JP2001189317A - Igウェーハの製造方法及びこの方法で作られたigウェーハ - Google Patents

Igウェーハの製造方法及びこの方法で作られたigウェーハ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 点欠陥の凝集体が存在しないことに加えて、
ウェーハの状態での熱処理回数が少なくして所望のIG
効果を発揮する。 【解決手段】 OSF顕在化熱処理をした際にウェーハ
総面積の25%以上にOSFが発生しかつ転位発生を伴
わない酸素析出物を1×105〜3×107個/cm2
度で発生するシリコンウェーハを水素ガス又は水素ガス
を含む雰囲気下で室温から1100〜1250℃まで3
℃/分〜150℃/秒の昇温速度で急速加熱し、1分〜
2時間保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、DRAM等の半導
体集積回路に適するシリコンウェーハを得るために、シ
リコンウェーハを加熱してイントリンシックゲッタリン
グ(intrinsic gettering、以下、IGという。)処理
する方法に関する。更に詳しくはチョクラルスキー法
(以下、CZ法という。)により引上げられたシリコン
単結晶インゴットから切出されたシリコンウェーハから
IGウェーハを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、半導体集積回路を製造する工程に
おいて、歩留りを低下させる原因として酸化誘起積層欠
陥(Oxidation Induced Stacking Fault、以下、OSF
という。)の核となる酸素析出物の微小欠陥や、結晶に
起因したパーティクル(Crystal Originated Particl
e、以下、COPという。)や、或いは侵入型転位(Int
erstitial-type Large Dislocation、以下、LDとい
う。)の存在が挙げられている。OSFは、結晶成長時
にその核となる微小欠陥が導入され、半導体デバイスを
製造する際の熱酸化工程等で顕在化し、作製したデバイ
スのリーク電流の増加等の不良原因になる。またCOP
は、鏡面研磨後のシリコンウェーハをアンモニアと過酸
化水素の混合液で洗浄したときにウェーハ表面に出現す
る結晶に起因したピットである。このウェーハをパーテ
ィクルカウンタで測定すると、このピットも本来のパー
ティクルとともに光散乱欠陥として検出される。このC
OPは電気的特性、例えば酸化膜の経時絶縁破壊特性
(Time Dependent dielectric Breakdown、TDD
B)、酸化膜耐圧特性(Time Zero Dielectric Breakdo
wn、TZDB)等を劣化させる原因となる。またCOP
がウェーハ表面に存在するとデバイスの配線工程におい
て段差を生じ、断線の原因となり得る。そして素子分離
部分においてもリーク等の原因となり、製品の歩留りを
低くする。更にLDは、転位クラスタとも呼ばれたり、
或いはこの欠陥を生じたシリコンウェーハをフッ酸を主
成分とする選択エッチング液に浸漬するとピットを生じ
ることから転位ピットとも呼ばれる。このLDも、電気
的特性、例えばリーク特性、アイソレーション特性等を
劣化させる原因となる。
【0003】以上のことから、半導体集積回路を製造す
るために用いられるシリコンウェーハからOSF、CO
P及びLDを減少させることが必要となっている。この
OSF、COP及びLDを有しない無欠陥のシリコンウ
ェーハが特開平11−1393号公報に開示されてい
る。この無欠陥のシリコンウェーハは、シリコン単結晶
インゴット内での空孔型点欠陥の凝集体及び格子間シリ
コン型点欠陥の凝集体がそれぞれ存在しないパーフェク
ト領域を[P]とするとき、パーフェクト領域[P]か
らなるインゴットから切出されたシリコンウェーハであ
る。パーフェクト領域[P]は、格子間シリコン型点欠
陥が支配的に存在する領域[I]と、シリコン単結晶イ
ンゴット内で空孔型点欠陥が支配的に存在する領域
[V]との間に介在する。このパーフェクト領域[P]
からなるシリコンウェーハは、インゴットの引上げ速度
をV(mm/分)とし、シリコン融液とインゴットとの
界面近傍におけるインゴット鉛直方向の温度勾配をG
(℃/mm)とするとき、熱酸化処理をした際にリング
状に発生するOSFがウェーハ中心部で消滅するよう
に、V/G(mm2/分・℃)の値を決めて作られる。
【0004】しかし、上記パーフェクト領域[P]から
なるインゴットから切出されたシリコンウェーハは、O
SF、COP及びLDを有しないけれども、デバイス製
造工程の熱処理において、必ずしもウェーハ内部で酸素
析出が起らず、これによりIG効果が十分に得られない
おそれがある。IG能力が十分に備わっていないウェー
ハでは、デバイス工程で金属により汚染されると、接合
リークや、金属不純物によるトラップ準位によるデバイ
スの動作不良等を生じ、これにより製品の歩留りが低下
する。従来、シリコン単結晶インゴットから切出され
た、研削研磨した直後のシリコンウェーハを500〜8
00℃で0.5〜20時間保持してウェーハ内に酸素析
出核を導入する工程と、この酸素析出核を含むシリコン
ウェーハを室温から800〜1000℃まで急速加熱し
て0.5〜20分間保持する工程と、急速加熱して0.
5〜20分間保持したシリコンウェーハを更に室温まで
放冷する工程と、放冷したシリコンウェーハを500〜
700℃から2〜10℃/分の速度で800〜1100
℃まで加熱しその温度で2〜48時間保持する工程とを
含むIG処理法が提案されている(特開平8−4594
5)。
【0005】この処理法では、上記温度条件で急速加熱
すると、ウェーハ表面は勿論、ウェーハ内部も一時的に
熱平衡濃度以下になり、格子間シリコン原子が欠乏状態
になり、酸素析出核が安定に成長し易い環境になる。同
時にこの欠乏した格子間シリコン原子を補って安定状態
になるために、ウェーハ表面では格子間シリコン原子の
生成が起こり、生成した格子間シリコン原子はウェーハ
内部に拡散し始める。格子間シリコン原子の欠乏状態に
あったウェーハ表面付近は格子間シリコン原子の生成で
すぐに飽和状態になり、酸素析出核は消滅を始める。し
かし、ウェーハ表面で生成した格子間シリコン原子がウ
ェーハ内部にまで拡散するにはある程度の時間を要する
ため、ウェーハ表面から内部に深く入るほど酸素析出核
が成長し易い環境が長く続く。従って、ウェーハ表面に
近いほど酸素析出核の密度は低く、またこの熱処理時間
(0.5〜20分)が長いほど酸素析出核、即ち欠陥の
形成されない層(以下、DZ層という。)の厚さは大き
くなる。また800〜1000℃の範囲で温度が高いほ
ど、格子間シリコン原子の拡散係数が大きく、短時間で
DZ層の厚さは大きくなる。急速加熱し、室温に放冷し
た後で800〜1100℃まで再び加熱すると、急速加
熱で生き残ったウェーハ内部の酸素析出核が成長して酸
素析出物となり、安定なIG源となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記IG処理
法は、IG源を生成するための前処理として、研削研磨
した直後のシリコンウェーハを500〜800℃で0.
5〜20時間保持してウェーハ内に酸素析出核を導入す
る工程を必要とし、更に急速加熱を行った後でウェーハ
内部の酸素析出核を酸素析出物に成長させるための熱処
理を必要とした。このため、ウェーハの状態での熱処理
回数が多い不具合があった。本発明の目的は、点欠陥の
凝集体が存在しないことに加えて、シリコンウェーハの
状態での熱処理回数が少なくして所望のIG効果を発揮
するウェーハの製造方法を提供することにある。本発明
の別の目的は、点欠陥の凝集体が存在しないことに加え
て、領域[PV]と領域[PI]の混合領域からなる酸素
濃度が0.8×1018〜1.4×101 8atoms/c
3(旧ASTM)のインゴットから切出されたシリコ
ンウェーハであっても、IG効果を発揮するウェーハの
製造方法を提供することにある。本発明の別の目的は、
この方法で作られたIG能力の高いウェーハを提供する
ことにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】請求項1に係る発明は、
OSF顕在化熱処理をした際にウェーハ総面積の25%
以上にOSFが発生しかつ転位発生を伴わない酸素析出
物を1×105〜3×107個/cm2密度で発生するシ
リコンウェーハを水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下
で室温から1100〜1250℃まで3℃/分〜150
℃/秒の昇温速度で急速加熱し、1分〜2時間保持する
IGウェーハの製造方法である。請求項1に係る発明で
は、ウェーハとして、上記割合で存在するOSF領域に
所定密度の酸素析出物を含むウェーハを用いることによ
り、従来のウェーハ内に酸素析出核を導入する前熱処理
工程及び酸素析出核の成長工程が不要となり、研磨後の
ウェーハを上記条件で急速加熱することにより、高いI
G効果を発揮する。
【0008】請求項2に係る発明は、格子間シリコン型
点欠陥が支配的に存在する領域[I]に隣接しかつ点欠
陥の凝集体が存在しないパーフェクト領域[P]に属し
侵入型転位を形成し得る最低の格子間シリコン濃度未満
の領域を[PI]とし、空孔型点欠陥が支配的に存在す
る領域[V]に隣接しかつ前記領域[P]に属しCOP
又はFPDを形成し得る空孔濃度以下の領域を[PV
とするとき、[PV]と[PI]の混合領域からなりかつ
酸素濃度が0.8×1018〜1.4×1018atoms
/cm3(旧ASTM)であるシリコンウェーハを窒
素、アルゴン、水素、酸素又はこれらの混合ガス雰囲気
下、600〜850℃で120〜250分保持する第1
段熱処理を行った後、水素ガス又は水素ガスを含む雰囲
気下で室温から1100〜1250℃まで3℃/分〜1
50℃/秒の昇温速度で急速加熱し、1分〜2時間保持
する第2段熱処理を行うIGウェーハの製造方法であ
る。また請求項3に係る発明は、上記[PV]と[PI
の混合領域からなりかつ酸素濃度が0.8×1018
1.4×1018atoms/cm3(旧ASTM)であ
るシリコンウェーハを窒素、アルゴン、水素、酸素又は
これらの混合ガス雰囲気下で室温から1150〜120
0℃まで10℃/秒〜150℃/秒の昇温速度で加熱
し、1150〜1200℃で0〜30秒間保持する第1
段熱処理を行った後、水素ガス又は水素ガスを含む雰囲
気下で室温から1100〜1250℃まで3℃/分〜1
00℃/秒の昇温速度で急速加熱し、1分〜2時間保持
する第2段熱処理を行うIGウェーハの製造方法であ
る。
【0009】請求項2又は3に係る発明では、シリコン
ウェーハの酸素濃度が0.8×10 18〜1.4×1018
atoms/cm3(旧ASTM)である場合であっ
て、シリコンウェーハが領域[PV]と領域[PI]の混
合領域からなるときには、このシリコンウェーハを上記
条件で第1段熱処理すると、結晶成長時に酸素析出核が
導入されない領域[PI]にも酸素析出核が発現し、同
時に結晶成長時に酸素析出核が導入されている領域[P
V]ではその酸素析出核の密度が高まる。従って、上記
第1段熱処理を行ったウェーハを更に水素ガス又は水素
ガスを含む雰囲気下で急速加熱して第2段熱処理を行う
と、上記酸素析出核が酸素析出物(Bulk Micro Defec
t、以下、BMDという。)に成長し、領域[PV]と領
域[PI]の混合領域からなるウェーハであっても、ウ
ェーハ全面にIG効果を有するようになる。
【0010】請求項4に係る発明は、請求項1ないし3
いずれか記載の方法から作られたIGウェーハであっ
て、酸素析出物の形成されない層(DZ層)がウェーハ
表面から1〜100μmの深さにわたって形成され、こ
のDZ層より深い部分に2×104〜2×108個/cm
2の酸素析出物を有することを特徴とするIGウェーハ
である。請求項1ないし3いずれかに係る方法でIG処
理したウェーハは、上記特性を有し、高いIG効果を発
揮する。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明のシリコンウェーハは、C
Z法によりホットゾーン炉内のシリコン融液からインゴ
ットをボロンコフ(Voronkov)の理論に基づいた所定の
引上げ速度プロファイルで引上げた後、このインゴット
をスライスして作製される。一般的に、CZ法によりホ
ットゾーン炉内のシリコン融液からシリコン単結晶のイ
ンゴットを引上げたときには、シリコン単結晶における
欠陥として、点欠陥(point defect)と点欠陥の凝集体
(agglomerates:三次元欠陥)が発生する。点欠陥は空
孔型点欠陥と格子間シリコン型点欠陥という二つの一般
的な形態がある。空孔型点欠陥は一つのシリコン原子が
シリコン結晶格子で正常的な位置の一つから離脱したも
のである。このような空孔が空孔型点欠陥になる。一
方、原子がシリコン結晶の格子点以外の位置(インター
スチシャルサイト)で発見されるとこれが格子間シリコ
ン点欠陥になる。
【0012】点欠陥は一般的にシリコン融液(溶融シリ
コン)とインゴット(固状シリコン)の間の接触面で形
成される。しかし、インゴットを継続的に引上げること
によって接触面であった部分は引上げとともに冷却し始
める。冷却の間、空孔型点欠陥又は格子間シリコン型点
欠陥は拡散により互いに合併して、空孔型点欠陥の凝集
体(vacancy agglomerates)又は格子間シリコン型点欠
陥の凝集体(interstitial agglomerates)が形成され
る。言い換えれば、凝集体は点欠陥の合併に起因して発
生する三次元構造である。
【0013】空孔型点欠陥の凝集体は前述したCOPの
他に、LSTD(Laser ScatteringTomograph Defect
s)又はFPD(Flow Pattern Defects)と呼ばれる欠
陥を含み、格子間シリコン型点欠陥の凝集体は前述した
LDと呼ばれる欠陥を含む。FPDとは、インゴットを
スライスして作製されたシリコンウェーハを30分間セ
コエッチング(Secco etching、HF:K2Cr27(0.1
5mol/l)=2:1の混合液によるエッチング)したとき
に現れる特異なフローパターンを呈する痕跡の源であ
り、LSTDとは、シリコン単結晶内に赤外線を照射し
たときにシリコンとは異なる屈折率を有し散乱光を発生
する源である。
【0014】ボロンコフの理論は、欠陥の数が少ない高
純度インゴットを成長させるために、インゴットの引上
げ速度をV(mm/分)、ホットゾーン構造でインゴッ
ト−シリコン融液の接触面の温度勾配をG(℃/mm)
とするときに、V/G(mm 2/分・℃)を制御するこ
とである。この理論では、図1に示すように、V/Gを
よこ軸にとり、空孔型点欠陥濃度と格子間シリコン型点
欠陥濃度を同一のたて軸にとって、V/Gと点欠陥濃度
との関係を図式的に表現し、空孔領域と格子間シリコン
領域の境界がV/Gによって決定されることを説明して
いる。より詳しくは、V/G比が臨界点以上では空孔型
点欠陥濃度が優勢なインゴットが形成される反面、V/
G比が臨界点以下では格子間シリコン型点欠陥濃度が優
勢なインゴットが形成される。図1において、[I]は
格子間シリコン型点欠陥が支配的であって、格子間シリ
コン型点欠陥が存在する領域((V/G)1以下)を示
し、[V]はインゴット内での空孔型点欠陥が支配的で
あって、空孔型点欠陥の凝集体が存在する領域((V/
G)2以上)を示し、[P]は空孔型点欠陥の凝集体及び
格子間シリコン型点欠陥の凝集体が存在しないパーフェ
クト領域((V/G)1〜(V/G)2)を示す。領域[P]
に隣接する領域[V]にはOSF核を形成する領域[O
SF]((V/G)2〜(V/G)3)が存在する。
【0015】なお、COPやLDなどの点欠陥の凝集体
は検出方法によって検出感度、検出下限値が異なる値を
示すことがある。そのため、本明細書において、「点欠
陥の凝集体が存在しない」の意味は、鏡面加工されたシ
リコン単結晶を無攪拌セコエッチングを施した後に光学
顕微鏡により、観察面積とエッチング取り代との積を検
査体積として観察した際に、フローパターン(空孔型欠
陥)及び転位クラスタ(格子間シリコン型点欠陥)の各
凝集体が1×10-3cm3の検査体積に対して1個欠陥
が検出された場合を検出下限値(1×103個/cm3
とするとき、点欠陥の凝集体の数が上記検出下限値以下
であることをいう。上記パーフェクト領域[P]は更に
領域[PI]と領域[PV]に分類される。[PI]はV
/G比が上記(V/G)1から臨界点までの領域であり、
[PV]はV/G比が臨界点から上記(V/G)2までの領
域である。即ち、[PI]は領域[I]に隣接し、かつ
侵入型転位を形成し得る最低の格子間シリコン型点欠陥
濃度未満の格子間シリコン型点欠陥濃度を有する領域で
あり、[PV]は領域[V]に隣接し、かつOSFを形
成し得る最低の空孔型点欠陥濃度未満の空孔型点欠陥濃
度を有する領域である。
【0016】本願請求項2又は3に係る発明の所定の引
上げ速度プロファイルは、インゴットがホットゾーン炉
内のシリコン溶融物から引上げられる時、温度勾配に対
する引上げ速度の比(V/G)が格子間シリコン型点欠
陥の凝集体の発生を防止する第1臨界比((V/G)1
以上であって、空孔型点欠陥の凝集体をインゴットの中
央にある空孔型点欠陥が支配的に存在する領域内に制限
する第2臨界比((V/G)2)以下に維持されるように
決められる。また本願請求項1に係る発明の所定の引上
げ速度プロファイルは、OSF核を形成する領域[OS
F]に相当する第2臨界比((V/G)2)以上であって
第3臨界比((V/G)3)以下に維持されるように決め
られる。
【0017】この引上げ速度のプロファイルは、実験的
に基準インゴットを軸方向にスライスすることで、又は
これらの技術を組合わせることで、シミュレーションに
よって上記ボロンコフの理論に基づき決定される。即
ち、この決定は、シミュレーションの後、軸方向にスラ
イスされたインゴットを横断方向にスライスしてウェー
ハ状態で確認し、更にシミュレーションを繰り返すこと
によりなされる。シミュレーションのために複数種類の
引上げ速度が所定の範囲で決められ、複数個の基準イン
ゴットが成長される。図2に示すように、シミュレーシ
ョンのための引上げ速度プロファイルは1.2mm/分
のような高い引上げ速度(a)から0.5mm/分の低
い引上げ速度(c)及び再び高い引上げ速度(d)に調整
される。上記低い引上げ速度は0.4mm/分又はそれ
以下であることもあってもよく、引上げ速度(b)及び
(d)での変化は線形的なものが望ましい。異なった速
度で引上げられた複数個の基準インゴットはそれぞれ別
々に軸方向にスライスされる。最適のV/Gが軸方向の
スライス、ウェーハの確認及びシミュレーションの結果
の相関関係から決定され、続いて最適な引上げ速度プロ
ファイルが決定され、そのプロファイルでインゴットが
製造される。実際の引上げ速度プロファイルは所望のイ
ンゴットの直径、使用される特定のホットゾーン炉及び
シリコン融液の品質等を含めてこれに限定されない多く
の変数に依存する。
【0018】引上げ速度を徐々に低下させてV/Gを連
続的に低下させたときのインゴットの断面図を描いてみ
ると、図3に示される事実が分かる。図3には、インゴ
ット内での空孔型点欠陥が支配的に存在する領域が
[V]、格子間シリコン型点欠陥が支配的に存在する領
域が[I]、及び空孔型点欠陥の凝集体及び格子間シリ
コン型点欠陥の凝集体が存在しないパーフェクト領域が
[P]としてそれぞれ示される。前述したようにパーフ
ェクト領域[P]は更に領域[PI]と領域[PV]に分
類される。領域[PV]はパーフェクト領域[P]の中
でも凝集体にならない空孔型点欠陥が存在する領域であ
り、領域[PI]はパーフェクト領域[P]の中でも凝
集体にならない格子間シリコン型点欠陥が存在する領域
である。図3に示すように、インゴットの軸方向位置P
1は、中央に空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を含
む。位置P2は位置P1に比べて中央に小さい空孔型点欠
陥が支配的に存在する領域を含む。位置P3は中央に空
孔型点欠陥もなく、縁部分に格子間シリコン型点欠陥も
ないので全てパーフェクト領域である。また位置P4
格子間シリコン型点欠陥が支配的に存在するリング領域
及び中央のパーフェクト領域を含む。
【0019】図3から明らかなように、位置P1に対応
したウェーハW1は、中央に空孔型点欠陥が支配的に存
在する領域を含む。このウェーハW1に対して、従来の
OSF顕在化熱処理に従った、酸素雰囲気下、1000
℃±30℃の温度で2〜5時間熱処理し、引続き113
0℃±30℃の温度で1〜16時間熱処理すると、図4
に示すようにウェーハW1ではウェーハの周縁付近にO
SFリングが発生する。このOSFリングで囲まれた空
孔型点欠陥が支配的に存在する領域はCOPが出現する
傾向がある。位置P4に対応したウェーハW4は、格子間
シリコン型点欠陥が支配的に存在するリング及び中央の
パーフェクト領域を含む。
【0020】[A-1] 請求項1に係るシリコンウェーハ 請求項1に係るウェーハは図3の位置P2に対応したウ
ェーハW2である。このウェーハW2はウェーハW1に比
べて中央にウェーハ総面積の1/2の面積(50%)で
空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を含む。このウェ
ーハW2に対して上記OSF顕在化熱処理を行うと、O
SFはリング状にならずに、ウェーハの中心部にディス
ク状に発生する。請求項1に係るウェーハW2は、ウェ
ーハ総面積の25%以上にOSFが発生する。OSFが
ウェーハ総面積の25%未満では、BMDの発生領域が
狭く、十分なIG効果を得にくい。好ましくは50〜8
0%である。このウェーハW2は、図5に示すようにO
SFがリング状でなく、中心部に顕在化するように選定
して決められた引上げ速度プロファイルで成長したイン
ゴットをスライスして作製される。図6はその平面図で
ある。このウェーハW 2ではOSFがリング状を形成し
ないため、COPフリーである。またLD(侵入型転
位)の発生もない。このウェーハW2を作り出すインゴ
ットは、転位発生を伴わない酸素析出物を2×104
2×108個/cm2の割合で含む。このため、特開平8
−45945号公報に示されるように急速加熱の前にウ
ェーハの状態で500〜800℃の比較的低温で0.5
〜20時間保持して、ウェーハ内に高密度に酸素析出核
を導入しなくてもよい。BMD密度が2×104個/c
2未満では、ウェーハ状態で急速加熱を行ったときに
十分なIG効果を得にくい。また2×108個/cm2
OSF領域に発生し得る最大のBMD密度である。
【0021】[A-2] 請求項1に係る熱処理方法 請求項1に係る熱処理方法は1回の急速加熱である。こ
の急速加熱は水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下で行
われる。具体的には転位発生を伴わない酸素析出物を上
記割合で含む室温のシリコンウェーハW2を1100〜
1250℃の温度に加熱した炉に素早く入れ、1分〜2
時間保持する。別の方法として、転位発生を伴わない酸
素析出物を上記割合で含む室温のシリコンウェーハW2
を高熱発生可能なランプを用いた高速加熱炉内に配置
し、ランプスイッチを入れて熱射を開始し急速に110
0〜1250℃の温度に加熱し、1分〜2時間保持す
る。ここで急速加熱とは、3℃/分以上150℃/秒以
下、好ましくは30℃/分以上100℃/秒以下の昇温
速度で熱処理することをいう。ランプ光照射で急速加熱
する場合にはウェーハを均一に加熱できるため、予め加
熱した炉に入れる場合と比較してウェーハがより反りに
くいという利点がある。急速加熱して到達する最終温度
が、1100℃未満ではウェーハ表面近傍における酸素
析出物の消滅が不十分でDZ層を十分に確保できない。
また1250℃を越えると、ウェーハ表面近傍の酸素析
出物が消滅する前に転位が発生し、DZ層を十分に確保
できない。また保持時間が1分未満ではウェーハ表面に
おける酸素析出物を縮小させる時間が短すぎ、ウェーハ
表面での酸素析出物の消滅が不十分でDZ層を十分に確
保できない。また2時間を越えると、必要以上の厚さの
DZ層が得られ、しかも生産性に悪影響を及ぼす。好ま
しい保持時間は1分〜1.5時間に決められる。この急
速加熱の後、シリコンウェーハを室温まで放冷すれば、
ウェーハ表面から1〜100μmの深さにわたってDZ
層が形成され、このDZ層より深い部分のBMD密度が
2×104〜2×108個/cm3のIGウェーハが得ら
れる。
【0022】[B-1] 請求項2又は3に係るシリコンウ
ェーハ 請求項2に係るウェーハは図3の位置P3に対応したウ
ェーハW3であって、その平面図は図7に示される。ウ
ェーハW3は次に述べる熱処理によりこのウェーハW3
所望の密度以上の酸素析出核を発生させるために、その
酸素濃度が0.8×1018〜1.4×1018atoms
/cm3(旧ASTM)であることが必要である。位置
3に対応したウェーハW3は前述したように中央に空孔
型点欠陥の凝集体もないし、縁部分に格子間シリコン型
点欠陥の凝集体もないので全てパーフェクト領域であっ
て、領域[PV]と領域[PI]とが混在する領域であ
る。
【0023】[B-2] 請求項2に係る熱処理方法 請求項2に係る熱処理には第1段熱処理と第2段熱処理
がある。第1段熱処理はウェーハW3を窒素、アルゴ
ン、水素、酸素又はこれらの混合ガス雰囲気下、600
〜850℃で120〜250分保持することにより行わ
れる。加熱は600〜850℃に維持された熱処理炉に
ウェーハを50〜100℃/分の速度で導入して行うこ
とが好ましい。保持温度が600℃未満又は保持時間が
30分未満の場合には、酸素析出核が十分に増加せず、
次の第2段熱処理を行ったときに、IG効果を発揮する
のに必要なBMD密度が得られない。保持温度が850
℃を越える場合には、領域[PI]の酸素析出核密度が
低いため、第2段熱処理を行ったときにIG効果を発揮
するに必要なBMD密度が得られない。保持温度が60
0〜850℃で保持温度が90分を越えかつ120分未
満の場合には、酸素析出核形成に伴う格子間型点欠陥の
過多によって、酸素析出核の析出量の抑制を生じる。保
持時間が250分以上では生産性が低下する。第2段熱
処理は上記[A-2]の急速加熱と同じである。即ち、こ
の第2段熱処理は水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下
で室温から1100〜1250℃まで3℃/分〜100
℃/秒の昇温速度で急速加熱し、1分〜2時間保持す
る。この急速加熱の後、シリコンウェーハを室温まで放
冷すれば、上記[A-2]と同様にウェーハ表面から1〜
100μmの深さにわたってDZ層が形成され、このD
Z層より深い部分のBMD密度が2×104〜2×108
個/cm3のIGウェーハが得られる。
【0024】[B-3] 請求項3に係る熱処理方法 請求項3に係る熱処理にも第1段熱処理と第2段熱処理
がある。第1段熱処理は急速加熱であって、ウェーハW
3を窒素、アルゴン、水素、酸素又はこれらの混合ガス
雰囲気下で室温から1150〜1200℃まで10℃/
秒〜150℃/秒の昇温速度で加熱し、1150〜12
00℃で0〜30秒間保持することにより行われる。こ
こで保持時間が0秒間とは、昇温のみ行い、保持しない
ことを意味する。加熱は室温に維持された熱処理炉、又
は連続運転の場合には余熱で数百度になっている熱処理
炉の内部にウェーハを導入し、10〜150℃/秒、好
ましくは50〜100℃/秒の速度で1150〜120
0℃まで昇温する。昇温速度が10℃/秒未満では酸素
析出核は増加するものの処理能力に劣り、実用的でな
い。また1150℃未満では酸素析出核が十分に増加せ
ず、次の第2段熱処理を行ったときに、IG効果を発揮
するのに必要なBMD密度が得られない。保持温度が1
200℃を越えるか、又は保持時間が30秒を越える場
合には、スリップが発生したり、熱処理の生産性が低下
する不具合を生じる。また昇温速度が150℃/秒を越
えると、自重応力や面内温度分布のバラツキによりスリ
ップが発生する不具合を生じる。第2段熱処理は上記
[A-2]の急速加熱と同じである。即ち、この第2段熱
処理は水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下で室温から
1100〜1250℃まで3℃/分〜100℃/秒の昇
温速度で急速加熱し、1分〜2時間保持する。この急速
加熱の後、シリコンウェーハを室温まで放冷すれば、上
記[A-2]と同様にウェーハ表面から1〜100μmの
深さにわたってDZ層が形成され、このDZ層より深い
部分のBMD密度が2×104〜2×108個/cm3
IGウェーハが得られる。
【0025】
【実施例】次に本発明の実施例を比較例とともに説明す
る。 <実施例1>シリコン単結晶引上げ装置を用いて直径8
インチのボロン(B)がドープされたp型のシリコンイ
ンゴットを引上げた。このインゴットは直胴部の長さが
1200mm、結晶方位が(100)、抵抗率が約10
Ωcm、酸素濃度が1.0×1018atoms/cm3
(旧ASTM)であった。インゴットは、引上げ時のV
/Gを0.24mm2/分℃から0.18mm2/分℃ま
で連続的に減少させながら、同一条件で2本育成した。
そのうちの1本のインゴットは図3に示すように引上げ
方向にインゴット中心を切断し、各領域の位置を調べ、
別の1本から図3のP2に対応する位置のシリコンウェ
ーハW2を切出し、試料とした。この例では試料となる
ウェーハW2は中央にウェーハ総面積の1/2の面積
(50%)で空孔型点欠陥が支配的に存在する領域を含
む。このウェーハW2に対して上記OSF顕在化熱処理
を行うと、図6に示すようにOSFはリング状にならず
に、ウェーハの中心部にウェーハ総面積の25%以上の
面積でディスク状に発生する。インゴットから切出し鏡
面研磨したこのウェーハW2を水素ガス10%とアルゴ
ンガス90%の雰囲気下、室温から1200℃まで約5
0℃/分の昇温速度で加熱し、1200℃で90秒間保
持することにより、熱処理を行った。
【0026】<比較例1>実施例1と同一装置を用いて
直径8インチのボロン(B)がドープされたp型のシリ
コンインゴットを引上げた。このインゴットは直胴部の
長さ、結晶方位、抵抗率、酸素濃度が実施例1と同一で
あった。インゴットは実施例1と同様にV/Gを制御し
て、同一条件で2本育成した。そのうちの1本のインゴ
ットは図3に示すように引上げ方向にインゴット中心を
切断し、各領域の位置を調べ、別の1本から図3のP3
に対応する位置のシリコンウェーハW3を切出し、試料
とした。この例では試料となるウェーハW3はOSF顕
在化熱処理をしたときに実施例1のディスクが縮小して
ディスクのないウェーハである。このウェーハW3を実
施例1と同様に熱処理した。
【0027】<比較評価その1>実施例1及び比較例1
の各ウェーハを劈開し、更にウェーハ表面をライト(Wr
ight)エッチング液で選択エッチングを行い、光学顕微
鏡の観察により、ウェーハ表面から深さ350μmにお
ける領域部分のBMD面積密度を測定した。これらの結
果を表1に示す。表1から明らかなように、OSF顕在
化熱処理をしたときに、酸素析出物が比較例1のウェー
ハより実施例1のウェーハの方が多いため、実施例1の
ウェーハは比較例1のウェーハと比べてより高いIG効
果が得られる。
【0028】
【表1】
【0029】<実施例2>実施例1と同様に直径8イン
チのp型のシリコンインゴットを引上げた。このインゴ
ットは直胴部の長さが1200mm、結晶方位が(10
0)、抵抗率が約10Ωcm、酸素濃度が1.0×10
18atoms/cm3(旧ASTM)であった。インゴ
ットは、引上げ時のV/Gを0.24mm2/分℃から
0.18mm2/分℃まで連続的に減少させながら、同
一条件で2本育成した。そのうちの1本のインゴットは
図3に示すように引上げ方向にインゴット中心を切断
し、各領域の位置を調べ、別の1本から図3のP3に対
応する位置のシリコンウェーハW3を切出し、試料とし
た。この例では試料となるウェーハW3は、中心部に領
域[PV]を有し、その周囲に領域[PI]を有し、更に
その周囲に領域[PV]を有する図7に示すウェーハW3
である。インゴットから切出し鏡面研磨したこのウェー
ハW2を窒素雰囲気下、700℃で120分保持するこ
とにより、第1段熱処理を行った。次いで水素ガス10
%とアルゴンガス90%の雰囲気下、室温から1100
℃まで約50℃/分の昇温速度で加熱し、1100℃で
1分間保持することにより、第2段熱処理を行った。
【0030】<実施例3>第2段熱処理を1150℃で
1分間行った以外、実施例2と同様にウェーハW 3を熱
処理した。 <実施例4>第2段熱処理を1200℃で1分間行った
以外、実施例2と同様にウェーハW 3を熱処理した。 <実施例5>第2段熱処理を1250℃で1分間行った
以外、実施例2と同様にウェーハW 3を熱処理した。
【0031】<比較評価その2>実施例1〜5の各ウェ
ーハを劈開し、実施例1及び比較例1と同様にウェーハ
表面から深さ350μmにおける領域部分のBMD面積
密度を測定した。これらの結果を表2に示す。表2から
明らかなように、実施例2〜5の2段熱処理により、各
ウェーハはIG効果に必要とされるBMD密度が得られ
ることが判った。
【0032】
【表2】
【0033】<実施例6>実施例1と同様に直径8イン
チのp型のシリコンインゴットを引上げた。このインゴ
ットは直胴部の長さが1200mm、結晶方位が(10
0)、抵抗率が約10Ωcm、酸素濃度が1.0×10
18atoms/cm3(旧ASTM)であった。インゴ
ットは、引上げ時のV/Gを0.24mm2/分℃から
0.18mm2/分℃まで連続的に減少させながら、同
一条件で2本育成した。そのうちの1本のインゴットは
図3に示すように引上げ方向にインゴット中心を切断
し、各領域の位置を調べ、別の1本から図3のP3に対
応する位置のシリコンウェーハW3を切出し、試料とし
た。この例では試料となるウェーハW3は、中心部に領
域[PV]を有し、その周囲に領域[PI]を有し、更に
その周囲に領域[PV]を有する図7に示すウェーハW3
である。インゴットから切出し鏡面研磨したこのウェー
ハW2を窒素雰囲気下、室温から1150℃まで約50
℃/秒の昇温速度で加熱し、1150℃で保持すること
なく第1段熱処理を行った。次いで水素ガス10%とア
ルゴンガス90%の雰囲気下、室温から1200℃まで
約50℃/分の昇温速度で加熱し、1200℃で1分間
保持することにより、第2段熱処理を行った。
【0034】<実施例7>第1段熱処理で30秒間保持
した以外、実施例6と同様にウェーハW3を熱処理し
た。 <実施例8>1200℃で保持することなく第1段熱処
理を行った以外、実施例6と同様にウェーハW3を熱処
理した。 <実施例9>第1段熱処理で5秒間保持した以外、実施
例8と同様にウェーハW3を熱処理した。 <実施例10>第1段熱処理で30秒間保持した以外、
実施例8と同様にウェーハW3を熱処理した。
【0035】<比較評価その3>実施例6〜10の各ウ
ェーハを劈開し、実施例1及び比較例1と同様にウェー
ハ表面から深さ350μmにおける領域部分のBMD面
積密度を測定した。これらの結果を表3に示す。表3か
ら明らかなように、実施例6〜10の2段熱処理によ
り、各ウェーハはIG効果に必要とされるBMD密度が
得られ、特に第1段熱処理が1200℃以上の実施例8
〜10ではより高いBMD密度が得られることが判っ
た。
【0036】
【表3】
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、請求項1に係る発明
によれば、点欠陥の凝集体が存在しないことに加えて、
シリコンウェーハの状態での熱処理回数が少なくして所
望のIG効果を発揮するウェーハを得ることができる。
また請求項2又は3に係る発明によれば、点欠陥の凝集
体が存在しないことに加えて、領域[PV]と領域
[PI]の混合領域からなる酸素濃度が0.8×1018
〜1.4×1018atoms/cm3(旧ASTM)の
シリコンウェーハであっても、IG効果を発揮するウェ
ーハを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ボロンコフの理論を基づいた、V/G比が臨界
点以上では空孔豊富インゴットが形成され、V/G比が
臨界点以下では格子間シリコン豊富インゴットが形成さ
れることを示す図。
【図2】所望の引上げ速度プロファイルを決定するため
の引上げ速度の変化を示す特性図。
【図3】本発明による基準インゴットの空孔豊富領域、
格子間シリコン豊富領域及びパーフェクト領域を示すX
線トポグラフィの概略図。
【図4】図3の位置P1に対応するシリコンウェーハW1
にOSFリングが出現する状況を示すウェーハW1の平
面図。
【図5】図3の位置P2に対応するインゴットの軸中心
を通って軸方向にスライスした断面図。
【図6】図3の位置P2に対応するシリコンウェーハW2
の中心部にOSFが出現する状況を示すウェーハW2
平面図。
【図7】図3の位置P3に対応するシリコンウェーハW3
の中心部と周辺部に領域[PV]が現れ、これらの間に
領域[PI]が現れる状況を示すウェーハW3の平面図。
OSFリングが出現する状況を示す図。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成12年9月4日(2000.9.4)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】ボロンコフの理論を基づいた、V/G比が臨界
点以上では空孔豊富インゴットが形成され、V/G比が
臨界点以下では格子間シリコン豊富インゴットが形成さ
れることを示す図。
【図2】所望の引上げ速度プロファイルを決定するため
の引上げ速度の変化を示す特性図。
【図3】本発明による基準インゴットの空孔豊富領域、
格子間シリコン豊富領域及びパーフェクト領域を示すX
線トポグラフィの概略図。
【図4】図3の位置P1に対応するシリコンウェーハW1
にOSFリングが出現する状況を示すウェーハW1の平
面図。
【図5】図3の位置P2に対応するインゴットの軸中心
を通って軸方向にスライスした断面図。
【図6】図3の位置P2に対応するシリコンウェーハW2
の中心部にOSFが出現する状況を示すウェーハW2
平面図。
【図7】図3の位置P3に対応するシリコンウェーハW3
の中心部と周辺部に領域[PV]が現れ、これらの間に
領域[PI]が現れる状況を示すウェーハW3の平面図
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 嘉信 東京都千代田区大手町1丁目5番1号 三 菱マテリアルシリコン株式会社内 Fターム(参考) 4G077 AA02 AB01 BA04 FE02 FE03 FE05 FE11 FE12

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 OSF顕在化熱処理をした際にウェーハ
    総面積の25%以上にOSFが発生しかつ転位発生を伴
    わない酸素析出物を1×105〜3×107個/cm2
    度で発生するシリコンウェーハを水素ガス又は水素ガス
    を含む雰囲気下で室温から1100〜1250℃まで3
    ℃/分〜150℃/秒の昇温速度で急速加熱し、1分〜
    2時間保持するIGウェーハの製造方法。
  2. 【請求項2】 格子間シリコン型点欠陥が支配的に存在
    する領域[I]に隣接しかつ点欠陥の凝集体が存在しな
    いパーフェクト領域[P]に属し侵入型転位を形成し得
    る最低の格子間シリコン濃度未満の領域を[PI]と
    し、空孔型点欠陥が支配的に存在する領域[V]に隣接
    しかつ前記領域[P]に属しCOP又はFPDを形成し
    得る空孔濃度以下の領域を[PV]とするとき、 [PV]と[PI]の混合領域からなりかつ酸素濃度が
    0.8×1018〜1.4×1018atoms/cm
    3(旧ASTM)であるシリコンウェーハを窒素、アル
    ゴン、水素、酸素又はこれらの混合ガス雰囲気下、60
    0〜850℃で120〜250分保持する第1段熱処理
    を行った後、 水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下で室温から110
    0〜1250℃まで3℃/分〜150℃/秒の昇温速度
    で急速加熱し、1分〜2時間保持する第2段熱処理を行
    うIGウェーハの製造方法。
  3. 【請求項3】 格子間シリコン型点欠陥が支配的に存在
    する領域[I]に隣接しかつ点欠陥の凝集体が存在しな
    いパーフェクト領域[P]に属し侵入型転位を形成し得
    る最低の格子間シリコン濃度未満の領域を[PI]と
    し、空孔型点欠陥が支配的に存在する領域[V]に隣接
    しかつ前記領域[P]に属しCOP又はFPDを形成し
    得る空孔濃度以下の領域を[PV]とするとき、 [PV]と[PI]の混合領域からなりかつ酸素濃度が
    0.8×1018〜1.4×1018atoms/cm
    3(旧ASTM)であるシリコンウェーハを窒素、アル
    ゴン、水素、酸素又はこれらの混合ガス雰囲気下で室温
    から1150〜1200℃まで10℃/秒〜150℃/
    秒の昇温速度で加熱し、1150〜1200℃で0〜3
    0秒間保持する第1段熱処理を行った後、 水素ガス又は水素ガスを含む雰囲気下で室温から110
    0〜1250℃まで3℃/分〜100℃/秒の昇温速度
    で急速加熱し、1分〜2時間保持する第2段熱処理を行
    うIGウェーハの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3いずれか記載の方法に
    より作られたIGウェーハであって、 酸素析出物の形成されない層がウェーハ表面から1〜1
    00μmの深さにわたって形成され、前記層より深い部
    分に2×104〜2×108個/cm2の密度で酸素析出
    物を有することを特徴とするIGウェーハ。
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