JPH09235364A - ポリエステルおよびポリエステルカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリエステルおよびポリエステルカーボネートの製造方法

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JPH09235364A
JPH09235364A JP4524396A JP4524396A JPH09235364A JP H09235364 A JPH09235364 A JP H09235364A JP 4524396 A JP4524396 A JP 4524396A JP 4524396 A JP4524396 A JP 4524396A JP H09235364 A JPH09235364 A JP H09235364A
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JP
Japan
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group
hydrocarbon group
polycarbonate
polyester
carbon atoms
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JP4524396A
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English (en)
Inventor
Hirosuke Kawabata
裕輔 川端
Tomoki Hiiro
知樹 日色
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 着色度が低いポリエステルおよびポリエステ
ルカーボネートの、簡便かつ安価な製造方法を提供す
る。 【解決手段】 エステル化またはエステル交換触媒の存
在下、少なくとも1種のポリカーボネートと、少なくと
も1種のジカルボン酸のジエステルとを反応させる、ポ
リエステルおよびポリエステルカーボネートの製造方法
であって、該反応の全体を通して反応温度を300℃以
下とする、製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリエステルまた
はポリエステルカーボネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリエステルおよびポリエステルカーボ
ネートは、一般に、プラスチック容器、フィルム、繊
維、接着剤、押出シートなどに用いられる工業的に有用
な成形材料である。特に、テレフタル酸および/または
イソフタル酸とカーボネート成分と2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン(別名:ビスフェノール
A)とを主単位とするポリエステルカーボネート樹脂、
ならびにテレフタル酸および/またはイソフタル酸とビ
スフェノールAとを主単位とするポリエステル樹脂は、
優れた機械特性、電気特性、耐熱性、寸法安定性、透明
性を有しており、その成型品は幅広く使用されている。
【0003】ポリエステルおよびポリエステルカーボネ
ートの製造方法としては、ホスゲンおよび/またはジカ
ルボン酸クロライドとジオール類のアルカリ塩との反応
による界面重縮合法が一般的である。この界面重縮合反
応は、低温で実施可能であり、高分子量体が得られやす
く、得られるポリマーも低着色であるという特徴を有す
る。しかし、この方法は、原料であるホスゲンおよび酸
クロライドの入手が困難である。近年の環境問題を考慮
すると、ハロゲン系原料の使用は好ましくない。しかも
この方法は、さらに大量の溶媒を使用するという問題を
有する。
【0004】ポリエステルおよびポリエステルカーボネ
ートの他の製造方法としては、エステル交換反応による
溶融重縮合法が知られている。例えば、炭酸ジフェニル
および/またはジカルボン酸ジフェニルとジオール類と
から脱フェノール重合させる方法が知られている。さら
に、ポリエステルの製造方法としては、無水酢酸の存在
下にジカルボン酸とジオール類とを脱酢酸重合させる方
法も知られている。これらの方法は、溶媒を使用せず、
ハロゲン系原料を使用しないという特徴を有するが、高
分子量体を得るのが困難であり、しかも高温で反応を行
うため、得られるポリマーの着色や物性(例えば、機械
的特性、流動性)低下が起こるという問題点を有する。
さらに、前者の脱フェノール法に関しては、原料である
ジフェニルエステルのコストが高いという問題があり、
後者の脱酢酸法に関しては、無水酢酸や副生する酢酸に
より反応装置が腐食するという問題がある。このような
問題は、原理上避けがたい問題である。
【0005】このような溶融重縮合法の問題点を解決す
る手段として、例えば、芳香族ポリカーボネートとジカ
ルボン酸エステルとを溶融状態でエステル−エステル交
換させる、ポリエステルおよびポリエステルカーボネー
トの製造方法が提案されている(米国特許第43606
48号)。この方法では、使用する原料のコストが低
く、そして原理的に、原料、生成物、および副生物に活
性水素(フェノール、カルボン酸などに由来)が存在し
ないため、腐食の問題もない。
【0006】しかし、上記方法によって得られるポリマ
ーは、着色度が高いことが判明した。それゆえ、透明性
が要求される成形材料として用いる場合、外観上致命的
な問題となることが危惧される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記課題を
解決するためになされたものであり、その目的とすると
ころは、上記従来のポリエステルおよびポリエステルカ
ーボネートの製造方法の欠点を克服し、ハロゲン含有物
および溶媒を使用せず、低コストで製造可能であり、か
つ着色度が低いポリエステルおよびポリエステルカーボ
ネートの製造方法を商業的に有利に提供することであ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、鋭意研究
を行った結果、エステル化またはエステル交換触媒の存
在下、少なくとも1種のポリカーボネートと、少なくと
も1種のジカルボン酸のジエステルとを反応させる、ポ
リエステルおよびポリエステルカーボネートの製造方法
であって、上記反応の全体を通して反応温度を300℃
以下とする、製造方法が、上記問題点を解決し得ること
を見い出し、本発明を完成した。本発明の製造方法は新
規であり、これにより上記目的が達成される。
【0009】すなわち、本発明は、エステル化またはエ
ステル交換触媒の存在下、少なくとも1種のポリカーボ
ネートと、少なくとも1種のジカルボン酸のジエステル
とを反応させる、ポリエステルおよびポリエステルカー
ボネートの製造方法であって、上記反応の全体を通して
反応温度を300℃以下とする、製造方法に関する。
【0010】好適な実施態様においては、上記ポリカー
ボネートは、以下の一般式(I)で表される:
【0011】
【化3】
【0012】式中、R1は、1〜20個の炭素原子を有
する2価の炭化水素基;炭化水素基の水素原子の少なく
とも一部が、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ
基、およびフェノキシ基からなる群から選択される少な
くとも1つで置換されている1〜20個の炭素原子を有
する2価の炭化水素基;あるいはR2−X−R3基(ここ
で、R2およびR3は、2価の芳香族炭化水素基であり、
芳香族環の水素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原
子、炭化水素基、アルコキシ基、またはフェノキシ基で
置換されていてもよく、そしてXは、単結合、-O-、-
S-、-SO-、-SO2-、-CO-、および1〜20個の炭
素原子を有する炭化水素基からなる群から選択される)
であり;そしてaは、1〜5000の整数である。
【0013】好適な実施態様においては、上記ジカルボ
ン酸のジエステルは、以下の一般式(II)で表される:
【0014】
【化4】
【0015】式中、R4は、1〜20個の炭素原子を有
する2価の炭化水素基;炭化水素基の水素原子の少なく
とも一部が、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ
基、およびフェノキシ基からなる群から選択される少な
くとも1つで置換されている1〜20個の炭素原子を有
する2価の炭化水素基であり;そしてR5は、1〜20
個の炭素原子を有する炭化水素基である。
【0016】好適な実施態様においては、上記ポリカー
ボネートは、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
プロパンのポリカーボネートである。
【0017】好適な実施態様においては、上記ジカルボ
ン酸のジエステルは、テレフタル酸ジメチル、イソフタ
ル酸ジメチル、およびナフタレン−2,6−ジカルボン
酸ジメチルからなる群から選ばれる。
【0018】好適な実施態様においては、上記エステル
化またはエステル交換触媒は、スズ系化合物である。
【0019】好適な実施態様においては、上記エステル
化またはエステル交換触媒は、リチウム、ナトリウム、
カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、スト
ロンチウム、亜鉛、カドミウム、チタン、ジルコニウ
ム、スズ、アンチモン、鉛、マンガン、コバルトからな
る群から選ばれる金属の、酢酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、
酸化物、水酸化物、水素化物、アルコラート、およびフ
ェノラートからなる群から選ばれる少なくとも1種であ
る。
【0020】好適な実施態様においては、上記エステル
化またはエステル交換触媒は、上記生成するポリエステ
ルまたはポリエステルカーボネート100重量部に対し
て、0.0001〜1重量部使用される。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0022】本発明に用いられるポリカーボネートは、
好ましくは、上記一般式(I)で表される。ここで、R
1は、1〜20個の炭素原子を有する2価の炭化水素
基;炭化水素基の水素原子の少なくとも一部が、ハロゲ
ン原子、炭化水素基、アルコキシ基、およびフェノキシ
基からなる群から選択される少なくとも1つで置換され
ている1〜20個の炭素原子を有する2価の炭化水素
基;あるいはR2−X−R3基(ここで、R2およびR
3は、2価の芳香族炭化水素基であり、芳香族環の水素
原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭化水素
基、アルコキシ基、またはフェノキシ基で置換されてい
てもよく、そしてXは、単結合、-O-、-S-、-SO-、
-SO2-、-CO-、および1〜20個の炭素原子を有す
る炭化水素基からなる群から選択される)であり;そし
てaは、1〜5000の整数である。
【0023】上記ポリカーボネートの具体例としては、
以下に示すジオールに由来するポリカーボネートが挙げ
られる。例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン(別名:ビスフェノールA)、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシ−
3,5−ジメチルフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロ
キシ−3,5−ジクロロフェニル)メタン、1,1−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエ
タン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,
3,5−トリメチルシクロヘキサン(別名:ビスフェノ
ールTMC)、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエー
テル、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホ
ン、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニ
ル)スルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチル
フェニル)プロパン、テトラブロモビスフェノールA、
テトラクロロビスフェノールA、ジヒドロキシジフェニ
ル、ハイドロキノン、レゾルシノール、ジヒドロキシナ
フタレン、ジヒドロキシアントラセン、フェノールフタ
レイン、フルオレセイン、2,2’−ジヒドロキシ−
1,1−ジナフチルメタン、4,4’−ジヒドロキシジ
ナフチルなどの芳香族ジオールに由来するポリカーボネ
ート、そしてエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオ
ール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオー
ル、1,2−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオー
ル、1,10−デカンジオールなどの脂肪族ジオールに
由来するポリカーボネートが挙げられる。これらのポリ
カーボネートは、単独で用いても良く、また混合して使
用しても良い。
【0024】本発明に用いられるポリカーボネートのう
ち、ビスフェノールAに由来するポリカーボネートが好
ましい。
【0025】本発明に用いられるジカルボン酸のジエス
テルは、好ましくは、上記一般式(II)で表される。こ
こで、R4は、1〜20個の炭素原子を有する2価の炭
化水素基;炭化水素基の水素原子の少なくとも一部が、
ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、およびフェ
ノキシ基からなる群から選択される少なくとも1つで置
換されている1〜20個の炭素原子を有する2価の炭化
水素基であり;そしてR5は、1〜20個の炭素原子を
有する炭化水素基である。
【0026】上記ジカルボン酸のジエステルの具体例と
しては、以下に示すものが挙げられる。例えば、テレフ
タル酸、メトキシテレフタル酸、エトキシテレフタル
酸、フルオロテレフタル酸、クロロテレフタル酸、メチ
ルテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、メトキシイ
ソフタル酸、ジフェニルメタン−4,4’−ジカルボン
酸、ジフェニルメタン−3,3’−ジカルボン酸、ジフ
ェニルエーテル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニル
−4,4’−ジカルボン酸、ナフタレン−1,4−ジカ
ルボン酸、ナフタレン−1,5−ジカルボン酸、ナフタ
レン−2,6−ジカルボン酸などの芳香族ジカルボン
酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジ
ピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデ
カンジカルボン酸、3−メチルアゼライン酸などの脂肪
族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン
酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シ
クロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジ
カルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン
酸、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、2,
7−デカヒドロナフタレンジカルボン酸などの脂環式ジ
カルボン酸などの、ジメチル、ジエチル、ジプロピル、
ジブチル、ジシクロへキシル、ジフェニルエステルが挙
げられる。これらのジカルボン酸のジエステルは、単独
で用いても良く、また混合して使用しても良い。
【0027】本発明に用いられるジカルボン酸のジエス
テルのうち、テレフタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメ
チル、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルが好
ましい。
【0028】本発明に用いられる触媒としては、公知の
エステル化またはエステル交換触媒が使用され得る。こ
れらの触媒としては、リチウム、ナトリウム、カリウム
などのアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリ
ウム、ストロンチウムなどのアルカリ土類金属、亜鉛、
カドミウム、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモ
ン、鉛、マンガン、コバルトなどの金属の、酢酸塩、炭
酸塩、ホウ酸塩、酸化物、水酸化物、水素化物、アルコ
ラート、フェノラートなどが挙げられる。これらのエス
テル化またはエステル交換触媒は、単独で用いてもよ
く、また混合して用いてもよい。
【0029】これらのうち、スズ系化合物が好ましく、
例えば、アシル第一スズ、テトラアシル第二スズ、ジブ
チルスズオキサイド、ジブチルスズジアセテート、ジブ
チルスズラウレート、ジメチルスズマレート、スズジオ
クタノエート、スズテトラアセテート、塩化第一スズ、
塩化第二スズ、酢酸第一スズ、トリクロロブチルスズ、
ジクロロジブチルスズ、酸化第一スズ、酸化第二スズが
挙げられる。
【0030】これらの触媒の使用量は、特に制限されな
いが、反応性と物性(例えば、着色、耐加水分解性)の
バランスから、生成ポリマー100重量部に対して、好
ましくは0.0001〜1.0重量部、より好ましくは
0.0005〜0.1重量部が使用される。使用する触媒
が、0.0001重量部未満では、反応が十分に進行せ
ず、そして1.0重量部より多ければ、生成するポリマ
ーの着色が激しくなり、耐加水分解性などの物性が低下
する。
【0031】これらの触媒のほかに、他の添加剤、例え
ば、安定剤、顔料、染料、蛍光増白剤、核剤、重合促進
剤、充填剤、補強材(例えば、ガラス繊維、炭素繊維)
などを重合時あるいは生成したポリマーに添加すること
も可能である。
【0032】本発明においては、異なる2段階の工程で
反応を行うことが好ましい。異なる2段階の工程とは、
(1) 常圧下で、ポリカーボネートおよびジカルボン酸
のジエステルを溶融加熱することにより、解重合反応お
よびエステル交換反応させ、オリゴマーを生成させる工
程、ならびに(2) 減圧下で、さらにエステル交換を行
うことにより、高分子量のポリエステルおよびポリエス
テルカーボネートを生成させる工程であり、前者を第1
工程、そして後者を第2工程とする。
【0033】本発明は、上記反応の全体を通して、その
反応温度を300℃以下とすることを特徴とする。各工
程の反応温度は、300℃以下であれば特に制限されな
いが、第1工程の反応温度は、好ましくは200〜28
0℃、より好ましくは240〜260℃である。第2工
程の反応温度は、好ましくは250〜290℃である。
反応全体において、反応温度が300℃より高い場合
は、ポリマー生成物の着色が激しくなる。さらに、第1
工程の反応温度が200℃より低い場合、および第2工
程の反応温度が250℃より低い場合は、反応が十分に
進行しない。しかし、本発明においては、反応工程全体
の反応温度さえ300℃以下とすれば、上記2段階工程
での反応に限定されるものではない。
【0034】本発明の製造方法においては、各反応成分
の使用量および反応条件を適宜調節することによって、
カーボネート部分を完全に反応させるか、または不完全
に反応させることができる。その結果として、所望のポ
リエステルまたはポリエステルカーボネートを選択的に
製造することが可能となる。すなわち、本発明の製造方
法において、ポリカーボネートおよび/またはジオール
のジカーボネートに対してジカルボン酸のジエステルの
使用量が多いと、カーボネート部分は完全に反応し、そ
の結果カーボネート部分は消失し、ポリエステルが生成
する。それに対して、ポリカーボネートおよび/または
ジオールのジカーボネートに対してジカルボン酸のジエ
ステルの使用量が少ないと、カーボネート部分は完全に
は反応せず、その結果カーボネート部分が残存するため
に、ポリエステルカーボネートが生成する。
【0035】本発明の製造方法により得られるポリエス
テルを生成するためには、ジカルボン酸のジエステルの
モル数が、ポリカーボネート(および/またはジオール
のジカーボネート)の繰り返し単位のモル数以上となる
ような割合で用いられ得る。これに対して、本発明の製
造方法により得られるポリエステルカーボネートを生成
するためには、ジカルボン酸のジエステルのモル数が、
ポリカーボネート(および/またはジオールのジカーボ
ネート)の繰り返し単位のモル数未満となるような割合
で用いられ得る。さらに、本発明の製造方法により得ら
れるポリエステルまたはポリエステルカーボネートの分
子量の調節は、触媒の量など公知の方法により調節され
得る。
【0036】本発明においては、適当な補助溶媒、例え
ば、ジフェニルエーテル、ビフェニル、置換されたシク
ロヘキサン、デカヒドロナフタレン、1,2,4,5−
テトラメチルベンゼンを用いてもよい。あるいは、生成
するポリマーと相溶化しない非溶剤、例えば、ポリ(フ
ッ化アルキレンオキシド)を用いてもよい。
【0037】本発明の製造方法により得られるポリエス
テルおよびポリエステルカーボネートは、ペレット化
(チップ化)してから成形してもよく、あるいはそのま
ま押出機などを用いて所望の形状に成形することも可能
である。さらに、本発明の製造方法により得られるポリ
エステルおよびポリエステルカーボネートは、公知の他
のポリマー、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリフェニレン
オキシド、ポリスルホンなどの1種または2種以上とブ
レンドすることも可能である。
【0038】本発明の製造方法により得られるポリエス
テルおよびポリエステルカーボネートは、形状のある物
品、繊維、フィラメント、フィルムなどの製造のために
幅広く使用され得る。本発明の製造方法により得られる
ポリエステルおよびポリエステルカーボネートは、高い
耐熱性、強靭性、耐加水分解性、耐クリープ性などを有
するので、これらの物性が要求される分野、例えば、家
電分野、照明分野、および自動車分野における物品に特
に適する。
【0039】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳し
く説明するが、本発明は下記実施例に限定されるもので
はなく、その要旨を変更しない範囲において、適宜変更
実施可能なものである。
【0040】なお、ポリマーの特性は以下に示す方法に
従って測定した。
【0041】(1)ポリマーの重量平均分子量(Mw) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法
により測定した。Waters社製510型GPCシステムを
用いて、クロロホルムを移動相とし、ポリマー濃度2m
g/mlでカラム温度35℃にて測定した。ポリスチレ
ンを標準試料として用いて重量平均分子量を算出した。
【0042】(2)ポリマーの着色度 日本電色工業製(株)Z−Σ80色差計を用いて、JIS
K7103に基づいて、透過法により黄色度(YI)を
測定した。試験片は、厚さ1/8インチの成型品を用い
た。
【0043】(実施例1)撹拌翼、窒素導入口、冷却
管、および留出口を備えた内容積14Lのステンレス製
反応容器に、ポリカーボネート(帝人化成(株)製、パン
ライトL−1250W、Mv=25000)1271g
(5.0モル)、ジメチルテレフタレート582g(3
モル)、ジメチルイソフタレート582g(3モル)、
ジブチルスズジアセテート0.585g(1.67ミリモ
ル)を仕込み、窒素置換した後、窒素フローの状態で4
℃/分で240℃(この温度をT1とする)まで加熱し
た。次いで、撹拌翼の回転を開始し、1時間そのままの
温度で生成してくるジメチルカーボネートを還流させ
た。続いて、1℃/分で260℃(この温度をT2とす
る)で1時間かけて留去口よりジメチルカーボネートを
除去した。次いで、反応系をゆっくりと減圧(30分で
1 torr)にし、それと同時に0.5℃/分で290℃
(この温度をT3とする)まで昇温し、そのまま2時間
保持した。撹拌停止後、窒素により大気圧まで戻した
後、反応混合物を取り出し、ポリマーを得た。得られた
ポリマーを塩化メチレンに溶解し、大量のヘキサン中へ
投入してポリマーを再沈させることにより精製した。
【0044】得られたポリマーのIRスペクトルを図1
に示す。原料であるポリカーボネートには1775cm
-1にカーボネート結合に由来するC=O伸縮振動の吸収
が認められるが、得られたポリマーにはそのような吸収
は認められず、代わりにエステル結合に由来するC=O
伸縮振動の吸収が1740cm-1に確認された。これら
の結果により、得られたポリマーはポリエステルである
ことが示された。
【0045】得られたポリマーを上記(1)および
(2)の試験に供し、特性を評価した。結果を表1に示
す。
【0046】(比較例1)T1を280℃とし、T2を3
00℃、T3を320℃とした以外は、実施例1と同様
に行った。
【0047】得られたポリマーの物性値を表1に示す。
【0048】(実施例2)T1を240℃とし、T2を2
40℃、T3を280℃とした以外は、実施例1と同様
に行った。
【0049】得られたポリマーの物性値を表1に示す。
【0050】(実施例3)T1を260℃とし、T2を2
60℃、T3を300℃とした以外は、実施例1と同様
に行った。
【0051】得られたポリマーの物性値を表1に示す。
【0052】(実施例4)ジメチルイソフタレートを使
用せず、ジメチルテレフタレートの使用量を777g
(4モル)とした以外は、実施例1と同様に行った。
【0053】得られたポリマーのIRスペクトルを図2
に示す。得られたポリマーには1775cm-1にカーボ
ネート結合に由来するC=O伸縮振動の吸収が認めら
れ、かつエステル結合に由来するC=O伸縮振動の吸収
が1740cm-1に確認された。これらの結果により、
得られたポリマーはポリエステルカーボネートであるこ
とが示された。
【0054】得られたポリマーの物性値を表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】上記表1の結果により、ポリマー生成の反
応全体を通して反応温度を300℃以下とすることによ
り、得られたポリエステルおよびポリエステルカーボネ
ートは、上記反応温度が、300℃より高い場合に比べ
て、着色度が低いことがわかる。
【0057】
【発明の効果】本発明の製造方法により、着色度が低い
ポリエステルおよびポリエステルカーボネートを簡便か
つ安価な方法で製造可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1により得られたポリエステルのIRス
ペクトル図である。
【図2】実施例4により得られたポリエステルカーボネ
ートのIRスペクトル図である。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エステル化またはエステル交換触媒の存
    在下、少なくとも1種のポリカーボネートと、少なくと
    も1種のジカルボン酸のジエステルとを反応させる、ポ
    リエステルおよびポリエステルカーボネートの製造方法
    であって、該反応の全体を通して反応温度を300℃以
    下とする、製造方法。
  2. 【請求項2】 前記ポリカーボネートが、以下の一般式
    (I)で表される、請求項1に記載の製造方法: 【化1】 式中、R1は、1〜20個の炭素原子を有する2価の炭
    化水素基;炭化水素基の水素原子の少なくとも一部が、
    ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、およびフェ
    ノキシ基からなる群から選択される少なくとも1つで置
    換されている1〜20個の炭素原子を有する2価の炭化
    水素基;あるいはR2−X−R3基(ここで、R2および
    3は、2価の芳香族炭化水素基であり、芳香族環の水
    素原子は、それぞれ独立して、ハロゲン原子、炭化水素
    基、アルコキシ基、またはフェノキシ基で置換されてい
    てもよく、そしてXは、単結合、-O-、-S-、-SO-、
    -SO2-、-CO-、および1〜20個の炭素原子を有す
    る炭化水素基からなる群から選択される)であり;そし
    てaは、1〜5000の整数である。
  3. 【請求項3】 前記ジカルボン酸のジエステルが、以下
    の一般式(II)で表される、請求項1または2に記載の
    製造方法: 【化2】 式中、R4は、1〜20個の炭素原子を有する2価の炭
    化水素基;炭化水素基の水素原子の少なくとも一部が、
    ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、およびフェ
    ノキシ基からなる群から選択される少なくとも1つで置
    換されている1〜20個の炭素原子を有する2価の炭化
    水素基であり;そしてR5は、1〜20個の炭素原子を
    有する炭化水素基である。
  4. 【請求項4】 前記ポリカーボネートが、2,2−ビス
    (4−ヒドロキシフェニル)プロパンのポリカーボネー
    トである、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記ジカルボン酸のジエステルが、テレ
    フタル酸ジメチル、イソフタル酸ジメチル、およびナフ
    タレン−2,6−ジカルボン酸ジメチルからなる群から
    選ばれる、請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記エステル化またはエステル交換触媒
    が、スズ系化合物である、請求項1〜5のいずれかに記
    載の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記エステル化またはエステル交換触媒
    が、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、
    カルシウム、バリウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミ
    ウム、チタン、ジルコニウム、スズ、アンチモン、鉛、
    マンガン、コバルトからなる群から選ばれる金属の、酢
    酸塩、炭酸塩、ホウ酸塩、酸化物、水酸化物、水素化
    物、アルコラート、およびフェノラートからなる群から
    選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれ
    かに記載の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記エステル化またはエステル交換触媒
    が、前記生成するポリエステルまたはポリエステルカー
    ボネート100重量部に対して、0.0001〜1重量
    部使用される、請求項1〜7のいずれかに記載の製造方
    法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US10214614B2 (en) 2008-05-09 2019-02-26 Cornell University Copolymerization of ethylene oxide and carbon dioxide
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