WO1998001039A1

WO1998001039A1 - Composition d'alimentation pour volaille

Info

Publication number: WO1998001039A1
Application number: PCT/JP1997/002334
Authority: WO
Inventors: Tomoya Aoyama; Yasuaki Sugimoto
Original assignee: Idemitsu Materials Co., Ltd.
Priority date: 1996-07-08
Filing date: 1997-07-04
Publication date: 1998-01-15
Also published as: EP0913095A1; EP1304041A1; EP1304041B1; EP0913095A4; ES2240653T3; EP1304041B8

Description

明細書家禽用飼料組成物技術分野本発明は家禽用飼料組成物に関し、詳しくは、鶏など主に食肉用として飼育される家禽、特にブロイラーの飼養において発生する腹水症や突然死症候群を有効に防止し、育成率を向上させる効果に優れる家禽用飼料組成物に関する。背景技術家禽、詳しくは鶏、特にブロイラーを飼育するブロイラー産業において、用いる鶏の系統の育種技術や飼養技術は、生産性向上を追求するために、体重の増加速度及び飼料要求率に重点がおかれて開発されてきた。しかし、生育期間中に、体重増加速度に心臓機能の発達が伴わないため、鶏に心不全症や腹水症が多発しており、ブロイラー産業において大きな経済打撃となっている。特に、冬場や高地等の飼育環境や成長期などの酸素要求量が高まる条件下や閉鎖環境での多数飼育などの酸素が不足する条件下では、上記疾病の発生が顕著である。

そこで、この様なブロイラーの腹水症や突然死症候群（以下「S D S」ともいう J を防止する技術が開発され、以下の 3技術がこれまでに知られるようになつた。

①補酵素 Qを含むキノン類の投与によりブロイラーの腹水症を防止し育成率を向上させる（特開平 6— 2 8 7 1 3 6号公報）。

②補酵素 Q ₉〜Q ,。を含有する腹水症防止および突然死症候群防止のための飼料 (特開平 7 - 1 2 3 9 2 8号公報）。

③炭酸水素ナトリゥムを通常の飼料に 1 %添加することにより腹水症を防止する ( J. Appl. Poul try Res. 3， 244- 252, 1994) 。

しかしながら、これらの技術ではある程度の効果は得られるものの、依然として腹水症や突然死症候群は発生しており、より十分な防止効果が得られる技術の開発が期待されていた。また、 ③の方法では、炭酸水素ナトリウムを飼料に対し多量に添加するため、ブロイラーの飲料水量が増加したり、飼料の飛散などにより床面での飼料の腐敗などが起こり、衛生状態が悪化するなどの問題があった。また、補酵素 Q等の薬効成分を含有する飼料では、飼料調製後、常温で飼料を保管すると、時間が経過するに従つて薬効成分が酸化や劣化などにより他の物質に変化してしまい、飼料中の薬効成分の含有量が減少し最終的にはほとんど消失してしまうものもあり問題であった。これにより、室温長期保存の後の補酵素 Q 等の薬効成分含有飼料では、最初に添加された薬効成分が十分に作用しなくなるばかりか、変換によって生じた物質により鶏に障害が発生するのではな L、か等の危惧があった。これを防ぐために、貯蔵を含めた飼料の管理に細心の注意を払うこと、低温貯蔵、高温時期の長時間輸送対策や調製後の早急な使い切りなどの対応策が行われているが、これらが飼料コストの低減を妨げているとともに、飼料の不完全な保存による病害の発生が懸念されていた。発明の開示本発明は、上記観点からなされたものであり、鶏など主に食肉用として飼育される家禽、特にブロイラーの飼養において、腹水症や突然死症候群を有効に防止し、育成率を向上させる効果に優れる家禽用の飼料組成物、および、前記効果に優れるとともに、飼料の保管において有効成分が安定して保存され薬効を維持できるような家禽用の飼料組成物を提供することを課題とする。

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、補酵素 Qと抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を組み合わせた薬剤を飼料に混合してブロイラーに投与することにより、補酵素 Qを単独で用いた飼料を投与した場合に比べ、腹水症や突然死症候群を飛躍的によく予防してプロイラ —の死亡率を極端に減少させ、育成率を向上させることを見出し、また、補酵素 Qと酵母菌体加工物を飼料に配合してブロイラーに投与することにより、補酵素 Qを単独で配合した飼料を投与した場合に比べ、腹水症や突然死症候群をよく予防してブロイラーの死亡率を減少させ、育成率を向上させることを見出し、さらに、前記補酵素 Qと酵母菌体加工物を配合した飼料においては、飼料中の補酵素 Qが常温で安定に保存され得ることを見出し、本発明を完成するに至った。

すなわち本発明は、補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する家禽用飼料組成物である。

上記本発明の家禽用飼料組成物に用いる補酵素 Qとして、具体的には、下記一般式（ I ) で表される補酵素 Q ₉又は下記一般式（I I ) で表される補酵素。を挙げることができる。

( I ) CH₃

一。 CH₃ ( I I ) 一し s(_CH2c_H2CH =CH-CH₂)₉-CH₃

また、上記本発明の家禽用飼料組成物における補酵素 Qの含有量として、具体的には、飼料組成物全量に対して 0 . 0 0 0 5〜0 . 5重量％程度の含有量を挙げることができる。

さらに、上記本発明の家禽用飼料組成物に用いる抗酸化剤として、具体的には、ビタミン Eを、制酸剤として具体的には、炭酸水素ナトリウムを、アンモニア生成抑制剤として具体的には、ジアルデヒドデンプン、ユッカ抽出物、サルササボニン、ヒドロキサム酸等をそれぞれ挙げることができる。

上記本発明の家禽用飼料組成物が、補酵素 Qと共に、ビタミン Eを抗酸化剤として含む場合には、組成物中に含まれる補酵素 Qとビタミン Eとの割合が補酵素 Q 1 m g当たりのビタミン E量として 0 . 0 1〜 1 0 0 I U程度であることが好ましい。

上記本発明の家禽用飼料組成物が、補酵素 Qと共に、制酸剤を含む場合には、組成物中に含まれる補酵素 Qと制酸剤との重量比が 1 ： 2 ~ 1 ： 4 0 0 0程度であることが好ましい。

上記本発明の家禽用飼料組成物が、補酵素 Qと共に、アンモニア生成抑制剤を含む場合には、組成物中に含まれる補酵素 Qとアンモニア生成抑制剤との重量比が 1 0 0 ： 1〜 1 ： 1 0 0程度であることが好ましい。

この様な、補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する本発明の家禽用飼料組成物を、飼料として、家禽、詳しくは鶏、特にブロイラーの飼養に用いることにより、補酵素 Qを単独で含有する飼料を用いた場合に比べ、腹水症や突然死症候群の予防効果を飛躍的に向上させることができる。また、これによりブロイラー産業における大きな経済的打撃を回避できる。本発明はさらに、補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する家禽用飼料組成物を提供する。

ここで、本発明の補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する家禽用飼料組成物とは、補酵素 Qと酵母菌体加工物とがそれぞれ配合された家禽用飼料組成物、つまり、酵母菌体には補酵素 Qを含有するものがあるが、酵母菌体加工物が補酵素 Q を含有するか否かに係わらず、酵母菌体加工物に加えてさらに補酵素 Qが配合された家禽用飼料組成物をいう。

上記本発明の補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する家禽用飼料組成物に用いる補酵素 Qとして、具体的には、上記一般式（： I ) で表される補酵素 Q _s又は上記一般式（I I ) で表される補酵素。を挙げることができる。

また、本発明の補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する家禽用飼料組成物における補酵素 Qの含有量として、具体的には、飼料組成物全量に対して 0 . 0 0 0 5〜 0 . 5重量％程度の含有量を挙げることができる。

さらに、本発明の補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する家禽用飼料組成物において、組成物中に含まれる補酵素 Qと酵母菌体加工物の割合として、具体的には、重量比で 5 0 ： 1〜 1 ： 2 0 0 0程度の含有割合を挙げることができる。上記本発明の補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する家禽用飼料組成物に用いる酵母として、具体的には、サッカロミセス ·セレピシェ Saccharomyces cere visiae) 、サッカロミセス · 力ーゾレスへノレケンシス ( Saccharomyces carlsberge nsis ) 、ャロウィァ ' リポリティ力（Yarrowia lipolytics) 、トルロプシス 'ュチリス ( Torulopsis utilis) 、卜リコスポロン -力夕二ゥム (Trichosporon cu taneum) 等を挙げることができる。

この様な、補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物を、飼料として、家禽、詳しくは鶏、特にブロイラーの飼養に用いることにより、補酵素 Qが単独で配合された飼料や酵母菌体加工物が単独で配合された飼料を用いた場合に比べ、腹水症や突然死症候群の予防効果を向上させることができる。また、補酵素 Qと共に酵母菌体加工物とを含有する本発明の飼料用組成物においては、飼料組成物中で補酵素 Qが常温において安定に保存され、長期常温保存の後にこれを鶏に用いても、上記腹水症や S D Sの発生を防止し育成率を向上させる効果を十分に有するものである。この様にして、本発明の飼料組成物を用いることによりブロイラーの腹水症や突然死症候群の予防が可能となり、さらに、その飼料組成物の保管が容易となれば、ブロイラー産業に対する本発明の飼料組成物の経済的効果は非常に大きい。以下に、本発明を詳細に説明する。まず、始めに補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する本発明の家禽用飼料組成物について説明する。

(： 1 ) 補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する本発明の家禽用飼料組成物

まず、上記本発明の家禽用飼料組成物に配合する補酵素 Qは、補酵素 Qに分類される化合物であれば特に制限されるものではないが、具体的には、補酵素 Q ₆、補酵素 Q ₇、補酵素 Q ₈、補酵素 Q ₉、補酵素あるいはこれらの各々についての還元型（キノ一ル型）補酵素 Q等を挙げることができる。これらの補酵素 Qのうちでも、本発明の飼料組成物においては、上記一般式（ I ) で表される補酵素 Q ₉、上記一般式（Π ) で表される補酵素 Q i。が好ましく用いられる。

上記本発明の家禽用飼料組成物に配合する補酵素 Qについては、その起源物質として、ムコール属ゃモルティエレラ厲などの糸状菌類、キャンディダ属ゃサッカロミセス属などの酵母類、シユードモナス属、ァクロモバクタ一厲、ロドシュードモナス属などの細菌類、またタバコの葉、トウモロコシゃ小麦などの胚芽等が知られている。補酵素 Qは上記起源物質から、通常の方法に従って抽出、精製して得られる。補酵素 Qを、上記本発明の家禽用飼料組成物に配合する際には、上記の様にして得られる補酵素 Qの精製品を配合してもよ t、が、起源物質から得られる抽出物や粗精製物、あるいは起源物質中の補酵素 Q濃度が高い場合には起源物質そのものを配合することも可能である。さらに、補酵素 Qは化学合成による製品が市販されてもいるので、これを本発明に使用してもよい。また、補酵素 Qと他の薬剤、希釈剤、担体、賦形剤などが混合した組成物として配合することも可能である。

また、上記本発明の家禽用飼料組成物における補酵素 Qの含有量として、好ましくは、飼料組成物全量に対して概ね 0 . 0 0 0 5〜0 . 5重量％の含有量を挙げることができる。さらに、本発明においては、上述の様に補酵素 Qを予め含有する組成物を使用することもできるが、この場合には補酵素 Qとしての含有量が飼料組成物全量に対して 0 . 0 0 0 5〜0 . 5重量％となるように、補酵素 Q含有の組成物を飼料組成物に配合すればよい。

また、上記本発明の家禽用飼料組成物は、上記補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する。

上記抗酸化剤として、具体的には、ビタミン E、エトキシキン、セレン等を挙げることができる。これらの抗酸化剤は、 1種を単独であるいは 2種以上の混合物として用いることができる。また、これらのうちでも、本発明にはビタミン E が好ましく用いられる。ここで、本明細書において「ビタミン E」の用語は、 a 一トコフエロール、 /3— トコフエロール、ァ一トコフエロール、（5— トコフエ口 —ルゃこれらの誘導体等のビタミン E作用を有する化合物群の総称として用いる _c 本発明に用いられるビタミン Eとしては、特に制限されず、例えば、通常ビタミン Eとして食品用または飼料用として用いられているビ夕ミン E化合物を挙げることができる力、これらのうちでも、コスト面から d 1 — a 卜コフヱリルァセテ —ト等が好ましいといえる。また、トウモロコシ、綿実、大豆、小麦などに由来するトコフエロールを本発明の飼料組成物に配合することも可能である。さらに、ビ夕ミン Eについても他の薬剤、希釈剤、担体、賦形剤などが混合した組成物として配合することも可能である。

また、上記本発明の家禽用飼料組成物が、補酵素 Qと共にビ夕ミン Eを含有する場合には、組成物中に含まれる補酵素 Qとビタミン Eとの割合は、補酵素 Q 1 m g当たりのビタミン E量として 0 . 0 1〜 1 0 0 I U程度であることが好ましい。

上記本発明に用いる制酸剤としては、特に制限されないが、具体的には、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等を挙げることができる。これらの制酸剤は、 1種を単独であるいは 2種以上の混合物として用いることができる。また、これらのうちでも、本発明に好ましく用いられるのは炭酸水素ナトリゥ厶である。炭酸水素ナ卜リゥム（化学式： N a H C〇₃ ) としては、飼料用として指定されている規格品が好ましい。しかし、本発明において用いる炭酸水素ナトリゥム力、'、これに限定されるものではない。

さらに、上記本発明の家禽用飼料組成物が、補酵素 Qと共に制酸剤を含有する場合には、組成物中に含まれる補酵素 Qと制酸剤との重量比は 1 ： 2〜 1 ： 4 0 0 0程度であることが好ましい。

また、上記本発明に用いるアンモニア生成抑制剤としては、鶏体内でのアンモニァ生成を抑制する作用を有する物質であれば特に制限されるものではなく、具体的には、腸内でのアンモニアを吸着して体外へ***させる作用を有する物質、例えば、ジアルデヒドデンプン（以下「D A S」ともいう）や、ウレァ一ゼインヒビタ一としての作用を有する物質、例えば、ユッカ抽出物、サルササポニン、ヒドロキサム酸等を挙げることができる。これらのアンモニア生成抑制剤は、 1 種を単独であるいは 2種以上の混合物として用いることができる。なお、ユッカ抽出物とは、ユリ科の植物であるユッカ ·スキディゲラ（Yucca schidigera ) の抽出物のことである。

さらに、この様なアンモニア生成抑制剤のうちでも、本発明には、 D A Sが好ましく用いられる。 D A Sは、通常の方法で製造することも可能であり、市販品を用いることも可能である力、'、 D A Sのアルデヒド化率が 3 0〜6 0 %のものを用いることが好ましい。その他、本発明に用いるアンモニア生成抑制剤として上述した、ユッカ抽出物、サルササポニン、ヒドロキサム酸等についても、通常の方法で製造すること、あるいは、市販品を用いることが、共に可能である。これらアンモニア生成抑制剤も他の薬剤、希釈剤、担体、賦形剤などが混合した組成物として配合することが可能である。

また、上記本発明の家禽用飼料組成物が、補酵素 Qと共にアンモニア生成抑制剤を含有する場合には、組成物中に含まれる補酵素 Qとアンモニア生成抑制剤との重合比は、 1 0 0 ： 1〜 1 ： 1 0 0程度であることが好ましい。

なお、上記本発明の家禽用飼料組成物においては、上記抗酸化剤、制酸剤、ァンモニァ生成抑制剤は、補酵素 Qと共にこれらのいずれか 1種を用いてもよいし、 2種または 3種を併用して用いてもよい。

上記本発明の家禽用飼料組成物は、上記必須成分の他に任意成分を含有するが、この様な任意成分として、例えば、トウモロコシ、マイ口、大豆粕、植物油、魚粉、ふすま、小麦等の栄養成分、食塩、炭酸カルシウム、第 2 リン酸カルシウム、微量ミネラル等のミネラル成分、ビタミン A D剤、ビタミン B剤等のビタミン製剤、サリノマイシン（抗コクシジゥム剤）、硫酸コリスチン、ェンラマイシン、バージニァマイシン等の抗生物質や塩化コリン等の各種薬効成分等を挙げることが可能である。

上記本発明の家禽用飼料組成物は、上記各原料が配合され、すなわち、補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質、さらに、通常の飼料に配合される任意成分が配合され、これらを均一に混合することにより製造される。なお、各原料の配合量については、上述の通りである。

この様にして得られる、補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する本発明の家禽用飼料組成物を、家禽に与える際の量や方法は、通常の飼料を用いた場合と同様の量や方法を取ることが可能である。

例えば、上記本発明の家禽用飼料組成物を通常の飼料と同様に鶴に与えて鶏を飼養すれば、鶏の通常飼料摂取量と上記本発明の家禽用飼料組成物における補酵素 Qの含有量とから計算して、鶏への補酵素 Qの投与量は 1 日当たり概ね 0 . 0 5〜 5 0 m g g体重の割合とすることができる。補酵素 Qと共に投与される他の物質に関しても、上記補酵素 Qとの配合比から 1日当たりの体重当たりの投与量が算出できる。上記各物質が飼料に配合され、この様な量で鶏に摂取されることにより、生育段階の鶏における腹水症や S D Sの発生を防止し、育成率を向上させることが可能となる。

また、上記補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する本発明の家禽用飼料組成物を家禽に使用する際には、これを家禽の全飼育期間を通して家禽に与えてもよいが、上記本発明の家禽用飼料組成物と通常の飼料とを一定期間ごと交互に用いて家禽を飼養することも可能である。

例えば、ブロイラーにおいて、初生から 2 1 日齢位までの期間には通常の飼料を与え、その後、急激に成長する 2 2日齢位から出荷までの期間に上記本発明の飼料組成物を与えるという飼料の与え方も可能であるし、また、寒冷ストレスを受けやすい初生から 2 1 日齢位までの期間に上記本発明の飼料組成物を与え、その後、 1 2日齢位から出荷までの期間にも引き続き上記本発明の飼料組成物を与えるという飼料の与え方も可能である。なお、上記本発明の飼料組成物は 2 0日以上継続して与えることが好ましい。

上記補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する本発明の家禽用飼料組成物が適用される家禽としては、家禽であれば特に制限されないが、例えば、肉用鶏、特にブロイラーの様に短期間で限られた環境で飼育される鶏においては、上記本発明の家禽用飼料組成物は、より大きな効果を発揮することが可能である。また、生育段階での採卵鶏のような食肉用以外の家禽にも上記本発明の家禽用飼料組成物を適用することも可能である。次に、補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物について説明する。

( 2 ) 補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物まず、補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する上記本発明の家禽用飼料組成物に用いる補酵素 Qは、上記（ 1 ) で詳述した補酵素 Qと全く同様のものを用いることが可能である。また、上記補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物においても、補酵素 Qとして好ましく用いられるのは、（. 1 ) の家禽用組成物同様、上記一般式（ I ) で表される補酵素 Q ₉、および上記一般式

( 10 で表される補酵素 Q i。等である。さらに、補酵素 Qの入手、製造方法や家禽用飼料組成物への配合形態等も上記（ 1 で説明した通りである。

また、補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する上記本発明の家禽用飼料組成物における補酵素 Qの含有量は、具体的には、飼料組成物全量に対して概ね 0 . 0

0 0 5〜 0 . 5重量％であることが好ましく、 0 . 0 0 1〜 0 . 1重量％であることがより好ましい。さらに、上述の様に補酵素 Qの純粋物以外に、補酵素 Qを予め含有する組成物を使用することもできるが、この場合には、補酵素 Qとしての含有量が飼料組成物全量に対して上記補酵素 Qについて示した含有量の範囲、具体的には、概ね 0 . 0 0 0 5〜 5重量％となるように、好ましくは 0 . 0 0 1〜0 . 1重量％となるように、補酵素 Q含有の組成物を飼料組成物に配合すればよい。なお、組成物中の補酵素 Qの含有量については、酵母菌体加工物が補酵素 Qを含有する場合には、補酵素 Qとして配合した補酵素 Q量に、前記酵母菌体加工物含有の補酵素 Q量を加えたものを、組成物中の補酵素 Qの含有量とする。上記本発明の家禽用飼料組成物は、上記補酵素 Qに加えて、さらに酵母菌体加ェ物を含有する。本発明に用いる酵母菌体加工物とは、水分含有量を加工物全体の 1 5重量％以下に調製した酵母菌体及び /又は酵母菌体破砕物をいい、また、本明細書において「酵母菌体」という言葉は、培養物などから分離して得られる酵母菌体そのものを示す以外に、酵母菌体を含有する培養物等もその概念に含むものとして用いられる。さらに上記「破砕」とは、機械的に破砕する物理的な方法の他に、溶菌などの化学的な方法を含む概念として用いられる。本明細書においてこの様に定義される酵母菌体加工物は、酵母菌体を通常の方法で培養して得られる培養物から、通常の菌体分離方法、菌体破砕方法、乾燥方法等を用いて容易に得られる。この様な酵母菌体加工物は、具体的には以下の様にして製造することが可能である。

酵母菌体を培養する際に通常用いられる培地を用いて通常の培養方法で酵母菌体を培養し、得られる培養物から濾過法や遠心分離法によって酵母菌体を取り出す。この酵母菌体をそのまま、または、高圧ホモジナイザーや熱水等による物理的処理方法、酸やアルカリ等による化学的処理方法、サイモラ一ゼ等の細胞壁分解酵素等による生化学的処理方法等によつて菌体を破砕した後、水分含有量が全重量の 1 5 %以下になるまでこれを乾燥して酵母菌体加工物とする。なお、上記乾燥の方法についても、加熱乾燥や凍結乾燥など通常用いられている乾燥方法を用いることが可能である。

あるいは、上記同様に通常の培地、培養方法で培養し、得られる培養物をそのまま、または、培養物中の酵母菌体を高圧ホモジナイザーや熱水等による物理的処理方法、酸やアルカリ等による化学的処理方法、サイモラ一ゼ等の細胞壁分解酵素等による生化学的処理方法等から選ばれる適当な方法で破砕させた後、これを水分含有量が全重量の 1 5 %以下になるまで上記と同様にして乾燥して酵母菌体加工物とすることも可能である。

また、酵母菌体が培養により産生する特定の成分を得ることを目的として培養した培養物からその特定成分を除いたあとの培養物であって酵母菌体を含有するような培養物を、そのまま又は培養物中の酵母菌体を破砕した後、あるいは上記と同様にして培養物から酵母菌体を取り出し、それをそのまま又はこの酵母菌体を破砕した後、水分含有量が全重量の 1 5 %以下になるまでこれを乾燥して酵母菌体加工物とすることも可能である。

本発明に用いられる酵母菌体加工物の酵母の種類としては、組成物中で上記補酵素 Qの働きを助けると共に補酵素 Qを安定して保存する作用を有する酵母であれば、特に制限されるものではないが、具体的には、トルラ酵母〔卜ルロプシス -ュチリス（Torulopsis utilis ) ) 、パン酵母、ビール酵母、（サッカロミセス ' セレビシェ ( Saccharomyces cerevisiae) 、サッカロミセス · カーノレスべノレゲンシス（Saccharomyces carlsbergensis ) ) 、その他有機酸発酵に用いられる酵母（ャロウィァ ' リボリティカ（Yarrowia l ipol ytics ) や試験指標用に用いられる酵母（トリコスポロン ' カタニゥム（ Trichosporon cutaneum) ) 等を挙げることが可能である。

また、この様な本発明の家禽用飼料組成物が含有する補酵素 Qと酵母菌体加工物との重量比は、 5 0 ： 1〜 1 ： 2 0 0 0程度であることが好ましく、より好ましくは、 1 ： 5 0〜； L ： 1 5 0 0程度である。

補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物は、前記必須成分の他に任意成分を含有するが、この様な任意成分として、例えば、トウモ口コシ、マイ口、大豆粕、植物油、魚粉、米ぬか、フスマ、小麦等の栄養成分、食塩、貝殻、卵殻、炭酸カルシウム、第 2 リン酸カルシウム、微量ミネラル等のミネラル成分、ビタミン A D E剤、ビタミン B剤等のビタミン製剤、サリノマイシン（抗コクシジゥム剤、硫酸コリスチン、ェンラマイシン、パージニァマイシン等の抗生物質や塩化コリン等の各種薬効成分等を挙げることができる。また、上記任意成分として、さらに、上記（ 1 ) で説明した抗酸化剤、制酸剤、アンモニァ生成抑制剤等を挙げることも可能である。

補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物は、上記各原料が配合され、すなわち、補酵素 Qと酵母菌体加工物、さらに必要に応じて通常の飼料に配合される任意成分が配合され、これらを均一に混合することにより製造される。なお、上記各原料は、補酵素 Q及び酵母菌体加工物が組成物全量に対して上記の含有量となる様にして配合される。

この様にして得られる補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物を家禽に与える際の量や方法は、通常の飼料を用いた場合と同様の量や方法を採ることが可能である。

例えば、補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物を通常の飼料と同様に鶏に与えて鶏を飼養すれば、鶏の通常飼料摂取量と上記本発明の家禽用飼料組成物における補酵素 Qの含有量とから計算して、鶏への補酵素 Qの投与量は 1 日当たり概ね 0 . 0 5〜 5 O m g / k g体重、好ましくは 0 . 1 〜 1 0 m g , k g体重の割合とすることができる。また、酵母菌体加工物に関しても、上記本発明の飼料組成物における上記補酵素 Qとの含有割合から 1日当たりの体重当たりの投与量が算出できる。この様にして、上記補酵素 Qと酵母菌体加工物が飼料に配合され、上記の量で鶏に摂取されることにより、生育段階の鶏における腹水症や S D Sの発生を防止し、育成率を向上させることが可能となる。また、この様にして得られる本発明の飼料組成物中では補酵素 Qが安定して保存される。

補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物を家禽に使用する際には、これを家禽の全飼育期間を通して家禽に与えてもよいが、上記本発明の家禽用飼料組成物と通常の飼料とを一定期間ごと交互に用いて家禽を飼養することも可能である。

例えば、ブロイラーにおいて、初生から 2 1 日齢位までの期間には通常の飼料を与え、その後、急激に成長する 2 2日齢位から出荷までの期間に上記本発明の飼料組成物を与えるという飼料の与え方も可能である。さらに、寒冷ストレスを受けやすい初生から 2 1日齢位までの期間に上記本発明の飼料組成物を与え、その後、 2 2日齢位から出荷までの期間にも引き続き上記本発明の飼料組成物を与えるという飼料の与え方も可能である。なお、上記本発明の飼料組成物は 1 4日以上継続して与えることが好ましい。

また、上記補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の家禽用飼料組成物が適用される家禽としては、家禽であれば特に制限されないが、具体的には、上記（ 1 ) の家禽用飼料組成物が適用される家禽と同様の家禽を挙げることができる。発明を実施するための最良の形態以下に、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する以下に、本発明の実施例を説明する。まず、後述の実施例及び比較例の家禽用飼料組成物に配合する補酵素 Q >。製剤、ビタミン E製剤、 D A S製剤の製造例について説明する。製造例 1 補酵素。製剤補酵素。製剤は、ふすま 1 k gに対して補酵素。を 2 0 gの割合で配合し、均一に混合することで作製された。製造例 2 ビタミン E製剤ビタミン E製剤は、ふすま 1 k gに対して d 1 — α トコフヱリルァセテ一卜を 4 5 0 0 O m gの割合（ビ夕ミン E量として 4 5 0 0 0 I U ) で配合し、均一に混合することで作製された。製造例 3 D A S製剤

D A S製剤は、ふすま 1 k gに対して D A S (アルデヒド化率 5 0 % ) を 2 0 gの割合で配合し、均一に混合することで作製された。

次に、これら製造例で得られた各種製剤を用いて作製した実施例について説明する。実施例 1、 2 表 1に示す成分を混合して補酵素 Q！。とビタミン Eを含有する実施例 1および 2の飼料組成物を製造した。比較のため、ビタミン Eは含有するが補酵素 Qを含有しない比較例 1および 2、補酵素 Qは含有するがビ夕ミン Eを含有しない比較例 3および 4の飼料組成物を作製した。

表 2 配ム α 里暑 (重量部）成分

基本飼料 A 基本飼料 Β トウモロコシ 47. 7 50. 2 マイ口 1 0. 0 20. 0 大豆粕 24. 8 13. 6 植物油 3. 9 4. 2 魚粉 9. 0 8. 0 ふすま 1. 3 2. 5 食塩 0. 3 0. 2 第 2リン酸カルシウム 0. 5 0 5 ビタミン AD剤 0. 05 0. 05 ビタミン B剤 0. 1 0. 1 微量ミネラル 0. 0 δ 0. 0 δ サリ /マイシン (50kg力価/ kg) 0. 1 0. 1

'、"-シ"二了マイシン（8g力価/ kg) 0. 1 5 0. 1 5 塩化コリン (50%散;) 0. 05 0. 05 尚、上記表 2中、ビタミン AD剤は、ビ夕ミン Aを 1 0000 I U / g、ビ夕ミン D₃を 2000 I U 含有し、ビタミン B剤は、ビタミンを 2 gノ k g、ビタミン B ₂を 10 g z k g、ビタミン B ₆を 2 g z _{k g}、ニコチン酸ァミドを ₂ g / k g , パントテン酸カルシウムを 4 g k g、塩化コリンを 120 g g、ヨウ酸を 1 g Zk g含有する。また、微量ミネラルは、 Mnを 8. 0%、 F eを 0. 6%、 C uを 0. 06%、 Iを 0. 1 %、 Z nを 5. 0%含有している。尚、サリノマイシンは抗コクシジゥム剤として、バージニアマイシンは抗生物質として配合されている。

<実施例 1および 2の飼料組成物の評価〉

上記各実施例、比較例で得られた飼料組成物を用 L、てブ口イラ一の飼養を行い、各飼料組成物によるブロイラーの腹水症や S D Sの予防効果、育成率を評価した

1群 48羽ずつの初生のブロイラー（鶏種：チャンキー（ロスブリーダ一ズ社製）、雌雄混合）を、ウィンドレス（平飼）鶏舎で 50日齢まで飼育した。飼育条件としては育雛温度を腹水症を誘発しやすいような条件、つまり、飼育期間中の温度を表 3に示す温度（飼育開始後 14日齢〜 21日齢の期間を寒冷感作期間として 5土 1°C以下、他の期間は 21〜26°Cの範囲）に設定し、管理した。表 3

試験例 1のブロイラー群には、前期（初生〜 21日齢、以下同様）に実施例 1 で得られた飼料組成物を、後期（22〜50日齢、以下同様）に実施例 2で得られた飼料組成物を与え飼育した。また、比較のために試験例 2のブロイラー群には、前期に比較例 1で得られた飼料組成物を、後期に比較例 2で得られた飼料組成物を与え飼育した。さらに、試験例 3のブロイラー群には、前期に比較例 3で得られた飼料組成物を、後期に比較例 4で得られた飼料組成物を与え飼育した。なお、飼育期間中、上記飼料組成物および水は自由摂取であった。

上記条件で飼育を行い、飼育期間中に死亡したブロイラー数を計測した。また、死亡したブロイラーに関しては死亡原因を調査した。飼育期間終了後、それぞれの群で、腹水症、 S D S、その他による死亡率、および死亡率の合計と育成率 (：生存率）を求めた。また、体重を測定してその平均値を求めた。結果を表 4に示す。表 4

この結果から明らかなように、ビ夕ミン Eのみを配合した比較例の飼料組成物を用いて飼育された試験例 2のブロイラー群や補酵素 Qのみを配合した比較例の飼料組成物を用いて飼育された試験例 3のブロイラー群に比べ、補酵素 Qと共にビ夕ミン Eを含有する本発明の飼料組成物を用いて飼育された試験例 1のブロイラー群では、腹水症、 S D Sによる死亡率および合計の死亡率が低く、育成率が高い。また、平均体重についても試験例 1のブロイラー群は他の 2群に比べて大きく、成長がよいことがわかる。実施例 3、 4 表 5に示す成分を混合して補酵素。と炭酸水素ナ卜リウムを含有する実施例 3および 4の飼料組成物を製造した。比較のため、炭酸水素ナトリウムは含有するが補酵素 Qを含有しない比較例 5および 6の飼料組成物を作製した。表 5

<実施例 3および 4の飼料組成物の評価〉

上記各実施例、比較例で得られた飼料組成物を用いてブロイラーの飼養を行い、各飼料組成物によるブロイラーの腹水症や S D Sの予防効果、育成率を評価した c 1群 4 8羽ずつの初生のブロイラー（鶏種：チャンキー（ロスブリーダーズ社製）、雌雄混合.〉を、ウィンドレス（平飼）鶏舎で 5 0日齢まで飼育した。飼育温度の条件は、上記実施例 1、 2の飼料組成物の評価実験の温度条件と同様であつた。

試験例 4のブロイラー群には、前期（初生〜 2 1 日齢、以下同様）に実施例 3 で得られた飼料組成物を、後期（2 2〜5 0日齢、以下同様）に実施例 4で得られた飼料組成物を与え飼育した。また、比較のために試験例 5のブロイラー群には、前期に比較例 5で得られた飼料組成物を、後期に比較例 6で得られた飼料組成物を与え飼育した。さらに、試験例 6のブロイラー群には、前期に比較例 3で得られた飼料組成物を、後期に比較例 4で得られた飼料組成物を与え飼育した。なお、飼育期間中、上記飼料組成物および水は自由摂取であった。

上記条件で飼育を行い、飼育期間中に死亡したブロイラー数を計測した。また、死亡したブロイラーに関しては死亡原因を調査した。飼育期間終了後、それぞれの群で、腹水症、 S D S、その他による死亡率、および死亡率の合計と育成率 (生存率）を求めた。また、体重を測定してその平均値を求めた。結果を表 6に示す。

表 6

この結果から明らかなように、炭酸水素ナトリゥムのみを配合した比較例の飼料組成物を用いて飼育された試験例 5のブロイラー群や補酵素 Qのみを配合した比較例の飼料組成物を用いて飼育された試験例 6のブロイラー群に比べ、補酵素 Qと共に炭酸水素ナトリゥムを含有する本発明の飼料組成物を用いて飼育された試験例 4のブロイラー群では、腹水症、 S D Sによる死亡率および合計の死亡率が低く、育成率が高い。また、平均体重についても試験例 4のブロイラー群は、他の 2群と比べて、同等かそれ以上であり成長がよいことがわかる。実施例 5 、 6 表 7に示す成分を混合して補酵素 Q 。と D A Sを含有する実施例 5および 6の飼料組成物を製造した。比較のため、 D A Sは含有するが補酵素 Qを含有しない比較例 7および 8の飼料組成物を作製した。表 7

<実施例 5および 6の飼料組成物の評価 >

上記各実施例、比較例で得られた飼料組成物を用いてブロイラーの飼養を行い、各飼料組成物によるブロイラーの腹水症や S D Sの予防効果、育成率を評価した c

1群 4 8羽ずつの初生のブロイラー（鶏種：チャンキー（ロスブリーダ一ズ社製）、雌雄混合）を、ウィンドレス（平飼鶏舎で 5 0日齢まで飼育した。飼育温度の条件は、上記実施例 1 、 2の飼料組成物の評価実験の温度条件と同様であつた。

試験例 7のブロイラー群には、前期（初生〜 2 1 日齢、以下同様）に実施例 5 で得られた飼料組成物を、後期（2 2 〜 5 0日齢、以下同様）に実施例 6で得られた飼料組成物を与え飼育した。また、比較のために試験例 8のブロイラー群には、前期に比較例 7で得られた飼料組成物を、後期に比較例 8で得られた飼料組成物を与え飼育した。さらに、試験例 9のブロイラー群には、前期に比較例 3で得られた飼料組成物を、後期に比較例 4で得られた飼料組成物を与え飼育した。なお、育期間中、上記飼料組成物および水は自由摂取であった。

上記条件で飼育を行い、飼育期間中に死亡したブロイラー数を計測した。また, 死亡したブロイラーに関しては死亡原因を調査した。飼育期間終了後、それぞれの群で、腹水症、 S D S、その他による死亡率、および死亡率の合計と育成率〔生存率）を求めた。また、体重を測定してその平均値を求めた。結果を表 8に示す。

表 8 1 i

：試験例 7 試験例 8 試験例 9 投与した前期（0 21 ) ¹実施例 5飼料比較例 7飼料 i比較例 3飼料飼料組成物後期（22 50) ！実施例 6飼料比較例 8飼料；比較例 4飼料飼育総数 i 4 8 4 8 ！ 4 8

死亡数

(死亡率）内 1 腹水症， 1 ( 2. 1¾)

ί 1 S D S 0

訳！その他 1 (2. 1¾)

¹育成数（育成率）： 4 6 (95. 8%) 3 9 (81. 3%) _: 4 3 (89. 6%) 平均体重（g) 2 7 7 0 i 2 7 2 0 2 7 6 0 この結果から明らかなように、 D A Sのみを配合した比較例の飼料組成物を用いて飼育された試験例 8のブロイラー群や補酵素 Qのみを配合した比較例の飼料組成物を用いて飼育された試験例 9のブロイラー群に比べ、補酵素 Qと共に D A Sを含有する本発明の飼料組成物を用いて飼育された試験例 7のブロイラー群では、腹水症、 S D Sによる死亡率および合計の死亡率が低く、育成率が高い。また、平均体重についても試験例 7のブロイラー群は、他の 2群と比べて、同等かそれ以上であり成長がよいことがわかる。実施例 7、 8 表 9に示す成分を混合して補酵素 Q ,。と酵母菌体加工物を含有する実施例 7および 8の飼料組成物を製造した。比較のため、酵母菌体加工物は含有するが補酵素 Qを含有しない比較例 9および 1 0、補酵素 Qは含有するが酵母菌体加工物を含有しない比較例 1 1および 1 2の飼料組成物を作製した。なお、本実施例に用いたトルラ酵母菌体加工物は卜ルロプシス ·ュチリス（Torulopsis ut ilis ) の熱分解物である（株）興人製の卜ルラ酵母であった。また、補酵素 Qとしては和光純薬工業（株製の補酵素 Q _{i n} (試薬名；ュビキノン 1 0 ) を用いた。

表 9 配合重量部）分実施例比較例

7 1 0 ！ 1 1 ί 1 2 基本飼料 C (成分；表 10参照） 1000 1000 一 j 1000

基本飼料 D (成分;表 10参照） 1000 一！ 1000 j 一 1000 補酵素 Q _{1 C} 0. 02 0. 02 - ！ - i 0. 02 0. 02 トルラ酵母菌体加工物 0. 98 0. 98 Π 1 ； - フスマ - ； - ¹ 0. 98 0. 98 表 10 配ム α 里醫 (重量部）

成分

基本飼料 C 基本飼料 D トウモロコシ 47. 0 49. 5

マイ口 10. 0 20. 0

大豆粕 24. 8 1 3. 6

植物油 3. 9 4 - 2

魚粉 9. 0 8. 0

フスマ 1. 3 2. 5

0. 3 0 2

炭酸カルシウム 0. 7 0 7

第 2リン酸カルシウム 0. 5 0 5

ビ夕ミン AD E剤 0. 05 0 05

ビタミン B剤 0. 1 0 1

微量ミネラル 0. 05 0 05

サリノマイシン (50kg力価/ kg) 0. 1 0 1

ハ"-シ"二了マイシン (8g力価/ kg) 0. 15 0 1 5

塩化コリン 0. 05 0 05 尚、上記表 10中、ビタミン AD Ε剤は、ビ夕ミン Αを 10000 I U / g、ビタミン Dを 2000 I U g、ビタミン Eを 1 0 I U/g含有し、ビタミン B 剤は、ビタミン B ,を 2 g Zk g、ビタミン B₂を 1 0 g g、ビタミン B_sを 2 g k g、ニコチン酸ァミドを 2 g /k g, 塩化コリンを 1 20 g ,k g、ヨウ酸を 1 g g含有する。また、微量ミネラルは、 Mnを 8. 0%、 6を0. 6%、 C uを 0. 06%、 Iを 0. 1 %、 Z nを 5. 0%含有している。尚、サリノマイシンは抗コクシジゥム剤として、バージニアマイシンは抗生物質として配合されている。

<-実施例 7および 8の飼料組成物の評価（プロイラ一飼養試験） ·>

上記各実施例、比較例で得られた飼料組成物を用いてブロイラーの飼養を行い、各飼料組成物によるブロイラーの腹水症や S D Sの予防効果、育成率を評価した _c 1群 4 8羽ずつの初生のブロイラー（鶏種：チャンキ一（ロスブリーダ一ズ社製）、雌雄混合）を、ウィンドレス（平飼鶏舎で 5 0日齢まで飼育した。飼育温度の条件は、上記実施例 1、 2の飼料組成物の評価実験の温度条件と同様であつた。

試験例 1 0のブロイラー群には、前期（初生〜 2 1曰齢、以下同様）に実施例 7で得られた飼料組成物を、後期（2 2〜5 0日齢、以下同様）に実施例 8で得られた飼料組成物を与え飼育した。また、比較のために試験例 1 1のブロイラー群には、前期に比較例 9で得られた飼料組成物を、後期に比較例 1 0で得られた飼料組成物を与え飼育した。さらに、試験例 1 2のブロイラー群には、前期に比較例 1 1で得られた飼料組成物を、後期に比較例 1 2で得られた飼料組成物を与え飼育した。なお、飼育期間中、上記飼料組成物および水は自由摂取であった。上記条件で飼育を行い、飼育期間中に死亡したブロイラー数を計測した。また、死亡したブロイラーに関しては死亡原因を調査した。飼育期間終了後、それぞれの群で、腹水症、 S D S、その他による死亡率、および死亡率の合計と育成率〔生存率）を求めた。また、体重を測定してその平均値を求めた。結果を表 1 1 に示す。

表 1 1

この結果から明らかなように、通常の飼料組成物に酵母菌体加工物のみを添加配合した比較例の飼料組成物を用いて飼育された試験例 1 1のブロイラー群や補酵素 Qのみを添加配合した比較例の飼料組成物を用いて飼育された試験例 1 2のブロイラー群に比べ、補酵素 Qと共に酵母菌体加工物を含有する本発明の飼料組成物を用いて飼育された試験例 1 0のブロイラー群では、腹水症、 S D Sによる死亡率および合計の死亡率が低く、育成率が高い。また、平均体重についても試験例 1 0のブロイラー群は他の 2群に比べて大きく、成長がよいことがわかる。実施例 9、 1 0 表 1 2に示す成分を混合して補酵素 Q ,。と酵母菌体加工物を含有する実施例 9 および 1 0の飼料組成物を製造した。比較のため、補酵素 Qは含有するが酵母菌体加工物を含有しない比較例 1 3および 1 4の飼料組成物を作製した。なお、実施例に用いたトルラ酵母菌体加工物はトルロプシス 'ュチリス（Torulopsi s uti lis ) の熱分解物である（株）興人製の卜ルラ酵母であり、ビール酵母菌体加工物はアサヒビール（：株〕製のサッカロミセス · セレピシェ（Saccharomyces cerevi siac ) の乾燥酵母であった。また、補酵素 Qとしては和光純薬工業（株）製の補酵素《3 ,。（試薬名；ュビキノン 1 0 ) を用いた。表 1 2

<実施例 9および 1 0の飼料組成物の評価（補酵素 Qの保存安定性試験） - 上記実施例 9、 1 0及び比較例 1 3、 1 4で得られた飼料組成物を用いて、これら組成物が含有する補酵素 Qの保存安定性に関する 2種類の試験を行い、本発明の飼料組成物を評価した。

(： 1 ) 保存安定性試験①

上記実施例 9で得られた飼料組成物及び比較例 1 3で得られた飼料組成物を、それぞれそのままの状態でポリエチレン袋に入れて密封し、室温で 1 2週間放置した。この放置期間の間、上記 2種類の飼料組成物中の補酵素 Q】。の濃度をそれぞれ、以下の方法により経時的（開始時、 2週間後、 4週間後、 8週間後、 1 2 週間後）に測定した。結果を表 1 3に示す。

(飼料組成物中の補酵素 Q！。濃度の測定方法）

K R酵母（飼料用酵母）賦形剤中の補酵素。濃度を測定するための方法 (；「続生化学実験講座」（日本科学会編，東京化学同人，第 1 3巻， 1 9 7 5〕）に準じて上記飼料組成物中の補酵素。濃度を測定した。

飼料組成物をサンプルとして、この約 0 . 3 gを精秤し、この測定重量をサンプル採取量（g ) として記録した。エタノール（9 9 . 5 % ) 1 0 0 m lが入つたデュラン瓶（ 1 0 0 m 1容）に精秤したサンプルを入れ、室温でスターラ一を用いて 1 0分間攪拌した。その後、このデュラン瓶を温浴（ 5 0 °C ) に入れ、時々攪拌しながら 1 5分間加温して補酵素。を抽出し、抽出後、さらに室温でスターラーを用いて 1 0分間の携拌を行った。

上記で得られた懸濁液の約 5 m 1を遠心分離（ 1 2 0 0 0 r p m、 5分間）にかけ、得られた上清を、必要に応じてエタノールで希釈した後、石英吸光度セルに取り、分光光度計で 2 7 5 n mの吸光度を測定した。得られた吸光度が酸化型補酵素 Q】。の吸光度である。

次に、吸光度を測定した石英吸光度セル内に、水酸化ホウ素ナトリウム 1 m g を添加し、発泡が収まるまで約 6 0分静置した。その後、これについて分光光度計で 2 7 5 n mの吸光度を測定した。得られた吸光度が還元型補酵素 Q ,。の吸光度である。

上記で得られた各測定値を以下の計算式に挿入し、サンプル 1 g中の補酵素 Q ！。濃度（m g ^/ g ) を有効桁数を小数点以下 2桁として求めた。補酵素 Q 1。濃度（mg/g = (A-B x l O O x C ' ( 1 4. 2 x D)

A 酸化型補酵素 Q_{i n}の吸光度

B 還元型補酵素 Q_{i n}の吸光度

C 希釈倍率

D 試料採取量 g ) 表 1 3 組成物中の補酵素。濃度 (mg/g)

( 2 ) 保存安定性試験②

上記実施例 1 0で得られた飼料組成物及び比較例 14で得られた飼料組成物を、それぞれそのままの状態でポリエチレン袋に入れて密封し、 4 0°C、相対湿度 7 5%の条件下に、 6ヶ月間放置した。この放置期間の間、上記 2種類の飼料組成物中の補酵素 Q】。の濃度をそれぞれ、上記（ 1 ) と同様の方法により経時的（開始時、 1 ヶ月後、 2ヶ月後、 3ヶ月後、 6ヶ月後）に測定した。結果を表 1 4に示す。表 1 4

これらの結果から、補酵素 Qを含有し酵母菌体加工物を含有しない比較例の飼料組成物に比べ、補酵素 Qと共に酵母菌体加工物を含有する本発明の飼料組成物においては、 6ヶ月に及ぶ保存期間においても組成物中の補酵素 Q含有量の経時変化は極めて小さく、本発明の飼料組成物が保存安定性に優れることがわかる。産業上の利用性補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する本発明の家禽用飼料組成物を用いれば、鶏など主に食肉用として飼育される家禽、特にブロイラーの飼養において、腹水症や突然死症候群を有効に防止することが可能であり、その結果、鶏の育成率を大幅に向上させることができる。

また、補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する本発明の飼料組成物を用、れば、上記飼料組成物同様に鶏など主に食肉用として飼育される家禽、特にブロイラーの飼養において、腹水症や突然死症候群を有効に防止することができ、その結果、鶏の育成率を大幅に向上させることが可能なばかりでなく、さらに、常温での長期間の保管においても、有効成分を安定に保存し薬効を維持することが可能である。

Claims

請求の範囲

1. 補酵素 Qと共に、抗酸化剤、制酸剤、アンモニア生成抑制剤から選ばれる物質を含有する家禽用飼料組成物。

2. 補酵素 Qが下記一般式（ I ) で表される補酵素 Q₉又は下記一般式（Π) で表される補酵素 Q i。である請求項 1記載の家禽用飼料組成物。

I ) CH₃

(II)

CH₃

3. 抗酸化剤がビタミン Eである請求項 1記載の家禽用飼料組成物。

4. 制酸剤が炭酸水素ナトリゥムである請求項 1記載の家禽用飼料組成物。

5. アンモニア生成抑制剤がジアルデヒドデンプン、ユッカ抽出物、サルササポニン、ヒドロキサム酸から選ばれる請求項 1記載の家禽用飼料組成物。

6. 補酵素 Qの含有量が、飼料組成物全量に対して 0. 0005〜0. 5重量％である請求項 1記載の家禽用飼料組成物。

7. ビタミン Eを含み、組成物中に含まれる補酵素 Qとビタミン Eとの割合が補酵素 Q lmg当たりのビタミン E量として 0. 0 1〜 1 00 I Uである請求項 3記載の家禽用飼料組成物。

8. 制酸剤を含み、組成物中に含まれる補酵素 Qと制酸剤との重量比が 1 ： 2〜 1 ： 4000である請求項 1記載の家禽用飼料組成物。

9. アンモニア生成抑制剤を含み、組成物中に含まれる補酵素 Qとアンモニァ生成抑制剤との重量比が 1 00 _: 1〜1 ： 1 00である請求項 1記載の家禽用飼料組成物。

1 0. 補酵素 Qと酵母菌体加工物とを含有する家禽用飼料組成物。

1 1· 補酵素 Qが下記一般式（ I ) で表される補酵素 Q ₉又は下記一般式（I I) で表される補酵素。である請求項 1 0記載の家禽用飼料組成物。

-✓し H3 J ) 一 C、_(CH2CH2c_H =CH-CH₂)₈-CH₃

(ii)

C_H2)9— _CH₃

12. 補酵素 Qの含有量が、飼料組成物全量に対して 0. 0005〜0. 5 重量％である請求項 10記載の家禽用飼料組成物。

1 3. 組成物中に含まれる補酵素 Qと酵母菌体加工物との重量比が 50 ： 1 〜1 ： 2000である請求項 10記載の家禽用飼料組成物。

14. 酵母がサッカロミセス ·セレビシェ (Saccharomyces cerevisiae) 、サッカロミセス - カーノレスべノレケンシス (Saccharomyces carlsbergensis) 、ャロウィァ ' リポリティ力（Yarrowia lipolytics) 、トルロプシス 'ュチリス（T orulopsis utilis) 、卜リコスホロン · カタニゥム ( irichosporon cutaneum) から選ばれる請求項 10記載の家禽用飼料組成物。