JP2001004829A - コレステリック液晶性フィルム - Google Patents

コレステリック液晶性フィルム

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JP2001004829A
JP2001004829A JP11175139A JP17513999A JP2001004829A JP 2001004829 A JP2001004829 A JP 2001004829A JP 11175139 A JP11175139 A JP 11175139A JP 17513999 A JP17513999 A JP 17513999A JP 2001004829 A JP2001004829 A JP 2001004829A
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film
cholesteric
liquid crystal
light
selective reflection
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JP11175139A
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Ryo Nishimura
涼 西村
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Original Assignee
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 視認性、意匠性に優れると共に、回折光自体
が円偏光や直線偏光のような特定の偏光を生じうる新た
なコレステリック液晶性フィルムを提供する。 【解決手段】 コレステリック選択反射の波長帯域幅が
30〜150nmであって、フィルムの一部に回折能を
示す領域を有したコレステリック液晶性フィルムであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光性を有する回
折光を生じることができる視認性、意匠性に優れたコレ
ステリック液晶性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】回折素子は、分光光学などの分野で光の
分光や光束の分割を行う目的で広く用いられている汎用
光学素子である。回折素子は、その形状からいくつかの
種類に分類され、光が透過する部分と透過しない部分を
周期的に配置した振幅型回折素子、透過性の高い材料に
周期的な溝を形成した位相型回折素子などに通常分類さ
れる。また、回折光の生じる方向に応じて透過型回折素
子、反射型回折素子と分類される場合もある。
【0003】上記の如き従来の回折素子では、自然光
(非偏光)を入射した際に得られる回折光は非偏光しか
得ることができない。分光光学などの分野で頻繁に用い
られるエリプソメーターのような偏光光学機器では、回
折光として非偏光しか得ることができないため、光源よ
り発した自然光を回折素子により分光し、さらにこれに
含まれる特定の偏光成分だけを利用するために、回折光
を偏光子を通して用いる方法が一般的に行われている。
この方法では、得られた回折光のうちの約50%以上が
偏光子に吸収されるために光量が半減するという問題が
あった。またそのために感度の高い検出器や光量の大き
な光源を用意する必要もあり、回折光自体が円偏光や直
線偏光のような特定の偏光となる回折素子の開発が求め
られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するものであり、液晶層構造を制御することで、コ
レステリック液晶層の一部の領域に回折能を付与するこ
とに成功した。さらに詳しくは、コレステリック液晶に
特有な選択反射特性および円偏光特性、それに併せて回
折能という新たな特性を付与した視認性および意匠性に
優れたコレステリック液晶性フィルムを発明するに至っ
た。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、コレ
ステリック選択反射の波長帯域幅が30〜150nmで
あり、かつフィルムの一部に回折能を示す領域を有した
コレステリック液晶性フィルムに関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明のコレステリック液晶性フィルムは、コレス
テリック選択反射の波長帯域幅が30〜150nmの単
層のフィルムであって、該フィルムの一部に回折能を示
す領域を有するものである。ここで本発明でいうコレス
テリック選択反射の波長帯域幅とは、コレステリック配
向を形成する液晶分子のねじれ方向と同一方向の円偏光
を入射した際に、選択反射による反射率が70%以上と
なる波長範囲を意味する。波長帯域幅が上記範囲から外
れた場合、コレステリック液晶性フィルム自体は色鮮や
かであるが選択反射光が暗い、またはその逆のケースが
起こりうる可能性があり、コレステリック配向に特有な
光学的効果である選択反射効果や呈色効果等が低減する
恐れがある。
【0007】また本発明のコレステリック液晶性フィル
ムのコレステリック選択反射の中心波長は、380〜7
80nm、好ましくは420〜700nmの可視域、ま
たは800〜2000nm、好ましくは850〜110
0の近赤外域の範囲にあることが望ましい。コレステリ
ック選択反射による反射色が目視により容易に確認でき
ることが求められる用途等においては、中心波長が上記
範囲の可視域から外れた場合には反射色が薄れ鮮やかさ
に欠ける等の恐れがある。また適切な光源および/また
は検出器を用いてコレステリック選択反射を利用する用
途等においては、中心波長が上記範囲の近赤外域から外
れた場合に汎用の光源では光量が不足する、また汎用の
検出器では感度が不足する等の恐れがある。
【0008】本発明のコレステリック液晶性フィルム
は、上記コレステリック選択反射の波長帯域幅を有する
単層フィルムの一部に回折能を示す領域を有するもので
ある。ここで回折能を示す領域とは、その領域を透過し
た光またはその領域で反射された光が、幾何学的には影
になる部分に回り込むような効果を生じる領域を意味す
る。また回折能を示す領域の有無は、例えばレーザー光
等をフィルムに入射し、直線的に透過または反射する光
(0次光)以外に、ある角度をもって出射する光(高次
光)の有無により確認することができる。また別法とし
ては、原子間力顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで液晶層
の表面形状や断面形状を観察することにより、回折能を
示す領域の有無を確認することができる。
【0009】また本発明のコレステリック液晶性フィル
ムにおける回折能を示す領域は、フィルム表面および/
またはフィルム内部のいずれの領域であってもよく、例
えばフィルム表面の一部(フィルム表面領域)、フィル
ム内部の一部(フィルム内部領域)に有するものであっ
てもよい。また回折能を示す領域は、単層フィルムの複
数領域、例えばフィルム表裏面領域、複数のフィルム内
部領域にそれぞれ有するものであってもよい。また回折
能を示す領域は、例えばフィルム表面や内部に均一な厚
さを持った層状態として形成されていることは必ずしも
必要とせず、フィルム表面やフィルム内部の少なくとも
一部に該領域が形成されていればよい。例えば回折能を
示す領域が、所望の図形、絵文字、数字、記号等の型を
象るように有したものであってもよい。さらに回折能を
示す領域を複数有する場合、全ての該領域が同じ回折能
を示す必要性はなく、それぞれの領域において異なった
回折能を示すものであってもよい。また回折能を示す領
域の配向状態は、コレステリック液晶相における螺旋軸
方位が膜厚方向に一様に平行ではないコレステリック配
向、好ましくはコレステリック液晶相における螺旋軸方
位が膜厚方向に一様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜
厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向を形
成していることが望ましい。また回折能を示す領域以外
においては、通常のコレステリック配向と同様の配向状
態、すなわちコレステリック液晶相における螺旋軸方位
が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向
に一様に等間隔な螺旋構造を形成していることが望まし
い。なお本発明でいうフィルム表面とは、コレステリッ
ク液晶性フィルム単体において外部に接する部分を、ま
たフィルム内部とは、外部に接する以外の部分をそれぞ
れ意味する。
【0010】上述のようなコレステリック選択反射の波
長帯域幅および回折能を示す領域を有した本発明のコレ
ステリック液晶性フィルムは、例えば高分子液晶、低分
子液晶またはその混合物等をフィルム材料としてコレス
テリック配向フィルムを形成した後、コレステリック配
向フィルムに回折素子基板を貼り合わせ、熱および/ま
たは圧力を加えることによってコレステリック配向フィ
ルムに回折素子基板の回折パターンを転写する方法、ま
たは回折素子基板を配向基板として低分子液晶、高分子
液晶またはその混合物をコレステリック配向させた後、
その配向状態を維持したまま固定化する等の方法により
得ることができる。
【0011】コレステリック液晶性フィルムのフィルム
材料となる高分子液晶としては、コレステリック配向が
固定化できるものであれば特に制限はなく、主鎖型、側
鎖型高分子液晶等いずれでも使用することができる。具
体的にはポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネー
ト、ポリエステルイミド等の主鎖型液晶ポリマー、ある
いはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロ
ネート、ポリシロキサン等の側鎖型液晶ポリマーが挙げ
られる。なかでもコレステリック配向を形成する上で配
向性が良く、合成も比較的容易である液晶性ポリエステ
ルが望ましい。液晶性ポリエステルの構成単位として
は、例えば芳香族あるいは脂肪族ジオール単位、芳香族
あるいは脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族あるいは脂肪
族ヒドロキシカルボン酸単位等を好適な例として挙げる
ことができる。
【0012】またコレステリック液晶性フィルムのフィ
ルム材料となる低分子液晶としては、例えばアクリロイ
ル基、ビニル基、エポキシ基等の官能基を導入したビフ
ェニル誘導体、フェニルベンゾエート誘導体、スチルベ
ン誘導体等を基本骨格とした液晶が挙げられる。また低
分子液晶としては、ライオトロピック性、サーモトロピ
ック性のどちらも用いることができるが、サーモトロピ
ック性を示すものが作業性、プロセス等の観点からより
好適である。
【0013】また最終的に得られるコレステリック液晶
性フィルムの耐熱性を向上させるために、フィルム材料
中に高分子液晶や低分子液晶等の他にコレステリック相
の発現を妨げない範囲において、例えばビスアジド化合
物やグリシジルメタクリレート等の架橋剤を添加するこ
ともでき、これら架橋剤を添加することによりコレステ
リック液晶相を発現させた状態で架橋させることもでき
る。さらにフィルム材料中には、二色性色素、染料、顔
料、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ハードコート剤等の各
種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲において適宜
添加することもできる。
【0014】また上述したコレステリック選択反射の波
長帯域幅は、フィルム材料を構成するネマチック相やコ
レステリック相を示す高分子液晶および/または低分子
液晶、また必要に応じて光学活性部位を有する化合物、
液晶性を示さない化合物等の構成比を適宜調節すること
によって所望の当該帯域幅を有するコレステリック液晶
性フィルムを得ることができる。
【0015】回折パターンを転写する前のコレステリッ
ク配向フィルムは公知の方法、例えば高分子液晶を用い
る場合には、例えば支持基板または基板上に形成された
配向膜上に高分子液晶を配した後、熱処理等によってコ
レステリック液晶相を発現させ、その状態から急冷して
コレステリック配向を固定化する方法等を採用すること
ができる。また低分子液晶を用いる場合には、例えば支
持基板または基板上に形成された配向膜上に低分子液晶
を配した後、熱処理等によってコレステリック液晶相を
発現させ、その状態を維持したまま光、熱または電子線
等により架橋させてコレステリック配向を固定化する方
法等を適宜採用することができる。
【0016】回折パターンの転写に用いる、または上記
の如きフィルム材料の配向支持基板となる回折素子基板
としては、金属や樹脂のような材料から形成された回折
素子基板、フィルム表面に回折機能を付与したもの、あ
るいはフィルムに回折機能を有する薄膜を転写したもの
等、およそ回折機能を有するものであれば如何なる材
質、構成からなる回折素子基板であっても良い。なかで
も取扱いの容易さや量産性を考えた場合、回折機能を有
するフィルムまたはフィルム積層体を回折素子基板とし
て用いることが本発明では望ましい。
【0017】またここでいう回折素子とは、平面型ホロ
グラムの原版等の回折光を生じる回折素子全てをその定
義として含む。またその種類については、表面形状に由
来する回折素子、いわゆる膜厚変調ホログラムのタイプ
であってもよいし、表面形状に因らない、または表面形
状を屈折率分布に変換した位相素子、いわゆる屈折率変
調ホログラムのタイプであっても良い。本発明において
は、回折素子の回折パターン情報をより容易に液晶に付
与することができる点から、膜厚変調ホログラムタイプ
の回折素子基板がより好適に用いられる。また屈折率変
調タイプの回折素子基板であっても、表面形状に回折を
生じる起伏を有したものであれば本発明に好適に用いる
ことができる。
【0018】また回折パターンの転写方法としては、例
えば一般に用いられるヒートローラー、ラミネーター、
ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド等を用い、加
圧および/または加温条件下にて行うことができる。加
圧条件、加温条件は、用いられる高分子液晶や低分子液
晶等の諸物性、回折素子基板の種類等によって異なり、
一概には言えないが、通常、圧力0.01〜100MP
a、好ましくは0.05〜80MPa、温度30〜40
0℃、好ましくは40〜300℃の範囲において用いら
れる液晶や基板等の種類によって適宜選択される。また
回折パターンを転写する際には、加圧および加温を同時
に加えられる条件下において転写することが本発明では
望ましい。上記の如き加温および/または加圧条件下に
て回折素子基板の回折パターンをコレステリック配向フ
ィルムに転写し、フィルムの一部に回折能を示す領域を
有した本発明のコレステリック液晶性フィルムを得るこ
とができる。
【0019】また回折素子基板を配向基板として用いる
場合には、フィルム材料を例えば溶液塗布、溶融塗布な
どの方法によって当該基板上に展開した後、熱処理し冷
却する方法、またはフィルム材料によっては熱処理を行
った後、光または電子線を照射する方法等によって、フ
ィルムの一部に回折能を示す領域を有した本発明のコレ
ステリック液晶性フィルムを得ることができる。またコ
レステリック液晶性フィルムの実膜厚としては、特に制
限されるものではないが、量産性、製造プロセスの面か
ら、通常0.1〜30μm、好ましくは0.3〜20μ
m、さらに好ましくは0.5〜10μmであることが望
ましい。
【0020】以上の方法で得られる本発明のコレステリ
ック液晶性フィルムには、そのフィルム表面を保護する
目的で適宜保護層を設けることもできる。保護層として
は、紫外線吸収性および/またはハードコート性を有す
るものであることが特に望ましい。例えば紫外線吸収剤
およびハードコート剤を含有した保護層形成材料をフィ
ルム状物、シート状物、薄膜状物、板状物に形成したも
のを保護層として用いることができる。また紫外線吸収
剤を含有した保護層形成材料からなる紫外線吸収性を有
した保護層(以下、紫外線吸収層)と、ハードコート剤
を含有した保護層形成材料からなるハードコート性を有
した保護層(以下、ハードコート層)との積層物を保護
層として用いることもできる。また一般に市販されてい
る紫外線カットフィルムやハードコートフィルム、また
当該フィルムの積層物を保護層として用いることができ
る。また紫外線吸収層に各種ハードコート剤を塗布して
成膜した積層物も保護層として用いることができる。こ
こで紫外線吸収層およびハードコート層は、それぞれ2
層以上から形成されてもよく、各層はそれぞれ接着剤層
等を介して積層することができる。
【0021】保護層形成材料としては、光透過性が高い
ものが望ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)、ポリスチレ
ン、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、
ポリスルフォン、セルロース系樹脂等に紫外線吸収剤お
よび/またはハードコート剤を添加したものを用いるこ
とができる。また保護層としては、光または電子線硬化
型の反応性接着剤に紫外線吸収剤および/またはハード
コート剤を添加した接着剤組成物を用いることもでき、
その接着剤組成物の硬化物を保護層とすることもでき
る。
【0022】紫外線吸収剤としては、保護層形成材料に
相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、例
えばベンゾフェノン系化合物、サルシレート系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合
物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外線吸収
剤、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系紫
外線吸収剤を用いることができる。なかでも紫外線吸収
効率が高いベンゾフェノン系化合物が好適に用いられ
る。また紫外線吸収剤は、1種単独または複数種添加す
ることができる。保護層中の紫外線吸収剤の配合割合
は、使用する保護層形成材料により異なるが、通常0.
1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%であ
る。
【0023】ハードコート剤としては、保護層形成材料
に相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、
例えばオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂系のア
クリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート系、エポキ
シアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、熱硬
化型樹脂系のアクリル−シリコン系、またはセラミック
ス等の無機系化合物等を用いることができる。なかでも
成膜性等の観点からオルガノポリシロキサン系、光硬化
型樹脂系であるアクリルオリゴマー系のハードコート剤
が好適に用いられる。なおこれらのハードコート剤は、
無溶媒型、溶媒型のいずれであっても使用することがで
きる。
【0024】光または電子線硬化型の反応性接着剤とし
ては、光または電子線重合性を有するプレポリマーおよ
び/またはモノマーに必要に応じて他の単官能、多官能
性モノマー、各種ポリマー、安定剤、光重合開始剤、増
感剤等を配合したものを用いることができる。
【0025】光または電子線重合性を有するプレポリマ
ーとしては、具体的にはポリエステルアクリレート、ポ
リエステルメタクリレート、ポリウレタンアクリレー
ト、ポリウレタンメタクリレート、エポキシアクリレー
ト、エポキシメタクリレート、ポリオールアクリレー
ト、ポリオールメタクリレート等を例示することができ
る。また光または電子線重合性を有するモノマーとして
は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、2官
能アクリレート、2官能メタクリレート、3官能以上の
多官能アクリレート、多官能メタクリレート等が例示で
きる。またこれらは市販品を用いることもでき、例えば
アロニックス(アクリル系特殊モノマー、オリゴマー;
東亞合成社製)、ライトエステル(共栄社化学社製)、
ビスコート(大阪有機化学工業社製)等を用いることが
できる。
【0026】また光重合開始剤としては、例えばベンゾ
フェノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、ベンゾイ
ン誘導体類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベン
ジル誘導体類、トリアジン誘導体類、アシルホスフィン
オキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【0027】保護層として用いることができる光または
電子線硬化型の反応性接着剤の粘度は、接着剤の加工温
度等により適宜選択するものであり一概にはいえない
が、通常25℃で10〜2000mPa・s、好ましく
は50〜1000mPa・s、さらに好ましくは100
〜500mPa・sである。粘度が10mPa・sより
低い場合、所望の厚さが得られ難くくなる。また200
0mPa・sより高い場合には、作業性が低下する恐れ
があり望ましくない。粘度が上記範囲から外れている場
合には、適宜、溶剤やモノマー割合を調整し所望の粘度
にすることが好ましい。
【0028】光硬化型の反応性接着剤を用いた場合、そ
の接着剤の硬化方法としては公知の硬化手段、例えば低
圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド
ランプ、キセノンランプ等を使用することができる。ま
た露光量は、用いる反応性接着剤の種類により異なるた
め一概にはいえないが、通常50〜2000mJ/cm
2、好ましくは100〜1000mJ/cm2である。
【0029】また電子線硬化型の反応性接着剤を用いた
場合、その接着剤の硬化方法としては、電子線の透過力
や硬化力により適宜選定されるものであり一概にはいえ
ないが、通常、加速電圧が50〜1000kV、好まし
くは100〜500kVの条件で照射して硬化すること
ができる。
【0030】また上記の如き保護層形成材料には、紫外
線吸収剤およびハードコート剤の他に必要に応じてヒン
ダードアミンや消光剤等の光安定剤、帯電防止剤、スベ
リ性改良剤、染料、顔料、界面活性剤、微細なシリカや
ジルコニア等の充填剤等の各種添加剤を配合することも
できる。これら各種添加剤の配合割合は、本発明の効果
を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常0.
01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%であ
る。
【0031】また保護層を構成する紫外線吸収層は、先
に説明した保護層形成材料に紫外線吸収剤、必要に応じ
て光安定剤等を適宜配合したものを用いて形成すること
ができる。さらに一般に市販されている紫外線カットフ
ィルム等を紫外線吸収層として本発明に用いることもで
きる。
【0032】また保護層を構成するハードコート層は、
先に説明した保護層形成材料にハードコート剤、場合に
より各種添加剤を配合したものを用いて形成することが
できる。またハードコート層としては、上記ハードコー
ト剤を透明な支持フィルム上に塗布して形成したもので
あってもよい。透明な支持フィルムとしては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイ
ド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロ
ース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等から形成されるフィルムを挙げることができ
る。
【0033】紫外線吸収層とハードコート層とは接着剤
等を介して積層したものを保護層とすることができる
が、その際に用いられる接着剤としては、先に説明した
光または電子線硬化型の反応性接着剤等を好適な例とし
て挙げられる。また接着剤として紫外線吸収剤を含有し
たものを用い、別に用意したハードコート層を本発明の
コレステリック液晶性フィルムに積層することにより保
護層を形成することもできる。また接着剤には必要に応
じて染料、顔料、界面活性剤等を適宜添加してもよい。
【0034】さらにハードコート層としては、グラビア
インキ用ビヒクル樹脂等も好適に用いることができる。
グラビアインキ用ビヒクル樹脂としては、例えばニトロ
セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリウ
レタン、ポリエステル等が挙げられる。またグラビアイ
ンキ用ビヒクル樹脂中に接着性向上や皮膜強度向上の為
に、例えばエステルガム、ダンマルガム、マレイン酸樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キ
シレン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等のハードレジン
を配合してもよい。
【0035】またハードコート層の構成は、要求される
耐候性等に応じてハードコート層1層または複合層にす
ることができる。複合層としては、例えばオルガノポリ
シロキサンを含むハードコート層、光硬化型樹脂を含む
ハードコート層、熱硬化型樹脂を含むハードコート層、
無機化合物を含むハードコート層等、それぞれを組み合
わせて2層以上からなる複合層をハードコート層として
用いることもできる。
【0036】本発明のコレステリック液晶性フィルムに
保護層となる紫外線吸収層および/またはハードコート
層を成膜する方法としては、通常ロールコート法、ディ
ッピング法、グラビアコート法、バーコート法、スピン
コート法、スプレーコート法、プリント法等の公知の方
法を採用することができる。これら方法によりコレステ
リック液晶性フィルム上に成膜した後、使用した保護層
形成材料に応じた後処理を施すことにより保護層を形成
することができる。また紫外線吸収層とハードコート層
との複合層からなる保護層の形成方法としては、例えば
紫外線吸収層に直接ハードコート剤を塗布形成する方
法、接着剤等を介して積層する方法等が挙げられる。
【0037】保護層の膜厚は、紫外線吸収性および/ま
たはハードコート性のそれぞれが求められる性能に応じ
て異なるため一概には言えないが、通常0.1〜100
μm、好ましくは1〜50μmである。また保護層が紫
外線吸収層およびハードコート層との複合層から形成さ
れる場合も、各層の全膜厚が上記範囲に入ることが望ま
しい。
【0038】本発明のコレステリック液晶性フィルム
は、回折光が円偏光性を有するという、従来の光学部材
には無い特異な効果を有する。この効果により、例えば
エリプソメーターのような偏光を必要とする分光光学機
器に用いることにより、光の利用効率を極めて高くする
ことが可能となる。従来の偏光を必要とする分光光学機
器では、光源より発した光を回折格子やプリズム等の分
光素子を用いて波長ごとに分光した後に偏光子を透過さ
せる、または偏光子を透過させた後に分光する必要があ
り偏光子が必須であった。この偏光子は、入射した光の
約50%を吸収してしまい、また界面での反射が生じる
ために光の利用効率が極めて悪いといった問題があった
が、本発明のコレステリック液晶性フィルムを用いるこ
とにより光の利用効率を極めて高く、理論的には約10
0%利用することが可能となる。また本発明のコレステ
リック液晶性フィルムは、通常の偏光板を用いることに
よって容易に回折光の透過および遮断をコントロールす
ることが可能である。通常、偏光性を有していない回折
光では、どのような偏光板と組み合わせても完全に遮断
することはできない。すなわち本発明のコレステリック
液晶性フィルムでは、例えば右偏光性を有する回折光
は、左円偏光板を用いた時にのみ完全に遮断することが
でき、それ以外の偏光板を用いても完全な遮断を実現す
ることができないものである。このような効果を有する
ことから、例えば観察者が偏光板越しに回折像を観察す
る環境において、偏光板の状態を変化させることによっ
て、回折像を暗視野から突然浮かび上がらせたり、また
突然消失させたりすることが可能となる。
【0039】以上のように本発明のコレステリック液晶
性フィルムは、新たな回折機能素子として応用範囲は極
めて広く、種々の光学用素子や光エレクトロニクス素
子、装飾用部材、偽造防止用素子等として使用すること
ができる。
【0040】具体的に光学用素子や光エレクトロニクス
素子としては、例えば支持基板として透明かつ等方なフ
ィルム、例えばフジタック(富士写真フィルム社製)、
コニカタック(コニカ社製)などのトリアセチルセルロ
ースフィルム、TPXフィルム(三井化学社製)、アー
トンフィルム(日本合成ゴム社製)、ゼオネックスフィ
ルム(日本ゼオン社製)、アクリプレンフィルム(三菱
レーヨン社製)等に本発明のコレステリック液晶性フィ
ルムを積層した光学積層体とすることによって様々な光
学用途への展開を図ることが可能である。例えば当該光
学積層体をTN(twisted nematic)−
LCD(Liquid CrystalDispla
y)、STN(Super Twisted Nema
tic)−LCD、ECB(Electrically
Controlled Birefringenc
e)−LCD、OMI(Optical Mode I
nterference)−LCD、OCB(Opti
cally Compensated Birefri
ngence)−LCD、HAN(Hybrid Al
igned Nematic)−LCD、IPS(In
Plane Switching)−LCD等の液晶
ディスプレーに備えることによって色補償および/また
は視野角改良された各種LCDを得ることができる。ま
た光学積層体を上記したように分光された偏光を必要と
する分光光学機器、回折現象により特定の波長を得る偏
光光学素子、光学フィルター、円偏光板、光拡散板等と
して用いることも可能であり、さらに1/4波長板と組
み合わせることによって直線偏光板を得ることもできる
等、光学用素子や光エレクトロニクス素子として従来に
ない光学効果を発現しうる様々な光学部材を提供するこ
とができる。
【0041】装飾用部材としては、回折能による虹色呈
色効果とコレステリック液晶による色鮮やかな呈色効果
等を併せ持った新たな意匠性フィルムをはじめ様々な意
匠性成形材料等を得ることができる。また薄膜化できる
ことから既存製品等に添付する、一体化する等の方法に
よって意匠性を付与し、他の類似製品との差別化にも大
きく貢献することが期待できる。例えば、意匠性のある
回折パターンを組み込んだ本発明のコレステリック液晶
性フィルムをガラス窓等に張り付けると外部からはその
視角によって前記回折パターンを伴ったコレステリック
液晶特有の選択反射が異なった色に見え、ファッション
性に優れるものとなる。また明るい外部からは内部が見
え難く、それにもかかわらず内部からは外部の視認性が
よい窓とすることができる。
【0042】偽造防止用素子としては、回折素子および
コレステリック液晶のそれぞれの偽造防止効果を併せ持
った新たな偽造防止フィルム、シール、ラベル等として
用いることができる。具体的には本発明のコレステリッ
ク液晶性フィルムを例えば自動車運転免許証、身分証明
証、パスポート、クレジットカード、プリペイドカー
ド、各種金券、ギフトカード、有価証券等と一体化す
る、または一部に設ける、具体的には貼り付ける、埋め
込む、紙類に織り込むことによりその効果を発現でき
る。また本発明のコレステリック液晶性フィルムは、回
折能を示す領域がコレステリック液晶層の一部に有して
おり、またコレステリック液晶の波長選択反射性、円偏
光選択反射性、色の視角依存性、コレステリックカラー
の美しい色を呈する効果を併せ持ったものである。した
がって本発明のコレステリック液晶性フィルムを偽造防
止用素子として用いた場合、当該フィルムの偽造は極め
て困難であると言える。また偽造防止効果あわせて、回
折素子の虹色呈色効果、コレステリック液晶の色鮮やか
な呈色効果を有することから意匠性にも優れたものとな
る。
【0043】これらの用途はほんの一例であり、本発明
のコレステリック液晶性フィルムは、従来、回折素子単
体、コレステリック液晶性フィルム単体が使用されてい
る各種用途や、新たな光学的効果を発現することが可能
であること等から前記用途以外の様々な用途にも応用展
開が可能である。
【0044】
【実施例】以下に実施例について述べるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0045】(参考例1)テレフタル酸50mmol、
ヒドロキシ安息香酸20mmol、カテコール20mm
ol、(R)−2−メチル−1,4−ブタンジオール1
0mmolおよび酢酸ナトリウム100mgを用いて窒
素雰囲気下、180℃で1時間、200℃で1時間、2
50℃で1時間と段階状に昇温しながら重縮合反応を行
った。
【0046】次いで窒素を流しながら250℃で2時間
重縮合反応を続け、さらに減圧下同温度で1時間重縮合
を行った。得られたポリマーをテトラクロロエタンに溶
解後、メタノールで再沈澱を行い、液晶性ポリエステル
を得た。
【0047】得られた液晶性ポリエステルのN−メチル
−2−ピロリドン溶液(20重量%)を調製し、該溶液
をラビング処理したポリフェニレンスルフィドフィルム
上にスピンコート法で塗布した。塗布した後、乾燥処理
を行いN−メチル−2−ピロリドンを除去し、ポリフェ
ニレンスルフィドフィルム上に液晶性ポリエステルの塗
布膜を形成した。
【0048】次いで該液晶性フィルムの塗布膜を200
℃の加熱雰囲気において5分間熱処理を行い、室温下に
冷却することによって、ポリフェニレンスルフィドフィ
ルム上に金色の鏡面反射を呈する液晶性ポリエステルフ
ィルムを得た。
【0049】同フィルムを日本分光社製製紫外可視近赤
外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定した
ところ、中心波長が約600nm、選択反射波長帯域幅
が約100nmの選択反射を示すコレステリック配向が
固定化されたコレステリック配向フィルムであることが
確認された。またコレステリック配向フィルムの配向状
態を偏光顕微鏡観察およびフィルム断面の透過型電子顕
微鏡観察したところ、コレステリック相における螺旋軸
方位が膜厚方向に一様に平行で、また螺旋ピッチが膜厚
方向に一様に等間隔なコレステリック配向を形成してい
ることが確認できた。
【0050】なお得られたポリエステルの各分析方法は
以下の通りである。 (1)ポリマーの対数粘度 ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロ
エタン=60/40(重量比)溶媒中、濃度0.5g/
100ml,30℃で測定した。 (2)ガラス転移点(Tg) Du Pont 990 Thermal Analyzer を使用して測定した。 (3)液晶相の同定 オリンパス光学社製BH2偏光顕微鏡を用いて観察し
た。
【0051】(参考例2〜6)参考例1と同様な方法に
よって各種組成の液晶性ポリエステルを合成した。結果
を表1に示す。
【0052】また参考例1と同様に各種液晶性ポリエス
テルをN−メチル−2−ピロリドン溶液を調整し、熱処
理を行うことによって配向基板として用いたポリフェニ
レンスルフィドフィルム上にコレステリック配向フィル
ムを得た。得られたフィルムのコレステリック選択反射
の波長帯域幅、中心波長、選択反射色を表1に示した。
【0053】得られた各フィルムについてそれぞれの配
向状態を偏光顕微鏡観察およびフィルム断面の透過型電
子顕微鏡観察したところ、コレステリック相における螺
旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、また螺旋ピッチが
膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向を形成し
ていることが確認できた。
【0054】
【表1】
【0055】表1中、各記号は次の化合物を意味する。 TPA:テレフタル酸,MHQ:メチルヒドロキノン,CT:カ
テコール,MBD:(R)-2-メチル-1,4-ブタンジオール,BP
DA:4,4'-ビフェニルジカルボン酸,CHQ:クロロヒドロ
キノン,MHD:(R)-3-メチル-1,6-ヘキサンジオール,HB
A:ヒドロキシ安息香酸,NDCA:2,6-ナフタレンジカル
ボン酸,HQ:ヒドロキノン,CCT:3-クロロカテコー
ル,DMBD:(R) (R)-2,3-ジメチル-1,4-ブタンジオー
ル,t-BHQ:t-ブチルヒドロキノン,PA:フタル酸 (実施例1)参考例1で得られたコレステリック配向フ
ィルムのコレステリック液晶面に、エドモンド・サイエ
ンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム
(刻線900本/mm)を、液晶面と回折面が向き合う
ように重ね合わせ、東京ラミネックス社製ラミネーター
DX−350を用い、150℃、0.3MPa、ロール
接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行った。その後、
室温まで冷却し、刻線式回折格子フィルムを取り除い
た。
【0056】回折格子フィルムが重ねられていたコレス
テリック配向フィルム面を観察したところ、回折パター
ンに起因する虹色とコレステリック液晶に起因する金色
の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィル
ムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状
態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微
鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸
方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチ
が膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向
が液晶層の表面領域に形成されていることが確認され
た。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚
方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様
に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確
認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直
にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射し
たところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光
が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常
の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右
円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射
回折光とコレステリック液晶に起因する金色の反射色が
同時に観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさと
ほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光の
み透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色
の反射回折光もコレステリック液晶に起因する金色の反
射色も観察されなかった。
【0057】さらに日本分光社製紫外可視近赤外分光光
度計V−570にて当該液晶層の透過スペクトルを測定
したところ、回折パターンを転写する前のコレステリッ
ク配向フィルムと同様に中心波長が約600nm、選択
反射波長帯域幅が約100nmのコレステリック選択反
射を示すことが確認された。
【0058】以上のことからコレステリック選択反射の
波長帯域が約100nm、かつ回折能を示す領域をフィ
ルム表面領域に有したコレステリック液晶フィルムが得
られたことを確認した。
【0059】(実施例2〜6)実施例1と同様に、各参
考例で得られたコレステリック配向フィルムの上に、エ
ドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式
回折格子フィルム(刻線900本/mm)を、液晶面と
回折面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラ
ミネーターDX−350を用い、150℃、0.3MP
a、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行った
後、室温まで冷却し、刻線式回折格子フィルムを取り除
いた。
【0060】回折格子フィルムが重ねられていたコレス
テリック配向フィルム面を観察したところ、回折パター
ンに起因する虹色とコレステリック液晶に起因する表1
に記載の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子
フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の
配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電
子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における
螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋
ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリッ
ク配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認
された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が
膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に
一様に等間隔なコレステリック配向が形成していること
が確認された。またコレステリック配向フィルム面内に
垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入
射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザ
ー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、
通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板
(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の
反射回折光とコレステリック液晶に起因する表1記載の
反射色が同時に観察され、偏光板なしで観察した場合の
明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左
円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野とな
り、虹色の反射回折光もコレステリック液晶に起因する
反射色も観察されなかった。
【0061】さらに日本分光社製紫外可視近赤外分光光
度計V−570にて液晶層の透過スペクトルを測定した
ところ、回折パターンを転写する前のコレステリック配
向フィルムと同じ選択反射波長帯域幅を示すことが確認
された。以上のことから回折能をフィルム表面領域に有
し、かつ視認性、意匠性に優れたコレステリック液晶フ
ィルムが得られたことを確認した。
【0062】(参考例7)メチルヒドロキノン−ビス
(4−(6−アクリロイロキシオヘキシルオキシ)安息
香酸)エステル 6.42g、4−シアノフェノール−
4−(6−アクリロイロキシオヘキシルオキシ)安息香
酸エステル 0.98g、市販のキラルドーパント液晶
S−811(ロディック社製)2.60gをN−メチル
−2−ピロリドン90gに溶解した。該溶液にフッ素系
界面活性剤S−383(旭硝子社製)を0.5mg、光
反応開始剤イルガキュアー907(チバガイギー社製)
0.3g、増感剤ジエチルチオキサントン 0.1g
を添加し、表面をレーヨン布によりラビング処理したポ
リエチレンナフタレート(PEN)フィルム(三菱ダイ
ヤホイル社製)上にバーコーターを用いて塗布した。塗
布膜を形成した後、PENフィルムごと60℃に設定し
たクリーンオーブンに投入し、15分乾燥を行った。次
いで80℃に設定したオーブン中で5分間熱処理し、そ
の温度から約1℃/分で50℃まで冷却することにより
PENフィルム上にコレステリック配向層を得た。次い
で50℃に設定したオーブンに投入し、酸素濃度250
ppm以下の窒素雰囲気下においてUV照射を行った。
UV光源としては高圧水銀灯を使用し、照射強度は最大
120W/cm2、照射時間5秒の間の積算照射量は1
35mJで行った。照射後のコレステリック配向層はほ
ぼ硬化しており、硬化前に見られた流動性はなかった
が、その表面硬度は鉛筆硬度にして6Bよりも低く、正
確な硬度は測ることが出来なかった。
【0063】(実施例7)参考例7で得られたコレステ
リック配向層を、PENフィルムごとラビング方向が長
手方向となるように10cm×3cmの長方形に切り出
した。次いで市販のエンボス版フィルムJ52,989
(エドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製)
を、回折格子の格子方位が長手方向となるように12c
m×5cmの長方形に切り出しものに、コレステリック
配向層の液晶面側とエンボス版フィルムの回折格子面が
接するように重ね合わせ、一方の短辺をセロテープで固
定し、該短辺を先頭にして温度72℃、毎秒30mmの
移動速度で熱ラミネート装置DX−350(東ラミ社
製)に通した。熱ラミネート後、コレステリック配向層
とエンボス版フィルムは一体となって密着していた。室
温まで冷却した後、コレステリック配向層にエレクトロ
ンビーム(EB)を照射した。EB照射は、アイエレク
トロンビーム社製のEB照射装置を用い、室温下、酸素
濃度0.20%の雰囲気において、加速電圧30kVに
て行った。EB照射後、フィルム長手方向に沿ってエン
ボス版フィルムを剥離除去した。支持PENフィルム上
に残されたEB照射後のコレステリック配向層は硬化し
ており、その表面硬度は鉛筆硬度にして2H程度であっ
た。こうして得られた積層体(コレステリック配向層/
PENフィルム)を日本分光社製紫外可視近赤外分光光
度計V−570にて透過スペクトルを測定したところ、
中心波長が約580nm、選択反射波長帯域幅が約40
nmの選択反射を示すコレステリック配向が固定化され
たコレステリック配向フィルムをPENフィルム上に形
成していることが確認された。またコレステリック配向
に起因する反射光とは別に、フィルム長手方向を12時
方位に見たときに3時、また9時の方位から斜めに見た
場合に、回折格子に特徴的な虹色の光が観察された。ま
たコレステリック配向フィルムの配向状態を偏光顕微鏡
観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたと
ころ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向
に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一
様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面
領域に形成されていることが確認された。またそれ以外
の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行
で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレス
テリック配向が形成していることが確認された。さらに
該フィルム面にPEN側から垂直にHe/Neレーザー
を入射したところ、0゜および約±9゜の出射角に0次
および±1次の回折光が観察された。さらに偏光特性を
確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体を
おき、左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察し
たところ、虹色の反射回折光とコレステリック液晶に起
因する非常に鮮やかな黄色の反射色が同時に観察され、
偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであっ
た。これに対し右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介し
て観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光も
コレステリック液晶に起因する黄色の反射色も観察され
なかった。
【0064】以上のことから回折能をフィルム表面領域
に有し、かつ中心波長が約580nm、選択反射波長帯
域幅が約40nmのコレステリック選択反射を示すコレ
ステリック液晶フィルムをPENフィルム上に得られた
ことを確認した。
【0065】
【発明の効果】本発明のコレステリック液晶性フィルム
は、コレステリック選択反射の波長帯域幅が30〜15
0nmであり、かつフィルムの一部に回折能を示す領域
を有したものであることから、視認性、意匠性に非常に
優れ、かつ回折光が円偏光性を有するといった従来の光
学フィルムにはない特異な光学特性を有するものであ
る。またこのような光学特性を有することから、回折機
能素子としてその応用範囲は極めて広く、例えば液晶デ
ィスプレー等の光学素子、光エレクトロニクス素子、装
飾用材料、偽造防止用素子等の光学部材として本発明の
コレステリック液晶性フィルムを好適に用いることがで
きる等、工業的価値が極めて高い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コレステリック選択反射の波長帯域幅
    が30〜150nmであり、かつフィルムの一部に回折
    能を示す領域を有したコレステリック液晶性フィルム。
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