−インドリノンである,請求
    項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記化合物が3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル
    )メチリデニル]−2−インドリノンである,請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 前記フッ化ピリミジン化学療法剤が,カルモフール,ドキシ
    フルリジン,フルオロウラシル,フロキシウリジン,テガフール,カペシタビン
    およびウラシル−フトラフールからなる群より選択される,請求項1記載の方法
  6. 【請求項6】 前記フッ化ピリミジン化学療法剤がフルオロウラシルである
    ,請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 治療上有効量のロイコボリンを前記患者に投与することをさ
    らに含む,請求項6記載の方法。
  8. 【請求項8】 前記癌が,乳癌,胃癌,卵巣癌,腎臓癌,肝臓癌,膵臓癌,
    膀胱癌,前立腺癌および直腸結腸癌からなる群より選択される,請求項1記載の
    方法。
  9. 【請求項9】 直腸結腸癌を治療する方法であって,そのような治療を必要
    とする患者に,治療上有効量のフルオロウラシルおよび治療上有効量の3−[(
    2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンを投
    与することを含む方法。
  10. 【請求項10】 治療上有効量のロイコボリンを前記患者に投与することを
    さらに含む,請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 前記治療上有効量の前記フルオロウラシルが約400mg
    /m2−約500mg/m2で含まれる,請求項9記載の方法。
  12. 【請求項12】 前記治療上有効量の前記フルオロウラシルが非経口的に投
    与される,請求項9記載の方法。
  13. 【請求項13】 前記治療上有効量の前記3−[(2,4−ジメチルピロー
    ル−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンが,1回の処置あたり約4m
    g/m2−190mg/m2で含まれる,請求項9記載の方法。
  14. 【請求項14】 前記治療上有効量の前記3−[(2,4−ジメチルピロー
    ル−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンが1回の処置あたり約72m
    g/m2−約145mg/m2で含まれる,請求項9記載の方法。
  15. 【請求項15】 3−[(2,4−ジメチルピロール−5−イル)メチリデ
    ニル]−2−インドリノンおよび少なくとも1つの他の化学療法剤の組み合わせ
    を含む,癌を治療する方法。
  16. 【請求項16】 前記他の化学療法剤が,カペシタビン,5−FU,UFT
    ,カルボプラチン,シスプラチン,オキサリプラチン,パクリタキセル,ドセタ
    キセル,ポリグルタミン酸化タキサン,イリノテカン,サリドマイド,COX−
    2阻害剤,タモキシフェン,ロイプロリド,アンジオスタチン,エンドスタチン
    ,マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤,インターフェロン,ドキソルビシン
    ,リポソーム性ドキソルビシン,ダウノルビシン,メトキサントロン,エストラ
    ムチンおよびビンカアルカロイド,またはこれらの組み合わせからなる群より選
    択される,請求項15記載の方法。
  17. 【請求項17】 5−ヒドロキシ−3−[(2,4−ジメチルピロール−5
    −イル)メチリデニル]−2−インドリノン,4−メチル−5−(2−オキソ−
    1,2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カ
    ルボン酸,4−メチル−5−(2−オキソ−1,2−ジヒドロインドール−3−
    イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カルボン酸メチルエステル,3−(5
    −ヒドロキシメチル−3−メチル−1H−ピロール−2−イルメチレン)−1,
    3−ジヒドロインドール−2−オンおよび4−メチル−5−(2−オキソ−1,
    2−ジヒドロインドール−3−イリデンメチル)−1H−ピロール−2−カルボ
    アルデヒドからなる群より選択される3−ヘテロアリーリデニル−2−インドリ
    ノン化合物またはその生理学的に許容しうる塩またはプロドラッグ。
  18. 【請求項18】 蛋白質キナーゼの触媒活性を調節する方法であって,前記
    蛋白質キナーゼを請求項17記載の化合物,塩またはプロドラッグと接触させる
    ことを含む方法。
  19. 【請求項19】 前記蛋白質キナーゼが,レセプター蛋白質チロシンキナー
    ゼ,細胞性チロシンキナーゼおよびセリン−トレオニンキナーゼからなる群より
    選択される,請求項18記載の方法。
  20. 【請求項20】 請求項17記載の化合物,塩またはプロドラッグ;および
    ,薬学的に許容しうる担体または賦形剤を含む医薬組成物。
  21. 【請求項21】 患者において蛋白質キナーゼ関連疾患を治療または予防す
    る方法であって,治療上有効量の請求項17記載の化合物,塩またはプロドラッ
    グを前記患者に投与することを含む方法。
  22. 【請求項22】 前記蛋白質キナーゼ関連疾患が,レセプター蛋白質チロシ
    ンキナーゼ関連疾患,細胞性チロシンキナーゼ関連疾患およびセリン−トレオニ
    ンキナーゼ関連疾患からなる群より選択される,請求項21記載の方法。
  23. 【請求項23】 前記蛋白質キナーゼ関連疾患が,EGFR関連疾患,PD
    GFR関連疾患,IGFR関連疾患およびflk関連疾患からなる群より選択さ
    れる,請求項21記載の方法。
  24. 【請求項24】 前記蛋白質キナーゼ関連疾患が,扁平上皮癌,星状細胞腫
    ,神経膠芽細胞腫,肺癌,膀胱癌,頭頸部癌,黒色腫,卵巣癌,前立腺癌,乳癌
    ,小細胞肺癌および神経膠腫からなる群より選択される癌である,請求項21記
    載の方法。
  25. 【請求項25】 前記蛋白質キナーゼ関連疾患が,糖尿病,自己免疫疾患,
    過増殖疾患,再狭窄,線維症,乾癬,変形性関節症,慢性関節リウマチ,炎症性
    疾患および新脈管形成からなる群より選択される,請求項21記載の方法。
  26. 【請求項26】 癌を治療する方法であって,治療を必要とする患者に,治
    療上有効量のゲムシタビンおよび治療上有効量の3−[(2,4−ジメチルピロ
    ール−5−イル)メチリデニル]−2−インドリノンを投与することを含む方法
  27. 【請求項27】 前記癌が膵臓癌である,請求項26記載の方法。
  28. 【請求項28】 治療上有効量のパクリタキセル,カルボプラチン,リポソ
    ーム性ドキソルビシン,またはトポテカンをさらに含む,請求項26記載の方法
  29. 【請求項29】 前記癌が,卵巣癌,小細胞肺癌および腎臓癌からなる群よ
    り選択される,請求項26記載の方法。
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