JP2002313752A - ダイシング装置 - Google Patents

ダイシング装置

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JP2002313752A
JP2002313752A JP2001114561A JP2001114561A JP2002313752A JP 2002313752 A JP2002313752 A JP 2002313752A JP 2001114561 A JP2001114561 A JP 2001114561A JP 2001114561 A JP2001114561 A JP 2001114561A JP 2002313752 A JP2002313752 A JP 2002313752A
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flange
blade
water
cleaning
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English (en)
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Toshiaki Kiyu
暁明 邱
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Disco Corp
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Disco Abrasive Systems Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 洗浄水により加工面上の切削屑を除去可能な
特殊形状フランジを有するダイシング装置を提供するこ
と。 【解決手段】 高速回転して被加工物を切断するブレー
ドと,ブレードを両側より挟持して保持するフランジと
を備えたダイシング装置において,フランジの両側の外
周面上には,円周方向に沿って,被加工物の加工面と略
平行に伸びる平坦部と,平坦部の外縁に設けられた第1
の突起部と,第1の突起部よりブレード側の平坦部に設
けられた第2の突起部とによって洗浄用空間を形成す
る。さらに,第1の突起部から第2の突起部に至る平坦
部の長さ(L)は,第1および第2の突起部の高さ
(H)よりも大であり,その比はH:L=1:3から
1:10までの範囲であることが好ましい。かかる構成
により,洗浄用空間によって案内された洗浄水は加工面
上に高速度で衝突し,切削屑を効果的に除去できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は,ダイシング装置に
かかり,特に,特殊形状フランジにより案内された洗浄
水が加工面上の切削屑を除去可能なダイシング装置に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来,半導体ウェハなどの被加工物を複
数片に分割するダイシング工程においては,フランジに
より固定されたリング状ブレードを備えたダイシング装
置が用いられている。
【0003】加工時には,ブレードを高速回転させて,
被加工物を切削する。その際に,切削により微細な切削
屑が発生し,加工面上に付着する。この切削屑が残存し
ていると,後工程であるワイヤボンディング工程でリー
ド線が接着できなかったり,切削屑により半導体素子内
の回路がショートして不良品となる等の悪影響を及ぼ
す。
【0004】かかる切削屑を除去する方法として,各種
ノズルやパイプなどから高圧水を加工面に吹き付けて切
削中に洗浄する方法や,切削後にスピンナ洗浄装置等で
洗浄する方法などが採用されている。
【0005】また,切削中のブレードと被加工物間の摩
擦熱によるブレードの磨耗や加工面のチッピングを防ぐ
ために,ブレードや加工点に切削水を供給して,ブレー
ドが冷却される。切削水の供給方法としては,シャワー
ノズルを用いて切削方向前方からブレード先端に対して
切削水を供給する方法,側面ノズルを用いてブレードの
側方より切削水を供給する方法,さらにブレード外周面
全体に切削水を供給する方法などが一般的である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで,従来のダイ
シング装置では,供給した洗浄水量の割に切削屑の除去
能率が低い。これは,加工面に供給した洗浄水の水圧が
低く,切削屑を十分に除去できないことに起因する。従
って,大量の洗浄水を供給し続けて洗浄しなければなら
ないので高品質の純水が無駄になる。他方,高水圧の切
削水を供給すると,切削水の水圧によりブレードが振動
したり湾曲したりするので,加工精度が低下するばかり
でなく,チッピングの増大やブレードの破損の原因とも
なる。さらに,高圧ポンプや高圧配管などを設置しなけ
ればならないために装置が高コスト化してしまう。
【0007】また,例えばスピンナ洗浄装置等の洗浄専
用装置を利用する場合は,切削と同時には洗浄できない
ので,被加工物を移送してから洗浄しなければならず,
手間と時間がかかる上,装置の費用も高額になるという
問題点がある。
【0008】さらに,従来のダイシング装置では,切削
水を洗浄水として利用する場合に切削水と洗浄水の供給
手段が各々必要であり,装置が複雑になり,その分大量
の切削水及び洗浄水を消費するため,非効率的であると
いう問題点もある。
【0009】本発明は,上記従来のダイシング装置が有
する問題点に鑑みてなされたものであり,洗浄水により
切削屑を効率的に除去可能な,新規かつ改良されたダイ
シング装置を提供することを目的としている。
【0010】
【発明を解決するための手段】上記課題を解決するた
め,請求項1に記載の発明のように,高速回転して被加
工物を切断するブレードと,ブレードを両側より挟持し
て保持するフランジとを備えたダイシング装置におい
て,フランジの一側,あるいは両側の外周面上には,円
周方向に沿って,少なくとも被加工物の加工面と略平行
に伸びる平坦部と,平坦部の外縁に設けられた第1の突
起部とによって洗浄用空間が形成されていることを特徴
とする,ダイシング装置を提供する。
【0011】本項記載の発明では,洗浄水は,第1の突
起部によりフランジ外への飛散を防止されつつ洗浄用空
間に供給される。次いで,平坦部に衝突して跳ね返っ
て,加工面に到達する。このように洗浄用空間によって
案内された洗浄水は,フランジの回転エネルギーによっ
て高速度を得て加工面上に衝突するので,切削屑を効果
的に除去することができる。また,切削水を洗浄水とし
て活用し,被加工物の切削と切削屑の洗浄を同時に行う
ことができる。従って,装置が簡略化でき供給水量も節
減できるので,効率的である。
【0012】さらに,請求項2に記載の発明のように,
洗浄用空間は,平坦部と,第1の突起部と,第1の突起
部よりブレード側の平坦部に設けられた第2の突起部と
によって形成されていると共に,第1の突起部から第2
の突起部に至る平坦部の長さは,第1および第2の突起
部の高さよりも大となることが好ましい。
【0013】かかる構成により,洗浄用空間により案内
された洗浄水は,広い平坦部で十分な高速度を得ること
ができるので,加工面上の切削屑を広範囲にわたり高能
率で除去することができる。
【0014】また,請求項3に記載の発明のように,第
1および第2の突起部の高さのいずれか高い方の高さ
(H)と,平坦部の長さ(L)との比が,H:L=1:
3から1:10までの範囲であることが好ましい。
【0015】かかる構成により,洗浄用空間により案内
された洗浄水は,切削屑の除去範囲及び除去能率を供給
量に応じて好適に保持することができる。
【0016】さらに,請求項4に記載の発明のように,
洗浄用空間に洗浄水を供給する第1シャワーノズルが設
けられている如く構成すれば,洗浄用空間には平坦部の
長さにわたり洗浄水が均等に供給され,むらのない切削
屑の除去が可能になる。
【0017】また,請求項5に記載の発明のように,フ
ランジの外周面上にはブレードと第2の突起部との間
に,円周方向に沿って切削水用溝が形成されていること
が好ましい。
【0018】かかる構成により,供給された切削水は,
切削水用溝に滞留するため外側に飛散せず,ブレード及
び加工点に達しやすい。従って,切削水を有効利用で
き,ブレード及び加工点の冷却効果が高まる。
【0019】さらに,請求項6に記載の発明のように,
ブレード先端または切削水用溝に切削水を供給する第2
シャワーノズルが設けられている如く構成すれば,供給
された切削水が切削水用溝内に好適に滞留して有効利用
される。従って,切削水はブレード及び加工点を効率的
に冷却することができ,切削水量の低減が図れる。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に添付図面を参照しながら本
発明にかかるダイシング装置の好適な実施形態について
詳細に説明する。なお,本明細書及び図面において略同
一の機能構成を有する構成要素については,同一の符号
を付することにより重複説明を省略する。
【0021】ダイシング工程では,一般に,被加工物を
個々のチップ(ダイ)に分割するために,賽の目状にカ
ーフ(切溝)が生成される。以下では,被加工物として
半導体ウェハ12をダイシングする場合を説明するが,
本発明はかかる例に限定されるものではない。
【0022】(第1の実施の形態)以下に,本発明の第
1の実施形態について説明する。
【0023】まず,図1に基づいて,第1の実施形態に
おけるダイシング装置の概略について説明する。なお,
図1は,第1の実施形態にかかるダイシング装置の全体
斜視図である。
【0024】ダイシング装置本体10は,図1に示すよ
うに,半導体ウェハ12を切削または切断する切削ユニ
ット20と,半導体ウェハ12を載置するチャックテー
ブル15とを有する。半導体ウェハ12は,ウェハテー
プ13によりフレーム14に支持された状態で,チャッ
クテーブル15上に供給される。チャックテーブル15
は切削ユニット20に対し相対的に移動可能であり,切
削ユニット20の端部に設置されて高速回転するブレー
ド22に半導体ウェハ12を所定量切り込ませながら,
チャックテーブル15が移動することにより切削が進行
する。逆に,チャックテーブル15が固定され,切削ユ
ニット20が相対的に移動して切削する場合もある。
【0025】ウェハ処理工程において微細領域内に素子
や集積回路が大量に作り込まれた半導体ウェハ12をダ
イシングする場合,半導体チップの間のストリートに沿
った精密な加工が要求される。そこで,ダイヤモンド等
の砥粒をニッケル等のボンド材で電着したリング状ブレ
ード22が用いられる。ブレード22の厚さは極薄であ
り,例えば20〜30μmである。このようなブレード
22が切削ユニット20に設置され,高速回転しながら
半導体ウェハ12のストリートに沿って切削し,極薄の
カーフを形成する。
【0026】この際,カーフの縁に生じた不定形破断で
あるチッピングや半導体ウェハ12の異常切断が生じる
ことがある。このチッピングの原因としては,ブレード
22が切削水により十分に冷却されず,目詰まり,磨
耗,湾曲,破断することなどが挙げられる。半導体ウェ
ハ12のストリート外に達する程大きいチッピングが生
じた場合には,半導体素子が破壊されて,歩留まりが低
下してしまう。従って,摩擦熱により高温化するブレー
ド22及び加工点を十分に冷却するとともに,切削ユニ
ット20を精密に制御することが求められる。
【0027】さらに,高速回転するブレード22により
半導体ウェハ12が切削されると,微細な切削屑が発生
し,カーフ両側の加工面上に付着して堆積する。この切
削屑が大量に残存していると,後工程であるワイヤボン
ディング工程でリード線が接着できなかったり,切削屑
により半導体素子内の回路がショートして不良品となる
等の悪影響を及ぼす。従って,切削屑を極力除去するこ
とが求められる。
【0028】次に,図2に基づいて,第1の実施形態に
おける切削ユニットの全体構成を説明する。なお,図2
は,第1の実施形態にかかる切削ユニット20の斜視図
である。なお,ブレード22のオペレータ側とは,切削
ユニット20においてオペレータと対向する側であり,
図2のX側に相当する。一方,マシン側とは,ブレード
22に対してオペレータ側とは反対側であり,図2のY
側に相当する。
【0029】図2に示すように,切削ユニット20は,
リング状のブレード22と,ブレード22を両側より挟
持するフランジ30と,切削方向前方から洗浄水を供給
する第1シャワーノズルと切削水を供給する第2シャワ
ーノズルとが一体形成されたシャワーノズル26と,ホ
イルカバ28とを有する。
【0030】以下に,図2を参照しながら第1の実施形
態にかかる切削ユニット20の各部を説明する。
【0031】まず,リング状のブレード22は,フラン
ジ30に挟持された状態で切削水を供給されながら高速
回転し,その下部を半導体ウェハ12に切り込ませなが
ら加工面に対し相対移動することで精密な切削を行う。
【0032】次いで,フランジ30は,例えばステンレ
ス等の比較的硬質な金属などで形成されており,ブレー
ド22をオペレータ側及びマシン側より挟持して固定す
る。
【0033】さらに,シャワーノズル26は,ブレード
22及びフランジ30の外周面と対向して切削方向前方
に設置される。第1の実施形態にかかるシャワーノズル
26は,切削方向前方からフランジ30外周面上の洗浄
用空間に洗浄水を供給する手段としての第1シャワーノ
ズルと,切削方向前方からブレード22先端に切削水を
供給する手段としての第2シャワーノズルとが一体形成
されたものである。なお,本発明はかかる例に限定され
ず,第1シャワーノズルと第2シャワーノズルを個別に
設置しても構わない。
【0034】また,ホイルカバ28は,切削水及び洗浄
水が周辺に飛散するのを防止するだけでなく,ブレード
22を保護し,危険防止のためブレード22が露出しな
いようにする機能を有する。
【0035】次に,図3に基づいて,第1の実施形態に
おける切削ユニットの要部を説明する。図3は,第1の
実施形態にかかる切削ユニット20の要部の分解組立図
である。
【0036】図3に示すように,突出形成された略円錐
台状のスピンドル回転軸34は,モータからの回転力を
伝えるよう回転自在に設置される。スピンドル回転軸3
4の一側には,ナット38と螺合する回転軸ねじ部34
aが形成されており,他側にはフランジ制止部34bが
設置されている。
【0037】さらに,ブレード22を両側より挟持する
フランジ30とフランジナット36を備える。第1の実
施形態にかかるフランジ30は,フランジアセンブリと
して第1フランジ30aと第2フランジ30bを有して
おり,第2フランジ30bにはフランジナット36と螺
合するフランジねじ部30cが形成されている。なお,
フランジアセンブリとしては,多様な形態が考えられ,
第1の実施形態にかかる第1フランジ30aと第2フラ
ンジ30bに限定されるものではない。
【0038】ここで,第1の実施形態にかかる第1フラ
ンジ30a及び第2フランジ30bは,その外周面上に
円周方向に沿って洗浄用空間31が形成されている。第
1の実施形態における特徴である洗浄用空間31につい
ては後に詳細に説明する。
【0039】以下に,第1の実施形態にかかるフランジ
を使用してブレードをスピンドル回転軸上に装着する方
法について説明する。
【0040】まず,ブレード22を第2フランジ30b
に嵌めた後,第1フランジ30aを第2フランジ30b
との間にブレード22を挟み込むように設置する。次い
で,フランジナット36を第2フランジ30bのフラン
ジねじ部30cに螺合させることにより,ブレード22
は第1フランジ30aと第2フランジ30bに挟持され
て,固定される。
【0041】続いて,ブレード22を挟持しているフラ
ンジ30(即ち,第1フランジ30a及び第2フランジ
30b)を,スピンドル回転軸34に嵌めた上で,ナッ
ト38を回転軸ねじ部34aに螺合することにより,ス
ピンドル回転軸34に軸着する。この時,フランジ30
はフランジ制止部34bに支持されることで安定して固
定される。
【0042】上記のように,スピンドル回転軸34に装
着されたブレード22は,高速回転してもぶれず,半導
体ウェハ12を精密に切削できる。
【0043】次に,図4に基づいて,第1の実施形態に
おけるフランジの構造について詳細に説明する。なお,
図4は,第1の実施形態にかかるブレード22を挟持し
たフランジ30の側面図である。
【0044】図4に示すように,第1フランジ30aは
オペレータ側から,第2フランジ30bはマシン側から
ブレード22を挟持する。第1フランジ30aの内面
(ブレード22と接触する面)の直径と第2フランジ3
0bの内面の直径は略同一であり,ブレード22は両側
から略同一の領域を均等な圧力で挟持される。従って,
ブレード22は偏圧により湾曲,変形することなく,加
工面を略直線的に切削することができる。
【0045】また,第1フランジ30a及び第2フラン
ジ30bの外周面の形状は略同一であり,ブレード22
に対して略対称である。本発明のフランジは,かかる例
に限定されず,フランジ30の外周面は,ブレード22
の両側で,例えば非対称であってもよい。
【0046】フランジ30の両側,即ち第1フランジ3
0aと第2フランジ30b,の外周面上には,円周方向
に沿って洗浄用空間31が形成されいる。以下に,第1
の実施形態の特徴であるフランジ30の洗浄用空間31
について詳細に説明する。
【0047】フランジ30の外周面上には,円周方向に
沿って,被加工物の加工面と略平行に伸びる平坦部31
aが形成されている。かかる構成により,フランジ30
の外周面はブレード22と鉛直な方向に延長形成され
て,略円筒状となっている。つまり,フランジ30外周
面の幅が,従来のフランジ外周面の幅と比してかなり大
きくなるという特徴がある。
【0048】さらに,フランジ30の外周面上には,平
坦部31aの外縁に,円周方向に沿って,第1の突起部
31bが形成されている。かかる構成により,フランジ
30外周面の外縁,即ちブレード22と反対側の縁が,
突出した形状となる。
【0049】上記のような平坦部31aと第1の突起部
31bにより,フランジ30外周面上には,円周方向に
沿って,洗浄用空間31が形成される。洗浄用空間31
は,一側を第1の突起部31bにより,他側をブレード
22により,さらに一端を平坦部31aにより囲まれた
フランジ30外周面上の空間である。
【0050】ブレード22から第1の突起部31bに至
る平坦部31aの長さは,第1の突起部31bの高さに
比べ,かなり大きい。これにより,洗浄用空間31は,
幅が広い,即ち加工面と略平行な方向に大きく広がる空
間となっている。従って,洗浄水を,加工面と略平行な
方向にわたり広く供給できる。
【0051】次に,図5に基づいて,第1の実施形態に
かかるフランジの洗浄用空間とシャワーノズルとの位置
関係及びそれらの機能を説明する。図5は,第1の実施
形態にかかるフランジ30及びシャワーノズル26の断
面図である。なお,図5に示す太い矢印は洗浄水の方向
を,細い矢印は切削水の方向を表している。
【0052】図5に示すように,シャワーノズル26
は,ブレード22先端及びフランジ30の外周面と対向
して切削方向前方に設置される。上述したように,第1
の実施形態にかかるシャワーノズル26は,第1シャワ
ーノズルと第2シャワーノズルが一体形成されたもので
ある。
【0053】まず,シャワーノズル26は,第1シャワ
ーノズルの構成要素として両側の洗浄用空間31と対向
して2つの第1開口24を有し,この第1開口24から
両側の洗浄用空間31に向けて洗浄水を放出する。さら
に,第2シャワーノズルの構成要素としてブレード22
先端に対向して第2開口25を有し,この第2開口25
からブレード22先端に向けて切削水を放出する。
【0054】第1開口24の形状は洗浄用空間31の長
さと略同一の開口長を有するスリットであることが好ま
しく,洗浄用空間31の平坦部31a全体にわたり略均
等に洗浄水を供給する。これに対し,第2開口25の形
状は,ブレード22先端に向けて集中的に切削水を供給
するため,孔であることが好ましい。
【0055】上記構成により,フランジ30に供給され
た洗浄水及び切削水は,洗浄用空間31の外側にある第
1の突起部31bによりフランジ30外側への飛散を防
止される。洗浄用水は,洗浄用空間31に略均等に供給
された後,洗浄用溝に案内されて加工面上の切削屑を除
去する。また,切削水はブレード22及び加工点を冷却
することができる。
【0056】そこで,第1の実施形態の特徴である洗浄
用空間における洗浄水の流れと切削屑除去機能に関して
より詳細に説明する。
【0057】まず,シャワーノズル26のスリット状の
第1開口24から洗浄水が放出される。第1開口24の
開口長は平坦部31aの長さと略同一であるので,第1
開口24から放出された洗浄水は,切削方向前方から洗
浄用空間31の平坦部31a全体にわたり略均等に吹き
付けられる。この際,洗浄水は,第1の突起部31bに
より洗浄用空間31外部に飛散することを防止されてい
る。
【0058】ところで,切削中フランジ30は,非常に
高速で回転しており,その回転速度は例えば30krp
mである。フランジ30外周面の切削方向前方側,即ち
シャワーノズル26と対向する側では,フランジ30外
周面は加工面に向かう方向に高速で移動している。
【0059】従って,洗浄用空間31に吹き付けられて
平坦部31aに衝突した洗浄水は,フランジ30外周面
の略接線方向中心に下方に跳ね返る。さらに衝突時に
は,洗浄水は高速回転するフランジ30の回転エネルギ
ーにより加速されているので,加工面に向け高速度で吹
き付けられる。
【0060】ここで,図6に基づいて,第1の実施形態
における切削屑を除去する機構を説明する。図6は,第
1の実施形態にかかる洗浄水による切削屑除去の概念図
である。なお,図6に示す矢印は平坦部31aで跳ね返
った洗浄水の方向を表す。また,半導体ウェハ12加工
面上において,洗浄用空間31下に位置する領域をAゾ
ーン42とする。
【0061】図6に示すように,半導体ウェハ12の加
工面上には切削された半導体が微細な切削屑40とな
り,カーフ両側の加工面上に付着して堆積している。
【0062】上記のように平坦部31aで跳ね返った洗
浄水は,加工面上のAゾーン42に高速度で衝突する。
次いで,Aゾーン42に堆積している切削屑40は,衝
突した洗浄水により加工面から剥離され,洗浄水内に取
り込まれる。さらに,切削屑40を含んだ洗浄水は加工
面上を流動して加工面外部に流出するので,切削屑40
が加工面上から除去される。
【0063】このように,シャワーノズル26を用いて
供給され洗浄用空間31により加工面に案内された洗浄
水は,平坦部31aの長さにわたり広範囲の加工面上の
切削屑40を除去,洗浄することができる。洗浄水は,
フランジの高速回転により加速されて高速度で加工面上
に衝突するので,従来のように高圧水を加工面上に吹き
付けると同様の洗浄能力を発揮する。
【0064】(第2の実施の形態)続いて,本発明の第
2の実施形態について説明する。第2の実施形態におい
ては,第1の実施形態における平坦部31aにさらに第
2の突起部が形成される点が相違するのみであり,他の
構成は第1の実施形態と略同一であるので,その説明は
省略する。
【0065】まず,図7に基づいて,第2の実施形態に
おけるフランジの構造について詳細に説明する。なお,
図7は,第2の実施形態にかかるブレード22を挟持し
たフランジ30の側面図である。
【0066】図7に示すように,フランジ30両側の外
周面上の平坦部31a部には,第1の突起部31bより
ブレード22側に,円周方向に沿って,第2の実施形態
における特徴である第2の突起部31cがさらに形成さ
れている。つまり,被加工物の加工面と略平行に伸びる
平坦部31a部には,第1の突起部31bと第2の突起
部31cという2つの突起部が形成されていることにな
る。
【0067】かかる構成により,フランジ30の両側の
外周面上には,円周方向に沿って,平坦部31a,第1
の突起部31b及び第2の突起部31cによって略凹型
に囲まれた洗浄用空間31が形成される。この第2の実
施形態にかかる洗浄用空間31は,第1の実施形態にか
かる洗浄用空間と,その一側をブレード22の代わりに
第2の突起部31cによって仕切られるという点で相違
する。
【0068】さらに,第2の実施形態にかかる洗浄用空
間31は,その高さ(H)に比してその長さ(L)が大
きいことが特徴である。なお,洗浄用空間31の長さ
(L)とは,第1の突起部31bから第2の突起部31
cに至る平坦部31a部の長さである。また,洗浄用空
間31の高さ(H)とは,第1の突起部31b及び第2
の突起部31cの高さのいずれか高い方の高さである。
【0069】さらに,洗浄用空間31の高さ(H)と洗
浄用空間31の長さ(L)の比が,H:L=1:3から
1:10までの範囲であることが好ましい。第2の実施
形態では,図7に示すように,第1の突起部31bの高
さが第2の突起部31cの高さより高く,H:L=1:
6程度である。
【0070】上記のように,高さ(H)より長さ(L)
を大きくして洗浄用空間31を形成することには,2つ
の理由がある。第1に,洗浄水が加工面上の広領域にわ
たり切削屑を除去できるからである。第2に,洗浄水が
フランジ30の回転エネルギーを得やすいので,洗浄水
の水圧が高まり,切削屑除去能力が向上するからであ
る。従って,上記比は,切削屑除去範囲や洗浄水量,切
削屑量,製品の歩留まり等を考慮して決定される。
【0071】ところで,図7に示すように,フランジ3
0の両側の外周面上には,第2の突起部31cとブレー
ド22の間に切削水用溝33が形成されている。以下に
切削水用溝33の構造について説明する。
【0072】切削水用溝33は,内側面(ブレード22
に近い側の傾斜面)と最深部と外側面(ブレード22か
ら遠い側の傾斜面)とから構成される。切削水用溝33
の内側面は,フランジ30がブレード22を安定して挟
持するための構造でもある。また,切削水用溝33の最
深部は,内側面と外側面とが連結される領域であり,内
側面と外側面の形状に応じてその形状や位置は変わる。
次いで,切削水用溝33の外側面は,第2の突起部31
cと一体形成されている。
【0073】切削水用溝33の幅は,洗浄用空間33の
長さ(L)と比して狭い。この理由としては,切削水用
溝33は切削水を効率的にブレード22及び加工点に供
給するためのものであり,所定以上に切削水用溝33の
幅が広いと切削水がブレード22から遠ざかり冷却機能
を果たせないからである。
【0074】切削水用溝33の断面形状は略弧状である
ことが好ましいが,切削水用溝33の中央が端の部分よ
り低い凹型の形状であれば,断面形状が例えば,方形や
三角形,W型等であってもよい。
【0075】次に,図8に基づいて,第2の実施形態に
おけるフランジの洗浄用空間及び切削水用溝とシャワー
ノズルとの位置関係及びそれらの機能を説明する。図8
は,第2の実施形態にかかるフランジ30及びシャワー
ノズル26の断面図である。なお,図8に示す太い矢印
は洗浄水の方向を,細い矢印は切削水の方向を表してい
る。
【0076】図8に示すように,シャワーノズル26
は,ブレード22先端及びフランジ30の外周面と対向
して切削方向前方に設置される。
【0077】シャワーノズル26は,第1シャワーノズ
ルの構成要素としてフランジ30両側の洗浄用空間31
と対向して2つの第1開口24を有し,この第1開口2
4から両側の洗浄用空間31に向けて洗浄水を放出す
る。さらに,第2シャワーノズルの構成要素としてブレ
ード22先端に対向して第2開口25を有し,この第2
開口25からブレード22先端に向けて切削水を放出す
る。
【0078】なお,第2開口25はかかる例に限定され
ず,例えば,シャワーノズル26に第2開口25を2つ
設けて,フランジ30両側の洗浄用空間33に切削水を
供給してもよい。この場合,特に,切削水用溝33の外
側面に向けて切削水を供給することが好ましい。
【0079】第1開口24の形状は,第1の突起部31
bから第2の突起部31cに至る平坦部31a全体にわ
たり略均等に洗浄水を供給するために,洗浄用空間31
の長さ(L)と略同一の開口長を有するスリットである
ことが好ましい。これに対し,第2開口25の形状は,
ブレード22先端に向けて集中的に切削水を供給するた
めに,孔であることが好ましい。
【0080】上記構成により,洗浄用空間31及びブレ
ード22先端にそれぞれ供給された洗浄水及び切削水
は,第1の突起部31b及び第2の突起部31cによ
り,フランジ30外側への飛散を防止される。この結
果,洗浄水は洗浄用空間31に略均等に供給された後,
洗浄用空間31に案内されて加工面上の切削屑を除去す
ると共に,切削水は有効利用されてブレード22及び加
工点を効率的に冷却することができる。
【0081】そこで,まず,洗浄用空間31における洗
浄水の流れと切削屑除去機能に関して詳細に説明する。
【0082】まず,シャワーノズル26の第1開口24
から放出された洗浄水は,切削方向前方から洗浄用空間
31に吹き付けられる。第1開口24の開口長は,第1
の突起部31bから第2の突起部31cにいたる平坦部
31aの長さ(L)と略同一であるので,洗浄水を洗浄
用空間31全体に略均等に吹き付けることが可能であ
る。吹き付け時には,洗浄水は,第1の突起部31b及
び第2の突起部31cにより洗浄用空間31外部に飛散
することを防止されている。
【0083】第1の実施形態の欄で述べたように,切削
中はフランジ30が非常に高速で回転しているので,洗
浄用空間31に吹き付けられて平坦部31aに衝突した
洗浄水は,フランジ30外周面の略接線方向中心に下方
に加速されて跳ね返り,加工面に向け高速度で吹き付け
られる。
【0084】ここで,図9に基づいて,第2の実施形態
における切削屑を除去する機構を説明する。図9は,第
2の実施形態にかかる洗浄水による切削屑除去の概念図
である。なお,図9に示す太矢印は平坦部31aで跳ね
返った洗浄水の方向を表し,細矢印は切削水の方向を示
す。また,半導体ウェハ12加工面上において,洗浄用
空間31下に位置する領域をBゾーン44とし,切削水
用溝33の外側面下に位置する領域をCゾーン46とす
る。
【0085】図9に示すように,半導体ウェハ12の加
工面上には微細な切削屑40が堆積している。上記のよ
うに平坦部31aで跳ね返った洗浄水は,加工面上のB
ゾーン42に高速で衝突する。次いで,Bゾーン44に
堆積している切削屑40は,衝突した洗浄水により,加
工面から剥離され,洗浄水に取り込まれて加工面上から
除去される。
【0086】上記のように,洗浄用空間31により加工
面に案内された洗浄水は,洗浄用空間の長さ(L)にわ
たり加工面上の切削屑40を除去,洗浄することができ
る。洗浄水は,高速度で加工面上に衝突するので,従来
のように高圧水を加工面上に吹き付けると同様の洗浄能
力を発揮する。
【0087】続いて,再び図8に基づいて,切削水用溝
による切削水の流れとブレード冷却機能に関して詳細に
説明する。
【0088】まず,シャワーノズル26の第2開口25
から切削水が放出される。放出された切削水は,切削方
向前方からブレード22の先端に向けて吹き付けられ,
ブレード22に当たる。
【0089】次いで,切削水はブレード22両側に分か
れて,フランジ30両側の切削水用溝33内に流入す
る。切削水用溝33内に流入した切削水は,切削水用溝
33の内側面に沿って切削水用溝33内を滑流して,切
削水用溝33の最深部付近に到る。
【0090】その後,切削水は切削水用溝33の外側面
により抵抗を受け,切削水用溝33の外側に向かうエネ
ルギーが減少する。従って,切削水の多くは切削水用溝
33外に飛散せずに切削水用溝33内に滞留する。
【0091】さらに,滞留した切削水は,切削水用溝3
3内において多少は流動しているので,一部は再びブレ
ード22の方向に滑流し,ブレード22及び加工点にま
で到る。また,フランジ30の高速回転により切削水用
溝33から放出された切削水は,被加工物に当たって冷
却する。
【0092】上記のように,シャワーノズル26を用い
て供給された切削水は,外部に飛散せず切削水用溝33
内に滞留し,ブレード22及び加工点と多く接するの
で,ブレード22及び加工点を効率的に冷却することが
可能である。
【0093】従って,切削水は十分な冷却効果を達成す
るので,ブレード22の磨耗,破損を抑制し,加工面で
のチッピングや異常切断の発生を防止できる。さらに,
切削水を有効利用できるので,供給する切削水量を節減
することができる。
【0094】さらに,切削水用溝33内によって案内さ
れる切削水は,加工面上の切削屑を除去する機能を付加
的に有する。
【0095】図9に示すように,洗浄用空間33内に滞
留した洗浄水は,切削水用溝33の外側面を溝外に向け
て滑流し,加工点付近で切削水用溝33から放出され
る。次いで,切削水は,切削水用溝33の外側面下に位
置する加工面上のCゾーン46に衝突し,Cゾーン46
に堆積している切削屑を除去する。
【0096】(第3の実施の形態)続いて,本発明の第
3の実施形態について説明する。第3の実施形態におい
ては,洗浄用空間31及び切削水用溝33は,フランジ
30のオペレータ側にのみ形成されている。これに伴
い,シャワーノズル26の第1開口24はフランジ30
のオペレータ側と対向する側にのみ形成される。さら
に,ブレード22のマシン側にのみ側面ノズルが設置さ
れる。上記以外の構成は第2の実施形態と略同一である
ので,その説明は省略する。
【0097】まず,図10に基づいて,本発明の第3の
実施形態におけるフランジの構造について説明する。な
お,図10は第3の実施形態にかかるブレード22を挟
持したフランジ30の側面図である。
【0098】図10に示すように,フランジ30アセン
ブリとしてオペレータ側にある第1フランジ30aの外
周面上には,洗浄用空間31及び切削水用溝33が形成
されている。一方,マシン側にある第2フランジ30b
の外周面上には,洗浄用空間31及び切削水用溝33が
形成されておらず,従来フランジで一般的なように,第
2フランジ30bの直径がブレード22側からマシン側
に向かうにつれ徐々に小さくなっているテーパ形状であ
る。
【0099】シャワーノズル26には,フランジ30の
オペレータ側にある第1フランジ30a外周面上の洗浄
用空間31に対向する側にのみ設置され,洗浄水を供給
する。さらに,側面ノズルが,ブレード22のマシン側
にのみ設置され,マシン側からブレード22外周側面に
切削水を供給する。
【0100】かかる構成により,洗浄水は,加工面上の
切削屑40をカーフのオペレータ側だけ除去することが
できる。従って,第2の実施形態におけるカーフ両側の
切削屑を除去できる場合と比して,本実施形態の切削屑
除去効率は低下することになる。
【0101】続いて,上記の第3の実施形態に基づい
て,切削屑除去試験を行った結果について図11及び1
2を用いて説明する。
【0102】まず,図11は,本実施形態にかかる切削
屑除去試験における各種切削条件を示す表である。従来
のフランジを用いた場合(標)と,本実施形態にかか
るフランジ30を用いた場合(特,特)のシャワー
ノズル流量,側面ノズル流量及び合計流量は,それぞれ
図10に示す通りである。本実施形態における試験は切
削条件を変えて2度行った。なお,ブレードの回転数は
いずれも30krpmである。
【0103】図11に示すように,本実施形態における
シャワーノズル26からは切削水と洗浄水が供給される
のに対し,従来のシャワーノズルからは切削水のみが供
給される。また,本実施形態において側面ノズルはマシ
ン側にのみ設置されるため,オペレータ側の側面ノズル
流量は0L/minである。シャワーノズル流量と側面
ノズル流量を合計した合計流量は,標での3.0L/
minに比して,特及び特では2.5L/minと
少ない。
【0104】次に,図12は,図11に示した切削条件
下での切削屑除去試験の結果として,切削終了後に半導
体ウェハ12の加工面上に堆積している切削屑評価値を
示す棒グラフである。なお,ここでいう切削屑評価値と
は,所定の状態の半導体ウェハ12表面を画像処理し所
定の画像の明度を定め基準値とし,この基準値と比較し
て画像の明暗差(切削屑が多いほど暗い)により切削屑
の存在状態を相対的に評価する値である。つまり,切削
屑評価値が大きいほど切削屑が多く存在していることに
なる。
【0105】図11においては,従来のフランジを用い
た場合の切削屑評価値(標)と,本実施形態における
フランジ30を用いた場合の切削屑評価値(特,特
)を比較する。また,参考までに,加工前の半導体ウ
ェハ加工面上の切削屑評価値も加える。
【0106】図11に示すように,本実施形態における
フランジ30を用いた場合は,従来のフランジを用いた
場合より,切削屑評価値は小さい。例えば,標の切削
屑評価値が約6.3であるのに対し,特の切削屑評価
値は約4.8である。このように,特の場合の切削屑
評価値は,従来例と比して約76%と極めて小さく,さ
らに加工前の切削屑評価値の約4.3に対して約112
%までに切削屑40が減少している。
【0107】特筆すべきは,特では合計水量が2.5
L/minであり,標の3.0L/minと比して約
83%の水量であるにもかかわらず,切削屑評価値が小
さいことである。これにより,洗浄水が効果的に機能し
ているといえる。
【0108】上記のように,本実施形態におけるダイシ
ング装置は,シャワーノズル26から供給される洗浄水
により,加工面上に堆積した切削屑40を十分に除去す
ることが可能である。その効果は顕著であり,加工前の
切削屑がほとんど無い状態にかなり近づけることができ
た。
【0109】また,本実施形態では,便宜上,洗浄用空
間31はフランジ30の一側の外周面上にしか形成され
ていない。従って,第2の実施形態におけるフランジ3
0を用いて切削した場合には,フランジ30両側に洗浄
用空間31を備えるので,さらに切削屑除去能率が向上
すると考えられる。
【0110】以上,添付図面を参照しながら本発明の好
適な実施形態について説明したが,本発明はかかる例に
限定されない。当業者であれば,特許請求の範囲に記載
された技術的思想の範疇内において各種の変更例または
修正例に想到し得ることは明らかであり,それらについ
ても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解され
る。
【0111】例えば,上記実施形態では,ダイシングす
る被加工物として半導体ウェハ12の例を挙げて説明し
たが,本発明はかかる例に限定されない。その他のダイ
シングする被加工物としては,例えば,VTRやFDD
等の磁気ヘッド,セラミック,水晶,ガラス,小型電子
部品,リチウムナイオベイトに代表される圧電結晶材料
やフェライトといった脆性材料等にも適用できる。
【0112】また,上記実施形態においては,ブレード
22を挟持するためのフランジアセンブリとして第1フ
ランジ30aと第2フランジ30bを用いたが,本発明
はかかる例に限定されない。即ち,フランジアセンブリ
として一またはニ以上の構成要素によりブレードを挟持
することができるものであれば本発明の技術的範囲に含
まれると考える。さらに,ブレードを挟持したフランジ
をスピンドル回転軸に軸設するための構成要素も,例え
ば,ハブ(Hub)と切刃部を一体形成したハブブレー
ドを用いた場合など,各種の変更例が考えられる。
【0113】さらに,洗浄用空間31は,第3の実施形
態においてはフランジ30のオペレータ側にのみ形成さ
れたが,マシン側にのみ形成されてもよい。
【0114】また,本発明において切削水用溝33は必
ずしも形成されるべきものではなく,フランジ30の外
周面上には洗浄用空間31のみを備えてもよく,この場
合も当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
【0115】次いで,洗浄用空間31の形状も多様な変
更例が考えられる。例えば,洗浄用空間の平坦部の断面
が,凸型または凹型の略弧状や複数の凹凸を有する鋸状
などであったりしてもよい。また,フランジ片側の外周
面上に,例えばさらに第3の突起部を作るなどして,二
以上の洗浄用空間が形成されてもよい。
【0116】また,切削水用溝33の断面形状は略弧状
であることが好ましいが,切削水用溝33の中央部分が
端の部分より低い凹型の形状であれば,断面形状が例え
ば,方形や三角形,W型等であってもよい。さらに,例
えば,切削水用溝33内にさらに複数個の孔を穿った構
造や,切削水用溝33内に仕切り板等を設け略水車構造
にしたもの等,切削水用溝33内に切削水が滞留できる
スペースを供給する各種構造を有する場合も,本発明の
技術的範囲に含まれると考える。
【0117】なお,上記実施形態にかかるシャワーノズ
ル26は,第1シャワーノズと第2シャワーノズルとが
一体形成されているが,本発明はかかる例に限定され
ず,第1シャワーノズルと第2シャワーノズルを個別に
設置しても構わない。
【0118】さらに,上記実施形態にかかるシャワーノ
ズル26の第1開口24の形状はスリットであり,第2
開口25の形状は孔であるが,本発明はかかる例に限定
されない。例えば,第1開口の形状として,一または二
以上の孔等でもよく,また第2開口の形状として例えば
スリット等でもよい。さらに,切削水を切削水用溝の外
側面に供給するために,第2開口を切削水用溝の外側面
に対向する位置に配置してもよい。
【0119】また,洗浄水または切削水の供給手段とし
ては,少なくともブレード先端および/または洗浄用空
間に,切削水および/または洗浄水を供給するシャワー
ノズルを具備すればよく,それ以外の側面ノズルやブレ
ード外周面全体への供給手段等の各種切削水または洗浄
水供給手段は必ずしも具備する必要はない。換言する
と,シャワーノズルと各種の切削水供給手段を組み合わ
せた応用例は,本発明の技術的範囲に含まれる。
【0120】さらに,上記実施形態では,洗浄水と切削
水は同一の供給源から供給されており物質としては略同
一な純水であったが,本発明はかかる例に限定されな
い。例えば,洗浄水と切削水は,相互の水温を変えた
り,炭酸水と脱イオン水等のように成分を変えたりし
て,異なる供給源から供給されてもよい。
【0121】
【発明の効果】以上説明したように,本発明において
は,フランジの外周面上に円周方向に沿って洗浄用空間
が形成されているダイシング装置において,洗浄用空間
に供給された洗浄水はフランジ外に飛散せずに平坦部で
跳ね返り,フランジの回転エネルギーによって高速度を
得た洗浄水は,加工面上に衝突して切削屑を効果的に除
去することができる。
【0122】さらに,平坦部の長さが突起部の高さより
大であることにより,加工面上の切削屑を広範囲にわた
り高能率で除去することができる。
【0123】加えて,第1および第2の突起部の高さの
いずれか高い方の高さ(H)と,平坦部の長さ(L)と
の比が,H:L=1:3から1:10までの範囲である
ことにより,洗浄用空間により案内された洗浄水は,切
削屑の除去範囲及び除去能率を供給量に応じて好適に保
持することができる。
【0124】また,フランジの外周面上に円周方向に沿
って形成された切削水用溝を備えることにより,ブレー
ド先端または切削水用溝に供給された切削水は,切削水
用溝に滞留するため外側に飛散せず,加工点にも達しや
すい。従って,切削水を有効利用でき,ブレードおよび
加工点の冷却効果が向上する。
【0125】さらに,洗浄用空間に洗浄水を供給する第
1シャワーノズルと,ブレード先端または切削水用溝に
切削水を供給する第2シャワーノズルとを備えることに
より,洗浄水を洗浄用空間の広範囲にわたり均等に供給
でき洗浄水の除去能率が向上すると共に,限られた切削
水量でブレードを効率的に冷却することができる。これ
らは比較的簡便な供給手段であり,かつ洗浄水及び冷却
水が有効利用されており供給水量を節減できる。
【0126】上記のように,本発明のダイシング装置に
おいては,フランジの洗浄用空間により案内された洗浄
水が加工面上の切削屑を効果的に除去する機能を有す
る。切削中にリアルタイムで切削屑を除去できること
は,切削後のスピンナ洗浄装置等を用いる洗浄工程を省
略または簡略化でき,省力化,低コスト化につながる。
【0127】さらに,切削水用溝により有効利用された
切削水はブレード及び加工点を効果的に冷却するので,
ブレードの磨耗,破損を抑制し加工面でのチッピングを
防止して加工品質が向上する。また,切削水や洗浄水等
を有効利用することで総供給水量を大幅に節減できるの
でコスト面で有益である。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態にかかるダイシング装置の全体
斜視図。
【図2】第1の実施形態にかかる切削ユニットの斜視
図。
【図3】第1の実施形態にかかる切削ユニットの要部の
分解組立図。
【図4】第1の実施形態にかかるブレードを挟持したフ
ランジの側面図。
【図5】第1の実施形態にかかるフランジ及びシャワー
ノズルの断面図。
【図6】第1の実施形態にかかる洗浄水による切削屑除
去の概念図。
【図7】第2の実施形態にかかるブレードを挟持したフ
ランジの側面図。
【図8】第2の実施形態にかかるフランジ及びシャワー
ノズルの断面図。
【図9】第2の実施形態にかかる洗浄水による切削屑除
去の概念図。
【図10】第3の実施形態にかかるブレードを挟持した
フランジの側面図。
【図11】第3の実施形態にかかる切削屑除去試験にお
ける各種切削条件を示す表。
【図12】第3の実施形態にかかる切削屑除去試験結果
として切削屑評価値を示す棒グラフ。
【符号の説明】
10 : ダイシング装置本体 12 : 半導体ウェハ 20 : 切削ユニット 22 : ブレード 26 : シャワーノズル 30 : フランジ 31 : 洗浄用空間 31a: 平坦部 31b: 第1の突起部 31c: 第2の突起部 33 : 切削水用溝 40 : 切削屑

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高速回転して被加工物を切断するブレード
    と,前記ブレードを両側より挟持して保持するフランジ
    とを備えたダイシング装置において,前記フランジの一
    側,あるいは両側の外周面上には,円周方向に沿って,
    少なくとも前記被加工物の加工面と略平行に伸びる平坦
    部と,前記平坦部の外縁に設けられた第1の突起部とに
    よって洗浄用空間が形成されていることを特徴とする,
    ダイシング装置。
  2. 【請求項2】前記洗浄用空間は,前記平坦部と,前記第
    1の突起部と,前記第1の突起部より前記ブレード側の
    前記平坦部に設けられた第2の突起部とによって形成さ
    れていると共に,前記第1の突起部から前記第2の突起
    部に至る前記平坦部の長さは,前記第1および第2の突
    起部の高さよりも大となることを特徴とする,請求項1
    に記載のダイシング装置
  3. 【請求項3】前記第1および第2の突起部の高さのいず
    れか高い方の高さ(H)と,前記平坦部の長さ(L)と
    の比が,H:L=1:3から1:10までの範囲である
    ことを特徴とする,請求項2に記載のダイシング装置。
  4. 【請求項4】前記洗浄用空間に洗浄水を供給する第1シ
    ャワーノズルが設けられていることを特徴とする,請求
    項1,2または3のいずれかに記載のダイシング装置。
  5. 【請求項5】前記フランジの外周面上には前記ブレード
    と前記第2の突起部との間に,円周方向に沿って切削水
    用溝が形成されていることを特徴とする,請求項2,3
    または4のいずれかに記載のダイシング装置。
  6. 【請求項6】前記ブレード先端または前記切削水用溝に
    切削水を供給する第2シャワーノズルが設けられている
    ことを特徴とする,請求項5に記載のダイシング装置。
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