JP2001004834A - 偏光回折素子 - Google Patents

偏光回折素子

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JP2001004834A
JP2001004834A JP11175436A JP17543699A JP2001004834A JP 2001004834 A JP2001004834 A JP 2001004834A JP 11175436 A JP11175436 A JP 11175436A JP 17543699 A JP17543699 A JP 17543699A JP 2001004834 A JP2001004834 A JP 2001004834A
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liquid crystal
cholesteric
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layer
diffraction element
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JP11175436A
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Ryo Nishimura
涼 西村
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Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 偏光性を有する回折光を生じることができる
偏光回折素子を提供する。 【解決手段】 一部に回折能を示す領域を有したコレス
テリック液晶層から少なくとも構成され、当該液晶層の
コレステリック配向における螺旋巻き数が2〜20巻き
の範囲である偏光回折素子である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光性を有する回
折光を生じることができる偏光回折素子に関する。
【0002】
【従来の技術】回折素子は、分光光学などの分野で光の
分光や光束の分割を行う目的で広く用いられている汎用
光学素子である。回折素子は、その形状からいくつかの
種類に分類され、光が透過する部分と透過しない部分を
周期的に配置した振幅型回折素子、透過性の高い材料に
周期的な溝を形成した位相型回折素子などに通常分類さ
れる。また、回折光の生じる方向に応じて透過型回折素
子、反射型回折素子と分類される場合もある。
【0003】上記の如き従来の回折素子では、自然光
(非偏光)を入射した際に得られる回折光は非偏光しか
得ることができない。分光光学などの分野で頻繁に用い
られるエリプソメーターのような偏光光学機器では、回
折光として非偏光しか得ることができないため、光源よ
り発した自然光を回折素子により分光し、さらにこれに
含まれる特定の偏光成分だけを利用するために、回折光
を偏光子を通して用いる方法が一般的に行われている。
この方法では、得られた回折光のうちの約50%以上が
偏光子に吸収されるために光量が半減するという問題が
あった。またそのために感度の高い検出器や光量の大き
な光源を用意する必要もあり、回折光自体が円偏光や直
線偏光のような特定の偏光となる回折素子の開発が求め
られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するものであり、液晶層構造を制御することで、コ
レステリック液晶層の一部の領域に回折能を付与するこ
とに成功した。さらに詳しくはコレステリック液晶相に
おける螺旋巻き数を制御することにより、選択反射特性
および円偏光特性のコレステリック液晶に特有な効果
と、回折能を示す領域に起因する回折効果とを両立した
液晶層を開発することによって視認性、意匠性に優れた
偏光回折素子を発明するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、一部
に回折能を示す領域を有したコレステリック液晶層から
少なくとも構成され、当該液晶層のコレステリック配向
における螺旋巻き数が2〜20巻きの範囲である偏光回
折素子である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の偏光回折素子は、一部に回折能を示す領域
を有するコレステリック液晶層から少なくとも構成され
るものである。ここで回折能を示す領域とは、その領域
を透過した光またはその領域で反射された光が、幾何学
的には影になる部分に回り込むような効果を生じる領域
を意味する。また回折能を示す領域の有無は、例えばレ
ーザー光等をフィルムに入射し、直線的に透過または反
射する光(0次光)以外に、ある角度をもって出射する
光(高次光)の有無により確認することができる。また
別法としては、原子間力顕微鏡や透過型電子顕微鏡など
で液晶層の表面形状や断面形状を観察することにより、
回折能を示す領域の有無を確認することができる。
【0007】また本発明の偏光回折素子を構成するコレ
ステリック液晶層における回折能を示す領域は、液晶層
表面および/または液晶層内部のいずれの領域であって
もよく、例えば液晶層表面の一部(液晶層表面領域)、
液晶層内部の一部(液晶層内部領域)に有するものであ
ってもよい。また回折能を示す領域は、単層のコレステ
リック液晶層の複数領域、例えばコレステリック液晶層
の表裏面領域、複数の液晶層内部領域にそれぞれ有する
ものであってもよい。また回折能を示す領域は、例えば
コレステリック液晶層表面や内部に均一な厚さを持った
層状態として形成されていることは必ずしも必要とせ
ず、液晶層表面や液晶層内部の少なくとも一部に該領域
が形成されていればよい。例えば回折能を示す領域が、
所望の図形、絵文字、数字、記号等の型を象るように有
したものであってもよい。さらに回折能を示す領域を複
数有する場合、全ての該領域が同じ回折能を示す必要性
はなく、それぞれの領域において異なった回折能を示す
ものであってもよい。また回折能を示す領域の配向状態
は、コレステリック液晶相における螺旋軸方位が膜厚方
向に一様に平行ではないコレステリック配向、好ましく
はコレステリック液晶相における螺旋軸方位が膜厚方向
に一様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様
に等間隔ではないコレステリック配向を形成しているこ
とが望ましい。また回折能を示す領域以外においては、
通常のコレステリック配向と同様の配向状態、すなわち
コレステリック液晶相における螺旋軸方位が膜厚方向に
一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間
隔な螺旋構造を形成していることが望ましい。なお本発
明でいうコレステリック液晶層表面とは、コレステリッ
ク液晶層単体において外部に接する部分を、また液晶層
内部とは、外部に接する以外の部分をそれぞれ意味す
る。
【0008】本発明の偏光回折素子を構成するコレステ
リック液晶層は、コレステリック配向における螺旋巻き
数が2〜20巻き、好ましくは2.2〜16巻き、さら
に好ましくは2.5〜13巻きの範囲である。コレステ
リック液晶層の螺旋巻き数が2巻き未満の場合、コレス
テリック配向による選択反射特性、円偏光特性が低減す
る恐れがある。また20巻きより多い場合には、コレス
テリック配向による選択反射特性や円偏光特性が顕著に
現れすぎる恐れがある。本発明の偏光回折素子は、上記
の螺旋巻き数を有するコレステリック液晶層から少なく
とも構成されるものであることから、当該素子の表裏に
関係なくコレステリック配向に起因する選択反射特性、
円偏光特性、また回折能を示す領域に起因する回折特性
をバランス良く両立させた当該素子を得ることができる
ものであり、さらにその両方の光学特性を容易に確認で
きるものである。
【0009】上記の如き回折能を示す領域および所望の
螺旋巻き数を有するコレステリック液晶層は、例えば高
分子液晶、低分子液晶またはその混合物等を液晶材料と
してコレステリック配向層を形成した後、コレステリッ
ク配向層に回折素子基板を貼り合わせ、熱および/また
は圧力を加えることによってコレステリック配向層に回
折素子基板の回折パターンを転写する方法、または回折
素子基板を配向基板として高分子液晶、低分子液晶また
はその混合物からなる液晶材料をコレステリック配向さ
せた後、その配向状態を維持したまま固定化する等の方
法により得ることができる。
【0010】コレステリック液晶層およびコレステリッ
ク配向層の液晶材料となる高分子液晶としては、コレス
テリック配向が固定化できるものであれば特に制限はな
く、主鎖型、側鎖型高分子液晶等いずれでも使用するこ
とができる。具体的にはポリエステル、ポリアミド、ポ
リカーボネート、ポリエステルイミド等の主鎖型液晶ポ
リマー、あるいはポリアクリレート、ポリメタクリレー
ト、ポリマロネート、ポリシロキサン等の側鎖型液晶ポ
リマーが挙げられる。なかでもコレステリック配向を形
成する上で配向性が良く、合成も比較的容易である液晶
性ポリエステルが望ましい。液晶性ポリエステルの構成
単位としては、例えば芳香族あるいは脂肪族ジオール単
位、芳香族あるいは脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族あ
るいは脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位等を好適な例と
して挙げることができる。
【0011】また液晶材料となる低分子液晶としては、
例えばアクリロイル基、ビニル基、エポキシ基等の官能
基を導入したビフェニル誘導体、フェニルベンゾエート
誘導体、スチルベン誘導体等を基本骨格とした液晶が挙
げられる。また低分子液晶としては、ライオトロピック
性、サーモトロピック性のどちらも用いることができる
が、サーモトロピック性を示すものが作業性、プロセス
等の観点からより好適である。
【0012】また最終的に得られるコレステリック液晶
層の耐熱性を向上させるために、液晶材料中に高分子液
晶や低分子液晶等の他にコレステリック相の発現を妨げ
ない範囲において、例えばビスアジド化合物やグリシジ
ルメタクリレート等の架橋剤を添加することもでき、こ
れら架橋剤を添加することによりコレステリック液晶相
を発現させた状態で架橋させることもできる。さらに液
晶材料中には、二色性色素、染料、顔料、酸化防止剤、
紫外線吸収剤、ハードコート剤等の各種添加剤を本発明
の効果を損なわない範囲において適宜添加することもで
きる。
【0013】また螺旋巻き数は、ピッチ(螺旋が1回転
するのに必要な螺旋軸方向の長さ)と膜厚によって適宜
調整することができる。ピッチは上記液晶材料に占める
光学活性部位の含有量によって適宜所望の値に調整する
ことができる。光学活性部位の含有量は、高分子液晶や
低分子液晶の種類(組成比等)や諸物性、また回折パタ
ーンを転写する前のコレステリック配向層の製法条件等
に異なるため一概には言えないが、液晶材料に対して通
常3%以上、好ましくは5〜70%、さらに好ましくは
10〜50%の範囲である。また光学活性部位は、液晶
材料の主成分となる高分子液晶や低分子液晶の構造中に
含まれていてもよく、また当該材料の副成分として適宜
添加することができる液晶性を示さない化合物等の構造
中に含まれていてもよい。なお当該含有量はあくまでも
例示に過ぎず、本発明はこれに何ら制限されるものでは
ない。また膜厚の調整は、液晶材料の塗布方法等により
異なるため一概には言えないが、例えば溶液塗布する際
には、液晶材料の溶液濃度を通常3〜70重量%、好ま
しくは5〜50重量%、さらに好ましくは7〜30重量
%の範囲において適宜調節することにより所望の膜厚に
調整することができる。なお当該溶液濃度はあくまでも
例示に過ぎず、本発明はこれに何ら制限されるものでは
ない。ここでコレステリック液晶層および回折パターン
を転写する前のコレステリック配向層の実膜厚として
は、特に制限されるものではないが、量産性、製造プロ
セスの面から、通常0.1〜30μm、好ましくは0.
3〜20μm、さらに好ましくは0.5〜10μmであ
ることが望ましい。
【0014】回折パターンを転写する前のコレステリッ
ク配向層の製法としては公知の方法、例えば高分子液晶
を用いる場合には、例えば支持基板または基板上に形成
された配向膜上に高分子液晶を配した後、熱処理等によ
ってコレステリック液晶相を発現させ、その状態から急
冷してコレステリック配向を固定化する方法等を採用す
ることができる。また低分子液晶を用いる場合には、例
えば支持基板または基板上に形成された配向膜上に低分
子液晶を配した後、熱処理等によってコレステリック液
晶相を発現させ、その状態を維持したまま光、熱または
電子線等により架橋させてコレステリック配向を固定化
する方法等を適宜採用することができる。
【0015】回折パターンの転写に用いる、または上記
の如き液晶材料を配向させる際の支持基板となる回折素
子基板としては、金属や樹脂のような材料から形成され
た回折素子基板、フィルム表面に回折機能を付与したも
の、あるいはフィルムに回折機能を有する薄膜を転写し
たもの等、およそ回折機能を有するものであれば如何な
る材質、構成からなる回折素子基板であっても良い。な
かでも取扱いの容易さや量産性を考えた場合、回折機能
を有するフィルムまたはフィルム積層体を回折素子基板
として用いることが本発明では望ましい。
【0016】またここでいう回折素子とは、平面型ホロ
グラムの原版等の回折光を生じる回折素子全てをその定
義として含む。またその種類については、表面形状に由
来する回折素子、いわゆる膜厚変調ホログラムのタイプ
であってもよいし、表面形状に因らない、または表面形
状を屈折率分布に変換した位相素子、いわゆる屈折率変
調ホログラムのタイプであっても良い。本発明において
は、回折素子の回折パターン情報をより容易に液晶に付
与することができる点から、膜厚変調ホログラムタイプ
の回折素子基板がより好適に用いられる。また屈折率変
調タイプの回折素子基板であっても、表面形状に回折を
生じる起伏を有したものであれば本発明に好適に用いる
ことができる。
【0017】また回折パターンの転写方法としては、例
えば一般に用いられるヒートローラー、ラミネーター、
ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド等を用い、加
圧および/または加温条件下にて行うことができる。加
圧条件、加温条件は、用いられる高分子液晶や低分子液
晶等の諸物性、回折素子基板の種類等によって異なり、
一概には言えないが、通常、圧力0.01〜100MP
a、好ましくは0.05〜80MPa、温度30〜40
0℃、好ましくは40〜300℃の範囲において用いら
れる液晶や基板等の種類によって適宜選択される。また
回折パターンを転写する際には、加圧および加温を同時
に加えられる条件下において転写することが本発明では
望ましい。上記の如き加温および/または加圧条件下に
て回折素子基板の回折パターンをコレステリック配向層
に転写することによって、一部に回折能を示す領域を有
したコレステリック液晶層を得ることができる。
【0018】また回折素子基板を配向基板として用いる
場合には、液晶材料を例えば溶液塗布、溶融塗布などの
方法によって当該基板上に展開した後、熱処理し冷却す
る方法、または液晶材料によっては熱処理を行った後、
光または電子線を照射する方法等によって、一部に回折
能を示す領域を有したコレステリック液晶層を得ること
ができる。また液晶材料が接する回折素子基板表面には
ラビング処理等の配向処理を適宜行うこともできる。
【0019】以上の方法で得られるコレステリック液晶
層を本発明の偏光回折素子は構成要素として有するもの
である。具体的な実施態様としては、例えばコレステリ
ック液晶層が十分な自己支持性を有するものであれば、
当該液晶層単体を偏光回折素子として各種用途に用いる
ことができる。また自己支持性を有しない場合には、各
種プラスチックフィルム・シート、ガラス基板、上質紙
や合成紙等の紙類を支持基板として当該基板上に積層す
る、また配向基板上に形成したままの状態、さらには回
折素子基板に積層・形成したままの状態のものを偏光回
折素子として用いることができる。またコレステリック
液晶層には、当該液晶層の表面に保護層を設けることも
できる。保護層を設けることによって十分な自己支持性
を有する場合には、保護層/コレステリック液晶層から
なる積層体を偏光回折素子として各種用途に用いること
ができる。保護層としては、紫外線吸収性および/また
はハードコート性を有するものであることが特に望まし
い。例えば紫外線吸収剤およびハードコート剤を含有し
た保護層形成材料をフィルム状物、シート状物、薄膜状
物、板状物に形成したものを保護層として用いることが
できる。また紫外線吸収剤を含有した保護層形成材料か
らなる紫外線吸収性を有した保護層(以下、紫外線吸収
層)と、ハードコート剤を含有した保護層形成材料から
なるハードコート性を有した保護層(以下、ハードコー
ト層)との積層物を保護層として用いることもできる。
また一般に市販されている紫外線カットフィルムやハー
ドコートフィルム、また当該フィルムの積層物を保護層
として用いることができる。また紫外線吸収層に各種ハ
ードコート剤を塗布して成膜した積層物も保護層として
用いることができる。ここで紫外線吸収層およびハード
コート層は、それぞれ2層以上から形成されてもよく、
各層はそれぞれ接着剤層等を介して積層することができ
る。
【0020】保護層形成材料としては、光透過性が高い
ものが望ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)、ポリスチレ
ン、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、
ポリスルフォン、セルロース系樹脂等に紫外線吸収剤お
よび/またはハードコート剤を添加したものを用いるこ
とができる。また保護層としては、光または電子線硬化
型の反応性接着剤に紫外線吸収剤および/またはハード
コート剤を添加した接着剤組成物を用いることもでき、
その接着剤組成物の硬化物を保護層とすることもでき
る。
【0021】紫外線吸収剤としては、保護層形成材料に
相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、例
えばベンゾフェノン系化合物、サルシレート系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合
物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外線吸収
剤、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系紫
外線吸収剤を用いることができる。なかでも紫外線吸収
効率が高いベンゾフェノン系化合物が好適に用いられ
る。また紫外線吸収剤は、1種単独または複数種添加す
ることができる。保護層中の紫外線吸収剤の配合割合
は、使用する保護層形成材料により異なるが、通常0.
1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%であ
る。
【0022】ハードコート剤としては、保護層形成材料
に相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、
例えばオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂系のア
クリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート系、エポキ
シアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、熱硬
化型樹脂系のアクリル−シリコン系、またはセラミック
ス等の無機系化合物等を用いることができる。なかでも
成膜性等の観点からオルガノポリシロキサン系、光硬化
型樹脂系であるアクリルオリゴマー系のハードコート剤
が好適に用いられる。なおこれらのハードコート剤は、
無溶媒型、溶媒型のいずれであっても使用することがで
きる。
【0023】光または電子線硬化型の反応性接着剤とし
ては、光または電子線重合性を有するプレポリマーおよ
び/またはモノマーに必要に応じて他の単官能、多官能
性モノマー、各種ポリマー、安定剤、光重合開始剤、増
感剤等を配合したものを用いることができる。
【0024】光または電子線重合性を有するプレポリマ
ーとしては、具体的にはポリエステルアクリレート、ポ
リエステルメタクリレート、ポリウレタンアクリレー
ト、ポリウレタンメタクリレート、エポキシアクリレー
ト、エポキシメタクリレート、ポリオールアクリレー
ト、ポリオールメタクリレート等を例示することができ
る。また光または電子線重合性を有するモノマーとして
は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、2官
能アクリレート、2官能メタクリレート、3官能以上の
多官能アクリレート、多官能メタクリレート等が例示で
きる。またこれらは市販品を用いることもでき、例えば
アロニックス(アクリル系特殊モノマー、オリゴマー;
東亞合成社製)、ライトエステル(共栄社化学社製)、
ビスコート(大阪有機化学工業社製)等を用いることが
できる。
【0025】また光重合開始剤としては、例えばベンゾ
フェノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、ベンゾイ
ン誘導体類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベン
ジル誘導体類、トリアジン誘導体類、アシルホスフィン
オキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【0026】保護層として用いることができる光または
電子線硬化型の反応性接着剤の粘度は、接着剤の加工温
度等により適宜選択するものであり一概にはいえない
が、通常25℃で10〜2000mPa・s、好ましく
は50〜1000mPa・s、さらに好ましくは100
〜500mPa・sである。粘度が10mPa・sより
低い場合、所望の厚さが得られ難くくなる。また200
0mPa・sより高い場合には、作業性が低下する恐れ
があり望ましくない。粘度が上記範囲から外れている場
合には、適宜、溶剤やモノマー割合を調整し所望の粘度
にすることが好ましい。
【0027】光硬化型の反応性接着剤を用いた場合、そ
の接着剤の硬化方法としては公知の硬化手段、例えば低
圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライド
ランプ、キセノンランプ等を使用することができる。ま
た露光量は、用いる反応性接着剤の種類により異なるた
め一概にはいえないが、通常50〜2000mJ/cm
2、好ましくは100〜1000mJ/cm2である。
【0028】また電子線硬化型の反応性接着剤を用いた
場合、その接着剤の硬化方法としては、電子線の透過力
や硬化力により適宜選定されるものであり一概にはいえ
ないが、通常、加速電圧が50〜1000kV、好まし
くは100〜500kVの条件で照射して硬化すること
ができる。
【0029】また上記の如き保護層形成材料には、紫外
線吸収剤およびハードコート剤の他に必要に応じてヒン
ダードアミンや消光剤等の光安定剤、帯電防止剤、スベ
リ性改良剤、染料、顔料、界面活性剤、微細なシリカや
ジルコニア等の充填剤等の各種添加剤を配合することも
できる。これら各種添加剤の配合割合は、本発明の効果
を損なわない範囲であれば特に制限はないが、通常0.
01〜10重量%、好ましくは0.05〜5重量%であ
る。
【0030】また保護層を構成する紫外線吸収層は、先
に説明した保護層形成材料に紫外線吸収剤、必要に応じ
て光安定剤等を適宜配合したものを用いて形成すること
ができる。さらに一般に市販されている紫外線カットフ
ィルム等を紫外線吸収層として本発明に用いることもで
きる。
【0031】また保護層を構成するハードコート層は、
先に説明した保護層形成材料にハードコート剤、場合に
より各種添加剤を配合したものを用いて形成することが
できる。またハードコート層としては、上記ハードコー
ト剤を透明な支持フィルム上に塗布して形成したもので
あってもよい。透明な支持フィルムとしては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイ
ド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロ
ース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート等から形成されるフィルムを挙げることができ
る。
【0032】紫外線吸収層とハードコート層とは接着剤
等を介して積層したものを保護層とすることができる
が、その際に用いられる接着剤としては、先に説明した
光または電子線硬化型の反応性接着剤等を好適な例とし
て挙げられる。また接着剤として紫外線吸収剤を含有し
たものを用い、別に用意したハードコート層を本発明の
コレステリック液晶層に積層することにより保護層を形
成することもできる。また接着剤には必要に応じて染
料、顔料、界面活性剤等を適宜添加してもよい。
【0033】さらにハードコート層としては、グラビア
インキ用ビヒクル樹脂等も好適に用いることができる。
グラビアインキ用ビヒクル樹脂としては、例えばニトロ
セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリウ
レタン、ポリエステル等が挙げられる。またグラビアイ
ンキ用ビヒクル樹脂中に接着性向上や皮膜強度向上の為
に、例えばエステルガム、ダンマルガム、マレイン酸樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キ
シレン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等のハードレジン
を配合してもよい。
【0034】またハードコート層の構成は、要求される
耐候性等に応じてハードコート層1層または複合層にす
ることができる。複合層としては、例えばオルガノポリ
シロキサンを含むハードコート層、光硬化型樹脂を含む
ハードコート層、熱硬化型樹脂を含むハードコート層、
無機化合物を含むハードコート層等、それぞれを組み合
わせて2層以上からなる複合層をハードコート層として
用いることもできる。
【0035】本発明の偏光回折素子を構成するコレステ
リック液晶層に保護層となる紫外線吸収層および/また
はハードコート層を成膜する方法としては、通常ロール
コート法、ディッピング法、グラビアコート法、バーコ
ード法、スピンコート法、スプレーコート法、プリント
法等の公知の方法を採用することができる。これら方法
によりコレステリック液晶層上に成膜した後、使用した
保護層形成材料に応じた後処理を施すことにより保護層
を形成することができる。また紫外線吸収層とハードコ
ート層との複合層からなる保護層の形成方法としては、
例えば紫外線吸収層に直接ハードコート剤を塗布形成す
る方法、接着剤等を介して積層する方法等が挙げられ
る。
【0036】保護層の膜厚は、紫外線吸収性および/ま
たはハードコート性のそれぞれが求められる性能に応じ
て異なるため一概には言えないが、通常0.1〜100
μm、好ましくは1〜50μmである。また保護層が紫
外線吸収層およびハードコート層との複合層から形成さ
れる場合も、各層の全膜厚が上記範囲に入ることが望ま
しい。
【0037】本発明の偏光回折素子は、当該素子を構成
するコレステリック液晶層の一部に回折能を示す領域を
有していることから、回折光が円偏光性を有するとい
う、従来の光学部材には無い特異な効果を有する。この
効果により、例えばエリプソメーターのような偏光を必
要とする分光光学機器に用いることにより、光の利用効
率を極めて高くすることが可能となる。従来の偏光を必
要とする分光光学機器では、光源より発した光を回折格
子やプリズム等の分光素子を用いて波長ごとに分光した
後に偏光子を透過させる、または偏光子を透過させた後
に分光する必要があり偏光子が必須であった。この偏光
子は、入射した光の約50%を吸収してしまい、また界
面での反射が生じるために光の利用効率が極めて悪いと
いった問題があったが、本発明の偏光回折素子を用いる
ことにより光の利用効率を極めて高く、理論的には約1
00%利用することが可能となる。また本発明の偏光回
折素子は、通常の偏光板を用いることによって容易に回
折光の透過および遮断をコントロールすることが可能で
ある。通常、偏光性を有していない回折光では、どのよ
うな偏光板と組み合わせても完全に遮断することはでき
ない。すなわち本発明の偏光回折素子では、例えば右偏
光性を有する回折光は、左円偏光板を用いた時にのみ完
全に遮断することができ、それ以外の偏光板を用いても
完全な遮断を実現することができないものである。この
ような効果を有することから、例えば観察者が偏光板越
しに回折像を観察する環境において、偏光板の状態を変
化させることによって、回折像を暗視野から突然浮かび
上がらせたり、また突然消失させたりすることが可能と
なる。
【0038】以上のように本発明の偏光回折素子は、新
たな回折機能素子として応用範囲は極めて広く、種々の
光学用素子や光エレクトロニクス素子、装飾用部材、偽
造防止用素子等として使用することができる。
【0039】具体的に光学用素子や光エレクトロニクス
素子としては、例えば透明かつ等方なフィルム、具体的
にはフジタック(富士写真フィルム社製)、コニカタッ
ク(コニカ社製)などのトリアセチルセルロースフィル
ム、TPXフィルム(三井化学社製)、アートンフィル
ム(日本合成ゴム社製)、ゼオネックスフィルム(日本
ゼオン社製)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社
製)等にコレステリック液晶層を積層して偏光回折素子
とすることにより様々な光学用途への展開を図ることが
可能である。例えば当該偏光回折素子をTN(twis
ted nematic)−LCD(Liquid C
rystal Display)、STN(Super
Twisted Nematic)−LCD、ECB
(Electrically Controlled
Birefringence)−LCD、OMI(Op
tical Mode Interference)−
LCD、OCB(Optically Compens
ated Birefringence)−LCD、H
AN(Hybrid Aligned Nemati
c)−LCD、IPS(In Plane Switc
hing)−LCD等の液晶ディスプレーに備えること
によって色補償および/または視野角改良された各種L
CDを得ることができる。また本発明の偏光回折素子を
上記したように分光された偏光を必要とする分光光学機
器、回折現象により特定の波長を得る偏光光学素子、光
学フィルター、円偏光板、光拡散板等として用いること
も可能であり、さらに1/4波長板と組み合わせること
によって直線偏光板を得ることもできる等、光学用素子
や光エレクトロニクス素子として従来にない光学効果を
発現しうる様々な光学部材を提供することができる。
【0040】装飾用部材としては、回折能による虹色呈
色効果とコレステリック液晶による色鮮やかな呈色効果
等を併せ持った新たな意匠性フィルムをはじめ様々な意
匠性成形材料等を得ることができる。また薄膜化できる
ことから既存製品等に添付する、一体化する等の方法に
よって意匠性を付与し、他の類似製品との差別化にも大
きく貢献することが期待できる。例えば、意匠性のある
回折パターンを組み込んだ本発明の偏光回折素子をガラ
ス窓等に張り付けると外部からはその視角によって前記
回折パターンを伴ったコレステリック液晶特有の選択反
射が異なった色に見えるなど、ファッション性に非常に
優れたものとすることができる。また明るい外部からは
内部が見え難く、それにもかかわらず内部からは外部の
視認性がよい窓とすることもできる。
【0041】偽造防止用素子としては、回折素子および
コレステリック液晶のそれぞれの偽造防止効果を併せ持
った新たな偽造防止フィルム、シール、ラベル等として
用いることができる。具体的には本発明の偏光回折素子
を例えば自動車運転免許証、身分証明証、パスポート、
クレジットカード、プリペイドカード、各種金券、ギフ
トカード、有価証券等と一体化する、または一部に設け
る、具体的には貼り付ける、埋め込む、紙類に織り込む
ことによりその効果を発現できる。また本発明の偏光回
折素子は、回折能を示す領域がコレステリック液晶層の
一部に有するとともに、コレステリック液晶の波長選択
反射性、円偏光選択反射性、色の視角依存性、コレステ
リックカラーの美しい色を呈する効果を併せ持ったもの
である。したがって本発明の偏光回折素子を偽造防止用
素子として用いた場合、当該素子を構成するコレステリ
ック液晶層の偽造は極めて困難であると言える。また偽
造防止効果あわせて、回折素子の虹色呈色効果、コレス
テリック液晶の色鮮やかな呈色効果を有することから意
匠性にも優れたものとなる。
【0042】これらの用途はほんの一例であり、本発明
の偏光回折素子は、従来、回折素子単体、コレステリッ
ク液晶性フィルム単体が使用されている各種用途や、新
たな光学的効果を発現することが可能であること等から
前記用途以外の様々な用途にも応用展開が可能である。
【0043】
【実施例】以下に実施例について述べるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0044】(実施例1)テレフタル酸50mmol、
ヒドロキシ安息香酸20mmol、カテコール20mm
ol、(R)−2−メチル−1,4−ブタンジオール1
0mmolおよび酢酸ナトリウム100mgを用いて窒
素雰囲気下、180℃で1時間、200℃で1時間、2
50℃で1時間と段階状に昇温しながら重縮合反応を行
った。
【0045】次いで窒素を流しながら250℃で2時間
重縮合反応を続け、さらに減圧下同温度で1時間重縮合
を行った。得られたポリマーをテトラクロロエタンに溶
解後、メタノールで再沈澱を行い、液晶性ポリエステル
を得た。
【0046】次いで得られた液晶性ポリエステルのN−
メチル−2−ピロリドン溶液(20重量%)を調製し、
該溶液をラビング処理したポリフェニレンスルフィドフ
ィルム上にスピンコート法で塗布した。塗布した後、乾
燥処理を行いN−メチル−2−ピロリドンを除去し、ポ
リフェニレンスルフィドフィルム上に液晶性ポリエステ
ルの塗布膜を形成した。
【0047】次いで該液晶性ポリエステルの塗布膜を2
00℃の加熱雰囲気において5分間熱処理を行い、室温
下に冷却することによって、ポリフェニレンスルフィド
フィルム上に金色の鏡面反射を呈する液晶性ポリエステ
ルフィルムを得た。
【0048】同フィルムを日本分光社製紫外可視近赤外
分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定したと
ころ、中心波長が約600nm、選択反射波長帯域幅が
約110nmの選択反射を示すコレステリック配向が固
定化されたコレステリック配向層が得られていることが
確認された。このコレステリック配向層の配向状態を偏
光顕微鏡観察およびフィルム断面の透過型電子顕微鏡観
察したところ、コレステリック相における螺旋軸方位が
膜厚方向に一様に平行で、また螺旋ピッチが膜厚方向に
一様に等間隔なコレステリック配向を形成していること
が確認できた。また螺旋巻き数は、透過型電子顕微鏡観
察から約3巻きであることが判明した。
【0049】得られたコレステリック配向層の上に、エ
ドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式
回折格子フィルム(刻線900本/mm)を、液晶面と
回折面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラ
ミネーターDX−350を用い、150℃、0.3MP
a、ロール接触時間0.5秒の条件で加熱加圧を行っ
た。次いで室温まで冷却後、刻線式回折格子フィルムを
取り除いた。
【0050】回折格子フィルムが重ねられていた液晶面
を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレ
ステリック液晶に起因する金色の選択反射とが認められ
た。また回折格子フィルムが重ねられていた面を下にし
て同様に観察したところ、コレステリック液晶に起因す
る選択反射の輝度と回折パターンに起因する虹色の輝度
がバランス良く観察された。
【0051】この液晶層の配向状態を偏光顕微鏡観察お
よび液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、
コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様
に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等
間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に
形成されていることが確認された。またそれ以外の領域
においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、か
つ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリッ
ク配向が形成していることが確認された。ま多液晶層面
内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)
を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレ
ーザー光が観察された。
【0052】さらに偏光特性を確認するために、通常の
室内照明下おいて右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介
して液晶層を観察したところ、虹色の反射回折光とコレ
ステリック液晶に起因する金色の反射色が同時に観察さ
れ、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであ
った。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介
して当該液晶層を観察したところ、暗視野となり、虹色
の反射回折光もコレステリック液晶に起因する金色の反
射色も観察されなかった。
【0053】以上のことより螺旋巻き数が約3巻きのコ
レステリック配向層に回折格子フィルムの回折パターン
を転写することにより、表面領域に回折能を示す領域を
有したコレステリック液晶層が得られたことを確認し、
また当該液晶層が偏光回折素子として機能することを確
認した。
【0054】(実施例2)正の一軸ネマチック液晶性化
合物であるメチルヒドロキノン ビス(4−(6−アク
リロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸)エステルを
6.42g、4−シアノフェノール 4−(6−アクリ
ロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸エステルを0.
98g、市販のキラルドーパント液晶S−811(ロデ
ィック社製)2.60gを量り取り、蒸留精製したN−
メチル−2−ピロリドン90gに溶解した。該溶液にフ
ッ素系界面活性剤S−383(旭硝子社製)を0.5m
g、光反応開始剤イルガキュアー907(チバガイギー
製)0.3g、増感剤ジエチルチオキサントン0.1g
を添加し、表面をレーヨン布によりラビング処理したポ
リエチレンナフタレート(PEN)フィルム(三菱ダイ
ヤホイル社製)上にバーコーターを用いて塗布した。塗
布後、該フィルムごと60℃に設定したクリーンオーブ
ンに投入し15分乾燥を行った後、さらに80℃に設定
したオーブン中で5分熱処理し、その温度から約1℃/
分で50℃まで冷却することにより液晶層のコレステリ
ック配向を完了させた。次いで、PENフィルム上に形
成した液晶層を50℃に設定したオーブンに投入し、酸
素濃度250ppm以下の窒素雰囲気下においてオーブ
ン設定温度まで放冷した後、その温度にてUV照射を行
った。UV光源としては高圧水銀灯を使用し、照射強度
は最大120W/cm2で、照射時間5秒間の積算照射
量は135mJであった。照射後の液晶層はある程度硬
化しており、硬化前に見られた流動性はなかったが、そ
の表面硬度は鉛筆硬度にして6Bよりも低く、正確な硬
度は測ることが出来なかった。UV照射後の液晶層をP
ENフィルムごとラビング方向が長手になるような10
cm×3cmの長方形に切り出し、また市販のエンボス
版フィルムJ52,989(エドモンド・サイエンティ
フィック・ジャパン社製)を、回折格子の格子方位が長
手になるような12cm×5cmの長方形に切り出し
た。切り出したPENフィルム上の液晶層の液晶面とエ
ンボス版フィルムの回折格子面が接するように重ね合わ
せ、一方の短辺をセロテープで固定し、該短辺を先頭に
して熱ラミネート装置DX−350(東ラミ社製)に通
した。熱ラミネートは、ラミネートロールの温度が72
℃で行い、サンプルの移動速度は毎秒30mmであっ
た。熱ラミネート後、液晶層とエンボス版フィルムは一
体となって密着し積層体を成していた。該積層体を室温
まで冷却し、室温にて液晶層側にエレクトロンビーム
(EB)照射を行った。EB照射は、アイエレクトロン
ビーム社製のEB照射装置を用い、室温下、酸素濃度
0.20%の雰囲気において、加速電圧30kVにて照
射を行った。EB照射後、積層体からフィルム長手方向
に沿ってエンボス版フィルムを剥離除去した。PENフ
ィルム上に残されたEB照射後の液晶層は硬化してお
り、その表面硬度は鉛筆硬度にして2H程度であった。
当該液晶層を日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計V
−570にて透過スペクトルを測定したところ、中心波
長が約580nm、選択反射波長帯域幅が約40nmの
選択反射を示すコレステリック配向が固定化されている
ことが確認された。また液晶層を目視観察したところ、
コレステリック配向に起因する反射光とは別に、フィル
ム長手方向を12時方位に見たときに3時、9時の方位
から斜めに見た場合に、回折格子に特徴的な虹色の光が
観察された。またエンボス版フィルムが重ねられていた
面を下にして液晶層を同様に観察したところ、コレステ
リック液晶に起因する選択反射の輝度と回折パターンに
起因する虹色の輝度がバランス良く観察された。
【0055】この液晶層の配向状態を偏光顕微鏡観察お
よび液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、
コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様
に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等
間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に
形成されていることが確認された。またそれ以外の領域
においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、か
つ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリッ
ク配向が形成していることが確認された。また螺旋巻き
数は、透過型電子顕微鏡観察から12〜13巻きである
ことが判明した。さらに該液晶面にPENフィルム側か
ら垂直にHe/Neレーザーを入射したところ、0゜お
よび約±9゜の出射角に0次および±1次の回折光が観
察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室
内照明下において左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介
して当該液晶層を観察したところ、虹色の反射回折光と
コレステリック液晶に起因する非常に鮮やかな黄色の反
射色が同時に観察され、偏光板なしで観察した場合の明
るさとほぼ同じであった。これに対し右円偏光板(右円
偏光のみ透過)を介して液晶層を観察したところ、暗視
野となり、虹色の反射回折光もコレステリック液晶に起
因する黄色の反射色も観察されなかった。
【0056】以上のことより表面領域に回折能を示す領
域が形成された螺旋巻き数が12〜13巻きのコレステ
リック液晶層であることが確認され、また当該液晶層が
偏光回折素子として機能することを確認した。
【0057】
【発明の効果】本発明の偏光回折素子は、コレステリッ
ク配向による選択反射特性および円偏光特性、また回折
能を示す領域に起因する回折特性を併せ持ったものであ
り、偏光回折素子の表裏関係なく当該特性をバランス良
く両立した光学効果を発現しうるものである。またこの
ような光学効果を有することから、回折機能素子として
その応用範囲は極めて広く、例えば液晶ディスプレー等
の光学素子、光エレクトロニクス素子、装飾用材料、偽
造防止用素子等の光学部材として好適に用いることがで
きる等、工業的価値が極めて高い。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一部に回折能を示す領域を有したコレ
    ステリック液晶層から少なくとも構成され、当該液晶層
    のコレステリック配向における螺旋巻き数が2〜20巻
    きの範囲である偏光回折素子。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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