JP2002319553A - ダイシング装置 - Google Patents
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Abstract
に,側面ノズルのスリットが効率的に設置されたダイシ
ング装置を提供すること。 【解決手段】 高速回転して被加工物を切削するブレー
ドと,ブレードの少なくとも一側面に切削水を供給する
側面ノズルとを備えたダイシング装置において,側面ノ
ズルはブレードの側面に切削水を供給する複数のスリッ
トが形成されており,これらスリットは,切削方向前方
側に多く形成されて加工点に対して非対称な配置であ
り,スリットの開口角度が略73〜97度であり,その
開口の中心方向が水平より下向き略15〜25度の範囲
であることを特徴とするダイシング装置を提供する。か
かる構成により,切削水を有効利用してブレード及び加
工点を効率的に冷却することが可能である。従って,加
工面のチッピングやブレード磨耗を抑制し,加工品質が
向上する。
Description
かり,特に,ブレード及び加工点を効率的に冷却するた
めに側面ノズルのスリットが効果的に設置されたダイシ
ング装置に関する。
して半導体ウェハなどの被加工物を複数片に分割するダ
イシング工程においては,フランジにより固定されたリ
ング状ブレードを備えたダイシング装置が用いられてい
る。
回転させて,被加工物を切削加工する。その際に,ブレ
ードと被加工物との間に生じる摩擦熱が,ブレードの磨
耗や破損を早めたり,また被加工物の加工面上のチッピ
ングや異常切削の原因となる。そこで,ブレードや加工
点に切削水を供給し,冷却する方法が採用されている。
ルを用いて切削方向前方からブレード外周面に切削水を
供給する方法,側面ノズルを用いてブレードの側方より
切削水を供給する方法,さらにブレード外周面全体に切
削水を供給する方法などが一般的である。
方法においては,側面ノズルがブレード下部の側方に加
工面と略平行に設置され,側面ノズルの側面に形成され
たスリットからブレード外周側面及び加工点に対し切削
水が供給される。かかるスリットは,切削水がブレード
に対して加工点の前後で均等に供給されるように,加工
点に対して対称に配置される構造が一般的である。
に堆積した切削屑を除去するために,スリットを加工点
に対して非対称に配置する構造も知られている。かかる
例としては,特許公開平5−243374号公報に記載
されているように,加工点より切削方向後方側により多
くのスリットが配置される構造を有する。このような構
造により,切削方向後方側で多量の切削水を供給して切
溝内の切削屑を除去することができる。
来のダイシング装置では,摩擦熱が多量に発生する加工
点の切削方向前方側では切削水が不足し,ブレード及び
加工点の冷却が不十分であるという問題がある。さら
に,加工点の切削方向後方側では,切削水が過剰に供給
されるという問題がある。
スリットの好適な開口角度や,開口方向も確立されてい
ない。なお,開口角度とは,スリットから放出される切
削水の上部ラインと下部ラインとの間の角度である。
ットの配置や形状が好適ではないので,多量の切削水が
無駄に消費され,ブレード及び加工点が効率的に冷却さ
れないという問題がある。ブレード冷却効果が低いと,
ブレードの早期磨耗やチッピング増大等による加工品質
低下の原因となる。
上記問題点に鑑みてなされたものであり,本発明の目的
は,効果的に形成,配置された側面ノズルのスリットに
より,切削水がブレードを効率的に冷却することが可能
な,新規かつ改良されたダイシング装置を提供すること
である。
め,本発明によれば,高速回転して被加工物を切削する
ブレードと,ブレードの少なくとも一側面に切削水を供
給する側面ノズルとを備え,前記ブレードの刃先が前記
被加工物の上面から内部に食い込むような切削を行うダ
イシング装置において,側面ノズルはブレードの側面に
切削水を供給する複数のスリットが形成されており,ス
リットはブレードの切削方向前方側に多く形成され,加
工点に対して非対称に配置されることを特徴とするダイ
シング装置を提供する。
方側でブレード及び加工点に多量のの切削水を供給する
ので,摩擦熱が多量に発生する加工前半部を効果的に冷
却できる。さらに,ブレードの回転力により切削水は切
削方向後方に移動するので,加工後半部にも十分な切削
水が供給される。
及び加工点の冷却効率が上昇し,加工面のチッピングや
ブレード磨耗を抑制し,加工品質が向上する。
ら加工面に下した垂線より切削方向前方側の加工点の領
域であり,一方,加工後半部とは,上記の垂線より切削
方向後方側の加工点の領域である。
ットの本数は3,4または5であること如く構成すれ
ば,切削水の効果的な水圧及び供給範囲の両方を確保す
るので,効率的にブレード及び加工点を冷却できる。
ルの断面において,73〜97度の角度範囲であること
が好ましい。
角度を有するので,スリットから放出された切削水は,
ブレード及び加工点に対し好適な供給範囲及び水圧で供
給される。従って,切削水はブレード及び加工点を効率
的に冷却することができる。
平より下向き15〜25度の範囲であることが好まし
い。
スリットから主に好適な角度下方に向けて放出されるの
で,加工点及び加工点付近のブレード外周側面に多く当
たり,ブレード及び加工点を効率的に冷却することがで
きる。
本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。な
お,本明細書及び図面において,実質的に略同一の機能
構成を有する構成要素については,同一の符号を付する
ことにより重複説明を省略する。
態におけるダイシング装置の概略について説明する。図
1は,本実施形態にかかるダイシング装置の全体斜視図
である。
うに,半導体ウェハ12を切削または切断する切削ユニ
ット20と,半導体ウェハ12を載置するチャックテー
ブル15とを有する。半導体ウェハ12は,ウェハテー
プ13によりフレーム14に支持された状態で,チャッ
クテーブル15上に供給される。チャックテーブル15
は切削ユニット20に対し相対的に移動可能であり,切
削ユニット20の端部に設置された高速回転するブレー
ドに半導体ウェハ12を所定量切り込ませながら,チャ
ックテーブル15が移動することにより切削が進行す
る。逆に,チャックテーブル15が固定され,切削ユニ
ット20が相対的に移動して切削する場合もある。
や集積回路が大量に作り込まれた半導体ウェハ12をダ
イシングする場合,半導体チップの間のストリートに沿
った精密な加工が要求される。そこで,ダイヤモンド等
の砥粒をニッケル等のボンド材で電着したリング状ブレ
ードが用いられる。ブレードの厚さは極薄であり,例え
ば20〜30μmである。このようなブレードが切削ユ
ニット20に設置され,高速回転しながら半導体ウェハ
12のストリートに沿って切削し,極薄のカーフを形成
する。
あるチッピングや半導体ウェハ12の異常切削が生じる
ことがある。このチッピングの原因としては,摩擦熱に
より高温化したブレードが切削水により十分に冷却され
ず,目詰まり,磨耗,湾曲,破断することなどが挙げら
れる。半導体ウェハ12のストリート外に達する程大き
いチッピングが生じた場合には,半導体素子が破壊され
て,歩留まりが低下してしまう。従って,ブレード及び
加工点を十分に冷却するとともに,切削ユニット20を
精密に制御することが求められる。
る切削ユニットの全体構成を説明する。なお,図2は,
本実施形態にかかる切削ユニット20の斜視図である。
リング状のブレード22と,ブレード22を両側より挟
持するフランジ30と,切削方向前方から切削水を供給
するシャワーノズル24と,ブレード22両側から切削
水を供給する側面ノズル26と,ホイルカバー28とを
有する。
ジ30に挟持された状態でスピンドル回転軸に軸着さ
れ,例えば30krpmで高速回転可能である。高速回
転するブレード22が,その外周を半導体ウェハ12の
加工面に所定量切り込ませながら,加工面に対し相対移
動することで,ストリートに沿った精密な切削が進行す
る。切削中には切削水が供給され,ブレード22及び加
工点が冷却される。
ス等の比較的硬質な金属などで形成されており,ブレー
ド22を両側より挟持して固定する。この際,フランジ
30はブレード22の両側から略同一の領域を均等な圧
力で挟持するので,ブレード22が偏圧により湾曲,変
形することなく,加工面を略直線的に切削することがで
きる。
22の外周面と対向して切削方向前方に設置される。シ
ャワーノズル24はブレード外周面と対向する側に孔ま
たはスリットを有し,この孔またはスリットからブレー
ド22先端に向けて切削水を放出して,ブレード22及
び加工点を冷却する。
の両側にブレード22及び加工面と略平行に設置され,
ブレード22と対向する側に設けられた複数個のスリッ
トからブレード22両側面に向けて切削水を放出する。
本実施形態ではブレード22両側に側面ノズル26を設
置したが,片側のみに設置しても構わない。また,スリ
ットの設置本数は3,4または5であることが好まし
く,本実施形態では,スリット設置本数は5である。
浄水が周辺に飛散するのを防止するだけでなく,ブレー
ド22を保護し,危険防止のためブレード22が露出し
ないようにする機能を有する。
る側面ノズルの形状及び配置について詳細に説明する。
なお,図3は本実施形態にかかる側面ノズル26の形状
及び配置を示す図である。また,図3においては,側面
ノズル26の形状とブレード22との位置関係を表す正
面図(a),立面図(b),側面図(c)をそれぞれ示
す。
イルカバー28に連結される連結部26bと,連結部2
6bと連結形成され加工面及びブレード22と略平行な
略中空円筒状の直線部26aとを有する。
ー28と連結可能であり,内部形成された円筒空洞を通
じて,給水ホースなどにより供給された高圧の切削水
を,直線部26aに誘導する機能を有する。また,本実
施形態にかかる側面ノズル26の連結部26bは従来の
側面ノズルのものと略同一であるので,本実施形態の側
面ノズル26を従来の側面ノズルと交換するだけでホイ
ルカバー28に設置可能である。
略中空円筒状であり,その外径は例えば4mmで,内径
は例えば3mmである。直線部26aのブレード22と
対向する側には,スリット32が等間隔で5つ形成され
ている。本実施形態の特徴であるスリット32の形状及
び配置に関しては,後で詳しく説明する。
3に示すように,ブレード22外周側面下部の両側に,
直線部26aがブレード22及び加工面と略平行になる
ように設置され,スリット32からブレード22両側面
に向けて切削水を放出する。なお,ブレード22の他側
に設置される側面ノズル26は,一側に設置される側面
ノズル26と,ブレード22を中心にした対称な構造で
ある。
た切削水が効果的に作用するように,3つの観点によ
り,スリット32の形状及び配置を規定する。
する加工前半部を効果的に冷却するために,スリット3
2は加工点より切削方向前方側に多く形成され,加工点
に対し非対称に配置される。
に対し好適な供給範囲,水圧で切削水を供給して冷却効
果を向上させるために,スリット32の開口角度は,側
面ノズルの断面において略73〜97度となるように形
成される。特に,開口角度が約84.5度であることが
好ましい。
に対し好適な方向から好適な領域に切削水を供給して冷
却効果を向上させるために,スリット32は,開口の中
心方向が水平から下向き略15〜25度となるように形
成される。特に,開口の中心方向が水平から下向き約2
0度であることが好ましい。
各々詳細に説明する。
称な配置に関して,図4及び図5に基づいて,詳細に説
明する。なお,図4は被加工物を切削するブレードを示
す概念図である。また,図5(a)は本実施形態にかか
る側面ノズル26のスリット配置を示す模式図,図5
(b)は従来の側面ノズル26’のスリット配置を示す
模式図である。なお,両図中のX方向は切削方向を表
す。
22により半導体ウェハ12を切削する場合,加工前半
部40においては,ブレード22が半導体ウェハ12を
外周側面及び外周面の両方で切削しカーフを形成する。
これに対し,加工後半部42においては,ブレード22
のぶれなどによりブレード22外周側面がカーフ内側面
と接触する程度である。
工前半部40で行われており,加工前半部40では加工
後半部42より多量の摩擦熱が発生する。従って,切削
水によりブレード22及び加工点を冷却する場合は,加
工前半部40に対してより多量の切削水を供給する必要
がある。
放出された切削水は,高速回転するブレード22,フラ
ンジ30及びそれに伴う空気層の流動により,切削方向
後方にシフトさせられる。従って,切削水はスリットか
ら放出された位置より切削方向後方にシフトした位置で
ブレード22及び加工点に対し作用することになる。
ズル26’のスリットを加工点に対して対称に配置(従
来のスリット配置)すると,上記理由により,スリット
から放出された切削水は,全体的に切削方向後方にシフ
トしてしまう。従って,切削水は加工前半部40より加
工後半部42に多く作用することになるので,冷却効果
を十分果たせず切削水も無駄になり非効率的である。
形態にかかる側面ノズル26のスリット32は,加工点
に対して非対称に配置され,かつ切削向前方に多く形成
される。このように本実施形態においては,側面ノズル
26は加工点から切削方向前方側で比較的多量の切削水
を供給するので,切削水はブレード及び加工点に対し効
果的に作用する。
ット32のうち連結部26bに2番目に近い(図5
(a)で左から2番目の)スリット32が,ブレードの
中心から加工面に下した垂線の位置に配置されている。
これにより,加工点より切削方向後方側に1つのスリッ
ト32が配置されているのに対し,加工点付近に1つ,
加工点より切削方向前方側に3つのスリット32が配置
されている。
方側でブレードに比較的多くの切削水を供給できるの
で,摩擦熱が多量に発生する加工前半部40を十分効果
的に冷却できる。さらに,切削水は上記高速回転するブ
レード22などにより切削方向後方にシフトするので,
加工後半部42にも十分な量が供給される。従って,切
削水は効率的にブレード及び加工点に供給されて有効利
用されているといえる。
上とすると,供給される切削水圧が低下してしまう。一
方,スリット32の本数が,例えば2以下とすると,切
削水の供給範囲が狭くなってしまう。従って,側面ノズ
ル26の側面に設置するスリット32の本数は3,4ま
たは5であることが好ましい。
に,スリット設置本数を5とする。かかる構成により,
切削水は効果的な水圧及び好適な供給範囲の双方を維持
するので,効率的にブレード及び加工点を冷却できる。
角度に関して,図6に基づいて,詳細に説明する。な
お,図6は本実施形態にかかる側面ノズル26のスリッ
ト32位置での断面図である。
ット32は,略円筒形状の側面ノズル26側面に対し
て,垂直方向から所定の切り込み深さPの切り込みを入
れることにより形成される。このスリット32は,その
開口幅に比して開口長が大きい形状となる。
さにより,スリット開口角度θが決定される。なお,開
口角度θとは,図6に示すように,スリットから切削水
が放出される場合の,鉛直方向における切削水の上部ラ
インと下部ラインとの間の角度である。
水圧で切削水が供給される。しかし,開口角度θが例え
ば約97度より広角度の場合,切削水の供給範囲が広く
なり過ぎるので切削水が無駄に消費されるばかりでな
く,必要な切削水圧が得られないため冷却効果が低下し
てしまう。
水圧で切削水が供給される。しかし,開口角度θが例え
ば約73度未満の場合,切削水の供給範囲が狭くなり過
ぎるので切削水が欠乏する領域が生じるばかりでなく,
切削水圧が過度に高圧となるのでブレードの振動等を引
き起こし加工精度に支障をきたしてしまう。
口角度θを略73〜97度と規定した。開口角度θが7
3度となるスリットを形成するためには,例えば,略断
面の外径r2が4mmで内径r1が3mmである側面ノ
ズル26に対し,切り込み深さPを約0.8mmで切り
込めばよい。また,開口角度θが73度となるスリット
を形成するためには,例えば上記側面ノズル26に対し
切り込み深さPを約1.0mmで切り込めばよい。
効果的な高水圧の双方を維持するために,開口角度θ
は,約84.5度が特に好ましい。この開口角度θは,
例えば,略断面の外径r2が4mmで内径r1が3mm
である側面ノズル26に対し,切り込み深さPを0.8
9mmで切り込みを入れることで形成される。
口の中心方向に関して,図6に基づいて,詳細に説明す
る。
面ノズル26のスリット32は,方向角度αが略15〜
25度となるよう形成される。なお,方向角度αとは,
開口の中心方向と水平方向との間の角度であり,水平よ
り下向きを正とする。
である側面ノズル32が,加工面から例えば略1〜3m
m上方に離れ,ブレード22外周側面から略4〜6mm
側方に離れた位置に設置されている場合,方向角度αは
例えば約20度であることがさらに好ましい。
方向が水平より下向きで,さらに加工点近傍に向かう方
向であれば,スリット32から放出された切削水は,加
工点及び加工点付近のブレード22外周側面を中心に供
給される。従って,切削水は,ブレード22及び加工点
の好適な領域に好適な方向から供給されることになり,
ブレード22及び加工点を効果的に冷却することができ
る。
観点について各々説明した。これら3つの観点に基づい
た形状及び配置を兼ね備えたスリット32が設置された
側面ノズル26は,切削水を有効利用でき,ブレード2
2及び加工点の冷却効率が高い。従って,加工面でのチ
ッピングや異常切削が減少するので加工品質が向上し,
ブレードの破損や磨耗も防止できる。また,切削水の供
給量を節減できるので低コスト化が図れる。
実施例にかかる側面ノズル26を用いて各種切削試験を
行った結果について説明する。
いて,本発明の第1の実施例にかかるスリットが非対称
に配置された側面ノズルを用いてブレード磨耗試験,及
び加工点に到達する切削水量の測定試験を行った結果に
ついて,図7及び図8を用いて説明する。なお,図7及
び図8は,第1の実施例にかかるスリット32が非対称
に配置された側面ノズル26を用いたブレード磨耗試験
結果及び加工点に到達する切削水量の測定試験結果をそ
れぞれ示す棒グラフである。
ル及びシャワーノズルを併用して切削水を供給し切削し
た場合と,本実施例にかかる側面ノズル26及びシャワ
ーノズル24を併用して切削水を供給し切削した場合を
分けて示す。
は,3つのスリット32が加工点に対し非対称に配置さ
れており,最も切削方向後方にあるスリット32が加工
点付近にあり他の2つのスリット32は加工点より切削
方向前方に配置されている。一方,従来の側面ノズルで
は3つのスリット32が加工点に対し対称に配置されて
いる。いずれの場合も開口角度θは約141.1度,方
向角度αは約0度である。
る数値は切削時に供給される切削水量を表し,例えば
0.5+0.5は,側面ノズル流量及びシャワーノズル
流量が,それぞれ0.5L/minであることを表す。
上記以外の試験条件は,本実施例の場合と従来の場合で
全て略同一である。
合に比して,本実施例にかかる側面ノズル26の場合
は,全体的にブレード磨耗量は低減している。特に,側
面ノズルとシャワーノズルの切削水供給量が各々1.2
L/min時の切削試験において,本実施例にかかる側
面ノズル26を用いた場合のブレード磨耗量は約15.
0μmであり,従来の側面ノズルを用いた場合のブレー
ド磨耗量の約21.5μmと比較して,約70%にまで
抑制されている。
いて,従来の側面ノズルの場合と本実施例にかかる側面
ノズル26の場合におけるブレード磨耗量の差は顕著で
あり,本実施例にかかる側面ノズル26は,ブレード磨
耗を抑制する機能が格段に向上しているといえる。
の場合に比して,本実施例にかかる側面ノズル26の場
合は,全体的に加工点に到達する切削水量が多くなって
いる。特に,側面ノズルとシャワーノズルの切削水供給
量が各々1.2L/min時の切削試験において,本実
施例にかかる側面ノズル26を用いた場合の加工点に到
達する切削水量は約390mL/minであり,従来の
側面ノズルを用いた場合の加工点に到達する切削水量の
約220mL/minと比較して,約177%にまで増
加している。
の測定試験結果において,本実施例にかかる側面ノズル
26の場合は,従来の側面ノズルの場合に比べ加工点に
到達する切削水量が極めて増加しており,加工点に切削
水が効率的に供給されているといえる。
点に基づいて側面ノズルのスリットを加工点に対し非対
称に配置することにより,切削水を有効利用でき,ブレ
ード及び加工点を効率的に冷却しているといえる。
づいて,第2の実施例にかかる好適な開口角度のスリッ
トを有する側面ノズルを用いてチッピング試験を行った
結果について,図9を用いて説明する。なお,図9は,
第2の実施例にかかる好適な開口角度θのスリット32
を有する側面ノズル26を用いたチッピング試験結果を
示す棒グラフである。
従来の約141.1度とする場合(従来の場合)と,第
2の観点に基づいて本実施例にかかるスリット32の開
口角度θを84.5度とする場合(本実施例の場合)に
おける表面チッピング及び裏面チッピングをそれぞれ示
す。なお,いずれの場合も,第1の観点に基づいて5つ
のスリット32が加工点に対し非対称に配置されてお
り,3つのスリット32が加工点より切削方向前方に形
成されている。また,スリット32の方向角度αは約0
度とする。
ャワーノズルを併用して切削水を供給し,供給する切削
水の流量は略同一である。なお,表面チッピングとは半
導体ウェハの加工面上に発生するチッピングであり,逆
に裏面チッピングとは半導体ウェハの加工面と反対側の
裏面上に発生するチッピングである。
本実施例の場合においては表面及び裏面チッピングの大
きさはいずれも小さくなっている。特に,裏面チッピン
グに関しては,本実施例の場合には約102μmであ
り,従来の場合の約122μmと比較して,約84%と
低下している。
て,従来の場合と比して,本実施例の場合には,表面及
び裏面ともにチッピングは大幅に減少している。従っ
て,本実施例にかかる側面ノズル26は,チッピングの
発生を抑制する機能が向上しているといえる。
件で加工点に到達する切削水量の測定試験を行った。加
工点に到達する切削水量の測定試験結果としては,本実
施例にかかる側面ノズル26を用いた場合の加工点に到
達する切削水量は約205mL/minであり,従来の
側面ノズルを用いた場合の加工点に到達する切削水量の
約180mL/minと比較して,約114%にまで増
加していた。
点に基づいて側面ノズルのスリットの開口角度θを例え
ば約84.5度にすることにより,切削水を有効利用で
き,加工品質を向上できることがわかる。さらに,供給
した切削水量はいずれの場合も同量であり,上記の開口
角度θのスリット32を有する側面ノズル26が供給す
る切削水は冷却効果が高いことが実証された。
づいて,第3の実施例にかかるスリットの開口の中心方
向が水平より下向きである側面ノズル26を用いてチッ
ピング試験を行った結果について,図10を用いて説明
する。なお,図10は,第3の実施例にかかるスリット
32の開口の中心方向が水平より下向きである側面ノズ
ル26を用いたチッピング試験結果を示す棒グラフであ
る。
を約0度,約20度及び約30度とした場合における表
面チッピング及び裏面チッピングをそれぞれ示す。な
お,いずれの場合も,第1の観点に基づいて,5つのス
リット32が加工点に対し非対称に配置されており,3
つのスリット32が加工点より切削方向前方に形成され
ている。また,第2の観点に基づいて,スリット32の
開口角度θは約84.5度である。また,いずれの場合
も,側面ノズル26及びシャワーノズルを併用して切削
水を供給し,供給する切削水の流量は略同一である。
リット32の方向角度αが約20度である場合が,表面
及び裏面チッピングともに最も小さくなっている。例え
ば,本実施例にかかる方向角度αが約20度である場合
の表面チッピングは約77μmであり,方向角度αが約
0度である場合の表面チッピングの約88μmと比較し
て,約87%にまで抑えられている。
ト32の方向角度αが約20度である側面ノズル26を
用いた場合は,他の場合と比して,チッピングが顕著に
小さく,チッピングを抑制する機能が優れているといえ
る。
のスリットを水平より下向きに開口させ,特に,方向角
度αを例えば約20度とすることは,切削水の有効利用
と加工品質の向上に結びつく。
適な実施形態及び実施例について説明したが,本発明は
かかる例に限定されない。当業者であれば,特許請求の
範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変
更例または修正例に想到し得ることは明らかであり,そ
れらについても当然に本発明の技術的範囲に属するもの
と了解される。
は,VTRやFDD等の磁気ヘッド,セラミック,水
晶,ガラス,小型電子部品,リチウムナイオベイトに代
表される圧電結晶材料やフェライトといった脆性材料等
にも適用できる。
2の両側に側面ノズル26を設置したが,本発明はかか
る例に限定されない。即ち,本実施形態にかかる側面ノ
ズル26をブレード22の少なくとも一側に設置し,例
えば,他側には側面ノズル26を設置しなくてもよい。
また,他側には他の形状の側面ノズルを設置するなどの
場合も,当然に本発明の技術的範囲に含まれる。
は,側面ノズル26の側面に等間隔に配置したが,かか
る例に限定されない。スリット32は等間隔に配置され
なくてもよく,例えば,側面ノズルの加工点付近または
切削方向前方側に集中させて配置してもよい。
6aは加工面及びブレード22の両方に対して略平行で
なくてもよく,例えばブレード22と非平行であっても
よい。
断面形状は略円であったが,ブレード22外周側面に切
削水を供給できる断面形状であれば,例えば略楕円,略
方形などであってもよい。
ともブレードの外周側面に切削水を供給する本実施形態
にかかる側面ノズル26を具備すればよく,それ以外の
シャワーノズルやブレード外周面全体への供給手段等の
各種切削水供給手段は必ずしも具備する必要はない。換
言すると,本実施形態にかかる側面ノズル26と各種の
切削水供給手段を組み合わせた応用例は,本発明の技術
的範囲に含まれる。
リング状であるが,本発明はかかる例に限定されず,例
えばハブ(Hub)と切刃部を一体形成したハブブレー
ドなどであってもよい。
イシング装置では,スリットの非対称配置により,加工
点より切削方向前方側でブレード及び加工点に比較的多
くの切削水を供給できるので,摩擦熱が多量に発生する
加工前半部を十分効果的に冷却できる。さらに,高速回
転するブレードなどにより切削水は切削方向後方にシフ
トするので,加工後半部にも十分な量が供給される。
から放出され,ブレード及び加工点に対し好適な供給範
囲に効果的な高水圧で供給されるので,効率的にブレー
ド及び加工点を冷却することができる。
度を中心にブレード及び加工点に向け放出され,加工点
及び加工点付近のブレードに比較的多く当たり,ブレー
ド及び加工点を効率的に冷却することができる。
用してブレード及び加工点を効率的に冷却するようにス
リットの好適な形状及び配置を規定してある。従って,
加工面のチッピングや異常切削を低減し,ブレードの破
損や磨耗を抑制する。よって,加工品質が向上するので
歩留まりが向上するとともに,切削水を有効利用して供
給量を節減できるので低コスト化が図れる。
図。
を示す図。
図。
での断面図。
された側面ノズルを用いたブレード磨耗試験結果を示す
棒グラフ。
された側面ノズルを用いた加工点に到達する切削水量の
測定試験結果を示す棒グラフ。
トを有する側面ノズルを用いたチッピング試験結果を示
す棒グラフ。
方向が水平より下向きである側面ノズルを用いたチッピ
ング試験結果を示す棒グラフ。
Claims (3)
- 【請求項1】 高速回転して被加工物を切削するブレー
ドと,前記ブレードの少なくとも一側面に切削水を供給
する側面ノズルとを備え,前記ブレードの刃先が前記被
加工物の上面から内部に食い込むような切削を行うダイ
シング装置において,前記側面ノズルは,前記ブレード
の側面に切削水を供給する複数のスリットが形成されて
おり,前記スリットは,前記ブレードの切削方向前方側
に多く形成され,加工点に対して非対称に配置されるこ
とを特徴とする,ダイシング装置。 - 【請求項2】 前記スリットの開口角度は,前記側面ノ
ズルの断面において,73〜97度の角度範囲であるこ
とを特徴とする,請求項1に記載のダイシング装置。 - 【請求項3】 前記スリットは,開口の中心方向が水平
より下向き15〜25度の範囲であることを特徴とす
る,請求項1または2のいずれかに記載のダイシング装
置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001121537A JP2002319553A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | ダイシング装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2001121537A JP2002319553A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | ダイシング装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002319553A true JP2002319553A (ja) | 2002-10-31 |
Family
ID=18971389
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001121537A Pending JP2002319553A (ja) | 2001-04-19 | 2001-04-19 | ダイシング装置 |
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Country | Link |
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- 2001-04-19 JP JP2001121537A patent/JP2002319553A/ja active Pending
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