JP2004288961A - ダイシング方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工中のワークをワーク吸着テーブルから取り外すことなく、ダイシングブレードのドレッシング作業を行うことができ、ダイシングブレードの切れ味を常に良好な状態に維持することのできるダイシング方法を提供する。
【解決手段】ワークWが貼付されたダイシングテープT上にワークWと隣接してドレス部材Dを貼付し、ダイシングブレードをワークWの加工に引き続いて、又はワークWの加工に先行してドレス部材Dに切込ませることにより、ダイシングブレードがワークWを1ライン加工する毎にドレッシングするようにした。
【選択図】 図3
【解決手段】ワークWが貼付されたダイシングテープT上にワークWと隣接してドレス部材Dを貼付し、ダイシングブレードをワークWの加工に引き続いて、又はワークWの加工に先行してドレス部材Dに切込ませることにより、ダイシングブレードがワークWを1ライン加工する毎にドレッシングするようにした。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの溝加工や切断加工の方法に関するもので、特に半導体装置や電子部品等のウェーハに溝入れ加工をしたり、個々のチップに分割するダイシング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面に半導体装置や電子部品等が形成されたウェーハを個々のチップに分割するには、ダイシングブレードと呼ばれる薄型砥石でウェーハに研削溝を入れてウェーハをカットするダイシング装置が用いられている。ダイシングブレードは、細かなダイヤモンド砥粒をNiで電着したもので、厚さ30μm程度の極薄のものが用いられる。
【0003】
このダイシングブレードを30,000rpm〜60,000rpmで高速回転させてウェーハに切込み、ウェーハを完全切断(フルカット)又は不完全切断(ハーフカット或いはセミフルカット)していた。ハーフカットはウェーハに厚さの半分程度切り込む方法で、セミフルカットは10μm程度の肉厚を残して研削溝を形成する場合のことである。
【0004】
このダイシングブレードでウェーハ等のワークを長時間加工すると、研削屑が砥粒間に堆積して目詰まりが生じたり、砥粒の先端が摩耗したりしてダイシングブレードの切れ味が低下する。
【0005】
このようにダイシングブレードの切れ味が低下した場合は、ドレッシングプレートと称するドレス部材にダイシングブレードで溝を切り込むことによって、目詰まりを解消したり、先端が摩耗した砥粒を脱落させて新たな切刃を創出するドレッシングと言う作業が行われる。
【0006】
ドレッシング作業は、通常はオペレータがワークを載置する吸着テーブルにドレッシングプレートを載置し、このドレッシングプレートをワークと同じように溝加工することによって行われている。このドレッシングプレートの吸着テーブルへの載置を搬送装置で自動搬送するようにしたダイシング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
この特許文献1で提案された技術では、ワークの代わりにドレッシングプレートをダイシングテープに貼付してフレームにマウントし、ワークを搬送する搬送装置を利用してドレッシングプレートも搬送するようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−204462号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1で提案されている技術では、ワークの代わりにドレッシングプレートをワーク吸着テーブルに載置してドレッシング作業を行うので、ワークの加工途中でドレッシングが必要になった場合はワークの加工を一時中断し、ワークを一旦ワーク吸着テーブルから取り外してドレッシングプレートを載置しなければならなかった。
【0010】
そのため、ドレッシング後にワークを再度ワーク吸着テーブルに載置し直して位置決めをやり直さなければならず、高精度な加工を行う場合にはその位置決めの再現性が問題であった。また、ワークやドレッシングプレートの搬送搬出やワークの位置決めをやり直すための時間が余分に必要になるという問題もあった。
【0011】
特に、ワークにAu、Ag、又はCu等の膜が形成されている場合、又はワークが軟質セラミックス材料等の軟質材料の場合は、ブレードに目詰まりが発生し易くドレッシングを頻繁に行わなければならないため、前記問題は重要な問題であり、改善が求められていた。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、回転するブレードでワークに溝入れ加工や切断加工を行うダイシング方法において、加工中のワークをワーク吸着テーブルから取り外すことなく、ダイシングブレードのドレッシング作業を行うことができ、ダイシングブレードの切れ味を常に良好な状態に維持することのできるダイシング方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ダイシングテープに貼付されてフレームにマウントされたワークに、回転するブレードで溝入れ加工や切断加工を行うダイシング方法において、前記ダイシングテープの前記ワークに隣接した位置に、前記ブレードをドレッシングするドレス部材を貼付し、前記ワークの加工に引き続き、又はワークの加工に先行して前記ドレス部材を加工することを特徴としている。
【0014】
請求項1の発明によれば、ワークが貼付されたダイシングテープ上にワークと隣接してドレス部材が貼付され、ダイシングブレードをワークの加工に引き続いて、又はワークの加工に先行してドレス部材に切込ませるので、ダイシングブレードは常時ドレッシングされて、良好な切れ味を維持することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記ドレス部材を前記ワークに近接して貼付し、前記ワークを1ライン加工する毎に前記ドレス部材を加工することを特徴としている。
【0016】
請求項2の発明によれば、ドレス部材がワークに近接して貼付され、ダイシングブレードがワークを1ライン加工する毎にドレス部材に切り込んでドレッシングされるので、常時良好な切れ味を維持することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1の発明において、前記ドレス部材を前記ワークに対して所定の間隔を設けて貼付し、前記ワークを予め設定されたライン数加工する毎に前記ドレス部材を加工することを特徴としている。
【0018】
請求項3の発明によれば、ダイシングブレードがワークを予め設定されたライン数加工する毎にドレス部材に切り込んでドレッシングされるので、余分なドレッシングが抑制され、必要最小限のブレード摩耗で常時良好な切れ味を維持することができ、加工品質の安定化が図られるとともにブレードライフが長い。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2、又は3のうちいずれか1項の発明において、前記ドレス部材は長方形の板状部材であり、該長方形の短辺の寸法を前記ワークの材質又は外形寸法に応じて決定することを特徴としている。
【0020】
請求項4の発明によれば、ワークの材質又は外形寸法に応じてドレス部材の寸法が決定されるので、ダイシングブレードには常に最適なドレッシングが施され、ブレードライフの長寿命化と相まって常時良好な切れ味を維持して加工品質の安定化を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るダイシング方法の好ましい実施の形態について詳説する。尚、各図において同一部材には同一の番号または記号を付している。
【0022】
図1は、本発明に係るダイシング方法に用いられるダイシング装置の外観斜視図である。ダイシング装置10は、加工部20、操作・表示部11、撮像部12、モニターテレビ13、コントローラ15、及び表示タワー14等から構成されている。
【0023】
加工部20は、ワークに溝加工や切断加工を行う部分である。操作・表示部11にはダイシング装置10の各部の操作を行うスイッチや表示手段が設けられている。撮像部12はワークのアライメントや加工状態を評価するために、ワーク表面を撮像する部分で、顕微鏡12A、照明装置、及びCCDカメラ等から成っている。 撮像された画像はモニターテレビ13に映し出される。
【0024】
コントローラ15はダイシング装置10の各動作をコントロールする部分で、マイクロプロセッサ、メモリ、及び入出力回路等で構成され、ダイシング装置10の架台内部に格納されている。 表示タワー14は、ダイシング装置10の稼動中、待機中、及び異常警告等を表示するもので、遠くからでもオペレータに判明するように高い位置に取付けられている。
【0025】
加工部20では図2の斜視図に示すように、ワークの溝加工や切断加工を行うダイシングブレード21が高周波モータ内臓のエアーベアリングスピンドル22に取付けられ、30,000rpm〜60,000rpmの高速で回転されるとともに、不図示の送り機構によって図の矢印X方向と直交するY方向にインデックス送りされる。
【0026】
このダイシングブレード21は薄い円盤状で、ダイヤモンド砥粒やCBN砥粒をニッケルで電着した電着ブレードや、樹脂で結合したレジンブレードが用いられる。 ダイシングブレード21は手前側と下方が開口した不図示のフランジカバーで囲われ、フランジカバーに設けられた図示しない切削ノズルからは切削水が加工ポイントに供給される。
【0027】
ワークを吸着載置するワークテーブル23は、図示しないθテーブルによってθ回転されるとともに、図示しない駆動機構により図の矢印X方向に切削送りされるようになっている。 また、切削水や洗浄水の廃水を受けるオイルパン29がマシンベースに固定されており、オイルパン29とワークテーブル23を囲っているテーブルカバー28との間には蛇腹27、27が設けられ、オイルパン29の中央部の開口部分を覆うようになっている。
【0028】
図2、に示すように、ワークテーブル23の切削ストローク端近傍でワークの加工位置と顕微鏡位置との中間の位置には、ワークWにカーテン状の洗浄水を噴射するウオーターカーテン形成用ノズル24と、カーテン状のエアを噴射してミストを顕微鏡12A側に対して遮蔽するエアーカーテン形成用ノズル25が取付ブロック26、26で保持されて、X−X方向と直交して水平に設けられている。
【0029】
このように加工部20では、切削水や洗浄水が大量に用いられるため水しぶきやミストが発生するが、加工部外に水の飛沫やミストが届かないようにエアーカーテン形成用ノズル25と共にミストカバー40が加工部20を覆うように設けられている。
【0030】
図3は、ダイシングテープに貼付されてフレームにマウントされたワークWに隣接させて、ドレス部材を貼付した状態を表わした平面図である。図3に示すように、剛性のあるリング状のフレームFの裏面には上面に粘着材を有するダイシングテープTが貼られている。粘着材は例えば紫外線硬化型の粘着材が用いられ、紫外線を照射すると粘着力が低下する。また、熱を加えると粘着力が低下する熱硬化型粘着材が用いられることもある。
【0031】
ダイシングテープTの中央には被加工物であるワークWが貼付されている。また、ワークWの直交する2辺に近接してドレス部材であるドレッシングプレートD、Dが貼付されている。
【0032】
ドレッシングプレートDは、長方形の板状に形成されたGC(グリーンカーボランダム)砥石、又はWA(ホワイトアランダム)砥石が用いられている。ドレッシングプレートDの粒度は、ダイシングブレード21が粒度♯2500程度の電鋳ブレードの場合には♯400〜♯800が用いられる。また、軟質材を加工する場合には、ドレス部材としてSiプレートを用いることもある。
【0033】
ドレッシングプレートDの長方形の幅寸法は、ドレッシング性能に直接影響するため、重要であり、加工するワークWの材質や外形寸法に応じて最適な寸法が選択される。なお、ドレッシングプレートDは通常のワークと同様に加工することができるので、大判のプレートから任意の寸法のドレッシングプレートDに容易に切り出すことができる。
【0034】
このようにダイシングテープTを介してフレームFにマウントされたワークWとドレッシングプレートDとは、通常のワークWと同様にフレームFごとハンドリングされる。
【0035】
図4は、ドレッシングプレートD、Dと共にダイシングテープTを介してフレームFにマウントされたワークWを加工する時の正面図である。ワークWとドレッシングプレートD、DとがダイシングテープTを介してワークテーブル23に吸着され、フレームFは加工中のダイシングブレード21と干渉しないように、ワークテーブル23の上面より低い位置で受け台23Aに固定されている。加工する時は、ダイシングブレード21の加工ポイントに研削ノズル31から研削液が供給される。
【0036】
ドレッシングプレートD、Dをこのように配置することにより、ダイシングブレード21はワークWを1ライン加工する毎にそのままドレッシングプレートDに切り込んで、刃先がドレッシングされる。1方向の加工が全て終了するとワークテーブル23が90°回転し、直交する方向の加工を行う。この時もワークWを1ライン加工する毎にドレッシングプレートDも加工し、常に加工とドレッシングとが連続されてダイシングブレード21の目詰まりが解消され、切れ味を維持することができる。
【0037】
図3においては、ドレッシングプレートD、DをワークWに近接させて配置したが、両者の間隔を所定量空けて配置することにより、ダイシングブレード21が毎回ドレッシングプレートDまで切り込むことを避け、予め設定したライン数ワークWを加工する毎に次のラインの加工ストロークを延ばしてドレッシングプレートDに切り込むようにしてもよい。
【0038】
ワークWの材質や寸法によっては各ライン毎全てドレッシングする必要がなく、数ライン毎にドレッシングするだけでダイシングブレード21の切れ味を維持することができる場合がある。このような場合は、余分なドレッシングを避け、ブレードライフを延ばすため、予め設定したライン数ワークWを加工した後にドレッシングを1回行うようにする。
【0039】
なお、前述の実施の形態では、ワークWの加工に引き続いてドレッシングプレートへの切込み加工を行ったが、本発明はこれに限らず、ドレッシングプレートへの切込み加工を先行し、それに引き続いてワークWの加工を行うようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のダイシング方法によれば、ワークが貼付されたダイシングテープ上にワークと隣接してドレス部材が貼付され、ダイシングブレードをワークの加工に引き続いて、又はワークの加工に先行してドレス部材に切込ませるので、ワークが軟質材料であってもダイシングブレードは常時ドレッシングされて良好な切れ味を維持することができ、加工品質の安定化を図ることができる。
【0041】
また、通常のダイシング装置に何の変更も加えずに、ダイシングブレードのドレッシングを簡便な方法で、ワークの取り外しをすることなく、効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るダイシング方法に用いられるダイシング装置の外観図
【図2】ダイシング装置の加工部を表わす斜視図
【図3】本発明に係るダイシング方法の実施の形態を説明する平面図
【図4】本発明に係るダイシング方法の実施の形態を説明する正面図
【符号の説明】
10…ダイシング装置、21…ダイシングブレード(ブレード)、22…エアーベアリングスピンドル、D…ドレッシングプレート(ドレス部材)、F…フレーム、T…ダイシングテープ、W…ワーク
【発明の属する技術分野】
本発明は、ワークの溝加工や切断加工の方法に関するもので、特に半導体装置や電子部品等のウェーハに溝入れ加工をしたり、個々のチップに分割するダイシング方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、表面に半導体装置や電子部品等が形成されたウェーハを個々のチップに分割するには、ダイシングブレードと呼ばれる薄型砥石でウェーハに研削溝を入れてウェーハをカットするダイシング装置が用いられている。ダイシングブレードは、細かなダイヤモンド砥粒をNiで電着したもので、厚さ30μm程度の極薄のものが用いられる。
【0003】
このダイシングブレードを30,000rpm〜60,000rpmで高速回転させてウェーハに切込み、ウェーハを完全切断(フルカット)又は不完全切断(ハーフカット或いはセミフルカット)していた。ハーフカットはウェーハに厚さの半分程度切り込む方法で、セミフルカットは10μm程度の肉厚を残して研削溝を形成する場合のことである。
【0004】
このダイシングブレードでウェーハ等のワークを長時間加工すると、研削屑が砥粒間に堆積して目詰まりが生じたり、砥粒の先端が摩耗したりしてダイシングブレードの切れ味が低下する。
【0005】
このようにダイシングブレードの切れ味が低下した場合は、ドレッシングプレートと称するドレス部材にダイシングブレードで溝を切り込むことによって、目詰まりを解消したり、先端が摩耗した砥粒を脱落させて新たな切刃を創出するドレッシングと言う作業が行われる。
【0006】
ドレッシング作業は、通常はオペレータがワークを載置する吸着テーブルにドレッシングプレートを載置し、このドレッシングプレートをワークと同じように溝加工することによって行われている。このドレッシングプレートの吸着テーブルへの載置を搬送装置で自動搬送するようにしたダイシング装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
この特許文献1で提案された技術では、ワークの代わりにドレッシングプレートをダイシングテープに貼付してフレームにマウントし、ワークを搬送する搬送装置を利用してドレッシングプレートも搬送するようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−204462号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記の特許文献1で提案されている技術では、ワークの代わりにドレッシングプレートをワーク吸着テーブルに載置してドレッシング作業を行うので、ワークの加工途中でドレッシングが必要になった場合はワークの加工を一時中断し、ワークを一旦ワーク吸着テーブルから取り外してドレッシングプレートを載置しなければならなかった。
【0010】
そのため、ドレッシング後にワークを再度ワーク吸着テーブルに載置し直して位置決めをやり直さなければならず、高精度な加工を行う場合にはその位置決めの再現性が問題であった。また、ワークやドレッシングプレートの搬送搬出やワークの位置決めをやり直すための時間が余分に必要になるという問題もあった。
【0011】
特に、ワークにAu、Ag、又はCu等の膜が形成されている場合、又はワークが軟質セラミックス材料等の軟質材料の場合は、ブレードに目詰まりが発生し易くドレッシングを頻繁に行わなければならないため、前記問題は重要な問題であり、改善が求められていた。
【0012】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、回転するブレードでワークに溝入れ加工や切断加工を行うダイシング方法において、加工中のワークをワーク吸着テーブルから取り外すことなく、ダイシングブレードのドレッシング作業を行うことができ、ダイシングブレードの切れ味を常に良好な状態に維持することのできるダイシング方法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ダイシングテープに貼付されてフレームにマウントされたワークに、回転するブレードで溝入れ加工や切断加工を行うダイシング方法において、前記ダイシングテープの前記ワークに隣接した位置に、前記ブレードをドレッシングするドレス部材を貼付し、前記ワークの加工に引き続き、又はワークの加工に先行して前記ドレス部材を加工することを特徴としている。
【0014】
請求項1の発明によれば、ワークが貼付されたダイシングテープ上にワークと隣接してドレス部材が貼付され、ダイシングブレードをワークの加工に引き続いて、又はワークの加工に先行してドレス部材に切込ませるので、ダイシングブレードは常時ドレッシングされて、良好な切れ味を維持することができる。
【0015】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記ドレス部材を前記ワークに近接して貼付し、前記ワークを1ライン加工する毎に前記ドレス部材を加工することを特徴としている。
【0016】
請求項2の発明によれば、ドレス部材がワークに近接して貼付され、ダイシングブレードがワークを1ライン加工する毎にドレス部材に切り込んでドレッシングされるので、常時良好な切れ味を維持することができる。
【0017】
請求項3に記載の発明は、請求項1の発明において、前記ドレス部材を前記ワークに対して所定の間隔を設けて貼付し、前記ワークを予め設定されたライン数加工する毎に前記ドレス部材を加工することを特徴としている。
【0018】
請求項3の発明によれば、ダイシングブレードがワークを予め設定されたライン数加工する毎にドレス部材に切り込んでドレッシングされるので、余分なドレッシングが抑制され、必要最小限のブレード摩耗で常時良好な切れ味を維持することができ、加工品質の安定化が図られるとともにブレードライフが長い。
【0019】
請求項4に記載の発明は、請求項1、2、又は3のうちいずれか1項の発明において、前記ドレス部材は長方形の板状部材であり、該長方形の短辺の寸法を前記ワークの材質又は外形寸法に応じて決定することを特徴としている。
【0020】
請求項4の発明によれば、ワークの材質又は外形寸法に応じてドレス部材の寸法が決定されるので、ダイシングブレードには常に最適なドレッシングが施され、ブレードライフの長寿命化と相まって常時良好な切れ味を維持して加工品質の安定化を図ることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係るダイシング方法の好ましい実施の形態について詳説する。尚、各図において同一部材には同一の番号または記号を付している。
【0022】
図1は、本発明に係るダイシング方法に用いられるダイシング装置の外観斜視図である。ダイシング装置10は、加工部20、操作・表示部11、撮像部12、モニターテレビ13、コントローラ15、及び表示タワー14等から構成されている。
【0023】
加工部20は、ワークに溝加工や切断加工を行う部分である。操作・表示部11にはダイシング装置10の各部の操作を行うスイッチや表示手段が設けられている。撮像部12はワークのアライメントや加工状態を評価するために、ワーク表面を撮像する部分で、顕微鏡12A、照明装置、及びCCDカメラ等から成っている。 撮像された画像はモニターテレビ13に映し出される。
【0024】
コントローラ15はダイシング装置10の各動作をコントロールする部分で、マイクロプロセッサ、メモリ、及び入出力回路等で構成され、ダイシング装置10の架台内部に格納されている。 表示タワー14は、ダイシング装置10の稼動中、待機中、及び異常警告等を表示するもので、遠くからでもオペレータに判明するように高い位置に取付けられている。
【0025】
加工部20では図2の斜視図に示すように、ワークの溝加工や切断加工を行うダイシングブレード21が高周波モータ内臓のエアーベアリングスピンドル22に取付けられ、30,000rpm〜60,000rpmの高速で回転されるとともに、不図示の送り機構によって図の矢印X方向と直交するY方向にインデックス送りされる。
【0026】
このダイシングブレード21は薄い円盤状で、ダイヤモンド砥粒やCBN砥粒をニッケルで電着した電着ブレードや、樹脂で結合したレジンブレードが用いられる。 ダイシングブレード21は手前側と下方が開口した不図示のフランジカバーで囲われ、フランジカバーに設けられた図示しない切削ノズルからは切削水が加工ポイントに供給される。
【0027】
ワークを吸着載置するワークテーブル23は、図示しないθテーブルによってθ回転されるとともに、図示しない駆動機構により図の矢印X方向に切削送りされるようになっている。 また、切削水や洗浄水の廃水を受けるオイルパン29がマシンベースに固定されており、オイルパン29とワークテーブル23を囲っているテーブルカバー28との間には蛇腹27、27が設けられ、オイルパン29の中央部の開口部分を覆うようになっている。
【0028】
図2、に示すように、ワークテーブル23の切削ストローク端近傍でワークの加工位置と顕微鏡位置との中間の位置には、ワークWにカーテン状の洗浄水を噴射するウオーターカーテン形成用ノズル24と、カーテン状のエアを噴射してミストを顕微鏡12A側に対して遮蔽するエアーカーテン形成用ノズル25が取付ブロック26、26で保持されて、X−X方向と直交して水平に設けられている。
【0029】
このように加工部20では、切削水や洗浄水が大量に用いられるため水しぶきやミストが発生するが、加工部外に水の飛沫やミストが届かないようにエアーカーテン形成用ノズル25と共にミストカバー40が加工部20を覆うように設けられている。
【0030】
図3は、ダイシングテープに貼付されてフレームにマウントされたワークWに隣接させて、ドレス部材を貼付した状態を表わした平面図である。図3に示すように、剛性のあるリング状のフレームFの裏面には上面に粘着材を有するダイシングテープTが貼られている。粘着材は例えば紫外線硬化型の粘着材が用いられ、紫外線を照射すると粘着力が低下する。また、熱を加えると粘着力が低下する熱硬化型粘着材が用いられることもある。
【0031】
ダイシングテープTの中央には被加工物であるワークWが貼付されている。また、ワークWの直交する2辺に近接してドレス部材であるドレッシングプレートD、Dが貼付されている。
【0032】
ドレッシングプレートDは、長方形の板状に形成されたGC(グリーンカーボランダム)砥石、又はWA(ホワイトアランダム)砥石が用いられている。ドレッシングプレートDの粒度は、ダイシングブレード21が粒度♯2500程度の電鋳ブレードの場合には♯400〜♯800が用いられる。また、軟質材を加工する場合には、ドレス部材としてSiプレートを用いることもある。
【0033】
ドレッシングプレートDの長方形の幅寸法は、ドレッシング性能に直接影響するため、重要であり、加工するワークWの材質や外形寸法に応じて最適な寸法が選択される。なお、ドレッシングプレートDは通常のワークと同様に加工することができるので、大判のプレートから任意の寸法のドレッシングプレートDに容易に切り出すことができる。
【0034】
このようにダイシングテープTを介してフレームFにマウントされたワークWとドレッシングプレートDとは、通常のワークWと同様にフレームFごとハンドリングされる。
【0035】
図4は、ドレッシングプレートD、Dと共にダイシングテープTを介してフレームFにマウントされたワークWを加工する時の正面図である。ワークWとドレッシングプレートD、DとがダイシングテープTを介してワークテーブル23に吸着され、フレームFは加工中のダイシングブレード21と干渉しないように、ワークテーブル23の上面より低い位置で受け台23Aに固定されている。加工する時は、ダイシングブレード21の加工ポイントに研削ノズル31から研削液が供給される。
【0036】
ドレッシングプレートD、Dをこのように配置することにより、ダイシングブレード21はワークWを1ライン加工する毎にそのままドレッシングプレートDに切り込んで、刃先がドレッシングされる。1方向の加工が全て終了するとワークテーブル23が90°回転し、直交する方向の加工を行う。この時もワークWを1ライン加工する毎にドレッシングプレートDも加工し、常に加工とドレッシングとが連続されてダイシングブレード21の目詰まりが解消され、切れ味を維持することができる。
【0037】
図3においては、ドレッシングプレートD、DをワークWに近接させて配置したが、両者の間隔を所定量空けて配置することにより、ダイシングブレード21が毎回ドレッシングプレートDまで切り込むことを避け、予め設定したライン数ワークWを加工する毎に次のラインの加工ストロークを延ばしてドレッシングプレートDに切り込むようにしてもよい。
【0038】
ワークWの材質や寸法によっては各ライン毎全てドレッシングする必要がなく、数ライン毎にドレッシングするだけでダイシングブレード21の切れ味を維持することができる場合がある。このような場合は、余分なドレッシングを避け、ブレードライフを延ばすため、予め設定したライン数ワークWを加工した後にドレッシングを1回行うようにする。
【0039】
なお、前述の実施の形態では、ワークWの加工に引き続いてドレッシングプレートへの切込み加工を行ったが、本発明はこれに限らず、ドレッシングプレートへの切込み加工を先行し、それに引き続いてワークWの加工を行うようにしてもよい。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のダイシング方法によれば、ワークが貼付されたダイシングテープ上にワークと隣接してドレス部材が貼付され、ダイシングブレードをワークの加工に引き続いて、又はワークの加工に先行してドレス部材に切込ませるので、ワークが軟質材料であってもダイシングブレードは常時ドレッシングされて良好な切れ味を維持することができ、加工品質の安定化を図ることができる。
【0041】
また、通常のダイシング装置に何の変更も加えずに、ダイシングブレードのドレッシングを簡便な方法で、ワークの取り外しをすることなく、効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るダイシング方法に用いられるダイシング装置の外観図
【図2】ダイシング装置の加工部を表わす斜視図
【図3】本発明に係るダイシング方法の実施の形態を説明する平面図
【図4】本発明に係るダイシング方法の実施の形態を説明する正面図
【符号の説明】
10…ダイシング装置、21…ダイシングブレード(ブレード)、22…エアーベアリングスピンドル、D…ドレッシングプレート(ドレス部材)、F…フレーム、T…ダイシングテープ、W…ワーク
Claims (4)
- ダイシングテープに貼付されてフレームにマウントされたワークに、回転するブレードで溝入れ加工や切断加工を行うダイシング方法において、
前記ダイシングテープの前記ワークに隣接した位置に、前記ブレードをドレッシングするドレス部材を貼付し、
前記ワークの加工に引き続き、又はワークの加工に先行して前記ドレス部材を加工することを特徴とするダイシング方法。 - 前記ドレス部材を前記ワークに近接して貼付し、
前記ワークを1ライン加工する毎に前記ドレス部材を加工することを特徴とする、請求項1に記載のダイシング方法。 - 前記ドレス部材を前記ワークに対して所定の間隔を設けて貼付し、
前記ワークを予め設定されたライン数加工する毎に前記ドレス部材を加工することを特徴とする、請求項1に記載のダイシング方法。 - 前記ドレス部材は長方形の板状部材であり、
該長方形の短辺の寸法を前記ワークの材質又は外形寸法に応じて決定することを特徴とする、請求項1、2、又は3のうちいずれか1項に記載のダイシング方法。
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