明細書 シロキサン系共重合体の製造方法、 および その製造方法により得られるシロキサン系共重合体を含有する樹脂組成物 技術分野
本発明は、 シロキサン系共重合体の新規な製造方法に関する。 さらに本発明は、 上記製造方法により得られるシロキサン系共重合体を含有する樹脂組成物に関す る。 背景技術
熱可塑性樹脂は、 プラスチック容器、 フィルム、 繊維、 接着剤、 押出シートな どに用いられる工業的に有用な成形材料である。 このような熱可塑性樹脂 (例え ば、 2 , 2 —ビス (4—ヒドロキシフエニル) プロパン (別名: ビスフエノール A) を主単位とするポリカーボネート樹脂) は、 機械特性、 電気特性、 耐熱性、 寸法安定性、 透明性および成形加工性に優れている。 しかし、 このような熱可塑 性樹脂は、 燃焼性が高く、 しかも燃焼時に有害なガスを生じる等の欠点を有して いる。
通常の熱可塑性樹脂は、 燃焼性が高いため、 難燃性が要求される用途では、 ハ ロゲン系およびリン系化合物に代表される難燃剤を添加することにより、 難燃化 させるのが一般的である。 しかし、 このような難燃剤は、 燃焼時に熱可塑性樹脂 よりも有害なガスを生じるため環境問題上好ましくない。 さらに、 このような難 燃剤は添加量に応じて熱可塑性樹脂の機械的特性、 電気特性、 耐熱性、 耐候性の ような物性を低下させる等の問題点を有している。
熱可塑性樹脂の難燃性および成形加工性を向上させる手段の 1つとして、 熱可 塑性樹脂にシロキサン化合物を添加する方法が提案された。 しかし、 この方法で
は、 シロキサン化合物と熱可塑性樹脂との相溶性が低い場合には、 難燃性および 成形性が十分に向上しなかったり、 シロキサン化合物が熱可塑性樹脂の成形品の 表面にブリードする等の問題点があった。
上記問題点を解決する手段として、 シロキサン系共重合体の製造方法に関する 技術が提案されている。 例えば、 特開平 2— 1 9 6 8 2 3号公報、 特開平 3 _ 1 0 6 9 3 7号公報、 および特開平 7— 2 9 9 9号公報では、 ビスフエノール誘導 体、 ジカルボン酸ジクロライド、 ホスゲン、 およびフエノール末端ジメチルポリ シロキサンを用いる界面重縮合法によるポリエステルカーボネート一シロキサン 系共重合体の製造方法が提案されている。 さらに、 特開平 5— 2 2 2 1 7 3号公 報においては、 フエノール末端ジメチルポリシロキサンを用いる界面重縮合法に よるポリエステルカーボネート -シロキサン系共重合体の製造方法が提案されて いる。 しかし、 界面重縮合法においては、 原料であるホスゲンおよび酸クロライ ドの入手が困難であり、 そして塩化メチレン等のハロゲン化合物を用いるため環 境上好ましくないという問題点を有する。
界面重縮合法における問題点を解決する手段の 1つとして、 特開平 4一 9 1 1
2 5号公報には、 ジカルボン酸ジエステル、 ジオール、 およびフエノール末端ジ メチルポリシロキサンを用いる溶融重縮合法によるポリエステル—シロキサンブ ロック共重合体の製造方法が提案されている。 しかし、 この方法においては、 高 価で特殊なケィ素化合物を用いるために、 製造コストが高く、 しかもブロック共 重合体中のシロキサンユニットの導入量を増加させると、 相分離による物性(例 えば、 機械的強度)の低下が起こる等の問題点がある。
—方、 Cur ryらは、 ジオールおよびビス (ァニリノ) ジフエ二ルシランから得 られるシロキサン系共重合体の製造方法を報告している (J . App l . Po lym. Sc i . , vo l . 9, pp. 295 (1965) ) 。 この方法においては、 生成するポリマーが交互共重合 体となるため、 シロキサンの導入量を増加させることが可能である。 しかし、 こ の方法においては、 高価で特殊なゲイ素化合物を用いるために、 製造コストが高
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く、 しかも反応に長時間を要するという問題点がある。 また、 得られるシロキサ ン系共重合体の耐熱性が低いという問題点がある。
本発明の目的は、 上記従来のシロキサン系共重合体の製造方法の問題点を克服 し、 優れた機械的特性 (例えば、 強度、 破断伸び、 耐衝撃性) 、 耐熱性、 難燃性 および成形加工性 (例えば、 離型性、 表面滑性) を共に有し、 かつ優れた透明性 を有するシロキサン系共重合体をより簡便で、 かつ安価に (すなわち、 工業的お よび商業的に有利に) 得ることができる製造方法を提供することにある。 さらに 本発明の他の目的は、 このような製造方法により得られるシロキサン系共重合体 を含有する樹脂組成物を提供することにある。 発明の開示
本発明は, エステル化またはエステル交換触媒の存在下、 少なくとも 1種のジ オールと、 少なくとも 1種のジカーボネートと、 ゲイ素化合物とを反応させるシ ロキサン系共重合体の製造方法であって、 該ケィ素化合物が、 以下の一般式 ( I ) で表される化合物および一般式 (I I) で表される化合物からなる群から選 択される少なくとも 1種である、 方法である:
ここで R '、 R 2、 R R Xおよび Yは、 それぞれ独立して、 水素原子、 ハ ロゲン原子、 水酸基、 アミノ基または置換あるいは非置換の有機基であり ; aは、 0から 5 0 0 0の整数を示し;そして bは、 3力 ら 2 0の整数を示す。
好適な実施態様においては、 上記ジオールは、 以下の一般式 (Π Ι ) で表され
る:
HO R5 - OH (III)
ここで R5は、 非置換の、 または水素原子の少なくとも一部が、 ハロゲン原子、 炭化水素基、 アルコキシ基およびフエノキシ基から選択される少なくとも 1種の 基で置換された、 1個から 20個の炭素原子を有する 2価の炭化水素基;あるい は、 - R6— A— R7-であり、 ここで、 R6および R7は、 それぞれ独立して、 6個 から 20個の炭素原子を有する 2価の芳香族炭化水素基であり ;そして Aは単結 合、 - o-、 - S -、 -SO-、 - S02 -、 -CO-, および 1個から 20個の炭素原子 を有する 2価の炭化水素基からなる群から選択される。
好適な実施態様においては、 少なくとも 1種のジカルボン酸のジエステルをさ らに反応させる。 該ジカルボン酸のジエステルは、 以下の一般式 (IV) で表され る:
ここで、 R8は、 非置換の、 または水素原子の少なくとも一部が、 ハロゲン原 子、 炭化水素基、 アルコキシ基およびフエノキシ基でなる群から選択される少な くとも 1種の基で置換された、 1個から 20個の炭素原子を有する 2価の炭化水 素基; あるいは、 -RID— D— R11-であり、 そして R9は、 1個から 20個の炭素 原子を有する炭化水素基であり、 ここで、 Rl!)および R11は、 それぞれ独立して、 6個から 20個の炭素原子を有する 2価の芳香族炭化水素基であり :そして Dは 単結合、 -〇-、 - S -、 - SO-、 - S02-、 -CO-, および 1個から 20個の炭素 原子を有する 2価の炭化水素基からなる群から選択される。
好適な実施態様においては、 上記ジカーボネー卜は、 以下の一般式 (V) で表 される:
ここで R 12は、 1個から 2 0個の炭素原子を有する炭化水素基を示す。
好適な実施態様においては、 上記ケィ素化合物は、 ポリジメチルシロキサン、 ポリメチルフエニルシロキサン、 ジメトキシジメチルシラン、 ジメトキシジフエ ニルシラン、 ォクタメチルシクロテトラシロキサン、 およびォク夕フエ二ルシク ロテトラシロキサンからなる群から選択される少なくとも一種である。
好適な実施態様においては、 上記ジオールは、 2, 2—ビス (4ーヒドロキシ フエニル) プロパン、 1, 1一ビス (4ーヒドロキシフエニル) 一 3, 3, 5 - 卜リメチルシクロへキサン、 ビス (4—ヒドロキシフエニル) スルホン、 9, 9 一ビス (4—ヒドロキシフエニル) フルオレンからなる群から選択される少なく とも一種である。
好適な実施態様においては、 上記ジカルボン酸のジエステルは、 ジフエニルテ レフ夕レート、 ジフエ二ルイソフ夕レート、 ジメチルテレフタレート、 ジメチル イソフタレー卜からなる群から選択される少なくとも一種である。
好適な実施態様においては、 上記ジカーボネートは、 ジフエニルカーボネート である。
好適な実施態様においては、 上記エステル化またはエステル交換触媒は、 スズ 系化合物である。
好適な実施態様においては、 上記エステル化またはエステル交換触媒は、 リチ ゥム、 ナトリウム、 カリウム、 マグネシウム、 カルシウム、 バリウム、 ストロン チウ厶、 亜鉛、 カドミウム、 チタン、 ジルコニウム、 アンチモン、 鉛、 マンガン、 およびコバルトからなる群から選択される金属の、 酢酸塩、 炭酸塩、 ホウ酸塩、 酸化物、 水酸化物、 水素化物、 アルコラ一ト、 およびフエノラ一卜からなる群か
ら選択される少なくとも 1種である。
好適な実施態様においては、 上記エステル化またはエステル交換触媒は、 得ら れるシロキサン系共重合体 1 0 0重量部に対して、 0 . 0 0 0 1重量部から 1 . 0重量部の範囲で使用される。
さらに、 本発明は、 上記製造方法により得られるシロキサン系共重合体を含有 する、 難燃性樹脂組成物に関する。
さらに、 本発明は、 上記製造方法により得られるシロキサン系共重合体を含有 する、 成形用樹脂組成物に関する。 図面の簡単な説明
図 1は、 実施例 1により得られたポリエステル一シロキサン系共重合体の I R スぺクトル図である。
図 2は、 実施例 5により得られたポリエステルカーボネート一シロキサン系共 重合体の I Rスぺクトル図である。
図 3は、 実施例 7により得られたポリカーボネ一トーシロキサン系共重合体の
I Rスぺクトル図である。 発明を実施するための最良の形態
以下、 本発明について詳細に説明する。
本発明のシロキサン系共重合体の製造方法は、 エステル化またはエステル交換 触媒の存在下、 少なくとも 1種のジオールと、 少なくとも 1種のジカーボネート と、 少なくとも 1種の特定のゲイ素化合物とを反応させる方法である。
本発明に用いられるケィ素化合物は、 上記一般式 ( I ) で表される化合物およ び上記一般式 (I I ) で表される化合物から選択される少なくとも 1種である。 一 般式 ( I ) および (I I ) において、 R '、 R R R 4、 Xおよび Yは、 それぞ れ独立して、 水素原子、 ハロゲン原子、 水酸基、 アミノ基、 あるいは置換または
非置換の有機基である。 aは、 0から 5 0 0 0の整数、 好ましくは 0から 1 0 0 の整数、 さらに好ましくは 0から 5 0の整数であり ;そして bは、 3から 2 0の 整数、 好ましくは 3から 1 0の整数、 さらに好ましくは 3から 4の整数である。 ここで、 置換または非置換の有機基の具体例としては、 炭化水素基、 アルコキシ 基、 フエノキシ基、 アンモニゥム塩含有基、 アルキルアミノ基、 カルボキシル基、 エステル基、 ポリエーテル基、 エポキシ基、 ビニルエーテル基、 ビニルエステル 基、 アクリル基、 メタクリル基、 メルカプト基、 およびイソシアナ卜基が挙げら れる。 炭化水素基の具体例としては、 . :!〜 2 0個、 好ましくは 1〜 1 0個、 さら に好ましくは 1〜 6個の炭素原子を有する直鎖状または分岐状アルキル基、 およ び直鎖状または分岐状アルケニル基、 6〜2 0個、 好ましくは 6〜 1 4個、 さら に好ましくは 6〜 1 0個の炭素原子を有するアルキルァリール基、 ならびにシク 口アルキル基が挙げられる。 本発明の利点を損なわない限り、 炭化水素基の水素 原子の少なくとも一部は、 任意の置換基で置換され得る。 置換基の具体例として は、 水酸基、 ハロゲン原子、 アルコキシ基、 フエノキシ基、 アミノ基、 アンモニ ゥム塩含有基、 アルキルアミノ基、 カルボキシル基、 エステル基、 ポリエ一テル 基、 エポキシ基、 ビニル基、 ビニルエーテル基、 ビニルエステル基、 ァリル基、 アクリル基、 メタクリル基、 メルカプト基、 イソシアナト基が挙げられる。 以下、 特に明示しない限り、 「炭化水素基」 は上記の置換または非置換の炭化水素基を 包含する。
好ましくは、 置換または非置換の有機基は、 炭化水素基、 アルコキシ基、 また はフエノキシ基である。 さらに好ましくは、 メチル基、 フエニル基、 メトキシ基、 エトキシ基、 またはフエノキシ基である。 とりわけ好ましくは、 メチル基、 メト キシ基である。 なぜなら、 このような置換基を有するゲイ素化合物は、 入手が容 易であるため、 シロキサン系共重合体の簡便な製造方法が達成され得るからであ る。
上記ケィ素化合物の具体例としては、 以下に示すものが挙げられる: ジメトキ
シジメチルシラン、 ジェトキシジメチルシラン、 ォク夕デシルトリメトキシシラ ン、 ォク夕デシルトリエトキシシラン、 ォクタデシルメチルジメ卜キシシラン、 ビニルメチルジェトキシシラン、 ビニルトリメ卜キシシラン、 ビニル卜リエトキ シシラン、 5—へキセニル卜リメトキシシラン、 メチルフエ二ルジメトキシシラ ン、 メチルフエ二ルジェトキシシラン、 ジフエ二ルジメトキシシラン、 ジフエ二 ルジェトキシシラン、 フエニルトリメトキシシラン、 フエニルトリエトキシシラ ン、 シクロへキシルメチルジメ卜キシシラン、 N— ( 2—アミノエチル) — 3— ァミノプロピルメチルジメトキシシラン、 3—ァミノプロピルトリェ卜キシシラ ン、 3—クロ口プロピルメチルジメトキシシラン、 (3—グリシドキシプロピ ル) メチルジェトキシシラン、 3 —メ夕クリロキシプロピルメチルジメトキシシ ランのようなアルコキシシラン類; ジフエニルシラン、 ジフエ二ルシランジオ一 ルのようなフエニルシラン類;へキサメチルシクロトリシロキサン、 へキサフエ ニルシクロトリシロキサン、 ォクタメチルシクロテ卜ラシロキサン、 ォク夕フエ ニルシクロテトラシロキサン、 1, 3, 5, 7—テトラメチルシクロテトラシ口 キサン、 1 , 3 , 5, 7—テトラビ二ルテトラメチルシクロテトラシロキサン、 デカメチルシクロペン夕シロキサンのような環状シロキサン類;へキサメチルジ シロキサン、 ォク夕メチルトリシロキサン、 デカメチルテトラシロキサン、 ドデ カメチルペン夕シロキサン、 テトラデカメチルへキサシロキサン、 へキサデカメ チルヘプ夕シロキサン、 ォク夕デカメチルォクタシロキサン、 エイコサメチルェ ニァシロキサン、 ドコサメチルデカシロキサン、 3 , 3—ジフエ二ルへキサメチ ルトリシロキサン、 シロキサンオリゴマー類、 ポリジメチルシロキサン、 ポリメ チルフエニルシロキサン、 ポリジフエニルシロキサン、 アルキル変性ポリシロキ サン、 メ夕クリル変性ポリシロキサン、 クロ口アルキル変性ポリシロキサン、 フ ッ素変性ポリシロキサン、 ポリエーテル変性ポリシロキサン、 アルコール変性ポ リシロキサン、 ァミノ変性ポリシロキサン、 エポキシ変性ポリシロキサン、 フエ ノール変性ポリシロキサン、 カルボキシ変性ポリシロキサン、 およびメルカプト
変性ポリシロキサンのようなポリシロキサン。 これらのゲイ素化合物は単独で用 いても良く、 また混合して用いても良い。
これらのゲイ素化合物の中では、 ポリジメチルシロキサン、 ポリメチルフエ二 ルシロキサン、 ジメトキシジメチルシラン、 ジメトキシジフエニルシラン、 ォク タメチルシクロテ卜ラシロキサン、 およびォク夕フエニルシクロテトラシロキサ ンが、 原料が入手し易いという点で好ましく、 ポリジメチルシロキサン、 ジメト キシジメチルシラン、 ォクタメチルシクロテ卜ラシロキサンが特に好ましい。 本発明の製造方法に用いられるジオールは、 好ましくは上記一般式 (I I I ) で 表される。
一般式 (I I I) において、 R5は、 非置換の、 または、 水素原子の少なくとも一 部がハロゲン原子、 炭化水素基、 アルコキシ基およびフエノキシ基でなる群から 選択される少なくとも 1種の置換基で置換された、 1個から 2 0個の炭素原子を 有する 2価の炭化水素基;あるいは— R6— A— R 7—である。 R6および R 7は、 それぞれ独立して、 6個から 2 0個、 好ましくは 6個から 1 4個、 さらに好まし くは 6個から 1 0個の炭素原子を有する 2価の芳香族炭化水素基であり :そして、 Aは、 単結合、 - 0-、 - S -、 - S O-、 - S〇2-、 - C O-、 および 1個から 2 0個 の炭素原子を有する 2価の炭化水素基からなる群から選択される。 好ましくは、 Aは、 単結合、 一 O—、 一 S〇2—、 または 1個から 2 0個の炭素原子を有する 2価の炭化水素基であり、 さらに好ましくは、 — S〇2—、 または 1個から 1 4 個の炭素原子を有する 2価の炭化水素基である。
上記ジォ一ルの具体例としては、 以下に示すもの挙げられる : 2 , 2—ビス ( 4—ヒドロキシフエニル) プロパン (ビスフエノール A) 、 ビス (4ーヒドロ キシフエニル) メタン、 ビス (4—ヒドロキシ一 3, 5—ジメチルフエニル) メ タン、 ビス (4—ヒドロキシー 3 , 5—ジクロ口フエニル) メタン、 1, 1—ビ ス (4—ヒドロキシフエニル) シクロへキシルメタン、 1 , 1 一ビス (4ーヒド ロキシフエニル) ェタン、 1 , 1—ビス (4ーヒドロキシフエニル) 一 1—フエ
ニルェタン、 1, 1一ビス (4—ヒドロキシフエニル) 一 3, 3, 5—トリメチ ルシクロへキサン (ビスフエノール TM C) 、 4 , 4 ' —ジヒドロキシジフエ二 ルエーテル、 ビス (4—ヒドロキシ— 3 , 5—ジメチルフエニル) エーテル、 ビ ス (4ーヒドロキシフエニル) スルホン、 ビス (4—ヒドロキシ— 3 , 5—ジメ チルフエニル) スルホン、 4, 4, ージヒドロキシベンゾフエノン、 2 , 2—ビ ス (4—ヒドロキシー 3, 5—ジメチルフエニル) プロパン、 テトラブロモビス フエノール A、 テトラクロ口ビスフエノール A、 ジヒドロキシジフエニル、 ハイ ドロキノン、 レゾルシノール、 ジヒドロキシナフ夕レン、 ジヒドロキシアントラ セン、 フエノールフタレイン、 フルォレセイン、 2, 2 ' ージヒドロキシー 1, 1—ジナフチルメタン、 4, 4 ' —ジヒドロキシジナフチル、 9 , 9一ビス (4 ーヒドロキシフエニル) フルオレンのような芳香族ジオール、 またはエチレング リコール、 プロピレングリコール、 テ卜ラメチレングリコール、 ジエチレンダリ コール、 トリエチレングリコール、 ポリエチレングリコール、 1, 3—プロパン ジオール、 1 , 2—プロパンジオール、 1 , 4一ブタンジオール、 1, 3—ブ夕 ンジオール、 1 , 2—ブタンジオール、 1 , 6—へキサンジオール、 および 1, 1 0—デカンジオールのような脂肪族ジオールが挙げられる。 これらのジオール は、 単独で用いても良く、 または混合して用いても良い。
これらのジオールの中では、 得られる共重合体の特性 (例えば、 耐熱性、 機械 的特性、 難燃性) に優れるという点、 および原料が入手し易いという点でビスフ エノール八、 ビスフエノール TM C、 ビス (4ーヒドロキシフエニル) スルホン、 および 9, 9一ビス (4—ヒドロキシフエニル) フルオレンが好ましく、 ビスフ エノ一ル Aが特に好ましい。 ビス (4—ヒドロキシフエニル) スルホンまたは 9 , 9一ビス (4ーヒドロキシフエニル) フルオレンを用いると特に難燃性に優れた 共重合体が得られる。
本発明の製造方法は、 好ましくは、 少なくとも 1種のジカルボン酸のジエステ ルを共重合成分としてさらに反応させ得る。 このジカルボン酸のジエステルは、
好ましくは上記一般式 (IV) で表される。 一般式 (IV) において、 R8は、 非置 換の、 または、 水素原子の少なくとも一部がハロゲン原子、 炭化水素基、 アルコ キシ基およびフエノキシ基でなる群から選択される少なくとも 1種の置換基で置 換された、 1個から 2 0個の炭素原子を有する 2価の炭化水素基、 あるいは- R 1 °一 D— R '1-であり ;そして R9は、 1個から 2 0個、 好ましくは 1個から 1 0個、 さらに好ましくは 1個から 6個の炭素原子を有する炭化水素基である。 R IQおよ び R 11は、 それぞれ独立して、 6個から 2 0個、 好ましくは 6個から 1 4個、 さ らに好ましくは 6個から 1 0個の炭素原子を有する 2価の芳香族炭化水素基であ り ;そして Dは、 単結合、 - 0-、 - S -、 - S O -、 - S 02-、 - C O-、 および 1個 から 2 0個の炭素原子を有する 2価の炭化水素基からなる群から選択される。 。 好ましくは、 Dは、 単結合、 — O—、 — S 02—、 または 1個から 2 0個の炭素 原子を有する 2価の炭化水素基であり、 さらに好ましくは、 一 S〇2—、 または 1個から 1 4個の炭素原子を有する 2価の炭化水素基である。
上記ジカルボン酸のジエステルの具体例としては、 以下に示すものが挙げられ る。 例えば、 テレフタル酸、 メトキシテレフタル酸、 エトキシテレフタル酸、 フ ルォロテレフタル酸、 クロロテレフタル酸、 メチルテレフタル酸、 イソフ夕ル酸、 フタル酸、 メ卜キシイソフタル酸、 メチルイソフタル酸、 ジフエニルメタン— 4, 4 ' —ジカルボン酸、 ジフエニルメタン一 3 , 3 ' —ジカルボン酸、 ジフエニル エーテル— 4 , 4, ージカルポン酸、 ジフエ二ル— 4, 4 ' ージカルボン酸、 ナ フタレン一 1, 4ージカルボン酸、 ナフ夕レン一 1 , 5—ジカルボン酸、 ナフ夕 レン一 2 , 6—ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、 シユウ酸、 マロン酸、 コハク酸、 ダルタル酸、 アジピン酸、 スベリン酸、 ァゼライン酸、 セバシン酸、 ドデカンジカルボン酸、 3—メチルァゼライン酸などの脂肪族ジカルボン酸、 1, 4ーシクロへキサンジカルボン酸、 1 , 3—シクロへキサンジカルボン酸、 1 , 2 —シクロへキサンジカルボン酸、 1 , 3 —シクロペン夕ンジカルボン酸、 1, 5 —デカヒドロナフ夕レンジカルボン酸、 2 , 6 —デカヒドロナフ夕レンジカル
ボン酸、 2, 7—デカヒドロナフ夕レンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸 などの、 ジメチル、 ジェチル、 ジプロピル、 ジブチル、 ジシクロへキシル、 ジフ ェニルエステルなどが挙げられる。 これらのジカルボン酸のジエステルは、 単独 で用いても良く、 また混合して使用しても良い。
これらのジカルボン酸のジエステルの中では、 得られる共重合体の特性 (例え ば, 耐熱性、 機械的特性、 難燃性) に優れるという点、 反応性に優れるという点、 および原料が入手し易いという点でジフエニルテレフ夕レート、 ジフエ二ルイソ フタレート、 ジメチルテレフ夕レート、 ジメチルイソフ夕レートが好ましく、 ジ フエニルテレフ夕レート、 ジフエ二ルイソフタレー卜が特に好ましい。
本発明の製造方法に用いられるジカーボネートは、 好ましくは上記一般式
(V) で表される。 一般式 (V) において、 R 1 2は、 1個から 2 0個、 好ましくは 1個から 1 0個、 さらに好ましくは 1個から 6個の炭素原子を有する炭化水素基 である。
ジカーボネートの具体例としては、 ジメチルカ一ボネート、 ジェチルカーボネ ート、 ジプロピルカーボネートおよびジフエニルカーボネートが挙げられる。 上記ジカーボネートの中では、 ジフエ二ルカ一ボネートが、 反応性に優れ、 か つ入手し易いという点で特に好ましい。
本発明の製造方法に用いられる上記各出発原料の組み合わせの例としては、 ジ オールノゲイ素化合物/ジカーボネートの組み合わせが挙げられる。 このような 組み合わせのモル比の範囲は、 1 /0. 4〜2 /0. 4〜2が好ましく、 1 /0. 5〜 1 /0. 5 ~ 1がより好ましい。 特に好ましいものの一例としては、 1/0. 5/1または 1/0. 5/0. 5が挙げられる。 このような組み合わせの場合は、 ポリ力一ボネ一トーシロキサ ン共重合体が生成する。
具体的には、 次のような組み合わせが挙げられる :
ビスフエノール Aとジメトキシメチルシランとジフエ二ルカーボネー卜 (モル 比: 1/0. 5/1あるいは 1/0. 5/0. 5) ;
ビスフエノール Aとポリジメチルシロキサンとジフエ二ルカーボネー卜 (モル 比: 1/0.5/1あるいは 1/0.5/0.5) ;
ビスフエノール Aとォクタメチルシクロテトラシロキサンとジフエ二ルカーボ ネート (モル比: 1/0.5/1あるいは 1/0.5/0.5) ;
ビスフエノール TMCとジメトキシメチルシランとジフエ二ルカーボネ一ト
(モル比: 1/0.5/1あるいは 1/0.5/0.5) ;
ビスフエノール TMCとポリジメチルシロキサンとジフエ二ルカーボネート (モル比: 1/0.5/1あるいは 1/0.5/0.5) ;および
ビスフエノール TMCとォクタメチルシクロテトラシロキサンとジフエ二ルカ —ボネート (モル比: 1/0.5/1あるいは 1/0.5/0.5) 。
とりわけ、 入手容易性、 反応性、 得られる共重合体の特性 (例えば、 耐熱性、 機械的特性、 難燃性) に特に優れるという点で、 ビスフエノール Aとジメトキシ メチルシランとジフエ二ルカ一ボネート (モル比: 1/0.5/1あるいは 1/0.5/0.5)、 ビスフエノール Aとポリジメチルシロキサンとジフエ二ルカ一ボネー卜 (モル 比: 1/0.5/1または 1/0.5/0. )の組み合わせが好ましく、 ビスフエノール Aと ジメトキシメチルシランとジフエ二ルカーボネート (モル比: 1/0.5/1または 1/0. 5/0.5)の組み合わせが特に好ましい。
さらに、 本発明の製造方法において、 必要に応じてジカルボン酸のジエステル をさらに出発原料として用いる場合には、 以下のような出発原料の組み合わせの 例が挙げられる :
ジオールノジカルボン酸ジエステルノケィ素化合物ノジカーボネート。 このよ うな組み合わせのモル比の範囲は、 1/0.5〜2/0.5〜2/0.1〜2が好ましく、 1/ 0.5〜1/0.5〜 1/0.5〜1がより好ましい。 特に好ましいものの一例としては、 1 /1/1/1または 1/0.5/0.5/0.5が挙げられる。 このような組み合わせの場合は、 ポ リエステル—シロキサン共重合体が生成する。
ジオールノジカルボン酸ジエステル/ゲイ素化合物 Zジカーボネートこのよう
な組み合わせのモル比の範囲は、 1/0.1〜0.45/0.1〜0.45/1が好ましく、 1/0. 2〜0.45/0.2〜0· 45/0.5〜 1がより好ましい。 特に好ましいものの一例としては、 1/0.4/0.4/1または 1/0, 4/0.4/0.5が挙げられる。 このような組み合わせの場合は、 ポリエステルカーボネート一シロキサン共重合体が生成する。
具体的には、 次のような組み合わせが挙げられる。
ビスフエノール Αとジフエニルテレフタレ一トとジフエ二ルイソフ夕レートと ジメトキシジメチルシランとジフエ二ルカーボネート (モル比: 1/0.5/0.5/1/1、 1/0.25/0.25/0.5/0.5, 1/0.2/0.2/0.4/K あるいは 1/0.2/0.2/0.4/0.5) ; ビスフエノール Aとジフエニルイソフタレートとジメトキシジメチルシランと ジフエ二ルカ一ポネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5、 1/0.4/0.4/1ある いは 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール Aとジフエニルテレフ夕レートとジメトキシジメチルシランと ジフエ二ルカーポネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5, 1/0.4/0.4/1ある いは 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール Aとジフエニルテレフタレ一トとジフエ二ルイソフタレートと ポリジメチルシロキサンとジフエ二ルカ一ボネート (モル比: 1/0.5/0.5/1/1、 1 /0.25/0.25/0.5/0.5, 1/0.2/0.2/0, 4/1あるいは 1/0.2/0.2/0.4/0.5) ;
ビスフエノール Aとジフエ二ルイソフ夕レートとポリジメチルシロキサンとジ フエ二ルカ一ポネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5, 1/0.4/0.4/1あるい は 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール Aとジフエニルテレフタレ一卜とポリジメチルシロキサンとジ フエ二ルカ一ボネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5, 1/0.4/0.4/1あるい は 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール Aとジフエニルテレフ夕レートとジフエ二ルイソフ夕レートと ォクタメチルシクロテトラシロキサンとジフエ二ルカ一ポネ一卜 (モル比: 1/0. 5/0.5/1/1、 1/0.25/0.25/0.5/0.5、 1/0.2/0.2/0.4/1あるいは 1/0.2/0.2/0.4/0.
5) ;
ビスフエノール Aとジフエニルイソフタレートとォクタメチルシクロテトラシ ロキサンとジフエ二ルカ一ボネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5, 1/0.4/ 0.4/1あるいは 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール Aとジフエニルテレフ夕レートとォクタメチルシクロテトラシ ロキサンとジフエ二ルカーボネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5, 1/0.4/
0.4/1あるいは 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール T M Cとジフエニルテレフ夕レートとジフエ二ルイソフタレ一 トとジメトキシジメチルシランとジフエ二ルカーボネ一卜 (モル比: 1/0.5/0.5/ 1/1、 1/0.25/0.25/0.5/0.5, 1/0.2/0.2/0.4/1あるいは 1/0.2/0.2/0.4/0.5) ; ビスフエノール TMCとジフエニルイソフタレートとジメトキシジメチルシラ ンとジフエニルカーボネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5、 1/0.4/0.4/1 あるいは 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール TMCとジフエニルテレフ夕レートとジメトキシジメチルシラ ンとジフエニルカーボネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5、 1/0.4/0.4/1 あるいは 1/0· 4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール TMCとジフエニルテレフ夕レートとジフエ二ルイソフ夕レ一 卜とポリジメチルシロキサンとジフエ二ルカ一ボネート (モル比: 1/0.5/0.5/1/
1、 1/0.25/0.25/0.5/0.5, 1/0.2/0.2/0, 4/1あるいは 1/0.2/0.2/0.4/0.5) ; ビスフエノール T M Cとジフエ二ルイソフタレートとポリジメチルシロキサン とジフエ二ルカ一ボネー卜 (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5, 1/0.4/0.4/1 ¾ るいは 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール TMCとジフエニルテレフ夕レー卜とポリジメチルシロキサン とジフエ二ルカ一ポネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5, 1/0.4/0.4/1 ¾ るいは 1/0.4/0.4/0.5) ;
ビスフエノール TMCとジフエニルテレフ夕レートとジフエ二ルイソフ夕レー
トとォク夕メチルシクロテトラシロキサンとジフエ二ルカーボネート (モル比:
1/0.5/0.5/1/1、 1/0.25/0.25/0.5/0.5、 1/0.2/0.2/0.4/1あるいは 1/0.2/0.2/0.4 /0.5) ;
ビスフエノール TMCとジフエ二ルイソフ夕レー卜とォクタメチルシクロテト ラシロキサンとジフエ二ルカーボネート (モル比: 1/1/1/し 1/0.5/0.5/0.5、 1/ 0.4/0.4/1あるいは 1/0.4/0.4/0.5) ;および
ビスフエノール TMCとジフエニルテレフ夕レートとォクタメチルシクロテト ラシロキサンとジフエ二ルカーボネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5、 1/ 0.4/0.4/1あるいは 1/0.4/0.4/0.5) 。
上記の組み合わせは、 入手容易性、 反応性、 得られる共重合体の特性 (例えば、 耐熱性、 機械的特性、 難燃性) に特に優れる。 とりわけ、 ビスフエノール Aとジ フエニルテレフタレ一卜とジフエ二ルイソフ夕レートとジメトキシジメチルシラ ンとジフエニルカーボネート (モル比: 1/0.5/0.5/1/1、 1/0.25/0.25/0.5/0.5, 1/0.2/0.2/0.4/1あるいは 1/0.2/0.2/0.4/0.5) ; ビスフエノール Aとジフエニル イソフタレートとジメトキシジメチルシランとジフエ二ルカーボネート (モル 比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5、 1/0.4/0.4/1あるいは 1/0.4/0.4/0.5) ; ビスフエ ノール Aとジフェニルテレフ夕レートとジメトキシジメチルシランとジフエニル カーボネート (モル比: 1/1/1/1、 1/0.5/0.5/0.5, 1/0.4/0.4/1あるいは 1/0.4/0. 4/0.5) の組み合わせが好ましい。 ビスフエノール Aとジフエニルテレフ夕レー 卜とジメトキシジメチルシランとジフエ二ルカーポネー卜 (モル比; 1/1/1/1、 1 /0.5/0.5/0.5、 1/0.4/0.4/1、 あるいは 1/0.4/0.4/0.5)、 ビスフエノール Aとジ フエ二ルテレフタレートとジフエ二ルイソフ夕レ一卜とジメトキシジメチルシラ ンとジフエニルカーボネート (モル比: 1/0.5/0.5/1/1、 1/0.2/0.2/0.4/1 , 1 /0.25/0.25/0.5/0.5または 1 /0.2/0.2/0.4/0.5)の組み合わせが特に好ましい。 本発明に用いられる触媒としては、 公知のエステル化またはエステル交換触媒 が使用され得る。 これらの触媒の具体例としては、 リチウム、 ナトリウム、 カリ
ゥムのようなアルカリ金属、 マグネシウム、 カルシウム、 バリウム、 ストロンチ ゥムのようなアルカリ土類金属、 亜鉛、 カドミウム、 チタン、 ジルコニウム、 ス ズ、 アンチモン、 鉛、 マンガン、 コバルトのような遷移金属の、 酢酸塩、 炭酸塩、 ホウ酸塩、 酸化物、 水酸化物、 水素化物、 アルコラートおよびフエノラ一トが挙 げられる。 これらのエステル化またはエステル交換触媒は、 単独で用いても良く、 または混合して用いても良い。
これらの触媒の中では、 上記エステル化またはエステル交換反応の反応性と得 られる共重合体の物性 (例えば、 耐熱性、 機械的特性、 色相) とのバランスを考 慮すると、 スズ系化合物が特に好ましい。 スズ系化合物の具体例としては、 ァシ ル第一スズ、 テトラァシル第二スズ、 ジブチルスズオキサイド、 ジブチルスズジ アセテート、 ジブチルスズラウレー卜、 ジメチルスズマレエー卜、 スズジォク夕 ノエ一卜、 スズテトラアセテート、 塩化第一スズ、 塩化第二スズ、 酢酸第一スズ、 トリクロロブチルスズ、 ジクロロジブチルスズ、 酸化第一スズ、 および酸化第二 スズが挙げられる。
これらの触媒の使用量は、 特に制限されない力 得られるシロキサン系共重合 体 1 0 0重量部に対して、 好ましくは 0 . 0 0 0 1重量部から 1 . 0重量部の範囲 で、 より好ましくは 0 . 0 0 0 5重量部から 0 . 1重量部の範囲が使用される。 触 媒の使用量が、 0 . 0 0 0 1重量部未満では、 反応が十分に進行せず、 そして 1 . 0重量部より多ければ、 生成するポリマーの着色が激しくなり、 しかも耐加水分 解性のような特性が不十分になる。
本発明の製造方法においては、 異なる温度の 2段階の工程を包含することが好 ましい。 第 1工程では、 常圧下、 好ましくは 8 0でから 2 5 0 ° (:、 より好ましく は 1 2 0 から 2 3 0でで加熱して反応を行う。 それに続く第 2工程では、 減圧 下 (好ましくは 6 P aから 1 3 3 P a、 より好ましくは 6 P aから 6 6 P a ) 、 好ましくは 2 0 0 から 4 0 0 :、 より好ましくは 2 3 0 から 3 2 0でで反応 系を加熱して反応を行う。 このような異なる温度の 2段階の工程を包含する反応
により、 所望の分子量のシロキサン系共重合体が高収率で得られ得る。 第 1段階 の反応を常圧下で行うことにより、 未反応モノマーの留去が防止され得るからで ある。 しかし本発明は、 上記 2段階工程を有する反応に限定されるものではなく、 多段階の温度および圧力条件下にて反応を行っても良いし、 あるいは同一の温度 および圧力条件下にて反応を行っても良い。
本発明の製造方法において 2段階の工程を包含する場合、 第 1工程で、 ジォ一 ル、 ジカーボネート、 およびゲイ素化合物 (あるいはケィ素化合物およびジカル ボン酸のジエステル) とのエステル交換反応が生起し、 シロキサン系オリゴマー が得られる。 次いで第 2工程で、 反応系を減圧下にすることにより、 さらなるェ ステル交換反応が進行し、 高分子量のシロキサン系共重合体が得られる。
本発明の製造方法においては、 各反応成分の使用量および反応条件を適宜調節 することによって、 種々のシロキサン系共重合体を製造し得る。 本発明の製造方 法において、 ジカルボン酸のジエステルをさらなる出発原料として用いる場合に は、 ジオールの 1モルに対して、 ジカルボン酸のジエステルおよびケィ素化合物 を合計で 1モル以上の割合で使用すると、 ジオールとジカーボネートとの反応で 生成すると考えられるカーボネー卜部分は重合時に完全に反応し、 その結果カー ボネート部分は消失する。 この結果、 ポリエステル—シロキサン系共重合体が得 られる。 これに対して、 ジオールの 1モルに対して、 ジカルボン酸のジエステル およびゲイ素化合物を合計で 1モル未満の割合で使用すると、 カーボネ一ト部分 は重合時に完全には反応せず、 その結果カーボネート部分が残存するために、 ポ リエステルカーボネート—シロキサン系共重合体が得られる。 さらに、 ジカルボ ン酸のジエステルを使用しない場合には、 ポリカーボネート一シロキサン系共重 合体が得られる。
本発明において、 ジフエニルエーテル、 ビフエニル、 置換されたシクロへキサ ン、 デカヒドロナフ夕レン、 1, 2, 4 , 5 —テトラメチルベンゼンのような適 切な補助溶媒、 または生成するポリマーと相溶化しない非溶剤 (例えば、 ポリ
(フッ化アルキレンォキシド) ) を用いても良い。 本発明の製造方法では、 ラン ダム共重合体が得られる。
本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体は、 好ましくはペレツ ト化 (チップ化) してから成形しても良く、 または押出機等を用いて所望の形状 に直接成形しても良い。
本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体は公知の他の樹脂とブ レンドしても良いし、 かつ必要に応じて添加剤を加えても良い。
上記公知の他の樹脂の具体例としては、 ポリエチレン、 ポリプロピレン、 ポリ スチレン、 ポリメチルメタクリレート、 ポリアミド、 ポリカーボネート、 ポリエ ステル、 ポリフエ二レンォキシド、 ポリスルホンのような熱可塑性樹脂、 フエノ ール樹脂、 エポキシ樹脂のような熱硬化性樹脂、 およびイソプレンゴム、 ブ夕ジ ェンゴム、 アクリルゴムのようなエラストマ一が挙げられる。 上記添加剤の具体 例としては、 安定剤、 顔料、 染料、 蛍光増白剤、 核剤、 重合促進剤、 充填剤、 お よび補強材 (例えば、 ガラス繊維、 炭素繊維) が挙げられる。 他の樹脂および/ または添加剤と組み合わせて用いることにより、 目的に応じて所望の特性 (例え ば、 透明性、 機械的特性、 電気的特性、 耐熱性、 耐候性) を有する成形品を提供 し得る樹脂組成物が得られ得る。
本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体は、 難燃性樹脂組成物 の主成分として、 あるいは公知の他の樹脂の難燃性を向上させるための難燃剤と して (例えば、 成形用樹脂組成物の難燃剤として) 用いられ得る。 ここで本明細 書中で用いられる、 用語 「主成分」 とは、 組成物中の主要含有成分を意味する。 本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体が難燃性樹脂組成物の 主成分として用いられる場合 (本発明のシロキサン系共重合体を少なくとも 3 0 重量%以上、 好ましくは少なくとも 5 0重量%以上含有する場合) には、 その重 量平均分子量は、 好ましくは 1 0, 0 0 0から 3 0 0 , 0 0 0であり、 より好ま しくは 2 0, 0 0 0から 1 0 0 , 0 0 0であり、 最も好ましくは 4 0 , 0 0 0力、
ら 8 0, 0 0 0である。 重量平均分子量が 1 0 , 0 0 0未満の場合には、 得られ る成形品の機械的特性が不十分である場合が多く、 3 0 0, 0 0 0を超える場合 には、 組成物の成形加工性が不十分である場合が多い。 一方、 本発明の製造方法 により得られるシロキサン系共重合体が難燃剤として用いられる場合 (本発明の シロキサン系共重合体が組成物中に 1 . 0重量%から 3 0重量%未満まで、 好ま しくは、 1 0重量%から 2 0重量%未満まで含有される場合) には、 その重量平 均分子量は、 好ましくは 2, 0 0 0から 1 0 0, 0 0 0であり、 より好ましくは 2 , 0 0 0から 6 0, 0 0 0であり、 最も好ましくは 5 , 0 0 0から 4 0, 0 0 0である。 重量平均分子量が 2, 0 0 0未満の場合には、 得られる成形品の機械 的特性が不十分となり、 1 0 0, 0 0 0を超える場合には、 組成物の成形加工性 が不十分となる場合がある。
本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体の分子量は、 触媒の添 加量の調節のような当業者に公知の方法により調節され得る。
本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体は、 優れた難燃性、 透 明性、 および成形加工性 (例えば、 離型性、 表面滑性) を有する。 すなわち、 本 発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体は、 従来のシロキサン系共 重合体の利点を維持し、 かつ従来のシロキサン系共重合体よりも優れた難燃性を 有する。
本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体は、 成形品、 繊維、 フ イラメン卜、 フィルム等の製造のために広範に使用され得る。 さらに、 本発明の 製造方法により得られるシロキサン系共重合体は、 共重合体自身が有する優れた 難燃性、 透明性および成形加工性 (例えば、 離型性および表面滑性) を有するの で、 この共重合体と所望の特性を有する他の任意の樹脂とをブレンドすることに より、 目的に応じた所望の特性と、 優れた難燃性、 透明性および成形加工性 (例 えば、 離型性および表面滑性) とを同時に有する成形用樹脂組成物が得られる。 このような成形用樹脂組成物は、 高い耐熱性、 強靭性、 耐加水分解性、 耐クリー
プ性等が要求される物品 (例えば、 家電分野、 照明分野、 および自動車分野にお ける物品) に特に好適に使用され得る。
以下、 作用について説明する。
本発明のシロキサン系共重合体の製造方法は、 エステル化またはエステル交換 触媒の存在下、 少なくとも 1種のジオールと、 必要に応じてジカルボン酸のジェ ステルと、 少なくとも 1種のジカーボネートと、 特定のゲイ素化合物とを反応さ せる方法である。 このような特定の出発原料を組み合わせることにより、 優れた 難燃性、 透明性および成形加工性 (例えば、 離型性および表面滑性) を有するシ ロキサン系共重合体が得られる。 しかも、 これらの出発原料は、 入手がきわめて 容易であり、 かつ、 反応性に優れる。 従って、 このような特定の出発原料を組み 合わせることにより、 上記のような優れた特性を有するシロキサン系共重合体を 簡便かつ安価に製造することが可能となる。 以上のように、 本発明の製造方法は、 工業的および商業的にきわめて優れた利点を有する。 実施例
以下、 本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、 本発明は下記実施例に 限定されるものではなく、 その要旨を変更しない範囲において、 適宜変更実施可 能なものである。
なお、 ポリマーの特性は以下に示す方法に従って測定した。
( 1 ) ポリマーの重量平均分子量 (Mw)
ゲルパーミエーシヨンクロマトグラフィー (G P C ) 法により測定した。 Wa ters社製 5 1 0型 G P Cシステムを用いて、 クロ口ホルムを移動相とし、 ポリマ 一濃度 2 m g Zm 1でカラム温度 3 5 にて測定した。 ポリスチレンを標準試料 として用いて、 重量平均分子量を算出した。
( 2 ) ポリマーのガラス転移温度 (T g/で)
Perkin-E lmer社製 D S C— 7を用いて、 窒素気流下、 昇温速度 2 0 °CZ分の
条件にて示差走査熱量測定を行った。
(3) ポリマーのゲイ素 (S i/重量%) 原子含有量
ポリマーを硫酸で加熱処理後、 炭酸ナトリウムおよび炭酸カルシウムを加え、 そして電気炉で加熱処理した後、 I CP (Inductively Coupled Plasma) 発光分 光分析法により定量した。
(4) ポリマーの溶融粘度 (Mv /ボイズ)
東洋精機製作所 (株)製キヤピログラフ PD— Cを用いて、 300°C、 剪断速 度 1216 s e c—'の条件にて測定した。
(5) ポリマーの難燃性
ペレット化したポリマーを、 120 で 15時間減圧乾燥した後、 射出成形 により 1ノ8インチの試験片を作製し、 UL— 94 V規格に従って評価した。
(6) ポリマーの透明性 (T/%)
日本電色工業 (株)製 NDH—∑ 80を用いて、 射出成形により作成した 1ノ 8インチ厚の試験片の全光線透過率を測定した。
(実施例 1)
撹拌翼、 窒素導入口、 冷却管、 および留出口を備えた内容積 14 Lの反応容器 に、 1 140 g (5.0モル) のビスフエノール A (新日鐵化学 (株)製) 、 1 5 90 g (5. 0モル) のジフエニルテレフ夕レート、 1070 g (5.0モル) のジフエニルカーボネート (東京化成工業 (株)製) 、 600 g (5.0モル) の ジメトキシジメチルシラン (東京化成工業(株)製) 、 585mg (1.7ミリモ ル) のジブチルスズジアセテートを仕込み、 超高純度窒素にて脱気 (60Pa) お よび窒素パージを 3回繰り返し行った後、 高純度窒素雰囲気下で、 加熱を開始し た。 常圧下、 内温 180でで 30分間撹拌後、 内温を 21 0 まで上昇させ、 3 0分間撹拌した。 次いで、 内温を 270 まで 60分間かけて上昇させ、 反応容 器の留出口より副生する留出物を 60分間かけて除去した。 反応系の圧力を 1 3 3 P aまで 30分間かけて減少させ、 次いで 2時間保持した。 撹拌停止後、 窒素
により反応系の圧力を大気圧まで戻し、 得られたポリマ一を反応容器から取り出 した。 次いで、 このポリマ一を塩化メチレンに溶解し、 大量のへキサン中に投入 してポリマーを再沈させることにより精製した。
得られたポリマーの I Rスペクトルを図 1に示す。 図 1から分かるように、 得 られたポリマーにおいては、 1 740 cm—1にエステル結合のカルボニル (C- O) の伸縮振動に由来する吸収が確認できた。 さらに、 得られたポリマ一におい ては、 910 cm—1から 940 cnr1に〇— S i一 R (芳香族) 結合の S i一〇 伸縮振動に由来する吸収が確認できた。 また、 得られたポリマーをアルカリ溶融 したものを I CP発光分光分析法により分析すると、 ケィ素原子含有量は 4. 0 重量%であった。 以上の事実により、 得られたポリマーが、 ポリエステルーシロ キサン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示 す。
(実施例 2 )
ジメトキシジメチルシランの代わりに、 370 g (繰り返し単位 5. 0モル) のポリジメチルシロキサン (信越化学工業 (株) 製シリコーンオイル KF 96 8) を用いたこと以外は、 実施例 1と同様にしてポリマ一を得た。
実施例 1と同様の分析により、 得られたポリマーが、 ポリエステルーシロキサ ン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示 す。
(実施例 3)
ジメトキシジメチルシランの代わりに、 109 g (繰り返し単位 5.0モル) のポリメチルフエニルシロキサン (信越化学工業 (株) 製シリコーンオイル KF 54) を用いたこと以外は、 実施例 1と同様にしてポリマーを得た。
実施例 1と同様の分析により、 得られたポリマーが、 ポリエステルーシロキサ
ン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示 す。
(実施例 4)
ジフエニルテレフタレ一卜の代わりに、 795 g (2. 5モル) のジフエニル テレフ夕レートおよび 795 g (2. 5モル) のジフエニルイソフタレートを用 いたこと以外は、 実施例 1と同様にしてポリマーを得た。
実施例 1と同様の分析により、 得られたポリマ一が、 ポリエステル—シロキサ ン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示 す。
(実施例 5)
ジフエニルテレフ夕レートの使用量を 636 g (2. 0モル) とし、 ジメトキ シジメチルシランの使用量を 240 g (2. 0モル) としたこと以外は、 実施例 1と同様にしてポリマーを得た。
得られたポリマーの I Rスペクトルを図 2に示す。 図 2から分かるように、 得 られたポリマーにおいては、 1 740 c m—1にエステル結合のカルボニル (C = O) の伸縮振動、 1 775 cm—1にカーボネート結合のカルボニル (C =〇) の 伸縮振動に由来する吸収が確認できた。 さらに、 得られたポリマーにおいては、 910 cm—1から 940 c m に O— S i _ R (芳香族) 結合の S i— O伸縮振 動に由来する吸収が確認できた。 得られたポリマーをアルカリ溶融したものを I CP発光分光分析法により分析すると、 ゲイ素原子含有量は 2. 2重量%であつ た。 以上の事実により、 得られたポリマーが、 ポリエステルカーボネート—シロ キサン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示 す。
(実施例 6 )
ビスフエノール Aの代わりに、 1 750 g (5. 0モル) の 9, 9一ビス (4 ーヒドロキシフエニル) フルオレン (新日鐵化学 (株) 製) を用いたこと以外は、 実施例 1と同様にしてポリマーを得た。
実施例 1と同様の分析により、 得られたポリマーが、 ポリエステル—シロキサ ン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1) 、 (3) 、 (5) および (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示す。
(実施例 Ί )
ジフエ二ルテレフタレートを使用せず、 ジメトキシジメチルシランの使用量を
120 g (1. 0モル) としたこと以外は、 実施例 1と同様にしてポリマーを得 た。
得られたポリマーの I Rスペクトルを図 3に示す。 図 3から分かるように、 得 られたポリマーにおいては、 1 7 7 5 c m—1にカーボネー卜結合のカルボニル (C = 0) の伸縮振動に由来する吸収が確認できた。 さらに、 得られたポリマー においては、 9 1 0 cm'1から 940 cm O— S i— R (芳香族) 結合の S i一〇伸縮振動に由来する吸収が確認できた。 得られたポリマーをアルカリ溶融 したものを I CP発光分光分析法により分析すると、 ケィ素原子含有量は 2. 0 重量%であった。 以上の事実により、 得られたポリマーが、 ポリカーボネート一 シ口キサン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示 す。
(実施例 8 )
ジメトキシジメチルシランの代わりに、 74 g (繰り返し単位 1. 0モル) の ポリジメチルシロキサン (信越化学工業 (株) シリコーンオイル KF968) を用い たこと以外は、 実施例 7と同様にしてポリマーを得た。
実施例 1と同様の分析により、 得られたポリマーが、 ポリカーボネートーシロ キサン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1 ) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示 す。
(実施例 9)
ジメトキシジメチルシランの代わりに、 1 0 9 g (繰り返し単位 1. 0モル) のポリメチルフエニルシロキサン (信越化学工業 (株) 製シリコーンオイル KF5 4) を用いたこと以外は、 実施例 7と同様にしてポリマーを得た。
実施例 1と同様の分析により、 得られたポリマーが、 ポリカーボネートーシロ キサン系共重合体であることを確認した。
得られた共重合体を上記 (1) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示 す。
(比較例 1 )
市販のポリカーボネート樹脂 (帝人化成 (株)製パンライト L一 1 2 5 0) を上 記 (1) 、 (2) 、 (4) 〜 (6) の評価に供した。 評価結果を表 1に示す。
Mw Si量 Tg Mv 難燃性 Τ
(重量%) (V) (ボイズ) ( ) 実施例 1 56000 4.0 131 4500 V-0 89 実施例 2 48000 3.3 138 6000 V-0 88 実施例 3 53000 3.6 132 5000 V- 0 90 実施例 4 45000 3.9 129 3500 V - 0 88 実施例 5 56000 2.2 130 4000 V- 0 89 実施例 6 40000 3.0 V-0 87
実施例 7 58000 2. 0 125 3000 V-0 88 実施例 8 63000 1 . 9 128 4000 V-0 87 実施例 9 59000 2. 0 1 24 3000 V-0 90 比較例 1 62000 147 8000 V-2 90 表 1から分かるように、 本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合 体は、 上記ポリカーボネート樹脂と同等のまたはより優れた透明性、 成形加工性 (例えば、 離型性および表面滑性) を有している。 しかも本発明の製造方法によ り得られるシロキサン系重合体は、 上記ポリカーボネート樹脂と比較して、 難燃 性が顕著に向上していることがわかる。
(実施例 1 0 )
実施例 1および 7で得られたポリマーを、 市販のポリカーボネート樹脂 (帝人 化成(株〉製パンライト L— 1 2 5 0 ) 1 0 0重量部に対して 3 0重量部添加し、 そして二軸押出機 (日本製鋼所 (株)製 L A B O T E X ) を用いて溶融混練して、 それぞれペレツト状の樹脂組成物を得た。 これらの樹脂組成物を射出成形するこ とにより 1 / 8インチの試験片を作製し、 そしてその難燃性をそれぞれ評価した。 ポリカーボネート樹脂単独(上記比較例 1 )では、 U L— 9 4 V規格に従つた難燃 性の評価は V— 2であった。 これに対して、 実施例 1および実施例 7で得られた シロキサン系重合体を含有する樹脂組成物の評価は共に V— 0であった。 このよ うに、 本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体は、 公知の熱可塑 性樹脂に難燃性を付与する難燃剤としても優れた機能を有していることが確認さ れた。
本発明によれば、 従来法により得られるシロキサン系共重合体と比較して、 よ り優れた難燃性、 透明性、 成形加工性 (例えば、 離型性および表面滑性) を有す るシロキサン系共重合体の製造方法であって、 より簡便および安価に実施され得 るシロキサン系共重合体の製造方法が提供される。 さらに、 本発明によれば、
このような製造方法により得られるシロキサン系共重合体を含有する、 難燃性お よび成形加工性に優れた樹脂組成物が提供される。 産業上の利用の可能性
本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体は、 難燃性、 透明性、 成形加工性 (例えば、 離型性および表面活性) に優れており、 さらに他の優れた 特性を維持しつつ難燃性に特に優れる。 従って、 本発明の製造方法により得られ るシロキサン系共重合体は、 耐熱性が要求される物品に特に有効である。 本発明 の製造方法により得られるシロキサン系共重合体はまた、 難燃性樹脂組成物また は成形性樹脂組成物の主成分として有用であり、 そして他の樹脂の難燃性を向上 させるための難燃剤としても有用である。
従って、 本発明の製造方法により得られるシロキサン系共重合体、 およびそれ を含有する難燃性樹脂組成物、 ならびに成形用組成物は、 例えば、 電気分野、 照 明分野、 および自動車分野における物品における物品に特に好適である。