JP4674830B2 - 光学積層体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、偏光性を有する回折光を生じることができる新規コレステリック液晶性フィルムから構成された積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
回折素子は、分光光学などの分野で光の分光や光束の分割を行う目的で広く用いられている汎用光学素子である。回折素子は、その形状からいくつかの種類に分類され、光が透過する部分と透過しない部分を周期的に配置した振幅型回折素子、透過性の高い材料に周期的な溝を形成した位相型回折素子などに通常分類される。また、回折光の生じる方向に応じて透過型回折素子、反射型回折素子と分類される場合もある。
【0003】
上記の如き従来の回折格子では、自然光(非偏光)を入射した際に得られる回折光は非偏光しか得ることができない。分光光学などの分野で頻繁に用いられるエリプソメーターのような偏光光学機器では、回折光として非偏光しか得ることができないため、光源より発した自然光を回折素子により分光し、さらにこれに含まれる特定の偏光成分だけを利用するために、回折光を偏光子を通して用いる方法が一般的に行われている。この方法では、得られた回折光のうちの約50%以上が偏光子に吸収されるために光量が半減するという問題があった。またそのために感度の高い検出器や光量の大きな光源を用意する必要もあり、回折光自体が円偏光や直線偏光のような特定の偏光となる回折素子の開発が求められていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題を解決するものであり、液晶層構造を制御することで、コレステリック液晶層の一部の領域に回折能を付与することに成功した。さらに詳しくは、コレステリック液晶に特有な選択反射特性および円偏光特性に併せて回折能という新たな特性を付与したコレステリック液晶層を利用することにより、偏光回折素子として好適に機能する光学積層体を発明するに至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、支持基板/接着剤層/コレステリック液晶層/ハードコート層から少なくとも構成される積層体であって、前記コレステリック液晶層が接着剤層に接する面の一部に偏光性を有する回折光を生じる領域を有したコレステリック液晶性フィルムからなり、該偏光性を有する回折光を生じる領域は、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向を形成し、それ以外の領域は、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向を形成しており、コレステリック液晶層と接着剤層が直接積層されていることを特徴とする光学積層体に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の光学積層体は、支持基板/接着剤層/コレステリック液晶層/ハードコート層から少なくとも構成されるものである。ここで支持基板/接着剤層/コレステリック液晶層/ハードコート層とは、支持基板、接着剤層、コレステリック液晶層、ハードコート層の順に積層された構成を意味する。
【0007】
本発明の構成要素である支持基板とは、シート状物、フィルム状物、板状物等の形状を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えばポリイミド、ポリアミドイミド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルファイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリアセタール、ポリアリレート、セルロース系プラスチックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のプラスチックシート、フィルムあるいは基板、または紙、合成紙等の紙類、金属箔、ガラス板等から適宜選択されて用いることができる。また支持基板としては、その表面に凹凸が施されているものであってもよい。
【0008】
本発明の構成要素である接着剤層としては、特に限定されるものではなく、従来公知の様々な粘・接着剤、ホットメルト型接着剤、熱、光または電子線硬化型の反応性接着剤等を適宜用いることができる。中でも光または電子線硬化型の反応性接着剤が好ましく用いられる。
【0009】
反応性接着剤としては、光または電子線重合性を有するプレポリマーおよび/またはモノマーに必要に応じて他の単官能、多官能性モノマー、各種ポリマー、安定剤、光重合開始剤、増感剤等を配合したものを用いることができる。
【0010】
光または電子線重合性を有するプレポリマーとしては、具体的にはポリエステルアクリレート、ポリエステルメタクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリウレタンメタクリレート、エポキシアクリレート、エポキシメタクリレート、ポリオールアクリレート、ポリオールメタクリレート等を例示することができる。また光または電子線重合性を有するモノマーとしては、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、2官能アクリレート、2官能メタクリレート、3官能以上の多官能アクリレート、多官能メタクリレート等が例示できる。またこれらは市販品を用いることもでき、例えばアロニックス(アクリル系特殊モノマー、オリゴマー;東亞合成(株)製)、ライトエステル(共栄社化学(株)製)、ビスコート(大阪有機化学工業(株)製)等を用いることができる。
【0011】
また光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、ベンゾイン誘導体類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベンジル誘導体類、トリアジン誘導体類、アシルホスフィンオキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【0012】
本発明に用いることができる光または電子線硬化型の反応性接着剤の粘度は、接着剤の加工温度等により適宜選択するものであり一概にはいえないが、通常25℃で10〜2000mPa・s、好ましくは50〜1000mPa・s、さらに好ましくは100〜500mPa・sである。粘度が10mPa・sより低い場合、所望の厚さが得られ難くくなる。また2000mPa・sより高い場合には、作業性が低下する恐れがあり望ましくない。粘度が上記範囲から外れている場合には、適宜、溶剤やモノマー割合を調整し所望の粘度にすることが好ましい。
【0013】
また光硬化型の反応性接着剤を用いた場合、その接着剤の硬化方法としては公知の硬化手段、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を使用することができる。また露光量は、用いる反応性接着剤の種類により異なるため一概にはいえないが、通常50〜2000mJ/cm2、好ましくは100〜1000mJ/cm2である。
【0014】
また電子線硬化型の反応性接着剤を用いた場合、その接着剤の硬化方法としては、電子線の透過力や硬化力により適宜選定されるものであり一概にはいえないが、通常、加速電圧が50〜1000kV、好ましくは100〜500kVの条件で照射して硬化することができる。
【0015】
また本発明における接着剤層としてホットメルト型接着剤を用いる場合、当該接着剤も特に制限はないが、ホットメルトの作業温度が80〜200℃、好ましくは100〜160℃程度のものが作業性等の観点から望ましく用いられる。具体的には、例えばエチレン・酢酸ビニル共重合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ゴム系、ポリアクリル系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチラール等のポリビニルアセタール系樹脂、石油系樹脂、テルペン系樹脂、ロジン系樹脂等をベース樹脂として製造されているものが挙げられる。
【0016】
さらに本発明における接着剤層として粘着剤を用いる場合も特に制限されるものではなく、例えばゴム系、アクリル系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系粘着剤などを用いることができる。
接着剤層の厚さは、用いられる用途やその作業性等により異なるため一概にはいえないが、通常0.5〜50μm、好ましくは1〜10μmである。
【0017】
また接着剤層の形成方法としては、後述する本発明の光学積層体の製造方法により異なるが、例えばロールコート法、ダイコート法、バーコート法、、カーテンコート法、エクストルージョンコート法、グラビアロールコート法、スプレーコート法、スピンコート法等の公知の方法を用いて支持基板上等に形成することができる。
【0018】
本発明の構成要素であるコレステリック液晶層とは、フィルムの一部に回折能を示す領域を有したコレステリック液晶性フィルムから少なくとも構成されるものである。ここで回折能を示す領域とは、その領域を透過した光またはその領域で反射された光が、幾何学的には影になる部分に回り込むような効果を生じる領域を意味する。また回折能を有する領域の有無は、例えばレーザー光等を前記領域に入射し、直線的に透過または反射する光(0次光)以外に、ある角度をもって出射する光(高次光)の有無により確認することができる。また別法としては、原子間力顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで液晶層の表面形状や断面形状を観察することにより前記領域が形成されているか否か確認することができる。
【0019】
このコレステリック液晶性フィルムとしては、コレステリック配向が固定化され、かつフィルムの少なくとも一部に回折能を示す領域を有するものであれば特に制限されるものではなく、高分子液晶、低分子液晶またはこれら混合物等から形成することができる。回折能を示す領域は、フィルム表面および/またはフィルム内部のいずれの領域であってもよく、例えばフィルム表面の一部(フィルム表面領域)、フィルム内部の一部(フィルム内部領域)に有するものでもよい。また当該領域は、コレステリック液晶性フィルムの複数領域、例えばフィルム表裏面領域、複数のフィルム内部領域にそれぞれに有するものであってもよい。また回折能を示す領域は、例えばフィルム表面や内部に均一な厚さを持った層状態として形成されていることは必ずしも必要とせず、フィルム表面やフィルム内部の少なくとも一部に前記領域が形成されていればよい。例えば回折能を示す領域が、所望の図形、絵文字、数字等の型を象るように有したものであってもよい。さらに回折能を示す領域を複数有する場合、全ての前記領域が同じ回折能を示す必要性はなく、それぞれの領域において異なった回折能を示すものであってもよい。また回折能を示す領域の配向状態は、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではないコレステリック配向、好ましくは螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向を形成していることが望ましい。またそれ以外の領域においては、通常のコレステリック配向と同様の配向状態、すなわち螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔な螺旋構造を形成していることが望ましい。なお本発明で言うフィルム表面とは、コレステリック液晶性フィルム単体において外部に接する部分を、またフィルム内部とは、外部に接する以外の部分をそれぞれ意味する。
【0020】
本発明においては、上記いずれのコレステリック液晶性フィルムを用いることもできるが、フィルムの製法や回折能の付与方法等の観点から、フィルム表面領域の少なくとも一部、好ましくはフィルム表面領域の全面に回折能を示す領域を有するコレステリック液晶性フィルムが好適に用いられる。また回折能を示す領域を一方のフィルム表面領域に有する際、そのフィルムの表裏、すなわち回折能を示す領域を有するフィルム面とその面とは反対のフィルム面とは多少異なった光学効果、呈色効果等を示すことから、用途や目的とする機能等に応じてどちらのフィルム面を本発明の光学積層体を構成するハードコート層側にするのか選択することができる。さらに回折能を示す領域が層状態として形成されている場合、回折能を示す層(領域)の厚みとしては、コレステリック液晶性フィルムの膜厚に対して通常50%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは10%以下の厚みを有する層状態で形成されていることが望ましい。回折能を示す層(領域)の厚さが50%を超えると、コレステリック液晶相に起因する選択反射特性、円偏光特性等の効果が低下し、本発明の効果を得ることができない恐れがある。
【0021】
コレステリック液晶性フィルムは、高分子液晶や低分子液晶またはその混合物を用いてコレステリック配向を固定化したコレステリック配向フィルムを予め用意し、コレステリック配向フィルムに回折素子基板を貼り合わせ、熱および/または圧力を加えることによって前記配向フィルムに回折素子基板の回折パターンを転写する方法、または回折素子基板を配向基板として高分子液晶や低分子液晶またはその混合物をコレステリック配向させた後、その配向状態を維持したまま固定化する方法等の方法により、フィルムの一部に回折能を示す領域を有したコレステリック液晶性フィルムを得ることができる。
【0022】
回折パターンの転写に用いられる回折素子基板の材質としては、金属や樹脂のような材料であっても良く、あるいはフィルム表面に回折機能を付与したもの、あるいはフィルムに回折機能を有する薄膜を転写したもの等、およそ回折機能を有するものであれば如何なる材質であっても良い。なかでも取り扱いの容易さや量産性を考えた場合、回折機能を有するフィルムまたはフィルム積層体がより望ましい。
【0023】
またここでいう回折素子とは、平面型ホログラムの原版等の回折光を生じる回折素子全てをその定義として含む。またその種類については、表面形状に由来する回折素子、いわゆる膜厚変調ホログラムのタイプであってもよいし、表面形状に因らない、または表面形状を屈折率分布に変換した位相素子、いわゆる屈折率変調ホログラムのタイプであっても良い。本発明においては、回折素子の回折パターン情報をより容易に液晶に付与することができる点から、膜厚変調ホログラムのタイプがより好適に用いられる。また屈折率変調のタイプであっても、表面形状に回折を生じる起伏を有したものであれば本発明に好適に用いることができる。
【0024】
また回折パターンの転写方法としては、例えば一般に用いられるヒートローラー、ラミネーター、ホットスタンプ、電熱板、サーマルヘッド等を用い、加圧・加温条件下にて行うことができる。加圧・加温条件は、用いられる高分子液晶や低分子液晶等の諸物性、回折素子基板の種類等によって異なり一概には言えないが、通常、圧力0.01〜100MPa、好ましくは0.05〜80MPa、温度30〜400℃、好ましくは40〜300℃の範囲において用いられる液晶や基板等の種類によって適宜選択される。
【0025】
コレステリック液晶性フィルムのフィルム材料となる高分子液晶としては、コレステリック配向が固定化できるものであれば特に制限はなく、主鎖型、側鎖型高分子液晶等いずれでも使用することができる。具体的にはポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキサンなどの側鎖型液晶ポリマーなどが挙げられる。なかでもコレステリック配向を形成する上で配向性が良く、合成も比較的容易である液晶性ポリエステルが望ましい。ポリマーの構成単位としては、例えば芳香族あるいは脂肪族ジオール単位、芳香族あるいは脂肪族ジカルボン酸単位、芳香族あるいは脂肪族ヒドロキシカルボン酸単位を好適な例として挙げられる。
【0026】
またコレステリック液晶性フィルムのフィルム材料となる低分子液晶としては、例えばアクリロイル基、ビニル基やエポキシ基等の官能基を導入したビフェニル誘導体、フェニルベンゾエート誘導体、スチルベン誘導体などを基本骨格としたものが挙げられる。また低分子液晶としては、ライオトロピック性、サーモトロピック性のどちらも用いることができるが、サーモトロピック性を示すものが作業性、プロセス等の観点からより好適である。
【0027】
また回折能を示す領域を有しないコレステリック配向を固定化したコレステリック配向フィルムを形成するには、公知の方法、例えば高分子液晶を用いる場合には、配向基板上に高分子液晶を配した後、熱処理等によってコレステリック液晶相を発現させ、その状態から急冷してコレステリック配向を固定化する方法を用いることができる。また低分子液晶を用いる場合には、配向基板上に低分子液晶を配した後、熱処理等によってコレステリック液晶相を発現させ、その状態を維持したまま光、熱または電子線等により架橋させてコレステリック配向を固定化する方法等を適宜採用することができる。また先に説明したように、配向基板として回折素子基板等を用いることによって、配向段階において回折能を示す領域が形成されたコレステリック液晶性フィルムを得ることができる。
【0028】
また最終的に得られるコレステリック液晶性フィルムの耐熱性等を向上させるために、フィルム材料となる高分子液晶や低分子液晶にコレステリック相の発現を妨げない範囲において、例えばビスアジド化合物やグリシジルメタクリレート等の架橋剤を添加することもでき、これら架橋剤を添加することによりコレステリック相を発現させた状態で架橋させることもできる。さらに高分子液晶や低分子液晶には、二色性色素、染料、顔料等の各種添加剤を本発明の効果を損なわない範囲において適宜添加してもよい。
【0029】
本発明の構成要素であるコレステリック液晶層の構成は、通常コレステリック液晶性フィルム1層からなる。また用途や要求される光学特性等に応じてコレステリック液晶性フィルムを複数層積層してなる構成、またコレステリック液晶性フィルム1層または複数層と回折能を示す領域を有しないコレステリック配向フィルム等を1層または複数層とを積層した構成等であってもよい。さらにコレステリック液晶性フィルムおよび回折能を示す領域を有しないコレステリック配向フィルムをそれぞれ2層以上積層する場合、コレステリック液晶性フィルムとコレステリック配向フィルムを交互に積層した構成とすることもできる。
【0030】
コレステリック液晶層の厚さは、通常0.3〜20μm、好ましくは0.5〜10μm、さらに好ましくは0.7〜3μmである。この範囲を外れた場合には本発明の効果を有効に発現できない恐れがある。なお複数層のフィルムから構成される場合には、その全フィルムの膜厚の合計が上記範囲に入ることが望ましい。
【0031】
次いで本発明の構成要素であるハードコート層とは、ハードコート性を有するものであれば特に限定されるものではなく、ハードコート剤を含有したハードコート層形成材料をフィルム状物、シート状物、薄膜状物、板状物に形成しものが挙げられる。また市販されている各種ハードコートフィルム等も本発明のハードコート層として用いることができる。ハードコート層形成材料としては、光学的に透明な層を形成することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等にハードコート剤を添加したものを用いることができる。またハードコート層としては上述において説明した熱、光または電子線硬化型の反応性接着剤にハードコート剤を添加した接着剤組成物を用いることもでき、その接着剤組成物の硬化物をハードコート層とすることもできる。
【0032】
ハードコート剤としては、オルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂系のアクリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、熱硬化型樹脂系のアクリル−シリコン系、セラミックス等の無機化合物系のものが例示できる。なかでも成膜性や前記コレステリック液晶層との親和性などから、オルガノポリシロキサン系または光硬化型のアクリルオリゴマー系が好ましい。またハードコート剤は、無溶媒型、溶媒型いずれであっても使用することができる。さらにハードコート層としては、上記ハードコート剤を透明な支持フィルム上に塗布して形成したものであってもよい。透明な支持フィルムとしては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、アモルファスポリオレフィン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等から形成されるフィルムを挙げることができる。
【0033】
ハードコート層の成膜法としては、ロールコート法、ディッピング法、グラビアコート法、バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、プリント法など公知の方法が例示できる。これらの方法によってコレステリック液晶層上や支持フィルム上に成膜した後、使用したハードコート剤に応じた硬化処理を施すことによりハードコート層を形成することができる。
【0034】
またハードコート層として一般に市販されているハードコートフィルム等を用いる場合には、接着剤等を介してコレステリック液晶層に積層することができる。接着剤としては先に説明した例えばホットメルト型接着剤、熱、光または電子線硬化型の反応性接着剤等を適宜用いることができる。
【0035】
本発明の構成要素であるハードコート層の硬度は、本発明の各構成要素の材料等によって異なるため一概にはいえないが、JIS L 0849試験法に準じて評価を行った際に、変色の判定基準として通常、少なくとも3以上、好ましくは4以上であることが望ましい。
【0036】
またハードコート層の構成は、要求される耐候性等に応じてハードコート層1層または複合層にすることもできる。複合層としては、例えばオルガノポリシロキサンを含むハードコート層、光硬化型樹脂を含むハードコート層、熱硬化型樹脂を含むハードコート層、無機化合物を含むハードコート層等、それぞれを組み合わせて2層以上からなる複合層をハードコート層として用いることができる。
【0037】
ハードコート層の厚みは、目的とするハードコート性により一概には決定されないが、通常0.1〜100μm、好ましくは1〜20μmである。またハードコート層が複合層からなる場合、また市販のハードコートフィルム等を接着剤層を介して積層する場合においては、複合層の膜厚またはフィルムと接着剤層の膜厚の合計が上記範囲に入ることが望ましい。
【0038】
本発明の光学積層体の製造方法としては、(1)支持基板上に順次本発明の構成となるように積層する、(2)表面にあらかじめ接着剤層を形成した支持基板に、別途作製した残りの積層体を、加圧、加熱、硬化等の手段を単独または組み合わせて貼合する、(3)支持基板に、別途作製した残りの積層体を剥離性基板上に用意しておき、支持基板側へ加圧、加熱、硬化等の手段を単独または組み合わせて転写して剥離性基板を取り除く、といった方法等が挙げられる。
【0039】
より具体的な製法例としては、(1)配向基板上に形成したコレステリック液晶性フィルム層を、表面にあらかじめ接着剤層を形成した支持基板またはコレステリック液晶性フィルムに接着剤層を形成して支持基板に転写し、配向基板を剥離除去する。次いでコレステリック液晶性フィルム層にハードコート層を形成する方法、(2)配向基板上に形成したコレステリック液晶性フィルムを配向基板とは異なる別の第2の基板上にハードコート剤を含有した接着剤層を介して転写し、配向基板を剥離除去する。次いであらかじめ接着剤層を形成した支持基板またはコレステリック液晶性フィルムに接着剤層を形成して、支持基板にコレステリック液晶性フィルムを転写し、コレステリック液晶性フィルムから第2の基板のみ剥離除去する方法、(3)配向基板上に形成したコレステリック液晶性フィルムを配向基板とは異なる第2の基板に接着剤層を介して転写し、配向基板を剥離除去する。次いで第3の基板上にハードコート剤を含有した接着剤層を介してコレステリック液晶性フィルムを転写し、第2の基板を剥離除去する。次いであらかじめ接着剤層が形成された支持基板にコレステリック液晶性フィルムを転写し、第2の基板を剥離除去する方法、等が挙げられる。
【0040】
ここで上記第2および第3の基板(以下、再剥離性基板という。)とは、再剥離性を有し、自己支持性を具備する基板であれば特に限定されず、該基板としては、通常剥離性を有するプラスチックフィルムが望ましく用いられる。またここでいう再剥離性とは、接着剤を介しコレステリック液晶性フィルム層と再剥離性基板を接着した状態において、接着剤と再剥離性基板との界面で剥離できることを意味する。このような再剥離性基板の材料としては、具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹脂等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルフォン、ポリケトンサルファイド、ポリスルフォン、ポリスチレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリカーボネートポリビニルアルコール、セルロース系プラスチック等が挙げられる。これら材料から形成されるプラスチックフィルムはプラスチックフィルム自身を再剥離性基板として用いてもよいし、適度な再剥離性を持たせるためにプラスチックフィルム表面に、シリコーンをコートしたもの、有機薄膜または無機薄膜を形成したもの、化学的処理を施したもの、蒸着や表面研磨等の物理的処理を施したものも用いることができる。
【0041】
またコレステリック液晶性フィルム層を再剥離性基板に転写する際に用いられる接着剤としては、特に限定されるものではないが、望ましくは上述にて説明した熱、光または電子線硬化型の反応性接着剤等を適宜用いることができる。
【0042】
さらに上記製法例における剥離除去方法としては、例えば配向基板や再剥離性基板のコーナー端部に粘着テープを貼り付けて人為的に剥離する方法、ロール等を用いて機械的に剥離する方法、構造材料全てに対する貧溶媒に浸積した後に機械的に剥離する方法、貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向基板、再剥離性基板とコレステリック液晶性フィルムとの熱膨張係数の差を利用し、温度変化を与えて剥離する方法等を適宜採用することができる。
【0043】
なお上記製造方法は、あくまでも例示であり本発明の光学積層体はこれらに限定されるものではない。
【0044】
このようにして得られる本発明の光学積層体は、回折光が円偏光性を有するという、従来の光学部材には無い特異な効果を有する。この効果により、例えばエリプソメーターのような偏光を必要とする分光光学機器に用いることにより、光の利用効率を極めて高くすることが可能となる。従来の偏光を必要とする分光光学機器では、光源より発した光を回折格子やプリズム等の分光素子を用いて波長ごとに分光した後に偏光子を透過させる、または偏光子を透過させた後に分光する必要があり偏光子が必須であった。この偏光子は、入射した光の約50%を吸収してしまい、また界面での反射が生じるために光の利用効率が極めて悪いといった問題があったが、本発明の光学積層体を用いることにより光の利用効率を極めて高く、理論的には約100%利用することが可能となる。また本発明の光学積層体は、通常の偏光板を用いることによって容易に回折光の透過および遮断をコントロールすることが可能である。通常、偏光性を有していない回折光では、どのような偏光板と組み合わせても完全に遮断することはできない。すなわち本発明の光学積層体では、例えば右偏光性を有する回折光は、左円偏光板を用いた時にのみ完全に遮断することができ、それ以外の偏光板を用いても完全な遮断を実現することができないものである。このような効果を有することから、例えば観察者が偏光板越しに回折像を観察する環境において、偏光板の状態を変化させることによって、回折像を暗視野から突然浮かび上がらせたり、また突然消失させたりすることが可能となる。
【0045】
以上のように本発明の光学積層体は、新たな回折機能素子として応用範囲は極めて広く、種々の光学用素子や光エレクトロニクス素子、装飾用部材、偽造防止用素子等として使用することができる。
【0046】
具体的に光学用素子や光エレクトロニクス素子としては、例えば支持基板として透明かつ等方なフィルム、例えばフジタック(富士写真フィルム(株)製)、コニカタック(コニカ(株)製)などのトリアセチルセルロースフィルム、TPXフィルム(三井化学(株)製)、アートンフィルム(日本合成ゴム(株)製)、ゼオネックスフィルム(日本ゼオン(株)製)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン(株)製)等を用いて本発明の光学積層体を得ることによって様々な光学用途への展開を図ることが可能である。例えば前記光学積層体をTN(twisted nematic)−LCD(Liquid Crystal Display)、STN(Super Twisted Nematic)−LCD、ECB(Electrically Controlled Birefringence)−LCD、OMI(Optical Mode Interference)−LCD、OCB(Optically CompensatedBirefringence)−LCD、HAN(Hybrid Aligned Nematic)−LCD、IPS(In Plane Switching)−LCD等の液晶ディスプレーに備えることによって色補償および/または視野角改良された各種LCDを得ることができる。また前記光学積層体を上記したように分光された偏光を必要とする分光光学機器、回折現象により特定の波長を得る偏光光学素子、光学フィルター、円偏光板、光拡散板等として用いることも可能であり、さらに1/4波長板と組み合わせることによって直線偏光板を得ることもできる等、光学用素子や光エレクトロニクス素子として従来にない光学効果を発現しうる様々な光学部材を提供することができる。
【0047】
装飾用部材としては、回折能による虹色呈色効果とコレステリック液晶による色鮮やかな呈色効果等を併せ持った新たな意匠性フィルムをはじめ様々な意匠性成形材料を得ることができる。また薄膜化できることから既存製品等に添付する、一体化する等の方法によって、他の類似製品との差別化にも大きく貢献することが期待できる。例えば、意匠性のある回折パターンを組み込んだ本発明の光学積層体をガラス窓等に張り付けると、外部からはその視角によって前記回折パターンを伴ったコレステリック液晶特有の選択反射が異なった色に見え、ファッション性に優れるものとなる。また明るい外部からは内部が見え難く、それにもかかわらず内部からは外部の視認性がよい窓とすることができる。
【0048】
偽造防止用素子としては、回折素子およびコレステリック液晶のそれぞれの偽造防止効果を併せ持った新たな偽造防止フィルム、シール、ラベル等として用いることができる。具体的には本発明の光学積層体を構成する支持基板として、例えば自動車運転免許証、身分証明証、パスポート、クレジットカード、プリペイドカード、各種金券、ギフトカード、有価証券等のカード基板、台紙等を用いることによって、本発明の光学積層体をカード基板、台紙等と一体化するまたは一部に設ける、具体的には貼り付ける、埋め込む、紙類に織り込むことができる。また本発明の光学積層体は、回折能を示す領域がコレステリック液晶層の一部に有すると共にハードコート層で覆われており、またコレステリック液晶の波長選択反射性、円偏光選択反射性、色の視角依存性、コレステリックカラーの美しい色を呈する効果を併せ持ったものである。したがって本発明の光学積層体は、偽造防止用素子として用いた場合には、該積層体の偽造は困難であり、より具体的には本発明の光学積層体を構成する回折能を一部に有したコレステリック液晶層の偽造は極めて困難であるといえる。また偽造防止効果とあわせて、回折素子の虹色呈色効果、コレステリック液晶の色鮮やかな呈色効果を有することから意匠性にも優れたものである。これらのことから本発明の光学積層体は偽造防止用素子として非常に有用である。
【0049】
これらの用途はほんの一例であり、本発明の光学積層体は、従来、回折素子単体、コレステリック液晶性フィルム単体が使用されている各種用途や、新たな光学的効果を発現することが可能であること等から前記用途以外の様々な用途にも応用展開が可能である。
【0050】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0051】
(参考例1:液晶性ポリエステルの合成)
テレフタル酸50mmol、ヒドロキシ安息香酸20mmol、カテコール20mmol、(R)−2−メチル−1,4−ブタンジオール10mmolおよび酢酸ナトリウム100mgを用いて窒素雰囲気下、180℃で1時間、200℃で1時間、250℃で1時間と段階状に昇温しながら重縮合反応を行った。
【0052】
次いで窒素を流しながら250℃で2時間重縮合反応を続け、さらに減圧下同温度で1時間重縮合を行った。得られたポリマーをテトラクロロエタンに溶解後、メタノールで再沈澱を行い、液晶性ポリエステルを得た。
【0053】
得られた液晶性ポリエステルのN−メチル−2−ピロリドン溶液(20重量%)を調製し、該溶液をラビング処理したポリフェニレンスルフィドフィルム上にスピンコート法で塗布した。塗布した後、乾燥処理を行いN−メチル−2−ピロリドンを除去し、ポリフェニレンスルフィドフィルム上に液晶性ポリエステルの塗布膜を形成した。
【0054】
次いで該液晶性フィルムの塗布膜を200℃の加熱雰囲気において5分間熱処理を行い、室温下に冷却することによって、ポリフェニレンスルフィドフィルム上に金色の鏡面反射を呈する液晶性ポリエステルフィルムを得た。
【0055】
同フィルムを日本分光(株)製紫外可視近赤外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定したところ、中心波長が約600nm、選択反射波長帯域幅が約100nmの選択反射を示すコレステリック配向が固定化されたコレステリック配向フィルムであることが確認された。またコレステリック配向フィルムの配向状態を偏光顕微鏡観察およびフィルム断面の透過型電子顕微鏡観察したところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、また螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向を形成していることが確認できた。
【0056】
なお得られたポリエステルの各分析方法は以下の通りである。
(1)ポリマーの対数粘度
ウベローデ型粘度計を用い、フェノール/テトラクロロエタン=60/40(重量比)溶媒中、濃度0.5g/100ml,30℃で測定した。
(2)ガラス転移点(Tg)
Du Pont 990 Thermal Analizer を使用して測定した。
(3)液晶相の同定
オリンパス光学(株)製BH2偏光顕微鏡を用いて観察した。
【0057】
(参考例2〜10)
参考例1と同様な方法によって各種組成の液晶性ポリエステルを合成した。結果を表1に示す。
また参考例1と同様に各種液晶性ポリエステルをN−メチル−2−ピロリドン溶液を調製し、熱処理を行うことによって配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルム上にコレステリック配向フィルムを得た。得られたフィルムの選択反射色を表1に示した。
【0058】
得られた各フィルムについてそれぞれの配向状態を偏光顕微鏡観察およびフィルム断面の透過型電子顕微鏡観察したところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、また螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向を形成していることが確認できた。
【0059】
【表1】
Figure 0004674830
【0060】
表1中、各記号は次の化合物を意味する。
TPA:テレフタル酸,MHQ:メチルヒドロキノン,CT:カテコール,
MBD:(R)-2-メチル-1,4-ブタンジオール,BPDA:4,4'-ビフェニルジカルボン酸,CHQ:クロロヒドロキノン,MHD:(R)-3-メチル-1,6-ヘキサンジオール,
HBA:ヒドロキシ安息香酸, NDCA:2,6-ナフタレンジカルボン酸,
HQ:ヒドロキノン,CCT:3-クロロカテコール,DMBD:(R) (R)-2,3-ジメチル-1.4-ブタンジオール,t-BHQ:t-ブチルヒドロキノン,PA:フタル酸
【0061】
(実施例1)
参考例1で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック液晶面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0062】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180°方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/TACフィルムの順に積層された積層体を得た。
【0063】
次いでエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/接着剤層/TACフィルム)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。回折格子フィルムが重ねられていたコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有な選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0064】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0065】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/TACフィルム)のコレステリック液晶層面に、光硬化型のアクリル系オリゴマーであるアロニックスM−240(東亞合成(株)製商品名)20.0重量%およびM−320(東亞合成(株)製商品名)10.0重量%をそれぞれ添加した紫外線硬化型の接着剤(東亞合成(株)製アロニックスUV−3630(商品名))をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射、硬化させて光学積層体(光硬化型ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/TACフィルム)を得た。
【0066】
得られた光学積層体の耐摩耗性試験をスガ試験機(株)製摩擦試験機FR−I型を用いて行った。試験はJIS L 0849の記載に準じて行った。ただし摩擦回数は50秒間に50往復とした。
【0067】
試験の結果、ハードコート層に傷は見られず、また変色判定基準は3−4であった。また試験後のコレステリック液晶層の反射色と試験前の液晶層の反射色とを目視にて比較観察したところ、反射色に差異が見られず、耐摩耗性試験後でも回折パターンに起因する虹色呈色特性とコレステリック液晶に特有な選択反射特性が保たれていた。さらに光学積層体を構成するコレステリック液晶層の配向状態および回折偏光硬化を観察したところ、いずれも試験前の状態と変化は見られなかった。
【0068】
(実施例2)
参考例2で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0069】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/TACフィルムの順に積層された積層体を得た。
【0070】
次いでエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/接着剤層/TACフィルム)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。回折格子フィルムが重ねられていたコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0071】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0072】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/TACフィルム)のコレステリック液晶層面に、シリコーン系ワニスKR9706(信越化学工業(株)製商品名)をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、加熱・硬化させ光学積層体(シリコーン系ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/TACフィルム)を得た。
【0073】
得られた光学積層体は、ハードコート層を積層しても、ハードコート層を積層する前と同様に回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。
【0074】
(実施例3)
参考例3で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/ポリフェニレンスルフィドフィルム)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。
【0075】
次いで回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0076】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/TACフィルムの順に積層された積層体を得た。
【0077】
得られた積層体を構成するコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0078】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0079】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/TACフィルム)のコレステリック液晶層面に、光硬化型のアクリル系オリゴマーであるアロニックスM−240(東亞合成(株)製商品名)20.0重量%およびM−320(東亞合成(株)製商品名)10.0重量%をそれぞれ添加した紫外線硬化型の接着剤(東亞合成(株)、アロニックスUV−3630(商品名))をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射、硬化させて光学積層体(光硬化型ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/TACフィルム)を得た。
【0080】
得られた光学積層体の耐摩耗性試験をスガ試験機(株)製摩擦試験機FR−I型を用いて行った。試験はJIS L 0849の記載に準じて行った。ただし摩擦回数は50秒間に50往復とした。
【0081】
試験の結果、ハードコート層に傷は見られず、また変色判定基準は3−4であった。また試験後のコレステリック液晶層の反射色と試験前の液晶層の反射色とを目視にて比較観察したところ、反射色に差異が見られず、耐摩耗性試験後でも回折パターンに起因する虹色呈色特性とコレステリック液晶に特有な選択反射特性が保たれていた。さらに光学積層体を構成するコレステリック液晶層の配向状態および回折偏光硬化を観察したところ、いずれも試験前の状態と変化は見られなかった。
【0082】
(実施例4)
参考例4で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にポリ塩化ビニルシートを卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0083】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/ポリ塩化ビニルシートの順に積層された積層体を得た。
【0084】
次いでエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/接着剤層/ポリ塩化ビニルシート)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。回折格子フィルムが重ねられていたコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0085】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0086】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/ポリ塩化ビニルシート)のコレステリック液晶層面に、光硬化型のアクリル系オリゴマーであるアロニックスM−240(東亞合成(株)製商品名)20.0重量%およびM−320(東亞合成(株)製商品名)10.0重量%をそれぞれ添加した紫外線硬化型の接着剤(東亞合成(株)製アロニックスUV−3630)をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射、硬化させて光学積層体(光硬化型ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/ポリ塩化ビニルシート)を得た。
【0087】
得られた光学積層体の耐摩耗性試験をスガ試験機(株)製摩擦試験機FR−I型を用いて行った。試験はJIS L 0849の記載に準じて行った。ただし摩擦回数は50秒間に50往復とした。
【0088】
試験の結果、ハードコート層に傷は見られず、また変色判定基準は3−4であった。また試験後のコレステリック液晶層の反射色と試験前の液晶層の反射色とを目視にて比較観察したところ、反射色に差異が見られず、耐摩耗性試験後でも回折パターンに起因する虹色呈色特性とコレステリック液晶に特有な選択反射特性が保たれていた。さらに光学積層体を構成するコレステリック液晶層の配向状態および回折偏光硬化を観察したところ、いずれも試験前の状態と変化は見られなかった。
【0089】
(実施例5)
参考例5で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/ポリフェニレンスルフィドフィルム)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。
【0090】
次いで回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面に合成紙を卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0091】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/合成紙の順に積層された積層体を得た。
【0092】
得られた積層体を構成するコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0093】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0094】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/合成紙)のコレステリック液晶層面に、光硬化型のアクリル系オリゴマーであるアロニックスM−240(東亞合成(株)製商品名)20.0重量%およびM−320(東亞合成(株)製商品名)10.0重量%をそれぞれ添加した紫外線硬化型の接着剤(東亞合成(株)製アロニックスUV−3630(商品名))をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射、硬化させて光学積層体(光硬化型ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/TACフィルム)を得た。
【0095】
得られた光学積層体の耐摩耗性試験をスガ試験機(株)製摩擦試験機FR−I型を用いて行った。試験はJIS L 0849の記載に準じて行った。ただし摩擦回数は50秒間に50往復とした。
【0096】
試験の結果、ハードコート層に傷は見られず、また変色判定基準は3−4であった。また試験後のコレステリック液晶層の反射色と試験前の液晶層の反射色とを目視にて比較観察したところ、反射色に差異が見られず、耐摩耗性試験後でも回折パターンに起因する虹色呈色特性とコレステリック液晶に特有な選択反射特性が保たれていた。さらに光学積層体を構成するコレステリック液晶層の配向状態および回折偏光硬化を観察したところ、いずれも試験前の状態と変化は見られなかった。
【0097】
(実施例6)
参考例6で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にポリ塩化ビニルシートを卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0098】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/ポリ塩化ビニルシートの順に積層された積層体を得た。
【0099】
次いでエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/接着剤層/ポリ塩化ビニルシート)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。回折格子フィルムが重ねられていたコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0100】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0101】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/ポリ塩化ビニルシート)のコレステリック液晶層面に、微細シリカ(日本アエロジル(株)製、アエロジルR812(商品名))を分散せしめた光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射、硬化させて光学積層体(光硬化型ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/TACフィルム)を得た。
【0102】
得られた光学積層体の耐摩耗性試験をスガ試験機(株)製摩擦試験機FR−I型を用いて行った。試験はJIS L 0849の記載に準じて行った。ただし摩擦回数は50秒間に50往復とした。
【0103】
試験の結果、ハードコート層に傷は見られず、また変色判定基準は4−5であった。また試験後のコレステリック液晶層の反射色と試験前の液晶層の反射色とを目視にて比較観察したところ、反射色に差異が見られず、耐摩耗性試験後でも回折パターンに起因する虹色呈色特性とコレステリック液晶に特有な選択反射特性が保たれていた。さらに光学積層体を構成するコレステリック液晶層の配向状態および回折偏光硬化を観察したところ、いずれも試験前の状態と変化は見られなかった。
【0104】
(実施例7)
参考例7で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にガラス基板を貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0105】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/ガラス基板の順に積層された積層体を得た。
【0106】
次いでエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/接着剤層/ガラス基板)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。回折格子フィルムが重ねられていたコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0107】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0108】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/ガラス基板)のコレステリック液晶層面に光硬化型のアクリル系オリゴマーであるアロニックスM−240(東亞合成(株)製商品名)20.0重量%およびM−320(東亞合成(株)製商品名)10.0重量%をそれぞれ添加した紫外線硬化型の接着剤(東亞合成(株)製アロニックスUV−3630)をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射、硬化させて光学積層体(光硬化型ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/ポリ塩化ビニルシート)を得た。
【0109】
得られた光学積層体の耐摩耗性試験をスガ試験機(株)製摩擦試験機FR−I型を用いて行った。試験はJIS L 0849の記載に準じて行った。ただし摩擦回数は50秒間に50往復とした。
【0110】
試験の結果、ハードコート層に傷は見られず、また変色判定基準は3−4であった。また試験後のコレステリック液晶層の反射色と試験前の液晶層の反射色とを目視にて比較観察したところ、反射色に差異が見られず、耐摩耗性試験後でも回折パターンに起因する虹色呈色特性とコレステリック液晶に特有な選択反射特性が保たれていた。さらに光学積層体を構成するコレステリック液晶層の配向状態および回折偏光硬化を観察したところ、いずれも試験前の状態と変化は見られなかった。
【0111】
(実施例8)
参考例8で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/ポリフェニレンスルフィドフィルム)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。
【0112】
次いで回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にガラス基板を卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0113】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/ガラス基板の順に積層された積層体を得た。
【0114】
得られた積層体を構成するコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0115】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0116】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/ガラス基板)のコレステリック液晶層面に、リポキシSP−1509(昭和高分子(株)製商品名)に4重量%のルシリンTPO(BASF社商品名)を混合したイソプロピルアルコールの20重量%溶液をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射(500mJ/cm2)、硬化させ本発明の光学積層体を得た。
【0117】
得られた光学積層体は、紫外線吸収層を積層しても、該吸収層を積層する前と同様に回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。
【0118】
(実施例9)
参考例9で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にアルミニウム薄膜で表面を覆われたプラスチック基板を貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0119】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/アルミニウム薄膜の順に積層された積層体を得た。
【0120】
次いでエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/接着剤層/アルミニウム薄膜)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。回折格子フィルムが重ねられていたコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0121】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0122】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/アルミニウム薄膜)のコレステリック液晶層面に光硬化型のアクリル系オリゴマーであるアロニックスM−240(東亞合成(株)製商品名)20.0重量%およびM−320(東亞合成(株)製商品名)10.0重量%をそれぞれ添加した紫外線硬化型の接着剤(東亞合成(株)製アロニックスUV−3630)をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射、硬化させて光学積層体(光硬化型ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/アルミニウム薄膜)を得た。
【0123】
得られた光学積層体の耐摩耗性試験をスガ試験機(株)製摩擦試験機FR−I型を用いて行った。試験はJIS L 0849の記載に準じて行った。ただし摩擦回数は50秒間に50往復とした。
【0124】
試験の結果、ハードコート層に傷は見られず、また変色判定基準は3−4であった。また試験後のコレステリック液晶層の反射色と試験前の液晶層の反射色とを目視にて比較観察したところ、反射色に差異が見られず、耐摩耗性試験後でも回折パターンに起因する虹色呈色特性とコレステリック液晶に特有な選択反射特性が保たれていた。さらに光学積層体を構成するコレステリック液晶層の配向状態および回折偏光硬化を観察したところ、いずれも試験前の状態と変化は見られなかった。
【0125】
(実施例10)
参考例10で得られたコレステリック配向フィルムのコレステリック配向面にエドモンド・サイエンティフィック・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/mm)の回折面と積層体のコレステリック配向フィルム面が向き合うように重ね、東京ラミネックス社製ラミネーターDX−350を用い、120℃、0.3MPa、ロール接触時間1秒の条件で加熱加圧を行った(回折格子フィルム/コレステリック配向フィルム/ポリフェニレンスルフィドフィルム)。室温まで冷却後、回折格子フィルムを取り除いた。
【0126】
次いで回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面にバーコーターを使用して市販の光硬化型アクリル系オリゴマーからなる接着剤を厚さ5μmとなるように塗布した。次いでフィルムの接着剤塗布面にアルミニウム薄膜で覆われたプラスチック基板を卓上ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線を照射し、接着剤を硬化させた。
【0127】
接着剤を硬化させた後、配向基板として用いたポリフェニレンスルフィドフィルムの端部を手で持ち、180゜方向にポリフェニレンスルフィドフィルムを該フィルムとコレステリック配向フィルムとを界面で剥離除去し、コレステリック配向フィルム/接着剤層/アルミニウム薄膜の順に積層された積層体を得た。
【0128】
得られた積層体を構成するコレステリック配向フィルム面を観察したところ、回折パターンに起因する虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に認められた。また回折格子フィルムを取り除いたコレステリック配向フィルム面の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認された。またそれ以外の領域においては、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向が形成していることが確認された。またコレステリック配向フィルム面内に垂直にHe−Neレーザー(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察されなかった。
【0129】
これらのことより該積層体を構成するコレステリック配向フィルムには、回折能を示す領域がフィルム表面領域に形成され、またその回折光が右円偏光であることが確認された。またこのことより、該積層体を構成するコレステリック配向フィルムが、本発明の構成要素であるコレステリック液晶層となることが判明した。
【0130】
積層体(コレステリック液晶層/接着剤層/アルミニウム薄膜)のコレステリック液晶層面に光硬化型のアクリル系オリゴマーであるアロニックスM−240(東亞合成(株)製商品名)20.0重量%およびM−320(東亞合成(株)製商品名)10.0重量%をそれぞれ添加した紫外線硬化型の接着剤(東亞合成(株)製アロニックスUV−3630)をバーコーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照射、硬化させて光学積層体(光硬化型ハードコート層/コレステリック液晶層/接着剤層/アルミニウム薄膜)を得た。
【0131】
得られた光学積層体の耐摩耗性試験をスガ試験機(株)製摩擦試験機FR−I型を用いて行った。試験はJIS L 0849の記載に準じて行った。ただし摩擦回数は50秒間に50往復とした。
【0132】
試験の結果、ハードコート層に傷は見られず、また変色判定基準は3−4であった。また試験後のコレステリック液晶層の反射色と試験前の液晶層の反射色とを目視にて比較観察したところ、反射色に差異が見られず、耐摩耗性試験後でも回折パターンに起因する虹色呈色特性とコレステリック液晶に特有な選択反射特性が保たれていた。さらに光学積層体を構成するコレステリック液晶層の配向状態および回折偏光硬化を観察したところ、いずれも試験前の状態と変化は見られなかった。
【0133】
【発明の効果】
本発明の光学積層体は、回折光が円偏光性を有するといった従来の光学素子にはない特異な光学特性を有するものであり、回折機能素子としてその応用範囲は極めて広く、例えば光学用素子、光エレクトロニクス素子、装飾用材料、偽造防止用素子等の光学部材として好適に用いることができる。
【0134】
また本発明の光学積層体は、特異な光学特性を損なうことなく、耐摩耗性をはじめとする各種耐性にも優れたものであることから、様々な用途に応用展開できる等、工業的価値が極めて高い。

Claims (1)

  1. 支持基板/接着剤層/コレステリック液晶層/ハードコート層から少なくとも構成される積層体であって、前記コレステリック液晶層が接着剤層に接する面の一部に偏光性を有する回折光を生じる領域を有したコレステリック液晶性フィルムからなり、該偏光性を有する回折光を生じる領域は、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配向を形成し、それ以外の領域は、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔なコレステリック配向を形成しており、コレステリック液晶層と接着剤層が直接積層されていることを特徴とする光学積層体。
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