JP2000347030A - コレステリック液晶性フィルムの製造方法 - Google Patents

コレステリック液晶性フィルムの製造方法

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JP2000347030A
JP2000347030A JP11159255A JP15925599A JP2000347030A JP 2000347030 A JP2000347030 A JP 2000347030A JP 11159255 A JP11159255 A JP 11159255A JP 15925599 A JP15925599 A JP 15925599A JP 2000347030 A JP2000347030 A JP 2000347030A
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liquid crystal
cholesteric liquid
film
cholesteric
diffraction element
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JP11159255A
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Ryo Nishimura
涼 西村
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Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折光自体が円偏光や直線偏光のような特定
の偏光を生じるコレステリック液晶性フィルムの製造方
法を提供する。 【解決手段】 回折素子基板の回折パターン面に液晶材
料を展開する第1工程、展開された液晶材料を液晶状態
においてコレステリック配向を形成させた後、当該配向
を固定化して回折素子基板上にコレステリック液晶性フ
ィルムを形成する第2工程、コレステリック液晶性フィ
ルム面と支持基板とを接着剤層を介して積層する第3工
程、及びコレステリック液晶性フィルムから回折素子基
板を除去する第4工程、を含む回折能を示す領域を一部
に有するコレステリック液晶性フィルムの製造方法であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光性を有する回
折光を生じることができるコレステリック液晶性フィル
ムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】回折素子は、分光光学などの分野で光の
分光や光束の分割を行う目的で広く用いられている汎用
光学素子である。回折素子は、その形状からいくつかの
種類に分類され、光が透過する部分と透過しない部分を
周期的に配置した振幅型回折素子、透過性の高い材料に
周期的な溝を形成した位相型回折素子などに通常分類さ
れる。また、回折光の生じる方向に応じて透過型回折素
子、反射型回折素子と分類される場合もある。
【0003】上記の如き従来の回折素子では、自然光
(非偏光)を入射した際に得られる回折光は非偏光しか
得ることができない。分光光学などの分野で頻繁に用い
られるエリプソメーターのような偏光光学機器では、回
折光として非偏光しか得ることができないため、光源よ
り発した自然光を回折素子により分光し、さらにこれに
含まれる特定の偏光成分だけを利用するために、回折光
を偏光子を通して用いる方法が一般的に行われている。
この方法では、得られた回折光のうちの約50%以上が
偏光子に吸収されるために光量が半減するという問題が
あった。またそのために感度の高い検出器や光量の大き
な光源を用意する必要もあり、回折光自体が円偏光や直
線偏光のような特定の偏光となる回折素子の開発が求め
られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するものであり、液晶材料の配向基板として回折素
子基板を用いて液晶層構造を制御することで、液晶層の
一部の領域に回折能を付与することに成功した。さらに
詳しくは、コレステリック液晶に特有な選択反射特性お
よび円偏光特性に併せて回折能という新たな特性を付与
したコレステリック液晶性フィルムの製造方法を発明す
るに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、回折
素子基板の回折パターン面に液晶材料を展開する第1工
程、展開された液晶材料を液晶状態においてコレステリ
ック配向を形成させた後、当該配向を固定化して回折素
子基板上にコレステリック液晶性フィルムを形成する第
2工程、コレステリック液晶性フィルム面と支持基板と
を接着剤層を介して積層する第3工程、及びコレステリ
ック液晶性フィルムから回折素子基板を除去する第4工
程、を含む回折能を示す領域を一部に有するコレステリ
ック液晶性フィルムの製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の第1工程において用いられる回折素子基板
とは、平面型ホログラムの原版等の回折光を生じる回折
素子全てをその定義として含む。またその種類について
は、表面形状に由来する回折素子、いわゆる膜厚変調ホ
ログラムのタイプであってもよいし、表面形状に因らな
い、または表面形状を屈折率分布に変換した位相素子、
いわゆる屈折率変調ホログラムのタイプであっても良
い。本発明においては、回折素子の回折パターン情報を
より容易に液晶に付与することができる点から、膜厚変
調ホログラムのタイプがより好適に用いられる。また屈
折率変調のタイプであっても、表面形状に回折を生じる
起伏を有したものであれば本発明に好適に用いることが
できる。
【0007】また回折素子基板の材質としては、金属、
ガラスや樹脂のような材料であっても良く、あるいはフ
ィルム表面に回折機能を付与したもの、あるいはフィル
ムに回折機能を有する薄膜を転写したもの等、およそ回
折機能を有するものであれば如何なる材質であっても良
い。なかでも取り扱いの容易さや量産性を考えた場合、
回折機能を有するフィルムまたはフィルム積層体がより
望ましい。さらに本発明に用いられる回折素子基板にお
いては、液晶材料を展開する面に対し、ラビング処理等
の配向処理を施すこともできる。
【0008】上記の如き回折素子基板の回折パターン面
に展開される液晶材料としては、高分子液晶、低分子液
晶またはこれら混合物を用いることができる。高分子液
晶としては、コレステリック配向が固定化できるもので
あれば特に制限はなく、主鎖型、側鎖型高分子液晶等い
ずれでも使用することができる。具体的にはポリエステ
ル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミ
ドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキ
サンなどの側鎖型液晶ポリマーなどが挙げられる。なか
でもコレステリック配向を形成する上で配向性が良く、
合成も比較的容易である液晶性ポリエステルが望まし
い。ポリマーの構成単位としては、例えば芳香族あるい
は脂肪族ジオール単位、芳香族あるいは脂肪族ジカルボ
ン酸単位、芳香族あるいは脂肪族ヒドロキシカルボン酸
単位を好適な例として挙げられる。
【0009】また液晶材料となる低分子液晶としては、
例えばアクリロイル基、ビニル基やエポキシ基等の官能
基を導入したビフェニル誘導体、フェニルベンゾエート
誘導体、スチルベン誘導体、アゾベンゼン誘導体、ピリ
ミジン誘導体、シクロヘキサン誘導体等のカラミティッ
ク(棒状)液晶や、トリフェニレン誘導体、トルクセン
誘導体等のディスコティック(円盤状)液晶を基本骨格
としたものが挙げられる。また低分子液晶としては、ラ
イオトロピック性、サーモトロピック性のどちらも用い
ることができるが、サーモトロピック性を示すものが作
業性、プロセス等の観点からより好適である。
【0010】また液晶材料には、最終的に得られるコレ
ステリック液晶性フィルムの耐熱性等を向上させるため
に、コレステリック液晶相の発現を妨げない範囲におい
て、例えばビスアジド化合物やグリシジルメタクリレー
ト等の架橋剤を添加することもでき、これら架橋剤を添
加することによりコレステリック液晶相を発現させた状
態で後の工程において架橋させることもできる。さらに
液晶材料には、コレステリック液晶相の発現を妨げない
範囲において二色性色素、染料や顔料等を適宜添加する
こともできる。
【0011】液晶材料の展開方法としては、当該液晶材
料を溶液または溶融状態とし、例えばロールコート法、
ダイコート法、バーコート法、グラビアロールコート
法、スプレーコート法、ディップコート法、スピンコー
ト法等を採用することにより回折素子基板上に展開する
ことができる。
【0012】本発明の第2工程においては、第1工程に
おいて回折素子基板上に展開された液晶材料をコレステ
リック配向させ、当該配向を固定化して当該基板上にコ
レステリック液晶性フィルムを形成するものである。コ
レステリック配向の形成・固定化については、特に制限
されるものではなく公知の方法、例えば高分子液晶を主
とする液晶材料を用いた場合には、熱処理等によって液
晶材料を液晶状態としてコレステリック液晶相を発現さ
せ、その状態から急冷してコレステリック配向を固定化
する方法等を採用することができる。また低分子液晶を
主とする液晶材料を用いた場合には、熱処理等によって
液晶材料を液晶状態としてコレステリック液晶相を発現
させ、その状態を維持したまま光、熱または電子線を照
射することによって液晶分子を架橋させてコレステリッ
ク配向を固定化する方法等を適宜採用することができ
る。ここで熱処理温度としては、液晶材料を構成する高
分子液晶や低分子液晶の種類、組成、また回折素子基板
の材質等によって異なるため一概には言えない。したが
って液晶材料、回折素子基板等に応じて、熱処理温度、
また熱処理時間等を適宜設定する必要がある。
【0013】本発明の第3工程では、第2工程で形成し
たコレステリック液晶性フィルムに接着剤層を介して支
持基板に積層する工程を行う。支持基板としては、シー
ト状物、フィルム状物、板状物等の形状を有するもので
あれば特に制限されるものではなく、例えばポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミ
ド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケト
ン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォ
ン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポ
リビニルアルコール、ポリアセタール、ポリアリレー
ト、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェ
ノール樹脂等のシート、フィルムあるいは基板、または
紙、合成紙等の紙類、金属箔、ガラス板等から適宜選択
して用いることができる。また支持基板としては、その
表面に凹凸が施されているものであってもよい。
【0014】またコレステリック液晶性フィルムと支持
基板との間に介される接着剤としては、特に制限される
ものではなく、従来公知の様々な粘・接着剤、例えば光
または電子線硬化型の反応性接着剤、ホットメルト型接
着剤等を適宜用いることができる。
【0015】反応性接着剤としては、光または電子線重
合性を有するプレポリマーおよび/またはモノマーに必
要に応じて他の単官能、多官能性モノマー、各種ポリマ
ー、安定剤、光重合開始剤、増感剤等を配合したものを
用いることができる。
【0016】光または電子線重合性を有するプレポリマ
ーとしては、具体的にはポリエステルアクリレート、ポ
リエステルメタクリレート、ポリウレタンアクリレー
ト、ポリウレタンメタクリレート、エポキシアクリレー
ト、エポキシメタクリレート、ポリオールアクリレー
ト、ポリオールメタクリレート等を例示することができ
る。また光または電子線重合性を有するモノマーとして
は、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、2官
能アクリレート、2官能メタクリレート、3官能以上の
多官能アクリレート、多官能メタクリレート等が例示で
きる。またこれらは市販品を用いることもでき、例えば
アロニックス(アクリル系特殊モノマー、オリゴマー;
東亞合成社製)、ライトエステル(共栄社化学社製)、
ビスコート(大阪有機化学工業社製)等を用いることが
できる。
【0017】また光重合開始剤としては、例えばベンゾ
フェノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、ベンゾイ
ン誘導体類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベン
ジル誘導体類、トリアジン誘導体類、アシルホスフィン
オキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【0018】光または電子線硬化型の反応性接着剤の粘
度は、接着剤の加工温度等により適宜選択するものであ
り一概にはいえないが、通常25℃で10〜2000m
Pa・s、好ましくは50〜1000mPa・s、さらに
好ましくは100〜500mPa・sである。粘度が1
0mPa・sより低い場合、所望の厚さが得られ難くく
なる。また2000mPa・sより高い場合には、作業
性が低下する恐れがあり望ましくない。粘度が上記範囲
から外れている場合には、適宜、溶剤やモノマー割合を
調整し所望の粘度にすることが好ましい。
【0019】また光硬化型の反応性接着剤を用いた場
合、その接着剤の硬化方法としては公知の硬化手段、例
えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハ
ライドランプ、キセノンランプ等を使用することができ
る。また露光量は、用いる反応性接着剤の種類により異
なるため一概にはいえないが、通常50〜2000mJ
/cm2、好ましくは100〜1000mJ/cm2であ
る。
【0020】また電子線硬化型の反応性接着剤を用いた
場合、その接着剤の硬化方法としては、電子線の透過力
や硬化力により適宜選定されるものであり一概にはいえ
ないが、通常、加速電圧が50〜1000kV、好まし
くは100〜500kVの条件で照射して硬化すること
ができる。
【0021】また接着剤としてホットメルト型接着剤を
用いる場合、当該接着剤も特に制限はないが、ホットメ
ルトの作業温度が80〜200℃、好ましくは100〜
160℃程度のものが作業性等の観点から望ましく用い
られる。具体的には、例えばエチレン・酢酸ビニル共重
合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ゴム系、ポリアクリル
系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチ
ラール等のポリビニルアセタール系樹脂、石油系樹脂、
テルペン系樹脂、ロジン系樹脂等をベース樹脂として製
造されているものが挙げられる。
【0022】さらに接着剤として粘着剤を用いる場合も
特に制限されるものではなく、例えばゴム系、アクリル
系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系粘着剤などを
用いることができる。接着剤の厚さは、用いられる用途
やその作業性等により異なるため一概にはいえないが、
通常0.5〜50μm、好ましくは1〜10μmであ
る。また接着剤の形成方法としては、特に限定されるも
のではないが、例えばロールコート法、ダイコート法、
バーコート法、カーテンコート法、エクストルージョン
コート法、グラビアロールコート法、スプレーコート
法、スピンコート法等の公知の方法を用いて支持基板ま
たはコレステリック液晶性フィルムの液晶層若しくは支
持基板およびコレステリック液晶性フィルムの液晶層の
両方に形成することができる。
【0023】コレステリック液晶性フィルムの液晶層と
支持基板とを接着剤層を介して積層する方法としては特
に制限されるものではないが、例えばラミネート機能を
持つロールや圧板等を有する機器類、より具体的には、
ラミネーター、カレンダーロール、圧縮成形機、圧延機
等から適宜選定することにより積層することができる。
【0024】上記の如くしてコレステリック液晶性フィ
ルム面を接着剤層を介して支持基板に積層した後、第4
工程として第1工程で用いた回折素子基板をコレステリ
ック液晶性フィルムから除去する。コレステリック液晶
性フィルムから回折素子基板を除去する方法としては、
特に制限されるものではないが、例えば回折素子基板を
剥離除去する、または回折素子基板を溶解する、といっ
た方法等が挙げられる。剥離除去方法としては、例えば
回折素子基板のコーナー端部に粘着テープを貼り付けて
人為的に剥離する方法、ロール等を用いて機械的に剥離
する方法、構造材料全てに対する貧溶媒に浸漬した後に
機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離
する方法、回折素子基板とコレステリック液晶性フィル
ムとの熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて剥離
する方法、回折素子基板そのもの、または回折素子基板
上の回折パターン層を溶解除去する方法等を例示するこ
とができる。剥離性については、コレステリック液晶性
フィルムを形成している液晶材料の諸物性や回折素子基
板との密着性によって異なるため、その系にもっとも適
した方法を採用すべきである。
【0025】本発明では、以上説明した第1工程から第
4工程を経ることにより、回折素子基板の回折パターン
が接していたフィルムの少なくとも一部の領域に回折能
を示す領域を有したコレステリック液晶性フィルムを接
着剤層を介して支持基板上に得ることができる。ここで
回折能を示す領域とは、その領域を透過した光またはそ
の領域で反射された光が、幾何学的には影になる部分に
回り込むような効果を生じる領域を意味する。また回折
能を有する領域の有無は、例えばレーザー光等を前記領
域に入射し、直線的に透過または反射する光(0次光)
以外に、ある角度をもって出射する光(高次光)の有無
により確認することができる。また別法としては、原子
間力顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで液晶層の表面形状
や断面形状を観察することにより前記領域が形成されて
いるか否か確認することができる。
【0026】また本発明の製造方法によって得られるコ
レステリック液晶性フィルムの回折能を示す領域(回折
パターンが接していたフィルム面)の配向状態は、螺旋
軸方位が膜厚方向に一様に平行ではないコレステリック
配向、好ましくは螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で
なく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではな
いコレステリック配向を形成していることが望ましい。
またそれ以外の領域においては、通常のコレステリック
配向と同様の配向状態、すなわち螺旋軸方位が膜厚方向
に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等
間隔な螺旋構造を形成していることが望ましい。
【0027】さらに本発明の製造方法によって得られる
コレステリック液晶性フィルムにおいて、回折能を示す
領域が層状態として形成されている場合、回折能を示す
層(領域)の厚みとしては、コレステリック液晶性フィ
ルムの膜厚に対して通常50%以下、好ましくは30%
以下、さらに好ましくは10%以下の厚みを有する層状
態で形成されていることが望ましい。回折能を示す層
(領域)の厚さが50%を超えると、コレステリック液
晶相に起因する選択反射特性、円偏光特性等の効果が低
下する恐れがある。
【0028】本発明では、第4工程において回折素子基
板を除去した後、コレステリック液晶性フィルムの表面
保護、強度増加、環境信頼性向上等の目的の為に第5工
程として、回折素子基板除去後のコレステリック液晶性
フィルム面に保護層を形成することができる。保護層と
しては、紫外線吸収性および/またはハードコート性を
有するものであれば特に限定されるものではない。例え
ば紫外線吸収剤およびハードコート剤を含有した保護層
形成材料をフィルム状物、シート状物、薄膜状物、板状
物に形成したものが挙げられる。また紫外線吸収剤を含
有した保護層形成材料からなる紫外線吸収性を有した保
護層(以下、紫外線吸収層)と、ハードコート剤を含有
した保護層形成材料からなるハードコート性を有した保
護層(以下、ハードコート層)との積層物を保護層とし
て用いることもできる。また一般に市販されている紫外
線カットフィルムとハードコートフィルムとの積層物を
保護層として用いることができる。また紫外線吸収層に
各種ハードコート剤を塗布して成膜した積層物も保護層
として用いることができる。ここで紫外線吸収層および
ハードコート層は、それぞれ2層以上から形成されても
よく、各層はそれぞれ接着剤層等を介して積層すること
ができる。
【0029】保護層形成材料としては、光透過性が高い
ものが望ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)、ポリスチレ
ン、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、
ポリスルフォン、セルロース系樹脂等に紫外線吸収剤お
よび/またはハードコート剤を添加したものを用いるこ
とができる。また保護層としては、熱、光または電子線
硬化型の反応性接着剤に紫外線吸収剤および/またはハ
ードコート剤を添加した接着剤組成物を用いることもで
き、その接着剤組成物の硬化物を保護層とすることもで
きる。
【0030】紫外線吸収剤としては、保護層形成材料に
相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、例
えばベンゾフェノン系化合物、サルシレート系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合
物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外線吸収
剤、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系紫
外線吸収剤を用いることができる。なかでも紫外線吸収
効率が高いベンゾフェノン系化合物が好適に用いられ
る。また紫外線吸収剤は、1種単独または複数種添加す
ることができる。保護層中の紫外線吸収剤の配合割合
は、使用する保護層形成材料により異なるが、通常0.
1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%であ
る。
【0031】ハードコート剤としては、保護層形成材料
に相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、
例えばオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂系のア
クリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート系、エポキ
シアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、熱硬
化型樹脂系のアクリル−シリコン系、またはセラミック
ス等の無機系化合物等を用いることができる。なかでも
成膜性等の観点からオルガノポリシロキサン系、光硬化
型樹脂系であるアクリルオリゴマー系のハードコート剤
が好適に用いられる。なおこれらのハードコート剤は、
無溶媒型、溶媒型のいずれであっても使用することがで
きる。
【0032】保護層形成材料には、紫外線吸収剤および
ハードコート剤の他に必要に応じてヒンダードアミンや
消光剤等の光安定剤、帯電防止剤、スベリ性改良剤、染
料、顔料、界面活性剤、微細なシリカやジルコニア等の
充填剤等の各種添加剤を配合することもできる。これら
各種添加剤の配合割合は、本発明の効果を損なわない範
囲であれば特に制限はないが、通常0.01〜10重量
%、好ましくは0.05〜5重量%である。
【0033】また保護層を構成する紫外線吸収層は、先
に説明した保護層形成材料に紫外線吸収剤、必要に応じ
て光安定剤等を適宜配合したものを用いて形成すること
ができる。さらに一般に市販されている紫外線カットフ
ィルム等を紫外線吸収層として本発明に用いることもで
きる。
【0034】また保護層を構成するハードコート層は、
先に説明した保護層形成材料にハードコート剤、場合に
より各種添加剤を配合したものを用いて形成することが
できる。またハードコート層としては、上記ハードコー
ト剤を透明な支持フィルム上に塗布して形成したもので
あってもよい。透明な支持フィルムとしては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、アモルファスポリオレフィ
ン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート等から形成されるフィ
ルムを挙げることができる。
【0035】紫外線吸収層とハードコート層とは接着剤
等を介して積層し、本発明でいう保護層とすることがで
きる。接着剤としては、熱、光または電子線硬化型の反
応性接着剤等を用いることができる。また接着剤として
紫外線吸収剤を含有したものを用い、別に用意したハー
ドコート層をコレステリック液晶性フィルムに積層する
ことにより保護層を形成することもできる。また接着剤
には必要に応じて染料、顔料、界面活性剤等を適宜添加
してもよい。
【0036】さらにハードコート層としては、グラビア
インキ用ビヒクル樹脂等も好適に用いることができる。
グラビアインキ用ビヒクル樹脂としては、例えばニトロ
セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリウ
レタン、ポリエステル等が挙げられる。またグラビアイ
ンキ用ビヒクル樹脂中に接着性向上や皮膜強度向上の為
に、例えばエステルガム、ダンマルガム、マレイン酸樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キ
シレン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等のハードレジン
を配合してもよい。
【0037】またハードコート層の構成は、要求される
耐候性等に応じてハードコート層1層または複合層にす
ることができる。複合層としては、例えばオルガノポリ
シロキサンを含むハードコート層、光硬化型樹脂を含む
ハードコート層、熱硬化型樹脂を含むハードコート層、
無機化合物を含むハードコート層等、それぞれを組み合
わせて2層以上からなる複合層をハードコート層として
用いることもできる。
【0038】さらにハードコート性の度合い、すなわち
硬度としては偏光回折素子を構成する材質により一概に
決定できないが、JIS L 0849記載の試験法に
準じて評価を行った場合、変色の判定基準として少なく
とも3以上、好ましくは4以上であることが望ましい。
【0039】回折素子基板を除去したコレステリック液
晶性フィルム面に形成される保護層、また保護層を構成
する紫外線吸収層およびハードコート層の成膜法は、通
常ロールコート法、ディッピング法、グラビアコート
法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート
法、プリント法等の公知の方法を採用することができ
る。これら方法によりコレステリック液晶性フィルム
上、または支持フィルム上に成膜した後、使用した保護
層形成材料に応じた後処理を施すことにより保護層を形
成することができる。また紫外線吸収層とハードコート
層との複合層からなる保護層の形成方法としては、例え
ば紫外線吸収層に直接ハードコート剤を塗布形成する方
法、接着剤等を介して積層する方法等が挙げられる。
【0040】保護層の膜厚は、紫外線吸収性およびハー
ドコート性のそれぞれが求められる性能に応じて異なる
ため一概には言えないが、通常0.1〜100μm、好
ましくは1〜50μmである。また保護層が紫外線吸収
層およびハードコート層との複合層から形成される場合
も、各層の全膜厚が上記範囲に入ることが望ましい。
【0041】本発明の製造方法によって得られるコレス
テリック液晶性フィルムは、第4工程を経ることにより
得られる形態1(コレステリック液晶性フィルム/接着
剤層/支持基板)、また形態1に保護層を形成した形態
2(保護層/コレステリック液晶性フィルム/接着剤層
/支持基板)の構成で偏光回折素子として利用すること
ができる。またコレステリック液晶性フィルムが、ある
程度の自己支持性を有するものであれば形態1や形態2
から支持基板を除去した形態で偏光回折素子として利用
することができる。
【0042】以上説明した本発明の製造方法によって得
られるコレステリック液晶性フィルムは、回折光が円偏
光性を有するという、従来の光学部材には無い特異な効
果を有する。この効果により、例えばエリプソメーター
のような偏光を必要とする分光光学機器に用いることに
より、光の利用効率を極めて高くすることが可能とな
る。従来の偏光を必要とする分光光学機器では、光源よ
り発した光を回折格子やプリズム等の分光素子を用いて
波長ごとに分光した後に偏光子を透過させる、または偏
光子を透過させた後に分光する必要があり偏光子が必須
であった。この偏光子は、入射した光の約50%を吸収
してしまい、また界面での反射が生じるために光の利用
効率が極めて悪いといった問題があったが、本発明の製
造方法によって得られるコレステリック液晶性フィルム
を用いることにより光の利用効率を極めて高く、理論的
には約100%利用することが可能となる。また本発明
の製造方法によって得られるコレステリック液晶性フィ
ルムは、通常の偏光板を用いることによって容易に回折
光の透過および遮断をコントロールすることが可能であ
る。通常、偏光性を有していない回折光では、どのよう
な偏光板と組み合わせても完全に遮断することはできな
い。すなわち本発明の製造方法によって得られるコレス
テリック液晶性フィルムでは、例えば右偏光性を有する
回折光は、左円偏光板を用いた時にのみ完全に遮断する
ことができ、それ以外の偏光板を用いても完全な遮断を
実現することができないものである。このような効果を
有することから、例えば観察者が偏光板越しに回折像を
観察する環境において、偏光板の状態を変化させること
によって、回折像を暗視野から突然浮かび上がらせた
り、また突然消失させたりすることが可能となる。
【0043】以上のように本発明の製造方法によって得
られるコレステリック液晶性フィルムは、新たな回折機
能素子として応用範囲は極めて広く、種々の光学用素子
や光エレクトロニクス素子、装飾用部材、偽造防止用素
子等として使用することができる。
【0044】具体的に光学用素子や光エレクトロニクス
素子としては、例えば透明かつ等方なフィルム、例えば
フジタック(富士写真フィルム社製)、コニカタック
(コニカ社製)などのトリアセチルセルロースフィル
ム、TPXフィルム(三井化学社製)、アートンフィル
ム(日本合成ゴム社製)、ゼオネックスフィルム(日本
ゼオン社製)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社
製)等を第3工程の支持基板として利用して偏光回折素
子(コレステリック液晶性フィルム/接着剤層/支持基
板)を得ることにより様々な光学用途への展開を図るこ
とが可能である。例えば本発明の偏光回折素子をTN
(twisted nematic)−LCD(Liq
uid Crystal Display)、STN
(Super Twisted Nematic)−L
CD、ECB(ElectricallyContro
lled Birefringence)−LCD、O
MI(Optical Mode Interfere
nce)−LCD、OCB(Optically Co
mpensated Birefringence)−
LCD、HAN(Hybrid Aligned Ne
matic)−LCD、IPS(In Plane S
witching)−LCD等の液晶ディスプレーに備
えることによって色補償および/または視野角改良され
た各種LCDを得ることができる。また当該偏光回折素
子を上記したように分光された偏光を必要とする分光光
学機器、回折現象により特定の波長を得る偏光光学素
子、光学フィルター、円偏光板、光拡散板等として用い
ることも可能であり、さらに1/4波長板と組み合わせ
ることによって直線偏光板を得ることもできる等、光学
用素子や光エレクトロニクス素子として従来にない光学
効果を発現しうる様々な光学部材を提供することができ
る。
【0045】装飾用部材としては、回折能による虹色呈
色効果とコレステリック液晶による色鮮やかな呈色効果
等を併せ持った新たな意匠性フィルムをはじめ様々な意
匠性成形材料を得ることができる。また薄膜化できるこ
とから既存製品等に添付する、一体化する等の方法によ
って、他の類似製品との差別化にも大きく貢献すること
が期待できる。例えば、意匠性のある回折パターンを組
み込んだコレステリック液晶性フィルムをガラス窓等に
張り付ける、または第3工程における支持基板としてガ
ラス窓等を用いることにより、外部からはその視角によ
って前記回折パターンを伴ったコレステリック液晶特有
の選択反射が異なった色に見え、ファッション性に優れ
たものとなる。また明るい外部からは内部が見え難く、
それにもかかわらず内部からは外部の視認性がよい窓と
することができる。
【0046】偽造防止用素子としては、回折素子および
コレステリック液晶のそれぞれの偽造防止効果を併せ持
った新たな偽造防止フィルム、シール、ラベル等として
用いることができる。具体的には本発明の第3工程にお
ける支持基板として、例えば自動車運転免許証、身分証
明証、パスポート、クレジットカード、プリペイドカー
ド、各種金券、ギフトカード、有価証券等のカード基
板、台紙等を用いることによって、本発明の製造方法に
よって得られる一部に回折能を示す領域を有するコレス
テリック液晶性フィルムをカード基板、台紙等と一体化
するまたは一部に設ける、具体的には貼り付ける、埋め
込む、紙類に織り込むことができる。また本発明の製造
方法によって得られるコレステリック液晶性フィルム
は、回折能を示す領域がコレステリック液晶性フィルム
内に形成されたものであり、さらにコレステリック液晶
の波長選択反射性、円偏光選択反射性、色の視角依存
性、コレステリックカラーの美しい色を呈する効果を併
せ持ったものである。したがって本発明の製造方法によ
って得られる一部に回折能を示す領域を有するコレステ
リック液晶性フィルムを偽造防止用素子として用いた場
合には、当該偽造防止用素子の偽造が困難であり、より
具体的には回折能を示す領域をフィルム内に有するコレ
ステリック液晶性フィルムの偽造は極めて困難であると
いえる。また偽造防止効果とあわせて、回折素子の虹色
呈色効果、コレステリック液晶の色鮮やかな呈色効果を
有することから意匠性にも優れたものである。これらの
ことから本発明の製造方法によって得られるコレステリ
ック液晶性フィルムは、偽造防止用素子として非常に好
適である。
【0047】これらの用途はほんの一例であり、本発明
の製造方法によって得られる一部に回折能を示す領域を
有するコレステリック液晶性フィルムは、従来、回折素
子単体、通常のコレステリック配向を固定化したコレス
テリック配向フィルム単体が使用されている各種用途
や、新たな光学的効果を発現することが可能であること
等から前記用途以外の様々な用途にも応用展開が可能で
ある。
【0048】
【実施例】以下に実施例について述べるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0049】(参考例1)芳香族系液晶ポリエステルの
合成 テレフタル酸49mmol,メチルヒドロキノン24m
mol,カテコール25mmol,(R)−2−メチル
−1,4−ブタンジオール1.7mmolおよび酢酸ナ
トリウム100mgを用いて窒素雰囲気下で、180℃
で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間と段階
状に昇温しながら重縮合を行った。ついで窒素を流しな
がら250℃で1時間重縮合を続け、さらに減圧下同温
度で1時間重縮合を行った。得られたポリマーをテトラ
クロロエタンに溶解後、メタノールで再沈澱を行い、精
製ポリマー(芳香族系液晶ポリエステル)を得た。
【0050】得られたポリマーの対数粘度は0.144
dl/g(ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テ
トラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒中、濃度
0.5g/100ml,30℃での測定値)、ガラス転
移点は85℃(PERKIN-ELMERDSC 7にて測定)であっ
た。
【0051】(実施例1)参考例1で得られた芳香族系
液晶ポリエステルのN−メチル−2−ピロリドン溶液
(20重量%)を、ナイロン布でラビング処理したブレ
ーズド回折格子(AJ41025:エドモンドサイエン
ティフィック・ジャパン(株)製品)上にスピンコート
法で製膜し、60℃のホットプレート上で20分乾燥
後、200℃10分間熱処理したところ、表面が金色の
鏡面反射を呈する膜を有する回折格子が得られた。
【0052】ついで金色の反射を呈する表面上に、市販
のアクリル系光硬化型接着剤をバーコーターで厚さ5μ
mとなるように塗布し、その上にトリアセチルセルロー
スフィルムをラミネーターで積層後、紫外線照射して硬
化させてから、ブレーズド回折格子と金色の反射を呈す
る膜(芳香族系液晶ポリエステルの層)との界面から剥
離してコレステリック液晶性フィルムを有する積層体を
得た。
【0053】得られた積層体には、回折パターンに起因
する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明
瞭に認められた。また該積層体を日本分光(株)製紫外
可視近赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを
測定したところ、中心波長が約600nm、選択反射波
長帯域幅が約100nmの選択反射を示すことがわかっ
た。さらに該積層体の液晶層部分の配向状態の偏光顕微
鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をした
ところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方
向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に
一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表
面領域に形成されていることが確認された。
【0054】ついで、得られた積層体の液晶層側表面
に、リポキシSP−1509(昭和高分子(株)製商品
名)に微細シリカ(日本アエロジル(株)製、アエロジ
ルR812(商品名))5重量%、紫外線吸収剤Cya
sorbUV−24(サイテック社製)5重量%および
4重量%のルシリンTPO(BASF社商品名)を混合
したイソプロピルアルコールの20重量%溶液をバーコ
ーターで厚さ5μmとなるように塗布し乾燥後、塗布面
にシリコーン離型層付きポリエチレンテレフタレートフ
ィルムを卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線
照射し、接着剤を硬化させた後、ポリエチレンテレフタ
レートフィルムの端部を手で持ち、180°方向にコレ
ステリック液晶層との界面で剥離させ、表面に保護層を
有するコレステリック液晶性フィルムが得られた。この
フィルムにも回折パターンに起因する虹色とコレステリ
ック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められ、その状
態に保護層形成前と何の変化も認められなかった。
【0055】(参考例2)アクリロイル基結合液晶化合
物(1)の合成 蒸留精製したテトラヒドロフラン180gに、4−(6
−アクリロイロキシヘキシルオキシ)安息香酸151.
3g(518mmol)と2,6−ジターシャリブチル
−4−メチルフェノール1.5gを溶解したものに、ジ
イソプロピルエチルアミン70.1g(543mmo
l)を加えた溶液を、メタンスルホニルクロリド62.
1g(543mmol)のテトラヒドロフラン溶液中を
−10℃に冷却した中に攪拌しながら30分かけて滴下
した。滴下終了後、該反応液を0℃まで昇温してさらに
15分攪拌した後、メチルヒドロキノン29.87g
(246mmol)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し
た。その後反応液を15分攪拌した後、さらに4−ジメ
チルアミノピリジン3.0g(25mmol)をトリエ
チルアミン62.4g(617mmol)に溶解したも
のを滴下した。滴下後、反応液を0℃で1時間攪拌、さ
らに室温に昇温して5時間攪拌下反応を行った。反応終
了後、反応液を1000mlの酢酸エチルで希釈し、抽
出、脱水、乾燥後、ロータリーエバポレーターにより濃
縮してメチルヒドロキノン ビス(4−(6−アクリロ
イロキシオヘキシルオキシ)安息香酸)エステルを粗生
成物として得た。該粗生成物を酢酸エチル/メタノール
により再結晶することによりメチルヒドロキノン ビス
(4−(6−アクリロイロキシオヘキシルオキシ)安息
香酸)エステル(アクリロイル基結合液晶化合物
(1))146.9gを白色結晶として得た(収率8
5.2%)。該化合物(1)のGPCによる純度は9
8.7%であった。GPCは溶出溶媒としてテトラヒド
ロフランを用い、高速GPC用充填カラム(TSKge
l G−1000HXL)を装着した東ソー製GPC分
析装置CCP&8000(CP−8000、CO−80
00、UV−8000)により行った。また、該化合物
(1)は偏光顕微鏡下ホットステージ上で観察すると、
室温では結晶相、85℃付近でネマチック相に転移し、
さらに加熱すると115℃付近で等方相となった。
【0056】(参考例3)アクリロイル基結合化合物
(2)の合成 参考例2と同様の手法を用い、4−(6−アクリロイロ
キシオヘキシルオキシ)安息香酸32.5g(111m
mol)、4−シアノフェノール12.6g(106m
mol)から34.8gの4−シアノフェノール 4−
(6−アクリロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸エ
ステル(アクリロイル基結合化合物(2)、収率84
%)を得た。該化合物(2)のGPCによる純度は9
9.3%であった。
【0057】(実施例2)上述の参考例2で得たアクリ
ロイル基結合液晶性化合物(1)7.0g、参考例3で
得たアクリロイル基結合化合物(2)1.07gおよび
キラルドーパント液晶S−811(ロディック社製)
1.93gを、N−メチル−2−ピロリドン90gに溶
解した。さらにフッ素系界面活性剤S−383(旭硝子
(株)製)を1.5mg添加した溶液を、1mm厚ガラ
ス板に貼り着けた表面をナイロン布でラビング処理した
透過型回折格子フィルム(AJ40267:エドモンド
サイエンティフィック・ジャパン(株)製品)上にバー
コーターを用いて塗布し、60℃に設定したクリーンオ
ーブンに投入し20分乾燥を行った後、さらに80℃に
設定したオーブン中で10分熱処理し、その温度から約
1℃/分で50℃まで冷却することにより液晶層のコレ
ステリック配向を完了させた。
【0058】熱処理後、液晶層の塗布された前記回折格
子フィルムをオーブンからとりだし室温まで冷却し、室
温にて電子線(EB)照射を行った。EB照射は、アイ
エレクトロンビーム社製のEB照射装置を用い、室温
下、酸素濃度0.10%の雰囲気において、加速電圧3
0kVにて照射を行った。照射後の液晶層は硬化してお
り、その表面硬度は鉛筆硬度にしてH〜2H程度であっ
た。また、同フィルムの一部をガラス板より切り取り、
日本分光(株)製紫外可視近赤外分光光度計V−570
にて透過スペクトルを測定したところ、約680nm付
近に選択反射に由来する透過光低下領域があった。
【0059】ついで、液晶層面にUV硬化型接着剤であ
るアロニックスUV−3630(東亞合成(株)製品)
を塗布し、塗布面に小型ラミネーターを用いてトリアセ
チルセルロースフィルムを積層し、紫外線照射により硬
化させた。回折格子フィルムを貼り着けていたガラス板
を除去してから、回折格子フィルムをコレステリック配
向した液晶層面から180°方向に静かに剥離して、コ
レステリック液晶性フィルムの積層体を得た。
【0060】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭
に認められた。またコレステリック液晶層の配向状態を
偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観
察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位
が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜
厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液
晶層の表面領域に形成されていることが確認された。ま
た該積層体に垂直にHe−Neレーザー(波長632.
8nm)を入射したところ、0゜および約±36゜の出
射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認
するために、通常の室内照明下に得られた積層体をお
き、左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察した
ところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観
察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し右
円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したとこ
ろ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかっ
た。以上のことより、得られた積層体が偏光回折素子と
しての機能を有することが判明した
【0061】
【発明の効果】本発明の製造方法では、液晶材料の配向
基板として回折素子基板を用いることにより、当該液晶
材料をコレステリック配向させて固定化して得られるコ
レステリック液晶性フィルムの一部に回折能を示す領域
を形成することができる。さらに本発明の製造方法で得
られるコレステリック液晶性フィルムは、回折光が円偏
光性を有するという回折素子とコレステリック液晶層の
光学的特性を併せ持ったものであり、従来の光学素子に
は無い特異な光学特性を有するものである。このような
光学特性を有することから、当該コレステリック液晶性
フィルムは偏光回折素子としてその応用範囲は極めて広
く、例えば液晶ディスプレー等の光学素子、光エレクト
ロニクス素子、装飾用材料、偽造防止用素子等の光学部
材として好適に用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 AA07 AA25 AA43 AA45 AA46 AA63 AA64 BA03 BA05 BA43 BA45 BA47 BB13 BB22 BB54 BC02 BC22 CA09 CA15 CA28 2H091 FA10X FA10Z FA11X FA11Z FA19X FA19Z FB02 FC01 LA30 2K009 AA15 CC12 CC24 CC34 CC42 4F071 AA09B AA31A AA43 AF12 AG14 AG15 AG28 AH12 BA02 BB02 BC02 CA01 CB01 CC04

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回折素子基板の回折パターン面に液晶
    材料を展開する第1工程、展開された液晶材料を液晶状
    態においてコレステリック配向を形成させた後、当該配
    向を固定化して回折素子基板上にコレステリック液晶性
    フィルムを形成する第2工程、コレステリック液晶性フ
    ィルム面と支持基板とを接着剤層を介して積層する第3
    工程、及びコレステリック液晶性フィルムから回折素子
    基板を除去する第4工程、を含む回折能を示す領域を一
    部に有するコレステリック液晶性フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法で製造してなるコ
    レステリック液晶性フィルム。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の方法で製造したコレス
    テリック液晶性フィルムから少なくとも構成される偏光
    回折素子。
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