JP2002052326A - 水素分離膜の製造方法 - Google Patents

水素分離膜の製造方法

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JP2002052326A
JP2002052326A JP2000242266A JP2000242266A JP2002052326A JP 2002052326 A JP2002052326 A JP 2002052326A JP 2000242266 A JP2000242266 A JP 2000242266A JP 2000242266 A JP2000242266 A JP 2000242266A JP 2002052326 A JP2002052326 A JP 2002052326A
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hydrogen separation
porous substrate
pores
separation membrane
film
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JP2000242266A
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Hiromichi Sato
博道 佐藤
Satoru Iguchi
哲 井口
Satoshi Aoyama
智 青山
Toshihide Nakada
俊秀 中田
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Toyota Motor Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ピンホールを生じることなく薄膜化が可能な
水素分離膜の製造方法を提供する。 【解決手段】 多孔質基材の表層に水素分離金属の被膜
を形成して水素分離膜を製造する。この際、多孔質基材
の細孔中をパラフィンなどの充填材で充填した後、成膜
を行う。充填材は、成膜後に加熱除去する。こうするこ
とにより、多孔質基材の細孔中に水素分離金属が陥没、
浸入することを抑制でき、ピンホールの発生を抑制しつ
つ、水素分離金属の薄膜化を図ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水素選択透過性を
有する水素分離膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】水素とその他の成分との混合ガスの水素
純度を高めるために、水素分離膜が使用される。水素分
離膜は、その表側と裏側との水素分圧差によって、水素
が膜内を移動する性質を有する膜であり、この性質を利
用して混合ガスから水素を分離することができる。水素
分離膜としては、パラジウムまたはパラジウム銀合金で
形成された膜や、これらの金属をセラミックスのような
多孔質基材にコーティングしたものが知られている。
【0003】多孔質基材を用いた水素分離膜およびその
製造方法に関する技術としては、例えば特開平1−26
6833記載の技術や、特開平3−288534記載の
技術などがある。前者は、ピンホールの発生を抑制した
水素分離膜の製造方法に関する技術であり、ステンレス
金属粉の焼結体などで構成された通気性多孔質基板に、
水素分離性を有する金属LaNi5をスパッタ法により
薄膜を形成する技術である。後者は、多孔質基材の表面
にPd−Ag合金を主体とする無電解メッキを施すこと
により成膜する技術である。
【0004】一般に水素分離膜の膜厚を薄くすることに
より、水素透過速度を向上することができるため、水素
分離膜の薄膜化についての要請は高い。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来
は、ピンホールを生じることなく、薄膜化を図ることが
困難であった。また、細孔の部分で膜厚が厚くなり、透
過速度が低下するという課題もあった。
【0006】図1は従来の水素分離膜における弊害の発
生要因を模式的に示す説明図である。細孔2を有する多
孔質基材1の表面に水素分離膜3が形成されている状態
を示した。なお、細孔2は、模式的に垂直の孔として示
したが、実際には、複雑に形成されている。
【0007】正常状態では、水素分離膜3は、ピンホー
ルを生じることなく、薄膜として形成される(領域
A)。これに対し、薄膜化を図ると、水素分離膜3が細
孔中に陥没し、膜の断裂等によってピンホールが生じる
ことがある(領域B)。また、成膜時に細孔中に水素分
離金属が浸入すると、厚膜部が生じることがある(領域
C)。ピンホールや厚膜部分の発生は、水素分離膜の信
頼性、分離性能を低下させる。
【0008】本発明は、上述の弊害を抑制しつつ、薄膜
化が可能な水素分離膜の製造方法を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】本
発明では、(a) 多孔質基材を形成する工程と、
(b) 該多孔質基材の表面を水素分離金属で被覆して
成膜する工程と、(c) 該工程(b)中に前記多孔質
基材の細孔内に前記水素分離金属が浸入することを抑制
する処理を、前記多孔質基材に施す工程とを経て、水素
選択透過性を有する水素分離膜を製造するものとした。
なお、本明細書において、水素分離膜とは、多孔質基材
の表面に水素分離金属を被覆したもの全体を意味するも
のとする。水素分離金属の被覆自体を指す時は、「被
膜」という用語を用いる。成膜とは、多孔質基材の表面
に被膜を形成する工程を意味する。
【0010】多孔質基材としては、セラミックス、金属
セルメットその他の周知の材料を適用できる。水素分離
金属としては、一般にはパラジウム、パラジウム合金な
どが適用されるが、これに限定されるものではない。成
膜は、スクリーン印刷、めっき、スパッタリング、化学
蒸着法(CVD)、物理蒸着法(PVD)など種々の方
法を適用できる。
【0011】本発明の製造方法によれば、工程(b)、
即ち成膜工程において、多孔質基材の細孔中への水素分
離金属の浸入を抑制することができる。先に図1で示し
た通り、従来の水素分離膜において、ピンホールや厚膜
部が発生するのは、いずれも細孔中に水素分離金属が陥
没または浸入することが要因となっていた。従って、成
膜中に細孔中への浸入を抑制することにより、ピンホー
ル等の発生を抑制することができる。この結果、製造さ
れた水素分離膜の信頼性を向上することができる。被膜
の更なる薄膜化を図ることも可能である。
【0012】前記工程(c)には、種々の方法を適用可
能である。第1の態様として、(c1) 前記水素分離
金属が被覆される成膜面側の細孔に、該水素分離金属よ
りも融点が低い所定の充填材を充填させる工程と、(c
2) 前記成膜後に該充填材を加熱除去する工程とを備
えるものとすることができる。
【0013】成膜時に充填材で細孔を塞ぐことにより、
細孔内に水素分離金属が浸入することを抑制できる。充
填材としては、パラフィンなど、化学的に安定な有機系
材料を適用できる。充填材は、例えば加熱しながら吸引
することによって細孔内に充填させることができる。充
填材は、融点が低いから、加熱することにより、被膜、
多孔質基材に影響を与えることなく、容易に除去するこ
とができる。溶融除去してもよいし、蒸発させて除去し
てもよい。
【0014】充填材は、ピンホールや極端な厚膜部の発
生を抑制できる程度に細孔に充填されれば足りる。従っ
て、多孔質基材内の全細孔を完全に充填材で塞ぐ必要は
ない。少なくとも成膜面近傍の細孔が塞がれていればよ
い。また、上記弊害を抑制できる範囲であれば、多孔質
基材の表面に若干の凹凸が残っていても構わない。
【0015】但し、充填により、該成膜面側表面を平滑
化することがピンホール等の弊害を抑制する観点から好
ましいことは言うまでもない。平滑化は、加熱吸引等に
より充填材を細孔内に充填した後、冷却して充填材を細
孔内に固定させ、基材表面からはみ出した余剰の充填材
を削ることにより行うことができる。
【0016】充填材の除去は、成膜が完了した後に開始
する必要はない。成膜後に、成膜面の充填材の除去が完
了するタイミングであればよく、前記成膜と並行して、
該成膜面裏側から前記充填材を加熱除去する方法を採る
こともできる。こうすれば、水素分離膜の製造工程の短
縮化を図ることができる。
【0017】前記工程(c)の第2の態様として、成膜
時に、浸入を抑制する方向の加重が水素分離金属に作用
する環境下で前記多孔質基材を支持するものとしてもよ
い。かかる加重としては、圧力、重力、遠心力などを適
用することができる。
【0018】例えば、該成膜面側の雰囲気圧力が裏側の
雰囲気圧力よりも低い状態で多孔質基材を支持して、成
膜すれば、圧力差によって水素分離金属の細孔内への浸
入を抑制することができる。成膜面を下方に向けて成膜
すれば、重力の作用によって浸入を抑制することができ
る。多孔質基材を回転させつつ、外周面に成膜すれば、
遠心力の作用によって浸入を抑制することができる。
【0019】上述した製造方法と同一の課題を解決する
第2の方法として、本発明では、(a) 多孔質基材を
形成する工程と、(b) 該多孔質基材の表面を水素分
離金属で被覆して成膜する工程とによって水素分離膜を
製造する際に、次の構造を有する多孔質基材を用いるも
のとした。厚さ方向に孔径の異なる複数の層を有してお
り、前記成膜側表面の層は、前記水素分離金属の浸入を
抑制可能な最小孔径の層として形成されている多孔質基
材である。成膜面では、細孔径が非常に小さいため、水
素分離金属の浸入を抑制することができる。最小孔径の
大きさは、成膜方法に応じて実験等で設定することがで
きる。成膜面以外の部位に、最小孔径よりも大きい細孔
径の層を設けることにより、水素分離膜の強度を確保で
きる程度に多孔質基材を厚くしても、水素の透過を妨げ
ない。
【0020】多層構造の多孔質基材は、別個に製造され
た複数の層を張り合わせて製造することができる。セラ
ミックスで多孔質基材を形成する場合には、セラミック
ス粉末と有機溶媒のペーストを遠心分離して、セラミッ
クス粉末の密度を偏らせてから焼成することによって一
体成形することもできる。
【0021】なお、多層構造の多孔質基材を用いつつ、
細孔内への水素分離金属の浸入を抑制する処理を併せて
適用することも可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】A.第1実施例:図2は第1実施
例としての水素分離膜の製造工程を示す工程図である。
第1実施例では、多孔質基材の細孔への水素分離金属の
浸入を充填材によって抑制する製造方法を示す。
【0023】この製造工程では、まず、多孔質基材10
を形成する(ステップS10)。多孔質基材10として
は、セラミックス、金属セルメットなどを利用できる。
多孔質基材10は、周知の種々の方法により形成すれば
よい。多孔質基材10の細孔11の径および空孔率は、
水素透過速度に対する要求、水素分離膜の強度に対する
要求などを考慮して適宜設定すればよい。なお、図で
は、細孔11は垂直孔で模式的に示されているが、垂直
孔である必要性はない。
【0024】次に、多孔質基材10の細孔11に充填材
21を充填させる(ステップS12)。充填材として
は、多孔質基材10および被膜を形成する水素分離金属
よりも融点が低く、化学的に安定した材料を適宜選択し
て使用することができる。本実施例では、パラフィンを
用いるものとした。
【0025】細孔11への充填は、次の手順で行うこと
ができる。多孔質基材10を減圧治具20に固定する。
減圧治具20は減圧容器であり、減圧治具20と多孔質
基材10との間では、多孔質基材10の表裏面での圧力
差を確保できる程度の気密性を確保する。この状態で、
充填材21を若干加熱しつつ、減圧治具20を減圧する
ことによって、充填材を細孔11の内部に充填すること
ができる。
【0026】ここで、充填材21は、次の成膜工程で、
細孔11に水素分離金属が浸入することを抑制するため
に充填される。従って、図2の上面側の表層の細孔11
が塞がれる程度に充填すれば足りる。必ずしも多孔質基
材10の全ての細孔11に充填する必要はない。
【0027】こうして充填材21が充填された後、多孔
質基材10を冷却し、充填材21を細孔11の内部に定
着させる。その後、表面にはみ出した余剰の充填材21
を除去し、表面の平滑化を行う。
【0028】次に、こうして充填材が充填された多孔質
基材10の表層に水素分離金属の被膜12を形成する
(ステップS14)。水素分離金属としては、パラジウ
ム、パラジウム合金などを適用できる。成膜は、スクリ
ーン印刷、めっき、スパッタリング、化学蒸着法(CV
D)、物理蒸着法(PVD)など種々の方法を適用でき
る。成膜時の条件は、成膜方法に応じて適宜設定すれば
よい。但し、成膜時の雰囲気温度が充填材21の融点を
超えないように留意する必要がある。
【0029】成膜が完了した後、細孔中の充填材21を
加熱除去する(ステップS16)。充填材21を加熱溶
融して除去してもよいし、蒸発させて除去してもよい。
図では、水素分離膜を天地逆に支持して、蒸発除去する
状態を例示した。成膜面を下面にして蒸発除去させるこ
とにより、被膜12を傷めることなく、充填材21を除
去することができる。
【0030】以上の工程により、水素分離膜を製造する
ことができる。本実施例の製造方法によれば、細孔内に
水素分離金属が陥没または浸入することに起因する不具
合を抑制することができる。従って、製造された水素分
離膜の信頼性を向上することができる。また、信頼性向
上に伴い、被膜の薄膜化を図ることもできる。特に、ス
パッタリング、物理蒸着など、いわゆるドライ工程にお
いても、非常に薄く信頼性の高い水素分離膜を製造する
ことができる。
【0031】A1.第1実施例の変形例1:充填材21
の充填(ステップS12)において、多孔質基材10の
表面を平滑化する処理を省略しても構わない。図3は平
滑化を省略した場合の水素分離膜の断面図である。多孔
質基材10の細孔に充填材21Aが充填されている。平
滑化していないため、成膜面側に若干の凹凸部が存在す
る(領域A1,B1)。これらの領域では、被膜12A
が細孔内に若干陥没したり、やや厚膜となったりする可
能性もある。但し、充填材21Aの存在により、これら
の陥没や厚膜化が、ピンホールの発生、水素透過速度の
極端な低下にはつながらない。かかる状態で充填材21
Aが充填されてさえいれば、必ずしも表面の平滑化を行
う必要はない。平滑化を省略することにより、工程を簡
略化することができる。この場合は、減圧治具20に取
り付けた側の表面(図2中の下側の表面)を成膜面とし
て利用してもよい。
【0032】A2.第1実施例の変形例2:充填材21
の加熱除去(図2のステップS16)の工程は、成膜が
完全に完了した後に開始する必要はない。成膜と並行し
て行っても良い。成膜が完了するまで、成膜面表層の充
填材21が残ってさえいればよい。成膜と並行して充填
材21を除去することにより、工程の短縮化を図ること
ができる。
【0033】B.第2実施例:図4は第2実施例として
の水素分離膜の製造工程を示す工程図である。第2実施
例では、多孔質基材の細孔への水素分離金属の浸入を抑
制する加重条件下で成膜する製造方法を示す。
【0034】最初に水素分離膜を被覆する多孔質基材1
0を形成する点は、第1実施例と同じである(ステップ
S10)。第2実施例では、充填材の充填は行わずに、
次に示す加重条件下で成膜を行う(ステップS13)。
【0035】第1態様では、圧力差を利用して水素分離
金属に加重する。図4中の上段に模式的に示した。この
態様では、多孔質基材10を加圧用治具20Aに固定す
る。加圧用治具20Aは圧力容器である。加圧用治具2
0Aと多孔質基材10との間では、多孔質基材10の表
裏面での圧力差を確保できる程度の気密性を確保する。
この状態で、加圧用治具20A内の圧力を高めつつ成膜
する。成膜方法は、第1実施例と同様、種々の方法を適
用できる。多孔質基材10の表裏面での圧力差によっ
て、水素分離金属の細孔への浸入を抑制しつつ、成膜す
ることができる。なお、第1態様は、必ずしもドライ工
程に適用する必要はない。液体に圧力差を設けることに
より、メッキ等のウェット工程にも同様に適用できる。
【0036】第1態様では、加圧用治具20Aの圧力を
非常に高くすれば、却って細孔部への成膜を阻害する可
能性がある。一方、圧力が低ければ、細孔内への水素分
離金属の浸入を抑制することができない。第1態様での
加圧条件は、双方の影響を考慮しつつ、多孔質基材の細
孔径、空孔率、厚さに応じて適宜設定する必要がある。
【0037】第2態様では、重力を利用して水素分離金
属に加重する。図4中の中段に模式的に示した。この態
様では、多孔質基材10の下面から成膜する。成膜方法
は、主としてドライ工程を用いることが望ましい。重力
によって、細孔内への水素分離金属の浸入を抑制しつ
つ、成膜することができる。
【0038】第3態様では、遠心力を利用して水素分離
金属に加重する。図4の下段に模式的に示した。この態
様では、多孔質基材10を回転可能に軸支して、回転さ
せながら、外周面に成膜する。成膜方法は、主としてド
ライ工程を用いることが望ましい。遠心力によって、細
孔内への水素分離金属の浸入を抑制しつつ、成膜するこ
とができる。第3態様は、管など、軸対称形の水素分離
膜を形成する際に有効性が高い。第3態様では、第1態
様と同様、細孔部への成膜状態を考慮して、遠心力、即
ち回転数を適宜設定する必要がある。
【0039】第2実施例の製造方法によれば、第1実施
例よりも少ない工程で、信頼性が高く薄膜化された水素
分離膜を製造することができる。
【0040】C.第3実施例:図5は第3実施例として
の水素分離膜の製造工程を示す工程図である。第3実施
例では、多層構造の多孔質基材を用いることにより、細
孔への水素分離金属の浸入を抑制する製造方法を示す。
【0041】第3実施例は、多孔質基材の形成(ステッ
プS11)、成膜(ステップS14)の2工程からな
る。ステップS11では、細孔径の異なる多層構造の多
孔質基材が形成される。成膜は、第1実施例で例示した
種々の方法を適用することができる。被膜は、細孔径の
小さい層側に形成される。
【0042】本実施例では、多孔質基材として、比較的
孔径の大きい細孔11を備える多孔質基材10の表面
に、微小細孔15を備える表層基材14を備える2層構
造の多孔質基材を用いた。基材10、14の材質は同じ
であってもよいし、異なるものとしてもよい。それぞ
れ、セラミックス、金属セルメット等を用いることがで
きる。
【0043】多層構造の基材は、多孔質基材10と表層
基材14とを個別に製造し、張り合わせることによって
形成することができる。多孔質基材10の表層に表層基
材14をコーティングしてもよい。セラミックス粉末と
有機溶剤の混合物を遠心分離して、セラミックス粉末の
密度を偏らせた上で、成形、焼成することにより、一体
成形してもよい。図では、多孔質基材10と表層基材1
4とで、細孔径が不連続的に異なる場合を例示したが、
連続的に変化する構造であっても構わない。また、基材
は、3層以上の積層構造であっても構わない。
【0044】表層基材14の微小細孔15の径は、水素
分離金属の浸入を十分に抑制できる程度の値とする。細
孔径は、成膜方法に応じて決定される。例えば、スパッ
タリングを利用する場合には、金属飛沫と同等またはそ
れ以下の径に設定される。
【0045】表層基材14の厚さは、成膜時に細孔中へ
の水素分離金属の浸入を十分に抑制できる程度に設定す
ればよい。かかる範囲で薄く設定することが望ましい。
表層基材14を極端に薄くすれば、表層基材14を通過
して多孔質基材10の細孔中に水素分離金属が浸入する
可能性が高くなる。一方、表層基材14を厚くすれば、
微小細孔15での圧力損失の影響により、水素分離膜の
ガス透過性が低下する。表層基材14の厚さは、これら
の影響を考慮して、成膜方法に応じて、適宜設定する必
要がある。
【0046】多孔質基材10の細孔径は任意に設定でき
る。本実施例では、表層基材14の微小細孔15が水素
分離金属の浸入を抑制できる程度に設定されてさえいれ
ば足り、微小細孔15と細孔11の孔径、空孔率の大小
関係には特に制約はない。但し、細孔11は微小細孔1
5よりも大径または高い空孔率とすることが望ましい。
水素分離膜におけるガスの透過性を向上することができ
るからである。
【0047】第3実施例の製造方法によれば、第1実施
例よりも少ない工程で、信頼性が高く薄膜化された水素
分離膜を製造することができる。
【0048】以上、本発明の種々の実施例について説明
したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その趣
旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採ることができるこ
とはいうまでもない。例えば、第1実施例から第3実施
例までの製造方法については、適宜組み合わせて実行し
ても構わない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の水素分離膜における弊害の発生要因を模
式的に示す説明図である。
【図2】第1実施例としての水素分離膜の製造工程を示
す工程図である。
【図3】平滑化を省略した場合の水素分離膜の断面図で
ある。
【図4】第2実施例としての水素分離膜の製造工程を示
す工程図である。
【図5】第3実施例としての水素分離膜の製造工程を示
す工程図である。
【符号の説明】
10…多孔質基材 11…細孔 12,12A…被膜 14…表層基材 15…微小細孔 20A…加圧用治具 20…減圧治具 21,21A…充填材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 青山 智 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 中田 俊秀 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 Fターム(参考) 4D006 GA41 MA03 MA09 MB04 MC02X NA31 NA62 PA02 PB66 4G040 FA06 FB09 FC01 FE01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水素選択透過性を有する水素分離膜の製
    造方法であって、(a) 多孔質基材を形成する工程
    と、(b) 該多孔質基材の表面を水素分離金属で被覆
    して成膜する工程と、(c) 該工程(b)中に前記多
    孔質基材の細孔内に前記水素分離金属が浸入することを
    抑制する処理を、前記多孔質基材に施す工程とを備える
    水素分離膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の製造方法であって、 前記工程(c)は、(c1) 前記水素分離金属が被覆
    される成膜面側の細孔に、該水素分離金属よりも融点が
    低い所定の充填材を充填させる工程と、(c2) 前記
    成膜後に該充填材を加熱除去する工程とを備える製造方
    法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の製造方法であって、 前記工程(c1)は、該充填により、該成膜面側表面を
    平滑化する工程である製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項2記載の製造方法であって、 前記工程(c2)は、前記成膜と並行して、該成膜面裏
    側から前記充填材を加熱除去する工程である製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の製造方法であって、 前記工程(c)は、前記浸入を抑制する方向の加重が前
    記水素分離金属に作用する環境下で前記多孔質基材を支
    持する工程である製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の製造方法であって、 前記多孔質基材が該成膜面側の雰囲気圧力が裏側の雰囲
    気圧力よりも低い状態で支持される製造方法。
  7. 【請求項7】 水素選択透過性を有する水素分離膜の製
    造方法であって、(a) 多孔質基材を形成する工程
    と、(b) 該多孔質基材の表面を水素分離金属で被覆
    して成膜する工程とを備え、 前記多孔質基材は、厚さ方向に孔径の異なる複数の層を
    有しており、前記成膜側表面の層は、前記水素分離金属
    の浸入を抑制可能な最小孔径の層として形成されている
    製造方法。
  8. 【請求項8】 水素選択透過性を有する水素分離膜であ
    って、 多孔質基材と、 該多孔質基材の表面を被覆する水素分離金属層とを備
    え、 前記多孔質基材は、厚さ方向に孔径の異なる複数の層を
    有しており、前記成膜側表面の層は、前記水素分離金属
    の浸入を抑制可能な最小孔径の層として形成されている
    水素分離膜。
JP2000242266A 2000-08-10 2000-08-10 水素分離膜の製造方法 Pending JP2002052326A (ja)

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