JP2001004839A - 偏光回折素子の製造方法 - Google Patents

偏光回折素子の製造方法

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JP2001004839A
JP2001004839A JP17566399A JP17566399A JP2001004839A JP 2001004839 A JP2001004839 A JP 2001004839A JP 17566399 A JP17566399 A JP 17566399A JP 17566399 A JP17566399 A JP 17566399A JP 2001004839 A JP2001004839 A JP 2001004839A
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film
cholesteric
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cholesteric alignment
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JP17566399A
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Ryo Nishimura
涼 西村
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Nippon Mitsubishi Oil Corp
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  • Diffracting Gratings Or Hologram Optical Elements (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 回折光自体が円偏光や直線偏光のような特定
の偏光を生じる非鏡面性偏光回折素子の製造方法を提供
する。 【解決手段】 配向支持基板上に正反射除去反射率(S
CE)と正反射込み反射率(SCI)の比((SCE/
SCI)×100)で定義される拡散率が15%以上の
コレステリック配向フィルムを形成する第1工程、該コ
レステリック配向フィルム表面に回折素子基板の回折パ
ターンを転写する第2工程、回折パターンが転写された
コレステリック配向フィルム面と支持基板1とを接着剤
層1を介して積層する第3工程、第1工程で用いた配向
支持基板をコレステリック配向フィルムから除去する第
4工程、及び配向支持基板を除去したコレステリック配
向フィルム面と支持基板2とを接着剤層2を介して積層
する第5工程、を含む偏光回折素子の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光性を有する回
折光を生じることができる偏光回折素子の製造方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】回折素子は、分光光学などの分野で光の
分光や光束の分割を行う目的で広く用いられている汎用
光学素子である。回折素子は、その形状からいくつかの
種類に分類され、光が透過する部分と透過しない部分を
周期的に配置した振幅型回折素子、透過性の高い材料に
周期的な溝を形成した位相型回折素子などに通常分類さ
れる。また、回折光の生じる方向に応じて透過型回折素
子、反射型回折素子と分類される場合もある。
【0003】上記の如き従来の回折素子では、自然光
(非偏光)を入射した際に得られる回折光は非偏光しか
得ることができない。分光光学などの分野で頻繁に用い
られるエリプソメーターのような偏光光学機器では、回
折光として非偏光しか得ることができないため、光源よ
り発した自然光を回折素子により分光し、さらにこれに
含まれる特定の偏光成分だけを利用するために、回折光
を偏光子を通して用いる方法が一般的に行われている。
この方法では、得られた回折光のうちの約50%以上が
偏光子に吸収されるために光量が半減するという問題が
あった。またそのために感度の高い検出器や光量の大き
な光源を用意する必要もあり、回折光自体が円偏光や直
線偏光のような特定の偏光となる回折素子の開発が求め
られていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するものであり、液晶層構造を制御することで、コ
レステリック配向フィルムの一部の領域に回折能を付与
することに成功した。さらに詳しくは、コレステリック
液晶に特有な選択反射特性および円偏光特性に併せて回
折能という新たな特性をコレステリック配向フィルムに
容易に付与する方法を見出し、遂に本発明に到達した。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明は、配向
支持基板上に正反射除去反射率(SCE)と正反射込み
反射率(SCI)の比((SCE/SCI)×100)
で定義される拡散率が15%以上のコレステリック配向
フィルムを形成する第1工程、該コレステリック配向フ
ィルム表面に回折素子基板の回折パターンを転写する第
2工程、回折パターンが転写されたコレステリック配向
フィルム面と支持基板1とを接着剤層1を介して積層す
る第3工程、第1工程で用いた配向支持基板をコレステ
リック配向フィルムから除去する第4工程、及び配向支
持基板を除去したコレステリック配向フィルム面と支持
基板2とを接着剤層2を介して積層する第5工程、を含
む偏光回折素子の製造方法に関する。
【0006】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体的に説明す
る。本発明の第1工程は、配向支持基板上に正反射除去
反射率(SCE)と正反射込み反射率(SCI)の比
((SCE/SCI)×100)で定義される拡散率が
15%以上のコレステリック配向フィルムを形成する工
程である。ここで正反射込み反射率(SCI)とは、被
測定物を拡散照明により均一照明した際の全反射率のこ
とをいう。また、正反射除去反射率(SCE)とは、被
測定物を拡散照明により均一照明した際の全反射率より
正反射光成分を除いた(被測定物表面で拡散した光の成
分からなる)拡散反射率のことをいう(全反射率=正反
射率+拡散反射率)。これら正反射除去反射率および正
反射込み反射率は、JIS−Z−8722「色の測定方
法−反射及び透過物体」に準拠して測定することにより
求めることができる。具体的な測定方法としては、d/
8(拡散照明8゜受光)照明・受光光学系を持つ測定
器、ミノルタ社製分光測色計CM−3500dを用いて
測定することができる。
【0007】第1工程で配向支持基板上に形成されるコ
レステリック配向フィルムは、上記定義に基づいて求め
られる拡散率が通常15%以上、好ましくは20%以上
90%以下、さらに好ましくは30%以上80%以下で
ある。拡散率が15%より低い場合、フィルム表面が鏡
面反射する可能性があり、非鏡面性を示す本発明の偏光
回折素子を得ることができない恐れがある。
【0008】上記の如きコレステリック配向フィルムを
形成するフィルム材料としては、高分子液晶、低分子液
晶またはこれら混合物を用いることができる。高分子液
晶としては、コレステリック配向が固定化できるもので
あれば特に制限はなく、主鎖型、側鎖型高分子液晶等い
ずれでも使用することができる。具体的にはポリエステ
ル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエステルイミ
ドなどの主鎖型液晶ポリマー、あるいはポリアクリレー
ト、ポリメタクリレート、ポリマロネート、ポリシロキ
サンなどの側鎖型液晶ポリマーなどが挙げられる。なか
でもコレステリック配向を形成する上で配向性が良く、
合成も比較的容易である液晶性ポリエステルが望まし
い。ポリマーの構成単位としては、例えば芳香族あるい
は脂肪族ジオール単位、芳香族あるいは脂肪族ジカルボ
ン酸単位、芳香族あるいは脂肪族ヒドロキシカルボン酸
単位を好適な例として挙げられる。
【0009】またコレステリック配向フィルムのフィル
ム材料となる低分子液晶としては、例えばアクリロイル
基、ビニル基やエポキシ基等の官能基を導入したビフェ
ニル誘導体、フェニルベンゾエート誘導体、スチルベン
誘導体などを基本骨格としたものが挙げられる。また低
分子液晶としては、ライオトロピック性、サーモトロピ
ック性のどちらも用いることができるが、サーモトロピ
ック性を示すものが作業性、プロセス等の観点からより
好適である。
【0010】またコレステリック配向フィルムの耐熱性
等を向上させるために、フィルム材料中にコレステリッ
ク液晶相の発現を妨げない範囲において、例えばビスア
ジド化合物やグリシジルメタクリレート等の架橋剤を添
加することもでき、これら架橋剤を添加することにより
コレステリック液晶相を発現させた状態で架橋させるこ
ともできる。さらにフィルム材料には、コレステリック
液晶相の発現を妨げない範囲において二色性色素、染料
や顔料等を適宜添加することもできる。
【0011】上記の如きフィルム材料を用いてコレステ
リック配向を固定化する方法としては、公知の方法、例
えば高分子液晶を用いる場合には、配向支持基板上に高
分子液晶を配した後、熱処理等によってコレステリック
液晶相を発現させ、その状態から急冷してコレステリッ
ク配向を固定化する方法を用いることができる。また低
分子液晶を用いる場合には、配向支持基板上に低分子液
晶を配した後、熱処理等によってコレステリック液晶相
を発現させ、その状態を維持したまま光、熱または電子
線等により架橋させてコレステリック配向を固定化する
方法等を適宜採用することができる。
【0012】コレステリック配向フィルムの拡散率は、
コレステリック配向を形成する際の熱処理温度、熱処理
時間およびフィルム膜厚を適宜調節することにより、所
望の拡散率を得ることができる。熱処理温度、熱処理時
間およびフィルム膜厚は、フィルム材料となる高分子液
晶や低分子液晶の種類、組成比、諸物性等によって異な
るため一概には言えないが、熱処理温度としては通常3
0〜250℃、好ましくは40〜200℃、特に好まし
くは50〜170℃の範囲、また熱処理時間は、通常5
秒〜2時間、好ましくは10秒〜1時間、特に好ましく
は20秒〜30分の範囲、さらにフィルム膜厚として
は、通常0.3〜30μm、好ましくは0.5〜20μ
m、特に好ましくは0.7〜10μmの範囲で適宜調節
することにより、所望の拡散率を有するフィルムを得る
ことができる。
【0013】また本発明の第1工程に供することができ
る配向支持基板としては、例えばガラス基板またはプラ
スチックフィルム、プラスチックシート等のプラスチッ
ク基板を例示することができる。ガラス基板としては例
えばソーダガラス、シリカコートソーダガラス、ホウケ
イ酸ガラス基板等を用いることができる。またプラスチ
ック基板としては、ポリメチルメタクリレート、ポリス
チレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルフォン、
ポリフェニレンサルファイド、アモルファスポリオレフ
ィン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエチレンナフタレート、ポリイミド、ポリ
アミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、エポキシ
樹脂、フェノール樹脂等の基板等を用いることができ
る。これらの配向支持基板に必要に応じて一軸または二
軸延伸操作を適宜加えることもできる。さらに上記基板
に、親水化処理や疎水化処理や易剥離性処理などの表面
処理を施すこともできる。また配向支持基板としては1
種単独、または2種以上の基板を積層したものを配向支
持基板として用いることもできる。
【0014】また上記各配向支持基板上に配向膜を形成
したものも本発明では配向支持基板に包含するものであ
る。配向膜としては、ラビング処理したポリイミドフィ
ルムが好適に用いられるが、その他当該分野で公知の配
向膜も適宜使用することができる。またポリイミド等を
塗布することなく、直接ラビング処理によって配向能を
付与して得られるプラスチック基板等もコレステリック
配向フィルムを得る際の配向支持基板として使用するこ
とができる。なお配向処理の方法は特に制限されるもの
ではないが、液晶分子を配向処理界面と一様に平行に配
向させるものであればよい。
【0015】次いで配向支持基板上にフィルム材料を塗
布する手段としては、溶融塗布、溶液塗布が挙げられる
が、プロセス上溶液塗布が望ましい。溶液塗布は、フィ
ルム材料を所定の割合で溶媒に溶解し、所定濃度の溶液
を調製する。溶媒としては、用いるフィルム材料の種類
により異なるが、通常トルエン、キシレン、ブチルベン
ゼン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン
等の炭化水素系、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレ
ングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等
のエーテル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン系、酢酸エチル、
酢酸ブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルア
セテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステ
ル系、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系、ジクロロメ
タン、四塩化炭素、テトラクロロエタン、クロロベンゼ
ン等のハロゲン化炭化水素系、ブチルアルコール、トリ
エチレングリコール、ジアセトンアルコール、ヘキシレ
ングリコール等のアルコール系等を用いることができ
る。これらの溶媒は必要により2種以上を適宜混合して
使用することもできる。また溶液の濃度は用いられるフ
ィルム材料の種類(組成比等)や溶解性、さらに最終的
に目的とするフィルムの膜厚等により異なるため一概に
は言えないが、通常1〜60重量%、好ましくは3〜4
0重量%で適宜調節される。
【0016】また溶液中には、塗布を容易にするために
界面活性剤等を加えても良い。界面活性剤としては、例
えばイミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルア
ミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面
活性剤、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮
合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレー
ト、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレン
グリコール及びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン
類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸
塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物
等の陰イオン系界面活性剤、ラウリルアミドプロピルベ
タイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活
性剤、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリ
オキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性
剤、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロ
アルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレン
オキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアン
モニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オ
リゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマ
ーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界
面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の添加量は、界
面活性剤の種類や溶剤、あるいは塗布する支持基板にも
よるが、通常、高分子液晶の重量に対する比率にして1
0ppm〜10%、好ましくは50ppm〜5%、さら
に好ましくは0.01%〜1%の範囲である。
【0017】上記の如くして調製したフィルム材料溶液
を配向支持基板上に塗布する。塗布方法としては、例え
ばロールコート法、ダイコート法、バーコート法、グラ
ビアロールコート法、スプレーコート法、ディップコー
ト法、スピンコート法等を採用することができる。
【0018】塗布後溶媒を乾燥により除去し、配向支持
基板上に形成したフィルム材料の塗布膜を上述において
説明した熱処理条件にてコレステリック配向させた後、
当該配向を固定化することにより所望の拡散率を有する
コレステリック配向フィルムを当該基板上に形成するこ
とができる。コレステリック配向の固定化方法として
は、高分子液晶を主とするフィルム材料を用いた場合に
はガラス転移点以下の温度に急冷することによってコレ
ステリック配向が固定化されたコレステリック配向フィ
ルムを得ることができる。また低分子液晶を主とするフ
ィルム材料を用いた場合には、液晶状態においてコレス
テリック配向を形成した後、電子線、紫外線、可視光線
または赤外線(熱線)を照射して低分子液晶を架橋させ
ることによってコレステリック配向が固定化されたコレ
ステリック配向フィルムを得ることができる。
【0019】配向支持基板上に形成されたコレステリッ
ク配向フィルムの光学パラメーターとして、コレステリ
ック配向における螺旋巻き数としては、通常2巻き以上
10巻き以下、好ましくは2巻き以上6巻き以下である
ことが望ましい。螺旋巻き数が2巻きより少ない場合、
また10巻きより多い場合には、偏光回折素子としての
効果を発現できない恐れがある。さらに当該フィルムに
おけるコレステリック選択反射の波長帯域幅としては、
通常30〜150nmが望ましく、またコレステリック
選択反射の中心波長としては、通常380〜780n
m、好ましくは420〜700nmの可視域、または8
00〜2000nm、好ましくは850〜1100の近
赤外域の範囲であることが望ましい。可視域で本発明の
偏光回折素子を用いる際においてコレステリック選択反
射の中心波長が上記範囲から外れた場合には、反射色が
薄れ鮮やかさに欠ける等の恐れがある。また近赤外域で
当該素子を用いる際においては適切な光源および/また
は検出器を用いてコレステリック選択反射を利用するこ
とになるが、中心波長が上記範囲から外れると汎用の光
源では光量が不足する、あるいは汎用の検出器では感度
が不足する等の恐れがある。
【0020】本発明の第2工程は、第1工程で得られた
コレステリック配向フィルム表面に回折素子基板の回折
パターンを転写する工程である。コレステリック配向フ
ィルムに回折パターンを転写する際に用いられる回折素
子基板の材質としては、金属や樹脂のような材料であっ
ても良く、あるいはフィルム表面に回折機能を付与した
もの、あるいはフィルムに回折機能を有する薄膜を転写
したもの等、およそ回折機能を有するものであれば如何
なる材質であっても良い。なかでも取り扱いの容易さや
量産性を考えた場合、回折機能を有するフィルムまたは
フィルム積層体がより望ましい。
【0021】またここでいう回折素子とは、平面型ホロ
グラムの原版等の回折光を生じる回折素子全てをその定
義として含む。またその種類については、表面形状に由
来する回折素子、いわゆる膜厚変調ホログラムのタイプ
であってもよいし、表面形状に因らない、または表面形
状を屈折率分布に変換した位相素子、いわゆる屈折率変
調ホログラムのタイプであっても良い。本発明において
は、回折素子の回折パターン情報をより容易に液晶に付
与することができる点から、膜厚変調ホログラムのタイ
プがより好適に用いられる。また屈折率変調のタイプで
あっても、表面形状に回折を生じる起伏を有したもので
あれば本発明に好適に用いることができる。また回折素
子基板における回折パターンの格子間隔としては、特に
制限されるものではないが、通常0.56μm〜6.3
0μm、好ましくは0.59μm〜3.20μm,さら
に好ましくは0.72μm〜2.10μmであることが
実用的に本発明の偏光回折素子を用いる際に望ましい。
【0022】回折パターンをコレステリック配向フィル
ムに転写する際の諸条件は、コレステリック配向フィル
ムの諸物性、回折素子基板の材質等によって異なるため
一概には言えないが、通常、温度40〜300℃、好ま
しくは70〜180℃、圧力0.05〜80MPa、好
ましくは0.1〜20MPaの加温および/または加圧
条件下で行うことができる。温度が40℃未満の場合、
室温で十分安定な配向状態を有するコレステリック配向
フィルムにおいては回折パターンの転写が不十分となる
恐れがある。また300℃を越えるとコレステリック配
向フィルムの分解や劣化が起こる恐れがある。また圧力
が0.05MPaより低い場合、回折パターンの転写が
不十分となる恐れがある。さらに80MPaより高い場
合には、コレステリック配向フィルムや他の基材の破壊
等が起こる恐れがあり望ましくない。
【0023】また転写に要する時間は、コレステリック
配向フィルムを形成しているフィルム材料の種類、フィ
ルム形態、回折パターン型や回折素子基板の材質等によ
り異なるため一概には言えないが、通常0.01秒以
上、好ましくは0.05秒〜1分である。処理時間が
0.01秒より短い場合、回折パターンの転写が不十分
となる恐れがある。また1分を越えるような処理時間は
生産性の観点から望ましいとは言えない。
【0024】回折パターンをコレステリック配向フィル
ムに転写する具体的な方法としては、例えば上記諸条件
を満足する一般の圧縮成型機、圧延機、カレンダーロー
ラー、ヒートローラー、ラミネーター、ホットスタン
プ、電熱板、サーマルヘッド等を用い、コレステリック
配向フィルムの液晶面と回折パターン面が接するように
した状態で成型機等に供することにより、回折素子基板
の回折パターンをコレステリック配向フィルムに転写す
ることができる。また回折パターンの転写は、コレステ
リック配向フィルムの片面のみに限られるものではな
く、同様の方法により、コレステリック配向フィルム両
面に回折パターンを転写することもできる。
【0025】上記の如き方法および条件にてコレステリ
ック配向フィルムに回折素子基板の回折パターンを転写
した後、当該回折素子基板はコレステリック配向フィル
ムから剥離除去する。回折素子基板が取り除かれたコレ
ステリック配向フィルムは、回折パターンが転写された
当該フィルム面に回折能を示す領域を有することにな
る。ここで回折能を示す領域とは、その領域を透過した
光またはその領域で反射された光が、幾何学的には影に
なる部分に回り込むような効果を生じる領域を意味す
る。また回折能を有する領域の有無は、例えばレーザー
光等を前記領域に入射し、直線的に透過または反射する
光(0次光)以外に、ある角度をもって出射する光(高
次光)の有無により確認することができる。また別法と
しては、原子間力顕微鏡や透過型電子顕微鏡などで液晶
層の表面形状や断面形状を観察することにより回折能を
示す領域が形成されているか否か確認することができ
る。また回折能を示す領域は、コレステリック配向フィ
ルムの複数領域、例えばフィルム表裏面にそれぞれ形成
することもできる。また回折能を示す領域は、例えばフ
ィルム面に均一な厚さを持った層状態として形成されて
いることは必ずしも必要とせず、フィルム面の少なくと
も一部に回折能を示す領域が形成されていれば偏光回折
素子としての効果を発現することができる。また回折能
を示す領域を、所望の図形、絵文字、数字等の型を象る
ように形成することもできる。さらに回折能を示す領域
を複数有する場合、全ての当該領域が同じ回折能を示す
必要性はなく、それぞれの領域において異なった回折能
を示すものであってもよい。
【0026】また回折能を示す領域が層状態として形成
されている場合、回折能を示す層(領域)の厚みとして
は、コレステリック配向フィルムの膜厚に対して通常5
0%以下、好ましくは30%以下、さらに好ましくは1
0%以下の厚みを有する層状態で形成されていることが
望ましい。回折能を示す層(領域)の厚さが50%を超
えると、コレステリック液晶相に起因する選択反射特
性、円偏光特性等の効果が低下し、偏光回折素子として
の効果を得ることができない恐れがある。
【0027】さらに本発明の第2工程において、回折素
子基板の回折パターンを転写されたコレステリック配向
フィルムは、その回折パターンを転写されたフィルム面
における配向状態、すなわち回折能を示す領域の配向状
態が、螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではないコレ
ステリック配向、好ましくは螺旋軸方位が膜厚方向に一
様に平行でなく、かつ螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等
間隔ではないコレステリック配向を形成していることが
望ましい。またそれ以外の領域においては、通常のコレ
ステリック配向と同様の配向状態、すなわち螺旋軸方位
が膜厚方向に一様に平行で、かつ螺旋ピッチが膜厚方向
に一様に等間隔な螺旋構造を形成していることが望まし
い。
【0028】また本発明のコレステリック配向フィルム
において、回折能を示す領域が一方のフィルム面領域に
有する際、そのフィルムの表裏、すなわち回折能を示す
領域を有するフィルム面とその面とは反対のフィルム面
とは多少異なった光学効果、呈色効果等を示すものであ
る。したがって用途や目的とする機能等に応じ、コレス
テリック配向フィルムのフィルム面の配置位置等を選択
することが望ましい。
【0029】コレステリック配向フィルムの回折能を示
す領域における回折角としては、特に制限されるもので
はないが、1次回折光の回折角が、通常5゜〜80゜、
好ましくは10゜〜70゜、さらに好ましくは 15゜
〜60゜の範囲である。回折角が5゜より小さい場合、
回折による効果を確認できない恐れがある。また回折角
が80゜より大きい場合には、回折効果を目視にて確認
する際にフィルムのほぼ真横から観察しないと確認でき
ない等の意匠性用途等に用いた場合に不都合を生じる恐
れがある。
【0030】本発明の第3工程では、第2工程で得られ
た回折パターン転写後のコレステリック配向フィルムの
回折パターン転写面と支持基板1とを接着剤層1を介し
て積層する工程である。第3工程において用いられる支
持基板1としては、シート状物、フィルム状物、板状物
等の形状を有する自己支持性を具備する基板であれば特
に制限されるものではない。なお支持基板1を後述する
第6工程において除去する必要がある場合には、形状、
自己支持性と併せて、再剥離性を有することが必要であ
る。このような支持基板1としては、通常剥離性を有す
るプラスチックフィルムが望ましく用いることができ
る。ここで再剥離性とは、接着剤を介してコレステリッ
ク配向フィルムと支持基板1とを接着した状態におい
て、接着剤と支持基板1との界面で剥離できることをい
い、好ましくは接着剤を介して支持基板1に転写された
コレステリック配向フィルムの空気側面と、後述する支
持基板2を対向させて接着剤を介して張り合わせた後
に、支持基板1が直接接する接着剤との界面で剥離でき
ることが望ましい。本発明の第3工程において用いられ
る上記の如き支持基板1としては、接着剤(硬化後)と
の界面での剥離強度(180゜剥離試験、剥離速度30
cm/分)の値として、通常0.5〜80gf/25m
m、好ましくは2〜50gf/25mmの剥離強度のも
のが望ましく用いられる。このような支持基板1として
好適なプラスチックフィルムとしては、具体的にはポリ
エチレン、ポリプロピレン、4−メチルペンテン−1樹
脂等のオレフィン系樹脂、ポリアミド、ポリイミド、ポ
リアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケ
トン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスル
ホン、ポリケトンサルファイド、ポリスルホン、ポリス
チレン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレン
オキサイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリアリレート、ポリアセタール、
ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース
系プラスチックス等が挙げられる。これらのプラスチッ
クフィルムそれ自身を用いてもよいし、適度な再剥離性
を付与するためにこれらのプラスチックフィルムの表面
に、シリコーンコートをしたもの、有機薄膜または無機
薄膜を形成したもの、化学的処理や物理的処理を施した
ものを用いることができる。本発明の第3工程において
用いられる支持基板1としては、ポリプロピレン、ポリ
エーテルエーテルケトン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリカーボネート等やさらにこれらのフィルム表面
をシリコーン等の離型剤で処理したプラスチックフィル
ムが、接着剤と適度な接着性および剥離性を兼ね備えて
いることから望ましい。
【0031】またコレステリック配向フィルムと支持基
板1との間に介される接着剤層1としては、特に制限さ
れるものではなく、従来公知の様々な粘・接着剤、例え
ば光または電子線硬化型の反応性接着剤、ホットメルト
型接着剤等を適宜用いることができる。
【0032】反応性接着剤としては、光または電子線重
合性を有するプレポリマーおよび/またはモノマーに必
要に応じて他の単官能、多官能性モノマー、各種ポリマ
ー、安定剤、光重合開始剤、増感剤等を配合したものを
用いることができる。光または電子線重合性を有するプ
レポリマーとしては、具体的にはポリエステルアクリレ
ート、ポリエステルメタクリレート、ポリウレタンアク
リレート、ポリウレタンメタクリレート、エポキシアク
リレート、エポキシメタクリレート、ポリオールアクリ
レート、ポリオールメタクリレート等を例示することが
できる。また光または電子線重合性を有するモノマーと
しては、単官能アクリレート、単官能メタクリレート、
2官能アクリレート、2官能メタクリレート、3官能以
上の多官能アクリレート、多官能メタクリレート等が例
示できる。またこれらは市販品を用いることもでき、例
えばアロニックス(アクリル系特殊モノマー、オリゴマ
ー;東亞合成社製)、ライトエステル(共栄社化学社
製)、ビスコート(大阪有機化学工業社製)等を用いる
ことができる。
【0033】また光重合開始剤としては、例えばベンゾ
フェノン誘導体類、アセトフェノン誘導体類、ベンゾイ
ン誘導体類、チオキサントン類、ミヒラーケトン、ベン
ジル誘導体類、トリアジン誘導体類、アシルホスフィン
オキシド類、アゾ化合物等を用いることができる。
【0034】光または電子線硬化型の反応性接着剤の粘
度は、接着剤の加工温度等により適宜選択するものであ
り一概にはいえないが、通常25℃で10〜2000m
Pa・s、好ましくは50〜1000mPa・s、さらに
好ましくは100〜500mPa・sである。粘度が1
0mPa・sより低い場合、所望の厚さが得られ難くな
る。また2000mPa・sより高い場合には、作業性
が低下する恐れがあり望ましくない。粘度が上記範囲か
ら外れている場合には、適宜、溶剤やモノマー割合を調
整し所望の粘度にすることが好ましい。
【0035】また光硬化型の反応性接着剤を用いた場
合、その接着剤の硬化方法としては公知の硬化手段、例
えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハ
ライドランプ、キセノンランプ等を使用することができ
る。また露光量は、用いる反応性接着剤の種類により異
なるため一概にはいえないが、通常50〜2000mJ
/cm2、好ましくは100〜1000mJ/cm2であ
る。
【0036】また電子線硬化型の反応性接着剤を用いた
場合、その接着剤の硬化方法としては、電子線の透過力
や硬化力により適宜選定されるものであり一概にはいえ
ないが、通常、加速電圧が50〜1000kV、好まし
くは100〜500kVの条件で照射して硬化すること
ができる。
【0037】また接着剤としてホットメルト型接着剤を
用いる場合、当該接着剤も特に制限はないが、ホットメ
ルトの作業温度が80〜200℃、好ましくは100〜
160℃程度のものが作業性等の観点から望ましく用い
られる。具体的には、例えばエチレン・酢酸ビニル共重
合体系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹
脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ゴム系、ポリアクリル
系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチ
ラール等のポリビニルアセタール系樹脂、石油系樹脂、
テルペン系樹脂、ロジン系樹脂等をベース樹脂として製
造されているものが挙げられる。
【0038】さらに接着剤として粘着剤を用いる場合も
特に制限されるものではなく、例えばゴム系、アクリル
系、シリコーン系、ポリビニルエーテル系粘着剤などを
用いることができる。接着剤の厚さは、用いられる用途
やその作業性等により異なるため一概にはいえないが、
通常0.5〜50μm、好ましくは1〜10μmであ
る。
【0039】また接着剤の形成方法としては、特に限定
されるものではないが、例えばロールコート法、ダイコ
ート法、バーコート法、、カーテンコート法、エクスト
ルージョンコート法、グラビアロールコート法、スプレ
ーコート法、スピンコート法等の公知の方法を用いて支
持基板またはコレステリック配向フィルムの回折パター
ンが転写されたフィルム面若しくは支持基板1およびコ
レステリック配向フィルムの両方に形成することができ
る。
【0040】また第3工程において用いられる接着剤層
1中には、紫外線防止剤、ハードコート剤を配合するこ
とができる。紫外線吸収剤としては、上記の如き接着剤
成分と相溶または分散できるものであれば特に制限はな
く、例えばベンゾフェノン系化合物、サルシレート系化
合物、ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド
系化合物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外
線吸収剤、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無
機系紫外線吸収剤を用いることができる。なかでも紫外
線吸収効率が高いベンゾフェノン系化合物が好適に用い
られる。また紫外線吸収剤は、1種単独または複数種添
加することができる。またハードコート剤としても、接
着剤成分と相溶または分散できるものであれば特に制限
はなく、例えばオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹
脂系のアクリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート
系、エポキシアクリレート系、ポリエステルアクリレー
ト系、熱硬化型樹脂系のアクリル−シリコン系、または
セラミックス等の無機系化合物等を用いることができ
る。なかでもオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂
系であるアクリルオリゴマー系のハードコート剤が好適
に用いられる。
【0041】第3工程において用いられる接着剤層1中
の紫外線吸収剤および/またはハードコート剤の配合割
合は、使用する接着剤成分により異なるが、通常0.1
〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%である。
【0042】さらに第3工程において用いられるコレス
テリック配向フィルムと支持基板1との接着に用いられ
る接着剤層1中には、紫外線吸収剤およびハードコート
剤の他に必要に応じてヒンダードアミンや消光剤等の光
安定剤、帯電防止剤、スベリ性改良剤、染料、顔料、界
面活性剤、微細なシリカやジルコニア等の充填剤等の各
種添加剤を配合することもできる。これら各種添加剤の
配合割合は、本発明の効果を損なわない範囲であれば特
に制限はないが、通常0.01〜10重量%、好ましく
は0.05〜5重量%である。
【0043】第3工程においてコレステリック配向フィ
ルムの回折パターンが転写されたフィルム面と支持基板
1とを接着剤層1を介して積層する方法としては特に制
限されるものではないが、例えば前述の回折パターンを
コレステリック配向フィルムに転写する方法として例示
した各種機器類から適宜選定する等により積層すること
ができる。
【0044】次いでこれまでの工程において得られた配
向支持基板/コレステリック配向フィルム/接着剤層1
/支持基板1の順に構成された積層物から、第4工程と
して第1工程で用いた配向支持基板を除去する工程を行
う。
【0045】配向支持基板をコレステリック配向フィル
ムから除去する方法としては、特に制限されるものでは
ないが、例えば配向支持基板を剥離除去する、または配
向支持基板を溶解する、といった方法等が挙げられる。
剥離除去方法としては、例えば配向支持基板のコーナー
端部に粘着テープを貼り付けて人為的に剥離する方法、
ロール等を用いて機械的に剥離する方法、構造材料全て
に対する貧溶媒に浸漬した後に機械的に剥離する方法、
貧溶媒中で超音波をあてて剥離する方法、配向支持基板
とコレステリック配向フィルムとの熱膨張係数の差を利
用して温度変化を与えて剥離する方法、配向支持基板そ
のもの、または配向支持基板上の配向膜を溶解除去する
方法等を例示することができる。剥離性については、コ
レステリック配向フィルムを形成しているフィルム材料
の諸物性や配向支持基板との密着性によって異なるた
め、その系にもっとも適した方法を採用すべきである。
【0046】本発明では、第4工程において配向支持基
板を除去した後、第5工程として配向支持基板を除去し
たコレステリック配向フィルム面と支持基板2とを接着
剤層2を介して積層する工程を行う。第5工程において
用いられる支持基板2としては、シート状物、フィルム
状物、板状物等の形状を有するものであれば特に制限さ
れるものではなく、例えばポリイミド、ポリアミドイミ
ド、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエ
ーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリケトンサルフ
ァイド、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポ
リフェニレンサルファイド、ポリフェニレンオキサイ
ド、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリプロピレン、
ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタ
レート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポ
リアセタール、ポリアリレート、セルロース系プラスチ
ックス、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のシート、フ
ィルムあるいは基板、または紙、合成紙等の紙類、金属
箔、ガラス板等から適宜選択して用いることができる。
また支持基板2としては、その表面に凹凸が施されてい
るものであってもよい。
【0047】またコレステリック配向フィルムと支持基
板2との間に介される接着剤層2としては、特に制限さ
れるものではなく、第3工程における接着剤層1として
説明した従来公知の様々な粘・接着剤、例えば光または
電子線硬化型の反応性接着剤、ホットメルト型接着剤等
を適宜用い、例えばロールコート法、ダイコート法、バ
ーコート法、、カーテンコート法、エクストルージョン
コート法、グラビアロールコート法、スプレーコート
法、スピンコート法等の公知の方法を用いて支持基板2
または配向支持基板を除去したコレステリック配向フィ
ルム面若しくは支持基板2およびコレステリック配向フ
ィルム面の両方に形成することができる。
【0048】本発明は、以上説明した第1工程から第5
工程を経ることにより支持基板2/接着剤層2/コレス
テリック配向フィルム/接着剤層1/支持基板1の順に
構成された偏光回折素子を製造することができる。ここ
で第3工程で用いた支持基板1が光学的に透明でない当
該基板を用いた場合、また目的とする用途において望ま
しくない光学特性を示す支持基板1や偏光回折素子とし
ての効果を消失させてしまう支持基板1等を用いた場
合、また支持基板1として再剥離性を有するものを用い
た場合には、第6工程として第3工程で用いた支持基板
1をコレステリック配向フィルムから除去し、支持基板
2/接着剤層2/コレステリック配向フィルム/接着剤
層1の順に構成された偏光回折素子を製造することがで
きる。ここで第3工程において接着剤層1中に紫外線吸
収剤および/またはハードコート剤を配合しておくこと
により、接着剤層1に保護層としての機能を付与してお
くこともできる。
【0049】第6工程における支持基板1の除去方法
は、第4工程における配向支持基板を除去する方法と同
様に、例えば支持基板1のみを剥離除去する、または支
持基板1を溶解する、といった方法等が挙げられる。剥
離除去方法としては、例えば支持基板1のコーナー端部
に粘着テープを貼り付けて人為的に剥離する方法、ロー
ル等を用いて機械的に剥離する方法、構造材料全てに対
する貧溶媒に浸漬した後に機械的に剥離する方法、貧溶
媒中で超音波をあてて剥離する方法、支持基板1と接着
剤層1との熱膨張係数の差を利用して温度変化を与えて
剥離する方法、支持基板1そのものを溶解除去する方法
等を例示することができる。剥離性については、接着剤
層1の諸物性や支持基板1との密着性によって異なるた
め、その系にもっとも適した方法を採用すべきである。
【0050】また本発明では、第3工程において接着剤
層1中に紫外線吸収剤および/またはハードコート剤を
配合していない場合や、また配合した場合であっても、
支持基板1を剥離除去した後のコレステリック配向フィ
ルムのさらなる表面保護、強度増加、環境信頼性向上等
の目的の為に当該基板1を除去したコレステリック配向
フィルム面に第7工程として保護層を設けることができ
る。保護層としては、紫外線吸収性および/またはハー
ドコート性を有するものであれば特に限定されるもので
はない。例えば紫外線吸収剤およびハードコート剤を含
有した保護層形成材料をフィルム状物、シート状物、薄
膜状物、板状物に形成したものが挙げられる。また紫外
線吸収剤を含有した保護層形成材料からなる紫外線吸収
性を有した保護層(以下、紫外線吸収層)と、ハードコ
ート剤を含有した保護層形成材料からなるハードコート
性を有した保護層(以下、ハードコート層)との積層物
を本発明でいう保護層として用いることもできる。また
一般に市販されている紫外線カットフィルムとハードコ
ートフィルムとの積層物を保護層として用いることがで
きる。また紫外線吸収層に各種ハードコート剤を塗布し
て成膜した積層物も保護層として用いることができる。
ここで紫外線吸収層およびハードコート層は、それぞれ
2層以上から形成されてもよく、各層はそれぞれ接着剤
層等を介して積層することができる。
【0051】保護層形成材料としては、光透過性が高い
ものが望ましく、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ(4−メチル−ペンテン−1)、ポリスチレ
ン、アイオノマー、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタク
リレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、
ポリスルフォン、セルロース系樹脂等に紫外線吸収剤お
よび/またはハードコート剤を添加したものを用いるこ
とができる。また保護層としては、熱、光または電子線
硬化型の反応性接着剤に紫外線吸収剤および/またはハ
ードコート剤を添加した接着剤組成物を用いることもで
き、その接着剤組成物の硬化物を保護層とすることもで
きる。
【0052】紫外線吸収剤としては、保護層形成材料に
相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、例
えばベンゾフェノン系化合物、サルシレート系化合物、
ベンゾトリアゾール系化合物、シュウ酸アニリド系化合
物、シアノアクリレート系化合物等の有機系紫外線吸収
剤、酸化セシウム、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機系紫
外線吸収剤を用いることができる。なかでも紫外線吸収
効率が高いベンゾフェノン系化合物が好適に用いられ
る。また紫外線吸収剤は、1種単独または複数種添加す
ることができる。保護層中の紫外線吸収剤の配合割合
は、使用する保護層形成材料により異なるが、通常0.
1〜20重量%、好ましくは0.5〜10重量%であ
る。
【0053】ハードコート剤としては、保護層形成材料
に相溶または分散できるものであれば特に制限はなく、
例えばオルガノポリシロキサン系、光硬化型樹脂系のア
クリルオリゴマー系、ウレタンアクリレート系、エポキ
シアクリレート系、ポリエステルアクリレート系、熱硬
化型樹脂系のアクリル−シリコン系、またはセラミック
ス等の無機系化合物等を用いることができる。なかでも
成膜性等の観点からオルガノポリシロキサン系、光硬化
型樹脂系であるアクリルオリゴマー系のハードコート剤
が好適に用いられる。なおこれらのハードコート剤は、
無溶媒型、溶媒型のいずれであっても使用することがで
きる。
【0054】保護層形成材料には、紫外線吸収剤および
ハードコート剤の他に必要に応じてヒンダードアミンや
消光剤等の光安定剤、帯電防止剤、スベリ性改良剤、染
料、顔料、界面活性剤、微細なシリカやジルコニア等の
充填剤等の各種添加剤を配合することもできる。これら
各種添加剤の配合割合は、本発明の効果を損なわない範
囲であれば特に制限はないが、通常0.01〜10重量
%、好ましくは0.05〜5重量%である。
【0055】また保護層を構成する紫外線吸収層は、先
に説明した保護層形成材料に紫外線吸収剤、必要に応じ
て光安定剤等を適宜配合したものを用いて形成すること
ができる。さらに一般に市販されている紫外線カットフ
ィルム等を紫外線吸収層として本発明に用いることもで
きる。
【0056】また保護層を構成するハードコート層は、
先に説明した保護層形成材料にハードコート剤、場合に
より各種添加剤を配合したものを用いて形成することが
できる。またハードコート層としては、上記ハードコー
ト剤を透明な支持フィルム上に塗布して形成したもので
あってもよい。透明な支持フィルムとしては、ポリメチ
ルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、アモルファスポリオレフィ
ン、トリアセチルセルロース、ポリエチレンテレフタレ
ート、ポリエチレンナフタレート等から形成されるフィ
ルムを挙げることができる。
【0057】紫外線吸収層とハードコート層とは接着剤
等を介して積層し、本発明でいう保護層とすることがで
きる。接着剤としては、熱、光または電子線硬化型の反
応性接着剤等を用いることができる。また接着剤として
紫外線吸収剤を含有したものを用い、別に用意したハー
ドコート層をコレステリック配向フィルムに積層するこ
とにより保護層を形成することもできる。また接着剤に
は必要に応じて染料、顔料、界面活性剤等を適宜添加し
てもよい。
【0058】さらにハードコート層としては、グラビア
インキ用ビヒクル樹脂等も好適に用いることができる。
グラビアインキ用ビヒクル樹脂としては、例えばニトロ
セルロース、エチルセルロース、ポリアミド樹脂、塩化
ビニル、塩素化ポリオレフィン、アクリル樹脂、ポリウ
レタン、ポリエステル等が挙げられる。またグラビアイ
ンキ用ビヒクル樹脂中に接着性向上や皮膜強度向上の為
に、例えばエステルガム、ダンマルガム、マレイン酸樹
脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ケトン樹脂、キ
シレン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂等のハードレジン
を配合してもよい。
【0059】またハードコート層の構成は、要求される
耐候性等に応じてハードコート層1層または複合層にす
ることができる。複合層としては、例えばオルガノポリ
シロキサンを含むハードコート層、光硬化型樹脂を含む
ハードコート層、熱硬化型樹脂を含むハードコート層、
無機化合物を含むハードコート層等、それぞれを組み合
わせて2層以上からなる複合層をハードコート層として
用いることもできる。
【0060】さらにハードコート性の度合い、すなわち
硬度としては偏光回折素子を構成する材質により一概に
決定できないが、JIS L 0849記載の試験法に
準じて評価を行った場合、変色の判定基準として少なく
とも3以上、好ましくは4以上であることが望ましい。
【0061】配向支持基板を除去したコレステリック配
向フィルム面に形成される保護層、また保護層を構成す
る紫外線吸収層およびハードコート層の成膜法は、通常
ロールコート法、ディッピング法、グラビアコート法、
バーコート法、スピンコート法、スプレーコート法、プ
リント法等の公知の方法を採用することができる。これ
ら方法によりコレステリック配向フィルム上、または支
持フィルム上に成膜した後、使用した保護層形成材料に
応じた後処理を施すことにより保護層を形成することが
できる。また紫外線吸収層とハードコート層との複合層
からなる保護層の形成方法としては、例えば紫外線吸収
層に直接ハードコート剤を塗布形成する方法、接着剤等
を介して積層する方法等が挙げられる。
【0062】保護層の膜厚は、紫外線吸収性およびハー
ドコート性のそれぞれが求められる性能に応じて異なる
ため一概には言えないが、通常0.1〜100μm、好
ましくは1〜50μmである。また保護層が紫外線吸収
層およびハードコート層との複合層から形成される場合
も、各層の全膜厚が上記範囲に入ることが望ましい。
【0063】このようにして得られる本発明の偏光回折
素子は、回折光が円偏光性を有するという、従来の光学
部材には無い特異な効果を有する。この効果により、例
えばエリプソメーターのような偏光を必要とする分光光
学機器に用いることにより、光の利用効率を極めて高く
することが可能となる。従来の偏光を必要とする分光光
学機器では、光源より発した光を回折格子やプリズム等
の分光素子を用いて波長ごとに分光した後に偏光子を透
過させる、または偏光子を透過させた後に分光する必要
があり偏光子が必須であった。この偏光子は、入射した
光の約50%を吸収してしまい、また界面での反射が生
じるために光の利用効率が極めて悪いといった問題があ
ったが、本発明の製造方法によって得られる偏光回折素
子を用いることにより光の利用効率を極めて高く、理論
的には約100%利用することが可能となる。また本発
明の製造方法によって得られる偏光回折素子は、通常の
偏光板を用いることによって容易に回折光の透過および
遮断をコントロールすることが可能である。通常、偏光
性を有していない回折光では、どのような偏光板と組み
合わせても完全に遮断することはできない。すなわち本
発明の製造方法によって得られる偏光回折素子では、例
えば右偏光性を有する回折光は、左円偏光板を用いた時
にのみ完全に遮断することができ、それ以外の偏光板を
用いても完全な遮断を実現することができないものであ
る。このような効果を有することから、例えば観察者が
偏光板越しに回折像を観察する環境において、偏光板の
状態を変化させることによって、回折像を暗視野から突
然浮かび上がらせたり、また突然消失させたりすること
が可能となる。
【0064】以上のように本発明の製造方法によって得
られる偏光回折素子は、新たな回折機能素子として応用
範囲は極めて広く、種々の光学用素子や光エレクトロニ
クス素子、装飾用部材、偽造防止用素子等として使用す
ることができる。
【0065】具体的に光学用素子や光エレクトロニクス
素子としては、例えば透明かつ等方なフィルム、例えば
フジタック(富士写真フィルム社製)、コニカタック
(コニカ社製)などのトリアセチルセルロースフィル
ム、TPXフィルム(三井化学社製)、アートンフィル
ム(日本合成ゴム社製)、ゼオネックスフィルム(日本
ゼオン社製)、アクリプレンフィルム(三菱レーヨン社
製)等を例えば第3工程における支持基板1または第5
工程における支持基板2として偏光回折素子を得ること
により様々な光学用途への展開を図ることが可能であ
る。例えば当該偏光回折素子をTN(twisted
nematic)−LCD(Liquid Cryst
al Display)、STN(Super Twi
sted Nematic)−LCD、ECB(Ele
ctrically Controlled Bire
fringence)−LCD、OMI(Optica
l Mode Interference)−LCD、
OCB(Optically Compensated
Birefringence)−LCD、HAN(H
ybrid Aligned Nematic)−LC
D、IPS(In Plane Switching)
−LCD等の液晶ディスプレーに備えることによって色
補償および/または視野角改良された各種LCDを得る
ことができる。また当該偏光回折素子を上記したように
分光された偏光を必要とする分光光学機器、回折現象に
より特定の波長を得る偏光光学素子、光学フィルター、
円偏光板、光拡散板等として用いることも可能であり、
さらに1/4波長板と組み合わせることによって直線偏
光板を得ることもできる等、光学用素子や光エレクトロ
ニクス素子として従来にない光学効果を発現しうる様々
な光学部材を提供することができる。
【0066】装飾用部材としては、回折能による虹色呈
色効果とコレステリック液晶による色鮮やかな呈色効果
等を併せ持った新たな意匠性フィルムをはじめ様々な意
匠性成形材料を得ることができる。また薄膜化できるこ
とから既存製品等に添付する、一体化する等の方法によ
って、他の類似製品との差別化にも大きく貢献すること
が期待できる。例えば、意匠性のある回折パターンを組
み込んだ偏光回折素子をガラス窓等に張り付ける、また
は第3工程における支持基板としてガラス窓等を用いる
ことにより、外部からはその視角によって前記回折パタ
ーンを伴ったコレステリック液晶特有の選択反射が異な
った色に見え、ファッション性に優れたものとなる。ま
た明るい外部からは内部が見え難く、それにもかかわら
ず内部からは外部の視認性がよい窓とすることができ
る。
【0067】偽造防止用素子としては、回折素子および
コレステリック液晶のそれぞれの偽造防止効果を併せ持
った新たな偽造防止フィルム、シール、ラベル等として
用いることができる。具体的には、本発明の第3工程に
おける支持基板1または第5工程における支持基板2と
して、自動車運転免許証、身分証明証、パスポート、ク
レジットカード、プリペイドカード、各種金券、ギフト
カード、有価証券等のカード基板、台紙等を用いること
によって、偏光回折素子をカード基板、台紙等と一体化
するまたは一部に設ける、具体的には貼り付ける、埋め
込む、紙類に織り込むことができる。また本発明の製造
方法によって得られる偏光回折素子は、回折能を示す領
域がコレステリック配向フィルムの表面領域に有するも
ので、かつそのフィルム面は接着剤層によって覆われて
おり、さらにコレステリック液晶の波長選択反射性、円
偏光選択反射性、色の視角依存性、コレステリックカラ
ーの美しい色を呈する効果を併せ持ったものである。し
たがって本発明の製造方法によって得られる偏光回折素
子は、偽造防止用素子として用いた場合には、当該偏光
回折素子の偽造が困難であり、より具体的には回折能を
示す領域をフィルム表面に有するコレステリック配向フ
ィルムの偽造は極めて困難であるといえる。また偽造防
止効果とあわせて、回折素子の虹色呈色効果、コレステ
リック液晶の色鮮やかな呈色効果を有することから意匠
性にも優れたものである。これらのことから本発明の製
造方法によって得られる偏光回折素子は偽造防止用素子
として非常に好適である。
【0068】これらの用途はほんの一例であり、本発明
の製造方法によって得られる偏光回折素子は、従来、回
折素子単体、通常のコレステリック配向を固定化したコ
レステリック配向フィルム単体が使用されている各種用
途や、新たな光学的効果を発現することが可能であるこ
と等から前記用途以外の様々な用途にも応用展開が可能
である。
【0069】
【実施例】以下に実施例について述べるが、本発明はこ
れらに限定されるものではない。
【0070】(実施例1)テレフタル酸50mmol、
ヒドロキシ安息香酸20mmol、カテコール20mm
ol、(R)−2−メチル−1,4−ブタンジオール1
0mmolおよび酢酸ナトリウム100mgを用いて窒
素雰囲気下、180℃で1時間、200℃で1時間、2
50℃で1時間と段階状に昇温しながら重縮合反応を行
った。
【0071】次いで窒素を流しながら250℃で2時間
重縮合反応を続け、さらに減圧下同温度で1時間重縮合
を行った。得られたポリマーをテトラクロロエタンに溶
解後、メタノールで再沈澱を行い、液晶性ポリエステル
を得た。
【0072】得られた液晶性ポリエステルのN−メチル
−2−ピロリドン溶液(20重量%)を調製し、該溶液
をラビング処理したポリフェニレンスルフィドフィルム
上にスピンコート法で塗布した。塗布した後、乾燥処理
を行いN−メチル−2−ピロリドンを除去し、ポリフェ
ニレンスルフィド(PPS)フィルム上に液晶性ポリエ
ステルの塗布膜を形成した。触針型膜厚計にて測定した
乾燥後の膜厚は約2.0μmであった。
【0073】次いで液晶性ポリエステルの塗布膜を18
5℃の加熱雰囲気において3分間熱処理を行い、室温下
に冷却することによって、PPSフィルム上に液晶性ポ
リエステルフィルムを得た。同フィルムを日本分光社製
紫外可視近赤外分光光度計V−570にて透過スペクト
ルを測定したところ、中心波長が602nm、選択反射
波長帯域幅が約110nmの選択反射を示すコレステリ
ック配向が固定化されたコレステリック配向フィルムで
あることが確認された。次いで得られたフィルムに関し
て、ミノルタ社製分光測色計CM−3500dを用いて
正反射除去反射率(SCE)と正反射込み反射率(SC
I)を測定したところ、SCE19%、SCI45%で
あり、拡散率は約42%であった。
【0074】次いでエドモンド・サイエンティフィック
・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/m
m)の回折面と前記コレステリック配向フィルムの液晶
面が向き合うように重ね、伸栄産業社製26トンプレス
のプレート上に乗せ、90℃、5MPaの条件で加熱加
圧し1分間保持した後、プレスから取り出し、刻線式回
折格子フィルムを取り除いた。
【0075】次いで回折格子フィルムを除去したコレス
テリック配向フィルム面にバーコーターにより市販の光
硬化型アクリル系接着剤を5μmとなるように塗布し、
塗布面にトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを
ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線照射により接
着剤を硬化させた後、配向支持基板として用いたPPS
フィルムを180°方向に剥離除去した。
【0076】PPSフィルムが除去されたコレステリッ
ク配向フィルム面に前記光硬化型アクリル系接着剤を5
μmとなるように塗布し、塗布面にTACフィルムをラ
ミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線照射により接着
剤を硬化させ積層体を得た。
【0077】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭
に認められた。またコレステリック配向フィルムの配向
状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕
微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋
軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッ
チが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配
向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認され
た。
【0078】またコレステリック配向フィルム面内に垂
直となるように得られた積層体にHe−Neレーザー
(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および
約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに
偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られ
た積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介
して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏
光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。
これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観
察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察
されなかった。
【0079】また室内照明下において得られた積層体を
目視観察したところ、梨地のような質感を帯びた金色の
反射光を呈し、あらゆる角度から観察しても同様の反射
光を確認することができた。また当該積層体に視認者が
写り込むこともなく、視認性に非常に優れていた。
【0080】これらのことより得られた積層体は、回折
光が右円偏光である非鏡面性の偏光回折素子として機能
することが確認された。
【0081】(実施例2)実施例1と同様にして拡散率
が約42%のコレステリック配向フィルムに回折パター
ンを転写した。厚み25μmの表面にシリコーン系離型
層を有するポリエステルフィルム(PET;支持基板
1)フィルムと、コレステリック配向フィルム面を市販
のアクリル系光硬化型接着剤1で接着し、PPSフィル
ムのみ剥離し、コレステリック配向フィルム層/光硬化
型接着剤層1/PETフィルム(支持基板1)からなる
積層体を得た。
【0082】次いで該積層体のコレステリック配向フィ
ルム面に市販のポリエステル系ホットメルト接着剤(接
着剤層2)を塗布し、100℃に加温されたラミネータ
ーにて、厚み80μmのUV吸収剤含有トリアセチルセ
ルロース(TAC)フィルム(富士写真フイルム社製U
VD80;支持基板2)と積層した。冷却後支持基板1
のPETフィルムを剥離除去し、本発明の偏光回折素子
を得た。得られた偏光回折素子は、回折パターンによる
虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭に
認められた。
【0083】(実施例3)実施例1と同様にして拡散率
が約42%のコレステリック配向フィルムに回折パター
ンを転写した。厚み25μmの表面にシリコーン系離型
層を有するポリエステルフィルム(PET;支持基板
1)フィルムと、回折パターンが転写されたコレステリ
ック配向フィルム面をハードコート剤を添加した市販の
アクリル系光硬化型接着剤1で接着し、PPSフィルム
のみ剥離し、コレステリック配向フィルム層/光硬化型
接着剤層1/PETフィルム(支持基板1)からなる積
層体を得た。
【0084】次いで該積層体のコレステリック配向フィ
ルム面に市販のポリエステル系ホットメルト接着剤(接
着剤層2)を塗布し、表面にアルミニウムを蒸着した厚
さ1mmのポリ塩化ビニルシートに接するようにしてホ
ットスタンプにより転写したところ、支持基板1たるP
ETフィルム面からきれいに剥離転写された。転写され
たポリ塩化ビニルシート上のコレステリック配向フィル
ム/ハードコート層(光硬化型接着剤層1)からなる偏
光回折素子には、反射光でも鮮やかな回折パターンによ
る虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭
に認められた。
【0085】(実施例4)実施例1で調製した液晶性ポ
リエステルのN−メチル−2−ピロリドン溶液(20重
量%)をラビング処理したポリフェニレンスルフィド
(PPS)フィルム上に乾燥後の塗布膜の膜厚が約1.
6μmとなるようにスピンコート法で塗布し、PPSフ
ィルム上に液晶性ポリエステルの塗布膜を形成した。
【0086】次いで液晶性ポリエステルの塗布膜を17
5℃の加熱雰囲気において4分間熱処理を行い、室温下
に冷却することによって、PPSフィルム上に金色の反
射色を呈する液晶性ポリエステルフィルムを得た。
【0087】同フィルムを日本分光社製紫外可視近赤外
分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定したと
ころ、中心波長が593nm、選択反射波長帯域幅が約
100nmの選択反射を示すコレステリック配向が固定
化されたコレステリック配向フィルムであることが確認
された。次いで得られたフィルムに関して、ミノルタ社
製分光測色計CM−3500dを用いて正反射除去反射
率(SCE)と正反射込み反射率(SCI)を測定した
ところ、SCE9%、SCI45%であり、拡散率は約
20%であった。
【0088】次いでエドモンド・サイエンティフィック
・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/m
m)の回折面と前記コレステリック配向フィルムの液晶
面が向き合うように重ね、伸栄産業社製26トンプレス
のプレート上に乗せ、90℃、5MPaの条件で加熱加
圧し1分間保持した後、プレスから取り出し、刻線式回
折格子フィルムを取り除いた。
【0089】次いで回折格子フィルムを除去したコレス
テリック配向フィルム面にバーコーターにより市販の光
硬化型アクリル系接着剤を5μmとなるように塗布し、
塗布面にトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを
ラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外線照射により接
着剤を硬化させた後、配向支持基板として用いたポリフ
ェニレンスルフィドフィルムを180°方向に剥離除去
した。
【0090】PPSフィルムが除去されたコレステリッ
ク配向フィルム面に前記光硬化型アクリル系接着剤を5
μmとなるように塗布し、塗布面にトリアセチルセルロ
ースフィルムをラミネーターを用いて貼り合わせ、紫外
線照射により接着剤を硬化させ積層体を得た。
【0091】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭
に認められた。またコレステリック配向フィルムの配向
状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕
微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋
軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッ
チが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配
向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認され
た。
【0092】またコレステリック配向フィルム面内に垂
直となるように得られた積層体にHe−Neレーザー
(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および
約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに
偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られ
た積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介
して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏
光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。
これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観
察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察
されなかった。
【0093】また目視によるフィルム観察では、鏡面反
射は示さないものの若干の金属光沢を帯びた金色の反射
光を呈し、あらゆる角度から観察しても同様の反射光を
確認することができた。またフィルムに視認者が写り込
むこともなく、視認性に非常に優れていた。
【0094】これらのことより得られた積層体は、回折
光が右円偏光である非鏡面性の偏光回折素子として機能
することが確認された。
【0095】(実施例5)実施例1で調製した液晶性ポ
リエステルのN−メチル−2−ピロリドン溶液(20重
量%)をラビング処理したポリフェニレンスルフィドフ
ィルム上に乾燥後の塗布膜の膜厚が約2.4μmとなる
ようにスピンコート法で塗布し、ポリフェニレンスルフ
ィド(PPS)フィルム上に液晶性ポリエステルの塗布
膜を形成した。
【0096】次いで液晶性ポリエステルの塗布膜を17
5℃の加熱雰囲気において4分間熱処理を行い、室温下
に冷却することによって、ポリフェニレンスルフィドフ
ィルム上に黄色の反射色を呈する液晶性ポリエステルフ
ィルムを得た。同フィルムを日本分光社製紫外可視近赤
外分光光度計V−570にて透過スペクトルを測定した
ところ、中心波長が585nm、選択反射波長帯域幅が
約100nmの選択反射を示すコレステリック配向が固
定化されたコレステリック配向フィルムであることが確
認された。次いで得られたフィルムに関して、ミノルタ
社製分光測色計CM−3500dを用いて正反射除去反
射率(SCE)と正反射込み反射率(SCI)を測定し
たところ、SCE34%、SCI38%であり、拡散率
は約89%であった。
【0097】次いでエドモンド・サイエンティフィック
・ジャパン社製刻線式回折格子フィルム(900本/m
m)の回折面と前記コレステリック配向フィルムの液晶
面が向き合うように重ね、伸栄産業社製26トンプレス
のプレート上に乗せ、90℃、5MPaの条件で加熱加
圧し1分間保持した後、プレスから取り出し、刻線式回
折格子フィルムを取り除いた。
【0098】厚み25μmの表面にシリコーン系離型層
を有するポリエステルフィルム(PET;支持基板1)
フィルムと、回折格子フィルムが接していたコレステリ
ック配向フィルム面を市販のアクリル系光硬化型接着剤
1で接着し、PPSフィルムのみ剥離し、コレステリッ
ク配向フィルム層/光硬化型接着剤層1/PETフィル
ム(支持基板1)からなる積層体を得た。
【0099】次いで該積層体のコレステリック配向フィ
ルム面に市販のポリエステル系ホットメルト接着剤(接
着剤層2)を塗布し、100℃に加温されたラミネータ
ーにて、厚み80μmのトリアセチルセルロース(TA
C)フィルム(富士写真フイルム社製UVD80;支持
基板2)と積層し、冷却後支持基板1のPETフィルム
を剥離除去した。PETフィルムを除去したコレステリ
ック配向フィルム面に紫外線吸収剤CyasorbUV
−24(サイテック社製)を5.0重量%添加した紫外
線硬化型接着剤(東亞合成社製アロニックスUV−36
30(商品名)を同社製M−111(商品名)で希釈
し、粘度を250mPa・sに調整したもの)をバーコ
ーターで厚さ5μmとなるように塗布し、紫外線を照
射、硬化させ紫外線吸収層を形成し、TACフィルム/
接着剤層/コレステリック配向フィルム/接着剤層/紫
外線吸収層からなる積層体を得た。
【0100】得られた積層体は、回折パターンに起因す
る虹色とコレステリック液晶に特有の選択反射とが明瞭
に認められた。またコレステリック配向フィルムの配向
状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過型電子顕
微鏡観察をしたところ、コレステリック相における螺旋
軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ螺旋ピッ
チが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステリック配
向が液晶層の表面領域に形成されていることが確認され
た。
【0101】またコレステリック配向フィルム面内に垂
直となるように得られた積層体にHe−Neレーザー
(波長632.8nm)を入射したところ、0゜および
約±35゜の出射角にレーザー光が観察された。さらに
偏光特性を確認するために、通常の室内照明下に得られ
た積層体をおき、右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介
して観察したところ、虹色の反射回折光が観察され、偏
光板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。
これに対し左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観
察したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光は観察
されなかった。
【0102】また目視によるフィルム観察では、鏡面反
射を示さない梨地のような黄色の反射光を呈し、あらゆ
る角度から観察しても同様の反射光を確認することがで
きた。またフィルムに視認者が写り込むこともなく、視
認性に非常に優れていた。
【0103】これらのことより得られた積層体は、回折
光が右円偏光である非鏡面性の偏光回折素子として機能
することが確認された。
【0104】(実施例6)正の一軸ネマチック液晶性化
合物であるメチルヒドロキノン ビス(4−(6−アク
リロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸)エステルを
6.42g、4−シアノフェノール 4−(6−アクリ
ロイロキシオヘキシルオキシ)安息香酸エステルを0.
98g、市販のキラルドーパント液晶S−811(ロデ
ィック社製)2.60gを量り取り、蒸留精製したN−
メチル−2−ピロリドン90gに溶解した。該溶液にフ
ッ素系界面活性剤S−383(旭硝子社製)を0.5m
g、光反応開始剤イルガキュアー907(チバガイギー
社製) 0.3g、増感剤ジエチルチオキサントン0.
1gを添加し、表面をレーヨン布によりラビング処理し
たポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(三菱
ダイヤホイル社製)上にバーコーターを用いて塗布し
た。塗布後、該フィルムごと60℃に設定したクリーン
オーブンに投入し15分乾燥を行った後、さらに75℃
に設定したオーブン中で4分熱処理し、その温度から約
1℃/分で50℃まで冷却することにより液晶層のコレ
ステリック配向を完了させた。コレステリック液晶層の
膜厚を触針膜厚計で測定したところ3.2μmであっ
た。次いでコレステリック液晶層をPENフィルム上に
形成した状態のまま50℃に設定したオーブンに投入
し、酸素濃度250ppm以下の窒素雰囲気下、オーブ
ン設定温度まで放冷した後、その温度にてUV照射を行
った。UV光源としては高圧水銀灯を使用し、照射強度
は最大120W/cm2、照射時間5秒間、積算照射量
135mJで照射した。照射後の液晶層はある程度硬化
しており、硬化前に見られた流動性はなかったが、その
表面硬度は鉛筆硬度にして6Bよりも低く、正確な硬度
は測ることができなかった。
【0105】PENフィルム上に形成したコレステリッ
ク液晶層を日本分光社製紫外可視近赤外分光光度計V−
570にて透過スペクトルを測定したところ、中心波長
が約580nm、選択反射波長帯域幅が約40nmの選
択反射を示すコレステリック配向が形成されていること
が確認された。また当該液晶層をミノルタ社製分光測色
計CM−3500dにて、正反射除去反射率(SCE)
と正反射込み反射率(SCI)を測定したところ、SC
E28%、SCI44%であり、拡散率は約64%であ
った。オーブンから取り出したPENフィルム上のコレ
ステリック液晶層をラビング方向が長手になるような1
0cm×3cmの長方形に切り出し、また市販のエンボ
ス版フィルムJ52,989(エドモンド・サイエンテ
ィフィック・ジャパン社製)を、回折格子の格子方位が
長手になるような12cm×5cmの長方形に切り出し
た。次いで、切り出したPENフィルム上のコレステリ
ック液晶層の液晶層側とエンボス版フィルムの回折格子
面とが接するように重ね合わせて、一方の短辺をセロテ
ープで固定し、該短辺を先頭にして熱ラミネート装置D
X−350(東ラミ社製)に通した。熱ラミネートは、
ラミネートロールの温度が72℃で行い、サンプルの移
動速度は毎秒30mmであった。熱ラミネート後、コレ
ステリック液晶層とエンボス版フィルムは一体となって
密着し積層体を成していた。当該積層体を室温まで冷却
し、室温にてコレステリック液晶層側にエレクトロンビ
ーム(EB)照射を行った。EB照射は、アイエレクト
ロンビーム社製のEB照射装置を用い、室温下、酸素濃
度0.20%の雰囲気において、加速電圧30kVにて
照射を行った。EB照射後に、当該積層体からフィルム
長手方向に沿ってエンボス版フィルムを剥離除去した。
支持PENフィルム上に残されたEB照射後のコレステ
リック液晶層は硬化しており、その表面硬度は鉛筆硬度
にして2H程度であった。
【0106】厚み25μmの表面にシリコーン系離型層
を有するポリエステルフィルム(PET;支持基板1)
フィルムと、エンボス版フィルムを剥離除去したコレス
テリック配向フィルム面を市販のアクリル系光硬化型接
着剤1で接着し、PENフィルムのみ剥離し、コレステ
リック液晶層/光硬化型接着剤層1/PETフィルム
(支持基板1)からなる積層体を得た。
【0107】次いで該積層体のコレステリック液晶層面
に市販のポリエステル系ホットメルト接着剤(接着剤層
2)を塗布し、100℃に加温されたラミネーターに
て、厚み80μmのUV吸収剤含有トリアセチルセルロ
ース(TAC)フィルム(富士写真フイルム社製UVD
80;支持基板2)と積層した。冷却後支持基板1のP
ETフィルムを剥離除去して積層体を得た。
【0108】得られた積層体を目視観察したところ、鏡
面反射を示さない金属光沢を帯びた金色で、美術品等に
用いられる金箔に似た質感を有していた。また得られた
積層体は、コレステリック配向に起因する反射光とは別
に、フィルム長手方向を12時方位に見たときに3時、
9時の方位から斜めに見た場合に、回折格子に特徴的な
虹色の光が観察された。
【0109】また得られた積層体のコレステリック液晶
層の配向状態を偏光顕微鏡観察および液晶層断面の透過
型電子顕微鏡観察をしたところ、コレステリック相にお
ける螺旋軸方位が膜厚方向に一様に平行ではなく、かつ
螺旋ピッチが膜厚方向に一様に等間隔ではないコレステ
リック配向が液晶層の表面領域に形成されていることが
確認された。また当該積層体に垂直にHe/Neレーザ
ーを入射したところ、0゜および約±9゜の出射角に0
次および±1次の回折光が観察された。次いで偏光特性
を確認するために、通常の室内照明下に得られた積層体
をおき、左円偏光板(左円偏光のみ透過)を介して観察
したところ、虹色の反射回折光とコレステリック液晶に
起因する鮮やかな金色の反射色が同時に観察され、偏光
板なしで観察した場合の明るさとほぼ同じであった。こ
れに対し右円偏光板(右円偏光のみ透過)を介して観察
したところ、暗視野となり、虹色の反射回折光もコレス
テリック液晶に起因する反射色も観察されなかった。
【0110】以上のことより得られた積層体は、回折光
が右円偏光である非鏡面性の偏光回折素子として機能す
ることが確認された。
【0111】
【発明の効果】本発明では、複雑な工程や処理等を行う
ことなく、回折光が円偏光性を示すという特異な光学特
性を有する非鏡面性の偏光回折素子を製造することがで
きる。また非鏡面性であることから写り込み等による視
認性低下といった問題が生じることなく、視認性および
意匠性に非常に優れた偏光回折素子を得ることができ
る。さらに本発明の製造方法によれば、回折能を示すコ
レステリック配向フィルムの表面領域を視認側または視
認側とは反対側に適宜選択することができることから、
その用途に要求される光学特性に応じた偏光回折素子を
得ることができる。このようなことから、本発明の製造
方法で得られる偏光回折素子は、回折機能素子としてそ
の応用範囲は極めて広く、例えば液晶ディスプレー等の
光学素子、光エレクトロニクス素子、装飾用材料、偽造
防止用素子等の光学部材として好適に用いることができ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 配向支持基板上に正反射除去反射率
    (SCE)と正反射込み反射率(SCI)の比((SC
    E/SCI)×100)で定義される拡散率が15%以
    上のコレステリック配向フィルムを形成する第1工程、
    該コレステリック配向フィルム表面に回折素子基板の回
    折パターンを転写する第2工程、回折パターンが転写さ
    れたコレステリック配向フィルム面と支持基板1とを接
    着剤層1を介して積層する第3工程、第1工程で用いた
    配向支持基板をコレステリック配向フィルムから除去す
    る第4工程、及び配向支持基板を除去したコレステリッ
    ク配向フィルム面と支持基板2とを接着剤層2を介して
    積層する第5工程、を含む偏光回折素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 配向支持基板を除去したコレステリッ
    ク配向フィルム面と支持基板2とを接着剤層を介して積
    層した後、コレステリック配向フィルムから第3工程で
    用いた支持基板1を除去する第6工程を含む請求項1記
    載の偏光回折素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 支持基板1を剥離除去した後、当該基
    板を剥離除去したコレステリック配向フィルム面に保護
    層を形成する第7工程を含む請求項2記載の偏光回折素
    子の製造方法。
  4. 【請求項4】 保護層が、紫外線吸収性および/また
    はハードコート性を有する請求項3記載の偏光回折素子
    の製造方法。
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